
総合評価
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powered by ブクログ宇わたる教室が好きだったのでこちらも読んでみた。 地質学や鉱物学など普段なら題材をみて購入を躊躇する本だが、短篇5篇につられて購入! 祈りの破片がとても好きだった。
3投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ五つ其々に生物学・鉱物学・天文学を織り交ぜるストーリーは理系の伊与原新らしいが、どう楽しめばいいか探りながら読んだ。 一番好きなのは「祈りの破片」だ。見届けられなかった収集物の行末・込めた祈り。 好きなフレーズ 「器用すぎると土に嫌われる」 「慌てなくていい、むしろ低温でゆっくりなぐらいがいい。そうすれば二人の関係もだんだん深い不思議な色に変わっていくかもしれない。萩の七化けのように」 ひとりぼっちでも、山で彼らしく生きていけたら。 どんな人の中にも犬とオオカミがいる。その飼い慣らし方を学び始めた。
9投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ第172回直木賞受賞作で初めましての作家さんだったけど破片の祈りがすごく好みで吸い寄せられるように全ての作品読み切った。個人的には他に夢化けの島と表題作が好き。地方のあれこれを描くのがとても巧く、その街に行ってみたくなる。他の作品もぜひとも読んでみたい
4投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ最初は合わないなとおもったけど、「破片の祈り」と最後の「藍を継ぐ海」が面白かった。 理科って面白いな。 狼犬ダイアリーは移住の現実が分かる。 色んな所へ行ってその土地について調べてみたいなと思った
9投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ伊予原作品は派手さは無いけど、ハートウォーム的でささやかに満足感を与えてくれますね。 各地の美しい風景の描写も去ることながら、そこで暮らす人たちの息遣いや方言も散りばめられていて、きっと都会では感じることのない人と人との触れ合いが、読み手を温めてくれる要因なんかなぁ、と思いながら時間をかけて読了。
35投稿日: 2025.07.14
powered by ブクログ公務員とはこういうもんだという文章があり、的確すぎてもうそれ共感しかない。公務員しかしてない人ってこういう人ばかり。
16投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログAmazonオーディブルで聴いた。 う〜ん。 良さが分からない…。 面白くないわけではないけど、「だから?」と思ってしまう。 3作読んでどれもピンと来ないので、多分、伊予原新という作家が合わないんだね。 ケレン味のある作品が好きなので。
4投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログ直木賞受賞作ということで読みました。短編集なので大作という感じではないですが、原爆の話などは胸に迫るものがありました。序盤つまらなさそうな感じだけど、中盤くらいから意外性のある展開になって興味が出てくる話が多かったです。
31投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
5編の短編集。 「狼犬ダイアリー」の狼混の話がおもしろかった。 全体的には自分としては少々食い足りない感じでした。
4投稿日: 2025.07.12
powered by ブクログ5つの短編 それぞれに味わい深く読めました。 大きな感動はないけれど、読み終わった余韻に浸れる本でした。
10投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログ伊与原新さんの“宙わたる教室”がとても好きで、今回、直木賞受賞作と言うことで読んでみました。 短編5つからなる作品でした。 読み終わったあとの余韻は、とっても良かったですが… 大人な読み物って感じがしました。少し私には物足りなかったです。 狼犬ダイアリーと藍を継ぐ海がとくに心に残りました。
26投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログどの短編も似たようなストーリー構成で、主軸にされている自然科学現象についても興味のない読者を置いてけぼりにしているような白々しい説明で、本当におもしろくなかった。自然科学と人間のドラマを無理に絡めたような雰囲気も苦手に思った。 つまらなさ過ぎて読み終わるまでに何ヶ月もかけてしまった。 それに比べて東野圭吾の「ガリレオ」シリーズなどは魅力のある作品だったな、などと思い返している。
4投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山口県の離島を舞台に地質学者が出会った萩焼の土を探す謎の男の正体とは?(夢化けの島)、吉野の山奥に移住したWebデザイナーがはるか昔に絶滅したと伝えられるニホンオオカミと対面する(狼犬ダイアリー)、長崎の空き家で膨大な原爆の資料を発見した公務員の青年がそこのかつての住人の足跡を辿る(祈りの破片)、過疎化が進む北海道の遠軽地方に落ちた隕石。父親のために隕石の落下場所を偽ろうとする女性(星隕つ駅逓)、徳島の海岸に産卵された海ガメの卵を孵化させようとする中学生の女の子(藍を継ぐ海) 過疎化が進む地方を舞台に、そこで懸命に命をつなぐ人々と地球がもたらす科学の謎をからめたミステリー仕立ての短編集。舞台も主人公もバラバラだからこそ、日本の広さ、多様さ、そこに息づく自然の美しさが胸に迫る。どの作品も作者独自の視点で描かれていて印象的だが、特に長崎の原爆のエピソードと公務員の青年の成長を絡めた「祈りの破片」は特に胸に刺さった。改めて平和について考えさせられる良作。
4投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログ伊与原新の藍を継ぐ海を読んだ 藍を継ぐ海は夢化けの島、狼犬ダイアリー、祈りの破片、星隕つ駅逓、藍を継ぐ海の短編5話構成だ。 夢化けの島は岩石愛が凄い主人公が萩焼の土を探す青年に出会う。 岩石は小学校の頃、一時期集めたことがあった。 父に標石箱作って貰って夏休みの作品として出した。 萩焼は好きで学生の頃自転車で行ったときにコーヒーカップをかってきた。 狼犬ダイアリーは絵本になりそうな話だ。 祈りの破片は長崎の原爆を題材にしている。先日NHKのバタフライエフェクトで被爆した女性たちの事を放送していたが、その映像と重なった。 星隕つ駅逓は隕石の話で高校の時天文学部のサークルに居たので興味があるし北海道の開拓の過酷な歴史も聞いていたので、面白かった。 藍を継ぐ海はウミガメの話で、ウミガメと言えば水族館や奇麗な海でスキューバーダイビングの映像ばかり浮かんでしまうが、生存率の低いウミガメの生態や主人公の女の子からウミガメを重ね合わせていて良かった。 短編だが鉄道員が短編から映画に出来るくらいだから、どの話もドラマや映画になってもおかしくない話だと思った。
22投稿日: 2025.07.10
powered by ブクログどの話も心が温まるものでした。地方が舞台ということもあり、時間の流れはゆっくり。でも「人の思いを繋いでいく」という一貫したテーマによって、物語に厚みが生まれているように感じました。
3投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログサイエンスxエモい話で、勉強になりつつ良い気持ちになる感じの本。どれも「いい話だなあ」という感じだし、それを科学と組み合わせて興味深いストーリーに仕立てているのはすごいなと思う。 しかし自分としては「もっと読みたい」という感じはあまりなくて、おそらくあまりにも「読み口の良い短編集」として完結しているからではないかと思う。自分はもっと、先がどうなるのかなあとか、あれはそういうことだったのかとか、考えさせられるものが好きなのだな、と自己理解を深めた。
4投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログ自分の知らない世界がたくさんあることを知りました。知らない単語が出てくると調べながら読んだので楽しかった。
3投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログ肩透かし? 期待はずれ? 毎度同じような理系の展開に飽きた? 独立した短編集だったからかな。 あんまり記憶に残らなそう。 小説を読んでちょっとだけど物知りになれるのは嬉しい。
