
総合評価
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powered by ブクログ予想した結末ではなかったですが、読みやすい訳ですらすらと読めました。他とは違った切り口のSFで、やや哲学的な展開でしたが、最後まで楽しめました。
4投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ70%ほどかから一気に盛り上がり、凄まじいクライマックスにつながっていく。 まだ現代ほど、情報もSF的な物語も少ない時代によくもこれほどに、時間も空間も共におおきなスケールで善悪にも分類できない、悲しくも嬉しくも神々しくもある結末を描いていることに感動した。
3投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ三体が好きなら絶対に読むべき一冊。 こういう古典を読んで巻末の広告に出ている本はこれもまた間違いなく面白いというオマケつき。
0投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログおすすめされて読んでみましたが、おもしろくて 一気読みしてしまいました。 地球時間で約150年の間、 謎に包まれたオーバーロードとの人間の交流や、 変わっていく世界がおもしろかったです。 ただ、驚きもせつなさもあり、とんでもないラストに 読み終わってから脱力してしまいました。 個人的に外に出かける時にサングラスをかける オーバーロードが好きです。
2投稿日: 2025.04.24
powered by ブクログ最近読んだ海外SFと比べると、かなり読みやすい。人々が飢餓や労働から解放されたらどうなるのか、というところがかなり興味深かった。娯楽に興じて「何も生み出さないスポンジに成り下がろうとしている」は、自分に言われているようでヒヤリとした。 途中、三体を彷彿とさせるところもあった。70年前の作品なので、色々な作品に影響を与えてそう
1投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログ弟にSFの名著として勧められ手に取りました。 名著の名に違わぬ内容だった。 当初読んで自分で予想した結末から全く違う結末、オーバーロードの目的、驚きながら読んだ。 この話はもちろんSFだが、我々人類は争いなどの社会問題を克服し成熟できるのか、皆が少しずつ良き影響を発揮し、元気玉のイメージでより良い世界になればと感じさせられた作品。
1投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログ読了。興味深く面白い。今まで読んでいなかったのが恥ずかしいくらい。表現できる語彙力がないことが悔やまれる。
0投稿日: 2024.06.19
powered by ブクログ読みやすいし、これが現在のSF世界観の地殻を固めたのだということが、なるほど分かった。早く幼年期を脱したい
0投稿日: 2024.06.01
powered by ブクログクラークといえば『2001年宇宙の旅』だけど、「超越的な存在により、人類の進化が促される』というモチーフが共通していて興味深い。 また、巽孝之による解説も読み応えあり。欧米とは異なり、日本では三島由紀夫や沼正三らによって本作は「人類家畜化小説」の文脈で受容されたという指摘。敗戦国家ゆえの受容のされ方。
0投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間の終焉をディストピアとして描く映画や小説は多い。人間が進化し、統合体という新たな上位の存在に生まれ変わるのはわたしにとって目新しかったし、美しいとさえ思えた。 オーバーロードの最後の演説は、忘れ去られる人間に敬意もあり、素敵だった。
1投稿日: 2024.04.14
powered by ブクログ第二部で描かれている、合理性を信奉し自ら家畜になっていく人類の様子はまさしく生権力の話そのもので興味深かった。ラストについてはまだあまり頭の整理ができていない。
0投稿日: 2024.04.03
powered by ブクログSFを超えた哲学小説 という帯と、SFの古典ということで ぜひ読みたいと思い手に取りました。 とりあえず、面白い!哲学的!でもわかりやすく 難しい知識も必要ないのに深い! 最後の展開、よく考えつくなーー 素晴らしい創造力です。 今のSFではもっと科学的なものを発展して 創造されたものが多い気がしますが、 根底に、平和を愛する気持ちや 哲学があり 今のSFを読みなれてる人は、ところどころ 古いと思うかもしれないけれど 私は本当に大好きです。 途中平和になりすぎたことが退屈にならないか? ってとこで 最近読んだ 暇と退屈の倫理学 という本のことを 思ってました。 なので、それをどう捉えてるのかも興味深かったし それでどうなるの?先が読みたくて どんどん進みます。 最後の展開は、もう少し咀嚼したいとこです。 また再読をぜひしたい本に出会いました!
12投稿日: 2024.03.21
powered by ブクログ最高。壮大で、美しく、暖かく、切ない。読み終えたあと、「幼年期の終わり」というタイトルが示す意味が、じんわりと心に沁みた。不思議な読み味の名作SF。ハヤカワから出ているものよりこちらの訳のほうが読みやすかった。 三島由紀夫がこの小説に触発され「美しい星」を書いたというエピソードはどこに書いてあったんだっけな…
0投稿日: 2024.03.05
powered by ブクログSFの古典的名作。クラークは『2001年宇宙の旅』が全然ハマらなくて遠ざかっていたんですがこちらは非常に面白かった。地球に宇宙人がやってきて…という邂逅物なんですが、いわゆる侵略ではない出会い。人類の進化や宇宙全体の広がりについてあれこれと考えさせる魅力がありますし、地球文明のあり方や行く末が「人類のみ」から描かれている辺りを時代を感じさせる記述のあり方と読むか、それ自体も上位存在の視点を問いかけるクラークの仕掛けと読むか、色々な読み方ができる名作ですね。
0投稿日: 2023.09.05
powered by ブクログSFの傑作、アメリカで1952年に刊行されたものとは思われない。 一種、観念的ではある。 多数の巨大な円盤状の宇宙船が、世界各国の大都市上空に出現、異星人達は、人類を進化させ、地球上から争いは、なくなり、進化を始めていく。 果たして、人類は、どう進化していくのか。
0投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログ昔々、多分まだ高校生か大学生だった頃に読んだことがある古典的なSF作品を改めて読んでみた。難解な展開もあの頃よりは理解できるようになったように思うが、それでもなかなか普通の頭にはストンとは腑に落ちないような感じだった。でも再読してみて良かったと思う。
1投稿日: 2023.05.01
powered by ブクログ「知性ある者は、運命の必然の腹を立てたりはしない」 その考えかたは、人類のには最後まで受け入れられなかったわけだな。 _______________________________ 地球外知的生命体「オーヴァーロード」(最高君主)に地球のオーナーシップが移行され、人類最後の人間ジャンが地球の終わりをレポートする最後はまるで自分がその瞬間に立ち会っているみたいに具体的ですごかった。 「自分の悩みなんて宇宙の大きさに比べたら大したことない」という考え方の処世術にうんざりするほどの説得を与えてくれる作品。 「草を食べる虫を食べる鳥を食べる獣を食べる人間」という仕組みを食物連鎖というなら、このSFで描かれてたのは「文明・知識連鎖」って言える。 私たち人間は人間の間だけで優れている劣っているって比べあっているけど、オーヴァーロードたち、さらにその上位に君臨するオーヴァーマインドたちからしたらアリの巣を眺めてるくらいの感覚。ちょっと遊びで月を回してみるくらいの技術力の前に、たかが一惑星の生命体がどう抗えるのか。 タイトルの「幼年期」が「人類の(宇宙全体の知的生命体と比較した)成熟度」って解釈できたけど、皮肉すぎて著者のセンスすごい。 SF作家ってほんとすごいな。 . . #読書記録 #幼年期の終わり
2投稿日: 2023.04.13
