
総合評価
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powered by ブクログ難しい内容もあったが、人間の心の描写や女性の立場からの視点、そして何より、戦争というものの恐ろしさ。多くのことを考えさせられる本だった。
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ静かを通り越して凍てつくような時間の経過がひしひしと伝わってきた。そして冷たい情景とは全く異なる熱い心模様。心理描写に惹きつけられた。 そして、いいラストだった。自分が想像していたどのパターンとも異なるエンディングだった。
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ読者が「復讐」を物語として消費する為には、主人公が理不尽な目に遭うことに対して、端的に説得されなければいけない(と思う)。その意味で歴史は、文脈に納得を与える装置として効果的だけど、現在も地続きにある理不尽なことを想起させて、物語からいつまでも醒めないような気持ちにさせるのだな、と改めて感じた。解説の高橋さんの言葉が素晴らしいので、ぜひ文庫を読み終わってから味わって読んでほしい…。 獣を止めることが出来なかった彼が射殺されて、彼の部下が「彼にとって何のための戦争だったのか」と誰何する場面が、個人的には最も悲しかったけれど、少女の『敵』が何か、最もはっきりと輪郭を持った部分なのかなとも思う。 また、狙撃の感覚を言語化するくだりがとても印象的だけど、キャラクターの背景や思想全てをつらつらと述べずに明瞭に分かりやすく書かれているので、厚い文庫なのに非常に読みやすい。 ただ、色々と考えてしまうので夜更かしして読む本ではないかも……
2投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログまずはみんなの名前を覚えるのが大切! 読み終わった感想は名作でした。 同志よ!戦争は女の顔をしていないはそりゃそうだった。戦争はたくさん死ぬ。思わぬ人も死ぬ。 きっとわたしが主人公たちの立場だったら最初に殺されるなぁと思った。
2投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ圧倒的、時代考証の末に書かれたとわかる作品のため臨場感が桁違いです! あらすじにある、復讐のために銃を手に取ったという個人的感情から、だんだんと自分で考え進むべき道を見つけていくという展開に読む手が止まりません。 同志という言葉、作中の中でも何度も出てきます。この意味を読みどうして同志という言葉を使うのか、敵は誰か、人を殺すことは精神的に影響を与える葛藤をうまく表現されています。 登場人物の背景に人間味も感じて、面白いです。 かなりの長編かつ地理や戦争背景の説明もあるので、本屋大賞作品だ!!と気軽に手に取り読むものでなく、しっかり読む時間を取って読むことをお勧めします! また、独ソ戦争や戦争武器についてもっと詳しければ、もっとのめり込んで読めただろうに、、と知識不足を少し後悔してます!
2投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
親と故郷を戦争で失った少女が、復讐のために狙撃手になり、争い中で正義や信念、女性の尊厳、そして生きる意味とは何かを模索していく。登場する主人公と同じ境遇の女性たちが皆それぞれに魅力的。 そして改めて戦争は人間を狂わせてしまう恐ろしいものと感じた。現代でもどこかで起きていると思うと胸が痛い。
1投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・まずは、この本を書き上げるまでの調査、時代考証、エンタメとしての肉付けを行ってくれたことに感謝したい。 ・特に印象に残ったのは、主人公セラフィマと看護兵ターニャの対比である。最初は、まあ看護兵もいるわな、くらいの感覚だったが、その正体は、狙撃兵として生きることを選択したセラフィマに対して、人を生かすことを選択した対比的な存在であった。そのルートもあったわけで、そんなターニャが戦時中は敵味方関係なく助け、戦後はドイツ人の子供を引き取り、結婚を経験し、看護師長という社会的な存在として描かれるのは、大きな対比だと思う。ターニャが描かれるからこそ、狙撃兵として生きることはあくまで一つの選択肢であると感じたし、一方で、狙撃兵としての人生をより詳細に受けとることができたと思う。 ・また、圧倒的な筆力が印象的であった。戦争中の描写には、ひたすらに迫力を感じる。ロシア語の名前、情景描写、作戦理解はやや負荷が大きい部分がある。それでも、のめり込んで読むほどに面白かった。
2投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ戦争とは何か 命とは何か 狙撃兵とは何か 戦争が終わった時、最終的にどうなるのか とても考えさせられる小説でした 是非みんなに読んでほしい
2投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログ戦争は本当に恐ろしい。 外交官にサッカー選手に女優になりたい、当たり前に夢や希望を持っていた若者が殺し合う。 とても考えさせられる作品でした。
13投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦。ソ連の女性の狙撃兵が主人公となる。悲惨な舞台の中で懸命に生きていく女性隊員の姿が格好良かった。 戦争小説なのでかなり悲惨な描写があったりと気分が悪くなる点もリアルに感じられた。
11投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ戦争。戦争はヒトを異常に変える。戦争は人の考えをいとも簡単に異常なものにする。戦時中、人は異常な自身を正当化しないと生きていけない環境になる。 全ての人が、人の尊厳を・命の尊厳を第一に考えないと戦争は防げない。これまでの戦争小説とは異なる視点で戦争を学ぶことができた一著。
1投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この小説は、1942年のモスクワ近郊の農村から始まる少女セラフィマの物語だ。ドイツ軍の急襲で母と故郷を失った彼女が、復讐を胸に赤軍の女性狙撃兵(実際百万人戦場に赴いたという)として戦場に立つ姿を描く。戦争の残酷さと人間ドラマが交錯する中で、読者は「敵とは何か」という深い問いを突きつけられる。 まず特筆すべきは、圧倒的なリアリティだ。著者の逢坂冬馬は、史実に基づく緻密な描写で独ソ戦の苛烈さを再現している。狙撃手の技術や戦場の空気感、極寒の東部戦線の過酷さ——これらが細部まで丁寧に描かれ、まるで自分がその場にいるかのような臨場感があるし、淡々と史実に沿って悲惨な戦線を説明されている気分に陥る。女性兵士たちの視点から見た戦争は新鮮で、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』に着想を得たというだけあって、男性中心の戦争叙述とは異なる感情の機微が際立ちラストの主人公のとんでもない行動に繋がる。 キャラクター造形も素晴らしい。主人公セラフィマは、復讐に燃える少女から、戦いの中で成長し葛藤を抱える人間へと変化していく。その過程で出会う訓練学校の仲間たち——個性豊かで、それぞれに背負った傷がある少女たち——との絆は、シスターフッド(姉妹愛)の要素として作品に温かさと深みを加えている。教官イリーナの冷徹さと内に秘めた情も、物語に複雑な陰影を与えるし、過酷な戦争の真実は登場人物が全員心に大きな傷をもったことからもうかがえる。 ストーリーは単なる戦争アクションに留まらない。復讐という個人的な動機から始まり、次第に「誰が真の敵なのか」「戦う意味とは何か」という哲学的な問いへと広がっていく。特に終盤の展開は息を呑むほど劇的で、タイトルの「同志少女よ、敵を撃て」が持つ意味が明らかになったとき、戦争の無意味さと人間の尊厳について考えさせられる。 一方で、戦争の残虐な描写や重いテーマゆえ、読み手を選ぶかもしれない。約500ページという長さもあって、気軽に手に取るというより、覚悟を持って向き合うべき作品だ。しかし、その分、読後の余韻は強烈。歴史好きや戦争文学に興味がある人にはもちろん、エンタメとしても心を掴む力がある。
2投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ再読したよ✌️ 史実に基づいたフィクションは好きなタイプだし、女性が女性であるために闘う物語は特に刺さるのでほんとに読んでよかったなって思う! 書きたいことはたくさんあるけど私の考えが強く出てしまうので自分の中にしまっておくね
3投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ第二次世界大戦の独ソ戦のお話しです。 私自身、カタカナの名前や地名が苦手なので海外小説はあまり読みませんが、本屋大賞に選ばれ文庫化を機に購入しました。 多少のカタカナの読みにくさはあり、戦争小説なので心苦しくなる場面はありますがそれでもこの小説を読めてよかったです。 私自身の今までの固定概念を変えてくれた本になりました。
