
総合評価
(734件)| 120 | ||
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powered by ブクログパッとしない主人公と、謎の三束さんと、関わりたくないほど自己肯定感が高い聖と。誰にも共感できなかったけど、仕事に対する姿勢の部分では背筋が伸びた。一部分にでも自分らしさを自覚できるものがあれば、もっと判断軸をぶらさず生きられるような気がした。
2投稿日: 2024.03.02
powered by ブクログ言葉の使い方というか組み合わせが好きだった。普段、心の中で感じても言葉にできない、言い表せない、気持ちが言語化されてる気がして、すごいなと思った。主人公が感じていた気持ちと全く同じ気持ちになったことはないのかもしれないけど、でもなんとなく分かる、の繰り返しだった。でもこれも聖が言ってた「何かにたいして感情が動いたような気がしても、それってほんとうに自分が思ってることなのかどうかが、自分でもよくわからないのよ、いつか誰かが書き記した、それが文章じゃなくてもね、映画の台詞でもなんでもいいんだけど、とにかく他人のものを引用してあるような気持ちになるの」なのかもしれない。 相手から予想したリアクションが返って来ない時、自分がなにか的外れなことを言ったんじゃないかとか、余計なことを話したんじゃないかとか、考えすぎてしまうところ、わかる。 信用と信頼は似ているようでちがう。たしかに。信用は一方的な行為で何かがきっかけで消えるかもしれない。でも信頼は相互的な行為で簡単に消えたりしない。信用はしてるけど信頼はしてない、てこともありうるのか。大切な人を信頼したいし、大切な人に信頼されたいと思った。
2投稿日: 2024.03.01
powered by ブクログ何故なのか分からないけれども、心の深いところに沁み入る様な物語でした。ぼんやりと生きている冬子に共感出来るところもありつつも、共感出来ないところもあり、等身大の女性の心情が細やかに描かれている印象を受けました。何に対しても受け身に生きていた冬子の人生の中で、三束さんと過ごした時間は、初めて彼女が主体的に行動出来た時間だったのだろうと思います。真夜中の様にしん…とした空気感を感じる、しんみりとした読後感でした。
0投稿日: 2024.03.01
powered by ブクログ出てくる登場人物は全員、「わたし」も含めてちっともキラキラしていなくて、いい意味で人間らしかった。それぞれが自分の生活を送っている中で、仕事や日常を通して出会う人に対して不満を持ったり、すれ違いが生じたりする。 最近、「人にイライラするのは、自分が出来ることをその人はできないから。」と聞いた。「だから、イライラしたらそれは自分の得意なことを見つけたチャンス。」だとも。 歳を重ねるごとに、自分はもう変わらないと諦めることがある。でもそれは悪い諦めではなく、そんな自分を受け入れ、そんな自分が幸せになる方法を模索しているようである。 自分自身が1番自分のことを見ているし、自分の人生なのだから、きらきらしていなくたって、誰かに認められなくたって、自分が一緒にいたいと思える人と一緒にいるし、したいことをする。それでいいんじゃないかなと思った。
2投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログ人の心の中を覗き見てる感じ。 主人公の感情を通して、 誰にでもある心の弱い部分を承認されるような感じ。 攻撃的になったり 卑屈になったり 嘘をついたり。 現れ方は人それぞれ。 でも、必ず癒えていく。 そんなふうに、最後はやわらかに前を向けそうな1冊でした。 どうしてこのシーンを挟んだんだろう とまだ考えるところがあり、再読することでの気付きがまだありそうだなと思い、面白さを知れる余白という意味で★3つ。
1投稿日: 2024.02.27
powered by ブクログ川上未映子さん、続けて三冊読破です。 この独特な言い回し、痛かったり、フッと笑ってしまったり、考えてしまったり、すっかりハマってしまった(笑)
7投稿日: 2024.02.26
powered by ブクログ目を背けたくなるような繊細さ。 物語を読了したと言うよりかは、こうやって人生は続いていくよなあって生温かい感じが残る小説。
1投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私は何かを選択できていない。と嘆いていた冬子が部屋の片付けをしている時、典子のセーターは段ボールにつめたのに対して、聖から貰った洋服たちはタンスに閉まっていく描写が良かった。冬子自身が気付いて無いだけで、人生のあらゆる選択をしているのだなと。
2投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人付き合いが苦手で孤独を感じている主人公。すごく感情移入できたかと言われれば微妙だが、ところどころ共感できるところはあった。 主人公は面倒から逃げてきて、自分の意思で何かを選んだことはない、だからいまこうして、ひとりだと言った。目のまえのことを、いつも一生懸命やってきたが、それはごまかしだと。でも、それでいいんじゃないかと思う。与えられたことを、目のまえのことを一生懸命やって生きることは楽なことだとはわたしは思わない。だから、終盤の聖には少しイライラしたが、聖だって一生懸命生きてきたんだろう。ふたりの一生懸命生きることのベクトルが違うだけ。その人の人生はその人しか知らない、辛さや苦しみも。 だからこそ、そんな主人公が恋をして、自ら歩み寄りたいと思えた三束さんとは一緒にいて欲しかったな。 終盤の展開がすごくておもしろかっけど、切なかった。
3投稿日: 2024.02.21
powered by ブクログ主人公の気持ちに霧がかかってて、言葉までの道はもっての外な程、程遠い「気持ち」が、徐々にクリアになってはまた闇に放り込まれて、もどかしく思いつつ読み続けた。素直でまっすぐな「光」と、モヤがかかった主人公、だんだん気持ちが「光」のように見えてくる様子が、こんな気持ちも、あるよなあ、と。物語として読み終わりました。
0投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログ言葉の表現がとにかく綺麗で美しかった。会いたいのに会えない苦しさ、会いたくてたまらないもどかしが痛いほど伝わった。川上さんがすごい人だと思った。
1投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログ瞬きもせず 何かから逃れるように、わたしから逃れるように 涙は夜を目指す生きもののようにわたしの頬。伝い、あとからあとから流れていった。 わたしは顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら 最後に泣いたのはもう思い出すこともできないほど遠い記憶のなかのことで あのときも、あのときも わたしはきっとこんなふうに泣いてしまいたかったのだと思うと、 それがまた涙になってわたしはもうそれを止めることができなかった。
3投稿日: 2024.02.13
powered by ブクログ途中まで何を言いたいかよく分からなかった。最後まで読んでもあんまりスッキリした感じはしない。生々しいのが好きな人はいいかも。
2投稿日: 2024.02.11
powered by ブクログ起こる出来事は特別派手なわけじゃなく至って日常的なのに、大きな渦に身を任せているみたいな心地よい激しさを持った作品だった。文章から伝わる感情の密度が高い感じ。 正しさとかはわからないけど、自分の気持ちに素直に生きていたい。
1投稿日: 2024.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても綺麗で素敵なお話だった。 三束さんとわたしの会話や空気感が心地よくて、ずっと読んでていたかった。どの登場人物も個性的だけど自分の中で芯のようなものを持っている感じがして、尊敬する。 内気な性格で、絶賛片思い中の自分に投影して余計共感しちゃって胸が苦しかった。 真夜中に読み終わった今、私は彼に会いたい。
1投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私には読解能力がないからかもしれないけど。 主人公に感情移入があまりできなかった。 自分の気持ちを伝えず、人との関わりをなるべく避けて生きていく主人公と違い、自分は、どんどん気持ちを伝えていきたいタイプ(に変化してきた??)からか、このような人もいるんだな。 恋愛の形は様々なんだな、と思った。 また、主人公が少し可哀想とも思った。(人との関わりを避けていたり、高3で処女奪われて、そこから恋愛することなく、言っちゃ悪いが人生つまらなそう、、、) 主人公は34歳だけど幼少期、好きな人と喋れた。それだけで嬉しいと言ったような気持ちを少し思い出した。そんな感じで優しく、綺麗な、恋愛感情が描かれていた。主人公と三束さんの時間の流れもすごく良かった。 最後、三束さんとは結ばれなかったけど。 なんでだろう。。。三束さんは、他に何を隠していたのかな?三束さんにとっても主人公との時間が思い出として綺麗に残ってればいいなとそう願いたくなるような終わり方だった。 全部読んでから最初の1ページ読むと、印象が全く変わる!!!
