
総合評価
(736件)| 120 | ||
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powered by ブクログ読み終えてから、また1番最初のページを読み直したとき、よかった。 昼間に見る太陽の光やそれが作る影が好きで、夜に見える人が作った光はそんなに綺麗じゃないと思ってたけど、この小説を読んで、夜の帰り道にいろんな光を眺めたら、とっても綺麗だった。
4投稿日: 2020.07.13
powered by ブクログよくおすすめされていた本。表現が美しくて綺麗なんだけどなんだか深くてちょっと難しくて1ページにつき2回くらい戻し読みしてた。。 . -メモ- 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろう。」「真夜中には世界が半分になるからですよ。昼間の大きな光が去って、残された半分がありったけのちからで光ってみせるから、真夜中の光はとくべつなんですよ」
0投稿日: 2020.05.29
powered by ブクログ芥川賞受賞作品「乳と卵」や「わたくし率イン歯ー、または世界」のような関西弁でクセの効いた作品こそ川上未映子のエッセンスが凝縮されているのだと思う。けれども自分はこの作品や「ヘヴン」の方が内面を強く揺さぶられて好きだ。この作品の主人公 冬子は自己完結型の人間であまり自分の外の世界に関わろうとしない性格である。自分も心の片隅にそのようなきらいがあるので、少し感情移入が出来る 。 冬子はフリーランスの校閲者として変わり映えのしない生活をし続けている。そんな生活の中で冬子とは真反対の性格をしている友達の石川聖との付き合いや初めて恋をする相手の三束さんとの出会いによって起こる冬子の心情の機微をまるで自分の出来事のように感じとれた。終わりにかけての展開や心情描写などが秀逸で、特に聖が冬子の内面について言及している部分は自分が責められているかのように感じられて心に響いた。 「楽なのが好きなんじゃないの?他人にはあまりかかわらないで、自分だけで完結する方法っていうか。そういうのが好きなんでしょ」 他にも聖の言葉で心に刺さる箇所がある。それは中盤あたりなのだが、自分が感じる嬉しい、悲しい、不安や面白いなどの感情が今までの人生で触れてきた文章やなにかの引用なのではないかという部分である。100%そうとはさすがに言えないけれど、どこか思い当たる節がある人もいるのでは無いかと思う。日常生活を過ごしていてハッ気づくとなにか他人のように自分のことを見つめているような感覚。自分の内面と向き合う機会を与えてくれた作品
9投稿日: 2020.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この間の休みにブックオフの100円コーナーで見つけた本です。川上未映子の本は初めて読みましたが、会話してるセリフが生身の人間のセリフっぽくて引き込まれました。主人公が想いを寄せる男性との触れたらすぐに崩れてしまいそうな関係が繊細に描かれてます。普段読まないジャンルだったので、買って良かった。
0投稿日: 2020.05.16
powered by ブクログ35歳の主人公の女性が初めて恋をした50代の男性とレストランで食事をするシーンの緊張感が生々しくて、キモさと尊さが同居した気持ちになりました。
1投稿日: 2020.05.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私も誕生日の夜に散歩した経験があったので読み進めていて驚いた。とても綺麗な、今にも壊れてしまいそうな儚い文章だった。
0投稿日: 2020.05.12
powered by ブクログ真夜中に、 視界が翳む湿った匂いがするような道を、 月を見上げて歩く時間は、 前からとても好きだったのだが、 なんだかさらに、好きになった。 夜は、五感が研ぎ澄まされる気がする。 夜に会うと、魅力的に見えてしまう。 本能が嗅ぎ分ける筈なのに、判断は少し鈍くなる。 まるで頭で考えることを辞め、身体に委ねるかのように。 酔った主人公は、ますます、鋭さと鈍さの行き来を愉しんだのだろうか。 愉しんでいた意識は無いだろうけど、 逃げだったか、精一杯の勇気だったか、 しかし、溺れ方を見ると、そんな気もした。 光で始まり、光で終わった。 光の陰翳や、夜の街の湿度、相手の息遣いまでもが、 じんわりと脳裏に浮かぶ著者の繊細な文章力に圧倒された。 丁寧な描写で、静かに、主人公の心情の移り変わりと、好きな人との隔たりが語られる。 目の前の届きそうな距離にいるのに、 決して、触れることの出来ない間がある。 だからこそ、手を伸ばしたくなるのだろうか。 なぜ好きだと伝えたくなるのだろうか。 その先に何も無いことを知っているのに。 知らないふりをしたいのかもしれない。 いや、知っているからこそ、自分の心の整理のためなんだろう。 中学生みたいな、純粋で、一方的な「恋」に共感する。痛いくらい。 そう、仕事のし方も、友人の指摘も、過去の恋愛もどきも、理解できるから、痛い。 描かれるのは、光、なんだけど、 心に水が染み込んでいくような読書体験。 穏やかな漣のような。 静かに、儚く、でも、消えずに残る淡い思い出。 思い出は、澄んだままだ。 沈んだ澱のような感情を穿り返す必要はない。 前に進むだけ。 しかし、自分の中の、 目を背けてきた感情をぐさぐさと突いてきて詳かにされた。 小説とは、こうでないと。 生き方を考えさせられ、襟を正したくなる本。 ぜんぶ読んだ後に、このタイトルに唸る。 余韻に浸る、綺麗な言葉の響き。 夢は闇夜の間だけ。朝になると、消えてしまうかもしれない。 言葉って、すごい。 こんな風に、夜を優しく語れる人は、どんな人生を歩んできたのだろう。 出会ってみたい、ような、みたくないような。 彼の全てを知らないままで良かったような。 消えてしまうのが惜しいから、会わないことを選んだのだろうか。 数年前に読了した感想。いつかまた読み直したい。
4投稿日: 2020.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
切ない。普通であれば幸せのゴールとして描かれるであろうレストランデートで何かを失ってしまったかのような描写がリアルだった。でもあのシーンがゴールじゃないところに意味があると思った。思い出って何のためにあるのか。
0投稿日: 2020.04.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あ、これ、好きだ。 止まらず読む。彼女の作品の中でいちばん好みでした。 なんかちょっと村上春樹の匂いも感じる。 ショパンの子守歌のCDは、辻井伸行のdebutだきっと。 にっこりと笑ながらの「人生の登場人物じゃないから言える」に、がつんと頭を殴られる。 聖とのやりとりに、静かに傷つく。くらい気持ちになる。うまく息ができない。 それから。 真夜中、でも白い明るい、美しい光のイメージ。 ショパンみたいな。 余韻。 美しい恋愛小説。
1投稿日: 2020.04.23
powered by ブクログ人と関わることが苦手で、仕事は家で一人で黙々とし、友達と呼べる存在もいないアラサー女性が出会った二回り上の男性との初めての恋。 校閲の仕事をしている主人公なのに慣用句の使い方が間違っているところで、すっと冷めてしまいました。 感情的になっているせいか、酔っているせいか、文章は平仮名が多く、改行や句読点が少ないので読みにくさを感じました。 主人公を含め登場人物の誰もが嫌な感じがあり、人間だからそんなものかもしれないけれど、全体的に暗くぼやけた印象でした。
1投稿日: 2020.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2人の女性は対照的でありながら、それぞれどこか共感できる部分があり、最後泣きながら本音で語り合うシーンには思わずぐっときました。 文章が繊細で表現力が素晴らしく、文字が絵として浮かんでくるようでした。
0投稿日: 2020.04.19
