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同志少女よ、敵を撃て
同志少女よ、敵を撃て
逢坂冬馬/早川書房
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総合評価

480件)
4.4
245
145
56
3
4
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    こういった読み物に対して漫画を読んでるような、、と評価してしまったら失礼だろうか。 ただ私は本当に漫画を読んでるような感覚でスラスラと読むことができた。登場人物のキャラクター像がしっかりしており、戦闘の描写も鬼気迫るものがあった。 一方でキャラクター像を出すためにか、キャラクターの話し方だったり立ち振る舞いが少しチープに思えてしまうような場面も、、 ただ史実を交えた話は本当に引き込まれた。この戦争をもっと知ってみたいとも思った。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    金槌に頭がなければ役に立たないが 頭だけではただの鉄に過ぎない。 組み合い、それぞれの特徴を活かすことで 役に立つ。 しかも、極めて専門的な役割をもち それだけをこなし続ける。

    9
    投稿日: 2025.01.19
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    遠い国の何十年も前の物語だけど 胸を熱くする。戦争という非日常のなかで生きるセラフィマ。物語の最後にアレクシェービッチの名前が出てくるのが凄いな。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    復讐心を燃やしながら自分が生きていくために射撃手として戦争要員になった女性の話。映画を見ているようだった。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性狙撃兵の物語、悲劇的なな冒頭から過酷な戦闘、ドラマチックな展開。引き込まれ、セラフィマの感情にこちらも振り回される。 独ソ戦が舞台であることから尋常な小説ではないだろうと予想していたが、予想以上だった。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    なんか戦争ものかな〜から入ったんですが、すぐに戦争のリアルな現実を突きつけられ、ずっと辛いです。 でも、主人公の少女の成長、気持ちの変化や、 実際の戦争を見ているような臨場感、 予想できない物語の展開で 一気に読みました! 最後はグッときます。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    牧歌的なロシアの田舎村のシーンから始まるが、冒頭からあっという間に戦争のリアリティの渦に放り込まれて、方向感覚を失いながら、ものすごいスピードで展開されていく。ただ悲壮感ファーストの戦争小説というよりは、主人公セラフィマを軸にしたメンタルの成長に注目するだけでも楽しめる、1人の少女とその仲間たちの冒険活劇。傑作。

    4
    投稿日: 2025.01.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二次世界大戦の独ソ戦での女性狙撃兵の小隊を描いた作品。 主人公のセラフィマは猟師の娘だったが故郷の村がドイツ軍に襲われ、母を敵の狙撃兵に殺されてしまう。セラフィマを救ったロシア軍の女狙撃兵イリーナに『戦いたいか、死にたいか』と問われ、自身も狙撃兵となるためイリーナが教官を務める訓練学校へ身を寄せる。 母を殺したドイツ人狙撃兵と、母の遺体を焼き払ったイリーナへの復讐心を胸に、セラフィマは狙撃手として戦場へ向かう。 戦争がテーマの作品だが難しかったり重すぎたりもせず、純粋にセラフィマの成長と闘いの物語として胸アツな展開を楽しめた。 セラフィマの闘う理由がドイツ人狙撃兵への復讐から、戦争で虐げられるロシアの女性や仲間を守ることへと変容していくが、ドイツ兵を愛するロシア人女性や、ドイツ人女性を陵辱するロシア兵との出会いでセラフィマの心は揺れ動く。 女性狙撃兵の仲間たちにもそれぞれ闘う理由と背景がありそれらもセラフィマの兵士としての考え方や人生観に影響を与えていく。 戦況が進むにつれて仲間たちを失っていき、いよいよ邂逅した仇のドイツ人狙撃手が人としては小物だったことや、同郷の幼馴染ミハイルの言動に失望したりと、戦争には勝ったけど結局完全に幸せなラストではないんだよなぁ…それでも生き残った面々がそれぞれに戦後の人生を歩んでいくところにほんの少し救いを見出せた。 ある意味1番強かったのはシャルロッタなのかな。 オリガの最期は胸が熱くなった。 分厚い本だけどすごく面白くてどんどん読めるし、最後の方は終わってしまうのが寂しく感じるほどだった。

    3
    投稿日: 2025.01.18
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    小隊の人間模様が魅力的でした。 イリーナの狙撃小隊だけでなく、マクシム隊も。 本作や「永遠の0」などの戦争を題材にした物語は、凄惨で切ない場面も多いけど、友情や家族愛、信念を感じ、心奮えるので好きです。

    4
    投稿日: 2025.01.18
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    今私が送っている日常とはかけ離れている為、リアリティは感じられなかったが、ウクライナの戦争のことを考えると読了しなければいけないと思った。

    0
    投稿日: 2025.01.17
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    1.登場人物 セラフィマ……1942年生まれの少女。狙撃訓練学校生徒。 シャルロッタ……モスクワ射撃大会優勝者。狙撃訓練学校生徒。 アヤ……カザフ人の猟師。狙撃訓練学校生徒。 オリガ……ウクライナ出身のコサック。狙撃訓練学校生徒。 ヤーナ……最年長。狙撃訓練学校生徒。 イリーナ……元狙撃兵。狙撃訓練学校教官長。 2.物語の始まり 人口数十名の小さな村に住む16歳の少女セラフィマ。母親と一緒に小さな村で猟師をしており、村一番の狩人と言われていた。ある日、母親と鹿狩りに出かけた際、村をドイツ軍に急襲された。 3.世界観や価値観 第二次世界大戦中のソ連。セラフィマの住んでいた村は疎開もなく、戦争とはあまり縁のない小さな村、のはずだった。 狙撃兵となったセラフィマは戦争への勝利ではなく、復讐のために戦うとなることを決意する。 そんなセラフィマが配属されたのは、世界でも珍しい、女性のみで構成された狙撃兵部隊だった。 4.物語のキーワードとテーマ 兵士としての女性から見た戦争。 特にセラフィマの所属する狙撃兵部隊は、セラフィマと同じような境遇(家族を殺された等)の者が多い。 そんな中で狙撃兵として前線に赴く彼女らは、どのような心境にあったのか。

    11
    投稿日: 2025.01.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    待ちに待った文庫化で一気読みでした。 期待以上の内容で満足です。 世界史、特に近代史はあまり得意でないので、どの戦いでどっちが勝つかも知らなかったので、いい意味でドキドキできたし、歴史を知るいい機会になった。 テーマが戦争なだけに、参戦する前からこの中の何人が生き残るかずっと不安だったけど、そこそこのハッピーエンドで一安心。 にしても、予想外にミハエルとの再会は割とあっけないく感動も少なかったなと思ってたら、最後に至っては。。。 本書ではソ連、ドイツ、アメリカが様々なプロパガンダで国民を鼓舞・誘導してるのを半ば前時代的であるかのような書き方な印象だったけど、ロシア・ウクライナ戦争みてると、その頃から人類は何にもかわってないのね。とても残念であり、寂しくもあり、怖くもありますね。 物語的な側面、歴史書的な側面、道徳書的な側面。いろいろな観点でいい刺激をもらえる一冊でした。

    9
    投稿日: 2025.01.16
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    2022年『本屋大賞』第1位作品。 ソ連の小さな村で暮らすセラフィマ。 ドイツ軍に故郷を奪われ、女性赤軍兵士・イリーナに救われ、女性狙撃兵として復讐に生きていくことに… イリーナ率いる女性だけの狙撃小隊がドイツ軍に戦いを挑む。 戦場、生命が簡単に失われる世界。 そんな世界に身を置く女性狙撃兵たち。 文字通り一瞬が命取りに… 『生きる』ことがどれだけ重要か… 『生命』あってこそだ。 ロシアとウクライナ、そんな関係だったのか… ロシアとウクライナの友情は永遠に続くのだろうか…と。 現状に胸が痛む… 日本が太平洋戦争の最中、ヨーロッパではナチスドイツがソ連と戦っていたんだな… なかなか知らない部分だった… ソ連側から見た第2次世界大戦はこうだったのか… この後、シベリアから満州へ。 戦争はあってはならない、これだけの生命が奪われる戦争は。

    26
    投稿日: 2025.01.16
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    「同志小女よ、敵を撃て」 面白かったあ、、、 読みはじめは 「なんかロシアの難しい名前ばっか こんなん読めないかもwww」 って思ったんだけど、 展開のテンボの早さに どんどん引き込まれていって 5時間一気読み。 さすが本屋大賞受賞すごい。 戦争の中でのスナイパーの緊張感 交錯する戦術の綾 兵士のそれぞれの生きざま もう全部書ききってくれてる。 読みごたえバツグン。 楽しめた!!!