3投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログタイトルの意味が最後に分かった時は震えました。ありきたりの感想かもしれませんが命や生きると言うことについて考えさせられる小説です。
1投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
同志少女よ敵を撃て 敵とはだれなのか。最後にスコープを覗いて撃った相手に震撼。 戦争の中で兵士としての女性の話を読んだのは 初めてで、その目線から見た戦争犯罪は苦しい。 続きが気になって直ぐ読み終わった 他の作品も見てみたい。 ヴィンランドサガに建て付けは似ていた。
1投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ私たちは学校の授業やたくさんの情報に触れる中で「戦争は男がやること」と勝手に紐繋げてしまっているのかもしれない。 本書を読み進めていくうちに、「戦争と女性」について色々な思いや感情が湧き上がってきた。一文一文に込められた筆者の想いと作中に登場するセラフィマたちの想いを感じた。 この本は戦争モノが好きでなくてもお勧めしたい。本書を読んで男女で感じるものは違うかもしれないが、まずは手に取って全ての言葉を吸収し素直に感じてほしい。新しい「経験」を得られると思っている。
2投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第2次世界大戦でのナチスドイツとソ連の戦争の中で、当時は他にはなかったらしい女性兵士たちの戦いが描かれる。セラフィマは何のために戦うのかと聞かれ、女性を守るためと答え、ドイツ兵を100人近く狙撃して戦局の終わりが見えてきた頃、悲しい狙撃をすることになってしまい、女性の敵を撃った。その宿命を背負って、残りの人生を過ごしたが、愛する人と生きがいの両方を手に入れることができた、と納得している。一方でシャルロッタの強さ、ヤーナ(ママ)の優しさ、イリーナの毅然さ、ターニャの格好良さ、オリガの最期の想いなど、登場人物のそれぞれが胸に残る作品になった。
11投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読めてよかった! いつも読み応えのある本を読んでると、読み終わったときに「読み終わっちゃった…」が来るんだけども、「読み終われて良かった」って思えた。 少女の兵士人生の始まりと終わりと、兵士でなくなったその後も人生を続けていくんだと未来を見る終わりで良かった。 スターリングラードで見た『子どもであることをやめた子どもたち』の図はきっとセラフィマたちにも適応されるものなんだろうな、戦争さえなければセラフィマたちにもそれぞれに青春があったのだろうな、と思っていたので、ドイツ人青年兵士のユルゲンの尋問後のオリガとユルゲン対話シーンが余計につらかった。このシーンだけ何回か読み返した。 本当はどんな大人になりたかった?から始まる一連の流れで、自分が国を代表するサッカー選手になっていたのなら、そのときあの女の子は外交官として世界の架け橋になっていたのだろうかってユルゲンが思考して泣くのがつらい。 本当はこうなりたかった、そのはずだった、そうなったかもしれなかった、でもそうはならなかった。それが現実だから、後悔しながら現在を生きるしかないんだなぁ でもって最期までオリガは"女優"だった……。 ケーニヒスベルクの最後が圧巻だった。 『同志少女よ、敵を撃て』のタイトルがずっと頭に浮かんでた。 撃つべき敵は誰か。なんのために撃つのか、戦うのか。 そんなことをするくらいなら死ぬよって躊躇いなく言い切っていたはずのミハイルが周囲に推されて流されて、笑ってそれを行おうとしていたことに、彼自身が言っていた「戦争は人間を悪魔にする」を思い出した。 村で生きていくだけだったらこころ優しくて敏い青年として人生を送っただろうことを思うと、彼を悪魔にしたのはたしかに戦争なんだろうな。 価値観なんてその場その場で変わる物だとよく言われるけれど、同志少女も『これが絶対的な正義です』は示さなかったな。争いに揉まれながら、流動的に生きて自分と赤子の命を守ったサンドラ、看護の道を貫いたターニャ、女性を守る道を貫いたセラフィマ、明るく生きることを貫いたシャルロッタ、それぞれの価値観で生き抜いた人たちの姿がたくさん見られて良かった。 またいつか読み返したいです。
8投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログ臨場感たっぷりで面白かった。その中でも、女性への暴行や敵国への憎悪のような戦争の悲惨さもちゃんと伝わってくる作品だった。 早期停戦を望む。 読み終わった後では、タイトルから違う意味を感じることができた。
5投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでいると続きが気になりすぎる。 戦争の暗い部分も描かれているので、読みたく無いけど読みたいって感じ。
3投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログまず一言…言っていいのかわからなけど面白かった。 何で面白かったって言っていいのかわからないかっていうのは、ノンフィクションを交えた戦争小説だから。 でも主人公たちは実在した人物ではなく、ノンフィクションの中にあるフィクションだった。 もっと第二次世界大戦時の世界情勢だったりとかに詳しかったらさらに面白く読めたのかなって思った。勉強不足。 自分も女性として生きているわけなので、複雑な感情にさせられた。戦争は自分にとっては現実的なものではないけど、登場人物全員の葛藤だったり、熱い想いだったりがひしひしと伝わってきて、心に残る作品だった。 本来は皆可愛くて温厚な人物なのに、戦争がそれを変えてしまう。恐ろしいけど冷たいだけではなく温かい気分にさせられる部分もあった。 ビターエンドであるこの作品は、呼んだ後に心を抉られたような気持ちになる。最初から終わりまで、自分も戦争に参加したかのような疲労感と、達成感がある。 キャラクターみんなが可愛くて、すぐに感情移入できる。没入できる。戦争小説は得意分野ではなかったけど、すぐに読み終えてしまうくらい面白かった。
4投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ十分に面白い。星4.5にしたい。 登場人物の心情が十分に伝わってくるだけでなく、情景や空気感がバチバチに伝わってきた。 作中は常に寒そうだから、寒い時期に読んだのも良かったのかもしれない。 思いついたらもっと感想書きたい。
3投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ところどころ戦争の背景描写が入る。それが読みにくい。 突然入る百合要素……アニメ化しそうな感じがして嫌だった…。必要かな? 狙撃兵について少しでも知れたのはよかった。トランプを引いて、出た数字の位置に走る余興、知らない世界でおもしろいと思った。 戦争の話はだいたいがバッドエンドで終わるが、これは予想を裏切りなかなかのハッピーエンドのようにみえた。こういうのもありなのか…?いや私個人は無しかなあ… 最後まで飽きずに読めたが、この人気は何からなのか少し邪推してしまう。
2投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ共感できない感情が多くてあまりはまらなかったのだけれど、 それほどまでに、少女を同志少女に変えてしまう戦争に恐怖をおぼえた。
1投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初の方は話としては悪くないものの、(おそらくは主人公の年齢を考慮してわざとだと思いますが)会話表現の拙さや、あまりスマートではないように思える話運びに、いまいち乗り切れませんでした。 ただ、中盤以降のストーリー展開、特に第6章の内容はとても良かったと思います。 あの2人は戦争さえなければ本来なら夫婦として幸せに暮らしていたかもしれないんですよね。 戦場ではレイプを止めたら爪弾きにされるというのは残念ながら一つの真実だとは思いますが(ブラックラグーンでも同じ話がありましたね)、ミハイルの場合は立場的にも状況的にも全く必要のない場面でした。 他方でミハイルは部下からの信頼は厚く(この部下も女性を人間扱いしていないのですが)、セラフィマに語った言葉も少なくともセラフィマの主観としては真実であったわけです。 戦争により狂わされた多くの人生を思うとやりきれませんが、悲しいことにこの小説が書かれた直後にロシアによる暴挙が行われてしまい… 戦後80年経っても進歩がない現実には絶望しそうになることもありますが、この物語を読んで平和を願う人が1人でも増えたらいいなと思います。
3投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログハリウッド映画を観ていて「ちゃんと軍事アドバイザー入れろよ」と言いたくなるアリエナイ場面がよくあるが、本作にもそれに近いところがいくつかあり、多少シラける部分もあった。しかし、ストーリー展開は非常に面白い。さすがは本屋大賞受賞作。
7投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログ最初は動物を撃つのも怖がっていたのに、戦争が進むにつれて撃った数をポイントとして数えていくようになるとこに戦争の怖さを感じた。戦争は人を変える。 戦地での男女差別。
