
総合評価
(332件)| 51 | ||
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powered by ブクログ全部、馬鹿馬鹿しく見えて、全員がカスに見えるけど、自分では自分が1番カスだということを知っている。そういった過剰な自意識が自分にもあると思った。
1投稿日: 2022.03.17
powered by ブクログ最近この作家が亡くなり読んで見ました。人相に興味が湧き楽しみにして読みました。生々しい描写や毒付く台詞は予想を裏切らないものでした。
0投稿日: 2022.03.08
powered by ブクログ次はこの作品を読もうと思っていた先月初め作者西村さんの訃報を知った。 父親が起こした性犯罪事件により故郷から逃げ母と姉とのアパート生活。 中学卒業後、日雇いの仕事で小銭を手に入れ、酒と煙草にその日暮らしの19歳の貫多。友人も居らず学歴コンプレックスと経済格差に世間を恨み自堕落な毎日に堕ちてゆく。 昔、深夜のテレビ番組の企画で即興で小説を書いている西村さんを観た事がある。 スタジオの床にうつ伏せに寝転び、手書きで原稿用紙に書き始める。もう、それだけで風呂無しのボロアパートでせんべい布団に吸殻だらけの灰皿が溢れかえっている映像が見えるようだった。 小説の中では人間の嫌な部分をこれでもかと描いていたが、嫌悪感を覚えつつ人間臭さがリアルでどこか憎めない感じがするのが不思議だ。 ただ真っ暗な闇夜の中を走り、夜が明け果たして終着駅はあるのだろうか。 苦役列車は彼を乗せて行ってしまった。 ご冥福をお祈りいたします。
38投稿日: 2022.03.08
powered by ブクログずっと夜みたいな話だった書き方がすごい悲しい苦しさと焦りを感じた 「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の方が夜明け前って感じだった(実際に当時の西村氏の状況がそうなのかは分からないけど)余裕と落ち着きがあった少し温もりがあった
0投稿日: 2022.03.07
powered by ブクログ面白すぎて、3時間で読めました。 内容的には、中卒で、その日暮らしで、日雇いの 仕事で生活している主人公貫多の、社会に対して の怒り、思い、価値観などをリアルに描いた作品 です。この作品を知ったのが、映画です。 面白そうだなと思って、映画から入ろうと思ってた けど、著者の西村賢太さんが先日亡くなられたので、原作を読まないで、実写化から入るのは、 自分の中で、著者に失礼だなと感じ、原作から 読みました。著者と主人公が重なる部分も多く あると思うので、どこか、私小説に似た感じもします。
23投稿日: 2022.02.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
作家がニュースになっていたのと、電子書籍が安くなっていたので、読みました。 私小説というジャンルに初めて触れました。生々しく思ったのと、この作家に限らず私小説とはこういうものなのかーと興味が湧きました。 無事に大人になっていた主人公に安心しました。
2投稿日: 2022.02.19
powered by ブクログ怠惰で強欲で被害妄想気味で嫉妬深くて救いようの無い男。 そんな男の物語がどこまでも生々しい。 ある意味すごく人間だ。剥き身の。 面白い。
8投稿日: 2022.02.14
powered by ブクログまずは早すぎる死にご冥福をお祈りいたします。 主人公の貫多は父親の犯した性犯罪の負い目を負い、さらに母親からは捨てられ19歳で日雇いの港湾労働者となる。自堕落な生活と自尊心の強さ、学歴コンプレックスなどで生活は荒れ放題だった。 この話は1986年頃の話のようなので、ちょうどバブル景気の頃。世の中が浮かれ切ったモードの中での影の部分を扱っているのかも知れない。サクサクと読めるのですが、読んでいて怖かった。こういう社会の両極端な光と影がああることが。貧困は自己責任ばかりではないと思う。
0投稿日: 2022.02.14
powered by ブクログ先日、著者は突然この世を去ってしまった。 一橋大学MBAの楠木建教授が以前本作をとても評価していたので購入して積読になっていたのだが、前述のとおり著者の訃報を得て読んでみることにした。 こんな生活がこの時代にあるのかと思いつつ、またこんな文章を現代に書ける人がいるのかと2つの驚きがあった。生活臭が漂ってくるような情景と心情の描写が心地よく他の作品も読んでみたくなったのだが、逝去のせいか在庫不足が目立って残念。復刊や増刷を強く望む。
0投稿日: 2022.02.11
powered by ブクログ訃報を機に気になっていた本書を手に取ってみた。 私小説ということで、内容に衝撃を受けた。 非常に読みやすく、あっという間に読んでしまったが、自分の語彙力の無さを痛感させられた(結構難しい単語や旧漢字が使われているため)。 女性受けしない内容と聞いていたが、そんなことは感じなかった。 これを機に他の作品も読んでみたいと思った。
0投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログ初めて?読んだ私小説。 印象的な文章は以下の2つ。 ●(風俗なんて、一種の必要悪だという貫多に対して、) 必要悪でなんでも肯定しようとするのはよくないよ。そんなのは本来なくっても良いものを、それによって利益を受けてる者が無理に正当化しようとする幼稚な口実に過ぎないよ。そんなのは、事の真理のごまかしだ。 ●得てしてインテリというのは、自分より学力の劣った者を、あらゆる面において同様に劣った、加糖なものだと錯覚しているフシがある。そして、ことそうした者に対しては、、自らの落度はてんからあり得ようはずもないくらいに思っているから、甚だタチが悪い。いわゆる、お利口馬鹿というやつなのである。
0投稿日: 2021.12.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
堕落っぷりにどっぷりと浸かれる作品でした。 部屋の汚さや,貫多の不潔さがすごく伝わってきました。それはもう読んでいて匂いが伝わるほど。 序盤で登場する労働先へ移動するバスの車内でコンビニ食にありつく他のものが食するものの食べ方にはすごくイメージが湧きました。 物語はフィクションではあるものの,いわゆるホワイカラーではないもの特有の家庭環境の難しさだったり,他人との交流がうまく図れないこといったごく一般的な傾向が描かれており「だよな」と思わせる主人公の描き方がすごくわかりやすかったです。 4,5年前にどこかで見聞きして心のどこかで読みたいな〜と思っていた作品を読めてよかったです。
1投稿日: 2021.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
交流が深まるにつれて貫太と日下部の格差が可視化されていく様に、切なさを感じた。 貫太ほど極端ではないにしても、自分よりも幸福な人間に対する嫉妬や劣等感は多くの人が内に秘めている感情なのではないか。それらを飲み込めずに他者にぶつける性質の一点が、貫太を落伍者たらしめる。 独特すぎる痛快な暴言の数々に笑いつつ、急速に冷え込んでいく作中の空気がリアルに伝わってきて、当事者並みに気まずい感覚が押し寄せた。愉快と不愉快を同時に味う不思議な読書体験だった。 貫太と同じ土俵に立たず、静かに距離を置こうとする日下部の姿はどこまでも常識人であり、貫太の惨めさをより強調している。落伍者と常識人、両者の覆せない隔りを巧みな文章で描いた作品である。 その両者の立場に共感する私は何者なのか、しんみりと考えさせられた。
3投稿日: 2021.09.01
powered by ブクログ自分はかなり恵まれている環境に居る人間だと自覚しているけれど、どうも貫多の境遇や物事の捉え方に他人事とは思えない部分を多く感じてしまった。
2投稿日: 2021.08.12