powered by ブクログすっかり光文社の手先と化したわたくしが今回選んだのは池田真紀子さん訳の『幼年期の終わり』です なぜか訳者で読む本を選ぶ行為を「通」と思っているふしがある 蕎麦を最初に1本だけそのまますするみたいな さらに池田真紀子さんがSFとは珍しい 実に興味深いんですが作者クラーク? はて、クラークとな誰やねんクラークて アーサー・C・クラークだわバカタレ! そしてSF界の巨匠の代表作はやはりとんでもなく面白かったのです もう序盤から引き込まれまくり! 人類の統治者たるオーヴァーロードが初めて姿を現した時なんか、うわーそう来たか!やられたー!思いました 頭の中で「やられたー!」がこだましました さすがアーサー! そしてこの概念とか設定は非常にSFチックでありつつ哲学チックでもあって、ごちゃごちゃしてるんだけど、ちゃんとより分けられたら自分だけの光の道が見られるようになってくるのよ(伝わらん) と、とにかくCの代表作にとどまらない SF小説はとっても面白くて、とっても思考させられる至極の一冊でした
42投稿日: 2023.03.19
powered by ブクログ名著とは色褪せないもの。 ラストの「幼年期の終り」の情景は、なぜか名絵本「もこもこもこ」を連想した。
0投稿日: 2023.03.12
powered by ブクログSF寄りのアニメや映画が好みであったら抑えておきたい名作、今読んでもとても面白かった。ブッ飛んだ壮大な物語の中にも人情味があってホロリとくる。
0投稿日: 2022.07.30
powered by ブクログオーバーロードと呼ばれる異星人によってもたらされた地球の平和。オーバーロードたちは何が目的なのか… いろんな人の目線で話が進んでいって、それも丁寧に説明とかされないから、その話の進み方に慣れない最初の頃は戸惑いが大きかった。話も地球人対エイリアンの宇宙戦争的なものもなく、圧倒的な力のオーバーロードたちを受け入れる地球人、そして地球は平和へ…みたいな話の展開で、すごく落ち着いた感じで話が進むので、今までにないタイプの小説だ…と思った。 舞台は平和な地球でユートピアなはずなのに、どうしても居心地の悪い雰囲気をずーっと感じてた。ラストを読んで「やっぱりディストピアじゃん!」と恐ろしくなった。でもあの新人類からしたらディストピアとかなんとかとか関係ないのかな?子どもを諦めなきゃならない親からしたら耐えられないディストピアだけど。 平和ってなんなの?世界の在り方は?とか、自分でも答えに出ない問いを考えさせてくれたいい本だった。 読む時間を意識的に作って一気読みできたので、そこも満足。
0投稿日: 2022.06.11
powered by ブクログ文学ラジオ空飛び猫たち第71回紹介本 https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/71-C-e1f9f09 間違いない名作! なんでももっと早く読まなかったのかと後悔したので、気になっていたのに読んでない人は是非読んで欲しい! いろんな作品の原型になっているのが、読めばすぐわかる。この想像力はすごい。ただ非常に読みやすく、書かれた当時の読書側も書き手側もSFの素養がまだ出来上がっていないことが伺えて面白かった。
2投稿日: 2022.03.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
何世代にも渡るストーリーはとても壮大で惹き込まれた。余りにも説明してくれていることが、想像の余地を奪われてしまった感があり、私としては逆に不親切さを感じでしまった。
0投稿日: 2021.09.04
powered by ブクログ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」「星を継ぐもの」に引き続き、SFの古典的名作を読んでいる。本書の初版発行は1953年、第1部に改稿が施された新版が出たのが1989年。1953年の初版発行からは、70年近くが経過しており、まさにクラシックだ。 文庫本の裏表紙に書かれているあらすじは下記の通り。 【引用】 地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とは何か?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始めた人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。 【引用終わり】 本書は3部構成となっている。第1部が「地球とオーヴァーロードたち」、第2部が「黄金期」、第3部が「最後の世代」である。第1部から第2部、また、第2部から第3部に進む際に、物語は大きな展開を見せる。 ネタバレになるので、内容は書けないが、特に第2部から第3部に進む際の話の展開は、私にとっては衝撃的なものだった。 上記のあらすじには「新たな道を歩み始めた人類」を描いた作品・物語という紹介がされているが、実際には、人類が主人公ではない。もっと大きなものが主人公であり、それが明らかになる展開に衝撃を受けたということだ。
14投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログ言わずと知れたクラークの超名作。の、2007年に出た光文社古典新訳文庫版。ずいぶん以前に読んだ時はオーバーロードのオチになるほどと感心し、ラストが気持ち悪い?くらいの印象だったのだが、再読して「すげぇぇぇ!」と今頃になって興奮している(汗)。科学力や知能など、物理的な部分においてすべてを超越する宇宙人と、心や精神の力において潜在的な可能性を持つ地球人類。宇宙に広がる幾多の高次元の存在と、「人類のアセンション(進化)」を描いたものとして捉えると、クラークの生命存在というものについての洞察と予見には感服するしかない。これはSF史上最高傑作のひとつだ。自分はもう40をすぎてあと何年生きるかわからないが、生まれ変わってまた地球で生きることがあれば、そのときもきっと読むことになる小説だと思う。
0投稿日: 2021.07.20
powered by ブクログ宇宙からの使者は敵か味方か。 読みたいと思いながら長く読めてなかったので、新訳の方で。宇宙開発が予想より早いから慌てて書き直したとまえがきにあって、笑ってしまった。 第1部のラストがよかったので、墓参りしてくれているところがほしかったな。
2投稿日: 2021.06.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の1人として残された地球で、地球が消える実況中継をさせられる。どれだけ全てのものを達観していたらそれを受け入れられるだろう。
0投稿日: 2021.04.05
powered by ブクログ2021年2月 (わたしの話だが)コロナ禍で急に、在宅勤務をしたり、ウェブセミナーを受講したり、オンライン飲み会してみたり…なんとか今の環境に順応しているつもりでも、たまの出社でがらんとしたオフィスを見ると、ものすごい違和感。 必要な会話はチャットやオンラインミーティングで可能だけど、こんなんで本当にいいの?という迷いもある。 宇宙人オーヴァーロード(最高君主)の出現で世界が一変する、60年前に描かれたSF小説の中の地球はなんだかそんな今に通じるものがある。 オーヴァーロードのおかげで平和な世界がもたらされ、人間は何の不安もなく生活を送ることができる。何の不安もない?本当に? 物語の中の人々の迷いや葛藤に共感した。 今の気分にぴったりの小説だった。
1投稿日: 2021.02.11
powered by ブクログなんの予備知識もなく読み始めてSFなんだと気がついたところから、このタイトルの意味するところ、3部のそれぞれのタイトルが気になり読み進める。これは壮大すぎるストーリーですね。オーブァーロードと呼ばれる宇宙人は、人類の歴史に介入することで滅亡を回避させるが、その目的が中盤までの最高の謎であり、終盤でとても納得出来る理由を提示してくれスッキリするも、人類にとってのバッドエンド?につながるスケールの大きさ。 オーブァーロードが人類に提示される程よいテクノロジーの提供で黄金期を迎えた人類の生活がとても羨ましい。確かに争い事は無くなるでしょうけど、向上心もなくなりますね。 人類の現在の形態は幼年期であるという設定には驚きと真新しさを感じます。ルパート家でのパーティにて行われたコックリさん(もしかしてこの本がルーツ?)が人類新時代へのトリガーなのか。そこでオーブァーロードの母星への潜入を発想したジャンが80年後に地球に戻りラストマンになる流れも素敵ですし、地球最後の実況シーンと絶望的で好みです。 確かにこれはSF傑作と言えます。
