Reader Store
ホテルローヤル
ホテルローヤル
桜木紫乃/集英社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

398件)
3.4
41
128
157
38
9
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    釧路にあるラブホテルを利用する人、かかわる人のそれぞれを描く短編。 短編の順序が秀逸です。またそれぞれリンクしているので、どんな繋がりがあるんだろうと、ついぞ読み進めてしまう。 筆者は薄倖な人びとの人物描写が精緻である。 短編は単体で読めば前向きな話が多いのだけれど、初めの編を読んだ後に読むので、どれも退廃的で寂寞とした読後である。

    0
    投稿日: 2020.09.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    桜木紫乃による小説 短編集。集英社 から刊行。第149回 直木賞 受賞作。舞台は北海道札幌。田中大吉が団子屋るり子のために建てたラブホテル、ホテルローヤルにまつわる7つの短編で構成されている。ちなみにホテル建設にあたり借金を負ったことが原因で大吉は妻子と別れている。「シャッターチャンス」ではすでに廃墟になったホテルで写真撮影をするカップルが描かれている。「本日開店」では歓楽寺の維持のために住職、西教の奥方の幹子が檀家との肉体関係を続けている。「えっち屋」では大吉の娘、雅代がホテル業廃業する間際、アダルトグッツ販売会社の宮川との会話が中心に描かれている。「バブルバス」では信仰心が薄れている夫婦を、「せんせぇ」では高校教師の野島広之と生徒の佐倉まりあを、「星を見ていた」ではホテル清掃員のミコを、「ギフト」では大吉のホテル建設について描かれており、次第に過去に遡って話が進んでいく。話は淡々と進み、ハッピーエンドとはなっていない。

    0
    投稿日: 2020.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    装丁は湿原と草原が良かったなあ。 もっと今時のギドギドしたトリッキーな内容かと勝手に思いこんだら、清貧が静かに横たわっている感じのする話ばかりだった。 人はそれぞれ愛の形を持っていて、それが愛かも分からず生活をして、ぎりぎり本能で自分になじむ形を選んでる。 それが他人には理解できないものでも。 自分で望んでいなくても。 多分、短編のなか、人それぞれ心をえぐられる話は違うんだろうなあ。どの人の心境にそえるのか、なかなか怖い

    5
    投稿日: 2020.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ー 男も女も、体を使って遊ばなきゃいけないときがある… 道東のとあるラブホテルにまつわる連作短編集。 廃墟となった後の話から始まり、最後にホテル「ローヤル」と名付けられた経緯が語られ終わる。 ラブホテルは、単にセックスをするための非日常的な場所。そういった場所をモチーフにした小説だから、読む前はもっとドロドロしたドラマを想像していた。思いの外、普通の人の普通のセックスが描かれていて、日常を感じさせる細かい描写もあって、そこがよかった。 「星を見ていた」が最も好き。ミコがいとおしい。 「バブルバス」はほっこりとする話。 「せんせぇ」は全てが繋がった後に衝撃を感じる。

    37
    投稿日: 2020.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全体を流れる重く暗い雰囲気は、直木賞とはいえ好き嫌いが分かれる作品、個人的にはちょっと、、、でした。

    0
    投稿日: 2020.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ホテルローヤルを舞台にした短篇集7編。 北海道の釧路の湿原を見下す絶好の位置にそのホテルはある。 ちなみに作者である桜木紫乃の出身地である。 それぞれの話は独立しているものの、横につながっているチェーンストーリーになっており、またホテルの創立から廃墟と化した現在を逆から描いていくので、読みながら頭がこんがらがりそうになった。 ラブホテルが舞台のお話ですが、そんなに生々しい描写や過激なものではなく、世界の片隅にいる人々の悲しさや虚しさを描いているので、私たち「人間」の話です。 利用者はもちろんのこと、ホテルの経営者、そしてその家族、従業員、出入り業者にもフォーカスした作品なので、もしタイトルや装丁、内容からして恥ずかしくて読めないかもと思っている方がいらっしゃれば心配しなくて大丈夫だと思います

    3
    投稿日: 2020.08.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人が人としての本能を隠す為の蓋に金を払う場所、ラブホテル 隠れ家、異世界、非日常 私の知っているラブホテルはどれも煌びやかな場所だったけど、それは客としての立場から見ていた視点。 違った視点からラブホテルを、ラブホテルを使う人を覗いてみませんか?

    4
    投稿日: 2020.07.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1つのホテルが作る7つのストーリー。 人が生きていく上で夢と欲望は必要なものなんだと 思う。 だけど、欲望が勝りすぎてしまうと、 きっと幸せは離れていくんだなって思った。 自分も過去にそれで人を傷つけたな。

    23
    投稿日: 2020.07.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテルという設定上そっち系の描写も多い。 まぁそれより、ホテルローヤルを取り巻く人々の悲しさが各章に盛りだくさん。 連作短編集だということがほどなくわかり、3号室は教師と女子高生の部屋だったこともわかってからの「せんせぇ」は、読むのが辛かった。 桜木紫乃の小説を読むと、釧路湿原というところはやたらと暗くて寂しくていつも曇天のイメージ。 でもたまには読みたくなっちゃう不思議。

    1
    投稿日: 2020.07.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今は廃墟となっているホテルローヤルを舞台に、それぞれの人間模様を描いた短編集。 どれも楽しい要素は少ないが、人間臭いリアルさを感じた。

    10
    投稿日: 2020.06.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    男と女しかおらんこの空間やからこその、色々な人生とか物語があって、それぞれ違う理由でホテルに足を運びよった。短編やけ続きが気になった。時間が前後するけど最後は繋がる感じがすっきりする。

    7
    投稿日: 2020.06.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    あるラブホテルを舞台に、様々な人間模様が描かれていく短編作品。けれど、廃墟と化したホテルから始まり、最後はこれからホテルを始める人のお話で終わる。この構成が面白くて面白くて。何度も読むたびに、散りばめられたヒントを見つけるのがとても面白い。いろんな人がいて、それぞれ想いを抱えて生きているんだなってしみじみ感じた。

    2
    投稿日: 2020.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ★2.7 2020.05.26 直木賞を取った作品、ということで期待値が高かったのか、淡々とした話の流れで、そこまで面白さを感じられなかった。 ↓↓↓内容↓↓↓ 【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。

    1
    投稿日: 2020.05.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    エロより人情。 ラブホテル開業する人はきっと前向きな明るい人なんだろな大吉のように。 ローヤルはローヤルみかんから。 ミコさんの話が印象的 夫を拒まない。 ひたすら働く人にはみんな優しい。 ヤクザになってた息子が逮捕前に送ってくれた手紙と3万円。

