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透明な夜の香り
透明な夜の香り
千早茜/集英社
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総合評価

452件)
4.2
174
184
70
8
0
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    設定やキャラクター的にはチンケな探偵/推理シリーズものに出来そうなのに、そうしない。それが良いと思いつつ、続きや前夜談的なものも読みたい。

    2
    投稿日: 2023.07.07
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    「匂いは残るんだよね、ずっと。記憶の中で、永遠に。みんな忘れていくけれど」 美しい装丁と、洋館×ミステリアスな登場人物×香り×料理という、ありそうでなかった設定に惹かれて手に取った。 文章から香りを想像することは普通なら難しいが、著者の豊かな語彙力ので、まるで香りをかいでいるような気分になる。 本作では、そんな香りに魅せられた様々な登場人物たちが自分だけのひと瓶を依頼しにやってくる。 依頼人を相手するのは、天才調香師の朔。 この朔がすごく魅力的だ。 実写化するとしたら、吉沢亮や松坂桃李あたりでお願いしたい。 そんな朔は、人が気づかないような匂いまでわかってしまうため、時には警察に協力したりもするが苦悩も多い。 そして、朔の住む洋館の家事手伝いのアルバイトをする主人公の一香。 彼女もまた、人に言えない闇を抱えている。 しかし、一見弱そうな彼女だが、依頼人について根掘り葉掘り尋ねるわけでもなく、寛容で人に対する距離感が個人的に好きだった。 作中、料理を作る様子が季節ごとに描かれていて、どれも食べてみたいものばかりだった。 美味しいもの好きな著者の食べ物への情熱が伝わってくる。 食べ物の描写がある事で、ミステリアスな雰囲気から、美味しそうな食事を囲むシーンがほっとひと息つかせてくれ、重さのバランスがちょうどいい。 香りとは実に危険で魅力的なものである。 時に自分を盛り立てる魔法になり、嫌な記憶を呼び起こす呪いにもなる。 自分なら朔にどんな香りをお願いするのだろう。 美しい香りだろうか、秘密の香りだろうか。 そんな想像をせずにはいられない魅惑の香りが漂う1冊だ。 こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ ・繊細な表現がされているものが好きな人 ・香りものか好きな人 ・美味しそうな食べ物が出てくるものが好きな人 ・ミステリアスな雰囲気が好きな人

    6
    投稿日: 2023.07.07
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    文章でここまで香り、匂いを感じるのは新鮮な体験。 香り、匂いでなんでもわかってしまうのはきついなと思いつつ、そこをまた上手く使えていない2人の感じがなんとも言えない。 続編ではどう展開されるのか。 271ページ(文庫)

    10
    投稿日: 2023.07.06
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    ずっと気になっていた千早さん。 静謐な雰囲気と香りの生々しい表現のギャップにくらくらした。朔と一香、新城と源さんの対比もよかった。この文章の色気?なんなんだろう、不思議な感じ。続編も気になる……。

    1
    投稿日: 2023.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    香りという綺麗なの物語というより、 匂いからなる物語。 いい匂いや不愉快になる匂い… 様々な感情と結びつく 出てくる登場人物も個性的。 救われる人もいれば、身を滅ぼす人もいる。 調香師の朔は、才能がある天才が故に孤独な幼少期を過ごし、初めて愛を知った。 一方、一香も兄の死を乗り越え過去と向き合うことができた。 読んでいくうちに自分も一歩踏み出せそうな気持ちになる物語だった

    10
    投稿日: 2023.07.05
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    いろんな香りが漂ってくるような 不思議でおもしろい作品 それぞれ生きづらさをもった登場人物が ふれあうことで変化していく姿がきれい

    8
    投稿日: 2023.07.03
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    読んでいて少し心が落ち着くような、暗くなるような、窮屈に感じるような気がした。 ただの恋愛小説ではなく、ゆったりとした時が流れるような感覚になる本だった。

    2
    投稿日: 2023.07.02
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    評価と読後の感想に惹かれて図書館で借りました。 香りの世界に引き込まれて、一気読み。 朔さんの凄い能力に感嘆しつつ、匂いで嘘や人の感情までわかってしまうなんて…悲しい ラストシーンがちょっと物足りなかったけど、早速続編を図書館で予約しました。