    0
    投稿日: 2025.01.15
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    12/30〜1/13 すごい、ただこの一言に尽きる。 初めて「また読みたい」と思える本に出会えた。 とても良かった。本屋大賞、納得です。 「分厚いな〜」「読み切れるかな」「重い話かな」と、本を買う前は少し躊躇したが、余計な躊躇いでした。 戦争をテーマとした本ではあるが 他の戦争物語と比べ、戦争の残酷さに重きを置いた話でもなく、また 戦争の残酷さを分かりやすく/直線的に伝えている話でもない。 (と感じた。私が広島県民ということもあり、激しい内容の物語をいくつも見てきたせいもあるかも) だけれども?だからこそ?、この本を通じて考えさせられることが沢山あり、繰り返しにはなるが、この本に出会えて本当に良かった。 偶然ロシア・ウクライナの戦争と本の発行が重なってしまい、作者の方はしんどい思いをされたそうですが、この本を書いてくださりありがとうございます。と伝えたい。 以下、個人的に印象に残ったシーン ・戦車犬の存在 ・セラフィマの心境の変化 (狙撃スコアを誇らしげに語る姿) ・オリガの最期 ・セラフィマとイリーナの関係性の変化 はあ、、読み終わったあとの余韻がすごい、、笑

    3
    投稿日: 2025.01.13
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    第19回本屋大賞 第11回アガサ・クリスティー賞 第19回キノベス!2022 第1位 第8回沖縄書店大賞 第9回 高校生直木賞 独ソ戦においてソ連に女性狙撃部隊があったことを知らなかった。そのための訓練校まであり、狙撃術の講義や訓練などの想像したことすらない世界にすごいな、、、と恐ろしく思った。 女性狙撃手といってもそうやって特別に訓練されたものであって、元々は皆普通の少女たちなんだということがわかる。 もちろん女性に限らず、兵士となる人は普通の人であり、戦争がなければ歩めた人生を誰もが奪われたことに猛烈に悲しみを覚えた。 実戦がはじまってからは、戦闘の描写が多いのでおもしろいという感想はないし只々悲惨。 そこに女性狙撃手同士の関係や、セラフィマが憎むべきイリーナ、イェーガーへの見方の変化などが物語の面白さとして加わる。 更に、作者は戦争は人を変えてしまうという恐ろしさを伝えていてボリュームのある内容。 兵士たちは戦後もその後の人生を変わってしまった人格で生き続けたり、PTSDに苦しみながら生涯を終える人もいる。 戦争は終わっただけでは終わらない

    47
    投稿日: 2025.01.13
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    戦争小説。 ソ連国内の戦況が描かれている。書評では現代主人公が今戦争を行なっているように感じられるとあったが、私はそのような親しみを込めて読むことは出来なかった。何度も読み辞めようとした。 もっと辛辣で、生の怨念のようなドス黒い戦争の闇が、この筆圧からは軽く見られているような気がしてしまう。 ミステリのような作品として読むならば超大作だが、 生きることを肯定した作品ならば、 引用している兵隊の文章も浮いている。 偽善を感じさせない風に描いて欲しい。 多分主人公の気持ちを体現するキャラクターが多すぎて、蛇足の言葉が多いのかな、とも思う。 ちょっとした言い回しも、この表現は自分的には違うなと思ったシーンがあったりした。 狙撃兵となった少女は、果して閉ざされた国ではドラマのような気迫や葛藤は生まれるものだろうか。これは偏見かもしれないが、これこそ無の境地になった少女は無感情ではないのか。 変なことを言えば、狙撃者同士で味方でも殺し合いがあったりしないだろうか。助け合ったりするのだろうか。 テーマが難しいが故に、敗戦国日本の子孫である私は、その辺のリアリティが理解できない。偽善に感じる。 戦争はもっと残酷なものではないのか。 辛辣に描いてすまない。 戦争はそれ程辛いものだということを言いたい。

    4
    投稿日: 2025.01.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    敵軍ドイツに家族を殺され、故郷を失った少女たちの葛藤や死と隣り合わせの日々でも果敢に立ち向かう姿は心苦しく、早く戦争が終わって欲しい。と願いながらも、物語の中で彼女たち(特にセラフィマ)が成長していく姿は、読み終わるのが勿体無く思えてしまうほど、純粋で美しく優しいものがあった気がする。戦争に駆り出された若者たちの中には、どちらの国にもセラフィマのような子たちが居たのだろうか。 初めて"読後の虚無感"を感じ、次の本を読み始めるのになかなか時間がかかりそう。

    7
    投稿日: 2025.01.13
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    登場人物はそれぞれに深い理由や意味があって兵士となり戦争に参加しているが、狙撃兵としていざ敵を撃つ際には、自らの理由や敵に対する感情は切り離して、ひたすら射撃のテクニック面にのみ自らの心情を置くことが求められることに自ら矛盾を感じつつ、最後まで苦悩しながら自分としての在りようを求めていることが感慨深い。

    5
    投稿日: 2025.01.12
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    相手の物語を理解する者が勝つ。 その意味で、誰よりも他者の物語を理解していたのはオリガだね。敵味方の区別なく。 減っている荷物で瞬時に理解して作戦立案とそれを押し通す政治力。 そんな力量を持った俳優の主演映画、エイゼンシュテインの監督作で是非見たかったですね。 それはポチョムキンをも遥かに凌ぐ反戦映画になったことでしょう。 そう、そのオリガにも物語があった。 誰もの物語を理解したオリガは、自然と物語を知りたがった。そして容易く理解していく。 オリガの強さは自身の職務と物語が『女優の仕事』として一致していたことにあるのかもしれないね。 エイゼンシュテインの監督作で名を挙げチャップリンと肩を並べたあとは映画監督にもなっただろうよ。 さてはて、私の物語とは何だろうね。その時私の敵とは誰であるのか。 愛する人は見つけた。趣味も生きがいもある。 そうだ、私は闘ってはいなかったのだった。 ネジ職人の如く、私はありたい。

    6
    投稿日: 2025.01.12
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    戦争について考えさせられました。 そしてそこには様々な思想があり、それは見る角度によっては正当化される考えがあるのだと感じました。

    5
    投稿日: 2025.01.12
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    素晴らしい作品。文庫化を待ってました。ただの戦争小説ではなく少女達が狙撃兵となり女性目線での人間関係、主人公セルフィマの復讐の意味が分かった時は鳥肌が立った。イリーナとセルフィマの絆も感動的。

    21
    投稿日: 2025.01.12
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    ずっと読みたいと思ってたので、文庫化を機に。 正直読んでいて辛いと感じていましたが、それでも先が気になり、かなり引き込まれました。 一瞬で大量の命が失われる戦争の恐ろしさ…復讐のため、国のため、戦わざるを得ない環境の恐ろしさを痛感。 物語としては、最後まで女性を守るために戦ったセラフィマ、生きる目的と手段を与え、厳しくも常に守ってくれたイリーナに感動しました!