powered by ブクログ何回読んでも引き込まれる作品。 主人公が底をもがきながら生活していく作品は面白い。 苦しい状況だからこそ人間味も醸し出される。 そこにとても魅力を感じた。
1投稿日: 2021.06.14
powered by ブクログ芥川賞受賞作なので「期待」をもって手にしました。 貫多みたいなその日暮らしの人ってたくさんいるし、知り合いにもいた。自分も、その場さえよければいいやって時代を長く経験し、わからなくもない。でも、その貫多の日常を覗かせてもらって、それで終わってしまった、、、という感想。 併録「落ちぶれて~」の貫多(著者)に至るまでの約20年に何があったのかは知りたい気はした。 読めない漢字が多くて調べても調べても追いつかず。
5投稿日: 2021.05.24
powered by ブクログ読書開始日:2021年5月8日 読書終了日:2021年5月9日 所感 最初から最後までずっと暗い作品だった。 時折ある自分の悪な部分を濃縮した存在が貫多のように思えた。 母や姉の話が出てこず、ひたすらに貫多のみに焦点を当てた話の進行により 自分のみが可愛く欲に忠実で、他人に興味が無い感じを痛烈に感じさせる。 貫多は確かに、成長する過程でビハインドとなる出来事、生活があった。 そこについては、同情せざるを得ない。 やはり、どうしても自己防衛本能が働き、行き場の無い愛は自分へ注ぎ込んでいくしかないのだろう。 そうした貫多を、寸分の狂いもなく、狂いがあるとすれば痴漢や急病人、人身事故しか無い列車に見立てた「苦役列車」の題名は、 よく表現されていると感じる。 どちらかといえば自分は日下部に当てはまる。 粘着され、自分の所有物かのように扱われ、愛せよとのみ要求される関係性は、 どんなに慈悲の心があったとしても続かない。救う心をもてない。次第にフェードアウトする。 日下部も貫多も現実には多くいるはず。 貫多のような人間の先行きは絶対に今後もわからないだろうが、この小説では続きが読めた。 日雇い労働にて、ポケットに私小説のコピーを入れたところで、前半部は終わる。 そこから小説家となり、川端賞候補まで残る。 小説家になる経緯をあえて書いてないところが面白い。 生活も日課も日雇い当時とは打って変わっている。 それでもやはり性根は変わっていないところに、どこか安心した自分がいた。 結局受賞をできず、川端賞の候補に2度上がったことを誉に、また列車が進む。 それでも、繰り返しの日々の中で、どこか自分に折り合いをつけ、光明が見えるところまで筆をとった貫多に、 こんなふやけた、生活とも云えぬような自分の生活
1投稿日: 2021.05.09
powered by ブクログこのような私小説もあるのかと驚いた。 このような視点で書かれた本はあまりないのではないか。 石原慎太郎の解説が、この作家の小説をよく表しているのだろうと思った。 他の作品も読んでみる。
1投稿日: 2021.04.11
powered by ブクログ中卒、芥川賞受賞というから、以前より気になっていた。図書館で借りて朝の通勤時間で読み始めた。ちょっと失敗。朝からどんどん暗い気持ちになってくる。ところどころでプライドがあるとかなんとか言っておきながら、主人公が全くウダツがあがらない。じゃぁ、もっと動け、もっと計画的にと思い、節々全く共感できず。私ならこうはしない、こう考えない等。 でも彼のすごいところは文才がある。やっぱり今の私のように通勤している自分をみると、日下部と同じく凡人な人生なんだろうなと。 非凡な彼は私とはやっぱり考え方が違う。だからこうやって日の目を見る。なるべくしてなった彼の人生に脱帽、感服です。
2投稿日: 2021.03.18
powered by ブクログ頁を捲る度に溢れ出る、作者自身の人間性の大波への対処で、この小説の評価は白にも黒にもなるだろう。潔く呑まれるもよし、避けようとするもよし、乗ってしまうもよし。しかし、どのような手段を試そうとも、心の臓を掴み揺さぶられ、細動する血液が脳を擽り、必ず何かしらの感情を想起させられてしまう。それは、この作品から滲み出る地の底を這うような、どろりぐちゃぐちゃとしたものが、様々な人間の一側面であることの証明であり、《読まない》という選択をすることでしか、顔を背けることはできない。図らずとも、偶然であっても、最初の頁を捲ってしまったが最後、否が応でも直面しなければならない深淵は、むしろ覗かないという選択肢を選んだ方が利口であるが、一度覗いてしまった僕は、とことん馬鹿であることに、幸せを感じることとなるのである。
2投稿日: 2021.02.09
powered by ブクログ劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は―。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。
0投稿日: 2021.01.29
powered by ブクログ貫多の心情は自分と重なる所も少なからずあった。 表現が下品と言われるかも知れないが、西村賢太とはそうゆう人なのだろう。 作家としては嫌いではない。
0投稿日: 2020.12.12
powered by ブクログどうしようもないクズだが人間臭い主人公。これぞ私小説という感じ。できる友人への劣等感や依存心、また自分に都合が悪くなると途端に彼らを貶める…、次から次へと湧き出る彼の言動、ちょこちょこ共感できるのが悔しい。 そう住む世界が違う人って絶対いるんだよね。その人に接近しようとして失敗して自分の惨めさを知って反動形成じゃないけど欠点を論ってでも口に出す勇気はないから心中で散々罵倒して虚脱感に陥る。分かる。本当に分かる。全部分かる。
0投稿日: 2020.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私自身は生真面目な人間なので主人公の生き方には全く共感できずせっかく稼いだお金を風俗に使いそのうえで家賃を踏み倒したり友人にお金を借りてそのままにするのは読んでいて心苦しかった。 ただ文章が面白く特に女の人の描写が躊躇なく厳しいが。 日下部の彼女を幽霊みたいと表したり以前付き合った彼女が大便臭いなどと、意外に作者は几帳面なんだなあと思った。 主人公、映画では森山未來が演じたのなら見たいかも。
0投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ卑屈で自己肯定感が低いゆえにすぐ攻撃的になり、他人とうまく付き合えない北町貫太。人間の本質的なところを突いている感はあるけど、女の描写が右翼的で嫌い。えてしてこういう男って、女を性の対象としてしか見てないと思う。19歳の貫太を描く表題作は特にそれが露骨で不快。『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』は40をすぎて川端賞候補になった貫太を描いていて、少しは共感できる感じ。
0投稿日: 2020.08.23
powered by ブクログ厄介な自意識を抱え、人生を苦役に従事するかのように感じられる主人公北町貫太の中卒で日雇い仕事をする十代の頃と私小説家となった四十代の頃について書かれた小説。 端的に感想を述べるとこの小説を読んで酷く鬱屈とした嫌な気持ちになった。それはこの作者が人間誰しもが持っているであろう汚い部分を包み隠さず私小説としてさらけ出しているからだ。この小説を読み進める度に眼前にぶちまけられた醜い感情になかば目を背けたくなる思いだった。 しかしこのような凄惨な気持ちにさせられたから自分はこの作品を嫌いになったと言いたいのではなく、とても好きになったということが言いたい。その理由は醜悪な部分や綺麗な部分を含めた内面を改めてじっくりと見直せる機会を与えてくれるのが文学の良さであり楽しみの1つでもあると思っているからだ。ここまで負の面を臆することなく露呈させれることに圧倒された。 「苦役列車」とても好きになったのだけれど、自分の心が耐えられそうにないので西村賢太の他の作品を読むのは当分控えたいなと思っている。
6投稿日: 2020.06.01
