
総合評価
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powered by ブクログ第146回直木三十五賞 蜩のような物悲しさが残り、読み終わった後も切ない気持ち。 命の終わりを知りながらただ真摯に家譜を記す戸田秋谷をもどかしく思った。 しかしその胸の内にある村人や家族への熱い思いが伝わり、じわじわと胸が締め付けられた。 戸田秋谷のいさぎのよさは、私にはそこまで理不尽を受け入れなくていいじゃないかと思うけど、これが葉室麟さんの描きたかった時代の矜持なんだろうな。 郁太郎と源吉の友情も良かった。
35投稿日: 2025.10.29
powered by ブクログ最後まで心が定まらず 無様に抗い続けたのは 読んでいた自分でした もう還暦を迎えたというのに いつかは拳を握りしめ上を向いて歯を食いしばれるようになれる日が来るのだろうか
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ読み終わった後に、なんだかグッと身体の中が掴まれるような感覚って時代小説ならではですよね。とても武士の生き様を真似出来ないと分かっているからこその感動でしょうか
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ本の題名にある「蜩」 読み終わって心に染み渡った 一日一日をどう生きるか 自分の信念はあるのか 色々な事をこの作品で学ばせてもらった
0投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログ限られた命の中で、領民のために生きる主人公 秋谷の生き方に感動しました。読了後に清々しい風が心に吹きました。
7投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ思い出したかのように読み返したくなる作品。 羽根藩の向山村に幽閉され、3年後には切腹する秋谷と、勤め中に喧嘩騒動を起こしてしまい切腹を免れたものの秋谷の見張り役の命を受けた庄三郎が出会い庄三郎が秋谷の生き様をみて秋谷に惹かれ、なんとか秋谷を助けられないか?と思いながら切腹までの時がすぎていく。 というお話なのですが、なぜ秋谷が幽閉されているのか?そして、その騒動の真相は?というところにミステリーな要素も交えつつ、想像の中の武士というのは秋谷やその生き方をみて変わっていく庄三郎みたいな武士なんだろううなと今でも思う、いやこういう人々が武士であってほしいと思うくらいに格好良いなと思える作品です。 私が本作品を読みたくなる時は、仕事に悩んだ時が多いのですが、私も仕事をする人間としてどういう風に仕事に接するべきか、仕事やりたくなくてサボりたいなと思う時や、やる気がなくなってきた時に読むのですが、そういう時の気持ちは、本作品の主人公である庄三郎のように私も秋谷をお手本にしているんだろうなと思っています。 百姓達の不満などで一揆や強訴騒動など不穏なことも起こりそうになる舞台の向山村ですが、どこかのんびりとした日常も感じられるシーンもあり、頭の中はタイムスリップしているような読書体験を得られる作品だなとも思います。
3投稿日: 2025.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでよかった。時代物に疎い私でもこれまで知らなかったことを後悔するくらい胸に響いた。 文章はわかりやすく、やわらかく淡々としている。 自然の描写が豊かで四季を感じた。 命の期限が決められている中で、日々をどう生きるか。 秋谷の生き方には、ただ武士の矜持という一言では表せない人としての在り方があり、時代が違う女の私でも感銘を受けるんだと思う。身分は違うが深い友情で結ばれている郁太郎と源吉や、秋谷と過ごすうちに変わった庄三郎にもそれを感じる。源吉の最期は涙なしでは読めなかった。 どの時代でも人徳がある人もいるし逆もいる。私利私欲のために弱者から搾取することに抵抗がない人が増えたと感じる。 多様性が当たり前の時代でも、相手を敬う姿勢や尊重する気持ちは日本の美徳として根底にはずっと薄まらずにいて欲しい。 あとがきがロバートキャンベルさんなのもよかった。
2投稿日: 2025.07.20
powered by ブクログ秋谷や庄三郎、郁太郎、源吉を通してひとの生き方を学んだ気がする。誰もが迷いや葛藤、苦難があるなかでカッコいい生き様だった。切なさはあるが暗くないストーリーであった。
1投稿日: 2025.05.07
powered by ブクログ身分を重んじるこの時代の生きづらさはあれど、その中でも武士として、ひとりの人間としてどう生きるのかー。 ひとりの日本人の生き様を通して、自分の生き方と向き合う。 秋谷や庄三郎、その家族のような人々がいたからこそ、世は少しずつ変わっていったのではないかと思う。 このような人たちもいたのだと感じたり信じたりすることが自分のエネルギーになった。 この日本人の精神が私たちにも根付いているのだと信じたい。
