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田宮寛之 / SB新書 (7件のレビュー)
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Ogawa Koichi
◎小野(株) 手芸専門チェーン 創業1911年 四国のイチ手芸チェーンが100年超企業というのがスゴイことだ。 そもそも手芸とはそんなに大きなマーケットとは思えないが、そこは堅実経営ということなのだろ…う。 とにかく企業として100年以上継続していることが尊敬に値する。 ◎ヤマト(株) 「ヤマトのり」創業1899年 あの「ヤマトのり」の会社かとようやく気がついた。 子供の頃には折り紙に緑チューブの白いのりを付けていたなと思い出した。 会社に入ってからも、領収書など伝票を貼り付けるのは、オレンジキャップのヤマトのりだった。 これからペーパーレスの時代だし、のりの需要も減ってしまうだろう。 しかし100年生き残った企業こそ、生き残りのノウハウが蓄積されているはずだ。 きっと何か形を変えて生き残っていくのだろうと思うと楽しみだ。 ◎小泉産業(株) 照明器具で有名 創業1716年 そう言えばKOIZUMIの照明ショールームに行ったことがある。 照明の世界では圧倒的なシェアを誇るが、こういう会社があるんだと感心してしまう。 なんと創業から300年超! 300年前は照明器具なんてない訳で、行商から始まったそうだ。 企業文化を継承しながら、事業は社会に合わせ形を変えている。 やはり生き残っている企業は強い。 ◎カタニ産業(株) 加飾材(黒霧島パッケージ)創業1899年 「加飾」という言葉すら知らなかった。 しかし、焼酎の「黒霧島」のパッケージもこの企業とは。 単なる印刷技術ではなく、あくまでも「加飾」。 元々は箔押しなどの装飾を手作業で行っていたようだが、それが様々な産業用製品についても、表面を装飾する技術を磨いていった。 手作業だけでなく、機械化も行って手広くやっているが、これも選択と集中を上手に舵取りしている経営の実力あってこそと思った。 ◎鍋屋バイテック会社 機械要素部品製造販売 創業1560年 プーリーやネジなどを機械要素部品というそうだが、それらの製造販売が本業である。 元々は460年以上前に、鍋・釜・鐘・燈籠などの鋳物を作ることから始まったそうだ。 本当に「コツコツと」という言葉に似合う事業の形態だ。 日本のモノづくりを支えているプライドを感じる。 ◎(株)にんべん 鰹節・つゆの素 創業1699年 今でも普通にスーパーで商品を買っているからとても身近に感じる。 今では鰹節そのものを買うことはないが、フレッシュパックはよく使う。 「つゆの素」もよく使う。本当に身近で日本の食文化のためには無くてはならない企業。 ◎大日本除虫菊(株) 蚊取り線香 創業1885年 社名が「キンチョー」で無い事に衝撃を受けたのは社会人になってからだった。 あまり真剣に考えてこなかったが、「除虫菊」がポイントだったのか。 今後もさすがに香取線香は無くならないと思うが、どうなのだろうか? これは日本の夏を彩る文化でもあるので、今後も末永く残っていってほしいものである。 ◎(株)吉字屋本店 「敵に塩を送る」からガソリンスタンド 創業1568年 「敵に塩を送る」の言葉の元になった会社という。 元々は塩の卸業であったが、江戸時代には灯油(菜種油)も扱うようになり、その後は石油・ガソリンとなり、カーライフ全般、住宅サポートも行っている。 祖業の圧倒的な1商品があって、それが今まで続いているという訳ではない。 この会社こそ、業態を変化させながら生き残っている典型的な会社と言えるだろう。 ◎西川(株) ふとん・前身は蚊帳 創業1566年 西川の高級ふとんは有名だが、元々は蚊帳の製造販売だったとは面白いものである。 この会社も確かに変化しながら生き残っている。 ◎中庄(株) 紙の専門商社 創業1783年 決して安定的な業態とは言えないのではないだろうか。 確かにかつては紙の需要は多かったと思う。それは印刷会社も一緒で、印刷すれば儲かるのであれば競合が雨後の筍のごとく出現し、非常に厳しいコスト競争にさらされたはずだ。 用紙の卸売りも当然にそういう状況であったはずであるが、事実こうして240年間も生き残っている。 ひとえに不断の努力としか言いようがないと思う。 今後は益々ペーパーレス時代となり、紙の需要が減っていくのは必然だ。 