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透明な夜の香り
透明な夜の香り
千早茜/集英社
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総合評価

452件)
4.2
174
184
70
8
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本屋の香り 雨上がりの土の香り 神社の厳かな香り 言葉にするには難しい、けど確かに存在する香りが世の中にはたくさんある。 それらを全て忠実に再現できるほど優れた嗅覚を持つ朔さんは、不必要に多くの情報が勝手に入ってきて生きることがしんどそうだなと思った。 カオリといっても、日本にはいくつかの表現がある 香り、馨り、薫り、、、 その中でも香りは、鼻で感じるいい匂い具体的に嗅ぐことができる匂いの時に使われるよう。 透明な夜の香りは、一香にとって、安心の香りだったのではないかと思った。 朔さんはいつもフラットだ。 ある条件を守ってくれるなら、顧客の望む香りを再現する それが悪い方に働くとしても、選択させ、あくまであなたが選んだことだからと、責任を負わない 冷たく卑怯にも思うけど、いい人になりすぎないで安心もする。 最後、一香が友達として遊びに行くと宣言した場面。 庇護され、従業員としての一香に戻るのではなく、自分の足で立ち生きていく決意を決めたからこそ、今度は友達として対等な関係にりたいという前向きさ感じた。 夜の香りではなく、陽だまりの光の香りが漂っていたように思う。

    2
    投稿日: 2024.01.29
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    どこか幻想的というか、設定だけでなく、流れる空気感も現実から一歩離れてしっとりと綺麗なお話しでした。

    2
    投稿日: 2024.01.29
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    気持ちの浮き沈みなく、読めました 私の中では、山も谷もなく、平坦な感じの本でしたが、不思議な余韻が残るこの感じが好きです 次を読みます

    2
    投稿日: 2024.01.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とりあえず言葉が綺麗。 一つ一つの表現が本当に美しく物語に魅入ってしまいました。 登場人物の一人一人が素敵でそれぞれの欲望や信念、美学など心がしっかりと描写されていて全員好きでした。 「執着と愛着の違いとは何か。」 誰かに愛されることも誰かを愛すこともなかった朔が初めて人を愛したときの不安や恐さがこの言葉に詰まってるのかなと感じました。 最後までもっとドロっとした愛の描写が続くのかと思いましたが、サラッと綺麗に終わったので少し物足りないような、安心したような感覚でした。 罪を背負い、傷を背負った2人が癒し合い幸せに笑うことを祈ります。

    6
    投稿日: 2024.01.22
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    なんだろう。 うまいこと感想が書けない。 でも、優しく、甘く、切なく、心の緊張をほぐしてくれた一冊だな。

    3
    投稿日: 2024.01.21
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    香り、料理、植物などの描写が丁寧に描かれていました。調香師の朔の謎めいた雰囲気と一香の何とも言えない掛け合いが良かった。 2人の名前の付けられない関係性が綺麗でドラマティックな小説でした。 対照的な新城と源さんも良い味を出しているなと思います。 読んでいると自然と落ち着く作品でした。

    3
    投稿日: 2024.01.20
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    辛い過去を胸の中に封印し、感情をも封印していた女性。ある時スーパーで見つけたアルバイトのチラシより、調香師の男性の元で働くことになる。 男性は香りに敏感な人だった。 女性の過去は辛いもので、香りに敏感な男性の佇まいは素敵でした。 とても素敵な本でした。

    7
    投稿日: 2024.01.19
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    高校生の頃に表紙に惹かれて手に取りました。 話の中に出てくる香りや、その人の声、温度など 沢山自分の中で想像しながら読むのが楽しかったです。

    2
    投稿日: 2024.01.12
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    お話の中に出てくるあらゆる香りの表現が繊細で、とにかく文章が“綺麗”でうっとりしました。物語の中の風景や登場人物の仕草の表現が丁寧。“静”も“動”も、この作家さんの表現はすごい好き。

    1
    投稿日: 2024.01.08
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    植物の香りや料理の香り、様々な香りがしてくるような、繊細で、暗さも秘めているけれど温かみのある物語。周囲の登場人物が皆優しい人なのも良かった。

    2
    投稿日: 2024.01.07
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    元・書店員の一香、天才的な嗅覚を持つ調香師の小川朔。その調香師が仕事する高級住宅街のはずれにある古い洋館で一香は、家事手伝いアルバイトを始める。 一香の少し不気味かつ不穏な生活描写から始まる冒頭。そして、一香と朔の秘められた過去、幼児期の体験。

    2
    投稿日: 2024.01.07
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    勝手にAesopみたいな清涼感も温かみもありながら植物のような香りを想像しながら読んだ。千早茜さんは、完全に閉じた世界を描くのがとても上手でどうしようもなく焦がれてしまう。自分と相手がお互いを必要としていて、他者には容易に入って来れない関係性を築き、満ち足りた静かな生活を送る完璧に閉じた世界。

    2
    投稿日: 2024.01.06
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    不思議な作品。香りがテーマだからなのか作者だからなのか全体的に色っぽく幻想的な雰囲気が漂う。私は香りには疎いのに香ってくるように思える。 現実離れしているファンタジーさもあるけどあり得そうなリアルさがある。 出てくるちょっとした料理も美味しそう。登場人物のキャラクターは様々なのにゆったりとした雰囲気で品があるのはやはり作者の特徴なのか…解説が小川洋子さんでこの2人は近しいものがあるなと思い出した。

    1
    投稿日: 2024.01.04
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    2023年読んでよかったベスト本です。 ビロードをなぞるような読み心地、ひそやかな気配、ひみつ、しのびよる愛の足音。幻想的で、けれど肌に触れ合っているような、圧倒的な世界観と描写力にくらくらしました。 読み終わったあとも、ずっと感動という弦が振動している。わけもなく泣きそうになる。「やさしい」とひらがなで書きたくなる、そんなお話でした。 続刊を、文庫化を待たずに買うのはひさびさの経験でした。このうつくしい物語がさらに多くの人の手に渡ることをしずかにねがっています。

    2
    投稿日: 2024.01.03
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    千早茜さんという方は美しい文章を書かれるんだなという印象。 作中に出てくる香りや料理がとっても気になる。

    1
    投稿日: 2023.12.30
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    香りがテーマの小説。ここまで香りを想像させるような小説は初めてで新鮮だった。頭で物語を処理しながら、同時に嗅覚も働いてしまうような不思議な感覚になった。言葉選びも上品で終始大人な雰囲気が漂っていた。ドラマティックな展開があるわけでは無いので、感情が揺さぶられるようなことはなかった。かなり新鮮ではあるけど可もなく不可もなくというのが正直な感想でした。

    7
    投稿日: 2023.12.25
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    香りがする物語。 匂いとは、不思議なものでいろいろな記憶を思い出させる。 今作の主人公もその一人で、過去の心に抱えた闇を持ちつつ生きている。 お話としては、割とすらすらと展開していく感じなのだが、一つ一つ印象深いキャラが多くて面白かった。 あと、植物に関して無知な私からすると大変勉強になった。

    1
    投稿日: 2023.12.19
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    この作家さん初読み。嗅覚だけでなく食感も刺激される本。人のネガティブな面を描写した話もあるが、全体的に柔らかな雰囲気を感じる作品。作者も香がテーマの作品も、初なんだけど、デジャヴ感があった不思議な本だった。

    1
    投稿日: 2023.12.18
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    今までそんなに意識してなかった「香り」が途端に気になり出す面白い作品だった。 天才調香師、小川朔の過去や性格、言葉遣い、どれをとっても私好みだった。 一香と朔の大人な両片想いを読むのが楽しくてこの本を読んでる時はすごくいやされた。 普通に朔にキュンキュンさせられた。 心に刺さるフレーズも多くてお気に入り小説のひとつになった。 みんな何かを抱えてて誰にも言えないことが多い。言ってしまえば秘密を共有した共犯にさせることになってしまう。自分の恥や罪を晒してしまう。孤独になってしまうかもしれない。そんな怯えが香りとともに相手に届いていたのなら、それを受け止めてくれる人がいたのならって考えて、朔が恋しくなった。 自分という存在を、自分の香りを、忘れないでいてくれることって何より嬉しいし幸せなことだなと感じた。