    20
    投稿日: 2025.01.11
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    ページを捲る手が止まらなかった。戦争小説に手をつけるのは初めてだったため、読みにくいだろうと思って読み始めたが全くそんなことはなかった。戦争の残酷さと刹那にかける兵士たちのエンタメの具合が私にはちょうど良かった。 「同志少女よ、敵を撃て」。この"敵"が彼女にとって一体何なのか、その揺れ動きがものすごく人間臭く感じた。セラフィマだけでなく各々にそれがあり、読者を置き去りにしないものがあった。 また私は男女の差で済まされるものでは無い卑劣な戦争での女性への扱いをズバッとかいてくれた小説に出会えてよかったと思っている。知識として、ではなくしっかりと想像させてくれることによって悲惨さが私の脳内に焼き付いている。

    4
    投稿日: 2025.01.11
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    残酷な世界が戦場にはあって、この瞬間も世界の誰かが目の当たりにしていると考えると本当に恐ろしく、二度と起きてほしくないと思った。

    1
    投稿日: 2025.01.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み進めるなかで色々と思ったことがありましたが、一番強く残っているのは戦争の残酷さです。 戦時中という異常な状況が、人の倫理観を歪めるのではなく、倫理観を何かで塗り潰すのが、本来の人の持つ憐憫を消しているのだと感じ、戦争が恐ろしくなりました。 政治的主張をしたい訳ではないのですが、現在の日本の内外の情勢が緊迫化していることに不安を感じています。中国の台湾統一への動きであったり、日本の防衛費増額であったり。 一個人として、運動を起こす訳でもありませんが、日本が動くことになる戦争が起こらないことをただひたすらに祈っています。 選挙に行けという意見もありますが、何が正しいのか、政治がどのように動くことが日本が戦争に関わらなくなることに繋がるのかが分からず、決断を下せません。 イリーナが殺人鬼にしたてあげたという大義名分がセラフィマを守っていたということには、実際に文面で読むまで気づきませんでした。所々に見えるイリーナの優しさや、戦時中の物事に対するセラフィマの思索が好きでした。 戦闘場面もドキドキしながら読み進めました。 ストーリー面でも、戦争と自分たちのの現状について考えるきっかけになるという点でも、良い本だと思います。 おすすめです。

    1
    投稿日: 2025.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争の原動力となる憎悪と非日常の中で道徳心。 憎悪に対して憎悪で応える先に未来は無い。死ぬか戦うか以外の選択肢をどう見つけられるか。 サッカー選手になりたかったドイツ兵と女優になりたかったソ連兵の下りは、一昔の架空の物語から強烈に自分の元に突きつけられた。 仇を取るとは何か。死者に報いるとは何か。を考えさせられた。

    0
    投稿日: 2025.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長さや戦争を題材としてることから、誰にでもオススメできるわけではないかもしれないけど、最後まで読んで本当に良かったと思う。途中、長さゆえに飽きというか、おもしろくないわけではないけど違うものに移りたい欲もあったけど、後半は特に物語に引き込まれた。序盤中盤も感情を揺さぶられる箇所はあり、読み終わった時には登場人物それぞれに対して愛着があり、あとがきでもあったけど、また会いたいと思えた。エピローグはすごく嬉しかったし、ユリアンやオリガ、マクシムが生きてたら、と思うと切なくもなり、改めて現在のウクライナ戦争に対してもしっかり目を向けるきっかけにもなったと思う。シャルロッタめちゃ可愛いしセラフィマがイリーナへ愛を表すキスをしたところめちゃくちゃ良かったです。

    3
    投稿日: 2025.01.07
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    手にして読んだのがウクライナ戦争の真っ只中だったのでセレンディピティを感じた。 主人公の過去のトラウマやそれに打ち勝とうとする成長が感じられるとともに、戦争という大枠の中に一人ひとりの営みや感情があることを改めて知り、戦争の悲惨さを覚えた。だからといって戦争が治るわけではないし、その大枠に呑まれて戦死する人を具に捉えることはできない。他人事とも思わず、かといって感情を揺さぶられず、日々を穏やかに努めたいと思った。

    3
    投稿日: 2025.01.07
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    文庫が出たので遅れ馳せながら。 この時世、このような物語を読むとなかなかに思うことがたくさんあるけれど。 戦争やそれにおいての略奪、殺人もろもろが弱者にとってどれほど悲惨か。弱者とはいっても、戦場に送られる者は死ととなり合わせで、大なり小なりそれにあたるように思う。 こういったことが実際に起こっていたこと、今も起こり続けているのだと思うと悲憤慷慨してしまう。 あらすじは本屋大賞ということもあり多数よせられているので省かせてもらいますが、いろいろと心に残る作品でした。

    35
    投稿日: 2025.01.06
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    第二次世界大戦、独ソ戦争の狙撃兵少女による物語。戦時下では、正しいことは目の前の相手を倒すことが正当化される。ソ連側が主だが相手方のナチ側にも同様の物語があるし、日本もしかり。 今まさに、ロシア、ウクライナの戦争が行われているが同書のように思う兵士達がいることは確かだろう。

    3
    投稿日: 2025.01.05
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    ずっと気になっていた作品だったので、文庫化されたタイミングで購入。独ソ戦の知識は全くなかったけど、文章は読み易くとても臨場感を持って読み進めることができた。現在進行形でロシアvs.ウクライナの熾烈な攻防が繰り広げられているのが信じられない。今こそ戦争文学にもっと触れるべきかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.01.05
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    「私たちは戦争を知っているのか。」 この本を読んでいるとき、そして読み終わったときに率直に感じた感想が上記の感想だった。 私たち、特に若い世代は戦争を知らない。いや厳密には知っている。みな、学校で教えられる。テストで点数を取るために、必死で年代などを語呂合わせで覚える。しかし本当に私たちは戦争が何なのかを知っているのか。そのことを考えざるを得なかった。何万人、何百万人と亡くなったその戦争の一人一人に愛する人や、叶えたかった夢があったのだ。愛する人が亡くなり、夢がついえた悲しみ。さらには、それを奪う側にならなくてはならないそのことへのそれぞれの想い。それに戦争を知らない私たちはどれだけ思いはせることができるだろうか。これは、セラフィマやイリーナといった狙撃隊を中心に描かれているが、他の歩兵大隊や砲撃部隊から見た戦争もまた違ったであろう。もっと言えばドイツ軍の彼らにも成したい想いがあり、それぞれに愛する人がいただろう。誰も間違ってはいない。と感じさせる戦争の異常さ。戦場で死してこそ英雄。昔は死に対する価値観も違ったかもしれない。それでも、日本では平安時代に遡っても愛する人を想い唄い、聖書では愛について語られていた。その愛する人を想う気持ちは時代や情勢で失われるとは思えない。戦争で灯が消える寸前、誰もが愛する人や大切ななにかを想ったのではないか。そういった彼らの想いに戦争を知らない私たちはどれだけ馳せることができるのだろうか。いまや国会議員でさえも国の英霊を敬うことに疑義を唱える時代に生きる私たちは次の世代に戦争のことを伝えていけるのだろうか。この書籍の中でセラフィマやユリアンが見たかった狙撃を極め上り詰めた丘の上からの景色。リュドミラは狙撃しか残らないかの如く語っていたが、私は丘の上から見えるものは、セラフィマや他の皆が生きたかった時代なのではないかと思った。つまり今を生きてる私たちの事である。彼ら彼女らが必死で闘った上に、私たちは生きているのだ。もしかしたら、セラフィマ達からはこの景色が遠すぎて見えないかもしれない。それと同じように私たちも遠すぎて気づかずに生きているかもしれない。私はせめて、セラフィマ達、未来の私たちのために闘い生きた人たちの方を、丘の上に立った彼ら彼女らの方を向いていける人になりたいと思った。

