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父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。―――1万年前から現代まですべてを紐解く「資本主義」全からくり
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。―――1万年前から現代まですべてを紐解く「資本主義」全からくり
ヤニス・バルファキス、関美和/ダイヤモンド社
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総合評価

384件)
3.8
92
143
98
21
4
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    このレビューはネタバレを含みます。

    農耕社会になり、稲作によって余剰が生まれたことで、格差が生まれた 余剰を交換するために市場が生まれ、力を持った権力者を守るために国家や宗教が生まれた 経済が発展していくにつれて、交換価値が経験価値を上回るようになった つまり、自分自身が経験してどう感じるかよりも、金銭に交換した時の価値がどれだけ高いかが重要視されるようになってしまった 交換価値だけを追求する世界では本当に重要な事が置き去りにされ、市場のための行動をとるようになってしまう

    0
    投稿日: 2019.12.05
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    数字がとことん嫌いな私が、物語のようにするすると読めた経済学の良書。 経済学者を「科学者」よりではなく「哲学者」よりの存在だとするだけで、経済学がぐっと身近になる。 著者が10代半ばの娘に語るという設定が何より秀逸。 池上彰もそうだが、この年頃の子どもにわかるように、社会の大事なことを解説した本には、わかりやすく面白いものが多い。 「誰でも科学者になれる」とは言えないけれど、「誰でも哲学者にはなれる」かもしれない。 経済のことは、難しくてわからないからと他人に任せるのではなく、自分もそれに関わる一員なのだと目が覚める思いである。

    4
    投稿日: 2019.12.02
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    ギリシアで財務大臣を努めた著者が、十代の娘に対し「経済についてきちんと話すことができるように」との思いから、従来の経済書とは異なる視点で、分かりやすく説明している一冊です。格差の問題から、経済という考え方が生まれた歴史から、物語のように進む内容で、一気に読める構成になっています。とはいえ、「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」とまで言えるかというと。。という印象でした。 著者は、経済のようにすべての人に深く関係している内容を、学者のみに任せることは、最悪だとして、誰もが経済について意見が言える状態、それこそが著者のいう民主主義につながるものとしており、このように入門書とは違うものの、身近な話題、ここでは「なぜ格差が存在するのか」から、経済がどのように関わるのか、それが生まれた歴史的背景や経済の仕組みなどを理解できる著書は大変貴重だと思います。 格差が生まれた理由や通過が生まれた理由などを、農作物の余剰の発生ところまで遡って解説している部分は、非常に興味深い視点だと思います、単なる経済解説書というより、歴史書としてもおもしろく読めました。 ■「経済モデルが科学的になればなるほど、目の前にあるリアルな経済から離れていく」 ■すべては「余剰」から始まった。農作物の余剰によって、文字が生まれ、債務と通貨と国家が生まれた。それらによる経済からテクノロジーと軍隊が生まれた。  つまり、ユーラシア大陸の土地と気候が農耕と余剰を生み出し、余剰がその他のさまざまなものを生み出し、国家の支配者が軍隊を持ち、武器を整備できるようになった。そのうえ、侵略者は自分たちの呼吸や身体をとおしてウイルスや細菌も兵器として使うことができた。  だが、オーストラリアのような場所では、余剰は生まれなかった。自然の食べ物に事欠くことがなう、自然と共生し、人々は土地の恵みを独り占めできた。だから、農耕技術を発明しなくても生きていけたし、余剰を貯め込む必要もなく、テクノロジーがなくても豊かな生活ができた。いくら文化が発達しても、農耕社会の経済がもたらす軍隊や武器や細菌から自分たちを守ることはできなかった。  逆に、気候に恵まれないイギリスでは、大量に作物の余剰を貯めないと、生きていけなかった。 ■アフリカとヨーロッパの形を比べてみるといい。アフリカが南北に長いことがわかる。ユーラシア大陸は逆。  ユーラシア大陸を太平洋岸から大西洋岸まで旅しても気候はあまり変わらない。しかし、アフリカはいろいろな気候帯がある。アフリカの一部で農耕経済を発展させた社会があっても、その仕組みは広がらなかった。  一方、ユーラシア大陸では誰かが農耕技術を発明したとたん、それが西と東にあっという間に広がった。穀物(とくに小麦)はどこでも育ったので、同じような小麦畑が広がっていった。侵略も盛んだった。ひとつの農耕民族がほかの民族の余剰を略奪し、自分たちの技術を別の場所で生かすことができた。そうやってユーラシア大陸では巨大な帝国が築かれた。 ■商品とは、いくらかの金額で「売る」もの。それが商品であるなら、市場価格がつく。市場価格とは「交換価値」を反映したもの。つまり、市場で何かを交換するときの価値を示しているのが市場価格  だが、売り物でない場合、まったく別の種類の価値がある。「経験価値」と呼んでもいい。経験として大きな価値がある。  値段のつかないものや、売り物でないものは価値がないと思われ、逆に値段のつくものは人の欲しがるものだとされる。だがそれは間違いだ。 ■経済は自然と違って、われわれがどう思うかによって影響され、揉まれ、形づくられる。 ■終わりが来るとみんなが知っていれば、貨幣経済は続かない。貨幣経済は、それが続くと人々が心理できるかどうかに、すべてがかかっている。 ■満足と不満の療法がなければ、本物の幸福を得ることはできない。満足によって奴隷になるよりも、われわれには不満になる自由が必要なのだ。世界と衝突し、葛藤を経験することで、人は成長する。 ■経済についての決定は、世の中の些細なことから重大なことまで、すべてに影響する。経済を学者にまかせるのは、中世の人が自分の運命を神学者や教会や異端審問官にまかせていたのと同じだ。つまり、最悪のやり方なのだ。 ■国家や社会は、よそ者の目で見るほうがその本当の姿がよくわかる。大人になって社会に出ても精神を解放し続けるには、自立した考えを持つことが欠かせない。経済の仕組みを知ることと、次の難しい問いに答える能力が、精神の自由の源泉になる。その問いとは、「自分の身の回りで、そしてはるか遠い世界で、誰が誰に何をしているのか?」というものだ。 <目次> ■プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本 ・目の前の混乱から離れて世界を見つめ直す ・資本主義を解き明かす ■第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?――答えは1万年以上前にさかのぼる ・なぜ、アフリカから強国が出てこなかったのか? ・地域内格差――金持ちは100万ドルを簡単につくれる ■第2章 市場社会の誕生――いくらで売れるか、それがすべて ・ふたつの価値――経済学者はすべてを「値段」で測る ・世界はカネで回っている? ■第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ――すべての富が借金から生まれる世界 ・悪魔が考えた「地獄」より残酷なこと ・富と競争――競争に勝つには借金するしかない ■第4章 「金融」の黒魔術――こうしてお金は生まれては消える ・起業家はタイムトラベラー――未来から無限の交換価値をつかみとる ・歯車が「逆回転」しはじめる ■第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界――悪魔が潜むふたつの市場 ・狩人のジレンマ――全員で鹿を狙うか、ひとりでうさぎを狙うか? ・悪魔が潜む場所――「マネー・マーケット」とは何か? ・予言は自己成就する――もしソポクレスが経済の教科書を書いたら? ■第6章 恐るべき「機械」の呪い――自動化するほど苦しくなる矛盾 ・巨大企業にとっての「すばらしい新世界」 ・絶望を見せてくれるのは誰か? ■第7章 誰にも管理されない「新しいお金」――収容所のタバコとビットコインのファンタジー ・誰も税金を払いたくなければ、どうすればいい? ・ビットコイン――「1通のメール」がもたらした衝撃 ・父が教えてくれたこと ■第8章 人は地球の「ウイルス」か?――宿主を破壊する市場のシステム ・節度のない者は「愚か者」になる――駄目と知りながら競争を止められない ・未来のすべてを決める対決――「すべてを民主化しろ」vs「すべてを商品化しろ」 ■エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」 ・思考実験――君は理想の世界に行きたいか? ・満足なブタより不満なソクラテス ・占い師のロジック――私が経済学者になった理由

    1
    投稿日: 2019.12.01
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    現代文の授業で経済学についての評論文が題材だったので読んでみた。 わかりやすいと聞いていたが、内容によっては少し難解な部分もあった。 翻訳途中で難しくなったのでなければ、彼の娘はきっと素晴らしい読解力の持ち主に違いない。 もう当分翻訳書は読みたくない。

    3
    投稿日: 2019.11.27
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    経済や人間社会に対して事実を述べた著書。 とても面白い内容であった。 最初に、なぜこんなに「格差」があるのかと問いかける。  言語と余剰が生まれたため経済、コミュニティ、が生まれた。  1万年以上前から、国家、通貨、宗教が存在した。  なぜアボリジニが余剰と国家、軍隊を持たなかったか?それは食料が豊富にあり余剰を蓄える必要が少なかったから。  「市場(物々交換)」から市場主義へ!  物を作って分配する「市場」から、労働力を売る「市場社会」へ。  生産→分配の流れから、借金→利益の時代へ。  起業家は生き残るために競争社会へ。  公的債務は市場社会という機械を犯している「機械の中の幽霊」だ。  機械やテクノロジーは大量のものを生産し、人間に豊かさをもたらすように思われるが、実際にはそうなっていない。 人間はむしろ、機械を維持し、他人と競争し、不安定で退屈になっているようだ。 今、テクノロジーは大企業の一部の人に富を集中させることに使われている。 いずれ、シンギュラリティが起こるのは確実である。 経済危機によって、本来あるべき状況に戻る。というのも、賃金が下がり購買力が下がり、人間の賃金がテクノロジーのコストよりも下がり、人間に仕事が戻ってくるからだ。 市場社会では、人間は地球環境を破壊しながら一部の金持ちだけに富が集中し、多くの貧困が生まれている。 解決する方法は民主化すること。 不確実な社会を生きるには、外の世界からの視点を持ち続けることが大切である。 アルキメデスは、離れてみると何事も不可能ではないと言った。 客観的に未来を見つめ、できることをしよう。 誰にも、可能性はある。  

