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常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫)
常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫)
原田マハ/新潮社
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総合評価

383件)
4.0
101
151
96
9
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    とても読みやすかったです。心してかからなくても、常設展の絵画にふらっと立ち寄るように、気軽に読める作品。

    1
    投稿日: 2023.03.17
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    シンプルでおもしろいです。 芸術作品というとお高くまとまっていて、こっちもちゃんと正装で向かわないといけないと思ってしまうけれど、そんな事ないんだと気付かせてくれる素敵な短編ばかりだった。 日常のふとした瞬間に自分の目を開かせてくれるものが存在する、という事実と貴さを改めて感じました。それに、どんなに価値のある芸術作品も、私たちと同じ世界に存在するという事実に気付かせてくれる、まさに表題どおりの作品です。

    2
    投稿日: 2023.03.15
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    原田マハさんのアート小説はいくつか読んできましたが、これは絵との出会いや関わりが登場人物の人生に影響を与えるというまさに王道な設定でこれもまたよかったです。 短編集だから仕方がない部分はありますが、各章でのそれぞれの絵への深堀や、その絵のストーリーとの関連性が少し薄かったのがんーといったところでした。 『群青』と『豪奢』がすきでした。 企画展などはもちろん魅力だが、常設展示にもしっかり目を向けたいと思った。 どんなときでも常に自分を迎え入れてくれるのは常設展示の絵たちなのだと。

    0
    投稿日: 2023.03.14
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    各話の絵画を見てみたいと今回も思わせられる作品でした。なかなか日常的に美術館に行く機会がなく、どうしても企画展に目がいきがちですが常設展示はその美術館の方向性みたいなものを感じます。 上白石萌音さんの解説「有名な画家も、出だしは名もなき画家だった」という一文が素敵でした。

    0
    投稿日: 2023.03.13
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    6つの短編からなる本。 絵と家族、人が交差する話ばかりでした。 デルフトと眺望 を読んでから気持ちが持ってかれてなんだかずーんと沈んでしまった(⁠+⁠_⁠+⁠) 全て短い話ながらも心に残る、さすが原田マハさん! やっぱり美術館に行きたくなる。見方とか分からないけどゆっくり絵を見ていたい、そんな気持ちになる。 また時が経ったら読み返したいです。

    2
    投稿日: 2023.02.28
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    切り捨てなので3にしたけど、3.5。 最後の「道」が好きな話だった。私は美術(西洋画)に詳しくないけど、学芸員の資格を取るために美術系の授業もいくつか取っていたので、面白かった。 人生を変えるような、彩るような一点に出会いたい。美術館に行きたくなる小説だった。

    1
    投稿日: 2023.02.12
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    いつもは特別展目当てに行って、常設展示は流すくらいでしたが、常設展示を目的に美術館に行きたくなりました。

    2
    投稿日: 2023.02.11
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    原田マハ7冊目。 それぞれ個性のある6作品で、どれも1つの作品が登場人物の人生を彩っていて心があったかくなった。特に好きなのは「マドンナ」と「道」。 「マドンナ」 たった1枚の絵との出会いで、自分の心がふっと変わって、人生が変わる瞬間があるのだなと。そんな出会いを守れるように行きたい。 「道」 昔、美術の教科書で気になりじっと見ていた記憶のある作品だったのでとても心に残った。対照的に描かれる兄妹と2人を繋ぐ道が印象的。

    2
    投稿日: 2023.02.09
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    久しぶりの原田マハさんの本。 六話からなるアート短編集。読み終えてやはり大好きな著者だと思いました。最後の話。 道 泣きました。 アート作品は東山魁夷の『道』 美術作品展に応募された作品から幼い頃に生き別れた兄にたどり着く。なんとも優しい気持ちになる読み物です。東山魁夷柔らかな静寂がもたらす平穏さが漂いました。 『デルフトの眺望』フェルメール 『マドンナ』ラファエロ 七月と七月生、姉弟の話。二話が連作。 『群青』ピカソ 『薔薇色の人生』マティス 絵にまつわる物語、文章が芸術の世界へわたしを連れ出していきます。

    0
    投稿日: 2023.02.04
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    原田マハさんの文章で絵が見たくなって手に取りました。 出てくる絵はどれも有名で見たことありますが、マハさんの表現によってこういう見方もあるんだと感心。 「群青」「デルフトの眺望」が好き。 「豪奢」の紗季は最終的に決断できたけど、男のためにいろんなこと棒に振っちゃったのがイヤ。 「道」はありがちですが、いい読後感でした。

    4
    投稿日: 2023.02.01
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    それぞれの章でどのように常設展示室が関わってくるのだろうかとワクワクしながら夢中で読み進めました。 登場人物にとって大切な作品となった背景が、章によって全然違うので飽きずにとても楽しく読むことが出来ました。そして自分も大切な一枚の作品に出会ってみたい、美術館に足を運んでみたいなぁとウズウズしてくるそう思える作品でした。

    2
    投稿日: 2023.01.29
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    アートと人の人生を組み合わせて、こんなにも素敵な物語が生み出せるなんて、すごい。 アートに興味がなくてもここまで惹き込まれるのだから。あぁ、美術館に行きたいなぁ。

    3
    投稿日: 2023.01.28
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    無性に美術館に行きたくなる作品でした。色々な思いを込めて描かれた絵画の前で時間を忘れて何かを感じたい。

    2
    投稿日: 2023.01.23
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    上白石萌音さんの文庫本解説 良かったです。原田マハさんのこと、展示会後のキュレーターへの電話…素敵でした。

    3
    投稿日: 2023.01.21
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    美術館の常設室に展示されている絵画との"出会い"をテーマに、6つの短編が収録されています。 ピカソ、ゴッホ、フェルメール… 私が生まれるずっとずっと前に、はるか海の向こうで描かれた絵画が今も残っていて、 美術館を訪れれば彼らの絵と出会うことができるのって改めてすごいことだと思いました。 本書を読んでいると、 美術館の静かな展示室に自分が一人で佇んでいて、誰かを絵をじっと鑑賞しているような感覚になります。 原田マハさんのアート小説を読むと、美術館に行きたくなってしまうのはいつものことです(笑) 本書に登場する6枚の絵。 短編を読み終えるごとにもちろんスマホで検索はしましたが、是非一度、本物を見る機会があればいいなぁ…。

    18
    投稿日: 2023.01.18
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    ピカソやゴッホ、フェルメールなど有名な画家が手がけた作品だけでなく、有名でない作品にも心動かされる所が良かった。 絵にはそれまで落ち込んでいた気分が上向きになれる不思議な力がありそう。 美術館に行きたくなった。

    2
    投稿日: 2023.01.16
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    2023年1冊目。 マハさんの織り成す アートの世界にどっぷり浸りながら。 どのお話も 心にじっくりと染み渡るすてきな物語でした。 2023年は 美術館巡りを したい!

    1
    投稿日: 2023.01.14
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    後半のお話がどれも私好みで好きだった 美術に対してそんなに興味なかったけど 原田マハさんの作品を読んでいくうちに興味を持ち始めている自分がいる。 もっと沢山読みたいなと思う。

    0
    投稿日: 2023.01.12
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    金曜の夕方6時に東京国立近代美術館に行って、東山魁夷の「道」を鑑賞したくなる。そんな短編集。 原田マハさんの著書はほとんど読んでいる。 今作の「薔薇色の人生」「豪奢」はマハさんにしては恋愛、しかも癖の強めの恋愛が絡むちょっと珍しいテイストだなあと感じたけれど、最後の「道」は(あまり現実味がないものの)マハ節を感じたし切なくて涙ぐんでしまった。 女優・上白石萌音さんの解説(これもとても良い文章でした)も含めて230ページほどなので、数時間で読める。何か読みたいけれど考え込むようなものはちょっと…というときにオススメ。どの短編も読後は心がふんわりと軽くなる。

    0
    投稿日: 2023.01.08
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    急に始まった原田マハさん祭り。 一作目は「風神雷神」だった。 二作目は「常設展示室」。 ワクワクしながらページを開いた。 果たしてどんな熱いものが書かれているのか… と思ったけど全然違った。 普段、私が選んで読んだマハさんの本は、熱いアートへの思いが綴られている。 今回の「常設展示室」は、 絵に対しての優しい愛を伝えるお話たち。 要は、ラブレターだった。 様々な女性たちが自分にとって、 胸を締め付けられる絵画に思いを馳せる。 絵がメインなわけではない物語だけど、 主人公たちの人生に一瞬登場する絵たちがその一生を輝かせる。 その絵があるから、生きていける。 私も人生でこれだと思う絵を見つけたい。 そして心の中で、 その絵にラブレターを届けたい。 静かでゆっくりと時間が流れる 私だけの常設展示室で。

