Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦
西川徹(著者)
,岡野原大輔(著者)
/KADOKAWA
作品情報
プリファードネットワークス、通称PFN。2019年、日本ベンチャー大賞受賞。日本屈指のユニコーン企業。2014年の創業(2006年にPFI創業、2014年にPFN設立)以来、錚々たるリーディングカンパニーの数々と共同研究を重ね、自動運転、パーソナルロボット、がん診断にはじまるバイオヘルスケア等々の課題解決に挑む、天才技術者集団――。新聞や雑誌で語られるPFN像といえば、こんなところだろう。しかし、実際のところPFNは何をしているのか。若き創業者たち(本書の著者、西川徹社長と岡野原大輔副社長)は何を考え、どんな未来を描いているのか。本書では2人の創業者が、ベールに包まれていたPFNの仕事、そこで働く人々の描く未来、深層学習の可能性までつまびらかにする。・天才集団とすら呼ばれているのに、なぜ「Learn or Die 死ぬ気で学べ」なのか彼らは答える。PFNが挑戦しているのは変化の大きな分野であり、その中で最先端であり続けるためには、学ぶことが唯一の方法だ。未来を切り拓くために、私たちは、学び続けなければならない。・パーソナルロボットの夢はこれまでに何度も語られてきたが実現していない。本気で作ろうとしているのか。彼らは答える。もちろん可能性があるからやっている。私たちは、できるとわかっていること、誰でも実現できることはやらない。・日本を代表するスタートアップ企業と聞けば、カラフルで華やかなオフィスが想像されるが、飾り気がない。なぜか。彼らは答える。PFNには、洒落たオフィスにお金をかけるなら、性能のいいコンピュータが1台欲しいと思う人しかいない。――9割にも及ぶ失敗を推奨し、成功率10%以下の仕事に挑み続けるPFNの思考とは?
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この作品のレビュー
平均 3.9 (39件のレビュー)
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刺激的な題名だなと思って手に取った為、恥ずかしながらPFNのことは全然知りませんでした。本の内容はPFNがどのような会社で何を目指しているのかでした。凄い企業が日本にあるのだと知れて良かった。大人にな…ったら学ばなくて良いと、学生の頃思っていましたが、社会人になっても仕事する為にはある程度学ばなくちゃいけない。ただ、その学ぶレベルや量がPFNの人達は全然違う。彼等程にはなれなくても、頑張らねばと身が引き締まる思いでした。パーソナルロボット産業はまだ覇者がいないと思うので、イーロン・マスク等に負けず、頑張って頂きたい!続きを読む
投稿日:2021.11.30
825
これめちゃくちゃ面白かった。日本で一番注目を集めているAIベンチャー企業の歴史と経営思想と今後の展望が書いてある本。Learn or Die(死ぬ気で学べ)っていうのは企業理念の中で西川さん…が一番気に入ってる理念の1つなんだけど、凄い良い言葉だなと思った。こういう志があるから、日本一のベンチャーなんだろうなと思った。学び続けなきゃいけないのはどんな分野でも言えることだと思う。良い本だった。
●西川 徹:1982年11月19日、東京都生まれ。2005年、IPA未踏ソフトウェア創造事業にて1テーマ採択。2006年、第30回ACM/ICPC世界大会19位。同年、Preferred Infrastructureを創業。2007年、東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。2013年、情報処理学会ソフトウェアジャパンアワード受賞。2014年3月、Preferred Networksを設立、代表取締役社長に就任、現職。声優で歌手の水樹奈々さんの大ファン。
●岡野原 大輔:1982年4月13日、福島県生まれ。2005年、未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。2006年、Preferred Infrastructureを創業。2006/2007年、NLP若手の会シンポジウム(YANS)最優秀発表賞。2007年、東京大学総長賞。2009/2010年、言語処理学会優秀発表賞。2010年、東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。2014年3月、Preferred Networksを設立、2018年5月、代表取締役副社長に就任、現職。趣味は読書(歴史小説や技術論文)。