    1
    投稿日: 2019.11.24
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    経済の根本的な考え方を身近な事象に当てはめつつ解説。本質を理解する上での良書。ただ、やや回りくどいと感じた。

    3
    投稿日: 2019.11.20
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    自分が若いころは、学生が終われば勉強しなくてもいいし、ただ働けばいいだけなどと思っていたがとんでもない。人間一生勉強。経済を知る勉強することも1つだし、政治も勉強しなければ、環境問題や民族問題など今世界で起きていることすべてにおいて勉強しなければいけない。経済学者やその専門のひとばかりに頼るのだけでなく、まず気になっていることを自分で勉強してみる。自分軸で生きてみることは非常に大事なことだと思った。この本を読んでThe big shortを関連付けてしまったのは私だけではないだろう。

    0
    投稿日: 2019.11.02
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    経済は余剰から生まれた、という言葉が心に残った。小麦などの穀物の余剰を倉庫に預けたことが始まりだという。 また、ヨーロッパは東西に広いため、農業などの成功体験が広がりやすかった。アフリカは南北に長いため気候が様々で、ある土地で成功しても別の場所では上手くいかないことがあり、広まりにくかった。

    1
    投稿日: 2019.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ものすごく読みやすく、経済の本質をかみくだいて教えてくれた。 現代社会はほとんどすべてのものを交換価値と捉えることで成立していること、銀行は誰かにお金を融資する時にその原資を別の人から借りてきて用意するのではなく「どこからともなくパッと出す」つまり誰かがお金を借りることで世の中のお金が増えること、そして銀行がお金を貸すための原資は将来の融資先の収益であること、お金とはそもそも本質が「負債」であること など。 途中、著者のギリシャ財務大臣時代の経験からか、銀行への恨み節がつらつら。 最後の方の、戦時下の捕虜収容所でのタバコ通貨の話もとても面白かった。

    1
    投稿日: 2019.10.18
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    帯の宣伝文句の通りに読みやすく面白かった。資本主義が進み過ぎた現代の市場原理主義とも言える仕組みを歴史から振り返り、子供にも分かりやすく?書かれた本。分かりやすい本は深い知識、認識がないと十分な理解はできないと思った。いずれにせよ、民主的な政府を作る事が、今の進み過ぎた市場原理主義を緩和させ、格差を減らす共生社会にする事ができると言う事である。

    0
    投稿日: 2019.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    河川の近くに文明が起こり、生活する人は自然から搾取し、市場(モノや経験の交換)が始まった。そして、その生産物の余剰が経済を産んだ。 余剰を記録するための文字が生まれ、余剰を守る支配者が現れ、支配者の権力を高める宗教が生まれ、と、ユーラシア大陸やインド、中国なと文明が起こった場所では農耕文化と余剰により経済が生まれたことが強国にたらしめる要因だった。(オーストラリアやアフリカでは自然の恵みが多かったり、緯度の違いが文化の流布を妨げた、などの理由があり、ヨーロッパに遅れをとった。) やがて、こうした市場のある社会は、市場社会に転換していく。ヨーロッパで船が作られ、羅針盤が利用されて航海手段が改善されたことでグローバル貿易が始まった。 やがて、「売れるモノ(羊毛)を生産するために農奴を解放した。領主は土地をかつての農奴に貸し出し、土地を商品化した。かつての農奴は労働力を領主に売った(商品化した)。交換価値が経験価値を上回り全てが商品になった。利益を追求するようになり、お金が手段(ものを交換するためのツール)から目的(富と名声を得るための)になった。 あらゆるものが商品になると、起業家(かつての農奴、もしくは領主)は事業を継続させるために事業維持費と、売上のバランスを取らざるを得ないようになった。売上を多くするには投資が必要で銀行からお金を借りるようになる。(借金と利子の始まり)各起業家のそういった行動が市場競争を過熱化させた。銀行がこうした起業家の活動を増幅させた(お金を湯水のように貸出し、回収することでさらに資本家へ貸出し、市場社会を大きくした。) 資本家は儲けたいがあまり、競争の中から一歩先に行かないといけない。そのため、労働コストや、生産コストを最低限まで下げて利鞘を広く持たないといけない。ほかの資本家が追随するとその競争は過熱する。機械を導入し人件費を削減することが続くとやがて市況はデフレに陥る。(機械は物を買わない。人は物を買うが失業すると物を買うお金がないから。)そうすると企業はロボットを維持できないため人を雇うようになる。こうした繰り返しがいまの市場社会に起きている、根元のカラクリ部分である。

    4
    投稿日: 2019.10.13
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    かつてリーマンショックを予測し的中させたギリシャの元財務大臣による経済入門。古代における「経済」の誕生から、産業革命における「格差」の拡大、国家による統制を受けない仮想通貨の弱点まで、「経済」という視点で人類史を俯瞰できるのです。 続きはこちら↓ https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/10/blog-post_8.html Amazon↓ https://amzn.to/2Vsvt03

    0
    投稿日: 2019.10.08
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    数式の出てこない経済の話。 とても分かりやすく話されている。 どちらかと言えば哲学書より。 とりあえずマトリックスが観たくなった。

    0
    投稿日: 2019.09.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」というわけではない。原題は「Talking to My Daughter about the Economy」で、「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」というのは邦題に勝手に付けられたものなので当然といえば当然。特徴は、娘に向けて語りかける感じなので、物語調になったり、古典の引用を混ぜたりしているが、まわりくどいので、どちらかというと分かりにくい。

    1
    投稿日: 2019.09.24
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    言語と余剰 交換価値と経験価値 機械の中の幽霊 労働市場とマネーマーケットを動かしているのは預言の力 イカロス症候群:自動化でコストが下がり、競争で価格がコストをそれほど上まわらなくなり、需要が下がる 価格の安定:均衡 破壊は交換価値を生み出す マス釣り:集団的愚かさの例:利益追及が人間の自然な欲求だという前提に立つとこうしたことが起こる 民主化と商品化 HALPEVAM: Heuristic ALgorithmic Pleasure & Experiential VAlue Maximizer 市場社会が成し遂げようとしていること

    3
    投稿日: 2019.09.22
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    父が娘に語るよう、わかりやすく慈愛に満ちた作品。ん、ほんとにそうなのか? 筆者は資本主義のシステムについて、かなり恣意的に切り取って、負の側面にフォーカスしているように感じる。ここ数年のポストグローバル資本主義の潮流か。 娘に語りかける風な表現は時折出てくるものの、あくまで装飾として、だ。そして、中盤からは熱量高くなってコンセプトを忘れてるような。。 まぁ筆者も、娘に語るように書いてみた、と冒頭いってるから嘘じゃないけど。なんだかなぁ。

    1
    投稿日: 2019.09.19
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    経済について、著者が娘宛に教えるように書かれた本です。著者の経済に対する考え方が詰まっています。お金や市場といった経済にまつわるものが、何なのかが非常に分かりやすく、それでいて簡単に済ませずに書かれています。そして過去に何があって、今の世界が出来ていて、なぜ今の世界の問題が起こっているのかに結び付けられています。ギリシャの財務大臣として問題もあった著者が、その意図するところを述べられているところは熱があり、それゆえに引き込まれないよう冷静に読む必要も感じました。それでも読後に思うのは、あのギリシャ危機について、あまりにも西欧キリスト教的な見方でみていたなと。著者の気持ちもわかるのです。 本当に正しい形は何なのか、それを考えるきっかけにも良いと思いました。

    5
    投稿日: 2019.09.18
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    2015年のギリシャの経済危機時に同国の財務大臣を務めた著者が、今日の市場経済の成り立ちからその本質的なメカニズム、そこに内在する矛盾や解決策を、自身の娘に語るという形式で極めて平易な文章で記した一冊。 著者は、農業革命によって生まれた「余剰」生産物が「商品」として「交換価値」を持ったことを契機に文字や通貨、債務、国家や宗教に至る各種の仕組みが発明され、さらに生産に必要な土地・生産材・労働力という三つの要素も交換価値を持つ商品になり、それらを将来の利益の追求のために「借金をして買う」ことが一般化したことで今日の市場経済は完成したが、「交換価値」に偏重した経済はバブルや金融危機のリスクを必然的に内在するとともに、本来は「経験価値」で測られるべき自然環境を破壊する方向に働く点でも問題があるという。 金融政策や新たなテクノロジーが一部の特権階級や大企業に握られることで格差が拡大することを懸念する著者は、それらを全て「民主化」することで、市場経済の恩恵を享受しつつリスクを最小化することが可能と主張する。元財務大臣という立場からくるバイアスを感じる部分もあるが、複雑怪奇なマクロ経済の世界をこれほど分かりやすく解説された著書は他に例を見ない。手軽に読めるのに深いという点でもコストパフォーマンスの優れた一冊。