    4
    投稿日: 2023.01.06
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    短編。 最初と最後のお話が好きだった。 最後のは、こんな偶然ないよ〜と思いながらも泣いてしまう。切ない。

    1
    投稿日: 2023.01.06
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    芸術に触れた感覚や気持ちを登場人物を通して感じることができる。 間接的な芸術の触れ合いができるのと同時に読書独特の心新たにさせられる感覚を覚える作品。

    0
    投稿日: 2023.01.06
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    最初の話と最後の話は好きだった。 基本的に主人公の年代が40代くらいで、未婚の女の人。 私がそれよりもだいぶ若いせいか、あまり共感もできず。 七月生ではなく七生であることを実感する。 アートがなくても生きていける人。

    1
    投稿日: 2022.12.29
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    マハさんのアート小説2冊目だったけど、有名作品がよく出てくるからか、前回より馴染みやすく、読みやすく心温まるお話しだった。

    2
    投稿日: 2022.12.20
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    小さい頃から絵心はないがアートが好きだったため、何気なく手に取った。 久しぶりに新刊をそのまま読んだ。 (いつもは積読を消化する民) 原田マハさんの著書は「わかるー、そういう人、そういうタイミングあるよね。忙しい時に限って連絡してくる親」などと共感しながら読めるものが多く、且つ「渡る世間は鬼ばかり」のように絵に描いたような「底意地の悪い人」が出てこないのがとても良い。(褒めてます) 最後の道の章、他の誰にも分からないけど、この人だけには伝わる作品、というのがすごくいい。 私も書道をやっていて、この線はあの人の…!と一人で打ち震えることがある。 そんな、私と“あなた”の見えなかった道が、翠いろの道で交差する、とても心温まる章が好き。 心のダムが決壊し、近所のカフェで鼻を啜りながら読ませていただきました。

    2
    投稿日: 2022.12.15
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    どこでこの本を知ったのかは覚えてないし、この作家さんとも無縁だったのですが、先日図書館で借りてみました。 この類の本、美術にまつわる本に触れるのは初めてでした。この作家さん自身も美術史を専攻しており、美術関連のお仕事をされていたということがあり、文章に深みやその人にしかわからない想いを素人の私にシェアしてくれたように感じます。 “この世でもっとも贅沢なこと。それは、豪華な物を身にまとうことではなく、それを脱ぎ捨てることだ。”という一節に心動かされました。 私もそんな大人になりたいなと思います。

    5
    投稿日: 2022.12.11
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    すごく綺麗だと感じたとか、ずっと見ていられるような感じがしたとか、美術の知識は無くても惹きつけられる作品と出会い、見た人の人生にじんわり影響を与え続けるものになる、という力が絵にはあるんだと実感させてくれる本だった。 小説の中に出てきた東山魁夷という人の作品を調べてみると、とても綺麗で、東山魁夷館という場所があるのも知り、今度ぜひ訪れてみたいと思った。

    2
    投稿日: 2022.11.27
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    短期入院中の読書、その4。 美術館の絵画とそれを観る人の人生の交わりを描く短編集。 例によって、物語に出てくる絵をスマホで検索しながら読んだ(絵と物語のつながりに肯ける話とそうでもない話が入り混じっていたけどね)。 ■群青 (ピカソ「盲人の食事」) そんなに無理やり病気にしなくてもよいと思うのだけど、盲人を励ましたくてこの絵を描いたのだと、パメラとともに生まれて初めてこの絵を見たように絵に向かい合う美青の姿はちょっと良かった。 ■デルフトの眺望 (フェルメール「デルフトの眺望」) 病院に入っていると色んな患者さんを見る。自分は手術さえすれば退院の見込みは早晩たつような入院だったが、今は家族の面会も制限されているので一人でいつ終わるとも分からない病状に向き合わなければならない人はしんどいだろうな。 この話のように子どもに看取られて死ねたらいいけどな。 ■マドンナ (ラファエロ「大公の聖母」) 「いいですよ、死んだらそれで寿命だもの。もう少し生きる寿命なら、生きて帰ってくるでしょ?」 入院している最中にこんなフレーズに会うとドキッとするな。おっとりとしているけど、お母さん、腹が据わっている。 だけど、こんな心境にはなかなかなれないぞ。 ■薔薇色の人生 (ゴッホ「ばら」) あんな田舎のバツイチ女性相手にこんな手の込んだことをするかね? ■豪奢 (マティス「豪奢!」) 「入場まで二時間待ちだって」「じゃあなおさら見たいよね、がんばって並ぼう」という気にならない私は、マティスのあの絵を見ても紗季のようには感じ取れない。 「馬鹿だな、私」と思ったら、そこからやり直して欲しかった。 ■道 (東山魁夷「道」) 話の流れとして、お兄さん以外にはないと思いながら読んだ。 主人公の女性たちが、ああでないと斯界で生きていけないのだろうけど、おしなべて肩肘張り過ぎて魅力に薄い。 それぞれよく出来た話のようにも読めたが、私には全体的に作り話が過ぎた感が強かったように思えた。 ★★★にしたけど、2.5くらいの気持ち。

    24
    投稿日: 2022.11.24
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    いい。とてもいい。すごくいい。 心に栄養を与えてくれる感じ。 マハさんありがとうって思っちゃう。 登場する絵を検索しながら、どの作品も温かい気持ちで読んだ。

    4
    投稿日: 2022.11.20
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    久しぶりにアート系のマハさんの本(飛ぶ少女、スイートホーム)短編でそれぞれの絵を題材に物語が進んで行き、アートに疎いので知らない世界を覗く事が出来るのが毎回たのしみです。読了後にそれぞれの絵を検索して背景を知ることも醍醐味です。

    2
    投稿日: 2022.11.14
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    観るのは好き、直感的に美しさを感じるだけの能力しかないけれど。と言った具合の美術オタクの私にとって、やんわりじんわり人生と絵画が交錯する世界線がどこか身近にあるもののように感じられてほっこりとする作品だった。 特に好きだったのが最後の『道』 まさか、まさかと思って読み進めていくと期待した展開に少しだけ仄暗い結末と遠くの希望が見えた。

    2
    投稿日: 2022.11.13
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    読みやすい短編集。本来、アートは構えるものではなく、こうやって生活の中にさりげなく入ってくるものなのかも。企画展ではなく、常設展にある絵をモチーフにしているところも流石。

    2
    投稿日: 2022.11.12
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    朝の通勤電車で読みました。 朝読んではいけなかったと思いながらも読み進め、翌日もつい読んでしまいました。 電車の中で泣きそうになりました。 美術や絵画に疎くすこしコンプレックスを持っているわたしのようなひとにおすすめしたい本でした。(上白石萌音さんの帯を読み手に取りました。) 出てくる絵画を携帯で調べながら、きっと今後ふとした瞬間に、絵画のイメージと短編の内容がふわっと蘇ってくるんだろうなと思います。 出会えてよかった本のひとつになりました。

    4
    投稿日: 2022.11.09
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    原田さんのこれまでのご経験があるからこそ描けた作品なのかなぁと想像しながら読みました。 どの作品も美術関連の仕事をしている人物が出てきますが、美術の知識が何もなくても、楽しめます。 また、作品が面白いので、出てくる絵画をネット検索して確認しながら読み進めました。そのおかげで、美術に興味を持つようになりました! まだ原田さんの著書は数冊しか読めていないので、他のアート関連の物語もどんどん読みたいです。

