Reader Store
藍を継ぐ海
藍を継ぐ海
伊与原新/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

385件)
3.8
78
159
116
11
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    優しい話が多くてほこほこしました。 登場人物はみんな想像しやすく、読みながらすぐに頭の中でイメージが出来て、キャラが勝手に喋ってくれるので、脳内擬似アニメーションを見てる感覚でスイスイ読めます。 中でもお気に入りはやっぱり藍を継ぐ海かな。

    2
    投稿日: 2025.02.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編で読みやすい。 心情描写は特別細かいわけではないからこそ、物語の空気感や温かさを感じられる。 各地の歴史や科学という切り口で生まれる物語はどれも優しかった

    2
    投稿日: 2025.02.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    目から始まり、耳、鼻、口、感触、 五感で感じる風景の描写が細かくて正確でやけに多い作品だなと感じた。 でもしっかり目と頭で追うと、その景色の光の加減や匂い、季節、そこまで受け取ることができて、 まるでどこでもドアのよう。 それが味でもあり、 私は想像力を駆使して読む方なので頭が忙しく、 寝る前に読むには若干体力が要る。。 日本の田舎に残る、 誰も気付いていないけど美しい自然・文化を、 短編ごとの登場人物の心と重ね合わせて 緻密に表現されているのが印象的。 行ってみたいなと素直に思った。 他の方のコメントを見ると、 共感する方が多いのですね。 都会出身者はピンと来なかったな。

    2
    投稿日: 2025.02.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    CL 2025.2.4-2025.2.5 直木賞受賞の短篇集。 伊与原新さんの作品は硬質で優しい。 都会ではない街や村に住むありふれた人たちを主人公に、歴史や自然や科学を題材にして少し成長する姿を描き出す。 祈りの破片が一番心に残る。短篇なのにこんなにも深い感動。

    2
    投稿日: 2025.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地元である長崎の話は、涙を溢れさせながら読み進めました。学生の頃は、こんなところ早く出て都会に行きたいと思ってばかり。だけどやっぱり、あの日になると長崎のことに思いを馳せます。読みながら、その日と同じ感情になりました。これは長崎で生まれ育った者だけが味わえる感情なのかもしれません。久しぶりに長崎市に帰りたくなりました。素敵なお話でした。

    2
    投稿日: 2025.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    行ったことないのに、その土地のその情景が脳裏に浮かぶ。そして、悩める主人公はどれも私だ。負い目やコンプレックスは、出会いと学びで溶解する。知性と優しさ溢れる五篇。ビーチコーミングって何かロマンある。

    38
    投稿日: 2025.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    山口県見島の萩市の萩焼、奈良県東吉野村のニホンオオカミ、長崎県長与町の原爆の研究、北海道遠軽町の隕石、徳島県姫ケ浦のウミガメを題材にした5つのストーリーで構成され、長年の歴史と自然に思いをはせる事のできる素晴らしい作品だ。 どれも根底の事実に作者の想いや脚色が施され、もっと知ってみたいという思いになった。 作品を通して、科学の進歩により少しずつ明らかになる自然の神秘を感じ、わたしの生きる数十年がいかに儚いものなのかと感じた。 これからもずっと続くであろう地球や宇宙はどんなものだろうと、果てしない未来を想像できた時間ががすごく新鮮に感じた。

    4
    投稿日: 2025.02.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2025年1月直木賞受賞作品。5つの短編からなり、本のタイトルの『藍を継ぐ海』はそのひとつ。 短編『夢化けの島』: 山口県の見島という島を舞台に萩焼を題材にした話。岩石の研究者として頻繁に見島を訪れる歩美。祖先が作った理想の萩焼を探しに来た光平。この2人の出会いが奇跡を起こす。 短編『藍を継ぐ海』: 徳島県の海岸沿いにある阿須町という架空の町が舞台。昔はウミガメがたくさん産卵にくる浜として有名だったが、防波堤ができたことでウミガメは来なくなっていた。だが今年は久しぶりに産卵したので町のウミガメ監視係の佐和さんはネットで囲み保護していた。それを地元の中学生沙月は掘り返し持ち帰った。彼女は佐和さんとも親しい仲であり、とても優しい子である。 そんな彼女がなぜ?その行動の背景には彼女が幼い頃に経験した想いがあった。 まず物語の展開が面白いです。事実に基づいているので説得力があり、そこに肉付けされたフィクションが優しさに包まれながらもドラマティックな展開を作り出しています。そして知識を得る嬉しさを満たしてくれました。 例えば『夢化けの島』では一楽二萩三唐津と謳われるほど、茶人好みの器である萩焼、その材料に欠かせない見島土は火山によってできた島特有の土であることなど、全く知らなかった土地の歴史や文化に興味を持たせてくれました。

    2
    投稿日: 2025.02.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    伊与原新さんの小説初めて読みました。直木賞受賞後のプロフィールに地球科学専攻されたとあり、昔そんな分野を学んだ者として、購入した。五つの物語からなっているが、どれも静かに淡々と進行していく。これらの中で特に印象に残ったものが二つある。 一つは『夢化けの島』は、島の生い立ちや粘土についてまるで火山学の講義を受けているかのように、受け取りました。でも、最後は気持ち良く裏切られた感じ。 もう一つは、『星隕つ駅逓』。こちらは、最初から最先端の機器を用いた隕石の軌跡解析の話から始まる。他の作品と違い、緊迫感のある始まり。それと並行して描かれるかつては駅逓があり、でも今は人口が減少した集落に住む退職を目前の郵便局長と彼を心配する娘夫婦。お父さんの生活が変化していくことに不安を感じる娘の元に、落下した隕石を求めてやって来た日本流星ネットワークの人。娘の大胆な行動は、科学技術の前にあえなく敗れてしまうけど、それを知った父親は、昔のようにやる気を取り戻す。そしてライフワークとしている研究に新しい発見があり、ネットワークの人とそれを分かち合える。万歳三唱の大団円ではないが、最後まで読んで良かったと思える物語。 この五つの物語は、日常の中で悩みを持つ登場人物がふとしたきっかけで、答えを見つけてひとつ成長した姿を見せてくれるのだ。と思う。

    2
    投稿日: 2025.02.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    5つの物語がどれも詳しく調査された上で執筆されたことを示しており、学術論文を読んでいるような感じながら、ストーリーに魅了される素晴らしい読後感が得られた.山口県出身なので萩焼が出てくる「夢化けの島」は方言も含めて楽しめた.狼混が出てくる「狼犬ダイアリー」は綿貫先生の地道な活動が解決の糸口になっていた.加賀谷昭一の地道な活動を表に出した小寺と大森ひかるのコンビが成果を上げた「祈りの破片」.隕石を種に義父の思いを叶えてやろうとする涼子の信念を表した「星隕つ駅逓」.アカウミガメに纏わる沙月、佐和、ティムの連携が実る「藍を継ぐ海」.それぞれの土地の描写が丹念で、読みながらその風景が紙面に現れるような感じだった.