1投稿日: 2024.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
陰キャラ女子の、恋に夢中な様子を描いた作品。文体は悪くないし、言葉選びもうまく、すんなり世界観に入っていくことができたのは高評価。ただ主人公が女性の陰キャラというなかなかの癖の強さで、感情移入は難しかった。ただ、やはり恋心は人をよくも悪くも色々な方向に動かすエネルギーになるのだと改めて思った作品だった。恋愛の力はすさまじい。
1投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログ信用と信頼の違い。確かにってものすごく腑に落ちた、一文字違うだけで全く意味が変わって面白いなあ、、言葉の力。繊細な物語
1投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログ校閲者の女性と年老いた物理の教師。、 カルチャーセンターで出会って喫茶店で話す寛解になる。主人公は一人で暮らす孤独な生活。過去も今も、もしかしたら未来も孤独を抱えている。 二人の愛情はゆっくり進んでいくが、約束した彼女の誕生日に男は現れない。 教師ではなかった、嘘をついていたと手紙が届く。 光をめぐる話を通して二人の関係が深まったのにと思ってしまう。 教師の嘘。本当。はなんなんだろうか? 不思議で、素敵に終わった。
1投稿日: 2024.01.15
powered by ブクログ聖の話していた「信用」と「信頼」のイメージの違いに共感しかなかった 信用はそこに人がいないような 自分で勝手に判断して少しの風向きや出来事で簡単に失ってしまったり覆ってしまうようなもので、信頼は相手にそれを置いた時点で私も何かを返しているようなちゃんとそこに何かがあると思えるような そんなものだと思うという言葉がこれ以上ないほどの実感をもって染み込んできた 私もその言葉を想像するときそう考える、信用は冷たく信頼は温かいような あくまでもイメージの話で感じ方の問題だけれど、そうだなぁ分かるなぁが深く刺さる
3投稿日: 2024.01.14
powered by ブクログ話すのが苦手な社会不適合的な主人公が、 お酒の力を借りて男性と話すようになる。 しかし、化けの皮は剥がれていく。 自分のことが、わからない。 自分は選び取って、ここまで生きてきたのか。 ぼんやりと、生きてきたのか。 私の中では、ぼんやり生きていてもなにかしらの選択をすることはあったと思った。 最後までなにが伝えたい作品なのか、 モヤモヤが晴れずどうしたらいいのかわからない。
2投稿日: 2024.01.14
powered by ブクログ深く考えたこともなかったけれど、光って目には見えないけれど目に見えていて、でもそれは残り物で… そんな儚い光のような冬子さんと三束さんのお話。 聖と恭子さんの人間観察力には痺れた。言っていいことと悪いことは判別つけよっと。 自分の人生において仕事というのもをどんなふうに捉えていて、どれだけ敬意を払って努力しているか、意識して仕事したい。
0投稿日: 2024.01.14
powered by ブクログ主人公にはあまり共感できなかった。読み終わりはどんよりした気持ちになってしまった。あとひらがな多いの気になった。
1投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ真夜中の光、、、 冒頭の1ページが読んでるあいだずっと心に刺さり続けてた。何か劇的な事が起こって、それがもっと深く辛く刺さるんだろうなと覚悟して読んでいた。 でも良い意味で裏切られ(完全に私の意見です。逆に裏切られた!と感じる方が多い気も)、あぁやっぱり最初の1ページに戻るんだな、て。 幾つになっても恋することで成長できる、それまでの1人の時間が長くても短くても、恋は同じようにやってくる。 テレビドラマになりそうなハラハラドキドキ急展開なラブストーリーではないけれど、私は絶対こっちの方が好きです。 恋人という言葉は愛を誓い合った両思いの付き合ってる2人とは限らない。そりゃそうか。 真夜中の光に照らされる恋人たちは、悲しくて切なくてピュアで優しい。 結婚して子供もできて、恋愛とは程遠い生活をおくっているけれど、読書を通してこんなラブストーリーに出会えて先が楽しみで読んで。心震えて泣いたりそっと手を叩いて喜んだり。自分のそんな気持ちを大切にしてゆきたい。
0投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ前半と後半で雰囲気が違う 主人公に全く魅力を感じる事が出来ず、彼にも。 感情移入出来ないまま読み終わりました
1投稿日: 2023.12.28
powered by ブクログ恋愛と呼ぶにはあまりにはかない。光の話、冬子と対極にいるような聖とのつながり。女性のなんとも嫌な部分、読んで苦しくなるけれど、切ない読後感でした。
1投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
かなりどうしようもない女…… でも自分に似てて苦しい…… でも自分よりもっとなんか…いいね ほかの女たちもむかつく…けどまあいいか ああ心は触れても通じあえなかったのか… 叶わないか恋…でもいいか なんだかんだやってけるようになって良かったな… いつか三束さんと結ばれて良いと思うわ…
0投稿日: 2023.12.17
powered by ブクログ綺麗な小説!が読み終わったあとの第一印象 比喩や表現が素敵。 恋愛ってその時の状況や心理状態、色々なタイミング合わないと上手くいかない、、 不器用でも少しづつ相手を愛していく主人公が良かった。
1投稿日: 2023.12.16
powered by ブクログ三束さんとお話しする場面が好き。恋、というか人を好きになるという経験を通じて主人公が人として成長してるのが良かった。
3投稿日: 2023.12.12
powered by ブクログ主人公にも三束さんにもなんの共感もなかった。 こんな人いるんだって言う感覚。 不思議で暗くて、あの所々意味がわからない部分があった。なぜそんなに双方惹かれてるのか全く理解ができなかった でも文章や言葉は綺麗で、読み進めやすかった、 不思議な終わり方だったが、終わり方は好きだった、 でも全体を通してあまり盛り上がりがなく、理解できなかった
2投稿日: 2023.12.12
powered by ブクログ表現がすごく綺麗な小説だった。 主人公が暗すぎて、読み進めるのが少し大変だった。 「わたしはこれまで、何かを、選んだことがあっただろうか」 というところ、私もずっと選ぶということが怖くて、油断すると何もかもを曖昧に生きてしまうタイプから、ちゃんと選べる人間でいたいと思った。
1投稿日: 2023.12.10