    9
    投稿日: 2023.06.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに大好きだと思える本に出会えました。 朔さん、新城、一香ちゃん、源さん。 漫画みたいに強烈な個性づけがされているわけではないのですが、みんなそれぞれキャラが立っていて魅力的です。 特に性的なシーンがあるわけでもないのに全体的に色っぽい雰囲気があるのは香りの為せる技なのでしょうか。 朔さんと一香ちゃんの距離が物理的にも心理的にも少しずつ縮まっていく過程の書き方がよかったです。 あそこまでデリカシーのないことばっかり言うのに朔さんに少女漫画の王子様的な要素を感じてしまうのはなぜなのか(笑) 最後はいわゆるメリバというか、当人達にしかわからないハッピーエンドになるのか、はたまたほろ苦い終わり方をするのかとハラハラしました。 思っていたよりずっとあったかくて幸せなラストでよかったです。 続編もあるようですが主人公が変わるようですね。 一香ちゃんがゲスト出演してくれるといいなぁ。

    8
    投稿日: 2023.06.30
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    いつかドラマ化されそう 新しい仕事は調香師の家政婦 もっと一つの話を深掘りしてもいいような気がした 一香の家政婦適応能力がすごい笑

    1
    投稿日: 2023.06.29
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    前向きになれる癒し系の話と思って読んだけど、少し違ってた。犯罪あり、変態が登場したりとどこか暗い感じ。 依頼人の心の中にある闇の部分を、調香師小川朔が作り出した香りで解き放す。依頼人が善に行くか悪に行くかはその人次第。善の方に行くと私はホッとするし、悪の方へ行くと人は怖いと嫌な気持ちになってしまう。嫌な気持ちになる方が多かったかな。だから正直苦手かもと思いながら読んでた。でも主人公、若宮一香が小川朔との出会いで元気になっていくのを感じると、最後は私も若宮一香を応援してた。あと小川朔の変化も嬉しかった。若宮一香との出会いで人間らしい感情が現れ、それに戸惑っている小川朔は微笑ましい。 感覚が鋭すぎる、というのは大変なんだなと思った。絶対音感がある人は日常生活の音が不協和音だったりすると耐えられない、っていうのはどこかで聞いた事がある。小川朔は嗅覚が鋭すぎて日常生活を送るのは困難。だから自分で作り出した香りに囲まれて暮らしている。そうでないと生きていけないのかなぁ。それは辛い。若宮一香も共感覚があるのかな?色に例える事が多かったから。2人とも辛い過去があり、感覚が鋭すぎる、という共通点があったから分かり合えた事があったと思う。 癒しもあった。小川朔の暮らしている洋館。洋館で若宮一香が小川朔のレシピで作る料理、源さんが世話をしてる洋館の庭や畑。ここの描写は好き。こんなカフェがあればいいのに。アスパラガスを焼いてそこに玉子を割って目玉焼きにする。っていうのは私も作ってみたい。

    15
    投稿日: 2023.06.28
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    独特な雰囲気が漂ってて、調香師と探偵と家事手伝い、たまに刑事と登場人物だけ聞いたら軽めなミステリか?と思えるが、そんなノリではなかった。重めの背景を持って、意外と淡い印象の残るドラマ。たまにミステリ色が入るのも楽しいし、起伏が出てより読み易い材料になってる。人物まで淡い印象なので、少し離れた場所から見ている感じだった。

    9
    投稿日: 2023.06.27
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    調香師なる職を初めて認識。確かに香りって鮮明に記憶を呼び覚ましてくれることがある。 主人公一香の過去を匂わせつつ、調香師の朔さん達との交流と、やがて2人に訪れる変化を描いた作品。ビターエンドもあるかと思ったけど、綺麗なラストで良かった。 シリーズ化出来そうな作品だなー、と思ってたら続編があるらしい。登場人物達のその後が気になるので読みたいな。

    10
    投稿日: 2023.06.23
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    上質な少女漫画のようで…うっとりしながら最後まで一気に読んでしまった。 読み終わった今も、反芻するたび頭の中でハーブが香ってくる。透明なような、淡い色合いのまさに朔月な朔さんと、まっすぐな香りの濁りのない一香さんというお名前もぴったりで、私の中でコマ割りが止まらなかったです(漫画脳なので… えっ続編もあるの〜うれしい!