    10
    投稿日: 2023.12.16
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    香りは時に残酷で、やさしくて、美しくて。 どこにいても物語の世界に入り込めて、どこからかこの小説の中の香りや食事の匂いが漂ってくるような、丁寧な描写ばかりでした。 すごく面白かった、、、決して美しい優しいだけじゃない話なのに、終わった後は不思議なあたたかさに包まれる本です。 私もわりと鼻がいい方で合わない匂いに居続けるとしんどくなる時が多々あるけど、感情まで嗅ぎ分けれる朔さんの嗅覚はどれだけの情報量なんだろう。。。 「香りは永遠に記憶する」これ、本当に。 ふとした時に匂いで記憶の扉が開く感じも、その時まで忘れてるのに突然やってくるんだよなー

    2
    投稿日: 2023.12.12
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    嗅覚が働く美しい文章の本でした。 まるで記憶にあったかのように香る不思議な体験と、静かに動く情景が、爽やかな世界に連れて行ってくれました。

    1
    投稿日: 2023.12.07
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    情景描写、心理描写が共に香りを交えて書かれています。嗅覚を刺激させるような描写に囲まれて、より鮮明に世界観に没頭できる作品だと思います。 寝る前に読むと、夢の中でもいい香りに包まれそうです。 物語の構成も不満なし。 ただ、物語の展開を楽しむというより、物語の世界観を楽しむような作品だと思いました。 それにしても、お腹が空くし、館に行ってみたいし、朔さんに香りつくってもらいたいなぁ。

    5
    投稿日: 2023.12.06
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    背表紙のあらすじ読んでもあまり内容解らなかったけど、 著者の他の小説やエッセイから何となく暗めなんだろうと思いつつ手に取った。 個人的には、想像よりライトで読みやすかった。 料理も細々出てきて美味しそうというよりお洒落。 香りって確かに記憶だなと思う。 再び同じ香りを嗅ぐと、あってなるのはわかる気がする。 でも何の思い出だったかなとか、この香りどこで嗅いだんだっけとか どんどん記憶って薄れていく寂しさがある。 小説での、人より優れた記憶力とか、特別な能力の不便さって 現代だからすぐに想像できてしまうなって思った。 また、訪れる客も色んな理由で、個々に香りに求めるものがあるのが面白かった。

    2
    投稿日: 2023.12.06
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    仕事が忙しくて本を読む時間も取れず、読み終えても感想を書く暇もなく、興味深い本だったのにその面白さが薄れていく…。 森の奥の古い洋館に住み客の望むどんな香りでも作り出す調香師の朔と、そこで家事手伝いのアルバイトを始めることになった一香。 とても不思議な雰囲気の物語で、人並み外れた嗅覚で相手の行動パターンや健康状態や心の内を一瞬にして嗅ぎ分け、怜悧で直截的な言葉を放つ朔に、最初のほうはかなり引く。 が、読み進めれば、朔のもとに香りを求めてくる客が秘める謎と彼らに対する朔の対応が一話ごとに語られるとともに、全体を通じては朔と一香の過去が少しずつ明らかになっていく展開に、どんどん惹き込まれた。 館での話は静謐な狂気を孕み、描かれる風変りな依頼やそれに応える香りが導く結末の闇は深く、中でも5話目、失踪した女性を捜した先に行き着いた美容師とそれに対峙した朔との、ともに異常な世界に身を置く者の間の会話にはゾクゾクする。 そうした世界に身を置かざるを得なくなった朔と一香の孤独な秘密が明かされていく終盤は、“愛着”と“執着”の間で揺れる朔と、それに接して自らの心の闇を解き放っていく一香の、それぞれの心情に切なさが溢れる。こちらの“友人”のほうが、先に読んだ同じ作者さんの「男ともだち」の男女よりも、恋愛感情を超えた関係としてよほどしっくりときた。 先天性の病気の息子に悩む刑事の姿を描いた6話目には、ダメな父親として身をつまされた。

    81
    投稿日: 2023.12.03
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    物語の終盤は特に心を動かされて、登場人物の想いが肌に伝わるようでした。また、終盤から最後の1ページに至るまでがとてもよくて、最高の終わり方だなと感じました。 香りを想像しながらの物語なので、読んだ後は印象深い物語だったなと感じました。いい意味で忘れられない作品だと思います。

    14
    投稿日: 2023.11.29
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    非常に作り込まれていて、回顧による伏線が「後から追加」ではなく、人物と同じ時間軸で経験した読者も「確かに言ってた」と思える置き方をされている。アクション的な急展開がないとはいえ、動と静の書き分けがされていて、心地よい。 各人物がいずれもステレオタイプ的であることと、結末も理想に向かっていく感じが、大衆的なお花畑を感じてしまったのは残念だった。

    2
    投稿日: 2023.11.25
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    初めて読む作家さん。天才調香師のもとに謎を秘めた依頼人たちが集まる。香りや匂いにまつわる話しや小説に登場する料理が魅力。「香りは永遠に記憶される」「嘘はにおう」といった言葉のセンスがよい。ほかの作品も読んでみたい。

    5
    投稿日: 2023.11.20
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    香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。けれど、その永遠には誰も気がつかない。そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは。 この文に惹かれて読みました。私も調香師の足元にも及びませんが、香りには敏感なほうで香りでよみがえってくる記憶ってあるなぁと常々思っていたので。 読み終わって、千早さんはほんとすごいなと。読みながら香りを感じさせるなんて。 早く次回作を読まなければ。

    23
    投稿日: 2023.11.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朔さんが愛着と執着の違いに悩むシーンが人間臭く、生きることにもがいている感じが良かったです。朔さんの、一香さんを見透かしているようでいて、なのに嫌われるのが怖くて、新城曰く「思春期みたいな嫌がらせ」しちゃったり、「僕は変化が苦手なんです」っていう不器用すぎる告白をしている描写なんかもうクライマックスでしたね。 また一香さんの描写としても、朔さんとの会話だけでなく、一香さんのモノローグ?(回想?)の中でも彼女が朔さんから色々なものを受け取ってきたんだなぁ…、理解しがたいところもありつつ朔さん達のいるお屋敷が好きだという気持ちも確実に持っているんだなぁ…というのが文章から伝わってきて良かったです。 あとはやはり新城や源じいと言った登場人物たちも輝いてましたね。新城なんかは最初バイトに応募した時の電話の印象は最悪でしたが、最終的にこの人好きだな‥と思わせられるところが…きっと私は大家さんとおんなじ心境になっていると言いますか、懐に入り込まれていますね(最後に一香さんのアパートに尋ねてきた際に、警戒していたのに薔薇をあげていました)。新城が、一香のことを呼ぶのに「あんた」と「一香ちゃん」が混ざってるのも、なんだか好きでした。なんででしょう……。 数ヶ月ぶりに小説を手に取ったのですが、久しぶり読んだ本がこれで良かったです。面白かったです。

    1
    投稿日: 2023.11.16
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    千早さん、読んでみたいと思いつつも初でした。タイトルが秘密っぽくて素敵。と思って手に取ったら内容も秘密というものに絡む物語。 ミステリー風でもあり孤高の天才の話でもあり 、家族物でもあるし社会問題も含んだ人間ドラマでもありいろんなテーマや感情がてんこ盛りの一作。香りの話でありながら知らない香りが多くて匂いを連想することはほぼ出来なかったものの、最初から最後までずーっと頭の中で映像が流れてました。ぜひ三島有紀子さん辺りに映像化していただきたい… でてくる主要人物みんなに心惹かれます。一香や朔はもとより源さんや煙草臭くてがさつな感じの新城もいい。大家さんやさつきちゃんの人物像もいいスパイス。読みやすいけど内容は決して軽くなくさすが直木賞作家。 続きの物語がでているようでそちらも読んでみたいですね。いい作家さんに出会えました。

    17
    投稿日: 2023.11.11
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    この物語の世界が好きすぎて終わらせたくないが為に、なかなか読み進める事が出来なかった。 決して可笑しくも気持ち良くもないし、何なら胸やけすら覚えるけれども、静かに匂い立つ鮮明な闇と光を透明な瓶に閉じ込めて眺めていたいと思う。

    2
    投稿日: 2023.11.10
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    「香り」が放つ、神秘的で、ある意味怖く、とても美しい世界観に引き込まれました。 調香師であり、人並外れた嗅覚をもつ朔による謎解きが面白かったです。 新城や源さんのキャラもいい!