2投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルから何となく敬遠していたのだが、文庫化ということで購入。 長いが展開が早く、割と序盤に主要人物と思っていたキャラクターがあっさりと死んでしまったことにより、常に登場人物の死がよぎる緊張感でダレずに読めました。 独ソの攻防を歴史上の出来事としては知っていたが個々の作戦迄は知らなかったし、その中で戦う個々の兵士や一般市民については中々思いを馳せることもなかったため、内容が終始興味深かった。 後書きにて作者自身が語っていた通り、現在のウクライナ情勢と符合する現在だからこそ、今起こっていることの解像度を上げ、考える機会を貰った。当初気が進まなかったけど読んでみて良かったと思いました。
44投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログ戦争をモチーフにした本を読んだのは初めてだったので、途中途中の専門的な用語や説明は想像し難い時もあったが、何より臨場感があり、まるで自分が戦場にいるような感覚に陥った。今もなお世界では戦争が起こっていて、この本で読んだような戦いが繰り広げられていると思うと、のんびり過ごして客観的に読んでいいものなのかと感じた。しかし、何も今までの戦争について詳しく知らないよりは、このような本を通じて考えるきっかけを作ることは大切だと思った。私と同い年くらいの女性たちが、勇敢に、彼女たちそれぞれの目的を持ち戦っている姿は勇ましく、しかし悲しく思えた。戦争のない今の日本に生きていることに感謝したい。
2投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログ私たちは対比させることが好きだ。 討つべき敵と守るべき同志、なすべきことと許されないこと、女性であることと男性であるということでさえ。 主人公の少女は故郷を失い、戦いたいか死にたいかという究極の選択の中、復讐心を糧に戦火に身を投じていく。スリリングな戦闘描写と繊細な心理描写が、私たちを少女の生きる小さな世界に引き込む。 そして、その小さな世界の対比構造は、極めて曖昧なものであると私たちは気付かされる。きっと私たちが生きる現実の対比構造もそんなものなのだろう。 それら全てを乗り越えた先に少女が見たものはなにか。この小説のあらすじを見て「自分に当たる音」がしたら、絶対に読むべき一冊だ。
10投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ自分はなんのためにここへ来た。 何のために戦うか、答えろ。 ーー私は、女性を守るために戦います。 (略) 同志少女よ、敵を撃て。(538p) 本屋大賞1位コンプリートシリーズ。 本屋さんたちは、本の売り上げを伸ばすためにこの賞をつくった。デビュー作にして直木賞候補、しかしながら関連書籍は未だ出ていない。だから爆発的な売り上げは難しいだろう。そのような本を本屋さんが1位に推して「しまった」のは、ひとえに1か月と少し前にウクライナ戦争が始まったからだ。ロシアが、独ソ戦と見紛うような、無謀で大義のない戦争を始めてしまった。この本は、80数年前に何が起きたのか、どういう人たちが生きていたのか、何が問題だったのか、どうすれば良かったのか、多くを答えている。 本書を紐解く前に、岩波新書「独ソ戦」とアレクシェーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」を読んでいた。どちらも本書よりもページ数は少ないが、かなりしんどい読書だった。「今回はもっとしんどくなるだろう」覚悟をしていたけど、杞憂だった。 このしんどい内容を、こう書けばエンタメになるのだ。という見事なお手本がここにある。 前2冊では、2700万人が死んだソ連内の悲惨な状況や、愛国心のみに囚われて戦争に突き進んだ少女たちが描かれていた。一方、本書のセラフィマは外交官を目指していた賢い少女であり、狙撃隊学校に入ったのも、母親と村を殺したドイツ兵と粗末に扱ったイリーナ教官に復讐することが動機だった。 状況を俯瞰的に見渡す知能と、ごく私的な動機で動いていて愛国心を持たない少女だった。つまり日本人が共感しやすいキャラになっていて、とても分かり易い。 そして場面展開があると、読者をあっという間に「現場」に連れて行く。退屈する暇がない。イワノフスカ村では、既に殲滅隊が動いていたし、スターリングラードのウラヌス作戦では、セラフィマの気付かぬ間に生死の分かれる戦場の真っ只中に連れて行かれていた。レニングラードでは、最前線に直ぐに投入された。最後の決戦の場、ケーニスブルグでは、幾つもの伏線回収がなされる。数十頁、畳み込むような描写。セラフィマのイワノフスカ村以来の課題に、決着がつく。 そのあとは、ゆったりとラストに向かう。長編小説ならではのラストの付け方であった。これがデビュー作か?ホントか? 作者は「文庫化によせて」で「この小説を書かなければよかった、と何度も本気で思いました」と冒頭に書いた(こういう読者を驚かす後書きの構成自体が既にエンタメ)。何故ならば(ウクライナ戦争が始まって)「最悪の形で同時代性を獲得し」たから。尤も、現代の戦争に対しても、ウクライナでもガザでも、大切なことは既に本書の中に書かれている。作者の後悔は描ききれなかったことがあったことではない。また、わたしももう一度「独ソ戦」を読まなくちゃいけない、アレクシェーヴィチを読まなくちゃいけない、と本気で思せて貰った。
187投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ良かったです。独ソ戦の中、村で猟師の母をもつ女性が狙撃手になってそれからの話。 予想してたよりも残酷なシーンが多くそれがかえってこの本の魅力の一つにもなっていると思います。また、当時の歴史的背景が詳しく書かれていながらも、地図を用いて進路などもわかりやすく解説されているので読みやすかったです。 また読み返したいです。
19投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログうーんなかなかの大作。 ようやく読み終わったー長かったー 私、カタカナ、外国物はちょっと苦手。それでも... 第5章のミハイルに会うあたりからようやくこのお話がおもしろくなってきたかな。 第6章のスピード感がすごくよくて、そこはスイスイ読めていい終わり方だったかな。 追記:でもやっぱり...戦後あの二人があそこで生きて行くというのはなんとなくしっくり来ない。「なんでそうなった?」感は少しある。 女性兵士(狙撃兵)の話ってなかなかレアなのかな。女性視点が面白いと思った。
23投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ第二次世界大戦下のソ連の田舎町で平和に暮らしていたセラフィマが巻き込まれた運命は、戦争という残酷で無機質な世界で女狙撃兵として祖国のために、復讐のために心を壊して戦うものだった。女狙撃兵という特殊な立ち位置にスポットライトを当て、母を殺されて戦争に身を委ねる1人の生身の少女の葛藤と成長を肌感覚で描く非常に読み応えのある一冊。個人的には、ストーリーとしても面白かったが、戦争に最適化された帰還兵が日常生活で抱える心身の不調により焦点を当てて、読んでみたかった。この帰還兵の運命というのは、非常に焦点を当てがいのあるテーマでもあると思う。ともあれ、個人的にはそこまでタイプではなかったが、本屋大賞1位に輝くのも納得の骨太な一冊。
3投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ女性が、まだ少女と呼べる年齢の子達が戦争の最前線に立ち、何人もの敵兵を葬っていく。 同テーマの著名作として『戦争は女の顔をしていない』があるが、聞き取りをもとにした実話であるそちらと違い、こちらはソ連の女性狙撃兵をモデルにしたフィクションである。少女セラフィマもイリーナも実在したわけではない。しかし彼女らのように戦地に立ち、狙撃兵という特殊な生き方に染まっていき、しかしある日突然終わった戦争に取り残され、平和な世界に戻ることができない人々は確かに存在した。 この本を書かなければよかったという著者の独白は重く、今もなお続く戦争の恐ろしさや愚かさに苦しみ、女性兵士という強いアイコンを扱うことへの慎重さと思慮深さが現れていると思った。そんな作者だからこそ、最後に描かれたセラフィマとイリーナのふたりの暮らしが陳腐なものではなく、ただ最期まで穏やかなものであればいいと、心から願えるのだと思う。
3投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ日本に住んでいると、あまり知ることがないロシア(ソ連)について知れてよかった。 スピード感がすごかった!120ページくらいまでで、普通の女の子が住んでいる村を全滅させられ、訓練学校に入り、戦地へ行く怒涛の展開。その波に乗って読みきりました。戦争下の状況がとてもリアルで読んでいて目を背けたくなることも多かった。その時その時の命懸けの選択に手に汗握った。 最後のエピローグが急に参考書みたいな固い感じになってしまって残念だったな。 そして、急にユリ系になってびっくり。戦時下で気がつかなかっただけなのか…。頭が追いつかない。
