何があっても潰れない会社 100年続く企業の法則
田宮寛之(著)
/SB新書
作品情報
「何があっても潰れない会社」は、どこが違うのか?
未曽有の危機を何度も乗り越えた「本当に強い会社」の秘密!
世界恐慌、リーマン・ショックといった、歴史上稀にみる深刻な経済危機に見舞われてもびくともしなかった「強い老舗企業」18社の経営のひみつを、経営者、社員への濃密な取材をもとに紐解く。
未曽有の経済危機に見舞われても揺らがない強い老舗の経営戦略!
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商品情報
- 著者
- 田宮寛之
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 掲載誌・レーベル
- SB新書
- 書籍発売日
- 2022.04.05
- Reader Store発売日
- 2022.04.05
- ファイルサイズ
- 5.7MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (7件のレビュー)
-
老舗の中小企業を個別事例ごとに分析してある本です。
どの老舗にも新しいものを取り入れる吸収力と、自社の確固たるブランド、守るべきスタンスとのバランスがキーだと感じます。
歴史が浅い企業であっても、…そこを意識した経営理念と事業戦略を組むことを意識することが重要でしょう。続きを読む投稿日:2023.07.22
◎小野(株) 手芸専門チェーン 創業1911年
四国のイチ手芸チェーンが100年超企業というのがスゴイことだ。
そもそも手芸とはそんなに大きなマーケットとは思えないが、そこは堅実経営ということなのだろ…う。
とにかく企業として100年以上継続していることが尊敬に値する。
◎ヤマト(株) 「ヤマトのり」創業1899年
あの「ヤマトのり」の会社かとようやく気がついた。
子供の頃には折り紙に緑チューブの白いのりを付けていたなと思い出した。
会社に入ってからも、領収書など伝票を貼り付けるのは、オレンジキャップのヤマトのりだった。
これからペーパーレスの時代だし、のりの需要も減ってしまうだろう。
しかし100年生き残った企業こそ、生き残りのノウハウが蓄積されているはずだ。
きっと何か形を変えて生き残っていくのだろうと思うと楽しみだ。
◎小泉産業(株) 照明器具で有名 創業1716年
そう言えばKOIZUMIの照明ショールームに行ったことがある。
照明の世界では圧倒的なシェアを誇るが、こういう会社があるんだと感心してしまう。
なんと創業から300年超!
300年前は照明器具なんてない訳で、行商から始まったそうだ。
企業文化を継承しながら、事業は社会に合わせ形を変えている。
やはり生き残っている企業は強い。
◎カタニ産業(株) 加飾材(黒霧島パッケージ)創業1899年
「加飾」という言葉すら知らなかった。
しかし、焼酎の「黒霧島」のパッケージもこの企業とは。
単なる印刷技術ではなく、あくまでも「加飾」。
元々は箔押しなどの装飾を手作業で行っていたようだが、それが様々な産業用製品についても、表面を装飾する技術を磨いていった。
手作業だけでなく、機械化も行って手広くやっているが、これも選択と集中を上手に舵取りしている経営の実力あってこそと思った。
◎鍋屋バイテック会社 機械要素部品製造販売 創業1560年
プーリーやネジなどを機械要素部品というそうだが、それらの製造販売が本業である。
元々は460年以上前に、鍋・釜・鐘・燈籠などの鋳物を作ることから始まったそうだ。
本当に「コツコツと」という言葉に似合う事業の形態だ。
日本のモノづくりを支えているプライドを感じる。
◎(株)にんべん 鰹節・つゆの素 創業1699年
今でも普通にスーパーで商品を買っているからとても身近に感じる。
今では鰹節そのものを買うことはないが、フレッシュパックはよく使う。
「つゆの素」もよく使う。本当に身近で日本の食文化のためには無くてはならない企業。
◎大日本除虫菊(株) 蚊取り線香 創業1885年
社名が「キンチョー」で無い事に衝撃を受けたのは社会人になってからだった。
あまり真剣に考えてこなかったが、「除虫菊」がポイントだったのか。
今後もさすがに香取線香は無くならないと思うが、どうなのだろうか?