    55
    投稿日: 2023.11.10
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    少し物足りなさというか、最後あと一押し欲しかった気もするけど、、 登場人物の繊細なところや芯にある黒い部分や、洋館の庭や匂いを想像させる穏やかな部分の調和が良かった。

    2
    投稿日: 2023.11.02
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    読み終わってからしばらくたってからも思い出す洋館や、香りのイメージ。 それだけ自分に刺さった話なのだろうと思う。

    4
    投稿日: 2023.10.30
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    ページの隙間から、色んな香りが漂ってくるような本 朔と一香の関係が、ただ単純に恋とか愛とかで括れないのが良い すごく神聖な気もするし、すごく稚拙な気もするし、アンバランスな感じが最後まで見守りたくなる あとは、食べ物の描写がとても瑞々しい

    4
    投稿日: 2023.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朔のあやうさ、苦悩、みんなが忘れてしまう記憶、永遠。依頼人が求める香りを作り出す正確さ。 一香を突き放した理由、変化、意味。 一香の苦悩、朔といることで変わっていく。 新城は威圧的なところがあるけれど、朔のことを考えている。源さんは、そっと見守る。 関係性が良かった。 穏やかに日々が過ぎたり、ピリッとしたり変化があったり。 洋館、ハーブ、菜園、丁寧な料理と日々。 小説のなかにしか存在しないけれど、過ごしてみたいなぁと思った。 外に溢れてる匂いに疲れるときがあるからf(^_^; 匂いが強い人、柔軟剤の使いすぎ、香水の使い方を間違っている人の多いこと…。 タイトルの意味を調べながら読む。香水がタイトルなんだなぁ…化粧品、美容に疎いので。 1)Top Note 香りをつけてから5分から10分以内の香りのこと。 2)Floral Note ローズ、ジャスミン、ミュゲ、花が持つ上品な甘さが特徴。優雅で華やかな香り。 3)Chypre Note ベルガモット、柑橘系の爽やかな香りと、ラブダナム、オークモスの深みがあり、重厚感のある香り。幻想的な印象。 4)Woody Note 樹木の心材の重厚な香り。針葉樹のシャープでドライな香り。落ち着きと温もり。 力強い重厚感、落ち着きと温かみを表現したいとき。 5)Spicy Note シナモン、ジンジャー、香辛料。香りはブラックペッパーのようなピリッとした香り。アニスのように甘い香りが特徴。シトラス、アロマティック、ウッディなどのNoteに余韻として、残る隠し味を表現したいとき。インパクトなど。 6)Citrus Note 柑橘類、爽やかで明るくシャープな香り。揮発性が高い。香水をつけた最初の5分から15分に、爽やかさを表現したい場合。 7)Animal Note 動物系。動物由来精油。原体の香りは動物園の猛獣の檻の香り。薄めることによって、花を連想させる厚みが出る。 8)Last Note もっとも揮発するのが遅い成分の香料。持続性が高くより目立つ香り。香りのピラミッドでは一番下に位置する。香りを纏ってから2時間以降、長い間、香りが消えていくまでの状態。残り香。 レザーノート ライダージャケットなどの革製品を思わせる。スモーキー、重厚感。渋さとセクシーな印象。落ち着きと個性的なインパクトに。

    2
    投稿日: 2023.10.27
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    前に「さんかく」を読んで気に入っていて、感想を書いてたら同じ作者さんじゃん!千早茜さんの書く話すき。文章も読みやすくて、すぐに物語の世界観に包まれて幸せ。嗅覚×ミステリーってなかなか面白い。千早茜さんの書く登場人物は一癖二癖あっていい。

    2
    投稿日: 2023.10.22
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    香りというのは日常を鮮やかに彩るものである。その世界観を文章にしたような繊細な本であった。 大きく事が動くストーリーではないので、刺激を求めるには物足りないかもしれないが、ゆっくり優しく包み込んでくれるような心地の良い作品だった。 しばらく、この作品を超えられるようなものは見つからないかもしれない。

    4
    投稿日: 2023.10.12
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    いい香りを嗅ぎたくなる小説。 話自体は途中ダレることなくスラスラ読めるのですが、特に心に残るシーンとかはあまりなく、もうひと押し欲しかったなあと思ってしまいました。

    1
    投稿日: 2023.10.04
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    気味が悪いストーリーだったので、読了までに時間がかかってしまいましたが、この物語の世界観に惹き込まれました。

    0
    投稿日: 2023.10.04
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    朔さんに作られた特別な匂いたちがどんな匂いなのか気になる。 出てくる料理も美味しそうで、きっといい匂いがするんだろうなー。 二人の今後が気になる。

    11
    投稿日: 2023.10.04
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    心が少し疲れているときに読む。文章で綴られる香り、繊細な心の機微に引き込まれていく。わたしにとっての「透明な夜の香り」はウードとベルガモットの香りだった。この本から自分の好きな香りを探しに行くのもいい。嗅覚過敏で街中に出かけるとどうしても疲れてしまう人へ、今日は家で好きな香りで癒されながらこの本を読んで欲しい。

    10
    投稿日: 2023.10.02
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    嗅覚は人の本能に近い脳、大脳辺縁系に直接働きかける。香りの好みは理屈ではないわけ…アロマテラピーの資格を取得した際に学んだ。 本書の主人公の1人は調香師:小川朔。 犬並みの嗅覚の持ち主で、人の嘘や体調、発情まで嗅ぎ取ってしまう天才。 朔の住んでいる森の中の洋館に雇われる、もう1人の主人公:若宮一香。 2人の共通点は、封印している秘密の過去だ。 森やハーブ、食事の匂いまで、五感をまるごと刺激する読書体験だった。 近づきにくい魅力をもった朔と、俗世界に浸かっている新城の友情と対比も良いスパイスとなっている。とても好みの作品♡

    21
    投稿日: 2023.09.30
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    香りと人の秘密の親和性ってこんなにも高かったのね。 主人公が調香師の朔に、香りの面から侵食されていく様の耽美なことといったら… この2人のやりとりのみだと、どこまでも静謐で美しい時間がゆっくりと流れていくけれど、他のキャラクターが入り込むことで生まれる俗っぽさがアクセントになっていてちょうどいいバランス。 千早茜さんの作品を初めて読みましたが、食べ物がレシピ通りに丁寧に作られていく表現が、何とも言えず美しくて美味しそうで… 薔薇が綺麗に煮詰まった色と香りを堪能できる文章にこの上なく癒されました。 最後の章での朔の登場に、堪えきれない声を発してしまったのは私だけじゃないはず…!笑 安易に恋愛という関係性に落ち着かせないところが素敵!好み!と、喜びを噛み締める一方で、どうにか2人、いい感じになりませんかね…?と続編に期待してしまっている自分もいる。笑 小川洋子さん大好き人間としては、解説も興奮ポイントだった。特に薬指の標本という作品が好きなので、この作品を好きにならないはずがなかった。文体もお話も刺さりまくり!大好きな一冊に出会えました。

    9
    投稿日: 2023.09.28
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    嗅覚過敏症なので、朔さんには到底及ばないけど、読んでいる間も本を通じて色々な匂いを感じるようだった。初めての感覚のすごく面白い本だった。

    9
    投稿日: 2023.09.27
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    澄んだ物語。ずっとこの世界に浸っていたかった。終わってほしくないと思いながら、でも一香と朔さん、そのまわりの人たちとの関係を見届けたいと思いながら読んだ。赤い月の香りも楽しみ!