この厳しい環境の中で、この先どう生き残っていくのかは、非常に興味がある。 ◎(株)タツノ 石油の計量・計測 創業1911年 まさにニッチな業界とはこのことかと思うが、ここでも一つの製品に頼っている訳ではなく、ニッチな中できちんと水平展開・垂直展開を図って業務を拡大させている。 海外展開も積極的で、経営学の手本のような素晴らしい会社と言える。 ◎ナイカイ塩業(株) 塩の製造 創業1829年 瀬戸内海の塩田事業から始まった会社。 ここは逆に祖業を大切にして、今でもコツコツと塩業を営んでいるイメージだ。 もちろん塩の製造は工業化して効率化も図られているが、基本は「塩」という、ブレない姿勢も好感が持てる。 今後の事業展開がどうなるのかは知り得ないが、こういう会社も約200年続いているのかと関心してしまった。 ◎(株)藤崎 仙台の百貨店 創業1819年 創業200年超の老舗百貨店。 現在の百貨店業界は非常に厳しいはずであるが、藤崎百貨店はどうなのだろうか。 やはり長く継続してきた企業こそ、様々な危機を乗り越えてきたノウハウの蓄積が強みになっているはず。 顧客基盤も大事であるが、益々高齢化していく社会の中で、かつての顧客だけでは先細りしていくのは必須だ。 どうやって次の展開で生き残りを図っていくのか、非常に興味がある。 ◎瀧定名古屋(株) 繊維専門商社 創業1864年 祖業で儲けた資産を、三部門に分けて事業展開を図り、今に至るという。 それが、①呉服卸業務、②金融業務、③不動産投資だそうだが、これも他の100年企業と比較して面白いところだ。 永続企業ほど、祖業を大切にして「金融と不動産には手を出すな」を家訓にまでしている会社もある。 事実、金融や不動産に手を出して失敗した企業は数えきれないほど多いのも事実。 逆に瀧定は、金融・不動産が、祖業を下支えしていると言える。 しかし、あくまでも本業は繊維専門商社。 服飾そのものでなく「繊維」として、布の素材全般を扱っている。 海外展開も図っているが、昨今これら衣服の製造環境の課題も取り沙汰され、サステナブル文脈でも注目されていると言える。 人間は衣服がないと生きられない訳で、これからも世界人口増による需要は益々増えることが必須だ。 どういう体制で今後臨んでいくのか。注目の企業である。 ◎ヨコウン(株) 秋田の総合物流サービス 創業1881年 物流サービス業で100年以上の歴史というのがスゴイ。 当然明治時代は道路整備も自動車もほとんど無かった状況。 しかも秋田県という土地で物流網を構築するのは、大変な努力だったと思う。 だからこそ、この地で根を張って、確固たる地位を築いたのだろう。 「物流」こそ、今後の物流DX化、自動運転技術などで大きく変化することは必須である。 この企業がこの状況にどう対応していくのか、非常に気になるところだ。 ◎(株)金剛組 社寺建築 創業578年 これは100年200年をさらに飛び越えて、1400年以上の歴史を持つ。 もちろん長く続いている会社としては世界一だ。 しかし金剛組の歴史を見ると、本当に苦労の連続だ。 現在では、専属宮大工8組100名を抱えて、匠の技の継承も仕組み化している。 こういう会社こそ、継続することに意味があり、それが価値である。 世界一長く続く会社であるからこそ、永遠に続いてほしいと願ってしまう。 ◎(株)西山温泉慶雲館 温泉旅館 創業705年 1300年以上の歴史を持つ温泉旅館なんて、本当にすごすぎる。 一生で一度は宿泊してみたいものであるが、これだけでも日本の素晴らしい財産だろう。 世界中の旅行者に対して自慢したいくらいだ。 ◎五位堂工業(株) 鋳造業 創業745年 これまた歴史を紐解くと、すさまじい。 奈良の東大寺「盧舎那仏像」の建立に携わったところから始まっているようであるが、そこから一つの会社として続いているなんて、本当にすごい。 歴史の教科書に載る仏像を実際に鋳造したのだと思うと、感慨深い。 その技術が一直線に今でも五位堂工業の社員に伝わっているなんて、何て素晴らしいことか。 本当にそれぞれの会社も誇らしいが、日本という歴史ある国家に生まれたことを幸せに思う。 最近になって「サステナブル」という言葉も耳慣れたが、日本こそサステナブルを愚直に実行してきた国家ではないか。 今現在があるのも、過去の人々の不断の努力の賜物である。 今我々にできることは、未来の人たちに向けてつつがなくバトンを渡すことである。 この重みをきちんと受け止めて、実行していきたい。 心からそう思うのだ。 (2023/10/11水)続きを読む