    5
    投稿日: 2025.01.05
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    人が語ることのないことに 人生があるのだと思う セラフィマが見た事柄も イーマが体験した事柄も ミハイルが感じたことも すべてが異なり、すべてを言葉にできないから、 歴史になったときには、「ウラヌス戦線」などと簡単な言葉になってしまう。もどかしい。 いつも安全な場所から、自分の見たい通りに物事を見て、自分勝手な物言いばかりしている自身を変えたいと思う一冊でした。

    1
    投稿日: 2025.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争×海外が舞台ということで難しそうな印象を抱いていたため、敬遠してたけど文庫化していたので購入 「難しいそう」という印象とは反面、物語として、とてもシンプルかつ分かりやすい展開で、いい意味で裏切られたと共に、もう少し世界に対して知っておくべきだと思いました ソ連とドイツの戦争を舞台の今作品、 自分は「文庫化されてたから読んでみよう」と 特に大きな動機なく読んだけど、読み終わるまで、自分がこの小説を読んでいる間にもロシア・ウクライナでは戦争が続いていることに全く意識していなかったことにハッとした 日々ニュースをチェックしていないこともあるけれど 働いてる時 紅白を見て年を越してた時 仕事初めに憂いている時 日常を送っている間に海を超えたどこかでは 人々が戦争をしている 悪いことではないのかもしれないが、 平和ボケしている自分に嫌気が差しました 自分が戦争を止めることは出来ないと思うが、 「現状を知る」ことに最低限努めたいと思います また、戦争がなぜ繰り返されるのか、についても考えさせられる作品でした この作品に限らず、国籍問わず様々な立場の人が様々な形で戦争の悲惨さを訴える中、世の中はなぜ同じ過ちを繰り返すのか 一つ一つの戦争の原因は調べれば出てくるのだろうけど 「真実は人の数だけ存在する」 という、『ミステリという勿れ』で主人公が発した台詞が通じるのかもしれないと思いました 立場、価値観、考え方、etc 様々な点で異なる両者が語ることは 同じ事柄に対して説明していたとしても微妙に齟齬が生まれる (戦争で言うと、そもそも武力行使という方法が間違っていることは言うまでもないが) 自分には大きなことはできないけど、 事実を知る努力は出来る そこから始めてみようと思える小説でした

    0
    投稿日: 2025.01.05
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     2022年の本屋大賞受賞作品でした。当時、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって数カ月の頃でしたから、かなり話題になりましたよね。  ドイツ軍に、住んでいる村を攻撃され、近隣の人たちや母を殺されたセラフィマは、後に狙撃訓練学校の教官長となるイリーナの反撃によって、その場を救われます。でも、その時のイリーナの言葉が激しいです。「戦いたいか、死にたいか。」  「死にたいです」と答えたセラフィマの前で、イリーナは部下にセラフィマの家を焼かせ、母の遺体を火に投げ込ませます。  再度、戦うか死ぬかを問うイリーナに、セラフィマはこう答えるのでした。「ドイツ軍も、あんたも殺す!」  胸にイリーナへの復讐心を抱えながら、セラフィマは、イリーナの指導を受け、着々と優秀な狙撃兵になっていきます。訓練の描写が具体的で、銃や狙撃について詳しく書かれています。人殺しの訓練をしているのですが、狙撃の技術について、興味深く読めます。  セラフィマは、実戦に出るようになり、成果をあげていきますが、一緒に訓練をし、共に戦う女性狙撃兵たちは、戦いの度にどんどん死んでいきます。銃撃戦で撃たれた戦友の体に、さらに銃弾が当たり、顔の原形が無くなっていくといった凄惨な描写がされます。彼女たちの経歴を読んで知っている読者に、戦闘の残酷さが伝わります。  読むのが辛くなる描写も多いのですが、なぜか「読まなければ」という使命感のようなものを感じていました。500ページほどある厚い本でしたが、読み始めると毎日、疲れ切るまで読んでしまい、数日間で読み終えました。  救いは、戦後のセラフィマとイリーナを描いたラストシーンです。そっとしておいてあげて欲しい。そう思いながら読み終えました。  当時、何人かの友人たちに勧めて、本を貸してあげました。  読んだほうがいいと思います。 未読の方は、文庫化された今、ぜひに。

    267
    投稿日: 2025.01.04
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    戦争における兵士の主軸が女性である物語ははじめてで、手に取りました。戦禍における凄惨さや登場人物の熱や息遣いまで感じるような場面描写に、読み進めたい気持ちと怖い気持ちの両方を感じながらページを捲りました。 未だ戦時下にある国の人々へ想いを馳せる機会を与えてくれたように思います。

    11
    投稿日: 2025.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    母をドイツ兵に殺され、ロシア人狙撃兵イリーナに村を焼かれたセラフィマ。 そんな彼女が彼らに復習するべく、狙撃兵となり大祖国戦争を戦い抜く。 その過程で出会いや別れ、再開があり、最終的には復讐という目標を達成する。 非常に面白い作品だった。 もともと戦争、特に第二次世界大戦に関し、ある程度の造詣があったこともあり読みやすかったように感じる。

    3
    投稿日: 2025.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二次世界大戦中に、故郷と両親を失った少女が、女軍人に導かれ狙撃手となり、前線から退いた後の話 なんともきつい話であるが、文章としての読みづらさはさほどない 処女作というのも納得だ しかし、歴史物が苦手なわたしが一気に読むことができた そのくらい、吸引力の高い作品であると感じた ウラヌス作戦でのアパートの最後には、涙せずにいれなかった 学生であった狙撃兵の少年と、家族を失いながら我が家を要塞にした軍人 そこに存在する歪な状況で生まれた、確かな愛情 同志少女よ、敵を撃てとはよくいったものである あなたにとっての敵は何か あなたの行為の動機を階層化しろ あなたには愛する人あるいは没頭できる趣味があるか やるべきことは目の前のことである ただ、目の前のことを判断するためには、確固たる自分の信念が必要だ

    1
    投稿日: 2025.01.03
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    文庫化を待って、読了。出版前から評判が高く、 楽しみにしていた。う〜ん、期待が大きかっただけに、テーマの違和感を感じて、ちょっと残念。

    2
    投稿日: 2025.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本を閉じて、暫し瞑目。 セラフィマの歩んだ壮絶な道程、ラストに与えられる……登場人物というよりは読者たる私に与えられるささやかな、しかし確かな、力強い希望。 そのぬくもりをなんとか握りしめて余韻に浸る間もなく、文庫化によせた作者あとがきの慟哭が突き刺さる。 最悪の形で同時代性を獲得してしまった作者の苦しみは想像もつかない。 逢坂先生が悪いことなんか何も無いんだけど、苦しいだろうな……というのがもう、痛いほど伝わってきて、キツい。言葉が軽いけど、心底キツい。 ……。 それでもこの物語は本当に面白かった。めちゃくちゃ面白かった。面白いんだよな……! 戦争の話だからそれはもう一歩進むごとに辛さが押し寄せてくるんだけど、全然止められない。 喪失から訓練から実戦から勝利から……最後の最後でタイトル回収した時の、煮えたぎりすぎてスン……と静かになった自分の感情とか。 ラスト近辺の魔女二人のあれやこれやは素直にドキドキしました。最高。