1投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログ地味だなぁ、と思うのだけれど、静謐で武士らしい矜持が滲み出ていて、すごく心地の良い心持ちにさせてくれる作品。 ことの顛末だって派手さはない。 途中で起きる事件も大騒ぎされない。 ただ、清廉潔白な主人公の人となりをこれでもかってくらい見せつけて見せつけてくれるから、心がぐらぐら揺さぶられます。 最後、息子たちを助けにゆくところはかっこよかったなぁ。。。 2025.3.29 66
10投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログaudible2025年11冊目 途中まで聴いて、紙の本で読みたくなり、先に読了。終盤の緩急にのめり込んだ。 映画は映像で観られるわかり易さもあり、岡田准一の演技は武士の姿を遺すものだった。 映画の方の監督は、最近観たばかりの「雪の花」と同じ、小泉堯史さん。秋石、笠原良作、ともに、私にとっても忘れ難い人物となった。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
積読本で映画公開前に人に貸さなければいけないので急いで読んだ。時代小説と推理小説を混ぜた感じで展開していくので、ストーリーに起伏のない時代小説を読みあぐねていた私でも一気読みできた。悲しさと清々しさが同時に存在していて、ハッピーとは言えないのに読後感はとても爽やかだった。自分の命をどう使っていくかをよく考えなければならないと思う。途中源吉の死があっけなさ過ぎて泣いてしまった。映画の宣伝では秋谷と庄三郎の関係性がメインで出ているが、郁太郎の成長物語としての側面も大きいと感じた。映画館で原作と見比べてみたい。
0投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ終盤50ページはずっと泣きながら読んでた。 なんて潔い生き方だろうか。 秋谷の潔い良さに周りも引き込まれその習性に徐々に染まっていく。 序盤からずっと惹きつけられる物語で退屈等全くしない。エンターテイメント盛りだくさんなのに全然物語が暴れておらずスッと読める。 兎に角泣きまくれてデトックスが凄い。 もうこの体験が経験済みになったかと思うと悔しくてしょうがない…
7投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ小学校6年生の時本好きの母の影響でこの本を初めて読み、中学生、高校生、大学生、ふとした時に読みたくなる本。 物事の捉え方、感じ方、考え方が自分には無いもので、毎回自分はこれからどう生きていくのかどうなりたいのかを考えさせられる
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ映画の予告CMを見た時から気になってて…気になりつつも映画は見に行かなかったけど。 やっぱり、葉室さんの作品はどっしりしていて読み応えがあると思います。 読み終わった後に「はぁ~~~読んだぁ~」って声が出そうになります。 「あー読んだ読んだ」って軽い気持ちで読み終わる本も好きだけど、「うん!読んだぞ」って実感できるのもいいですね。
0投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログ葉室麟さんの羽根藩シリーズ。 映画も見てみたいと思う。 作中の「未練がないと申すは、この世に残る者の心を気遣うてはおらぬと言っておるに等しい。この世をいとおしい、去りておない、と思うて逝かねば、残された者が行き暮れよう」という一文が何よりも印象に残った。 「三浦家譜」を完成させ、切腹を待つ秋谷に慶山和尚が問う。 「ならば思い残すことはないか」と。 秋田には首背して答える、 「……もはや、この世に未練はござりませぬ。」と。 重ねて僧侶が言われたのが、未練がないとはこの世に残るものに気遣いがないということだと。 人は生まれた瞬間から、命の砂時計が落ちる。止まることはない。 その中で、最も大きな財産は「愛おしい」そう思えるものにどれだけ出会えたかということに尽きるように私は思う。 自分の人生を愛おしむそんな生き方がしたい。そんな気持ちにさせられる本だった。
12投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログR6.9.26~10.24 ・きっかけ 妻が買ったのを読んだ ・感想 初葉室麟作品。時代小説。 物語は複雑でややミステリ風味あり、よく考えられているのですが、好みでいえば、藤沢周平に軍配があがる。人の性格・感情がいくぶん作り物っぽく感じてしまったが、まさに個人の好みのような気もする。もう1作くらいは読んでみたいです。 なお、★3は少し辛めかも。
0投稿日: 2024.09.28
powered by ブクログ時代小説をよく読むので、好きなんだなあと思います。今の時代の常識では考えられないことだけど、その非常識の中で、人間は同じように悩んだり自分らしさを求めたりしたのかなと思いながら読んでます。 全然別の世界の話でファンタジーと近い。そういう世界の話を読むと癒されるっていうのがカタルシスってやつなんでしょうか?