    6
    投稿日: 2020.05.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     釧路にあったラブホテル「ローヤル」がオープンする前日譚から閉店以後までの物語が、未来から過去に遡る形で逆連作短編集として綴られる。  死にゆく寂れた街(物語でその様に描かれているだけで実際の釧路がどうかは知らないが)、貧乏、行き詰まった夫婦……と、物語設定は非常に暗い。でも、そんな人生を生きる人たちのささやかな幸せに光を当て、一つの物語として読み切らせてくれるのが凄い。  特に印象的だったのは、ホテルの経営者だった大吉。途中の短篇でその素性を覗かせつつも、満を持して登場するのは最後の短篇であり、なるほど妻に二度も逃げられるだけの素質(素行?)を備えている。彼は生活力もなければ商才もないし、頭も悪いし浮気もする。ホテルが廃墟となったのもまぁ当然の結果かもしれない。自己陶酔に共鳴しようとしても、彼の義父がぶつける直球のド正論になす術が無い。時系列順に書かれていたら、不幸が不幸を呼ぶ悲しい物語になっていたかもしれない。  だが、時系列が逆さまになっていることで、薄幸な人々の中にある小さな煌めきに、彼の人生か関わっているのだなと不思議な気持ちになる。その彼も、死に際の一言「本日開店」のとおり、これからの人生が順風満帆であることを疑わず胸をいっぱいにした時期があったのだろう。そんな時期は、果たしてあっただろうか。彼の人生は、もしかするとこの小説でいちばん幸せな人生だったのではないだろうか.......とは流石に思えないが、良かった。

    2
    投稿日: 2020.04.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんだか切ない物語だった。 男と女ってなんだか切なくてわかったようで分からなくてほんと難しいなと思った。 ホテルローヤルを巡って過去から現在へそれぞれの男女が織りなす物語、それぞれが少しづつ重なっている。 物語の順番的にはもう結末がわかっちゃってるんだけど大吉とるり子には幸せになってもらいたいと思った。

    2
    投稿日: 2020.04.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短編集だが、登場人物はつながっている。 廃墟になったホテルローヤルが舞台になった 冒頭から、 そのホテルローヤルができるいきさつが描かれる最後の作品まで 時系列がさかのぼる流れになっている。 作者は、男嫌いなのかな〜 すごくリアルにじわじわいや〜な男が描かれている。 まあラブホってそういう場になりやすいわけだから 仕方ないのか。

    2
    投稿日: 2020.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    バラバラに見える全部で7つの短編が、最後に、とあるところに帰着します。 みんな幸せになろうと行動しているのに、思うようにいかない切なさとか焦りとかが描かれています。 女性向きかな。性的描写がなかなか多くて、著者は普段なに考えてんだと思いました。

    1
    投稿日: 2020.03.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    救われない短編集。不幸な人々のこころの襞を繊細に書き綴るが如何せん救いがなくて途中から苦痛となる。どの話も激貧がもたらす不幸をいろいろな立場で伝えてくる。「ギフト」も行く末を知った読者が読めば不幸のルーツでしかない。 朽ちることが約束されたラブホテルが物語のキーとなる時点で不幸しか想像できない。確かに表現力は素敵だが、需要あるんですかね。カタルシスを感じたい人向けかな。 「せんせぇ」のみホテルローヤルが出てこないですね。どうやってローヤルにつなげるのかに微かな興味をもちながら読みましたが、、どうでもいいけど。

    2
    投稿日: 2020.02.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第149回直木賞受賞作 釧路ご出身桜木紫乃さんご実家がラブホテルを営業していたそうです。 湿原を望むチープなラブホテルが舞台。時間を遡っていく短編連作7編。恋人に頼まれ廃墟ホテルのヌードモデル、檀家に身体を売って寺を守る嫁、自殺をはかる高校教師と女子高生など。北国の物悲しさがこれでもかと次々にやってきます。

    3
    投稿日: 2020.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集でしたが、全てが繋がっていて…読み終わったあとには、ひとつの作品を読み終えた感覚です。 「せんせぇ」は読んでいる途中も切なく、結末を想像できた時にまた切なくなりました。

    1
    投稿日: 2020.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    どの行動や言動にも優しさがあるが果たしてそれはどんな優しさだったのだろうか。 その瞬間にいったいなにを感じたのか、何が読み取れるのか、まだ考え直さなければならないと思う。 物語は通底して暗く、一瞬一瞬のきらめきを見過ごしそうになる。 それぞれの短編の物語は時系列を現在から過去に遡って紡いでいた。 小説をはじめから読み進めていると、物語を過去に遡るほどホテルローヤルは希望のあった場所なんだと認識したが、それはそこに生きた個人の、特にホテルに関係性の強い人ほど強くなる思い入れのようだった。 創業者の大吉には希望を掛けた場所になっている。ないしは自信過剰で繊細な人間の逃げ込んだ虚々実々の舞台だったか。 時系列が現在に近づくほど、またホテルローヤルの繋がりが遠くなるにしたがって登場人物の男性に感じられる見栄は表面的で薄っぺらくなったが、一方で女性の感情は場所と時系列に依存していないように感じられた。 物語にある事実だけを見ると救われなくて先がないのが他人にはどうしようもなく悲しいが、登場人物や取り巻く環境はここが日常であり、なにを考えてもやるせなく感じてしまう。 それぞれの男女はお互いを好いてもいなかったし愛してもいなかった、と言えればポップに捉えられたと思うが、事情を含んだ大人の情事が交わされているのだろうと思う。

    3
    投稿日: 2020.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    もっと性的な匂いの強い話なのかと思っていたが、本を開いてみたらそんなことはなく。 印象的…というか、「せんせぇ」は、その後の二人を考えると、たまらない気持ちになる。

    2
    投稿日: 2019.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテルを巡る短編 印象的なのは「星を見ていた」悲しみというか希望というか切なさと言うか、、、ミコ頑張れ

    2
    投稿日: 2019.11.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ホテルロヤール (集英社文庫) 著作者:桜木柴乃 登場人物たちもどこかで生きているのではないか。そう思わせる筆致の繊細さが美しい。 タイムライン

    2
    投稿日: 2019.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    秀逸な群像劇だ。 短編であるが、短編では足りないくらいの人物の深みを感じる。 それぞれが長編で描いてもきっとおもしろいのだ。 でも、桜木さんがやろうとしているのはホテルローヤルを浮かび上がらせることで、人をそれぞれ懇切丁寧に描くことでは、今回はない。 ラブホテルというのはそれぞれがそれぞれの様々な思いを抱えてやってくるところなのだろう。 喜びや期待や、愛、欲望、希望、夢、悲しみ、怒り。 それらがないまぜになって、名前のない怨念のようなものになって、それらが古くなった木造の、安い作りのラブホテルの壁紙に染み込んでいる。そんな様がありありと目に浮かぶ。 そのような怨念に近い人々の思いを、まるでパズルのピースのような明確な輪郭を削り出すことによって、そのまんなかをつなぐホテルローヤルを描き出している。 直木賞受賞作とのことだが、『硝子の葦』と一緒になってその真価が感じられるように思う。 硝子の葦はその中に住まう人の人生を卓越した技術で重厚な人物像とともに描き出したけど、今回はホテルを透かし彫りしているような感じ。 硝子の葦でも同様に、ホテルというのは容れ物だ。 だが、今回の作品のなかでは文句なしにホテルが主役なのである。 ホテルローヤル→硝子の葦よりも、硝子の葦→ホテルローヤルをおすすめする。