これは日本の夏を彩る文化でもあるので、今後も末永く残っていってほしいものである。
◎(株)吉字屋本店 「敵に塩を送る」からガソリンスタンド 創業1568年
「敵に塩を送る」の言葉の元になった会社という。
元々は塩の卸業であったが、江戸時代には灯油(菜種油)も扱うようになり、その後は石油・ガソリンとなり、カーライフ全般、住宅サポートも行っている。
祖業の圧倒的な1商品があって、それが今まで続いているという訳ではない。
この会社こそ、業態を変化させながら生き残っている典型的な会社と言えるだろう。
◎西川(株) ふとん・前身は蚊帳 創業1566年
西川の高級ふとんは有名だが、元々は蚊帳の製造販売だったとは面白いものである。
この会社も確かに変化しながら生き残っている。
◎中庄(株) 紙の専門商社 創業1783年
決して安定的な業態とは言えないのではないだろうか。
確かにかつては紙の需要は多かったと思う。それは印刷会社も一緒で、印刷すれば儲かるのであれば競合が雨後の筍のごとく出現し、非常に厳しいコスト競争にさらされたはずだ。
用紙の卸売りも当然にそういう状況であったはずであるが、事実こうして240年間も生き残っている。
ひとえに不断の努力としか言いようがないと思う。
今後は益々ペーパーレス時代となり、紙の需要が減っていくのは必然だ。
この厳しい環境の中で、この先どう生き残っていくのかは、非常に興味がある。
◎(株)タツノ 石油の計量・計測 創業1911年
まさにニッチな業界とはこのことかと思うが、ここでも一つの製品に頼っている訳ではなく、ニッチな中できちんと水平展開・垂直展開を図って業務を拡大させている。
海外展開も積極的で、経営学の手本のような素晴らしい会社と言える。
◎ナイカイ塩業(株) 塩の製造 創業1829年
瀬戸内海の塩田事業から始まった会社。
ここは逆に祖業を大切にして、今でもコツコツと塩業を営んでいるイメージだ。
もちろん塩の製造は工業化して効率化も図られているが、基本は「塩」という、ブレない姿勢も好感が持てる。
今後の事業展開がどうなるのかは知り得ないが、こういう会社も約200年続いているのかと関心してしまった。
◎(株)藤崎 仙台の百貨店 創業1819年
創業200年超の老舗百貨店。
現在の百貨店業界は非常に厳しいはずであるが、藤崎百貨店はどうなのだろうか。
やはり長く継続してきた企業こそ、様々な危機を乗り越えてきたノウハウの蓄積が強みになっているはず。
顧客基盤も大事であるが、益々高齢化していく社会の中で、かつての顧客だけでは先細りしていくのは必須だ。
どうやって次の展開で生き残りを図っていくのか、非常に興味がある。
◎瀧定名古屋(株) 繊維専門商社 創業1864年
祖業で儲けた資産を、三部門に分けて事業展開を図り、今に至るという。
それが、①呉服卸業務、②金融業務、③不動産投資だそうだが、これも他の100年企業と比較して面白いところだ。
永続企業ほど、祖業を大切にして「金融と不動産には手を出すな」を家訓にまでしている会社もある。
事実、金融や不動産に手を出して失敗した企業は数えきれないほど多いのも事実。
逆に瀧定は、金融・不動産が、祖業を下支えしていると言える。
しかし、あくまでも本業は繊維専門商社。
服飾そのものでなく「繊維」として、布の素材全般を扱っている。
海外展開も図っているが、昨今これら衣服の製造環境の課題も取り沙汰され、サステナブル文脈でも注目されていると言える。
人間は衣服がないと生きられない訳で、これからも世界人口増による需要は益々増えることが必須だ。
どういう体制で今後臨んでいくのか。注目の企業である。
◎ヨコウン(株) 秋田の総合物流サービス 創業1881年
物流サービス業で100年以上の歴史というのがスゴイ。
当然明治時代は道路整備も自動車もほとんど無かった状況。
しかも秋田県という土地で物流網を構築するのは、大変な努力だったと思う。
だからこそ、この地で根を張って、確固たる地位を築いたのだろう。
「物流」こそ、今後の物流DX化、自動運転技術などで大きく変化することは必須である。
この企業がこの状況にどう対応していくのか、非常に気になるところだ。
◎(株)金剛組 社寺建築 創業578年
これは100年200年をさらに飛び越えて、1400年以上の歴史を持つ。
もちろん長く続いている会社としては世界一だ。
しかし金剛組の歴史を見ると、本当に苦労の連続だ。
現在では、専属宮大工8組100名を抱えて、匠の技の継承も仕組み化している。
こういう会社こそ、継続することに意味があり、それが価値である。
世界一長く続く会社であるからこそ、永遠に続いてほしいと願ってしまう。
◎(株)西山温泉慶雲館 温泉旅館 創業705年
1300年以上の歴史を持つ温泉旅館なんて、本当にすごすぎる。
一生で一度は宿泊してみたいものであるが、これだけでも日本の素晴らしい財産だろう。
世界中の旅行者に対して自慢したいくらいだ。
◎五位堂工業(株) 鋳造業 創業745年
これまた歴史を紐解くと、すさまじい。
奈良の東大寺「盧舎那仏像」の建立に携わったところから始まっているようであるが、そこから一つの会社として続いているなんて、本当にすごい。
歴史の教科書に載る仏像を実際に鋳造したのだと思うと、感慨深い。
その技術が一直線に今でも五位堂工業の社員に伝わっているなんて、何て素晴らしいことか。
本当にそれぞれの会社も誇らしいが、日本という歴史ある国家に生まれたことを幸せに思う。
最近になって「サステナブル」という言葉も耳慣れたが、日本こそサステナブルを愚直に実行してきた国家ではないか。
今現在があるのも、過去の人々の不断の努力の賜物である。
今我々にできることは、未来の人たちに向けてつつがなくバトンを渡すことである。
この重みをきちんと受け止めて、実行していきたい。
心からそう思うのだ。
(2023/10/11水)続きを読む投稿日:2023.11.03
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