powered by ブクログどの登場人物にも共感できるところがあった。 三束さんの「光」についての説明がすごく印象に残っている。「光」って良いなと思った。この部分は何度でも読み返したくなるほど良い文章だなと思った。 全体的に暗い話で大人な話だなと思った。自分には理解できない部分もあったりして読み終わった今、何かムズムズしている。
0投稿日: 2020.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「あなたはぼんやり生きているように見える。私は対価を払いながら生きている感覚があるもの」 そういう主人公の友人にとても共感した。
0投稿日: 2020.04.12
powered by ブクログ真夜中はなぜ、こんなにもきれいなんだろうと思う という1行目の言葉が素敵で惹かれて読み始めた 表現のしかたが上手くて、想像しやすく言葉がとても綺麗だった 話の流れがゆったりしていて、主人公の冬子はなかなか踏み出せない、言葉にできないところが多いから、焦れったくなってしまい、集中力が持たなくて時間を空けないと読めず、一気に読めなかった
0投稿日: 2020.04.05
powered by ブクログ引っ込み思案で不器用。冬子は多く語らない代わりに、心情が痛い程伝わる繊細な描写の数々。冬子の人生の登場人物達と、三束さん。それぞれの小さな光が交差する、現代の神話の様な物語。何度も胸が詰まりました。
2投稿日: 2020.03.28
powered by ブクログアル中の主人公にどちらかというと好感が持てなかったけど、 疲れて疲れて何もやる気がない時にぼーっと読むにはいい本かもしれない
0投稿日: 2020.03.27
powered by ブクログ就活みたいなので出会う話 男は高校の先生 女は水筒に酒を入れて持ち歩く 喫茶店で会う 男は実は無職だった なんだかよくわからないけど、あまり好きではなかったな
0投稿日: 2020.03.11
powered by ブクログ自分の思いを表現できないのは自分だげじゃない。すぐそばにいるあのひとも、このひともそうなのかもしれない。弱さはさらに弱きものを叩きのめし、自分は弱くはないと思いたいのかもしれない。一方、叩きのめされたものは、さらに弱くなり、思いを抱え込むのだろう。でも、そこから這い出るのは心の奥にある強い思い。その思いを吐き出すことができたら、何かが変わるんだろう。
0投稿日: 2020.03.07
powered by ブクログ人を好きになって恋をする。何気ない幸せ。素直になることや伝えることが苦手な主人公がある1人の男性を好きになることで動く心の描写が繊細に描かれている。穏やかで大切な人を思い浮かべながら読みたい本です。
0投稿日: 2020.03.06
powered by ブクログおいキミ、それは明らかに恋だよ、と何度も声をかけたくなる。でも彼女は気付いていない。なぜならそれが初めての恋だったから。 人間くさくて傷つくけど、時折戒めとしてぶつけられたい言葉の数々。毎年誕生日には雪が降る。私も真夜中の散歩してみようかしら。
0投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
川上未映子作品初挑戦。 正直恋愛ってご無沙汰してたし、キュンキュンドキドキ小説には最近触手が向かないのでどうかなぁと思ったけど、これは純文学の仕上がりですわ。 人との関わりが淡白で人生流されて生きてきたという主人公が、本気の恋に目覚め恋に苦悩する姿が捉え方を変えれば非常に明るいニュアンスで表現できるだろう心情も、内省的で叙情的に書き記されていて心の深いところで物語を受け止めることが余儀ない。 大人の恋愛という括りよりもむしろ、純粋な少女の初恋を辿っているようなあどけない、儚い思いが胸に打つ。 聖とのバーでの会話、典子の夫婦に関する会話と人間の多種多様性、つながりの難しさを答えなんか無いけど自分の価値観に沿って付き合うしかないという諦観、なんとも言えない危うさた漂う内容に、川上作品における人生観を感じた。 もちろん、他の作品にも挑戦したいと思わざる負えない魅力的な作家だな。
0投稿日: 2020.02.16
powered by ブクログ川上未映子さんの長編、昔読んだものを再読。 川上さんの書く女性って、不器用な人が多い気がする。どこかヒリヒリして、自分とは違うなって思っても、どこかあぁ、わかるってなったり。 決してハッピーエンドではなかったかもだけど、これはこれで、素敵だなって思ったり。 人は、素敵な思い出が一つでもあると、それを支えに生きていけるような気がします。
0投稿日: 2020.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
きみは赤ちゃんで言及されていたので購入。初川上未映子と思って読み終わり、感想を書こうとブクログ開けたら既に感想が書かれてて超ビックリした。どうやら自分の書いたっぽい感想だし、記憶喪失?!乗っ取られ?!何?!と思ったら7年前に図書館で借りて読んでたらしい!!!全く記憶になかった。ブクログ面白い。 そして、7年前の私とは少し感想が違う。ブクログに書き留めていてよかった。 7年前と同じく、読むのしんどかった。進まなかった。アル中ぽいのも嫌で。そしてやたらと口の中に関する描写が出てくる。 最後にいきなり聖が意地悪バリバリ発言してきてそれも読むのが辛いし。 7年前の私はこれは恋愛ではない、少し接触のあった異性にしがみつくのは醜いというようなことを書いていて。そこは少し受け止め方が違うかな。三束さんと冬子の間に気持ちの繋がりはたしかにあって、支え合える者どうしというか、その時その時でお互いに良い関係を結べるヒトどうしというものが存在する。 まあでも7年前の感想読んだら、冬子側だけを見るとそれはそうだなと思うな…でも醜くても、その時のその人にとっては大事なことだったりするわけで。 しかし結局まとめると、あまり好きではない。 残念ながら、わたしにはよく分からない。 帯に「究極の恋愛」って書いてあるけど、それは意味がわからんな。というか帯の文句として「究極の恋愛」って安易すぎて書かない方がマシでは。 典子とか聖とか、嫌な感じだけど、冬子みたいな人に対してそういう接し方を、程度こそ違えど、自分もしてしまうのではないかとなんだか怖い。そういう人っているよね。
0投稿日: 2020.01.21
powered by ブクログアディクション。 読み始めは不器用で生きるのが少し下手な主人公の物語だった。 どこか疎外感を感じ、なぜか周りの人と比べて自分は普通ではないかもしれない、選択をするのが怖いと感じている。 校閲の仕事は物語を読まず、自分の言葉も持たず、ただ間違いを修正していく。 この物語の主人公は自分の言葉をもたいない女性である。 だからこそ彼女は言葉が出にくい友達、典子を、高校の頃に得たのかもしれない。 『「きっとね、わたしの声帯はたぶん奇形なんだよ」』(p.168) やがて、様相が一変する。飲めなかったはずの酒をキッチンで、日本酒を水筒に入れ、怖くなるとそれを煽るようになる。 症状に、主人公についていけない。 思えば、アルコール依存による幻覚体験が文字に浮かぶという事で現れていたのかもしれない。 そのうちに、ある男性との出会いによって症状はいつの間にか消失する。 劇的な物語ではなく、どこか静かな空気が流れる物語である。 静かな中で、ゆっくりと自分の選択をする。あくまでも、ゆっくりと自分のペースである。 そしてようやく自分の言葉が出される。 『わたしはひとつひとつの音をたしかめるようにして言った。まるで自分に言いきかせるような言い方だった。』(p.337) 最後のページで、自分の言葉がしっかりと刻まれた。 この作家の物語は一番最後のページでいつもぷるぷる震えてしまう。 しかし、『乳と卵』(或いは『夏物語』)でも感じたが、ブロン依存や愛着傷害、緘黙とかこの作者は精神医学か児童発達心理学に知見があるのだろうか。 それとも川上未映子さん自身の実存としての問いやエネルギーが作品に反映されているのだろうか。