0投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ個から全への進化の話。 最後の章の「絶望と希望」「破壊と創造」感が素晴らしい。 訳が良く、とても読みやすかった。 「ジャンは昔から優れたピアニストだった。そしていま 、彼は世界最高のピアニストだった。」
0投稿日: 2020.12.28
powered by ブクログみんなが平穏な日常を享受する、幸せ飽和状態な世の中では、新たな芸術は発展しないという視点が面白かった。よりよい(とされる)文明、圧倒的に高度な知性に対峙すると民族的文化的な多様性は失われ、人間の個性さえ均されていく。テクノロジーの進歩と共にますますグローバル化が進む現代社会においても、とんだ皮肉だなぁ
0投稿日: 2020.12.25
powered by ブクログ人類が迎えた結末は光栄なもの、みたいに書かれているけど、私はバッドエンドだと思いました。そもそも、子供達はもはや人類じゃないものに変貌してしまったし。進化の袋小路に閉ざされたオーヴァーロードの気持ち、人類最後の世代の気持ち、どちらを汲み取っても寂しい。ジェフリーが夢の中で宇宙の様々な部分を垣間見る描写は、想像力に溢れててわくわくした。 人類変貌の描写は、2012年に起こると言われていた「アセンション」に影響を与えたのかな?と思った。
0投稿日: 2020.12.08
powered by ブクログはじめてのSF作品。 新しい発想の幅が広がる感じがした。 普段考えない領域の物語で、その思考したことないわーということがどんどん出てくる。 なるほど、となったり、なんでそうなった?となったり…。 普段の生活に落とし込んだら役立つ発想がたくさん転がってた。 そこからいろんな発想も生まれた。 SFってリアルとフィクションと理想と希望と未来と、いろいろ混ざってて面白いんだなーと思った。
0投稿日: 2020.11.20
powered by ブクログ人類のまえに突如現れた圧倒的な高度文明を持つ“オーヴァーロード”。彼らの出現によって人類は争い・犯罪・貧困・宗教のしがらみ等から解き放たれる。彼らは一体何者なのか。なぜ地球にやってきたのか。人類はどのような未来を辿るのか。 海外SFの金字塔として名高い本作。「『幼年期の終わり』のように……」と様々な作品にモチーフとして登場するのでいい加減元ネタを読まねばと思い手に取りました。 オーヴァーロードとの邂逅~人類の繁栄期~そしてラストまで、全3章を通じて150年に渡るオーヴァーロードとの軌跡を描きます。 最初こそ未知の生物(?)の到来に恐れ反発もありましたが、人間とは良くも悪くも慣れるものでいつしかオーヴァーロードたちは日常の一部となりその恩恵に甘受します。皆が“理性的”に生きる時代。それは表面状としては平和な反面、人類の創造性は退化する一方でした。 それぞれの時代で主役が異なり、その時々での人間対オーヴァーロードが向き合うシーンは程よい緊張感が伝わってきます。その間、目を引いたのは“圧倒的知”に対峙したときの人間の行動や思想についてです。 好奇心は人にとって生きる原動力です。人はまだ見ぬ答えを得ようと努力し、自分と向き合い、時にもがき葛藤を繰り返し、年齢を問わず成長します。しかしオーヴァーロードという存在がすでに明らかな答えを知っている。他者から答えを与えられたり、探求心や好奇心の芽を摘まれる日常はつまらない、もっと言えば苦痛だと思います。 そんな相手を前に、自身の湧き立つ好奇心や譲れない信念に従って、相手をどうにか出し抜こうと奮起する人々はどの時代にも少なからず登場します。その姿は滑稽に映るでしょうか。その素直なまでの人間らしさ・人間味は私はとても魅力的に映りました。 冒頭からオーヴァーロードの目的はなかなか明かされませんが、3章でそれらの謎が一気に解明されます。それは宇宙にとっては希望でも、人類にとって絶望に違いません。辛く苦しい真実を突きつけられた後、読者を引き付けて止まないのは圧倒的で刹那的な映像美。一読の価値があります。 読み終えた頃には地球終焉までの宇宙誌を読み切った気分になり、本を閉じた瞬間それが手の平に収まる本のなかの世界で心底ほっとしました。しかしぞっとする程のリアリティ。もしかして私は地球の未来を先取りしただけでは……と不安に駆られるほど臨場感があります。50年以上前に刊行された作品ですが今なお読み継がれるのも納得。
16投稿日: 2020.10.30
powered by ブクログ突如世界中の大都市の上空に現れた巨大な飛行物体。攻撃するでもなく、静かにそこに在り続ける。 その日から始まる未知の世界。 これは凄い。 圧倒された。
4投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
※書きかけのメモです。随時加筆します。 第1部 大都市の上空に巨大な宇宙船が現れた。 オーバーロードが地球を非敵対的に支配する。 オーバーロードの地球総督カレランと接触できるのは、国連事務総長のストルムグレンだけ。 オーバーロードが姿を見せないのと、目的を明らかにしないことに人々は不満を持っていた。 50年後にオーバーロードは姿を見せると約束した。 第2部 オーバーロードが姿を現した。 ルパート・ボイスのパーティーで、ジャン・ロドリクスがオーバーロードの母星を知ってしまい、密航する。 第3部 ジョージ・グレグソンとジーン・モレルの子供たちが不思議な夢を見るようになり、やがて大きく変化していく。 人類は、子供の世代から変化し、親の世代は消えて行く運命だった。 子供達は、ひとつになって、宇宙へ。その時地球は消滅した。 地球の最後を見届けたのは、密航して80年後に地球に帰ってきたジャンだった。 ※オーバーロードの上にはオーバーマインドという存在がある。 ※オーバーロードは地球人のように存在が変化しないらしい。
0投稿日: 2020.06.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あらゆる種類の争いや紛争が一掃されたことは、創造芸術の終焉を意味していた。アマチュアとプロの区別なく、アーティストは無数にいた。しかし、この数十年というもの、文学や音楽、絵画、彫刻の新しい傑作は一つとして生まれていなかった。世界はいまだに、二度と帰らぬ過去の栄光に生きていた。 この変化を憂えていたのは、ほんの一握りの哲学者だけだった。人類は新しく手に入れた自由を謳歌するのに夢中で、目先の快楽の少し先に何があるのか、思いを凝らしてみようなどとは考えなかった。ついにユートピアが見つかり、その目新しさはまだ、すべてのユートピアの天敵――退屈に侵食されてはいなかったのだ。(p.145) 人類は、いまだ地球から自力では出られずにいる。地球は、100年前と比べ、不公平は少ない反面、はるかにちっぽけな星になっていた。オーヴァーロードたちは、戦争と飢餓と病気を根絶やしにしたと同時に、冒険をも絶滅させてしまったからだ。(p.179) ご存知ですか。1日に500時間分の番組がラジオやテレビから垂れ流されているとか。いっさい眠らずに1日24時間をそれだけに費やしたとしても、スイッチ1つで手に入る娯楽の20分の1も視聴できないということですよ!人間が受身なスポンジに――吸収するだけで、何も生み出さないスポンジに成り下がろうとしているのも不思議はありません。世間の人々が、平均して1日あたりどのくらいの時間をテレビに費やしていると思いますか。3時間だそうです。じきに人類は、自分の人生というものを持たなくなるでしょうね。連続ドラマについていこうとするだけで1日が終わってしまうんですから!(p.273) 宇宙船は波打ち際に着陸した。柔らかな砂に船体が深く沈む。大きな曲線を描くパネルの列が上方に滑るようにして一斉に開き、タラップが金属でできた舌のように砂浜に向けてするりと伸びた。散らばっていた言いようのないほど孤独な人影が溶け合い始め、間も無く、人間の集団とまったく同じように動く一つの影になった。 孤独? なぜそんな言葉が浮かんだのだろう?あの子どもたちがこの先絶対に感じることのないもの――それは孤独だろうに。孤独を感じるのは個人だけ――人間だけだ。個という壁 が取り払われたとき、人格が消えると同時に孤独も消える。大海原も、もとはといえば無数の雨粒だった。(p.362)
1投稿日: 2020.04.19
powered by ブクログ面白い。古さを感じさせない。 展開は全く想像できなかった。 三分構成で、それぞれ思ったのとは全く違う展開だった。 他の人にも是非薦めたい
0投稿日: 2020.03.30
