ポスト新産業革命 「人口減少」×「AI」が変える経済と仕事の教科書
加谷珪一(著者)
/CCCメディアハウス
作品情報
日本の人口減少が問題になって久しいが、本格化するのは、むしろこれからだ。人口減少は、都市部への人の移動を促し、不動産価値を一変させる。利便性の高い不動産が価格を維持する一方、値段の付かない不動産が全国に溢れる。商圏の維持が不可能となるエリアが続出し、企業の出店戦略も変更を余儀なくされる。人口減少が経済やビジネスに与える影響は、多くの人にとって、従来の想像をはるかに超えるものとなる。
一方で、日本の人口減少と歩調を合わせるように、これまでにないイノベーションの波が押し寄せている。AI(人工知能)を中心とした新しいテクノロジーだ。新しいテクノロジーが普及した世界では、ビジネスのルールは180度変わってしまう。従来の価値観を一掃できなければ、未来を豊かにいきていくことは不可能になる。
新時代に求められるのは、英語をしゃべることでも、皆がプログラミングをすることでもなく、従来の常識や価値観を転換することである。本書は新時代の羅針盤となる1冊だ。
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ポスト新産業革命 人口減少×AIが変える
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■人口減少の本当のインパクト
・経済の低成長と物価の上昇が組み合わさったスタグフレーションが起こりやすい
・薄利多売のビジネスモデルが崩壊する→ビジネスモデルの抜本的な転換
・定年まで勤め上げ、退職金と年金でリタイアの価値観は崩壊
・AIに頼らないと社会が回らない
・できる営業マンの定義は、才能より、論理的に工夫を重ねる人
・多くの労働者が、人間にしかできない高付加価値の仕事へシフトする
・無人コンビニの狙いは、人件費ではなく、個人のニーズの先取り
■各産業
・自動車;自己所有からシェア・サービスに変わる
→製造業という概念を捨て、サービスとして提供する業者へシフト
・小売店・外食:自動運転で空いた時間の争奪戦
・家電:家電のコモディ化により、大手企業のプロダクトアウトではなく、マーケットイン
→新しい利用方法は利用者が生み出す
・金融:AIフィンテックの普及で銀行業務の多くが不要となる可能性
・生活関連ビジネス:都市部へ進出のニトリ/総合的な不動産にも乗り出すヤマダ電気
→大量生産の価格と同じ価格でオーダーメイドが可能になる。3Dプリンター
・アパレル:所有する概念が消滅、AIとの連動でトータルサポート
→クリーニングは業務転換
・小売:待つから攻めるへ。ネット化により能動的なビジネスになる
→誰が何を買いに来るのか予測が立てられる
・運送:シェアリングエコノミーの可能性
・移動:無数の情報をAIが同時処理し・マッチングにより都市部の移動が無料になる
■不動産・住宅
・土地神話の崩壊、不動産の価値は収益力
・住宅を所有するのではなく、賃貸が増える
・多様な契約形態が広がる
・駅からの距離の価値は収益力に関係し続ける
・不動産を金融商品の対象に(リバースモゲージ)
■アマゾン
・アマゾンビジネスの開始をきっかけに中国企業が本格的に日本企業に進出してきた場合、日本メーカー・卸にとっては脅威
・AIスピーカーでの家電制御機能→各メーカーのオープン化の波
・住宅に関する業界がオープン化、あらゆる製品で価格破壊が起こる。
→極めて安価なコステでカスタマイズした住宅表品を提供できる
→賃貸マンションは賃貸を貸すだけではなく、プラスアルファのサービス提供の形態に進化
→ネットとは切り離せないビジネスモデルにシフトする
■新時代に勝ち抜く
・人口減少とAI化の進化は社会の効率化を極限まで追求する
・あらゆるものやサービスがシェアリングの対象となる
■地域ごとのマーケティング
・トヨタは戦後一貫して続けてきた車種ごとのマーケティング、ディーラーの編みの構造をやめ、
地域ごとのマーケティングに切り替えた
・同じ商品を全国に売るのではなく、地域ごとに特色をもたせた販売戦略が必要になる。