1投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ『藍を継ぐ海』には、「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の5編が収められている。それぞれに、科学と人の営みが交錯する物語が描かれており、長い時間軸の中で人間の生き方を静かに問うている。 中でも心に残ったのは「星隕つ駅逓」だった。郵便局の廃止が決まった父のために、娘が隕石の落下地点を偽り、郵便局の名前を地図に残そうとする。その嘘に葛藤しながらも、最終的に真実を語る姿に、人と場所のつながりや誠実さの大切さを感じた。科学という「事実」と、人の「想い」とが交差する瞬間に、胸を打たれた。
2投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ直木賞受賞作ということで読了。全5篇からなる温かみのある短編小説。理系の私としては「なるほど」と楽しめる一冊でした。
2投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ短編小説集。連作ではありません。一つ一つの作品に重みがあって、史実にフィクションを交えた形で思わずこれ本当のお話なのかと思うほど。作者の故郷なのか?と思わせる田舎の原風景のような描写と、隕石、土、狼、アカウミガメ、原爆跡地に残された影など多岐に渡るテーマがしっかりと調べられて書かれている。どれもテーマが違うのが凄い。 静かに感動したし感嘆した。 短編なのに(?)読み応えがしっかりあり、充分堪能することができた。 私の中で記憶にしっかりと残りそうな作品。 どの作品も甲乙つけがたく素晴らしい。本作で直木賞受賞。 読後みなさんのレビューをみたところ、「宙わたる教室」の方が読み応えありと複数あり。この作品でも充分読み応えありましたが!!読むのが楽しみになりました。
2投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ伊与原新さん初読み。短編集 どの作品もしっかりと取材をした上で、それぞれのテーマについて興味をそそられる内容で、実際にその土地に行ってみたいなと思いました。 個人的には狼犬ダイアリーの狼犬とギンタの話、比較的距離的に近く地名に馴染みがある祈りの破片が好きでした。
11投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
見識の深さと取材力を垣間見る一冊。 日本の原風景と描写されるような、あるいは小島あるいは山あいの村落など、自然に溢れ数少ないそこに暮らす人々の日々と渦巻く想いを描いた短編集。 北は北海道、南は長崎まで日本列島各地に散らばる、ともすると限界集落一歩手前の様相すらある土地土地に根付く特性、色合いを描ききっていて凄いなと思った。 これだけ広範囲になると、自分のルーツというより取材して手に入れた情報を元に紡いでいるのだろう。 また、そういった地理的な幅もさることながら学識的な深さにも脱帽。 理系の物語を書く方というのは認識していたが数学とか物理系というよりは、地質学、宇宙科学、生物・動物学など自然科学全般を広く取り扱う方のようで、その守備範囲は誰にも比肩しえない。 日常のミステリにも届かないくらいのわずかな謎というかとっかかりを起点に紡ぎ上げる一編一編の物語としての深み(謎が解けてスッキリーとか、うわーいい話めっちゃ感動するーみたいな、一次元的な感情とは異なる感じ)が魅力か。 思っていたよりも硬質な直木賞受賞作だったけれど、これはこれで楽しめた。 巻末の参考文献やはり凄い量。 172回(2024年下期)直木賞。
57投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ初めては直木賞作品見た。本屋大賞とかに比べると読みづらさは若干あったが、それぞれのエピソードがしっかりと作り込まれていて、専門知識などがわかりやすく書かれておりその物語に入り込む深さが凄まじかったと思う!
72投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ第172回直木賞受賞作 伊与原作品は、すでに何作か読んでいる。 そのいずれにも共通するのは、嫌味な感じがしないということ。 本書は五篇からなる短編集、それぞれが色々な切り口から始まり、ダークサイドに落ち込みそうになるが、嫌な雰囲気に成ることなく、気を取り直して、静かに終焉を迎える。 前作もそんな感じだったような気がする。 五つの短編は完全に独立しているので、一作ずつしっかり読める。この長さの本は、出張や長距離通勤にはとてもありがたい。
7投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ直木賞受賞の短編集 「宙わたる教室」と同じ作者でした 長編ではないので、受賞作としてはちょっと物足りなさを感じます 学究の経験が生かされた作品でした それぞれに味がありますが、3作目の「祈りの破片」が印象的
9投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログ過去と未来。 地層のように重なり合う人生を見届けるということ。 孤独のように見える場所で、実は誰かと繋がった人生を営むということ。 人間は流れ、自然は巡る。 巡り、繋がり、継いでいく。 かつてここに確かに存在したであろう人々や建物。 見たことがないはずの風景を思い浮かべる。 何百年、何千年も昔の、遠く及ばない世界。 想像することしかできない過去の姿。 静かなる何者かの声を聞き続けることで、 少なくとも、わずかばかり過去のものたちを近くに感じることはできるのかもしれない。
14投稿日: 2025.06.19
powered by ブクログあとがきや参考文献を見て、本当に長い時間をかけて生み出された物語たちなんやなと思いました。 5つの物語はどれも日本の伝統や歴史にまつわる物で、その伝統や歴史が現代の日本で受け継がれている姿が描かれていました 特に3篇の『祈りの破片』は絶対に読んでほしい 日本が絶対に忘れてはいけない原爆の記憶で、自分が知らなかったことばかりに書かれていて、自分の無知が恥ずかしくなりました そして、もっと原爆のことをちゃんと知りたいと思いました どの物語も日本の温かさとか優しさを感じることができて、悲しい歴史もあるけれど全部ひっくるめて日本の伝統や歴史を心に持っておきたいと思いました
3投稿日: 2025.06.19
powered by ブクログようやく読み終わった… 直木賞受賞ということで手に取ってみたけど、最近本屋大賞でかるーく読める本ばかり読んでいたせいか、ぎちぎちに情報の詰まった文章がなかなか読み進められない。 作者は神戸大→東大大学院出身の理系の人ということで、特に理系分野に精通した膨大な知識の持ち主なんだと思う。色々な科学に関するエピソードが登場して、理解に時間がかかり、文章が重く感じる。 その上、最初の「夢化けの島」は、キャラクターに魅力がない。勉強ばかりしてきてコミュ障の中年女性が主人公で、ちょい悪でカッコいい男性に一目惚れしてしまってお話が始まるあたり、痛々しいというかむず痒いというか、見てられない。 「狼犬ダイアリー」も、田舎に移住したけど色々こじらせてくすぶっているフリーのwebデザイナーっていう女主人公がイマイチ。 「祈りの破片」は原爆の話で、良かった。 この人は女性を描くのがあまり上手じゃないのかな。 と思っていたら、最後の「藍を継ぐ海」は、ちょっとじーんとした。
4投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログ5篇の短編集。 小説なんですけど、地学、生物学、物理学、天文学、環境学といった自然科学を軸に人文地理学、歴史学、人類学、社会学、福祉学といった社会科学や人文科学のジャンルにも興味の範囲を拡げてくれます。 小説を読みながらも「この短編に関係する参考文献を読んでみたい!」と、知識欲が刺激されました。 5篇のうち、作品タイトルの「藍を継ぐ海」は温暖化や海洋汚染の問題にも目を向けさせてくれる内容で私の中では一番面白かったです。 また、狼犬ダイアリーでは「狼犬」という言葉があることを初めて知りました。人類の祖先であるホモサピエンスが生き延び、ネアンデルタール人が滅んだのは狼とホモサピエンスの距離が近くなり、狩猟に優れた犬というパートナーを持てたという逸話も興味深かった。 世界で起こる事象の全ては自然科学とは切り離せず、そこに人が介在することでさまざまな学問が生まれるのですね。とにかく多岐にわたるジャンルの知識欲を掻き立ててくれる作品でした!