3投稿日: 2024.08.24
powered by ブクログ数年後の切腹が決まっている戸田秋谷はそれまでに三浦家譜(藩史)を完成させることを命じられている/監視人として派遣された檀野庄三郎は知るほどに秋谷の清廉さを感じ彼の起こしたという事件に疑問を感じる/一方で家譜編纂は藩の秘密をほじくり出す作業ゆえ常に口封じの危険がある意外にハードなものでだんだん危ない領域に踏み込んでいく。そこらへんでミステリでもある/秋谷を救うことはできるのか(無理そうやけど)/家老中野兵右衛門の目的は?/武士と農民では農民の方が清々しく生きている。 ■簡単な単語集 【赤座弥五郎】秋谷に斬られた小姓。お由の方の養父となった赤座与兵衛の五男。お由の方とは血はつながっていないが弟にあたる。 【郁太郎】秋谷の息子。真っ直ぐに育っており、農民とも分け隔てなく接することができる。礫投げが得意。 【市松】戸田家の面倒をみている若い男。源兵衛の息子。戸田家に恩義を感じている。薫に想いを寄せていると思われ、庄三郎への敵愾心を隠さない。 【羽根藩/うねはん】舞台となる豊後の藩。 【お春】源吉の妹。 【お美代の方】藩主兼通(順慶院)の側室だった。お由の方のライバルで敵視していたようだ。 【お由の方】当時の藩主、兼通(順慶院)の側室だった。秋谷の実父である勘定奉行柳井与市に仕えた中間の娘。今は松吟尼と呼ばれ尼寺にいる。 【織江】秋谷の妻。ちょっと身体が弱い。 【薫】秋谷の娘。 【家譜】三浦家家譜。いろいろスキャンダルや部外秘もあったりするので口封じの可能性があり思ったよりも命がけの作業。 【鎖分銅】百姓たちの武器。けっこう強力。 【慶仙和尚】藩内でも名僧として知られる。戸田秋谷と交流がある。七十歳を超えている。 【源吉】郁太郎の友人。《それになあ、おれは世の中には覚えていなくちゃなんねえことは、そんなに多くはねえような気がするんよ》p.258。《友達のことは覚えちょかんといけん。忘れんから、友達ちゃ》p.259 【源兵衛】戸田家の面倒をみている。市松の父。人柄の良さそうな丸顔。 【死】《仰せの通り、未練なくあの世へ参るなどと申しては、生悟りだと謗られてもやむを得ませぬな。やはり逝くのはせつないものでござりまする》p.388 【秋谷】戸田秋谷。かつて郡奉行として農民に慕われていた。筵の生産を農家に奨め財政を潤した。文武に優れ特に宝蔵院流十文字槍術は奥義に達した。江戸で藩主の側室と密通し事の発覚を怖れ小姓を切り捨てた件で切腹が決まっているが家譜づくりが途中だったので完成させるために十年間延長することになった。元勘定奉行柳井与市の四男で戸田家の養子になった。 【順慶院】六代藩主兼通。戸田秋谷の家譜づくりを完成させるために切腹を十年間延長させた。 【庄三郎】檀野庄三郎。奥祐筆を務めていたが、城内での喧嘩の罰のようなものとして、藩主、三浦家の家譜の清書をするという名目で秋谷の監視、およびもし逃げ出そうとしたとき本人と妻子を切り捨てるために派遣された。居合の名手。 【切腹】武士はすぐ切腹して責任を取ろうとするイメージがあるが、いつの世も人材は最重要であり、その育成には手間も時間もかかるものだからそんな簡単に死なれては困るのではなかろうかと常々思ってます。 【檀野庄三郎】→庄三郎 【戸田郁太郎】→郁太郎 【戸田織江】→織江 【戸田薫】→薫 【戸田秋谷/とだ・しゅうこく】→秋谷 【中野兵右衛門】家老。 【原市之進】奥祐筆差配。中野兵右衛門の懐刀とも言われている切れ者で物事の調整に長けている。 【蜩ノ記】戸田秋谷の日記。いかにして家譜編纂をしてきたかが描かれる。 【武士】こすっからいろくでもない武士ばかり登場するが実際はもうちょっとマシなんじゃないかと思う(というか希望する)。 【万治】源吉の父。酒びたり。DVもするらしいが子を思う気持ちはあるようだ。 【三浦壱岐守兼保】羽根藩初代藩主。 【水上真吾】檀野庄三郎の親友だったが友情より武士のプライドを優先した男。中野兵右衛門の甥。揉めたときに足の腱を切られ歩けなくなったので江戸に行きかねて希望の学問の道に進むことになった。後に庄三郎と和解した。 【向山村】元は戸田秋谷の所領だったが事件の後取り上げられ現在は中野兵右衛門の所領となっている。
0投稿日: 2024.08.05
powered by ブクログ武士の覚悟と矜持をもって生きる秋谷。家族を守る覚悟をして死を選ぶ農民の子の源吉。登場する人々の身分に関わらず覚悟をもって生きる、それぞれの姿が清々しい。 “有るか無きかの微笑を浮かべる” 秋谷の表情として、たびたび登場するこの表現が、優しく寂しくて心に残る。
