
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて美禰子に会った時の「何を見ているんです」「当てて御覧なさい」が沼の入口を感じさせる、いい女感。 三四郎の「ただ、あなたに会いたいから行ったのです。」いつの時代もストレートな言葉は刺さるね。 見かけただけの女に運命を感じてる広田先生よい。 可能性を感じさせられるとやめられないですね。
0投稿日: 2025.11.14
powered by ブクログ夏目漱石大先生の本にこんなことを言うのもなんだが、そんなに面白くは、ない。『坊っちゃん』が良すぎたのよ。坊っちゃんの強烈な個性に比べると三四郎は物足りない。ただそこがリアルであり、田舎の男子学生が上京し都会であれやこれやと翻弄されゆく様子のちょっとしたニュアンスが流石の文才だった。アクの強い友人、好きになった人、先生、登場人物も個性があって、はっきり言って主役の三四郎が一番影が薄い。何ということのない話だったが、大昔の青春をほろ苦く味わうのは良い心持ちがした。
1投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログ弁当のゴミを列車の窓から捨てるな 最初は綺麗な日本語と展開への期待でワクワクして読み進めたが、特に大きな盛り上がりも無く。。 美禰子の思わせぶりに翻弄される幾人かの男の話
1投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログ上京したてのとき。東京には地元と違って知り合いも誰もいなく、人はたくさんいるけどみんな自分と関係のないバラバラのコミュニティの集合で、1人でいると上京の寂しさや不安がより強調されてしまうから、フラフラと人通りの多い場所を散歩したり、あてもなく電車にのって寂しさを紛らわすなど、分かるわーその気持ち。
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログ地元九州から東京の大学へ入学する青年のお話し。 様々な女性に振り回され、友人に打診されてお金を貸したり‥。そこそこルックスの良い、田舎の青年が都会に出て右往左往しています。はっきりしない大人しい性格で、自己主張が乏しい人物像です。 ハラハラしつつも、応援したくなるそんな青年が主人公です。 三四郎池が有名ですよね。
0投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ冒頭の女との出会いから、その女とまた何処かで絡むのかと思いきや何も無かった。その後、出会う女には翻弄されて終わった。様々な出会いがあったが、日常が淡々と過ぎて行く。盛り上がりを感じれず、そして文学の面白さをまだ理解できず、置いてきぼりの自分がいる。
0投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログ青春小説って?? ウジウジ理屈っぽく生きているだけな気がする。若さがなく、生活に緊迫感の無いところが裕 福
0投稿日: 2025.08.02
powered by ブクログ青春の中、優秀な学生さんが様々な経験をしていくのが微笑ましかった 明治時代にタイムスリップしたみたいで楽しかった
0投稿日: 2025.07.30
powered by ブクログ巧いとしか言いようがない。冒頭、いきなり掴みから入る。九州から上京するくだり、名古屋の宿で、車中で一緒になった若い女性と同室・同衾。そして名古屋から、向かいの席に座った男は……。 手紙や葉書や電報、絵画や演劇、演説会や引っ越し、どの小道具や出来事も絶妙な使われ方をしていて、無駄がない。しかもみな自然だ。そしてなんといっても、会話が機智と機微に富む。 脇役たちもみな個性的。どこにでも顔を出す与次郎がいい味を出している。 話は、8月末から12月末までの4カ月間に三四郎に起こった出来事。朝日新聞の連載は9月1日から12月29日と、シンクロしている。新聞の読者にとってはリアルタイムな話の展開。これも見事と言うしかない。
1投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
https://hiddenstairs.hatenablog.com/entry/2025/05/05/120325
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ最近、三四郎池に行く機会があり、久しぶりに夏目漱石を読んでみたが、古い文調でも読みやすく楽しめた。現代に比べて時間がゆっくり流れているが、人の機微に触れる機会は多く、対人関係は豊かに感じた。
0投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語としては出来事が無さすぎるが、それがリアルでいい。何も進展していかない感じも、実際にはよくあることなんだろうな。問題を持ってきたり引っ掻き回すのは与次郎くらい。 それにしても美禰子は、三四郎の気持ちを分かった上であのような態度を取っていたと私は感じる。女性特有の承認欲求というか、本命から本質的に手を繋いでもらえないさみしさを、他の男からの好意を仕向けて埋めようとしたんだろうな。完全な思わせぶりと呼ばれる行為。無意識の偽善者だと称されているけど、これは違う。完全に意識的な犯行だ。三四郎があまり積極的でない人間だから、何を起こすこともないし、自分も大事なことは起こさないようにコントロールできるし、だったら永遠に本命にもバレずさみしさを埋められる、ずる賢い相手の性質まで読んだ上での犯行。
4投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログ掴みから小気味よい。 夏目漱石が生きた時代の学生の在り方を通して、現代や自分自身のことも振り返るきっかけになった。 学問への価値観が面白かった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「迷子の英訳を知っていらしって」学問、友情、恋愛への不満や戸惑い。 何度読んでも新鮮な気持ちになれる、みずみずしい永遠の傑作。 『それから』『門』へと続く前期三部作の第一章。
0投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログよくもこんなに言葉が流れるように出てくるもんだなという唖然が第一の感想。 第二に、人物の性格の設定とその描写が巧い。 一方で、濃い物語展開を期待してはいけない。この作品はむしろ、喉を越すように語りを摂取しながら、心に残ってくる曇りを味わうものだと思う。 最後に、変に昔風の語り方は十中八九伝染するものだと付け加えておこう。
0投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ最後まで読めてよかった。 “恋”の瞬間に立ち会ったような感じがした。 余韻が良い。 “それから”も楽しみ!
0投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ恋愛経験がない主人公による上京物語。序盤は女性との接し方もままならない三四郎のピュアな一面の描写が描かれていた。まだまだ個人的には難しいと感じてしまった。
14投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログ全体的な感想 現代に多い女性との交際未経験の青年が恋をする話。私も主人公の青年と同い年で、なおかつ交際未経験なので、私にやけに語りかけてくるものがあった。どこか他人事ではない気がした。でも、同い年の時に、この作品に出会えてよかったと思う。でなければ、ここまでのリアリティーは感じられていないだろう。物語の意味を考えれば考えるほど、余韻をより深く感じられるあたりでは、噛めば噛むほど美味しくなるガムのような摩訶不思議な作品であった。 ネットのレビューにもあったが、この作品は恋する女性に対して、好きという言葉を使わずに、彼女への恋慕の情を表している。これに関しては、漱石先生の文才、もとい彼の小説がなぜここまで人気なのかの一端を表していると言えよう。 恋愛したことない青年にはぜひこの作品を読んでほしいところではあるが、いささか文芸の話とかが多いような気がして、もう少し恋への懊悩(おうのう)を書いてほしかった。その点では少し物足りなかったように感じる ネタバレ込みの感想 主人公である三四郎は、池のほとりで出会った美禰子という美しい女性に恋をする。彼女も三四郎のことを好きな面もあったが、どこかどっちつかずなところもあり、結局はみね子は別の人と結婚してしまう。この恋に翻弄される主人公たち(主人公だけを指してるのかもしれないが)のことを、彼らは迷羊(stray sheep)と呼び合い、お互いだけに分かる暗号みたいなものがある。 sheepは、熊本という田舎から出てきたばかりの純朴な主人公にはピッタリの表現だと思うし、迷うという表現で自分たちが恋に翻弄されている様子を表したのも、これまた一興である。最後に森の女という題の美禰子の絵を見た時に、stray sheepと心のなかで呟くシーンは、結婚したみね子への失恋の虚しさをよく表しているシーンだと思う。恋愛したことない同い年の私も、いつか恋愛したときに、このような結果になるのかと一抹の不安にも駆られた 中田敦彦のYouTube大学のサムネに、三四郎は純愛物語と書いてあったが、私はそれより失恋の虚しさや主人公をどこか弄んでいるような気もする美禰子のSっ気の方を強く感じた。もちろん純愛みもあったけどね。 最後に、主人公は東京という地にも振り回されていたような気もした。かといって、熊本にはもう帰りたくないと読み取れるような供述もあるし、居住地という意味での主人公の本当の居場所はないくらい、彼は複雑な思いを抱いていたと思う。
