本業転換‐‐既存事業に縛られた会社に未来はあるか
山田英夫(著者)
,手嶋友希(著者)
/KADOKAWA
作品情報
あらゆる業種・業界に、“本業喪失”の可能性がある時代。企業は、どのような経営戦略を考える必要があるのだろうか。 * * *欧米であれば、IBMのように大胆な事業売却やM&Aで事業構造を変えた例は少なくない。しかし日本では、そうした事業の組み換えは容易ではない。そんな日本にも「本業を変えることで、生き残った企業」がある。たとえば、写真フィルムが事実上消滅した富士フイルムは、「いつ」「何」をどう決断したのか。紡績を担っていた日清紡が、なぜブレーキやエレクトロニクスの会社に転身できたのか。本書では、難しいとされる本業転換を行ってきた企業と、同じ業種に位置しながら、転換がうまくできずに倒産・解体されてしまった企業の戦略の違いを探ることによって、本業転換を成功させるポイントを探っていく。本文で取り上げる主な企業は、1 富士フイルムホールディングス vs. イーストマン・コダック2 ブラザー工業 vs. シルバー精工3 日清紡ホールディングス vs. カネボウ4 JVCケンウッド vs. 山水電気の4ペア。実際の企業事例をベースに、「本業」というキーワードを通して、これからの企業のあり方・あるべき姿をも問い直す一冊。
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この作品のレビュー
平均 3.6 (12件のレビュー)
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両利きの経営にも通ずるテーマのタイトルだったので、読んでみました。
企業はどうやってうまく本業を転換できるのか?あるいは、どうやったらうまくいかないのか?
中々興味深いテーマに著者はチャレンジされて…います。
と、思っていたら、著者のビジネススクールの社会人学生の研究(卒論?)をまとめたようなもののようです。
研究(卒論?)といっても、著者のチェックが入っていますので、
とても読みやすく学びになります。
本自体は事例も豊富で分かりやすいのですが、
自分の感想としては「やはり両利きの経営」を実行・実践していくのは、
並大抵のことではないな…ということです。
まず、(本業転換が)うまくいった企業とそうでない企業の違いを分析しているのですが、
確かにうまくいった企業は早め早めに次の事業のタネを育てているのですが、
タネがしっかり実になるかどうかは、
成功確率を上げるためのコツのようなものはあるものの、
やはり最後は結果論というか運も関係していくようによめました。
この辺りが経営の難しく、面白いところですよね。
この辺は自分にはもう少し深堀り・探求が必要と認識しました。
まずは、「両利きの経営」を読まないと。。続きを読む投稿日:2020.10.09
長靴メーカーだったノキアが携帯電話メーカーになり、今では通信インフラの企業。化粧品のDHCの前身が、大学翻訳センターと言う翻訳会社だったり、豪華な付録で有名な女性誌の宝島社の前身が、地方公共団体向けコ…ンサルティング会社であったり、有名なスポーツ選手を広告に使った寝具のエアウィーヴがプラスチック射出成型機メーカーだったことを知る人は少ない。会社は、変化しながら生き延びている。
上場企業は株主からの期待に応えるためにも、売上が横ばいではなく持続的成長を果たさなくてはならない。しかし事業にライフサイクルがあり、いつか成熟期から衰退期を迎える。そのため企業が永続していくためには事業構造を変えていく必要がある。
本著は、その成否を分けた企業のケーススタディをしていく。極めて典型的な事例だから、多くの中間的な企業には当て嵌めにくいかも知れない。しかし、知っておく事に意義がある。
存続する企業の共通点。本業の需要が安定している時期に多角化を始めたという事。キャッシュが潤沢な時期に次の一手を打っていた。もう一つの共通点は、新たな収益源を確保する過程で、どの事業を選択したかという事。所謂シナジーだ。最近ではライザップが本業のフィットネス等は市場も技術も関連の無い業績が悪化した異業種の企業のM&Aを続けてきたが、このやり方は早々に破綻。分かる気がするが言うは易し、か。続きを読む投稿日:2023.04.07
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