    2
    投稿日: 2025.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んだことのないジャンルで不安でしたが、年末年始で一気に読破しました。 読んでよかった。人間として、女性として生きていく上で読むべきだと感じました。 それぞれにとっての「敵」がいて、戦いがあって、正義もそれぞれで。日本では戦争が起こってはいないけど、今この瞬間も、世界では起こっている。私と同じ人間で、女性で、同じような夢を抱いて、日常をおくって。そんなことを考えていると胸が苦しくなります。 普通の日常がどれだけ尊いものか。悩み苦しみながらも自分が思い描く未来に近づくことができる日々がどれだけ幸せなものか。 日々に感謝して生きたい。ありきたりだけどそう思いました。この本を書こうと思ってくれた作者さんに感謝の気持ちを送りたい。私たちには知る責任があると強く思わされました。

    2
    投稿日: 2025.01.03
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    外交官となり、国を繋ぐことを夢見た普通の少女が狙撃兵となり、修羅場を潜り抜けていく。 兵士となった少女の言動や心情の変化を丁寧に描き、戦争の異常性が生々しく描写されている。ウクライナ侵攻の件(兵士の略奪や強姦の話)も相まって、異常な環境はどんな人でも全くの別人に変えてしまう可能性を秘めていると強く感じた。 戦争により変貌を遂げてしまった、盗みや性暴力に走る兵士たちに対して、嫌悪感とともにどこか矛盾した感覚にも陥る。 また戦闘描写も本書の魅力で、手に汗握るような怒涛の展開に引き込まれた(というか実際にページが手汗で滲んだ)。

    1
    投稿日: 2025.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み始めた時点で、自分の歴史の知識やら政治の知識の低さを目の当たりにしてしまい、まず戦時中のことから勉強しなおす羽目に…。 しっかり基盤の知識を持ってして読まないといけない本だと思いました。 全体の話の流れは戦争小説で、戦地を生き抜いた主人公セラフィマのお話。 女性狙撃兵として参戦した独ソ戦が展開されていくけれど、実在した人物が出てくる辺りで物凄く現実味を感じる。 そして次々に倒れていく敵味方の兵士たちや、仲間だった女性狙撃兵たちの最期を目の当たりにすることで読み手側にも「これは過去に現実に起こっていた光景なのだ」と皮膚レベルで感じるほど。 タイトル回収に触れる方が多いですが、セラフィマが兵士となった時点で「敵とは何なのか?」に焦点が向かっていくのを感じました。 思えばセラフィマは女性が恋愛対象だったから、子供の頃からの幼馴染に恋愛感情は持たず、漠然と結婚するのだろうな、という事実しか思い浮かばなかったのかなと。 それを思うと、更に生きにくい時代だっでしょうに。それでも生き抜いたセラフィマに思いを馳せずにはおれませんでした。 【追記】 イェーガーが最後に言った言葉の真偽は明確にされてませんが、セラフィマは嘘ではない通訳をしたと思っています。 イェーガーにとどめを刺さなかった事にも現れてるのかな。

    9
    投稿日: 2025.01.02
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    表題の敵とは何なのかを強く考えさせられます。 平和が戦争の間とならないよう、一国民としてもやれる事はあると思いました。 「その言葉に自らの悲しみが収斂してゆくのを感じた。」 「丘の上に立とう。」

    19
    投稿日: 2025.01.01
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    戦争によって故郷と親を目の前で失った少女セラフィマが、兵士イリーナとの出会いにより、狙撃兵の道を選び、戦争の最前線に巻き込まれていく…。 戦争の凄惨な描写が多く、心が沈む場面が多かったが、同時に展開が気になり、ページをめくり続けた。 まるで映像を見ているかのように情景が浮かんだ。 セラフィマを通して、戦争の異常性について感じとることができた。セラフィマは、当初自分に人を殺せないと思っていたが、狙撃兵となり、敵兵士を倒した数に誇りをもつようになってしまった自分に気づき、自己嫌悪に陥る。 「自分が怪物に近づいてゆくという実感が確かにあった。しかし、怪物でなければこの戦いを生き延びることはできないのだ。」 この2文が、戦争が人をどう変えるのか、端的に表していると感じた。 怖かったのは、最初は撃たれた牛が血しぶきをあげる場面ですら読むのが辛かったところが、だんだんセラフィマが敵兵士を撃ち殺すことを応援するような気持ちになった自分に気づいたこと。ある意味わたしも怪物になりかけていだと感じ恥ずかしかった、、 セラフィマにはイリーナという怪物にならないよう引き戻してくれる存在がいた。もしそのような存在がいなかったら?自分を保つためにはどうすればいいのか? 戦争そのものの異常性、それに人間がどう取り込まれていくのか、どう向き合うべきなのか、考えさせられる作品だった。

    6
    投稿日: 2025.01.01
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    文庫化されたので読んで見ましたが、正直なところ好きではない描写が多々ありました。ただ、それらを含めて戦争という狂気に身を置かざるを得なくなった少女たちの気持ちの変化もよく描かれていて、読んで良かったと思いました。 あらすじ ドイツの奇襲で始まった独ソ戦。その戦火は、モスクワ近郊イワノフスカヤ村に暮らす少女、セラフィマの元にも迫っていました。 ある日、母と猟から村に帰ってきたところ、村はドイツ軍に急襲されて村人は惨殺。一緒に目撃した母も目の前で狙撃手に撃ち殺されてしまいます。自身も捕らわれて射殺される間際、赤軍がドイツ軍を追いやり救われますが、その赤軍のイリーナ上級曹長に我が家と亡き母の遺体を焼き払われて問われます「お前は戦うのか、死ぬのか」と……「殺す」……セラフィマは、母を殺したドイツの狙撃手と生まれ育った村に火を放ったイリーナに復讐を誓い、同じ境遇の少女たちと狙撃手になる訓練を重ねていきます。そんな折、やがて独ソ戦の転換点となる熾烈な市街戦が繰り広げられているスターリングラードに赴くことになります……。 戦う理由、戦う相手、敵とはいったい何なのか?そういうことが、女性を主体に物語が書かれていて、セラフィマの心境が変化していく様もよく書かれていたかな。最初は復讐心から始まっていましたが、P135で、セラフィマがシャルロッタとの会話の後、他の女性たちを守りたいという考えが芽生えるシーンが、この小説のキーになっていると思いますね。ただ、最近のジェンダー問題に気兼ねしすぎているような気もしますが……同郷の幼馴染の件は、なんとかならなかったのかなと。ちょっとドン引きして、一度本を閉じましたが、最後まで読み切って良かったと思いました。表紙のイラストから、ノーベル賞作家のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』を読む前から想像していたのですが、上手く作中に落とし込んであったと思います。 ところで、P567の11行目「…帝国日本もまた無条件降伏し、ソ連にとっての戦争は、そして第二次世界大戦は終わった」とありますが、知らない人が読んだら誤解を招くかもしれないですね。ソ連は、8月9日に日ソ中立条約を破棄して満州に侵攻。日本が8月15日にポツダム宣言を受諾して無条件降伏してもソ連は攻撃をやめず、各地で略奪、暴行、強姦を繰り返し、15日以前には戦場になっていない千島列島最北端の占守島に攻め入ったり、樺太でも戦闘をやめようとせず、ようやく8月22日に停戦合意にこぎつけたのに、舌の根も乾かない直後に豊原に無差別爆撃をして避難民が犠牲になったりしてますからね。また、同じ8月22日に樺太から北海道へ疎開させる女性、子供、老人を満載に乗せた三隻の疎開船が、ソ連の潜水艦に雷撃されて多くの民間人が亡くなりました。他にも樺太の恵須取町の看護婦集団自決や真岡郵便電信局の女性局員服毒自決なども起きています。そうした火事場泥棒のように攻め込まれた先々で捕虜にされた人たちは、シベリア抑留の憂き目に遭うわけで……。こんなことを書いたのは、売れている本なので、翻訳されて世界中に広く読まれるようになったとき、誤った歴史が定着する一助になってしまわないかと危惧した次第です。 本作の後に引用文献が掲載されていましたが、西側に偏っているので仕方がないかな。ただ、セラフィマの初陣がスターリングラードという設定なんかは作者に好感が持てますね。ドイツ軍に”夜の魔女”と恐れられた、女性だけの爆撃航空隊の初陣もスターリングラードなので、女性が最前線に出ていく暗喩のようで興味深くもありました。

