
総合評価
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powered by ブクログ村を襲撃され、襲われ、殺される。 そして全てを焼き払われる。 生き残った少女はその仇を討つべく 戦争の真っ只中の前線で狙撃兵として敵を撃つ 撃たなければ殺される 敵もまた同じように 撃たなければ殺される この状況で人を人と思えるはずもなく すべての兵士は何のために戦っているのか それすら曖昧になり、言いなりになるしか生きる道はない そして、なにが残るのか? 今でも、至る所で争いが起こっている やはり、撃たなければ殺される なにが残るのだろうか それを指示するトップはそれで満足なのだろうか なにかを残せているのだろうか 少女の心の動きがわかる このような射撃の名手であったら 自分もそうするのだろうか のほほんと暮らしている自分には 知る由もないが 今、 なにか考えることがあるだろうか なにか思うことがあるだろうか そう思っても たぶんなにもできない自分がいる すべての戦う人もそうでない人も 特別ではなく 一人の人間であるということだけは 忘れないでおきたい
121投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2022年に本屋大賞を受賞した一冊。この本を読破したとき私は興奮が治まらなかった。とんでもない超大作を読んでしまったと思った。 舞台は第二次世界大戦中のソ連。猟師の娘だったセラフィマは牧歌的な村で母と狩りを平和な暮らしを営んでいた。 しかし突如その平和は奪われ、彼女は狙撃手となる― 戦争ものの小説はその場面での戦況、武器や銃の解説、自分の知らない土地の攻防が事細かに描かれているため、多少は読みづらさがあり、その上あまり戦争の知識が無い私は戦術の読みあいや説明のシーンでもしっかり理解することができず、そこを読み飛ばしてしまうが故に途中から状況が分からなくなり、何度も同じページ間を読み直す...といったことが多いのだが、本作はスラスラと読み進めることができた。なぜかはわからないが、スターリングラードの戦いが目の前で繰り広げられていると錯覚するほど、頭の中に状況が入ってきた。とても読みやすい文章だった。600ページがあっという間だった。 そして内容。セラフィマは狙撃手となり同志セラフィマとして師イリーナ率いる少数精鋭の女性で構成された軍で仲間たちとともに憎きドイツ兵を打倒するため戦う。 一介の猟師だったセラフィマが、人間を撃つなど考えたこともない少女が戦争に投下され銃を構え敵を倒していく展開に私は戦争が生み出す狂気と恐怖を感じた。そして、初めて敵を撃ったときに涙を流した少女たちが幾度となく繰り返される戦争の渦中で殺した人間の数を誇るようになる。その大きな渦に飲み込まれていくのかと読者は息をのむ。 そして戦争が終わったときセラフィマがのぞいた銃眼の先にあった光景。 これは悲劇であると思った。人が人でなくなる「戦争」の中で誰が自分の正義を信じ、その信念を貫き通すことができるか。セラフィマやヤーナ、シャルロッタ、その他同志たちがそれを成しえたのは彼女らが強かったからだけではない。イリーナという素晴らしい指導者と持っていたこと。それぞれが戦う理由を持ちそれをお互いが信じていたことからなのだろう。最後のシーンでセラフィマはどれほどのショックを受けたのであろうか。今までの凄惨な戦いの場面の数々のすべてを凌駕する痛打だったに違いない。かつて結婚を誓うほどの、再会してもなお変わらむ透き通ったアイスブルーの瞳の友の変貌はもし私だったらと思うと震えが止まらない。これが戦争なのかと終戦の安堵の直後に行動部を殴打されたかのように突き付けられる。 そして作中でも語られていたが女性が男性と対等な評価を受けるのは難しい。現代ではそういう場面は減ったが戦争となるとやはり軽んじられやすい。ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』でもあったように、女性はその当時男性と同じ土俵で戦う立場において「女性」という理由でなめられたり、同じタイトルで戦わせてもらえなかったりする。セラフィマたちも仲間の赤軍のいる戦地へ応援に駆け付けた際に女性であるという理由で落胆されていた。彼らの落胆が的外れであることがすぐに判明するがセラフィマたちはそういった時代背景、境遇の中でイリーナの軍での仲間意識を高め、信じられるのは仲間と銃だけだという拠り所と創った。それは友愛とも家族愛ともいえぬ確かな絆であると思う。 太平洋戦争が終わり、私たちは恒久(今のところは)の平和を手に入れた。しかし、作者のあとがきにも綴られていたようにこの本の舞台であるロシアはウクライナと戦争をはじめ、それは2025年4月現在でも終わっていない。 私が読書で同志少女に思いを馳せている今この瞬間もその同志たちは戦火の中己の正義を信じ銃を撃っている。 彼らにもそれぞれ名があり、夢があり、愛する人がいる 私はこの地球から戦争がなくなることを本当に心から願う。そしてセラフィマたちの思いが、傷が、少しでも報われ癒えてほしい。 本当にいい作品を読みました。読んでよかったです。
5投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログタイトルが素晴らしい、期待通りの内容でした。凄惨な戦場の描写に、読むのが躊躇われましたが、それを上回るキャラクターの描写や人間関係、因縁の決着が気になり最後まで読めました。 サブキャラの行動と、その想いに何度も泣かされました…。主人公のメインストーリーは、やや急展開で、特に幼馴染の箇所が消化不良に感じられましたが、ラストは素晴らしかったです。
2投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2月に買って、やっと読了。 ロシア周辺の地名と人名がすんなり頭に入ってこなくて、世界観に入り込むのがちょっと時間かかってしまった。 第二次世界大戦渦中なので、容赦なく人は死んでくんだけど、何と言うかあまり温度感を感じさせない筆致で、しんどくなりすぎず読み切れた。 大部分が戦中の話に費やされてるけど、本当に触れたかったところは、終わった後の生き方のほうなのかなーと思ったり。 女っていつの時代も生きるの大変だなあ。別に男性が楽してるとか言いたいわけじゃないけど。
1投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログ少女狙撃兵の物語。 本書は小説だが史実に基づいている。 大変興味深かった。 少女が狙撃兵として成長すると殺人がスコアとなっていく、戦争とは恐ろしいものだ。
3投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ユリアン死ぬって分かってたけど最初から最後まで大好き オリガの裏切りの所が分かりにくかった。 セラフィマが捕虜になったところが面白かった。 最後の戦いの終わり方が満足した。
2投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログ356 どれだけ普遍的と見える倫理も、結局は絶対者から与えられたものではなく、 そのときにある種の「社会」を形成する人間が合意により作り上げたものだよ。 だから絶対的にしてはならないことがあるわけではない。戦争はその表れだ(例だ) 371 真の達人は欲望にとらわれずにただ無心に技術に打ち込むということだと思います
1投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっばい本を読んでしまった。 ただの少女が、戦争に巻き込まれ、復讐のために狙撃兵になるけど人間味を捨てきれてない感じが。でも狙撃兵としてどんどん強くなっていて過酷な戦争に巻き込まれていくのが。ほんと文章でぶん殴ってくる。 戦争の悔しさとか虚しさとか黒いところとか汚いところとかにぐっちゃぐっちゃになる。読んでる方もぶん殴られた。 読んでほしい。戦争物はほとんど読まないけど、文章と世界観と心情風景に引き込まれて本の世界に引き込まれた。 こういう本はいい。
1投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ女性の狙撃手のストーリーは、よくある戦争ものとはちがう側面を知ることができて新鮮だった 日本も敵国だったんだな ソ連にとってのウクライナは当時は親密な関係であったようだが、現在はロシアとウクライナの戦争に終わりが見えない 戦争は悲惨でしかないのに、国の指導者が戦争を選ばざるを得ない状態になってしまうのはなぜだろう
4投稿日: 2025.04.09
powered by ブクログソ連とドイツの戦争の中で生きた女性狙撃兵セラフィマのお話。つらい場面も多いけど、読んでよかった。史実をもとにしたフィクションだろうけど、こんなようなことが実際にあったのだと思うと恐ろしい。命の危険を感じないし、銃に撃たれる心配のない、今の日本での生活は幸せだな。 何のために国と国は、人と人は戦争するんだろう。領土を増やすため?増やしたら、国のお金が増えて、豊かになるのかな?でも豊かになるために人が死んだり街がめちゃくちゃになったら本末転倒だよなぁ。戦争はしてはいけないと今の私は思うけど、その時の社会の状態次第ではセラフィマたちのように倫理観は変化せざるを得ないし人を多く殺すことが勲章になっていくことは怖い。 戦いの説明の部分は難しくて理解しにくいところもあったけど、物語にしてくれることで戦争の悲惨さ、少女が人を殺せる兵士になっていくまでの心の移り変わりを見ることが出来た。歴史の話や戦争の話は苦手だけれど最後まで、読む手が止まらなかった。