    6
    投稿日: 2019.10.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテル・ホテルローヤルにまつわる人間模様。連作では「エッチ屋」がよかった。これが一番明るくて未来に向かってる感じがした。エッチ屋さんの玩具を前にしても商売ものを淡々と説明する様子、このラブホテルで生まれ育ちそして手放す雅代の前向き感じがいい。雅代には幸せになってほしいなあ。 「せんせぇ」のせんせいは、めぐりあわせ? 列車に教え子が乗り合わせなければどうなったか。 しかし暗いなあ。 実は根室に旅行するのに先立ちそちらの方が舞台となっているといって家人から渡された本。行きの機内で読み終えた。 釧路空港から根室へ。秋なので湿原も黄土色で、家もまばらで風に耐えているように見える。同じ作家原作の「ターミナル起終点駅」を以前にみたが、映画もこの本も釧路が舞台だが主人公の住んでる街はずれの借家の景色が「ああ、この寒そうな寂しい最果て感はこれだ」と実感した。 「シャッターチャンス」2010年「小説すばる」初出 2013.1単行本(集英社)

    2
    投稿日: 2019.10.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「この世は老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり...」というフレーズが思い浮かぶ、心のスキマが吹きすさぶ物語。『ホテルローヤル』というラブホテルを舞台に取り巻く人間模様の連作短編集。言葉は悪いがミジメ、とすら感じてしまう人物たちだが、その惨めさには味わいがあり、作者の表現力が際立つ。それにしてもオーナーの爺さんの死に間際の最後の言葉が「新装開店!」だったり、アダルトグッズの名前が『ご褒美』『くじらレディ』だったり、という所でちょっと笑ってしまった。直木賞ということだが、個人的には『起終点駅』に軍配。

    3
    投稿日: 2019.09.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    登場人物の多さと時系列の複雑さに混乱したため、関係性が多少リンクした、ただの短編小説なのかと思った。 が、解説を読んでショックを受けた。 もう一度読み直したい、次の作品も読んでみたいと思う作者だった。

    2
    投稿日: 2019.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    誰かが側にいても感じる孤独。 心の隙間を埋める術を誰もが持っていたら どんなに良いだろう。 . 男の人は、本音を隠すために強がる。 女の人は、家族を通して強さを知る。 この本の登場人物たちを見ていると、 そんな風に感じた。 . 表現の仕方が直球。 読み手に生々しく言葉を伝えてくる。 切なさでいっぱいになるけど、悪くない。 ラブホを舞台にしてるけど、 深く濃くエロい感じはそんななくて あっさりスルスル読めた。

    2
    投稿日: 2019.08.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    どうしようもない現在のホテルローヤルから 過去のホテルローヤルに遡っていく、その感じが良かった。 色んな意味で湿度が高い。 どこか現実味があってリアルな感じがした。

    2
    投稿日: 2019.07.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    権威主義だって言われたらそれまでなんだけど、やっぱり直木賞に選ばれた作品って、説得力があるなぁとしみじみ。ラブホテルの話ですって言われると、若干戸惑うかもしれないけど、ウェットな感じがむしろ心地よかった。10代よりは、20代。20代よりは30、40代……50代。歳をか重ねるほど、印象が変わっていきそうな小説だった。

    3
    投稿日: 2019.07.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞作で期待しすぎてた感はあるが、それをさしひいても面白くはあった。ホテルローヤルがなぜ廃業したのか。そこには大なり小なり事件とドラマがある。人は直接的、間接的に縁でつながっているようだ。人生というのは地道にコツコツ積み上げた結果でしかないのかな。道東というさびれた漁港の町。離れることができない人たちはいるわけで、どん底ではないが、どん詰まった閉塞感は漂っている。

    2
    投稿日: 2019.07.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    それは「実家」が経営していたラブホテルと同名なんだという。ロイヤルでもROYALでもなく、ローヤル。その名前にまず、そこはかとない場末感が漂う。 作家は15歳から実際にそこに住み、客の声を聞いたりベッドメイクをする日常であったという。そこにあったのは、(やっぱり)夢見るとか好奇とか羞恥といったウェットな感性よりも、ドライな人間観察の視点なんだろうと思う。 ホテルを舞台に繰り広げられるいくつかの男女模様は、セックスであってもなんだか干涸らびていて、快楽というより生活のしがらみや倦怠感そのもの。 まるで、なんの表情もなく胃の腑をえぐる人の顔を眺めているような、なんとも重苦しい小説であった。

    2
    投稿日: 2019.06.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第149回直木賞受賞作品。 しかし期待したほどではありませんでした。 全7編の短編連作集となっています。 北海道の釧路湿原にあるホテルローヤルというラブホテルを舞台にした物語。 登場人物は、経営者、その家族、従業員、業者、利用者の男女というそれぞれで、語られています。 本書の一番の特徴は、時系列が逆で語られているところ。 ホテルローヤルの廃墟から始まり、最終章では、ホテルの立ち上げで終わるという構成。 途中でその仕掛けに気が付き、あれ、この登場人物は、ここに関係している?っていうところで、読み直ししてしまいます。 ■シャッターチャンス 廃墟となったホテルローヤルで素人投稿ヌード写真を撮影する話。 モデルになる女と、いらっとくる男の話。 ■本日開店 貧乏寺の維持のため、檀家たちと肌を重ねる住職の妻。 老人たちへの奉仕の気持ちから変化が.. ■エッチ屋 ホテルの出入り業者とホテル経営者の娘の物語。 ホテルをクローズするにあたって、二人が取った行動は? ■バブルバス 舅や子供達の世話で疲れている貧乏家庭の主婦。 お布施の為に用意していた5000円を旦那と一緒にラブホテルで使う事に。 ■せんせぃ 妻に浮気されている高校教師と両親に逃げられた女子生徒の物語。 ここで、仕掛けに気が付きました! ■星を見ていた ホテルローヤルの清掃員のおばさんの話 ちょっと切ない... ■ギフト ホテルローヤルを立ち上げる話 ということで、各短編はそれぞれで、ちょっと重く暗くなってしまいますが、この構成は秀逸でした。

    13
    投稿日: 2019.06.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    1つのラブホテルが舞台のオムニバスストーリー 後ろの章から読むと話がさらに面白く感じる 2度楽しめる作品

    2
    投稿日: 2019.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読みやすくてよかった。 ホテルローヤルという今はなきラブホテルを舞台にした過去と今の話。 全てのストーリーに繋がりがあって最後はちょっとうるっとくるような人間味のあるお話ばかりでした。

    3
    投稿日: 2019.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    釧路湿原に佇むホテルローヤル。 廃墟となったホテルローヤルから始まる。そこから遡り、大吉が事業を始めるところで終わる。 どこかしら不幸せで物悲しい話ばかりだが、登場人物を描く視線は優しい。

    2
    投稿日: 2019.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    釧路にあるラブホテル「ホテルローヤル」を舞台にした物語。7つの短篇は時系列をさかのぼる順に配列されている。檀家の援助を仰ぐために身体を売る寺の女房,狭い家に家族5人で暮らす夫婦がふと浮いた5000円を使ってラブホテルに立ち寄るなど,生臭い話が多いが,ディテールに凝っていてなおかつくどくない描写が心地よい。第5話の「せんせぇ」は一読した時点で全体の中での位置づけが解らなかったが(肝心なところを読み流していたので),あとから振り返ると結末の意味がまったく変わった。第149回直木賞受賞作。