    38
    投稿日: 2024.12.31
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    進撃の巨人を読んだことがある方は想像しやすい物語なのではないでしょうか。 希望と絶望の繰り返し。。 正直、読んでいて戦争の凄惨さに吐き気を催すようなシーンが何度かありました。(繊細な方は心して読んでいただけたらと思います。)しかし、80年前の戦争をモデルとして描かれているこの物語が今もなお、世界では繰り返し行われ続けているということを現実に突きつけられました。 「敵を撃て」とは敵兵士に向けたものだけでなく、あらゆる(人の愚かさを含む)ものに対して向けられたものであると感じた。

    0
    投稿日: 2024.12.31
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    12/31完読。 本屋大賞だけあり、読みやすい。 戦争の気持ちが悪い部分が良く表現されていた。戦争がいけないことだと学べる

    7
    投稿日: 2024.12.31
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    文庫化待ってました!期待どおり面白いんだけど、面白いっていうだけはなんか違うな、と思いながら読んでいた。偶然によるものとはいえウクライナ侵攻と同時期に発売された本書。セラフィナ格好いい!なんて高揚した途端に後ろめたさが押し寄せる。教科書だと『どこそこで戦争が勃発し〇〇万人が犠牲となりました』の一文で終わる中身を一個人の視点で描き切った傑作。2024年最後に読めて良かった。

    2
    投稿日: 2024.12.31
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    これは…感想書くの放棄しようかと思ったけど、一応書き留めておく。 突然、家族と村を奪われた少女セラフィマが、狙撃兵としての訓練を受け、敵を撃っていく物語。 今まで戦争小説は幾つか読んできたと思うけど、こんなに最前線で戦っているリアルさを感じた本は初めてかもしれない。心理的には読む手が止まりそうになりつつも、実際はページをめくる手が止まらなかった。 戦争は人を狂わすということをわかっていても、実際にそうなっていく様子をこう身近に感じられるようにに書かれるとね。 それぞれが自分の正しいと信じる行動をしようとするんだけど、戦争の最中では全てが歪んでしまうというか、セラフィマも正しさがわからなくなって根幹から揺るがされてる感じが伝わってくる。 p.325の「うっ……」とp.373の「忘れるな。」が印象的だった。 ぐるぐる掻き乱されてる。 年内に読み終えるつもりなかったからブックリストに入れなかったけど、これは更新されるな。

    51
    投稿日: 2024.12.31
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    セラフィマとイリーナ、複雑だけど仲良くね。戦争は理性など関係なくさせる最低な行動、今後は絶対に起きてはならないものだと考えさせられる作品でした。

    1
    投稿日: 2024.12.31
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    世評の高いベストセラー本であるが、小説としての構図は、やや月並みな感もある。日本にとって、第二次世界大戦の時代は遠くなり、同大戦をテーマとして取り扱った文芸作品なども、1970年代くらいまでは、各出版社から多数刊行されていたが、時代を直接体験した世代が去り、戦争を観念としてもろくに知ろうとしない世代へと入れ替わるにつれ、売上げへの寄与が見込まれなくなり、出版ビジネスの主要なカテゴリーとしての地位を失っていった。そして、戦争の実態への無関心をさらに助長することとなった。 そして、たまに思い出したように、戦争の現場についての作品がベストセラーになることがある。この作品もそういう流れの中で、出版界のコマーシャリズムが作り上げたもののように感じる。 ただ、本書は作品としては(やや長いとは思うが)十分面白いには違いない。

    16
    投稿日: 2024.12.31
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    文庫化されたので購入。解説のとおり、しっかりとした歴史考証に裏付けられたベースとなる史実、加えて、魅力的な想像上の登場人物達が存在し、戦争という非日常をこれまで描かれなかった狙撃兵たる女性の目線で物語は展開される。 ソ連では、生き残った兵士の多くが戦後の日常に馴染めず精神に不調を来した。命の大切さに気づけば、命を奪った苦しみを感じるのが人間であるから。やるせない。平和な世界が戻り、続いていくことを願う。

    7
    投稿日: 2024.12.31
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    女性目線で見る戦争の景色。ロシアとウクライナの終わりの見えない戦争。 命と向き合う。ただそれだけが今世界に求められている在り方であり、各々の人生を賭けた問いなのかもしれない。 本冊では多くのことを学んだ。上記のような俯瞰的な事柄と、目的を達成するための動機付けは階層化することでより頑健なものとなるということ。

    3
    投稿日: 2024.12.31
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    初めての逢坂冬馬さん。3年前ぐらいに本屋で見かけた外国人女性の真っ直ぐな視線のジャケットが印象深く、今回文庫が出たということで買いました。 物語は自分の故郷がドイツ軍によって壊滅・愛する人たちも殺され、そこで出会ったドイツ狙撃兵に復讐をすべく、自ら狙撃兵として参加していく。 そこで出会った女性たちは「何のために戦っているか」と胸に秘めながら実践へと駆り出される。ただ状況も状況。時に『悪魔』へと変貌...。 『悪魔』へと変貌した箇所も垣間見れ、自分を維持することの難しさを痛感。何人も何十人も撃ち殺すだなんて、今では考えもつかない。気が狂うだけ。 「戦争は良くないよね」とよくいう言葉。 それがとても軽率に感じてしまった。どう言葉を使うかが分からなかった。 過去に起きたことを二度と繰り返す人間の愚かさよ。 読み終わったあと、人間の学ぶ能力が足りなさすぎるから歴史は繰り返すんだろうか? 戦争はそういった『問い』を繰り返す永遠の課題なんだろうなと思いました。

    19
    投稿日: 2024.12.30
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    第二次大戦下、ソ連軍にナチドイツと戦った女性狙撃手達がいた。彼女らはなぜ兵士となり、何のために戦ったのか。 エンタメでもありますが、現在も起こっている戦争への警鐘としても、多くの人に読んでほしい。

    1
    投稿日: 2024.12.30
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    普通の田舎娘だったセラフィマが戦争に身を投じる中で考え方や感情が徐々に変わっていく様子が丁寧に描かれていた。