39投稿日: 2025.04.09
powered by ブクログずっとつらかった 書評にもあったけど、 もうこれを起こさないようにって思って読み終えられない、今この景色を見ている人がいることから目を逸らさずに、自分ができることをしないといけないと思いました
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ復讐のため、狙撃兵となった少女セラフィマ。 ただの猟師だった彼女が兵士になるまでの過程が丁寧に描かれている。 同じような境遇にさらされた少女兵達との訓練シーンは、意外と面白くて読みやすい。 敵との距離をそんな風に測量するんだなあと、のんびりとした気持ちで読めるほど。 だけど、前線に送られた後はそんな気持ちは吹っ飛んだ。 仲間の死を悼む暇もない。 人を撃つことへの躊躇もなくなり、スコア化してまう。 環境に適応するためとはいえ自身の“変化”に戸惑いを覚える。 これがなかなか辛い。 何の為に戦うのか。真の敵とは何なのか。 男性が主役になりがちな戦争を女性視点で書くことで、ストーリーの幅が広がったような気がします。
4投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
リュドミラ・パヴリチェンコに対して、境地に至った先に見える景色を問うシーンが最も印象的だ。今の自分に置き換えていえば、資本主義社会においてゴールした者。いわゆる成功者たちに対して、その心情を問うことに近い。その人たちも我々と変わらない、根源的欲求に基づいて生きているのだろうなあ。
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み終わるのに時間がかかった。 戦争により、人が変わっていく姿をみていくのは辛かった。 印象的だったのは幼馴染のミハイルが、ドイツ人女性を強姦しようとした場面。村にいたときは穏やかで聡明で、主人公と結婚する可能性もあった男性だろうに…ここまで人を変えてしまうのかと驚愕。 戦後、軍人たちの心のケアもおざなり。女性軍人たちは腫物扱いされていて、虚しい結末だった。これがリアルなんだなぁと。
3投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ1942年〜45年戦時中におけるソ連の女性狙撃兵達の物語。 文庫本では500ページを超える大作です。ソ連が舞台の為、馴染みの無い地名もありますが、読みやすかった。 戦争がテーマですので残酷な描写もありますが、過度ではありません。どちらかと言えば、主人公等の内面描写が多く、「敵を撃て」の「敵」が明らかになった時、全編を通して考えさせられる物語。 参考文献が多く、筆者の強い意思が感じられます。 本当に良い意味で衝撃的な作品でした。
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログまるで間近で銃撃戦を見ているよな、そのくらい引き込まれました フィーナにとっての敵は誰なのか なぜ敵は敵になったのか 敵を作り出したのは一体なんなのか
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
始終圧巻。 狙撃手かつ女性という立場で描いたこの作品に考えさせられました。 読む前はゴールデンカムイをイメージしてましたが、実際は女性目線で戦争の残酷さを描く場面が多く、戦争による主人公や仲間の女性狙撃手たちの心境の移り変わりが心を抉られました。
2投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログもうすぐ今年の本屋大賞が発表されますね!!ということで2022年?の本屋大賞を読んでみました。最初はあるあるなんですけど分厚さに圧倒されて本当に読もうか迷いました。でも、読まないで損はなし!逆に読まないと損します。 家族と村の人々を戦争で亡くしたセラフィマは女性狙撃手になることになった。すべては母たちの敵討ちをするために。戦争がテーマの本だけど日本の戦争の話ばかり読んでいたので世界に目を向けていなかったのですがこんなこともあるのだと分かりました。もっと色々語りたいけどネタバレはしたくない!とにかく読むのをおすすめします。
116投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ独ソ戦争での女性狙撃手が主人公の作品。 前から気になっていた。いざ読んでみると本の分厚さを忘れるくらいの読みやすさでスイスイ読んでしまった。 戦争とは程遠いところで過ごせている事が改めてとても幸せな事だと感じた。 戦争というものが普通に過ごしている人の人生を大きく変えてしまう。みんなが戦わないという選択肢を選べば戦争は起こらない。 戦争という大きな事柄が平常時であれば人を傷つけたり、ましてや殺したりする事は誰しも躊躇する事が普通のことになってしまう。特に女性に対する暴行はあってはならない事だ。 ウクライナやガザでもこのようなことが起こっているかと思うとすごく怖い。 平和な世の中であってほしいと強く思った。
9投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ難しいけど、読める。 読了までに数ヶ月かかってしまった。 タイトルに込められた少女たちの思い、 少女たちの決意とやり遂げる強い意志、 節々に強い思いが感じられて感情移入できる小説だった。 全ての戦争を経験した子供たちに敬意を払いたい。 そして、やっぱり戦争は無くなるべきだと思うが、 それは不可能だとも思う。 したくてしてる訳では無い。 戦争をしなければならない意味を各々が探して、それを自分の軸として生きていると感じた。 良い。
3投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【ネタバレなし感想】 母を殺されて、復讐を心にロシアの女性狙撃隊に入り、ドイツとの戦争に狙撃兵として参戦するセラフィマ。惨憺たる戦争の中で、復讐、友情、愛、慟哭、苦悩、葛藤等に悩まされながら生きていく。 最終的な結末と、真の「敵」とは一体… 戦争の概要から、細部の細かな描写まで深く描かれており、人々の苦悩や戦争の悲惨さをひしひしと感じさせられる。ページ数も情報も多くて読むのが大変だが、読後は戦争や平和について考えさせられる素晴らしい作品。 【ネタバレあり感想】 狙撃兵であるセラフィマやそのチーム、その他の突撃兵や敵の心情、戦闘描写などがとても緻密に描かれていて、戦争が人を変える怖さを感じる。 プロローグ、狙撃隊教習時代、作戦1.2、エピローグとそれぞれの章がどれも面白く、どんな結果になるだろうというドキドキと、戦争が人を壊していく恐ろしさに胸を打たれた。 クライマックスは、母を殺したイェーガーというドイツ狙撃兵を撃ち、とどめをさそうと逡巡していたときに、幼馴染のニコライがドイツ女性を犯しているところを目撃し、狙撃。イェーガーが狙撃したとセラフィマを庇いロシア兵に撃たれ死亡。 その人にとって本当の敵とは何か?を考えさせられる結末となっている。 指導員のイリーナと、村で暮らしながら復興していくが、戦争を経験した人間は後遺症や周りの人々との人間関係などに悩まされながら生きていく。 最終的には「戦争は女の顔をしていない」という著書とも結びついている。これも読んでみたい。 平和学習はみんな学校でよくやっているし、常々戦争は良くないとは誰もが身に染みていると思うが、この本はその中でも戦争の中で国家のプロパガンダにより洗脳させられたり、その中でも生きたいという望みがあったり、仲間が死んだり敵を庇う想いがあったりの苦悩を一文一文噛み締めることができ、一つ戦争と平和や国家と人間について考えさせる素晴らしい作品でした。 どこまで調査とか情報集めたらこんな大作かけるんやろ…これが処女作すごすぎる…相坂冬馬先生の作品他のも読んでみよう。
2投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争によって人々の信念やあるはずだった日常が捻じ曲げられていく。そういった戦争の恐ろしさをしみじみと感じました。また、戦争は地獄を招くという事実は今までにどこかで知識として得る事は出来ていましたが、こと戦争における女性市民ないしは兵士の阻害についてはろくに知りもしていませんでした。戦争という悲惨なテーマと相対した時の新たな角度の視点を得られ、大変貴重な一冊を読む事が出来ました。 また、様々な登場人物達も、文字通りそれぞれに物語を持っていると言わんばかりに事細かく描写されており、人間ドラマとしても大変味わい深い作品となっていました。 個人的に印象深かったシーンは、再会したミハイルとセラフィマが他愛もなさそうな会話を始めるところでしたね。幼馴染で、そして数年振りに顔を合わせた2人。私はそこで少し甘い話が聞けるかなと期待していました。少し。しかし、2人はお互い再会した事に対する興奮を持ちつつも、戦車や兵科の話ばかりをしていて、当然といえば当然なはずなのですが、衝撃を受けましたね。前述したように、戦争によって日常が捻じ曲げられた2人。本来は一生口にするはずなかったであろう兵器の単語の数々。そんな2人の会話を通して、作者は戦争が日常になる事の恐ろしさを伝えたかったのではないかと私は考えています。 何度でも読み返したくなるような、ボリュームたっぷりの最高の傑作でした!ありがとうございました!