    4
    投稿日: 2022.11.06
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    登場する女性達は、アート関連の仕事や勉強をしてきた女性。それぞれ親の介護や、自身の離婚や生い立ち、病気、恋愛など人生の岐路に立っています。その彼女達が導かれるように出会った絵画。 ゴッホのバラの「薔薇色の人生」のほろ苦さには苦笑しましたし、フェルメールの「デルフトの眺望」のハガキにはブワッと涙が溢れ、東山魁夷の「道」の交錯した2人の運命には泣きましたね。 しかし、どのお話も悲しみの中にも明日への希望が見え余韻が残る素敵なラストでした。 私は美術アートは好きですが、美術展では音声ガイドを借りて、人混みの間をささーと回る感じて、一枚の絵画にじっくりとは向き合った事がありせんでした。 が、この本を読み有名な展覧会だけでなく、もっと気軽に美術館へ足を運びたくなりましたし、ゆっくりと絵画と向き合ってみたいなあなとも感じました。   この本はバスや電車内でなくお家で読むことをお勧めします。夕方バス車内で読んだら、涙と鼻水で大変なことになりました。

    3
    投稿日: 2022.11.06
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    泣いた 絵の知識皆無すぎるけど、全部の絵が気になっていちいち調べた この短い話でここまで暖かく切なくなれるもんかとびっくり 最近の出来事とどんぴしゃ重なりすぎている話が二つあって、たまたま見つけたから読んだのだけど、なんかそういうのってあるよなあとなった

    2
    投稿日: 2022.11.04
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    原田マハさんの本を読むのは初めて。 美術に関わる仕事というと、美術館で働く、美術家になる、研究家になる、くらいしか認識していなかったので、ギャラリーで働くという関わり方もあるのか〜そりゃそうか!と目から鱗だった。 みんな家庭はそこそこで仕事に邁進してる人ばかりだったのが残念というか、それが現実なのかもしれない。仕事に全てを捧げないと面白い仕事は掴めないのかな。 どの主人公も両親に対する思いやりと、自分のやりたいこと/やっていることとのしがらみがあって、親孝行するためにはなるべく近くにいたいし、でもやりたいことのためにはそういうわけにもいかないしね…わかるわかる、と思った。 ただ全体的に無難な短編が多いなという印象で、あまり入り込めなかった。 その中では最初の群青が一番好き。好きという気持ちは、目が見えなくなるという困難にかかわらず、そこに存在し続けるのだなと感じた。 豪奢の女の子は、出会ってたった数ヶ月の男性のために仕事を辞めてしまったことがこちらまで残念だった。彼に夢中になる描写や、夢中になった理由があまり読み取れなかったのでなおさら。楽しく一生懸命働いてたんじゃないの〜?どうして。。就職したときにお母さんがくれたというポストカードのことを思うと私まで苦い気持ちに。 裏表紙のあらすじで、「私」「娘」とあったので、親子何世代かのオムニバスかな?と期待してしまい(オムニバスが好きなのでつい)、そうではなくて、結果的には期待したほど夢中にならなかった。 そしてバトンがわたされたもそんなに刺さらなくて、上白石萌音さんが帯やあとがきを書かれてる本はそんなにピンとこないのかな?という仮説がある。 普段気に留めるほどではなかったり、なんとなく見過ごしたり、口に出すのは少し憚られたり、そんな理由で普段はつまびらかにされない、ひとの心の薄暗い部分を扱う作品が好きなのかも。 原田マハさんの本はこれを機に他のものも手にとってみたい。

    2
    投稿日: 2022.11.03
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    絵の見方があんまり理解できてない人間だったので奥にある人を想像するという考え方にまず拍手 お話自体は多分わかりやすさのためのあえてのドラマチックさが賛否両論かも?ってものも多かったかな〜 マドンナがちょうどよくて個人的ベスト◎

    2
    投稿日: 2022.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    好きになれない作品だった。 ジヴェルニーの食卓やサロメ、暗幕のゲルニカは興味深く読めたけれど、画家やアートが主役でない今作は主題として取り扱っている日常描写が酷すぎると感じた。 死や病気でわざと悲劇的な状況を作らなくてもアートの素晴らしさが身に染みる瞬間はいくらでもあるのに、なんでわざわざここまでするのだろうと悲しくなるような話が多い。(逆に、そこまでの状況に陥っている際に必要なのは絵画の力じゃないのでは、と思ってしまう) また、主人公たちがあくまでも主人公でありすぎてサポートに回っている人物たちにほとんど意思がない点や添え物感が辛すぎる。 それぞれの人生の肯定がテーマなのかもしれないけれど、周辺人物への感謝や愛情描写が圧倒的に不足しているように感じてならない。(それらなしに絵画の美しさに癒しを求める主人公たちの傲慢さが辛い) というか、この手の小説が読みたい時には別の作家を選びますっていう感じがする。心理描写の丁寧さが違いすぎて、受け取り方がまったく変わると思う。 以下「群青」より引用 「日本人の場合は露骨な自慢話をすれば嫌われてしまう。けれどこの国では、そしてこの業界では、どれだけさりげなく自慢できるかがエリートの指標になっているんじゃないかと思うくらい、それが頻繁なのだ。」 正直、今作には上記引用のような印象を抱いている。

    3
    投稿日: 2022.10.30
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    そこに行けばいつでも会える美術館が誇る宝物の部屋。 いつでも私たちを待っててくれている部屋。 企画展ではなく、常設展に焦点を当て、そこにある絵との出会いや再会の物語。 6枚の絵と共に織り成される短編集。 「薔薇色の人生」で国立西洋美術館にあるゴッホの「ばら」が出てきた時は、つい1週間前にそこへ行きそれを見たので、1文字1文字の心への染み込み具合が違った。 原田マハさんの本は初めて読んだけど、味わい深くてしっとりとした文章に魅せられた。美術館へ行きたい。 「群青」が一番好き。ブルーピカソ。「マドンナ」でラファエロが出てきて嬉しかった。大公の聖母、良き。

    3
    投稿日: 2022.10.29
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    どこにでもあるような駅前の情景を描いた絵がある。 停車中の電車を跨ぐ駅舎と商店街、その向こうには夕焼けのグラデーション。 駅舎へ続く階段を、親子が手を繋いで楽しそうに会話しながら降りてくる。 店先のお惣菜を眺める男性はきっと晩酌のことを考えている。 自転車のハンドルに頬杖をついて、踏切が開くのを待ちながら通りすがりの猫を眺める女性。カゴには夕飯の材料らしき野菜の入った買い物袋が入っている。ウィスキーの瓶も見える。夕飯をつくって、誰かと一緒に、あるいは一人で、ゆっくりと夜を過ごすのかもしれない。 ここ数年ずっと仕事が忙しく、夕暮れ時に帰ることなんてほとんどなかったせいか、そんな情景がなんとなく染みたのでした。 アート、とりわけ絵画となると難しくてよくわからないお堅いものと思われがちだけど、本当はもっと身近で個人的な感情に結びついた物であるはずだ。 私はクリエィティブな才能はないから鑑賞者としての感覚でしか言えないけれども、偉大な画家達もきっと、個人的な感情で絵を描いたのだと思う。 恋人、故郷、自慢の庭、サンルームで柔らかな日差しを浴びる愛娘、そんな身近な物事への感情だったり、世の中に何かを訴えるような気持ちだったり。 考えてみれば当然のことかもしれない。 何十億円とかいう数字をみると、なにかとんでもないことのように思ってしまうけど。 そう考えると、アートがもっと身近なものに感じられる。 自分の中の感情を頼りに、もっと気楽にアートを楽しめばいい。 マハさんの本を読むと、いつもそんなふうにおもいます。

    2
    投稿日: 2022.10.22
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    素敵な常設展示室でした。 6つの作品が展示されていました。 現在、実家で一人暮らしをしている親との付き合い方を悩んでいる身としては、『デルフトの眺望』と『大公の聖母』は心に染みた。 東山魁夷の『道』も、とても良かった。 どれも本物は観たことがない。 この作品を、1つの物語を読み終える度に改めて検索をして作品を確認するように小さな画面で鑑賞した。 是非、本物をみてみたい。 そう、思わされました。

    16
    投稿日: 2022.10.18
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    原田マハの作品が好きでよく読むが短編だと若干物足りなさを感じる。もう少し先を知りたいという所でラストを迎えてしまうが、本当のラストは読者に委ねられているのかもしれない。

    1
    投稿日: 2022.10.16
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    なるほど美しいお話だな…と『群青』に触れ 続く4編を、つらつらと読み進め 最後の『道』でガツンとやられた。 どう表現すればいいのやら、膨大な感情に身を填めていたら上白石萌音ちゃんの的確な解説が現れて心から驚いた。 この人の物語をもっと読みたい。この人が目にして、選んだ作品をこの目で見てみたい。いま確かに、そう思えている。