    4
    投稿日: 2025.01.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ノンフィクションのような精緻さと人の温かさが交わる伊与原さんの本が好き。直木賞直後だったのもあり、自分自身期待しすぎてしまった感は否めない。短編集なので読みやすいけれど、長編が読みたい

    2
    投稿日: 2025.01.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    山口の島で土を探す話、奈良でオオカミが見られるか、長崎の廃屋で何か光ってる、北海道に落ちた隕石、徳島のウミガメ。 科学に関係する短編集。良かった。長崎の話が意外性も含めて一番刺さった。

    2
    投稿日: 2025.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    人間の歴史よりも遥かな時を刻む、地球のほんの一部分の出来事、そして命の崇高さに気づかされた。 土、オオカミ、信仰、隕石、黒潮 どれも人間の手では作り出せない。 それに関わるヒトの存在自体、とても小さく儚い。

    15
    投稿日: 2025.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まぁ、この本も悪くはないけど、やっぱ『教室』に授賞すべきだったなぁ、という思いはぬぐえない。(政治なのか老人福祉なのか知らんが) この本自体は、電算とか物理とかの「科学」でなく、地学とか生物とかの「理科」のネタで地に足が付いた中間小説が書ける(フシギ方向にもたれない)ところが、この作家ならではだな、と思う。

    2
    投稿日: 2025.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ≪人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。≫ 図書館予約 492 諦めてAmazonポチっとな 「月まで三キロ」も良かったし 大阪出身やし 直木賞やし とか やはり面白かった 私には疎い地質学 でも分かりやすくって ああ地球に生きてるんだなあって思わせてくれる それも愛おしく 5編ともそれぞれ興味深い 色んな土地でいろんな人と 「祈りの破片」が特によかったなあ 訪れた長崎を思いだす ≪ 科学って 私と地球 繋いでる ≫

    34
    投稿日: 2025.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    心が温まる5作の短編集。科学と人々の気持ちが見事に融和していて、他では読んだことのない不思議な感動を覚えた。

    11
    投稿日: 2025.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「宙わたる教室」の著者の直木賞受賞作ということで、早速、購入しました。 作品は5つの短編集となっていて、舞台となる地域や主人公も全て異なりますが、それぞれの作品が、読み終わった時に、じんわりとした余韻に浸ることができました。 明日からも頑張ろう! そう思わせてくれる、良質な作品でした。 なお、今後、時間ができた時には、作品の舞台となったところを、旅行で回ってみたいと思っています。

    2
    投稿日: 2025.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     『宙わたる教室』同様、読書感想文の課題図書にぴったりな本だと思いました。ドラマ化にも向きそうです。  日頃はあまり大きくは取り上げられないけれど、地方の特色ある自然環境がもたらす人々の営みがリアルに語られています。  科学的好奇心が刺激されるとともに、人の気持ちや行いに、じんわりと感動させられました。  ストリーテリングが巧みで、次々と地域や登場人物たちの事情が語られていき、お話の結末に導かれていきます。  5つの短編がおさめられていますが、各編のタイトルの付け方が秀逸で、お話を読み終わって改めてタイトルをみると、その工夫が分かります。  けど、実は、  わたしとしては、最近、今回の芥川賞受賞作品や候補作、「このミステリーがすごい!」大賞受賞作など、いわゆる純文学や若い世代の作品を読むことが続いたせいか、伊予原 新さんの作品は、作者が小説全体や登場人物を支配していて、事柄を小説内に置きにいっている感じがして、窮屈に思いました。(裏返して言うと、作品の完成度が高いということですし、短編としての話の進行上、なおさらそう感じるのかもしれません。)  フェミニズム的に読むと、女性の見方へのバイアスがきつい気がして、作者の性別や年齢や社会的背景を感じずにはいられませんでした。この女性観が違和感なく受け入れられるとすれば、それは理科系分野への女性の数が少ない状況などが影響しているのかな? とも勝手に思いました。(それが作品の狙いのひとつなのかもしれませんし、短編としての制約なのかもしれませんが。)女性の若い作家による、自然科学分野の小説があれば読んでみたいと思いました。 (生意気なことを言ってすみません。あくまで個人の感想で、好みの問題です。)  最近、文学賞受賞作品を続けて読む機会に恵まれ、特徴の違いを体感することができ、自分の好みも分かってきました。わたしは、キャラクターたちが自己の意思を持って、天衣無縫・自由奔放に動きまわっているような小説が好きみたいです。人格的に完成なんてしていなくても、考えていることに矛盾があっても、それがリアル!、現在進行形! みたいな。小説としてほころびが見えていても、分かりにくくても、熱量の高さのほうが大事! みたいな。  あら? わがまま、気ままなわたしの性格そのままだわw  読書は、自分自身の姿を見せてくれますね~w

    139
    投稿日: 2025.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    伊与原さん二冊目でこちらは直木賞受賞作。わたし的には、連作ゆえに自然と人物もテーマも掘りさげられていった『宙わたる教室』のほうが読みごたえがある気がしたけど、こちらも日本各地のさまざまな題材をひろって、人知れずこつこつと活動をつづける人たちを描いていてよかった。長崎で被爆しながら原爆の資料を収集しつづけた人を描く「祈りの破片」が特に好きでした。

    5
    投稿日: 2025.01.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    夢化けの島 山口県萩、萩焼、見島土、岩石愛 狼犬ダイアリー 奈良県東吉野、売れないウェブデザイナー、狼、ギンタ 祈りの破片 長崎県長与町、空き家、原爆、浦上天主堂 星隕つ駅遁 北海道野知内、郵便局閉所、隕石 藍を継ぐ海 徳島県姫が浦、ウミガメ産卵、卵泥棒

    1
    投稿日: 2025.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    北は北海道から南は長崎まで、日本のあちこちが舞台になった短編集。 行ったことがない土地ばかりなのに、情景が自然と頭の中に浮かんでくる。 私は長崎が舞台の『祈りの破片』が一番心に残った。 役場で空き家対策を担当している青年のもとに届いた通報から物語は始まり、調査が進むにつれ、内容は私の思いもしない方向に進む。 家にあったものにも、青年の仕事に対する姿勢の変化にも、時を経た想いとか、いろんなものが混じり合い、心が揺さぶられた。

    2
    投稿日: 2025.01.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「すべては巡る」 現在は過去から繋がっているもの。自分はただこの一瞬、地球に間借りさせてもらっているだけにすぎないという気持ちになった。

    2
    投稿日: 2025.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    伊与原新「藍を継ぐ海」読了。地方それぞれの自然の美しさと抱える問題を見事に織り交ぜた5つの短編。その中で特に星隕つ駅逓が良かった。北海道の開拓の起点だった駅逓とそれを源とする郵便局。その歴史と隕石の間から生まれた人々の温かい交流に感動した。持ってた隕石に磁石を当てて遊んでみた。

    12
    投稿日: 2025.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞作。発表直後に読む事が出来たのはとてもタイミングが良かったです。 『月まで三キロ』を最初に読んでから伊与原さんの作品はほぼ読んでいますが、毎回科学のお話をわかりやすく、そして興味を持てるように魅力的に書かれていますが、本作も同様で、地球て素晴らしい、宇宙て壮大、生物て神秘的…と浪漫を感じるお話ばかり。 『夢化けの島』『狼犬ダイアリー』『祈りの破片』『星隕つ駅逓』『藍を継ぐ海』の5編の短編集ですが、それぞれの土地の事やその歴史に関してとても詳しく書かれているのも注目される点だと思います。 どれも素晴らしいお話でしたが、やっぱり表題作にもなっている『藍を継ぐ海』のウミガメのお話が最も印象的。ウミガメの事をもっと知りたくなりました。