    12
    投稿日: 2023.09.25
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    実は随分前から"香り"というより"匂い"に関する本を読みたいと思っていた。 "匂い"は、過去のとある場所にタイムワープしてしまうほど強く記憶されていたりする。 逆に、過去の思い出には"匂い"の記憶まで蘇ってくるものもある。 五感は全てセットで記憶されていると思う。 もう1つ、第六感と言っていいのか分からないが(その時の)"気持ち"も記憶されている。 よく覚えているのは、"香り"とは呼べない、バスの排気ガスの"臭い"。 小学生の頃、嗅ぐと何故か気持ち良くてフワーっとなる感じが好きだったのだ。 工作で使ったニスやシンナーの匂いも…… おっと、危ない、危ない┌(・。・)┘♪└(・。・)┐ さて、この"香り"の物語だが、「嘘の匂い」これは本当にありそうだ。 何か特殊な化学物質が出ていそう。 「嘘の匂い」を実際に嗅ぎ分けられる人はいないだろうが、嗅覚がいい人って普段の生活が大変そうだ。 嗅覚がいい人と一緒に生活している人も気を使って大変だと思う。 潔癖症の人や何かにこだわりが強すぎる人と同等の生きづらさを感じる物語だった。 「ストレスの匂い」「欲情した匂い」「喜怒哀楽の匂い」、きっと世間は不快な匂いに溢れている。 そんな匂いを感じ取る能力があったら、自分自身が発する「嫌悪感の匂い」にやられてしまいそうだ。 私はたぶん匂いには鈍感な方だが、最近無印良品でエッセンシャルオイルを買った。 いろんな種類があって、好きな匂いと嫌いな匂いがあることがわかった。 選んだのは「おやすみブレンド」。 成分は知らないが、この香と心地よかった記憶が結び付いているのだろう。 寝る前に使っているわけではないが、リラックスできる感じはする。 続編も出てるようだがその前に、 香りが人体に与える影響を(科学的な見地から)勉強できそうな本を読んでみようと思う。

    65
    投稿日: 2023.09.22
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    小説を読んでて、これまでに香りというものにあまり気にすることは無かったが、本作を読んで 様々な香りの種類があることに気付いた。 実際にそんな香りがあるのかと、思ったのが嘘の香りです。嘘をつく人に纏う匂いとは、どんなものか、現実では、感じれない匂いが、文章を通じて鼻に残るような気持ちになりました。天才的な 嗅覚を持つ調香師の小川朔とある過去に取り憑かれて、なかなか前に進めずいる一香の香りを通した不思議な関係性に虜にされました。嘘の匂いを 嗅いでみたいなと、改めて感じました。

    39
    投稿日: 2023.09.20
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    鋭すぎる嗅覚で、二つとない香りのオーダーを受け、時には旧友の依頼で匂い捜査に協力する調香師の朔さん。生きる力が枯渇しているのにひりひりした自分を持て余していた一香さんが、家政婦兼事務員として働くうちに、二人が惹かれ合っていくのだな、とは思いながら読み進むうちに、二人がそれぞれ重い過去を秘めているのが分かってきて、胸が苦しくなりました。でもその苦しみを癒す香りを朔さんが処方して一香さんが「友人として」寄り添っていくラストに私も癒された思いです。 香りがテーマの小説ですが、朔さんのレシピで一香さんが作る料理やスイーツや保存食がとっても美味しそう! 嗅覚は鼻というより脳細胞によるところが大きい、という話を、池谷裕二さん・中村うさぎさん共著「脳はこんなに悩ましい」で読みました。あと、参考になったミステリがあるのですが、タイトルを言うとネタバレになってしまうので…。

    7
    投稿日: 2023.09.18
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    「一章」ではなく「top notes」で始まるおしゃれさにまず心を掴まれる。「last notes」に至るまで、どんどん深みを増していく人間模様と物語。 そうか、この本こそがもう香りそのものなのかと。 そんなことを考えた。 情景だけでなく人の声まで色で例えていたり、香りだけではなく色彩が豊かに表現されていて、五感に訴えかけてくる文体の美しさに、すっかり魅了された。間違いなく、出会えてよかった作品のひとつ。

    4
    投稿日: 2023.09.18
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    繊細な表現と、目を背けたくなるような重たい過去にすごいギャップがあるけど、匂いに関する表現がとても綺麗に書かれていて、すっきりと読めました。 読後からは、いろんな匂いが気になるようになりました。読む前には戻れません。 ドラマ化してほしいです。

    10
    投稿日: 2023.09.15
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    登場人物の朔さんや一香の危うさにハラハラさせられながらも、新城や源さんの温かさが作品の温度を高めていて、とても良いバランスで描かれていました。それぞれのお話しも魅力的で、世界観が好み過ぎたため、ゆっくり読み進めました。秋の夜長にはピッタリの作品です。

    10
    投稿日: 2023.09.14
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    香りは永遠に忘れることはない。 その香りを再び嗅ぐときまで忘れるかもしれない でもその香りを嗅いだらきっとその記憶は 呼び醒まされ思い出す。 調香師の朔さんはきっと人が触れぬうちに一度忘れておく香りでも、いつでも思い出せる膨大な量の引き出しを持っているんだ。 人から、街から、自然から、発せられるさまざまな情報と記憶に、きっと人の何倍も疲れてしまうんだろうなと。 調香師の朔さんのもとに入る風変わりな依頼。 朔さんの抱える孤独。 一香さんの抱える罪悪感と、気持ちの抑制。 香りによって苛まれることもあれば 香りによって解されていくこともある 嗅覚は人に多くの感情を引き起こさせるんだ 自然や感情の描写が美しくて 悲しい部分もどんよりせず、読み進めることができたと思う。 朔さんと会ってみたい。 ハーブの生活を送ってみたいと思った一冊だった。

    1
    投稿日: 2023.09.13
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     読み終わった感覚がない。  まだ興奮が抑えられないとか、余韻が、とかこれから続いていく物語が明確にみえてるから、とかではない。煙に撒かれてしまったみたいに、ふわりと消えて途絶えてしまった気がする。  けど戻ろうとすれば、あの洋館に吸い込まれるような感覚になる。  匂いを巡る物語のはずだが、私は物語に溢れた匂いよりも、絵画のように画的に残った。  それはそれで、ずっと胸を灼かれるような物語よりも心が落ち着いて好きだなと思う。  綺麗なのに儚くて歪みを感じる物語です。  主人公が内に重いものを抱いていて、それが朔と新城と源さん、洋館に訪れる人々との匂いのお話が和らげてくれる。と、いう話でもない。  そんなに綺麗ではない。  かといって、きっと一瞬で真っ黒になってしまうようなものでもない。  丁寧に丁寧に包まれた繭を破いて、破いた箇所から出た繊維を紡ぎ直すような。そんなきれいさです。

    2
    投稿日: 2023.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

     心の琴線に触れるような物語。 飾り過ぎない、だけど、美しい文章で綴られ、物語は淡々と進行するようでいて、時に、危険な香りを纏(まと)う。 『 ーーー香りは脳の海馬に直接届いて、 永遠に記憶される。   けれど、その永遠には誰も気がつかない。  そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは。      ・・・・・深い紺色の声で話してくれた。』  調香師・小川朔の過去の嘘の匂い、若宮一香の封印された過去へ誘う匂い、そして、刑事・木場の病の息子への葛藤と香り、等等。 『そう。意識はせずとも一香さんの身体はこの匂いを知っていたんだ。そして、無意識にさけていたんだ。人はね、自分自身にも嘘をつくんだよ』 『罰の香りを与えてくれました』  泣いた。なんの涙がわからずに。ただ、泣いた。 人の根源的何かに触れた、そんな想いになった。  甘い香り、官能的な香り、スパイシーな香り、歪んだ香り、など、様々な香りを堪能したが、最後は、若く爽やかな香りに包まれた素敵な小説だった。