5投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ戦争というものに縁もゆかりもないまま元気に育ってきたので、自分の想像力の中で登場人物たちの表情や心情を創り出すのはなかなか面白かったですし、 戦争後の登場人物たちがどのように生活していっているかという部分もしっかりと描かれていて、最初は本の分厚さに圧倒されましたが楽しく読めました。
7投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ長編かつ戦争の話なので取っ付きにくいと思っていたが、魅力的な登場人物と臨場感のある描写に夢中になりすぐ読み終えてしまった。 またじっくり読み直したい。
1投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ元々映画鑑賞が趣味なので、まるで戦争映画を見ているような没入感に浸れる文章でした。 本当に、本を読んでいるというよりは戦争を見せられているという感覚がしました。 無慈悲に人が死んでいくところも、最後に主人公が撃たねばならぬ「敵」もなにもかも、途中読んでいて辛くて手が止まってしまって読むのに大変時間がかかってしまった。 最終章のとある一文で自然と涙が出てきました。作者さんの後書にも触れられていましたが。 戦争が世界から無くなればいいのになと強く思える素晴らしい作品でした。 時間を置いてまた読み直してみたい。
3投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
女性が主役の戦争モノかつ実録路線 もっと凄惨で悲劇的な内容かと怖がってたけどそのまでではなくわりとヒロイックだったので読んでて安心。敵とは何か、とかは書くまでもない感じなので省略。信念ってかっこいいよね。 凍てつくロシアの大地を溶かすほど熱く冷たい女達の物語。男は脇役、男は敵役、男はやられ役。最後の後日談も良い。太平洋戦争でもベトナム戦争でも戦帰りは異分子扱いか‥。ペルシア戦争帰りは英雄だったのに。戦後に隊の皆さんが幸せな人生だったのならいいな、と思いました。ウクライナとの関係も少し出ててよかった。友情という表現。前にロシア史学び直したけど忘れた。またやりなおさにゃ。戦争は女の顔をしていない、も気になるけど読みながら電車で泣きそうなので迷うところ。ソ連の人もナチスドイツの人も個人としては感性はそうは変わらないよな。同時代人だし。今のロシアやアフリカ、パレスチナも同じか。恐怖や偏見は無知から生まれる。 没入感がすごくて、電車で読んでた時に降りる駅のアナウンスで、ああ、ここはロシアじゃなかった、と気づいたくらい。ラストの山場で中断がいやだったので駅で震えながら読みました。再読したい。いやあ、読書ってほんとにいいものですね。
1投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ話題だったので読もうとしたが、図書で借りれる期限もあったので途中で断念…読むぞと意気込まないと内容的にも読めなかったのもある…またチャレンジはしたい
0投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ感想の書き方がわからない。 ともかく私は戦争を知らなすぎた。 終盤にわかるタイトルの意味は凄惨だった。 また時間をおいて読み返す価値がある。
1投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争さなか小さな村で生活をするセラフィマは穏やかに暮らしていた。敵対するドイツとも友好関係になりたいと外交官を志す。ある日母親と猟に出ている時ドイツ軍が村人を皆殺しにし、母親も殺されてしまう。 そこにソ連軍が来て間一髪助かるが自分の家や、母親を焼こうとするソ連軍イリーナと村人を殺したドイツ軍に対して殺意がめばえ復讐する為に軍隊に入る。
4投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ歴史に疎い私でも読みやすく、世界観に没頭しながらさらに読める 会話が多めなぶん、感情が入り込みやすかったのかな ここぞって場面は、その戦いの空間に私もいる錯覚さえ感じた 後半部分、タイトルの一文を目にした瞬間、ブルッッッ!!って体が震えました
11投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「1人の死は悲劇だが数百万人の死は統計上の数字でしかない」と戦時中にだれかが言った、と聞くけれども、まさにそれをひとりの少女が追いかけていくような物語だった。 身近な1人の死に動揺していた少女が、「狙撃した敵の人数」を数として扱うようになる。 でも、変わらずに“味方”1人の死は重く、戦争というもので分けられたあちら側とこちら側への感覚の差がずっしりと感じられる。 この作品が出たのが2021年。 この表現はまったく適切ではないけれど、タイムリーにもほどがある。でもそういうなにかを、持っている作品なんだろうなとも思う。 この物語の最後が上を向いているのに、現状とのギャップは嘆きたくもなる。
1投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ重厚、という一言につきる作品。 登場人物たちが小説という枠から飛び出して読み手に語りかけてくる。そんな生々しさのある作品だと思った。 と、ここまで書くと当然☆5つ!となりそうだけど、歴史小説あるあるでやや読み手を選ぶなと思った。 1 まず、小説の舞台である独ソ戦についてある程度の教養があるかどうか。 2 舞台が海外なので当時人物たちは当然カタカナばかりで、さらに難解な言葉が割と登場する。 上記の1、2を克服できればかなり楽しんで読むことができると思う。かくいう自分は独ソ戦の知識がなかったのでYouTubeで勉強しながら読んだ。 ただ事前知識なんてなくても楽しめるポイントはたくさんある。 主人公の住んでいた村が壊滅させられて→戦争で復讐を果たそうと誓う→が、なんやかんやあって葛藤し…という展開だけでも劇的だし、読んでいてハラハラした。 なお、一番印象に残ったシーンは、ソ連軍がドイツ捕虜を尋問するシーン。尋問=拷問的なイメージが強いけれど、ソ連兵がドイツ兵に対して「子供のころの夢は?」ときいて、ドイツ兵は「サッカー選手」と答え、一方のソ連兵は「俳優になりたかった」と答える。もし戦争さえなかったら、二人の夢は実現していたかもしれない。 ソ連兵がふいに「どうしてこんなことになってしまったと思う?」とたずね、ドイツ兵が涙するシーンは戦争の恐ろしさ、理不尽さを象徴していると感じた。
2投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログあくまでフィクションの物語。 ですがどこかで本当にあったであろう物語が散りばめられており、戦争は人や環境をこうまで変えるのかと、悲しい気持ちになります。ただその中でも楽しいことや希望もある、そんな話でした。いい本でした
10投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ命について非常に考えさせられた作品 戦争は死に対しての感覚がバグる 現代の我々にとっては完全には想像できない世界。 少なくても私は、 毎日、「生きていくこと」に対してはまるで考えてない。 仕事やだなとか、人間関係がめんどくさいなとか、 そんなことを当たり前のように考えることが できることを、噛み締めて生きていきたい 反面、生きる意味はずっとわからない この作品を読んで、 自分の中にある疑問が少し整理できた。 生きる意味も、死ぬ時にならないと分からないのか?死の瞬間にあきらめた回答が生きる意味? だから死について考えてしまう? まだ答えを出せなそうだから生きてみようと思った。
4投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ第二次世界大戦のドイツ対ソ連の話。 女性狙撃兵の話。 読み切って初めて思った感想は、セラフィマは強いと思った。目の前で、自分の故郷、母親が殺されその復讐のために狙撃兵となった。もし、自分だったら生きる意味を失うと思う。それでもセラフィマは自分と同じ思いをする人を女性が減るように狙撃兵となる。 訓練を終えて戦争の最前線に送り込まれる。同期のアヤは初陣で亡くなった。一瞬だった。その判断で大切な人はすぐになくなってしまう。その後も死が迫り来る瞬間は何度もあった。そこでも諦めずに、弱音を吐かずに女性のために自分ために相手を100人倒す。 セラフィマは自分の大切な人がたくさんなくなったが自分も100人の命を奪っている。途中、亡くなった人の数を競いあうこともあった。慣れって怖い。 戦争は終わり、買ったロシア軍は戦争を美化して話す。あんな悲惨なことがあったのに。セラフィマはインタビューをうけて実際に起こった戦争の話をすることにした。 敵を撃ての敵は自分の大切な人を奪ったドイツ軍だったのか?それとも女性差別をする男性だったのか。疑問に思った。
3投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ同士少女よ、敵を撃て★4.5 本屋ランキングでいつも並んでて気になってた本。臨場感がすごかった。時代背景なども細かく描かれており、作者の勉強が感じられた。 ドイツ兵に母を殺され村を壊滅させられた少女がその仇を打つために狙撃兵になる物語。実際ソ連では女性も兵士として戦場に駆り出されていた事を初めて知って驚いた。 セラフィマの幼馴染のミハイルが女性を暴行しようとしてセラフィマに撃たれる場面では、どんな善人もその善良さを保ち続けることができない戦場の異質さを強く感じた。戦争のない時代の日本に生まれたことを改めて感謝しなくてはならないと思った。