    1
    投稿日: 2019.09.16
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    作者の娘の知的レベルに追いついていない私には、まだ難解でした。ふんだんに使われる例え話がそもそも分からないというのが致命的。 経済を軸としつつ、政治の話、環境の話、そして哲学的思想と幅広く展開されています。 私がもう少し賢くなった時、もう一度読み直すと、合点がいくのかもしれません。

    5
    投稿日: 2019.09.16
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    抽象的な経済の話を例え話を用いてわかりやすく解説してくれています。 入門書の入門書としては最適です。

    0
    投稿日: 2019.09.14
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    例え話をふんだんに使って、経済にまつわるもろもろの仕組みをわかりやすく教えてくれる。 著者はギリシャが大変だったときの財務大臣で、そのときの苦悩もときおり見せる。当事者でないとわからないことをしるのは、大事なことだと思う。 金利のところや、最後のところの理解が及ばなかった。私はもっと頭を使わないと、、、

    0
    投稿日: 2019.09.11
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    資本主義についてとても分かりやすく書かれている。 といっても「資本主義」という言葉は使われていないのだけど。 交換価値が経験価値を打ち負かしてしまった。それがすべての始まりだ。今一度、「幸せ」とは何か、思い巡らすことが必要なのかもしれない。 筆者は、本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスだ、と書いている。 「本物の幸福」とは何なのか、私には分からないが、いつも精神は自由でいたいと思う。

    0
    投稿日: 2019.09.08
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    経済学の話をリアルな現実世界に絡めて分かりやすくまとめた内容。 大学時代に読んでいた経済学の本は後半に進むに連れてしんどくなっていたけど、この本は後半に進むに連れて頭の中が整理されて繋がっていく。感動。

    0
    投稿日: 2019.09.08
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    経済学者の父が 娘に分かり易く話すように「経済」について書いてある。 「なぜ 貧富の差ができるのか」「貨幣の価値はどのような成り立ちで出来上がったのか」「銀行や市場の仕組み」「進化する機械と人間の労働力のありかた」などなど 社会の仕組みに疎い私にも かみ砕いて書いてあり、分かり易い。 とくに 貨幣の成り立ちから仮想通貨の仕組みも解説してあり、ちょっとは分かった。 (深くは・・・私の力不足です) 国の力やお金が富める者に集まっていくことでの不条理さは 世界あちこちでみられることで、 最近もカノ国がよくNEWSになっているが、 わが国でも 形は違えど50歩100歩かも。 消えた年金・・・対象の人達は 知らないままに・・・だろうし、 もりかけ問題 隣のたまねぎさんと同じだよね。 国のあげてくる数字も 政策ありきばかり。 世相についてそんなに興味ない人も この本によって ちょっと立ち止まって考えるよい機会になると思います。

    0
    投稿日: 2019.09.07
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    p138 いま、われわれはそんな大転換の最中にいる。〜しかし残念ながらこの変革は、解決と反対方向に社会を向かわせている。変革の目標が〜人間を機械に置き換えることになってしまっているのだ。 p141 〜利益について、それ自体が目的になっていく〜 p153 機械と違って人を雇えば、人はお金を循環させ〜 p154 だから、仕事が単純化され機械化が進み、賃金が下がりすぎると、ある時点でものが売れなくなる。〜労働者が機械化に抵抗することは、雇用主も含めて市場全体の得になる。労働者の抵抗が自動化にブレーキをかけ、利益の破壊を防ぐからだ。 #機械は人の営みを助けるものであるべき。社会は人のネットワークであって機械のネットワークではない。人が機械の道具となる日が来れば逆転する。 p155 〜もし機械が人間の創造力や〜能力〜今後機械が発達し、そうした仕事ができるようになるだろうか。 #アイデアが過去のアイデアから生まれるなら可能。その創造に機械自身が何らかの喜び(主体を動かすモチベーション)を得られるか、それが必要かはわからない。喜びを得るなら最早機械ではない。 p159 どの部分を取り換えたら君が君でなくなるのか〜そのどこかを取り換えたら、君や私が人間でなくなるのは確かだ。 #どこまでが人間であるかは本人ではなく他者によって決まる。周囲がどう接するか(どう扱うか)であり、扱われる側が決める事はできない。(扱われたい方向に努力することはできる) 鬼(異邦人)が村人(コミュニティの一員)になれるかはその働きによる。 p168 われわれ人間はテクノロジーの可能性を余すところなく利用する一方で、ひと握りの人たちの奴隷になることもない社会を実現すべきだ。〜機械が生み出す富をすべての人に分配したほうがいい。 p202 〜私の父に話を聞いた。〜政治犯として〜収容されていた。その収容所でタバコが通貨として使われていたかを聞いてみた〜。父の答えは〜「私たちは受け取ったものをなんでも分け合っていたよ。〜」 p232 〜ヘンリー・デイビッド・ソローは、「幸福になるには、それを求めないことだ」〜。幸福は美しい蝶のようなものだ。「追えば追うほど逃げていく。しかし別のことに気を取られていると、そっと肩に止まっている」 p233 市場社会は見事な機械や莫大な富をつくりだすと同時に、信じられないほどの貧困と山ほどの借金を生み出す。 p240 アルキメデスは、離れてみると、何事も不可能ではないと言った。〜人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。〜すっかり内側に入ってしまうと、アルキメデスの視点でものを見られなくなってしまう。 p246 この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿〜 #それって何?

    1
    投稿日: 2019.09.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトル通りに著者が娘に語りかけるように、経済についてその歴史を紐解きながら分かりやすく解説してくれる。 ・農耕を始めたときに初めて経済が生まれた。 ・大航海時代によって「余剰」な土地で経済とは無関係に自然と調和して生活していた原住民たちが、西洋の経済を持ち込まれて駆逐されてしまった。 ・大航海時代には、その土地の特産品を流通させることで国際的な交換価値が決まるようになった。 ・産業革命による市場社会の到来によって、農奴から解放された人々は労働者に身を変え、新しい形の苦痛や貧困の奴隷になった。そして、新たな形の貧富の格差を生み出した。 ・産業革命によって人類は利益を追求するようになった。それ以前は、生産→分配→債券・債務の流れであったのが、債券・債務→分配→生産の大転換が発生し、常に生産性を上げ続ける必要性が出来てしまった。 ・金融が大量に貸し出しを行うことで競争が激化しバブルがはじけて金融危機が発生するようになった。すると不況になり国家の介入が必要になる。経済が順調な時は国家の介入を排除し自由経済を主張するのとは真逆のことが起こる。 ・市場社会は多くの人の憶測に動かされるため、想定した通りの経済状況が実現してしまう。 ・産業革命以降、機械を導入することで人間の労働力は置き換えられてきたが、それによって得をするのは企業家のみであり、労働者はますます厳しい状況に追い込まれている。 ・現状でこれらの課題を解決するための「最もマシな」のは、「資本主義」ではなく「民主主義」である。

    1
    投稿日: 2019.09.01
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    ギリシャ経済危機の2015年当時にチプラス政権の財務大臣を務め、反緊縮・債務減免を主張した(が国民投票の反対を受け退陣した)経済学者が10代の娘クセニアに話すつもりで書いた経済の話。 どうして貧富の格差が生まれたのか、経験価値と交換価値の違い、市場社会の始まり、金融機関と中央銀行そして政府の機能、思惑で動く経済、機械・AI化の未来など、神話や小説、映画なども引き合いにしながら専門用語に頼らない平易な語り口で経済を語る。 とはいえ著者の主張も経済学の一面でしかないように思われるし、なぜそこを目指すのか、本当にそう言えるのかなど、批判的な読み方も求められるように感じた。 19-92

    0
    投稿日: 2019.08.31
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    経済の見方の一つとして面白い内容の本。 2015年のギリシャ危機の時にギリシャの財務大臣の任についていた人間が書いてるという意味でも面白い。 「余剰」が生まれたことにより経済が生まれた という見方を基に「なぜ格差は生まれるのか」と分かりやすく語った内容。 経済は人々の暮らしだけでなく生き方にまで影響を与える重要なモノであるのに、一握りの”専門家”に任せっきりで良いのだろうか? 専門家であるはずの”経済学者”がいつも間違っているのはなぜ? といったことがこの本を書くきっかけだったと述べてるだけあって、よくある経済学の本とは一線を画すものだった。 おカネとは? 余剰とは? 富とは? 利益とは? といった疑問に対する答えの一つになる本だと思う。

    0
    投稿日: 2019.08.23
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    余剰が制度を生み出した 逆のパターンを考える。なぜユダヤ人は他の人を迫害しなかったのか? 全ては余剰が原因 地形で人のあり方、余剰が変わる →アフリカなどは縦に長い→気候が変わる→農工がしづらく、余剰が生まれない 労働市場は経済全体の先行きに対する楽観と悲観に左右される。

    0
    投稿日: 2019.08.23
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    余剰によって共有倉庫の在庫管理の記録を取るために文字が産まれたという経緯になるほど、と思った。 専門を究めようとすると往々にして「木を見て森を見ず」になりがちだけど、それが感じられなかった。もちろんギリシャ経済の失敗を経験しているから、経済学に対して真摯に向き合って間違いを認めているところに好感がもてた。 娘に経済学を教えるというものだけど、この娘がいったい何歳くらいなのか、明記してもらえると対象年齢が明確でよかったかも。