2投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログ戦争で家族を殺されたロシアの少女が狙撃兵になり、そして戦争に加わり復讐に生きる物語。 戦争と言う地獄が分かりやすく描かれていて、それでいて全くホラーにはならない内容に仕上がっていて、内容が内容だけに言いづらいが、とにかく面白かった。
2投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログいまの時代だからこそ、 いまだからこそ、読む価値が高まっていると思える傑作です。 戦火の中で生きる、女という 話にはスポットが多く当たりますが 戦火の中の女性兵士へフューチャーされた作品という部分では とてもめずらしいです。作品の中で名前が登場する、戦争は女の顔をしていないという作品も読んでみたいと思いました。 心理描写や、情景などがとても緻密に描かれており 主人公セラフィマの人生を戦争というテーマのもと 追体験できたことが嬉しいです。 同士少女はなんのために、戦うのか 敵とは、誰なのか 登場人物ら皆、魅力に溢れた者でした。
2投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログ陣野先生の戦争小説の回で出てきたので。女性狙撃兵の視点は確かに特殊だけれども、生理や性暴力の描き方がごくごく形式的だとも感じた。『戦争は女の顔をしていない』に繋がるのはよかった?
2投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログ浅い感想しか出てこないのが本当に不甲斐ないけど、面白かった……… みんなそれぞれの正義や人生があって、誰も間違ってないけど、善人にも悪人にもなる 敵って誰のこと・何のことなんだろうとか、考えてしまう もう少し落ち着いたらまた読み直したい。
3投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ主人公セラフィマの視点で戦争をみた。 敵を撃った時の興奮、一緒になって喜んだ。 喜んでしまったことを私も後悔した。 戦争は簡単に人を変えてしまうんだなぁ。
10投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ何のために戦うのか。復讐のため、子供のため。女性のため。主人公はイリーナという女性教官に、ドイツ兵に復讐するために狙撃兵となるが、そこで生まれた友情や、復讐の意味を考える。もっぱらの敵討ちをした後に、主人公が狙った敵が意外だった。 信念を貫き通す、という大事さが描かれていると感じた。 敵視点も描かれていて、進撃の巨人を読んだ時のようだった。
7投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後のセラフィマがかっこいい ユリアンの、相手の物語を理解する者が勝つ、という一文から新たな気づきを得た 歴史に疎かったため、専門用語が出てくるたびに調べながら読んでいたため読むのに時間を要したが、それゆえに戦時下の兵士の日常と心理が、残酷な戦争のシーンが明瞭に脳裏に浮かんで、なかなかページを捲る手が止まらなかった
4投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログ素晴らしい。 ライバル狙撃手の死の直面、彼のとった行動。拍手 オリガも信念を貫くにもフィーマのために みんなの生き様が素晴らしい。 ハッピーエンド一気見
2投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでてめっちゃ辛くて考えさせられる話だったꌩ ̫ ꌩ 自分にとっての正義は他人にとっては悪なこともあって、何が正しい事なのか分からないけど、戦争に置いては自分が正しくて、相手が全てにおいての悪である。と思い込む必要があるんだって、そんなに詳しく考えたことなかったけど思い知らされたな。 特に一般民の女に性暴力を振るう兵士が許せなくて、女を守るために戦いたいという信念をもっているセラフィマの同郷であり婚約関係に近かった人が性暴力を振るおうとしていたシーンを読んだときはほんとにやるせなくて、すごく辛いシーンだった( ; ; )その同郷の妹や村人が性暴力を受けた後の姿をその目でみたセラフィマにとって、どれだけ耐え難い現実だったのか、、、 そしてこの話は決して過去だけの話ではなくて、現在も世界のどこかで戦争は行われていて、同じように暴力を振るわれている人が居ると思うとすごく自分が無力で酷い人間であるように思ってしまう。でもこうやって安全なところから思いを馳せて哀れむことがただのエゴであり、残酷なことであるということもある程度理解出来るから、難しいね。 どんな状況でも、自分の信念を持って生きること。自分の正義が揺らいでも、自分の信念は揺らぐことなく持っていたいなって思いました。情報過多なこの時代で、すごく大事な考え方だと思う。 とにかく面白かったし読んでよかった!