0投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ人間を知る小説であり、若い人を育てる生き方を学ぶ事ができる。 葉室作品の名作であるという事は間違いない。
1投稿日: 2024.05.08
powered by ブクログ知り合いに勧められて読んでみた。 不義密通の罪で3年後に切腹が命じれている武士、秋谷の生き方が一貫して清々しい。 (邪気まみれの自分が情けなくなるくらい、、、)。読み終えても清々しい小説だった。
16投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ真実かどうか曖昧な、何やら公にできない事情がありそうな罪により、10年後の切腹を命じられた武士の生き様を描いた作品。 色々な事件が周囲では起きるが、全体的なトーンとしては大きな抑揚なく進んでいき、武士の一分を貫いていくストーリーは、武士を美化していると言えなくもないが、それでも読者の期待を裏切らない生き様は、日本人はやはり好きですね。
0投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ3年後に切腹することが決められた武士。運命に抗わず凛として生きる姿に深く感動する。 季節、気候の描写も絶妙。登場人物は少ないが次第に明らかになる反応負の歴史。 時代小説として屈指の作品、名作中の名作だろう。
0投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ初めての葉室麟氏の作品。心が洗われるような読後感。人としての凛々しく信念のある生き方。素晴らしい作品に出会えたなと思えた作品でした。
0投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログ人格者が嫌味なく描かれていて、本当に最後までずっと冒頭の川の音が聞こえているような本。清い気持ちになる。
0投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログ「命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか」蜩ノ記より思い巡らす|白田|雑記note @srtmsr #note #読書感想文 https://note.com/srtmsr/n/nbdd02f9dd4ec
0投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログすごく良かった。某所で借りて暇すぎて一度読んでからパラパラと各シーンを再確認して2.5回分くらい読んだ。源吉がこいつは大人物になるだろうと思ってたら殺されるあたりがクソ辛くて、読者の感情を鷲掴みにしたままそこからの展開が一気に魅せる。美しい。無駄がないかと言えばそうではなくて活かされなかった種もある気がするけど、ラストに向けて収束していくのは見事。秋谷の死が覆って欲しいと読者は祈りつつ、そうならない事をみんな知っているんだよな。死へ向かう物語なのに全体的に爽やかな印象で救いもある。蜩と日暮らしを掛けているあたり自分の境遇を考えずにいられなかった。この作家はすごい。
0投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ生きていくことは、死に向かっていくことでもある。 庄三郎が出会った時の秋谷は、3年後に切腹することが決まっていた。それまでの間を、どう生きるか、秋谷はぶれることなく、己の信ずる道を真っ直ぐに見据えて歩んでいた。 秋谷の潔さ、格好良さに対して、己の保身ばかりを画策する人たちの何と浅ましいことか。自身の利益ばかりに目を取られ、武士として人として忘れてはいけないものを失っているように感じられた。話の登場人物としては「悪者」として出てくるけど、現実だと「地位のある人」「成功者」になるのだろう。 人として大切なことは、そういう「成功」とは違う次元にあるのだろう。 夏の終わり、蜩(ひぐらし)の鳴く情景に、この話全体に通じる切なさがあった。
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
