吾峠呼世晴短編集
吾峠呼世晴(著者)
/週刊少年ジャンプ
作品情報
週刊少年ジャンプの俊英・吾峠呼世晴の軌跡―― アニメ化も果たした連載デビュー作『鬼滅の刃』の前身となる『過狩り狩り』、本書のカバーを飾る異色作『文殊史郎兄弟』、掲載当時も話題を呼んだ『肋骨さん』『蠅庭のジグザグ』の読み切り四作品を収録。鬼才・吾峠呼世晴の神髄、ここにあり!!
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商品情報
- シリーズ
- 吾峠呼世晴短編集
- 著者
- 吾峠呼世晴
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 週刊少年ジャンプ
- 書籍発売日
- 2019.10.04
- Reader Store発売日
- 2019.10.04
- ファイルサイズ
- 42.2MB
- ページ数
- 207ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (24件のレビュー)
-
後にあれほどのヒットになるとは思わなかった頃の吾峠呼世晴さんの新人漫画賞佳作にして「鬼滅の刃」の前駆系「過狩り狩り」を筆頭に、舞台を現代に移してその後の「鬼滅」世界観を彷彿させながら漫画誌連載とはどう…いうものなのかを学んでいた頃(2014-5年)の、短編4編。「鬼滅の刃」連載は2016年からである。
他の漫画家にはない特徴が、受賞作には幾つか出ていた。
それは彼女の個性でもあり、強みでもあり、弱みである気がした。簡単に書く。
(1)最初の場面は、神社の軒下に住んでいる汚らしい孤児に、おにぎりを差し出す老人の姿。次のページには、吸血鬼の残酷場面が現れる。作者の関心が明治大正期に限っていないのは、その次の短編3遍が全て現代劇であることからも明らか。しかし、格差社会とホラー興味は、他の短編にも現れていて、これが彼女の「色」になっているし、言い換えれば「現代若者の関心ごと」ともリンクされている。
(2)彼女の強みは、根っからの長編作家というところだろう。短編集の後書き(鬼滅の連載がヒットし始めた頃)において「まだ担当さんについていただく前で、第三者からのアドバイス等なく描いているので、何度か読み返さなければ意味がわからなかったりするのが大変申し訳ないです」と書いている。よって編集者のアドバイスとは、「いかにわかりやすくするか」に力点が置かれたのは明らか。それがのちに「親切すぎる心情説明のセリフ」になるのだろう。反対に言えば、藤本タツキのように、アドバイスを無視してまで物語を作ろうという意思を彼女は持たなかったという事にもなるのかもしれない。(←いかん、弱みの記述に走ってしまった)それは兎も角、彼女は短編の時点で、4編とも全部長編シリーズにしてもいいぐらいの構成とキャラ設定をちゃんと作っている。この投稿作にしても、既に「鬼滅」の世界観のほぼ半分ぐらいは予想できるし、他の短編の幾つかの後書きにおいても長編を予定していたと書いている。反対に言えば、彼女はあらかじめ世界観をある程度確立させないと、物語を始められないという根っからの長編作家なのである。
(3)冒頭の孤児は、物語の中盤においてやっと登場して「過狩り狩り」(吸血鬼として狩り過ぎれば狩られる)の剣士として登場する。その登場の仕方は正に歌舞伎のような様式美になっていて、反対に言えば、アクション部分がほとんど描かれていない。最後のセリフ含めて、「カッコよさ」が強調される。それは、彼女の性格含めて、強みでもあり、弱みでもあるだろう。
やっと実質デビュー作の「過狩り狩り」を読めた。この作品と、柳田国男「山の人生」との比較については、これから「山のー」を読んでから考察してみたい。続きを読む投稿日:2023.05.14
吾峠先生(ワニ先生)って女性漫画家として異色なんだよね。
この短編集には昆虫とかちょっとグロ的な描写があって、女性漫画家にしては珍しいと思う。
鬼滅もそうだけど、意外な視点から始まるから度肝を抜かれる…。
JMUPトレジャー新人賞の佳作を受賞した「過狩り狩り」が編集部に届いた時、「只者ではないのが来た」と編集者に言わせただけの人です。続きを読む投稿日:2024.02.16
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