powered by ブクログ貫多の一生は正に苦役の連続だが、些か貫多自身に問題がある。しかし、そんな貫多も根は真面目で優しく、また、周りの者にも支えられて生きているのである。 社会の暗く深い部分をありありと描いた作品のため、読んでいて気持ちの良いものではないかもしれないが、その分読み応えはある。
1投稿日: 2020.03.16
powered by ブクログ貫多の中に渦巻いている感情は身に覚えがあった。 厄介なプライド、嫉妬、焦燥、人が持っている生々しい感情が、読んでいて自己嫌悪になるかならないかのスレスレのところでうまい具合にハマって、怖いもの見たさ半分、ページをめくらせた。 私小説は勉強不足だけれど、こういうところが私小説の魅力なのかもしれない。 石原慎太郎氏の解説の書き出しもよかった。
1投稿日: 2020.01.14
powered by ブクログ西村賢太のどこまでも私小説であり続けたいというような、そんな想いが伝わってきた。主人公である貫多は厄介な自意識を抱えている。他者との関係性の構築さが貫多には大業なことでもあり、また根っからの短気や出不精の為、何かしら行動するのもやっとである。けれど、そんな貫多にとって明るい兆しが見えてくるーー。 個人的には「苦役列車」よりも「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の方がより私小説的で好きだった。落ちぶれてしまっている、現在の若者にとっての救済にもなり得る作品かもしれない。
1投稿日: 2019.09.28
powered by ブクログさわやか青年に友情を感じるも、社交性の中で友情を位置づけられない孤独によって、青年に対する感情が嫉妬や憎悪に代わっていく、という点に共感させられる。こういう経験があった、俺にも。三年近くの引きこもりで、無一文になり親と和解したあと入学した専門学校で、親しくなった男の子がいた。そいつに友情を感じた。が、そうした好意とは、社交的な関係性の中で定位されず、いたずらに心を熱してゆく内発的な情念そのものだった。そして、相手が自分だけをみてくれないとなれば、心に灰色の錆を作ってゆく不活性の情欲なのだった。その錆をわだかまりだと捉えたら、嫉妬や憎悪を相手に抱くようになってしまう。結局、そいつとは気軽に連絡できる関係ではなくなった。 今は、ひさしぶり元気?ですむただの三十路だからいいんだけど。時間が解決する前の、暗い欲望の日々を思い出させる私小説。青年を思って自慰するシーンなどあればもっとよかったが、石原慎太郎との対談などを見る限り、書かないだろうな。。
1投稿日: 2019.09.18
powered by ブクログ◯著者の狙いとしている、なんとも言えない嫌悪すら感じる情景描写や、それを表現する文章の、クセが出て拙く見られるにもかかわらず、大変読みやすいことが、演出として作品に完全にマッチしており、大変面白い。 ◯主人公の生き様は、いわば「正しくない」ものであり、自業自得を絵に描いたものであるにもかかわらず、読者の心のどこかに同情を催し、ひねくれた性格にシンパシーすら感じさせる。 ◯また別の作品も読んでみたいと引き込まれていった。臭いがクセになる、そんな一冊。
2投稿日: 2019.08.19
powered by ブクログ図書館で借りた本。苦役列車、落ちぶれて袖に涙のふりかかる、の2作の短編集。貫多という19歳の男性が主人公。小学生の時、性犯罪で父親が逮捕され両親は離婚。家も引越し学校も転校した。元々が偏差値30くらいしかなかったせいもあり、中卒後は一人暮らししながら働く。働くと言っても日雇い労働しかなく自堕落生活に。学生生活を満喫しながら日雇い現場のバイトにくる同世代と仲良くなるものの、やはり友達にはなれない。それは育った境遇もあるが、一つに嫉妬心からくる攻撃性。厚かましさ、距離感を貫多は分かっていながら改善しない。ずっと孤独で計画性もない。 性犯罪の父親のせいだけでは無いと思えたし、自業自得気味。イラっとさせられる作品。
1投稿日: 2019.06.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【内容】 劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。 【感想】 筆者は「笑える話を目指している」的なことを Web記事で見た。 父親が性犯罪者で、早々に普通の人生を諦め、 友も恋人も無く、その日暮らしの日雇い仕事で、 数万にも満たない室料のアパート暮らし。 どんな心地なのか、 自分に置き換えることが出来ない世界。 けれども、とても文章表現が率直で実にしっかりしており、描写がありありと浮かんできた。 薄黒い、灰色じみた世界。 主人公 貫多は自堕落でその場暮らしをやめようとしない。 そのような人が現実に居たらムカつきそうなものだが、 なんていうか、全く悲壮感というものが伝わって来ず、 酔いしれたところもないというか、実に小気味良いのだ。 実に人間くさいけれども、 確かにスタイリストなのだなぁ。 読み物としては面白かった。 著者の本を読むのは怖いが、読んでみたくなっている。
1投稿日: 2019.06.07
powered by ブクログ瀬戸際 社会からはみ出るかはみ出ないか ギリギリのところの人生 理想と現実の差に 苦しめられるところは 心が苦しくなる これまでの人生で感じた 僻みや嫉妬、後悔を増幅させる カイジ君
0投稿日: 2019.05.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんだか不思議。不思議な味わいの読み口です。圧倒的に悲惨なのに、なんだか、変なスコーンとした、明るさみたいなのが有る気がするんです。不思議。めっちゃ陰惨な語り口で書かれても不思議じゃない小説なのになあ。なんでこう、こんなに、妙に明るいんだろう。妙にあっけらかんとしているんだろう。 あかるい車谷長吉、ひねくれてない町田康、というような印象を、受けました。なんだか無茶苦茶な分類な気がしますが、個人的に受けた印象は、そんな感じです。あ、あと、映画で言うと、ダニー・ボイル監督の「トレインスポッティング」的な感じ?トレスポみたいなスタイリッシュさは皆無、だと思うのですが、雰囲気が、なんか、トレスポっぽいなあ、とかね、思ったんですよね。カラッと明るい絶望、みたいな。絶望なのになんだか陽気、みたいな。 「苦役列車」の若い貫太は、絵に描いたような若きダメ人間。ハッキリ言って、単なるダメ人間。日雇いで稼ぐ、あぶく銭は、あっさり酒と風俗とタバコに消える。家賃は、とことん踏み倒す。めんどくさいから、友人も女も作らない(作れない)が、人恋しい寂しがり屋。母親には、容赦なく金をせびる。日下部も、日下部の彼女の美奈ちゃんも、なんだかイヤな感じの側面大いにあり。 「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の、中年壮年の貫太は、売れない作家、というか洟もひっかけられない(この使い方は、あっているのだろうか?)作家候補生、というか、まあ、年とっても全然あかんたれな感じの、寂しき人生。 でも、なんというか、ホンマにこう、読んでて全然悲壮感が、ない。悲惨な感じが、しない。何故か?なんなんだろう?これは、作者の西村賢太さんの、キャラクターなのだろうか。なんなんだろうか。勝手に、「西村さん、きっとこう、なんというか、明るくて良い人なんだろうなあ~」とか、なんだか、勝手に想像しちゃう。何故か。小説の文章と言うのは、その書き手のキャラクターが、どうしても、滲み出るものなのでしょうかね? ホンマに、激烈に悲惨な哀しき境遇の主人公の貫太なのに、読んでる感じは、全然哀しい感じ、しないんだよなあ、、、不思議。不思議なんだなあ~、と、思いつつ、興味深く読むことができました。 正直、内容が、めちゃ面白かったか?というと、あんま、そんなことはなかった、、、ゴメンナサイ。という感じなのですが、このなんとも不思議な読んでる間に感じた感情。そこらへんは誠に興味深くオモロかった。うーむ。キャラクターって、不思議だなあ。 それにしても「落ちぶれて~」の、主人公がバンバンの、パネエ程の、ギックリ腰?になった時の激痛の描写。すっきやわあ~。自分も、ギックリ腰になった経験があるのですが、アレはもうマジで辛いです。本当に痛い。幸い、自分は、貫太ほどガチの腰痛では無かった感じなので、まだマシだった、、、とか思うのですが、腰痛は本当に嫌なんです。二度と再発して欲しくないなあ、、、本当に嫌なんです腰痛って。