2投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログ「三四郎」では好きという言葉が用いられていない。しかし、三四郎の一挙手一投足によって美禰子への恋心は鮮明に描かれておりそこに夏目漱石の巧みさが描かれていると思う。また、三四郎には夏目漱石の価値観がよく現れていて面白い。
1投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログ著者、夏目漱石(1867~1916)の作品、ブクログ登録は、7冊目になります。 本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。 ---引用開始 熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。 ---引用終了 最近知ったことだが、森鷗外の『青年』(1910年)は、本作・『三四郎』(1908年)に影響されて書かれたとのこと。 ・夏目漱石(1867~1916) ・森鷗外(1862~1922)
42投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ夏目漱石 (1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。 三四郎(新潮文庫) by 夏目漱石 次の日は空想をやめて、這入ると早速本を借りた。然し借り 損なったので、すぐ返した。後から借りた本はむずかし過ぎて読めなかったから又返した。三四郎はこう云う風にして毎日本を八九冊ずつは必ず借りた。尤もたまには少し読んだのもある。三四郎が驚いたのは、どんな本を借りても、きっと誰か一度は眼を通していると云う事実を発見した時であった。それは書中 此処彼処 に見える鉛筆の 痕 で 慥かである。ある時三四郎は念の為め、アフラ、ベーン[* 13] と云う作家の小説を借りてみた。開けるまでは、よもやと思ったが、見るとやはり鉛筆で丁寧にしるしが付けてあった。この時三四郎はこれは到底遣り切れないと思った。ところへ窓の外を楽隊が通ったんで、つい散歩に出る気になって、通りへ出て、とうとう青木堂へ這入った。 今日は白いものを薄く塗っている。けれども本来の地を隠す程に無趣味ではなかった。 濃 かな肉が、程よく色づいて、強い 日光 に 負 げない様に見える上を、極めて薄く粉が吹いている。てらてら 照る顔ではない。 そのうち秋は高くなる。 食慾 は進む。二十三の青年が到底人生に疲れている事が出来ない時節が来た。三四郎は 能 く出る。大学の池の 周囲 も 大分 廻ってみたが、別段の 変 もない。病院の前も何遍となく往復したが普通の人間に 逢うばかりである。又理科大学の穴倉へ行って野々宮君に聞いてみたら、妹はもう病院を出たと云う。玄関で逢った女の事を話そうと思ったが、 先方 が忙しそうなので、つい遠慮して 已めてしまった。今度大久保へ行って 緩くり話せば、名前も素性も大抵は 解る事だから、 焦 かずに引き取った。そうして、ふわふわして 諸方 歩いている。 田端 だの、 道灌山 だの、 染井 の墓地だの、 巣鴨 の監獄だの、 護国寺 だの、──三四郎は 新井 の薬師までも行った。新井の薬師の帰りに、大久保へ出て野々宮君の家へ廻ろうと思ったら、 落合 の 火葬場 の辺で 途 を間違えて、 高田 へ出たので、目白から汽車へ乗って帰った。汽車の中で 見舞 に買った 栗 を一人で散々食った。その余りは 翌日 与次郎が来て、みんな 平 げた。 三四郎はすぐ床へ 這入った。三四郎は勉強家というより 寧ろ 彽徊 家 なので、割合書物を読まない。その代りある 掬 すべき情景に逢うと、何遍もこれを頭の中で 新 にして喜んでいる。その方が命に奥行がある様な気がする。今日も、 何時もなら、神秘的講義の最中に、ぱっと電燈が点く所などを繰返して嬉しがる 筈 だが、母の手紙があるので、まず、それから片付始めた。 第三の世界は 燦 として春の如く 盪 いている。 電 燈 がある。 銀 匙 がある。歓声がある。 笑語 がある。泡立つ 三鞭 の盃がある。そうして凡ての上の冠として美しい 女性 がある。三四郎はその女性の一人に口を 利いた。一人を二遍見た。この世界は三四郎に取って最も深厚な世界である。この世界は鼻の先にある。ただ近づき難い。近づき難い点に 於 て、天外の稲妻と一般である。三四郎は遠くからこの世界を眺めて、不思議に思う。自分がこの世界のどこかへ這入らなければ、その世界のどこかに欠陥が出来る様な気がする。自分はこの世界のどこかの主人公であるべき資格を有しているらしい。それにも 拘わらず、円満の発達を 冀うべき筈のこの世界が 却って自らを束縛して、自分が自由に 出入 すべき通路を 塞いでいる。三四郎にはこれが不思議であった。 三四郎は床のなかで、この三つの世界を並べて、互に比較してみた。次にこの三つの世界を 搔 き混ぜて、その中から一つの結果を得た。──要するに、国から母を呼び寄せて、美しい細君を迎えて、そうして身を学問に 委ねるに越した事はない。 それは、自分の兄の野々宮が好きか 嫌 かと云う質問であった。一寸聞くとまるで頑是ない子供の云いそうな事であるが、よし子の意味はもう少し深い所にあった。研究心の強い学問好きの人は、万事を研究する気で見るから、情愛が薄くなる訳である。人情で物をみると、 凡てが好き嫌いの二つになる。研究する気なぞが起るものではない。自分の兄は理学者だものだから、自分を研究して 不可 ない。自分を研究すればする程、自分を可愛がる度は減るのだから、妹に対して不親切になる。けれども、あの位研究好きの兄が、この位自分を可愛がってくれるのだから、それを思うと、兄は日本中で一番 好い人に違ないと云う結論であった。 迷える子 という言葉は解った様でもある。又解らない様でもある。解る解らないはこの言葉の意味よりも、寧ろこの言葉を使った女の意味である。三四郎はいたずらに女の顔を眺めて黙っていた。すると女は急に 真面目 になった。 「私そんなに生意気に見えますか」 その調子には弁解の心持がある。三四郎は意外の感に打たれた。今までは霧の中にいた。霧が晴れれば好いと思っていた。この言葉で霧が晴れた。 明瞭 な女が出て来た。晴れたのが恨めしい気がする。 「先生は里見の御嬢さんを乱暴だと云ったね」 「うん。先生は勝手な事をいう人だから、時と場合によると何でも云う。第一先生が女を評するのが滑稽だ。先生の女に 於 る知識は恐らく 零 だろう。ラッヴをした事がないものに女が分るものか」 「先生はそれで可いとして、君は先生の説に賛成したじゃないか」 「うん乱暴だと云った。何故」 「どう云う所を乱暴と云うのか」 「どう云う所も、こう云う所もありゃしない。現代の 女性 はみんな乱暴に極ってる。あの女ばかりじゃない」 「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が云った。 「恐ろしいものだ、僕も知っている」と三四郎も云った。すると与次郎が大きな声で笑い出した。静かな夜の中で大変高く聞える。 「知りもしない癖に。知りもしない癖に」 三四郎は熊本で赤酒ばかり飲んでいた。赤酒というのは、所で出来る下等な酒である。熊本の学生はみんな赤酒を 呑む。それが当然と心得ている。たまたま飲食店へ上がれば牛肉屋である。その牛肉屋の 牛 が馬肉かも知れないという嫌疑がある。学生は皿に盛った肉を 手 攫みにして、座敷の壁へ 抛 き付ける。落ちれば牛肉で、 貼付 けば馬肉だという。まるで 呪 みた様な事をしていた。その三四郎に取って、こう云う紳士的な学生 親睦 会 は珍らしい。 悦んで 肉刀 と 肉叉 を動かしていた。その間には 麦酒 をさかんに飲んだ。 三四郎は元来あまり運動好きではない。国に居るとき 兎狩 を二三度した事がある。それから高等学校の 端艇 競漕 のときに旗振の役を勤めた事がある。その時青と赤と間違えて振って大変苦情が出た。尤も決勝の鉄砲を打つ掛りの教授が鉄砲を打ち 損なった。打つには打ったが音がしなかった。これが三四郎の 狼狽 た原因である。それより以来三四郎は運動会へ近づかなかった。 然し今日は上京以来始めての競技会だから是非行って見る積りである。与次郎も是非行ってみろと勧めた。与次郎の云う所によると競技より女の方が見に行く価値があるのだそうだ。女のうちには野々宮さんの妹がいるだろう。野々宮さんの妹と一所に美禰子もいるだろう。 其処 へ行って、 今日 はとか何とか 挨拶 をしてみたい。 