12投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログ科学的なテーマを元に発想して描かれた短編集なので、他では読んだことのないような話の展開だった。それでも、それぞれの登場人物が抱える悩みや哀しみは普遍的なものなので、共感したり同情したりし考えさせられたりしながら、没入して読んだ。特にひとりで長崎の原爆資料を集め続けた加賀谷昭一の話は、深い印象を残した。
3投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
5つの短編。 【夢化けの島】 岩や石の研究をして山口の小さな島に通う歩美。船で見ない顔の男がいた。島の人でもなさそう。 歩美は、ずっと通ってるので島に知り合いがいて、地質調査にも協力的だ。 島を探索していたらあの男がいた。日に焼けて,ボサボサで。どうやら彼は,萩焼に使う赤土を探しているらしい。 だが、陶芸家ではないと言う。 彼はなぜ,何を,探しているのか? 【狼犬ダイヤリー】 奈良県吉野の近くの村で、狼の遠吠えのような声を聞いた。もう絶滅しているはずなのに。 小学生の男の子拓巳くんは、見たと言う。 紀州犬のギンタを連れて探しに行くと言うがもちろん見つからない。 この辺りはニホンオオカミの最後の目撃地。だからありえる?まさか。 【祈りの破片】 長崎の小さな役場で空き家対策の仕事をしている小寺は、とある山奥の空き家が夜中に青白く光っているのを見たとうったえてきた。「えすか家や」(えすか=怖い) 廃村になりつつある場所では、空き家が誰の所有権なのかを探るのすら大変だ。そこから、潰すなり管理するなり寄附するなり、決めてもらわねばならない。 その「えすか家」に行ってみるが,光る要素などない。まさか心霊現象? だか、その家に入れることになって行ってみると、中にはガラクタがいっぱい。 レンガ、壁の一部、壊れた陶器などなど。 それらは全て長崎の原爆投下で被爆したものだった。 誰が何の目的で、ここにそれらを集めたのか? 【星隕つ駅逓】 北海道遠軽町の白滝郵便の配達員の信吾。 奥さん涼子の父公雄も郵便局員、でももうすぐ野知内郵便局の廃止とともに,定年となる。 そこに、隕石を探している人達がきた。代表の榎本によると公的グループではなく,全国的に仲間がいて日々火球などの観測から隕石の墜落場所を探して,隕石を見つけ出すのだと言う。 夏は緑の畑だが,今は一面真っ白のなか探すと言う。 涼子が夜中に起きている。なんと、隕石を見つけたらしい。なぜ隠しているのか聞くと、発見場所を詐称したいと言う。 隕石の名前は、近くの郵便局の名前がつくルールらしい。だから父がいてもうなくなってしまう「野知内」と着くところで発見したと言いたい。 それはダメだと言ってる間に・・・ 【藍を継ぐ海】 徳島のある小さな海辺の町。姫ケ浦にはウミガメの産卵がある。 沙月は夜中にその卵5つを盗んだ。自分で孵したい。 朝、砂浜の状態で何物かがウミガメの卵を触った?盗んだ?らしいとわかって問題になる。 姫ケ浦は堤防ができてからウミガメの産卵が極端に減ってしまった。環境的に減ることはあっても増えないだろう。 ウミガメたちはこの浜を出たら海流に乗り,黒潮に乗ってどこまでも行く。そして,30年ほどかかって生まれたこの浜に産卵に帰ってくる、かもしれない。 ティムという外国人がやってきて、海に漂流してきたものを集めているらしい。彼はある島の出身。そこにも浜辺に行くといろんなものが打ち上がっていて、潮の関係でか日本のものが多いらしい。それで,日本に興味を持ってやってきた。 彼は祖国の島で見つけたあるものの写真を見せる。 それはタグをつけたウミガメ。だが,その番号のタグは付けられていないはず。 沙月の理解者でウミガメに詳しい70歳をすぎた左和さんが個人的につけたタグだった。 全てのお話が田舎の話。でも、地質学だったり、オオカミの歴史と生態についてだってり、 放射能のはなしだったり、天体と隕石の性質だったり、ウミガメの性質だったりと、 なかなか,専門的な事も踏まえつつ,わかりやすいように組み込まれています。 なので難しくはない。 この中ならウミガメのいるところに住みたいなぁ。 あ,でもやっぱ、買い物とかも大変そうだからやめとこ
3投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ5つの短編集。 どれも理系要素が少し入った内容で、日本のどこかで本当にありそうな現実的な話ばかりで面白かった。
12投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログ●読前#藍を継ぐ海 直木賞芥川賞候補作は内容に興味がわかなくてもまずは必ず読む。あらすじを読んだ段階では本書には興味がわいた。このあらすじであれば楽しめそうな感じがするのだが、結構な確率で裏切られる芥川賞直木賞、事前の過大な期待は持たずに読んでみたい https://amzn.to/42npLR7 ●読後#藍を継ぐ海 本屋大賞ノミネート作と言われても違和感ないほど面白かった。伊予原作品は初読だったが、相性よい作家さんと強く感じた。紡ぎ出される表現が脳内にしっかりと情景をイメージさせてくれて、雑念が浮かぶことなく没頭でき一気に読了 https://mnkt.jp/blogm/b240926c/
10投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ描写や出来事がリアルで、本当にあったことのようだった。 完全にすっきりと終わらず、あたたかく続いていくような短編集。 心が疲れたときに読んでホッとしてほしい。
1投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログ様々な日常・土地・生活とともにある自然と人との営みにある科学的なトピックが感じられる5つの短編。 萩焼と見島土、紀州の狼混、長崎の被爆資料収集、北海道の駅逓と隕石、徳島のウミガメの産卵。 それぞれ人の成長も描かれた温かいお話だった。 25-21
1投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ちょっと説明文的なところが集中して読めないこともあったけど、 読後、とても良かった。 星隕つ駅逓 藍を紡ぐ海 が、特に好きです。 心に留めて置きたいことばもたくさんあった。 「すべては巡る」 「人間も流れていく」 「駅逓の『逓』の字は 『次々に伝え送る』という意味」
1投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログ自然科学をテーマにした短編集で、それぞれの短編でテーマに合わせた科学にまつわる面白い知識が読めて面白かった。特に北海道が舞台の星隕つ駅逓が好きで、自然に関わりの深い作者だからか自然と共に生きていたアイヌに親しみを持ったかたちでその文化や伝承を神秘的に書いているところが興味深かった。人類が初めて手にした鉄は鉄隕石だったこととか、日本ではこれまで五十個の隕石が見つかっているけど、北海道で見つかったのは数が少ないこと等、天体に関する知識がたくさん読めて面白かった。 物語はみんな自然豊かな地方が舞台なので過疎の問題があり、人が都会に出ていくような出来事も描かれているけど、語り手たちはみんな自然に囲まれた静かなところで生きている人たちなので、あまり思考がギラギラとしておらず、それぞれで落ち着いた人間ドラマが描かれているところに美意識や品の高さをかんじた。
1投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編小説。 表題作の「藍を継ぐ海」が好きでした。巡りめぐっている。自然も人間も。でも、自分が同じ場所に帰ってくると言う必要はなく、その場所が忘れ去られても、何百年と言うスパンでまた、違う人が見つけてくれるかもしれない…。素敵でした!!