    0
    投稿日: 2019.08.21
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    市場、金融、株式市場、そして貨幣。資本主義のベースとなるこれらのシステムについて、ギリシャの財務大臣を務めた著者が、特有の詩的表現も交えながら、”父から娘に語る”という叙述形式で、極めて平易に解説される。その点では本書の面白さを私も一定程度認める。ただし、こうした経済学の平易な解説を読みたいのであれば、後述するような彼の”イデオロギー”が強度に染み出さず、よりフラットで優れた書物は多数あるのではないか? 私が納得できないのは結論についてである。著者は、現在の経済の問題を”行き過ぎた市場化”にあるとして、”一部の巨大企業や富裕層だけが参加するのではない民主的なプロセス”を対案として提示する。では、民主的に経済をコントロールするのかという点について、著者は何も語っていない。そうした態度は、財務大臣まで務めた政治家として著者を見たときに極めて不誠実ではないか。 くどくど書いてしまった。結論を言えば、私は政治的に左派ポピュリストを嫌悪している。そして、EUにおいてその先鋒を務める著者についても嫌悪しているということである。

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    投稿日: 2019.08.18
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    これは面白くわかりやすい。経済学者でありながらそれに対して否定的なスタンスも。イギリスの囲い込みで「市場のある社会」が「市場社会」になった。 他にもメモってたの消えてしまった…

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    投稿日: 2019.08.14
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    自分が経済学について詳しくないため、平易に書かれているとはいえ読むのに所々つまってしまった。マトリックスの例が出ていたのは興味深く、欲望を追求しすぎるということについて考えていく。予言の自己成就と経済の関係が印象に残った。とはいえ、分かりやく経済の基礎を学ぶことがができたと思う。

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    投稿日: 2019.08.05
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    面白かったけど、帯の文句にひかれて読んだのでちょっと期待が大きすぎたかもしれないです。 銀行の「どこからともなく魔法のようにパッとお金を出す」という話はとても面白く、そうだよなーっと納得しました。

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    投稿日: 2019.08.02
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    こんな経済ので本、他には無いと思います。 神話からスタートレックやマトリックスまで、わかりやすい例で語られています。 この本を読んで、経済の動きというものがなんとなくわかった気になります。 経済学を学んだ人には、物足りないかもしれません。 私にとっては、目から鱗が落ちる事が多かったです。 入門の入門書としてお勧めできると思います。

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    投稿日: 2019.07.30
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    経済学よりお金2.0に近い感じ どっち先に読むかで感想は変わりそうだが、先出たのはこっちの様だ。 私も30で発起し、ファイナンスの勉強を始め、最初にぶち当たった問題がこれ。 正解があると学校で教えられて来たはずが、算数や理解の様な、経済と政治には正解がない事。 世の人は常に全員同じ考えをすると思っていた、おめでたい星人だったのだ! 今でも思い悩む事があるが、私の中ではかなり整理されてきている。 歴史のバイアスから現在が出来るまでを網羅されており、とても説得力がある。 ほぼ名著「銃病原菌鉄」そのままだw それでも筆者の言い分に異議がある。 すべてがネガティブにはならないのだ。 元気な人間が常にいる事。それが進化なんだと思う。 でもただ元気なのはだめだ。 歴史を知っている蟻だ。 ドンドン進化してマトリックスにならない様にはしたいけどね。

    1
    投稿日: 2019.07.30
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    予想以上に面白かったし、ためになった。 自分は資本主義の価値観にどっぷりハマっていて、それゆえに最近覚えていたひっかかりを本書が解き明かしてくれたような気がした。 他人にとって価値あることは「値段が上がり」、他人に必要とされないものは「値段が下がり」淘汰される、、だから価値の少ない仕事はやめて価値の高い仕事をしよう、価値の高い人間になろう、その生き方は今の世の中正しいかもしれないけど、競争煽りまくった結果地球全体は果たして幸せな結果になるのか??考えさせられるし、資本主義の前提と違った価値観を大事にするのも必要かと思った。

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    投稿日: 2019.07.21
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    ギリシャで財務大臣を務めた著者が経済について自身の考えなどをまとめた一冊。 現在の資本主義に至るまでの経済の変遷から機械との付き合い方やお金、環境との関係などを平易な言葉で解説されており勉強になりました。 土地と労働が商品となることで起きた変化や貨幣と経済の関係、民主化になることの弊害など著者の考えも深く知ることもできました。 資本主義経済の成り立ちとその問題点が示唆されており、経済において多くの示唆を与え、自分の意見を得ることのできる一冊でした。

    0
    投稿日: 2019.07.15
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    余剰が経済を生んだことから、牢屋のタバコの話までは面白かった。 通貨に上限がないと、ものすごいデフレになることもよくわかった。 最後の環境の話が余計かな。 全体的にまあまあ面白いが、経済を学んだ人には少々退屈かも。

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    投稿日: 2019.07.11
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    経済学について何も知らなかったので、読んでみました。 わかりやすかったです。導入部が特に納得のいく説明でした。映画を例えに出していて、なるほど!と思うことが多かったです。著者の思いも感じとれました。

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    投稿日: 2019.07.09
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    経済は農作物の余剰が出来たことで発達。 ・宗教発生は経済的要因。 余剰を支配者が独占し、それを正当化するためには、現在の地位は天からの授かりもので、それに反することは世の中に大混乱をもたらすのだと、信じ込ませる必要性があった。これが宗教の役目。 ・オーストラリアは英国に支配されたが、逆にアボリジニが英国を支配できなかった理由。 経済は軍事力であり、経済力は余剰から発生、で、地政学的な話。ユーラシア大陸はヨーロッパから中国まで、比較的温暖で作物の生育に適しており、(特に小麦は西から東まで育つ)余剰が多く発生。これが国力となり世界を支配できる国力を持つ国はユーラシアから生まれた。アフリカは南北に長く、アフリカ全土で育てられる穀物は無く、農業文化の広まりは極めて限定的。そのためアフリカから強大な国家は生まれなかった。 ・イギリスで産業革命が成功した理由。 大航海時代、貿易が金になることに気づいた英国貴族は、保有する広大な敷地で農奴に作らせていた玉ねぎなぞ、何の役にも立たないと気付き、農奴を追い出して羊を飼い、羊毛を輸出することにした。追い出された農奴は羊の世話をして羊毛を刈り、売却して、その益から貴族に金を収める商人と、蒸気機関の発明で広まり始めた工場で働く労働者に転換し、産業革命を後押しした。

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    投稿日: 2019.07.07
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    経済の仕組みを、歴史を追って説明があり分かりやすかったです。 本当の幸せを考えさせられました。 ホモ・サピエンス全史を纏めた内容と感じました。

    1
    投稿日: 2019.07.04
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    「大金持ちと貧乏人の話」を身も蓋もなくはっきりと言い切ってる本だ。エピソードの具体性と説得力が秀逸。言葉の力・文字の力を実感する。実にわかりやすい、思わず苦笑いを浮かべるほどに。 経済の話はわかりにくいものだが、焦点をとことん絞って単純化し、具体的な事例を語りながら説明する。よく新聞記者が「中学生にもわかる文章を書け」と言われるそうだが、やさしく説明することは難しい。本書はその難しさをクリアしている稀有な本だと思った。 最後に哲学的課題を提示しているところが「父が娘に」らしく微笑んでしまった。しかし、これは読者全てに突きつけられた課題でもあると思うと身が引き締まる。本書は「さすが!」と感嘆を唱えたくなる本である。

    3
    投稿日: 2019.07.03
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    経済と資本主義について考える本。具体例が難しいものも多かったが、読み進めやすい本ではあった。 市場の誕生、銀行の黒魔術、狩人を例にした市場社会での競争、収容所のタバコを例にしたデフレが面白かった。

    0
    投稿日: 2019.06.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルの通りです。人間の歴史とともに経済というものがどうして成り立ってきたのか、とても分かりやすい。一言でまとめると「経済について語るとはつまり、余剰によって社会に生まれる、債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ることだ。」ということらしい。ついでに「支配者を正当化する思想がなければ、国家の権力は維持できなかった。支配者が死んでも国家が存続し続けられるような、国家権力を支えるなんらかの制度化された思想が必要だった。そして、思想を制度にするような儀式を執り行ったのが、聖職者だ。」ということで、宗教とは何かについても改めて考える機会に。先日読んだ「最強の生き方」に通ずるものがありました。始まりは「余剰」。農作物の余剰によって、文字が生まれ、債務と通貨と国家が生まれた。それらによる経済からテクノロジーと軍隊が生まれたということらしい。 封建制度のもとで貴族階級が支配的な地位を維持できたのは、政治と軍隊と法律と慣習のおかげだった。富の蓄積をもっと速めるために、生産性を上げるようなテクノロジーを開発する必要も動機もなかった。しかし、貴族とは対照的に、新興の起業家が生き残れる保証はどこにもなかった。むしろ、既存の政治や法律や慣習は起業家に不利だった。だから、彼らが生き残るには利益を生み出すしかなかった。そして、起業家の借金と利益と焦りが高まるにつれ、競争はますます過酷になっていった。そして、ある時点で、社会全体が借金漬けになり、経済の成長がそれに追いつかず、利益を出しても返済しきれない状況が訪れる。バブルの崩壊だ。そして経済の崩壊の後には不況が。この後、経済政策についての記述もある。ケインズ流というかリフレというか・・・そしてベーシックインカム的な話に続く。 割と最初のほうに、経験価値と交換価値の話があり経済は交換価値の概念で成り立っているところからスタートするけど、改めて経験価値を見直すべきなのかなと最後はそこにつながっていたように思う。マスターカードのCMではないけれど、大切なものはプライスレスであり、生活の価値観もそちらに寄せていったほうが幸せになれるのではないかとそんな風に考えさせられました。