    2
    投稿日: 2023.06.21
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    香りは永遠に記憶される。 読んでいる間は木々の緑と、澄んだ香りの空気が私の周りを覆っていた。読む程に話に引き込まれて、その分結末が少しあっけなく感じた。もう少し読みたかったと思っていたので、続編があると知ってうれしい。

    7
    投稿日: 2023.06.20
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    初めて読む、千早茜さんの作品。 表紙を見て、「これ、怖いのかな?白い手が不気味だな……いま仕事で疲れてる精神だけど、レビューを見ると良い感じだしな」って思って、図書館で貸し出しました。 調香師というお仕事について、今まで想像もして見たことがなかったけど、調香師の小川朔さんの嗅覚は凄すぎ! 朔さんが住んでいるお屋敷で、優しい香りを放つハーブやお花に囲まれて生活したい(笑) 特に、屋敷で主人公の一香ちゃんが作る料理とか食べてみたい!烏龍茶と金木犀のジュレとか、この暑い日に食べたい…! 怖いお話かと思いきや、香りを想像させて読み手の疲れを癒すようなお話でした。新緑の香りとか、墨の香りとか…。ハーブの勉強にもなりました。 特別な香りを作って欲しい、と朔さんのもとへ来る依頼人たちは変わってる人だけどその方達のことも少し読めて面白かったです。登場人物は脇役だとしても、味があって読んでいて楽しかったです。 続編があるということなので、それも読むのが楽しみです♪

    13
    投稿日: 2023.06.19
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    読んでいて似ているわけではないのですが、小川洋子さん(解説を書かれています)の『薬指の標本』を思い出しました。 マスクのせいでこの数年間の記憶が後々、香りを嗅ぐことでは思い出せないのかなと感じてしまいました。 「そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは」 「ずっと。記憶の中で、永遠に。」

    9
    投稿日: 2023.06.17
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    ポッドキャスト 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜第12話「雨の日におすすめの本はありますか?」というリクエストでご紹介された連作短編集。五感が研ぎ澄まされる一冊でした。

    5
    投稿日: 2023.06.15
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    表紙とタイトルに惹かれて読みました。お屋敷に住んでる調香師と世話係という世界観がとても素敵でした。香りにまつわる事件に立ち会いながら後半は朔さんや主人公の深い過去に近づいていく構成も良かったです。新城のキャラがけっこうすき。

    5
    投稿日: 2023.06.13
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    電車の中や職場休憩で読んでましたが、短時間でもすぐにどっぷり本の中にハマれるくらい面白かったです!文章も綺麗だし出てくる食べ物や香りの表現まで全てがいいです。

    3
    投稿日: 2023.06.11
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    ただのふんわりした優しいだけの話かと思ったら、すごく、すごくよかった! あらゆる香りがわかる朔と、ガラは悪いけどいい奴の新城、そして主人公の一香。 香りにまつわる話そのものだけでなく、とにかく登場人物が魅力的。彼らをずっと見ていたい。 続編気になる....!

    3
    投稿日: 2023.06.10
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    香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。確かに香り、匂いで過去の一場面やその時の感情まで思い出すことがある。千早茜さんの表現は、五官を刺激される。自分の過去の一場面を思い出し、話のストーリーから脱線して思い出に浸ってしまう。今回も香りや食べ物の味までも感じる場面があった。作中に、アスパラガス酸が消化の際に硫黄化合物を生成することが書いてあった。昔から感じていた匂いだけど、話すネタには中々ならないことだったし、周りに話した時にも共感してくれる人に会えなかった。小さなことだけど、救われた感じ。香りについても専門的な言葉が出てきて勉強になったし、サパンというリキュールも飲んでみたくなった。

    13
    投稿日: 2023.06.10
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    香りは永遠に記憶される、きみの命が終わるまで。 帯にあったこの文章に惹かれて手に取った作品。 各章が香りの種類を表現する香調の名前になっており、 各章に寄り添った香りになっているのかなと思いました。 物語は静かに進んでいきますが、最後まで飽きることはなく 繊細で丁寧な文章と、気づけば登場人物たちのキャラクターに惹かれておりました。 静かに進んでいきながらも人間の感情や欲望が強く香ったり、優しく香ったり・・・ もちろん実際に香りは感じませんが、物語と共に香りを楽しむ。(想像する) という、また新しい読書体験をすることができました。 香りによって呼び戻される記憶は楽しいことや幸せなことばかりではありませんが、 それも含めて自分にとって大切な記憶なのだと感じます。 続編もあるとのことなので引き続きこの物語の香りに浸っていきたいと思います。