    15
    投稿日: 2025.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞受賞おめでとうございます。 伊与原先生は『月まで三キロ』を読んで感動して以来ずっと応援してきました。『宙わたる教室』のように今作もドラマ化されそう。 今回は山口、奈良、長崎、北海道、徳島、と地域に古くから根付くサイエンスに着目した短編集。参考文献の数に圧倒された。 地域に住む人々が普段から当たり前に見ているものも、実はサイエンスに満ちている。 「まだまだわかんないことだらけですよ。それに、今わかっていることだって、たくさんの研究者が長い時間をかけて、ちょっとずつ明らかにしてきたんです」 未だに解明されていないものも多々あるに違いない。無限の可能性に今回も感動。そしてそれこそがサイエンスの醍醐味、面白さなのだろう。 地球上に存在するサイエンス。岩石、土、オオカミ、隕石、ウミガメなど、我々の周りには様々な形のサイエンスが息づいている。 先人から受け継いだ願いを今度は我々が未来へと繋げていかなければならない、と強く思った。 特に表題作と『夢化けの島』が良かった。 黒潮の色に驚いた。

    33
    投稿日: 2025.01.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    祝★直木賞受賞(2025.1.15発表) おめでとうございます!! 過去から現在、未来へと繋がる、科学にまつわる5篇の短編集。各タイトルとテーマ、場所は以下の通り。自分が住んでる地域のお話が読めたら、一層ワクワクするだろうなぁ。 『夢化けの島』萩焼、山口県 『狼犬ダイアリー』ニホンオオカミ、奈良県 『祈りの破片』原爆、長崎県 『星隕つ駅逓』隕石と北海道開拓、北海道 『藍を継ぐ海』ウミガメ、徳島県 今回は登場人物よりテーマとなっているものがとても興味深く、どの物語も歴史や時の流れを感じさせる内容なのが良かった。じわじわ、しみじみ、思いを馳せる感じ。表題作に"継ぐ"というワードを含むタイトルを選んだのは、そういう意味合いもあるのかも。 参考文献が3ページを超えており、少し説明が多い印象はあるけれど、普段あまり触れることのない科学のお話は心が澄む。 著者の『月まで三キロ』『八月の銀の雪』も科学にまつわる短編集。おすすめです。 250117読了、図書館本。

    7
    投稿日: 2025.01.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    感想 人智を超えた自然。1人ではその一端に触れることすら困難。でも我々には遥かな時を経た積み重ねがついている。人の想いを繋ぐのもまた科学。

    2
    投稿日: 2025.01.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『#藍を継ぐ海』 ほぼ日書評 Day839 今回の直木賞受賞作。短編集ということなので、最初の一編を取り急ぎ読んでみた。 地質学者と(取り潰しにあった)萩焼窯元の遠い子孫に共通するのは「土」。本作の舞台となる玄武岩を主成分とする火山島で嘗て見出された紅萩用の良質土である。 受賞後、著者自身が「科学ですけど、面白いので読んでみて」とコメントしたとのことだが、ところどころに散りばめられる「科学」のフレーズが、(単なる知識のひけらかしではなく)作中しっかりと意味を持ち、かつ知的好奇心に訴えかけてくる。 たとえば、作陶家であった「じいちゃん」の言葉…『土にはの、土のなりたい形があるんじゃ。その声をよう聞きながら、さぐりさぐりのばすことや』 「土のなりたい形──」  理にかなっていると思った。一般に、粘土鉱物というのは極めて微細であると同時に、平べったい形をしている。粘土の中ではその扁平な粒子が重なるように存在し、その隙間に水が入って潤滑油のような働きをするために、力を加えれば滑って動く。それが、粘土が可塑性──変形させた力を取り去っても形がもとに戻らない性質──をもつ大きな理由だ。しかし、粘土鉱物の種類や量、他の鉱物との兼ね合いによって、その滑り具合は大きく違ってくる。どの程度自由に形を変えられるかは、粘土ごとに個性があるのだ。 https://amzn.to/3PCyPdO

    6
    投稿日: 2025.01.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    珍しく、ちょうど読んでいた本が直木賞受賞。記念の記録です。理系+ちょっといい話、という感じでした。そしたら作者の方、理系出身なんですね。

    6
    投稿日: 2025.01.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まさしく2025年1月15日の本日、第172回直木賞 を受賞しました。おめでとうございます。 「空かける教室」などテレビ原作にもなっている 作品も出していますので受賞は当然でしょう。 この「藍を継ぐ海」は、50ページほどの中編の 作品集です。 一つ一つの物語が事実に基づいた内容であり、 それらが非常に細部にわたって取材されている ようなので、そのリアリティある物語にグイグイ 引き込まれます。 萩焼が語られる「夢化けの島」、絶滅したとされ るニホンオオカミにまつわる「狼犬ダイアリー」、 北海道に落ちた隕石をめぐる「星隕つ駅逓」、長 崎の原爆被害の破片を集めた「祈りの破片」。 そして徳島のウミガメの産卵を見守る人を描く 「藍を継ぐ海」 どの作品も全て事実であるかのように話が紡がれ ていきます。 まさしく直木賞に相応しい心が洗われる一冊です。

    4
    投稿日: 2025.01.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    前回の候補作『八月の銀の雪』と同じく、科学と物語の融合をテーマにした短編集。 印象はほとんど変わらないんだけど、表題作や「狼犬ダイアリー」「星隕つ駅逓」はストーリーに起伏があって結構引き込まれた。 また各話の登場人物はどこかしら悩みや欠落を抱えており、物語が進む中でそのあたりがいったいどのような形で昇華されていくのか、という点も読みどころのひとつ。 ただやはり、絶対的な悪が出てこないという制約の中で、いかにして読者に刺激を与え、興味を持たせ続けるかという点についてはなかなか難しいとは思うんだけど、他の一癖も二癖もある作品と比べると物足りなさは否めないかなと思う。決してプロの作品として出来が悪いというわけではないんだけどね。

    2
    投稿日: 2025.01.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    172回目の直木賞候補作、との事で読んでみました。 非常に読みやすい! この本の前に読んだのが「よむよむかたる」「飽くなき地景」だったせいか、スルスル読めました。 短編5作品だからかもしれません。 短編は間延びしないのがいいですね。 どの作品も最後にホロリと心温まります。 付箋を貼ったのは「夢化けの島」「祈りの破片」「藍を継ぐ海」の3つの作品でした。 特に「祈りの破片」に出てくるフレーズは、会社員生活を送っている私に刺さりました。 ”ただマニュアルがあっても、仕方なか。引き継ぐのはマニュアルやのうて、担当者の思いったい。マニュアルに思いが込められとるなら、それば汲み取ってうまかこと運用するとが、地方公務員の腕の見せ所ぞ” マニュアルって、やらされ仕事で作ったものは単なる作業の羅列で終わっていて、他人が見た時に「?」になってしまうことって多いんですよね。 私がかつて勤めた企業で1社だけマニュアルが神がかっている職場がありました。 初心者が疑問に思うことまで網羅されていて、大抵のことはマニュアルを見れば解決しました。 あと、頻度が少ない作業もきちんと書かれていたのは助かりました。 頻度が少ない作業程、やり方って忘れちゃうんですよね・・・。 思い出すのにも時間がかかる。 なので、そういうものほどマニュアルに落とし込んであると、ものすごく助かるのです。 そして、マニュアルは1回作っただけではダメで。 常に更新していくことも必要だったりするのですよ。 (これが結構な手間でね) でも、システムが変わったり、担当者が変わったり、そんなこまごまとしたところをなるべく時差なく更新していくことが重要なんですよね。 日々、そんな感じでマニュアルを最新情報にしておくと、異動や担当者変更の時など、業務を引き継ぐのが楽になる。 さらに、自分が急に会社を休まなくてはならないが、緊急で対応する仕事がある時。 正直、担当者に口頭で伝えるのは厳しいと思うのです。担当者が不慣れであれば特に。 そんな時にマニュアルの出番です!「あそこのフォルダに入っている○○のマニュアルのxxしてほしい」なんて依頼をすれば、依頼をされたほうも快く引き受けられると思うのです。 気になるフレーズに登場する”担当者の思い”って、そういうちょっとした事だと思うんですよね。 「ここは間違いやすいから書いておこう」とか、「文字ばっかりじゃ読み解くのに時間がかかるから、画面のキャプチャーもつけておこう」とか。 その程度の心遣いでいいと思うのです。 こういうマニュアルを見た時、担当者の“思い”が伝わるんのですよ。その思いを受け取ると、「この仕事、大事にしよう」という気持ちになりましたし。 他の作品もハートウォーミングなストーリーばかりで、安心して読めました。 ほっこりしたい人はお勧めです。