10投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ戦争小説というものを初めて読んだのだが、圧倒された。この小説をそもそも戦争小説としてひとくくりにしていいものなのか疑問だが…。 血生臭い話なのかなと思っていたが、セラフィマの葛藤や決意、戦時中でありながらも周囲の人々との心理的な交流がきちんと描かれていて、また戦いの描写もリアルで臨場感あふれる壮大な映画を見ているようだった。 人類はなぜ戦争をするのか、戦争によってなぜ人は変わってしまうのか。セラフィマやその他の魅力的なキャラクターから考えさせられることが多かった。国家への忠誠心?復讐のため? 世界からまだ戦争がなくならない現代において、エンターテイメントではありながら色々とハッとさせられるセリフや文章が多かった。また時間をおいて読み直したい一冊。
4投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ戦争映画は山ほど見てきたが、戦争小説を読むのは多分初めてだ。 没入感がものすごく、セラフィマの故郷が焼かれ、訓練して、参戦して、終わるまで、一人の個としての戦争を擬似体験できる。 女性狙撃手が主人公というのも珍しいが、ロシア赤軍の視点からナチス・ドイツと戦うというのが新鮮。 新鮮な分、複雑なメッセージが矢のように飛んでくる。 その複雑で混沌としたものが戦争なのだろうと思う。 シビアな作風の中で女子がキャッキャする場面がアニメ的でちょい気になる。
4投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ戦争によって人は今までの自分を保つことが難しくなりその非情さに染まってしまう。それは男と女という性別の違い、国籍、というよりは自分の敵か味方かによりどのように扱ってもいいという状況を生み出してしまう。 最初は戦争に巻き込まれていく少女の話なのかと読んでいたが戦争が引き起こす人々の苦悩と非情さに心が抉られました。
4投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ素晴らしい。中盤からページを捲る手が止まらず、朝までぶっ続けで読んでしまった。 戦争を舞台にした小説というと、今までは男たち中心の話しか読んだことがなく、女性として戦場を生きることを見事に描いた作品とは初めて出会えた。 大きな流れとしては独ソ戦があり、その中に主人公の狙撃兵としての成長と個人としての復讐譚があり、そして少女らの愛情と人間関係がある。 重奏的に楽しめる作品だった。
5投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ文庫本になったので買った。600ページあるので持ち歩くのは重い。タイトルからファンタジーなのかと思っていたら、違った。本屋大賞に選ばれるだけの作品だった。女性の在り方、人間の尊厳、何のために戦うのか?数多のテーマが投げかけられている。 私はコミックもよく読む。狙撃手で女性というと、ワールドトリガーのチカちゃんをイメージしていた。ボブヘアだし・・・ワンピースのウソップでもない。 まだソ連がある頃のナチスドイツとの戦いが描かれている。16歳のセラフィマは目の前で母を含めた村人全員をドイツ兵に卑劣なやり方で惨殺されるところから始まる。赤軍の女性兵士イリーナに救われるが、母の遺体への仕打ちから、イリーナに対しても復讐心を抱く。 しかしそのイリーナは狙撃手の指導者であり、セラフィマたちは狙撃手としての腕を磨いていくことになる。この辺りから引き込まれていった。 イリーナが言った「戦いたいか、死にたいか」、大きなテーマを投げかけている。訓練も国家間での戦う意義を問いかけられる。まるで哲学のようだ。そしてウクライナ出身というオリガの思いや正体は、ソ連の時代から侵略への抵抗で、この作品が発表される時期が遅れたのも頷けるが・・・。アヤやシャルロッタの思いも奥が深い。それぞれの問答が意味を持っている。 第三章からは最前線に行くセラフィマ。そこで見たもの、経験したこと、それは衝撃的である。戦争における戦略は生死を分ける。そこに甘えや緩い考えは存在しない。第五章で、セラフィマはイワノフスカヤの幼馴染のミハイルに出会う。その出会いは・・・。そして最後は・・・。 頂点を上り詰めた境地、リュドーラが語る真意が虚無感を同期させられる。それと同時に「敵を撃て」というタイトルの意味が頭の中で顕在化した。 巻末に沼野恭子さんが記述されている通り、白か黒かではない葛藤の表現が巧みだと感じた。文庫化によせてとして作者逢坂冬馬さんがウクライナへのロシア侵攻に心を痛めたことも書いてあった。また、高橋源一郎氏はあらすじまで書いている。 エピローグに丘の上から降りた状態が描かれている。その場面にも傷跡が残り、いたたまれなくなった。
34投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ村を壊滅させられる生き残った猟師の少女が軍に入り、復讐していく話。同じような境遇の少女たちと過酷な戦争に挑んでいきどんどん仲間を失うが、最終的には自分は生き残るものの、同じ村の生き残りの幼馴染の男が、酷く不誠実な男で女性に乱暴しようとしていたところ止めるために撃ち殺してしまうのは可哀想だった。
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログエンタメとしても、歴史小説としても秀でている。人物設定が少しラノベみたいだが、一人一人のキャラがたっており飽きない。
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ少女が異常な状況の中で成長する。重たい内容の反面、ストーリーは単純。戦争の悲惨さと無情さ、無常さが巧みに描かれる。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ狙撃兵が主人公なので、戦争ものとしては動的というよりは静的に物語は進んでいくが、そんな主人公が後半にアグレッシブに自らの感情のままに激しく動きつつも狙撃兵特有の冷静な計算をしていたところ、その話の緩急の具合に興奮し、一番印象に残った。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なかなかの長編作品であり、やや難解な言葉、戦況の説明で疲れる場面も多々あったが、主人公のセラフィマを追っていくだけでも十分面白い。 背景は第二次世界大戦のソ連対ドイツの話。妙にリアルだと思っていたが、実際に女性兵士がいたというのに少し驚き。序盤から家族と村人みんなが殺され、自分も殺されかけるのが衝撃的。セラフィマ目線で殺したイェーガーという男と村を焼き払ったイリーナを仇とし、自分も兵士になる志に驚きを感じた。自分ではどうなるか。どうしても自分の命が惜しくなるだろう。ただ、最愛の人の為なら命を掛けられるのか。まだわからない。初の実戦で仲間のアヤが亡くなるのは衝撃的だった。どんなに優秀でも鉄則を忘れては行けない。戦争では死だが、今の時代ではどうか。社会的に生きては行けなくなるだろう。 次のスターリングラードでも合流した仲間がどんどん亡くなるのが辛かった。子どもを撃ち、助けるために近づいた人を撃ち殺すなんて、気分が悪い。ただ戦術としては重要なのだろう。自分の命を大事にするか、信念を曲げないか、どっちかを選ぶしかない。 徐々に点と点が繋がっていくのが非常気持ちよく面白かった。最後の前線でセラフィマが自分を囮に拷問を受けていたことに衝撃を受けた。様々な想定をして行動するセラフィマは天才だなと感じた。助けに来たのが、ずっと犬猿の中だったオリガなのが心の中でじわじわきた。ずっと一緒に戦ってきた仲でやはり助けたい気持ちが生まれたのかなと思う。しかし、最後も撃たれてしまったのも、悲しい気持ちだった。ただ、オリガのおかげで無事イェーガーを撃つことができた。ただ身代わりにしたことに衝撃を受けたが、そうでもしないと勝てなかったはず。本当の戦争でも行われていたのか。 最後、イェーガーの元に行った時に、遠くから結婚すると思っていた男が、自分が守ると誓った女性を犯す姿を見て撃ち殺すシーンに手と心が震えた。本当の敵はドイツだったのか。それぞれの敵とはなんなのか。 最後の撃ち殺された男の部下は、女性と性行為できなかったことを残念に思っていたが、現代の感覚ではおかしいだろう。女性を犯すことで仲間意識を持つことが異常すぎる。これが戦争での弊害か。これの時代では当たり前のように言われても、どの時代でも人間を犯すような事は絶対にしてはいけない。これが実際に行われていたと思うと恐ろしい。反省すべき歴史である。 この本の最後に戦争で女性の顔は出てこないと書かれていた。確かに、戦うのは男であり、女性が支える。これまでの時代の価値観的にもそうであるはずだ。戦う女性兵士に焦点を当てたこの作品は、自分の中に新しい見方が生まれたかもしれない。女性が戦うのがいいとか悪いではないはず。戦う人は何かを守っているはず。自分も守るべきもののために、戦える人間になりたい。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ激化する独ソ戦のさなか、セラフィマは母の復讐のため、赤軍の女性狙撃兵として最前線を戦い抜いていく。 独ソ戦という第2次世界大戦の中では、日本人である自分からすると勉強不足で知らないことがたくさんありましたし、600ページを超える大作でしたが、夢中で読み切ってしまいました。 血生臭い戦争の物語は、男の戦いが描かれることが多いですが、この作品では、女性だけの狙撃小隊が中心となっており、女性の視点から描かれる戦争の物語として、とても引き込まれました。 そして、軍隊の中では、女性自体が特異であることはもちろん、狙撃という部隊も特異な存在であることが描かれており、戦争そのものが日常とはかけ離れたものであることを象徴しているようでした。 また、第2次世界大戦では、日本軍の愚かさがクローズアップされがちですが、戦争においては、どこでも愚かなことが起き得ることを示唆しているようにも感じました。 読んでいるときは、辛く苦しく感じることもありましたが、読み終わったときの思いは、なぜかとても清々しかったです。 セラフィマの熱い信念にも感銘を受けました。