4投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログ流石直木賞受賞作だけのことはある。粒ぞろいで甲乙つけがたい傑作中編5編。以前に読んだ「コンタミ・科学汚染」でも感じたが、科学的裏付けと視点が確り土台としてあった上に、人間の情を上手く絡めて過不足ない文章量でストーリを紡ぐところが頭抜けている。兎に角文章が流麗ですうっと脳内に入ってくる。科学とロマンの融合具合が抜群。
2投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログ地球科学の分野ってロマンが溢れてるなー。これはほんとクセ強な学問と思ってたけど、すごい空想と愛が広がる!! 短編の全てが違う地域でのお話で、方言もたくさんあって地域性が強く出てるので美しい。日本って素晴らしい国だったんだよなぁ。。。 北海道の隕石の話がはまったー。囚人道路やアイヌの歴史がじんわり心に残る。過酷な環境で郵便局員に求められたものも、重たくって重たくて。今の平和なジャガイモ畑の花が咲く風景や子供が生まれる状況と比例するようで。 萩焼の話もおもしろかった!見島の赤土が萩焼の赤い味わいを生み出してるけど、もう生産されないから少しずつ少しずつ使ってるとか。。。資源って結構限りがあるんよね。新しいものに価値を見出すって、既存の資源の枯渇がスタートになってることって多いんじゃないかな、と思った。
31投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ同著者の『月まで三キロ』が好みで手に取りました。 結論から言うと完全に好みに合致した作家さん。 こちらも短編集で、どの話もいろんな要素が調和した短編であり、このページ数でこうもよく無駄なく綺麗にまとめたなぁと舌を巻く思いで読みました。とにかく読みやすい、ひっかかりなく進める文章も良いです。 そして科学あり自然あり歴史あり人間ドラマあり…学びもある。 これから少しずつおっかけていきたい作家さんが増えました。 作中どれもいいですが、一つだけ選ぶとすれば長崎原爆をテーマとした『祈りの破片』が好みでした。
30投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ科学とか歴史を絡めつつ編み出された人間ドラマ短編集。幻の萩焼の窯を求めて見島を訪ねる名工の子孫と地質学者『夢化けの島』。絶滅したはずの狼を目撃したという少年と山奥に移住してきたフリーのWebデザイナーの探索『狼犬ダイアリー』。長崎の空き家から、原爆で被爆した破片の収集が大量に見つかり、そこから明らかにされるある人物像『祈りの破片』。北海道の遠軽町白滝の雪原に隕石が落ちる。昔からこの土地には隕石にまつわる伝承がある。『星隕つ駅逓』。年々少なくなっていくウミガメの産卵を守ろうとする人たちと、海を越えてやってきたネイティブ・アメリカンの血を引く青年の不思議な出会いを書いた『藍を継ぐ海』。どの物語も壮大な時を超えたロマンを感じるストーリーが良かったです。でも『祈りの破片』は胸が痛かった。泣けてしまいました。祈る心って大切ですよね。
14投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ自然科学、特に博物学にまつわる物語の短編集。 様々な悩みを抱える登場人物たちが各々の関心に沿って、もしくは偶然に様々な出来事に巻き込まれていくが、そこに客観的に遠大な博物学の知識が付与されて、その背景にある人々の思いが伝わってくる。 全5作。どれも素晴らしかったが、最も胸を打ったのは 「祈りの欠片」
2投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ「月まで三キロ」を読んだ時にも感じたが、どの話も温かい。科学が、わたしたちをあたたかく包み込んでくれる、と帯にあるが、そう感じさせているのは、作者の「人」に対する絶対的な信頼ではないだろうか。「藍を継ぐ海」もよかったが、「夢化けの島」も「祈りの破片」も素晴らしい作品だった。
1投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ親友の町も題材になっている様子で気になり 久々に直木賞受賞作品を購入しました 作者の博識 知識量の膨大さに驚いています 茶道の稽古をしているので 特に 萩焼のくだりは とても興味深く何回も読み返しました 今まで私が触れたことのない作品の数々、次作も楽しみです❣️
1投稿日: 2025.05.28
powered by ブクログ直木賞を受賞した短編集。 作者らしく地方の地誌や自然を題材に、人間を描く。 見島土と萩焼、狼犬、長崎で集められた被爆資料、紋別野知内の隕石、阿波徳島のアカウミガメ。 個人的には表題作よりも第1編「夢化け島」と特に第5編「星堕つ駅逓」が印象に残った。 親子三代守ってきた郵便局とともに消えゆく「野知内」の地名に思いを残す父と父に寄り添う臨月の娘。 父を想う余りに嘘までついた娘の思いは、野知内の地名の由来とともに博物館の隕石展示パネルに残された。
4投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ膨大な知識量に感服。 5つの話それぞれに、専門性と土地の歴史を感じる、重力のある一冊だった。難しいところもあったけれど、だからこその深みがある。 一つの話を書き上げるのにどれだけの調査時間を費やしたのか…作家さんってすごい! 読んで勉強になり、さらに人間味に触れて感情を揺さぶられる。 個人的なことだけど、私の地元も登場。違和感のない方言を使ってもらえて嬉しい!ここまで調べてもらえてありがたい。
4投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ著者の方の知識の広さに驚く一冊だった。5つの物語が収録されていて、そのどれもが科学に関わる話。地学、生物学、海洋学…この話を綴るのにどれだけの知識を必要としたのだろうと思ってしまった。(専門的に学ぶとしたら、さすがにどれか一つだと思うので) 専門的な物語ではあるものの、全くその知識がない私でもどれも読みやすい物語だった。その中でも一番好きだったのは『狼犬ダイアリー』。主人公の立場がわかりやすいし、犬とか動物が出てくる話は無条件に好きだというのもある。最後には狼犬のようになろうと主人公の気持ちが変わるのも前向きな気持ちをこちらももらえるようで良かった。 その他にはある島で土を探す陶芸家と石を研究する主人公の話やウミガメの産卵の話、原爆や隕石の話などどれも場所や登場人物が違うので、読み応えのある本だった。そしてどの話も読み終えた後になんだか少し心が暖かくなるような本だった。
20投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ第172回直木賞受賞作。 伊与原新らしい科学に関連したストーリー5編。 5つの短編それぞれが日本各地を舞台にしているのが特徴的。 ある程度の都市育ちの自分にとっては、これが現代日本なのか…?というような自然豊かな場所ばかりで、なんだか違う時代の物語を読んでいるような気分だった。 また、科学的な知見に裏付けされた興味深い内容ではあるのだが、情報量が多いからか読み進めるのに時間がかかってしまった。 描写が細かい上専門的な話も多く、処理するのについ文章を読む速度が落ちてしまう。 どれも良い話ではあるのだが、きれいにまとまりすぎてちょっと物足りなさも。 心が温かくなるようなストーリーだというのはよくよく分かるんだけれども、続きが気になってどんどん読みたくなるような吸引力はないというか…。 まあ好みの問題です。
4投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ陶芸の話(山口)、日本狼の話(奈良)、原爆の話(長崎)、隕石の話(北海道)、海亀(徳島)の話。どれも現地を訪れかなり取材をされて執筆したのがひしひしと伝わる作品で、登場人物たちもどこか寂しさを抱えていて感情移入がしやすかった。またそれぞれのテーマでいろんなことを学んだ。読み終えれば、世界が少し違ったように見える、そんな素敵な短編小説だった。
3投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログこの作品は図書館で予約を入れてはキャンセルし、また予約を入れてはキャンセルし、また予約を入れては…、を繰り返した作品です!w ま、これだけキャンセルを繰り返しているということは自分の中でもあまり興味が湧かなかったんでしょうね^^; だけど、直木賞を受賞してからはキャンセルを止めました 直木賞受賞作だから一応読んでおこうかなと思いまして…w 結果… うーん… 案の定です 面白くないことはないです 一般的に"良い本"だと思います ただ、自分的にはやっぱり興味が湧かなかったです そーいうことです
