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女のいない男たち
女のいない男たち
村上春樹/文藝春秋
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総合評価

574件)
3.7
77
224
184
29
5
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    ・妻を寝取った男と友達になる夫の話。 ・自分の彼女を友達に託す男の話。 ・52歳で人妻にのめりこみ恋煩いの末、命を落とした男の話。 ・家に来る介護士が性交まで行い、行為のあとに寝物語を語って帰るという話。(その寝物語がまた奇妙) ・そして小さなバーを営む「木野」。居ついていた猫がいなくなり、3匹の蛇が現れ、常連客の男に店を離れた方がいいと言われて長い旅に出る木野さんの話。旅先でなにも起こらない。暗く静かなビジネスホテルの部屋で、執拗なノックの音と雨の音を聞きながら話は終わる。村上氏曰く、暗くてシュールな作品。でもこれがまさに村上ワールド。「木野」はそのまま長編に広げられる可能性を持つ作品だ。 ・この本のための書下ろし「女のいない男たち」は妄想の話。昔付き合っていた彼女の夫から夜中に電話がかかってきて、彼女が死んだと伝えられる。そこから彼女との出会いに関する妄想が始まる。二人は14歳。生物の授業で彼女は僕に消しゴムを貸してくれた。だけど彼女はいつのまにか姿を消した。水夫にさらわれたのだ…なんと荒唐無稽な…そこにメタファーはあるのか。

    0
    投稿日: 2021.11.10
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    「ドライブ・マイ・カー」が話題ですが、読むの三回目の今回も、やはり僕の一番お気に入りは「独立器官」だった。どれだけ器用に人生を立ち回り、自分なりのプリンシプルに則る生活を確立していたとしても、人間はどこまでいっても脆い。ある種の孤独に耐えられない。

    3
    投稿日: 2021.11.10
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    全部いいのだけど、表題作「女のいない男たち」が特に好き。自分の中のある時期や音楽や想いがすっぽり抜けてしまう、そしてそれを強く自覚する喪失感が、これでもかというくらい可視化されてる気がする。たぶん。

    0
    投稿日: 2021.11.10
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    この話は、女とはどういうもので、その女(ひと)を失うことが自分にとってどのようなことなのかを、咀嚼して、飲み込んでいく男たちの話だと思った。彼等も思い思いのことを語っていたのでわたしも思ったことを残しておこうと思う。 男女の関係って不思議。関係が終われば、気持ちが冷めれば、潮が引くようにすっとなかったものになる。新たな関係ができれば古い関係は断ち切るのが善となる。でも今のわたしがあるのは、そんな失った関係たちがあったからこそなのよね。潮が引いて何もないと思っていた場所に貝やヤドカリがいるように。絨毯にこぼしたワインが消えないように。なかったことになんてできない。今、あなたを失うのが怖いとおもう感情は、愛を知ってしまったが故に感じ得るもの。いつだってわたしたちには、彼等の残したものがあって、それを手放したりまた拾ったりして少しずつ過去にしていくのかもしれない。別れを繰り返すたびに傷ついていたけれど、今その傷があの時より痛まないのは、その喪失感と傷ついた自分を受け入れて進めていたことを意味するのかも。読了後に夏の日の恋を聴きながら、そんなことをぼんやりと考えました。

    4
    投稿日: 2021.11.03
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    やっぱり村上春樹のお洒落な大人の空気が好きだなと思わせてくれた短編。映画化もされたが、映画版もオリジナル版も、どちらも違ってどちらも良かった。 『孤独とは、落ちることのないボルドー・ワインの染みなのだ。』なんて、流石の名文だと思った。男性から彼女や妻がいなくなった時の副反応についても、言い得て妙だなと納得。大人になって読むほうが経験と照らせて面白いかも。 「エレベーター音楽」を聴きながら、お酒が飲みたくなる。

    0
    投稿日: 2021.10.27
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    映画「ドライブ・マイ・カー」を観て原作も読みたくなり。 取り敢えず「ドライブ・マイ・カー」のみ読了 なるほど。 これを3時間まで引き延ばしたか… 原作では妻やみさきがミステリアスであったり救いのような存在であったりするが、 映画ではそれだけの存在ではなくなり、肉付きがされていてよかったなと原作を読んで思った。 しかし原作もこれはこれで。 これまで読んできた村上春樹作品だなと思った。 岡田将生さんの涙を目にいっぱいに溜め込んだ演技を思い出した。

    0
    投稿日: 2021.10.27
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    映画「ドライブ・マイ・カー」を観て、その足で本屋に。映画のラストが解釈できるかと思って。 結果的には映画は表題作をベースに他の短編の要素をうまく組み合わせて、何倍もに膨らませたオリジナルだったので、ラストの解釈には役立たなかった。 映画からは離れて、村上春樹的な色が少し薄いけど、様々な女のいない男たちが描かれ、なかなか面白かった。「木野」は当初から不穏な感じはあったけど、突然ホラーの展開となって答えの与えられないまま終わって解釈を探しに行くことになってしまったが、一番印象的。

    5
    投稿日: 2021.10.24
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    映画「ドライブマイカー」を鑑賞してその高揚感のまま書店に向かい購入。初めての村上春樹作品で、読むのに不安もあったが、短編集ということもありスラスラと読めた。 女を失った背景がそれぞれの物語で、特に「木野」が終始不思議な雰囲気で好きでした。次は長編も読んでたいと思います。

    1
    投稿日: 2021.10.19
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    6つの短編小説集。全て女性にまつわる話。 ドライブ・マイ・カーは映画化されたので映像でも楽しみたい。

    0
    投稿日: 2021.10.16
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    「イエスタデイ」の木樽、「木野」のカミタ この2人のキャラが物凄く頭に焼き付いてる。 イエスタデイの関西弁の訳詞なんて聞いてみたくなるじゃないか。 綺麗な坊主頭なんて見るだけで清々しく感じるじゃないか。

    0
    投稿日: 2021.10.15
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    ドライブマイカーの映画を観てまだ読んでなかった原作も読んだ。 村上春樹の気持ち悪い外見描写は健在やけど、女のいない男っていうテーマで書かせたら、その気持ち悪さなんか吹き飛ぶ良さがあります。 良かった。今まで読んだ村上春樹の本の中でも上位に入ります

    0
    投稿日: 2021.10.15
  • 余韻の残るラストは良い

    6篇からなる短篇小説集。 映画の原則となった「ドライブ・マイ・カー」が入っていたり、ノーベル文学賞発表のタイミングではあるけど、読んだのはいずれとも関係ない。 どの作品も面白かったし、余韻が残るラストは良かったけど、良くも悪くも村上春樹らしい作品ばかりで、好き嫌いは分かれるかも。

    0
    投稿日: 2021.10.10
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    映画「ドライブ・マイ・カー」を見て、原作を知りたくなって手にとった。 村上春樹の短編は、好きだったけど、これもすごく好きだった。 それぞれの男たちの気持ちの部分をはっきりとはわからないけれど、でもその感覚知っているなという言葉で教えてもらう感じ。 女たちは、自分が女だからというのもあるかもしれないけど、村上春樹作品に出てくる女性はみんな夢の中の人みたいで、この短編集も例外ではなかった。 でも、なんだか女の中にある夢の部分をこの人は描いているだと今回はスッと入ってきた。 面白かった。 「ドライブ・マイ・カー」は、映画の影響もあって、声に出して読んでみた。 普通によむのと違う感じがあった。 それも面白かった。

    0
    投稿日: 2021.10.10
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    木野よかった短編ならではの良さが出ていた。体言止めな感じ。ここちいい。 ドライブマイカーもよかった。 どの作品も味わいがあってよかった。この話読みたい!って気分になる時がある気がする。初めて行く場所の夜では木野がいい。寂しい時は独立器官がいい。車で遠出した時はドライブマイカーがいい。ワインを飲むときはイエスタデイがいい。寝室で読むならシェラザードがいい。

    1
    投稿日: 2021.10.03
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    ドライブマイカー 映画の描写とはかなり違っていて、車の中で家福が話すのをみさきが聞いているシーンがほとんどだった。だから、映画で舞台のシーンがあったのはすごい!と思った。

    3
    投稿日: 2021.10.03
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     ストーリーに引き込んでいくテクニックはさすがで、ますます熟成していると感じました。特に「シェエラザード」は場面が浮かんできて秀逸でした。(最後の「女のいない男たち」だけは、今一つでした)。  大切な人との関係性を失った後の、喪失感について語っているようで、実は元々の「空っぽな自分」に気付かされて愕然とする人たちに焦点を当てているように感じました。  「女」「男」など、固定したジェンダーに基づく言葉が嫌がられる傾向にある中で、あえてこの書名にし、書中にも「女は〜」などの記述があるのは、具体性を求めたからかもしれませんが、正直、少し抵抗を感じました。  語り手の男がみなモテモテで、すぐに女性と体の関係になるのも、自分の持つ劣等感や孤独感の在り方とちょっと種類が違うかな、と感じました。   

