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魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】
魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】
京極夏彦/講談社
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総合評価

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  • 百鬼夜行シリーズ第二弾。

    再読。ノベルズ版から20年ぶりくらい。姑獲鳥もそのくらいで再読したのですが、そちらと同様に大まかな部分は殆ど覚えていた。相変わらず頼子の性格は嫌いで、初読みの時はさぞや苛々したろうなと思い返しながらも、今回はラストを知っているので生温い気持ちで読み進めた感じ。上巻では、中央線武蔵小金井駅で発生した美少女転落事故、連続バラバラ殺人事件、美馬坂近代醫學研究所、穢封じ御筥様、物語が展開するキーワードが出揃った。衆人環視のなか、研究所から忽然と姿を消した加菜子。最後は久保竣公の『匣の中の娘(前編)』で、中巻へ。

    5
    投稿日: 2017.04.29
  • 京極夏彦による百鬼夜行シリーズ第2弾!

    本作は非常に複雑な構造を持っている。バラバラ殺人、新興宗教、少女の殺害未遂と誘拐事件などが複雑に絡み合い、物語が進行する。その合間合間に挟まれる箱の中の少女をめぐる描写がいかにもグロテスクだ。 本作のタイトルにもなっている魍魎が一つのキーワードとなっている。新興宗教にはまってしまった母親は娘に向かって「もうりょう」と口走り、教主は魍魎退散をお題目にする。魍魎とは何か、もう一つのテーマとなる。 本書は3分冊の1巻目だが、冒頭から半分くらいまでは本シリーズの主人公ともいえる京極堂は登場しない。京極堂を中心とする友人たちと本作の主要な役回りを演じる人たちが語られていく。物語がどんな方向に進むのか、全く予想がつかない。 一方で、本シリーズの特徴ともいえる、京極堂によるウンチク解説が後半に待っている。その掘り下げ方は尋常ではなく、もはやストーリーそっちのけで解説されても興味が後を引くほどの分量に圧倒される。この、悪く言えば長すぎるウンチクが気にくわない人もいるだろうが、これがあるとないとではこのシリーズの魅力が大きく変わってくると思う。

    2
    投稿日: 2015.12.26
  • ミステリとSFと幻想小説の融合

    妖怪シリーズ2作目。 電子書籍版では関係なくなってしまいましたが、本の形態でのレイアウトにこだわった造本をしたのがこの「魍魎」から。 どんなレイアウトなのか気になる人は、紙の本も読んでみてください。 内容としては、冒頭の幻想小説がラストに至ってまったく別のものに変容してしまう様に、驚きを通り越して嘆息しました。 本作で推理作家協会賞の長編賞を受賞。 2作目にして伝説の作家となりましたね。

    1
    投稿日: 2013.10.15
  • 京極堂シリーズ2作目。

    しょっぱなから衝撃なシーン。シリーズ中一番エンターテイメントな感じ。

    1
    投稿日: 2013.09.28
  • 「みっしり」

    綿密な構成、独特の幻想的な空気感、ミステリー(?)なトリック・・・ 最高傑作として名高い作品にして、はじめて京極作品を読む人にもおすすめ。 電子書籍なので重くないのもポイント。

    2
    投稿日: 2013.09.27
  • 奇妙な事件

    **************************************************************************************************************** (あらすじ) 「少女殺害未遂事件」、「連続バラバラ殺人事件」、「少女誘拐事件」、一見異なる3つの事件は『御筥様』なる謎の教団へと結びつく。果たして、これらの因果関係とは?そして、犯行は一体誰によるものなのか?刑事、陰陽師、作家、雑誌編集者、探偵の5人を中心に描かれるミステリー小説。 **************************************************************************************************************** 一応推理ものであり、トリックやその解明も理論的とは言えますが、いくら我々が推理しようが、衝撃のラストに辿り着く事は出来ないでしょう。寧ろ、ただひたすら深まる謎と、張り巡らされる伏線に浸りながら読むのが良いと思います。 ただ、謎を提示した後、話が一度登場人物の難解な持論展開へとずれ、しかもそれを非常に長く丁寧に語るという事が度々あるので、せっかちな方はその都度歯痒い思いをするかもしれません。 自分も、読んでいて流石に疲れたと感じた場面はありました。ところが、そう言った長文を読む事に心が折れそうになるちょうど上手いタイミングで、物語は新たな展開を見せ、時にそれは全く予想だにしない方向であり、結局最後まで面白く読めてしまいます。 もちろん、本筋からずれた話全てが退屈であった訳でなく、霊能者の存在意義や、一般的に犯行の動機と呼ばれるも犯罪心理を憑き物として捉える解釈など、興味深いものも多々ありました。 登場人物たちの一人一人の個性も、上手に書き分けられていて、それだけでも面白い作品です。

    1
    投稿日: 2013.09.24