    2
    投稿日: 2019.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    釧路湿原を見下ろせる場所に建つラブホテル『ホテルローヤル』。この場所を舞台とした男女の7つの短編。 ちょっと変わっているのは、廃墟となったホテルローヤルから、建設のいきさつまでを時間をさかのぼっているということ。 男と女が繋がりあうことに、本当は心のぬくもりが欲しいと思う。でも、第1章の廃墟で繰り広げられる繋がりには、寒々しさを感じる。   そこから章を追うごとに、少しずつ、少しずつぬくもりが増してくる。…といっても、それぞれが複雑な事情を抱えているのだけれど…。 この作品を読む前に、小川洋子さんの作品を読んだばかり。小川さんのほんわか優しい作品と対照的で、シャープ。

    2
    投稿日: 2019.02.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    7つの短編がホテルローヤルというラブホテルを軸にリンクしていて、面白い。 直木賞というだけあって、細部の描写やそれぞれの話の抑揚など読んだ人を満足させる要素がたくさん。 個人的には、4TEENや星々の舟の方が題材として好き。

    1
    投稿日: 2019.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    暗くてわびしくて、途中で読むのやめようかと思った。具体的には「えっちや」と「ギフト」の途中。 でも読み終わったらそんなに寂しくない。不思議な本だ。

    2
    投稿日: 2018.12.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み始めたときは、何て暗い短編集なんだ…と思いましたが、その鬱々とした雰囲気が徐々に癖になり、いつのまにか全部読み終えていたという感じです。 ホテルローヤルにまつわる人たちの弱さや後ろめたさ。 高みを目指した男が建てたはずのホテルの慣れ果てだったり、自殺を決意した二人だったり、寺の経営を支えるために外で男と関係をもつ妻だったり。。 登場する人たちの苦しみがリアルに伝わってくるようで、寂しい気持ちになりました。

    2
    投稿日: 2018.11.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2018/11/12読了 国道から離れ、ひっそりとたたずむラブホテル そこにかかわるあらゆる人たちの人生と、今に至るまでの歴史と 七つの短編はつながっている。 今や廃墟となってしまった城にて交わる物語が素敵。 【シャッターチャンス】 最も「未来」となる話。 ラブホテルは古びていて、シチュエーションのひとつとなるしかない。 作中で最も迷いを抱く女性が印象的。 【本日開店】 ホテルローヤルオーナーの最期。耐え忍ぶ住職の妻 このあたりは、裏の世界にじかに触れているような感じ。 【えっち屋】 オーナーの娘で、ホテルにとらわれ続けた人間が解放される時が来る話。 アダルトアイテムのセールスマンと本当の意味で解放に挑む雅代 ある意味、不幸この上ない生き方だと読者としては思ってしまう。 結局性を商売にしている二人の解放はされず、囚われ続けてしまうのかもしれないが そこではないどこかへと、「逃避」するための亀裂が入る。 ホテルとしてのローヤルは、ここで息を止める。 【バブルバス】 本作で一番好きな話。 まさしくラブホテルを使用する男女の話だけど 共に長く歩いた夫婦にとっては「非日常」 家のこと、お金のこと、夫婦であって、多分レスな夫に 愛はあるけど寂しさ堪えられない嫁が 声を出して男女となって、でも、かつてみたいな解放感とは程遠く。 とてもリアルだし切なげだけど好きだなあ。かつてラブホテルを 愛用した者たちの、希望のような姿だと感じる。 【せんせぇ】 結末は記されていないけど、通して読めばわかる二人の最期 ホテルローヤルの終末はこの二人から始まっただろう。 行く当てのない女子高生と、裏切られた教師の終わりの始まり。 甘くない甘い言葉、さみしげ 【星を見ていた】 ラブホテルを管理する側のことって、そういえばあまり意識したことはなかったな 「八日目の蝉」でもあったけど、ある種の「どんな人でも受け入れてくれる職場」 として、人情味があるのかもしれない。 しかし老いてもなお盛んな夫婦。事件により揺らぐも夫がちゃんとそばにいる。 純愛と言えば、純愛か 【ギフト】 夢と希望にあふれた愚かな男。 全ての始まりの話。 何かを始めたときは未来なんてわからない。その終末点を読者の目として知っているので 分かっていても切ないなあ。大吉が居なければ何も始まらないわけで。 幸も不幸も抱いた城の盛衰を、遡って読んでいくという面白い作り そしてラブホテルという舞台。 エロティシズムより人間模様が面白い小説でした。

    3
    投稿日: 2018.11.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    好きな音楽は海外のダンス系、ミーハーだけどAVICIIとかCalvin Harrisとか。 そんな私が演歌を聴いたら。 そんな気分の桜木紫乃。 こういう世界があることは知ってる。

    0
    投稿日: 2018.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    第149回直木賞受賞。書き下ろし1編を含む7編の短編集。時系列が現代から過去にむかっている、ひとつのラブホテルを舞台にしたお話。最初が「廃墟」になったラブホテルの話から入るから、「あぁ、ここはなくなっちゃうんだなぁ」という無意識が読み終わるまでまとわりついてました。ただ、文章が個人的に読みづらいかなぁ。言い回しが古いというか固いというか。「バブルバス」は、読みやすくって面白かった。

    1
    投稿日: 2018.11.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ほの暗くて物寂しい。 話が少しずつ繋がっていく感じが好き。 過去の話に戻っていくので、その先にあるどうしようもない未来がやるせなく切なくなります。せんせぇのその後とか特にせつない。

    2
    投稿日: 2018.11.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんというか大人になったのでこういう話も現実味を持って受け止められるようになった。知ってるのと知らないのとではちがうな、と思ってしまった。本物の建物が観たかったなあ、あと地元なので光景が想像ついてよかった

    2
    投稿日: 2018.10.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞作という理由で読むことにしたが、好みではなかった。読んでいるうちに気持ちが沈んでくる。長編だったら途中でやめていたと思う。

    0
    投稿日: 2018.10.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タイトルにもなっているホテルをめぐる連作短篇集です。 ホテルの経営者、従業員、利用者など、各関係者の人生を描き分けるところは、さずが受賞作と思わせます。 個々の短篇を貫くのは、ひと言でいえば性愛でしょう。しかし、おそらく作者は性愛に人間の深遠さなどを求めていないでしょう。どこか引いた視線で描いています。その距離感をどう思うかーーそれが、この作品の良し悪しというより、好き嫌いの一因になるのでは。