    2
    投稿日: 2021.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「木野」についての考察と疑問 最初の褐色の蛇 について 二人の客(小柄茶色ポニーテール+かなりの巨漢)を一つにして =「褐色」の「丈の長い」蛇、かも。 (「連携して木野に立ち向かう事に決めたらしかった。二人の呼吸は見事なほど合っていた。まるでそういう展開になることを密かに待ち受けていたみたい」という描写で、「連携」と「呼吸が合っている」は二人を一人(一匹の蛇)として扱うことを暗示していると思う。) 二匹目の青みの帯びた蛇→元妻(青いワンピース) 三匹目の黒みの帯びた蛇→ 火傷の女(黒いワンピース) 〜〜〜〜〜〜〜〜 熊本の狭苦しいビジネスホテルから腰をあげることができなくなった…(略) 時間が経つにつれて、自分の身体が次第に重みを失い、皮膚が透き通っていくみたいに感じられた。 ▶︎木野の心がますます空っぽになっていくこと。(そして空白が蛇を引き寄せてくる) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ノックしているのは誰? ▶︎火傷の女(?) ①その夜は長い雨が降っている。火傷の女は長い雨が降る時に来る。 ②「空には枯死した星座が黒々と浮かんでいるだけだ」という描写が 前文の痣に対する描写「その不規則な散らばり方は冬の星座を思わせた。暗く枯渇した星の連なりだ」と呼応している 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 /**** ?木野に何が欠けている? 火傷の女は両義的だと言ったら、その良い部分とは性欲の処理ができたことだろう。その悪い部分とはなんだろう? 火傷の女と鼈甲縁眼鏡の男とはどういう関係だろう。その男もまたなんの暗喩だろうか…どうしてその女は火傷をしなくてはならないのだろうか…分からない…難しい ****/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 衝動的に葉書を裏返し、空白の部分に伯母にあてた文章を書いた。 ▶︎どうしてカミタは書くのを禁じていたのだろうか?木野の心の空白化が更に酷くなるから?(書くというのじは心のの思いを外に出すことから?) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 叩き方だけは変わらない…感情を具えた特殊の心臓の鼓動のように ▶︎蛇が隠そうとしている心臓?誰の心?木野の本当の傷ついた心?だとしたらどうして蛇がそれを持っている…? 難しい(´;ω;`)分からないことばかり でも奥深くて面白い。素晴らしい。

    4
    投稿日: 2021.09.26
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    映画館には行けそうにないので、読むことにした。 男だって、裏切られれば、傷つくんだぞって、そりゃそーだ。若い頃は、女性の描き方に、女性へのリスペクトを感じてたけど、自分が歳をとって、逆にバカにしてんのかな?この人。って感じるようになった。慇懃無礼っていうのかな?うまく表せないけども。書き下ろし、巻末の「女のいない男たち」はもう何を言ってるか分からない。書き下ろさなくてもよかったのでは?誰かのあとがきにしてくれてたら、「木野」で気分よく寝たのに。

    8
    投稿日: 2021.09.25
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    村上春樹の短編はほぼ全て読んできたが、昔のぶっ飛んだ設定のよりも、最近の現実的で少し奇妙な話の方が良い。 村上氏の作品の登場人物にモテない男性は出てこないが、こんなタイトルが付けられている本作でも、それは例外ではない。 女性がいなくなった喪失感を描くのは他の作品でもよく見られるけど、本作ではそれが中心となっている。 木野は、色々やエッセンスがいっしょくたに詰まっていて面白く、折に触れてまた読んでみたい。

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    ヴァーニャ伯父  チェーホフ作 湯浅芳子訳 岩波文庫 も出てきたので読んだ。検索しても出てこなかったのでここに記録

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    誰しもが「女のいない男たち」になってしまう。その孤独と寂寥と無力感をともに暮らしていくしかないのかもしれないなと。 恋は"上書き保存"なんていう人もいるし否定はしないけれども、男女問わず幻想的な恋人(もしくは何らかの交わりを経たパートナー)への想いは残っちゃうよね。短編集ながら、それぞれの共通項を6話目文庫版書き下ろしの「女のいない男たち」でまとめてくれていて、しっくりした。 ドライブマイカーを映画で見たからこそ余計に、想像力を支えてくれました。

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    ドライブマイカーが映画化され、本を読んでから観に行きました。とても脚本が良く、上手く本の内容をつないで盛り込みながらも、思わぬ展開もあり、ふつうなら約3時間ももたずに飽きるのですが、集中して見ることができました。ヤツメウナギの話が印象的でした...

    0
    投稿日: 2021.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女のいない男たち。男だけの世界でもなく、女抜きの男たちでもなく。 何らかの理由で、深く愛した女に去られてしまった 、これからそうなりそうな男たちの話の短編集。その理由がない、わからないという話もある。面白かった。一つの話だけが面白いというより、この個性の違ういくつかの話が連なっていて、あ、この人はこんな去られ方、この人はこんなことに巻き込まれてる、と毎回、その世界に引きずり込まれて、どれを取って食べても美味しい(外さない)チョコレートアソートのような感じ。そして男の人から見たさまざまな不思議な女性の言動が男目線で語られていて新鮮。 普段物語を読むときは男性の言動の意味が分からない、共感できないと思うことの方が多いからかもしれない。そんなにも、自分でも気づいてなかったくらいに心に深い傷を負ってしまった、それに気づくことにこんなに時間を要する、といったエピソードが印象的。 『シェエラザード』と『木野』にはそこはかとなくサスペンスのような雰囲気も感じる。これからどうなっていくのかという危うさ、事件性を感じて、ページをめくる手が速くなってしまった。 そんなこんなで映画も観てみることに。楽しみ。 …… 映画の感想 第三者的にできごとを俯瞰する行為は痛みを和らげこれ以上深く傷つくことから自分を守ることができる。しかし肝心な時にそうしてやり過ごしてしまうと、うまく乗り越えられているようで、実は心に巣食った暗い傷は広がり続け,いつしか自分自身をも飲み込んでしまう。 その時に、自分と、現実と、相手に対峙することから逃げないということ。映画の中では、そうして致命的な悲しみから逃げてしまい手遅れになってしまったところで話が終わるのではなく、静かに聞いてくれる第三者に実際に語っていくことで「ああ、自分はこんなにも傷ついていたのか」と初めて認めることができ、魂が再生していくところが描かれていた。しかし今思えば、相手の話を聞くことによる効果の方が大きかったのかもしれない。

    7
    投稿日: 2021.09.19
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    舞台俳優・家福を苛み続ける亡き妻との記憶。 彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」 映画はまだ見ていないけど、以前文庫本買ってたので再読。 村上春樹の長編も好きだけど、さくっと世界に入り込める短編も好き。 夫婦なんて互いに分かっているようで分からないもの。本当に分かりたいと思うなら、自分を深くまっすぐ見つめることが大切。

    0
    投稿日: 2021.09.19
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    ドライブ・マイ・カー  映画化されたと知って購入。タイトルからロードムービーを期待したが違ってた。 臨時で雇った運転の上手な個性的な女性と妻と死別した俳優。妻の浮気の目的を理解するためにその浮気相手と友人になる。 で、結局何もわからず、この話の主題もわからず。 イエスタデイ  イエスタデイを関西弁の歌詞をつけて歌う2浪中の友達と、その彼女。 独立器官  イエスタデイと同じ谷村が語る渡会医師の話。すべての女性には、嘘をつくための特別な独立器官のようなものが、生まれつき具わっている? シェエラザード  羽原と彼がシェエラザードと呼ぶ女との関係が謎のまま終わった。  部屋にこもっている男に買い物をとどける女が語る 木野  木野というバーを始めた木野 終盤、遠くへ逃げて移動を続けて、絵葉書に宛先だけを書いて無事を知らせる様に言われたが、名前と挨拶を書いて出した夜、、、最後はわけわからん。 女のいない男たち  これを最初に読めばハルキワールドのルールが分かって違った読み方ができたのかも。比喩がとにかくわからん。それが比喩だと知らないで読むともっとわけわからん。 つまりはこれらは壮大な比喩だと疑って読めば、ではそこから何を読み解けるのだろうと考えながら読む事もできるのだろう。 でも小説は何も考えず単なるエンターテイメントとして読みたい。その話の奥あるいは裏にあるのは何だろうなんていちいち読む手を止めて考えたりしない。

    1
    投稿日: 2021.09.18
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    女のいない男たち 一人一人異なるなんらかの理由で女性に去られてしまった男たちを描いたリアリズム短編集。浮気というよりは人妻と独身男性の不倫多め。感情を大きく揺さぶる喪失を描くには一番向いている構図なのだろう。 ドライブマイカー 家福の立場から見れば妻の不倫相手であった高槻に対してその凡庸さを認めて、幾ばくか見下す気持ちもあっただろう。だからこそ、妻がなぜこんな平凡な相手を選んだのかという疑問が家福を切り裂く。高槻が中々の人物だとしてもその非凡さゆえに家福は劣等感を感じるはずだ。なによりも彼にとって辛いのは今となっては妻にそのことを問いただせないことだろう。家福は深く妻を愛していたならば「致命的な盲点」を解消するために妻の内面にずかずか入り込んでもよかったのではないかと思う。 この短編を原作とした同名の映画が上映中なので見にいくのが楽しみ。 イエスタデイ フラニーとズーイの関西弁訳なんて出たら買うに決まってる。ていうか村上春樹は関西弁訳を出すべき笑。 独立器官 最初タイトルだけで想像した時、本当に下世話な想像だがダメだとわかっているのに欲の思うままに道ならぬ恋に走る男の話、いわば独立器官たる男性器に支配された男の話かと思った。物語の冒頭、その想像は間違っていたかと思いきや、、最後まで読むとあながち間違っていなかったかもしれない。 シェエラザード ピロートークで話す内容が面白すぎて、また会いたくなる主婦の話。ヤツメウナギになったつもりで石に吸い付き、水草に隠れて、ゆらゆらとしながら読み進めた。かなり好き。 木野 根津美術館の裏に小粋なバー「木野」を開いた男の話。暴漢を10分足らずで始末する寡黙な常連客のあまりまではピーターキャット時代の村上春樹の実話かと思いきや、、、。 ハリーポッターの分霊箱のモチーフが蛇にまつわる神話で既に存在していたことを初めて知った。蛇は人を導く役割を果たしている。両義的に。「誰にとっても居心地のいい店」という言葉も両義的に捉えれば木野の心の空白を埋めようとして、善きもの(猫やなじみの客)も悪しきもの(蛇)もやってくるということだろう。悲しみに対して、空虚な気持ちを抱き続けるのではなく、無加工の悲しみをそのまま心の空白に当ててあげる。悲しむべき時に悲しむのもとっても大切なことだ。