1投稿日: 2019.04.09
powered by ブクログ苦役列車の主人公には、常に満たされないような感覚があって、どうにかしなくちゃという漠然とした焦りがあるんだけど、自分の生い立ちに諦めの理由を見出して、手近な快楽で満足してしまう。 主人公のそんな生き様から漏れ出る口調や振る舞いは完全にクズと呼ばれるような人間のそれなんだけど、この作者に書かせるとまぁなんともリアルだし、不思議と近い目線に立っていた自分がいる。 主人公に言わせれば、きっと自分は「ロイヤルコース」を歩んできた人間なんだろう。 だけど居酒屋で劣等感を爆発させてしまう主人公が他人だとは決して思えない。自分の中のクズ感が刺激されて止まなかった。 終始引き付けられて、一気読み必至。
3投稿日: 2019.03.08
powered by ブクログ公園で遊んでいる子供に親が言う「見ちゃいけません」を塊にしたかのような作品。人の汚さ、人の醜さ、人の恥ずかしさ、そういう目を背けたくなるような要素にこそ自分の人間性が詰まっているんですという強烈なメッセージだった。ありのままの姿見せるのよ~。 作者の西村賢太さんを初めて知ったのはテレビのニュースだかバラエティだかで、「受賞の連絡が来た時に風俗の待合室が云々~」というエピソードが強烈で、当時の俺はかっけぇ…と思ってた。この作品が私小説であるという以前に、西村さんのキャラが濃すぎたが故に「主人公=あの人」の図式がいともたやすく成り立っていた。 表題作に出てくる19歳の貫多は、まさしくあまり深い友達にはなりたくないヤツの典型という感じがした。こういう人と関わりすぎると、ふとした時に足を引っ張られそうという思いがあった。若い頃の自分がそんな、世間的に敬遠されるタイプの人間であったことをこれだけ精緻に書き上げるというのは、どういう気分になるものなんでしょうかね…。
0投稿日: 2019.01.14
powered by ブクログ結局犯罪者の家族は、一生それが付きまとい幸せにはなれないのだろうか。 この作品のカンタは中卒で日雇いで生計を立てていて、将来のことなど全く考えていない。おまけに神経質でプライドばかりが高いが、劣等感の塊で非常に扱い辛い。 だが、一つ思うのはこういう性格の人間は、世の中には大小あるがかなり多く居ると思う。とくに男性は学歴やら役職やらで人間を評価している部分があり、それが低い人間は何かで補おうとするが劣等感になってしまう。本当の人間性の深い人というのは、そんな所では評価されないのに、そういう人は不幸だ。 カンタはそんな性格の持ち主なのに、よくぞ小説家を志すまでになったと感心する。おぞましい犯罪者にはならなくてひとまずはホッとした。
3投稿日: 2018.12.29
powered by ブクログいつおもしろくなるのか?と思いきや最後まで爆発することはなかったがある人間の手記みたいな感じでおもしろくはあった。実際作者の話なんだろうな。映画になってた気がするんだけど、あれが映画になってたのかね?
1投稿日: 2018.10.28
powered by ブクログ文章は格調高く、難しい漢字や表現がたくさんでてくるが、内容は下品で卑猥。主人公・貫太のダメっぷりを、これでもかとさらけ出している。でも、不思議と嫌悪感はなく、おもしろくてすぐに読み終えてしまった。特に貫太が、彼女と過ごす日下部と、風俗で事を済ませる自分を対比するところと、過去に付き合った女性がいかにひどかったかを回想する場面は最高に笑えた。 こういう内容をあけっぴろげにできる著者の人間性に魅力を感じた。
0投稿日: 2018.07.28
powered by ブクログ登場する人物(特に貫多)全てが実際に存在する人物のように感じられた。ここまで人物像をはっきり感じさせるのは凄いと思う。
0投稿日: 2018.07.24
powered by ブクログたしかにくさいけど、貫多が本の中で生きている。 劣等感や嫉妬は色が濃い分出やすい。 いろんな色の感情が混ざって自分の色になる。 石原慎太郎の解説がよかった。
0投稿日: 2018.05.01
powered by ブクログ主人公が救いようのない奴。汚らしくて、臭いが漂ってきそう。 直前に読んだ『西の魔女が死んだ』と全く真逆の人物像。爽快な気分がぐちゃっと泥で塗りつぶされた感じ。
0投稿日: 2018.05.01
powered by ブクログ初西村。芥川賞受賞作。貫多の気持ちが痛いように分かり、泣ける。まるで自分のようだと——。こんな悲しい人生。もう、最後は○○すればいいよ。…と、言うしかない!ま、“新”関東大震災までの命だからそれまで気楽に逝きましょうw
1投稿日: 2018.04.26
powered by ブクログ石原慎太郎氏の解説にも書いてある通り、非常に男臭い。臭い。汗をたくさん吸った冬のシーツのような空気を感じた。 難しくて古っぽい文字や言葉遣いで綴られているが、不思議に読みやすく感じる文体は、彼ならではの作風なのだろう。現在僕らが使っている言葉も混じっているからなのかな。 卑猥な言葉や行為があるシーンにあまり共感を寄せたくない、共感してしまう。 やはりこの雰囲気は"男臭さ"と言う言葉がぴったり当てはまるように僕は思った。
0投稿日: 2018.04.15
powered by ブクログ自らのどうしようも無さを道化て語る<悲哀>といったようなもの。感触は、太宰に似ていて太宰の作品も、何度か笑いを禁じ得なかった。この作品も何度か笑った。こういうこと書くか(笑) というおかしさからだ。浪花節の芸の世界に通じる小説。こういうのって個人的には純文学ではなく文<芸>って感じがする。個人的にはナシだけど評価する人がいるというのはわかる。そんな感じ。面白く読めたけどね(笑)
0投稿日: 2017.12.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自尊心がいかに大切かというのがよく分かる。それを満たしてくれるのが、学歴であったり、教養であったり、友達の数や彼女の存在であったり。でも、「学歴がある」とか「友達の数」とかも、この判断自体がが他者との比較の上で成り立つから、絶対一定数満たせない人が出てくる。もっと言えば、彼女もただいるだけでなく、「性格がいい」とか「容姿がいい」とかの+αも重要だし。 これが満たされないといかに人間は屈折するか。 あと、ホンマに共感できたのが、日下部を気に入って仲良くしたいけど、同時に嘗められたくない、っていう葛藤。そもそも嘗められたくないって思ってる時点で、嘗められる何かを自分が持ってることの裏返しやから、救いようがない。そして、今まで無意識に蓋をしてた自分の欠点を、例え無意識でも自分に再度自覚させる相手を容易に嫌いになってしまう。そういったところに無垢で無意識なところがまた憎い。かといって、自分を気遣ってくれようものなら、「上から見やがって」ってなる。だったら逆にってことで、冷たくあしらっても、普通に嫌いになるだけ。ホンマにどうしようもない。 でも、そういうのも全部含めたうえで、結局自分の自尊心を満たすために、寛大な態度を取る。仲良くしたい気持ちは持ち続けてるし。何よりくれぐれも自分の劣等感をひけらかして、相手に嘗められてしまったり、激高して哀れまれたりしてはいけないから。 だから、僕みたいな人に接する人は要注意。僕のこの内なる逡巡を察知して、気遣っても、冷たくあしらっても、僕はそれを非難するので。。。それに一切関知するそぶりを見せず、毅然と普通に接するか、気づいてもそれを面白がってくれる器量の広すぎる人じゃないと難しいかも。