62投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログこれを読まない人生はもったいないと感じた。イワノフスカヤ村で唯一生き残った2人が結果殺し合う羽目になる。少女が100人以上の殺し屋となる。戦友が亡くなる。凄惨の道を歩んだ末、彼女が学んだことは「命の価値」であった。今もなお、セラフィマのような人がいると思うと、自分の無力感に失望した。こんなに心情に起伏を生み、本に没頭する経験は初めてだった。
4投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ本屋大賞をとった時から文庫本になるのを待ち続けていた一作。期待を裏切らない物語でした。戦争をテーマにした物語は、読んでいても気持ちが晴れないので、読むペースが落ちちゃうことが多いけど、本著はそのようなことはなく、物語に引き込まれながら、読み進めることができました。一人一人のキャラクターがしっかりしている点も特徴なのかな。面白かったです。
7投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログ逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』読了。文庫版が出たので買って再読。独ソ戦下で故郷の村を焼かれ、ただ一人生き残った少女セラフィマが、女性だけの狙撃兵部隊として戦地を転々としながら、狙撃の境地、戦う目的、そして〈敵〉と向き合う物語。やはりこれは本当に優れた作品だとしみじみ。独ソ戦を舞台とし、女性狙撃兵を主人公とする必然性をこれほどまでに見事に描いているし、第二次世界大戦の物語がこれほどまでに現代に通用してしまうことが不幸であるとも。
7投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第二次世界大戦中の独対ソ連を戦った女性兵士たちの話。 主人公セラヒィマは独に村人と家族を殺され、村を焼かれた。そこへ、ソ連の女兵士イリーナと出会う。セラヒィマは復讐心を力に変え、イリーナの元で狙撃手として育てられ、、、 語られる事がない女兵士の話を臨場感のある文で表現する傑作。 「同志少女よ、敵を撃て」 敵とは何か?殺す事が良い事なのか?女性は何のために生きているのか? 女性を守るために戦うセラヒィマに心を打たれた。 ラストとセラヒィマが射った相手が予想していなかった相手で度肝を抜かれた。 最後に印象に残ったフレーズ 二頭の犬がそれぞれ敵戦車の下の飛び込んだ瞬間、 着込んでいたベストが爆発した。 爆発に怯え、炎に恐れをなした彼らは(バロン、いぬ)安全な古巣へと逃げ戻っている。その先頭にバロンがいる。 自分に餌をくれ、撫でてくれた者の元へ逃げ帰ろうとしている。爆弾と化したバロンはこちらに向かってくる。 「安心しろ。お前らなんて殺しても経歴に傷がつくだけだ。私の敵は雑魚じゃない。私の女らしさがしりたいならな、今夜私の部屋に来い。不安なら銃を持ってでも来るがいいさ」 「私なりの女らしさを知ったお前の死体が、明日その辺に転がってるよ」 「たとえどんな事情があっても、女性への暴行は許されることではない」 「悲しいけれど、どれほど普遍的と見える倫理も、結局は絶対者から与えられたものではなく、その時にある種の『社会』を形成する人間が合意により作り上げたものだよ。だから絶対的にしてはならないことがあるわけじゃない。戦争はその現れだ」 何のために戦うか----私は、女性を守るために戦います。 女性を守るために戦え、同志セラヒィマ。迷いなく敵を殺すのだ。 同志少女よ、敵を撃て。 戦争は人を悪魔に変える。
1投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログ生前の北上次郎氏が「よくぞここに応募してくれた」と大絶賛して、彼が選んだ最後のアガサ・クリスティ賞となり、その後も本屋大賞を受賞するなど鮮烈なデビュー作となった一作。一時期はどの本屋を回ってもこの本の平積みで埋め尽くされていたものだが、文庫入りを機に読了。期待が高過ぎたのか、面白いは面白いが凡庸なエンターテイメント小説としてしか読めなかったが、面白いは面白い。
7投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログ主人公がストイックに成長していく姿がカッコよかった。 政治的、歴史的な説明の部分は難しくて少し読み飛ばしてしまったけど、それでも歴史物、戦争物は普段読まない私でもすぐに読破してしまうくらい惹きつけられた。
7投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログとても臨場感のある重厚な物語でした。世界の全ての女性が幸せに生きてほしい…そう思わせてくれる作品です。
19投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ設定がすごく練り込まれており、すぐに話の中に引き込まれた。映画を観ているかのようなリアルな描写で感情が常に揺さぶられながら読んでいた。
6投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ歴史系?の本は初なので評価の尺度が決まっていませんが3.5くらい。 きっかけでソ連の歴史を調べてしまいました。 戦争の裏には犯罪も多くありますよね、、
9投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログガザで、ウクライナで、世界各国でこの悲惨が、今もなお繰り返されている。 目を背けずに、この本に向き合う事が必要だ。
4投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログ「少女狙撃兵」を題材とした「戦争小説」である。 第2次世界大戦下のドイツによるソ連侵攻。 ソ連側が祖国防衛戦争としてドイツ軍に反撃を加えていくさなか、ソ連シベリア近郊の村で、母親を含む村人全員をドイツ軍に殺された少女がいた。名前はセラティマ。 セラティマの目の前で村人の死体や家屋をすべて焼き払ったソ連軍女性兵士イリーナ。 イリーナに「戦いたいか?死にたいか?」とセラティマは問われる。セラティマはドイツ軍、母親を撃ったドイツ人狙撃手、そしてイリーナへの復讐を誓って「戦う」を選択した。 セラティマが連れてこられたのは、ソ連女性狙撃兵訓練学校。学校の教官であり元狙撃兵であるイリーナに、狙撃手として教育を施されることとなったセラティマ。 ここで狙撃手としての過酷な訓練に耐え抜き、第二次世界大戦最大の激戦地であるスターリングラードでの戦闘に加わることとなる。 ○イリーナは「なぜ戦うのか?」と訓練学校生徒たちに問いかけ続ける。 様々な回答が飛び交う。もちろん正解はない。読者に考えることを要求している。 ○この小説では男性兵士の女性への性暴力に対する批判メッセージが何度も繰り返される。 性暴力に手を染める幼馴染をセラティマが撃つ場面がそのメッセージを印象付けている。 ○ソ連国民でありながらドイツ軍兵士を愛するサンドラ、敵味方関係なく介抱する看護師ターニャ。個性豊かな登場人物が多数登場することで、「悪」や「敵」とは何なのかを考えさせられる。白黒はっきりさせられないこと、無数のグレーが多分に存在することが描かれている。 ○小説ではセラティマのイリーナへの復讐心がセラティマの生きる意味に直結しているように描かれている。 だけど、そこだけ私はセラティマの気持ちにはなりきれなかった。 全滅させられた村を焼き払うのは当然では?とも思うし、「セラティマの故郷の思い出」に対するイリーナの行動は確かにひどいものだが、自分を奮い立たせるための行動だったとすぐに理解できたはずと思うのである。 かなり聡明に描かれているセラティマが、かなり後半になってそのことに気づいた。 だから前半の方はしっくりせず、なんだか腑に落ちないなと読んでいたのが実際のところ。
20投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログさすが本屋大賞、読ませますね。なかなかの長編ですが、飽きることなく読破しました。セラフィマについつい肩入れして、彼女の生還を祈りながら読んでしまいました。 あー、よかった!