    5
    投稿日: 2021.09.14
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    『ドライブ・マイ・カー』を観てから読んだ。 溜まっていた、女性に対する感情や、本能的なものを、短編小説という形式でまとめて吐き出したような印象を受けた

    4
    投稿日: 2021.09.12
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    高校生の時初めて村上春樹の本を読んだ。その時は括弧やダッシュが多くてくどく感じて(情景描写も読み飛ばしてた)、それ以来読んでなかったけど、映画の『ドライマイカー』がとても良かったので、確かめるために久しぶりに読んだけど…。 女性観が苦手。女性をとても神秘的で神聖なものだと思ってる?男性のためだけに存在しているものだと思ってる?ように感じた。 話は読みやすくてすぐ読めたけど、好きにはなれなかったな…。

    0
    投稿日: 2021.09.11
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    映画『ドライブ・マイ・カー』を観てから読みました。 映画の肝となってるヴァーニャ伯父さんの朗読テープの演出が小説ではどう描かれてるんだろうと思ってましたが、まあ無理ですよね。 映画の方がクズでしたね、高槻。 『イエスタデイ』これは名作ですね。 学生時代の話から16年後に飛ぶところはノルウェイの森を彷彿させますし。俺もフラニーとズーイの関西語訳読みたいぞ! 他のもそれぞれ面白いけどこれが一番かな! やはり村上春樹は短編の方が好きです。

    1
    投稿日: 2021.09.08
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    一人の女性を失うということは、そういうことなのだ。そしてあるときには、一人の女性を失うということは、すべての女性を失うことでもある。そのようにして僕らは女のいない男たちになる。 短編小説集であり、話も語り口もそれぞれ違うけれど、登場人物の男はもちろん女のいない男たちである。 他の村上春樹作品と同じように、彼らは大体SEXの話をしているし、男は大体無口で鼻につく音楽が好きで、女はよく喋るか賢いか顔が良い。 「ドライブマイカー」や「独立器官」、もしくは「木野」で描かれているようにある意味、女のいないということは、一生その人を追い求めるということでもある。 ちなみに一番ぐいぐい読まされたのは「シェエラザード」である。映画でも効果的に使われていた。

    1
    投稿日: 2021.09.07
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    村上春樹らしい、不思議で感傷的な文体。後半に行くにつれて話のスケールが大きくなって、抽象度が上がっていったのかな?最後の短編はかなり村上春樹節が効いていた気がする。笑 本人も色々と前置きをしてたけど、やっぱり前書きは要らなかった気がする。あと、「イエスタデイ」の歌詞がカットされたのも、結果的には良かったのではないかしら。あいにく元の文章と比較することが出来ないので真偽は不確かだけど、なんとなく、短編自体がそれで引っ張られすぎなかったお陰で全体がバランス良く感じた。

    0
    投稿日: 2021.09.07
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    何人かの人妻と常に交際している医師が、ある人妻に恋に落ちてしまう『独立器官』と、自分の彼女と付き合うよう「僕」に勧める、魅力的で不思議なキャラクター・木樽の話『イエスタデイ』が好き。コーヒーとクラシックミュージックがよく合う短篇集。

    0
    投稿日: 2021.09.04
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    随分昔に読んで、先日公開した映画版ドライブ・マイカーに合わせて読み返した。 感想というか、昔のことを思い出しました。 この中で1番好きなのは「木野」だなあ。やはり春樹はマジックリアリズムの人であると思うし、この短編に関してはそのテーマと結末もすき。自分が傷ついたことを認めるのは難しい。

    1
    投稿日: 2021.08.31
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    32. 映画ドライブマイカーを観る前に 原作を読んでおきたかった ドライブマイカーがどんな映画になるのか楽しみ 個人的には独立器官が好きだった それから木野が印象に残っている 単行本の表紙の絵は木野? 村上春樹の小説を読むと いつも孤独に向き合うことになるなあ 考察読むと各作品の間に繋がりがあるようで 読み返したくなった 映画を読んだらもう一度読んでみたい

    0
    投稿日: 2021.08.29
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    6本のまさに女のいない男が登場する短編小説のオムニバス。いない理由はそれぞれ。 彼の作品は男女がこじれる(ねじれる)関係にあることが多いと思うけどこれもまた然り。 一番良かったのはイエスタデイ。プラトニックな関係が最後まで平行線で綴られていて読後感は爽快だった。 また、ドライブマイカーと木野に関しては小説としては全く別物なのに話が展開する舞台が同じという、彼の羊シリーズや、ねじまきどりクロニクルと別の短編小説にでてくる渡部ノボルのように、別の作品がお互いにリンクする瞬間がたまらない。 どの小説も会話がいつも独特で、特に男が女の発する言葉を反芻するあたりがぐっとくる。物静かな男たち 。 私がついつい何度も村上春樹を読んでしまうのは、小説に出てくる食事、お酒、音楽にいつも惹き付けられるから。 ずっと以前に読んだ小説だけど、駅前の本屋で平置きされていておやっと思って再読してみると、西島さん主演でドライブマイカーが映画化された模様。なるほど。

    9
    投稿日: 2021.08.25
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    映画を見るために再読。 映画の題名である「ドライブマイカー」と表題にもなっている「女のいない男たち」以外の短編の方が好きだった。 村上春樹のエッセイやラジオは好きなのだが、恋愛小説は、どうしても女性の描き方に違和感があって好きになれない。性的な対象として見過ぎなのでは、と感じてしまうし、女性ってそんなもんではないよ、と思ってしまうのだ。なので、そういう描写に出会うと、興醒めしてしまうのだ。 ハルキストの人たちはそこはあまり重要なポイントではないのだろう。私もそこを除けば、村上春樹はむしろ好きな作家だ。ただ、よく聞く村上春樹評なので、そこがどうしてもダメな人は私を含め少なからず存在するようだ。 まさしくそういう意味で、上記二つの作品は、今ひとつ入り込めなかった。 しかし、他の作品は(「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」)恋愛に関する話ではあるのだが、主眼とするところのものが面白くて余りあり、むしろ楽しめた。 特に「シェエラザード」は、好きな男の子の家に入り込むストーカー心理を描く手腕はさすがだなと思った。臨場感がありドキドキした。 

    0
    投稿日: 2021.08.24
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    すごく久々に読んだ村上春樹の作品。どうしても女性目線で読んでしまっていた。 人は、自分と同じものを持っている人に惹かれるのか、自分にはないものを持っている人に惹かれるのか。 設定はともかく、シェエラザードがいちばん好き。 「人生って妙なものよね。あるときにはとんでもなく輝かしく絶対的に思えたものが、それを得るためには一切を捨ててもいいとまで思えたものが、しばらく時間が経つと、あるいは少し角度を変えて眺めると、驚くほど色褪せて見えることがある。私の目はいったい何を見ていたんだろうと、わけがわからなくなってしまう」 やっていることは支離滅裂だけど、同じ空気が欲しい気持ちと自分の存在を「密かに」残しておきたいという気持ちは少し分かる気がする。それで一時は満たされるけれど、あっという間に物足りなくなり、だんだんと欲深くなる。勝手だなぁ。

    11
    投稿日: 2021.08.22
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    映画「ドライブ・マイ・カー」があまりにも濱口竜介的なのでこれは「寝ても覚めても」以上に原作と異なるのではないかと思い購入、案の定映画に見られた幾つもの濱口的な要素は映画独自のもので、原作やあるいは他の短篇から引用された要素も濱口的な文脈に解釈しなおされていることを確認した。

    1
    投稿日: 2021.08.21
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    女性の運転は大体消極的すぎるか積極的すぎるという書き出しが、所謂PCな思考ではないのでポジションを取っているなと思いつつ、何か共感して興味深く思い読んだ。個人的には、村上春樹の本の中で読みやすい方だと思った

    1
    投稿日: 2021.08.16
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    後半に進むにつれて観念的世界の色彩が強まっていく。どこまでも、掴みどころがない世界。村上春樹の僕的世界の中で、僕はいつも猛烈に孤独でそれでいてどこか特別な存在。そして短絡的意見かもしれないけれど、何故だろう、女性は多くの場合物理的に存在を消されてしまう。女性は死に、男の中に永遠にその存在の影だけを刻印する。そんな方程式がある。この短編もその例外ではない。

