ふかいことをおもしろく
井上ひさし(著)
/100年インタビュー
作品情報
各界一流のプロの半生をインタビューで解き明かす人物ドキュメント、NHKBSで放送中の番組「100年インタビュー」の単行本化第2弾。今回は、日本を代表する作家・劇作家で、昨年(2010年)4月9日に肺がんのため亡くなった井上ひさしさんのインタビューをもとにまとめた。5歳で父と死別、児童養護施設に預けられ、施設から高校に通学。上智大学に進学したが、東北なまりの悩みから吃音になり、釜石で働いていた母の元へ。製鉄所や漁業で沸く釜石は、母がいて、劇場もあって居心地がよかったと懐かしむ。たくましく働く母のつてで、図書館でアルバイトしたことがきっかけで文学のよさに気づき、作家を志して再び上京。浅草の劇場のコントを書いたり、ドラマの脚本の懸賞で稼いで大学の寮費をまかなった。その後、小説・戯曲で活躍し、1984年に劇団「こまつ座」を旗揚げする。創作の原点と若い世代に伝えたいことを、ユーモアいっぱいに語る。
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商品情報
- シリーズ
- ふかいことをおもしろく
- 著者
- 井上ひさし
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- 100年インタビュー
- 書籍発売日
- 2011.04.14
- Reader Store発売日
- 2016.01.15
- ファイルサイズ
- 5.4MB
- ページ数
- 119ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (15件のレビュー)
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言葉や文学を信じる力強さ
テレビのインタビュー番組をまとめた本で、非常に読みやすくわかりやすい内容になっている。
面白かったのは学生時代の話。
何でも井上は大江健三郎、筒井康隆と同年なのだとか。
大学のとき「大江健三郎シ…ョック」を受けたという井上、小説は彼に任せようと感じたと打ち明けている。
また筒井康隆のSFを読み、SFは筒井にと思ったのだとか。
3人とも、それぞれのジャンルで大きな存在。同年で同じような存在感を持つ3人がいるというのはすごいことだ。
井上は父親が農地解放運動などに携わったことから、戦中派「アカ」=共産主義者として、一種のいじめにもあっていたようだ。
弱者への共感や、国家、特に戦争を遂行しようとする国家の意思、あるいはそうした勢力への疑義が常に井上の底にあった背景に、こうした生い立ちがあったのだ。
あとこんなエピソードも面白い。
いったん休んでいた大学に戻ったとき、本や映画に使うお金を稼ごうと「浅草フランス座」の文芸員のバイトを始めた井上青年。
同じ時に採用されたのは作家林真理子の叔父さんだったとか。ちょうどそのとき、結核の療養から戻ってきたのが渥美清だったという。
こんな部分に感銘を受けた。以下に引用する。
理屈でわかっているようなものを書くと、全然面白くありません。いいものを書くためには、練って練って、これじゃ駄目、あれも駄目、これも駄目と、何度も何度もやってはじめて出てくるものを信じています。僕はその感じを「悪魔が来る」という言い方をしています。(p79)
初日の幕が開いて、お客さんが拍手をして「いい芝居でした」「感動しました」「笑いました」といってくれるのが何よりの報酬なのです。(p81)
「笑い」については、こうも書いている。
人は、放っておかれると、悲しんだり、寂しがったり、苦しんだりします。そこで腹を抱えて笑うなんていうのはない。それは、外から与えられるものがあってはじめて笑いが生まれるからです。しかもそれは、送る側、受け取る側で共有しないと機能しないのです。
笑いは共同作業です。落語やお笑いが変わらず人気があるのも、結局、人が外側で笑いを作って、みんなで分け合っているからなのです。その間だけは、つらさとか悲しみというのは消えてしまいます。(p91)
本についても、本好きには心強い発言がある。
本とは、人類がたどり着いた最高の装置のひとつだと思います。それを簡単に手放すのはどうかと思うのです。やっぱりそれを大事にしたいという思いと、じつはどこかでまだパソコンを信用していない自分がいます。やっと集めたものが、ある朝一気にどこかにいなくなっちゃうような気がしているのです。(p113)
やっぱり、すごい人です。実に説得力のある発言です。
続きを読む投稿日:2016.05.28
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各界一流のプロの半生をインタビューで解き明かす人物ドキュメント、NHKBSで放送中の番組「100年インタビュー」の単行本化第2弾。今回は、日本を代表する作家・劇作家で、昨年(2010年)4月9日に肺が…んのため亡くなった井上ひさしさんのインタビューをもとにまとめた。
5歳で父と死別、児童養護施設に預けられ、施設から高校に通学。上智大学に進学したが、東北なまりの悩みから吃音になり、釜石で働いていた母の元へ。製鉄所や漁業で沸く釜石は、母がいて、劇場もあって居心地がよかったと懐かしむ。たくましく働く母のつてで、図書館でアルバイトしたことがきっかけで文学のよさに気づき、作家を志して再び上京。浅草の劇場のコントを書いたり、ドラマの脚本の懸賞で稼いで大学の寮費をまかなった。その後、小説・戯曲で活躍し、1984年に劇団「こまつ座」を旗揚げする。
創作の原点と若い世代に伝えたいことを、ユーモアいっぱいに語る。続きを読む投稿日:2021.01.26
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