powered by ブクログ人が恋に落ちる刻を、繊維の一つ一つを解いて丁寧に並べたような作品でした。 ダイナマイトが爆発する瞬間や野球でホームランを打った瞬間というのはたった一文で表せるのに、恋に落ちる瞬間というのは主観的で連続的な事柄である為に極めて難しい。実際に自分が恋に落ちた瞬間をを表してみよと言われたら多分出来ません。 長いページをかけて、長い間凍りついていた冬子の心をゆっくりと優しく、しかし残酷に溶かしていく様子を見ました。 今まで読んできた恋愛小説は、少し芝居がかった言葉や振る舞いが多くてあまり合わないと思ってましたが、この小説は冬子の行動と内面をリアルに描いています。それがとても自分と重ねやすくて、まるで冬子の中に入って追体験しているようでした。 初めはただの日常をリアルに描いていくドライな作品なのかなと思いましたが、終盤になるにつれ動悸がするほどにシンクロしてしまって、私にとっては衝撃的な作品になりました。
0投稿日: 2023.12.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私には難しすぎた。なんで入江くんって呼ばれるんだろう、なんで、【すべて】真夜中の恋人【たち】なんだろう、、読解力不足です。
1投稿日: 2023.12.09
powered by ブクログ全部読み終わってからの1ページ目は心にくるものがあった。 本物の恋をしてる時って、こんな気持ちだなって懐かしく感じた。
1投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログちょっと主人公には共感出来なかったかな。 性格の問題もあるけど、行動を起こさないと物事は起きなくて、悪いことがあっても傷つかない。 傷つかないけど、何も変わらない。 ワタシは前に進みたいって思った。でも、心のどこかで傷つきたくないって思ってるのかなw
10投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても良かった。 感情を言葉にするのが苦手な主人公が自分の言葉を発見する物語。 主人公は他の人の言葉を借りて自分の感情を認識している一方、様々な言葉を語りながらも、言葉と感情が一致しない、嘘ばかりの登場人物たち。 校正者という設定や登場人物の構成、主人公視点で書かれる地の文が物語を通して変わっていく様子など、ストーリーがよく練られていて、作中ではさほど大きな事件は起きないのにずっと面白く読み進められた。
2投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ恋をしていて、相手のことをもっと知りたいけれど、知ることができなくて、触れたいけれど、触れることができない、そんなどうしようもない感情がリアルに表現されていて、胸がいっぱいになりました。
0投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ『#すべて真夜中の恋人たち』 ほぼ日書評 Day738 ストーリー展開だけをみると、いわゆる物語の盛り上がり的なシーンがほとんどなく淡々と話が進んでいくのに反して、主人公の生きる様は壮絶である。 校閲という仕事をしている30代半ばの女性。昔から本を読むのは好きだった筈が、この仕事についてからというもの、本を文字の羅列としか見ることができず、そこに感情移入することはない。 担当する原稿を受け取ったら、校閲のため図書館等で調べ物をし、一連の確認が済んだら、原稿を編集担当に戻すくらいしか、平静は人と接することもほとんどない。 過去を振り返ると、高3の時に、半ば無理矢理な状況で破瓜の痛みを体験して以来、20年近く異性との接点もない。 そんな彼女の誕生日はクリスマスイブ。多くの人にとってハレの日であり、特に若いカップルにとっては特別な1日であるその日だけ、普段は用事のない限り外出することも少ない彼女が、ひとり深夜の散歩をするのである。 そんな暮らしをしていた彼女が、初老の男性と出会ったことで、これまで彼女の心を守ってきた防御壁のようなものが、静かに、しかし確実に壊れて行く。それは彼女に取って、幸せなことだったのか否か。その判断は、本書を読んだものに委ねられているようだ。 https://amzn.to/416AhdC
2投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ恐らく22歳くらいの時に購入したのですが26歳の今読んで良かったです。言葉が手に取るようにわかり、映像化され、気持ちが良かった。
0投稿日: 2023.11.21
powered by ブクログ大人の女の話。 自分の言葉を持たないのは「楽」をしているようにみえるんでしょうか。相手に合わせるのって「簡単」な事なんでしょうか。人の愚痴を聞く側の人間って「いい人」なんでしょうか。そんな疑問を持つ人にはぜひ読んで欲しい作品。個人的に、自分と似た人が主人公だったから理解出来るところが多かったように思えた。人を好きになっていく感じがリアルに描かれていて恋愛がしたくなる小説だった。
1投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログ正直自分には全然刺さらなかった。 とにかく主人公に1ミリも感情移入出来ず暗いし、めんどいしで自分と正反対すぎて読んでてイライラしてしまった。 三束さんもなんなんだと思ってしまい終始モヤモヤ。 自分がまだ高校生で人生経験が足りないのかどうなのか。もう少し大人になったらもう一度読み直してみます。
2投稿日: 2023.11.15
powered by ブクログ学生の時読んだ 恋愛があまり得意じゃない時だった 恋愛はしたいけどしたくない時期だった そんな私の心を、暖かくしてくれた本 川上さんのファンになったきっかけの本
0投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ切なくてもどかしくて不安で、少しずつ読んでいたら2ヶ月もかかってしまった でも私がこの本を読むにはそれだけの時間が必要だったんだと思う 喫茶店で向かい合う三束さんと冬子、「記憶につまさきをそっと入れてゆく思い」と書かれた部分は官能的で読んでいて息も胸も詰まって本を閉じてしまうほどで やはり川上未映子さん好きだ
3投稿日: 2023.11.05
powered by ブクログ私はここからの立ち直り方をまだ知らない。 静かなのに、心と頭が忙しい、気がする。 光の描き方や、セリフの言い回し、たくさんのフレーズに川上未映子の感じ方の豊かさ繊細さがあって、すごい。わかるっその感じ!とはっとするところがいっぱい。 感じ、を、こんな言葉にすることができるのか…とため息が出る。
2投稿日: 2023.10.27
