
総合評価
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ミステリーながら研修医と巡る各科の内容も魅力
国家試験に合格した若い研修医が、自分の進むべき道を決めるため各診療科を回ります。そしてその間に垣間見る、様々な患者の人生模様。それを作者一流の見識を持って描いた作品でありました。とても興味深く読ませて頂きましたよ。 精神科を皮切りに、外科、皮膚科、小児科、循環器内科とめぐります。その中では、末期癌や臓器移植の問題も語られますし、お亡くなりになってしまう人もいます。そして、本人は内科が向いているかなと思いつつも、研修先のどの科からも、向いていないと言われます。と言うのも、患者の内面に踏み込みすぎるというのです。確かに、2時間も3時間も待って、実際の診察は検査データの画面を見ながら、じゃ様子を見ましょうか、なんていう診察もあるのが実情でしょう。だからこそ、患者にとっては、真剣にこちらの話を聞いてくれる医師がいいのですよね。 個人的には、自分自身やオヤジやオフクロの病気において、大病院からかかりつけ医まで、5つ位の病院受診の経験がありますが、幸いなことに、よく話を聞いてくれて、時には雑談に花が咲く医師ばかりでありました。ただ、中には、毎年のように担当医が変わってしまう病院もありますけどね。 今は、手術支援ロボット等もありますから、名医とは神の手を持つ人ではなく、患者の話をよく聞いてくれて、早期に異常を見つけてくれる人のことを言うのでしょう。こちら側としても、何事も包み隠さず、話しやすい雰囲気を自分から醸し出すことも必要かもしれません。 というわけで、この小説は、ミステリーとしても大変興味深く面白いものでありましたが、医師と患者の関係をもう一度問い直すのに、よい作品でありました。
0投稿日: 2021.04.02
powered by ブクログ読みやすかったです。今回はショートストーリーでまとめてあったので余計に読みやすかったのかな? 主人公が精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科と様々な診療科でのちょっとした事件(トラブル?)にあう。 作者さんが現役の医師なので、皮膚科とか精神科とか、変わった診療科の話は面白かった。 他の話と今後クロスオーバーすることがあれば面白そうだな。期待してます。
2投稿日: 2021.04.01
powered by ブクログ研修医の諏訪野が 精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科と研修を通して、それぞれの患者との出会いや境遇など短編で綴られている。 すぐに読み終えてしまい、もったいないような気持ちになった。まだまだ読みたい。 知念実希人さんを教えてくれた知人に感謝!!
2投稿日: 2021.03.30
powered by ブクログ彼女が瞳を閉じる理由/悪性の境界線/冷めない傷痕/ シンデレラの吐息/胸に嘘を秘めて/エピローグ 研修で様々な科を回っている新米医師の諏訪野君。新米だから気にかかるのか彼だから気になるのか、さてさてお手並み拝見です。 読み終わって、ずっと応援したくなりました。初心を忘れずにね。
2投稿日: 2021.03.27
powered by ブクログ主人公は諏訪野良太。研修医として、2年間初期臨床研修で様々な科を数ヶ月間回っている。この作品では、5つの科でそれぞれ出会った患者に着目し、違和感のある謎を解き明かしていく。そして良太は、研修を経て、どこの科に所属するのか? 全5作+αの連作短編集で、それぞれ短めのストーリーでサクッと解決していくのですが、意外な真実に発展していくので面白かったです。現役医師ならではの知識をミステリーに絡めているので、今まで知らなかった医療用語や病気も登場し、へぇーと思うこともありました。 良太が、行く先々で待ち受ける謎に立ち向かうのですが、本当に研修医?と思うくらい、機転が良く、発想の幅も広くて、救急救命に向いているのでは?と安易に考えてしまいました。 そういった性格が良太の良いところでもあり、悪いところでもあります。そうなると、指導医の活躍がぼやけてしまいますが、そういった良太の活躍を先輩の指導医が的確に見て判断しているところもあり、さすがとも思ってしまいました。 この作品では、5つの科(精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科)しか紹介されていませんが、それ以外にも多くの専門医がいます。それぞれの現場で活躍されている医師の方には、本当に感謝したいなと思いました。 ミステリーというよりは、医師と患者との対話を大切にしたヒューマンドラマかなと思いました。もちろんミステリーの要素はあり、それぞれ患者が抱える事情は重めでしたが、気持ちとしては良い結末の方向に向けさせてくれるので、読了感は軽やかでした。 ちなみに同じ時期に発売された「傷痕のメッセージ」の初期限定版として、短編集が封入されています。その中には、「傷痕のメッセージ」の登場人物と本作品の登場人物がコラボして登場されています。2つを読むことで、より世界観を味わえますので、ぜひ。