    1
    投稿日: 2021.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「恋しく想う女性と会って身体を重ね、さよならを言って、その後に感じる深い喪失感。息苦しさ。考えてみれば、そういう気持ちって千年前からひとつも変わっていないんですね。そしてそんな感情を自分のものとして知ることのなかったこれまでの私は、人間としてまだ一人前じゃなかったんだなと痛感しました。気づくのがいささか遅すぎたようですが」 「人生って妙なものよね。あるときにはとんでもなく輝かしく絶対的に思えたものが、それを得るためには一切を捨ててもいいとまで思えたものが、しばらく時間が経つと、あるいは少し角度を変えて眺めると、驚くほど色褪せて見えることがある。私の目はいったい何を見ていたんだろうと、わけがわからなくなってしまう」

    0
    投稿日: 2021.08.09
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    村上氏の短編は大好きなのでわくわくして一気に読んでしまいました。言葉が混ざり合ってイメージが混ざり合う感覚は健在でした。「ドライブテンション・マイ・カー」が良かった、映画はどんな感じになるのでしょうか。

    1
    投稿日: 2021.08.05
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    『ドライブ・マイ・カー』 俳優の家福とそのドライバーみさき。亡くなった妻はなぜ自分以外の男を欲したか?お互い友人がいない同士語る。 もしそれが盲点だとしたら、僕らはみんな同じような盲点を抱えて生きているんです… 『イエスタデイ』 関西弁を使いこなす田園調布出身の木樽と標準語を使う芦屋出身の谷村。2人の奇妙な文化交流とその後。 僕らはみんな終わりなく回り道をしているんだよ… 『独立器官』 独身の医師渡会が恋の病に落ち、命と引き換えに得たものとは。 私とはいったいなにものなのだろう… 『シェエラザード』 「ハウス」に閉じ込められた羽原と「連絡係」の女。 味気のない情事の後に女が語る話に羽原は魅了される。 私の前世はやつめうなぎだったの… 『木野』 妻と後輩の不貞を目の当たりにして、仕事を辞めバーを始める。そのバーが軌道に乗り始めた頃、周りに怪しい空気が立ち込める。 おれは傷つくべきときに十分に傷つかなかった… 『女のいない男たち』 ある夜、かつての恋人の夫から、悲報の電話がかかってきた。 祈る以外に、僕にできることは何もないみたいだ。いまのところ。たぶん…

    1
    投稿日: 2021.08.04
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    しんとした静かな短編集でした。好きな空気のお話が多いです。 「独立器官」「木野」が特に好きです。木野は何かから訳もわからず追いかけられるけど、「正しいことをしなかった」という理由はゾッとするな…このせいで魔に魅入られてしまったのかな。傷付くべきときにちゃんと傷付かなかったから、押し殺して空虚になった心が狙われるとは。朝になったら元の世界に戻れるのだろうか…というより朝は彼に訪れるの? 「ドライブ・マイ・カー」も淡々としていました。これの映画化で気になったのですが、西島秀俊さんは勿論、岡田将生さんのキャスティングぴったりですごい。高槻っぽいです。

    0
    投稿日: 2021.07.31
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    シンプルに、結婚という「社会的」な、ある意味では非動物的な制度の欠陥を指摘しているような感覚が終始あった。常に違う異性と性的接触をしていたいっていうのは動物として考えれば当たり前のことでも、人間社会では不貞ということになってしまう。 こういう作品をセックスに取り憑かれている(あるいは市井の人々はセックスくらいにしか興味がない、セックスこそが生きるうえで至上のよろこびとして多くの人が生活していると思って物語を書いている)ふうに見える村上春樹が書いているのが面白いなと思った。

    1
    投稿日: 2021.07.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ✳︎ 女のいない男たち 村上春樹 何らかの形で女性を失う経験をする男性たちを描く短編集だ。 村上春樹ワールドが随所に炸裂している。ハルキストにとっては、贅沢な短編と言って良いだろう。 個人的には、あまり写実的な恋愛小説は物足りない。目に見えない、読み取れないものを求め続ける姿こそが、愛し愛されたいと願う人間の本質なのではないかと思うからだ。 追い求める男の姿がリアルで良かった。 中でも私がお気に入りなのは、「木野」だ。 同僚と妻がベッドを共にしている瞬間を目の当たりにし、長年勤めた会社を辞めて叔母から引き継いだ喫茶店をバーに変え、細々と生活している"木野"という男が主人公である。 離婚協議中の妻がバーを訪れる。その時に木野が妻からかけられた言葉が、わたしにとって非常に印象的だった。 『傷ついたんでしょう、少しぐらいは?』 別の男との情事を夫に見られてしまった女が夫にかける言葉ではない、とわたしは思った。 『あなたは"こんな事"で傷つくような人ではないものね?そんな感情持ち合わせてもいないわよね?』と言いたいのだろうか。 そしてこの後、彼女は夫に謝罪する。あんな姿を見せてしまい、申し訳なかったと。でも、遅かれ早かれ結論は変わらなかったと言うのだ。 そのように残酷な言葉を並べて去った妻は、木野と暮らしていた時よりも贅肉は落ち、すっきりとした短い髪になり、はつらつとした印象を与えるような姿に変わっていた。 彼女はおそらく、手放したのだろう。木野との結婚生活を送る自分への怒りや強い悲しみを。 木野は、 「僕もやはり人間だから、  傷つくことは傷つく。少しかたくさんか、程度まではわからないけれど」。 というのだが、実際はきちんと傷ついていなかった。 そう、"きちんと"傷つかなければいけなかった。 何かを喪失したとき、人はそこから立ち上がるには、自らの傷つきを認め、悲しみを受け入れ、癒されていくプロセスが必要だ。 木野は、正しく傷つかなかった。妻との関係や、あるいはこれまでの自分の人生の中で。 バーで出会った謎の男・カミタに言われた。 あなたは正しくないことはしなかった。でも"正しからざることをしないだけではいけない"のだ。 自分にとって、正しいことをなさなければいけないのに、木野はそれをしなかった、と。 そしてある日猫が去り、木野は蛇に蝕まれていく。 カミタに言われるがまま、各地を転々と旅してたどり着いた熊本のビジネス・ホテルで、深夜2時に激しくドアをノックされる音を聞く。 しかし本当は、ノックされているのはドアではなく、自分の心だった。 "どうしてあの時、わたしの声を聞いてくれなかったの?" そうした心の叫びが、ノックとして現れる。本当は自分自身が望んでいたノックなのに、同時に恐れていた。 "木野はその訪問が、自分が何より求めてきたことであり、同時に何より恐れてきたものであることをあらためて悟った。そう、両義的であるというのは結局のところ、両極の中間に空洞を抱え込むことなのだ。" これは、ダンス・ダンス・ダンスで見せたいるかホテルから通じる僕の深淵、世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドで見せた意識と無意識の狭間にもよく似ている。 "本物の痛みを感じるべきときに、おれは肝心の感覚を押し殺してしまった。痛切なものを引き受けたくなかったから、真実と正面から向かい合うことを回避し、その結果こうして中身のない虚ろな心を抱き続けることになった。" もし、過去の人生の中で、自分の痛みを責任を持って引き受けることができていたとしたら。 夫婦関係は、少しでも良い方向に進んでいたという可能性もゼロではないと思うのだ。(妻の濡れ場を見てしまった時にはもう遅いが) 生きることは自分の感情や行動を引き受けて、責任を取ることである。そしてその姿こそが人間関係に必要な信用になる。信頼はできても、信用がない人間関係は、常に孤独だからだ。 だから、妻にはあのような言葉が吐けたのだ。 『傷ついたんでしょう、少しぐらいは?』 もうこの時には、信頼ですら一欠片も残っていなかったのではないだろうか。 -------------------- 村上春樹の作品は、メタファーを多用して直接的な答えを読者に持たせない印象が強かったが、本作では間違いのない答えを見つけ出した。 最後、木野はある部分で癒されている。 短編でまとめあげるのに相当に時間がかかったことを、村上春樹本人が前書きにて語っていたが、こちらにも伝わるだけの複雑さであった。村上春樹の長編作に通じるような世界観が、わたしの欲を満たしてくれた。 主人公だけでなく、こちら側をも同時に癒やしプロセスへと誘うような象徴的で呪術的な物語を彼は届けてくれるのだ。

    0
    投稿日: 2021.07.18
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    210515*読了 最近、村上春樹さんの小説が好きになりつつある。 今までは好きか嫌いかというか、よく分かりません、みたいな意見を持っていたのだけれど、今はそのよく分からなさというか回りくどさ、独特の文体が好き。 「女のいない男たち」は最後に入っている書き下ろしの表題作を含めた短編集。 タイトルの通り、「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」、どれも何らかの形で女性を失った男の人が出てきます。 「独立器官」に出てくるお医者さんが村上春樹さんっぽくて、お話としても好きでした。 「シェエラザード」もいい。前世のヤツメウナギになる、なんて村上春樹さん以外に誰が思いつく? この2つが好きだけれど、次点では「イエスタデイ」かなぁ。 村上春樹さんの小説に出てくる女性は、なかなか実在しなさそうな理想っぽさというか、幻想っぽさというか、そういう部分がいいと思います。決して、自分が共感できない女性が多い。 村上春樹さん独特の静かで翻訳的な文章が作り出す世界の虜になりつつあります。 初期の鼠三部作や「スプートニクの恋人」など、まだ読んでいない小説も次々に読みたい気持ちです。