powered by ブクログすごい。この話が真理なんじゃないかと思いたくなるくらい整合性がある。そして結末の凄まじい虚無感。こんな話を考えつくなんて、すごいな。語彙の無さが身に染みるが、すごいとしか言いようがない。
0投稿日: 2020.03.02
powered by ブクログ着想、展開とも素晴らしい。古典とされるが、本作を超えるものを多くは知らない。同じ著者の代表作「2001年宇宙の旅」よりも自分たちの存在について大きな視点を提供するインパクトがあった。 光文社古典新訳版は「いま」に近い言葉の感覚の翻訳を目指したものらしく、原作が見通すことのできなかった「いま」のネット社会などの視点はないが、だからといって古典SFにありそうな古臭さを感じるものはなかった。「いま」読むに耐える作品。
0投稿日: 2020.03.01
powered by ブクログアポロ計画後の手直し版だが A.A.諸国台頭前で「最後に独立したイスラエル」文明は少数の自然主義を除いて英語で統一 エイリアンの突然の出現で卓越した科学Powersを見せつけられ、地球人類は軍備を禁じられただけではなくScience探求心を失ってしまった。してみるとホモサピエンスの老年というべきか。「誰も好みでない職業につかなくてよくなった」 そして60年後、彼らはようやく地上に降り立つ…なぜか超自然現象、オカルトに関心があるようだ… 自然の摂理で子供が生まれなくなり、晩年と死の受容がやって来る 人類家畜テーマとも見られる。
0投稿日: 2019.07.30
powered by ブクログ圧倒的な読了感。SF小説の傑作中の傑作。ハッピーエンドだとかバッドエンドだとかを全て吹っ飛ばした向こう側の満足感。筆致力。アイデアの斬新さ。とても1953年に書かれたものとは思えない。 記憶と予知。時間の向きの曖昧さ。 進化に必要なものは、科学ではなく非科学的な妄想と退けられていた神秘的な力だった。進歩が頭打ちになった科学の僕・オーバーロードの限界と悲哀。真の主役は人類ではなく彼ら(カレラン)だった。
2投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログ久しぶりに手に取ったSF小説。 各章の設定、登場人物、話の展開が面白く、一気に読み進めてしまう作品。 人類の起源と進化、宇宙との関連に思いを馳せました。
0投稿日: 2019.06.03
powered by ブクログ圧倒される。人間の想像力の行き着く先に。人間がひとつになって身体を捨てて 旅立ってゆく。それが進化。
1投稿日: 2019.02.25
powered by ブクログ訳:池田真紀子、解説:巽孝之、原書名:CHILDHOOD'S END(Clarke,Arthur C.)
0投稿日: 2019.02.04
powered by ブクログ文句無しに面白かった。テーマは、この前読んだウエルズの「タイム・マシン」と同じく、人類の未来、終焉はどんな形になるのか。結末は衝撃的だが、オーヴァーロードが世界を変えていく部分は、とても示唆に富んでいると感じた。絶対的な平和、安全、繁栄はどんな変化をもたらすのか、世界が目指すものが達成された先には何があるのか、興味深いものがあった。内容とは関係ないが、しおりに登場人物一覧が記載されているのが便利だった。
0投稿日: 2018.12.09
powered by ブクログ古典と言われるSF小説を初読。 個体のない生命体という発想はもうさんざん別のいろいろな小説で読んでいて食傷気味なんだが、これってこの小説が最初だったの?だから古典なの?
0投稿日: 2018.12.09
powered by ブクログ初めてタイトル知ったとき、心理学書かと思ったんですが なんとSF! 今更買ってみました。 でもSFあんまり読んだことない。 第三部からいわゆる世界の終わりな感じ。 絶望だけど美しいと思う。 幼年期が終わるというか、世界が終わっちゃうのか。 SFあんまり読んだことない私が思ったのは、 これエヴァンゲリオンの人類補完計画? とか思ったり(むしろこちらが先なんですが) 教育期間が今より長くなって、大学出てすぐに就職しない生き方をすることとかめっちゃこれからの100年ライフの選択肢やん とか思ったり。 オーヴァーロードが健気すぎ…。
0投稿日: 2018.12.07
powered by ブクログさすがに、傑作の誉れの高い書だ。一気に読ませる勢いがある。読み始めから感じる疑問がどんどん膨らみ、最後は読むのが止められなくなる。しかし、本書の結末を迎えて、何が幸せなのか改めて考えさせられた。オーバーロードのほうが幸せなのではないのかなぁと思う。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ壮大でもの悲しいお話だった。ブラッドボーンのED「幼年期の始まり」から勝手に想像していたみたいな、えぐい話じゃなかった。コミュニティ最後の夜、静かに佇む夫婦の描写が好き。
0投稿日: 2018.10.21
powered by ブクログ「2001年宇宙の旅」原作者アーサー・C・クラークの作品。1953年にイギリスで発表された。 スペース・オデッセイもそうだったが、物語は特段躍動しない。異常な舞台設定が施された後は構図が崩れることはなく、淡々と暮らしが描かれ、淡々と真相が明かされていくつくりだ。
0投稿日: 2018.10.01
powered by ブクログ登場人物 ストルムグレン 地球総督 カレラン ストーリー 巨大な船が、国際都市の上空に停止する。 ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワ、ローマ、ケープタウン、東京、キャンベラ。 最初の方と最後の方が面白かった。 名作と言われる本作であるが、そこまで乗れなかった。 ストーリー上に、帝国主義的なヒエラルキーが、垣間見える。
0投稿日: 2018.09.06
powered by ブクログ新訳ということで「少年期」に挫折した本を再び手にした。「青年期」の終わり、いや「壮年期」の私にちょうど良いタイミングだったかもしれない。まるでクリストファー・ノーラン監督の映画を一本観たような読後感。良かった。
1投稿日: 2018.05.06
powered by ブクログ僕らが宇宙人について想像するとき、 身長100cm程の黒い楕円形の目をした銀色の生物が恰幅の良い米軍二人に両側から腕を抱えられているあの写真を想像する方が多いと思います。 つまり僕を含め多くの地球人は、宇宙人は常に地球人よりも身体的にも知能の面でも劣っていることを想像しがちだという事です。 このSF超大作である「幼年期の終わり」は我々のそんな想像とは逆で、 地球人が全く太刀打ちできないほど遥かに文明が進化した宇宙人が突然地球にやってくるところから始まります。 流暢な英語を話し、圧倒的な知能を有し、人類の心理を完璧に掌握する術を持った宇宙人が地球にやってきたら、 そして彼らが明確な目的をもって地球を統治し始めたら、いったい地球とそこに住む我々人類はどうなってしまうのか。 これまで地球を支配していた人類がある日突然支配される側に回る事への戸惑いや苦悩、そして支配する宇宙人側にも芽生える苦悩や矛盾、 そういった現実には起こりえない、とも言い切れない絶妙な世界がこの作品の中で繰り広げられます。 SF好きの方にはもちろん、そうでない方にもぜひお勧めしたい一冊です。 (最近、名作に当たる確率が高くて嬉しい。)
0投稿日: 2017.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人類を遥かに凌ぐ高次知性生命体が地球を訪れ,それによって世界政府が実現される…という話であるが,全体からするとそれらはあくまで導入に過ぎず,彼らが何のためにそれを行っ(てき)たかという部分が次第に明らかになっていく. 歳月を経ようが知恵を結集しようが,根源的なスケールの違いによって,到底及びもしないような,遥かに高度なものを有する存在を前にしての無力感というのが通底したテーマのようである.序盤は人類のオーバーロードに対するそれが繰り返し描かれ,無力感を振り払って抗おうとする人々に焦点が当たっている.が,展開が進むにつれ,実はオーバーロード自身も,その種のコンプレックスをより上の高度な存在に対して抱えており,更には人類も含め,オーバーロードが面倒を見ることになる種族は,最終的には彼らが及びもつかない高みへと進んでいくことに,言い知れない寂寥感を抱えていることも明かされる. 果てしない階層構造の中で,人類が技術や概念の進歩を重ね,どんなに高みへ行ったとしても,上には上がいる…ということになるのだろうか.