直木賞受賞作。 時代小説ですが、武士と百姓の世界を描いていて、切ない。理不尽さでしょうか。 主人公の壇野正三郎の切腹理由も、戸田秋谷の切腹理由も、理不尽ですよね。今の時代からすると、アホみたい。 士農工商の身分制度の理不尽さに嫌気がさします。 農民が、一揆を起こすと、更に締め付けられたり、借金をして畑を取られて小作になったり…。 酷い役人は、こっそり殺害する農民…。誰が殺したかは、だいたいわかっているけれど、決して明らかにはしない村人たち。弱者は弱者なりの理論で抵抗していくしかないのかな。 これって、今の日本社会でも起こっている問題を暗に示しているから、評価されているのでしょうか…。 この本は、武士道の美しさを描いているのでしょうか? 私には、切ない物語に感じました。 小説読了198冊。ブクログ内で。
0投稿日: 2023.08.25
powered by ブクログ元郡奉行秋谷は、前藩主側室との密通を疑われ、10年後の切腹と三浦家家譜編纂を命じられる。妻子らと共に、幽閉の身となる。秋谷は、無実であるにも関わらず、罪を受け入れて編纂に真摯に取り組んでいく。最期の日に向けて覚悟の日々を暮らす。その生き様を追う物語です。彼の生き方は、周囲の人々にも影響を与えていく。 主人公が覚悟した生き方なので、幾つかの事件は起こるけれども、物語は静か。その静寂な感じが、秋谷の息子の父親を踏襲した様な行動への感動や、息子の友人の命をかけて家族を守る感傷を深めるかと思う。 ストーリーのスパイス的な、側室との密通事件の裏側の事情が残念ですがわかりにくいかなと。 殿様達が側室を何人も作って世継ぎのことばかり考えるから、下々が苦労するのね。 歴史を振り返り、現在に呼応する組織や人事に心馳せてはいかがかと。
63投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ7〜8年振りの再読。やはり良い。清廉さ、強さ、優しさ。そして、ストーリー展開。読者もはっと気付かされる登場人物の行動や言葉の深い意味。葉室作品のエッセンスが詰まった作品だと思います。
2投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ「散り椿」で葉室さんの言語表現とストーリーに魅入られ、続けて「蜩ノ記」を手にとった。 散り椿でも芯が振れずに誠を貫く武士の有り様に感動したが、蜩ノ記でも理不尽な裁きに怯むことなく、限られた生の中でなすべき事を成すという生き様に感動が止まらない。当分、葉室さんの時代小説にハマりそう・・・。もちろん、この本も再読本に入れる。
2投稿日: 2023.04.29
powered by ブクログ数年後には切腹することが決まってる中での物語。 なんて静かで美しく、悲しい最期なんだろう 読んだら泣く! でも終わりまで見届けねば!! という感情が交互にやってきながらも、何とか最後までたどり着けた 素敵な作品に感謝
2投稿日: 2023.01.13
powered by ブクログ数年後に切腹を命じられた者の監視役として遣わされた主人公。 残りわずかな命にも関わらず凛と生きる秋谷に徐々に影響を受けていく。 お家騒動の真相や村の問題などある中で、覚悟が生まれ友の大切さを知り恋も芽生えていく。 話の展開は基本的に淡々としているが、しっかりと心が動いていく様が描かれている。 武士も百姓も、その人となりは死に様が克明に表している。 彼らは最期まで立派な人だなぁ。
10投稿日: 2023.01.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
美しい作品だった。秋谷の姿勢や郁太郎と庄三郎のシーン等、自分の事ばかりで周囲の事を考えていないように感じるところは所々にあったが、武士とはそういうものなのかもしれない。 秋谷の最期が変わらないのは良かったと思う。そのせいで単調な物語にならないように源吉を入れたのは上手い構成だと感じた。 兵右衛門がなんだか最後に悟って良い奴感を出してきたのは許せない。笑
1投稿日: 2022.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
直木賞受賞作。 十年後に切腹することを命じられた武士を中心に、武士の生きざまを描いてる作品。 淡々と物語は進む。 読みづらくはないのだが、予想通りの展開と結末。 時代物なので仕方がないのだろうが、同一人物なのに立場によって呼び名が変わるので、私のようにボケ~っと読んでいると誰が誰だかわからなくなる。 これ以降完全ネタバレになります。 未読の方は読まないでください。 武士だからといって、すべてを受け入れて死ぬのは美しいのだろうか? わからない。 家族がいる。ならば、みっともなくても足掻いて欲しい。 それは武家の作法ではないのだろうけど、それでも、下された切腹を回避するためにもう少し何かできなかったのだろうか? 何より本人にその気がないのでどうにもならん。 いくら武士としての生き方、と言ってもなぁ。 正直潔いとも美しいとも思えませんでした。