    2
    投稿日: 2018.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    北海道釧路市のラブホテルをキーとして進んでいく、 第149回直木賞受賞の連作短編集。 少しずつ、でも、確かに深みにはまっていくような読感。 初めの一篇はなんのことなかったのに、 次の短篇を読み進めていくことで重なっていくものがある。 「つらさ」、「悲しみ」とか「寂しさ」とか、 そういう言葉が陳腐になってしまう。 たとえ人生の中の短い瞬間であっても、 そこに感情の多層性、現実の状況・局面の多層性、関係の多層性などがあることを 作者はそのフィクション表現のなかでつまびらかにしているからだと思う。 ラブホテル業はうしろめたい商売です。 そして、この小説に登場する人々は金銭的にだったり人間関係的にだったり、 日々の暮らしに追われている。 そんなほの暗く感じられるような世界なのですが、 どうしてか、優しさを感じるんですね。 逆に、陽のあたる場所で堂々と仕事をする世界のほうが殺伐としていることを、 逆説的に、暗に読者に知らしめているようにも思います。 巻末の解説が、ほんとにうまい解説になっていて、 読後の読解の助けになってくれました。 そうだよなあと思いつつ、余韻に浸れます。

    3
    投稿日: 2018.06.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    7つの短編は少しづつ繋がりながら過去へと戻っていき、それぞれの登場人物の哀愁、やり切れなさ、人間臭さを美しく描いていて面白かった。 149回直木賞受賞作

    1
    投稿日: 2018.05.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞を取って話題になった短編作。北海道釧路の田舎町にあるラブホが舞台。作品から薄暗らさや埃っぽさを感じるのは最初のお話の雰囲気からなのか。余裕のなさとヒリヒリした感覚、ひた向きさすらどこか悲しくなるけど、登場人物はみんな必死に生きてることが伝わってくる。

    2
    投稿日: 2018.05.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ホテルローヤルというラブホテルにまつわって起きる男女の交わりについて描かれている。 が、本書の登場人物が性的行動に走るには背景に破滅的や自己中心的な思いが隠されており、ん?と思ってしまう。 本書に出てくる登場人物はどこか破滅的で、意思も心も弱く、頼りない人間が寄りかかるようにして性的行動に身を投じているように見えて、共感できない。 こんな人たちもいるんだー位な感じ。

    2
    投稿日: 2018.04.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    うーん…… 私の好みではないかな。 1つの場所を基点にした短編小説って他にもあるし、物悲しさや空虚感もわかるんだけど、残念ながら、そこまで引き込まれることはなかった。 まぁ、読みやすい文体ではあると思う

    2
    投稿日: 2018.03.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    釧路のラブホテル『ホテルローヤル』に絡む男女の連作短編集。 それぞれがホテルに抱く思いも違えば抱える悩みも違う。 重いというか、物哀しい。 伏線が多く、7編すべて読み終えると『ホテルローヤル』が生きた時代が見えた気がしました。

    1
    投稿日: 2018.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何かもっと「ラブホテルの裏側」とか「珍事件」的なものかと思ったら違った。 唯一感情が揺さぶられたのは『星を見ていた』 ミコには幸せになって欲しい。

    1
    投稿日: 2018.03.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    桜木作品また読んでしまった。まとわりつく湿気感のようなものが来ると分かっていながら…好きなのだな。 短編集でありながら少しずつ繋がっていて、現在から過去に遡っていく組み立て。再読みは反対から行ったら面白いかも。

    1
    投稿日: 2018.03.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全部で7篇から構成される、連作短編小説。ラブホテルを主軸に、様々な男女の関係を描いていく。劇的な描写があるわけではないが、徐々に各々の作品が繋がっていく感覚が面白い。絵私が心を惹かれたのは、4話目の「バブルバス」

    1
    投稿日: 2018.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み始めてすぐに意表を突く上手い表現に出合う。あれ?と裏表紙を見たら直木賞作品でした。少し前に古本屋で見かけて何となく手を出した本。桜木紫乃さんは浅学にして初めて知った作家さんでした。 釧路湿原の傍らに建つラブホテル・ローヤルを舞台にした連作短編集です(時間軸はバラバラですが)。舞台が舞台だけに性愛をベースにした短編が多く、中にはちょっとその設定には無理があるでしょうと思えるものもありますが、陰湿なものやカラりとした感じのものなど色々なバリエーションがあり、読み応えがありました。 調べたら桜木紫乃さん、父親が同名のラブホテルを経営していて、15歳の時から手伝っていたという経歴をお持ちのようで、この作品の登場人物の一人・雅代に重なるようですね。なかなか面白い作家さんのようです。

    1
    投稿日: 2017.10.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    北海道の釧路湿原を臨むラブホテルを舞台として、決して栄えているとは言えない地方都市の市井の人々の生活を描き出す連作短編集。 ここに描かれる人々は世間的な意味合いで言えば決して幸福とは言いにくい部類であり、その生活の様子は同じく北海道の地方都市である函館を舞台に優れた作品を生み出し夭折した佐藤泰司に通じる世界観を感じさせる。そうであるがこそ、本作のなさそうでありそうなリアリティが痛々しい。 7つの連作はラブホテルが廃業し廃墟となったところから始まり、徐々に登場人物の関連性を描きながら、ラストはその開業にまで遡る。そのプロットの絡め方の巧さと丹念な文体は小説として高い完成度を誇る。

    1
    投稿日: 2017.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寂れたホテルローヤルを中心にいくつものストーリーが。 どの話も少し世捨て感覚があって、そのせいかうら寂しいホテルの様子が見たかのように鮮明に。 著者が狙った通りなのかも。

    1
    投稿日: 2017.09.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とあるラブホテルを取り巻く人たちの話。 桜木紫乃さんはこれが初見。端的に分かりやすい文体ながらもズバリと確信を突く鋭さが気持ちいい。 じっとりとした物悲しい雰囲気で初秋に読むにはぴったりの雰囲気。

    1
    投稿日: 2017.09.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この小説は、釧路が舞台だからよく映える。 廃業したラブホテルを舞台に、男女のやり取りを描くオムニバスである本作。 かつて漁獲高日本一を誇ったのに、今はいまいちパッとしない釧路市。(夜の釧路駅前に行くとその雰囲気がよくわかる) それと廃業したラブホテルという最高に物寂しい雰囲気がよくオーバーラップしている。

    0
    投稿日: 2017.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    知人のオススメにゃ 1話目で小生には合っていないと感じたにゃ 乗り物酔いみたいに苦しく読了したにゃ 分からんじゃにゃいけど 悪しからず もとも子もないこと言ってしまうとにゃ ホテルローヤルで、各話が繋がってなくていいにゃ 短編集にするには、1話1話がどぎついにゃ とは言え、これは受賞作にゃ 小生の戯れ言にゃははは

    1
    投稿日: 2017.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「そうか、俺、かわいそうなのか」(せんせぇ) 北海道の小さな町にある、今や廃墟となったラブホテル。前7編の短編からなるこの本は、時間の流れが現在から過去と逆になっている。非日常を求めてラブホテルに来る人々、またラブホテルを経営する人々、どちらからも日常の悲壮感が見えてくる。話を読み進めると、かつては夢と希望をもってホテルが建てられたこと事がわかり、より全体の悲壮感が強まる感じがする。描写には無駄がなく、正確に描かれている。登場人物の葛藤などは、読者に委ねられているところが大きい。