    2
    投稿日: 2022.10.05
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    「盲人の食事」ピカソ 「デルフトの眺望」フェルメール 「大公の聖母」ラファエロ 「ばら」ゴッホ 「豪奢」マティス 「道」東山魁夷 6枚の有名な絵画が出てきます。 一話に一枚登場し、主人公はその絵に心を動かされ前に進んで行く。 珍しいフェルメールの風景画や都内で観ることの出来る絵もあり、選ばれた6枚の絵画は時代もジャンルも様々で面白い。 絵自体は何も変わらないのに、私達はその絵に心を動かされ影響を受ける。 観る時の自分の気持ちによって感じる事も違う。 とりあえず上野に行こうかな、という気持ちになる一冊。 そしていつだって、私にマティスは、難しい… _:(´ཀ`」 ∠):

    33
    投稿日: 2022.10.04
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    絵画を交えて巻き起こる良質な短編集。どれも心を打つ作品だったが特に最後の「道」が良かった。途中、話の筋は見えてきたが、それでも一つずつ分かってくると感動を覚えた。

    2
    投稿日: 2022.09.30
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    アート小説の6編短編集 アート業界で働く女性たちと家族への想いが描かれた物語 それぞれの短編の読後感が良いです 登場する絵画はピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷 ■群青 The Color of Life ここで出てくる作品はピカソの「盲人の食事」 https://www.musey.net/521 まさに青の時代と言われた時の絵画とのこと 初めて見た(笑) ■デルフトの眺望 A View of Delft フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」 https://www.musey.net/416 これ、日本に来た時見に行きました。 素敵な絵でした。当時は武井咲さんが同じ衣装を着てプロモーションしてましたよ ■マドンナ Madonna ラファエロの「大公の聖母」 https://www.musey.net/470 暖かさを感じる作品ですね。 同様に、この物語は暖かい ■薔薇色の人生 La tie en rose ゴッホの「ばら」 多分、これのことですよね https://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0193.html この物語は、ちょっと悲しくも、正直面白い(笑) ■豪奢 Luxe マティスの「豪奢」 https://www.musey.net/5730 この絵はよくわからない(笑) そして、この物語はどちらかというと嫌い ■道 Strada 東山魁夷の「道」 https://p-art-online.com/artist/higashiyamakaii/ シンプルな絵ですね。 この物語が一番好きです そして、登場人物の一言 「全部捨てた。そうしたら、道が見えてきた。この絵を見ていると、そんなふうに感じます」 自分はそこまで感じませんでした(笑) とはいえ、この物語はぐっと来ます。 お勧めです

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    投稿日: 2022.09.23
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    美術館と、作品、一つ一つ短編は悲しみが重くって、絶望感でいっぱいになりそうなのに、主人公たちは前を向いていて、よかった。 悲しみで沈むのではなく、背中を押してくれる感じが好き。

    6
    投稿日: 2022.09.22
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    どの話も途中、どうしようもない哀しみに切ない気持ちになりますが、それでもその時、自分に置かれた状況の中で前を向いて歩いていこうとするそれぞれの物語の主人公に、勇気づけられます。 人の数だけ人生があり、すれ違ったり、少し話をしただけではわからないその人の物語があるんだろうな。

    7
    投稿日: 2022.09.19
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    キュレーターとして働く女性たち。 絵が好きで、美術館が好きで、多忙な毎日だけど充実している。 絵から受ける印象が鮮やかに描かれて感銘を受ける。 それぞれが年老いた親がいるけれど、仕事が忙しくていつも近くにいてあげられない。 気にはなるけれど、仕事。中の電話にはイラッとする。 年老いた親の介護に直面する彼女たちが、忙しい中できるだけ親に寄り添おうとする姿勢に心打たれた。

    1
    投稿日: 2022.09.18
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    マハさんの長編に比べると物足りない感は否めないですが、それぞれに趣がありました。 一番好きだったのは、最後の『道』 ネタバレもなにも、中盤から展開がわかっちゃうけれど、引き込まれてしまうのは、マハさんの登場人物への愛のように思いました。 う〜ん、でもやっぱり、マハさんの魅力は長編で全開かな。

    2
    投稿日: 2022.09.17
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    絵や美術館の描写が素敵だった。 文章で絵画を知って、そのあとその絵を見るっていうのも面白い。文章から得た情報で自分がどんな絵を想像しているのかが楽しめた。 次もあったら読みたい。

    1
    投稿日: 2022.09.16
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    久しぶりに美術館に行きたくなった。 行くなら空いている時間帯で、じっくりゆっくりお気に入りの作品と向き合って対話したい。 それはとっても豊かで贅沢な時間。 芸術は生活に不可欠ではないかもしれないが、人生を豊かにしてくれる。 時には傷つき疲れた心を癒してくれる。

    6
    投稿日: 2022.09.06
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    短編集が好きで、短編+原田マハは相当面白いだろう!と手にとってみたけど、想像以上の満足感でした!特に1つ目の"群青"と6つ目の"道"が好き。 タイトルの通り、常設の、いつも身近にある展示室の良さみたいなのを感じました。 毎回言ってるけど美術館に行きたくなる。

    1
    投稿日: 2022.08.23
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    何か、作品をふと思い出して会いたくなるというのは、とても豊かなことだと思う。 本はたくさんあるし、音楽や映画もいくつか思いつく。 絵画にも、どこかで出会えるといいなあ。

    1
    投稿日: 2022.08.22
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    美術館に行って、自分のお気に入りを何時間も眺めたくなった。 ただ個人的には原田マハさんのお話は短編よりも長編のほうが深くのめり込めて好きだな。短編だと物足りない。

    1
    投稿日: 2022.08.07
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    上白石萌音『いろいろ』の作中に名前が挙がっていた、美術館と繋がる6つの話から成る短編集。 自分の心に残っている芸術作品はあるだろうか? 初めて作品を観たその瞬間から心にすっと入ってきて、何年も心の中に居続けるような。そんな作品が短編集の芯になっていた。 私は最後の「道」のお話が、優しくあたたかく、どこか切ない雰囲気があって印象に残っている。 芸術作品の描写を読んで、本物を調べて見ると、なるほどと思わされる。原田さんのアートを観る目を通して、作品の解説もしてもらっているような楽しさがあった。 美術館に行きたくなる作品だ、と聞いていた通り、企画展ではなくいつでも観られる常設展示室の、あの素朴な優しい雰囲気を味わいたくなった。

    7
    投稿日: 2022.08.07
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    『薔薇色の人生』だけ私は?だった。 その他の一つ一つの物語は心にじんわり心地の良い余韻を残してくれる作品だった。 一つ目のピカソの『盲目の食事』で、盲目の人に寄り添うために書いたのではっていう思いはとても素敵だった。 絵画は、もちろん描いてテーマがあると思う。 でも見た人のその時の心情や状況によって受け取り方、感じ方があり、心に響くことがある。 私も、以前東山魁夷の展示を見に行ったことがあるが『道』がとても印象的だったことを覚えている。 作品の見方、感じ方っていろいろだと思うが、登場人物を通して、それを見れることができてとてもおもしろい。

    1
    投稿日: 2022.08.07
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    絵と展示室で繋がる人と人の短編小説 幼い頃からスポーツばっかりしてきたみたいに、絵が身の回りにある生活をしてきた人たちがいるんだよなあ、っていう当たり前のことを考えたりした。子どもの頃に何が身近にあるかで、人生結構変わるよね。「ホンモノなら惹きつけられるのに10秒もいらない」ってセリフがその道のプロ感があって好き。この世界は誰かの仕事でできている