    1
    投稿日: 2019.06.29
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    本の前半は、経済の発生についての歴史的解説が展開されており、とても興味深い内容でした。 経済について語るとは、余剰によって社会に生まれる債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ること。 農耕が保存可能な農作物の"余剰"を生み出し、この余剰が、それを記録するための"文字"や労働に対する未来の報酬を証明する"通貨"や通貨に保障を与える"国家"や国家に正当性を与える"宗教"など、現代の経済や社会に必要な仕組みや機能が発生した歴史的な流れから説明があり、経済の本をあまり読まない私には目から鱗でした。 後半は筆者の結論に誘導的な記述が多い気がしたたため、星4つの評価です。

    3
    投稿日: 2019.06.24
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    20190624 読みやすくわかった気になる経済書。思想史としても読める。これまで過ごしてきた世の中の理屈を今更ながら知ったような気になる。また疑問を持ったら読み直してみたい。

    1
    投稿日: 2019.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【感想】 「経済の歴史」がテーマの、教科書チックな本。 なぜ地域差で、また同じ地域でもこれほど貧富の格差が生まれるのかなど、人類史をまじえて非常に分かりやすく書かれていた。 また寡頭制について、読んでいてピケティの資本論「r>g」を彷彿とさせた。 あと、「金融の黒魔術」とは本当によく言ったものだなーと思った。 ちょちょっとPCをイジるだけでお金が行ったり来たりするリスキーな世の中を揶揄するには、誠にうってつけの表現だ。 世の中にこれだけ経済の学習をする人々が多く、またみんな頭ではしっかりと理解しているのに、何故全員が豊かにならないのだろう? 答えは簡単だ。 結局は、世の中のルールを1番に作った者勝ちなのだ。そしてそれは世界にひと握りの人間だ。 もしくは、そのルールの網目を上手く(危険に?)すり抜けれた人の勝ちなのだ。 その他大勢はルールに翻弄されるのみで、どれほど頭が良くたって真の豊かさとは程遠い人生を歩むしかないのだ・・・・ 勉強すればするだけ、リスキーなチャレンジしない事には格差を埋める事は出来ないと、読んでいて虚しくなってしまった。 そんなに悲観的になっても意味がないと思うが、たまにヘコんでしまう。 分相応レベルの幸せを目指して、今日も頑張ろう。。。 【内容まとめ】 1.言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍 うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。 そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。 文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。 2.寡頭制 →権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。 寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。 3.金融の黒魔術 借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。 しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。 銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。 なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。 4.国債について 銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。 しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。 だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。 人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。 安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。 国債は金融システムの潤滑剤だ。 【引用】 p26 ・「言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍 うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。 そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。 文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。 p36 実はオーストラリアでもアメリカでも、先住民は侵略者に殺されるよりも、ウイルスに感染して死ぬことが多かった。 農耕の発達していない地域の種族は、何世代もの間にゆっくり生成される抗体がなく、疫病への耐性がなかったからだ。 p40 ・地域内格差 寡頭制 →権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。 寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。 p48 商品とは、いくらかの金額で「売る」ものだ。市場価格とは、「交換価値」を反映したものだ。 が、どのサービスにもお金がつくというものではない。 p99 ・金融の黒魔術 借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。 しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。 銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。 なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。 金融危機の後に来るのは不況だ。 誰にも借金があり、誰もそれを返済できない。 お金持ちも先行き不透明のため、支出を抑えるようになる。 経済を前に進めていたプロセスが、今度は逆方向に回り始める。 p116 ・国債について 銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。 だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。 人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。 安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。 国債は金融システムの潤滑剤だ。

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    投稿日: 2019.06.24
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    【論理的ぽい宗教】 「経済学という宗教」なるほどです。 まさに資本主義経済という宗教ですね。 この本を読む前に村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』を読みましたが、感じたのが得た利益を資本家だけでなく労働者にも還元する方法はないかということです。そこで「資本の共有」を思いつきました。 が、この本にもそのまま「資本の共有」が提示されていました。わたしはものすごいことを思いついた!と思いましたが、すでに既知の情報なんですね。 ただ、具体的な共有方法は記載されていませんでした。一番簡単にできる共有方法は株だと思います。 いまや株式も投信を使えば100円単位から購入できるのでハードルは低いです。 資本金なんかないという人がいますが、お金を消費に使うか、投資に使うかの差で基本的に収入を得ている人であれば資本を持っていない人はいません。100円から投資できるのですから。。。 天引きで貯金できる力があれば、天引きで投資を行えばいいだけです。あとは放置プレイで自然に増えていきます。 銀行のすごさ(恐ろしさ) 日本銀行も含めて中央銀行はすごいです。 公的資金を注入するといってもどっからともなくお金を準備するのですね。 公的資金を注入された企業は将来的に返金するのですが、将来稼ぐで「あろう」お金を今は存在しない(中央銀行にもない)のに、現在に投入するという恐ろしいことをしています。将来に於いて世界経済が成長を続ける説が成り立っているのでできるワザです。 また、その借金が世界経済の原動力になっているのも事実です。 住宅ローンも同じです。ローンを組んだ人が将来稼ぐで「あろう」お金を前借り(+利息)をするシステムです。まれに回収できない(それでも保険や競売などでマイナスは少なくなる)こともあるでしょうが、全体としては回収できない金額の方が圧倒的に少ないということでしょう。自己破産ようような個人デフォルトは大したことではないのです。 国のデフォルトのような大きな問題でも、ギリシア、スペイン、アルゼンチンなどの国がデフォルト状態になっても、リーマンショックのような企業が破綻するよりダメージは小さいです。 国が破綻したところでどうってことはないということでしょうから、個人となれば微々たるものです。 幸福感 少し話は変わりますが、幸福感は所得が低い状態であれば、所得に比例しますが、最近思うことが職人さんの幸福感についてです。 職人さんは労働時間が長い人が多いし、給料もそれほど高くありません。 時給換算すると安い時給で働かされているように思っていましたが、職人さんは基本自分が手掛けた仕事にほこりを持っており、仕事を芸術家でいうところの自分の作品のように感じています。好きなことで時間を使っているように思います。いやいやながら手に職をつけ、長い期間働いている人は少ないです。 はじめはいやいやだったかもしれませんが、職人という職業はスキルが上がるたびに好きになっていくような気がします。 土曜日も働かされて生産性は低い状態ですが、好きなことをして生きているので実は幸福度は高いのかもしれません。年収450万円以下でも職人さんは幸福度という観点から見ると高いように最近感じています。 (職人さん違っていたらすみません。。。)

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    投稿日: 2019.06.22
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    2019/06/17 これまで経済学の本なんて手に取ったこともなかったが、この本は非常に読みやすかった。経済のことを専門家、大富豪、政界のトップなど一握りの人間に任せてはだめらしい。このままでは私達庶民は機械の、資本主義の奴隷として一生を終えることになる。利益の追求が地球を破壊する。最近よく取り上げられるプラゴミの問題もその最たる例だよな。日本がプラゴミを他国に処分させてたことも最近知った。自分達で出したごみをよそに押し付けてたなんて、恥ずかしすぎる。無知も悪。反省。交換価値に飲み込まれることなく経験価値を取り戻す。人類は公共の利益、というか地球の保全を第一にすべきだ。そう思うけど、私にはそんな財力も権力もありません。とりあえず私個人としてはお金に執着しすぎず、助け合いの精神を大切に、地球に優しい生き方を追求しよう。