    2
    投稿日: 2023.09.13
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    香りの描写も印象的だけれど、香りを色で表現する色彩表現も素敵だと思いました。 自分が昔好きだった人が、柔軟剤のような香りのする方だったことを思い出しました。まだその柔軟剤には出会えてないと思っていたけれど、柔軟剤の香りだけじゃなかったのかもしれないと気づきました。 朔ならこの香りも作れると思うので、彼の技術に縋る気持ちもわからなく無いと思いました。 主人公2人の今後がとても気になるので続編も読みます。

    1
    投稿日: 2023.09.10
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    特殊な能力を持つが故に辛い過去を決して忘れることのない朔。 彼が嘘が嫌いな理由を知った時は切なく感じた。一香もまた辛い過去があり、2人は出会うべくして出会ったのだろうか。 永遠に記憶された香りが、自分にもあるだろうか。その香りにまた出会った時に蘇る記憶が楽しいものであればいいなぁと思う。 初めは苦手に感じた新城が最後には好ましい人物に思えたのが良かった。

    2
    投稿日: 2023.09.07
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    綺麗な表現が多く、全ての描写が細かく、本当に香りがするんじゃないかと思うくらいでした。また食べ物の描写も細かいので、読んでいる途中お腹が空いてくるほどでした。 見えるものでもない「香り」をテーマに人の心の変化や影響していくのが面白かったです。一香の心の影や朔さんの心の影がどう変化していくのかも先が気になってどんどん読み進みました。また、朔さんと新城の真逆な性格のバランスも良かったです。続編?もあるようなので続編も読んでみようと思います。

    2
    投稿日: 2023.09.06
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    香りや匂いがテーマの物語は初めてで新鮮だった。 繊細で綿密な文章体が美しく描写や雰囲気に魅了され非現実的で異世界へと導かれた。 一香が作るハーブやスパイスの料理が文中から漂ってきそうで情景を思い浮かべながら独特の世界観に癒された。 朔と一香の距離感には終始目が離せなかったし、関係が深まるかと思えばそうではなかった。2人の物語をもっと見たいと思わせる、余韻が残る素敵な作品だった。 続編の「赤い月の香り」も絶対に読みたい!

    27
    投稿日: 2023.09.06
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    兄を失ったことによる深い罪悪感と哀しみを胸に秘めた元書店員の一香は、天才的な臭覚を持ち、依頼人の望むどんな香りでも作り出せる調香師の朔の元でアルバイトを始める。 「嘘は臭う」 朔は人の感情まで臭いでわかってしまう。体調、健康状態も。そんな人と一緒にいると安らぐどころか見透かされてしまうようで怖いだろう。事実、朔は孤独だった。一香は朔の孤独を知りつつも、ただ静かに日々の仕事をこなしていく。ゆっくりと朔が作り出す香りに染まりつつ。一香にも、朔にも、変化が訪れる。 とても静かで、だけど情熱的に、人の生と死、人生の喜び哀しみなどの諸々の想いを無数の香りで紡いでいくという、美しくて繊細で深い物語でした。一香と朔の単純に恋愛関係という既成の言葉では表現出来ない関係性が凄く良かったですし、脇を固める新城、源さん、アパートの大家さんも印象に残る魅力的な人達で好感度上げ、でした。 もしもの話ですが、この作品が映画化されることがあるとしたら、ぜひ4DXで香り付きでお願いいたします。

    1
    投稿日: 2023.09.05
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    匂い… 私も結構匂いって五感の中でも、大事にしているのでとても興味を持って読みました。 読みながら、美味しそうな料理や ハーブ系の匂いを感じることがすごく心地よく 染み渡るような感覚でした。 その中に悩みを抱えたいろんな人の ストーリーが あり朔さんと一香の深くて優しいやりとりにとても癒されました。 匂いの記憶は一瞬にしてその時代にタイムスリップさせてくれます。 時には不安や悲しみ逆に温かく優しい気持ちや きゅんとなったり。 人間ってほんとに深いですね。 素敵なお話で大好きなお話です

    30
    投稿日: 2023.08.27
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    朔さんはどんな香りがするんだろう。 他の感覚とは違って触ることも見ることもできない匂いだけれど、確かに記憶には残るなと。好きな匂い嫌な匂い、懐かしい匂い、記憶とリンクする感覚はよく分かる。 一香と朔の関係性、新城や源さんも含めた関係がとても素敵。

    1
    投稿日: 2023.08.27
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    私達が普段何気なく生活している日常は様々な香りで溢れていて、全てのものが「香り」を持っている。 朔さんの静かでミステリアスな人物像と彼の考え方、暮らし方。理解できない人が大多数かもしれないが、私は本を読み進めるうちに、そんな彼の暮らしぶりに憧れを抱いた。 この本は「魚神」とは全く異なる世界観を持つ。 ただの文字なのに五感全てを刺激される、 そんな1冊。

    0
    投稿日: 2023.08.21
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    千早茜『透明な夜の香り』 2023年 集英社文庫 千早茜さんの著書も初めて。こちらも皆さんの読了記事を読んでいて気になり、購入しました。 こんなにも香り立つ小説があるのだろうかと、まず驚きました。 30年程前からアロマが好きで、今でも気分や体調に応じてアロマオイルを楽しんだり、利用しているので、自分の知っている香りが無意識にイメージされながら読んでいました。匂いの記憶は永遠と小説にもあるように、イメージしたくない香りも蘇ってきたりもしちゃったけど笑 活字と香りを見事にリンクさせる著者の巧みな技に感動すら覚えます。 心地よいバラの香りに包まれて読了しました。 #千早茜 #透明な夜の香り #集英社文庫 #読了

    1
    投稿日: 2023.08.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    妖しい話に違いないと思いながら、開いたが、なんだろう…この無色感、無味感、無臭感。 いろんな香を想像するのだが、すればするほど匂いが消えてしまうような。でもそれが心地よい。自分の周りの何か変わったわけではないけれど、健康に生きるってこういうことみたいな…こんなことを感じる小説だとは夢にも思っていなかった。

    1
    投稿日: 2023.08.19
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    想像してた以上によかった。 あらすじや帯文など気にしない、 でも装丁はめちゃくちゃ気にする私。 装丁見て、不気味感があって、手に取れなかった。 いざ読んでみると、想像してた不気味感なく、 逆に感動する、落ち着く雰囲気、主人公の小川さんのことが、 もっと知りたくなっちゃう。 続編ポチり必須作品。

    0
    投稿日: 2023.08.13
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    人は何か1つでも繊細だと生きる上で大変である。 朔は香りに敏感で、視覚より嗅覚で記憶する。 敏感で繊細なのは生きる上で大変で辛い。生まれながらに備わっている感覚はなおしようがないが、考え方は変えられる。暢気に大らかに拘りを持たずに生きることの方が幸せだと常々思う。

    2
    投稿日: 2023.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文章の雰囲気が好みで、終わり方もその雰囲気のままで終わり、手元に置いておきたい1冊となった。朔の対人関係としては無神経な発言や、人並外れた能力、様々な闇を抱えた依頼人など、ホームズっぽさがあり、面白かった。 小川朔は超人的な嗅覚を使い、客が求める特定の香りを再現する調香師という仕事をしている。 その仕事を共にやろうと話を持ちかけ、客の斡旋など外回りの対応をこなす新城。 元薬品会社の社長で屋敷の持ち主でありながら自身は二間の部屋で過ごし、家庭菜園を生きがいとする源。 兄の引きこもりからの首吊り自殺に、途中途中手をかせた場面はあったのに無視した自身に自己嫌悪を抱き記憶を封印していた一香。 ある時、朔が"執着と愛着の違い"を知るために朔が調香した"パソコンの香り"で一香はその引きこもりの兄を思い出し、封印していた記憶が解かれる。 「そうやって彼女を所有するのはどんな気分、だった。えらくこだわっていた。あいつは嘘をつかない。自分の欲求にも正直だ。だから、なんか気になってさ。しばらく経ってからなんであんなことを知りたがったのか訊いたんだよ。」 「執着と愛着の違いを知りたい、と訊き返されたよ」p223

    2
    投稿日: 2023.08.10
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    面白くてすらすらと読むことができました。 朔さんと周りの人々のこれからが気になります。 続刊も楽しみです。

    6
    投稿日: 2023.08.09
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    一香と朔が抱えているものと、2人の行く末が気になりするすると読めた。 香りと記憶は結びつくという話、人は無意識のうちに自分にも嘘をつくという話は印象に残った。 主題とはずれるが、読みながら四季の移ろいを感じられて心地よかった。洋館での暮らしのように、食べるものなどを通じて季節を楽しむ心を持ち続けたいと思った。

    1
    投稿日: 2023.08.06
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    独特な雰囲気の小説。 主人公は調香師で香りにまつわるエピソードが描かれている。 続編も読んでみたいなと思った!