2投稿日: 2017.07.14
powered by ブクログSFの傑作、古典と言われるのは、当時としての新しさとかアイデアとかももちろんあるんだあろうけど、読みやすさ、がここまで大作にさせたのかなと感じました。 何か深く詰まってねぇななとことか展開がパットしない場面の時間もあるけれど、 最近映画館で観た「メッセージ」とかこの本の前書きとかでは、感じられなかったセンスの良さ。 あと、あ、あれは「竜の卵」の星のことかな。と思って楽しかった。
0投稿日: 2017.07.10
powered by ブクログ異星人が地球へやってきた。圧倒的知性を持った姿を見せない彼らに人類は統治されることとなる。史上かつてない平和で理想的な社会となったが・・・。 現代の地球に異星人が突然来訪しコンタクトを取るようなことが起きたら、実際はどうなるのか。そして人類はそのような状況に対してどう行動するのか。コミュニケーション不可能な、両生類や爬虫類みたいな見た目の異星人に攻撃され征服されるより、こういう展開のほうが実際にありそうでこわい。だがそう思ったのは3部構成の第2部までですね。 第3部は完全に作者の想像力による観念的展開。『2001年宇宙の旅』に通じるのでは。(キューブリックの映画しか見てないけど。)こういう展開ってどうよ?もあるけれど、それよりも、これを幼年期の終わりというのか?と思ってしまいました。 これが1953年に発刊された本だというのがすごい。当時の社会的背景に影響されている描写はやむなしとして(作者により1989年に手直しされているものの)、それ以外のところは全く古さを感じない。実際に人類が異星人とのコンタクトを経験するまで、ずっと読み継がれていく物語だと思う。星の数は5つでは足りない。
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログ【突如、アメリカ上空に巨大な宇宙船が現れる。異星人たちは自らをオーヴァーロード(最高君主)と名乗り、姿を見せぬまま人類を統治し、またたく間に平和な世界を実現させた。彼らは一体何者なのか? 彼らの真の目的とは何なのか?】 政治家の汚職や警察の不祥事、民族同士の紛争をニュースで見て失望するたび、人間に人間を治めることはもはや不可能だから、そんなことならいっそ、ロボットのような非人間が世界を治めた方がうまくいくんじゃないかって思っていました。絶対反対されるとは思うけど、一考に値する考えではないかと思っているんですがどうでしょうか? 本書は、宇宙最高峰の統率力と行動力を持つ異星人によって、あっという間に平和の星に変わってしまった地球の行く末を壮大なスケールで描いた、SF小説の代表作です。SFの代表作ってめちゃくちゃ多いから強いこと言えないけど。 ラストシーンの凄まじい描写に圧倒されます! これまでに得られなかった読書体験をするはずです。
0投稿日: 2017.02.08
powered by ブクログまさにSFって感じの読みごたえがある本! ちょっと難しくてよくわからない所もあったけど…(わたしの読解力の無さのせいです!) それでもどんどんと読み進められることができたのは、さすが名作と言われるだけあるなぁと思います そして何より、個人的に世界観や設定が大好き!!!
0投稿日: 2017.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
種族単位での子供と親の視点、現在・過去・未来の平行した世界、終末に関する考えが興味深かった。 物語も面白い。オーヴァーロード同様に人類もまた子供の行く末を見守ることができなかった。 時間の円環構造のところはちょっとまだよく理解できていない。
0投稿日: 2016.12.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
突如やってきた異星人。人類は圧倒的な科学の差に屈するも保護的で平和的な統治下に置かれ、戦争のないユートピアで人生を謳歌できるようになった。だが、決して人類に明かされない異星人の目的とは、そしてそれが明らかになった時、という話。幸福だがどこか虚無感や閉塞感の漂うユートピアの生活が興味深かった。結末は残念ながら私には消化出来なかった。
0投稿日: 2016.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2016/11/12-2016/11/13 星4.7 「宇宙人が来る!」という文脈を非常に上手く畳み込み、多層的な展開に仕上げた、読んでいておもしろい作品だった。 登場人物に心情移入することはなかなかできなかったものの、その分メタな視点で物語を楽しむことができた。
0投稿日: 2016.11.13
powered by ブクログオーヴァーロードによる平和で理想的な社会の実現。彼らの真の目的は人類には隠されていた。 理想的かもしれないが、不穏さが底流にある。
0投稿日: 2016.10.24
powered by ブクログ超有名な古典を初めて読みました。 これは最高に面白いSFであると思います。 すべてのSF小説の源流のような感じがします。 哲学的で幻想的・神秘的、スケールの大きさ、 または真実性というか人類の終わりや地球の消滅は こうなるのだろうと思える感じ。 すべてにおいて傑作だと思いました。 1950年代にこの内容が書けるのことが、驚愕であり もしかすると、滑稽なSF感覚でとらえると、 著者にとってこれは、真実であったのかもと思えるような内容です。
0投稿日: 2016.10.10
powered by ブクログ地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。 圧倒的な科学力と知性により平和で理想的な社会をもたらした彼らはオーヴァーロード(最高君主)と呼ばれるようになった。 しかし、彼らは姿を見せない。 地球に来た目的を明かさない。 ある人はオーヴァーロードの姿を見ようと画策し、ある人は宇宙船に忍び込み母星へ密入国しようとする。 「人類が宇宙を制する日は来ない」 と言うオーヴァーロードとはどこから来て、人類をどこに導くのか。 そんなお話。 2001年宇宙の旅の原作者です。 幼年期の終わりの執筆は1952年頃だそう。 それでも作品自体の輝きは色あせていません。 全ての物語が伏線になっていて最後に回収されています。 最初の方は読むのが辛いけど、最後の方は一気読みしました( ^ω^ )
0投稿日: 2016.09.10
powered by ブクログ地球上空に突如現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロードと呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的は何か?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。 SFに少しでも興味がある方なら、読んではいなくても耳にしたことはあるんじゃないかというほど有名なSF小説。1953年の作品なので、もう半世紀以上も前ですね。 私も大雑把に知ってはいたものの、きちんと読んだことがなく、いつか読もうと思って心に留めておいた作品で、今回機会があり、この新訳版を手に取ってみました。 物語は三章から成り立っています。 ”地球とオーヴァーロードたち”、”黄金期”、”最後の世代”。あらすじにある通り、突然現れた絶対的な力を持つ異星人が、地球上のあらゆる問題を解決し、それによって人類の生活は安定するが、その先には何が待っているのか、といった風に物語は進んで行きます。 結局、彼らには一体どんな得があるのか?それは人間にとって恐ろしい結果となるのか? SFというと、ショートショート=星新一と考える私からすると、最後にはとんでもないブラックな結末が待っているのかと恐々とする反面、今なお名作と謳われるからには単なる皮肉では終わらないだろうという期待がありました。 … …本作品の結末の感じ方には様々あるような気がします。哲学的と言われる所以はそこにあるのかな、と。 また、この作品を読むと後年の様々な作品に色々な影響を与えているというのも頷けます。「あの作品の考え方は、この作品のこの辺りに似ている」等と思ったりします。 なので、SFが好きという方で、もし読んでいない方がいたら一度は読んでみてはいかがかな、と思います。きっとこれまでに見たSF作品に対する感覚が変わるんじゃないかな。 私個人的には、結末を読んでとても切ない気持ちになりました。ネタを割ることはしませんが、その切なさは人類にも、オーヴァーロードにも感じます。時が大きく流れて行く点にもそれを感じてしまうのは年齢のせいかもしれないけど、若い方が読んだら、それは何とも言えない気分になるかもしれないな。子供の頃、初めて”火の鳥”を読んだ時のように。 SFは難しい、と思う方がいらっしゃると思います。 確かに難しい本もありますけど、本書は読み易く翻訳されているので、SF初心者にもお薦めです。また、本書で素晴らしいアイデアだと感じたのが、栞。 海外の人名は覚えにくく、登場人物が増えるにつれて誰が誰だか分からなくなってしまうのですが、本書に挟まれている栞には、主要登場人物名が役職(?)とともに書いてあるのです。 コストの問題もあるのでしょうけど、このアイデアは海外SFだけでなく、海外ミステリにも是非使ってほしいな。それだけでもかなり読み易くなるはず。