    0
    投稿日: 2022.08.04
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    さて、皆様。アートなクイズのお時間がやってまいりました!次のヒントを読んでその絵のタイトルと画家の名前をお答えください。 ・ヒント1: 『若くきれいな女性の肖像画で、彼女は全集の中に登場するほかのどんな女性とも違っていた』。 さてどうでしょうか?『女性の肖像画』と言われても流石にこれだけの情報ではわかりませんよね。では、 ・ヒント2: 『目が覚めるような真っ青なターバンを頭に巻き』、 はい!はい!…と何名かの方はピンときたかもしれませんね。一方でえっ?というそこのあなた。そんなあなたに次のヒントです。 ・ヒント3: 『真珠のイヤリングが光を集めて揺らめいている』。 あらら、もう決定打ですね。『真珠のイヤリング』と言ったら、そう、あの有名な作品ですよね。 ・ヒント4: 『こぼれおちそうなほど大きなうるんだ瞳をじっとこちらに向けて、何かを懸命に訴えようとしている』。 はい、皆さんお分かりですね。この作品は、 ヨハネス・フェルメール作〈真珠の耳飾りの少女〉 でした。確かに『真珠のイヤリング』など、分かりやすい特徴がある絵ではあるのだと思います。しかし、たったこれだけの文字数の中に読者を惹きつけるような見事な文章表現をもって、一枚の絵をまるで読者の頭の中に浮かびあがらせるかのように説明するというのは誰にでもできることではありません。それには、一枚の絵の中に、画家が託したメッセージをしっかりと受け止めて、文字に表現していく天賦の才能が求められるのだと思います。 さて、そんな見事な文章表現をもって主人公の心を動かしていく絵画がさりげなく描写される作品がここにあります。「常設展示室」というこの作品。それは、さまざまな境遇の中でそれぞれの人生を必死で生きる主人公たちが、それぞれの胸に宿る一枚の絵と対峙する様を見る物語です。 『朝、目覚めると、世界が窮屈になっていた』と、『天井の一点をじっとみつめ』るのは主人公の美青(みさお)。そんな美青は『枕もとのリモコンを手にして、テレビをつけ』ますが『テレビ画面がやけに小さい』と感じます。『また視力が落ちたのかと』思う中、テレビ画面には『メトロポリタン美術館が、新しい教育プログラムとワークショップの開催を発表し』たニュースが流れています。『知的障害を持つ子供たちや、聴覚障害を持つ子供たちなど』『障害の内容を考慮しながら』『担当キュレーターがコレクションを解説する』と説明するのは上司のアネットでした。そんなニュースを見終えた美青は、仕事へと出かけるのに階段を降りようとしたところ踊り場までずり落ちてしまいます。隣人に助けられるも『階段が急に狭くなっちゃった』と呟く美青に隣人は『いつもの階段だけど?』と不思議がるのでした。そして、職場の『メトロポリタン美術館』へと着いた美青。そんな美青は過去を振り返ります。『採用募集はなかなかかからない』という美術館のポスト。『サンフランシスコ近代美術館』の教育部門に運良く採用された美青は、『メトロポリタン美術館』の教育部門に勤めるキャロラインと交流を深めます。そんなある日、『メトロポリタン美術館』のディレクターから電話があり、キャロラインの急逝と後任を打診されました。そして『メトロポリタン美術館』のポストを得た美青。そんな美青が職場に着くとニュースの内容に対して問い合わせが殺到していました。『障害者とのコミュニケーションを専門とするスタッフもいないのに、この企画を公にして』大丈夫だろうかと不安に思う美青の一方で、上司のアネットは次の取材のことばかり気にしています。そんな時、美青は『ドアにぶつかりそうになって、立ち止まってしま』い、『気分でも悪いのか?』と『印象派・近代部門のキュレーター』のアーノルドに声をかけられます。『視界が欠けている…ちゃんと見えてない』と説明する美青にアーノルドは『目は君にとっていちばん大事だ』とドクターに診てもらうよう勧めるのでした。一方で『障害児向けのワークショップ』の準備を進める美青。そんな美青がワークショップ開催に向けて駆け抜けて行く物語が描かれていきます…という最初の短編〈群青〉。自らの身体の不調を感じる中に大好きな絵画への思いの丈を精一杯仕事に向けていく美青の姿が印象に残る好編でした。 「常設展示室」という六つの短編から構成されたこの作品。そんな作品の帯に”この本は美術館への招待状だ”と〈解説〉の上白石萌音さんが書かれている通りこの作品は原田マハさんのアート小説の一つです。原田さんのアート小説は多々あります。代表作とも言える「楽園のカンヴァス」のような長編にはアートの世界にどっぷりと浸れるたまらない魅力がある一方で、「ジヴェルニーの食卓」のような短編にも複数の画家に光が当たる中にバラエティ豊かなアートの世界を楽しめる魅力があります。そんなアート小説では、画家の人生に光を当てていくものが多いように思います。フィクションとはいえ、ゴッホやピカソなど、絵画界の巨人が生を得て会話をする描写はまるで自身が、そんな画家が生きていた時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。一方でこの作品はあくまで現代社会に生きる私たちが目にすることのできる絵画を物語の中にサラッと登場させる中で、そんな一枚の絵画が主人公の人生に何らかの影響を与えていく、そんな物語が描かれています。 では、そんな六つの短編について、取り上げられる画家の名前とその内容をご紹介しましょう。 ・〈群青〉: 『メトロポリタン美術館』の教育部門に勤める主人公の美青。障害のある子供たちに『担当キュレーターがコレクションを解説する』というプログラムの開設に立ち合いますが、『世界が窮屈に』感じる身体の異変に気付きます。★ピカソ ・〈デルフトの眺望〉: 『父が最期の時を過ごした施設〈あじさいの家〉』へと赴いたのは主人公の七月生(なづき)。そんな七月生は『世界中の富裕層を相手に』絵画の取引で飛び回る中、父の介護は弟に任せきり。そんな七月生が入院先を見舞うと、そこには父親の衝撃的な姿がありました。★フェルメール ・〈マドンナ〉: 『あのね、湯呑みが割れちゃったのよ』と母親からの電話を受けたのは主人公の橘あおい。そんなあおいは『バーゼルで開催されている』見本市で『アラブ系の大富豪』の相手をしている真っ只中でした。席を立ってしまった『大富豪』。そして…。★ラファエル ・〈薔薇色の人生〉: 『どなたの色紙ですか?』と『パスポート窓口』を担当する主人公の柏原多恵子に訊く中年の男。自身の背後の壁に飾られていた色紙を振り向くも答えられない多恵子。そして、そんな男が気になり出す多恵子に男は自身がIT株で得た巨万の富を持つことを話します。★ゴッホ ・〈豪奢〉: 『三十五歳にして総資産は百億円を超える』という『IT起業家』の谷地哲郎と情事に耽る日々を送るのは主人公の下倉紗季。『六本木にある現代アートのギャラリー』に勤めていた紗季は、谷地の呼び出しにすぐ応じられるよう勤めを辞めてしまいます。そんな紗季が谷地に誘われパリへ赴きます。★マティス ・〈道〉: 『時代の寵児になりつつあった』という上り坂の人生を闊歩する主人公の貴田翠は、腐敗していた『新表現芸術大賞』の審査委員長に抜擢され改革に乗りだします。三十に絞られた最終候補作の審査の中で、ある絵の登場に翠は『不思議な感覚』に囚われてしまいます。★東山魁夷 物語の中に登場するそれぞれの絵は決して物語を支配したりはしませんし、数多の絵の中で特別というわけでもありません。これが、原田マハさんの代表作群との違いです。例えばピカソの〈ゲルニカ〉に徹底的に光を当てる「暗幕のゲルニカ」や、アンリ・ルソーの〈夢を見た〉に隠された秘密を探す「楽園のカンヴァス」では、その絵自体が作品の中で準主人公のような大きな位置を占めます。一方でこの作品に登場する絵画はあくまで脇役です。〈解説〉の上白石萌音さんが語られる通り”地下鉄の駅に大々的にポスターが貼られているような企画展ではなく、その美術館が所有している作品をいつでも見ることができる展示室のお話”がこの作品の特徴です。私たちが美術館に足を運ぶ時、それは何らかの企画が開かれることがきっかけとなる場合が多いと思います。確かに企画によって絵を見る需要は喚起されます。しかし、そのような企画の絵画と常設されている絵画に上下があるはずはありません。人によって自分が”特別”に思うものは、特別室に飾られている絵画とは限りません。この作品では、『ふとした瞬間に、心に浮かぶ風景がある』というその先に、主人公たちの心の奥底に強く印象づいている、それぞれの人にとっての”特別”な絵画の存在が語られていました。 例えば〈マドンナ〉に登場する主人公の母親は病院の事務職として長年病院の受付で働いていました。絵に対して興味が全くなかったという母親ですが、たまたま『待合室に置いている古雑誌』にあった一枚の絵が気になり切り抜いて机の前に貼ったと言います。主人公の あおいがその絵について訊いても『なんだかわかんない』と笑う母親。それを、やがて絵に関わる仕事をするようになった あおいはラファエロの〈大公の聖母〉だと気付きます。『なんだかわかんない絵』、『一枚の切り抜き』というその絵。母親はそんな絵を描いた画家のことも、絵の名前も知ることはありませんでした。しかし『七十歳で退職するまで、事務机の前の壁から母を励まし続けた』というその一枚の切り抜き。この短編に象徴される通り、この作品には、私たちの普段使いの感覚の中にある絵の存在が柔らかく描かれています。この作品は原田さんの数多あるアート小説の中では決して目立つ作品ではありません。「常設展示室」に、ある意味忘れられたように飾られている”普通”の絵画たち。しかし、それぞれの登場人物たちにとっては、”特別”な意味を持つ絵画たち。そんな絵画たちの存在が優しく描かれていくこの作品は原田さんのアート小説の中でも一つの新境地を描いた作品ではないか、そんな風にも感じました。 『こちらのチケットではこの展覧会はご覧いただけませんが、常設展の入場券がついておりますので、よろしかったら、そちらをご覧ください』というように、私たちが美術館へ訪れるきっかけは特別室で展示される企画が起点となる場合が多いと思います。しかし、特別室に展示されるものがその人にとっての”特別”であるかは別物です。何かおまけのような印象も受けかねない「常設展示室」に飾られる作品たち。この作品では、そんな私たちの感情の中にそれぞれ存在する”特別”な絵の存在に光が当てられていました。 わかりやすい筆致でそれぞれの絵が読者の眼前に浮かび上がるかのように描かれていく安心感のある物語を見るこの作品。それぞれの主人公が見る”特別”な絵画に、共に思いを馳せることのできる優しさに満ち溢れた作品でした。