    3
    投稿日: 2019.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【気になった場所】 かつて、市場はあっても経済はなかった ・市場 交換の場所 言語と余剰により、経済が生まれた ・文字 農作物の余剰を記録するため ・債務と通貨 農民に支払う記録として ・国家や政府 通貨を信用させる権威として ・官僚や軍隊 支配者が繁栄を維持するため ・宗教 支配者を正当化する思想を生むため ・細菌やウイルス 衛生設備が整ってないため 土地を耕さなければ生きていけない場所でだけ、農耕が発達した →必要に迫られて、はじめて人は動く アフリカ、オーストラリア、南北アメリカがヨーロッパの植民地になった理由 →地理的な環境による 人間は、自分が何かを持っていると、それを当然の権利だと思ってしまう →自分の豊かさは、貧しい彼らから奪った結果かもしれないとは思わない →金持ちを責めても仕方ないが、格差が当たり前だと思ってほしくない →この世界を本当に公正で理に適ったあるべき姿にするために、必要な行動を取るべき 資本主義≒市場社会 →いくらで売れるか、それがすべて グッズと商品の違い ・商品 いくらかの金額で売るもの →交換価値を反映した市場価格がつく ・グッズ 値段の付かないもの →経験価値を反映したもの 例) 献血はグッズである →献血を無償で行なっている国で、有償にしたら血液は集まりづらくなる →誰かの命を救いたいという善意で行うため あるゆるものが商品化し、交換価値が経験価値を打ち負かす場面が増えている →自分のことすら市場価値で測ろうとする 生産の3要素 ・生産手段or 資本財 生産に必要な物 ・土地or空間 生産が行われる場所 ・労働者 生産する者 生産に必要なのはグッズで、商品ではない →ヨーロッパで造船が発達して、羅針盤が利用され、航海手段が改善 →イングランドやスコットランドで羊毛を船積みし、中国で絹と交換、日本で刀と交換、インドで香辛料と交換、イギリスに戻り何倍もの羊毛を手に入れる →イングランドやスコットランドの領主は農奴を追い出し、土地の囲い込みを始める →土地も道具も持たない農奴は、労働力を売って生きていくしかない →労働力と土地が商品となる 土地を追い出された農奴は、領主から土地を借り、羊毛や作物の生産の管理をした →先立つ資金を借りる必要があった →借金が生産プロセスに欠かせない潤滑油となった →利益が目的となる →市場社会では、すべの富が借金で生まれる →富と利益を生み出す仕組みは、金融危機と破綻をも生み出す 市場社会は、生産活動のほとんどが市場を通して行われるようになる →生産の3要素は商品となり、交換価値を持つ イギリスで産業革命が起きた理由(諸説あり) ・軍事力がなく、貿易で豊かになるしかない ・領主は強力な中央集権の恩恵を受けていた →農奴が立ち退きに抵抗すれば、国王が軍隊を差し向けられた ・土地の所有権が集中 →少数の領主が同意すれば、一斉に農奴を追い出せた 市場社会は金融機関によって循環機能を失う ・金融機関はどうやって融資金を捻出する? ✖︎預金者が預けたおカネ ◯どこからともなく魔法のようにパッと出す →対象者の口座残高を電子的に増やすだけ 銀行が簡単に融資するようになった理由 ・産業革命以降、借金の額が爆発的に増えた ・銀行が損をしない方法が生まれた →誰かに貸し付けた後、その債券を投資家に売り、貸し付け分を回収 金融危機が生まれる理由 ・銀行が貸し付けを行いまくった結果、社会全体が借金漬けになり、経済の成長がそれに追いつかず、利益を出しても返済し切れない状況が生まれる →銀行の資金繰りが不安という噂が広まり、人々が一斉に引き出そうとする →銀行自体にすべての人に対応できるだけの現金は持ち合わせていないため、閉めざるを得なくなる →中央銀行が、どこからともなくパッとおカネを出し、肩代わりする 借金をご破算(債務免除)するのは実務 ・破産を恐れて起業家が挑戦しなくなるのを防ぐ 個人の富は国家の武力によって築かれ、維持されていた 国民が納める税金の総額<国家が国民に使う金額 →その差異を、銀行が公的債務として負担 →国債が発行され、銀行も潤う 市場社会を不安定にさせる原因(商品) ・労働力 ・マネー →車や食事と異なりそれ自体に目的はなく、あくまで目的のための手段となる商品 市場社会に潜む悪魔 ・労働市場 ・マネーマーケット →社会全体が楽観的なら楽観的な憶測が現実となるが、逆もまた然り →経済全体の先行きへの楽観と悲観に左右される 例) ・一律に賃金下げても却って失業者が増える ・金利を下げても誰もおカネを借りなくなる マネーマーケット(短期金融市場) =おカネを貸し借りする場所 例) 労働市場も同様 →労働者は自分の時間を貸している テクノロジーは生産に利用される ・起業家は、起業の際にした借金返済のため利益を生み出す ・利益を生み出すには顧客を獲得する ・顧客の獲得には製品の値段を下げる ・値段を下げるには同じ賃金で大量生産する ・大量生産するためにテクノロジーが必要 どうも機械は人間のために奴隷のように働いているわけではなさそう →むしろ人間が機械を維持するために必死に働いているように見える 価格をコスト以下に下げる3つの力 ・自動化でコストが下がる ・競合との価格競争で利益は最低限になる ・需要が下がる ロボットは製品を買ってくれない 企業は自動化により、人間という要素(コスト)を排除したい →自動化することで、却って利益を生み出せなくなるというジレンマ →組合など労働者が自動化に抵抗することは、雇用主も含め市場社会全体の得になる →人間性の喪失や労働力の安売りに抗う無限の力が、人間にはある 全人類に恩恵をもたらす機械の使い方 ・企業が所有する機械の一部を、すべての人で共有し、恩恵も共有する 例) ビットコイン ・マネーサプライの調整は、バブルと債務と経済成長の行き過ぎを防ぎ、同時にデフレと景気後退を退治できる ・マネーサプライへの介入は、あるゆる層の人々へ影響を与えるが、その影響が公平になることは決してない →おカネから政治を切り離すことはできない →解決策は、金融政策の決定過程を民主化すること 経験価値をもう一度尊重するために ・利益追求に制限をかける →法律で定める 排出権取引の矛盾 ・政府の介入なく市場の需給で運営されているように見えて、そもそもの割り当ては政府が決めている 理性あるまともな社会は、通貨とテクノロジーの管理を民主化するだけでなく、地球の資源と生態系の管理も民主化する必要がある

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    投稿日: 2019.06.15
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    ☆5の評価だが、結論として誰がこの本を読むかということで違ってくる。 高校生や経済学部以外の大学生が経済の成り立ちを知るために読むのだったら、間違いなく良書。社会人がそれを復習するために読むにも良いだろう。 ただし、この本を読んで「経済学を勉強しようかな」って思っている人にはあまりおすすめはできない。経済学の本としてはあまりに初歩的すぎる。 自分も経済の専門家ではないが、本書で「経済学」を学ぼうと思ったら手応えがなさ過ぎると感じる。 それなりの知識を持ったビジネスマンがこの本を手に取る理由としては、「経済の仕組みを素人に説明する時に参考にするため」という理由がベストだろう。 例えば、ジャレド・ダイアモンドの名著『銃・病原菌・鉄』でも述べられている「人類の貧富の格差の発生原因」や、捕虜収容所内で捕虜達がタバコを通貨代わりに使っていたという状況を使っての「貨幣の流通や価値の変動の仕組み」の説明などは、誰が読んでも非常に分かりやすい。   本書を読むに当たって一つだけ注意する点があるとすれば、この本を読む前には必ずキアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』を観ておくべきだ。この本の中で『マトリックス』のシーンが何度も引用されている。 『マトリックス』は、「機械に支配された未来の人間社会」を描いたディストピア映画の古典的名作として既に認識されており、最近の欧米のビジネス書では非常に良く引用されている。 『マトリックス』を観たことが無いという人は、このレビューを読み終わったらすぐにTSUTAYAに直行すべきた。この映画はアクション娯楽作品しても最高に楽しめるので絶対に観て損は無い。 私は当時、映画館に合計4回も足を運んで『マトリックス』を観に行った。これは私の映画鑑賞歴の中で最多だ。 ちなみに第二位はリバイバル上映を含め3回映画館に観に行ったハリソン・フォード主演の古典的名作『ブレードランナー』だ。 『ブレードランナー』は、人間のために、いわゆる3K作業(きつい、汚い、危険)をさせられていたレプリカントと呼ばれる人造人間達が反乱を起こし、その作業から逃げ出したレプリカントが人間社会に逃げ込んでいるという未来社会が描かれている。 そのレプリカントを探しだし、殺すことを任務としているのが「ブレードランナー」と呼ばれている刑事達だ。 この『ブレードランナー』も本書内で何度か引用されているので、観たことが無い人は観てみるとなにか得られるものがあると思う。 『マトリックス』、『ブレードランナー』とも未来の人間のあり方をテーマとしており、非常に深い内容だが、どちらも純粋にアクション映画として楽しめるので気楽に観て欲しい。 という訳で、本のレビューなのか名作映画の紹介なのかよく分からなくなってしまったが、とりあえず本書は読み物として楽しいし、内容も読みやすく、分量も手頃で数時間で読み終えることができるので、気になった人はぜひ手に取ってみて欲しい。

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    投稿日: 2019.06.13
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    『父が娘に語る経済の話』評判通りのスゴ本だった。平易なことを難解に語ることは簡単だけれど、難解なことを平易に語るのは困難だ。なのに、この本は貨幣や資本主義、この社会を駆動する根本の仕組みをシンプルに、のめり込ませるような物語構成で一気読みさせる。

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    投稿日: 2019.06.12
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    わりかし既知なことが多かった一方、経済が数理モデルに過ぎず、人間は最適解に落ちないために経済を読むのは難しいというカオスに触れられた。 マクロとミクロ、そのうちちゃんとやろう

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    投稿日: 2019.06.10
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    自分の知らない新しい内容がわかりやすく書かれていたため、とても興味深い本でした。 私たちは探検をやめることはない そしてすべての探検の終わりに 出発した場所にたどりつく その時はじめてその場所を知る

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    投稿日: 2019.06.08
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    分かりやすかった。 Surplusによるヨーロッパの発達と 船で渡る商人によるグローバルビジネスの発達。 あとは第二次世界大戦の人種別に別れた牢屋の中での市場について。

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    投稿日: 2019.06.05
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    「資本主義経済」「市場」。私たちはそのゲームルールの中でビジネスをしていながら、それが何かをうまく説明できない存在です。本書はギリシャの元財務大臣が経済とは、市場とは、なぜ格差が存在するのか?ということをわかりやすく解説してくれています。

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    投稿日: 2019.06.03
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    市場社会の交換価値。全てに値段をつける世の中には、思いやりがないと思う。 自分を守りたいという短期的な衝動に勝てない。人間らしさそのものなのかもしれないが、助け合いや絆を大切にする心はあるはずだ。 分かりやすく表現しているし、そして平等とは何かを考えさせられた。面白い。

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    投稿日: 2019.06.02
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    序盤はなぜ経済が生まれ格差が拡がっていったのかが大変にわかりやすく書かれていてタメなった。 人々がより良い暮らしを追求し続ける限り、格差は無くならないんだろうなぁ。しかしそのことへ少しでも心を痛めたり、考えたりすることが大事なのだと教えてくれた気がする。

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    投稿日: 2019.05.25
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    確かに読みやすく、経済を語る上で必要な情報は網羅してあって、それを解説してくれているので納得感や気付きを得られる一冊になっています。お薦めです。 資本主義という言葉を使わず、”市場”社会を見つめる事で、現代の経済システムの構造と問題点、詭弁と欺瞞を露わにする手法は、読み手に「難しい」という逃げ場を作らず、疑う事・知る事・自分の考えを持つ事の重要性について考えさせるつくりになっているので、「娘」に語る方式ながら、全員に考えさせるうまい方式だと感心しました。 我々の経済システムは良くはないが、それに支配されている。 それは格差を生み出すが、我々も受け入れている部分はある。 さて、どうあるべきで、我々はどう動く?

