ハイエク 知識社会の自由主義
池田信夫(著)
/PHP新書
作品情報
世界は不平等と不正と混沌に満ちているが、「賢明な政府」が指導すれば、世界は今よりもよくなるのだろうか? ハイエクが半世紀以上前に論破していた。「不完全な知識にもとづいて生まれ、つねに進化を続ける秩序が、あらゆる合理的な計画をしのぐ」のである。本書では、市場経済を全面的に信頼したハイエクの思想の今日的意義を明らかにする。一九三〇年代、ほとんど一人で社会主義・ケインズ主義に挑戦したハイエクは、サッチャー、レーガン政権が成功したことで、経済学だけではなく、世界のあり方をも変えた。また彼の思想は、現在の脳科学、法体系、知的財産権、インターネットを理解する鍵を、私たちに与えてくれるのだ。現実がハイエクに追いつくには二〇世紀末までかかった。半世紀を経て、彼の思想は、新しい社会秩序のあり方を考える羅針盤として、いま不動の位置を占める。
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商品情報
- シリーズ
- ハイエク 知識社会の自由主義
- 著者
- 池田信夫
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2008.09.02
- Reader Store発売日
- 2011.07.22
- ファイルサイズ
- 0.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.6 (42件のレビュー)
-
ハイエクの入門書というよりは、ハイエクを通して著者の主張するところを述べるという色が強いように思います。著者のブログを合わせて読んでいると理解が深まるかと思います。そういう意味で、きちんとハイエクを知…りたければ、実際の著作に当るべきかもしれません。ただ、ハイエク自身の著作を読んでみたいなと思わせる内容にはなっています。
最後には、一貫して計画経済やケインズ主義の大きな政府に反対したその経済哲学および思想哲学を、インターネットの自立分散の分権システムを支える思想として紹介しています。帯に書いてあるように「インターネットを予見した」というのは言い過ぎでは、とも思いますが、数多の経済思想や原理の中で、現時点ではハイエクの主張する自由主義が生き残っているとみなされている中で、重要性が増している思想家なんだなと改めて思わされました。続きを読む投稿日:2009.12.29
フリードリヒ・ハイエクは1899年生まれの経済学者で、1974年にノーベル経済学賞を受賞している(1992年に死去)。その主張のユニークさから、主流の経済学者からは無視され、知識人からは嘲笑されたとい…う。
といって、彼の主張は別に奇異でもなんでもない。
その根幹は、いわゆる「新古典派」経済学に見られる理念的で純化された前提からではなく、「人間は不完全な知識のもとで、必ずしも合理的とは言えない慣習に従った行動をする」という、フツーに考えれば当たり前の事実から出発していることにある。
つまり、計画され、規制された社会(たとえば社会主義)はうまく機能しない。野放図では話にならないが、人々の自由を尊重する分散自律型の社会生成を妨げないことがベターな(ベストではないが)解であろうと説く。
著者は、ハイエクの出自やケインズとの対立、主張の骨格や変遷などをひもときながら、インターネット(分散自律)時代である現代、さらに未来へと進むためには、今こそハイエクに学ぶべきだという。
そして、日本の官僚機構のムダ、知的財産権の欺瞞、電波やインターネットを行政や大企業が主導しようとすることの見当外れ、派遣など労働者施策の間違いなどを指摘する(これらはいずれも、既得の権益構造が社会を恣意的に規定しようとするものだ)。氏がいつもブログで主張している中味だ。
こうして見るとこの本、近代経済学の概観、ハイエクを通した現代~未来の捉え方について勉強になるばかりではなく、池田氏の入門書としても好適、ということになるだろう。続きを読む投稿日:2019.06.13
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