0投稿日: 2016.08.15
powered by ブクログ古典。 このラストを新しい進化と取るか、終焉と取るか。 まさしく芋虫にとっての死は蝶にとっての誕生である、を地でいく作品。 あまりの世界の壮大さと人類の矮小さ、悠久の時間と儚い生の在り方にクラクラしてしまった。
1投稿日: 2016.07.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中学生ぐらいのころ早川の世界 SF全集で読んでいるはずだけど、宇宙船が飛来するシーンしか記憶になかった。理解及ばなかったのかもね。あらためて読んでみると、のめり込むおもしろさ。池田真紀子さんの訳もすばらしく読みやすく、格調高い。 第一章は書き換えられたバージョンとのこと。家に創元版もあったので、第一章だけ読んでみたが、章末の数行は人名以外同じ。名文だものね。冒頭が東西冷戦の話で「ああ、もう時代遅れだね!」と読んでもらえなくなるのがいやで、書き換えたんだろうか。 全体を読むと、ほんと、古さを感じない。オーバーロードが初めて姿を現す場面の驚き。はじめて大きな目的が明かされ、進化とも終末ともいえる方向へ向かっていく流れの哀しみ。(驚きなんだけど、どこかでああやっぱり、という感覚もある。) 最後のひとりになったジャンがひとりピアノでバッハを弾くというエピソードは、ほんの数行だけどなんかずんときたな。 読めてよかった。
0投稿日: 2016.06.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人類だって、サルからPCを発明するのに、200万年位?で到達した。では、何万光年と離れている別の生命体が人類が認知する遥かに異なる領域の精神、肉体、技術を有していても驚くに値しない。 それは、明治維新前の日本人が西洋の産業革命を目撃する、そんなレベルの隔たりでは無い。価値も、仕組みも、存在理由すら理解できない隔たりがあるだろう そういう意味では、銀河帝国などで描かれる宇宙人よりも、理解不能なオーバーロードくらいが丁度良い。
0投稿日: 2016.03.24
powered by ブクログSF小説の古典。著者はイギリスのアーサーCクラーク。2001年宇宙の旅の作者。 オーバーロードと呼ばれる宇宙人達に人類は統治(支配ではない)され、世界から戦争や病気などが無くなった。平和を享受し、黄金期を迎えた人類。オーバーロードがきた真の目的はなにか? 世界はどうなっていくのか?
0投稿日: 2016.03.21
powered by ブクログ今まで漠然ともっていたSF観を大きく塗り替えられた。より良い社会を目指して成長する人類の先になにがあるのか、人間として大切にしていくべきことはなんなのか。それを人間以外の生き物の視点によって気付かされた。
0投稿日: 2016.03.10
powered by ブクログ……スケールが大き過ぎて圧倒されて言葉が出ない。 オビに 【SFを超えた「哲学小説」!】 とあるけど、まさにそんな感じです。 冒頭に、1989年に書かれた著書の「まえがき」が収録されています。 タイトルページに掲げられた 「本文中に示された見解は、著者個人のものではない」 という断り書きは、当初は別の意味で掲げていたが、今では“超常現象”に肯定的な見解を否定する意味で解釈してほしい、ということです。 執筆当時は超常現象に心酔し、ユリ・ゲラーも信じていたが、今ではほとんどがインチキだと思っておられるそうです。 では、本書が描いた地球人類の未来像については、どう思っておられるのでしょうか。 よく、スピリチュアル系の人が 「アセンション」 という言葉を使います。 これは、本書で描かれているようなことを想像すればいいのでしょうか。 巽孝之さんの解説では、沼正三が本作品を原書で読んで感想を発表していたことについても触れられています。 また、三島由紀夫も本作品を高く評価したことについても触れられていて、ついでに、『美しい星』についても触れています。 この作品、近く映画化されるようですね。 http://sfkid.seesaa.net/article/434931474.html
0投稿日: 2016.02.29
powered by ブクログ1953年初版、その後第1章が現代よりに書き換えられ、その唯一の翻訳だそう。SFでは大変有名で、私はまだSF初心者なため初読み。有名な理由がわかる。SF読むならとりあえず読めと言われるのがわかる。 読後感は、物悲しい感じと自分たちは小さすぎるということ、宇宙への畏怖、カール・セーガンの『コンタクト』を読んだ時にも似た気持ちも湧く。 小さすぎる中で小さすぎる人間がやっていること。人が虫を見て思うこと。もし、その虫が…と。 ラストの方ではいつの間にか視点が変わっていく。 未来を描いたものだけど古いものもあるけど、そんな小さなことは自分なりに現代風に読みかえればよい。
0投稿日: 2016.02.25
powered by ブクログさすがに年間500冊くらいの本を読んでいると、「本を読む」ってのは「昼食をとる」くらいの日常になってしまっている。 昼食をとったあとに深い感慨を得ることがあまりないように、本を読み終わったあとは「うん、読み終わったな」と淡々とページを閉じることがほとんど。 だけどたまに「ああ、なんていい読書体験をしたんだ」と、じんわりと幸福感に包まれることがある。本書の読了時、その幸福感が来た。 いや~、実にすごい本。壮大なストーリー。 名作との誉れ高いだけあって、なんで僕はこんな歳まで本書を知らなかったのだろうと悔やむほど面白い。 いろんなSFの原型になっている、古典中の古典なんだろうね。今後もSFを頑張って読もうと強く思わされる本。
2投稿日: 2015.10.22
powered by ブクログ科学的な論理というより、異星人との交流で人類はどうなってしまうのか、という哲学的な部分が難しいと感じた。 地球を支配するオーヴァーロードも、実は人間的な悩みを持っているというところがわかっていくのが、なるほど、という気分だった。 理解が追いつかないところもあったので、また読み返してみたいと思った。
0投稿日: 2015.10.07
powered by ブクログ非常に奥深かった 解説を読んでさらに思った 今読んでもそこまで古臭く感じなかった オーヴァーロードにオーヴァーマインドか。。
0投稿日: 2015.10.01
powered by ブクログスリランカ旅行のお供に手に取った本。 壮大。 ちょっと哲学的で、SFに対する印象変わった。 SF苦手だったけど、面白いのね。
0投稿日: 2015.09.23
powered by ブクログ3部構成。第1部では突然宇宙からきた指導者(オーバーロード)との交渉。第2部は50年後やっと姿を見せたオーバーロードと新しい段階に慣れてきた人類たち。第3部はさらに!新しい段階に進んでいく人類たちの衝撃的な結末。 ラストが驚きでした。
0投稿日: 2015.09.13
powered by ブクログ読み終わり、こんな不思議な気分になった本は初めてかもしれない。哀しむべきなのか、喜ぶべきなのか……「進化」の先にあるものは今の人類では理解できないのかもしれないと感じさせられた。 「生物の進化の過程」を描いた、壮大で偉大な作品だと思う。もの悲しさがつきまとうのは、人類の悪い癖だな。
0投稿日: 2015.09.08不朽の名作、旧訳よりは読みやすかったです。が。。。
もちろん、訳の差分の問題もありますが、むしろ2015年という今、この物語をどう読むか?SFの古典として読むか、はたまた今の社会情勢や文化背景を思い浮かべながら読むか、の立ち位置が問題となるくらい古典になっています。今やこの物語が最初に語られてから社会状況は大きく変わり、予想もつかなかった社会的、政治的パワー不均衡が存在してます。私としては残念ながら旧訳を読んだ時の恐ろしく感動的な感覚は戻ってきませんでした。むしろ人間至上主義的なちょっと鼻につく感じが後味として残ってしまったことが意外でした。まあもっとも新訳「ソラリス」を読んだ後だったので、特にその感覚が強調されたのかもしれません。逆に「ソラリス」の普遍的な問題提起が改めて評価したくなりました。ん?何の読後感想書いてるんだっけ?
