ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険
コーリー・スタンパー(著)
,鴻巣友季子(著)
,竹内要江(著)
,木下眞穂(著)
,ラッシャー貴子(著)
,手嶋由美子(著)
,井口富美子(著)
/左右社*
作品情報
アメリカの伝統ある辞書出版社メリアム・ウェブスター社の編纂者が、「英語とは何か」にさまざまな角度から光を当てる14章。“it's”は文法的に「正しい」のか?“nude”は「白人の肌の色」?“marriage”は同性婚を含むのか?“bitch”は女性蔑視か?“OMG”は英語の退化?・・・・・・など、辞書編纂を通じて見えてくる英語の謎を、英語にまつわるトリビアや逸話も織り交ぜながら、専門的かつ軽やかな筆致で描き出す。言葉の常識をひっくり返し、言葉と社会の繋がりを再発見する、普遍的なヒントがちりばめられた一冊。
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この作品のレビュー
平均 4.6 (11件のレビュー)
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〈ことば〉に並々ならぬ興味を持ち、世界で一番有名な辞書『ウェブスターアメリカ英語辞典』を出版するメリアム・ウェブスター社で辞書編纂者を務めていた著者が、英語とことばにかける情熱をユーモアたっぷりに語り…尽くす辞典エッセイ。
面白かった〜!文章を読むかぎりではコーリーはとても冗談好きで陽気だが、辞書編纂者は無言のオフィスで粛々と仕事をし、社内パーティでは中心で談話する営業部などから離れて隅っこにいる、という生態にまず共感(笑)。しかし文章でなら饒舌で、その語り口にぐいぐい引き込まれる。
本書で取り上げられている英語にまつわるトリビアや仕事の愚痴(「この言葉を初めて使ったのは自分だ」と言い張る一般人のクレーム対応など)の面白さを挙げていけばキリがない。たとえば「言葉を差別しない」と言いながら、コーリー自身"irregardless"は一単語中に二重否定が起こっているなんて正気じゃないと思っていると、本書のなかで何度も語る(笑)。それでもこの単語の語釈担当になったコーリーがだした結論は、個人の好悪ではなく辞書編纂者としての使命に忠実にことばと向き合うことだった。
本書全体を覆うテーマに、辞書を取り巻く思想「規範主義」と「記述主義」の対立がある。「規範主義」は、辞書は〈正しい〉ことば、〈正しい〉文法を記載し規範を示すべきであるという考え方。「記述主義」は、辞書がことばをジャッジするのではなく、〈使われている〉ことばをできるだけ多く収録するという現代辞書の中心的な理念である。近代〜20世紀中盤までの辞書出版業界は各々の〈正しさ〉を喧伝することで自社の商品を買わせようとしていたため、率先して「規範主義」を広めていた面もある。そのせいか、今も辞書には〈正しい〉ことばのみを載せるべきだとする権威主義的なクレームが絶えないという。その一例が、同性愛に関する用法を載せたことで白人の保守派団体から集団攻撃を受けた日々のレポートである本書の最終章「Marriage」だ。この章は辞書というものの面白さとアメリカの今がよくわかる、本書の特徴がギュッと詰まった章になっている。
〈正しい〉ことばはマイノリティを排除しようとする。「Nude」の章では肌色の違う人びとを、「Bitch」の章では女性を。コーリーが勤めていたある時期までウェブスター辞書の「bitch」の項には「侮辱語」を示すラベルがつけられておらず、それを見つけたコーリーは同僚の女性と一緒にとても驚いたという。調べてみると、過去にそのラベルをつけるべきだと進言した二人の辞書編纂者はどちらも女性で、却下したのは2回とも男性だった。このことを本書に記したコーリー自身も往来で、あるいは母に向かって投げつけられた〈暴力〉として、bitchということばの記憶はある。「われわれは手を使って言葉を書き、口を使って言葉を話し、言葉がつけた傷跡を体に持つ」という内省と、固く握り締められた少女の拳のイメージで終わるこの章の最終段落が私はいちばん心に残った。続きを読む投稿日:2021.04.23
このレビューはネタバレを含みます
数年前に読んで面白かった記憶があったため再読。
レビューの続きを読む
著者は知識量がすごくてユーモアもたっぷりで面白い。辞書編纂楽しそうだなと思う一方で大変さもよく分かる。しかし辞書にクレームをつける人が沢山いて多くの人が…辞書のアラを見つけるために必死にページをめくっている姿を想像すると愉快だ続きを読む投稿日:2023.04.05
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