powered by ブクログ最初はどうしても主人公が理解できなくて、人に対して全てを諦めててうまくコミュニケーション取ろうとしないところとか自分で強く生きようとしないところとか登場人物の聖のように私もイライラしたんだけど、それだけ私と正反対の感性をもった人の話ってことで気づいたらのめり込んで異様なスピードで読了です。 とにかく余韻がすごくって、私と正反対の感性でも 恋愛に対して感じることすごく共感できて。 今の世の中、恋愛ノウハウとか脈ありなしとか駆け引きとか天秤にかけるとかそんなのばっかり目につくし考えてしまいがちだけど元々恋愛って誰かを好きになれる、でものめり込みすぎると危険な麻薬みたいな。 どの感情にも分類できない特別な感情なんだよね。 付き合うことが、気持ちを伝えることが、 結婚することがゴールなんじゃなくて ただその感情を味わえるほどの経験ができるだけで幸せなのかもしれないね。 どんなに辛くても、嬉しくてもハッピーエンドにならなくても時間って思いを薄めていく、光みたいに吸収されて消えていく。 読み終わってそんなこと考えてたら泣いてた。
0投稿日: 2023.10.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文章が読みやすかった。 この著者の本を読むのははじめてだった。 日本の作家の小説を読むこと自体がだいぶ久しぶりだったので、風景や感情の描写が自分の求めていた小説の文章と一致していて、ぐんぐん読み進めていける気持ちよさがあった。 真夜中や渋谷の雑踏の描写がけっこう好き。 主人公の恋の展開は、本人にとっては劇的だろうけど、結局はあるべきところにおさまって安心したというか… はたから見たらどこに惹かれたかなんてちっとも理解できないし、現実的な未来があるようには思えない恋に見える。 どうしようもなく惹かれる気持ちもまあわかるけど、主人公の恋愛への没入が、危うさも感じたし、もし二人が結ばれたらどんな気持ちになるのか、うまく想像できなかった。 だから結末はホッとした気持ちが大きかった。 聖との諍いが丸く収まったのも含めて。 登場人物たちの中で唯一、三束さんが浮いていて、恭子さんから見た聖、主人公の周りの人たちから見た主人公への評価というか見立てみたいなものがあったけど、三束さんにはそれがないのも主人公の恋の危うさを引き立てているのかもなーと思った。 あと主人公が会話の中でさらっと嘘をつくのが、身に覚えがありすぎて怖かった。 はたから見ると嘘ってわかるもんなんだな… 会話を変なところで詰まらせないように選択してるだけなんだよな…
0投稿日: 2023.10.06
powered by ブクログ文章が綺麗で読みやすかった。自分の気持ちや考えの表出が薄い主人公を通して、あーなんか人間関係ってこうだよなって思ったり、こういう人いるよねって思ったりするのは結構よかった。でもちょっと暗いなー。みんなのこれからのことを考えちゃった。
1投稿日: 2023.10.05
powered by ブクログヘブンを読んだ以来の川上さんの本でした。(ヘブンを読んだのは10年も前でオチを覚えてないんですが、巧妙な気持ち悪さがあって、この人の書く本は毎回気持ち悪い本なのかな?と思って買った本が今回の本です。) 純粋なまっすぐな恋愛だったな、と感じました。自分に自信がないからお酒を飲んで会いに行っていたけど、最後は友人からもらった武器を装備してデートに向かったように思えました。 本の文章についてですが、漢字変換してもいいところがひらがなになってて、だんだん少なくなってるように見えました。お酒飲んでるときがひらがな多い?と思ってたけど、入江冬子自身の輪郭はっきりしてくるに連れて、漢字に変換されるようになってるのかな、と思いました。
0投稿日: 2023.10.04
powered by ブクログ川上未映子さんらしい、一冊だった。 フリーランス校閲者の入江冬子。人とのコミュニケーションがうまくとれず、これと言った友達もできず30代半ばまで来た。仕事を振ってもらっている出版社の石川聖と交流するなかで、その「強く」「正しく」「自由な」生き方に少なからぬ影響を受け、変わってゆく。自己からの逃避のように酒を飲むようになった頃、50代の三束と出会い、知らぬ間に惹かれていく。 その恋と、友情とを通して、冬子は、真夜中の光の先へ、歩き始める。
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログ2年ぶりの再読。 光と言葉が流れていくイメージが頭の中で広がった。 登場人物が、主人公の人柄を際立たせるためだけに出てくるような印象で、すっきりとしていて読みやすい。
2投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログ繊細な人間の感覚を伝えてくれる文章だと感じた。愛の形は人それぞれであることを考えさせられる物語であった。
0投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【2023年110冊目】 読了後の感想は「そっか〜マジ謎〜」でした。読み取り力が低すぎる故に。 主人公は、なかなかに、言ってしまえば不器用な女性なんですが、自分の時間を費やして、自分のペースで物事に向き合っていく強さみたいなものがあるなと思いました。 学生時代の経験とか、傷つけることを目的として投げかけられた言葉とか、「何もない」みたいに言うけど、全然何もなくないんですよね。 あとね、わたし酒カスなんですけどもね、ダメだよ現実逃避をするためにお酒の力に頼っちゃ!!!アル中じゃないかと思って違う意味でドキドキしました。 しかし、最後らへんの聖とのやり取りは手のひら返しか?本性が?と思ってハラハラしたんですが、関係性が壊れなくて良かった。それよりも、同級生の「わたしの人生の登場人物じゃないからなんだよ」が一番きつかった。よう言えるなそんなこと… あとね〜三束さん、なんなんですか、結局何もわからない感じじゃん、読ませてくれよ手紙の内容も詳しくよぉ!!! 読み終わった後に最初のページを読むとまた違った味わいなので、読み返すのおすすめです。
3投稿日: 2023.09.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川賞ってわたしにはまだわからないなぁ…と思いました。終始優しい文章で読みやすかったけれど、共感できるところはあんまりなかったかな…。人生経験をもっと積んでから読んだら何か違うのかもしれない。 三束さんとの別れ方がなんとも切なかった。でも既婚者落ちとかではなくてよかった。聖みたいな、独立した女性はかっこいいなぁと思います。
1投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログ文字たちがなめらかでやわらかくて、時間を忘れる気持ちよさだった。穏やかに苦しくて迷いながら生きている登場人物がみんな魅力的だった。光について一際考えることが増えた。川上未映子さん、好きです。
0投稿日: 2023.09.08