8投稿日: 2015.09.05
powered by ブクログSF古典を読んでみよう、という感覚で手にとった本。割とイメージ通りのSF古典。 描写に時代を感じる部分はあるけれど、骨子の部分は時代を感じさせないものがある。というか、いつまでも斬新なテーマっていうのはすごいなあと。いいものはいつの時代でもいい、を体現しているようなところがある。 具体的な技術の描写とか、雰囲気の描写とか、個々人の行動とか、話の展開とかは、ある意味些末だと思わせるところがあって。 オーバーロードのあり方とか、人類がどこに向かっていくのかとか、『テーマ』に向かってまっしぐらなところが思考の奥へと突き刺さってくる。 影響が大きい本でした。本を読む楽しみって、こういう本に触れた時にあるんだなぁって感じられる。 現代と比較しての、ちょっとした答え合わせ的な要素があるのは、昔のSFを読む時のお楽しみ。 当たってる部分もあり、当時からでは想像もつかなかったであろう変化もあり。
1投稿日: 2015.08.05
powered by ブクログ「第1章が書き直されているバージョン」の邦訳は、光文社古典新訳文庫版だけ…であるらしい。 冷戦時代をほとんど知らないような私世代には、入りやすい訳だったんだろうと思う。 光文社古典新訳さまさま。 さて。すごくおもしろかった!! 幼年期の終わり、壮大すぎる親離れの話。 ユートピアを与えられた人類の、そのむこう。 “人類はこれからどこへ向かうのか――” 変化を見届ける哀しみと喜び。 可能性の袋小路で任務を続け、見守りつづけるしかない哀しみ。 そんな繰り返し。 取りこぼしたところがたくさんありそう…。 また絶対読みたい。
1投稿日: 2015.07.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
別エディションでの読了 こちらの作品は、訳が堅苦しいものではなく 読むのに快適ばかりでなく、 なるほど、と思える内容でした。 結末はもちろん知っていましたが かなり救いようのないものです。 と、言うかこれはいつかやってくるように おもえてなりません。 恐怖すら覚えてしまいますね。 オーヴァーロードという謎の存在。 彼らのおかげで平和は続いていきますが… いろいろな解釈ができる まさに不思議な作品ですね。
1投稿日: 2015.07.02
powered by ブクログ宇宙人が地球繁栄を手助けしてくれるけど、いまいち信用できない。 久しぶりに本を一気読みした。 裏に潜む目的が何か…気になって仕方なくなる。それが明らかになってからも物語の行く末を… 前もクラーク氏の本読んだけどそれはいまいちだった。訳者って大事ね。
0投稿日: 2015.06.21
powered by ブクログこの作品を読んでいて頭に浮かんできたのはジョージ・オーウェルの『1984年』。奇しくもこの二つの作品は同時代に書かれたものというからリアルタイムでこの作品を読んでいた人たちには大きな衝撃だったんだろうな。第二部の輝かしき生活を見ていると、第三部で打ちのめされる。SF古典の名作故、どっかで見たようなネタが多いけどそれはこの作品がそれだけ後世に影響を与えたことの裏返しなのだろう。2012/459
0投稿日: 2015.04.16
powered by ブクログkindle版にて読了。壮大な親離れと人類滅亡を描いたおはなし。 結末は物悲しいとも、希望に溢れるとも取れる。 他の方のレビューの受け売りになってしまうけれど、「人類はどこから来て、どこに向かうのか」と考えたことのある人にオススメしたい一冊。
0投稿日: 2015.02.01
powered by ブクログ異星人の宇宙船が地球上空に現れ、 暴力的な手段を用いず人類を統治し、 平和で安定した社会へと導く……。 恥ずかしながら初めて読みました。 で、この作品のパワーは凄まじく、 様々な形で影響を受けた後発作品が 多々生み出されたことも理解。 作者が世界の恒久平和を願って、 善の心で書いたらしい――というのも、わかる。 発表は1953年、第二次世界大戦終結の八年後。 得心するけれど強烈な感動を味わうわけでもなく、 サラッと読み終えてしまったのは、 キャラクターの誰にも感情移入できなかったせいか。 大人は覇気がないし、子供らも騒ぐでなし暴れるでなし(笑)。 大集団の価値観を一本化すれば争いは回避される、 安寧が保証される……的な考え方が好きではないことも、 本作への没入を阻害していたかもしれない。 もっと年を取ってから読み直せば印象は変わるだろうか。
5投稿日: 2015.01.29
powered by ブクログ数年前に読んだはずなのに全然内容を覚えていなかった。こんなにとんでもない作品なのに。終盤で「彼ら」が目覚める描写に鳥肌。先日観た映画「her/世界でひとつの彼女」にも通じるものあり。 一人の人間の頭から生み出されたとは思えないスケールのデカさと緻密さ。
0投稿日: 2015.01.07
powered by ブクログSF小説といえば、フィリップ・K・ディックの短編や アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」が特に印象に残っています。 「幼年期の終わり」? 「えっ、育児書ではないの?」 いえいえ立派なSF小説です。しかも、スーパー・ファンタスティックな!!!