    39
    投稿日: 2025.01.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全ての内容が取材されないと知らないものばかりで勉強にもなりました。読み切りなので読みやすかったです。

    2
    投稿日: 2025.01.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    新年最初の一冊。 やっぱりこれにして正解だった。 歴史も科学も興味なく、そもそも勉強が嫌いだった私。さすがに何十年も生きていると色々なことを興味がでてくる。 子どもと一緒に様々な科学博物館に何度も足を運ぶうちに、学生時代ちんぷんかんだった科学の知識が少しずつ理解できるようになった。 20年近く子育てしているわけだから、20年かけて復習しているようなものだ。 伊予原さんの作品、「宙わたる教室」に次ぐ二冊目として手にしたのだが、私の知的好奇心を見事にくすぐる作品だった。 「宙わたる教室」は科学的な解説が難しくて、理解できないところがあるのも仕方なしと割り切って読んだ所がある。 こちらは比較的わかりやすいと思う。恐らく理解しきれていない所もあるのだろうけれど、なんとなくわかったような気持ちにさせてくれた。 だから満足度高め。 萩焼の歴史、狼の謎、長崎の原爆、隕石と北海道開拓時代、海亀の神秘… 5つの短編のテーマすべてが、全く知らなかったことだらけなのに、人間ドラマが混ざるとこうも興味深くなるのか!と驚くほど惹き込まれる。 そして新年早々国内一周旅行したかのように、離島を始め各地の人里離れた土地の様子も知ることができた。 今、都心は10年で街の景色がすっかり変わってしまう勢いで、再開発されている。 一方で、僻地ともいえる地方では過疎が進む勢いは衰えず、町そのものがなくなりつつある。 それにも関わらず、人の住環境を守るという名分で自然界の動物達が住む環境は喪われてしまっている。 そのギャップにとてつもなく不気味さを感じる。 今地球が、日本が、どうなっているのかを知るのはやはり大切。 少しでも若い人達がこの本を手にしてほしい。 そして、日本と地球の未来について考えるきっかけになれば…と願う。

    39
    投稿日: 2025.01.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    〈伝説の土〉〈狼〉〈ウミガメ〉などなど、詳しくない私でも少し興味が湧くくらい丁寧な取材にも基づいて描かれている。 一番惹かれたのは、あの日の長崎〈破片〉の物語。 すっきりと解決するような話ではないが、破片ひとつでも、それに纏わる人の想いが時を経て伝わるという事が印象に残った。 物語ごとに、人々が土地々々のことばで話されるのも風景が浮かんでくるようで良いなと思う。

    4
    投稿日: 2025.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    著者自身が大学院の理学系研究科で地球惑星科学の博士課程を修了されているので、筋金入りの科学者です。 その著者が今回描いた作品も科学が専門ゆえに興味を持たれたであろう5つの題材で短編を書かれています。 特に隕石に関する資料は著者の専門分野に近いので、身近だったと察しますが、そのほかの作品も理系の著者らしく、主人公たちが資料をもとに導き出す姿に共感を覚えました。 また長崎の舞台の話は、現在TV番組の「海に眠るダイヤモンド」で長崎に投下された原爆もテーマとなっていることもあって、興味深かったです。 私自身は根っからの文系なので、理系の論述を組み立てるという技さえ尊敬です。この作品は私的には好評です。

    3
    投稿日: 2025.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    科学的な知識欲を刺激されて楽しめた。 物語としては少しわかりやすいというか、ささーっと流れるなと感じました。

    2
    投稿日: 2024.12.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞ノミネート作!自然科学と文学が融合するストーリーが5篇おさめられた短編集です。 『夢化けの島』山口県・見島「萩焼」 『狼犬ダイアリー』奈良県東吉野村 『祈りの破片』長崎県長与町 『星隕つ駅逓』北海道遠軽町・野知内 『藍を継ぐ海』徳島県阿須町・姫ヶ浦 現代の日本のとある土地を舞台に、さまざまな事物の歴史や有様を通して、地球が歩んできた悠久の時、受け継がれてきたものに想いを馳せずにはいられなかった。 各話の主人公たちが、それぞれ普段の生活を送るなかから見えてくる自然科学の力に、まるで勇気や激励、そして安心をもらったかのような深い感動が訪れる。 その雄大さや壮大さが自分自身に重なったとき、胸にじんわりとあたたかさが広がり、思わず涙がこぼれた。

    7
    投稿日: 2024.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    遠野物語のような お話でありながら日本の歴史だったり多方面からの切り口。もう少しお話ならじっくりひとつの話を読みたかった

    9
    投稿日: 2024.12.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めて読む作家さんです。 読み終わった印象としては、柔らかい雰囲気の 世界観でした。 それぞれの物語が日本を舞台に描かれていて 伝統や自然などがテーマの作品が多かった印象でした。 萩焼、ニホンオオカミなどの日本古来のものから 隕石などの化学要素も含まれる作品もありました。 直木賞の候補作にもなっているので、是非読んでみてください。

    49
    投稿日: 2024.12.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    「細々と受け継がれてきたものや、継承が途切れそうになっているものを際立たせた、地方小説の短編集にしようと執筆中に決めました」 伊予原さんがそう語るように、5篇の短編集はいずれも人間の営みの記憶が薄れつつある地方が舞台になっている。 ・見島(山口県)の土と萩焼 ・東吉野村(奈良県)の絶滅したニホンオオカミと狼犬 ・長与町(長崎県)の空家問題と原爆被ばく品 ・遠軽町(北海道)の閉鎖される郵便局と隕石 ・美波町(徳島県)のウミガメの産卵 知らないこともとても多くて、かなり学べたうえで楽しめた。『宙わたる教室』と同様、科学的で難しいことを読み解かせてくれる文章力は圧巻だった。 また少し前に読んだ彬子女王殿下のエッセイ『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』にもテーマ的に通ずるところがあり、失われそうな伝統や文化の縁にいる人、当事者の心の底からの声をたくさん拾っていて、かなりのめり込んで読んだ。 お気に入りは『狼犬ダイアリー』『藍を継ぐ海』 特に表題作にもなっている「藍を継ぐ海」は、地元である徳島県を扱ってくれていることも嬉しかった。作中は架空の町・阿須町(日和佐の隣の設定)が舞台だけど、実際、日和佐の大浜海岸はウミガメ上陸地として県内でも有名でぼくも何度も足を運んだことがある。ウミガメ博物館カレッタも徳島南部を代表する観光地の一つだ。2009年にはNHK連続テレビ小説で『ウェルかめ』が放送された舞台となった場所。 ウミガメの上陸数が減っていることは以前訪れた時に実際に聞いていて、けっこうショックを受けたのを覚えている。 【あらすじ】 主人公は小学生の沙月。祖父の義雄と二人で、徳島南部の小さな町に暮らしている。 沙月はある日、丁寧に保護されているウミガメが産卵した後の土を掘り返し、その卵を五つ持ち帰る。作業を行っている時にある外国人に声をかけられ、バレた!と思うけれど、なんとかやりきり、卵泥棒になった。納谷で孵化させるつもりである。 しかし足跡を消すのを忘れていたので、翌日ウミガメ監視員のおばちゃん・佐和にばれたのだった。 【感想】 ほんと壮大。ここまで読み応えがある短編小説にはなかなか出会えない。 連綿と受け継がれてきたウミガメの保護活動と、のちに素性がわかるカナダ人・ティムが交差する展開は凄すぎた。 黒潮に乗って何年もかけて遠く北米の地まで泳いでいくウミガメは、産卵の時期になると黒潮を逆流して徳島まで帰ってくる。ウミガメの持つロマン溢れる冒険が、遠くカナダと徳島に暮らす人々をどのように繋いだのか。ぜひ読んでほしい。