    1
    投稿日: 2017.08.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ゲオで80円で買って、ブックオフで30円で売れたのが面白かった。 気持ちの感じ方がわからないおばさんが出てきて、その感じにすごく共感したけど、おばさんみたいにキチンと生きられないなあと悲しくなった。 全体を通して、こんなことを感じながら生きるのはつらいなあと思った。 そこから距離を保つために、書いたり読んだりするのかもしれないと思った。

    0
    投稿日: 2017.07.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテルが舞台とは知っていたので読み始めて一作目で舞台のホテルが廃業していて驚いた。 その後読み進めて時間がどんどん過去に巻き戻っていっていて、構成が面白いなと思った。 最後の最後でホテル開業のきっかけとプロポーズですからね。 作品としては『星を見ていた』の働く60歳女性の姿がとても健気で、しんみりとしてしまいました。 残念ながら他の作品はあまり好みではなく..... しかし細かな表現が好きだったのでこの評価としました。

    0
    投稿日: 2017.07.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    現代小説を読んだのはいつぶりか。表紙の陰気なイラストになんとも惹かれるものがあって手にとった。文学賞の話題には疎いので、直木賞受賞作と知ったのは読み終えてからのこと。わたしは女という性に育ったためか、女性作家の書いた小説を特別贔屓目にみてしまう傾向にあるが、そのエゴを引いてみたとしても、『ホテルローヤル』に描かれた物語には妙なリアリティがあって、登場人物たちが重ねる身体の熱とつたる汗が紙面からわたしを捉え、エロスのもつ無欲な欲望に嫌悪感と羨望とをおぼえる。人は抗えない。どんなにとりすましてみても、みな欲望のはけ口を探して生きている。露骨な描写が、読者に潜む野生性を暴く。 第1話、「シャッターチャンス」。撮影者と被写体は、絶対的な主従関係にある。視線とは暴力である。物語の主人公である美幸が感じた寒気は、サルトル『水いらず』のリリュが感じたそれに似ている。長くなるが、以下に一節を抜きだそう。 ー男がひたすら写し続けている亀裂の内側に、どうあがいても埋められない空洞がある。美幸はそこに何が潜んでいるのかを確かめたくて、自分の指先を沈めた。すべての音が消えて、男の喉仏が上下する。空洞は、男の欲望のかたちをただ忠実に内側に向かって広げているだけだった。ー この1話が、全体を通してもっとも芸術的で美しく恐ろしい。物語の軸となるモルタルでできた安っぽいラブホテルが、男女の偽善を露呈させる。女に穿たれた穴と、まるでその穴をもとは埋めていたような男のそれは、互いに空虚を埋めようと無意味に求め合う。それでも人は、愛などという掴めない幸福を馬鹿正直に信じて、身体でなく心が繋がることを夢みている。 どこかにこのホテルはあって、登場人物たちもどこかで生きているのではないか。そう思わせる筆致の繊細さが美しい。ページが呼吸する。これは素晴らしいという壮大さはないが、魅力のあるスタイルで、非常に好印象をもった。

    18
    投稿日: 2017.06.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第149回直木賞受賞作品。 釧路湿原を見下ろすラブホテルが舞台。ホテルの開業から、閉鎖~廃墟になるまでの時間軸が現在から過去に向かって逆に構成され、まず廃墟で写真撮影を行うカップルのやりとり『シャッターチャンス』他、全7つの短編で構成される。取り巻くホテルの従業員、その家族、納入業者、利用者達。わざとらしいレトリックも少なく、淡々と状況を描写していくスタイルがその空気感・埃っぽさが伝わってくる。

    1
    投稿日: 2017.06.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めて桜木さんの作品を読みました。読みました、が、後に残らない感じです。ラブホテルに纏わる人々の悲哀、にしては軽い気がするし、官能的かと言われるとそうでもないです。どんなテンションで読んだらいいのか戸惑いました。「星を見ていた」が1番好きかな。この短編集がそうだったかもしれないので、他の作品も読んでみます。

    0
    投稿日: 2017.06.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ずっと読みたいと思っていた本。 こういう構成の本は好きです。 単なる短編集は少し苦手ですが、ストーリーが少しずつ繋がっている本書のようなのが好みです。 人は人を愛することで 生きていられるんだな、と。 周りがどう評価しようと、 自分が正しいと思うことを 正々堂々とやっていく そんな風に生きたいと 思いました。

    2
    投稿日: 2017.06.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    私にとって2冊目の桜木作品 前の蛇行する月を読み終えてすぐ手に取ったが こちらも2日で読了。  読むのが遅い私なのに 桜木作品は2冊とも2日で読了した 引き込まれているのかな(笑) 直木賞のこちら 蛇行する月と同じくチェーンストーリー 解説にもあったが現在から過去へと繋がるストーリーに 面白さを持った ホテルローヤルを軸に様々はストーリー 「星を見ていた」「バブルバス」は特に気に入った 「星をみていた」の和歌子と蛇行する月の順子の 生き方が似ているなーと思った。 2人とも幸せになって欲しいが決して幸せにならず これでもか、と不幸な出来事がやってくる それでもなお幸せだと思えているだろう2人が好きなんだと思う

    0
    投稿日: 2017.05.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    釧路の湿原を見下ろす場所にひっそりと佇むラブホテルを舞台にした、連作短編集。 少しずつ物語を交差させながら、時間を遡ってゆく見事な構成。 読後もかなしいような、やさしいような、不思議な余韻がつづく。 川本三郎の解説で、より一層この小説の深みを感じられた。

    2
    投稿日: 2017.05.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞作。収録されているのは『シャッターチャンス』、『本日開店』、『えっち屋』、『バブルバス』、『せんせぇ』、『星を見ていた』、『ギフト』の7編。舞台となっているのは「ホテルローヤル」という名のラブホテルです。各車庫の前に部屋の入り口が並ぶ、いわゆるワンガレージ・ワンルーム型。 ホテルローヤルが潰れてから数年経過したとおぼしきときから話は始まります。廃墟と化したホテルに侵入し、ヌード写真を撮影しようとする男に渋々ついてきた恋人の女性。そこから話は徐々に遡り、オーナー亡き後、その娘がホテルを閉めた日の話。まだホテルがじゅうぶんに機能していたころ、従業員として働いていたパート女性の話。この地にホテルをオープンしようと意気込んでいた男性の話へ。 北の湿原を見下ろすラブホテルで、廃墟から遡って夢あふれていた過去へと続くのが切なく、心に響きます。桜木紫乃の紡ぐ物語は生々しく、身も凍えるほど冷たい。けれど、人々がそんな生活のなかにぬくもりを見出していたころの情景が目に浮かび、大好きです。 映画の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/b99cec5754cafe8e08291605a5067854

    1
    投稿日: 2017.04.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    誰もが直視したくないものを抱えている。 考えないこと、見ないことにしたいものがある。 毎日を生きるには、心を鈍感にして、ちょっと希望を抱きながら過ごすのがラクなのかもしれません。 自分の心を鈍感にする、そうやって自分を守っていた事を思い出させるストーリーでした。 好き嫌いの好みは分かれそうですね。