powered by ブクログこの本は、読者の記憶にそっとしまってあったものを使ってストーリーを展開してくれる。街路樹を透かすきらきらした光、下校する小学生の賑々しい声、窓越しの音のしない雨…美しく静かな筆致で、自分事のような温度を感じられる。 ストーリーは、恋愛は人を変えるとか友情は正義とか言いたい内容にみえて、そうでもない。むしろみんな自分勝手だなと思う人たち。なのに憎めない、やっぱりいるよなこういう人と思う人たち。 寂しい気持ちになったときにとてもお勧めです。
0投稿日: 2023.08.30
powered by ブクログ2023.08.28 読了 ・主人公の不器用具合にヒヤヒヤとむず痒さを感じた ・小学校の時の初恋を思い出した。全然話したいこと話せなくて、心臓もばくばくして、だから話せた時は温もりとか、その人の顔や雰囲気、仕草、話したことずっと大切に大切に反芻して宝物みたいに大事にしてたなあ。 そういった恋愛を入江さんは34歳でできるなんていう純粋な感性が羨ましいと感じる一方で、34歳のスピード感じゃないなとも思ってしまった。でも、好きな人との一瞬を大事にする感覚、私も大事にたいと改めて思わせてくれた。
1投稿日: 2023.08.28
powered by ブクログぼんやりと光る感情の静かな美しさ 主人公目線で進む物語で、それを取り巻く様々な人間関係を、どこか醜さも入り混じった美しい文体で表現していく。三束さんとの恋も勿論ですが、特に主人公と聖の真反対な関係がまるで自分が孕む矛盾に見えて、その葛藤に心打たれてしまいました。 「究極の恋愛」と謳うだけあって、思わず自分の恋と重ねて胸が締め付けられたり、優しい気持ちになったりと心がずっと動かされてました。 読んだ後はぼんやりとした気持ちと、悲しい感情と、表現し難いこの複雑な想いをもって真夜中を歩きたくなる…そんな作品でした。
0投稿日: 2023.08.23
powered by ブクログ何年か前にSNSで話題になってて ずっと積読してた本。 大人になってから読んで良かったのかもしれない。 究極の片思いって感じする。 主人公の好きの気持ちが分からないときと 好きなんだって気づいたときの描写の違いが良い。 あとは聖だったかな、、 聖が言う言葉、胸に刺さりまくり(笑) 友達に欲しいけど少し怖い(笑)
1投稿日: 2023.08.22
powered by ブクログ今まで読んだ事の無い文体でスロースペースで読み切りました。 ストーリー展開よりも、 表現が魅力的で読んでしまうと世界観に引き込まれます。共感を得る部分は多く、読後感もとても良かった。またの機会に再読しようと思います。
0投稿日: 2023.08.22
powered by ブクログ静かな展開の中に豊かな表現で恋愛から遠ざかってしまった主人公の心情が描かれていて、女性視点の恋愛観が表現されていたと思います。 この作品を通して、大人の恋愛って何なのだろうと考えさせられますね… 好き好き言い合ってるだけで、楽しい気分になってた高校生時代の恋愛とは対照的に大人になれば、パートナーとの将来や身体の関係など、より複雑化されてくるからこそ、悩ましいものであると思いました。 恋愛に億劫になってる人に対して、刺さるような強烈な言葉もあって、読んでて正直、少し苦しかったなと…
9投稿日: 2023.08.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
川上さん5冊目。今まで読んだ中で一番美しくて静かな物語だった。色んな文章が書けて素晴らしいです。でも、大体どの話にも共通しているのは、女性への優しい眼差し。最後冬子と聖が感情をぶつけた後仲直りしたように、私たちはぶつかったり、慰めあったりして生きていけるのかもしれないな、と思った
0投稿日: 2023.08.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルから想像していた物語とは少し毛色が違うものでしたが、とても面白かったです。 「自分の意見も持たず、何考えてるかわからない」みたいなことは、僕も言われた経験あったし、今でも考えることなので、主人公の気持ちに共感できる点がいくつかありました。 それにしても、川上未映子さん初読みでしたが、表現のストックえげつないです…
1投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ校正の仕事をする主人公と偶然に出会った三束さんとの、ゆっくりと、じっくりと流れていく時間と、その日々の中で主人公が自分自身の内に向き合う様子が描かれたストーリー。 序盤からずっとお酒を持ち歩き、心の緊張のようなものをできるだけ解そうとしている主人公に、ずっと不安感を抱かされるが、三束さんとの出会いを機に少しずつ様子が柔らかくなって、本来の気質が見えてくるうちに、無意識に彼女自身を応援してしまっていた。 人とうまく関われない人たちの、それでも人との関わりに憧れていること、不器用さが歪みを生ませてしまうこと。そういったものの丁寧な描写が、人間の繊細さという魅力を感じさせてくれる。 人間関係の拡がりがない分、物語の世界を覗き見しているような気分になるので、少しミニマムな感覚でしっかりと人間というものを見ることのできる作品。 また、エンディングに近いところまで核心的な言葉や感情的な言葉を使わずに主人公の心が丁寧に描写されていることで、こちらの心の記憶をゆっくりなぞるような感覚があった。 心の片隅に忘れていた感情を見つけては、主人公の感情と答え合わせをするような。
1投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ三束さんはなぜ来なかったのか。してもらったのと同じくらいの食事代を払えないから?変化が怖いから?冬子からの想定以上の愛情に恐怖を感じたから?冬子が入江くん呼びされてることも含め、考察したくなる本だった。
0投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『文にあたる』で取り上げられていた台詞に惹かれて読んだ。終わりがけにある、「ゆっくりと忘れていった」という言葉に安心した。そうやって生きることは続いていくんだと思えたから。
1投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログ最終節が読後の満足感をグッと上げてくれた。 聖の本音が溢れて止まってくれない感じがすごくリアルでヒリヒリした。 川上未映子さんの、会話の密度や共感覚的な表現すごいなあと思う。
1投稿日: 2023.08.04
powered by ブクログ静かな夜に1人でひっそりと読みたいお話。 主人公があまりにもあがり症すぎてイライラすることも多かったですが、それがまたいい。
0投稿日: 2023.07.30