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    投稿日: 2019.05.25
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    ギリシャの財務大臣が娘のために書いた本 「資本主義」のかわりに「市場主義」という言葉を使う 農作物の生産によって、はじめて本物の経済の、基本になる要素が生まれた。それが余剰。 余剰が世の中の様々なものを生んでいる。 文字、債務、通貨、国家、官僚制、軍隊、宗教、、 支配者を正当化する思想として生まれたのが宗教 だから何千年も国家と宗教は一体だった 経験価値と交換価値 人間は昔から利益を追求していたわけではなかった 市場社会ではすべての富が借金によって生まれる 全員が協力しなければ目標を達成できないのであれば、成功には個々人の協力だけでなく、個々人がみんなも協力するであろうと信じている必要がある 機械を1人の経営者が保有すると益々格差は広がる 共同所有し、機械が生み出す富を分配しては? 地球は誰のものでもないから誰かが汚してしまう すべての商品化かすべての民主化 経済学は「公式のある神学」 「経済学者はどちらかというと科学者ではなく、どれほど賢く理性的であっても人生の意味を確実に知ることはできない哲学者のようなものだと認めたほうがいいのでは?」

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    投稿日: 2019.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代の経済システムの根底にあるものを教えてくれる一冊でした。今の経済の矛盾がどう生まれたかについても、簡潔に教えてくれます。 ただ、後半の方は少し退屈に感じられました。 面白かった点 1.西洋人が優秀なのではなく、作物が育ちやすい地域・環境が余剰を作り、余剰が経済を作り出した。 2.宗教革命後、借金に対する考え方が変化した。そのため、特に産業革命後において「借金」が「富」を生み出す世界へ変わっていった。 3.経営者の雇用に対する考え方は狩人のジレンマと同じであり、単純なものではない。

    1
    投稿日: 2019.05.20
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    「経験価値」と「交換価値」の例えが分かりやすい。 世の中のお金の流れはよく理解できたが、債権と金利の話はあんまりわからなかった笑

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    投稿日: 2019.05.19
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    「経済の話」という題名だが、いわゆる市場取引の話のみならず、地政学、金融、社会学まで、非常に広い範囲がカバーされている。 ごく普通に生活していたらこの本に書かれていることは考えもしないわけで、各トピックもそれぞれ刺激的である。 教科書的ではない、リアルな社会に触れたような気がして、それがこの本のすごいところであるのだろう。 また時間を見つけて読み返したいので星5つ。

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    投稿日: 2019.05.19
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    <目次> プロローグ  経済学の解説書とは正反対の経済の本 第1章  なぜ、こんなに「格差」があるのか?~答えは1万年以上前にさかのぼる 第2章  市場社会の誕生~いくらで売れるか、それがすべて 第3章  「利益」と「借金」のウエディングマーチ~すべての富が借金から生まれる世界 第4章  「金融」の黒魔術~こうしてお金は生まれては消える 第5章  世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界~悪魔が潜むふたつの市場 第6章  恐るべき「機械」の呪い~自動化するほど苦しくなる矛盾 第7章  誰にも管理されない「新しいお金」~収容所のタバコとビットコイン 第8章  人は地球の「ウイルス」か?~宿主を破壊する市場のシステム エピローグ  進む方向を見つける「思考実験」 <内容> 元ギリシアの財務大臣だった経済学者が、娘をイメージして書いた経済学の本。数式や自慢は一切出てこないが、とても分かりやすい。そして悲劇的だ。我々はこの格差社会の中、経済を政治から切り離すことができず、売れるものが「労働力」しかない中、少数の金持ちに搾り取られるだけなのか?人の自助努力が大事なようだ…。

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    投稿日: 2019.05.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本書の三分の二程度は経済の成立について語られる。人類は狩猟から農耕に移ることによって「余剰」ができ、国家、貨幣、宗教につながった、という経済史観はあまり目新しいものではなく、「サピエンス全史」のほうが優れていると思う。難易度という点からもこの内容を理解できるのであれば「サピエンス全史」を読んだほうがいいだろう。10代向けだとしても10代後半向けか。 後半ではあらゆるものに値段が付けられる「商品化」の害と、「民主化」の重要性が語られる。「商品化」はいわば市場を介した民主化なのだが、それよりは一人一票を持った民主化のほうがよりよい世界につながるという。 最近のポピュリズムの隆盛を目の当たりにすると民主主義が絶対とも思えないが、やはりこれまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば最善なのかもしれない

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    投稿日: 2019.05.11
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    2019.05.10 読了 前半は面白く勢いよく読み出したが、後半はやや眠く。 ◆面白かった点 なぜアボリジニがイギリスを侵略しなかったのか?に対する解が、漠然とイギリスの方が発達していたから、というくらいのことしか思いつかなかったが、余剰と経済という関係と共に解説されていた点が一番面白かった。 ・人類か農耕を発明した12000年前、それは本当に歴史的な事件だったと言え、今我々が「経済」と呼んでいるものが生まれたときである。 ・農作物の生産によって、初めて本物の経済の基本になる要素が生まれた。それが「余剰」 ・文字は余剰を記録するためだった ・「ナバックさんがどれだけ小麦を預けたか」を記録するようになったことが、債務と通貨のはじまり。 ・農作物の余剰が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。それが、文字、債務、通貨、国家、官僚制、軍隊、宗教といったもの。 ・宗教は支配者が支配しつづけるために必要だった ・農耕が必要無かった地域、木の実も果物も肉も魚も十分にあったオーストラリアのアボリジニや、南アフリカの先住民の社会では、音楽や絵画は発達したが、文字は生まれなかった ・気候に恵まれないイギリスは、大量に作物の余剰を貯めないと生きていけず、航海技術や生物兵器も余剰から生み出された。 ・自然の食べ物に事欠くことがないオーストラリアでは農耕技術を発明しなくても生きてゆけ、余剰をため込む必要もなく、テクノロジーがなくても豊かに暮らしていけた。 ・はるばるオーストラリアにたどり着いたイギリス人にアボリジニがかなうはずがなかった。

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    投稿日: 2019.05.11
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    この本は内容がストーリー仕立てになっており、経済学の本としては読みやすい。タイトル通り、経済学に知識がない人でも経済の仕組みが理解できる内容になっている。経済と言っても人間が絡むことなので、心理的な要素が影響する点を分かり易く指摘しているところは合点がいく。

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    投稿日: 2019.05.06
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    わかりやすいのに深い。一見矛盾しているようですが 同時に成立する不思議な感覚です。 「余剰」に関するアプローチなど、「サピエンス全史」 に近いものがあるかもしれません。

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    投稿日: 2019.05.06
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    よくある普通の実学の経済の本ではなく、大きな視点での社会の仕組みとしての経済の本だった。 丁度、サピエンス全史を読み終えたところで相通ずるものがあった。サピエンス全経済みたいなもんかな?