4投稿日: 2019.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とある女の子に教えてもらった作品。謙虚で不器用で、でも静かな思いやりがある主人公は彼女に重なって見えて、彼女の語りをずっと聞いているかのような気分になった。恋をしている間の主人公は光に穏やかに取り憑かれていて、夢の中にいるかような表現をずっと繰り広げている。好きなひとに好きと伝えて、一体何になるのか。何にも結ばないまま終わる。触れていたのに触れられていなかった。初めて自ら選んで行動してまで欲しかったものは、結局手から滑り落ちて消えてしまう。恋が永遠を築くことなんて宝くじに当たるくらい難しくて、それなのにわたしたちはあの【終わることを前提とした関係】に焦がれる。でもそんな経験も無にならないのだと、この一冊は教えてくれる。結局好きなひととしあわせになれなかった主人公が最後に見つける美しい光。それが「すべて真夜中の恋人たち」だった。
2投稿日: 2019.10.10
powered by ブクログつらつらと、人が思っていることをそのまま流れるように書いているような、そんな印象だった。リアルすぎる描写や少し異質だと思うところもあったけど、読み終わったとき、すごく綺麗な恋愛物語を読んだような気分に。 恋したことがある人なら誰でも共感できる部分があるはず。 人と少しずつ距離を縮めて、好きだって自覚して、好きって伝えたくなって、でも伝えた先に何もないこともある。それがわかっていても、伝えたくなることがある。 そして、距離が離れるにつれて、少しずつ、好きという苦しい気持ちが小さくなっていく。時々、ちょっと胸が疼く。切なくなったりする。 そんな細やかな恋愛の心情をここまで描き出している小説に初めて出会いました。
1投稿日: 2019.10.05
powered by ブクログ川上未映子という作家の本は初めて読んだ。前から気になってはいたけど。 ページ数を贅沢に使う作風だと感じた。つまり描写過多ということなんだけど。エッセンスを取っていくような読書家には向かないかもなーとか思ったりした。 そして良くも悪くも登場人物の主張が強い。 聖の仕事観は胸が熱くなるようで良かった。水野くんの人生観は若い頃の自分のそれと酷く似ていて共感した。一方で、恭子さんのような、ありきたりでいじわるな人物が描かれたりする。その描き方に露悪的な匂いを感じてしまって、ほら、こういう意地悪な人っていますよね〜と共感を求められているようで、ちょっと引いた。 ある女性が太っているだとか、水野くんが志望校に落ちただとか、この作家はチクリと余計なことを書かずにはいられないのかな。留めることができずに漏れ出た攻撃性が気になった。 (続きは書評ブログでどうぞ) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E7%A9%B6%E6%A5%B5%E3%81%AE%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%A8%E6%81%8B%E6%84%9B_%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E7%9C%9F%E5%A4%9C%E4%B8%AD%E3%81%AE%E6%81%8B%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1_%E5%B7%9D%E4%B8%8A%E6%9C%AA
3投稿日: 2019.09.03
powered by ブクログこれを手に取り読んだ当時は色々なものを失って、どん底に沈んでいる時だった。荒んで渇いていた心に、みるみる水が染み込んで、徐々に生きる感覚を取り戻すようなあの感覚は、数年経っても忘れられない。 引っ越しで一旦本を手放してしまったけど、またいつかもう一度手元に置きたいな。
0投稿日: 2019.07.30
powered by ブクログ他の方の感想にもあるように、一つ一つがとても美しく深い文章です。 聖が冬子に話す言葉はとても衝撃的で、時々ストーリーから抜け出して私自身に言ってるようにも感じました。 自分の中の自分を守る部分であったり表面的なものを、すべて見透かされているような気持ちになります。 聖も冬子も性格は正反対だけれど、どちらも自分らしく生きていることは同じ。ただ自分に正直に生きていることで、同時に傷つき背負わなければならないことがあるということ。どちらがいい悪いとかこうでなければならないとかではなく、自分らしく生きるということは自分の人生に責任をもって生きていかなかればならないという作者の意思もあるような気がします。 自分らしくということは必ずしもポジティブな面だけではないです。その分生きづらさはあるかもしれないけれど、ストーリーの中で冬子は自分らしさを肯定出来るようになり、聖は相手らしさを肯定できるようになっています。 友情を通して2人の成長を感じ、とても愛おしく感じました。 ストーリーの終わり方も美しく素敵だと思います。 ただ2人にどっぷり情が生まれてしまったので、個人的に続編があれば嬉しいです。
1投稿日: 2019.07.21
powered by ブクログ冬子に言われるセリフが自分自身に言われているような気がしてしんどくなる。特に典子の「登場人物ではなくなった」は胸が苦しくなる。わたしには合わない。
0投稿日: 2019.07.04
powered by ブクログ2019.6.22 読了。 タイトルと評判が良い。というだけで読んでみたが、頭の1ページで、引き込まれ。そのまま最後まで引き込まれ続けて終わりを迎えました。 ストーリーはもちろんだけど、言葉の表現がとても素敵で、私にはとても自然に染み込んでいくような感覚。 ストーリーも、綺麗に描かれている所はあるんだけど、実際のある人の話を聞いてるようなリアリティが感じられて… 個人的にはとても好きなバランスでした。 全てではないけれど、部分的にとても共感できたり、改めて自分の中にある。というある部分を再認識できたりと、個人的にはストーリーだけでなく、色々な要素が多かった一冊。 1ページ目もそうだけど、私自身が感覚として思ってる事、個人的な部分で繊細で、あまり表面には出てこない事。がとても自然な形の言葉で描かれて、だからこそ、染み込み。自然に受け入れられる。 ストーリーも、その要素も。どこか切ない事。なんだけど、最後の1ページで、どこか救われる。 光で始まり。光で終わる。そしてタイトルの言葉。 個人的に色々思うところがあったからかも知れないけれど、とても素敵な一冊でした。 また、読もう。
1投稿日: 2019.06.22
powered by ブクログ2/27は冬の恋人の日 言葉を交わすことさえ自信が持てない冬子が出会うのは…… 恋人のための一冊を。
0投稿日: 2019.06.19
powered by ブクログ34歳。ほとんど恋愛をすることもなく、周りの流れで生きてきた冬子。 担当の聖以外の人と会うこともなく、家で校閲の仕事をもくもくとこなす毎日を過ごしていた。 そんなある日お酒の勢いで勇気を出して訪れたカルチャースクールの受付で三束という初老の男性と出会う。 三束と会うたびに惹かれていく冬子は、今までに知らなかった感情に翻弄されていく。 冬子の流れに沿ってふわふわと生きる感じにも共感したし、聖の自立した生き方にも共感した。 どちらもあまり人とは相容れないだろうなあ。 愛の形としては、「センセイの鞄」にも共通するような、 三束は人生の大先輩として立ち居振る舞い、冬子は彼の前ではまるで子どものよう。 そのまま関係を進めようとしなければいつまでも一緒にいられたのかな。
0投稿日: 2019.06.12
powered by ブクログ主人公の病み具合に、ズーンっとくるのですが、それでもこの不器用な人が気になる。毎日が精一杯っていうか、どうにもこうにもならないというか、苦しい。 これは恋なのか?何なのか? 自分的に、苦しみの呼応みたいなものに惹かれてしまうので、読んでて胸が苦しいけど、すごく好きな作品です。 優しさの形は本当に様々だなと思う。その人にとって自分ができること、自分の欲望とは切り離したところで考えられるかなぁとか、そんなことを読み終えると思いました。 また読みたい!
