Reader Store
麗しの聖母ひょうさんのレビュー
いいね!された数108
  • 超高速! 参勤交代

    超高速! 参勤交代

    土橋章宏

    講談社文庫

    こんな上司(部下)がいたら、どんな難題にも立ち向かえる

    最初読むと、 閉所恐怖症でちょっぴり頼りない印象の お殿さま・内藤政醇公。 領民と仲がいいのはわかるけど、 それだけで大丈夫?と思ってしまう。 しかし、読み進めるうちに 数々の事件に対して 彼自身の能力の高さ(目からウロコ)や 家臣団の結束のかたさ、 大名行列のあっと驚くパフォーマンスなど どんどんとネタが出てきて 「行けーーっ!」と応援してしまう。 こんな上司がいたら、 こんな部下がいたら どんな難題にも立ち向かえるよな、と 思う読者も多いだろう。 個人的には、家老・相馬に泣かされた。 とにかく痛快、途中でちょっとポロリ。 電子書籍なら、その日の気分で、 思いついた数字を「ページ数」に打ち込んで そこから読むのもいいかも。

    3
    投稿日: 2016.09.11
  • 成りあがり

    成りあがり

    矢沢永吉

    ぴあ

    10,000円のエピソードに涙

    今や日本のロック界に燦然と君臨する矢沢永吉。 その矢沢が、日給2,000円のアルバイトに行く話が泣ける。 5日働いて、10,000円。 バイト先に事情を話して、それだけ払ってもらった。 その1万円札を、苦しい生活に耐えている妻に渡したかった。 が、出来なかった。 帰りのバス代60円がなかったのである。 小銭まじりの金を渡した時、妻がワンワン泣いたという。 その涙をみて、 「くそ! 絶対にビッグになってやる」 と改めて発奮したという。 本書は、 高邁な理想と非凡な才能とともに、 こうした小さな、でも実感あるエピソードが各所に描かれ きれいごとでない「成り上がり」ストーリーとなっている。 「成り上がり」とは、すなわち 小さな膨大な努力の上に建つ華やかな楼閣なのだと 矢沢が教えてくれる。 昭和時代に書かれた本だか、 古さを全く感じさせない内容である。

    0
    投稿日: 2015.09.10
  • イニシエーション・ラブ

    イニシエーション・ラブ

    乾くるみ

    文春文庫

    3度読んでみて下さい

    にぶい私は、 1度目に読んだ時、 「かわいいラブストーリーだな」 と思いこみ、 最後の1行まで、意味がわかりませんでした。 わかった時のあの驚き、 え、こういう意味でいいのかな?という疑問。 で、そのまま慌てて2度目の読書に突入し 「あああああ、そーゆーこと!」 と、やっと ネットの書評で評判が高い理由に納得しました。 そして、少し時間をあけて 3度目に読んだ時、 主人公の女性に対して、 また少し違う感想を持ちました。 もし、友達だったなら やっぱり、ちょっと 肩を抱いてあげたいような気がしました。 ネタバレになるから、 こんなレビューしか書けませんが・・・ それにしても、これを映画化とは、 いったい、どんな風に作ったのでしょう? にぶい私は、きっと 前売券を2枚買う必要があるでしょう。

    1
    投稿日: 2015.05.10
  • 恍惚の人(新潮文庫)

    恍惚の人(新潮文庫)

    有吉佐和子

    新潮文庫

    「老人問題」を描いて、今なお新鮮

    作品発表から30年以上の時を経ても、まったく色あせない名作。 老人問題だけでなく、女性の自立や介護問題にも 作者の鋭い視線が行き届いている。 突然、84歳の舅と同居することになる主人公夫婦。 しかも、その舅は認知症だった。 そして、この老人はこう描写される。 「恍惚として、夢を見ているようだ」 と。 老いとは何か、 それは本当に「ボケて」「老残をさらすだけ」なのか、 作者は時に冷たく、時にやさしく 老いた男の最期を描いていく。 最後の最後のシーンで、 主人公夫婦の長男(高校生)が 母親にこう言う。 「ママ、もう少し生かしておいてもよかったね」 この言葉、こうして読むと 「何と、ひどい!」と思われるだろうが、 実はそんな感じはしない。 では、どんなニュアンスなんだ? そう思われた方は、本書をご一読されたし。 特に、45歳以上の方 (そろそろ親の介護が頭をよぎる世代)は 読んでみて損はありません。

    3
    投稿日: 2014.11.04
  • 脂肪と言う名の服を着て[完全版] 上巻

    脂肪と言う名の服を着て[完全版] 上巻

    安野モヨコ

    FEEL COMICS

    かっこいい彼はデブ女が好き?