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    投稿日: 2019.05.04
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    おもしろかった。経済ってほんと苦手で勉強を避けてきたが、少しわかった気になった。こういう本のいいところは、これどういうことだろうって、調べさせてくれる余裕があるところ。普通の経済本だとその余裕すら与えてくれない、、 ここをステップに少しずつ経済への造詣を深めたい。

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    投稿日: 2019.05.03
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    余剰が全てを生み出した。国や言葉や争いや宗教も。全てはその余剰を維持するための手段なのである。今ではその余剰はお金として世界を回していて、あらゆる物事に変えられる交換価値として、市場社会を生きるための目的になっている。しかし、お金で交換のできる物事には、交換価値で測れるものであるという点において、経験価値ではないと満たせないものもまたある。 市場社会では、交換価値の余剰を持たなければ、経験価値に満たされて生きることは厳しいと思う。

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    投稿日: 2019.05.02
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    経済について分かりやすく語った一冊。 格差が起きる理由やお金について、歴史的なものも踏まえて書かれています。 交換価値と経験価値の話が分かりやすかったです。

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    投稿日: 2019.05.02
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    ギリシア危機の際の財務大臣が書いた興味ぶかいベストセラー。 なぜ格差が生まれ、大きくなるばかりなのか。 政府の公債はなぜ必要なのか。 未来のことはわからないが、人はそれに不安を感じつつ、期待もする。 信頼が経済のなかでどれほど重要なことかがよくわかる。 限界費用ゼロの社会はまだまだ来ない。 商品化と民主化のせめぎあいは続くのだ。

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    投稿日: 2019.04.27
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    これまでも経済に関する本は読んできたが、確かにこれは面白い。厚みはありそうに見えるが、一気に読んだ。 格差から始まり、最後は環境にも触れるというのは目次だけ見ると何だ?と思ってしまうが、上手くストーリー仕立てになっていて引き込まれていくし、腑に落ちることが多かった。特に労働と機械の部分は、強く印象に残った。

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    投稿日: 2019.04.20
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    経済というか、平易なお金や価値観に関する哲学書のような印象。お金と価値観、これらをじっくり見直すいいきっかけになると思う。 経済とは公式のある神学、という言葉が印象的。

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    投稿日: 2019.04.20
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    私も渡し自身で娘等に色々教えたいと思っており、手に取る。自分にとっても興味深い話、「何故ヨーロッパは色々な場所に植民地を築けたか」 が、それ以降は難しくなってしまい、娘に教えられない内容、うーむ。

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    投稿日: 2019.04.17
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    確かにわかりやすく書かれている。よく売れているらしい。複雑なことをわかりやすく広めると、世の中が少し賢くなる。だから必要だ。けれども、「わかりやすさが先行して、粗雑なわかりやすさになってはいけない」。害悪を拡げる本は批判されなければならない。私が★ひとつとするのはそのためである(どうでもいい本ではないから、振り幅が大きくなる。価値がないと言っているわけではない)。私は何の専門家でもなく、単なる読書おじさんだけど、それでも瑕疵がいくつも見つかった。 でも前半は、ほぼなるほどなるほどと思って、読んでいった。こんなところだ。 ・通貨には、「信頼できる権威の裏付け」(国家や宗教等々)が必要である。余剰ができたから、国家(軍隊や警察・官僚を持つ)や宗教が生まれた。←それはそうだ。たから、この順番は逆ではないと私は思っている。 ・アボリジニやアフリカの人々は縄文時代のようなものだ。余剰は生み出さなかったから、ヨーロッパ人に侵略されたのであり、経済格差は人間としての優劣の差ではなかった。←それはそうだと思う。これは地理的な環境下で起きた格差の問題である。 ・金持ちが「もっと豊かになるのは当然だし必要だ」と思い込むのは、君の生活に便利や快適があるのを当然だと思うのと同じだ。格差は、人のせいではなく、社会のせいだ。君は、賢く、戦略的に怒りを持ち続けて欲しい。そして、機が熟したときには、必要な行動を取ってほしい。 ・では、国内での格差は何故起きたのか? ・昔、人間の欲求の中に「利益の追求」はなかった。これが歴史を動かすようになったのは、最近のことだ。「利益」と「借金」が結婚してからである。 ←ここまではいい。しかし、この後著者は何度も「ゼロからお金が生み出される」仕組みについて説明する。もちろん、その仕組みはある。けれども、私は変なことに気がついた。 ・どこからともなくお金を生み出す銀行とその上の中央銀行という国家、そのおかげでずっと自転車操業は続く。 ←ホントに続くのか?国家の破綻はないのか?好景気不景気の循環で、銀行は国家をコントロールする。国家は銀行をコントロールする。では、その最終的な富の源泉はどこにあるのか? ここで、私ははたと考える。世界の労働者の労働力なのではないか?エネルギー不変の法則は存在する。ゼロからおカネは出てこない。著者は、この本でそのことを説明しただろうか? ・経済が社会の「エンジン」で、借金が「燃料」だとしたら、労働力はエンジンに点火するための「火花」で、おカネはエンジンを滑らかに動かし続けるための「潤滑油」だ。 ←というまとめに私は納得いかない。燃料は労働力だろ? 著者は、これらの解決策に突然「究極の民主主義」を提案する。まるで「振って湧く」かのように善良な市民が登場するかのごとくだ。そこに至る思考の道筋は、共感するところもあるが、マルクスならば『貧困の哲学』のプルードンを『哲学の貧困』で批判したように、これは「世界が逆さまになっている」というかもしれない。私はマルクスのような頭がないので、著者を論理的に批判出来ない。彼の頭の中には、ホントに生きている市民が、どのようにしたらそういう「究極の民主主義」に至るのか、青写真さえも浮かんでいないように思えるのである。金持ちのための欲望にまみれた経済学者よりも良心的な貴重なものだとはおもうので、誰か根本的な批判が出来ないものだろうか! 2019年4月読了

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    投稿日: 2019.04.15
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    経済の成り立ちを紐解く一冊。サピエンス全史も然りで、経済や地理、宗教というのは、切っても切り離せない関係にあって、歴史を学ぶというのはまさにこのメタ認知にあるなぁとつくづく。

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    投稿日: 2019.04.14
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    ギリシャの元経済大臣の著者が娘に語りかける形式で経済という複雑系を単純化しわかりやすく解説している。 余剰から経済が生まれて経緯、古代の貨幣からビットコイン、借金は(個人にとっても国にとっても)エンジンなどなど、興味を持ちやすそうな部分を選択しているのも読み進めやすくて良いと思う。 いつまでもお金音痴ではいられない。

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    投稿日: 2019.04.11
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    確かに一気に読み続けてしまいました。面白い本でした。 大学で一番面白い経済学の講義を受けた、そんな気分になりました。実際、著者は世界各国で教授として経済学を教えていたそうです。 経済危機に陥ったギリシャのまさにその当時の財務大臣だったというのも、この本の存在の特異性を際立たせているように思います。 うちの娘はまだ小学生なので、まだちょっと早いかなと思いますが、中学生か高校生ぐらいになったら読んでもらって、一緒に内容について語らいたいなと思いました。

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    投稿日: 2019.04.03
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    "不足"が"余剰"を生み出したのが興味深い。 まだ読んだ事が無いのだけど、サピエンス全史と繋がる部分がありそう。 "余剰"は"余裕"とも言え、文化を生み出す根源となった大切なものだと思う。 あとは、"余剰"を上手く分かち合う方法なんだろう。 それと、仮想通貨は発行数が定められていて、誰かが通貨を刷ってバランスを取る方法がないから上手くいかないという話は気になる。仮想通貨もバージョンアップされていっているから解決されると良いのだけども。

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    投稿日: 2019.03.31
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    市場社会が生まれた経緯に始まり、それを維持する金融システムの内容、政府の存在、格差、AI&ロボット社会の功罪、環境問題、民主主義、幸福とは?...etc, かなり幅広い内容を、歴史上の出来事や、印象的な挿話を取り上げ、順序立てながら分かりやすく説明していく内容。 p.250弱とそんなに長くなくスラスラと読めるも、かなりお腹いっぱいな読後感。それほど濃い本だった。 ・市場社会の始まりは農作物などの余剰から生まれ、それを取引するための信用ツールとして通貨が生まれ、それを管理するために政府が生まれる。 ・農作物をつくる土地をその時の支配者などに奪われた農奴達は生きるために別の起業をする。そしてそのためには金がいる、そこで銀行が生まれ、金を貸す事で借金が生まれる。この借金から、全ての富が生まれていく。 ・労働力とマネー。産業革命以降、労働力は機械化。機械に働かせるか、人間を機械のように働かせる社会へ。またテクノロジーは今は一部の富裕者にのみが支配している。そのようなものが労働を全てAIやロボットに代替しても、しかし経済は破綻する。人間が働いて賃金を得る事で経済が回るが、現在のロボットはお金を使わないから。 ・意志をもったAIが登場すると、世界はマトリックスのような悪夢の世界に? ・経験価値ではなく、全てが交換価値でカウントされるのが市場社会。昔は良い行い=GOODこそに価値があったが、交換価値が重視される社会では全てがGOODs=商品となってしまった。そこでは環境を破壊して得られるものが交換価値を生み出し、環境は破壊され続ける。 ・そんな世の中で良いのか?そこを解決できる唯一の方法は、民主主義であること。

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    投稿日: 2019.03.28
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    ギリシャ金融危機の際にギリシャの財務大臣を務めてた経済学者が書いた本。 たしかに面白かった! 『信用の新世紀』『日本が売られる』『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 』『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』なんかに書かれている事がこの本でギュッと結ばれた感じ。 国の財務を預かっていた人が、「基本的に金持ちは税金を払わない仕組みを作り、貧乏人はカツカツのところから税金を出すだけなので、総論として国を維持するための税収は常に足りていない。だから足りない分を国債で賄い、債務超過はある程度不可逆的なもの」って言い切られると、ねぇ。 人類史において市場ができた時代と、市場社会になった時代は全く異なっていて、交換可能価値にばかり重きを置かれるいわゆる資本主義社会というのは人類の歴史の中でも随分最近のもので経済活動においてさえ普遍的なルールではない事。封建制以前の宗教が支配の正当性を民衆に刷り込むためにその機能が果たされていた事と同じように、現代の経済学は資本主義支配の正当性を裏付けるための仕事しかしていない、とあっち側の人だった学者が言うんだもんなぁ。 とにかく、「考えろ、疑え」だそうです。 結論はテクノロジーを肯定的に利用し、人間の人間たる特性を最大限に使い、ベーシックインカム的な方法論で資源の民主化を進めるべきだ、という考え方の人でした。

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    投稿日: 2019.03.19