    49
    投稿日: 2023.06.09
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    光と色の表現がとても美しかった。 光と影の対比とか、色の鮮やかさと暗さの対比とか、読みながら一つ一つのシーンや情景がどんどん頭の中に浮かんでくる。 以前、「博士の愛した数式」を読んだ時にも文章の美しさに感動したので、解説を小川洋子さんが書いているところも、個人的に心震えた。 冒頭から、一香の過去に関わる、なんとなく暗く淀んだような空気感が流れているんだけど、それと対比するような香りや植物や食べ物の描写で、どんどん先を読みたくなる。 朔さんには、新城さんと源さんが、一香にはさつきちゃんが、それぞれに苦悩を抱える2人のよき理解者として存在していて安心する。 香りと記憶の結びつき。人の精神状態までも嗅ぎ分ける朔さんは、どれほどの生きづらさを抱えているのだろう。 一香は朔さんの声を“紺色”と表現する。紺色の声ってどんなだろう。朔さんの抱える孤独を一香はその声から感じていたのだろうか? 五感を刺激し、感性も刺激してくれる、素敵な小説だった。

    2
    投稿日: 2023.06.04
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    初、千早茜さん どんな世界なのか興味があって、休日に落ち着いて一気読み 文章が美しく丁寧で、心理描写と情景描写が繊細 空気の澄んだ静寂な森の湖に映っている満月の様だった˚✧₊ 香りを依頼人のオーダーに合わせて制作する調香師の小川朔(さく)は、人並み外れた嗅覚を持ち、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける天才 森の中の洋館でひっそりと香りのサロンを開いている彼のもとに、人には言えない暗い過去を持つ一香(いちか)が家事手伝いのバイトとしてやってくる 一香を苦しめて来た人には言えない過去とは___ いいな、このバイト! だって体調管理してくれるし、身体に良いハーブや花の匂いや食材にいつも囲まれているんだよ 色々なレシピ覚えられるし、食べられるし ちょっと神経質な世界かもしれないけれど あと印象的だったのは、いつも朔の声を『紺色の声』と色に例えて表現している所 『黄色い声』は聞くけれど 日頃から人の臭覚って神秘的だと思っているし、鼻が利く方なので題材に興味がある 『香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される』と作中にある 調べてみた 五巻の視覚、聴覚、触覚、味覚は理性、本能の順に処理される 嗅覚は本能のみで処理される 「香りが記憶に残りやすい」と言われるのはこのためで、嗅覚はさまざまな情報に惑わされない感覚であり、匂い、臭いはリアルな感情を伴った追体験を想起させるきっかけとなる 花の匂いを嗅ぐとあの頃を思い出すっていうのもそれだと思う あと、子供の頃なついていた娘から思春期になったら毛嫌いされるようになった、臭いと言われるようになった、という父親の話がよくある これは臭いによって遺伝子の近い異性を近づけないようにしているから 遺伝子が近いもの同士が生殖を行うと、種の多様性が保たれなくなり弱くなるといわれるから、だそう ただ臭いと言われているだけじゃなくて、ちゃんと理由があって良かったよねー、世の中のお父さん(ToT) 因みに私は、夜の空気の匂いが好きデス 続編の『赤い月の香り』も読んでみよう

    51
    投稿日: 2023.06.04
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    香りと人とのつながりの話。香りに対して特殊な能力を持つ朔が、紅茶の味のコメントする箇所に、小説の格好良さを感じた。

    2
    投稿日: 2023.06.02
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    続きだと知らずに順番前後しちゃって先に読みたかった笑 #透明な夜の香り #読了 #千早茜 #寝読部入部届

    1
    投稿日: 2023.06.01
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    ノンストップでどっぷり世界に浸って読むべき1冊……! 仕事の合間合間に読んでしまったことが悔やまれる。 「赤い月の香り」から入って、前作があるとの事でこちらを読んだ。 2作目と変わらず静かで透明な空気が物語全体を通して感じ取れる1冊だった。 一気読みした訳でもないのにここまで世界がリアルに感じ取れる作品は珍しいと思う。