    0
    投稿日: 2021.05.15
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    映画化の帯を見て購入。 女に去られたあるいは去られようとしている男たちの物語。ふと、長年連れ添った夫婦で妻に先立たれたら男は長生きできず、夫に先立たれた女は長生きするという話を思い出す。男って淋しがり屋。

    2
    投稿日: 2021.05.08
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    村上春樹作品の中で個人的に、とても地に足がついているというか、現実的な話だったなと思う短編ばかりだった。 それでいて特有の巧妙な形容方法や美しい文章は健在で、ずっと読んでいたくなるような短編集。 木野、よかったな

    0
    投稿日: 2021.04.30
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    「木野」が長編の村上春樹っぽい。あとは理解しやすい物語だと思った。いずれの話の主人公も「女のいない男たち」になる。受け止め方や対応はそれぞれだが、「女のいない男たち」になったことによって、そうじゃ無かった自分とは決定的に何かが異なってくるという点では同じ。 表題作の「女のいない男たち」が比喩表現に溢れていて、読んでいて楽しかった。

    0
    投稿日: 2021.03.30
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    ドライブマイカー 役者である主人公が、無口で可愛げはないが運転能力の高い若い女性を雇う。やがて彼女に己の心のうちを語る。 この作品は演技と不明がテーマか。主人公と妻と妻を寝とった間男は3人とも役者である。主人公は妻の浮気を知りながら、事実を知らない演技をする。妻は浮気をしていない風に少なからず演技をする。間男は主人公と飲み友達になるが、当然目の前の相手に妻と寝ていたことを悟らせないよう演技をする。巧拙はあれど、演技をする(これは彼らの仕事とは切り離された意味で)人間の本質が表れている。 そして、不明がもう一つの重いテーマになる。妻が何故この男(いいやつではあるが、どこか中途半端で二流三流に見える)と寝る必要があったのかという理由が不明のまま、妻は死ぬ。そして間男に酷い目に合わせることで、何かしらその問題にぶつかることもできたが、ある時急にその気を無くしたのだ。主人公はタクシードライバーの娘の言を聞き、割り切って呑み込むことに。 不可解なものを飲み込み答えに辿り着けないまま、やはり演技をして生きてゆく主人公の哀愁が漂う。 どこかナイトオンザプラネットの少女を思い出す。 イエスタデイ これも不明がテーマだ。親友はその彼女と主人公を巻き込んだ三角関係(無論主人公が主体性をもった関係でないが)を機に途端に姿を消す。 ノルウェイの森を連想させる部分もあるが、個人的には初期の鼠に近いものを感じる。急な不在で主人公を落ち込ませる点、原因が主人公にあるのかどうか分からない去行き方、個性あふれるキャラクターながら繊細な部分が透けて見える点、妙にかぶっている。今作ではあくまで主人公も36歳の世帯持ちで現実世界を生きており、シアトルまで会いに行ったりはしない。(北海道へ追いかけた鼠のときとは違う)破滅を伴わない穏やかな結末だが、氏の過去作品と通ずる空気感が漂い、妙に懐かしい気持ちになる。

    0
    投稿日: 2021.03.24
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    愛の関わるところには様々な種類の苦しみが居るんだなと思う。それはもう自分でもよくわかっていて、どの話を読んでもある程度の輪郭までは想像することができた。 「木野」斜陽を読んだばかりだったので蛇に家を包囲される描写が気になった 「シェラザード」タイトルを読むたびに頭の中の松任谷由美がブリザードブリザードと歌うので困る。この女の人のようなことをする夢をよく見る。 「女のいない男たち」春風で〇〇する〇〇〇のあたりがワタナベくんを書いた人らしいなと思った。

    0
    投稿日: 2021.03.21
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    初めて村上春樹さんの本を読みました。村上さんの本は難しそうだと思ったので、短編集を選んだのですが、意外と読みやすかったです。本の内容は、主人公が男性だから当たり前なのですが、the男性目線で書かれているという印象でした笑。深く考えることもなく、かといって薄っぺらくはない小説です。次は長編を読みたいと思います。

    0
    投稿日: 2021.03.17
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    難しくてなかなか読みづらい村上春樹小説がなぜかスラスラ読めた! 短編集だからかなあ? やっと読める能力が備わったか、そんな年齢に達したか。 相変わらずエロ小説だし、天才の思考だし。

    1
    投稿日: 2021.03.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ドライブ・マイ・カー、イエスタデイ、独立器官、シェエラザード、木野、女のいない男たちの6つの短編。イエスタデイと独立器官が特に胸に残った。

    0
    投稿日: 2021.03.10
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    木野が村上春樹っぽかったけど、あとはなんか普通?重厚感はなくて、あっさり読めるかんじ。前書きは珍しい。

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    村上春樹さんの短編集はおそらく初。 6編からなる短編集だが、テーマは一貫して愛する(愛していた)女性を失った 男性が描かれている。 感想は書きづらいが、文章は美しい。 不気味な雰囲気を醸し出す「木野」が一番良かったです。

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    「独立器官」と「木野」が、好き。突然友人を失うとか詳細不明なトラブルとか、私が思う春樹って感じがした。 「ドライブマイカー」は従順な(仕事に)若い女が出てくる時点で中年が好きそうな話だと思った。 「シェエラザード」は好きな男子のとは言え自宅に空き巣に入るのが全然意味わからなくて萎えた。 「女のいない男たち」は書籍化に向けてやっつけた感ある。 しかし全体的に春樹テイストが濃くて面白かった。

    0
    投稿日: 2021.01.25
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    村上春樹氏の『国境の南、太陽の西』が好きなのであるが、本作品のテイストも似ており個人的に好みであった。ある日忽然と何かを喪失する或いは何かが変容する、それに伴う環境的若しくは感情的変化、近しい言葉で表せばセンチメンタルや郷愁感であろうか。刹那でありながら哲学めいた示唆に富む言葉も多数。少し肌寒い、薄雲った天気の、僅かな日のしたで午後に適した小説である。 短編6作が収録されおり何れも好みだが、特に『ドライブ・マイ・カー』『シェエラザード』『女のいない男たち』が面白かった。つまりは、半分。以上。

    5
    投稿日: 2021.01.11
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    「ドライブ・マイ・カー」 妻の裏切りをずっと見て見ぬふりしてきた なぜそのような苦しみを受けねばならなかったのか それを知ろうと、妻の死後からいろいろやって考えてみたが なにも答えは出なかった まあそういう、生真面目なお人好しだから 妻からすれば何をしても大丈夫という安心感はあったかもしれない 「イエスタデイ」 昨日は明日の一昨日で なおかつ一昨日の明日であるにすぎない 毎日はひとつながりであるから、実はすべて「いま」である そのように、ある意味シンプルな歴史観を持つ男だが それゆえ他者を前にしてはその謎に立ちすくむしかなかった シンプルであるから自由というわけでは 必ずしもないのである 「独立器官」 成就しない恋愛感情をずっと心に抱いている それはありふれた殉愛話だ しかし現実にそこまで思いつめる人はそういない 人はだいたいの場合 成長してゆくなか、恋愛の幻想性に自覚することを余儀なくされ そうしてまあ、ありふれた「オトナ」になってゆく そういう意味で恋愛はビルドゥングスロマンと呼ぶにたりうる 一方、内的な屈折や屈託の乏しいまま 思いあがって「何者か」になったつもりの人が ふいに命がけの恋に引きずり込まれるということはあるだろう やはりありふれたパターン アイロニーかな 「シェエラザード」 村上春樹の小説では、セックスが頻繁に行われる と言われている 他の作家に比べてすごく多いというわけではないと思うが 確かにセックスはしばしば行われる 話の中で劇的な効果をもたらすセックスもあれば 日常の営みとしてのセックスもある その逆に、思い出せないのがオナニーだ 行われていたこともあったかもしれないが ちょっと印象に残っていない これは別に、村上春樹に限ったことではないのだけど まるでオナニーだけが抑圧され、隠蔽されているような気がする この話には、なぜか監禁されている男が登場して それに世話係の女がひとりついている 男は、女が手を染めた犯罪の告白を聞くことになるのだった 高校時代、好きだった男子の家に侵入した彼女は そこで巧妙に隠されたエロ本を目にしたのだ 「木野」 BAR木野 誰にとっても気持ちのいい場所であるが それ故に、悪いものまで招き寄せてしまう場所だ 店主の木野は無口だけど、基本的にやはりお人好しで またプライドの高い面もある それ故に、自分の不幸から目を背けてしまっており むしろその悪いものに みずから身をまかせたいと願っているようなフシがある しかしそれを踏みとどまらせるものも心のどこかにあって 身動きがとれない 「女のいない男たち」 芥川龍之介はあらゆるものの中に聖母マリアを見いだした 世間智と愚と美徳はマリアの中でひとつに住んでいると言った つまり、世界と歴史はマリアそのものである そこで自由を勝ち取るためには、一度死んで …世界と歴史を飛び出し、外部からマリアと向き合ったうえで 蘇ってくるしかなかったのかもしれない だけど、もし、マリアに先に死なれたら? 芥川を含む総てのキリストは 「女のいない男たち」になってしまうだろう それは、形骸と化した世界で空虚な自由を持て余す男たちである しかし実はそうなった時 彼らは初めて外からマリアと向き合い そこが天国であったことを知るのかもしれない