1投稿日: 2019.06.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
うーむ、不思議な作品でした。おもろい感じはしましたが、なんといいますか、とらえどころのない感じ。でも、凄くこう、嫌いじゃないぜ、って言ったら生意気な感じですみません、、、って感じですが、うん。嫌いじゃない。きらいじゃない。なんか、こう、ホワッと好きです。こんな感じ。明確にキリッとパリッと好き!って訳ではないけど、ホワッとフワッと好きでした。そんな感じ、でしょうか。 川上未映子の小説を読むのは、この作品が初めてでした。事前情報として知っていたのは、なんだかサブカルっぽいブッ飛び系っぽい作品を書く人っぽいなあ。詩集も出してる?のよね、確か、多分。美人さんよねえ。なんか好きだなあ、あの顔。美人さんだよなあ。阿部和重と結婚してるのよね。阿部さんと夫婦なんか。スゲエなあ。めっちゃ強そうな夫婦やな。阿部さんの小説も、ぶっ飛んでるよなあ、、、 って事らへんでしょうか。まあ、あんま、知らんかったです。 で、この小説。一応、恋愛小説、という分類なのか?どうなのか?多分、そうなのだろう。で、ちょっと、大変こう、失礼な物言いになってしまうのですが、全然パッとしない、もっさい中年女性と、全然パッとしない、冴えない初老男性の、なんだか小学生みたいな恋愛初期段階を語るだけ、みたいな、そんなん何がおもろいんだ?みたいな、すげえニッチな小説?って感じでしょうか。無理くり定義すると。 いやでも、おもろいんですよ、これ。なんだろうなあ。 「なにかとても大切なことを、なんとかして、伝えようとしてる」 という感じは、勝手に感じました。なんだか、感じてしまったんですよね。いやもう、好きです。うん。 前半の、「校閲」という仕事に対しての描写の場面も好きですし、入江冬子(ふゆこ?なのか?とうこ?なのか?気になる)が、石川聖(ひじり?せい?どっちの読み方なのか?)にバーに呼び出されて、聖が、人生に対する自分の哲学、みたいなんを酔っぱらいながら話す場面も好きですし、三束さんと冬子の、なんだか噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか、なんだか凄いなあ、って会話のやりとりも好きですし。あと、冬子が、三束さんと会わなくなった状態での、これぞ病んでまっせ、的な、ギリギリ最低限はギリ仕事してますが、他は、ほぼほぼ生活放棄してて、毎日夢遊病者みたいな生活してまっせ、な場面の雰囲気も好きですね。 あ、あの場面も好きですね。冬子が三束さんと、ヌレセパっていう、めっちゃシャレオツなお店に、ご飯食べに行くやないですか。で、ワインのお代わり頼んだ時に、今日は私が支払うんだ、お金、大丈夫か?財布の中には5万円入ってるし、大丈夫なハズだ。うん、大丈夫な、ハズだ!みたいな事を思う、あの場面。好きだなあ~。あのリアル感、好きです。 三束さんは、結局、なんで最後、冬子に会わなくなったんかなあ?とね、思いますね。「うーん、やっぱこの女、ヘヴィーだ、ってか、ちょっと、変わりすぎだし。やっぱこう、深くかかわるの、止めとこ」って、思っちゃったのかなあ?どうなんだろうなあ。三束さんも、まあ、絶対モテるタイプじゃないだろうし、こう、これぞ人生最後のチャンス!とか思って、こう、くう。モノにしようと思ったら良かったのに。人生共にしよう!と大決心したらよかったのに。職業偽ってたことくらい、なんでもねえやん、とか思うのですが、どうなんでしょうね。三束さんには、どのような事情があったのだろうかなあ。これ、立場を変えて、三束さんからの視点の物語も、読んでみたいなあ。 あ、水野君は、こう、嫌いです。あの少年は、ってか、あの男は、同性として、どうにもこう、嫌いだ。俺は、ああは、なりたくない。って思います。自分の家に呼んで欲望がっつりでセックスした挙句、その相手に「君をみてるとイライラするよ」的な言葉なんて言っちゃうようなヤツは、嫌いです。なんじゃそら。って思う。嫌いです、水野君。うん、嫌い。 あ、でも、聖と冬子が口論した時も、聖は冬子にたいして「あんた見てるとイライラすんのよ」的な事、言ったよなあ。この繋がりは、なんだか、怖いなあ。で、重要なのかなあ。冬子は、人をイラつかせるタイプの人間なのか。それはどんなタイプの分類なのだ。なんだか、怖い。辛い。
0投稿日: 2019.06.03
powered by ブクログ初読みの作家さん。2008年に芥川賞を受賞している。だからなのか、さすがの文章力。読んでいるときにはあまり気にならなかったけれど、一人称で改行もなく、かなり長い文章が紡がれている。1ページ最初から最後まで文字で埋まっているページが何ページも続く。そこにみなぎる緊張感。危うい感覚。内容はかなり痛かった。 学校にも会社にも馴染めず、浮いた存在だった“わたし”が、人に勧められるままに在宅の校閲者となり、誰とも関わらずに生きていく様、1滴も飲めなかった酒を、朝から飲むようになってしまう転落、半ばレイプのような初体験以後男性経験なし……。自意識過剰なのか、プライドが高いのか、生きづらいだろうなあと思う。三束さんが高校教師だというのに、夏休みが長いというセリフで「ん?」と思ったけれど、そんな無知な失敗をするはずもなく、当然の伏線だった。結局、三束さんとは彼の誕生日祝いの食事を一緒にしただけで終わってしまうが、本当の友人を得ることができた。恋人か、同性の友人か……。究極の選択だな。
1投稿日: 2019.05.12
powered by ブクログ人と付き合うことが苦手な主人公の女性は構成の仕事に携わっている。ふとしたきっかけで年上の男性との恋に落ちる。男性は物理の教師と名乗っており、女性は心の安らぎを彼の中に見出す。
0投稿日: 2019.05.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初お酒飲めなかった主人公、魔法瓶に日本酒入れて飲み歩くの目を疑った。 みつつかさんと冬子さん。いろんな関係性があって、良いと思った。
0投稿日: 2019.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
30代で初めて恋愛をした女性の話。 同世代の主人公に感情移入してみたり。 その女性の恋愛を経ての心境をごく繊細にひとつひとつ紡ぐように書いてあった。 川上未映子の表現力を吐露したような作品でだいすき。 ひとつの恋愛のはじまりから終わりまで。 こんなにもあんなにも好きだったけど、時間と共に忘れることも多くなってきて でもそこから得たものはきちんとあって、 それをどうにか遺しておきたい、って 表題のすべて真夜中の恋人たちってもう、響きが素敵じゃないですか。 川上未映子の感性は女性向きだなぁ、と読めば読むほど思うのです。
0投稿日: 2019.04.29
powered by ブクログがっちりと嵌まる人には嵌まるのだろうなあという小説。 川上未映子さんというと、先進的な作家というイメージがあったけれども、この小説からは、実験的な雰囲気を感じ取ることはできなかった。なにか新しいものを開拓するというよりも、よく出来た完璧な小説を書くことに力を尽くしたという感じ。特に聖の人物像を捉えるため描写の角度の広さ、ぶれなどに、細やかな気配りが見える。あとは、いわゆる女性的心理小説とひとことでまとめられてしまいそうで、それはこの本がそうだからなのか、私が鈍いからなのか。
0投稿日: 2019.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
さみしい女性の恋愛小説なんでしょうか。ちょっと違うようですね。生きていくのに苦労しながら、新しい「命」を肯定する。そこが川上さんなんでしょうね。 いやな女も、辛い女も、ずるい女も、哀しい女も、とてもリアルで、困ったことに生き生きしてますね。好きな人は好きだけれど、ぴったり来ない人には合わない。そんな作品だと思いました。 冬子さんが愛した三束さんの境遇が身につまされました。わたし、64歳、男性です。
1投稿日: 2019.02.01
powered by ブクログ真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思いだしている。 冒頭のこの文章に惹かれて読み始めた。 校閲の仕事をする34歳のフリーランサー入江冬子は人と会話することも苦手で自信もない。友達と遊ぶこともなく、当然恋人もいない。そんな冬子が思い立って足を運んだカルチャーセンターで一人の男性と出会った。物理の高校教師だという三束さんと回を重ねて会話をするようになってから冬子の心の中に今まで感じたことの無い感情が芽生え、世界が少しずつ変わっていくのだった。 夜の光。ショパンの子守歌。ちょっとぎこちなくてシャイな空気に包まれた2人の会話-恋している時の幸福感や戸惑いや不安などが感じられてその繊細さが良かった。仕事仲間の聖が正反対の性格で思ったことをつい口にしていまうタイプなのも良かった。 真夜中の光の残像が本を閉じたあともまぶたに残っているような気がする。「すべて真夜中の恋人たち」の言葉の余韻に浸ってしまう。 夜の街を歩いてみたくなるけどやっぱり冬の夜は寒そうだ。