    1
    投稿日: 2017.04.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まず、タイトルがいい、『ホテルローヤル』。老舗ホテルとも、街中の安ホテルとも、ラブホテルとも、ペンションとも、何とでもとれる。そしてその想像の背後には、「ホテル」という一つの場所に集う人々の姿がある。どんなホテルに、どんな人々が集い、どんな人生の一場面を見せてくれるのか…そんなことに思いを馳せた時点で、読者は既にこの作品に惹きつけられている。(実は、表紙の絵もとても良い。この作品にふさわしい空気を漂わせていると思う。) 短編集、ではあるけれども、それぞれが密やかにつながっている。大きな起伏はない、のだけれども、淡々としたなかにキラリと光る人間味がある。読みながら、こちらも、自分の日常をふと振り返ったり、また、例えば今喫茶店でとなりの席に座っている男性にはどんな日常があるのだろうか、などと想像の翼を広げてみたりして、珈琲を楽しむような気持ちで「現実」とか「日常」を振り返ってかみしめることができる。 面白いのは、読み進めるにつれて、時間が遡っていくということ。今はもう廃墟と化したラブホテル。でも、もちろん、廃墟となる前にはきらきら輝いていた時期もあったはずだし、それなりのドラマもあったはずだ。その、儚い煌めきの部分を逆に辿っていくというスタイルが、寂しさや哀しさ、人々の想いのせつなさをノスタルジックに際立たせてくれる。過去に遡るのだから、良い意味で、生々しさはない。設定にはやや無理を感じる部分もあるのだが、まぁ、許容範囲内かな。 性と生は切っても切り離せないもので、でも、どちらも真正面からぶつかる話題ではなくて、普段はあまり考えないように過ごしがちだ。だから、ラブホテル、は、なんとなく敬遠される。でも、そこにこそ、本質的な何かが隠されていたりもする。それを、大仰にではなく、さらりと優しく書ききったのは、まさに作者の感性の賜物なのだろう。

    2
    投稿日: 2017.04.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    北海道って行ったことないんですけど、こういう土地勘のある感じの小説好きです。 京都が舞台の森見さんの小説みたいに。 ホテルローヤル、なんかラブホの話らしいっていうのは聞いていたから、エロいんだろうなとは予想していたけど、なかなかどうして、そのエロさが斜め上をいってました。 表現としては直接的ではないんだけれど、妙に艶っぽいというか、とてもパンチラ的なエロさでした。 物語は、時間軸も登場人物もバラバラだけれども、どこかでホテルローヤルに繋がっているって作りで、全7編です。 伊坂さん好きとしては、この構成も自分好みでした。 全体の感想としては、大概こういう作りの小説って、1編くらいはあんまり好きではないのがあったり、逆に1編だけ妙に好きなのがあったりするもんだけれど、本作に関しては全部面白かったです。 全7編を通してホテルローヤルの一生みたいなもんが分かる仕組みになっているから、バラバラのストーリーを読んだはずなのに、不思議と1つのストーリーを読んだような感覚になります。 それと登場人物、、、なんだかみんなじんわりと駄目なんですよね、、人として、性分として駄目、女として、男として駄目、とにかく出自が駄目、、もういろんな人の"駄目"がラブホの背徳感と入り混じって、もうなんだろうこのドキドキは、っといったような小説でした。

    2
    投稿日: 2017.03.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。けどとても悲しかった。どの話も登場人物のこれまでとこれからを読み手が想像することができる余韻が残っていて、だからこそそこで希望を生み出したくなる。 先生と女子高生が死ぬまでにどんな会話をしたのか。多分湿っぽい最期じゃなかったと思うけど、その時になって先生には奥さん、そして女子高生の親は本気で後悔して欲しい。このふたりの話が一番好きだった。

    0
    投稿日: 2017.03.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞ということで、いつかは読みたいと思っていた。 が、期待ほどではなかった。 一言で言うなら惨めな読後感。 登場人物が皆、現代に生きているとは思えない。

    1
    投稿日: 2017.03.01
  • るラブホテルを舞台にした短編集。

    北海道にあるラブホテル「ホテルローヤル」を舞台にした7編の短編集。第149回直木賞受賞作。 話を経るにつれ、過去へ遡っていきます。 軽い文体で読みやすいですが、内容はしっとり。心地よくジワジワ染み込んでいきます。 読み返すと、受け取り方が変わって、2度面白いです。

    2
    投稿日: 2017.02.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    テーマがテーマだが、悲壮感が漂っていて情景が思い浮かべやすかった。 解説部分もシンプルで読みやすかった。

    1
    投稿日: 2017.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    男も女も体を使って遊ばなくちゃいけないときがある、という文章がなぜか頭に残っている。ラブホテルにおもちゃを卸す通称えっち屋さんという人がいるのだが、魅力的な人だった。真面目な銀行員みたいな人が駆け落ちとかして身を持ち崩してえっち屋さんに。えっち屋さんは妻とからだを使って遊んでいるのだろうか。なんて、考えちゃう。魅力的な男の人でした。

    1
    投稿日: 2017.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最初それぞれが独立した話なのかと思いきや、絶妙に関連していて時間軸も行き来してて単純に楽しめた。もう一回読み直してもまた新しい面白さがあるかも!良本!

    2
    投稿日: 2017.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテルが舞台となっている短編小説。ラブホテルだけに、日が高くても夜を求めてくるお客をはじめ、ホテルの管理人にもスポットを充てた、人間ドラマが詰まっている。ラブホの日常と言ってしまえばそれっきりかもしれないが、男と女のなれの果てが見えてくる。

    1
    投稿日: 2017.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    桜木紫乃さんを知るきっかけになった本を、ようやく読んだ。 言うまでもなく物語の中心には、ホテルローヤルがある。 北国の湿原を背に建つこのラブホテルの、建てられた時から廃業して廃墟になった時までを、様々な組み合わせの男女を通じて描いている。 7編の短編の時系列はバラバラで行ったり来たりするし、ホテルローヤルとの関わりは薄い人物も出てくる。だけどやはりその中心にはホテルローヤルがあって、こことここが繋がっている、と気づくのがとても面白い。 桜木さんの短編集はこれまでもいくつか読んでいて、1人の人間が中心になっている連作短編集は数冊読んだけれど、中心に建物があってそれを取り巻く人々を描く、というのは興味深かった。 その建物が活用され生きていた頃と、時が過ぎて使われなくなり死んでしまった後と。 建てられた頃のお話が最後に収録されているから、最後の最後に胸が切なくなる。そこには明るい未来が見えていたはずなのに、って。 男女の関係はいずれも何だか淋しい。 愛情の見えない欲望があったり、しかしそれを果たしきれなかったり。 打算とか妥協とか、本物の愛だと思っていたものがいつしか消えてしまうこととか。 舞台がどこか後ろ暗い場所だから、淋しさが増すのかもしれない。 解説に「桜木紫乃の文章は的確で、冗長なところがない」とあるのだけど、それはまさしくそうだと思う。 無駄や回りくどいところはないのに、人の心理をずばっと突くような描写に溢れている。 貧しい夫婦がとあることで浮いた5千円をラブホテル代に遣うくだりとか、浮いた理由が理由だけに罪深さもあって凄まじいと思ってしまった。 今のところ、桜木さんの小説は、外れだと感じたことがない。全部面白いっていうのも、すごいことだと思う。