三四郎が失望したのは婦人席が別になっていて、普通の人間には近寄れない事であった。それからフロックコートや何か着た偉そうな男が沢山集って、自分が存外幅の利かない様に見えた事であった。新時代の青年を以て自から 居る三四郎は少し小さくなっていた。それでも人と人の間から婦人席の方を見渡す事は忘れなかった。横からだから能く見えないが、此処はさすがに奇麗である。悉く着飾っている。その上遠距離だから顔がみんな美しい。その代り誰が目立って美しいという事もない。 只 総体が総体として美しい。女が男を征服する色である。甲の女が乙の女に打ち勝つ色ではなかった。そこで三四郎は又失望した。然し注意したら、何処かにいるだろうと思って、能く見渡すと、果して前列の一番柵に近い所に二人並んでいた。 絵は無論仕上っていないものだろう。けれども 何処 も 彼処 も万遍なく絵の具が塗ってあるから、 素人 の三四郎が見ると、中々立派である。 旨いか 無味 いか無論分らない。技巧の批評の出来ない三四郎には、ただ技巧の齎す感じだけがある。それすら、経験がないから、 頗る 正鵠 を失しているらしい。芸術の影響に全然 無頓着 な人間でないと自らを証拠立てるだけでも三四郎は風流人である。 三四郎が見ると、この画は一体にぱっとしている。何だか一面に 粉 が吹いて、 光沢 のない 日光 に当った様に思われる。影の所でも黒くはない。 寧ろ薄い紫が 射している。三四郎はこの画を見て、何となく軽快な感じがした。浮いた調子は 猪牙 船 に乗った心持がある。それでも何処か落ち付いている。 剣呑 でない。 苦 った所、渋った所、毒々しい所は無論ない。三四郎は原口さんらしい画だと思った。すると原口さんは無雑作に 画筆 を使いながら、こんな事を云う。 「それに表情と云ったって」と原口さんが又始めた。「 画工 はね、心を描くんじゃない。心が外へ 見世 を出している所を描くんだから、見世さえ手落なく観察すれば、 身代 は 自ら分るものと、まあ、そうして置くんだね。見世で 窺えない身代は画工の担任区域以外と 諦めべきものだよ。だから我々は肉ばかり描いている。どんな肉を描いたって、霊が 籠らなければ、死肉だから、画として通用しないだけだ。そこでこの里見さんの眼もね。里見さんの心を写す積りで描いているんじゃない。ただ眼として描いている。この眼が気に入ったから描いている。この眼の 恰好 だの、 二重瞼 の影だの、 眸 の深さだの、何でも僕に見える所だけを残りなく描いて行く。すると偶然の結果として、一種の表情が出て来る。もし出て来なければ、僕の色の出し具合が悪かったか、恰好の取り方が間違っていたか、 何方 かになる。現にあの色あの形そのものが一種の表情なんだから仕方がない」 その代り 台詞 は日本語である。西洋語を日本語に訳した日本語である。口調には抑揚がある。節奏もある。ある所は能弁過ぎると思われる位 流暢 に出る。文章も立派である。それでいて、気が乗らない。三四郎はハムレットがもう少し日本人じみた事を云ってくれれば 好いと思った。 御 母さん、それじゃ 御 父さんに済まないじゃありませんかと云いそうな所で、急にアポロ[* 59] などを引合に出して、 呑気 に 遣ってしまう。それでいて顔付は親子とも泣き出しそうである。然し三四郎はこの矛盾をただ 朧気 に感じたのみである。決してつまらないと思い切る程の勇気は出なかった。 「何故 と云うに。 二十 前後の同じ年の 男女 を二人並べてみろ。女の方が万事 上手 だあね。男は馬鹿にされるばかりだ。女だって、自分の 軽蔑 する男の所へ嫁に 行く気は出ないやね。 尤も自分が世界で一番偉いと思ってる女は例外だ。軽蔑する所へ行かなければ独身で暮すより外に方法はないんだから。よく金持の娘や何かにそんなのがあるじゃないか、望んで嫁に来て置きながら、亭主を軽蔑しているのが。美禰子さんはそれよりずっと偉い。その代り、夫として尊敬の出来ない人の所へは始から行く気はないんだから、相手になるものはその気でいなくっちゃ不可ない。そう云う点で君だの僕だのは、あの女の夫になる資格はないんだよ」 『三四郎』は、明治四十一年に、朝日新聞に連載された。これは、漱石が明治三十八年に『 吾輩 は猫である』や『 倫敦 塔』(『 漾虚 集』に収録) を書いてから、わずか三年後である。この間に、彼が書いた諸作品の多様性は、量的にも質的にも 瞠目 すべきものがある。文体はいうまでもないが、ジャンルとしてみると、たとえば、『猫』はサタイアであり、『漾虚集』はロマンスである。それらは、〝小説〟(十九世紀的な小説) とは異質な、またそれに先行するようなジャンルである。
0投稿日: 2024.12.19
powered by ブクログ物語について大きな展開や事件があるものではなく、淡々とした日常を描いた写生文ですが読後感がかなり好きです。多分キャラクターが三四郎を含めてみんないい味を出しているのかなと思います。 2/7再読✅ やっぱり最高です〜〜〜〜〜読んだ後はなんだかゆっくりのんびりいい心地の余韻に浸れます。12のラスト〜本編ラストにかけてが最高に好きです。 うまく言葉にできませんが、"〜"な気分になります。
3投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログ「名作」系の小説は8割読み進めるまで面白くならない、というのがぼくの持論だが、まさにそのタイプの作品だった。 三四郎の等身大な日常がひたすら描かれるばかりで、明確なタテ軸もなく話があっちに行ったりこっちに行ったり。それでも興味を失わずに読み通せたのは、ひとえに漱石の文章の美しさゆえ。三四郎が目で見た光景や頭の中で考えたことを実況中継のように動的に描き出す筆致は、当然ながらやっぱり上手い。
0投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログ#読了 夏目漱石『三四郎』 大学生の青春がこれでもかと詰め込まれた傑作です。それにしても文体が難しかった…知らない言葉が多くて辞書を引きながら頑張った。長編なのに2週間で読み切りました。ありがとう旅行。ありがとう移動時間。 来週は『それから』を読む予定です。 #読書好きさんと繋がりたい #2024 #2024年12月
0投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログ祖父は明治、父は大正、私は昭和生まれ。 学生時代は明治の文学がまだあまり違和感なく読めたのかもしれない。 その頃、『こころ』をきっかけに夏目漱石作品をいくつか読んだ。 なぜだろうか。何十年かぶりに『三四郎』が読みたくなって手に取った。正直「ストレーシープ」という言葉しか覚えてなかったが、なかなかどうしてつかみから面白い。 「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」のエピソード。何か自分が言われているような錯覚に陥った。苦笑。 田舎から都会に出たものにとって全てが新鮮で気後れを伴う。そのうえ、美禰子に翻弄されて、三四郎は一歩が踏み出せない。 逡巡しているうちに自分の周囲が変わっていくことって今でもありそうな気がする。 久しぶりの漱石読書、味わいがあった。
69投稿日: 2024.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
田舎から出てきた俺に彼女なんてできるはずがない! ラノベ風にすれば、こんなタイトルだろうか。 夏目漱石の前期三部作と言われる作品の中でも第1作目。 諸々の解説では、前期三部作の第2作目「それから」以降重厚なテーマを扱うようになった漱石だが、「三四郎」は「坊ちゃん」の系譜に属する青春小説であると説明される。 漱石だからもっと深いテーマがあるのかもしれないが、そんな読み方ができない私は、ラノベラブコメ的な読み方になる。 三四郎は美禰子とくっつくのか?どこでアクションかけるのか?その興味に引っ張られて読了した。 美禰子は、明治後期の自我が目覚めた女性として描かれ、三四郎を誘惑しつつ恋の駆け引きを楽しんでいるかのように見えていたが、最後は家が決めた婚約者と結婚していく。 三四郎が何か動いていれば結論は変わったのだろうか。 しかし、与次郎に言われたように、年上の男と年下の女がくっついていく明治の男女観から脱しきれなかったのだろうか。 それとも、冒頭の女に言われた通り、ただ単に余っ程度胸がないだけだったのか。
3投稿日: 2024.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ストレイシープ… 人が何をしたのかとか、状況の描写がとても多く、心情の動きみたいなものについて触れられてる部分が少なく、解説を見て当時夏目漱石はそういう書き方をしてたんだと納得。三四郎が美穪子をどうして好きになったのかとかそういう描写はなく、ただ人と人と話したこと、周りがどんな状況であったか、三四郎がどう反応したかとかが淡々と、詳しく書いてある。 三四郎は東京帝国大学に上京までして勉学に励むのに何事も受け身でもったいないなぁと思ってしまった。かと思えば、口数も少なくて自分の意見を言語化することも苦手なようだし、度胸もないし、自分のそんな性格をわかって最初上京した時に不安になったのかなと。 彼に学問を究められるか?その後が気になるなぁ。