2019年、日本ベンチャー大賞受賞。日本屈指のユニコーン企業。2014年の創業(2006年にPFI創業、2014年にPFN設立)以来、錚々たるリーディングカンパニーの数々と共同研究を重ね、自動運転、パーソナルロボット、がん診断にはじまるバイオヘルスケア等々の課題解決に挑む、天才技術者集団――。
まず我々の会社の概要を説明しよう。PFNでは以下の四つを「バリュー」として掲げている。 1)Motivation-Driven(熱意を元に) 2)Learn or Die(死ぬ気で学べ) 3)Proud, but Humble(誇りを持って、しかし謙虚に) 4)Boldly do what no one has done before(誰もしたことがないことを大胆に)
2番目の「Learn or Die(死ぬ気で学べ)」については、私はよく「エンジニアはマグロのようなものだ」というたとえ話をしている。マグロは泳ぐのをやめてしまうと酸素を取り込めなくなり、やがて死んでしまうと言われている。だからマグロは海の中で常に泳ぎ続けている。マグロと同じように、エンジニアも新技術を常に取り入れ続けなければ死んでしまう。だからエンジニアはマグロのようなものなのだ。常に学び続けなければならいい。
筑駒はとても自由な校風なので、授業中も自分のパソコンを持ち込み、あまり興味のない授業のときはパソコンでノートを取っているふりをしながらプログラムを書いていた。だから総合成績は後ろから数えたほうが早いくらいの順位だった。その一方で、パ研でCGを扱うために中学2、3年生の頃から線形代数を勉強したり、興味ある分野は自ら深く勉強した。
念願かなって東大の理科一類に合格すると、同じクラスに、後に共同創業者となる岡野原大輔がいた。岡野原とは最初から気が合って、合宿やクラスのイベントでいつも一緒にいた。
岡野原はコンピュータや数学が本当に得意だった。一緒に仕事をする中で、私はいつも「すごいなぁ」と思いながら見ていた。
私はバグを見つけるのが得意だった。 コツがあるのだ。最初はあらゆる可能性を頭の中で考える。1回広げてみるのだ。バグは思いもよらないところに潜んでいる。見つけるためには想像を膨らませる必要がある。 後に、バグを見つける経験は会社でも役に立った。
岡野原は、あんなに賢い人はいないと思っている。何でも知っているし、何でも理解する。それを誰にでもわかるように説明できる能力を持っている。論文を読んでチンプンカンプンなことであっても、彼と3分間くらい話していると「なるほど」と理解できるようになる。本質的なところを抜き出してわかりやすく伝えるのが、ものすごくうまい。 技術だけではない。経営においても本質を見抜く力が優れている。どんな技術にも共通部分がある。コンピュータサイエンスにおいても、コアの部分を理解しておくと同じ考え方が様々な部分に適用できて、すんなり理解できる。そういった「勘所」をつかむ力があるのだ。だから岡野原は、どんな分野でもすぐにキャッチアップした。
社内のコミュニケーションツールは主にチャットツールの「Slack」を使っている。基本は完全にオープンで、プロジェクトに無関係な人でも、自分が興味のあるテーマや協力できそうなテーマだと思ったらすぐに会話に加わることができる。
ずっと学び続け、成長できる人かどうかを見極めるのは難しい。だが一つの重要なシグナルは「楽しんでいるかどうか」だと思う。面接でも自分のやりたい分野について熱く語れるかどうかは重視する。こちらからも専門分野についてはかなり踏み込んだ質問をする。そこで、その人なりの独自性が出てくるのかどうかを見る。
要は「知識を吸収したい」と考えているかどうかだ。そういうわかりにくいところは経営陣面接で判断する。ただ最近は、メンバーの面接スキルが上がってきているので、最終面接でお断りすることは以前より少ない。それだけ優秀な人が集まってきてくれているということだと思う。
私が想定していた以上にコミュニケーションを取ることに積極的な人が多い。一般的な人たちよりは技術の話をしていることも多いし、不特定多数の人がいる飲み会に行って「ウェーイ」とするようなノリではない。
基本的には、誰もやったことのないことに挑戦する人、勉強し続ける人、あとは、謙虚である人を評価している。できるかわからないこと、失敗するくらい難しいことに挑戦してほしいと考えているので、失敗で評価を下げることはしない。モチベーションも大事にしてもらいたい。行動規範として掲げるPFN Valuesに基づいて、評価項目を設定している。 大まかに言うと、相手のことを尊重できて、自分自身にちゃんと取り込めているのかといった「成長の軸」は非常に重要視している。人を助けることによって得られることもたくさんある。そういった協調性も重要だ。
私は技術書をたくさん読むが、経営書はたまに見るくらいだ。もちろん勉強になるところもあるが、3分の1くらい読んで「だいたいこんな感じかな」と思ったところで閉じるケースが多い。創業当初は実は経営書も読んでいた。だが、本を読むと影響を受けてしまう自分もいることに気づいてからは、本気では読まなくなった。