59投稿日: 2025.05.23
powered by ブクログ2025年 21 なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。 きらめく全五篇 ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 直木賞候補作と発表された時に図書館に予約 そして受賞作となりやっと読めた 土や焼き物のこと、オオカミのこと、長崎のこと、 隕石やアイヌのこと、ウミガメの産卵のこと どれも全然知らずあまり興味もないことだったけど 読み進めていてとても興味を持たされた。 それぞれに関しての知識量もすごくて、 最後に載ってた参考文献リストの多さに こんなにも調べたのかと驚いた。 繋いでいくことや優しさも感じたし、何より 勉強になる内容だった。
1投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログ短編集です。 萩焼 狼犬 長崎 隕石 ウミガメと生態や歴史の情報量がすごく 人生に葛藤する主人公が登場し心の奥底に響く言葉を残してくれます。
17投稿日: 2025.05.16
powered by ブクログ第172回直木賞受賞作。 ということで、伊与原新作品を初読み。 山口県見島、奈良県東吉野村、長崎県長与町、北海道遠軽町、徳島県阿須町。5つの地方を舞台にした、その土地ならではの物語を科学と少しのミステリーを織り交ぜたような、5編からなる短編集。 どの話も雰囲気は異なるけど、短編とは思えない壮大なスケールの話が多かった。全部良かったけど、『祈りの破片』の清太の件は号泣だった… 印象に残ったのは『夢化けの島』の中の言葉で、 「土にはの、土のなりたい形があるんじゃ。その声をよう聞きながら、さぐりさぐりのばすことや」 陶芸の話だけど、こういう気持ちで常にいられることが名人であり、きっと様々な関わりの中で大事なことなんだろうな〜
90投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログ山口、奈良、長崎、北海道、徳島、其々を舞台にした短編集。どれも膨大な数の参考文献に支えられた科学的フィクション。徳島の海亀と支えようとする少女を描いた表題作は直木賞受賞。私は広島県人なので平和記念資料館に尽力された方をモデルにされた話も気になったが、1番は山口県の見島に纏わる地層学を基にした「夢化けの島」 見島牛しか知らなかったので勉強になった。
22投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログ2024年下半期 直木賞受賞作 昨年NHKドラマになった「宙わたる教室」の原作者と聞いて、すぐに図書館に予約を入れました。 美しい表紙絵にまず目を奪われます。 五篇の短編集です。 それぞれに地質学や天文学などの話が出てくるのですが、小難しいわけではなく 登場人物を通して読者にそっと寄り添ってくれるお話でした。 それでも無知な私には 読めない漢字がいっぱいあって 読み方や意味を調べたりしながらも、ページをめくる手が止まらないのです。 豊かな読者時間になりました。 「夢化けの島」 地質学の先生である女性が主人公。 見島という土地や 萩焼の歴史や特性を知り 紅萩手という色を調べたり。 萩焼を手に入れたくなりました。 「狼犬ダイヤリー」 吉野に移住したが引きこもり気味のwebデザイナーの女性と近所の少年と紀州犬のお話。 ニホンオオカミの最後の捕獲がおよそ100年前の 東吉野なんだそう。 狼混(ロウコン)という言葉を初めて知りました。 「祈りの破片」 一番心に残る話でした。 なぜ原爆が長崎のあの場所に落ちたのか 神父の迷いと 研究者の迷わぬ執念を知り、胸が震えました。 「星隕つ駅逓」 北海道に昔、駅逓(えきてい)というものがあったことを初めて知りました。 アイヌの話や隕石の話も興味深い。 タイトルも素敵です。 過疎の町に住む父を心配するあまり迷走してしまう娘の話でした。 「藍を継ぐ海」 どんどん上陸数が減っている 海亀の行く末に思いを馳せました。 何百年単位で考えるサワさんの 最後の言葉が地球規模の大きさで すごいのです。
27投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログ帯の『科学が、わたしたちをあたたかく包み込んでくれる』という一文が、この本の全てを言い表している。 『月まで三キロ』も読んだが、科学いい話という形式美が本作では更に磨かれている感じ。 長編も読んでみたい。
1投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ土、狼、原爆、隕石、海亀、と多種にわたる精緻な調べに基づき物語を紡ぎ、表題作は直木賞を受賞。 理学博士が書かれる作品はワクワクする。
5投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ伊予原さんの作品は、やはり科学的。 「藍を継ぐ海」カメの専門的な生物的知識が人や故郷を思う気持ちと相重なる。しっとり読める作品。 「祈りの破片」原爆、キリスト教、そして科学。科学の結論は試行錯誤して長い時間かかる、人の一生との根比べのよう。 「夢化けの島」地学に引き込まれていきます。土の魅力、地球の歴史、親子の繋がり。
11投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログすごく良かった。誰かに薦めたい。参考文献の量に圧倒。地元に帰ったら海のゴミ拾いに行こうと思った。 夢化けの島 山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男―― 狼犬ダイアリー 村に狼がいたという話を聞き大家さんの子どもと狼を探す 祈りの破片 空き家の処理業務をする役場の職員。その空き家にあったのは長崎の原爆により被爆した破片が入った箱の山。自らも被爆しながら必死に調査した跡だった。 星隕つ駅逓 隕石が北海道に落ちたかもしれない。それを探しにきた人々。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。 駅逓所は、幕末から昭和初期の北海道において、旅人の宿泊や、運送、郵便の役割を担った施設である(宿場)。 野知内(ノチナイ/ヤチナイ)の由来はアイヌの伝承。 藍を継ぐ海 なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。1980年代に海岸堤防ができたことで毎年200から500頭の上陸があったウミガメは50頭に減った。ウミガメは砂浜と植生地帯の境界付近を好んで産卵するため、ここ数年は上陸ゼロ。 堤防があるから陸から海へ運ばれる砂が減り砂浜がやせていく。 アカウミガメの子ガメは生まれたあと、食べ物の豊富なカリフォルニア沖の海域までいく。 「まずは黒潮にのって日本列島の南岸を進む、房総半島沖で東向きの流れにのると、そのまま北太平洋海流に運ばれて太平洋を横断する。流れ藻の中に隠れ、流木にしがみつきながら三、四年もかけて渡る、長い旅だ。」 そこでエビなどを食べて十年あまりを過ごす。甲長60センチほどの若カメに成長すると、今度は海流をさかのぼって太平洋を西に渡り、日本沿岸の浅い海でさらに十年以上かけて成体になる。そしてメスは自分の生まれた海岸で産卵する。 ウミガメは地図は持っていないが体内になんらかの方位磁針を持っていて方角や緯度を知覚する。子ガメたちは地磁気の向きに対してどちらに泳いでいけばいいかということを知っている。 その能力は卵の中で胚が成長する間に獲得され、自分が生まれた場所の地磁気の特徴も刷り込まれる。 だからそれまでは卵を動かしてはいけない。 太平洋を北から来る親潮は栄養分が多く緑とか茶色がかるが、黒潮は栄養が少ない分透明度が高く、深い深い藍色になる。 取り残された子ガメは沙月だった。 ティムはネイティブ・アメリカン。トーテムポールの。 いつか誰かが森の中で朽ちたトーテムポールのかけら見つける。ああ、大昔はここにも人が住んでたのか、思います。それで十分。 ハイダ・グワイの北にある島に姉妹やってきた。その姉妹たち、日本から来たに違いない。 ハイダ・グワイのビーチ、ほんとにたくさん、日本のもの流れ着くからです。私のビーチコレクション日本のものばかり。 人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。