→それに合わせて組織形態も変化する
・日本は総合商社や総合電機メーカーが製品やサービスをカバ^する事業スタイルが多いが、途上国などによく見られる産業構造
→価値観の多様化が進んだAI社会にはなじまない。
→場合によっては大手企業の分社化、経営のコンパクト化、業務の集中化が進む
■所有ではなく「利用」の概念にシフトできるかどうか
・土地は利用、車はシェア→所有の概念が希薄化
・売りてから買い手へのパワーシフト
→車は嗜好品としての価値が生まれる
■日本の持ち家信仰
・賃貸住宅の市場が未成熟で室の高い賃貸住宅がなかった
(家に対する過剰な思い入れだけではない)
→賃貸サービスの充実・多様化により信仰が崩れる
→過去の断熱性能が低く、暖房効率の低さが室の改善するビジネスになる
・新しいビジネスが生まれる
→高齢者向け住宅
→低所得者向け住宅
→介護施設連動住宅
■場所の格差が拡大
・モノ消費→コト消費へ(同じ場所に同じ時間にいることが重要になってくる)
・多くの人と直接コミュニケーションが取れる場所にいることは、それだけでアドバンテージになる
■知能や知識の販売
・日銀黒田総裁の表情をAI分析する感情認識エンジン
→高い技術ではなく、流用して営業利用が低コストでできる
→自分のノウハウをAI化し、ネットで売って設ける
日本社会は論理より、情緒が優先されがちなので、理解と共感が混同される
新しい社会では、理解と共感の違いを識別子、冷静に対処する能力が必要
(共感という概念はビジネスを狂わせる)
「自分がされて嫌なことは相手にしない」ではなく、「相手がされて嫌なことは、相手にしない」投稿日:2021.07.22
この本は、"人口減少に向かう日本"と"今後も発達していくAI技術"がどう我々の生活と仕事に影響を与えていくかを考察しています。"我々はどうしたらいいか"に関しては、示唆を与えるにとどめています…。
著者は、"AIは、社会の効率化を極限まで推し進めていく"と言っています。労働者はAIが利用できる分野では削減され、仕事のできる有能な労働者にとってかわられていくようになると予測しています。著書の中では、"仕事を生み出す人達"や"買い手が真に欲しいものを提供できる人達"が商売を成功させる条件としてあげられていました。既にAmazonやマイクロソフトなどが安価なクラウド型のAIを提供しはじめています。安価なクラウド型AIが買い手が真に欲しいものは何かも分析できる可能性がある為、商売がしやすくなるかもしれませ。また、AIが分析できない範疇の人間の欲求を見つけ出すことができればそこも商売になるのかもしれません。
各業種をみてみると、電子マネーや仮想通貨は、現金による決済を簡略化していき、車は次第に自動化されAIにより効率の良い経路が算出され車のシェアがより一層進み、個人で車を持つ意味が次第に希薄となる。一部の車好きの層のみが車を所有する。さらにシェアをする事は、我々が思いもしない事にも及ぶ可能性が高いと著者はいっています。著者は、日本の将来は人手不足による成長なきインフレになる可能性も示唆しているが、お金のかかる物の所有より、シェアをする事で支出を押さえていく可能性が高いと考えています。
著者の加谷珪一氏は、中央省庁や政府系金融機関対するコンサルティング業務し、現在は、経済、金融機関、ビジネス、ITなど多方面の執筆活動を行っています。著書も豊富ですね。
僕がこの著書を読み終えた2020年1月現在では、AIが社会に浸透し始めてきていると感じられるようになっているぐらいです。日本人は、人口縮小の為にAI化を拒否する事はできないし、仕事を得るために大都市への人口集中はさらに進むと考えられる。賃金が上がらない労働者が増えれば著者の言うシェア化がさらに進む可能性があるのも頷けました。
今後、定年が70歳にまで伸びる可能性もあるし、仕事がなくなるかもしれない。自分がどうやって生活費を稼いでいくか、かなり真剣に考えなくてはいけないと思いました。続きを読む投稿日:2020.01.03
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