0投稿日: 2019.01.20
powered by ブクログ嫌なことがあると、しかもそれが続くと家にこもって一人塞ぎ込みたくなる気持ちはわかる。でもそうなったところで誰も助けてくれないんだよね。
0投稿日: 2019.01.18
powered by ブクログわたしはいつもごまかしてきたのだった。目のまえのことをただ言われるままにこなしているだけのことで何かをしているつもりになって、そんなふうに、今みたいに自分に言い訳をして、自分がこれまでの人生で何もやってこなかったことを、いつだってみないようにして、ごまかしてきたのだった。
0投稿日: 2019.01.13
powered by ブクログ私はふと、真夜中を散歩してみたくなったのだ。 真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろう。 辛くて、苦しくて、切なくて… 孤独な人生を生きる彼女の前に現れた光。 冬子と三束さんの会話の空気感が素敵。 終始静かな本だった。 真夜中も孤独も会話も。 三束さん素敵な男性だなぁ。 聖が個人的に好きです。 聖の仕事や恋愛、生き方の言葉がグサグサ刺さる。 30代女性の恋愛や友情、仕事がリアルに描かれた一冊。 最後は予想外な展開だったなぁ。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ滅多に読まない恋愛小説。 文章が美しいと書評されていたので読んでみた。 静かに流れるような文章で、穏やかな気持ちになれる気もした。 でも、恋愛小説はあまり性に合わないな。 特に女性目線の濃い目のものは
0投稿日: 2018.11.11
powered by ブクログ一人の女性の、それは仕事の話だったり友達の話だったり恋の話だったりするのだけど、そんなバラバラした日常がやがて一つに結ばれて一人の人生を紡いでいる。主人公は一人で生きてきた人だけど、実は他の登場人物だって寂しかったのかもしれない。わかりやすくコミュ障かもしれないし、自分で何も決めずに生きているかもしれないけど、そういう部分って自分にもあるよな…と思ってドキッとしたり。危うい主人公にハラハラするけれど、最後はすっきり。
0投稿日: 2018.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み了えて、正直、失望した。長い助走を経て、クライマックスが、主人公・入江冬子が恋人・三束さんの手をとって、愛を告白する所だった。約束した入江の誕生日に、三束は現われず、連絡が取れなくなる。三束よりの手紙で、彼が失職した者で、教師と経歴詐称していた事を詫びられる。 男性、読者に媚びていない。そうして書くと、このような小説になるのか。読後、昔に読んだ堀辰雄「風立ちぬ」を思い出した。結核病棟に娘さんを見舞うだけの恋だったと記憶する。事実に近い部分もあったようだ。 周囲の女性友人の、様々な生活も見聞として語られるが、ピント外れのようだ。夫婦とは、愛憎のドロドロから澄んでゆくものではないだろうか。個の本性には、エゴも思い遣りもある。
0投稿日: 2018.10.31
powered by ブクログ"真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。" 美しい一節からはじまる作品。「恋愛小説」と呼んではいけないとすぐにわかる。 この作品の大きな魅力は、主人公の瞳をとおして一緒に世界をみさせてくれる、繊細で緻密な言葉の表現。ストーリーを楽しむというより、芸術を眺めているような感覚。 主人公はフリーランスで校閲の仕事をする34歳独身女性の冬子。人とのコミュニケーションが上手でなく、ろくに恋愛経験もしていない彼女が、カルチャーセンターで出会った中年男性 三束さんに惹かれていく。 冬子と三束さんとの会話のやり取りは、触ったら壊れそうに繊細で、三束さんをおもう冬子の感受性はあまりに豊かで、それらを紡ぐ言葉の美しい洪水に飲まれ続ける読書期間でした。 所謂「少し変わった」冬子をとおして世界を見ていると、「変わってる」ものなんてなにもないんじゃないかと思うの。
4投稿日: 2018.10.27
powered by ブクログすごくすごくおもしろかった 久しぶりの読書で趣味が少し変わったのかも。 ずっとリアルな話が苦手でファンタジーぽいのとか精神論ぽいのばかり読んでたけど リアルな話だったけどすごく面白く感じた 2012年に乳と卵読んでレビュー低い自分がいることに気がついた笑色々変わったのかな。
0投稿日: 2018.10.07
powered by ブクログ背景の描き方、言葉選びがやわらかくて、まるで映像を見ているような気持ちで読み進められた。真夜中のしんとした空気の中にいる彼女の惑いが心地よかった。
0投稿日: 2018.10.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本当に、綺麗な小説です。ストーリーは幻想的ではなく、どちらかというと現実的できびしい恋愛なのですが、どうしてか美しく感じます。 冬子の言動には1ミリも共感出来なくて、なんでそんなことしちゃうのーー!と最初の方は少しイライラしていました。ですが、歪ながらも真っ直ぐに恋をする冬子が尊くて、次第に応援している自分がいたのにも驚きです。 主体性のない人間にとって、自分の意思で人生の大きな何かを決断するのはとても難しいことです。結果がどうであれ冬子は、人間として素晴らしく成長していると思います。
0投稿日: 2018.09.11
powered by ブクログ冒頭の文章で惹きこまれてすぐに読みきりました。なんとも美しい言葉回し。作者の感受性と表現力には脱帽です。三束さんと主人公との何気ない会話。それがとても心地が良く、心が浄化される。大事なことがそこに描かれていると感じました
0投稿日: 2018.08.07
powered by ブクログ文章がとてつもなく、美しい。主人公は狭い世界観の中で暮らす校閲を仕事にしています。そして、世界と自分とを結ぶキラキラした編集者。 これは、女の友情の話でもあります。 静かで、本当に真夜中のような小説。
0投稿日: 2018.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルと背表紙から、恋愛小説なんだと感じたけれど 一括にはできない作品だと思う。 ごく普通のありふれた独身女性が主人公だというところに、共感した。 自分の意思をはっきりと人に伝えるでもなく、ともすれば、人からはそれは傷つくことから逃げていると言われる。 人それぞれ生き方は違う。 自分のそれと違うと、焦りがあったり嫉妬だったりイライラしたり… なぜそこにそういう気持ちが現れるのか、私は私でいいんだと思いつつも どこか心の底に自分がなし得ない羨ましさがあるからなのだと思う。 他人の芝は青く見えるものだから… 最後の三束さんとの別れは切なかったな…
1投稿日: 2018.05.16
powered by ブクログ主人公と自分に重なる部分があり泣いてしまった。 そのどうしようもない自分を否定したい気持ちと、本当に否定したいのかという疑問が混ざっている。自ら何かを選ぶことは大切だとこの数年で感じたのは本当だ。しかし以前の自分はそんなことを考えたことはなくそれこそぼーっと生きてるだけだった。何が正しいのかわからない。正解はないのだろうか? 最後聖が泣いてくれて気持ち的には救われた。
1投稿日: 2018.04.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「すべて真夜中の恋人たち」とは、何だったのだろう。 川上未映子のことだから、とくに深い意味はなく、音の印象や言葉のイメージとかっていう、ふわっとしたものだったのだろうけど、読者としては何だったのか気になってしまう。だってタイトルにもなってるし、主人公がはっきりと最後に紙に記しているし。 主人公の冬子は、校正の仕事を淡々とこなすだけの生活を送る、地味めな30代の女性。仕事の担当でもあり、フリーランスになることを勧めてくれた聖は唯一の友達。 恋人もいない、友達もいない、そういえば家族の影もない、そんな孤独な冬子は、読者の私から言わせれば「コミュ障」。 そんな冬子がある些細なことをきっかけに、カルチャースクールに足を運び、三束(みつつか)さんという初老の男性と出逢う。 この時冬子は、お酒を飲んで酔っていないと外出できないくらいの状態で、三束さんとの逢瀬も、必ず酒を飲んでからいくのだった。 ちょっとしたアル中だと、私は思う。そんな冬子の状態を知ってか知らずかわからないけれども、三束さんは優しく接してくれる。 2人は恋におちるんだ!と予感するも、なかなかの足踏みぶりに、さすがコミュ障と唸る私。 ふとした事件をきっかけに、2人の距離はぐっと離れ、またぐっと近づき、そして柔らかな終焉を迎える。 