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恋愛小説を読みたいと思い、本屋さんで気になったこの本を購入。 言葉がとにかく綺麗。美しすぎて、読みこぼれがないようにしなくちゃと思ってしまって、半分くらいまでは中々感情移入できなかった。 でも、一文字一文字すべてしっかり読むのをやめて、ゆるくさらっと読むようにしたら物語に入れるようになって、読む速度も早くなった。 主人公の入江冬子は自分の意思もなく、人と話すことも苦手で、読んでるとちょっとハラハラしてくる。 しかも、魔法瓶に日本酒をいれてカルチャーセンターへ行き酒の力で思い切って受講しようとしたり、でも結局酔いが回って吐いちゃったり、三束さんと会う前は必ずお酒を飲んでたりで、共感どころかなんでやねん!と思わず突っ込んでしまう場面もあったり。 恋愛ものだけど、もどかしさを感じてしまう。でも冬子にとっては全力の恋なんだと思ったら切なくなる。 聖は冬子とは真逆のタイプで考え方もすごくはっきりしてるけど、三束さんと高級レストランに行ってきた冬子に意地悪を言ってしまうシーンで、聖は聖で不器用な人なんだなと思った。不器用だけど良い人。聖の言葉には考えさせられたし、納得する言葉もあった。 面白かったけど、物語に入るまでに結構時間がかかってしまったので星3つに。
6投稿日: 2023.07.29
powered by ブクログ主人公の心理や行動が変貌していく姿を、細やかな描写で表現している。全米批評家協会賞の候補になったということだが、翻訳者は相当の力量が必要だったことだろう。想像していなかった結末を迎えたときは、ちょっと放心してしまった。私が凡庸で、想像力に欠けているのだろうか。
2投稿日: 2023.07.20
powered by ブクログさて……、読んでしまいました。 初めて出会う文体に、言葉選びに、最初は心がザワザワと。あまり気が乗らずモタモタと。 中盤から最後にかけては風のように。冬のお話に相応しくない表現かもしれないけれど、風鈴の音のように、私の中を流れていった。 私の尊敬する女の子が「川上未映子先生」と呼び敬意を表している作家さん。とても不思議なゆらめきがあった。どんな人と出会って、どんな考えで生きてきたのか…どんな人なんだろう
0投稿日: 2023.07.16
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真夜中に街や人が寝静まったときに読みたい、静かなお話でした。 主人公・冬子がアルコールに依存していくところ、高校生の頃にいちどセックスしたきりで三束さんとプラトニックに交流していくところ、特にこれといって主張の無いところがちょっとイラッとしました。こういう気持ちになったという事は、自分もどこか似てる部分を持っているのかも知れません。
3投稿日: 2023.07.13
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相変わらず表現がきついところもあった 最後の急展開に驚き 読み終えた後に、冒頭の文を読むと、心にくるものが。
0投稿日: 2023.07.13
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そう言ってしまうとしたまぶたと目のすきまが膨らむようにみるみるうちに涙があふれ、頬を流れてあごにたまり、それからたくさんの粒になって夜のなかへ落ちていった。瞬きもせず、何かから逃れるように、わたしから逃れるように、涙は夜を目指す生きもののようにわたしの頬を這い、あとからあとから流れていった。 読み終わってから冒頭の「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしは真夜中を歩きながら思いだしている」を読み返して、じんわりしてしまう。
0投稿日: 2023.07.10
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共感するのは難しかった。 三束さんは何者だったのか、なんで高校教師だと嘘をついていたのか、どうして誕生日に会いに来なかったのか、全然わからなかった。 究極の恋愛とは。
1投稿日: 2023.07.09
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冬子が自分の気持ちを自覚していくまでの流れを自分のことのように、また時々は静かに見守る親目線で読んだ。 「光をみるのがすき」と切り出す、冬子にとっては精一杯の告白シーンが特にお気に入り。 「好き」を「すき」と開いたり、 校閲がひとつの要素でもあるから、そのあたりのこだわりも気になった。 「校閲の仕事は何度見直しても間違いは有る」という。 この本にはどんな間違いが残されているのだろう。
1投稿日: 2023.07.05
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内容自体は嫌いじゃない感じなんだけど、どうしても出てくる女性たちにたまにイラッとさせられたり、ラストもなんだかなぁって思ってしまった。私も三束さん、好きだなぁ。主人公の好きって気持ちを確信するところと告白するところがいちばん好き。恋ってそうそう、そうだよね…って私も胸がギュッとなった。好きな人に頭ポンされたら、その感覚ってきっと一緒忘れないと思う。
2投稿日: 2023.07.02
powered by ブクログ明るい光があふれ人々の活動が活発になる日中の世界がとげとげしい表面に覆われているようなものだとすれば、真夜中の世界はそのとげがひっこんで、ようやく自分でも安心してそれに触れることができる。世の中や他人との関わりが苦手で、そんなふうにずっと静かな真夜中を生きてきた主人公が、他者と出会い他者と関わりを持つ世界を生きるようになるまでを描いた物語のように思った。人々が活動を停止し昼の半分の明かりだけが灯る真夜中の静謐な世界に浸かる主人公の行為は、主人公が校閲という仕事を通して触れる文字の世界との関わり方にどこか似ていて、その相対する世界の中身がまるで自分には入ってこない。ひょんなことから知り合った男性をすきになったことをきっかけに、主人公はその世界との関わり方を変えていく。それは今までは真夜中にしかしなかった散歩を昼もするようになり、昼に散歩をしながら真夜中の人たち(かつての自分)を客観的な目でみるように考えられるようになり、この小説のタイトルになった一見不思議フレーズを書き留めることからもわかる。世界との関わりを避け、自分だけの世界に浸かる生き方を作者は強く否定するわけではないが、他者との関わりの中にこそ「本当の自分」はいるかも知れないよ、と問いかけているような気がする。本当の自分はあくまで自分の中にいるのだとしても、他者と関わり、他者の生を受け入れる生き方は、その自分を根底から変えてしまうのだから。
8投稿日: 2023.06.29