    0
    投稿日: 2024.12.28
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    戦争とは何か。なぜ戦うのか。敵とは誰か。 これは優秀な女性狙撃手たちがそれぞれの思いを抱えて『敵』を倒していくお話。 敵は本当にドイツなのかナチなのか。 一体何の為に戦っているのか、読んだ人が感じて答えを導き出せば良い。 女性の感情の描写が少し弱いが、独ソ戦についてより詳しく知る事ができるのでおすすめです。

    0
    投稿日: 2024.12.28
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    話題作の待望の文庫化 戦況を頭の中で展開するのが難しく感じる場面もあったが最後まで面白く読めた タイトルの[敵]とは何だったのかを考えさせられる 今の戦争を目の当たりにしている作者の心中を想像すると心が痛む

    0
    投稿日: 2024.12.28
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    比較的穏やかな戦争の物語かと思いきや、少女セラフィマを主人公とする本格的ハードボイルドでした。 途中で読むのを止めるのがもったいなくなるほどのテンポのよさがありました。 読後感もよく、文庫本として手元に置いておきたい一冊となりました。

    0
    投稿日: 2024.12.28
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    今まで戦争に関する本を読んだことがなく、なんとなく読めるか心配で読んでなかったが、本当に読んで良かったと心の底から思う。 どのシーンも読んでいて辛かったけれど、お世話をした犬に爆弾ベストを着させ、相手の陣地に向かわせて爆発させるシーンは本当にしんどかった。 自分がもしセラフィマのように死ぬか戦うか選ぶ立場なら、人を殺す度胸も生きる希望もなく迷わず死を選ぶと思う。 戦うか死ぬか選択しなければいけないという事実が今日も世界のどこかで起きていると思うと本当に苦しい。世界中の人々が毎日安心して暮らせる世の中になってほしいと強く感じた。

    4
    投稿日: 2024.12.28
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    凄まじくて素晴らしい作品だった。 一気に読んでしまって、最後は何とも言えない高揚感と放心状態でした。 タイトルが秀逸シリーズ殿堂入りです。 戦争における敵とは何なんでしょうね?

    7
    投稿日: 2024.12.27
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    本屋大賞を受賞するだけはあるね。 誰が読んでも面白いと思えるほどよくできた内容でした。 おすすめです。

    9
    投稿日: 2024.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    史実を元にした時代小説、それも緻密に作り込まれたエンタメである。 「伏線」のジグソーパズルのピースを主人公が戦場に立つ前に配置し、終盤に説明しすぎなくらい丁寧に噛み砕きながらすべてを回収した。 ミステリー小説でお馴染みのこのパターン。連続事件が起きる間は情報が膨らみ続け、最後の事件から名探偵が散らばった事件を整理し「真実はこうだった」というゴールに向かって収束させていくアレだ。 本作でもパズルのピースをひとつ残らずピタリとはめて狙撃手たちの物語を一枚の絵にして完結してみせた。 無駄を省こうとする美意識からだろうけど、伏線と関係ない情報がなさ過ぎて回収までの先読みができてしまったが、本作が逢坂冬馬さんの「処女作」であることにただただ驚く。 教官のイリーナが”ロシア女性がこの戦争を語るようになった時、私の戦争が終わる”と語るが、まんまアレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」じゃない!と思ったが、しっかりエピローグで同書にバトンを渡してた(同書で紹介されている女狙撃兵が着想の発端かもしれないね)。本書を読みながら僕はもう一冊、「独ソ戦」の巻末の年表も照らし合わせながら読んだ。この3冊を並べた人は多いと思う。 https://booklog.jp/users/kuwataka/archives/1/4004317851 戦場ではあらゆるコンテキストが削ぎ落とされ(どうでもよくなり)「戦うか、死ぬか」の二者択一が突きつけられる。どちらも地獄。人としての尊厳や国民意識といったハイコンテキストは、研ぎ澄まされた生存欲求の前にかき消されてしまう。生きるために重ねられた罪、自身への虐待。そして束の間に戦争以前の価値観が戦争以後の自分を揺さぶる。その揺らぎが”やや直線的”というか、個々人の価値観が揺らがなさ過ぎる(一貫性にこだわりすぎ?)と思った。そこが本書をエンタメ小説にしている。男性が描きがちな”理想の女性像”というか、隙がなさすぎて表紙のように”キャラの枠”がくっきり濃い。それは”生身の女性”とは異なるが、逢坂さんの次作はSFだそうで、ガンダムや銀河英雄伝説の類のSFジャンルの人物像だとこのくらいで十分な厚みとも言える。次回作も読んでみたくなった。

    1
    投稿日: 2024.12.24
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     戦争の悲惨さがわかる。なんていう薄っぺらい言葉では伝わらないことが、この本を通して伝わってきた。‘普通’に生きていること、そうやって生きることができることがどんなに幸せなことか。周りからの圧力のせいでどうしようもなく自分が変わるしかない時、自分の芯だけは守り通すことができるのか。そもそも、自分は芯を持って生きているといえるのだろうか。  戦争を題材にした本を読む時、それを楽しく読むことにすら罪悪感を覚えるから読むのに時間がかかった。今回もどんな感情で読み進めばいいかわからなかったが、ただ凄く引き込まれる文章だった。

    9
    投稿日: 2024.12.23
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    1942年、モスクワ近くの村で狩りをする十八歳の少女、セラフィマ。村人と平和に暮らしていたにも関わらず、撤退中のドイツ軍から攻撃と略奪を受け、セラフィマ以外の村人は殺されてしまう。もちろんセラフィマの母も…。 間一髪で、元狙撃兵のイリーナに命だけは救われたものの、イリーナの死んだ母への亡骸への態度と母を殺したドイツの狙撃兵への復讐のため、セラフィマは、独ソ戦という殲滅戦争に狙撃兵として参加していく。 敵とはだれか、という視点がちょっと驚きの展開になった。本屋大賞とだけあって面白かったけど、面白い、という感想はいいものだろうか…

    0
    投稿日: 2024.12.23
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    数々の賞を受賞した話題作が文庫(電子書籍)化されたのを契機に読み始めた。 「戦争は女の顔をしていない」と同じく独ソ戦、主人公・登場人物が女性兵士という同様の背景で描かれた作品であるが、その作品を読み途中で止めてしまったのとは違い、一気に読み終えることが出来た。 本作が刊行されたのはロシアによるウクライナ戦争勃発と同時期(偶然の一致だが)であることが、本作の読み手にとってもより意味深く感じられたものと思われる。今現在もウクライナ戦争は停戦の目処すらたっておらず、ウクライナに限らず戦争の悲劇は拡大し続けている。独ソ戦の戦場のひとつがウクライナであったことを思うと、プーチン政権がナチ打倒を開戦のプロパガンダに利用し声高に唱えたことの背景も私なりに理解できるような気がした。 今でこそ自衛隊でも実戦部隊戦闘員に女性は珍しくなくなった。以前は戦争における女性の立ち位置は実戦部隊を支える非戦闘員であったり、戦争の被害者であった。しかし、何れにしても戦争に男女差はありえない、どちらも戦争犯罪者足りえるし、戦争被害者足りえる。終戦、退役後も戦争による心的障害に苦しむ兵士が多いと聞くが、その点でも性別による違いはあったとしても男女差はありえない。男女という固定観念で戦争を捉えることは間違っていると、本書を読み終えて改めて思い知らされた。 小説としての奥深さ面白さは無論のこととして、読むことにより色々と考えさせらた作品であった。