    4
    投稿日: 2023.05.29
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    職業柄、調香師という職業に関心があり、本作を手に取りましたが、ミステリー要素とヒューマンドラマが織り交ぜられており、とても楽しく読むことが出来ました。 主人公は天才調香師の朔とその家事手伝いとして働く一香。天才調香師のもとに、色んな人が色んな思惑を持って独自の香りを調香してもらいにくるというストーリー。 このストーリーを読んだ時に、匂いを作るだけでどう小説として展開されていくか、すごく不思議に思っておりましたが、蓋を開けてみれば、香りが上手くトリガーになったり、支えとして働くのがとても面白かったです。 面白い題材かつ、個性的なキャラクターたちとストーリー性で、きっといつかは映像化するのだろうなと思いました。

    39
    投稿日: 2023.05.26
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    人は過去にとらわれるし、その自分の過去と向き合う時には孤独だ。だから、その人にしかない悩みがあるし、人を理解するのは難しい。この小説では、だから、香りがそういう過去と強く結びつく特性に着目して、過去と向き合い、それにより未来と向き合う。 仮に、どんな過去に恐れようとも、香りという素材を通して、きちんと自分なりにケリをつけて、未来を切り拓ける事を、この小説は教えてくれている。

    2
    投稿日: 2023.05.26
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    文字から香りが立ち上ってくるような、自分もその場にいるかのような不思議な感覚。 私は先に「赤い月の香り」を読んでしまったのですが、 あぁあの時はこうだったのか、こんな出会い方だからこんな気持ちなのかと、答え合わせをしているようでした。しかし、こちらを後に読んでもとても面白かったですし、"静かな表現力"にすごいと思いました。 もしまた新作がでたら読みたいです。

    6
    投稿日: 2023.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初は正直言って単調な話だなーと思ったけれど、朔と新城と出会ってから面白さが加速した。 一話目が一番すき。香りに狂わされた女。 「鼻がいい」っていうのがピンとこなかったんだけど、読んでいてこんな弊害があるのかと思った。嘘をついているのが分かるって非化学的な話かと思ったけど、ちゃんと理論だって説明できるんだな。 あととにかくごはん描写が上手い。読んでいてお腹がすく。こんなところで働きたい~~。 1ページめくるたびに匂いたつような描写力に圧倒です。 新城がとっても好き。女関係はルーズでヘビースモーカーで、だけど情には厚い。朔との友情関係がたまらん。 続編も出たとのことで楽しみ。早く文庫化されてほしい!

    3
    投稿日: 2023.05.25
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    透明感の高い光沢の表紙と題名で手に取ってみて大正解でした。読んでいるとまるで「香り」がしてくるよう。またハーブを使ったお菓子や食べ物を食べたくもなりました。続編も読もうと思います。

    3
    投稿日: 2023.05.22
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    自分も匂いで昔を思い出すことが結構あって、思い出せなくても、この匂い懐かしいなって思うことがあるから、この本に共感できるところが結構あった。 「失うともう思い出せなくなるのに、違うということだけはわかるのだった。 けれど、その違いにも数日経てば慣れて気にならなくなっていく。」 この言葉はほんとその通りだと思う。 千早茜さんの本、やっぱり読みやすくて好き。 登場人物がとっても魅力的。どの本も魅力的に感じる男性が出てくるけど、それはどれも秘密を抱えた少し闇のある人だと気づいた。 続編も読みたい。

    5
    投稿日: 2023.05.21
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     日常の様々な光や色彩、匂いや香り‥、そこに私たち読み手の想像が加わり、独自の雰囲気をもつ物語でした。  千早茜さんの見事な筆力で、文字だけの本から多彩な色が浮かび上がり、様々な香りが漂ってくるのを感じられる作品で、色覚と嗅覚が刺激されるような不思議な心境に至りました。  実際に、食品などを調香するフレーバリスト、香水などを調香するパフューマーと呼ばれる「調香師」の方々は、資質・能力を高めるべく日々研鑽を積まれているんでしょうね。  私もひとつチャレンジして‥って、無理、無理! だいたい自分自身が嘘臭いし、加齢臭いし(ヤダー気持ち悪ぅ、やめて〜!)、華麗な香りや百歩譲ってスパイスの効いたカレーの香りだとまだいいんですが‥。(本作の品性を著しく低下させるギャグ!)  どんな香りも創れるとか、人の内面や生活状況まで見透かされるなんて、ちょっとカンベン(これは登場するさつきちゃん感覚)です。  しかし千早さんは、特異な能力を安易に連作短編で事件解決に向かわせるような、安っぽい展開にしないのが素晴らしい点だと感じました。  「記憶にまつわる匂い」或いは「匂いにまつわる記憶」は、実感として確かにあると思います。遠く仕舞われ忘れていた記憶が呼び起こされるような、とても奥深い物語でした。