3投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログ初めての戦争小説、馴染みのない地名や名前に、長編ということもあり読むのが億劫になりそうだと思っておりましたが、あっという間に完読しました。 世界史もあまり頭に入っていないながら、当時の情勢を感じつつ、頭の中で細やかに描写できた。 主人公セラフィマが死にたいと言った時から最後まで生きる意味そのものになったイリーナとの関係性が素晴らしかった。
2投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ読み終わった。内容は第2次世界大戦下の独ソ戦を主人公の目線から追体験するものだった。 個人的には少し消化不良感が残った。それは私が男だからかもしれないが、主人公の行動に共感や納得ができなかったかもしれない。ただ、戦記ものの読み物としては面白かった。
8投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログただただ主人公の仇を討つ話じゃなかった。とても重くて考えさせられる話だった。人は容易く死ぬし、どんなに優しい子でも戦争によって自ずと変わっていき、その人らは自分が変わったことにすら気づかないことの虚しさがあった。戦争が終わって日常が戻ってきても、戦争を体験した人らは苦しみ続けていて、戦争が終わってからも彼女らの戦いは続いているように感じた。戦争を生き延びた彼女彼らの幸あれ。そして、早くこの世から戦争がなくなりますように
5投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
教訓:愛する人を持つか生きがいを持て 最初はとっつきにくいと思ったけど読み始めたら、7時間ぶっ通しで一瞬だった 戦争は女の顔をしていない
3投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ戦争関連の作品はあまり読んだことがなく苦手意識があったが、とても読みやすかった。作品の情景が思い浮かびやすく、感情移入もしやすい。様々な死が描かれた中で犬のシーンが1番しんどくて、読むのやめようかと思ったが、、最後まで読めて良かったと思う。 ラストの高まりがもう少しあれば良かったけど、それこそ戦争の虚無感、得るものなんて何もない現実を突きつけられる。 全ては自分が選択していること。思いやるとは寄り添い?鼓舞?そんなことを考えさせられた作品でした。
4投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小さな村で静かに暮らしていた優しい少女が、復讐のため狙撃手へと変わっていく過程が辛い。 戦争が無ければ、ロシアとドイツとを繋ぐ外交官になっていたかもしれない。幼なじみと結婚して、子供が産まれていたかもしれない。でもそんなことは起こらなかった。 仲良くなった人達が、あまりにも呆気なく、銃弾一発で死んでしまうのがとても辛くて読む手を止めそうになった。 ミハイル、お前も、、、 ミハイルが味方の戦意を維持する為だったのか分からないが、撃たれる側も撃つ側もこんなに辛いことってない。 もしも戦争がなかったならと考えずにはいられない。 戦争が終わっても生活は続いていく。その当時は未来のことなんて考えられなくてもたしかに生き続けるし、記憶とともに頑張って生きていかなければならない。 セラフィマが、生きがいと愛する人を見つけられて本当に良かった、、、どうか幸せに過ごして欲しい。みんなが戦争の被害者だ
3投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ本屋大賞1位になり、単行本のときから、大変評判になっていた作品である ひと言でいえば「素晴らしかった!」。久々に何度も読み返したい作品だ。 解説にもあるとおり、きっと読み返す度に「ただいまセラフィマ(主人公)」と思うのだろう。 日本でいえば第二次世界大戦下のソ連が舞台の物語。モスクワ近郊の村で暮らす少女セラフィマは敵部隊によって母や村人を殺害され、自らも射殺される直前に赤軍兵士イリーナに救われ、彼女の元で精鋭狙撃兵に育っていき、そして──という物語である。 狙撃兵とは、戦う意味とは、戦争とは、女性の尊厳とは。ディープな命題がてんこもりにもかかわらず、むやみに暗くなり過ぎずにどんどん読み進められる、すごい文章なのだ。凄惨な現実を前に、セラフィマがどう進むか。目が離せない作品である。 戦争にはついて回る強姦シーンも、簡潔な描写にとどまっているので、小学生にも比較的安心して勧められるのではないだろうか。
3投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ過酷。 とにかく緊張感も感じられる。 ソ連、ロシア、ドイツ話は興味をひく。 最後、セラフィマがイリーナを止めるとき、泣きそうになった。凄くいい作品でした。
2投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログhttps://calil.jp/book/4152100648 早川書房(2021-11-17)
1投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ独ソ戦争が舞台ですが、ストーリ自体シンプルなので分からなくても楽しめます。 読み終わって同じ時代の映画をみて補完してます。
2投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ読み終わるのが惜しいほど、この本の世界観に入り込みながら読了しました。戦争についてソ連の事情も少しだけですが、理解できたような気がしています。戦争は終わった後も心身共に後遺症が残ったり、家族への影響など様々な事が起こります。少女が狙撃兵となり、色々な経験を経て成長しながら考え方も変わっていく…考えさせられる物語でした。
2投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ「同志少女よ、敵を撃て」読んだ。というかAudibleで聴いた。 これは本も買おう。 青木 瑠璃子の朗読も良かった、ラジオドラマのように誰のセリフかわかった。 産後幼子が辛い目に会うシーンが耐え難く、薬莢をヴォルガにぶん投げるシーンが限界だけど、(コーリャ銃撃シーンレベルが2回あったらもう無理だった) 少女が戦う物語はまだいけるからいまのうちに少年少女物いきます。
3投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ読む前にストーリーを想像していたが、当たった所があれば予想外な所もあった。 特に最終の局面には驚かされた。 たまたまテレビのドキュメンタリーで第二次世界大戦のナチスを取り扱っていた映像を見て、同時にこの小説を読んでいたのでリンクしてより興味がそそられた。 現在でも戦争は行われている。色々な意味で人間は物事や教訓を忘れてしまうものだと痛感する。
9投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ悲しかった。陳腐な感想だけど、悲しかった。みんなみんな死んで欲しくなかった。硬い感じの表紙でしかも分厚いからあまり読む気にはならないかもしれないけど、少しでも迷ってるなら読んで欲しいな。戦争反対。
2投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ面白かった シャルロッタが死なない事を願いながら読んでたので、正直怖かった笑 味方はミハイル以外良かった!
7投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ残酷で凄惨な戦争が過去の遺物でないことが 悲しい。現在進行形であること。 文中に ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのだろうか、とセラフィマは思った。 とある。 戦いを選ばない世界がくればいい。
30投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログシャルロッタが善良すぎて、お願いだから死なないでくれとだけ思いながら読んでいました。めちゃめちゃ面白かったです。
3投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ戦時中となれば、ましてや兵士となれば、平時の心を保つ事か難しいのだな、そのように教育されてしまうのだなということを、セラフィマを通してリアルに感じる作品だった。 なぜ戦争をするのだろう。 なぜ集団で戦うのだろう。
3投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログ同志とは、志を同じくする者のことで 敵とは、その志から外れた者のこと。 女だからと蹂躙されて、慰み者にされることを「是」としてしまう風潮は悲しいかな戦時下以外にも蔓延っているわけで 戦争物ではあるけれど、女であることで受ける加害は現代でもそう変わらないなと思った。 読了後何も感じなかった敵は撃たれろ。
3投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログ読みやすくてよかったけど、思ってた感じとは違った。もっと考えさせられたり、なるほどなって思う部分があると思ったが、普通に独ソ戦の話だった。 内容が重たいと聞いていたがそんなことないので、気軽に読める。ストーリーはおもしろいので、無心になって読める本。、