    8
    投稿日: 2023.08.06
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    アパートにひきこもっていた主人公一香が重い体を引きずって仕事の面接に向かった先は、調香師の朔の館だった。 生まれつき鋭過ぎる嗅覚を持ち、それゆえに人とうまくコミュニケーションがとれない朔。それを補うように世話を焼きつつ館に出入りする新城と、庭の植物を世話する老人、源。 いつしかそこに自分の居場所を見出しつつあった一香だったが‥。 一見穏やかな中に鋭く危うい空気を纏う館。安らぐようで、お互いに踏み込みきれない領域を間に抱えた緊張感が伝わってきて目が離せない。 そしてあとがきが小川洋子氏という贅沢。

    1
    投稿日: 2023.08.06
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    最初アスパラギン酸のことを話題にしていると思い、でも含硫アミノ酸ではなかったよね、と思ったのですが、別にアスパラガス酸という硫黄を含むカルボン酸があるのだ、と知りました。

    0
    投稿日: 2023.08.06
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    香りがテーマのミステリアスな小説。 嗅覚に優れ人の嘘をも見抜いてしまう。そんな彼のもとには様々な依頼が舞い込む。香りを調合する仕事が。 香りを求めてくる人は様々な欲望を隠し持っています。晒しだす人もいれば嘘をつく人もいる。 でも彼の前ではすべて暴かれてしまう。その人の体臭によって。 ミステリー要素と少し変わった恋愛要素もある。 続編が文庫で出たら続きを読もう。

    9
    投稿日: 2023.08.01
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    これほどまで嗅覚はもちろん、視覚、聴覚、味覚、触覚を優しく刺激される小説は初めて。 この妖艶でミステリアスで、穏やかなのに、背筋がゾクゾクするような感覚は癖になりそう。

    3
    投稿日: 2023.07.31
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    香りをテーマにした小説を初めて読みました。 香料会社に勤めている知人から「香りを言葉で表現するのがなかなか難しい」という話をよく聞いていましたが、実際に嗅ぐことのできない小説内の香りにもかかわらず表現が丁寧で美しく、何かしらのイメージが頭に浮かぶような書き方がされていました。香りに全く詳しくない自分ですが、実際に嗅いでみたいと思わせる小説でした。

    0
    投稿日: 2023.07.30
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    千早茜さんの世界観やっぱり好き。 静かで、澄んでいて、落ち着くのはなぜだろう。 文字を読んでいるのに香ってくる本。 少しずつ少しずつ香りと共に変化する日常 変わらないでいてほしくて没頭してしまった。 朔さんの特異な能力でこれからどう生きるか 続きが気になるお話でもあった。 調べたら続編が出ているようで嬉しい。 また読んで、香る、楽しみができた。

    2
    投稿日: 2023.07.29
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    誰しもがもつ過去や記憶、そしてそのトラウマに「香り」が深く結びつく。 異常とも言える嗅覚をもち、秘密のオーダーメイド香水をつける調香師、小川蒴の元で働くことになった主人公・一香。 どんな匂いでも作り出す蒴のもとで働く中で、自分の過去と向き合っていく。 「香りのする小説」というものを初めて読んだ気がする。言葉と香り、一見遠い存在の様に思えるもの同士が、こんなに親和性が高かったのかと思わせてくれる作品だった。

    3
    投稿日: 2023.07.28
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    若宮一香が働くことになった洋館に住む調香師の小川朔。一香曰く、紺色の声を持つ。香りから全てを察し、人の嘘、欲望、体調までもかぎわけることができ、その人が求める香りを作っている。朔の住む洋館の澄みきった空気感、そこで働く一香の作るハーブを使った料理、飲み物も爽やかでよどみないように感じた。朔の作る香りと過ごし、仕事に接し、朔に助けられたこと、わだかまりを話せたことで一香が癒されていき、つらい過去を乗り越えたときに訪れた2人の関係が、また紡がれていくことがわかって、よかったと思った。庭の手入れをしている源次郎さん、探偵の新城、一香のともだちのさつきも静かな2人のまわりで、明るくいてくれていい味をだしていた。

    2
    投稿日: 2023.07.27
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    #香る本 #嗅覚をつかう本 #香りを探しにいく本 #睡眠導入剤な本 #感覚が研ぎ澄まされる本 嘘は、におう。 この本をひらけば、穏やかな静かな夜の世界にいつだってはいれた。 どの場面でも、静かな空間の中に香りが浮かび上がってくるようで、こんなにも嗅覚を自然と使いながら読み進めた本は初めて。 そして同時に、香りに意識を向けると、他の感覚が研ぎ澄まされることも、この本を通して発見した。 本を読みながら、ハーブティーを飲む。 ハーブのかおりを、細胞が感じ切るまで、息一杯に吸い込み、そうすると、 鳥肌がたった。頭が痛くなった。 ああ、わたし、今日疲れてるんだな、と身体全体で感じた。疲れていることを身体全体で感じることは、不思議と気持ちの良さを感じた。 疲れてるね、そうだね、気づいているよ、と。 香りは記憶を呼びおこすもので、 だから、 わたしはあの人にどんな香りを与えているのかな とふと考えたりもした。 そして、その人自身の香りを好きなことは、とてもたいせつなことだな、と改めて気づいた。 柔軟剤や香水ではカバーしきれない、その人が放つにおい。 わたしはできるだけ、透明なにおいがいいな、と思う。 _φ(・_・ ああ、どうして人はつらいことを話すとき笑おうとするのだろう 失うともう思い出せなくなるのに、違うということだけはわかるのだったな

    0
    投稿日: 2023.07.27
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    ギフテッドって、家庭環境に恵まれない場合はどうなるんだろう? あー(グッドウィルハンティング)という映画は出逢いによって開花してたなあとか思ったり、声色と言うけど黄色い声っていう表現しか知らないなあ。紺色の声ってどんなのだろ?人を好きになる要素で声も匂いもよく聞くなあ。なんて取り留めもないことを考えたりもしました。ミステリアスな感じの内容も良かったです。あー読書って楽し!!

    8
    投稿日: 2023.07.25
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     「香り」を言葉で緻密に表現した作品。というよりは、それを更に超えて、文字という視覚情報よりも嗅覚が先行する程に、繊細に、「香り」というものが描かれた作品。  「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。」また、「鮮烈な記憶は人を狂わせる。」天才的な嗅覚を持つが故に、どんな記憶も忘れることができず、その全てが深く残り続ける朔の苦しみはどれ程のものだろうか。  また、作品のテーマは愛情と執着の違いについて。あまり突き詰めて考えたことがなかったが、相手の変化を受け入れることができるかどうかがその境目の一つなのかな、と思った。

    12
    投稿日: 2023.07.25
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    千早茜さんの文章はいつも触感や匂いを感じる この本は終始心地よい香りに包まれ匂いは人工的でなくハーブや木や花の香り、それはまるで透明な夜の香り 文章を読んでいるだけで気持ち良かった ミステリアスな調香師の朔が素敵で恋に落ちる女性が多いだろうな 続編が出ているので早々に買いたい