2投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ研修医が色々な専門科を回りながら患者の秘めた思いに向き合い悩みを解きほぐしていく連作短編。読み終わった後にほっと優しい気持ちになれる物語。
3投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ主人公諏訪野君の2年間に渡る研修医としての生活を描く、色々な専門医局で指導医、患者と出会いながら患者の病魔と共に背景に有る私生活の問題を見抜き総合的な治療の選択を指導医と共に行う内容。普通の感受性を持ち一生懸命研修医として患者に向き合う姿に好感を感じる。 「彼女が瞳を閉じる理由」 精神科で出会った男からのDVから逃れる為、多量の服薬を繰り返す女性 「悪性の境界線」 外科で出会った家族の為、保険金を当てに敢えて自分の体にメスを入れる手術にを望む老人 「冷めない傷痕」 皮膚科で出会った再婚での幸せな未来を手に入れる為下腿部に火傷を負い自ら湯をかけ患部を広げる母親 「シンデレラの吐息」 小児科で出会った親の離婚で別れた愛する父親に逢いたくて服薬をせず入院を望む少女 「胸に嘘を秘めて」 循環器内科で出会った元アイドル&女優で身内、世間を欺いてまで多くの人を救おうとして成し遂げる女性 どの話も病状の裏に付随する患者の気持ちに寄り添い治療する内容で全て良かったが、特に進路の循環器内科を選択するきっかけとなる「胸に嘘を秘めて」は唯一治療の至らず患者を看取るが、生前患者との繋がりで献身的な想いを成熟させる話はちょっと心を撃たれた。 現実性は??だが、医者に望む気持ちとしてこうあって欲しいなと思わせる内容でどんな職業でも真摯に向き合う姿勢を考えさせる良本だと思う。 次はどんな展開なんだろうと興味をそそられ直ぐ読み終えてしまった。諏訪野君の循環器内科医としての次巻を期待したい。
3投稿日: 2021.03.18
powered by ブクログ問題を抱えた患者を救うべく奮闘する、研修医の諏訪野良太。現実にはここまで患者の事情に振り回される病院はないと思うし、医師がそこまで介入することもないと思う。 けれど、現役医師である著者が書かれているということは、「患者に寄り添う理想」として訴えかけられてる気がして温かい気持ちになれた。 また、医師としての問題だけでなく、自分の目の前にある本分に、熱意を持って真摯に向き合ってますか、と問われているようでもあった。 短編で一話があっと言う間に解決してゆく感じは、ドラマを見ているようだった。
23投稿日: 2021.03.16
powered by ブクログミステリーというより、医師の立場からみた人間模様を描いた短編集。どの話も重いながらもきちんと結末が描かれており、読後感もよい。
2投稿日: 2021.03.11
powered by ブクログ現役医師による臨床研修医連作短編集。大学病院各科指導医によると、精神科は患者に入れ込み過ぎると自分が診断を受ける側になってしまう。外科は手術が中心で一人一人にはなかなか向き合えない。皮膚科は皮膚の状態を視診し素早く診断しないと外来が滞る。小児科医の仕事の半分は親への説明。循環器内科のやりがいは勝負が早い。主人公諏訪野良太の選択は
2投稿日: 2021.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大好きな知念作品で読みたかった1冊が文庫本として発売されたのを知り一気読みしました。 純正会医科大学附属病院の研修医・諏訪野良太が主人公の医療ミステリー。 本作は5つの短編とエピローグからなる連作物語で、5つの科で研修医として担当する患者の心の闇を解き明かしていきます。 ○彼女が瞳を閉じる理由(精神科) 「いま、睡眠薬をいっぱい飲んだんです。.....早く救急車をよこして」何度も同じことを繰り返し、もはや常連の女性。彼女が自殺未遂を繰り返す理由とは... ○悪性の境界線(外科) 初期の胃癌と診断された男性が内視鏡による手術を拒み、開腹による胃の部分切除に拘る理由は娘と孫の為に... ○冷めない傷痕(皮膚科) ふくらはぎに火傷をおい運ばれてきた女性。入院中にもかかわらず彼女の火傷の範囲が広がった。自ら火傷をし、更にその範囲を広げた理由とは... ○シンデレラの吐息(小児科) 重い喘息の発作で運ばれてきた女の子。治療で回復に向かった彼女は再び危険な発作を引き起こす。彼女が薬を飲まなかった理由とは... ○胸に嘘を秘めて(循環器内科) 特発性の拡張型心筋症に侵され心臓移植以外に助かる見込みがない女優。治療費を集める為にTVを使い寄付金を呼びかける。そうまでしてお金を集めた理由とは... ○エピローグ 2年間の研修医生活を終え、諏訪野が選んだ入局先は... 説明 内容紹介 5つの感動がここに。