0投稿日: 2017.11.21
powered by ブクログ芥川賞を授賞して話題になっていたのを思い出して手に取った一冊。もっと何か固い内容の本だと思っていたけど、本の薄さもあって内容はとても読みやすかった。文面もすごく印象的で「なぞ」「結句」「はな」「折しも」などなど、調べながら読むことも多々あったけど、その点も楽しめて読めたと思う。私も何度か派遣のバイトで作中でいう平和島のようなところで働いた経験があり、そのときはきついけど数日だから頑張ろうと思えたけど、もしその仕事が稼ぎのメインだったら間違いなく苦役の従事だと感じるだろうなあと、やはり自分がとても恵まれていることを改めて強く実感した。今まで私小説は読んだことがなかったけど、本当に誰かが経験したことなんだなあと思いながら読むからか、ずっしりと考えさせられた。
1投稿日: 2017.09.23
powered by ブクログ何ともいえぬ感じの本でした。 芥川賞受賞作品ということで読んでみましたが、人の負の部分が露骨に出ていた泥臭い人間が描かれていました。 明日同じような環境になったらと思うとゾッとしますが、慣れてきそうな自分がいるのも想像します。
0投稿日: 2017.09.17
powered by ブクログこの主人公には本の世界があって良かったと思う。 主人公はどうしようも無い人間だしこんな救いのない男は実際の世の中にもかなりの数存在するけれど、 本がこの男を何とか現実社会との関わりの架け橋となってくれているだけまだマシだと思う。
0投稿日: 2017.09.16
powered by ブクログ父が性犯罪を犯し一家離散 十代で家を出て冷凍倉庫の日雇いになる。来歴と血筋のコンプレックスを抱え、自意識はあるが希望をを持てず、日雇いの負のループから抜け出せない 第144回芥川賞受賞作品 いわゆる底辺が描かれ、作者が私小説家という前情報があるので同時代性は感じるが、古語のような漢字が独特な文体を作り時代の隔たりを感じさせる そこに「ゲス」さが加わりドヤ街のような風体を醸す
0投稿日: 2017.07.22
powered by ブクログ西村さんは、現実の世界で出会ったらまず近寄らないであろう「ヤベー奴」を、わたしみたいな凡人でも主人公に興味を持ち、物語に入り込めるように表現できるところがとにかくすごい。
0投稿日: 2017.06.10
powered by ブクログ映画が先だったけど、想像していたのと全然違う文章でびっくり。 (読めない漢字が多々^^;) どうしょうもない本当のロクデナシだったし、やっぱり共感できないけど、文章から根は小心者で、でも自分ではどうにも抑えられないものがうねうねしてるのがすごく伝わる。 文章がうまいというのは納得。 すらすら読めます。 そして正二のさわやかどす黒キャラもリアルで良い味出してるなぁと思います。
2投稿日: 2017.06.06
powered by ブクログ19歳の、底辺の日雇いの青年の暮らしはこんなものなんだ。私小説なのかな?そうでないのかな? とにかく、筆者の経歴と、この主人公の生い立ちとプライドが重なって見えてきてしまう。 みてはいけないものを見てしまったようで心が痛んだ。若さと、そのやりどころのない体力と性欲。そんな中で強がっていても孤独が伝わってくる。
1投稿日: 2017.03.19
powered by ブクログ芥川賞作品は短編で1時間くらいで読み終わるので良い。これ森山未来主演で映画になるんだな。こんな暗い現代版「蟹工船」みたいなどうしようもない物語映画にしてどうすんだと思うけど、鬱屈した現代の若者の物語ってやつかなぁ。読めない漢字多かった。。
0投稿日: 2017.03.04
powered by ブクログ西村さんの作品は初めて。テレビで見たことがあり、小説でドリームを掴むことを体現したような人という印象。 文体は好きだと思った。少し昔の文学の雰囲気をまとっており、途切れることのないテンポ感に自然と乗せられる。 主人公は癖が強い。私が田舎から現役で旧帝大に進学した作中でいう美奈子のような人間なだけに、貫多とは真逆。とはいえ、気持ちは分からなくもない。だが、日下部さんも美奈子さんもそんなに悪いところがあるとは思えなくて、それでも貫多にはそんなに悪く映るのかというのが少し驚き。 私が思うに、貫多には誰でもなりうると思う。から、意外と多くの人に考えさせるものがある作品かもしれないと思った。
1投稿日: 2017.02.02
powered by ブクログ好きだった。わたしはこういう一人の人間についての話が好きだ。 この主人公には辟易とする部分が多いけど、失った後、思い出すんだと思う。
0投稿日: 2016.12.03
powered by ブクログ3.7くらい 青春期はモラトリアムであることが多いし、大抵の小説はそんなことを匂わせて話は展開していきます。ただ、この主人公の青春期はモラトリアムであったのかだろうか? いまの作者(西村賢太)をみれば、結果的にそうであったと思えるが、この当時の作者(主人公)はそんなこと微塵も思ってないはず。 この糞みたいな日常がずっと続いていく、「苦役列車は続くよ何処までも」なのです。 苦悩はあるけど、暗くはない作品に仕上がっているのはなかなかのもんだと思います。 あの、主人公のくそっぷりは「若いころの男性あるある」かもしれません。 自分も若い頃、大して親しくもない友人が女を紹介してくれなくてキレたり、糞ゲス妄想で自慰行為に耽ったりしてたことを思いだし、読みながらその頃の自分を打ち消すがごとく叫びたくなりました。(笑)
0投稿日: 2016.09.15
powered by ブクログ久しぶりに読んだ小説。芥川賞作品ということで、どんなもんかと読んでみた。 小説はあまり読まないので、評価できる知識も立場でもないが、印象としては暗い物語だったが、生々しい人間の部分が多々あり、これはこれで新鮮に感じた。 著者の人物的にも好きなので、もう少し他の作品も読んでみたくなった。
0投稿日: 2016.09.04
powered by ブクログ筆者の赤裸々な体験を描いた私小説。日雇い労働者である主人公の職場で出来た友人との出会いと別れまでが主人公の心情を赤裸々に巧みな文章で描かれている。その他に腰痛で苦しむ筆者の川端賞への想いが綴られた短編が1篇挿入されている。
1投稿日: 2016.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川龍之介賞受賞作。ナカイの窓に著者の西村さんが出演して以来気になっていて。思いの外、図書館でリクエストしてみたら待ち人数0だった。 主人公の19歳、貫多は、中学卒業以降、家を出て日雇いのバイトで食いつなぎ、風俗やソープに通い詰めて欲求を満たし、家賃を払えず追い出されては家を転々とする。 しかも、子どもの頃、実の父親が性犯罪で捕まり、残された家族で人目を避ける為逃亡する、という過去を背負う。 バイト先で知り合う友人、日下部とも結局は己の身勝手な性格ゆえ、心通わせることができず、最終的にはいつも一人になってしまう。 最近読んだ小説の中では、主人公が救いようがないくらいダメなやつ。そして最後まで愛着が持てなかった。 読み終わって、これが著者の私小説と知り、衝撃を受ける。 半端じゃない人生だ。 物語自体は正直好きになれない。なぜなら私は、読書に「癒し」を求める人間だから。 しかしながら、ナカイの窓で、同じゲストの作家達も評価していただけあり、言葉のセンスが光る。著者の読書量がうかがえる。 そして西村さんのキャラクターの濃さ。独特すぎる。 正直他の作品も是非!という感じではないけど、彼のキャラクターのインパクトは計り知れない。
0投稿日: 2016.02.22
