【感想】ポストコロナ期を生きるきみたちへ

内田樹, 斎藤幸平, 青木真兵, えらいてんちょう, 後藤正文, 白井聡, 岩田健太郎, 雨宮処凛, 増田聡, 平田オリザ, 想田和弘, 俞炳匡, 山崎雅弘, 三砂ちづる, 仲野徹, 中田考, 釈徹宗, 池田清彦, 平川克美, 鷲田清一 / 晶文社
(23件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ヒヤマトモヒロ

    ヒヤマトモヒロ

    2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。

    内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今世紀に入ってからの日本の教育が間違っていると言及しているところが内田さんセレクトらしくていいし、実際にその通りだと感じます。
    近代に入ってから特徴的なのは膨大な富を得た後に残る負債を残らず次世代に押し付けるところ。これを明確にあぶり出したのがコロナで、コロナがあってもなくても次世代の若者たちは老人たちのケツを拭きながら生きる羽目になります。そのことに若者たちと、おそらく現役世代に含まれる私たちがどう向き合って生きなければならないのか、時代のまさに転換点に生きているということを感じさせる本でした。
    特にキューバを例とした無料医療に言及した三砂ちづるさんの章が勉強になりました。ということでゲバラの若き日の旅路を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」も併せてお楽しみください。この映画はすごくよかった。本も出てる。
    あ、あとバランスを取るために武田邦彦の「君が地球を守る必要はありません」もどうぞ。
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    投稿日:2023.08.11

  • haru2012

    haru2012

    中高生を想定読者とした、現在30代〜70代の20名からのメッセージ。今回のパンデミックであらわになった日本社会の欠陥について、こんなに不出来な社会を後続世代に遺すことになってしまった責任を感じ、補正しきれなかった悔しさがにじむ。

    世代が変わると考え方や行動も変わる。是非、現状を反面教師として欲しいです。
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    投稿日:2023.01.05

  • mountaineer

    mountaineer

    斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。
    一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業をはじめ、経済はそのようにして成長するものだと思っていた。
    しかし、現在は総供給が総需要を上回っている状態。必要ないものを売るための広告やマーケティングなど、ブルシットジョブ(この本で言及してる人の多いこと!)が蔓延し、限られた利潤を確保するために「集中と選択」という言葉に現れるように、偏った資源配分をし、競争優位性のない部門は排除すべきとの考え。この競争優位性、経済合理性といった考え方は、巨大企業や金融市場が成長を続けるために流布されたもの。これが人々の価値基準や判断基準のモノサシとなり、格差やブルシットジョブを生み出すことになった。コロナ禍はその脆弱性を露呈させた。無駄を排除した結果、緊急時の備蓄がない、余剰人員を持たない保健所や医療現場、高齢者より若者を優先すべきだとの優生思想。さらに、経済かコロナ対策か、という議論自体が、経済合理性というただ一本のモノサシで語られているということ。
    大学生活が単に勉強をすること、即ちオンライン授業さえ受けていれば事足りるのとは違うということもコロナ禍で見えてきた。
    仕事とは何か、大学とは何をする場なのかを再考する機会を持とう、社会で当たり前とされる考え方、メディアの喧伝するものに次第に染まってしまう危うさを意識するようにしよう、そう思った。
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    投稿日:2022.12.14

  • rafmon

    rafmon

    豪華な面々がコロナ禍を思い思いに語る。それぞれの自己紹介から始まり、時勢に対する持論を。19人分掲載されているので、内容が浅いのが惜しい。まるで1時間特番のテレビ番組に豪華ゲストを呼び過ぎて中身がなくなってしまったような感じだ。更に、中学生向けにという内田樹氏から各人にオファーが出ていたらしい。なるほど、対象外である。

    斎藤幸平にもいつもの切れ味はないし、雨宮処凛はお馴染みペット連れのホームレス話。えらいてんちょうは全共闘の親の話。岩田健太郎はコロナ感染者の統計話。中田考だけは面白いなと思ったが、後の著者は、ダイジェスト版を更に噛み砕いたような中身で、歯ごたえも味もしない。まるでコロナの味覚障害がポストコロナを語りし、皮肉である。
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    投稿日:2022.12.09

  • e1416

    e1416

    面白かった〜
    30代から70代の、それぞれ生業が違う著者による寄稿集。
    世代によってか、なんとなく色が分かれてたのがまた興味深い。
    引用してるデータはもちろん、参考文献が結構かぶってるのも興味深かった
    対象読者である大学生の知り合いに贈りたいし、こういうテーマについてよく話す友人にも読んでほしい。
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    投稿日:2022.10.29

  • tohof67

    tohof67

    最近よく言われるところのブルシットジョッブの蔓延と厚遇は、本来最高収入が約束されてもおかしくない3K仕事が正当に評価されないという社会問題を生み出す。
    命を大切にすることに携わる人々を蔑ろにするということがこれ以上進んでゆくと、尊厳死や安楽死を認めるような社会になる素地を作ってしまうのではないか。続きを読む

    投稿日:2022.10.16

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