5投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログ独ソの戦争背景を知らなくて所々分からないつつも手を止めることなく、読み終えることができた。 歴史の背景が分かっていればもっとストーリーに没入できたと思う。 ストーリーの中で1番心に残った場面は女性狙撃手で英雄リュドリナの「丘の頂上からの景色」に対しての言葉。ハッとさせられた。 誰もが心理を求めて頂上を目指す。そこに対してのリュドリラの言葉は冷たくも真実に感じた。追い求めるのではなく、今頂上にいる最中なんだと学べる言葉だった。 またストーリーを通して女性性を凄く感じた。「守られたい」ではなく「守りたい」という思い。 逃げ出したり、死にたくなるような経験を経て「守りたい」と言葉にした女性狙撃手の強さに感動した
15投稿日: 2025.01.27
powered by ブクログ戦争もの、しかも子供が関わるのでなかなか読み進められなかった(作品自体は読みやすくこちらの心情の問題)。 感情の言語化よりも社会的背景や状況の説明が多い。
1投稿日: 2025.01.27
powered by ブクログなんの涙か分からない涙が出てきた。矛盾の中で何を選びとるか、一体何をしてるのか、立ち止まったら息ができなくなるような心地になった
3投稿日: 2025.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
セラフィマのことがどうしても好きになれなかった。何故なのか。立場が変われば180度見方が変わる戦争に、正常な人間の思考を狂わせてしまう戦争があれだけ作中エッセンスとして詰め込まれるのに、イリーナに導かれ殆ど葛藤する姿が見えないからかもしれない。いつも自分のスタンスが揺らがないように、見てみぬふりをする。よく言えば俯瞰的に、悪く言えば自分のしていることも含めてどこか他人事として、独善的に物事を見ている。だからこそ狙撃手として有能なのかもしれないが、人間臭さは感じず共感はできなかった。 彼女に葛藤はあったのだろうか? 自分の復讐は果たせたが、結果的に味方を巻き込んだこと(やオリガ自身がそう言ったとは言え元仲間の死体をカモフラージュに用いることで復讐を果たしたこと)や幼馴染を自分の善悪に基づき射殺することへの衒い無さも、イリーナへの心情も、とにかく共感できない主人公だった。オリガのこと、どう思ったんだろう? 独ソ戦や当時の時代背景については興味深く読めた。また、あまりに簡単に無意味に人が死ぬことから戦争の悲惨さを改めて知った。戦争を知っている人が多数派だからこそ戦争は当面起こらないというターニャの言葉にゾクッとする。真実だと思う。
0投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話題作であったものの、分厚さとあらすじの濃さに手に取りにくかったが、文庫化してたので購入。(尚、文庫も分厚い) 2025年最初の1冊目にしたので「分厚いし読みにくかったらどうしよう」という杞憂は数ページで払拭。おもしろい。ページをめくる手が止まらない。ラストは好みすぎて、あまり手元に本を残さない自分が読了後、保存用にもう一冊追加購入したほど。コミカライズも購入。 まだ読んでない?羨ましい。早く読みなさい。
5投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ものすごい傑作だった。この傑作は今漫画になっているけど、実写映画などになったりはしないのだろうなと思った。日本の戦争の話じゃないから。物語としていくら素晴らしくても、莫大な予算のかかる大衆向エンターテイメントにならないのだろうなと思う。 日本にいて教育を受けていると、悲惨な日々と原爆被害が主たる情報で、他の国ではどうだったのか?日本はどういうことを他国にしていたのか?の情報が受動的には入ってこない。 だから、この本を読むまでソ連とドイツがどんな戦争をしていたか、女性兵士がいた事、どういう扱いを受けていたかという事を知らなかった。 またこれは戦時中の女性狙撃手の復讐の物語であり、今もまだ続く女性が受ける性犯罪との戦いの話でもあった。どの国でも多かれ少なかれそれは起こっていて、表に出てこない、でも必ずそこには人間が居たのだ、というのを想って改めて悲しい想いを感じる。 戦闘描写も息を呑むし、一人の純朴な少女がクライマックスで拷問にも耐える精鋭軍人になっていた事が、納得感を持ちつつも悲しかった。
2投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ圧倒的なストーリーに引き込まれました。戦争の悲惨さは、人間どうしの殺し合いと人間としての尊厳の間に生まれる葛藤である。
1投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
時代背景に全然詳しくないから、どこまでが史実で誰が実際にいた人物なのかも分かんなかったけど、戦争のやるせなさを伝える作品としてすごくいい作品だと思った。
0投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本を勧めてくれた人が、史実として読んだように本を語るので、読み始めると思ったよりファンタジーで新鮮。 戦争の中の一人一人の営みとか、厳格な狙撃兵のあどけない一面とか。戦争史実に対するありふれた結論に終着するのが怖かった。戦争は悪だとか、人を殺すとはどういうことかって戦争に抱く感覚とは別にやっぱりファンタジーを念頭に読んでいた。(後から参考文献の多さにめまいがした。作者のエネルギーがどうしてもすごい。どうしてこれを架空の物語として読み進めたのか。) 構成がもうあまりにも完璧だったから、そのせいでなんとも言えない終わりだとおもった。村を復興させた?女2人で?個人的な恨みははらして?本当に身近な恨んでいた人間が自分をずっと助けてくれていて?最後にそれに気づいて?そんな出来たストーリーを史実に押し込めてる。やっぱり架空の物語として帰結してしまった。だから、命の意味がよくわかっただなんてあまりにもリアルであっけない。 それでも読んで良かったと思える文章があって本当によかった。 確かに嬉しかった。同じ言葉を持つ人が遠くにいるということが。 この言葉が大好き。 最後はずっと悲しくて絶望するしかない。彼女たちが救われたようで。手紙を交換し合うことで支え合って生きているようには見せたけど、結局1人になれば死んでしまうような絶望で、生きる気力なんて1ミリもないのがわかった。 良くも悪くも、史実の中に個の物語を想像するのはどれほど意味があることなんだろうと考えさせられた。
1投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ独ソ戦の史実に即して女性の狙撃兵にスポットを当てた物語。 凄かった。映画を観ているかのように脳内で映像が流れてきた。 故に戦場がリアルに伝わってくる。 難しい語彙や知らない歴史が沢山でてきて調べながらだが、ストーリーは割とシンプルで会話が多いのですらすら読めた。 寝不足覚悟でも続きが気になる バロンが可哀想すぎてその場面は泣いた。
4投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ第二次世界大戦下の独ソ戦で赤軍側の女性狙撃手が主人公の戦争小説。 日本史専攻だったし、そもそも学生時代はとうの昔のことだしで、独ソ戦のことよく知らないので難しそうだなと構えていましたが、文庫化されたのを機に読んでみることにしました。 思っていたよりエンタメ要素があり起承転結が分かりやすく、随所に挟まるノンフィクションであろう部分(独ソ戦について勉強不足なので定かではない)はドキュメンタリー映画を見ているかのようでフィクションとのバランスが絶妙で、読みやすかったです。 同志少女よ、敵を撃て このタイトル回収には震えました。そして、同じ女性だからか、いや、ここに至るまで没入感が凄まじかったからか、正直いちばん高揚しました。 ソ連だけはなぜ女性兵士がいたのか気になったので調べてみたいなと思い、そもそも独ソ戦についても勉強したい!となるような作品だったので、岩波新書の『独ソ戦』も読んでみようと思います。
3投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2022年、本屋大賞を取った作品です。 他の本屋大賞作品も何作か読んではいますが、作品の完成度という点でずば抜けていると思います。話の展開が秀逸で600ページあるのですが4日くらいで一気に読んでしまいました。 1942年、イワノフスカヤ村に住むセラフィマは、母と一緒に猟をして暮らしていた。ある日、村に帰ろうとするとドイツ人の一軍に村が占領されようとしているところ目撃する。戦おうとする母は、ドイツ人の狙撃手に撃たれ、セラフィマも陵辱されようとする。そこにロシア軍の一団が現れ、セラフィマは救われる。ロシア軍のリーダーであるイリーナに強い言葉を投げかけられるセラフィマ。憎しみを支えとして、狙撃手としての教育を受けていく。 訓編学校では美しいシャルロッタ、カザフ人のアヤ、母のように優しいヤーナ、そしてウクライナ出身のコサックであるオリガと知り合う。 訓練学校を卒業したセラフィマは、皆と一緒に実戦であるウラヌス作戦を経験し、そして決戦都市スターリンググラードに乗り込んでいく。どんな悲劇がこの先待っているかも知らずに。 この作品は、戦争小説なのですが、作品を際立たせてるいるのが、それを女性という視点から書いているところです。男性なら、戦争に行くことも帰ってきて英雄と讃えられることも当たり前の時代であったけれど、女性はそうではなかった。戦争を潜り抜けた女性であっても、除隊後周りの視線を扱いから冷遇を受けてきた。そしていつの時代も戦争という状況の中で、女性は弱い立場に置かれて苦しんできた。 同志少女よ、敵を撃て。本当の敵はここにいる。 それはおそらく、特定の民族や国であろうはずはなく。また、男性や女性といった性別でもなく、戦争という異常な状況下で発揮される人間の本質なのだろうという。 もっと吉村昭の書いたバリバリの戦史小説のような作品かと思っていたのですがそうではなかったです。キャラクターも生き生きとしていて、とても読みやすかく、作者逢坂冬馬の優しい真面目で熱い人柄が伝わってくるような作品でした。