powered by ブクログ本作が芥川賞を受賞した時、現代版蟹工船と比喩されたこともあったと記憶しているが、それは当たらないと思う。作者は私小説家とも言われるが、それは、その通り。劣悪な労働条件も社会悪として書かれるのではなく、あくまで自身の内部に帰結する。 文庫本には2作掲載されており、作者が10代の頃と、もう1作は40代になった頃の暮らしぶりが書かれている。『パンパンに朝勃ちした固い竿に指で無理矢理角度をつけ、腰を引いて便器に大量の尿を放った・・・』劣悪な環境に身を置きながらも、将来を睨みつけた、10代の、内に秘めたマグマのような途方もない何かを感じさせてくれる。(なんか、懐かしかったけどね。) ひるがえり40代の彼は『トランクスより萎びた自らの竿を引っ張り出した。』将来の可能性なんて考えることもなく、只々悲哀が感じられる。 解説は石原慎太郎さん。苦役列車に書かれる青春と、最も縁のなかった彼の解説は読む気にもなれないし、読んだところで鼻白むだけだ。
0投稿日: 2016.02.07
powered by ブクログ苦役列車は、社会の底辺近くをうろつく自堕落でプライドが高く、弱気であり強気な、北町貫太の心情と生活の一部始終を延々と吐露する小説。 主人公の逆走性とそれによってどんどん自分で自分を貶めていくところが、何とも言えず共感できた。 特に最後がいい。バイト仲間(←本当の意味での仲間ではない)を、偉そうにしてたくせに学生結婚して郵便局員かよ!と見くだしつつ、自分はあいかわらずの人足であった、という一連の文章は、何者でもない自分が何者かになれることを諦めきれない、主人公の心情がどんと伝わってきて物悲しいけれどインパクトがあった。
0投稿日: 2016.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読めてよかった! 卑屈で繊細で怠惰で前向きで…言葉だけだと矛盾しそうだが、全く一人の人間として存在する貫太の生き方。 僕にそっくりで泣けてくるが、大好きだ。
0投稿日: 2016.01.25
powered by ブクログ19歳の男の1986年ごろの話。これは作者の話なのだろう。こうしたひどい身の上なのに絶望せず、よくぞ這い上がってきたものだと、今の彼を見ていてしみじみそう思った。内容そのものは大変単純で他愛もなく、どうしようもない。しかし、こうした話が小説として書かれる珍しさがまずあると思う。書き方も妙にこってなくて読みやすい。
0投稿日: 2016.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最低な芥川賞作家の悪名高い西村賢太の芥川賞受賞作「苦役列車」は私小説でありながらそこにあるドラマがむしろ下手な小説の何倍もの魅力にあふれる。 村上龍がどれだけ偉いか知らないが(個人的に村上龍は何が面白いのかわからない)私小説を取り上げてそこに作品の主題がイマイチ不明瞭などと言っているあたりひっこんでろとも言いたい。 苦役は苦役であり、長いレールを進む列車は人生にも見え、苦役の貨物を運ぶ列車が氏における当時の人生観であったと読んで差し支えなく、私小説という所詮作家の独白に意味をこじつけて見るよりは、共感できたら面白い程度で良くあるまいか。 当方田山花袋「蒲団」をだらだらと長いだけの女々しい作品と評するくらいの私小説嫌いではあるが、西村賢太の私小説は普通に楽しめた。
0投稿日: 2015.11.21
powered by ブクログ話としてはそんなに面白いと感じなかったのだけれど、なんとなく続きを読みたくなるような、不思議な雰囲気を持った文章だった。 あまり他には興味がないかも。 151021
0投稿日: 2015.10.24
powered by ブクログ幾冊か著者の小説を読んでいるが、今回は、師と仰ぐ藤澤清造の名前を見かけた覚えがなかった。 表題作は、主人公がまだ、中卒から仕事を初めてそれほど月日が経っていないことが原因なのかもしれない。 プロレタリア文学などで表現されていた、生きるためには金を稼ぐ必要があり、しかし金を稼ぐ場所というのには限りがあり、中卒だからその限りも更に絞られる。一つしかない選択を続ける、進みの止まらない、苦役。 そんな日常に一瞬の光が差す。友が出来たということ。希望と、その決別。自堕落と横暴から連なる結果は、ひねくれているし、らしさが変わらずに生きている。最後の文章はよく印象に残っている。結局、人を馬鹿にして笑ったが、自分もその馬鹿であったと。
0投稿日: 2015.10.22
powered by ブクログ直木賞の『月と蟹』に引き続き、同年の芥川賞作品ということで読みました。 芥川賞、って感じでした(笑)。 良く分かってませんけど。 不器用で無骨な青年の剥き出しの生と性の描写には迫力があって、私小説ということで余計に説得力を持って迫ってくるのは感じました。 実は今日、これを読みながら風俗好きの友人と天王洲に居ました。 洗練された都会の景色を上から見下ろしながら、隔世の感を覚えていたところに通りかかった豚を載せたトラック。 近くに屠殺場があると聞いて、不意に物語の舞台との繋がりを感じました。 (当時はこの辺も柄が悪かったのよ、と) 苦役列車から降りられない主人公はあの豚と同じか。 では一見満たされた生活をしている自分達は違うのか。 実は自分達こそが価値観やら常識やらに捕らわれ屠殺場へ向かう家畜に過ぎないのではないか。 私小説つながりで、嘉村磯多が登場しました。 積んであるのをそろそろ読む時期なのかな。
0投稿日: 2015.09.22
powered by ブクログ読書は他者理解と内省に便利なツールと再認識 私小説が読みたいなあ、と選んで読んだ数冊のうちの一つです。 努力をすることが苦手で、その過程を経ずに成功したい、人に認められたい、といった性質を持った人間は、この世の中不利だなあ。 というのが偽りのない思い。 でも、いるでしょうこういう人。自分では何もしないのに口ばっかりは達者。特に、「なぜいきなり?」というタイミングで人に急に攻撃的な、自分を物凄い高い所に置いた破滅的な言動を行う人。 通常の人に理解できない人間関係パターンを繰り返すのですが、その自分の疑心暗鬼→それを疑わず真実とする→他者に攻撃する、と言った認知フロー、心の判断が克明にわかります。 それを見て、自分も近しいところは無いか?疑ったことを真実と思いこんで、現実を悪いほうに展開してないか?と自省することもあります。 他者理解と内省ということが、この軽い本一冊で行える、読書の有益性について改めて感じる一冊でした。 苦役列車での貫多は若い、20歳前後の設定だったのですが、もう一編の「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」では一変して40男になってしまっていて、一気にNHKスペシャルのような、孤独・老い・貧困といった様相が前面に浮かんでしまい、こちらは読んでいて怖くなってしまいました。 ただし貫多たちにとってみれば中学を卒業してから変わらない道だったわけで、体の変化、社会的な変化以外そこまで大きな差はないのかな、とも思います。 私なんかはもう怖くて努力してしまいそうです。それを考えると、意志の強い、勇気のある選択を貫いているともいえるのかなあ。 ただ、西村賢太さんが読むこと・書くことに対し真摯に努力をすることが苦ではないのか、その苦だけは受け入れることができたのか、そのどちらかであることは確か。 今後、貫多という人間がどうなっていくのかが不安メインで、気になるところです。
0投稿日: 2015.09.20
powered by ブクログ色々評される事があるであろう独特の内容は個人的に嫌いではない。(どちらかというと好きということ。) ネット評価では嫌悪感を抱く方もいらっしゃるようですが、人の根底の醜さや深層を包み隠さないで描写するやり方は私は好き。
0投稿日: 2015.08.27
powered by ブクログ短気で自尊心が強く見栄っ張り、そんな自分を理解しているからこそネガティブで友達もいなくて、酒と風俗が生きがいの19歳の男が主人公のとても残念な感じの現代版“人間失格”って感じでした。
1投稿日: 2015.08.25
powered by ブクログ私小説、と言うものを最近あまり読んでおらず、勉強がてら近年の私小説を一冊。赤裸々で哀愁漂う作品の佇まいに、私小説と言うものが極度に自己を削り取りながら紡がれるものであるというのを感じた。