14投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ渦中にいるかのような感覚になる。 そのくらい鮮明でそのくらいリアル。 戦闘シーンの迫力も、心情の変化も解像度が高い。 正直歴史は全然詳しくないしただ独ソ戦があってナチスが非人道的なことをしてくらいの知識量。 映画で見たり。そのくらい。 そんな人でも学びながら読める。 実際にあった現実の歴史書でもあり、フィクションの小説でもある。 両方が上手く交わっているので物語を楽しみながら学びも得られる。 何度でも読みたいとそう心の底から思える作品だった。 何度でもセラフィマ達に会いに行こう
2投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ戦争を題材にした作品には苦手意識があったが、序盤から没入して読み進められた。参考文献の数からも、自信を持って本作を執筆したことが伺えた。
2投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログきっとこの小説を読んでYouTubeで戦争の歴史とか見た人たくさんいるはず。 自分もその一人。 歴史の授業で学んでいても細部までは分からないし、第二次世界大戦も日本の戦争もフィクションのように感じてしまうけど、この小説をきっかけに自分が生まれる前に本当に起きた事実なんだと改めて知ることができた。 いまも世界で起きている戦争は日本にいると巻き込まれることのない遠い世界の出来事に感じてしまうけど、自分の意思と関係なく、ある日突然戦争状態に入ってしまい、大切な人を亡くしてしまったり、自身も戦争に参加したりする人が、いまこの時も世界のどこかにはいるんだろうな。 小説としても面白かったし、いろいろ考えるきっかけにもなる作品でした。
5投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ戦争を知らない子供がいたら、この本を読んでほしい。そう思える作品だった。文章は読みやすく、言葉も歴史の語り方も丁寧。キャラ同士の掛け合いは進撃の巨人を彷彿とさせた。 信念というものの凄さと恐ろしさ、戦争前後の価値観の違いを始めとした様々な価値観の違い。 学ばされるものは多い作品でした。
9投稿日: 2025.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2022年本屋大賞作品。 舞台は第二次世界大戦下のソ連、ロシア。独ソ戦で活躍する女狙撃手目線の物語。 実話に則った内容で、戦争の悲惨さ残虐さ異常さを感じる。塹壕から少し顔を出しただけで死んでしまった人もいて、それぐらい死が間近にあるのが戦争っていうことを感じられる。そんな中でも主人公セラフィマと狙撃部隊の仲間たちとの関係や、教官であり憎しみの対象であるイリーナとの関係、そしてドイツ軍の狙撃兵であり仇のイエーガーとの関係の物語が良かった。 ”同士少女よ、敵を撃て”終盤でこのタイトルが大きな意味を持つ。自分にとっての敵とは何か?ママが敵軍の子どもを守ったように、セラフィマも女性を犯す赤軍、しかも同郷の幼馴染ミハイルを撃った。ミハイルがそのような行動を取ってしまったことも戦争の異常さゆえだと思うけど、セラフィマはイエーガーに宣言した通り、自身の普遍的な信念に従ってミハイルを撃つ。最後の最後までそんな展開になるとは思わなかった。なんかすごい…
3投稿日: 2025.03.14
powered by ブクログ戦争は人を変える。その事を考えてしまう作品だった。 様々な文献を参考にこのような物語を作り上げた著者に感嘆する。 実際にこの作品のような人生の人がいたのだろうと思うと辛く切ない。 ウクライナとロシアの現在行われている戦争を想像してしまう。
3投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ本屋大賞になったのはわかる。とても面白いし、キャラクターも魅力的。 直木賞候補になって取れなかったのもわかる。細部構成が粗くて荒唐無稽なところがあるし、最後がもう少し上手くても、と思う。 でも、独ソ戦で女性狙撃兵が実際に活躍したとは知らなかった。
6投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ戦争小説は初めて読んだが、その凄惨さはともかく、登場人物たちの逡巡が細かく読み取れて面白かった。面白かったと言っていいのかわからないが、没頭して読んだ。戦時下における、人道的、倫理的な振る舞いとはなんなんだろうか。最も非人道的な行い、もっぱら人を殺すことが正義とされる世界で、何が人を人たらしめるのだろうか。そんな世界の中で自分を保つことができるのだろうか。実際、主人公のセラフィマも敵を狙撃することにある種の快感?のようなものを覚える場面もあった。のちにその異常さに気付いたが。イリーナがセラフィマを含め少女たちと国家のどちらも救おうとしている様子が感動した。平和な世界で、少女たちが彼女たちらしく生きられるように接しているように感じた。 この小説はフィンランド旅行中に読み進めた。フィンランドやエストニアのタリンにいる時、いろんなところでウクライナ国旗を見た。日本では、物理的にも距離があるからか、そこまで強い抗議は目にしたことがない。控えめで謙虚なフィンランド人の強い主張を節々で感じた。戦時下で生きた方々と同じ時代を生きるものとして、何かするべきかなと思った。
4投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ環境が人を変える最たるものが戦争。読みながら、人は殺されないけれども社会・会社でも同じようなことが起きていると思った。 その境遇になければ出会わなかった人、出会わなくてよかった人、出会えてよかった人。 その環境でなければ到底正当化されない、異常なこと、だけど全員が異常言うことは許されない、自分だけが異常だと思ってしまうこと。 味方の中の敵、敵の中の味方。 そして、その環境が変わったとき、すっかりその環境に慣れているから他の環境に馴染めない。また、どれだけ環境や物事を責めて人を責めるなとしても、人は人を責める。責めない人も敬遠したりその人と関わらない。頭でわかっていても心がうまくいかない。 今も戦争はなくなっていないし、戦争をしていない国である私がいる日本社会でも、殺し合いという定義にはまらない小さな戦争は勃発していると…いつまでも人は生きづらい環境に生きているんだなと思いながら読んだ。
2投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログスナイパー物にハズレなし。獲物を狙うものと狙われる者との駆け引きや、撃つまでの葛藤、迷い、仕留めたあとのカタルシス。そしてその後に残る虚しさなど人間ドラマがギュッと凝縮されるスナイパー物は古今の小説、映画でも題材とされる人気のジャンル。 本作も御多分に洩れずスナイパー物の面白さを十分に堪能できる。しかし単なる英雄譚で終わらない。特に後半が凄まじい。彼女、彼女達の戦争は何だったのか、何と戦ったのか、そして忌むべき敵とした一方の物語が語られる事でこの小説の深みが一層増しているように思う。心が揺さぶられる一冊です。
16投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログ同志少女よ、敵を撃て! 文庫化したので早速読んでみた。 感想を書くのが難しすぎる… 舞台は第二次世界大戦時のソ連とドイツの激戦区。 ある日故郷の村にドイツ兵が押し寄せ、村人を皆殺しにされてしまったセラフィマは、元狙撃兵のイリーナの元で、女性狙撃兵となり、戦を切り抜けていく。 1人の少女が、全てを失い、復讐を決意し、狙撃術を学び、戦場にて仲間を失いながらも戦い抜き猛者となっていく過程が事細かく描かれているので、没入感が凄かった。 肉塊となっていく中でも戦地を転々とし、殺した相手の数が「スコア」として評価される狙撃兵の存在意義に登場人物たちは葛藤しているのがよくわかりました。 また、兵隊が女市民に性加害を加える、「戦地の性問題」にも深く切り込んでいて、最終的に「同志少女よ、敵を撃て」の「敵」は、ドイツ兵の事ではなく、女性を虐げる「男」という存在なのだと明かされるシーンに、胸を打たれました。
19投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログ第二次世界大戦のことはヒトラーくらいしか知らない。歴史のことは知らなくとも、戦争の悲惨さは十分に感じ取れる作品だった。タイトルの回収の仕方も良かった。故郷である村を焼かれ、家族を失い狙撃兵となるまでの話も良い。仲間と訓練。そして数々の戦場で出会う兵士たちとの交流。そこに感情移入できる文章の優しさがあった。この作品は、独ソ戦をもう少し詳しく知ってからもう一度読もう。
7投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログ感動した、辛かった、励まされた、怖かった、、いろんな感情があふれてきた作品。目を背けたくなる場面も多々あったけど、1行も無駄にしたくなくて、大切に大切に読んだ。久しぶりにこんなにじっくり時間をかけて読んだと思う。世界史の知識がないし、カタカナが多いしそのせいもあって、時間はかかる本という印象。でもそんなことを忘れるぐらい読み始めたら止まらない。 緊張感がある中で、少女たちの関係性がこの本の中で唯一心が救われる部分だと思う。銃を下ろせばただの可愛い少女たちが、復讐や自由のために戦う姿を想像して、かっこいいとも恐ろしいとも違う、なんとも言えない感情になった。 今まで戦争の話はあまり読む機会がなかったし、やっぱり難しい内容であることを改めて実感したけど、この本が私にとって大切な本のひとつになったのは間違いない。ずっと手元に置いておきたい。