投稿日:2023.11.03
本の虫(since 2020/3/3〜)
老舗の中小企業を個別事例ごとに分析してある本です。 どの老舗にも新しいものを取り入れる吸収力と、自社の確固たるブランド、守るべきスタンスとのバランスがキーだと感じます。 歴史が浅い企業であっても、…そこを意識した経営理念と事業戦略を組むことを意識することが重要でしょう。続きを読む
投稿日:2023.07.22
けべん
知ってる企業もあれば知らない企業もある。それらの企業が長年潰れない理由が、主に事業の変革を中心に説明している。 読むのが億劫になるのが、企業分析はしていない。あくまで事実ベースの事業の変革のみが淡々…と語られている。続きを読む
投稿日:2022.12.01
匿名希望
生き残る企業の条件。 強い企業が生き残る訳ではなく、時代に適応してきた企業が生き残る。 100年以上続く企業が必ずしも、業界のトップではないですが、優れた経営者が常にいるわけではないし、常に神風が吹い…ているとも限らない。幕末や第二次世界大戦、コロナなど常にピンチは存在する。核心となるDNAを守りながら、進化を続けてきた企業だけが生き残る。 特に以下はできそうで、できない。 欲に駆られることなく、本業のみに邁進すること。 たとえ同族経営であっても、身内を甘やかさいということ。にんべん然り。寝具の西川もまた然り。 1000年以上も続く金剛組も、地域のひとや企業に助けられて今がある。続きを読む
投稿日:2022.06.22
Moe
世界で最も古い会社が日本にある事にまず驚いた。 1000年以上続く企業があるなんて… その他にも日本では100年以上続いている企業が40,000社以上ある。 確かに首都圏に来て忘れていたが、地方出身の…私が新卒で入った中小企業ももうすぐ100年を超える。 周りにあった中小企業は創業何十年の会社が多く多かった。 近年スタートアップが台頭してきて歴史が長い企業のことをすっかり失念していた。 温故知新と言う言葉が頭に浮かぶ。 歴史が長い会社の歴史を見てみると時代を先読みしビジネス形態を柔軟に変えてきていることがわかる。 変えることと変えないことをそのタイミングタイミングで選択してきている。 私はあまり歴史に興味を持てないがやはりこれからの未来を生きていくために歴史から学ぶことが非常に大事だと感じた。 ==== ジャンル:産業・業界 出版社:SBクリエイティブ 定価:990円(税込) 出版日:2022年04月15日 ==== 田宮寛之(たみや ひろゆき) 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)、明治大学講師(学部間共通総合講座) ==== flier要約 https://www.flierinc.com/summary/3039続きを読む
投稿日:2022.06.17
Go Extreme
序 今こそ老舗企業から学ぼう 日本企業の平均年齢は37・5年 「創業100年企業」の数は、日本が世界一 第1章 時代の変化に応じて、柔軟に在り方を変える 堅実経営を維持しながら2度の業態転換 中・四…国で培ったビジネスモデルで関西・関東へ―小野株式会社(手芸専門店チェーン) 無限に広がる「くっつける」の可能性 風通しのいい社風がヒットの原動力―ヤマト株式会社(文具製造・販売) 第2章 目先の利益より、公共の利益を重んじる 一人勝ちを求めず、業界を発展させる革新と挑戦に満ちた鰹節専門店の323年―株式会社にんべん(鰹節および加工食品の製造・販売) 日本を貿易立国に押し上げる青雲の志 ミカン農家から「世界一の研究所」を持つメーカーへ―大日本除虫菊株式会社(殺虫剤など衛生用品の製造・販売) 第3章 本業を貫き、深化させる 「計量・計測」という企業DNA 絶対的正確性と安全性のトップランナー―株式会社タツノ(石油関連機器の製造) 塩を供給する「誰か」であり続ける安全、安心、安定のものづくり―ナイカイ塩業株式会社(塩業) 第4章 老舗超大国・日本の1000年企業 1444年続く、世界最古の企業 聖徳太子の招きで百済から日本へ―株式会社金剛組(社寺建築) 記憶に残る本物のホスピタリティ「温泉旅館の親父」であり続ける信念―株式会社西山温泉慶雲館(温泉旅館)続きを読む
投稿日:2022.05.16
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