ポストコロナ期を生きるきみたちへ
内田樹(著)
,斎藤幸平(著)
,青木真兵(著)
,えらいてんちょう(著)
,後藤正文(著)
,白井聡(著)
,岩田健太郎(著)
,雨宮処凛(著)
,増田聡(著)
,平田オリザ(著)
,想田和弘(著)
,俞炳匡(著)
,山崎雅弘(著)
,三砂ちづる(著)
,仲野徹(著)
,中田考(著)
,釈徹宗(著)
,池田清彦(著)
,平川克美(著)
,鷲田清一(著)
/晶文社
作品情報
コロナ・パンデミックによって世界は変わった。グローバル資本主義の神話は崩れ、医療や教育などを「商品」として扱ってはならないことがはっきりし、一握りの超富裕層の一方で命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえぐ構図が明らかとなった。私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。
こんなに誠実な大人たちから、地球を引き継げるワクワクをあなたへ。
──山邊鈴(長崎県立諫早高校3年/「この割れ切った世界の片隅で」作者)
「ウイルス一つによって、わずか数ヵ月の間に、ほんの昨日までこの世界の「常識」だと思われていたことのいくつかが無効を宣告されました。それがどのような歴史的な意味を持つことになるのか、人々はまだそのことを主題的には考え始めてはいません。日々の生活に追われて、そんな根源的なことを考える暇がありませんから。でも、中高生たちはこの「歴史的転換点」以後の世界を、これから長く生きなければなりません。彼らに「生き延びるために」有益な知見や情報を伝えることは年長者の義務のひとつだと僕は思います」(まえがきより)
【目次】
まえがき 内田樹
■1 Letters from around 30
ポストコロナにやってくるのは気候危機 斎藤幸平
楽しい生活──僕らのVita Activa 青木真兵
これからの反乱ライフ えらいてんちょう
■2 Letters from over 40
君がノートに書きつけた一編の詩が芸術であること 後藤正文
技術と社会──考えるきっかけとしての新型コロナ危機 白井聡
「タテ、ヨコ、算数」の世界の見方 岩田健太郎
支援の現場から考える、コロナ後の世界 雨宮処凛
「大学の学び」とは何か──「人生すべてがコンテンツ」を越えて 増田聡
■3 Letters from over 50
コロナで明らかになった日本の最も弱い部分──対話・エンパシー・HOME 平田オリザ
コロナ禍と人間──私たちはどう生きるのか 想田和弘
台風とコロナ・パンデミックは同じか? 俞炳匡
図太く、しぶとく、生きてゆけ──誰も正解を知らない問題にどう答えを出すか 山崎雅弘
■4 Letters from over 60
医療が無料であること 三砂ちづる
人生100年時代、ポストコロナはダブルメジャーで 仲野徹
メメント・モリ──思いがけない出会いに開かれているために 中田考
ディレンマの知性 釈徹宗
■5 Letters from over 70
ポストコロナ期における雇用について 内田樹
自分に固有の問題を考えること 池田清彦
コロナと価値のものさし 平川克美
マスクについて 鷲田清一
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商品情報
- シリーズ
- ポストコロナ期を生きるきみたちへ
- 著者
- 内田樹, 斎藤幸平, 青木真兵, えらいてんちょう, 後藤正文, 白井聡, 岩田健太郎, 雨宮処凛, 増田聡, 平田オリザ, 想田和弘, 俞炳匡, 山崎雅弘, 三砂ちづる, 仲野徹, 中田考, 釈徹宗, 池田清彦, 平川克美, 鷲田清一
- 出版社
- 晶文社
- 書籍発売日
- 2020.11.11
- Reader Store発売日
- 2020.11.11
- ファイルサイズ
- 3.3MB
- ページ数
- 312ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (26件のレビュー)
-
内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて…,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当たり前であり,過疎であるわたしの地域で影響を受けたのは「年に一番密になる地元のお祭」ぐらいだ。
指導者たちは,巨大な経済システムの中で,無駄を省くことを第一条件として進めてきたことのツケが,あまりにも大きかったことにやっと気づいたのだろうか。もっとも,10年前の東日本大震災の津波による原発事故のときにも気づいたはずだったのだが…それが,いつのまにか,どっかへいってしまっていた。今回,また,違う形で自然が教えてくれたんだが。
内田さんがいうように,今後の社会は決して楽観的に過ごせるわけではないだろう。高齢化率や出生率などを見ても,その大変さがよく分かる。
じゃあ,今後はだれがどんな社会を作ってくれるのか…いや,君が作っていくんだよ,それは君がやりたいことを選んでやっていくんだよ…というメッセージが,少しだけ勇気を与えてくれる。
60代のお爺ちゃんは,孫たちの世代に何を残せるのだろう。まだわたしにできることはたくさんありそうだ。続きを読む投稿日:2022.01.10
(2022/1/8)
2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。
日本の知性が集結している。多くの方が参加している。
読み始めたとき、それぞれのお名前…の横に簡単な肩書しか書かれておらず、
もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。
この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。
私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。
一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮なので辞めておくが、一番心を動かされたのは、雨宮処凛さんのコラム。
ペット連れの要生活保護者をどう支援するか。役所は「犬を処分してから来い」と言い放つ。
確かにその考えは自分の頭の中にもある。生きるか死ぬかの状態で支援を求めるのにペットなんて贅沢!と。
しかしその一方、モノではなく生きているペットを捨てる、殺すなどできるはずもないと、、、
我が家にも猫がいるが、極端に憶病なので、地震で避難所に行くことになったらどうなるのか?いやそもそも避難所が受け付けないか、、
話戻ってそうした人を支援する彼女たち。当然お金が必要。これをどう集めるか。
自分は寄付できるか?
日ごろ人の役に立ちたい、などと言っていても、そこに目が向くか。
反省。
それに関連して、ベーシックインカムに注目するコラムもいくつか。
クソ面白くない仕事をAIに任せる。
イギリスをダメにした高福祉、働かなくても食えることに劣等感、感情を持たせるようにしたサッチャー。これは今の日本にもある。生活保護を受けづらくする。
しかし金はあって暇がある、という状態が様々な文化を生む側面もある。
オリザさんも別の切り口ではあるが、不要不急の芸術の必要性を訴える。
・・・もしAIが何でもやってくれて、富がうまく社会に分配されるようになれば、人々は金のためにあくせくするのではなく、本当に人の役に立つために、自分の好きなことをして働けるのではないかな。
なまじ労働が貨幣価値に代替されるから、怠ける人が出るのでは、、、
いくつかのコラムからそんなことを感じた。
あ、それと、「椎名林檎になるための方法を教えてくれるのはどこの学校か?」と真剣に聞く大学生がいたという話は衝撃的だった。増田聡さん。
正解が学校にある、と思っている日本の教育システムの膿のような話。
。。。しかし、こういう本があるということは、日本の知性が捨てたもんじゃないことの証でもある。希望はある。
こんなコロナ禍ではあるが、前を向いて生きていきましょう!続きを読む投稿日:2024.05.21
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