powered by ブクログ序盤主人公のはっきりしないところにもやもやし、冬子の三束さんへの想いが高校生のような恋で大人の恋愛には思えず不思議に感じていた。 話に変化があまりないなと思っていたけれど最終章で全てが現れた気がする。 最終章で聖、冬子、三束さんそれぞれが大人になってしまったからこそ、葛藤する自分の性格・考え・行動が現れて、世の中の生きづらさを感じた。 自分もこれからこんな生きづらさを感じる時がくるのかもしれない。
2投稿日: 2023.06.27
powered by ブクログ私は冬子ほど繊細ではないけれど、読みながら気持ちが分かるなあと思う場面がいくつかあった。 三束さんと冬子のお互いに踏み込み過ぎず、でも放っておいたら離れていきそうな2人の世界が読んでいて心をくすぐられた。冬子には幸せになってほしいな。
0投稿日: 2023.06.25
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私にはまだ少し難しかった。 傷つくのが怖くて相手に感情を汲み取ってもらって〜っていう箇所が今の自分によく当てはまってた。相手には汲み取ってもらおうとするのに相手の感情を汲み取ろうとしない。言ってくれなきゃわからないという自分勝手な自分がよく現れていた。1人でいることは選んだものか、人と関わることから逃げたことか。なんとも難しい
1投稿日: 2023.06.24
powered by ブクログ誰しもが通って来た(通るであろう)日々。大きな小さな傷や悲しみやドキリとしたこと。 それでも今ここにいる。 主人公の一部分を見せてもらったんだな、と思う。 みんな大丈夫だよ。いて良いんだよ。
1投稿日: 2023.06.20
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聖の信頼の話はなんとなく分かるし、毎日コツコツと生きている冬子に好感を持ちつつ、淡々としてるなぁと思っていたら、突然始まるお酒生活は普通に肝臓が心配になってしまった。 人と関わるのは大変で、だから友情も恋愛も生まれるんやなぁと思った。でもずっとそのまま同じ形ではなくちょっとずつ変化している。切なくも思うけどキラキラしてるなとも思う。
3投稿日: 2023.06.19
powered by ブクログ全米批評家協会賞の最終候補に選ばれたというニュースを見て買った本です。 タイトルとカバーのように、静かな、微かな光が灯っているかのような物語です。大人の恋愛でありながら、彷徨って不器用で、純粋な感情が淡々と語られています。 繊細な内面描写を通して、読者は主人公の冬子とともに、好きという単純な感情を味わえます。自分でもその感覚は何かがよくわからない段階から、好きだと気づいたとき、しかし好きだからこそ怖くて、アルコールがなければ向き合う勇気を失う、という自分の恋に対する心細さとそれによる寂しさが描かれています。 読む人によってまさに「いらいら」と感じるかもしれませんが、全体的に、読者は作者とともに冬子のそばにいて、静かにその恋愛模様を見守る優しい印象を、私は受けます。
0投稿日: 2023.06.13
powered by ブクログいい本だった。 誕生日の日にひとりで真夜中の散歩、わたしもしてみようと思った。 真夜中っていいよね。 最後の最後で聖の本性が現れて、うわ怖ってなった。主人公みたいな繊細な人は聖みたいな自分が強い女にいいように利用されやすいというか、踏み台にされたり、何にも言わないがあまりストレス解消の道具として使われたり、それで持って腹の底では見下しているみたいな、そういう人が多い気がする。だから聖みたいな女には関わらないのが良いと思う。 主人公が自分に似ているところがあったから、共感できるところが多かった。 恋愛面で何もしないのは自分が傷つかないためか。 そうだと思う。まさに。 最後三束さんと結ばれて欲しかったなあ。 主人公みたいに自分で選択してこなかった人ってどれくらいいるんだろう。 それを30代で気づく人ってどれくらいいるんだろう。 そういう人はどういう気持ちになるんだろう。 挑戦しようと思うのか、もう遅いと諦めるのか。 20代で自分は挑戦した人間で、今は笑われることが多いが、今笑ってる人たちがそのうち何年か経って、自分も挑戦していれば良かったと思う日があるのだろうか。
4投稿日: 2023.06.12
powered by ブクログ人づきあいが苦手で、孤独を当たり前のように生きてきた冬子。 誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々の中で三束さんに出会った。 冬子だけでなく、ここに出てくる人みんながとても不器用。 きっと誰にでも見える部分と見えない部分があって、一見輝いて見えても、その裏では誰もが生きづらさを抱えているんだろう。 "何もしてこなかった"冬子が34歳にして初めて抱いた感情。 曖昧な2人の関係だったかも知れないが、恋をすることで冬子は確かに変わったんだと思う。 そして私が1番不器用だと思ってた聖も、自分の弱さを吐き出すことで変われたんだと思う。 光について語られる描写がとてもロマンティック。 光はいつか消えてしまうものだけど、1度見つけた光はいつまでも心の中には残る。 静かで、儚くて、とても美しい恋愛小説だった。
30投稿日: 2023.06.04
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思ったより文学だったけど、私は好き。 主人公が三束さんのことめちゃくちゃ好きなのが伝わってきてなんか切なくてひたむきで不器用で可愛い〜〜って思った。 結局あの2人がもう会わなくなっちゃうのが切ないけど、それが美しくていい。 この小説を通して感じるのは「なにかを忘れること、出会ったものが全て流れていって留めてはおけないことの哀しさ」だった。典子との再会もそう。光に触れられる触れられないのお話もそう。 とにかく全てが流れていって、それが悲しいけど、その悲しささえ流れていきますよ、という物語なのかと私は解釈した。 少し難しいけど、楽しい読書体験ができた。 夢とか眠りとか光とか夜とか、そういうモチーフを描くのがすごく素敵。美しくて抽象的な文章で集中してないと目が滑ったけど良かった。 ショパンの曲も聴いたよ。情緒があっていいね。 作家さんはああいう音楽をどこで仕入れているのだろう。ナラタージュのときも思ったのだが。 主人公が「全然つまらない人です」みたいな顔してめちゃくちゃ面白い女なのずるいよ。日本酒を魔法瓶に入れるし三束さんとは初対面で嘔吐だし爆睡してカバン盗まれるし雨の中びしょぬれで歩くしそら三束さんも面白いと思いますよ。 三束さんも主人公もちょっと冴えない人たちなのがいいなあと思った。美男美女だったらちょっと予定調和な感じあるけど、そうじゃない2人が惹かれあってるのが「人間」を描いてる感じがしていい。なんか、誰かのための、美しかったり出来が良かったりする整った恋愛じゃないところがいい。 聖のことちょっと苦手だったけど最後の方の場面で彼女にも色々あるんだろうなと思ったし、なんだか可愛いと思った。あの2人はあそこで泣いて、本当の意味で友達になる必要があったんだと思う。 最後のタイトル回収、割とあからさまだったからちょっとびっくりしたけど、なんかいいと思った。 「すべて真夜中の恋人たち」とは、「真夜中はなぜこんなにもきれいなんだろうと思う」という書き出しと合わせて解釈すると、2人の共有した時間はずっときれいなものだったということなのだろうかと思う。 いつか絶対に終わるのも真夜中で、そういうところも2人の時間にかかってくるのかな。