    1
    投稿日: 2020.11.30
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     後半につれて抽象度は高くなるが、個人的にはその方が好みだった。  とりわけ表題と同じタイトルを持つ短編「女のいない男たち」は、これまで読んだあらゆる作品のうちで最も好きなもののひとつになった。  これは小説というよりも、半分くらい詩として読んだ方がしっくり来るだろう。  主人公が、一時付き合っていた女性が自殺したという報告を受けて、付き合っていた頃を回想するお話。  抽象度が高いと言われるのは、比喩が多いことと、回想と言ってもその殆どが主人公の空想の中であることが大きい。  「僕たちは14歳の時にであったのだのだと思う。実際には違うのだが、そう思っている」といって、実際には経験していない中学生時代の2人の出会いを回想するように空想しているのである。  なんのこっちゃ。と最初は思ったが、「14歳の頃に出会った気がする」という感じが段々わかる気がした。  14歳。「消しゴムを躊躇せずに半分に割ってあげる」など純粋無垢でありながらも異性を意識する年代にする恋は、大人になった時の恋と違うのではないだろうか。  『もっと早くに出会っていれば』という男性が世の中にはいるが、この『もっと早く』は究極的に言えばこの14歳の時期なのでは、と思う。  そのような恋は、人生で経験してきたどの恋よりも特別で、相手の女性を失った時に「女のいない男たち」の1人に成り果てる。  主人公も、今では隣に妻がいるのに電話一本で「女のいない男たち」になったのだ。        比喩や空想が多いのは「スペース」の為ではないだろうか。  エムが意識的に作っていた「スペース」は、主人公との心理的な距離を空けている。  主人公は空想上の体験談を膨らませてスペースを埋めたのではないだろうか。   そしてエムがエレベーター音楽を好きな理由もそうだが、主人公の前から消えた理由も、自殺したとされる理由も「スペース」にあると、わたしは思っている。  亭主はエムを籠絡してスペースを作らせなかったのではないだろうか。と思う。  「あなたは淡い色のペルシア絨毯であり、孤独とは落ちることのないボルドー・ワインの染みなのだ」  この本の中で1番好きなフレーズ。他の短編も含めて。  

    0
    投稿日: 2020.11.21
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    全6篇収録されているが、男が最も愛した女性を様々な形で失うというテーマは共通している。 また、男と女はお互いに分かり合えないことが多いと思うが、そこには本能的に根本的な違いがあるというか、どうしようもないことなのであると感じさせられる。読んでみると分かるが、どの話も深い!

    0
    投稿日: 2020.11.15
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    久しぶりに村上作品を読んだ。 村上作品の特徴と言うか主たる人物像がどうも作者と被ると言うか、とにかく育ちのよさ、上流階級的な言動、思考、振舞いがどうも共感できない。 又、何故何時も意味があるとも思えない性描写を描きたがるのか理解出来ない。 でもそれが原因で作品の評価が下がることはないのが村上作品の特徴と言うか不思議な魅力。 ひょっとしてそう言う主たる人物像に少なからず憧れというか魅力を感じているのかもしれない。 いつの間にか物語に引き込まれる。 やっぱり村上作品は嫌いじゃないと再認識させられた作品。

    0
    投稿日: 2020.10.22
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    村上春樹が好きなら楽しめる、という感じのライトな短編集。久しぶりに村上春樹を読んだけど、「〜のように」ってこんなに頻繁に使ってたっけ?と気になってしまった

    1
    投稿日: 2020.08.23
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    めちゃくちゃ面白いかった。村上春樹ワールドに久しぶりに触れて、現実から離れて没頭する時間が過ごせました。 「独立器官」「木野」「女のいない男たち」 どれも孤独で、そして1人じゃないと温かくもなれるようなお話でした。

    1
    投稿日: 2020.08.22
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    読みやすいと思う、と勧められて読んだ初めての村上春樹。面白かったです。 「木野」が一番好きです。情景が目に浮かびます。根津美術館裏手のバー、灰色の猫、雨、蛇… 悲しくも不思議でちょっとホラーなそのバランスが絶妙でした。 また、男たちにとって女がいる意味が最もよく分かったのは「シェエラザード」でした。閉ざされた世界とやつめうなぎ。これから主人公は毎晩川底にいる夢を見るのだろうなと思います。

    5
    投稿日: 2020.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに読んだ。 村上春樹は長編の方が有名だと思うんだけど、独特の言い回しと比喩、そしてずっとセックスがどうとかの話をしているイメージが多いから(実際にしているのだけど)敬遠する人も多いと思うんだけど、これは割と読みやすいと思う。 「木野」は私の好きな村上春樹と言う感じ満載で、とても良かった。 あとは「独立器官」が好きだ、読んでいてとても切ない。 「好きになりすぎると気持ちが切なくなって、つらくてたまらない、その負担に心が耐えられそうにない」だとか「全てを取り去ったあとに残る自分は何者だろう」とか、心に刺さる言葉がたくさん出てくる。 私も一度でいいから、理不尽な力に振り回されるような、そんな恋がしたかった。

    11
    投稿日: 2020.07.11
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    6人の「女のいない男たち」、あるいは「女にいなくなられた男たち」を描いた短編集。 それぞれに繋がりは全くないけれど、どの主人公も皆どこか似ている。 それぞれ死別なり浮気なりで女に去られてしまった男たち。取り残された男たち。 皆、その喪失にうまく折り合いをつけることができず、日々の生活の中で彷徨っているよう。 後半に進むにつれて、現実と非現実の狭間で浮遊しているような物語が増えた。あるいは、非現実の濃度が濃くなっていった。非常に村上春樹ワールドらしい作品群。 最終編の「女のいない男たち」は、ほぼ非現実の世界だ。

    5
    投稿日: 2020.06.30
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    文藝春秋にて突然不定期連載されたバージョンを読んだ時とも(意味のワカラヌ読者からのクレームで改変される前のオリジナル)書き下ろしや別の媒体に掲載された短編も含めて収録された単行本になってから読んだ際の感じともやはり印象は違う。 例えば「シェエラザード」の中の一説、 おれは一人で孤島にいるわけではない、と羽原は思った。そうではなく、おれ自身が孤島なのだ。 なんかは、このコロナ禍の下、自宅で自粛生活を余儀なくされてる中で読み返すと違う趣きがあるな、と。

    1
    投稿日: 2020.06.17
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    ドライブマイカー イエスタデイ 独立器官 シェラザード 木野 女のいない男たち どんどん抽象的な話になってた。 イエスタデイのカップル、最後結婚することになりそう。

    2
    投稿日: 2020.05.09
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    初めて村上春樹作品を読んだ。 短編でよかった…長編だと私には読み進む事が厳しい… 中身は作品によってガラリと印象が変わるのも面白いけど根底に流れてるであろう春樹イズム?が見え隠れしてる気がする… 音楽と酒と本と車と男と女。

    0
    投稿日: 2020.04.21
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    6つの短編からなる短編集。 この短編集のための書き下ろしの作品「女のいない男たち」が、とにかくもう、最高だった。この、たかだか30ページくらい?の短編を読むために私は幾ら払えるだろう…と考えたら、5千円くらいかなって思った。私にとって5千円はかなりデカい。それくらい良かったってこと。それは、絶望したほど・・・。あまりにも素晴らしい芸術に触れたとき、人は感動だけでなく絶望を伴うのかも。 村上春樹の短編では、カンガルー日和の「4月のある晴れた朝に〜」が一番好きなのだけど、「女のいない男たち」はそれに匹敵する衝撃だった。読んでいる途中、足をバタバタしてしまった。 あとは、「独立器官」と「木野」が特に心に残った。短編とは思えぬほどの文章量… 独立器官はノンフィクションなのだろうか?気になる。 村上春樹の小説は、物語のストーリーを楽しむのはもちろんだけれどそれ以上に、プロの言葉遊びを楽しむものだ、ということを改めて感じた。

    0
    投稿日: 2020.04.17
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    面白かった。 とくに「木野」は一流の現代版怪談だと思う。 それぞれ結末は読者が想像するのだが、そんな結果もいらないと思うほど満足を得られた。さすが大先輩の村上春樹だ。  ふと気がついたのだが、初期の春樹作品には解説があったと思うが、世界的作家になってからの作品には解説がないように思う。ノーベル賞候補作家には解説などおこがましくて誰も書けないのかなぁ。

    16
    投稿日: 2020.03.16
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    村上春樹だから、タイトルから普通に想像するモテない男をわずかながらに期待しながら読み始めて、やはりいつもどおり、気持ちにどこか余裕のある男達が主人公であることに落胆しつつもほっとする。 これ以上なくピタリとくる表現で流れるような文章。気負いがなく読みやすく、語彙があり、洒落ている。そして大方に於いて興味をそそる展開。 JAZZ好きの作者らしく所々に挿入してくる音楽を思わず聴いてみたくなる。氏曰くエレベーター音楽とやらをネットで聞き入ってしまった。 シェラサードの挿話である空き巣は、その世代の人が読んだら実践してしまいそうな説得力がある。木野のようななぞが残る展開も好き。独立器官も、大袈裟ではあるがそんな一面を人間は持ち合わせていると思う。ただ、恋をすべき10代20代に強く発揮しそうな気もするが。