    3
    投稿日: 2024.12.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ★4寄りの3 直木賞候補作。 好きな作家さんの一人。 この作者さんの作品は理系の知識が豊富で、 物語を楽しみながらこれまで触れて来なかった分野の知識を得ることも出来ると思う。 視野が広がる。 短編5作品、どれも面白く読めたが個人的には4番目の「星隕つ駅逓」が良かった。

    6
    投稿日: 2024.12.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    小品五作 五作関連があるのかと思って読み始めたが 何故、最後の「藍を継ぐ海」を表題にしたのだろうか 作者の自然分野の知識には作品を読むたびに感銘する

    3
    投稿日: 2024.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第172回直木賞候補作。 伊与原新らしい、科学をテーマにしたヒューマンドラマを5作収録した短編集です。 離れ島の地質調査にこだわる女性研究者と理想の粘土を探す陶芸家、絶滅したニホンオオカミの生き残りを探すウェブライター、被爆地で収集された瓦礫を集めていた研究者がかつて暮らしていた廃屋、廃業が決まった郵便局長の娘と近所に落ちた隕石、ウミガメ産卵地の少女。 緻密な取材に基づいたリアルな場面設定は説得力がありますし、登場人物の心情描写もクセがなく、スッと感情移入して作品世界を楽しむことができます。 個人的には原爆を取り上げた「祈りの破片」が印象的でした。 感情を排して淡々と残された記録だからこその迫力がありますし、この作品を通して改めて平和について思いを寄せて欲しいと思います。中高生に強く勧めたい小編です。 ヒューマンドラマ×短編集と、直木賞らしい作品ではありますが、(もちろん楽しく読んだのですが)グイグイと引き込まれるような吸引力がある作品ではなかったかな、と思います。

    12
    投稿日: 2024.12.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    5作品からなる独立短編。 伊予原さんは知識のない私でも、読みやすくて好きです。 今、海ダイを見てるからか長崎の被爆物蒐集が特に興味深く読めた。

    3
    投稿日: 2024.12.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私の住んでいる馴染みの地域が取り上げて書かれてあったからかもしれないが、読み終わった後、自分の住んでいる地域を調べてみたくなった。山口県の萩焼、奈良県の狼、長崎県の原爆、北海道の隕石、徳島県の海ガメの、5章からこの本がなっている。内容は小説を読むというより、歴史書や論文を読んでいるみたいに情報が多い。著者の方はその地方に出向いてかなり調べられたのではないだろうか。どの話も現在から過去を結ぶように話が進んでいく。田舎で育って、今も田舎に住んでいる私だが、この景色にも過去の人々の繋がりがあって、今があるのだと思えると何か感慨深い。

    3
    投稿日: 2024.12.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    伊与原さんお得意の科学知識をモチーフにした作品で構成された短篇集。それぞれが完全に独立した作品で、連作ではない。 萩焼に欠かせない見島土を探す「夢化けの島」、絶滅したはずのニホンオオカミが目撃される「狼犬ダイアリー」、やる気のない地方公務員のもとに寄せられた苦情が思わぬ発見をもたらす「祈りの破片」、北海道に墜ちた隕石をめぐる「星隕つ駅逓」、ウミガメの産卵する浜辺で少女は……「藍を継ぐ海」の5篇だ。 どれもよかったが、お気に入りは「祈りの破片」と「藍を継ぐ海」だ。 第172回直木賞候補作。←個人的には受賞作だ。まだ2作しか読んでないけど(^_^;)。

    6
    投稿日: 2024.12.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    かなり、よく調べてある短編集。 ・夢化けの島 山口県萩市の見島が舞台。そこに、焼き物の林窯の後継者が赤土の見島土を探して現れる。林泥平の血を継ぐ、三浦光平。200年近く前の泥平の工房後を発見する。 焼き物に関して深い話がある。 ・狼犬ダイアリー 奈良の吉野が舞台。東京から移住してきた独身30代女性。ニホンオオカミの遠吠えを聞いたとか、姿を見たとかで気になっている。調べると、混狼。山奥で炭を作って暮らしていた仙人みたいな人の置き土産だった。 ニホンオオカミの生きた写真は無く、剥製も四体しかない。全ての犬の祖先はタイリクオオカミ。 ・命の破片 長崎県の田舎で、空き家に光が灯ると言う。調べるとその空き家には原爆の被害を受けた瓦礫などが収集されており、持ち主が原爆投下後数年集めた様子。持ち主の名前もわかる。光は誘蛾灯で、金髪のJDが来てた。曽祖父が神父で、収集家と知り合っていたにうぃ日記でわかり、天守塔の鐘の破片を探しに来た。 ・星隕つ駅逓 北海道紋別郡遠軽町に落ちた隕石を探す人たち。3代続いた郵便局の局長が引退して郵便局がなくなる。地名の野地内も郵便局にしかもはや残ってない。奥さんも死んで消えてなくなりそうな局長の娘が隕石を見つけて、郵便局の近くで見つけたことにしたい。隕石の名前には慣例で郵便局の名前がつくことが多いという誤情報を信じる。 明治に落ちた鉄隕石で剣を作った農商大臣の流星刀。ツタンカーメンの棺からも、鉄隕石で作った剣が出土している。 ・藍を継ぐ海 徳島県南東部の阿須町が舞台。ウミガメのたまごを掘り返して盗み、自分で孵化させようとする。も、姉に捨てられた自分に重ねていることに気づき、元に戻したりする。 ウミガメは生まれた後、三、四年かけて太平洋を横断してカリフォルニアの海へ行く。そこでエビなどを食べて育ち10年ぐらいすると日本に戻ってきて日本付近で10年ぐらいかけて成長し、自分が生まれた浜の近くで産卵する。

    2
    投稿日: 2024.12.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    172回直木賞受賞作 R6 短編集 岩石、狼、隕石、原爆後の廃墟、ウミガメをそれぞれテーマに、確かな資料と根拠を背景に、科学をベースに人のつながりや思い出をハートフルに描く作品 時々、急に場面展開が変わる(進む)ことあって、ちょい唐突な感じを受けた 好きな人は好きな作風だろうし、青少年にはよい本 直木賞受賞作だが、自分的には、マンネリ気味な印象強く、好みではない