6投稿日: 2023.06.02
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終わり方はとても切ないような気分になったけれど、冬子の人生にとても沿った流れ方なのかな、と思った。 冬子も三束さんも聖も、どこかの部分ですごく生きづらそうで、切なかった。だからこそ通じ合えた時本当に気持ちがあたたまるのを感じた。良かった。 野暮かもしれないけれど、三束さんとどこかでまた会えていたらいいと思う 好きな文 「違うの、わたし意地悪になって、いつもこうなってしまうの、それでいつもだめにしてしまうの、何もかもがだめになるの、」 「あなたのことをもっと知って、わたしはあなたの友達になりたいと聖は泣き、」
1投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログ読了後、ショパンの「子守歌」を聴いたら、作品と同じくらいの繊細さが押し寄せてくる曲で胸がいっぱいになった。 文章が美しい。 相手に触れるまでに300ページかかる。なんて繊細で綺麗な恋なのか…もうこの歳になると忘れてしまっていた感情が押し込めて、そんな自分に虚しくなった。そのくらいこの作品は美しい。 完全に私情だけど、結婚とか将来とか家庭とか、そういうのを抜きに相手と心を通わせることの尊さを実感した。早くそういったしがらみが無くなる中年になりたい
2投稿日: 2023.05.27
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正直な気持ちを綴ると私は主人公に対し嫌悪感を抱いた。 自分の意見をはっきり持たず伝えずそのせいで関係を信じていた人たちには馬鹿にされていた感じがするし、いざ自発的な行動をとったと思えば酒の力を借りる。後半も傷つけられそうになるとぶつからずに逃げる。立ち向かっていったと思ったら服も店も自身で決めず他人と一緒のものを選択している。試行錯誤というより中途半端な覚悟に感じる。 文は綺麗だし最後の終わり方も綺麗だけど人間としての成長面についてはなにも変化がないと感じた。
1投稿日: 2023.05.22
powered by ブクログとてもリアルで実際にありそうな恋愛ストーリーだと思った。高校生の時の甘酸っぱい思い出と30代の恋愛を通して女という生き物が求める物語と、頭のなかで描いた通りにならない現実を描く。それを鋭く指摘してくる友人にも屈せずに好きな人を好きと思うことの幸せは間違いなく誰にも邪魔されない。冷めきった夫婦生活を営む専業主婦の友人との対比もあり、思い出の中の好きな人をずっと想い続ける人生も素敵なのだと思う。
2投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログ冬子は不器用でパッとしなくて、おそらくこんな人が身近に居たらイライラしてしまうだろうと思わせるのに、その不器用さのかけらを自分も持っているような、あらゆるひとの不器用のかけらを集めて冬子をつくったような、不思議なキャラクターだった。彼女にとって恐らく初恋である三束さんとのやりとりは微笑ましく、そしてスリリングでもあり、ページをめくる手が止まらなかった。全体的に一つひとつの文が美しくて、うっとりしながら読み進めた。
1投稿日: 2023.05.18
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読んだ後、清々しいような、心が透き通ったような感覚になりました。最後に冬子が綴ったすべて真夜中の恋人たち、という言葉。何度も読み返しては色んな描写を思い返せる、大切な言葉になりました。
2投稿日: 2023.05.17
powered by ブクログ冬子があまりにも自分で、20代のころに読んでいたら刺さりすぎてショパンの子守歌を延々と聴きながら深夜徘徊を繰り返していたと思う。 30代に読んだおかげで、ショパンの子守歌を延々と聴くだけにとどまれてほんとうに良かった。
3投稿日: 2023.05.16
powered by ブクログ装幀もタイトルも物語も何もかも好きすぎた。色々心に食らって余韻に浸っている...。登場人物みんな不完全で不器用でそれぞれに愛しい。内容は全然異なれど乳と卵と同じ作者だなってわかる文章でした。川上未映子さん...もっと読みたい。
1投稿日: 2023.05.11
powered by ブクログうじうじして自信の無い主人公に最初は苛立っていたはずなのに最後には彼女に共感していたし清々しい気持ちになってた。
1投稿日: 2023.05.11
powered by ブクログ校訂の仕事をしている地味な女性が、三束さんという、50台半ばの男性と知り合い、喫茶店でお茶を飲んだりするうちに好きになり、高級レストランで誕生日デートをするのだが、帰り道に一気に距離が縮まったのを最後に連絡が取れなくなった。 三束さんとの思い出が徐々に薄くなってきた2年後、彼女の頭に浮かんだのは、すべて真夜中の恋人たちという言葉だった。
1投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ校正の仕事をしている主人公という点もあり、気になって読んで見たけど、どちらかと言ったら女性向きの作品なのかなぁ。 実際にもこういった色んな感情が入り混じったが故の女性の口論は沢山あるのだろうと思った。
2投稿日: 2023.05.02
powered by ブクログ「全米批評家協会賞」の小説部門のノミネート作品と知り読む、入江冬子のなんの特徴もない日常から変化を求める心理描写が難しい。
0投稿日: 2023.04.29
powered by ブクログなんて繊細な人なんだろうか アルコールが入っていないと行動に動けずにいる すごく苦しくなる 最後もとても切なくどこにこのもやもやとした思いを持っていけば良いのかわからない 自分の気持ちや思いに向き合っていく冬子 みつつかさんという響きと彼女の心からの声にそっと耳を傾けるような作品
1投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログお恥ずかしながら川上未映子さんの本は初めて読んだのですが、その描写のうつくしさに圧倒されました。 孤独で儚くて刹那的で、そこに例え嘘があっても、それでも、確かに間違いなく「恋」で、どうしようもなくせつない気持ちになりました。
2投稿日: 2023.04.20