    2
    投稿日: 2020.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んでくうちに続きが気になるというか先が読みたくなる気にはなるが 話としては何も楽しくない ただ据え膳食わぬはの男と、不倫女の話ばかりで 気持ち悪かった 数年前までは村上春樹の本こそ好き好んで読んでいたけど 自分が変わったのか歳のせいか 性的な描写が受け付けないのと、ほとんどの話にそうゆう描写があるので快よくない 話の展開や結論を早く知りたい自分からしたら向いてなくなったのかもしれない ただただ、妻の裏切り最低、とか不倫男気持ち悪いとか、何で怒らないで黙って飲み行ってんねん、とか 現実的に心の中でツッコム自分がいた 1984となカフカは好きだったけど

    0
    投稿日: 2020.03.02
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    さすが村上春樹! 読みやすさと分かり易さ、そして先を見たくなるドキドキ感は相変わらずでした。 また新作が読みたいです。

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    投稿日: 2020.02.26
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    長編や随筆はとてもすきなのに、短編と相性がよくない作家がままいて、その典型。でも真水のようにごくごくと喉越しがいい文章。

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    投稿日: 2020.01.12
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    「女がいない」ことによって致命的な傷を負いながらも、 「女がいない」ことによって自らの存在を確かなものにしていく男たちの群像が哀しくも魅力的に描かれる。それは彼らが女を失うことにより、実存の旅に出て、出会いがあり、運動が生まれるからなのだろうか。そして何より素晴らしいのはその「女のいない男たち」を見守る人物の優しい存在感だ。 「ドライブ・マイ・カー」では無愛想な女性ドライバーに芝居の一節を暗唱させ、タバコを密室で吸う彼女に主人公が注意をすると「そんなことを言えば生きることが命取りですよ」とハッとする言葉を紡がせる。「イエスタデイ」の出鱈目な日本語訳をとても切ない記憶として描く。「木野」の主人公の過ちをそっと察知し、危険から回避させるカミノの立ち居振る舞いが素晴らしい。失うことによってしか得ることができないものがあるということ、至極当たり前だが、それを熱情や成功、救済などを抜きに描いた、とても現代的でリアリティのある群像劇。

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    投稿日: 2020.01.08
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    どれも楽しめたが、シェエラザードがいちばん好きかなー 好きな言葉 現実の中に組み込まれていながら、それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間、それが女たちの提供してくれるものだった。p222

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    投稿日: 2019.12.20
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    自分自身が「女のいない男」になってこの作品を読んだので、登場人物の心の機微が痛いほどに伝わってくる。 それぞれの作品は全く独立した話だが、根底に流れているテーマがいくつかある。その1つが男女の関係がもたらしてくれる「人間らしさ」。思い通りにならない。合理的ではない。それでも 「しかし僕らの人生を高みに押し上げ、谷底に突き落とし、心を惑わせ、美しい幻を見せ、時には死にまで追い込んでいくそのような器官の介入がなければ、僕らの人生はきっとずいぶん素っ気ないものになることだろう。」(『独立器官』より) と感じるのが人間の性なのだろう。

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    投稿日: 2019.08.18
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    短編集としては最新?独立器官(タイトルも忘れてた)が読みたくて購入したが、結局全部読んだ。悪くないですね。

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    投稿日: 2019.08.11
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     村上春樹の短編集。  それぞれに特定の女性がいない男たちの話。  なんだけど、反すればそれぞれに自立した女の話かもしれない。  家福の妻、癌でなくなった、そして浮気をしていた、彼女は夫に依存はしていなかった。病気で失うという事実の上に、浮気という、まるで彼女の人生に自分が必要ではなかったような空白。それは、彼は運転手の女性の不幸ともいえる生い立ちを聞き、さらにぽっかりと空いてしまう。  やってきて、一つづつ話をして帰るというシェヘラザードの語るストーカーというか、ほぼ犯罪の話もだからどうなるというものではない。なぜなら、それは彼女の中だけで完結しているからだ。  「木野」が一番好き。  あの、つかみどころのない空虚さが、多分私の好きな村上春樹なんだろう。  ちょっと怖いけどね。  と、やっぱり文章が上手いなと思う。  高校の文芸部の顧問が「小説は文体」と口癖のように言っていたけれど、まさにそれだなと思う。  うん、風雪によってさらに磨かれたように感じる。  今度こそ、北欧の文学賞がとれるといいなぁ。

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    投稿日: 2019.08.04
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    「木野」が好みだった。メタファーが幾重にも折り重なって、つい深読みしたくなったが、まあ村上春樹という感じ。

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    投稿日: 2019.07.25
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    ベトナム行きの飛行機とトランジットの韓国で。ちょうど読み終わったタイミングで朝日が昇った。よい本でした。

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    投稿日: 2019.07.24
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    「女のいない男」を描いた短編6作品。 死んだ妻の不貞の相手と友情を育む『ドライブ・マイ・カー』。 変わり者の親友に恋人の共有を依頼される『イエスタデイ』。 スマートな独身貴族医師の恋煩い死『独立器官』。 身体だけの関係の主婦が語る魅力的な過去の数々『シェエラザード』。 自分の心を閉ざすことで悪運に堕ちるバーの主人『木野』。 そして表題の『女のいない男たち』。 どの作品の主人公も悪意なく純粋で魅力的ですが、闇が深い。その闇の原因を女に求めているようで、女性読者としては「ちがうだろww」と草生える。

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    投稿日: 2019.06.07
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    6つの短編集。相方を奪われたり失ったりしても感情的にならず、過去や自己を振り返る。孤独であっても冷静。諦念。こんなイメージなのだが、解説が欲しい。2019.4.18

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    投稿日: 2019.04.18
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     村上春樹ということでこ購入。  読後随分と経ってしまって、内容を詳しく覚えていないので・・・とりあえず読了の記録に留める。評価は当時の読後感を思い出しつつ記す。  レビューさぼってて、いつ読み終わったか覚えてないので、読了日は、後続レビュー前の、2018年10月1日で登録。

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    投稿日: 2019.03.17
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    村上春樹作品に出てくる独特で、孤独感のある男たちを様々な角度から見ることができた。 誰も悲しませたくはないけど、こんな風に思われてみたいと思ってしまった。

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    投稿日: 2019.03.13
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    本書は「いろんな事情で女性に去られた男たち、あるいは去られようとしている男たち」を主役に据えた6篇からなる短篇恋愛小説集。 いずれの話も、その料理のされ方は様々で、すべて異なった料理が作り出されている。小難しく言えば、同工異曲な作品集。音楽業界で言うところのコンセプトアルバム的短編集と言った方がわかり良いかな。 この6つの短編をごくごく簡単に解説。 ⑴ ドライブ・マイ・カー 死別した妻の若い恋人とバーで語り合う舞台俳優の夫 ⑵ イエスタデイ 好きゆえに手を出せず友人に彼女を差し出す超の字がつく純情浪人生 ⑶ 独立器官 独身で人当たりもよく、常に複数のガールフレンドがいるプレイボーイが思いもかけず深い恋に落ちるも、自分ばかりか夫も棄て第3の男と失踪したと知り、無惨に転落していく整形外科医 ⑷ 木野 同僚に妻を寝取られ退社し、都心の一角でバーを始めるも、ある時を境に怪しい気配が店を包み旅に出る男 ⑸ シェエラザード 週に一度の逢瀬の後、「千夜一夜物語」よろしくベッドで聴かされる彼女の奇譚を心待ちにする一方で彼女を失う不安に苛まれる男 ⑹女のいない男たち 夜半過ぎかつての恋人の夫から電話で彼女の自死を告げられて以降の男の困惑と心象風景を淡々と描く 何れもこの設定-主に女性が去る・先立つ・自殺する-は、村上春樹の作品-ノルウェイの森・国境の南、太陽の西・ねじまき鳥クロニクル-等でも見られる。本書も含め共通して言えるのは、女性側が不実を働き、男がその現実を淡々と受け入れ、自身の非を探し、認め、諦念する。 村上春樹の小説は、裏切られた側からの「ほとばしる激情」「憤怒」といった、負のエネルギーの発露はなく、海の向こうの戦争を眺めるかのような他人事的距離感を取り、時間をかけ再生を図ろうとする。そのあたりを「文学性の欠如」と指摘する向きもあるが、「風の歌を聴け」以降、一貫して登場するのは、虚無的で孤高な主人公であり、その生き方に「強さ、逞しさ」を見出し励まされている読者もいるわけで、はたして「“文学性”とは何ぞや?」という原理主義的疑問は文芸評論家の専権事項レベルの話だと思う。 村上春樹の得手とする舞台設定ゆえにか、奔放な筆致で書き進めた感じがびしばし伝わり、どの作品も不幸な男の話で身につまされずにいられないのに、終始ニヤニヤしながら読んだ。 いかにもこれぞ村上春樹ワールド全開あり、変態性を帯びたエロチカあり、関西弁横溢あり、久々の村上春樹の短編の妙味を楽しめた。