27投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログ書店でこの本を見るたびに、科学を全面に推しているのをよく見かけ、更に直木賞とは相性が良いのでいつか読みたいと思ってやっと読めた。。。 ちょっと、期待が過ぎてしまったが面白かったー。 山口県と土、奈良県と狼、長崎県と原爆、北海道と隕石、徳島県と海亀。それぞれのエピソードがとても興味深かった。 なかでも、幻の土。見島土を探す「夢化けの島」が1番面白かった。陶芸は今まで、興味を持った事はないが、是非、一つ我が家にという気持ちにも。 作者の伊与原新に聞き覚えがあると思ったら、「宙わたる教室」の作者だったのね。他の作品も是非読もうと思う。
43投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログ専門的な部分がありつつ、人間味を匂わせる人物像で、惹きつけられた短編集です。 「狼犬ダイヤリー」が一番好きですね。 ウミガメの卵を孵化させようとするお話しは、凄く心打たれました。ウミガメ自体もそうだけど、その環境を取り巻く人々や生活が、小説として溶け込んでる要素があり、面白かった! 地質学など、ちょっと普段では近づけない感じはあるものの、とても読みやすくまとめられています。 直木賞受賞作。 タイトル帯の『科学が、わたしたちをあたたかく包み込んでくれる。』に納得。 今までにない感覚の、素敵な小説でした。
2投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ直木賞受賞作、たまたま貸してもらえた。 短編集だったことも知らなかったのだが、全編科学と人間模様が絡めてあり、面白かった。 特に藍を継ぐ海はウミガメの生態が知らないことばかりで面白かった。天然物はハワイ島で見ただけだが、あれはアオウミガメだろう。お姉さんから連絡があると良いのだが…。 星隕つ駅逓も郵便局名と隕石なんて結びつけられているんだって結構興奮して読んでいたのだが。途中で人に話さなくてよかった。 人はいろいろなことを考える。そんな人間の行動があらぬことを生み出す。味わい深い小説だった。
2投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ伊与原さんの直木賞受賞作。 地学、生物学、天文学など科学を織り込んだ5編からなる短編集。 日本のそれぞれの土地に昔から伝えられてきた物、戦争の爪跡、後世にも継いでいってほしい想いが描かれている。 科学の専門的な描写だけでなく、登場人物の心の揺れ動きや迷い、温もり、成長も伊与原さんならではの温かさを感じた。
3投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ短編集。表題作と『狼犬ダイヤリー』が好き。あまり科学に明るくないけれど、科学視点でのものの見方は好きなので面白かった。
2投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ「あの本、読みました?」で井与原さんを知りこの本を買いました。 5つの短編小説の構成。バラバラの内容だが、いずれもちょっとした事件をきっかけに歴史、言い伝えに主人公達が触れた時、気づきと変化が表れる。理系小説家と言われる通り学識のある内容もあり、短編でもなかなか読ませる内容。そうは言っても小難しい話しではなく、読了後に、悠久の時、時間に思いを馳せてしまう満足度の高い小説でした。
12投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログ祈りの破片、狼犬ダイアリーが特に好きでした。 緻密に調べて、表現された感じがして、すごく丁寧さを感じました。さすが、理学博士だなと、感嘆させられました。 科学的な部分だけではなく、その土地その土地の、地理や方言や歴史や、丁寧に几帳面に紡ぎ出されていて、そこも心地良く感じる所でした。
1投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログ久々に1日で読み切った。直木賞とったから読むなんて熱心ですねと嫌味を言われそうだが(伊与原さんの本は「宙わたる教室」きっかけなので違うが)、話題になった本に心惹かれない人がいるとしたらもったいないなあ。惹かれないことをクールだと思っている、ミニシアターの映画しかみないみたいな類の人なのかも知れないが、誰かが面白いといったなら何か読んでみる価値はあるんだよなあ。心のアンテナは広く敏感に! 伊与原さんの本は3冊目?4冊目?だが、変わらず理系なテーマに着想を得た人間ドラマという設定でページタナーだった。 個人的に惹かれたのは長崎の原爆をテーマにした祈りの破片。こんな人や神父さんがいたのかなあと思いつつフィクションだとわかって残念だったが、でも広島で同じような調査をした人がいたと知って興味深い。神と原爆…いや人間の愚かさを信者が背負うことはないでしょう。そのあたりは本当に信者の人が苦しんだのかもしれないと思うと心が辛い。海亀の話の表題の短編も面白い。親の運命に翻弄される姉妹…(途中まで見て飽きた)橋本環奈ちゃんの朝ドラみたいだが、妹のメールに返事しない姉なんて滅多にいないよーと思うと、伊与原さんには女兄弟はいないのかもしれない。 北海道の隕石、山口の陶土、狼犬(狼混)の話、どれもテーマとして面白かった。
2投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ隕石のお話、ワクワクしすぎた大好き。 過去と未来とか違う場所で、大切なものが繋がっていく、受け継ぐ。科学みは控えめ?とても読みやすかった。『藍を継ぐ海』最後の佐和さんの、「生まれた土地に責任〜」の言葉、なんか心が軽くなる。
1投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
5つの中短編から成る。 夢化けの島:山口県の見島で、萩焼の土を探す男と知り合った歩美は自分の長年の研究が役立つことに気付く。彼と話しながら自分の研究に対する思いを確認していく。 狼犬ダイアリー:奈良の山奥でフリーのwebデザイナーとして働くまひろ。実はかっこいい肩書きとは反対の生活を送る。大家の息子の拓巳と飼い犬のギンタだけが癒しの毎日。自分は負け犬だと思っている。ある夜、狼のような遠吠えを聞く。拓巳が山で見かけた狼の可能性もあるが。まひろ自身も目にした生き物は犬ではなかった。 マジで見てみたいなぁ、と思わせる。 祈りの破片:長崎の長夜町役場の都市計画課住宅係で働く小寺は空き家の担当で苦情を受ける。係長に促され現地に向かう。何年も人が住んでいない事が一目でわかる空き家。しかし、侵入者がいるのでは?との跡に空き家について調べ始める。 小寺の公務員のあるあるな仕事ぶりにがっかりしつつ、意外な展開に次第に引き込まれる。 星隕つ駅逓:北海道の白滝郵便局で働く信吾は、地元に落ちたと言われる隕石の話題に思いがけず興味を示す身重の妻の姿に戸惑う。 藍を継ぐ海:ウミガメが産卵する徳島県阿須町の姫ヶ浦海岸。しかし、近年は産卵が激減していた。それは海岸堤防のせいだった。祖父の義夫と2人暮らしの沙月はウミガメの卵を盗んだ。それはなぜなのか。 この著者の、さりげなく話に引き込む語り口、物語の中で科学的な事柄を説明口調にならずに織り込んで、読者が迷子にならないようにする。などとても読みやすい文章に感心してしまう。 そして、固定観念に縛られてグッタリな人に刺さる内容。また、この作者の本を読みたいと思う。
27投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
長編だと思って読み始めた一編目、難しい言葉もたくさんでてきたからドキドキしながら読んでいったけど短編だったからほっとした 短編だからこそ身構えずに科学的な話もゆるく読めるのがよかった ジェットコースターのような話ではないけれど大切に紡がれていく話は読後も想いを馳せてしまうものばかりだった
2投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログ表紙のデザインが綺麗であったので購入。 読んでいると海の近くに住みたいなと、海を眺めながら何も考えずにぼ〜と過ごしたいと、思わせてくれる内容であった。 物語としては、地質、土、狼、隕石、ウミガメの産卵と各パートに分かれているので読みやすく、何より知識が増える。 読了後はこの本で得た知識を誰かに伝えたい話したいと思うようになる。そう思わせてくれる本でもあった。
11投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログ読後、凪いで落ち着いた気持ちになる作品でした。 短編集なので、先の展開に急かされず穏やかに読めて、大変良い読書時間になりました。
1投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ科学的なことを題材にした短編集。 この作家さんだからこそ書けたのだろうとも言える短編が並ぶ。 作家の知識がそのまま反映されているというと、難しい内容になりがちだが、どれも結末は穏やかだった。 読後も爽やかな気持ちになれる。