0投稿日: 2024.09.11
powered by ブクログ・汽車の窓からごみをポイ捨てする描写があってびっくりした。昔は普通のことだったのか? ・与次郎のキャラいいな。身近にいたらなんやかんや楽しそう。
0投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログ109冊目『三四郎』(夏目漱石 著、1948年10月 初版、1986年2月 改版、新潮社) 明治41(1908)年に発表。夏目漱石の前期三部作、その第一部となる青春小説の金字塔。 110年以上前に書かれた古典であるが、その内容は現代に生きる我々にとっても非常に身に覚えがあるもの。青年期に感じる自由と劣等感、恋愛の煌めきと失意が瑞々しく描かれている。 美禰子は非常に謎に包まれており、その事が物語の理解を妨げる。本作の真髄に触れるためには何度も読み返す必要がありそうだ。 〈迷子の英訳を知っていらしって〉
13投稿日: 2024.08.12
powered by ブクログ三四郎を取り巻く人々が個性的で面白い。そんな人々に影響されながら、成長していく?馴染んでいく三四郎の物語。 「もっと身を入れて学業に励めよ」と国の母目線で思ってしまったのは、私だけかな。
25投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
惹きつけられ、何故か夢中で読んだ作品だった。本の前から動けなくなる。 三四郎の失恋が切ない。上手く言語化できないが、心が動く作品。
1投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
夏目漱石の青春小説。坊っちゃんとは反対の構図(都会から田舎、田舎から都会)で描かれる、学生時代の話。 三四郎と周りを取り囲む人々(世間に駆けて騒がしい与次郎、少し浮世離れした先生たち、三四郎が恋をする女性)が、三四郎の視点で描かれる。 俗世間と精神世界、その中での恋愛感情を、明治の雰囲気と共に「一種の感じ」を持たせてくれる本。 好きなフレーズ 「今の思想界にいてその動揺の激しい有様を目撃しながら、考えのあるものが知らん顔をしていられるものか。実際今日の文権は全く吾々青年の手にあるんだから、一言でも半句でと進んで言えるだけ言わなけりゃ損じゃないか。〜進んで自分からこの機運を拵えあげなくちや、生きてる甲斐はない。〜新しい我々の所謂文学は、人生そのものの大反射だ。文学の新規運は日本全社会の活動に影響しなければならない。また現にしつつある。彼らが昼寝をして夢を見ている間に、何時か影響しつつある。恐ろしいものだ。」(与次郎)
1投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ夏目漱石の三部作の1作目ということで読んでみた。 熊本の高等学校を卒業し、大学進学のため上京した三四郎が、都会の女性、美禰子にひかれつつも成就しない三四郎の淡い恋心が描かれている。 当時の慣習、大学の様子なども知ることができる。
36投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログ性欲と承認欲求からくる恋愛の駆け引き。つまらないなあと思ってしまう。美禰子がリアリティにかけていて、ステレオタイプな魔性の女という感じ。三四郎も恰好をつけていて、本音を隠している感じが面倒くさいなと思う。ストレイシープというような言葉で己の葛藤をごまかしていると思う。満たされない性欲と承認欲求に悶えるなら格好つけないで悶えればいい。自分に嘘をつくことは面白いのだが、嘘をついたままでいるから面白くない。 「女は恐ろしいものだよ」とか本当やめてくれよと思う。なんだよ、その根拠のない上から目線。自分の洞察の浅さを棚にあげて、わからないならわからないということを認めろやと思う。
3投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログまぁまぁ面白い。これが当時の大学生の姿だとすれば、だいぶ日本はレベル下がってるよな。美禰子の謎めいたキャラがなかなか読ませる。
1投稿日: 2024.04.05
powered by ブクログ初めて夏目漱石の本を読んだ。明治大正の価値観と今の価値観との違いがわからないと物語を楽しめないんだろうなと感じた。その時代背景を知ってるから理解できることもあるんだと思うから、引き続きその後の作品も読んでみたいと思った。またその同年代の別の作品も読んでみたいと感じた。
1投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ2024年 1作目は三四郎 こんなにも純粋で愛おしい23歳はいるのかってくらい何とも言えない主人公。生なところとか、与次郎とのやりとり、悩んでたりする場面が印象的 田舎から出てきて、都会にもまれる様子がおかしくも時に切ない 美禰子との関係を応援したい気持ちもあるけど、美禰子からしたら大分三四郎は頼りないのかな… 美禰子目線で次読んだらまた違った三四郎を感じれそう
1投稿日: 2024.01.15
powered by ブクログ明治の切ない恋愛話。 当時の九州片田舎と東京は今以上に格差があり上京する三四郎は戸惑いがあったろう。 列車で知り合った謎の女性の振る舞いへの冷静な対処など少し背伸びする様子が伺えた。 様々な出会いに対し終始受け身の三四郎と、常に動き回りトラブルの中心のような与次郎はとても対照的で、だからこそ三四郎の「静」が強調されているように感じた。 そんな受動的な三四郎が一目惚れのように惹かれる美彌子に対するポジティブさや様々な嫉妬はいじらしい。 三四郎の気持ちを知りつつ口数少なく切り返す様は小悪魔そのもの。 実らぬ恋の末、その美彌子を描いた絵画を見に行く三四郎の気持ちは幾ばくか。 美彌子とのキーワード、ストレイシープが唯一の救いのようだ。
13投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ明治時代の青春小説。 時代は変われど、人が恋をしたり悩んだり友情を育んだりする心の動きは変わらない。 九州から大学入学のために東京へ出てきた三四郎は都会のさまに圧倒されながらも、その地で出会った人たちとの交友の中で東京での居場所を見つけていく。 三四郎や美禰子の気持ちは、繊細な所作に丁寧に描き出されていたり、自然の事物になぞらえられたりして、直接的な表現よりも心に残るものがあった。 美禰子が三四郎に言った「ストレイ シープ」。三四郎に対してのみ使われていたものかと思っていたが、美禰子自身もまた「ストレイ シープ」であった。
16投稿日: 2023.12.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
構成がしっかりしてて楽しかったです。 一通り読み終わり、付箋箇所を中心に読み返しただけでも、色んな伏線があったことに気付けて面白いです。 読んだ方はお分かりの通り、美禰子のああいった行動で三四郎の恋は悲しい結末を辿るわけですが、150p付近ではこの結末の予見めいたことを与次郎が言っていて、要約すると「女はみんな乱暴、それはイブセンに出てくる人物のようだ」「しかし、腹の中がイブセンのようであって、表立って自由な行動はとらない」「どんな社会だって陥欠のない社会はない」とあります。 自由な行動ゆえに三四郎の心を惑わす天真爛漫な美禰子が、社会の慣習に逆行することなく結婚の話をすんなり受け容れ、三四郎の心を切り裂くストーリーを予見しているかのようです。 そしてまた、この予見を与次郎が話すことによって、終盤語られる与次郎への広田先生評「親切に加え要領がいいが、終局にいくとめちゃめちゃになる」につながっている所が趣があります。 こういった視点で見ると無駄がなく手堅い構成は他にもいくつか散見され、気づいていない箇所も沢山あるんだろうなと思いました。 また個人的好きなのは漱石の"三四郎"という人物の描き方です。感情的な言動/行動をする人物として表立っては書かれていないと思うんですが、様々な出来事を通してコロコロと心情が変わるところをみると、どこにでもいる若い青年/青く田舎ものの九州男児の感があって可愛い所があります。 例えば、東京に来たての時は故郷からの母の手紙を疎ましく読んでいたのに、東京がつまらなくなったあるときには嬉しそうに母の手紙を読んでいる。こういった、人物の心の変遷をいちいち説明せずに、行動や言動を通して上手く感じさせる、あるいは匂わせるところにも漱石の凄さが詰まっているなと感じます。
3投稿日: 2023.09.13
powered by ブクログ三四郎が好きな人の態度にやきもきしたり、軽薄な友人に翻弄されたり、不慣れな都会で手紙の中に母を感じたり…古風で難解な言い回しが多用されるため、高校以前なら嫌煙したかもしれないが、20手前となった今、するすると読めた。 夏目漱石の作品は、この描写が果たして何を表しているのか、完全に分かる訳では無いが、何度も読み返してみたいような感じがする。もっと年を重ねればわかるようになるだろうか。 解説は…解説の小難しい言葉のせいで、分かりかけていたものを手放してしまったような気がする…もっと素人を気遣ってくれ…