一方、聖も、冬子が尊敬のまなざして見ていたような人物ではないことが、冬子の知人の口から語られる。聖と冬子の関係に暗雲が立ち込める。 爆発は聖からだった。冬子が聖から罵倒され、読者なら誰しもが「もう聖とか、こんな奴信じられん!!」と怒り狂うであろう場面で、冬子は聖に言い返しもせずに、泣き崩れてしまう。そして、最初から怒りを感じていなかったのか、簡単に聖を許してしまうのだ。 物語にははっきりと書かれていないが、いま思うと、この時すでに聖は妊娠していたのではないかと思う。1人で育てると決意はしたものの、周囲の反対やら体調やら将来への不安やらが一緒くたになって、聖を襲っていた、そんな時期だったのではないか。 最終章では、冬子と聖の曖昧だった関係が、真の意味で友達となり、それぞれたくましくなった姿が描かれる。一方で、冬子と三束さんとの関係はあっけなく終わりを迎えている。 さて、「すべて真夜中の恋人たち」の意味についてだが、私はこう考えた。 真夜中の恋人たちとは、暗闇のなかでひっそりと育まれ、朝になると儚くもかんたんに散っていく恋を表しているのではいかと。 その儚い恋は、誰しもが一度は経験するもので、誰の心の中にも切なくも大切に存在するのではないか。 そしてそれは、人と人とがつながりあう過程で大切な第一歩であり、成長の証でもあると。 私から言わせれば、冬子も聖も、ただのコミュ障。部類は違えど、それぞれ悩み、少しだけ強くなった成長物語だったのではないか。 若さ故の悩み、ではなく個人が持ち合わせてしまった病理が垣間見えるところは、作者の絶妙な年齢設定のおかげではないだろうか。 そして川上未映子の無駄のようで、必要なのか、それともデザインなのかもしれない素敵な文体が、その危うさを緩和しているところもミソだと思う。ただのコミュ障の話しだったら、多分私もっとイライラしてたもん。笑 そんなわけで、初恋は人を成長させますってことでどうですか?!そんな簡単にまとめていい本ではないとは思うんですが、ひとつの結論として。 ちょっと立ち止まって、少しだけ丁寧に時間を過ごしたい人に、オススメの本です!コミュ障の人にもオススメ!笑
0投稿日: 2018.04.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
描写が素敵なところが多々あり、上手だなあと読んだ。 多くのスペースが費やされた光の話は、常識的なことが多く、なんだかこう改まって書かれると、白けるというか、ふむふむと読むレベルの話なのだろうかと首を傾げたけれど、全体的に引き込まれ、一気読みした。 「乳と卵」を読んだ直後だったからか、読みやすく感じた。読了後の気持ち悪さもそれほど感じなかった。途中で冬子さんがアルコール依存症っぽくなっていくところは、私あんまり飲めないので気持ち悪くなったけど。 まだ2作しか読んでないけど、この人のライティング、上手だけど、土の匂いがしない。だって、出てくる土と言ったら、スープにして飲んじゃった土。「乳と卵」も土くささがなかった。言い換えれば、都会的な感じ。都会的で、お化粧をして、魅せる。 お化粧や服装、ハイヒールについても重要な位置を占めて、それから女性同士の牽制のしあいとか、女性あるあるも興味深くはある。ムック本の早稲田文学ナンチャラで「女性号」を務めた時の前書きのようなものを読んだけど、この人は「フェミニズム」的な書き手の代表として捉えられているようだけど、それだったら、もう少し深く、なんか、潜れるんじゃないだろうかとか、勝手なことばかり頭に浮かんだ。 「乳と卵」でも思ったけど、ラストのくだりが少し私のテイストにはわざとらしく感じられる。今まで読むとも読まないようにして校閲の仕事をこなし、自分を表現することのなかった冬子さんが、真っ白な紙に素直に自分の中に湧き上がった言葉を書き留める。その象徴的なシーン。「乳と卵」では卵子のことをずっと突き詰めて考え、体の変化と母親との関係から映し出される自己嫌悪に苦しむ緑子が卵を頭にぶつけて割るシーン。 そのとても綺麗な終わり方が、その前のカオスと調和しないというか、勝手なことばかりやっぱり考えてしまう。でも色々考えてしまうのは好きなので、もう少しこの人の作品を続けて読んでみようと思う。
0投稿日: 2018.02.19
powered by ブクログ初川上未映子。 興味を持ったのは、主人公の仕事がフリーの校閲者だったことから。でも、ほとんどそれは筋とは関係なく、三束さんとの出会い、喫茶店での逢瀬、そして別れが淡々と、本当に淡々と清冽な文章でつづられる。途中で『センセイの鞄』を思い出した。 ストーリーの大筋とは関係なく、なぜ冬子さんがこれほどまでにお酒を飲むのか、飲まないと三束さんに会えないのかは、ちょっと理解不能。 終盤の、主人公が三束さんと別れたあとの痛みが日々小さくなっていく的な記述がすばらしくいい。
0投稿日: 2018.02.13
powered by ブクログ大人の恋愛って、面倒なことは色々省いて感情もなんか鈍くなってっていうイメージがあったけれど、とても丁寧でゆっくりで自意識過剰で良かった。 主人公は自分とは違ったタイプの人間だったけど、こまかくかかれてて気持ちがよくわかった。 ただそのせいか読むのにすごく体力が必要でした。
1投稿日: 2018.02.02
powered by ブクログもっと甘ったるい話かと思っていたためなかなか読み進められなかったが、全然違った。この作者の小説は初めて読んだけど、とても読みやすく雰囲気もすきな感じで良かった。自分の言葉が何かの引用のように感じる、というのは印象的。入江冬子は三束さんと出会い、何かが変わったような、変わってないような。 言い方があれかもだけど、どこかで見たような、見てないような。そんな小説だった。
0投稿日: 2018.02.02
powered by ブクログとにかく丁寧で繊細な文章。現代のナイーブさを捉えることができていると思う。同世代の人だからか色んなことを考えさせられる。母国語で書かれた繊細な小説を読んでいるという感じ。いい意味でなんともいえない読書体験だった。
0投稿日: 2017.12.18
powered by ブクログ剥き出しの文章で読んでいて苦しくなる。 ノーガード戦法でドンドンと迫ってくるようで、疲れてしまい途中で読むのをやめてしまいしたが漸く読み終わりました。終盤にかけて、働くことお金を稼ぐこと生活することって何の意味があるんだっけ?と読んでいてやはり苦しくなりましたが読み終えられて良かったです。
0投稿日: 2017.12.15
powered by ブクログ気がつけば人を好きになっていた。なぜ好きなのか自分でもよくわからない。説明できない事柄なんて山ほどある。
0投稿日: 2017.12.14
powered by ブクログ読み始めた当初の感覚として、 出だしの会話のトーンで川上弘美を思い出し、さらに主要登場人物である聖が話し始めたところで村上春樹のノルウェイの森に出てくるキズキの話し方を思い出した。 そんな読み出しで、正直なところ、まったく話に入りこんでいくことができなかったのが事実。 しかしながら、あきらめずに読み続けた。 おそらく、自分は聖タイプの人間であるせいもあって、主人公の冬子に”いらいらさせられた”し、それ以上に自分を見ているようで聖の考え方・発言に居心地の悪さを感じた。 最後に、男である自分として、正直と言えば正直だが、これまた逃げていくような三束さんに、やはりどうしようもない居心地の悪さを感じた。 恋愛の在り方としては、自分になじめないところが多くあったが、恋愛小説としてでなく、「生きていくことの小説」ととらえると、なんんらかの形で、このような居心地の悪さや、回りくどさ、そういったものをはらみながら生きている自分に、(目をそむけるのは簡単だけど)あらためて気付かされるという”嫌な仕掛けの”小説だと思えた。見たくないもの、普段は意識的にせよなんにせよ目を背けているものをつまびらかにするのが、小説の大きな役割だから。
0投稿日: 2017.12.13
powered by ブクログ聖と冬子二人の全く違う女の人が出てきて、どちらかといえば聖よりな私にはあまり共感できませんでした。 ただ文章表現がすごく好きです。 物理っていうフィルターをかけると何もないように見える人と人の間ですら何かが見えるようになる。まるで校閲をして本の中の間違いを探すように、日常生活の中で光を、好きな人のかけらを探すのが恋愛なのかなと思いました。
0投稿日: 2017.12.05
powered by ブクログこの小説は名作だと思う。 作者はきっと何か伝えたいことがあってそれが誰かに届くことを願って作品を世に送るに違いない。 私はこの作品が自分に向けて書かれたものだと強く感じた。それだけ深く大きなものを作品から受け取った。読みながら対話を繰り返し自分という人間を少し掘り下げられた気がする。
1投稿日: 2017.10.22
powered by ブクログアルコール依存の気持ちがわからないため、ずっともやもやしてしまいました。 見ていてイライラする、私はそう思ってしまうタイプだからかもしれません。 なので、強いて言えば、聖が好きでした。