0投稿日: 2014.12.05その問題の解決は、本当に未来のあなたのためになっているか。
1953年にイギリスで発行された本書。 未来を予測するように人類の進化の未来予想図を描き、 これから起こるであろう様々な問題をSFという手法で取り上げた作品になっています。 世界各地の首都上空に突如として宇宙船が現れ、 カレランと名乗る宇宙人代表は姿を表わすこと無く地球を管理下に置くことを宣言。 カレランはオーバーロード(上帝)と呼ばれ、地球を統治していくのですが、 その指導力や知恵は人類を圧倒し、解決策が見えなかった問題を解決していくのです。 声のみの存在だった宇宙人は、50年後に姿を見せることを約束。 そして約束が果たされ現れたのは、人間が想像する悪魔の姿そのままでした。 侵入者であった宇宙人は悪魔のような姿をしながら、優れた知能で地球を導き、物語の結末へ。 結末をハッピーととるかバッドととるか。どんな未来なら自分がワクワクできるか、考えながらご一読を。
3投稿日: 2014.10.16
powered by ブクログ古典。 しかし古さは感じさせない。 読みごたえもユーモアもあって、第二部以降は一気に読んでしまった。 なるほど、これがオーバーロード、その祖たる小説。 最後まできちっと書ききってあって、満足。
0投稿日: 2014.09.24新訳版と早川の旧版との違い
J・ディーヴァーやP・コーンウェルのミステリー作品の翻訳を多く手がけた池田真紀子氏による新訳版「幼年期の終わり」 原書の出版が1953年でしたが、1989年にアーサー・C・クラーク本人によって改稿されたものがこの新訳版の元となっています。本人による改定部分はまえがきの追加と第1章を変更したのみで、第2、第3章のストーリー自体はそのままでした。東西ドイツ統一や冷戦終結など、国際政治の状況が時代にそぐわなくなった事が理由だったようです。 第1章冒頭の比較は以下の状況です。 ・早川の旧版(訳:福島正実) →1970年代後半、米ソの宇宙開発競争の背景のもと、米のロケット発射直前に宇宙からオーバーロード(上帝)達が飛来。米人視点で語られる。 ・新訳版 →2000年代初頭、世界各国が協調し宇宙開発を行うようになっている中、露人の女性宇宙飛行士による火星探査ミッション直前にオーヴァーロード(最高君主)達が飛来。露人視点。 大きな違いは冒頭の宇宙船の飛来シーンの時代設定についてですが、固有名詞の表記(カレルレン⇒カレラン)の変更や登場人物の口調の変化などの細かい所でもいろいろと相違点があります。 早川版の「カレルレン」に慣れ親しんでいると読んでて違和感を覚えますが、全体的には自然で読みやすい文章ですし、21世紀となった今読むには、こちらの新訳版のほうが同時代性を感じられます。新訳版と旧版のどちらを選ぶか、あとは好みの問題かな…。 その他、巻末にアーサー・C・クラークの年譜、巽孝之氏による解説、訳者あとがきが収録されていて、クラーク作品やSFというジャンルを考える上で参考になるのでは、と思います。
5投稿日: 2014.08.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
もし人類よりも優れた能力・文化を持つ異星人が地球にやってきたら、彼らは友好的だろうか、支配的だろうか。この本では、破壊的行為を好まない温和な異星人”オーヴァーロード”が、地球上の戦争・犯罪・貧困・病を一掃する。 宗教/知識欲の減衰といった副次的変化もあったものの、豊かで平和な社会の到来を人類は歓迎した。ただ、「人類社会の成熟を静かに見守り続ける異星人の行動の意図は一体何なのか」という疑問はなかなか明かされず、そこから生まれる一抹の不安と緊張感が絶妙だった。 子供に対する羨望、憂慮をSFに絡めているのも面白い。 (ここからネタバレ含) しかし、正直予想していたよりもはるかに、人類を突き放すようなラストだった。単純な絶滅エンドではないけれど、自分たちの子孫が自分たちとは全く異質なものになってしまうというのは、ある意味ホラーですらあると思う。最後の人類となったジャンの、「僕はあなたがたを気の毒に思います」「僕らはあなたがたには決してなれないものに変わりました」といった言葉からは、空虚な満足感、強いられたような幸福感を感じてゾッとした。 そんな人類の最後を背にして、オーヴァーロードのカレランが「絶望することなく」「己の魂を失うことだけは決してない」ことを固く決意しなおす場面がまた皮肉なほどに格好良くて、≪異星人側のほうが感情移入できるじゃねーか!≫という逆ギレじみた気分でいっぱいになるのが何とも言えない。 とはいえ、私のこの気持ちに関しては、進化(変化)を恐れる怠惰/愚昧の現れでしかないのかもしれない。あるいは、進化の袋小路に入り込んだオーヴァーロードへの感情移入は、現在の人間社会に対する行き詰まり感の投影かもしれない。そういうふうに考えることによって、また違った感触が得られるとも感じた。 自分より大きな存在に身を委ねるのはとても楽だけど、そうして満足してしまってもいいものか…その迷いこそが、何よりも人間らしい、大切にすべきものなのではと考えさせられる。
0投稿日: 2014.07.17
powered by ブクログSFの有名どころらしい。いやー、面白い。カレラン総督めっちゃいいわ。どうしてもONE PIECEのマゼランを思ってしまうんやけど、これどうなのかしら。長さもちょうどいいよね。
0投稿日: 2014.06.18
powered by ブクログタイトル「幼年期の終わり」、その意味は読み終わってからわかります。こういう話を読むと、割と「本当にあり得るんじゃないか」と考え始めてしまう方です。ラストのほうの”意思”としてつながりあった状態が言葉では私の想像力を越えていて、映像化されるとどんか感じかな、と見てみたいです。20年、50年と世代が変わり、生活・世界・環境・技術が変わるということは現実世界でも同じ。。。怖いです。
1投稿日: 2014.06.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
赤ん坊のような人類―観察者・保護者としてのオーヴァーロード―肉体を越えた全ての統合体としてのオーヴァーマインド/トータルブレイクスルー/メタモルフォーゼ
0投稿日: 2014.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【110冊目】SF小説の傑作の呼び声高い一品。「2001年宇宙の旅」の著者が書いています。 SF小説って、作者の想像力(あるいは創造力)がいかんなく発揮されるジャンルだから、数はあまり読まないけれど、結構好きなジャンルです。あと、本書が書かれたのは1952年だそうで、今から考えるとかなり時代遅れの「未来のテクノロジー」が出てきます。それを見るのもまた楽しいのです。国連にまだソ連がいたりして。 解説にも書いてあるとおり、この作品を楽しむことのカギは、前半は人類に対して、後半はオーヴァーロードに対して感情移入することだと思うんだけど、僕は後者がうまくいきませんでした…。
0投稿日: 2014.05.03
powered by ブクログ面白い!人類とエイリアンとの共生からユートピアの実現、そして想像を超えた結末へ。新版ということもあり情景がハッキリと浮かんできてとても読みやすかった。
0投稿日: 2014.04.25
powered by ブクログSFの名著として、一度は読んでおかなくてはと前から思っていた。 最近の本と比べると始めの方の展開が遅いので、飛ばし読みになってしまったが、結果として読んでよかった。 60年も前にこんな発想が出てくるなんて、やはり読書人として読んでおかなければならない名著だと思う。
0投稿日: 2014.04.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1951年の時点でもうここまで完成してるんだな・・・と。新しい発想なんてもう残っていないのではないだろうか。 とにかく面白くて、結末が気になって最後まで一気に読んでしまった。そのぶん読了後の虚しさが異常だった。落胆ではなく、物語後半の展開で結末の予想が殆どついてしまうのにも関らず、そこからの終わり方があまりにも完璧に、どのような意味でも終わりだったので。展開は勿論、物語に登場する架空のテクノロジーや生命体たちの細かな設定も非常に凝っていて面白かったけれども、この物語で心を揺さぶられるのは地球最後の一人になってしまったジャンがそうとしらず地球へ戻ってくるシーンだった。戻ってきた彼を迎える明りがひとつもない。知的好奇心をいくら満たしても伝える相手がもういないということは、ジャンが概ね穏やかに最後を迎えたとしてもあまりにも寂しい。 あとは段々と変容していくジェフとの時間を大切にしようとする両親の姿。こんな設定が綿密なSFの傑作を読んでも、一番印象に残るのは人間の感情が鮮明に出る部分なのだなあ、と呆れ半分に思った。まあでもこの寂寥感は他の作品ではちょっと味わえないかもしれないけど・・・。 あと人間の楽しみって争うことや奪われることや死ぬことと表裏一体なところあるな、としみじみ思いました。そしてそれが悪いことなのかいいことなのか、わからないし、自分で決めるしかない。
0投稿日: 2014.02.09