6投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログ夏目漱石の初期三部作ということで読んでみた。 もちろん現代とは時代が違うし、文体やユーモア、文学そのものに時代を感じ、途中読むのに疲れを感じたが、それなりに簡潔とした構成で無事最後まで読み通すことができた。個人的には「美禰子」の心理描写をもう少し欲していたが、あくまで主人公の三四郎とそれを取り巻く人間たちの滑稽談が多かった。吾輩は猫である寄りは面白さはなかったが、新しい文学の時代を切り開いた一冊ということで、青春純文学?の一冊として、いつの日かまた読むことになるだろう。「それから」と「門」にも期待している。
0投稿日: 2023.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三四郎の青春時代の不安や戸惑いが描かれる。 熊本から東京の大学に入学した三四郎は孤独を感じていたが、理系男子の野々宮先輩や与次郎、広田先生に出会い、少し明るさを取り戻す。 そんな中で、都会育ちで知的な美禰子と出会い、強く惹かれていく。 美禰子は野々宮先輩と付き合っているのかと思えば、三四郎に好意があるような態度もみられる。そんな彼女に三四郎は翻弄されてしまう。 いやしかし、乙女心って難しいなぁ。 私も三四郎と同じく鈍感な方なので、この美禰子という女性の態度はよくわからなかった。 美禰子は三四郎に野々宮先輩のことを「責任を逃れたがる人だから、丁度好いでしょう」という場面がある。 もしかしたら、野々宮先輩に好意を抱きながら煮え切らない態度にやきもきして、そんな彼に嫉妬させるために三四郎に近づいたのかもしれないし、純粋に三四郎に惹かれ始めていたのかもしれない。 当時は結婚相手が勝手に決められてしまったり、女性から想いを告げることなど難しい時代。 だから「ストレイシープ(迷える子)」という言葉でなんとか伝えようとしていたのかな。 迷える子とは三四郎のことだと思って読んでいたが、振り返ると美禰子自身のことだったのかもなぁ。 それにしても、昔にも草食男子っていたんだね。
53投稿日: 2023.07.06
powered by ブクログ久々に読み直した。軽快かつ半ば拍子抜けするような、三四郎視点の描写が、読む身としては心地よい。内容も思春期や青春って昔も今もこんな感じだよね!と納得できる。総じて気持ちの良い作品。
1投稿日: 2023.07.03
powered by ブクログ3回ほど挫折してようやく読了。 最後まで読むとこれは面白いと思えたけど、 いかんせん自分には読みづらい文章だった。 与次郎や広田先生との会話も物語の重要な要素なのに、文語体の古めかしい表現に馴染めなかった。翻訳物には新訳があるのだから、現代の言葉に置き換えられないものかと本気で思った。 三四郎の淡い恋物語としては、若かりし頃の同じような経験を思い出してこそばゆい思いがした。 若く美しい美穪子は三四郎をどう思っていたのでしょうね?三四郎目線では、美穪子に翻弄されたように思えるけど、最後に美穪子が残した言葉の意味を知ると美穪子目線の別の物語が浮かんできます。 与次郎のようなお節介者がいたからこそ美穪子との淡い恋を自覚できるようになったとも言える。 野々宮が結婚式の招待状を破り捨てたり、ちょっとした表現で登場人物の関係性を浮かび上がらせたり上手いなと思った。 いつか機会があればもう一度読んでみたい。
10投稿日: 2023.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
古い文体に初めは慣れず、なんにも起こらない話だな〜と思って我慢して読んでいたけれど、やがて文章の端々にユーモアが散りばめられていることに気づいて面白くなってきた。美禰子さんとの関係は三四郎が最後まで情けない感じだった。ドキドキしながら読んでおり、ラストの急展開に悲しくなった。美禰子は無意識では三四郎に惹かれていたのだという解説を読んでなるほどなと思った。偽善家と露悪家の話が面白かった。
1投稿日: 2023.06.04
powered by ブクログ高校時代あたりに長期休みの課題で読まされた。何が何だかわからなかった。50歳を超えて再読した。わからないのは相変わらずだが、そのわからなさやわからないままに事態が流れて行くのが、良いと思った
0投稿日: 2023.05.03
powered by ブクログずーっと読みたかった本を読めた。 三四郎と一緒に明治末期の青春を過ごして、美禰子に恋をして、そして淡く失恋した。 こういう昔の純文学の醍醐味って、筋を楽しむ云々よりもそこに漠然とある「美しさ」を味わえることなんだろうなぁと思う。 「何も起こらない」小説がここまで時代を超えて読まれているのは、間違いなく漱石の文章や描写力が色んな人に愛されている証拠。 最後のシーンは痺れたなぁ
4投稿日: 2023.04.25
powered by ブクログ私の稚拙な脳みそだと難しすぎました。 夏目漱石の小説の中では、読みやすい印象。 田舎から出てきた三四郎と都会っ子の与次郎の対比と、さらに女を含む関係性は掘ったら面白そう。 もう一周します。
3投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ熊本から東京に出てきた一青年の青春物語。 明治の高等遊民を描く三部作(それから、門)の第一作。(2010.8.12)
0投稿日: 2023.03.11
powered by ブクログなかなかお洒落な雰囲気と文体で、喫茶店で読んでいると心地が良かった。 「それから」と似たような作品と聞いていたので、ずっと最後は野々宮さんから美禰子を寝取るんだと思っていた。まさか、美禰子さんとは特に付き合わず、逆によく分からない男に取られるとは、、、 エロ同人風に解釈すると、BSS(僕の方が先に好きだったのに)的展開かな、 最後の絵に対する感想が、登場人物のキャラを表しているようで、好き。
0投稿日: 2023.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私も三四郎のように、全てを見透かされたような目でじっと見られながら、「私のこと本当に好きなの? ただ触りたいから好きっていってるだけじゃないの?」と言われたことがある。そのときは、動揺を悟られないように目を合わせたまま「違うよ」と否定した。「そうだよ」なんて、冗談でも言えないくらい戦慄した雰囲気で、彼女が恐ろしかったからだ。私の下心なんてお見通しだっただろう。普段のんびりとした雰囲気の人だったから余計に怖かった。私は自分が思っていた以上にあけすけで、彼女は自分がおもっていた以上に鋭かった。自分への過信と女性への侮りは破綻の始まりなのだ。
0投稿日: 2023.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三四郎は、内向的である一方で、他者との関係における理想の自分の像を持っている。 上京し、自分とは対照的な与次郎や広田先生をはじめとする個性的な人々と触れ合い、都会にかぶれ、染まりきれずに自分を見失い、孤独を感じる。そんな中で三四郎は「理想の自分像」を肥大化させていく。熊本の小さな田舎から飛び出たことによる、心の動揺は大きかったようだ。しかしながら、そのきっかけは名古屋行きの汽車で出会った女に言われた言葉であったのだろうと感じる。 潜在的な意識の中で三四郎は、作品を通して、女の言葉を引き摺って生きているようだった。その後に出会う美禰子に対する憧れを含む複雑な感情は、美禰子の都会的な面だけを感じ取っていたのではないと思う。 結局のところ、三四郎は人の流れに流され、都会に埋もれながらも必死に踠き、「自己」を探し求めていたのではないだろうか。それは彼にとって初めての大仕事であり、歴史史上初めて東アジア文化圏から脱し、欧米化を果たそうとする当時の日本と重なる点がある。 夏目漱石自身の留学時の心境を映し出してもいるのだろうか、非常に繊細な描写が目立つ。 作中、美禰子だけでなく、誰の眼にも三四郎は、「ストレイ・シープ」に写っていたに違いない。
3投稿日: 2023.01.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
漱石の小説は登場人物のキャラが立っていて好き。三四郎のウブさと与次郎の空回り感が学生って感じがした。男子学生のあり方は今とあまり変わらないような気がする。 広田先生の夢の話がとても好きだった。 20年前に出会った少女がその頃のままの姿で現れたので、あなたはそのままの姿で自分は歳をとった姿なのだろうと聞いた。少女は「私はあなたに出会った時の姿が1番好きだったらこの姿でいる。あなたはその時よりももっと美しい方へ移りたがるから」だと言う。自分が「あなたは画」だと言うと、少女は「あなたは詩」だと言う。 このシーンは最後の美禰子の絵と繋がっているようにもとれた。美禰子は三四郎と出会った時の姿を描いてもらっていた。
0投稿日: 2022.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ストレイシープ羊 お姉さんに恋しても、三四郎が若くて鈍いせいで発展してなかった。これからどんどん大人になっていくんだろうなぁ