18投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ研究者にしか書けないであろう、歴史と科学を愛する思想がすべての短編の根底にあった。文章がサラサラと読みやすかったこともあって、ちょっとだけ傷んでた心にはちょうどよかった、心が落ち着きました、ありがとうございます
3投稿日: 2025.04.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
直木賞受賞作。ついに取りましたか。「お台場アイランドベイビー」なんて、ずいぶん前だったもんね。 短編集ということで評価は今一つだったのですが、陶芸、被爆、アイヌ、ウミガメなど、その情報量には圧倒されます。むしろ、短編ではもったいない。これだけの資料を読み込んでおそらく当事者たちにもたくさん取材されたことでしょうに。 隕石の話は作者としては専門分野だったと思われますが、そのほかにもこんなに興味の幅が広いとは。作品がどうのというより、伊与原さん自身に興味津々です。
1投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ過去と未来を継なぎ 若い人たちに希望をたくすお話5編。 土、狼、原爆の跡が残る瓦礫、隕石、ウミガメ。 わたしの知らない世界が、展開していく。 さすが科学に強い作者。好奇心で興味をそそられる。 優しく、温かい気持ちが残る。
1投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ短編集です どの話も読後感がいい 地方にスポット当てているところ 出会いを通して何かを得ていくところ 出版されてる伊与原さんの本 全て読みたいと思ってます
1投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログバラエティ豊かな短編集。 伊与原新さんの「サイエンス」は幅広くて、動物・鉱物・植物・地学・宇宙科学から民俗学までもカバーしている。 いわゆる学者バカ、みたいな人ばかりが出てくるのでなく、一般の人がつかの間サイエンスに触れ、専門知識がないぶん、禁じられたことをしてしまったり、反対にラッキーに恵まれたり、という等身大の姿が描かれているところがおもしろかった。 それぞれの専門知識は詳しく、盛り沢山。 ただ、ひたすら羅列されている説明文が多く、そこだけを読むと、新書の解説本のよう。もう少し自然な形で物語部分と融合していると読みやすいのになぁ、と、残念な部分もあった。 「夢化けの島」 「狼犬ダイアリー」 「祈りの破片」 「星隕つ駅逓」 「藍を継ぐ海」
11投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人口が減少した地方の田舎を舞台にした自然や文化・伝承がテーマの短編集です。ダイナミックな物語ではなく、心穏やかな物語です。
1投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログ定期的にふと読みたくなる伊与原新さん 短編集は少しお久しぶりになりました 今回も科学の情報というか、知識というかがてんこ盛りですが、よくわからなくても楽しめるのが伊与原さんの本の良さだなと思います まぁ、もちろんわかったほうがより楽しめるのでしょうけれど…笑 夢化けの島で、陶芸と地質学に興味を持ち 狼犬ダイアリーで狼の気高さと現代社会で生きていくための精神を学び 祈りの破片で原爆の威力と、その放射能にさらされながらも研究を重ねたその想いに涙して 星隕つ駅逓で、北海道の郵便の歴史と隕石について学びを重ね 藍を継ぐ海で、ウミガメと故郷について想いをめぐらせる 一冊の本でこれだけのことを知り、学び感じることができる 良い、読書時間でした
12投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログ第172回 直木賞受賞作 5篇の短編の最後に表題作はあります。作家の伊与原新さんは東大大学院を出て地球科学の研究者であったためか、本書の書評 には“科学と自然の融合”と称されることが多いですが、そういった 硬いイメージとは 違い、5篇の短編 どれにも共通しているのは、何かを必死で探したり、必死で解明しようとしたり、必死で守ってきた者の、一途で命がけの努力を感じるのです。 そしてそのたゆみない努力を、いつかどこかで誰かが“継承”してくれる、という希望が 読み手の心にともし火となって広がってきます。 その“継承”を暖かく見守っている作者の目が実にいいのです。 作者が描こうと思ったテーマと、読者に伝えようと思った熱情が ストンとこちらに伝わる筆致は、さすがという他ありません。 巻末に記載された多くの資料 、そして「史実をもとにして 着想を得たが フィクションです」、と記載された一文に作者の真摯な態度も垣間見えて好感を抱きました。 本書は、きちんと人間を描いた温かい作品群です 。良い作家に出会いました。 他の作品も読んでみたいと思います。 YouTubeなど動画サイトで、作者の「直木賞 受賞 記者会見」が見られます。作者の穏やかなお人柄が感じられるインタビューの応答が素敵でした。ご興味のある方はご覧になってください。
5投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログ5つの物語で構成をされていました。 地質の話から焼き物の話 狼から犬とオオカミの混種狼混の話 原爆後の長崎で破壊された建物などの破片を集め研究した方の話 隕石の名付けに固執し、嘘の話をしてしまう親孝行夫婦の話 亀の産卵にまつわる話 などなど著者が、生物学、地質学、天文学など科学に精通した人であるのが、よくわかります。 個人的には、宙わたる教室のほうが好きでした。
18投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
工学系の伊与原新の作品 初めて読んだ ・夢化けの島 先祖が陶芸師で今は放浪の旅に出ている若者 岩石の採取で歴史を調べている女性と遭遇 山口県 見島 萩焼のいい土が取れる 茨木笠間とルーツが繋がっているのは本当の話か?面白い ・祈りの破片 長崎に落とされた原子爆弾 その欠片を収集している人がいた。。本来の目標は小倉 天候のせいで長崎に投下される事に ・藍を継ぐ海 ウミガメの産卵地として有名な徳島 地元に住む少女が卵を持ち帰って自分で育てようとしてしまう。
1投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第172回直木賞受賞作品を含む短編集。 「夢化けの島」 「狼犬ダイアリー」 「祈りの欠片」 「星隕つ駅逓」 「藍を継ぐ海」第172回直木賞受賞作品 の5編収録。 現代の若者の視点から土地の歴史と人間ドラマを描きつつ、著者のもつ地学的な化学説明が見事に融合していてよかったです。 「宙わたる教室」をドラマで見ていたのですが、その人間ドラマ×科学が面白かったうえに土地の歴史が絡んでいてさらに深みが出ていると思います。 自分は理系でしたが物理、化学、電機分野は得意だったものの、生物、地学が全くダメでしたので、いまさらながらその面白さを感じています。
1投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて手に取った伊与原作品。ドラマ「宙わたる教室」がとても良くて原作も読んでみたいと思っていたところへの本作の直木賞候補の報道。こちらを先に手に取りました。 短編六篇。他の候補作や受賞作を読んでいないこともありますが、本作にとって欲しかったなぁと最初の短編を読んでいる時から既にそう思いましたが読了後ますますその思いが募った良作でした。 物語の背景が、事実や史実の資料を元にしていることもあるのか深くてリアリティがあり、そのエピソード自体にもとても心を震わされる。 全部の短編が全部違う地域で、その土地の訛りや歴史を感じさせられ考えさせられる。 ストーリーを追う流れの良さもさることながら、その背景を知らない人間にも染み込むように描写されている筆者の物書きとしての力量と知識や調査の深さ、科学的知識の深さや広さなど「すご腕職人」に感じるような畏敬を覚えます。 どれもこれも沁みる話だった。夢化けの島p55、祈りの破片p152から数ページは涙無しには読めなかった。 これが作り話なのほんとに?と思ってしまうリアリティ。 他の作品もぜひ読んでみたい作家さんと出会えました。 装丁も素敵。黄色のタイトルが藍色の背景に光って見えます。