0投稿日: 2015.08.13
powered by ブクログ劣等感、焦燥感、嫉妬、等々、人が抱えうるマイナスの感情を過剰に背負った主人公の、日雇いでの日々が綴られる。 芥川賞が最近話題なので、過去の受賞作を読んでみる。作者のキャラ、稀有な体験、等から、多くのフォロワーを生んでいるが、そのことで私小説以外が書けなくなるのではないか。(作家版 イノベーションのジレンマ)
0投稿日: 2015.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
作者を投影させた北町貫多を主人公とした私小説2篇収録。芥川賞受賞作である表題作よりも、「ジャラ銭かぞえた(小銭をかぞえる)」や「疒の歌(廃疾かかえて)」などのエピソードや黒井千次氏(もしくは池澤夏樹氏、または両方かも)を“芥川選考委員の乞食根性の老人”と扱き下ろす様が描かれる「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」のほうが面白かったかな。 ―― http://bookmeter.com/cmt/23457815
0投稿日: 2015.07.13
powered by ブクログ父に借りた本なので自分が読む本とはタイプが違ったので薄い本なのに読むのに時間がかかりました。 話の内容は最後までとにかく暗かったです。
0投稿日: 2015.06.10
powered by ブクログ(*01) 年代設定からするとバブル期を描いた小説となる。ただしバブルのB面を描いている。舞台設定は東京であるが主に山の手の外である。が後楽園にも登場する。貫多が著者の健太氏であるのは、著者自身が豪語するよう私小説(*02)の当然でありつつも、北町という耳慣れない姓が著者の西村氏の安易な脱臼であり、苦役列車という表題が荷役会社の言い換えであることにも遊びが見える。 (*02) 私小説の半分ぐらいにはマドンナが設営されホレたハレたの話がぐだぐだと女々しく展開するはずである。本書にはマドンナは現れない。ジャガイモが現れるきりである。その代りといってはあれだが、太陽のように正しい日下部正二という男との出会いと別れが物語の筋となる。私小説の残りの半分は夢や友情や家のテーマが綴られるが、この日下部ストーリーは友情であるというよりロマンスとして読んだほうがよいのであろう。つまり硬派な男色ものとして読める点で、三島の仮面の告白を想起させる。石原慎太郎氏のマッチョともそのあたりで交錯する。 日下部は巨大な日本の田舎と良心の表徴(*03)でもあるが、バブルの萌芽の権化でもある。貫多が修学旅行に参加したかどうかは不明であるが、前後の記述から察するに貫多は首都圏から脱出して諸国を見聞したことがないのではないだろうか。貫多は都心からは経済的に排斥されているが、かといって田舎や地方にルーツがあるわけでもない。日下部という体験は、貫多にとって列島の初体験でもあったとも言える。 田舎者が描く私小説ではなく、都会者という世間の狭さが夢に描く田舎像や列島像という点で本書は異色であるかもしれない。 (*03) 主人公の科白で怪異なのは、なんといっても「ぼく」であり、田舎の属性である誠実や朴訥が「ぼく」に照射されているところに本書の屈折がある。 地の文で特に目を惹くのは「結句」の連発である。近代文学においてこの語はよく使用される語ではあるものの、ここまで連発した作品はないだろう。酒(*04)の酔いが回ったときに頻発するげっぷやしゃっくりの様に「けっく」が連発され、その文体は諦念とも反骨とも判じがたい精神と一体となっている。 (*04) 「中卒(ちゅうそつ)」はまた、焼酎やアル中とも響き合い、口淫のオノマトペともなりそうな音を持っている。中卒という言葉が殊更意味をなすようになったのは、本書の時代設定とされる1980年代であったかもしれない。彼らの親世代ではとりたてて述べるまでもない学歴であった中卒が、受験戦争の戦中あたりから、まるで徴兵制の甲乙丙丁の丙丁の様な意味合いを持つようになった。こうした近代国家の制度のアナロジーとしての中卒が本書ではよく描かれている。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログ正に赤裸々とも言える私小説。どこまでが真実かは分からないがかなりリアルなイメージですね。それにしてともヒドい野郎です(笑) 古書が好きな作者らしく古い言い回しが続くが、不思議とさらさら読める。 随所にユーモアもあり楽しめる。 主人公に感情移入し、ハラハラさせられる。 2篇の間の世代のエピソードもいろいろあったらしく、書籍化したら読んでみたくなりますね。
0投稿日: 2015.02.03
powered by ブクログ不幸な境遇+自堕落な性格+劣等感の塊 という人物が私小説の中に描き出される。個人的には「不幸な境遇」には同情するし、「自堕落な性格」には感情移入をするし、「劣等感の塊」には共感をする。 ただし人間関係を築いたとたんに、いかにも面倒くさい人物になる描写が素晴らしく、とても友人にはしたいとは思わない。 どこか読む者からの肯定を拒んでいる。
0投稿日: 2015.01.16
powered by ブクログ金なし、友なし、彼女なしの男の話。 ストーリーは土臭いと表現した方がいいのかな、昭和の香りが漂う作品でした。 進行も分かりやすく明瞭で読みやすかったが、古い表記の漢字が多く、教養のない私には読みづらい部分が多々ありました。
0投稿日: 2015.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
☆苦役列車 いきなりお手洗いに行くところから始まるのでびっくり! 全体的に暗い話ではある。 日当5500円の日雇いの仕事に食いつないでいける程度に行く。 その割には、風俗に行くための積立をしているというのがクスリ笑えたりするところ。 父親が性犯罪者という事実を知る。 →自分は勉強できないので定時制くらいしか入れない →でも定時制はプライド高いから行きたくない。 →勉強したとして、大学に行ったりしても父親が性犯罪者というのがばれればどうせ蔑まれる。 →日雇いでずるずる。 父親がまともでもそういう生活を送っていたかもしれないが、子どものころに受けた傷というのはその人の根っこのところに刻みつけられるからなかなか癒えるものじゃないし、そこから離れることができないんだろうなと思った。 ☆落ちぶれて袖に涙の降りかかる 苦役列車の中に収録されている短編。 個人的には苦役列車よりこっちのほうが好き。 川端賞の発表前にひどい腰痛になり動けないほどであったが、自分なりのジンクスを信じて古本屋に向かったりする様は悲惨な状態の中から突き抜けたおかしみがあってにんまりしてしまう。 「名声を得たなら、彼を裏切り別の男に去って言った女のことも、たっぷり後悔さしてやれる。自分のほうがはるかに価値ある男だという事実を思い知らせてやるのだ。そして才能が証明されたという有利な立場のもと、悠々と新たな女を手に入れるのである」 という一文が最後のほうにあるが、こういうところも嫌いじゃない。 そういう醜い部分が人間多かれ少なかれあると思うが、ここまではっきり言うひとあまりいないのでかえって気持ちよく感じる。 太宰治ファンとしては、堀木克三という文芸評論家が斜陽のモデルになった太田静子さんと見合いをしたことで、面識もなかった太宰のプライドを辺に刺激したらしく、『人間失格』に出てくる俗物の名前に”堀木”が使われているというのは新たな発見だった!(このエピソードを聞くと太宰もかなりウジウジしてるなw)
0投稿日: 2015.01.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表題作は2011年芥川賞受賞。たまたまレンタルビデオにて「苦役列車」は観ていた。前田敦子の出演箇所は原作にはない。私小説なので著者が古本屋の店員に恋焦がれていたのは間違いないのだろう。映画について原作者、西村賢太評は最悪であり、二度と観ることはないと述べたらしい。コレもすべては彼一流のネガティブキャンペーンの一環なのだとか、なかなかやるな苦役列車だけはある。ビデオ、原作ともに楽しめた。