5投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログロシア人の女性狙撃兵のお話。 女性、狙撃兵2つの立場から見える戦争の悲惨さ、 そして僅かに見える未来への希望 映画を見てるみたいだった 戦争を題材とする小説は初めて見たが、最高でした
2投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ毎日通勤時にのみ読み進めていたので、少し時間がかかりましたが、読み終えて大満足です。 独ソ戦の話ですが、女性目線から戦争が描かれています。 本の内容にもありましたが、基本的に戦争は男性中心に描かれていて、女性がどのように扱われていたのかは、戦争が終わっても有耶無耶にされています。 また読み進めていくうちに、戦争の本当の敵とは誰なのか考えさせられました。 ボリューム感がある書籍で敬遠されている人もいるかもしれませんが、一度手に取って読んで頂きたいです。
6投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ戦争もの。アガサクリスティー賞取ってるからかミステリー小説という分類でYouTubeやネットでちらほら紹介されていたがそこは期待し過ぎないほうがいいかも。 文章表現が題材に合っていて、重厚な高級な小説に感じた。 ストーリーも面白く、600ページくらいあったがあっという間に読めた。 以降ネタバレ リュドミラパヴリチェンコのネジ職人の話、頂に立ったものの話に鳥肌が立った。話を聞いたセラフィマと感覚を一緒に疑似体験している感じ。これまでの話があった上で、最終決戦前のタイミングで、この話。構成が最高すぎる。 この本を読めて良かった。またいつか読み返したい。
2投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ臨場感溢れる戦闘描写や史実に基づく背景の説明が上手く、独ソ戦を女性狙撃兵を通して追体験したような感覚。壮絶な環境下で変化していくセラフィマの戦争や敵に対する向き合い方が圧倒的な熱量を持って描かれていて、デビュー作とは思えないほどの重厚感があった。何者でもなかった少女たちを立派な狙撃兵に仕立て上げてしまう戦争が恐ろしい。
3投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ独ソ戦を舞台に復讐に燃え、スナイパーとして成長していく主人公。戦争を女性ならでは視点で描かれており、その過酷さや、戦況、心情描写は圧巻の一言。 結末ラストやタイトル回収には心を揺さぶられました。さすがの本屋大賞受賞作品です。 各キャラ立ちもあり名言も多い作品ですが、作中の「失った命は戻ることはなく、代わりになる命もまた存在しない」という言葉が印象的で、自分を含め誰一人として代わりになる人はいない事に気が付かされた正に良作。
14投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ数日で読み終えました。村の少女が復讐を誓い磨き上げた狙撃の技術で敵を討つ。精錬された一撃に至るまでの思考の過程。狙撃手という存在が戦争の中において明らかに周囲の兵士とは異質な存在なのだと。悲惨な過去を持ちスコープを通して数多の真実を知った彼女が最後に討つ「敵」とは。主人公の信念が最後まで揺るがなく魅力的でした。ぜひ皆さまにも読んでほしいです。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ第二次世界大戦でのヨーロッパでの出来事は、今まであまり詳しくは知りませんでしたので、あまりの凄惨さに驚きました。 女性をメインに描いている点も戦争小説としては初めて読んだので、新鮮でした。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一度は読んで欲しい本!!! 戦争を実際に体験していない人間の1人であるから戦争でのリアルを知ることができた。本当の敵とはなにかについて、このタイトルについて、改めて考えさせられた。 確かに戦争では女性の存在についてあまり語られない。いつも男性ばかりだとこの本を読みながら気付かされた。 内容的には登場人物の心情が細かく詳しく書かれて凄くわかりやすい。場面が変わり時には敵の心情も書かれており、よりこの物語をリアルにしてくれた。私の想像では最後フィーマとミハイルが結婚でもするのかなと思っていたが予想が外れた、外れすぎてた…もっと残酷だった。やっぱ人間っていちばん怖いし醜い生き物なんだなと思った。 この物語に出てくるような方たちがいると考えるともう言葉も出ない。言葉では表せれない感情で溢れる。 もう男性女性って分けるのもなんか嫌だ……なんでこんな辛い人生を送らないといけない人がいるの…
3投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ子どもたちは、あそびを忘れさせられる。 少女は、涙を流さない。 第二次世界大戦時、狙撃兵の少女にとって、撃つべき敵はナチス・ドイツ兵、そうはっきりしていたかもしれない。彼女が最後に撃つ敵に会うまでは。その時、彼女は自分が何のために銃を持ったのか、思い出し、思い知らされる。 ロシアがウクライナを侵攻している最中、この本の重版がかかる知らせを受けたという。引きつけたのかしら、小説のもつ力を思います。4ページにわたって参考文献が紹介されていて、本作は小説だけど事実に裏づけられている、その迫力を読みながらずっと感じていました。人を殺し、殺される戦争において、被害者も加害者もなく、ただ犠牲者がいるだけ、という言葉を別のところで最近読んだ。本当に。 殺すか、ここで死ぬか、という選択を迫られた時に、そうではない道を選び取った登場人物。私も、そうではない道を見いだしたい。作中ではソ連の少女が笑いながら銃を構える、そうさせる戦争が今現実に起きているということを忘れずに。 解説もよかった。戦後を生きる苦しみがあっても、戦後をずっと生き続けたい。
2投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本屋大賞を受賞しており、興味があったため読んでみた。 戦争小説は読んだことがあるが、女兵士が主人公になっているものは初めてで興味深かった。 日本に生まれ育った私たちはもう大半の人間が戦争を経験しておらず、歴史で習う程度の知識しかなかった。 この本を通じて、主人公であるセラフィマが狙撃兵になるまでの経緯や戦争中の経験を積んで成長していく過程をみることができ、あたかも戦争経験者のような認識を得ることができた。 また、道中では切磋琢磨経験を積んできた仲間兵士が呆気なく死んでしまうことから、戦争の恐怖を感じることができた。 必死に訓練を頑張ってきた仲間が即死してしまう、これが戦争の現実なんだと思う。 「敵」とは誰なのか。 最初は勿論国としての敵であるドイツ兵を敵だと認識していたセラフィマだったが、赤軍男兵士がドイツ軍の女性に性加害をしていることを知り、本来の目的を思い出す。 最終シーンで幼馴染ミハイルが性加害に加担しているのを見て射殺するシーンは驚きもあったが、セラフィマが本来の目的を見失う事なく戦争を終えられたのだなと感じた。 ただ、幼馴染ミハイルも、セラフィマの仇となったヘレン・イェーガーも、共に良き人間であったのは間違いないことが作中の文章で伺える。 戦争というのは人をおかしくさせてしまう、いや、おかしくならないととてもではないが生きていけないものなのだなと思う。 今を生きる人たちに戦争とは何なのか、また戦争中の女兵士はどのように活躍していたのか、それを伝えてくれる傑作だと感じた。
10投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
色々な背景が詳細に書かれておりとても没入感が得られた作品だった。 あらすじとしては村を蹂躙された少女が復讐心を糧にして敵を倒すために狙撃兵として戦争に行く物語。特に当時書かれた文章や地図を物語の途中でのせているのでとても没入できて当時の人がどんなメンタルだったのか又、何で主人公達がこう思ったのかがとてもわかりやすかった。 実際はこれ以上だと思うが戦争の悲惨さや人間の身勝手さが描かれており、とても同じような事が今起きているとは思えなかった。ただ物語としては題名の同士少女よ、敵を撃ての回収は中々グッとくるものがあった。
1投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログ傑作でした。 舞台は第二次世界大戦の独ソ戦。主人公は、女性狙撃手。だいぶ重い。文章量もテーマも。 ただ、本当に本当に面白い。戦争における敵と味方、善と悪は単純な二項対立にならない。それをさまざまな登場人物の心情の変化や成長から感じさせてくる。読む手が止まらないエンタメ感がある。 筆者のこのテーマに対する知識量が膨大すぎるからこそ、このディテールで書けるんだろうなと感嘆の声しか出ない。 この時代のこの時を生きた人々が考えていたこと・内面を圧倒的なリアリティを持って感じられる作品です。 これは、一生に一度は読んだ方がいいと思います!!!!
