芸術立国論
平田オリザ(著)
/集英社新書
作品情報
日本再生のカギは芸術文化立国をめざすところにある! 著者は人気劇作家・演出家として日本各地をまわり、また芸術文化行政について活発に発言する論客として知られる。精神の健康、経済再生、教育等の面から、日本人に今、いかに芸術が必要か、文化予算はどう使われるべきかを、体験とデータをもとに緻密に論証する。真に実効性のある芸術文化政策を提言する画期的なヴィジョンの書。これは芸術の観点から考えた構造改革だ! 第7回AICT(国際演劇評論家協会)演劇評論賞受賞作。【目次】まえがき/序章 芸術の公共性とは何か/第一章 地域における芸術文化行政/第二章 経済的側面から見た芸術文化行政/第三章 教育と芸術文化行政/第四章 文化権の確立/第五章 文化行政の未来/終章 芸術の未来/あとがき
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商品情報
- シリーズ
- 芸術立国論
- 著者
- 平田オリザ
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2001.10.22
- Reader Store発売日
- 2016.09.16
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (17件のレビュー)
-
2017/11/24平田オリザ「芸術立国論」☆☆☆「成熟」時代認識を踏まえた日本革新=真の成長戦略
「管理」(155)
人間の中に巣くう他者を管理しようとする気持ち、が問題
この心根が、規制を生み、規…制緩和を妨げる
構造改革は、この精神の構造改革から
→管理の仕事はリスク無く権力的 望む人が増えると国は滅びの途
しかも「責任者の空洞化」が起こる 開戦の責任者がいない
「芸術」(156)
芸術は常に既成の概念を打ち破り、自由へ向かう強い意志を内包
権力は「芸術」を怖れ、忌避する
「成熟の時代」 成長主義から卒業
芸術文化は余暇ではなく、生活の中心になる
労働さえもが、文化化されていく
「国家が細かい仕事」(167) 国家と地方のあり方 道州制
助成金制度 大きな国家が、劇団の公演一つ一つを査定・支援する
中央官庁が直接管理はできない 権限を委譲すべき
地方創生も同じ 個所付けの利益供与から脱却すべきだが
「劇場運営のプロ」(169) 人材育成システムの改革
公務員が、ローテーションで劇場担当となり、2年後転勤していく
消防署から来て、保健所へ転勤 ここに意味があるのか
日本は「仕事」を中心としたキャリア制度がない
ジェネラリスト偏重は国家公務員からきている 企業組合制度も
資格と実績でキャリアアップしていく制度・運用を
2017/11/25芸術立国論 平田オリザ
1.地域における芸術文化行政
成長の時代 地方の画一化 価値観も画一 重層性を失い安定を欠く
社会の成熟(43) 芸術文化の必要な時代へ 多様な社会を作る
無駄のない社会は病んだ社会
芸術家のいない社会は病んだ社会
多様性・重層性のある社会が民主主義社会の根幹
少数民族・身体障害者など弱者の意見を強く反映
芸術は未来を形にして私たちに提示する(53)
成果も未来に現れる
日本の行政システムは対応できない
公共事業依存(55)精神的な鎖国
県民一人あたり公共事業費(1)予算を増やす(2)人口を減らす
内向きであり 他者の足を引っ張る 北海道の気風でもある
住むことに誇りを持てる社会を(56)
工場見学から、地域の芸術文化の見学へ
演劇 小さな営みが、その小ささ故に価値を持つ
2.経済的側面から見た芸術文化行政
もはや「モノ」は人を幸せにしない
「サービス」が産業の中心に 感性・発想力国力を左右
これからは「何を売るか」→「いかに売るか」
CF 文化はフランスの基幹産業 ⇒国家イメージ 「ブランド戦略」
競争相手の間違い(76)製造拠点を取り戻すのは時代錯誤(植民地主義)
新しい産業を創出し、重層性のある社会への転換を図る
経団連の重厚長大産業を卒業
独創的な発想の人材を重視 工業国では与えられた命令に従順
3.教育と芸術文化行政
4.文化権の確立 芸術は医療・教育と同じ
芸術の予算確保 ex芸術保険制度 医療保険と同じ
5.文化行政の未来
成熟国日本は文化立国を目指す
文化省の中に、教育・学術・スポーツ・芸術文化
ex桜美林大学の変革
問題は、人間の中に巣くう「他者を管理しようとする気持ち」!
まずはこの精神構造の改革から
芸術は変革のリーダー
労働さえもこれからは文化化されていく
社会との関わり(164)助成金制度 地域に多様性をもたらす
貧乏だから金をくれ、というだけはダメ 北海道も同じ
助成金制度の問題
国家が個々の公演一つ一つ直接支援を行う
プロ人材 地方公務員のローテーションではプロはできない
劇場の管轄は消防署と保健所続きを読む投稿日:2018.11.10
人はもはや、そこに住んでいるからというだけで共同体の成員になるわけではない。その共同体が提示する価値観に共感できるものがなければ、しなやかな帰属意識は生まれない。さらに、その価値観も一様ではなく、多種…多様でなければならない。ここに芸術文化行政の難しさがあり、また可能性がある。
2001年初版の本ですが現代を鑑みても同意。帰属意識を生むことは難しく、まだ文化も芸術も行政もそれをなし得るとっかかりも作れていないように思えます。続きを読む投稿日:2016.11.30
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