0投稿日: 2017.10.13
powered by ブクログコミュニケーションに不器用、だけど性格は正反対。強がりで寂しがり屋の聖と、おとなしく自分を主張しない冬子。二人が悩んで、恋して仕事して。自分らしく強く逞しく生きていく話。なんとなくだけど、「コンビニ人間」に似た読後感でした。でも、こっちはわんわん泣いた。 なんでひとは、人と関わるんだろう。触れてみて、傷ついて。疼いた傷に目を背けて。それでもまた人は、誰かと触れ合おうとする。そして、触れられたいと願う。でも待ってるだけでは、いつまでも自分が自分の人生から遠ざかっていく。行動する、何かを選ぶってことが大事なのかもしれないな。
0投稿日: 2017.10.12
powered by ブクログ気持ち悪いのと、面白いのが ごちゃまぜになったような感覚。 冬子は一体何なんだろう。 聖も三束さんも、よくわからない。 でも冬子が考えているいろいろに、 共感したり、違うなぁって思うことは いっぱいあった。 他の本も読んでみて、考えてみたいなぁ。
0投稿日: 2017.10.09
powered by ブクログ人は自然と自分を人生の主人公に見立てて生きてると思うけど、世の中にはそうもいかない人もいる。主人公は多分そういう人で、かつての友人から「あなたに何でも話せるのは、あなたが自分の人生にとってもはや登場人物ではないから」と言われてしまい、心底落ち込んでしまう。 そんな無神経なことをにっこり、面と向かって言う人物に、心から憤りを感じてしまった。ただそれは真の人間関係を築こうとしていない人のセリフ。 周囲に自分をよく見せたい、理解して欲しい、というのは大なり小なり皆同じで、相手の反応が期待値に達しない時に摩擦が生まれてしまう。 でも本当の付き合い、友人なら、それを超えて絆ができるのかと思う。主人公と聖のように。ちょっと意地悪い見方する友達の方が時に摩擦はあっても付き合ってて面白いし結局長続きする。 校閲の仕事(誤りを削ぎ落とし、完全に近いものを残す)と光の見え方(吸収されずに残った色が反射して光る)が近い、という発想が面白かった。主人公や聖の、校閲という仕事に対するプロ意識にも惹きつけられた。 小説としては、登場人物の内面を言葉で説明し過ぎな印象。もう少し余白があっても良いと感じた。
0投稿日: 2017.09.18
powered by ブクログ展開がゆっくり、悪く言えばすこしグダり感がある。ラストに向けての登場人物たちの心情の変化はわかりやすく丁寧でよかったと思う。
0投稿日: 2017.09.10
powered by ブクログ何も干渉しない、考えないのは楽だけど どうしたってどろっとした感情とか 忘れられない感情ってある。 すんなり読めた。
0投稿日: 2017.09.05
powered by ブクログ面白かった。 登場人物は少ないけど 「わかる」「いるいる」ていう女性が出て来たり 主人公みたいな生き方をしているひとも世の中にはいるかもしれないと思ったり あといい男は出てこない。 女性の友人に勧めたくなる一冊。
0投稿日: 2017.08.08
powered by ブクログ34歳、彼氏なし、アル中、コミュ障、の非モテ女子の初恋の話。 主人公の心理描写が丁寧で美しく、本来は嫌いな弱々しい主人公の持つ心の弱さや痛みに共感してしまう部分があった。この共感の正体は、薄らいでしまった過去の自分自身の持つ記憶(弱さ、痛み)であり、本書で言う吸収されず窓からすり抜けたわずかな光なのだろう。ノスタルジーに浸りたいときに読んでみるといいと思います。
0投稿日: 2017.07.27
powered by ブクログ私は聖の気持ちが分かる。 長々と三束さんと丁寧で美しい言葉を紡ぎあいを見せつけ、でも下着は聖があげたの着てるんでしょ。なのに何も望んでいないかのように装うのでしょ。と。 そして、それで良いとしてる冬子を自分の価値観で責める聖は、オンナの代表。
0投稿日: 2017.07.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三束さんはなぜ誕生日の夜に現れなかったのか。職業を詐称したことが心苦しかったから?ただそれだけの理由なのか。会えない理由になるような他にもっと大きな嘘があったのか、単に冬子に女性としての魅力がなかったのか。 冬子の気持ちはピュアなものかもしれないが、どちらにせよ仕事やその他の生活に与えた影響は小さくない。恋に焦がれて仕事が手につかない、と言ってもほんとに手につかない大人はいないと思う。
0投稿日: 2017.07.04
powered by ブクログどうでもいい食べ物をどうでもいい私が食べて、ますますどうでもよくなる。 このへんの自分への追い詰め方がぼくとよく似てました。 雨の日に喫茶店にいったらいたという、みつつかさん。あのとき逃げ出して、でも追いかけてくれるのを期待して。みつつかさんがぼくだったら、きっと、ふゆこさんを離さないと思うけれど。どうなの。 先生なのかそうじゃないのかなんて些細なことなのではないのかな。光の綺麗さを、お互いが知ってて。それ以上に、お互いがお互いに惹かれあって。 ほかの人たちの、ひどい仕打ちや、聴きたくもない本音が、とってもいやらしくて。聖ちゃんにいわれた、あの夏の思い出と重なる、 あなたを見てるとイライラするのよ が、ぼくにもがつーんと来ました。ぼくなら謝られてももう無理だけどどうなのふゆこさん。それでも、聖ちゃんの間違いを訂正してくれるの。 なんとやさしくて、綺麗なのかねぇ。 わたしと寝たいと思ったことはありますか はい あぁ。とろけます。さようなら。最高の作品にであいました。
0投稿日: 2017.06.29
powered by ブクログ「わたしは何も選んでこなかったし、何もしてこなかったのだ。」という主人公が、友人や好きな人の影響を受けて少しだけ、変わることができるお話。 終始、どんより、雨の日の午後のような、重たい空気。
0投稿日: 2017.06.27
powered by ブクログ土日は夜行性ババァになるくらい夜が好きな私は読む小説を選ぶ時も「夜」がタイトルにつくモノを選びがちだ。そして真夜中の恋人たちに出会った。 内容は夜に重きを置いてるわけではなかったのでちょっとあれ?って思ったが、登場人物達のリアルな人柄、情景が思い浮かびやすい丁寧な文章はとてもよかった。 大人の恋愛って相手を傷つけないために嘘をついてもそれが裏目に出てしまうことがあるよな。。 冬子さんの性格が少し私自身に重なったりして読んでいて辛かったところもあった。
0投稿日: 2017.06.16
powered by ブクログ主人公と三束さんとのやりとりの雰囲気が好きだったけど、どう処理したらいいかわからない感情のまんま、物語が終わってしまった。でも確かに人生ってそんなことの繰り返しなのかも。何事もすっきりはっきりいかないものだし。主人公は苦しい気持ちをどう消化していったんだろうなあ。引っ張ったわりにあっさり終わった感じで、もうひと押しほしかった。
0投稿日: 2017.06.08
powered by ブクログ最後の展開はなかなか予想外だったけど、とても感動した。感動的で、それでいて地に足が着いていて、よかったと思う。冬子のような、とにかく受動的で消極的で間違いをなくすことだけに専念する人だからこそ、受け入れられる人もいる。そう思いたい。川上未映子5本目にしてようやく、この人が、作中人物に互いに論陣を張らせるが大好きだということに気がついた。自論をまくしたてるときのセリフの生き生き感が凄い。
0投稿日: 2017.05.12
powered by ブクログ初めて触れた、川上未映子さんの作品です。 その独特な言い回しに、目線をぐーっと引っ張られるような感覚がありました。不思議な読後感です。やり場のないざわざわした感じが胸に残る、存在感のある物語でした。
0投稿日: 2017.05.09
powered by ブクログひとりの女性が恋をしていくようすを、これでもかというほど大切に大切にすくいとり、そこにあるひとつひとつの感情のゆれうごきを繊細に扱って言葉にしてくれていた。 こんなに細やかな心理描写ってなかなか読めない、とても好き。 そこかしこに私をみつけた。冬子がみている世界や景色や感情に、たしかに覚えがあった。 聖の言葉にも、恭子の言葉にも、典子の言葉にも否応なしに共感してしまう。 一日は何度でも夜になる。 川上未映子さんに対しては正直これまでどうしても読まず嫌いなところがあった。 嫌いというか、今にして思えばそれは畏怖とか憧憬がぐちゃぐちゃに混ざり合ったものだったんだなと思う。 でもNHKの対談番組で新海誠監督とそれぞれのイノセンスについて話されていたとき、彼の答えを受けて後「季節は?」とさらに踏み込んだ質問をしていて、私はその瞬間、心臓を鷲掴みにされたような気がした。 だって、「季節は?」って。イノセンスに季節まで心を配る川上未映子さんの小説なら、きっと信頼をかけて読めるのかもしれない思った。 自分にとって絶対特別になってしまうと分かってたから、まだそれだけの覚悟がなくて自然と遠ざけてたんだろうな。