    2
    投稿日: 2024.12.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    5編の物語で構成されるが、関連性はないのでどこから読んでも良い。 物語の舞台は知らない土地だったので、地図で場所を確認しながら読んだ。 どの話も科学・生物学とそれに関わる人たちの地道な活動や想いが描かれている。 山口県の見島 島の土と萩焼 奈良県の東吉野村 絶滅したニホンオオカミと狼犬 長崎県の長与町 空家問題と原爆被ばく品 北海道の遠軽町 閉鎖される郵便局と隕石 徳島県の日和佐 産卵場所の海岸とウミガメ 「藍を継ぐ海」は、最後のウミガメの話で、何が藍なのかというと、黒潮の色だった。 かつて存在していた場所や生き物が、すたれていく様を描いた物語でもあった。 失くしたくないものが、じわじわと無くなっていく。 かつての様子を知っている人も歳を取り、記録の継承も難しくなる。 科学的エッセンスに惹かれる5編の物語なのですが、 ニュースにならない社会の問題と、それに対峙している人達の生活もいろいろあるのだなと思った。

    75
    投稿日: 2024.12.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集。全て日本が舞台で、地学・生物の知識が織り込まれています。その内容との織り交ぜがとても良いです。後は女性目線で書かれた話が多かったのが珍しい気がしました…けど、前の本を読み返したわけじゃないので、男性目線の話が多いイメージだけかも。私はすごく面白く読んだのですが理系(工学系)夫は普通だったようです。なので★5は相性によると思います。 「夢化けの島」 地質学の研究者目線で、瀬戸内海の見島と萩焼が舞台。恋愛要素もあり、読んでいて展開はワクワク、関係はドキドキと楽しかったです。 「狼犬ダイアリー」 東吉野村は日本最後のオオカミが捕らえられた場所。そこに会社勤めで上手くやれなかったわたしは逃げるように移住して、個人で広告など請負って暮らしていく…つもりだったけど、上手く仕事こなせない。オオカミを見たという大家の息子とオオカミを見た騒動に巻き込まれる。 「祈りの破片」 長崎の長与町に勤める小寺は都市計画課住宅係。たった一人で町営住宅の管理に加え空き家対策もやっている。今日も外れにある家のことで連絡があった。やる気のない若い職員がある案件に関わり、関係各所とやり取りしたり話を聞き取るうちに、心持ち変わっていく様子がとてもいい。科学的にあの出来事を証明検証していく方法などもよかった。 「星隕つ駅逓」 北海道遠軽町が舞台。郵便局の廃止と、郵便事業の果たした役割や郵便の歴史、北海道開拓やアイヌに思いを寄せながら、その辺に落ちたらしい隕石が話の主軸となる。 「藍を継ぐ海」 徳島県阿須町のウミガメが産卵する海岸が舞台。地元には民家も減り、子どももほとんど住んでいない。高校生の未月は祖父の義雄と住んでいて、何かを求めているような書き方をされている。何にこだわっていて、ウミガメの卵を5個盗んで孵化させようとして、それに何を願うのか? この話はウミガメの回遊に合わせ、アメリカも登場します。 難しいことも書いてありますがエログロなく、全体的に前向きな話なので、賢い理系好き小学生に与えても大丈夫。中学校から。通常レベルは高校生以上。

    12
    投稿日: 2024.12.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、今は絶滅したと思われる日本狼の子孫の狼混と「出会った」ウェブデザイナーの女性。長崎の空き家で見つかった原爆直後の記録を発見した若手公務員。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。

    9
    投稿日: 2024.12.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大自然と人間がもたらす化学反応に逐一感動。山口、奈良、長崎、北海道、徳島…癒しの方言がいい。原爆蒐集の『祈りの破片』とウミガメの『藍を継ぐ海』が良かった。

    3
    投稿日: 2024.12.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「祈りの破片」が一番好きでした。役場の住宅係に勤める小寺は、空き家が光るという住民からの電話を受け、調査をすることに。現地を訪ねた小寺は、空き家の中で岩石や瓦、コンクリートの破片などがぎっしりと詰まった木箱を見つけた。木箱に詰まった物や家が光るなぞを解き明かしていくうちに、感動の真実に辿り着くお話でした。最初はホラーテイストのお話なのかと読み始めましたが、最後はほろっと涙がこぼれる感動短編でした。

    12
    投稿日: 2024.12.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    様々な科学的知識からの短編集 夢化けの島   山口 地質 狼犬ダイアリー  送り狼 ニホンオオカミには、自分の縄張りに侵入してきたものを追跡して監視する習性があった  我々人間もまた、オオカミたちに選ばれた 祈りの破片  長崎 大村 青白い光 昔の誘蛾灯 星隕つ駅逓  北海道 隕石 藍を継ぐ海  徳島県 ウミガメ   孵化したばかりのウミガメは興奮状態(フレンジー)にあり一生懸命生きようとする   人の手によって孵化させ放流された子ウミガメはフレンジー状態が終わり生存率が下がる  孵化するまでに地磁気を利用する能力を身につけ母浜回帰する 黒潮は栄養分が少ない分、透明度が高く青黒く見える 深い深い藍色

    2
    投稿日: 2024.12.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    理科学系の5編の短編集。 今、NHKで「宙わたる教室」が放送されている。 本の中でも感動したが、ドラマだと違った側面から科学に関する知識を得られる。 今作も過去から今が繋がっているという歴史を感じることもでき、大切なものが何かを気づかせてくれた。 淡々と流れるのではなく、そこで住む人の感情も細やかに現れていて最後は、とても清々しい気持ちになる。 日本各地での出来事だというのも興味を持って楽しむことができた。 「夢化けの島」〜山口の見島で出会った男が萩焼の土に拘る理由とは。 「狼犬ダイアリー」〜奈良の東吉野村で響いてきた遠吠えはオオカミなのか? 「祈りの破片」〜長崎の田之坂郷の空き家にあったものとは…。 「星隕つ駅逓」〜北海道紋別郡白滝で落下した隕石を見つけたのは。 「藍を継ぐ海」〜徳島の海辺でウミガメの卵を孵化させて育てようとする女子中学生。

    68
    投稿日: 2024.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    長崎の事もっと知りたくなったかなぁ 浦上天主堂にまつわる話し……………… 被爆者差別とかも結構あったんやろなぁ 方言も改めて良いなあって……………… (内容とは関係ない話ですけど) 戦死者からしたら……………… 『神も仏もない』

    12
    投稿日: 2024.11.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    伊与原さんの得意とする理科学系短編集。 岩石、狼、原爆、隕石、ウミガメと多岐にわたる作品ばかりだけど、どれも共通して過疎地域が舞台で、事細かく文献で調べ調査して、伊与原さんの豊富な知識を存分に活かしている。 理科学系の話だけど、そこに人間性が加わるから全て心に残り、もっともっと深掘りして長編小説にしてもらいたいものばかりだった。 特に原爆の「祈りの破片」中高生にぜひ読んで欲しい。 NHKでドラマ化して欲しいものばかりだった。

    48
    投稿日: 2024.11.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今作も理系作家ならではの視点で描かれた短編が5つ。文系人間でもわかるように、そして興味をそそられるように描かれているので、伊与原さんの作品を読んだ後は、ついあれこれ調べてしまう。今回も、焼き物、ウミガメ、隕石、オオカミ、原爆…と、バラエティに富んだ題材で面白かった。 田舎町や離島が舞台になっていて、その景色が浮かんでくるようだった。 短編なので仕方ないけど、一つ一つの物語をもっと深く掘り下げたものを読んでみたいなと思った。