    普通のマンガなら 「彼氏に痩せろと言われて」 みたいなきっかけでダイエットが始まるのだが、 この話は、まったく逆。 主人公(のこ)の彼・斎藤くんは のこがダイエットしていると聞いて逆上し、 「もっと食え! 俺は太っているのこが好きなんだ!」 と、主人公の口に無理やり食べ物を突っ込む過激さである。 なぜ、彼がそうなったのか、その問題はここではおいておくが。 こんな不安定な関係で、 職場でも問題をかかえた主人公は 食生活のコントロールもめちゃくちゃになり 痩せたり太ったり、体型までも不安定になっていく。 美味しく食べ過ぎて太るならともかく、 泣きながら菓子を食べて太っていく姿は かわいそうで、でも歯がゆくて、 「あーっ、もう」と言いそうになる。 それは誰が悪いのか? 痩せてきれいになったら、人生は変わるのか? そして彼女は救われたのか? けっこう重いコミックで 「読後感がさわやか」とは、お世辞にも言えないが ダイエットに悩む人は、一読の価値ありと思う。

    6
    投稿日: 2013.11.24
  • 食えなくなった弁護士・会計士・税理士 週刊東洋経済eビジネス新書No.28

    食えなくなった弁護士・会計士・税理士 週刊東洋経済eビジネス新書No.28

    週刊東洋経済編集部

    週刊東洋経済eビジネス新書

    どの仕事でも同じでしょう

    その仕事でも 「できる奴は売れ、できない奴は消える」 は共通であり、 それが、今まで一番お偉かった「士業」にまで 及んできたという話である。 確かに相続税申告などでは 相続税案件を毎年何件か手がけている税理士と 経験が浅い税理士では、 申告書の出来栄えに大きな差がつくのは 周知の事実である。 これから依頼しょうという方は、注意されたし。

    0
    投稿日: 2013.11.24
  • 浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく フィギュアスケートの裏側

    浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく フィギュアスケートの裏側

    生島淳

    朝日新書

    ソチオリンピックまでに読んでおこう

    浅田真央選手が、2010年のバンクーバー五輪で敗れたのは フリーの演技で、ジャンプにミスが出たから・・・ それだけが真の原因ではないと書く衝撃の1冊。 なぜ、女子の有力選手はトリプルアクセルを跳ばないのか? それは、採点システムの仕組みに大きな原因があるということが 本書に詳しく書かれている。 タイトルは、女子選手の名前だが 他の内容では、 なぜ、バンクーバーで4回転を決めたプルシェンコは、 4回転を回避したライサチェクに敗れたのか? など、男子選手の話題も入っており、 読み応えがある。 内容的には、2011年までだが 今読んでも、古さはまったく感じない。 また選手だけでなく、コーチや振付師 (タラソワ、モロゾフ、オーサー)といった人たちの略歴も 詳しく書いてあり、 「へー!」と思う箇所がいっぱい。 それにしても、フィギュアの採点はこんなにも奥が深いのか? あえて書くならば 「フィギュアスケートに関しては、  ソチ五輪は、もう、始まっている」 のだということが、本書を読めば実感できる。 ソチ五輪開幕までに読みたい1冊だと思う。

    3
    投稿日: 2013.11.24
  • 和菓子のアン

    和菓子のアン

    坂木司

    光文社文庫

    読む人の教養が試される一冊

    主人公アンちゃんが「水無月」を知らないのに驚いた。 京都では、6月のあの季節、みんな買う菓子だが、 他の地方では、無名の風習だったのか。 という風に、 和菓子のことで勉強になる一冊であり、 読み終えたあとは、日本茶が飲みたくなる気分だ。 その他、デパ地下の裏事情っぽい部分も描いており 食品偽装の昨今、タイムリーかも。 全体的には、ミステリー仕立てでうまくまとめてあり、 たのしく面白く読めると思う。

    1
    投稿日: 2013.11.13
  • 風俗行ったら人生変わったwww

    風俗行ったら人生変わったwww

    @遼太郎

    小学館

    うん、誰もが最初はそうだったよね

    いつの頃からか、 「何でも事前に知っていて、  転ばぬように、恥をかかないように生きる」 のが定番みたいになっちゃったけど 本当は、 「あー、だめだ、だめだ」 って頭を抱えてうずくまらなきゃ、 人生のことってわからないのかもしれない。 遼太郎は、それを風俗で経験した。 しかも、ものすごくピュアな経験をしてしまう。 彼の一生懸命さに、 何だか、ちょっぴり、うるっと来る。 タイトルの100倍くらいマジな本。 サンプルだけでも読む価値あり。

    5
    投稿日: 2013.11.13
  • 神様のカルテ

    神様のカルテ

    夏川草介

    小学館文庫

    父がガンで亡くなった直後に、読みました

    映画も観ましたが、この原作と、どちらも泣けました。 病気と闘うとはどういうことなのか、 どうすれば、「その人に最適な最期」を作ってあげられるのか それに正面から向き合ってくれた小説だと思います。 父がガンで亡くなった直後に読んだ(観た)ので なお一層、その優しさが心にしみました。 主人公の医師の名「一止」の意味が素晴らしいです。 知りたい方は、ぜひご一読を。

    7
    投稿日: 2013.11.09