12投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログキャラ設定がマンガ的で、さほど本を読まない人でも入りやすい。展開もステレオタイプなマンガ的で読みやすい。 資料の読み込みや構成などはしっかりしているので読みごたえがある。 ソ連の赤軍になじみがないのでピンと来ないところもあるのが難点かも。
2投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログ敵、の意味がわかったときおおっと思いました。 登場人物たち一人一人に信念があり、それぞれに感情移入できます。二度と起きてほしくないことなのに、戦争がまた起きてしまうなんて、世界は残酷だと思いました。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログ舞台は第二次世界大戦の旧ソ連とナチスドイツが激しい戦いを続けるスターリングラード。村ごとドイツ軍に殺され、生き残った少女が狙撃手として教育され、前線に送られる所から物語は始まります。仲間との友情、ドイツ軍との手に汗握る戦い、戦争について、生きることそのものについて考えないわけにはいかないです。583ページはあっというまです。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2024/03/03 読了 タイトルと表紙に惹かれて読んでみた。 村で暮らす普通の少女が親を殺され村を焼かれ、死ぬか戦うかの二択を迫られて戦うことを選んで狙撃兵になるお話。 狩りをするために銃を撃った経験はあるが、訓練学校に入学した当初は正確な距離も角度も測れなかったセラフィマが、多くの敵を撃つ狙撃兵になるまでの心境の変化、どんどん激しくなる戦況が臨場感たっぷりに描かれていて、読んでいて心が苦しくなる場面もあった。 この本を読むまでは実際に第二次世界大戦の独ソ戦にソ連軍から女性狙撃手が出征していたことを知らなかったので、作中ラストに「戦争は女の顔をしていない」という文章が出てきてハッとした。ラストに出てきた分、とても重い一文だった。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争が人を変えていく残酷さ、その中で救済を見出すイリーナの健気さ。 始まりますからずっと面白い! 主人公が生き残ってくれて良かった。 最後に幼馴染が女の子を襲う姿を見て敵だと思ったのはなんとも悲しい。戦争が人をそう変えたのに、戦争が無ければ結婚していた二人なのに… イェーガーは冷徹な敵だが、いい奴だったのでは?とも思う。仕方なくやってたんだろうし。
3投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログ独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。 「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは? ---------------- すごい作品だった・・ここまで詳細な戦闘シーンが描けるって、どこでこんな知識を得ることができたのか・・聞いてみたい。 読めば読むほど辛くて、戦争の話はそもそも好きじゃないので、この長編読み切るのが大変だった。女性目線で見る戦場の陰惨さを感じて、最後までハラハラドキドキで疲れました。
24投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログこの時期に読んでよかったと言っていいのだろうか。ロシアとウクライナの戦争があるからこそ、独ソ戦がよりリアルに感じられ、またこの小説の中のストーリーが今もなおウクライナやロシア、中東で行われていると思うと胸が痛い。 だが、読んでよかったと思う。 女性の立場からの戦争とはなんなのか また、「敵」とは誰なのか? セルゲイやイェーガー、看護師のターニャ、子どもを守ったママは、国で敵や味方を判断していない。私もそうでありたいと思うが、あの戦争という環境にいったらそのように思えないかもしれない。 幼馴染も言っていたが、誰もが「悪魔」になりうる環境なのだ。 セラフィマも「人なんて殺せない」と思っていたが、もはや「人を殺すゲーム」だと感じていた。そんな自分自身に驚愕し、嫌悪する彼女のような人はたくさんいたのだと思う。むしろ戦争という環境であれば「正常」だとも思う。 1番のお気に入りポイントは 最後のターニャとセラフィマの会話。 なぜなら、セラフィマは今までイリーナによってこの戦地に連れてこられたと思っていたが、全て自分で決めてきたことだと分かったから。 また、ターニャの生き方や選択肢がかっこいいと思ったから。ぶれない軸。憎悪に飲み込まれない強さ。でもターニャが自分が正しいと思っているわけではない柔軟性も好意をもてる。 そんな生き方や考え方が好きだから。 最後の「文庫化にあたって」もよかった。ロシアとウクライナの戦争が始まる前に出版されたそう。逢坂冬馬さん、すごい辛かっただろうなと。小説だけで終わらして欲しかっただろうし、「このあとは平和がずっと続くんだから」という本のセリフは作家の願いだったかのように感じる。 でも、出してくれてよかったと感謝とともに伝えたい。そんな本だった。
1投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログ直木賞の候補作となり、本屋大賞を受賞した作品であることは知っていましたが、アニメキャラのような少女の顔が大きく描かれた表紙に違和感を感じ、そのうち読もうとは思いながらも購入するには至っていませんでした。 ところが、ある大手書店のウェブストアで、著者である「逢坂冬馬」さんのサイン入り文庫本が販売されているのを、たまたま目にして即購入しました(もちろん古本でなく新品であり、皆さんご存知の大手書店の扱いなので本物のサインだと思います)。 さて、内容ですが、ソ連の女性狙撃兵が主人公で、舞台は第二次世界大戦中のソ連(ロシア)とドイツとの戦争という、いわゆる戦争小説です。第一章からいきなり衝撃的な描写があり、その後も悲惨な場面が何度も出て来ます。 読み進める中で頭を離れなかったのは、この独ソ戦争は、約80年前のドイツの侵攻によるソ連にとっての防衛戦争で、教育された女性狙撃兵たちが敵のドイツ兵を次々と射殺していく話なのですが、現在、ロシアによるウクライナ侵攻という真逆の戦争が、実際に起きているということです。この現実をこの作品の著者はどのようにとらえているのか、モヤモヤとした感情が常に心に引っ掛かっていました。 しかし、本書の最後にある「文庫化に寄せて」の中で、著者の逢坂冬馬さんが次のように告白されていることで、私が抱いていた複雑な感情は氷解しました。以下、「文庫化に寄せて」からの抜粋です。 『この小説を書かなければよかった、と何度も本気で思いました。(中略)ありがたいことに当初から売れ行きは好調で、直木賞にノミネートされ、本屋大賞など様々な賞を受賞しました。小説家としての私は、これ以上ないほど順調にスタートしたと言えます。しかし、本作は最悪の形で同時代性を獲得しました。 2022年2月24日、ロシアはウクライナに全面侵攻を開始しました。悪夢のような戦争が始まったその日、私は本書の発行部数が10万部を突破したとの知らせを聞きました。 現実にロシアが引き起こした戦争の惨禍が連日報道される中、ロシアと戦争をテーマにした自作が売れてゆく。作者たる私には現実の戦争に関する質問が次々と投げかけられる。私は一連の現実を受け止めきれませんでした。日々戦争に関するニュースを見聞きして一人で泣き、泣きながら重版の知らせを毎月のように聞いていた記憶があります。 心身共に限界、という時期に、冒頭に書いたことを何度も思いました。』 この逢坂冬馬さんの告白を読んで、逢坂さん自身も著しく衝撃を受けていたことを知り、私はようやく今起きている戦争とは無関係なひとつの作品として受け入れることが出来ました。 なるほど、直木賞にノミネートされたり本屋大賞を受賞するのも納得できる、今までにない新しい視点からの特異な戦争小説でした。まるで映像を見るような描写とリアルな臨場感にも圧倒されました。普通の少女たちが主体的に(不可避的に)戦争に巻き込まれ突き進んで行くストーリーに、「正当化される戦争など絶対に無い」、「戦争は人を変える」、「戦争は善と悪の判断基準を曖昧にさせる」、という思いを強くしました。 作品中に印象的な以下のような文章がありました。 『純朴な少女のような彼女たちが、銃を手にした瞬間、異様な目の輝きを見せ、そして敵兵を狩る喜びを語り合う』 『一瞬のためらいもなく敵を撃ち、味方の死に取り乱すことのない優秀な戦士』 戦争のために女性狙撃兵として教育され、変わってしまった普通の少女たちを的確に表した象徴的な表現だと思いました。
2投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログ1942年、モスクワ近郊のイワノフスカヤ村に住む16歳の少女セラフィマの日常は突然ドイツ軍が押し寄せ、奪われてしまう。村人は殺され、母も目の前で殺される。射殺される寸前、急襲したソ連軍によって助けられたセラフイマは、その中の女性兵士で狙撃兵であるイリーナに目をかけられ、狙撃訓練学校に入る。復讐のため、狙撃兵になることを決意するセラフィマは、同じ境遇の少女たちと訓練を行い、独ソ戦の最前戦であるスターリングラードでの実戦に駆り出されていく。 戦争小説で、しかも手にとってわかるように分厚いこの作品は、最初読み切れるかと思いました。 しかし、少女セラフィマの同じ境遇の少女たちとの出会いやそれぞれの熱い思いや葛藤などが描かれて、その世界に入り込んでしまいました。 これが今から80年前に起きた出来事とは思えないリアルな戦争状況。狙撃兵として人を殺していくセラフィマの感情など、ソ連は今ウクライナに攻め込んでおり、戦争状態になっている今だからこそ読むべき小説だと思う。 戦争における女性兵士への偏見や差別も描かれて、とても考えさせる小説です。 2025年3月2日読了。
2投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログな、長かった。 え、またそのパターンで身近な仲間を失っちゃう?っていうシーンがありそこは学習しろよーと思った。
2投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログ登場人物が全員カタカナ、、しかもあまり得意でない戦争もので読むのにすごく時間がかかった。だが読む内にこの本はただの復讐の物語でなく、今まで描かれなかった戦争の中での女兵士の物語であることが分かり、最後の方は怒涛の展開で読む手が止まらなかった。戦争は女の顔をしていないという言葉にはっとさせられた。
1投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログソ連とドイツの戦争の話。 少女の成長、戦争の残虐さ、信念等非常に面白かった。戦争系って人が戦死して悲しいねーって感じのイメージがあってあまり好きではなかったけどこの本は面白かった!