連作医療ミステリ! 諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回っている。 ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(やけど)で刻まれていた。 離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているというが、良太は女性の態度と行動に違和感を覚える。 彼女はなぜか、毎月5日に退院できるよう入院していたのだ――(「彼女が瞳を閉じる理由」)。 初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、驚くほど個性に満ちた5人の患者たちの謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。 「彼」は、人の心を聴ける医師。こころ震える連作医療ミステリ! 著者について ●知念 実希人:1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、12年、受賞作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年には『仮面病棟』が啓文堂書店文庫大賞を受賞しベストセラーとなる。他著に『螺旋の手術室』『優しい死神の飼い方』『黒猫の小セレナーデ夜曲』『屋上のテロリスト』『時限病棟』『崩れる脳を抱きしめて』「神酒クリニックで乾杯を」シリーズなどがある。
11投稿日: 2021.03.08
powered by ブクログ長距離移動のお供として購読。期待通りサスサク気張らず楽しく読めました。諏訪野先生の研修課程にならって話が進んでいくのも面白かった。諏訪野先生の人生の続きも読んでみたい、そして今回出てきた指導医の先生たちにも再登場して欲しい、読後にまずそう思いました。
2投稿日: 2021.03.07
powered by ブクログ医療系の小説が好きです。この作品は研修医が関わる患者さんと一緒に成長する短編集。医療って、実はどんな科も「心の問題」だったりします。それを煩くない程度に題材にしていて、読みやすい1冊でした。
3投稿日: 2021.03.06
powered by ブクログ知念実希人『祈りのカルテ』角川文庫。 エピローグを含む6編収録の連作医療ミステリー。珍しく地元の本屋に置いてあった著者のサイン本。 新型コロナウイルス感染禍で誰もが経済的にも精神的にも疲弊する世知辛い世の中。そんな世の中にあっても、自らの使命を全うしようと日夜努力を続ける医療関係者には頭が下がる思いだ。そんな医療の現場で働く一人の研修医を主人公にした物語である。純正会医科大学附属病院の研修医として、内科、外科、小児科など様々な科で経験を積む諏訪野良太は患者たちが心の中に抱える闇を解き明かしていく感動の医療ミステリー。 『彼女が瞳を閉じる理由』。周期的に自殺未遂を繰り返し、救急搬送されてくる離婚歴のある若い女性。ある夜に睡眠薬を飲み、救急搬送されて来るが、良太は女性の態度と右腕の火傷の痕に違和感を覚える。女性が抱える心の闇の正体は…… 『悪性の境界線』。急に初期の胃癌の内視鏡手術を拒否し、開腹手術を希望する老人が心の中に抱える闇とは。結末は倫理的にはかなりグレーだが、老人とその家族が幸せになるならば目を瞑ろう。 『冷めない傷痕』。足のふくらはぎの火傷で入院して来た女性。何故か入院中に火傷が大きくなり……良太は女性の抱える心の中の闇を炙り出し、解決へと導く。 『シンデレラの吐息』。喘息の発作で入院して来た女の子。薬を投与したはずなのに、何故か再び喘息の発作を起こす。大人の我が儘の犠牲になるのはいつも子供なのだ。 『胸に嘘を秘めて』。重い心臓病で極秘裏に入院する傲慢な女優。助かるためには心臓移植しか方法は無いのだが…… 『エピローグ』。そして、研修医の諏訪野良太は自らの進むべき医療分野を決める。 本体価格640円 ★★★★★
23投稿日: 2021.03.05
powered by ブクログ5つのオムニバス形式のお話。 研修医諏訪野が研修先の5つの科でミステリーを謎解く。どれも最後ホロリとする内容です。とても読み易いのであっという間に読めました。 エピローグでやはりその科を選択したのねと思いました。
2投稿日: 2021.03.02
powered by ブクログ一人の研修医が,5つの科での研修中の物語がオムニバスで語られ,最終的な専門研修先を選ぶ.取り立てて起伏がある訳でも裏がある訳でもなく,頭を使わず読めるというのは良い点なのかも知れない.
0投稿日: 2021.03.02
powered by ブクログ研修医の諏訪野先生が様々な患者と関わっていく物語です。患者たちが起こす表面的に見れば奇怪な行動。しかし、そこには深い意味がありました。 ほとんど本を読まないわたしですが、とても読みやすく面白い本でした!
2投稿日: 2021.03.02
