ルドルフとイッパイアッテナ
斉藤洋(作)
,杉浦範茂(絵)
/児童文学創作シリーズ
作品情報
猫と人間、それぞれの愛と友情の物語。ひょんなことから、長距離トラックで東京にきてしまった黒猫ルドルフ。土地のボス猫と出会い、このイッパイアッテナとの愉快なノラ猫生活がはじまった……。 青少年読書感想文全国コンクール課題図書/第27回講談社児童文学新人賞
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商品情報
- シリーズ
- ルドルフとイッパイアッテナ
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 児童文学創作シリーズ
- 書籍発売日
- 1987.05.20
- Reader Store発売日
- 2019.09.06
- ファイルサイズ
- 35.7MB
- ページ数
- 274ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (215件のレビュー)
-
この本は猫が書いたらしい。
読んだ娘がそう言っていたのを聞いて、「んなワケないやろ!!」とバッサリ切っていたが、プロローグからやられた。
「ねこに字が書けるわけがないって、そう思ってるんだろう。人間っ…てやつはいつもそうさ。なにか、めあたらしいことをきくと、すぐにうたがうんだから。むかし、コペルニクスって人が、太陽が地球のまわりをまわっているんじゃなくて、地球が太陽のまわりをまわってるんだっていったとき、やっぱりみんなはすぐに信じなかったそうだし、なかにはそれを聞いて、ゲラゲラわらったり、かんかんにおこったりした人もいたそうだよ。」
そりゃ…そうだ。今までの常識を覆すことをバッサリ切るのは、「コペルニクスの発見」をゲラゲラ笑った民衆と同じ。それを猫に教えられるなんて!
そして、それを人間に教えられる猫はなんて「キョウヨウ」があるのだろう!
この本の主人公で著者の「ルドルフ」は黒猫。子猫の時に魚屋からシシャモを盗んで追いかけられた時にトラックの荷台に隠れ、そのまま一晩乗ってしまい、自分の住んでいた町から遠く離れた東京都江戸川区に来てしまったのだ。
飼い主の町から遠く離れ、途方に暮れていたルドルフを助けてくれたのは、強そうなトラネコ。名前を聞くと「俺のなまえは、いっぱいあってな」と言うので、ルドルフはそのトラネコの名前が「イッパイアッテナ」だと思い、そのまま呼ぶことになった。
イッパイアッテナは今は野良猫で、他の飼い猫たちからは怖がられる存在であったが、同じ立場となってしまったルドルフには優しかった。人間と上手く付き合って餌をもらえる方法など色んなことを教えてくれた。イッパイアッテナには「キョウヨウ」があったから。何故かというとイッパイアッテナが野良猫になる前の飼い主はイッパイアッテナに文字を教えてくれたので、イッパイアッテナは本を読むことが出きたのだ。
そして、イッパイアッテナもルドルフに文字を教えた。小学校の校庭の砂に何度も何度も前足で書いて。ひらがなとカタカナをルドルフが覚えるとイッパイアッテナはルドルフを連れて休みの日の小学校に忍込み、教室の学級文庫の本を取り出して、図鑑などを見せて勉強することを教えた。
夏休みのある日、小学校に休日出勤していた「クマ先生」に小学校の職員室に入れてもらい、そこのテレビに写っていた町の景色がルドルフの故郷であったので、ルドルフは岐阜から来たことが分かった。そしてある日、商店街の岐阜へのバス旅行のポスターを見て(字が読めたから)、そのバスに忍込めば、ルドルフが帰れること、そして、やっと飼い主のりえちゃんに会えるという目処がついた。
そしていよいよバス旅行の前日、明日はイッパイアッテナとお別れしてルドルフは岐阜に帰るという日、イッパイアッテナはルドルフへの餞別に喜ばせてあげたくて、ある計画を立てたのだが……。
動物たちの友情と飼い主との再会のための冒険。昔観ていた英会話教材の「リトル・チャロ」を思い出す。
この童話、思っていたよりも古く、1987年に第一版だった。イッパイアッテナはルドルフに「どの家にもある」漢和辞典や百科事典の使い方を教え、ルドルフが岐阜に帰ってからも勉強を続けられるように励ましていたが、今は漢和辞典はどの家にもある本ではないだろうな。今なら彼らはどんな生き方をするだろう。
続きを読む投稿日:2024.01.02
ルドルフ(というのはネコなんですが)は、迷い込んだ場所で人間の文字を覚え、「教養」のあるネコになろうと奮闘します。ネコたちが「知識にたいするぼうとく」とか「絶望はおろか者の答え」なんて会話をしています…。おもわずクスッとしてしまいましたが、ごめんなさい、ネコに失礼ですね。続きを読む
投稿日:2024.04.14
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