4投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ本屋大賞をとったわけがわかる。今まででいちばん良かった。ドイツとソ連の戦争の話は、難しかったけど、もう最高に面白かった。めっちゃ泣いた。また読み返したい。圧巻
3投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ重厚な戦争小説。 舞台がソ独戦で、主人公が女性兵士。 戦争の現実、過酷さを女性視点から描けている。 表紙絵から想像するには重すぎる話なので、覚悟を持って読んだ方がいい。
7投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログまるで映画を観ていたかのような没入感。とても良い読書が出来た。 物語はフィクションだけど、戦争舞台は実際にあったわけで、悲惨さや戦中戦後の影響も甚大。 とてもリアルに感じられたと思う。
12投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ世界史が苦手な自分には、これまで第二次世界大戦を日本目線でしか捉えられていませんでしたが、自分の中ではマイナーだったソ連の視点で当時を追うことができて新鮮でした。
3投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
めちゃくちゃ読み応えありました 久々に終わるのがやだなって感じた本 最初のイワノフスカヤ村からぐいっと引きつけられた。 アヤが死んでしまったのはショックでした ミーシカも男の汚い部分を表す存在として、哀れな扱いだったな イリーナお前ってやつは、、、
1投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログ女性が兵士として戦う戦争小説は初めてだったし、第二次世界大戦中のロシアに関する知識がほとんどなかったため、この本を通して知ることができてよかった。今の世界情勢を思えば、ここに書いてあることも到底他人事ではない。そう言う意味でも手にとってよかったと思う。 ただ、わたしは、あまり入り込めなかった。セラフィマに壮絶な体験をさせ、狙撃兵として成長させ、物語の最後にあの想いを抱かせるために、登場人物たちが配置されて死んでいっているように感じてしまった。 心情にフォーカスせず状況を書き連ねる淡々とした文体だったのが理由の一つかもしれない。 戦争はもっとずっと理不尽で残酷なのではないかと思う。だからこそ、そこに立たされている人々の感じることをもっと知りたかったし読ませてほしかった。 批判的なことを書いてしまい申し訳ない。大勢の人の命を扱う本なので、正直に書かなければいけないと思った。
4投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログ3年前に話題になった本。 文庫本になったので手に取る。 ソ連で狙撃手になった少女の話。前評判通り面白かった。この表紙も素晴らしい。この絵で、手に取ってみたいと思わせる。 一緒に戦う仲間の少女達のキャラクターもいい。 戦いを怖がっていたのに、殺した敵の数を自慢する悪魔になっていく描写にドキリとする。 なんとなくエンディングはこんな感じのハッピーエンドかなと思っていたから、予想外の終わり方にびっくり。 誰が敵かという話。女性として性的暴行には激しい嫌悪感を持つものの、男性である著者がここをテーマ(の一つ)にしたことにどちらかというと好感を持つ。 ただ、女同士でキスするのだけは違和感。文化が違うから違和感は当たり前で、友愛の象徴なんだけど、女性なら書かないかな、なんて感じてしまった。。。 スターリングラード攻防戦では独ソ合わせて200万人が死亡(民間人含む)。第二次世界大戦で日本の軍人が亡くなった数が230万人だから、戦いの規模に改めて驚く。スターリンとヒトラーの意地の張り合い(一つの見方として)で、犠牲になるのは末端の兵士たち。いつの時代も。 今なお戦争の続くウクライナを思う。
3投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争は絶対にしてはならないこと、それはもちろん誰もが知ってるいる。 しかし、この本を読むとリアルな戦争の悲惨さ、戦時中だけでなく戦後にも残る多くの後遺症があることを知れる。 印象に残っているシーン ①ママが子供に、あなた達が未来で平和を生きるためにいま戦争をしている、といっていたシーン ②子供が銃撃されたあと、いままで絶やさなかかった笑顔が消え去ったシーン 現在、起こっている戦争が早く終わることを切に願う。
0投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ文庫化したら読もうと思っていた作品。 文庫化してすぐ購入していたが、心身共に余裕がある時に読もうと思い、このタイミングで手に取った。 イワノフスカヤ村に住んでいる少女、セラフィマは若き射撃手だった。1942年、村に突如ドイツ軍が押し寄せ、母や村人を惨殺される。彼女は射殺される寸前、ソ連軍により生命を救われ、その中の一人、イリーナに「お前は戦いたいか、死にたいか」と問われ、復習のため狙撃兵になることを決意する。 不自由のない生活を築くためには長い年月がかかるのに、生活を奪うのはほんの一瞬。 こんなにも理不尽なことがあっていいのか、と序盤から腹立たしかった。 優秀な狙撃兵になるにつれ、確実に失われていく何か。 セラフィマの苦悩や葛藤…読んでいてとても胸が痛かった。 「戦争は悪いことだ」では片付けられない戦争のリアルが描かれていたように思う。 なぜ戦争は起きてしまうのか。 宣戦布告をし攻める側、攻められる側、それぞれに正義があるからなのか。 「戦争」、「復讐」について、何が正しいのか。 そもそも正しい答えなんてあるのか。 読んでいる間、ずっと考えていた。 世界のあちこちで戦争が起こっている昨今。 セラフィマたちのような思いをしている人が、世界のどこかにいるかもしれない。 そう思うと胸が潰れそう。 日本も近い将来、戦争に巻き込まれるかもしれない。 その時、私たちに何ができるだろう。 「史実を元にしたフィクション」で終わらせてはいけない、戦争から目を逸らせてはいけないと思った。 ✎︎____________ 死を選ぼうとはするな、イリーナ。それは、自分の人生に対する裏切りだ(p.121) 復讐を遂げるという目標によって生きる理由が生じる。そして過酷な戦闘を戦う意義が生まれる。思えば無数のソ連人民の動機もまた、復讐にある。それが国家に基づくものであれ、家族に基づくものであれ、復讐を果たすという動機が、戦争という、莫大なエネルギーを必要とする事業を成し遂げ、それを遂行する巨大国家を支えているのだ。(p.276) 子どもが遊ばなくなったら、きっとそれは子どもとして生きることを諦めたときでしょうね(p.279) 死に際に安らぎを与えて救われるのは、生きている自分であって彼ではなかった。(p.361) 目の前で人々が、市民が殺されるなら、それを必ず止めてみせる。そこに味方も敵もありはしない。私は、私の信じる人道の上に立つ(p.517) 失った命は元に戻ることはなく、代わりになる命もまた存在しない。(p.581)
59投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ2025年1冊目 読み終わって言葉が出ない。 戦争は人を狂わせる。 どこの国だって生きて帰りたいし、 帰りを待つ人がいるんだ。 1個人としてはそう思ってるのに 人を殺してハイになって人格を変えて行かないと 耐えれない過酷な環境。 少女だったセラフィマ 私は少女ではないからイリーナの愛が文章になくても伝わってきて途中涙が止まらなかった。 二度とおきてほしくない。
1投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
よかった。 ずっと気になってたけど、文庫化のタイミングで読んだ。 頭から登場人物が一気に出てくるので、そのキャラクター、時代背景から戦況等、最初は行ったり来たりで何度か読み返さないと理解するのが難しいと思った。(自分が第二次世界大戦時のソ連とドイツについて無知すぎたのもあるけど) 6章あたりから読むのが止まらなくなった。 予想してた展開と徐々に離れていく感じ、 イェーガーとミハイルのくだりとか、捕虜になるとことか。 おもしろかったので、理解深めるのに再読しようかなと思った。
0投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログ第二次世界大戦下の独露戦に巻き込まれたロシア少女の物語。本屋大賞受賞作。 戦争小説、復讐譚、青春もの、歴史もの…とにかくいろんな読み方ができる。
0投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争小説を初めて読んだ。 物語が進むにつれ、自分の「死」に対する感覚が鈍くなっているのを感じた。 徐々にセラフィマが戦果にこだわるようになっていく感覚がなんとなくわかるような気がした(こんなことは軽々しく言ってはいけないだろうが) 本小説の悲惨な日常が、現在進行形で起こっているなんて信じがたくて、、複雑な心境になった。。 ただ、戦争を深く知ることができて、読んで良かった。
1投稿日: 2025.01.20
powered by ブクログ戦争の話というのは基本的には日本史の知識や映画、アメリカから見た日本など、太平洋戦争の話を中心としたものしか知らなかったが、この本を読んで、まさに世界中で同じ様に壮絶な戦いが繰り広げられていたのだと感じさせられた。 どこの国の人であっても戦場にいけば生きるために、勝つためにそれまで優しかった「その人」も悪魔や鬼になる。人の死に慣れると涙はでず、一人殺せば戦果だと、誇らしげに自慢する様になる。 そういう環境の変化や心の変化を少女セラフィマを通じて体験する様な感覚になった。 突如飛んでくる砲撃や、急に始まる戦闘の中で起こる同僚達の突然の死の描写はスピーディーで、嘆く暇もない戦場の緊張感が戦争の残酷さを表している。 また、狙撃手の同僚からも疎まれる環境、女だからと差別や偏見が敵味方関係なく起こる時代が確かにあって、今もなお続いている。 その中で自分の守りたいものを守るために戦うと心に決めたセラフィマの確かな想いに胸を打たれる作品でした。
14投稿日: 2025.01.19