    8
    投稿日: 2017.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    暗くて、ジメジメして、やることやる為だけの場所、っていうイメージが、古い映画や小説に出てくるラブホテルにはつきまといます。 それが今や、サウナに入れたり映画も観れたりカラオケだってできちゃうんだから、変われば変わるものですね〜。女性客つかむ為に必死だねーって話しながらコスプレは断固拒否したっけなァ←← というわけで、本作の舞台となるのは、ラブホテル・ホテルローヤルです。 ラブホって、普通のビジネスホテルやリゾートホテルより余程設備やサービスが充実してると思うんですが、本作のホテルローヤルは、そんなエンタメ性を微塵も感じさせない昭和のレトロ臭を漂わせています 廃墟となったホテルローヤルで撮ったヌード写真を元手に、写真家として成功しようと目論む男とその恋人(シャッターチャンス) ホテルローヤルでの苦い思い出がある、住職である夫の為に檀家の男達に体を開く女(本日開店)。 ホテルローヤルの最後を見届ける、開業者の娘(えっち屋)。 ホテルローヤルで過ごした真昼の2時間 を、宝物のように思い出の中にしまう妻(バブルバス)。 ホテルローヤルでやがては一緒に命を絶つことになる教師と生徒の何もなかった一夜(せんせぇ)。 ホテルローヤルで清掃員として働くパートの中年女性(星を見ていた)。 そして、ホテルローヤルのオーナーである男が、ラブホテル建設にかけた夢(ギフト)。 廃墟となったホテルの姿が冒頭で描かれ、以降の短編集は時を遡っていく構成で配置されているので、救いのない終わりから物語か始まるスタートに向けて展開していくのが面白い。 ホテルローヤルという建物と関係者が迎える悲劇的な結末が見えているから、救いはないはずなのに、最後の最後で登場人物がホテルに活路を見出す姿は希望に溢れています。 終わりが分かっているのに、そんな彼らを悲しくも愛しいと感じるのは、人の一生を「幸福」「不幸」と一言に一元化できない故でしょうか。

    2
    投稿日: 2017.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この作品を読んで頭に浮かんだのは、なぜか『喜怒哀楽』。物語に『起承転結』があるように、『喜怒哀楽』があってもいいんじゃないかナ・・・と感じてしまった。 どの作品にも「哀」を感じるばかりで、読んでいて苦しくなる。 読み終わった後の感想をひと言でいうと「疲れた」。 私には、ちょっと合わないみたいだ。

    1
    投稿日: 2017.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一つのラブホテルを舞台にした短編集。 何気なく建っているラブホテル一つ一つにも、それを取り巻く人の物語があると思うと考えさせられた。話はそれぞれ独立しているが、背景で繋がってる部分も多く、物語が過去に向かっていく構成が良かった。最後の「ギフト」を読み終わったあと、何とも言えない切なさが残った。

    1
    投稿日: 2017.01.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全般に暗い陰鬱なストーリーではあるが、なぜか心に染みる。 登場人物たちが、微妙にリンクしているのも面白い。 個人的には『えっち屋』〜『星を見ていた』が好き。人間は孤独でひとりは辛い。自分ひとりで足を踏ん張って立っている。でも気付かないところで支えがある。 地味でパッとしない冴えない日常にも、他人にはわからなくても、小さな幸せを感じられる瞬間があると信じたい。

    2
    投稿日: 2017.01.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2話目でやるせない気持ちになって、読み進めるのを少し躊躇しました。 段々こういう世界もあるんだなあと受け入れて、おもしろく読みました。 北海道が舞台という事で、大自然の大きさみたいなものが登場人物の人生の過酷さを包み込むような感じで緩和してるというか、慰められた気がします。

    1
    投稿日: 2016.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    過去に話が戻っていくのはなかなか面白い。女子高生のムートン、そこまで描写するほどだっけ?昔過ぎて思い出せず。とかくジリ貧だった。

    0
    投稿日: 2016.09.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでいくと少しづつわかってくる歴史が少しづつ夢の始まりに近づいていって、人の禍福は糾える縄のごとしだなあと感じた。

    1
    投稿日: 2016.09.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞受賞作。ラブホテルのホテルローヤルを軸に据えた7本の短編。登場人物同士につながりは殆どないが、ホテルローヤルが何かしら舞台として登場してくる。また、物語の並びも現代から過去へさかのぼる形で描かれており、ホテルローヤルは現在は廃墟になってしまっているところから始まるため、全体を通してどの物語も先々うまくいかないんだろうなぁという余韻を残している。登場人物にしても幸せそうな人間は全く出てこない。なんだか切ない感じだけとも、それこそがドラマではないリアルな現実のような気がする。 結末はわかっているのに、最後の「ギフト」に描かれるホテルローヤルの開業はうまくいってほしいなあと思わざるを得ない。 とても心に残る作品であった。

    1
    投稿日: 2016.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直木賞とったので読んでみた。 はじめは表現もキツイし、あんまり好みじゃないなーと思っていたけど、「せんせぇ」あたりからジワジワときた。 最後は妙に切なく何とも言えない気持ちに。 他の作品も読んでみるかな。

    0
    投稿日: 2016.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひとつの建物を中心にいくつも話がかけることがすごい! と、思う一方… 評価★★なのは、私には合わなかっただけです(ToT)この手の本ってなんだか気分が沈んじゃって… でも!釧路(行ったことないけど…)の土地の雰囲気や情景が浮かぶし、それぞれのキャラクターの気持ちも分かるし! 他の作品も読んでみたいと思いました(*^^*)

    1
    投稿日: 2016.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1618 第149回直木賞授賞作品。人間臭さと生活臭が非常に生々しく感じました。時間を遡る書き方により、後から繋がる過程が面白かった。

    1
    投稿日: 2016.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    やや納得出来ない話の展開がある。 サイコパスとはいえ、本城の動機や行動が不可解。 千葉が自転車を超人的なスピードで漕ぐ設定は無理がある。 なぜ本城を無理やり20年生き続けることにしたのだろう? 前作の方が短編集だったので、ストーリーに無理がなくすんなり受け入れられた印象がある。

    0
    投稿日: 2016.08.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ラブホテル「ホテルローヤル」をとりまく人間劇。 非常にしっとり暗いテイスト、でもほんのり優しい、そんなイメージ。北海道の釧路湿原というのがそういうイメージなのだろうか、と勝手に思う(行ったことがない)。 ラブホテルって普通、どういう使われ方をするのだろう。人間いろいろ、感じさせられます。

    1
    投稿日: 2016.08.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    釧路にあるラブホテル、ホテルローヤルに関係する人々の短編集。廃墟になったホテルローヤルから始まり、ホテル最後はホテルローヤル開業前に話が遡っていく。終始明るさの無い、もの悲しさが漂い、人間臭い話だった。

    0
    投稿日: 2016.08.06