0投稿日: 2022.12.26
powered by ブクログ学生時代以来くらいに読んだが、大人になってもやはり面白く感じた。独特のユーモアが散りばめられた文章で、読中は心地よく感じられる。また、キャラクターも個性的で魅力的。特に美禰子のミステリアスさには何か惹きつけられ、ふと気づくと彼女のことを考えてしまう程に印象的。
0投稿日: 2022.12.16
powered by ブクログ迷羊(ストレイシープ) ダーダー・ファブラ 三四郎と与次郎 228p 三四郎は寒いのを我慢して、しばらくこの赤いものを見詰めていた。その時三四郎の頭には運命がありありと赤く映った。 23p 「日本より頭の中の方が広いでしょう」 この言葉を聞いた時、三四郎は確実に熊本を出たような心持がした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯であったと悟った。
0投稿日: 2022.11.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物凄くお洒落な恋愛小説。 最後の絵(女)に対するそれぞれの近寄り方が象徴的で、謎解きの答え合わせみたいでスッキリ。 最終的に美人なら誰でもいいような男と美禰子が結婚することになったあまりの不遇に、小説だからこそ「どうしてそんなに鈍いんだ三四郎!!」と胸倉掴んで揺さぶりたくなったけど、心根が優しくて繊細で、善良な三四郎だからこそ、自分を律して真実に気付けないってこともあるのかなあ。こういう人、時代も場所も越えてたくさん居そう。
3投稿日: 2022.10.28
powered by ブクログ(Mixiより, 2010年) 軽やかな質感だけど、現実感と虚無感を行き来するようなこの雰囲気に俄然吸い込まれてしまう中篇。物語の推進力は大学に入学し、新生活をはじめた三四郎の恋だが、それに添えられる話が現実的でもあり、一種幻想的でもあり、どれも味わい深い。「・・・あとは散漫に美禰子の事が頭に浮かんで来る。美禰子の顔や手や、・・・(中略)・・・色々に出て来る。三四郎は本来からこんな男である。(中略)先方がどう出るだろうという事ばかり想像する。自分が、こんな顔をして、こんな事を、こんな声で云って遣ろうなどとは決して考えない。しかも会見が済むと後からきっとその方を考える。そうして後悔する。」(三四郎)「馬鹿だなあ、あんな女を思って。思ったって仕方ないよ。第一、君と同い年じゃないか。同年位の男に惚れるのは昔の事だ。」(与次郎)など名シーン、名台詞の連発。美禰子と人のにぎわいから抜け出して、空を眺めるシーンが大好き。何度も読んでます。
2投稿日: 2022.10.25
powered by ブクログ「三四郎」は、明治41年(1908年)朝日新聞に連載された小説。 翌年には春陽堂から発行されています。 続編の「それから」、「門」へと続く三部作の一作目です。 「三四郎」以降の作品は、ユーモラスなものが排除され憂鬱さが前面に出てきます・・・。 夏目漱石の人生を知ると作品の生い立ちに連動していることがよくわかります。 熊本から大学進学で上京した三四郎。 彼は、自分の周りには「郷里」「学問」「恋愛」の三つの世界があることに気が付きます。 どこに向かうべきか。 揺れ動く心の様を漱石は描いていきます。
0投稿日: 2022.10.21
powered by ブクログ一番いいなと思った表現は 「青春の血が暖かすぎる」 夏目漱石から出てくる言語表現に美しさを感じずにはいられない物語。 目まぐるしい毎日と戦う三四郎はとにかく純粋すぎてかわいい。 美禰子さんをみていると、当時の女性の息苦しさの規模がよくわかる。 また歳をとってから読みたい一冊です。
1投稿日: 2022.10.06
powered by ブクログ大人になってから夏目漱石をちゃんと読んだ。 いつの時代に読んでも面白いから名作と呼ばれているのだなと納得した。 三四郎は熊本から東京大学へ通うべく上京するのだが、この時代のエリートの最先端のお話。三四郎が純粋で真っ直ぐで、モダンガールの美禰子に恋をする。 大学生のノリというか文化的なものは今も昔もあまり変わらないものだ。 当時の文化や考え方を知れて興味深かった。
0投稿日: 2022.09.25
powered by ブクログ熊本から大学に入学するため東京に来た三四郎の話。夏目漱石の作品の中でも、何度も読んでしまう作品です。学生の頃に読んだときと、社会人になってから読んだときの気になる部分や面白い部分が違ってくるのが、また読みたくなる要因かもしれません。 トレンディドラマのような三四郎と美禰子の関係。お互い好きだと思うのに、伝えられないし、相手の行動から好意を寄せていることを読み落としているし。心情描写が非常に面白いです。また漱石の作品に出てくる女性の描写は興味深いです。 恋愛模様だけでなく、三四郎が生きた時代の日本、東京、日本の学生たちの生活はこんな感じなんだというのも垣間見れて三四郎とともにこの時代の青春を味わえます。
8投稿日: 2022.09.10
powered by ブクログ九州から東大に上京してきた三四郎とそれを取り巻く人たちの話。都会的な女性美禰子に惹かれるのだが距離が縮まらないところはとてももどかしい。優しさなのか度胸の無さなのか、ストレイシープは三四郎そのもの、矛盾、女は恐ろしい、登場人物の描き方が上手いと感じた。
0投稿日: 2022.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三四郎の「田舎で送ってきた人生」「俗世から離れたアカデミックな人生」「華やかな人生」と三つの世界でアイデンティティを問い直している様子が俯瞰的に描かれており、大学生特有の悩みは200年前から変わらないのだと考えた。 結局三四郎は「度胸のない人」だったのだろうか。
0投稿日: 2022.07.30
powered by ブクログ猫や坊つちやんに比べるとつまらない 描写にうまいところはあるが、肝腎のストーリーは退屈。中途の、熊本の牛肉屋で学生が肉を壁に叩きつけるといふ所だけが法螺のやうで唯一おもしろかった。それ以外は結局なんだったのかわからず、ただだらだらと書いてゐる。やはり漱石でおもしろいのは吾輩は猫であると坊つちやん、夢十夜くらゐなもので、小谷野敦は『夏目漱石を江戸から読む』で、三四郎は美禰子と出会ふまへから江戸文藝的な女性嫌悪観念を抱いてゐると指摘してゐて、なるほどと思った。
0投稿日: 2022.07.27
powered by ブクログ三四郎は真面目と言うか初々しいというか、田舎臭すぎないし、都会にかぶれてないし、流されてるわけじゃないと思うけどちょっと足元覚束無い青年 これから先彼は何をしたいんだろうな 「矛盾だ」って呟いたところの形が良くってなんか好き それとお母さん想いなところも好感が持てる
0投稿日: 2022.07.24
powered by ブクログ恋愛小説かと思ったら違った 確かにそういった要素もあるのだけれど、それよりも主人公を取り巻く人間の浅ましさやそれを見た主人公のシニカルさをうまく表現したもののように思った 物語自体は正直冗長さを感じたが、ストーリー性よりも人間描写を重視したのかなとも思った 繊細な漱石らしい作品だと思った
0投稿日: 2022.06.01
powered by ブクログ田舎から上京してきた、奥手で素朴な青年(三四郎)が都会の先進的な女性(美禰子)相手に初恋を経験する物語。 時代背景は、日露戦争後の明治後期、欧米の文化がどしどし入ってきて、個人主義の考えが広まりつつある時代。 (このイデオロギーによる人の考えの変遷については、作中で広田先生が面白く解釈している) 三四郎の視点からしか描かれていないので、美禰子の心情は、三四郎目線で汲み取るしかないけど、まあ、初恋は実らないものだよね、の典型的なパターンだと思う。この通説が漱石の時代からあったのかは不明だけど。美禰子がほどよい色気漂ういい女すぎて、ウブな三四郎には早すぎる感がひしひしと伝わってきます。
0投稿日: 2022.05.27
powered by ブクログ美術、哲学、物理学など、漱石がいかに博識か、さらには漱石が捉える景色や心象の描写がいかに的確で多様な表現でなされているかにただ驚かされた。今更なに言ってんのって感じだけど。 ストーリーとしては、いろいろあった結果、何も変わってない。広田先生が偉くなるわけでも、三四郎が美禰子または野々宮妹と結婚するというわけでもない。何も変わらないけれど、三四郎の(美禰子もだと思うけど)ストレイシープな心情が伝わってくる。現代よりもクローズドされた恋愛模様の中での心情の探りあいにリアリティを感じる。 と、なんかそれっぽいように感想を書いてみたものの、ちゃんと理解できてないだろうな。とりあえず、今読んでも全く色褪せず、おもしろいもんはおもしろいし、クオリティがめっちゃ高いということだけはしっかりと受け止めたい。さすが。
4投稿日: 2022.04.16
powered by ブクログ春に読みたい一冊。 立身出世の大志を抱き、田舎から都会に出てきた学生の青春って、明治時代も現代も、変わらないんだなぁ。 自分の大学時代を思い出し、読後はノスタルジックな気分になります。
