信長の経済戦略 国盗りも天下統一もカネ次第
大村大次郎(著)
/秀和システム
作品情報
織田信長は戦国大名の中で唯一、天下をほぼ手中にした存在です。それと同時に「楽市楽座の開設」「比叡山など寺社に対する攻撃」など非常に変わった施策をしています。本書は、元国税調査官の著者が信長の生涯をこれまでとは違った「お金」「経済」という視点から読み解く、まったく新しい歴史読み物です。官職を蹴って金融改革に乗り出し、大減税で脅威の2500%経済成長を達成した経済の覇王・信長があなたの歴史観を変えます!
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この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
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信長 さすがですね。
現実を 疑い 改革を 実行する。
武田信玄 上杉謙信 毛利元就 などと 比べて
なぜ 信長が 出来たのか。
とても 興味深く 読めました。
キリンがくる も 楽しみた…いです。続きを読む投稿日:2020.02.28
このレビューはネタバレを含みます
初めから終わりまで一気に読める面白さだった。
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信長の主要な政策である、楽市楽座、升の統一、関所廃止、石高制採用などを、今までの初歩的な理由だけでなく経済学的視点から見て他の理由もあることが理解でき…た。
また、全ての説の根拠において、推測だけではなくその後の時代の公文書などを参考にしていて、説得力、信頼性もあるなと感じた。
信長はただ単に武力で推し進めた人だという認識があったが、商家生まれということで経済的視点を持って政策を実施していたり、意外と農民のことを考える頭脳派の側面も兼ね備えていることが理解できた。
面白かったので、他の大村大次郎さんの書籍も読んでみたいと思った。また、日本史から現代経済、外交に応用できる部分は多いと再認識したので、日本史を趣味程度に再開していきたいなと思える本でした。
以下、本ポイントまとめ
兵農分離といえば秀吉だが、信長も行っている
兵農分離はただ単に農民からの抵抗を防ぐためだけでなく、農民には農民として食料を確保してもらうように集中させるためだけでなく、「お金を払って兵になってもらう」ための準備
→兵を「農地から離してもよい」ようにする政策
信長は、津島だけでなく、副将軍を断って手に入れた堺、大津、草津などの主要港を手に入れ、所領は少ないものの、兵農分離で手に入れた兵を養えるだけの経済力を十分に持っていた
毛利元就は、石見銀山を所有するなど信長と匹敵する経済力を持っていたが、その経済力を生かす立地もなく、その上、頼みの綱の石見銀山を幕府に献上する形を取るなど、室町幕府内での栄達を望んだために信長に負けた
↓
また、武田信玄は、織田によって畿内からの陸路の物資を止められていたので鉄砲など強力武器を入手しにくかった上に、幕府の栄達を望み、天下を取るよりは領地を拡大することに神経を注いでいた
↓
また、謙信は、柏崎と直江津という港を持っていて、金山を所有するなど信長顔負けの経済力、そして信玄と対抗できるほどの武力を兼ね備えていたが、関東管領の役職を遠国に関わらず欲したところから見て、旧来幕府内での栄達を望み、天下を取る気はなかった
キリシタン大名になってまで大名がキリスト教を領地に普及することを認めたのは、南蛮貿易をするためには「キリスト教を布教できるようにすること」が条件であったから
兵農分離が進んでいれば、兵が農地にしがみ付く必要性がなくなるので、城を京都に近づけていくにつれて兵も一緒に移動させることが可能になり、常備軍を常に近くに置くことも可能になり、簡単に攻め落とされることがなくなった
戦国時代といえば「下克上」が語られることが多いが、有名大名のほとんどは出身がそれなりの家柄で、「下克上」と言えるのは豊臣秀吉と斎藤道三くらいである
桶狭間の前にも一回、信長は義元に勝利している。
ちなみに、桶狭間で信長が義元を打ち破れたのは、秀吉の「中国大返し」よりも長い距離を急いで織田軍がかけてきたため、絶対安全地帯にいた義元がそれに気づく暇もなかったから
信長が天下品を欲しがったこともあるだろうが、1番の理由は、自分が天下品を買い求めることで、自身の所有する金銀で会計を行い、それらを市場に流通させるため
比叡山は当時の8代財閥のうちでも最大の財閥で、しかも自社だから「バチが当たる」という理由で取り立てる悪徳業者だった。
また、自社は独占販売などを行い、それが信長の奨励する楽市楽座原則に反してもいるため、焼討ちを行った
今から攻める困難な場所に主要な家臣を国替えさせた
秀吉が家康に負けた根本の理由は、秀吉が家康に東海から関東に国替えを命じた際、自身の所領220万石より多い250万石を与えてしまい、結果として自身所有の軍よりも多い軍を与える結果となってしまったこと。
続きを読む投稿日:2019.10.23
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