これまで会った人の中で印象的だった人の1人は、NVIDIAのCEOジェン・スン・ファン(Jen-Hsun Huang) 氏だ。すごくワンマンだが製品や技術を愛しているところに共感する。お互いにライバルでもある。
何にしても、人間はこうした変化に適応するために、生涯にわたって学習し続けなければならない。子供の頃に学習していたことがずっと役に立つという保証は以前からなかったが、最近はさらにそれが加速している。どちらかというと、大人になって必要に迫られた際、学習できる環境があるかどうかのほうが重要だと思う。だからもしかすると、現在のように「若いうちの 20 年間に集中的に学習する」という仕組みは、システムとしてなくなるかもしれい。
未来のデータセンター、スパコンは、今日のスパコンとは全く違ったかたちになるだろう。そういったものを作っていきたい。量子コンピュータは、おそらくその中の一部だ。
技術が本当に世の中に浸透すると、誰もその存在を意識しなくなる。今、インターネットやコンピュータに対して「うわあ、インターネットだ!」と、はしゃぐ人はもういない。技術そのものを知らなくても、誰もが当然のように生活や仕事などあらゆる場面で使っている。 AIやロボットも本当に社会に普及すれば、「自然にそこにあるもの」になる。そしてAIやロボットが存在しない世界が考えられないくらい不可逆的な変化が社会に起きる。 我々は、そんな変化の中心の一つになりたい。 我々が作る製品や技術が、世界が変わったときの中核の一つとなり、誰もがその恩恵を受けている──そんな世界を実現したい。 10 年でできるかどうかはわからない。だが、行けたらいいなと思っていた。
コンピュータについては小学生くらいの子供が一番面白く感じられるのではないかと思っている。コンピュータは大人になると仕事の道具になってしまう。だが、論理回路の面白さこそがコンピュータの面白さの本質だ。NAND素子を並べるとANDになって、2個のNAND回路を並べると1ビットの情報を保持できるフリップフロップの回路ができ、さらにそれらを組み合わせるとコンピュータが計算できるようになる。 そして、計算が世の中の仕組みを変えることすらできるのだ。この面白さを新鮮な気持ちで受け取ることができるのは小学生だ。だから私も、特に自分の子供には「将来はコンピュータを作るようになるんだよ。一緒に作ろうね」と言っている。 中学生くらいが相手だと「僕らはプログラミングの方法を変えたいんだ」と言っている。 今、プログラミングのやり方は大きく変わりつつある。ルールを書くのがプログラミングだ。これまでは人間が手でルールを書いていた。だが、これからはコンピュータが自分でルールを学習するようになる。これからの5年、 10 年くらいで人間はコードを書かなくなるだろう。本編でも書いたとおり、私たちは、人間がコードを書かなくてもプログラムを組めるようなシステムを作っているということになる。
私は巷で言われていることを疑うのが好きだ。 PFNでは経験を極端に重視する人は採用しない。自分の経験からしかものが見られない人のことは「経験厨」と呼んでいる。今は以前とは条件が変わってきているのだ。コンピューティングパワーも社会も変わってきている。一般大衆のあり方も変わってきている。 前提となる条件が全然違うのだ。「できるかできないか」を問うのではなく、「どこかに実現できる穴があるんじゃないか」と考えるべきだ。そこにチャンスがあるからだ。 逆に言えば、我々のようなスタートアップが勝つ道はそれしかない。 順当にできることはGoogle、Facebook、Amazonのような大手がやる。だから「穴」を突かないといけない。「当たり前だ」と思っているようなところに私たちが勝てる解はない。だから皆が今までの経験上「できるわけがない」と思っているところにこそ解を探していくしかないのだ。誰もやっていないことに取り組んでいるから「何をやっているのか、よくわからない」と言われるのかもしれない。 相手が大学生くらいだと、もう仕事を意識している人ということになるので、もうちょっと違う説明をする。私たちが今やっている領域は、現実世界に影響を与え得る領域だ。だから「現実世界の問題を解くためにコンピュータを活用しているのだ」と話す。 現実の問題を解くためには現実世界を深く知ることが必要だ。だが、現実を知ることは予想以上に大変だ。たとえば、製造業の現場に入り込むのはものすごく大変で、私たちは今、ようやく入口に立ったところだ。製造現場では、現在も多くの泥臭い作業を人間がやらなければならない。そういった作業のほとんどは、難しすぎてコンピュータには解けないと考えられている。私たちはそういう難しい問題を解きたい。続きを読む投稿日:2023.09.02
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