0投稿日: 2022.04.05
powered by ブクログこころと比べると物足りなく感じるかもしれない。 内容は少しだけ難しいけど、割と現代と変わらないようなかんじもするし、昔ならではの結末なかんじもする。終わり方好き。 美禰子の心情が終始不思議な雰囲気漂ってた。 与次郎がいいキャラしている。
0投稿日: 2022.03.14
powered by ブクログ自分の価値を理解している女性は、美禰子のような振る舞いをすることがあるように思う。 ただし美禰子はそれをよく認識しつつも強い意志で行なっているわけではなく、心はどうしようもなく迷子になっているのがなんとも憎めないなと感じた。
0投稿日: 2022.02.22
powered by ブクログ昭和55年3月10日 83版 再読 時代は明治後半、九州(出身は福岡、学校は熊本)から大学進学の為上京した小川三四郎の、東京での青春物語。前期三部作の一つ。 当時も大学の講義は面白くなかった様子。コンパのような集まりにも参加する。文化祭に似たような物もある。少し悪めの友人が出来たり、研究室に閉じ籠りがちな研究者も居たりする。文化は変化していても、現在と似たような生活を垣間見る。そんな東京で三四郎は成長していき、淡い恋もする。 若い頃読んだ時は、見えなかった物が見えたりした。又、これも新聞小説であった事も知り、作中で当時の日本の社会批判を登場人物に語らせている事に驚いた。 stray sheep 迷える羊 が頻繁に出てくる。三四郎も明治日本も漱石自身も迷える時代だったのかもしれないですね。
19投稿日: 2022.01.16
powered by ブクログ明治時代という旧時代の因習と新時代の気運が渾然一体となった時代を切り取った青春小説。読了した後に見た、中田のあっちゃんのYouTubeでは明治時代のトレンディドラマと銘打たれていて、なるほどと思った。三四郎をコミカルに演じるあっちゃんの演技力で読みも深まった。正直、一読しただけでは心内描写がふんだんにある三四郎はともかく、美禰子をはじめとする他の登場人物が何を考えているか理解するのは難しかった。 三つの世界を持ち出して、勝手に脳内で国から母を招いて、美しい嫁さんをもらって、学問するなどという大それた妄想をする割には美禰子の気持ち一つわからない三四郎が愛おしい。特に随所で見せる家族愛が人間らしい。 少なくとも人間の見方において漱石自身に最も近いのが広田先生かと。明治時代、日露戦争に勝利し、日英同盟に湧く日本を亡びるねと断じる。愛国心、家族制度と言った伝統が漱石の唱える個人主義と対立する様を風刺的に描く。それでも広田先生を偉大なる暗闇として成功者として描かなかったのは漱石の少しばかりの厭世主義のあらわれだろうか。
9投稿日: 2021.11.02
powered by ブクログこころよりも難しく感じた。何か特別なことが書かれていたわけではないが、昔も今も変わらないのだと感じた。そして様々な人に出会いたいと思った。
0投稿日: 2021.09.13
powered by ブクログ自分にはまだ文学を読むのが難しいと感じたが、当時の学生の生活を想像しながら読み進めることができて面白かった。漱石の他の作品もぜひ読みたいと思った。
0投稿日: 2021.09.09
powered by ブクログ「それから」「門」へと続いていく3部作の1作目。地元九州から上京して東京帝国大学に入学した三四郎のキャンパスライフを描いたもの。与次郎との付き合い、美禰子との恋、広田教授のための運動など、様々なことが起こる度に懊悩する三四郎に注目されたい。
1投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログ「三四郎池」に行ったのは19歳の時、文学散歩だけれども。変哲も無いただの池と記憶している。その時期『三四郎』をしっかり読んでいるが、すっかり内容は忘れたのに、記憶の底から浮かび上がる言葉のあやなす雰囲気。 「偉大な暗闇」 「可哀想だた惚れたってことよ」 「ダーター・ファブラ」(お前について、話が<ある>) 「ハイドリオタフィア」(死生観) 「ストレイシープ、ストレイシープ」(迷える子、迷える羊) 20世紀初頭の学生も、私たちも好んで口にして楽しんだものだ。 純情な田舎青年小川三四郎は帝大の池のほとりで、森を背景に、団扇をかざす里見美禰子に逢って惹きつけられる。美禰子のほうも一目ぼれらしい。無頼な友人佐々木与次郎に迷惑をかけられ、野々宮宗八先輩、その妹野々宮よし子、佐々木与次郎の寄宿先広田萇先生がからんで時は過ぎ行き、青春のゆらめきの中(今から思えばきらめきの中)、三四郎は失恋にいたる、印象深き内容。 古めかしいとはいえ古くはなっていない小説。
2投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログ大人になって、初めてよんでみたがとても良い作品です。 三四郎とみねこのやりとりには、読んでいる私が、やきもきしてしまい、二人の関係がどうなっていくのか、先へさきへと物語にはいりこまされる まだ学生の男子たるものは今でもありそうな消極さであり、甘酸っぱい青春だなぁと。 三四郎を取り巻く登場人物達も、みな人柄がよく、失恋の三四郎のこの後も、沢山の良き人脈にサポートされて大成していくのではなかろうかと、涙のあとに少し晴れやかになる空を思い描けます
0投稿日: 2021.07.18
powered by ブクログ「坊っちゃん」と同様青春小説における登場人物たちの個性あるキャラクターが面白く、主人公が消極的だが愛すべきキャラである。 三四郎が田舎から上京して、戸惑い、周囲に揉まれ、恋愛・失恋を通して成長していく姿が良い。また「坊っちゃん」にはない切ない恋愛感情の描写がとても巧みで素敵と思った。「ストレイシープ(迷羊)」の言葉が三四郎の中でリフレインされるのが更にその効果を増している。 広田先生の「哲学の烟(けむり)」が繰り返し登場するのがとても好き(笑)。
0投稿日: 2021.07.10
powered by ブクログ劇的な何かがある訳ではないんだけど俗世を生きる人間なんだなと自覚した。ストレイシープ迷える子響きがいい。
0投稿日: 2021.06.26
powered by ブクログ舞台は本郷、西片、白山、森川町、そして東京帝国大学。主人公は九州から上京してきた田舎者。読まないではいられない。 良い読了感だった。漱石はこんなに巧く恋愛を書くのか。美禰子の不思議な魅力に、私も三四郎と一緒になってたじろぐばかりだった。 町の描写が優れている。東京っていいな。特に夜がよかった。三四郎はいつも受け身なやつ。私にも与次郎のような友人が欲しいと少し寂しくなった。運命の風を煽る存在が。
0投稿日: 2021.06.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今年の初めにA君に「おもしろいから読んだら良いよ」と言われて読んでいたが、どうしても没入出来ず、挫折し、暫く部屋の端に放っておいたのを、今回再び手に取った。良かった。 今の世と変わらぬ問題が多々見えて、そうなんだと思った。 それにしても文体がすごい。若くして自覚して、これを読んだら堪らないだろうな。 昔の人が書く女性ってのは、どうしてこうも魅力に溢れているのだろうか。 角川文庫版で読んだが、アプリ内で検索しても、出てこなかったので、新潮文庫版で記録。
1投稿日: 2021.06.06
powered by ブクログ<7年という、月日> 100年前も、今も、変わらない部分がたくさんあるなあ、と。 青年ってのはいつも、自意識にすがり生きて、自意識を大切に育てて、自意識に振り回されている。 何かやろうと思い立っても、だらだら過ごすうちに、結局動き出せたのは夕方の4時やったりすること。 そうして、女心が難しい事。 いやあ、分かる。その時は意味が分からんくって、帰ってからその日を振り返って、何度も反復しながら考察した結果「まさか!そうゆう事やったんか…?!」って悶絶したりして、激しく後悔したり。 それで「次こそは…!」とか思うんやけど、やっぱり上手くいかんくて。 でも、『索引』がついていれば… さすがの俺でも… 「おいおい! 三四郎… そりゃ、ストレイシープやわ…」と突っ込んでましたね。 まあ、気付けたとて踏み込む度胸が持てるかは、これまた別の話で。難しいっすね… 詩の味わいと“老齢”を重ねるのは、好きっすね。時間の経過で表情が変化する。良いな。
0投稿日: 2021.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