    51
    投稿日: 2024.11.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    いろいろな自然科学の世界のことも興味深く読みましたが、日本のあちこちの限界集落のような地域のことも考えさせられました。

    3
    投稿日: 2024.11.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集。どの物語も面白かった。 特に「祈りの破片」は、ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で長崎の原爆の話を見た直後だったので重なる部分が多く、興味深かった。 ドラマを見た人は、ぜひ読んで欲しいなぁ。

    3
    投稿日: 2024.11.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    理系作家の自然科学をテーマとした珠玉の短編集。 今回も興味深い知識を得られるとともに、登場人物の優しさと自然の悠久に心を打たれた。

    31
    投稿日: 2024.11.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    色々な想いが巡って巡って、今がある。 伊与原さんの命の物語は、とても温かく そして優しい思いが溢れてくる素敵なお話だった。 先祖の陶芸を追い求める若者。 新たな地で再出発を決意したが上手くいかない女性。 市役所の仕事にうんざりする最中、 謎の記録物に出会う男性。 田舎の父の老いを心配する女性。 ウミガメと自分を結びつけ必死に生きる少女。 色んな人が出てきて、みんなもがいている。 その姿に終始胸を打たれた。 全作好きだが、やはり表題作が心に強く残った。 やっぱり伊与原先生の作品が好きだ。 無理に進まなくても、自分のペースでいいんだよって いつも教えてくれる。 次作もとてもとても楽しみだ。

    4
    投稿日: 2024.11.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    五編それぞれの方言で書かれていて、それぞれの土地の吹く風、潮の香りが伝わる素敵な短編集。☺️ 伊予原さんは科学的な事が明解で好きです。 「藍を継る海」の中に出てくる、子ガメの「フレンジー」状態については初耳でした。 それから佐和さんの言葉にあった「人間はまだそこまでウミガメのことを知らんと思うんよ。人間の考えるとおりには、なかなかならん。」「好きなところで、気に入った場所で、生きたらええの。生まれた土地に責任がある人なんて、どこにもおらんのよ」は印象に残りました。☺️ 五編共前向きな結末で元気をもらえました✌

    7
    投稿日: 2024.11.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ここ数年私的には伊与原新作品は外れがない 今回も5篇の短編、全てが良かった 書籍化にあたる改題も全て心憎い 5篇とも全く違うジャンルなのに、理系作家ならではの確かな専門知識を元にした、それでいて情緒溢れるストーリーに唸ってしまった 女性の心情を描くのも上手だなぁ〜 父からもらった桐箱入りの萩焼の湯呑み、大事にしまい込んでばかりいないで、時には土の温もりを感じながら使ってみよう

    4
    投稿日: 2024.11.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集。 どうも私のメンタルが不調だったのか、なかなか読み進めるのに苦労した。 時間をかけて、ゆっくり噛み締めて楽しむ物語だと感じます。 『夢化けの島』が面白かったです。

    12
    投稿日: 2024.11.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集ながら、どれも深みのあるストーリーで読み応えがありました。 5つの土地を舞台に、過去から未来へと受け継がれていく自然科学の世界が描かれています。  夢化けの島(山口県) 狼犬ダイアリー(奈良県) 祈りの破片(長崎県) 星隕つ駅逓(北海道) 藍を継ぐ海(徳島県) いつかは見てみたいウミガメの産卵をめぐる物語「藍を継ぐ海」と、興味があって積読本もあるオオカミについての物語「狼犬ダイアリー」が特に好きでした。 宇宙からやってくる隕石や駅逓の歴史にロマンを感じり、原爆投下後について描かれた作品ではある人物の行動が深く心に刻まれました。 地球の自然や生物、また土地の歴史に思いを馳せました。 遠くのものが繋がって、新たな事実が目の前に現れることが面白いしロマンを感じる。 新たな世界の扉を開き、知的好奇心を満たしながら人と人が紡ぎ出す物語も楽しませてくれる短編集。 伊与原さんの作品がやっぱり好きです。

    9
    投稿日: 2024.11.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    夢化けの島、狼犬ダイアリー、祈りの破片、星隕つ駅逓、藍を継ぐ海の5篇。祈りの破片、よかったなぁ。狼犬ダイアリーの少年もすごくよかった。

    1
    投稿日: 2024.11.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「夢化けの島」が一番好きだった。山口、和歌山、長崎、北海道、徳島、を舞台としていて最後の文献の量からも分かる通り、すごく地方の様子が伝わっていろいろ調べられて作られたんだなと感じた。とりあえず山口、萩焼に興味が湧きました、行こうと思いました。こういう話が好きです、面白かった。

    4
    投稿日: 2024.11.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    土や原爆、狼や隕石など話題は多岐に渡るが、全て神秘的なものだけではなく、科学に裏打ちされた理論を基に話は進む。 科学の奥行きの深さと面白さを、ひしひしと感じることができる。 このような話が根底にあると、もっと自分は物理や科学が好きになれたのかもと、思わせてくれる。

    4
    投稿日: 2024.11.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    山口・見島、奈良・東吉野、長崎・彼杵、北海道・遠軽、徳島・阿須、各地を舞台に、失われ、忘れられつつあるものを繋いでいく人々の姿を描く5つの短編。 それぞれが史実や実在の人物から着想を得て書かれたものというだけあって、知り得なかった貴重な話が満載。特に良かったのが「祈りの破片」。熱戦に焼かれる刹那、自らの影を残した野菊の跡を前に慟哭する神父の姿には震えた。 科学的アプローチはあるけれど、いつもとは少し違う趣の短編集でした。

    4
    投稿日: 2024.11.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    先日、母校に伊予原さんが来て、「宙わたる教室」の話をしてくれたということもあり読んでみた。短編集なので物足りなかったが、見島土、狼犬、ウミガメ、隕石、長崎原爆の資料、全部が興味深い題材だった。

    73
    投稿日: 2024.11.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「月まで三キロ」、「八月の銀の雪」に続く第3弾とでも言うべき作品。今回は科学と時の流れの中で受け継いでゆく人の想いが融合したような話が5編。相変わらず科学は苦手だがそれを補って余りある描写というか、人間ドラマが形成されているのでどの話も読みやすく期待以上でした。特に「祈りの破片」は偶然にも今月に入って戦争がらみの本と漫画を数冊読んだところだったので特に印象に残りました。あと北海道が舞台の「星隕つ駅逓」、好きですこういう話、あ~北海道行ってみたい。直木賞候補や本屋大賞候補でも良いのではと思わせる内容でした

    4
    投稿日: 2024.11.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    萩焼、ニホンオオカミ、隕石…などなど、今回も専門的な世界と素敵なお話に触れられて嬉しかった。どれも好きだけど、特に瓦礫の中で薄汚れた男が二人、敷石の前にうずくまり、野菊が残した影にそっと器具を当てているところ。この想像場面にじーんときた。

    14
    投稿日: 2024.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    安定の伊与原さんです。 「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の五編。それぞれの短編で、萩焼用の土(地質学)、絶滅したはずのニホンオオカミ、瓦や岩石などの被爆資料(地質学)、アイヌの伝承と隕石(天文学)、ウミガメの大回遊と地磁気などの壮大な科学的な事象をバックにしていますが、描かれているのは人です。どこか行き詰っていた主人公たちが、こうした事象をバックに再生して行く物語は読んでいて心地良いのです。ただ、今回は「地球内核の表面にある銀色の鉄の結晶の森」とか「火星探索車オポチュニティが撮影した孤独の轍」と言ったビジュアル的に印象に残る題材が無かったですね。そのせいか全体的に小粒な感じがします。 伊与原さんの作品、背景に科学が無くても成り立つと思います。ただ、無いと伊与原さんらしくなく、続ければマンネリ化しかねない(既にそういう気味あり)。難しい所ですね。