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    投稿日: 2019.03.05
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    図書館で。 文庫版を借りてふと思って部屋を探したら大分前に友人からハードカバー版を借りていた… ずっと借りててすみませんでしたよ、ホント。 女がいない男って…居るじゃん、とタイトルにはツッコミを入れたくなりました。まぁ現実的にもう一つの性がまるっきり居ない世界はありえないでしょうが。Man without womanって言うならもっと女性の居ない男性を想像するんだけどな~ 女っ気無しとか自分なら訳しそう。具体的には母親を早くになくした男所帯で学校も男子校で勤めた先が体育会系マッチョな男くさい会社で彼女・妻ナシな主人公とか?村上春樹はかかなそうな設定だな、ウン。 村上春樹の描く世界って「少し不思議」だなぁと思う。そこまで現実と乖離している訳ではないのだけれどもなんだか自分の知るリアルよりふわっと浮いている感じがある。なんという話でもないのだけれどもなんとなくディテールが頭について忘れられなかったりするのも面白い。昔読んだ短編で、亡くなった着道楽の奥さんの服を着てもらうために同じ背格好の女性を雇うという話が合ったけどこれも村上春樹だったんだろうか。 運転の上手い女性と、大阪弁のイエスタディと、整形外科医の恋と、空き巣していた元女子高生と、自殺したガールフレンドの話?それぐらいだったかなぁ。 でも多分村上春樹だからこの本は読んだんだろうなぁ、と読み終わって思いました。

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    投稿日: 2019.02.20
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    文庫で読み返し。私が「村上春樹ってどれから読んだらいい?」と聞かれたときにオススメするうちの一冊。 分かりやすくて、村上春樹らしさも詰まっている。この二つはなかなか相反するものなのですが、この短編集だったらわりにバランスが整ってるのかなぁと。 何年ぶりだろうか、オススメしてるくせに内容はほとんど忘れてしまってましたね。イエスタデイが好きだった覚えがあるんだけど、今回は「ドライブ・マイ・カー」と「独立器官」が良かった。 妻に不倫をされている俳優の「別の人格になる」というワザは私も少し使えるような気がする。また元の人格に戻って、でも戻ってきたときは、前とは少しだけ立ち位置が違っている。私ももしかしたら家福みたいに、そういう風にしか自分を動かすことができないのかもしれない。 また、独立器官の渡会医師みたいに独立した器官を用いてしか恋もできない。自分のなかのどこかにある独立器官に想いを馳せる。

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    投稿日: 2019.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不在を描いている 影になっているのは悲しみ あるいは寂しさ この人がいないまま進んでいく人生の そこはかとない 虚しさ 影が闇にならないように 自らの物語に光を照らす 不在が産んだ夜の中で 自分という星を探す物語 一つの気づきで物語は終える 傷ついたという痛みと 悲しみが影となって対となる光が射し込むこの世界は なんて美しくも優しいのだろう

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    投稿日: 2019.01.14
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    2013.12-3記。 文芸春秋に掲載された当時に投稿した内容を記録のために転載させてください。 煩わしくてすみません。 ーーー 文芸春秋に2か月連続掲載の村上春樹新作について。 その1、「ドライブ・マイ・カー」。 映画評論なんかで、表現上のメタファーについてあれこれ推測するのはお約束の手法だ。「繰り返し映し出される風車は主人公の内面を巧みに表現している」とか。そして、村上春樹はそうした読まれ方を望まない、もっと感じるままに味わってほしい、ということをインタビューその他で繰り返してきた。 もちろん、作家としての彼が本当に無意識にイマジネーションの赴くままに書いているとは信じがたい。表現・隠喩のひとつひとつに恐ろしく自覚的であることは、彼の傑出した文学評論とも言える「若い読者のための短編小説案内」を読めば明らかだ。 さて、「ドライブ・マイ・カー」において、主人公の乗るサーブの「屋根を開けているとき」「閉めているとき」がそれぞれ何を象徴していたのか、が問題だ。それ以上に、僕が本当に愛読している村上短編の多くにおいて、こういう疑問を全く抱く必要がなかったことも問題だ。こういったことを意識させないのが彼の作品の魅力だったはずだから。こうした表現上のギミック(悪い意味ではないです、念のため)に目がどうしても行ってしまうのは、作品の成熟の結果なのか、それとも僕が作品に没頭できていないからなのか? ところで、主人公の妻と不倫する若手俳優は「ダンス・ダンス・ダンス」の五反田君、ですよね・・・ 文芸春秋に2か月連続掲載の村上春樹新作について。 その2、「イエスタデイ」 「ノルウェイの森」「めくらやなぎと眠る女」そして「中国行きのスロウボート」のような若いころのあのどうしようもない羞恥と迷い、久しぶりにストレートに短編にしてきましたね。違うとしたら、結末に訪れるものが「喪失感」だけではなく、「祝福」も併せ持っていることかもしれない。 なんだかんだで41歳、若いころの友人とも、「そのうち」なんて言っているうちに結局会わずじまいで人生終わる可能性も高くなってきた。が、そいつが今も元気で頑張っているなら俺もうれしい。そういう感じの読後感です。 文芸春秋に連続掲載中の村上春樹新作について。 その3、「木野」 (以下、微妙に「ネタバレ」かもしれません) 村上春樹には「種明かし系」と呼びうるジャンルがあるように思うのだ。長編で色々考え方を提示して回答せず、一方短編で「あれってこういうことが言いたかったのかな」ともうすこしわかりやすく伝える、というような。思うに、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」「ねじまき鳥クロニクル」の種明かしは「かえるくん、東京を救う」においてなされた。 文芸春秋2月号の「木野」は、ひょっとすると「眠り」や「アフターダーク」、「東京奇譚集」あたりの種明かし的機能を果たしているかもしれない。 「…『傷ついたんでしょう、少しくらいは?』妻は彼に尋ねた。『僕も人間だから、傷つくことは傷つく』と木野は答えた。でもそれは本当ではない。少なくとも半分は嘘だ。おれは傷つくべきときに十分に傷つかなかったんだ、と木野は認めた。本物の痛みを感じるべきときに、おれは肝心の感覚を押し殺してしまった。痛切なものを引き受けたくなかったから、真実と正面から向かい合うことを回避し、その結果こうして中身のない虚ろな心を抱き続けることになった。」(P.420) これって、昔からの村上春樹読者にとって、ものすごくストレートな「種明かし」ですよね? いつまで続く、文芸春秋に連続掲載中の村上春樹新作について。 その4、「独立器官」 (ネタバレあり) 人には、「独立した器官」が備わっている。それは本人の意志とは関係なく人生に作用する。 ・・・そういうものってあるんですかね。ある気もするし、ない気もします。 「・・・それは本人の意志ではどうすることもできない他律的な作用だった。あとになって第三者が彼らのおこないをしたり顔であげつらい、哀しげに首を振るのは容易い。しかし僕らの人生を高みに押し上げ、谷底に突き落とし、心を戸惑わせ、美しい幻を見せ、時には死にまで追い込んでいくそのような器官の介入がなければ、僕らの人生はきっとずいぶん素っ気ないものになることだろう。」(P.443) 以上

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    投稿日: 2019.01.05
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    女性を失った、女性に去られた立場の男性たちの短編集。ものがなしいとも少し違う、どこかピースが欠けた印象が漂う女のいない男たち。

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    投稿日: 2018.12.23
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    相変わらずの世界観、引き寄せられるように一気に読みきりました。 男と女の不思議な関係。 ファンタジー要素もありな。 私は ドライブ・マイ・カーが一番気に入りました。

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    投稿日: 2018.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人類史に共通するのは、愛と恋と、その喪失だ。 そのへんを象徴する小道具を持ってくる。 ま、いってみればいつもの作風のまま。 この作風に対し、唯一無二だ、と離れられずにいるか、十年一日のごとく、と飽きてしまうか。 私はもはや後者。 大作家に成り果ててしまった春樹の奢りをも感じ取ってしまうくらい。

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    投稿日: 2018.10.31
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    春樹さんはもっぱら長編派だけれども、短編ながら夢中で読んだ。まえがきがあるのは珍しい(特に本編への影響はなし)。どれも読みやすい。相変わらずのまわりくどい(でも個人的には好ましい)言い回し。誰も彼も、居なさそうで、でも居そうな人物達が魅力的です。ほんとに居たら面倒くさそうだけど。

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    投稿日: 2018.10.02
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    村上春樹の近作を読んだのは久しぶり。スラスラ読めた。移動中などに読んで、1日1篇ずつ読むのがちょうどよかった。 一番印象に残ったのは「独立器官」だろうか。小説というか、実際にあったことをかなり参考にしている気がした。この短編を一番書きたかったのではないか。インタビュー本である「約束された場所で」とか「アンダーグラウンド」に近い印象。ここに描かれたキツさはわかる気がする一方、調子よくやっていた人物がズタズタになる、という話にちょっとカタルシスを得てしまう自分のゲスさを思う。 「木野」はとても往年の春樹っぽい。特に「カミタ」という謎の登場人物に春樹っぽさを感じた。後になって自分がとても傷付いていたことを自覚する、というのはわかる気がする。 「イエスタデイ」の関西弁はぜひ聴いてみたい。最後に収められた「女のいない男たち」は感傷的過ぎるし蛇足。

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    投稿日: 2018.09.16
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    諸事情により女性に去られた男たち、あるいは去られようとしている男たち。ありふれた日常から、異世界に迷いこむかのような6つの物語。 村上さん曰く、短編を書きたいゾーンに入った時期に描きあげた作品ということで、どの物語も密度が濃い。男という生き物は、精神的にも肉体的にも女性の存在なしには、満足感を得る日常を送れない。村上さんの人生観が伝わってくる作品集。

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    投稿日: 2018.09.07
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    女のいない6人の男たちの話。亡き妻の記憶を追いかける男。未来の見えない男。初めて本気で恋に落ちた男。片思いの女の話を聞く男。妻に去られた男。元恋人を無くした二番目の男。どれも失女の疑似体験をさせてくれる文章だった。

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    投稿日: 2018.08.19