    136
    投稿日: 2022.08.03
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    短編集。アートに詳しくなくても本書で紹介されているアートに触れたくなる。自分の人生にはまだアートという分野は少ないけれど、この本をきっかけにアートを知って人生を豊かにしたい。自分にとっての「名作」に出会いたい。

    1
    投稿日: 2022.07.24
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    原田マハさんの書く話に出てくる女性は落ち着きのある知的なキャリアウーマンが多い気がしてます。今回もそういう女性は出てくるんだけど、だからこそそれ以外の女性が目立つ作品でした。「豪奢」の主人公もそうだし……、特に「薔薇色の人生」の主人公。 彼女の境遇や物語の顛末、不憫と言っていいようならものだと思うんですが、でもそんな人生が一瞬でも不意に華やいで、つい慣れないことをして浮ついてみたり……。 特別前向きというわけではなくとも、決して後ろ向きでないフラットな感じがあって、ある意味マハさんの書く女性らしいなあという気がしました。だけど可愛げのあるキャラクターで、私はとても好き〜。 で、最後の「道」は他の作品に比べるとかなりドラマティックなんだけど……そこに登場する無名の画家がマハさんの「楽園のカンヴァス」で描かれるアンリ・ルソーに重なって、なんだか目頭が熱くなりました。 原田マハさんの本はやっぱり読みやすいし、アート小説は特に慌しい生活から連れ出してくれるような感じがしていいなあ。

    1
    投稿日: 2022.07.20
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    「あの美術館の今度の展示、良いらしいね」 先輩の一言がきっかけで、十数年ぶりに美術館を訪ねた。 母校のすぐそばに建つその建物はリニューアルされていた。 混雑する企画展を堪能した後、ふと「常設展示室」の入り口が眼に入った。 空いていた。 時間はたっぷりあった。 ゆっくり作品に向き合った。 学生時代に見たあの作品。 古今東西から集められた美の数々。 じっくりと時間が流れていた。 それから、美術館巡りが趣味に加わった。 そして、原田マハの小説に出会った。 誰よりも美の造詣が深く、わかりやすくアートを語り、いつまでもどこまでも少女のようなときめきを忘れない著者が、「常設展示室」をテーマに短編集を編んだ。 ○群青 幼い頃からの夢を叶え、ニューヨークのメトロポリタン美術館で働く美青。 理想と現実のなかでもがきなら過ごすなかで起きた、突然の変化。 (登場する作品 パブロ・ピカソ<盲人の食事> ニューヨーク メトロポリタン美術館) ○デルフトの眺望 七月生(なづき)は、現代アートを扱う大手ギャラリーの営業部長。 海外出張も多く、父の介護は弟のナナオに任せっきりになってしまっている。 父が最後を迎えた施設<あじさいの家>の部屋の窓を眺めるところから、物語は始まる。 (ヨハネス・フェルメール<真珠の耳飾りの少女><デルフトの眺望> オランダ デン・ハーグ マウリッツハイス美術館) ○マドンナ 一人暮らしの母が、だんだん衰えを隠せなくなっている。 心配ながらも、ついつい優しく出来ない。  前作に登場する七月生のもとで働くあおいの悩みはつきない。 アートに全く興味などなかった母が、勤務先の病院の机の壁に飾ってあった一枚の絵。 知らない絵だけれども、目に留まった。なんだか吸い込まれそうな気がしたから、雑誌から切り抜いて張ったのだと。 (ラファエロ・サンツィオ<大公の聖母> イタリア フィレンツェ ウフィツィ美術館) ○薔薇色の人生 パスポート窓口で働く多恵子は、ある初老の男性に声をかけられる。 壁に貼ってあった色紙がきっかけだった。 彼のことを意識するようになってしまった多恵子は、離婚を経験した後、ここで働いていた。 (フィンセント・ファン・ゴッホ<ばら> 東京 国立西洋美術館) ○豪奢 憧れのギャラリーで働いていた先は、顧客の実業家・谷地との出会いで人生が大きく変わってしまった。 仕事を辞め、谷地との関係のみが続く日々。 金銭的には申し分なく豊かになったのだが、彼の美術品に対する姿勢に疑問を抱くようになる。 (アンリ・マティス<豪奢> フランス パリ ポンピドー・センター) 「また泣いてしまった」とのフレーズで始まる、上白石萌音の「解説」が秀逸。 「この本は美術館への招待状だ」との帯を書いた彼女の読後感に、大きく共感。 アートは、特別なものではない。 時代を超えて、そこで静かに待っていてくれる友人なのだ。

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    投稿日: 2022.07.19
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    原田マハ。美術に造詣が深い方とは知らなかった。 御多分に漏れず美術館へは企画展を目当てに行くことが多い。というか、企画展で選んでいる。常設展示は「ついで」に見ることが多く、我ながら失礼だよな、と感じていた。  その常設展示室に光が当てられた美しい短編小説集。 「La vie en rose」がせつなすぎて。「豪奢」はちょっと林真理子ふう。そして「道」で号泣。シンクロニシティよね、って。そんな、そんなことってある?という出会い・・再会・・。 いずれも深い余韻にひたれる話だった。

    1
    投稿日: 2022.07.17
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    原田マハさんのお話は好きで、この本も面白く読み進めましたが、 私には、短編はやはり物足りなく感じてしまいました。 マハさんの作品では、暗幕のゲルニカや楽園のカンヴァスのようなハラハラドキドキする長編ものが好きなので。

    1
    投稿日: 2022.07.10
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    絵画にまつわる6つの物語。最後に収録されている「道」は結構いい良作です。 ただ、それ以外の5作は結構普通というか、可もなく不可もなくという感じです。 サクッと読めちゃうので、最後の話だけでも読んでみてはいかがでしょうか。

    1
    投稿日: 2022.07.05
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    やっぱり面白くて一気読み。 原田マハさんの美術の小説に登場するのはエリートキューレターが多いけど、「薔薇色の人生」や「豪奢」のような主人公は珍しい。。。かな。

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    投稿日: 2022.07.02
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    大きな展覧会などではなく、美術館の常設展示室に飾られる、その美術館でしか見れない、その美術館に行く意味そのものである美術品。本書では絵画になりますが、そこを訪れる主人公の方々の、様々な個々の物語を楽しむことができます。短編集として、気楽に楽しく読むことができました。それぞれの人生がありますが、仕事を取るか、家族を取るか、安定を取るか、リスクを取るか、大切なものは何なのかを見失いそうになる中で、自身を見つめ直し考えるために、芸術を見て感動するということは大切なことなのだなと改めて感じました。心動かすことに人生を捧げるまではいきませんが、重要な決断の際に、そのことを思い出すこと、そのために美術館へ行くという手段が大変有効であることを、本書を読んで知っておくことは、人生を助けることになるかもしれないと思いながら読ませていただきました。