    46
    投稿日: 2024.12.23
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    戦争は女の顔をしていない。第二次世界大戦下のソ連を舞台に、家族をナチスに殺された女性の、狙撃兵としての成長と壮絶な復讐劇を描く。確かな軍事知識と時代考察による戦争の凄惨さが胸を抉る。と同時に分かり易いシスターフッド物でもあり胸を熱くする。タイトルの本当の意味が明らかになった時、戦争が齎す真の悍ましさに戦慄する。

    6
    投稿日: 2024.12.22
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    祝文庫化。主人公は大戦下のソビエト女性狙撃兵‥‥この特殊なプロットで本屋大賞と高校生直木賞受賞?と読む前は不思議に思っていたが、それが必然だと確信できる強さを持った内容だった。

    31
    投稿日: 2024.12.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    二時大戦のソ連の側から見た1つの作品。 主人公のセラフィマは村を焼かれて選択を迫られた。言葉は違うが、「敵を殺すか、黙って殺されるか選べ」 セラフィマは結果的に敵を殺すことを選ぶ。彼女には才能があった。戦禍に生きる才能が。 「同志少女よ、敵を撃て」というタイトルから、小説だからか結局彼女の「敵」とは何だったかというレビューを読みましたが、小説の中にいた彼女の敵をそのようには見れませんでした。 お話としては女性を弄ぶ旧友を敵とし殺す、母を蹂躙した師を戦士として殺す、戦いを楽しみ戦果を望む優秀な自分の腕を殺す。 いくつか撃った相手がいましたが、セラフィマはそのいくつかの敵を殺すことで生きれたのだろうか。 エピローグでも彼女は苦しんでいた。 この作品の敵とは戦争だ。戦禍にいた事のない僕は例えば想像するに嫌いな国の女性と無理矢理に性的な行為をしたいなど思わない。 母を殺された事がないから恨む相手などいない。 自身の正義の為に人を殺した事がないから自分を恨む事もない。 戦争が彼女たちを苦しめた。軽く戦争がいけない事と言うことはできないと分かっているけれど、戦争により苦しむのは勝った方にも負けた方にもいるんだ。 強制的に戦争に駆り出される事のない日本人が読んで申し訳ない気持ちと馬鹿にされ続けている国家を運営している方々への感謝が募りました。

    4
    投稿日: 2024.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ロシアとドイツの戦争での女性兵士のドラマを描いた小説。主人公の少女が住んでいる村や村人をドイツ兵が襲い焼き払うところから話が始まる。 生き残った主人公はドイツ軍への仕返しと無理矢理兵士にさせられた女性兵士を恨む。その二つのモチベーションで射撃兵として日々鍛錬と戦争を繰り返す。同じような境遇の女性兵士や男性兵士と仲良くなり闘い合うがほとんどの兵士が途中で簡単に戦死していく。最後はなぜそこまで上司の兵士が彼女を強くさせ戦争で勝つことを執着したのかが分かってスッキリした。 言葉自体は難しい表現があり、読む力が問われたが本屋大賞取るくらい面白いことはわかった。 ウクライナとロシアが現在戦争をしているがそこにもつながり歴史を知る意義を知った。 もっと色んな世界や歴史を学びたいと思わせた一作。 戦争の惨さ、正義のあり方、プロパガンダ、人はもっと色んなことを考えて見ていかねばならない。 あれだけの功績を残した二人の兵士が忌み嫌われて生きると言うのも戦争の惨さなんだと思う。

    1
    投稿日: 2024.12.19
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    戦時でのソ連が舞台ということで中々とっつきにくい感じから始まる。ロシアの知識がなかったので人名も知名もイメージが沸かず読む手も進まない。 やはり戦時下の物語なので初っ端からどんどん人が死んでいく。親類だろうがエリートだろうが関係ない。 戦争てやはりそうなんだろう。都合よく仲いい者だけが助かる理由ない。 残酷な場面を幾つも切り抜け目的を果たしたセラフィマだが、その後が劇的で己のやるべき事をやり抜くんだ。それこそがこの題名の回収でありセラフィマの信念を感じれた。正直この場面のための作品なのかもしれない。 ヨーロッパ戦線で何百万人規模の死傷者がいた事も恥ずかしなから初めて知った。もし次の大戦が起こったとしてもこんな狙撃手はもう必要なくミサイルだけで同規模の死傷者が簡単にでてしまうのかもしれない。 こんな戦争の残虐性を謳った作品たくさん生まれて、人の心に刺さっても、テロや侵略がなくならないのはどうしてなのか単純な疑問が浮かぶ。突然の非日常の覚悟をしておかなければいけない。

    24
    投稿日: 2024.12.18
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    ロシアとドイツの戦争が舞台の本屋大賞にも選ばれた作品。 戦争という極限の中、狙撃兵として「敵」に向かう主人公たち。「敵」が何たるかは色々な側面があるので割愛するが、この 「同志少女よ、敵を撃て」 タイトルに込めた意味は重く、切ないなと感じた。 ただ、特殊な状況下の特殊な任務。個性豊かな登場人物を差し引いても主人公に感情移入出来ず残念

    30
    投稿日: 2024.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とても良かった!物語に引き込まれて、やめられない、止まらない。セラフィマの成長がよく描かれていて、応援できる。 戦争の苦痛に大きな焦点が当たってるわけではないけど、それでも、戦争は絶対いけないと改めて思わされた。亡くなる人が多すぎて、読んでるこちらも麻痺していく感覚。そして、戦っている双方、復讐の連鎖が続いていく果てしなさ。セラフィマがミハイルを撃つという無情すぎる展開。 個人的にちょっと残念だったのは文章かなぁ。素敵な日本語…!という感動は特になかった。けど、物語がとても面白いので帳消し。

    1
    投稿日: 2024.12.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者初読。「イワノフスカヤ村」で母親と猟を行っていたセラフィマは、ある日ドイツ軍に村人達を惨殺され赤軍に村を燃やされた。その双方に復讐するためにソビエト連邦赤軍の狙撃兵となる。著者のデビュー作ということですが、本作で語られる物語はとても重厚で読み応えが凄く大満足でした。戦争における女性の立場はほとんどの場合被害者として表現されるが本作では狙撃兵として敵を仕留めた数を記録されていく。そもそも敵とは誰のことなのか?リュドミラ・パブリチェンコなど実在の人物も登場し、物語は更に現実味を増していく。自作も期待大。

    1
    投稿日: 2024.12.17
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    手に取った瞬間、ページ数と表紙の雰囲気からずしりと重たくて、でもページを捲る事にどんどんと引き込まれ、惹き込まれ重さを感じつつもどんどんと読み進めることが出来ました 狙撃手の、女性の戦争というものの重さを、感じ取れたように思います

    8
    投稿日: 2024.12.16
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    ハードカバーが出たときに買って、読もう読もうと思いながら積読のままでいるうちに文庫になってしまった。今度こそ、持ち歩きながら読もう。書店店頭に著者サイン本が積んであったので、ありがたくそれを買ってきた。

    2
    投稿日: 2024.12.13
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    戦闘描写がとてもわかりやすくて引き込まれた。 ストーリーとしても最後の終わり方が良くてスッキリした。

    0
    投稿日: 2024.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『同志少女よ、敵を撃て』 この「敵」を意味するものを予想できたであろうか。 銃後として扱われることが多い中、狙撃兵としての道を歩むこととなった主人公の、尊厳に係る物語。 また、ロシア・ウクライナの関係について友情は続くのだろうかと記された本書が2021年に刊行されていたことも非常に興味深い。 現在旧ソ連の地において紡がれているのは、誰の物語であろうか。

    6
    投稿日: 2024.11.30