    6
    投稿日: 2024.10.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今回も伊与原新さんらしい、自然科学をテーマとした5つの短編集です。日本の自然豊かな土地を舞台に、人々の想いが紡がれていきます。 「夢化けの島」 山口県萩市の北西45km、日本海海上にある見島で地質調査をする歩美が出会った謎の男性は…。 「狼犬ダイアリー」 深い山々に囲まれた奈良県東吉野村へ単身移住してきたまひろは、ある夜オオカミのような遠吠えを聞く。 「祈りの破片」 長崎県長与町役場に勤める小寺は、ある空き家の調査に訪れたところ、中から岩石や瓦やレンガ、コンクリートの破片、割れたガラス製品や陶磁器などが大量に見つかる。これらはすべて表面が溶けたり焦げたりしていた。 「星隕つ駅逓」 ある日、北海道遠軽町で火球が目撃される。郵便局員の信吾と妻で妊娠中の涼子は、アマチュアの天文家たちから隕石が落ちた可能性が高いという話を聞く…。 「藍を継ぐ海」 かつては漁師町として栄えていた徳島県阿須町に住む中学2年生の沙月は、深夜にウミガメが4年ぶりに産卵した卵を掘り起こし、5個だけこっそりと家へと持ち帰る…。 舞台は日本の小さな町や村なのに、地球規模の壮大な歴史や生命の神秘や宇宙へのロマンなどなどを感じます。隕石とウミガメの話が良かったかなぁ。長崎の話も胸に迫るものがありました。 さすが伊与原新さん、短編集でもどれも読み応えがあっておもしろかったです。

    16
    投稿日: 2024.10.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集。 最後に表題の藍を維ぐ海。グッときた。 ウミガメの赤ちゃんが海に向かう姿って、健気で好き。読みながら、それを思い出したらめっちゃ泣けてしまった。

    2
    投稿日: 2024.10.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    折しもNHKで「宙わたる教室」ドラマ化。今回の作品もドラマになりそーな作品ばかり。行ったところばかりで、景色が目に浮かぶ。潮風かぎながらの日和佐から室戸岬の海岸線ドライブは、明るい海や空と対照的にサルと廃屋のイメージ。トーテムポールの由来知らなかった。「すべては巡る。遠い遠い昔、遠い遠い海から」「カメも人間も同じ。好きな所で、気に入った場所で生きたらええの。生まれた土地に責任がある人なんて、どこにもおらんのよ」「この子ガメたちのように姫が浦を出ていったとしても、この浜で育った思い出が消えることはない。たとえ、二度とここへ帰ることがなくても」

    4
    投稿日: 2024.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ほとんどの話は読んだことあったけれども結末を忘れていたりで再読したという感じでもなく読めました。 ゴリゴリ文系の自分のような人間でも興味深く読めるのが伊与原新さんの作品のいいところだと思っているし、自然科学のちょっと難解そうな話を誰にでもわかるように説明してくれるのがいい科学者だとも思うので本作もNatural Science & Humanities 的な心が暖かくなるような、行ったことない場所なのに郷愁を感じるような素敵な話ばかりでした。 やはり自分は伊与原新作品が大好きなようです。

    15
    投稿日: 2024.10.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この地球の科学の理が不変だからこそ繋がった過去と現在、そして未来へと続いてゆく物語。収録された五つの短篇すべてが作者の知識や知的好奇心のきらきらと煌めく結晶のようで読んでいる時間が本当に楽しかった。どれも素晴らしかったけど「祈りの破片」が私の中のイチオシ。

    4
    投稿日: 2024.10.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    Amazonの紹介より 数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。 徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、きらめく全五篇。 科学の知識を織り交ぜたヒューマンドラマをいつも提供してくれる伊与原さんですが、今回は知られざる日本を中心に描かれていました。 陶器や二ホンオオカミ、ウミガメといった意外と知らないことがいっぱいあって、日本にはまだまだ知らないことがあるんだとしみじみ思いました。 全5編で、特に横の繋がりはありません。 個人的に印象的だったエピソードは「星隕つ駅逓」と表題作の「藍を継ぐ海」です。 「星隕つ駅逓」では、北海道のとある場所に堕ちた隕石。隕石についての情報だけでなく、隕石に名前をつけるとき、土地の名前が絡むということで、有名にして廃止を避けようと、隕石を取り扱う人に主人公が嘘をつこうと奔走します。そこで発見した場所を巡る主人公の嘘がなんとも切なかったです。 「藍を継ぐ海」では、ウミガメがテーマになっています。 徳島の海辺で産卵を行っているウミガメ。そこに現れる外国人。なぜ外国人が、この土地に現れたのか? そこには、一人の中学生が関係しています。 中学生の育った環境や後悔といったものが、ウミガメを通して、洗い流されていくようで、それが結果として・・に繋がったことに世界は広いようで狭いように感じました。 全編を通して、感じたのは失われつつある日本の風景だなと思いました。昔は当たり前のようにいたものでも、今はもう失われつつあります。自然ならまだしも、文化といったものは、受け継ごうと受け継げることができます。 後世でも、同じ風景が見れるよう、受け継ぐことの大切さをしみじみ感じました。

    7
    投稿日: 2024.10.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    #読書記録 #藍を継ぐ海 連作短編ではなく、各章が独立した短編集です。日本各地の豊かな自然を舞台に、自然科学の題材と、世代を超える人々の想いを組み合わせた温かな物語を紡げるのは、作者ならではの手腕。心にじんわり沁みます。秋の夜長におすすめだよ。 #読書好きな人と繋がりたい #読了

    5
    投稿日: 2024.10.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今回も上質な短編集だった。 短編集で何かいい本を読みたいと思ったら伊予原さんを選んでおけば間違いわないと思う。 何気なく過ごしてる日々の中に実は壮大な自然や地球の流れがあって、読んでいると次はどんな自分の知らない世界があるのだろうと次の話が楽しみなる。 そんな1冊だった。

    4
    投稿日: 2024.10.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「心整う全5篇」と帯にあったが、読了後にはあまり引っかかるものが無く、良き人々が日常生活から少し顔を上げる程度の「生き方の変更」としか読めなかった。 3時間程度で読み切ってしまうくらい読みやすい小説ではあった。

    2
    投稿日: 2024.10.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    理系の知識と温かみのあるストーリー展開が特徴的な伊予原さんの新作というとこで本作を手に取りました。今作は田舎町や離島での物語が多かったように感じました。 本作は5編からなる短編集。萩焼の有名な離島で、萩焼についての本を持った謎の男性と出会う「夢化けの島」。ウミガメが来る海岸でウミガメ監視員をする女性のお話である表題作の「藍を継ぐ海」。など 個人的には本作ではあまりハマった作品はなかったかなっていうのが正直な感想です。前作の「宙わたる教室」の連作短編が印象的だったこともありますし、短編集でいうと「八月の銀の雪」や「月まで三キロ」の方が、共感できる悩みを抱える人が多くてより刺さったのかなと思います。

    65
    投稿日: 2024.09.29