    1
    投稿日: 2022.07.01
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    アートになかなか興味が出ない私でも、美術館に行きたいと思える一冊だった。短編集でアートを通じた色んな物語で読みやすい。 私自身も人生で猛烈に好きな作品に出会いたい。

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    投稿日: 2022.07.01
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    とても良かったです。マハさんの絵画ものはちょっと現実離れしていることがありますが、今回の作品は物語のちょっとしたアクセントになっていながら、存在感をしっかり出すような絵画が並んでいました。フェルメールのデルフトの眺望や東山魁夷の道、ゴッホのバラ。どれも素敵です。マハさんの中で一番良かったかも。大好き度❤️❤️❤️❤️

    1
    投稿日: 2022.06.23
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    原田マハさんは安定して良作を生み出される、尊敬。 実在するアートが軸となって6人の女性たちが描かれていますが、どれも物語の波が穏やかで柔らかい気持ちで読み進めることができました。 特に最後の道が良かった、温かくて切ない。思わず目が潤んでしまいます。 解説の上白石萌音さんが言う、美術館への招待状という言葉は正しく言い得て妙だと思います。ちょうど国立西洋美術館にモネ、ゴッホの作品が来ているので行きたいと思いました。

    1
    投稿日: 2022.06.17
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    私は短編集とかあまり好きではないのですが、最後の“道”はとても良かった。 アートが人を繋いでいるのが伝わり胸がぎゅっとなった。

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    投稿日: 2022.06.09
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     一枚の絵が人生に影響をもたらす。そんな瞬間を静謐なタッチで切り取った短編集。まるで美術館でじっくりと作品に見入るように、じっくりとそれぞれの作品世界を味わうことができる。特別展のような華やかさはないけれど、常設展は常にそこにあるという安心感というか落ち着きというか、そうしたものを感じさせてくれる。  全体的に明るい雰囲気ではなく、もの悲しさ・切なさを全面的に展開しているが、中でも最後の作品が最も印象に残る極上の切なさである。読み終わってからもなんとも言葉が出ない、そんな印象を与える作品集である。

    1
    投稿日: 2022.06.09
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    美しい表現が随所に散りばめていて、気持ちよく読み進む。 「薔薇色の人生」では、珍しくブラックな印象で、後味は少し良くはなかった。 ラストの「道」は号泣。

    1
    投稿日: 2022.06.05
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    やっと読み終わった。 もう読み始めてから4、5ヶ月たったのでは?笑 知り合いに薦められたこの本。 美術関連の本だと聞いて「自分に読めるのかな?」と思ったけど、読みやすかった。常設展示室は短編だし。 それに、かなり人間模様がかかれていて、グッと来る話ばかりだった。 たまに官能的な話があったり、それぞれ雰囲気が違うのもよかった。

    3
    投稿日: 2022.06.03
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    どれも読み終わると静かな余韻に浸れる短編ですが、なんといっても最後の作品『道』は傑作。この短編を読むためだけでも、この本を買う価値はあります。こんな偶然があるのかと思いはしますが、でもそれを置いておいても涙せずにはいられない作品でした。これを含め、この短編集は、マハさんの小説らしく、だいたいが絵画関係の仕事に携わる女性が主人公。障がいを持つ子どもから絵を楽しむことに改めて考えさせられる作品や、年をとった父親や母親への優しい思いの作品までバラエティ豊か。余談ですが、デルフトと言えば、櫻部由美子さんの作品『フェルメールのいる街』を思い出します。マハさんの美術物が好きな人にはすっごくオススメの作品です!

    1
    投稿日: 2022.05.29
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    6つの短編集は出会った絵画が物語に溶け込んでいていた。「群青」「デルフトの眺望」「マドンナ」「道」はとてもよかった。美術館に行って心を奪われるような絵画に出会いたい、そして絵画のなかに物語を感じられるような見方をしたいなと思った。

    1
    投稿日: 2022.05.27
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    短編集で、各章ごとに主人公とメインテーマとなる美術作品が異なります。美術作品は知ってるものも有れば、初めて聞く作品もありいつか主人公たちのようにこの目で実物をじっくり見てみたいなぁと思ったり。温かな人間ドラマあり、名画との出会いあり、読むと心が豊かになる1冊です。 美術作品を観るとはどう言うことか、大人になればなるほど頭が凝り固まって難しく考えがちになるけれども、本当はもっと純粋に、子どもの頃のように、そのまま感じたことをただ受け入れれば良いのか、と気づかされました。 この気持ちを忘れないうちに近場の美術館へと足を運ばねばと思います。

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    投稿日: 2022.05.23
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    美術×小説の素晴らしい短編小説。この本を読みながら、ところどころ出てくる絵画を頭の中で想像して、ネットで調べたり、更にこの絵画に込められた想いとか作者の生涯を調べたりしているうちに、実物を見てみたいと思った。上白石萌音さんの帯のコメント「この本は美術館への招待状だ」がぴったりな本。

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    投稿日: 2022.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私は芸術的センスや研ぎ澄まされた感性を持たないが、それでも原田マハさんの美術を扱う作品はどれも好きだ。 読みながら何度も途中で本を置き、気持ちを静めてからでないと読み進められなかったのは『デルフトの眺望』。 私自身一昨年父をガンで亡くしており、施設と病院、最後は緩和ケア病棟と移っていった父と重なり合って身につまされた。今でもうまく言葉に出来ない。まだリアル過ぎて。 『マドンナ』もシングルマザーとして頑張った老いた母親への主人公の複雑な想いの短編。一人暮らしの母親宅に主人公が行くと、ハーモニカを吹いていて、もう一回吹いてよとせがむと「やだ。いまは、そういう気分じゃないから」ともったいぶる。じゃあどういうときがハーモニカ気分なの?と尋ねると、うふふと笑ってから、目を細めて主人公の買えをみつめ「さびしいとき」 そして、手にしていた銀色のハーモニカを箱に収め「今日はもうおしまい」とふたおして、主人公の目を水に「おかえり。無事でよかった」とつぶやく。 我が母とは似ても似つかず、こんなしおらしいこと我が母は絶対しないけれど、きゅーんと胸の真ん中が痛くなった。塩らしいかと思うと、骨折して全身麻酔で手術を受ける際『いいですよ、死んだらそれで寿命だもの。もう少し生きる寿命なら、生きて帰ってくるでしょ?』なんて石あいてにケロッと言い放つ。そんな母親が仕事先の事務机の前に「きれいだから、見てたら元気になる気がして」と雑誌から切り取り貼っていたのは、ラファエロの『大公の聖母』。 このお母さん、普通の会話をしていたはずなのに、唐突に何の脈絡もない話題にすり替わり主人公は当惑するのだが、私にはこのお母さんの思考の飛躍がよく分かる。他人には飛躍に映るけれど、当人にとっては繋がっていることなのだ。 最後の『道 La Strada』は最後、ほろっときた。涙した。温かい涙だった。 わたしは芸術作品を観るセンスが全くなく、美術館に行っても「わーきれい」「色合いが素敵、好み」「これがあの有名な・・・」という目しか持っておらず、原田マハさんの小説を通して、作品の鑑賞の仕方というのを学んだ気がする。 どの作品にも物語があるってことを気づかせてくれた。 美術館に行きたい、作品をじっくりと鑑賞したい。そんな気持ちを起こさせてくれる短編集だった。 図書館で借りたけれど、文庫になっていたんだな!手元に置いておきたいと思う。

    1
    投稿日: 2022.05.20
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    この温かさこそ原田マハさんの作品だと思った。美術作品を通じて、無数の運命の糸が絡まり合い、その人にしかない人生を描く。絵には、画家本人だけでなく、何人もの想いを引き出す強い力がある。

    1
    投稿日: 2022.05.20
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    久し振りに読んだ、原田マハさんの短編集。安心して読める。 もちろん題材はアートだ。それぞれのストーリーの主人公は女性で、特に中年女性が多く、共感できた。 原田さんの描く、普通の人の人生とある特定の美術作品(有名無名問わず)との関わりはとても濃い。取り上げられた作品で実在するものは観に行きたくなるものばかりだ。 著者のキュレーターとしての経験も小説に活きていて興味深い。 個人的には、彼女の小説はやはり長編の方が好きなので、また長編を読みたいと思う。

    1
    投稿日: 2022.05.19
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    デルフトの眺望とマドンナが自分の仕事とか家族のこととかも相まって刺さった。 もっとたくさんの美術館に行って、自分の中での1点を見つけたい!