3投稿日: 2017.04.28
powered by ブクログ内向的な校閲者の女性冬子と、強く頑なに生きる聖、優しく嘘つきの男性三束さんの話。タイトルの通り、真夜中のよりもねっとりとした闇を感じる物語。あまり再読したいとは思わない類。
0投稿日: 2017.03.22
powered by ブクログとにかく最初の1ページが素敵すぎて、はああとため息が出た。 額に入れて部屋に飾りたいぐらい素敵。 「気づいたら恋に落ちていた」と一言で終わらせてしまえる描写をすごく丁寧に書いていて、その中でああ私もこういう気持ちになったことある、とストンと心に収まる描写がたくさんあった。 冬子の少し遅れてきた初の大人の恋。彼のことを思う気持ち、連絡を待っている時のしんどさ、空回りする努力、、 なんだか冬の匂いがしてくるような小説だったな。とても素敵だった。
0投稿日: 2017.03.07
powered by ブクログ書店でこれを手にする時のことをよく、覚えている。 すべて真夜中の恋人たち というタイトルとは裏腹に、 表紙がキラキラしてた。 はっとした覚えがある。
0投稿日: 2017.03.03
powered by ブクログ手に職がある。毎日を生きるのにそれだけで十分だ。でも、人間は息をつかなければ詰まってしまう生き物だから、やはり恋愛に大きく心を支配されながら生きているのだなと実感した。とにかく言葉が的確で心に様々な感情を直球でぶち込んでくる作品。
0投稿日: 2017.02.24
powered by ブクログ芥川賞受賞の作家の作品。 まだ21の私には、全くもって主人公の気持ちが理解できなかった。自分から行動しようとしない主人公と、自分から行動することで他人から距離を置かれていってしまう友人の聖。そして自分を偽ってまでも主人公と親しくし、最終的に主人公のもとを離れることを決心した三束さん。 これらの大きな展開を見せることのない物語を、まるで優雅なクラシック音楽を奏でるように言葉として紡いでいくのが作者、川上未映子さん。どんなに話の展開がなくても、まるで主人公と一緒に真夜中の空を見上げて歩いているような静けさのある感覚にしてくれるのが、この作品の見どころだと思う。 そして光について。わたしの名前が「ひかり」だからか、すごく印象的だった。"光だけでは見ることができない。物が見えるのはそれに光が当たっているからで…(省略)…それに反射しているものを、いまわれわれは光としてみているということになるわけです" 自分の名前の意味をしっかりと把握できたような気がした。 最後まで読んでから、初めの1ページを読み返してみた。”真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う”やはりまだ若い私には何が言いたいのか分からない部分が多かったが、もっと年をとって大人になったときに、結末を知っていたとしても読み返した作品になるだろうなと思った。 「すべて路頭に迷うアラサーの女性たちへ」そんなかんじ。
0投稿日: 2017.02.04
powered by ブクログ「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
0投稿日: 2017.01.31
powered by ブクログ主人公にイライラした。たぶん他人任せで自分で何も考えないところが私と似ているからだ。 最後に残ったのが先生じゃなくて友達の聖だったことに驚いた。でも、ちゃんとした友達ができて良かった。
0投稿日: 2017.01.02
powered by ブクログ人付き合いがうまくできないフリーの校閲者がある男性と出会ったことで自分の中の変化を見つめる話。その結果、変わったとか、その男性と結ばれたとかではなく、ただ自分の気持ちを見つめるだけ。 正直なところ、主人公はいつももじもじしていて身だしなみにも気を遣わず、相手の立場になって考えることがない。いつも自分を中心にして、彼に嫌われてないか、うまくしゃべれなかったのではないか、と心配している。それを消すためにアル中寸前までいっても、昼間に酔っ払いながら人に会うことが失礼だということにすら気が回らない。 という主人公なので共感できるわけもなく、勝手にやっててください、という感じ。 だが、言葉の使い方がキレイ。
0投稿日: 2016.12.14
powered by ブクログ校閲の仕事をする主人公は、ある日カルチャーセンターで偶然出会った 一回り以上年上の三束さんと時々喫茶店で話をするようになる 言葉で上手く表せないけれど、作者の感性と表現力でないと 描くことの出来ない恋愛の小説だと思う タイトルも含めて、表現が美しくて、研ぎ澄まされている すごく好みの文章、文字の使い方だったなぁ。
0投稿日: 2016.12.09
powered by ブクログ句読点が少なくて、ひらがながおおい文章。わたしは好き。 内容は、ふわふわしていて、綺麗で、儚げ。でもなんだか現実的な話。前半はゆっくり話が進むのに、後半の終盤の話の進み方についていけなかった。。最後もなんだか曖昧。それがいいのかも知れないけど。 幸せならいいなあって思ったけど最幸のエンドではないんだろな。 2日間で、ゆっくり計6~7時間くらい掛けて読んだ。 他人の人生のこととか、生活のこととか、考え方のこととか、色々あるんだなあって思った。わたしも三束さんみたいな深い人間になりたい。
0投稿日: 2016.11.27
powered by ブクログ初めての作家さん。 いままで感じたことがなかったような、でも身近にあるような、なんか、むずむずするような。 少しずつ、でも、たしかに、愛しく、なる。
0投稿日: 2016.11.20
powered by ブクログはじめて川上さんのものを読んだ。 そしてかなり久しぶりの「文学」。 途中挫折しそうになったり、いらいらしたりすることもあったけれど、読み終えられた。 個人的に聖と友達になりたい。
0投稿日: 2016.11.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公の冬子は、他人から見れば、「流されるようにぼんやり生きてる」「自分の意志がない」「自分で選択せずに生きてきた」そういうもの静かな影の女性で、アグレッシブとは全く縁のない場所で生きていて、でも、だからと言って、平坦な人生というのも、決して楽な人生でもないし、目立たなく生きていても、人知れず傷つくことも多く、冬子は冬子で自分の人生をやるせない気持ちで一生懸命生きている。 こういう、冴えない主人公の内面や人生を、すごく静かに丁寧にリアルに描かれているのがとても新鮮だった。 空気感、情景的な描写は、村上春樹氏に匹敵すると思う。 冬子とは真逆の性格の、仕事仲間のアグレッシブな聖も、「誰かに自分のことをわかってほしい。理解されたい」と常に渇望している。そういう二人の渇きみたいなものが、ありありと描かれていて、とても良かった。
3投稿日: 2016.11.01
powered by ブクログとても内向的な30代女性の物語。恋愛というよりは、一人の内向的な女性の手記というか、日記といったかんじだった。恋愛については、読み進めていてこういう恋愛がしたいとは思わなかったけれど、本作の女性はとても純粋な恋心をひとりの男性に向けていて、そういう気持ちになることは女性として大切な感情だと改めた思った。本作の女性ほど性格が内向的で、日陰で生きていると他者に感情を上手く表現できず、内面にいろいろなものが蓄積されていってしまう。けれど社会生活の中でたまったうっぷんを言葉にできる相手がいない。それってとても孤独なことだ。そういう生活の中で、女性の出会ったひとりの男性は、女性にとってきっとあたたかな光だったのだなあ、とおもう。物語は淡々としていて、淡々と終わる。とくに大きな出来事が起こることはない。だけど人生ってそういうものなのかなあ、とか読み終えて思った。
0投稿日: 2016.10.29
powered by ブクログ自分だけで完結して生きてきた冬子。お酒の力を借りて他人との境界線を曖昧にすることで、57歳自称高校の物理教師 三束との交流が始まる。 彼が去って、残された冬子はありったけのちからで光ってみせるから、彼との出会いは彼女を特別にした。自分以外の誰か、は、すべて自分を特別にしてくれる。彼女の言葉でいう真夜中の恋人なのかもしれない。 主人公は全然魅力的でなく、出てくる人は皆持論を振りかざし、親切の押し売り、気持ちが悪い。三束さんも弱さを理由に逃げちゃうし。 それでも物語全体に綺麗な空気が流れているのは、すごいなぁ。 装丁:名久井直子
0投稿日: 2016.10.16
powered by ブクログどうしようもなく、すきだった人のことを思いだした。届かないものって、こうだったなぁって。 繊細な言葉のひとつひとつが刺さる。繊細すぎて壊れそう。 でも何となく余韻にどっぷり浸れないのは何でだろう? 私が今、恋愛してたらボロボロ泣いてたのかもしれない!
0投稿日: 2016.09.27