    69
    投稿日: 2023.05.19
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    香りは人を魅了したり、狂わせもする P75 嗅げば、募る。新鮮な記憶は人を狂わせる。 ちょっと小説の中のイメージがし難いとところがある

    2
    投稿日: 2023.05.18
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    嗅覚がすさまじく匂いからさまざまな情報を得てしまう調香師「小川朔」が様々な人の依頼で特別な香りを作るお話。 目線は主人公である「若宮一香」である。この一香の話が私には非常につまらなく冒頭で読むのを諦めかけた。 だが他の、魅力的な人物が登場すると一変し、一気読みしてしまった。基本は静かな話だがしっかり飽きさせず読ませる流れで良い1冊でした。続編もあるということなのでそれもまた手に取ってみたい。

    15
    投稿日: 2023.05.15
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    若宮一香は新しいアルバイト先である 調香師の朔の元で働き始める。 テーマである『香り』を元に物語が進んでいき、 一香を始めとする登場人物の過去の事が暴かれていく。嗅覚がベースとなっており主人公達のドラマティックなお話が明らかになる。

    4
    投稿日: 2023.05.15
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    これだけ香りや匂いの描写が多い物語は新鮮で、描写からなんとなくこんな感じかな?と推測するのが楽しかったです。 一香が成長するお話かと思いきや、朔の変化もかなり大きいと思います。「変わりたくない」「変わりたい」どう思っていても人間は生きてれば変化せざるを得ない生き物であり、匂いの記憶のみ永遠。 残酷なようで、救いのようにも感じました。 設定は魅力的なのですが、ちょっとラノベっぽい描写が勿体無いなと思いました。

    3
    投稿日: 2023.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    お仕事小説のような、恋愛小説のような感じで、あんまり好みではなかった…。 続編はそこまで読みたいと思わないかもしれない。

    2
    投稿日: 2023.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人並外れた嗅覚を持つ朔。彼の職業はパーソナル調香師だ。本文はそんな説明してないけど。視覚や聴覚は塞ごうと思えば塞げるが、嗅覚はそうもいかないことに改めて気がついた。それは暴力的でもあり、人を狂わせる情報量じゃないかと思う。偏屈で偏狭な朔の性格は、自己防衛から出来上がったようにも思えるし、元々の気質もあるようで。得体のしれない魅力はある。私は、わかりやすいほどわかりやすすぎる新城のような男のほうが好みではある。あんま関係ないけど那州雪絵の「超嗅覚探偵NEZ」を読み返したくなった。

    2
    投稿日: 2023.05.14
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    静謐で美しい文章、だからこそ生々しさ、艶めかしさ、グロテスクさ…そういったものが際立って感じられる。古い屋敷での丁寧な暮らしと対比するように、欲望が浮き立つ。 名前の付けられない香りや感情も、善悪に関係なくそこにあるだけ。あとは自分の選択しだい。 さらさらと読めるのに、あと引く物語。 自分の欲望と選択について考える。

    14
    投稿日: 2023.05.12
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    「香りと記憶」、個人的に昔から興味深いテーマなので、繊細な描写で登場人物の感情を紡ぐ千早さんがこのテーマで作品を出されたことがとても嬉しい。 当初装丁とタイトルでもっともっと危うく刹那的で不毛な物語かと想像したが、登場人物達のキャラが際立っていてとても愛着が持てる世界観だった。 何より、千早さんらしい繊細な表現で人の心情と、無意識にでも想像してしまう言葉での香りの表現が、美しく儚く印象的に綴られていて、たまらなく好みでした。 朔の棲む洋館の庭は常にキラキラとしていて、源さんの安定感ある人間味、ぶっきらぼうな新城も含めて、こんな素敵な空間があればいいのに!と思わずにいられない。 続編も是非読みたい。

    8
    投稿日: 2023.05.10
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    とにかくキレイ。始まりから終わりまで、ずっと透明でキレイ。途中出てくるタバコの表現やイメージさえも、透明な香りで包みこむ。声を色に例えたくなった。