    1
    投稿日: 2022.05.18
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    マハさんの本は適度な厚みですぐ読めてしまう。今回もそう。 本を閉じた後、胸にスーッとした寂しさと微かな希望を感じさせられた感じ。 何気なく見た一枚の絵が日々のなかで拠り所として存在していて、ちゃんと手元に引き寄せられていく。 もしかしたらこういった経験は多かれ少なかれあるものなのかもしれない。 マハさんの本を読むと美術館に心が向いてしまう。 またマハさんのアート系小説を読んでしまうことでしょう。

    1
    投稿日: 2022.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一話一枚の絵画にまつわる短編集。 私自身の絵画に関する知識は薄いが、ストーリーを通して解説を聞いているようで楽しむことができた。 印象に残ったのは、「本当の贅沢は、豪華なものを身に纏うことではなく、それを脱ぎ捨てることだ」というフレーズ。 何かに執着しそうな時、このフレーズを思い起こしたい。

    1
    投稿日: 2022.05.14
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    それぞれ一枚の絵をテーマにした短編集。 最後の道が1番良かった! お兄ちゃんかなと予想してたら、本当にお兄ちゃんだった! 感動の再会果たせるのかと思いきや、まさかのお兄ちゃんはがんで亡くなっていたって展開。 切なくて、でもどこか温かみもあって泣けた

    1
    投稿日: 2022.05.12
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    何気ない日常の中で、教科書やポストカードを通して見る絵。それを見た人が、実際に展示される絵に吸い寄せられるかのように出会うまでの短編。 読み手に絵画を想像させる筆力と、絵に出会うプロセスやどこか物寂しい読後感。

    1
    投稿日: 2022.05.08
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    全ての短編がコンパクトな割に、しっかりとオチが 着いています。センチメンタリズムの後に爽やかさも残る珠玉の短編集です。タイトルのように全てが絵画を連想させます。

    1
    投稿日: 2022.05.06
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    短編集になっています。それぞれのストーリーが絵画にまつわる内容になっています。何回か涙する場面がありました。

    1
    投稿日: 2022.05.06
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    NYメトロポリタンのピカソ、蘭マウリッツハイのフェルメール、フィレンツェパラティーナのラファエロ、国立西洋美術館のゴッホ、パリポンピドーセンターのマティス、国立近代美術館の東山魁夷。有名な美術館で常設展示されている絵画と彼女たちそれぞれの物語。 鑑賞の旅に出たくなります。

    2
    投稿日: 2022.05.05
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    「この本は美術館への招待状だ」 あとがきで上白石萌音が書いていたけど、まさにそう。もう、こんなにぴったりな言葉はないと思う。 久しぶりに美術館に行きたい。ゆっくり、1人で、自分のペースで、じっくり味わう。 そういうのをいいなぁと思える作品。 原田マハさんの作品ずっと読みたかったけど、タイミングを逃し続け、ここにきてやっと読めた。 なんでもっと早く読まなかったんだろう… 心温まる、素敵なお話が詰まっています。ぜひ

    8
    投稿日: 2022.04.25
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    アートと人々のはなし。何度も熱いもの込み上げてきた。美術館に行きたくなる、そして自分を見つめ返したくなる、そう思わせてくれる作品だった。特に最後の上白石萌音の解説が素晴らしかった。誰の心の中にも傑作があるということ。有名であろうとなかろうと。自分の中にある傑作を大事にしていきたいし、これから年を重ねていくうちにまた新しい傑作に出会うのが楽しみだと思う。

    2
    投稿日: 2022.04.24
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    よかった。 登場人物たちの、絵画を見たときの感覚…が、わたしにも分かるものだった。 こんな素直な思いを心の中に言葉として思い浮かべてみたくなる。美術館に行きたくなる。 原田マハ作品は2作目で、出てきた作品をネットで調べて簡単に見てしまうことに抵抗があったけど、「豪奢」に出てきたアンリ・マティスの作品はどうしても気になって調べた。 マティスって、あんなに色が豊かであったかい感じの作品を描いたんだ…と発見があったし、 なぜこの作品に「豪奢」と付けたか…ブランドもののバッグとか全て捨ててありのままの姿でいること…自由であることが豪奢なんだ、という解釈が好き。 いつか絶対にいろんな絵を見に行きたい。

    1
    投稿日: 2022.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    絵画に、心を動かされ人生が動き出す女性がそれぞれのお話の主人公となる短編集。どれも良かったですが、最後の「道」には、泣かされました。 東山魁夷の「道」自体大好きですし、この絵にこんな素適な小説を作る原田マハさん…ほんとに素晴らしい!

    1
    投稿日: 2022.04.20
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    読みながら出てくる絵画を調べていた。その絵に隠された意味まで考えながら美術館行けたら楽しいだろうな。

    1
    投稿日: 2022.04.15
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    美術絵画の話ってより、サクセスウーマンの仕事と家族の話って印象。そこはキラキラした話が多めで共感しづらかったかな? それはそれとして、所々絵画は心の感じるままに楽しめば良いよ〜って教えてくれてて、ちょっと美術館に行ってみたくなるねぇ

    1
    投稿日: 2022.04.10
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    原田マハよく読む。美術にわかりやすく触れさせてくれ、教養を身につけさせてくれる。短編はどれも読みやすい。オビの萌音ちゃんの様には感情移入する訳ではないけど。

    1
    投稿日: 2022.04.05
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    今度美術館に行く予定ができたため、これを機に初めて原田マハさんの本を読みました。 短編集だけど話の内容が濃く読みやすかったです。 私は、美術の授業で常設展示室に行った記憶はあるのですが、滅多に見ることができない絵を日本という場所で間近で見ることができる企画展ばかりに行ってました。 同じ絵でも人によって感じ方が違う、ただ単に絵画と感じるだけの者、運命のような作品と思う者、、、誰しも心にくる絵画が存在する。常設展示室に行き絵画と向き合いたいと思いました。 他の原田マハさんの本も読んでみます。

    2
    投稿日: 2022.03.31
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    私はほとんど美術館に足を運ぶのは特別展がほとんどだったが、アートはもっと常にある身近なもので、心を人生を豊かにするものなんだと感じさせてくれる。うまく言えないが『常設展示室』という題名が非常にしっくりくる。 「この本は美術館への招待状だ」という一言は本当にぴったりで、この作品を読むと、というか原田マハの本を読むと美術館に足を運びたくなる。好きな作品を見つけにいきたくなる。本当に招待状の様な作品。

    3
    投稿日: 2022.03.31
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    ずっと読みたいと思ってた原田マハさんの作品。美術館が好きだから、原田マハさんの作品をもっと読みたいと思った。色々なところに行き、作品と静かに向き合いたいと改めて感じさせてくれた。 「群青The Color of Life」 【ピカソ『盲人の食卓』】「可哀想という同情心ではなく、勇気づけたいと思って描いたのだ」と感じる美青から絵画への深い想いを感じた。弱視の少女との出逢いから、改めて仕事に対して誇りと愛を感じた美青のように、自分も人生を捧げるくらい仕事に対して特別さをもちたいと思った。 「デルフトの眺望A View of Delft」 【フェルメール『真珠の耳飾りの少女』】私もフェルメールが好き。自分もこの作品を見た時に少女の力強く不思議な瞳に釘付けになったことを思い出した。 「マドンナMadonna」 【ラファエロ『大公の聖母』】ラファエロの優しい筆のタッチは温かさを感じる。 「薔薇色の人生 La vie en rose」 【ゴッホ『薔薇』】40歳代の平凡な主婦が主人公なのと現代にありそうな設定なのが読みやすく、話の展開が面白い。 「豪奢 Luxe」 【マティス『豪奢』】紗季が生まれ変わった姿を見ることができて良かった。 「道 La Strada」 【東山魁夷『道』】翠と明人が辿ってきた人生と彼ら2人の巡り合いを思い、涙が止まらなかった。切なくハッピーエンドとは言えない話だが、幼い日のあの道は続いていたんだと感じられた。この作品が1番良かった。

    4
    投稿日: 2022.03.30