    6
    投稿日: 2023.07.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず、タイトルが美しい。 “透明な夜の香り”という存在しない香りにも関わらず、なぜだかわたしたちはそれを知っているような気がする。すっと鼻を抜けるのに奥に重たさのある静謐な香り。(個人的に知っているなかでこの香りにいちばん近いものはラルチザンパフュームのテネブラエだと思う) 香りをあらわす日本語は“臭い”しかない、という話を聞いたことがある。それにも関わらず、ほんとうに香りがしてくるような生感のある、かつ美しい表現ばかりで感嘆した。とくに料理の表現があまりにも鮮やかだった。 そして、朔が印象的だった。最も虚構性の高い人物だったが、こんな人間が実在したら、と空想してしまうほどに 儚く強い光を放っていた。 屋敷の人びとの関係性が好きだった。まったく属性や気質の違う人間たちが こころの脆いところでつながっていたり、お互いに干渉せずただ相手を広く受けとめていたり。恋愛や性愛でなくとも、そこには確かに愛があった。ずっとこのままこの平穏を、この屋敷のなかに閉じ込めていてほしい と願ったが、結末を読んで切ないながらも各々にとってこの選択は間違いではなかったんだろうなと思った。 タイトル、装丁、そして物語、すべてが美しかった。

    1
    投稿日: 2023.07.22
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     目の前に広がるあらゆるものを香りとして感じとる朔は、卓越した嗅覚の持ち主であるがゆえに孤独を抱えていた。ある日、調香師としてひっそりと屋敷に暮らす朔のもとに、ひとりの女性が訪れる。家事手伝いとして雇われるようになったその女性である一香は心に消えない後悔を背負っていた。  千早さんの文章を読んでいると、物語が言葉として頭に伝わるのではなく、込み上げた感情が心の奥深くに浸透していくような感覚になる。香りという目に見えない感覚的なものが反映された文章は、綺麗だなと思うと共に、湧き上がるこの感情を形あるものとして残しておく事に難しさを感じ儚くなった。随所に温度を感じる表現が多く、その感触が心地よい。  本作ではテーマのひとつに、傷を負った主人公たちが過去とどう向き合っていくかという事があげられるように思う。「香りは永遠に記憶される」という印象的な言葉が作中に度々出てくるが、悲しい出来事は香りとして永遠に残る事を暗喩しており、トラウマと対峙する事への難しさを痛感させられた。  朔と一香は同じ時間を過ごす中で、少しずつ気持ちに変化が表れてくる。その変化がふたりの心に確かな輪郭を与えていく。その様子に心が温かくなった。

    1
    投稿日: 2023.07.21
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    美しい文章。普段香水はつけないけど、香水をつけたくなったし、人の匂いにも敏感になったような気になれる笑 出てくる料理まで美しいです。全体的に透明でひんやりした雰囲気があるので夏に読むのも良いかもしれません。

    4
    投稿日: 2023.07.21
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    心地よい香りが漂う美しい小説に出会った。 すごくすごくお気に入りの作品になった。 朔さんが登場すると、本越しにこちらの感情や体臭を見透かされるようでドキドキしてしまう。

    4
    投稿日: 2023.07.20
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    私もその館で香りを感じてみたい...と常に思いながら、家ではお香をたきながら読むのがすごく楽しかったです。 香りの世界ってこんなに深いんだなあ、っていう薄っぺらな感想になっちゃうけど、今まで関心のなかったものの深い部分を見るのってなんか面白いなと改めて感じました。 それぞれのキャラクターがよく立っていて内容もスッと入ってくるし、でてくるお料理の描写も素敵で、真似したいけど真似できないあの素敵な空間が、すごくイメージしやすく私には心地いい小説でした。 続編もあるということで、早く読みたくてうずうずです。

    4
    投稿日: 2023.07.19
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    これは今までとなんか違う。 もっと疑いを持ったまま読み終えたかった。 綺麗で満たされる。それが腑に落ちない。

    1
    投稿日: 2023.07.18
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    香りを主題にした話だからなのか、全体的に描写に静けさを感じました。沈黙の中でも香りが語るというか… フェロモンって気づいて欲しいってメッセージなんですね。そう思うと切ないなーと思いました。 これは究極の恋愛小説なのでは?と個人的に思いました。美しくてすごく素敵な小説でした。

    5
    投稿日: 2023.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Kindleで読んだ。 元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変わりな依頼が次々と届けられるが――。 朔の鼻は、ファンデーションの香りからどの化粧品会社のものかまで分かるほど優れていて、物の香りのみならず、その人感情によって変化する体臭も嗅ぎ分けられる。 そんなに鼻が良すぎると大変だろうな…。 “香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される けれど、その永遠には誰も気がつかない。そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは。” 嗅いだ瞬間に鮮明になる、一香が思い出したくない記憶。 「パソコンが使えない」という言葉には、そんな過去があったとは…。 ハーブを使った料理が多くて、読んでると整ったような心持ちになった。 苺とミントのスープ、ローズマリーとチーズのパン、烏龍茶と金木犀のジュレ、スターアニスとレモンの仔羊クリーム煮…。 千早先生のTwitterの料理写真にもいつも癒されています。

    4
    投稿日: 2023.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公の一香とその雇用主で調香師の朔(さく)がメインの登場人物。 朔は鼻が利きすぎるおかげで、相手の体調や使用している化粧品の内容、人の嘘や過去などがわかる。 その能力を駆使して顧客の抱える問題を「香り」を駆使して解決する。顧客だけでなく、一香に対してもであった。 一香は「中学以降から引きこもりの兄を見捨てた」という過去を持っており、その罪悪感に苛まれ不健康な生活を送っていたが朔に仕えるようになってから、職場での食事や仕事終了時に渡される入浴剤や紅茶などにより健康な生活を送ることができるようになった。 物語の終盤でパソコン周辺の匂いを再現し、兄が自殺したときの光景を一香に思い出させ、過去を昇華させるシーンは、小説の序盤に朔が一香に話していた「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」ということを実現していたのでとても印象的なシーンでした。

    5
    投稿日: 2023.07.16
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    また読み返したい、すごく面白かった!!! 香りが主題の話だが、絵本のように情景が穏やかで美しい小説。 それだけではなく人の人生に深くかかわっている物事を思い出すトリガーが香りである、というのを起点として、人の秘密にまつわる物語が展開されていくので、かなり引き込まれる。 すごく心が落ち着く小説で、また読み返したいです。 これはわたしだけかもしれませんが、自分の体調は香りにもあらわれると読み、しっかり健康に生活に向き合わないとなと感じました。笑