7投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログ(私が)知らない世界をよく調べてちゃんと物語に組み立てている、職人技というか、そういう技術者としての小説家の小説だと感じた。 「夢化けの島」は地質学、陶芸。「狼犬ダイアリー」は山守や炭焼きなど。「祈りの世界」では原爆被害の地質学的な調査。「星隕つ駅逓」では駅逓。「藍を継ぐ海」ではウミガメか。 しかし話は逸れてしまうかもしれないが(かつての)子ガメの放流会が、子ガメの生き残る確率を著しく低下させていたというのは全く知らなかった、、、、
2投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログ一つ一つの作品が膨大な資料を読み上げて積み上げたのであろう、短編ながら話はしっかりと緻密に書いてある。その分、理科的、生物学的な説明は面白く興味深いがちょっと読みずらいかも。 短編なのに、こんなにもギュッと凝縮され考えられた作品であることに、作者の筆力を感じる。 昔、宮部みゆきさんの短編を読んだ時のような 満足感があった。 そして、「宙わたる教室」と同じように、 彼の作品はいつも未来へと繋がる結末になって希望があることが好きだ。 夢化けの島では、探し当てた先祖の作品の欠片を見つける。 狼犬の探索はまるで謎解きのよう。 (実際にニホンオオカミとされて今に残る剥製のDNAはオオカミと犬の混合だったことが最近わかったらしい) 祈りの破片にみる執念と切なさ。 そして、そこまでに至る人々の苦悩。 信仰から遠ざかっていながらも元神父の捨てきれない想いが一つの破片に投影される。ただの空き家との関わりから原爆の解明をしようとした人々にまで繋がるこの章は、本当に良く書けていると思う。 そして藍を継ぐ海。 題名がうまく内容と繋がっている。 日本の小さな海から、遠い海を渡りまた帰ってくるウミガメと中学生の想い。 広大な海に泳ぎ出すウミガメのように、未来にどこまでも続いていく様な作品だった。
1投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログ直木賞受賞作品を含む5作品を収録する短編集。全体的に現在と過去、現在と未来を継ぐのがテーマになっているように感じた。個人的にはあまり安っぽく使いたくない「絆」という単語が頭に浮かぶ。短編作品ではあるが、時間的なスケールは大きい。また、「祈りの破片」の原爆を調査する執念、「星隕つ駅逓」の何か生きた証を残そうとする執念など、怖いくらいだった。直木賞受賞作品の「藍を継ぐ海」も時間と距離を超えた絆があるが、ちょっとご都合主義な感じがした。個人的には、「祈りの破片」が狂気と執念のバランスが取れていてよかった。
7投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ限界集落に近い地方町村の、各地の文化を巡るフィールドワーク的な短編集。大きな起承転結があるわけではなく、繊細に紡がれる。どんでん返しや刺激的な展開にばかり箸が伸びがちな中で、日常の生活の一場面から人間模様と彼らが持つアイデンティティや紡がれてきた想いを素直に描かれたものを読んで、そういう名付け難い何かを読むのも小説だよなと反省させられた。
2投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ5つの物語それぞれに読みごたえが。 短いけど話の世界にぐいぐい引き込まれました。 「夢化けの島」が好き。
1投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログいつ生まれるか、どこで生まれるか、誰のもとに生まれるか。 ……しかし最後の「藍を継ぐ海」で軽やかに言う佐和さんの言葉に、みな救われるのではないか。 それぞれの土地の匂いが濃い短編集。 「祈りの破片」がいちばん好き。
1投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログどの話も専門的な話もありながら、スッキリするものばかりで楽しく読めました。陶芸・隕石・原爆等多岐にわたる内容ですが、どれも詳しく書かれており、取材力の凄さに圧倒されました
13投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ直木賞受賞作。 受賞してすぐに図書館で予約したので早く読めました。 他の伊予原さんの作品同様、知的好奇心がくすぐられ、そして温かい話でした。 伝説の陶芸家の子孫が伝説の土を探す話、紀伊犬と狼を掛け合わせた狼犬の話、長崎の被爆者が祈るように資料を集めた話、北海道に落ちた隕石と駅逓の話、ウミガメの話。日本各地の年齢も性別も職業もバラバラの、それぞれの生活、人生についての話だったように思える。 どの話も良かった。
10投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。 徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。 --------------------------------- 何気ない地方の町で起こる、心温まるお話5篇。 私は最後の表題になっている 藍を継ぐ海が好きでした。ウミガメの生態が詳細に語られていて(実際に参考文献の数が半端ないのだ!)知らないことばかりで、興味が沸いた。どのお話も自然科学のネタを豊富に使い、科学と人の心や人生などうまく絡み合わせて感動を誘う。作者の独特のスタイルかと思う。少々科学的になりすぎる感もあるので星4。 個人的には、宙わたる教室のほうが好きだった。 「好きなところで、気に入った場所で生きたらええの。生まれた土地に責任がある人なんて、どこにもおらんのよ。」 ↑好きなフレーズ
27投稿日: 2025.04.11
powered by ブクログそれぞれが素敵な短編小説で 終わってみればあぁ〜科学の力がないと成り立たない話だなと実感。。 科学がこんな感じで素敵な使われ方をするのだあれば最高だなと思う。 心温まるストーリーでした。 大きい犬が飼いたくなるし、島にも行きたくなるし、霊視を知りたくなるし、ウミガメも調べたくなる。 あぁいい小説でいい時間。。直木賞おめでとう御座います
1投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ『八月の銀の雪』『宙わたる教室』に続いて伊与原さんの作品は3冊目。 こちらは短編集でしたが、どの話も本当に素敵でした。 温かさを感じられます。 都会ではなく、田舎で起こった出来事が膨らんでいきハラハラしますが読むうちにその裏にそれぞれの熱い『思い』が見えてきて、ただ悪い、とは言えなくなってしまうのです。 一つの話は40~60ページではありますが、書くにあたって、たくさんの資料を読まれたことが後ろに載っている参考文献の多さで気づかされます。 専門的な知識がサラッと出てきますが、分かりやすくて理科系が苦手分野である自分でもとても興味深く読めました。 読後感がよく、希望をもてるような、明るい気持ちになれました。 「夢化けの島」 女性枠で大学助教となった歩美。地質調査のため山口県の見島を訪れる船中でやきものの本を持った男性と出会う。祖父がかつて作っっていた焼き物に使った土を探しに来たという。 「狼犬ダイアリー」 訳あって東京の仕事を辞めて東吉野村に越してきた女性まひろ。そこで仲良くなった少年拓己から「狼をみた」という話を聞き、その後、まひろ自身も犬とは違う遠吠えを聞く。果たして狼は存在するのか。 「祈りの破片」 長崎県長与町に勤める都市計画課の小寺のもとへ、住民から山奥で長年空き家になっている家から青白い光が漏れていたので確認してほしいと要望が来る。調べに行くと、そこには溶けたり焦げたりした陶器やガラスの破片、石などが事細かく記録された資料とともに大量に置かれていた。どうやら原爆の資料らしい・・・。 「星隕つ駅逓」 北海道遠軽町で郵便職員として働く信吾とその妻の涼子。涼子の父もかつて野知内郵便局で働いていたが、その地名がなくなろうとしている。 ある日、遠軽のどこかに隕石が落ちたようだとアマチュアたちが情報などから割り出し、訪れるが・・・。 「藍を継ぐ海」 徳島県阿須町の姫ケ浦で漁師の祖父と暮らす中学生の沙月。彼女はある日、夜中にウミガメの産卵地として立ち入り禁止となっている地へウミガメの卵を5個掘り返して持ちかえる途中、外国人と思われる男性に声を掛けられる。
15投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ本のタイトルにもなっている最終章の"藍を継ぐ海"はとても良い作品だと感じましたが、他の章はすこし読み進めるのが大変でした。
1投稿日: 2025.04.08
powered by ブクログ5つの短編が収められていて、明確な共通のテーマは見つけられなかったけど共通の世界観があり、いずれもその世界に引き込まれました。 特に最後の「藍を継ぐ海」はじわっと心に沁みました。
1投稿日: 2025.04.07