端的に言うと、“いい大学生“の物語だと思う。高校生の青春のような甘酸っぱさはない。大人のようなドロッとした濃淡のある甘さはない。また、俗物に染まった大学生──今日の多くの大学生のような──というわけでもない。大人への一歩手前の程よい甘さである。無論、これは読み手である私が丁度大学生だからこういう感興を受けたというのは一理あると思う。 美禰子と三四郎の恋愛がこの話の主軸であるが、サブタイトル的な与次郎の物語も非常にコミカルで、騒がしくて、能動的で“いい大学生“だと思う。高校生のように財力が無ければできないし、大人のように時間がなければ出来ない。その2つの不可能を可能にした大学生だから出来る物語である。作中の与次郎は、周りに金銭的に迷惑をかけたり、広田先生を有名にしようとしてカラ回りしたりかなりめんどくさい人間である。しかしながら、そういう騒がしさがあるからこそ人が集まり、結果的に主軸である美禰子と三四郎の物語に辿り着けたのである。 また、敢えて登場人物を「女」や「男」と客観的に記述する表現も個人的に良いなと思った。 他にも美禰子と三四郎の関係、都会と田舎の対比構造など述べたいところはあるが、稚拙な表現力故に上手く言語化出来ないのでここまでにしておこうと思う。それに、そのことは多くの人が述べていることだろうと思う。 漱石先生の特有の明瞭な読みやすい文体であり、伏線の貼り方や物語の展開もわかりやすいから、高校生や大学生の諸君には是非読んで欲しい所存である。
2投稿日: 2021.05.10
powered by ブクログ三四郎と美禰子の関係はまるで back numberの歌詞。 どうも大学生くらいだと 男に振り回される女が今は多いように思う 例にロックだとかストリートだとか 男の子から生まれたカルチャーのほうが 世の中に浸透している けれどこの時代の 男の子の圧倒的翻弄されてる感 たくましくないなあと感じつつも その謙虚さが新鮮に感じたり でも話を読む限り 美禰子には内部的な魅力は感じられず 今でいう「あざとかわいい女」であり こういうオンナの子がいつの時代もモテるのだなと
0投稿日: 2021.04.24
powered by ブクログストーリーに感動するとか、泣ける、笑えるとか際立った印象はないのですが、読後にまだこの世界観に浸っていたいような不思議な感覚に陥って、「それから」も読み始めてしまいました。 一つの事象に関する表現や捉え方について、そんな言い回しがあるのか!といちいち感動してしまう。 時代が違うので、現代の感覚では理解し難い表現もあるものの比較的読みやすいと思います。 登場人物も魅力的。
0投稿日: 2021.04.12
powered by ブクログ国語の教科書以外では初の漱石。 半年程前に観た「中田敦彦のYouTube大学」から興味を持ち、ようやく手に取る。 美彌子、よし子を鮮やかに描写する書き口は圧倒的で、この明治時代からこんなにも色豊かな表現が出来たのだろうかと感嘆。 「髪と日光の触れ合う境の所が菫色に燃えて」 の表現が特に好きだった。 「今の思想界の中心にいて、その動揺のはげしい有様を目撃しながら、考えのある者が知らん顔をしていられるものか。実際今日の文権は全くわれわれ青年の手にあるんだから、一言でも半句でも進んでいえるだけいわなけりゃ損じゃないか。」 「三四郎は切実に生死の問題を考えた事のない男である。考えるには、青春の血が、あまりに暖か過ぎる。眼の前には眉を焦すほどな大きな火が燃えている。その感じが、真の自分である。」 日英同盟成立時、漱石はロンドンに留学中。この同盟に有頂天になっている日本人を批判する手紙が残されている。 今度、三四郎と与次郎が精養軒の会に出た後月を見た場所、上野の摺鉢山へ行ってみようと思う。ついでに精養軒も。
4投稿日: 2021.03.23
powered by ブクログ「有名作家の青春の一冊」 熊本から上京してきた三四郎の学校生活、恋愛が漱石の世界観で描かれています。 印象に残った文 「ただ口の中で迷羊、迷羊と繰返した。」
0投稿日: 2021.03.11
powered by ブクログ時代が古いので価値観や考え方にイマイチピンとこない部分もあるけれども、三四郎の周りに流されながらもマイペースに生きる生き方や、それぞれの行動から感じとる心の動き、会話の面白さはスゴイと思った。夏目漱石の本がずっと読まれ続ける理由の一端がわかったような気がします。
1投稿日: 2021.02.24
powered by ブクログ上京してきた若者が、東京で新しい考え方に触れ、仲間と出会い、淡い恋をする。という、ほんとうにそれだけの青春小説。 坊っちゃん同様、登場人物のキャラが個性的で、彼ら彼女らのやりとりがいちいちユーモアにあふれ魅力的。 ストレイシープなど、言葉もいちいち気障なんだが、それがまた良い。 とりたてて好きな物語ではないけど、ところどころを切りとって飾っておきたくなる名文が随所にあり、さすが文豪。 終盤で広田先生が語る、二十年前に会った少女が夢に出た、の話が好きです。
5投稿日: 2021.02.05
powered by ブクログ半藤一利さんの本で読んだ、有名らしいこの場面が出てくる文脈を知りたいがために読んだ。序盤で呆気なく出てきたが、最後まで読む。 P24 (場面は1908年の筈) 「しかしこれからは日本もだんだん発展してするでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、 「滅びるね」と言った。—— 熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。 もひとつ、Pity is akin to love. の名訳として名高い「かわいそうだた惚れたてえことよ」が、与次郎の迷訳として、エピソード的に軽く登場していて、少々意外。 ストーリーとしては大きな動きもなく、淡々としたお話。田舎から上京した自分の学生時代を思い出した。90年位時代は違うけど。
7投稿日: 2021.01.24
powered by ブクログ帝国大学進学のため熊本から上京した三四郎の学生生活。東京行きの電車で出会った女性や美恵子に翻弄される三四郎が素朴で感じがいい。 三四郎は自分は三つの世界に生きていると言う。 第一の世界は母親のいる故郷の世界。第二の世界は学徒たちの世界。そして第三の世界がきらびやかな東京の俗世。第三の世界に憧れつつもどうもうまく立ち振る舞えず、面倒だと言いながら母親からの手紙に長い返事を書き、不満を垂れながらも大学人の世界に同類の安心感を覚える三四郎の俗っぽくなりきれない感じが自分と重なった。漱石の学生生活はこんな感じだったのかと、思いを馳せて読んでいた。
0投稿日: 2021.01.20
powered by ブクログ文章が読み易し。 蕎麦かうどんかってくらいに、するする読める。 夏目漱石の作品を初めて読む方におすすめ。 ストーリーや登場人物たちのやりとりに、当時の時代背景や漱石の社会風刺と思われる観点が色濃く出ていたり、現代と比較しながら面白く読めた。
0投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ文語的表現が僕はなかなか馴染まず、300ページ弱なのに読み終えるのに相当な時間かかってしまった。しかし、最後の1文を読み切った時の達成感は素晴らしいもので、「それから」「門」と3部作読み切りたいという気持ちが強くなった。 わかりやすい表現も少しずつ含まれているので、そこで内容を把握しつつ、難しい表現はどういう意味なのか考えすぎないことが大切だと思う。
0投稿日: 2020.12.16
powered by ブクログ新潮文庫版を初めて買ったのは、今から10年も前、私がまだ学生の頃であった。近代日本文学の講義のテキストとして使用するためであった。
0投稿日: 2020.11.23
powered by ブクログ前期三部作の一つと聞いていたので、何やら難しいのかと構えていたら、意外にとっつきやすくて面白かった。坊っちゃんほどは明朗ではないけど、これも一つの青春小説。 与次郎のキャラが気に入った。金城一紀のレボリューションシリーズに出てくる高校生みたいだ。
1投稿日: 2020.10.23
powered by ブクログ猫、坊ちゃんに次ぐ夏目漱石3作目。 猫では、苦沙味や細君、迷亭君 坊ちゃんでは赤シャツや山嵐など 面白いキャラがいて、そのキャラと主人公との掛け合いが読んでて楽しかったが、 本作では登場人物がパッとしなかったかな笑 ストーリーもないので、後半あたりから何しているのか分からなくなってきてしまった。分かりやすい事件の一つや二つが欲しかった。 ただ随所に見られる漱石の考えとか、小川三四郎の人柄は好き。度胸のないところは自分に似てて共感しながら読めたし、低徊趣味なところも憧れる。 漱石は生活を、 学生まで過ごした故郷と 社会に出てからの世界と 自分が楽しめる趣味 の3つに分類していた。このバランスを保つことを意識しながら生活したらうまく生きれるなと思った。 三四郎が毎日日記をつけているので、自分もつけようかな。影響の受け方が未だに子供である笑
4投稿日: 2020.10.18
powered by ブクログ【始】うとうととして眼が覚めると女は何時の間にか、隣の爺さんと話を始めている。 【終】ただ口の内で、迷羊、迷羊と繰返した。 ヘリオトロープのシーンがオシャレ。
0投稿日: 2020.10.14
powered by ブクログ丁度、作中に谷中や日暮里が出てきたときに谷中銀座と日暮里散策のお誘いがあり、嬉しかったです。 なんだか思い出により彩りを与えてもらえた気がします。 本を読むっていいものです。 三四郎を読んでから、頭のなかの話し言葉がクリーンになりました。 本当に文豪の名に相応しい素晴らしい作家だと思います。
0投稿日: 2020.10.11