    1
    投稿日: 2023.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに身体にストレスがかかるからね。ある意味、たくましいってことだよ。」 全体的に暗い感じ。 人間の嘘、欲、そういった人間くさいところを深堀りする文が千早茜だなあと感じました。

    5
    投稿日: 2023.05.08
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    不思議な本。最初は薄暗く危険な香りがしているような、でもそれはただのイメージだった。読み進めているうちに身体と精神が洗練されていって一香が感じる香りや味や感覚が伝わってきた。不思議な体験。

    4
    投稿日: 2023.05.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々に引き込まれて一気に読みました。 香りがたくさん出てくるのですが、想像しながら読むのが楽しかったです。 物語の終盤、朔さんが心のうちを一香に話す場面では、涙が出てしまいました。 静謐、という言葉が浮かんでくるような物語でした。 続編も読みたいと思います。

    14
    投稿日: 2023.05.02
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    読後感は静かな優しさに触れたような感覚。 お互いが何かを埋めるかのように 自然と双方は溶け込んでいくが、 決して、自分を押し付けない。 うるさくない香りの2人が静かに寄り添うお話。 変わることを恐れて一香と離れた朔は 離れることで変わった香りに気づく。 香りも人も変化する。 変わるかもしれない一香と一緒にいたいと感じた朔が このお話の中でいちばんの変化なのではないだろか 私はこのお話を読んで 昔大好きだった人の、 少しじっとりとした赤マルの匂いを 懐かしんだ。 この本を読んだ他の人はどんな香りを考えて その香りにはどんな思いが、どんな熱が、、、、 共感し合えないたくさんの秘密を知りたいと思った。

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    投稿日: 2023.04.30
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    出てくる香りを嗅いでみたくなった。 主人公が捉える「色」の意味がよく分からなかった。共感覚の持ち主て事かと思ったけど、明記はされていない。 読みやすくはあるけど、捉えどころがない印象。 続きは文庫になったら読みたいかな。 食べ物等は凄く美味しそうに書かれていると思った。食べたくなる。

    6
    投稿日: 2023.04.30
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    昔、尾崎世界観さんが紹介していた気がする。この着眼点はなかった、そう話していた。 そんな本作は、調香師の家政婦を主人公に据えて展開される。 確かに調香師という仕事を題材にするのは珍しい。少なくとも私は調香師の話は読んだことがない。 香りを文章で表現することは難しい。精油等を混ぜ合わせて作るため、結果として得も終われぬ香りが作られる。料理のように使っている食材は表せても、出来上がった味を表すのは難しい。皆が食べたことがあるなら風味の程度で表せばいいが、誰も食べたことが無い料理を表すのは難しい。それなのに香りを表せるだろうか。 表せない。と、個人的には感じた。 かの有名な(?)香り狂いの調香師の映画を鑑賞した時も思ったが、どんなに演者が良い香りを嗅ぐ演技をしても、その香りはこちらには伝わらない。料理は五感を刺激するため、映像なら視覚で味わうことができる。文章なら何かしらの記憶がひっかかるため味の想像も可能だが、香りは嗅覚しかないため想像することが難しい。 本作で特徴的なのが、主人公が音を色として感じる部分だ。かといって、それは恒常的ではなく、ある一部に対してのみ働く。それが何を意味するのか、私には最後までよく分からなかった。香りで想像力を働かせないといけない部分に対して、正直邪魔な描写だとさえ思った。 主軸になる香りが想像できない、別の要素と描写が入ってくる、こうなると話が揺らめいて、読んでいるうちに頭の中がぼうっとしてくる。 曖昧なものを文章で表すのは、とても難しい。

    4
    投稿日: 2023.04.30
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    香り・匂いは視覚情報とはまた違った届き方をする。視覚情報に囚われがちだが(インスタグラムとかもそうてわすね)、香り・匂いが与えるものの大きさを改めて感じた。 「さんかく」で千早さんの食の描写に魅力を感じていたけれど、香りの描写も合わさって、素敵な出会いがたくさん詰まった本でした。ハーブ、詳しくなりたいなあ…。

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    投稿日: 2023.04.29
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    感想 夜の空気の匂い。時間によって変わるそれは様々な想いを湧き立たせる。奥底の記憶を掘り起こす。孤独も、幸福にないまぜにして。

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    投稿日: 2023.04.13