0投稿日: 2014.10.01
powered by ブクログ屈折した感情、素直になれない気持ち、そんなもやもやしたもの全部抱えた主人公に、気がつくと結構感情移入していました。
0投稿日: 2014.09.14
powered by ブクログうーん… 読んでいて不快になりました(*_*) でも、最後にはなんとなくダメ男に親しみを感じていたのも事実です。。。 これ、どうやって映画にしたんだろ^^;
0投稿日: 2014.08.16
powered by ブクログなかなか難しい漢字や表現を使ってて最初とっつきにくかったけど、これも私小説ならではのそういう性格の主人公であると言う表現のようにと思えた。
1投稿日: 2014.07.08
powered by ブクログ読み始めてすぐに芥川賞らしい作品だなぁと思った。 幾度となく読んだ太宰治の人間失格にも通ずるところあり。 内容の中で盛り上がりも盛り下がりもないが心理描写が意外に深く、好きなタイプの文章だったので眠気を振り払っての読了。 わが町にも何人かいるであろう自堕落な青年の生活を覗き見た感じ。大学三年生の息子に読ませたい一冊(笑)
0投稿日: 2014.06.23
powered by ブクログ人間の、生物的で本能的な卑しさって文字にするとこんな感じなのかなあと思った。 芥川賞を受賞してから1年余。作中でテーマになっていた卑屈さとか貧しさとか、そんなものと無縁になった生活の中で、作者はいま、どんな文章を紡ぐんだろうか、と気になる。
0投稿日: 2014.05.03
powered by ブクログ救いようのないくらいダメなやつのリアルな話しです。あったらいいなっていうキレイないい話しだけ書いてあるより、よっぽど腹に答えるものがあります。
0投稿日: 2014.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的に古風な言い回しが多く、昭和時代の真面目な書生のような語り口が特徴的。 その真面目な書生が、真面目な顔をしてとんでもない悪口や罵詈雑言を吐くのがこの作品の面白いところである。 分別ある女性読者ならば開始五行でその下劣さに辟易するであろう露悪的な性描写が、作者の丁寧かつ古風な文体と相まって独特のユニークさを演出しており、その文の流れには子気味良いリズムがある。強かな底辺労働者らしいべらんめえ調の台詞も、つい口に出して読みたくなるほど痛快で子気味良い。 古風な語り口と露悪的な悪口が紡ぎだす独特のリズムこそ、この作者の最たる個性であり、醍醐味であるように感じた。 しかし、底辺労働者の絶望的な実態とはいうものの主人公はまだ19歳と存分に若く、「人生は終わる事のない苦役列車のようだ」と嘆くにはまだ早い気がしなくもない。
0投稿日: 2014.03.08
powered by ブクログ彼の表現は少し古風に感じてしまい、登場人物の心情を深く理解出来たかというとそうでも無い。一方で不思議と主人公の思いに同情してしまう部分も多々あり、それが一番の読書の原動力となった。物語は大変することは特にないのだが、泥臭く生臭い肉体労働者の環境や思いが犇犇と伝わり、しかしこれもまた一人の人間の人生なのだと受け入れることで深妙な構成と楽しめた。これを十分に見聞し評価するには未だ未だ知識と考察力が足りなさすぎた。
0投稿日: 2014.02.26
powered by ブクログこの人の独特な文体はいつの時代かわからなくなる。でも、今この時代にも貧困はあり、堕ちていく人生もある。苦しい本当に苦役列車のとおり。
0投稿日: 2014.01.28
powered by ブクログ実に生々しく、また生活臭の強い作品。立身出世や幸せな家庭とは程遠い、社会の底辺で暮らす男の、強さと孤独が繊細に描かれている。 溢れる生命力に戸惑う場面も多かったが、自分の生活にない世界を随所に垣間見ることができ新鮮だった。
0投稿日: 2014.01.25
powered by ブクログほとんど新しいものがない。 私小説の逆襲という帯はおかしい。50年前から変わらない形の精神性を描いているように思える。 このテーマを描くなら現代でしか有り得ないものを描いてほしい。芥川賞としてはおかしい。 多少、比較的「上流」の人たちの柔軟な態度とか、底辺を見下さないように本心からそれとなく対応ができる姿には新しさがあると言える。が、肝心の主人公の「底辺」の精神性はどこかで見たものの焼きましに見える。逆にその普遍性から、非常に現実に立脚していると言えるが、それでは普通の域を超えないのではないかな。
0投稿日: 2014.01.13
powered by ブクログたいてい小説の文章からは、顔かたちといった実際の作者がどんな姿でこの世に蠢めいているのか、文庫の表紙を捲ってみて、写真で見当でもつけない限り、ほとんど分からない。ところが、この「苦役列車」は、都会アパートの穴倉に臥する雄羆といった趣で、写真を見るまでもなく文章の合間合間に作者の体から発する臭気がプンプンと察知されるのである。この小説にしてこの著者しかいないと思わせるほどの一致だ。これは私小説だから当然なのではない、小説世界に自らの身体の反映があるのだ。
1投稿日: 2014.01.09
powered by ブクログ主人公の劣等感のむき出し加減は見事だと思うけど、その駄目さ加減の描写のみに終始していて、これが芥川賞受賞作品となり得るのかと疑問に感じる。
0投稿日: 2014.01.05
powered by ブクログ2014年の元旦、初詣の帰り道に駅前の本屋で見つけて購入。そのまま読み始め、一気に読破。第144回芥川賞受賞作の本書。受賞時には、何かとマスコミから注目されたと記憶している。 作品は、私小説とされているが、戦後70年近くが経過する現代の日本にあって、社会階層の二極化、そしてその実質的な固定化はある意味如何ともしがたい現状にある。そのなかに身を置く主人公・貫多の置かれた状況は、確かに厳しく辛いことは確かだが、現代社会にあっては、それほど希有なことではないことのようにも思われる。ただし、誰もがいつ何時、そうした状況に直面するかもしれないという危機感と不安感は、本書を通してヒシヒシと伝わってくる。 本書には、主人公・貫多が、その後小説家となり作品選考会に何度目かノミネートされ、選考過程に残ってるときの心情について綴られた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」が併録されている。心の揺れが、リアリティ溢れて綴られている。 が、何故、主人公・貫多が小説家になっていったのか、そのことについては綴られていない。その部分こそ是非とも読みたいと思ったのが、読後の感想。
0投稿日: 2014.01.01
powered by ブクログ自意識やばい。溢れ出す自意識。そして劣等感。学歴やら女性やらなにからなにまでに押しつぶされてぐにゃぐにゃになって燻っている。あまりに暗く、あまりに深い歪みだ。書くことでしか救済されない種類の、深い歪みを感じる。しかし、この劣等感という感情は、立場は違えど誰しもが一度は感じるものだと思います。だからこそ、この小説は自分の中によく響く。
0投稿日: 2013.12.11
powered by ブクログ下品で暗いが、妬み嫉みといった心情がでていて ああ、こういうことあるよね、場面はちがくとも。と思った。
0投稿日: 2013.12.07
powered by ブクログ暗すぎ。 芥川賞作品は暗い前提なんすか。 途中で出てきた友人のシーンくらいかなぁ、救いは。 あんま覚えていいないけど覚書で
0投稿日: 2013.11.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ねたみ・ひねみ・そねみ。 分かる、分かるとか思ってしまう自分を嫌いになったり、これよりマシとか思ったり、そんな自分も嫌いになったり。
0投稿日: 2013.11.11