    4
    投稿日: 2023.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昨日は移動日だというのに調子が悪かった。 参った。 多分、毎度お馴染みの気圧のせいだ。 気合いで自宅への道を辿った。 音楽も聴きたくないだなんて久々の絶不調。 窓を全開にしたら、街の喧騒と通り抜ける風が気持ち良かった。 ちょっと救われる。 前置きが長くなったが何が言いたいかというと、こんなに不調の日でさえ夢中で読んでしまったのが本書「透明な夜の香り」だったということ。 初めての千早茜さん。 ブクログと、螺旋プロジェクトのお陰で、初めての作家さんでも躊躇なく手に取れるようになっている自分が嬉しい。 ユーザーの皆さん、有難う御座います。 庭園のハーブが沢山出てくるけれど、陽射したっぷりのキラキラした話というよりは、静かにゆっくりと、閉じられた雰囲気で物語は進む。 一香のバックグラウンドか、朔の纏う雰囲気のせいかもしれない。 でもそれが逆に心地よく、本来香りを伴わないはずの文章からでさえ香りを感じられるような錯覚を起こす。 更に、程好く胡散臭い新城がペースを乱してホッとさせてくれる。 分からないものに対し、俺には分からないとハッキリ言ってくれる新城のような存在に、きっと朔は何度も救われてきたのだろうと思う。 源さん独特の存在感にも癒される。 源さんが守る庭園の植物たちが、つまりは朔を守っているから。 きっと草木と大地の香りがする、太陽みたいな人なんだろうな。 それら主要人物たちが響きあって作り出しているベース部分が絶妙に丁度よく、弱った心と体にじんわり浸透してくれるものだから、スルスルと読めた。 そして2章のFloral Noteから本格的に物語は動き出すのだが、 物語は"香り"にまつわるお話という甘い響きでありながら、執着が人を狂わすゾッとするお話だった。 朔ほど確実な"におい"とは言えないけれど、嘘が発するにおいって、分かる気もする。 哀れな藤崎さん。 こういう人って、着飾った分だけ醜い。 けれど庭に咲いた梔子と小雨が、その嫌な後味を覆い隠してくれる。 梔子は、私も育てていた事があった。 白くて、甘い濃い香り。 なのにまた嗅ぎたくなってしまう香りだ。 作中、人の嫌な一面が描かれていても、 朔の要求するシンプルだけど丁寧な食事や、 庭のハーブや花たちの香りが、 それらを中和させてくれているように思えた。 だから読み進めることができた。 香水ではないけれど、作者である千早さんの調合が上手なんだろうな。 続くお話に登場するのはミツコさん。 あぁGuerlainか、と思う。 社会人として初めて勤めた職場の先輩がミツコを愛用していたのを、その香りと共に思い出した。 かなり古い記憶だ。 我ながら、よく思い出したものだ 笑 その先輩とは特に親しかったわけではないが、初めて嗅いだ甘いとも苦いとも言えない複雑なミツコの香りを、大人だな~と感じたことは覚えている。 物語に登場するミツコさんは上品で、だけど一匹狼の雄々しさみたいなものも感じて、 小説の本文で「慎ましやかな獣」と表現されていたのがぴったりだった。 静かに受け入れるミツコさんは強くて、こちらには出来ることが何も無いと悟れてしまうことが、一層悲しく思えた。(読者は物語の外にいるので、もとより眺めることしか出来ないのだが。) ミツコさんの言う、 「こんなもの嗅いでしまったら、もう後戻りできないじゃない」 が、印象的だった。 だからミツコさんに香りを添えることが出来る朔の仕事は素敵だと思ったが。。。 でもどうやら朔もまた、抱えている何かがある。 そして「埋火(うずみび)」という言葉を知らなかった私は、検索した。 「炉や火鉢などの灰にうずめた炭火」とあった。 成る程、火鉢の中でひび割れた灰の隙間から、真っ赤に輝く高温の赤色が見えている、アレだ。 アレを表現する日本語が存在するんだと嬉しくなった。 これだから日本語って趣があって好きだ。 しかし。 弱った心と体に寄り添ってくれるお話かしら?と読み始めたのに、物語を進めるうちに「透明な夜の香り」は弱った私なんて見向きもせず、ちょっぴり怖くて悲しい方向へと向かっていってしまった。 あらら?そっち方向の話だったかー! でも、怖いな、辛いな、そう思いながら私はもう、読む事を止められなかった。 朔、一香、新城、源さん達がすっかり好きになってしまっていたし、物語の展開に惹き付けられてしまったから。 だからラスト手前のクライマックスでは胸をぎゅうっと握られたように息苦しくなり、 ラストはホッとして涙ぐみそうになってしまった。 読むまでは、「透明な夜の香り」というタイトルに不思議な色気を感じていたけれど、 読み終えた今は全く別の印象へと変化した。 そんな生温い、甘美なものではなかった。 いや、香りは甘美であるからこそ、人を惑わし執着させるのだけれど。 タイトルが掴めた頃、表紙の表すものも見えてくる。 朔や一香の過去が明かされる部分は辛かったが、ラストシーンで初めて太陽の陽射しを浴びたかのような気持ちになれたのが良かった。 物語中には昼間のシーンも沢山あったのに、 何故か、眩しいほどに太陽光を感じられたのはラストだけだったのだ。 ラストが、恋愛の始まりでなかったことも好感が持てたし、ストーリーに説得力が増したように思った。 これで恋愛へと発展して物語を終えてしまったら、「執着と愛着の違いを知りたい」のくだりが薄っぺらなものになってしまう。 朔、一香、それぞれが抱えてきた記憶や孤独は、恋愛へと急展開して解決できるようなシロモノではない。 きっぱり「友人として」と意思を持って発言する一香は健康的で、薄くぼんやりと生きていたこれまでとの違いがハッキリ分かる。 一方、その香りが恐ろしい結果を招く可能性があろうとも、言われるがままに香りを調合してきた朔もまた、後半から変化を見せる。 最後は自ら一香を解き放ち、初めての変化を受け入れ、認め、自らの思いを伝えるべく一香の元へとやってきた。 天才的な能力を持つ朔に、どうしたって孤独はつきまとう。 それでもラストは屈託なく子供のように笑うのだ。 暗い過去を秘めた共通点と、雇い主と雇われ人という強制的な関係性から抜け出した、二人が築いてゆくだろう新しい関係は健康的だ。 透明な夜の香りに包まれていた二人が辿り着いた、新しい世界が、明るくお日様の匂いたっぷりであるといいなと思う。 続編も、読みたくなっている。 そうそう。「紺色の声」って素敵な表現だな。 ふと、私の声は何色だろうかと思った。

    32
    投稿日: 2023.07.16
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    千早茜さんの作品は2冊目ですが、こちらも綺麗な文章でした。匂いも臭いも香りも感じられる作品。 何かひとつ特化した能力があることに憧れもあるけれど、あったら苦悩の方が多いのか... いい記憶も悪い記憶も匂いで蘇ることって誰にでもあると思う。 蓋をしてきた辛い記憶の匂いを持っていた2人だから、何か惹き付けられるものがあったのかな。 登場人物のバランスが絶妙で、脇役がいい味出してます!終盤がすごく良かった♪

    19
    投稿日: 2023.07.16
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    朔と一香のこれからを見てみたいと思った。 続編には一香は登場しないのだろうか。 続編が文庫になるまで待てないかも。

    1
    投稿日: 2023.07.11
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    優れた嗅覚を持つ調香師の朔と、その友人で探偵の新城。 オーダーメイドで依頼人の希望する香りを作るそこで雇われることになった一香。 ⁡ 静かな静かな、でもドラマのある物語。 ⁡ とてもとっても繊細で素敵で 外界から閉ざされている洋館の中での丁寧な暮らしはとても魅力的で ⁡ 静けさの中にも緩急があって心地よくて ⁡ 終わり方もとってもやさしく ささやかなのに確かなやさしい終わり方で すぐに続編も購入 少し読んだけど読むのが勿体なくていつ読もう

    1
    投稿日: 2023.07.08
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    もう、めちゃくちゃハマって、2日くらいで読み終わってしまった! 天才的嗅覚を持つ一方で、コミュニケーション能力に欠落があり、母親から見捨てられた過去を持つ調香師の小川朔。「兄を見捨てた」という過去からずっと逃げてきた若宮一香。朔が作った「香り」を嗅いだ一香は、これまで直視することを避けてきた過去と向き合うことになる。 「小説に登場する料理を食べたくなる」という人をこれまで何人も見てきました。正直なところ私はそういう体験をしたことがなく、その気持ちを共有できないのが凄く寂しかったのですが、この小説は私に初めてこの体験をさせてくれました!料理やお茶の場面は、まるで食材の香りが立ちこみてくるよう。自分でも作ってみたい、食べてみたいとワクワクしながら読みました。 一香と朔だけでなく、新城、源さん、さつきちゃんの3人もそれぞれ異なる魅力を持った素敵な人物でした。 物語の舞台である洋館の静けさとかが「小川洋子さんの小説の静謐さに似てるな〜」と思いながら読んでいたら、文庫本版の解説を小川洋子さんが書いてて嬉しかった!

    5
    投稿日: 2023.07.08
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    とても良かった!! しんしんとした静かな空気感、透き通った文体にすごく引き込まれた。 続編の文庫化が待ちきれない...!!

    0
    投稿日: 2023.07.08
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    久々に一気に読める小説に出会った。童話のようなゆったりとした空気感のお話ではあるが、読む手が止まらない。調香師という馴染みのない職業ではあったが、描写が美しく、とても興味がそそられる内容だった。登場人物たちの苦悩が香りによってあぶり出され、各々が今後どう行動するかと言うところが見どころ。 将来テレビドラマ化しても面白そうな内容だった。個人的には朔と新城のやりとりが好きだった。

    4
    投稿日: 2023.07.07