3投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争を女性狙撃兵の視点から見た作品。様々な感情の揺れ動き、戦争の異常さがよく分かる作品だった。登場人物の名前がロシア人なので、よく分からんくなることが度々あった。盛り上がりどころは特に見当たらない、、、。が、トータルして良い作品でした。
2投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ戦争を題材にした作品なんて初めて読んだ 現代の日本で書かれた作品なのに妙なリアリティがある 誰が敵なのか、何と戦っているのか 戦争は人間を悪魔にしてしまう
10投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ復讐に燃え戦う少女の葛藤と戦闘シーンの緊張感に目が離せませんでした。敵味方関係なく感情移入でき、主人公と一緒に悩みながら戦ってるような気持ちになってた気がします。ラストも個人的に好みで最高でした!!
11投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログ序盤から終盤までもれなく辛い。でもずっと続きが気になって仕方が無いし、最後にはこの物語を読んで良かったと思える不思議な魅力がある。あっという間だったけど、未だにエピローグの余韻が胸に響く。 時に史実の記録、実在した人物の言及が織り交ざり壮大な戦況が展開される中、個人同士の因縁と内に秘めた気持ちが薄れることなく蘇る、ドラマチックで残酷な物語。 その傍らで確かにあった女性軍人の在り方とは、また彼女たちが見た戦争がどういったものだったのか、見て見ぬふりをしても見過ごせない壁と共に考えさせられる作品。
2投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログ戦争下という特殊な状況で、男性的社会性と女性的社会性が描かれているように思います。戦争物はヌメッとした罪悪感がありますが、そこに異性間の嫌悪感も加わり、よりヌメッとしてます。 時代性をたまたま得てしまった作品ですが、また違うタイミングで読めていたら評価が違うのではないかとも思いました。また読み返してみます。
4投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログ面白かった。 戦争要素で重いのかな?と読む前は不安だったが、それほどずーんとする内容ではない。 仕事にも通じる、人生にも通じる 共感性や人間の醜い部分、うまい言語化 読んで1週間ですが余韻に浸って いい作品に出会えたなと感じている。
1投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ難しかった。戦争系の本は初めて読んだかな。 自分がとても無知だと思った。歴史を勉強しようという気にもなった。 男女平等とか殺人とか現実に比べたらちっぽけな問題に感じた。そのくらい現実って悲惨。
1投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ『同志少女』は、「女たち」が、「兵士」になる。「兵士」になって敵を殺す。 戦争のリアルを戦慄に感じさせる傑作である。
1投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ女性として、人として、兵士としての戦争を鮮明に描いた作品。 これをもって戦争自体の善悪は語れなければ、現代社会における女性の扱われ方についても語れないが、人間には尊厳が必ずあり、それはいかなる立場でも守られるべきであることを再確認させてくれたように感じた。 私たちを囲む環境は変化するが、いついかなる時も他者への敬意と己の尊厳を守ることだけは忘れてはならないのだろう。 その尊厳の守り方に、セラフィマのような一本の筋が通ればより美しい生き方になるのだろうが、現実はそこまで簡単ではない。だからせめて憧れて生きることはしていきたい。
1投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログとにかく先が気になって一気読み。 男女平等とは、というテーマが根底を流れるものの一つとしてあるのが意外だった。そも、ソ連は性の区別なく兵士として戦場に立つべしという理念だったのだろうか。かつての共産主義のいう男女平等と、現代日本のそれはなにが違うだろう。私たちはゆっくりと共産主義的な歪んだ男女平等に向かおうとしてはいないか? もとよりそれは、男の頭で考えられた「平等」だろう。だからセラフィマたちが活躍に活躍を重ね、戦争後期にならないと女性ものの下着は支給されなかった。男女共に「人民」であり、共に人権はなかったのだ。それがソ連という国だったのだろう。 なぜソ連とドイツが戦っているのか、途中何度も混乱した。きみたちは同じような思想の国じゃないか、なんでそこで争ってるんだ?と首を捻ってしまった。 イェーガーの生き方もまた不思議だった。例えばオリガの言っていることがわかったとして、最後の最後に「お腹に死んだ夫の子がいる」と言われたら、怒髪天を突いて彼女を撃ち殺しはしなかったろうか? ミハイルはどうして戦場でまとも(と思える)精神を保っていられたのか。最終盤でやはりまともでいられなかったのか、元々セラフィマに嘘をついていたのかという場面が訪れるが、セラフィマにとってはどちらでも変わりなかったんだろうな。そこにいたのは幼なじみではなく、彼女にとっての「敵」だったのだから。 英雄と語らうシーンで、彼女が孤独で幸せでない一人の女性だ、と気づくところで涙した。戦争がダメな理由の一つがここにある。 この世に生を受けたからには生き続けなければならない、それは不幸なこともあるのだ。 けれどエピローグを読んでややほっとした。彼女たちは、元あったそれとは比べものにならないほど捻じ曲げられ、疲弊し、病み、また体の一部を失いはしたが、彼女たち自身であることは失われなかった。
1投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ本屋大賞受賞・文庫化ということで手に取りました。 普段いわゆる「戦争小説」を読むことはないので新鮮な気持ちで読むことがができました。 難しい言葉も比較的多く登場しますが、それ以上に共感できるストーリーや魅力的なキャラクター、ショッキングながら戦争の悲惨さや残虐さが映像のように目に浮かぶ描写など秀逸で、最後までページを捲る手が止まりませんでした。 史実に基づいた考証と狙撃手となった少女の一生を軸としたストーリーが成せる技かとおもいます。 関連した実際にノーベル文学賞を受賞した作品にも興味を惹かれました。
1投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ男女平等って、不可能なのかもしれない。根本の互いの認識に歪みがありすぎる。けれど不可能だとしても、平等を目指そうとする姿すらなくては私たちは共存さえできないと思う。
1投稿日: 2025.02.26