36投稿日: 2022.10.16
powered by ブクログ死ぬために毎日を生きている侍とその監視役が少しずつ成長していく姿とが相対しているにもかかわらず、のめりこんでいってしまうほどの作品でした。 今の時代よりも理不尽なことがあり生きづらい世のなかっだたかもしれませんが、そのなかでも人としての信念をもって切腹の日まで過ごすのは並大抵のことではないと感じました。死ぬ勇気に必要なエネルギーも半端ではないと思いますが、生きていくことの大変さに必要なエネルギーもすごいものだということを改めて思いました。 本当に感動する作品でした。
5投稿日: 2022.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
田舎の村で家譜編纂をしながら切腹の時を待つ武士の元へ、不祥事を起こした青年侍が見張り役として遣わされる。青年侍は武士やその家族、村の人々と交流しながら武士の切腹を回避できないかと考える… 謎解きの様な側面もありワクワクしながら読み進めて行った。 青年侍・檀野庄三郎が戸田家の家族や村の人々と交流を深めて行く様子が微笑ましかった。 侍たちの思惑に翻弄される百姓達が気の毒で遣りきれない気持ちになる。 その中で源吉の腐る訳でも暴力に出る訳でも無く、理不尽さえも受け入れて自分に出来ることを考えて行く姿がとても好きだった。
3投稿日: 2022.08.30
powered by ブクログ家族だけでなく領民と藩のために、自らの命を差し出すという覚悟には感銘を受けた。切腹の日が決まっており、あと何日残されていると意識しながらも武士として凛と生きることはどれほどの覚悟があったのかと考えさせられた。
0投稿日: 2022.07.07
powered by ブクログ平成23年の直木賞作品。 架空の九州の小藩を舞台にしたフィクション。切腹する定めとなっている武士とその家族、刃傷沙汰を起こして彼らを監視する役回りとなっ青年の武士を中心に物語は進む。推理小説の側面もあり、読むうちに次のページへと読者を惹きつける。 「心がけの良き者はより良き道を。悪しき者は悪しき道をたどる」最後の場面に出てくるこの台詞が印象的。
2投稿日: 2022.06.28
powered by ブクログ同僚との人傷沙汰により切腹は免れたものの、檀野庄三郎は藩主の側室との不義密通の為、家譜を編纂し10年後に切腹することを命じられた戸田秋谷を監視する役を負う。切腹まで3年に迫った秋谷の人柄を家譜編纂を手伝う過程で目の当たりにしよもや罪を犯すような人物ではないと考え始める。 百姓の生活、村を我が物にしようとする商人、体裁を重んじる奉行衆、庄三郎の心の変化の描き方が絶妙で上手い。
1投稿日: 2022.05.16
powered by ブクログあくまで歴史小説なので実際のところはわからないにせよ、現代との価値観の違いを感じて面白かった。 比較的善人と悪人の区分がはっきりしており、主人公側が出来すぎているのではと思うところもあった。 ミステリー部分に気を取られすぎて感情移入しきれなかったためだろうか。
0投稿日: 2022.03.01
powered by ブクログ「ひとは心の目指すところに向かって生きている 心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば命を絶たれることも恐ろしくはない」 たとえ命が絶たれる日が決まっていても為すべきことを為す。狼狽えることも取り乱すこともなく。理不尽な罪を着せられても言い訳せず受け入れる。 自分の権利を主張してなんぼという風潮の強い現代の世にいると「武士のような精神」は損が多いように思ってしまう。しかし人生の満足度は損得勘定ではなく、やはり自分の信念に恥じぬ生き方ができたかどうかなのだ。 時代小説は読み慣れないのでやたら長い名前の人がたくさん出てきて読了までに時間がかかってしまったが、郁太郎の最後の言葉では思わず泣きそうに。
0投稿日: 2022.02.02
powered by ブクログ2022年1月20日読了。 葉室麟さんの著作を読むたびに姿勢が良くなる気がする。 凛とした生き方を示してくれる。 終盤の流れにはあっと言う間に引き込まれてしまった。 不覚にも落涙。
1投稿日: 2022.01.22
powered by ブクログ無実の罪で切腹を言い渡されていても、命乞いをせずに受け入れ己のなすべき志を捉えて凛と生きる姿に感銘を受けた。 ただ、登場人物(先代藩主等も含め)がかなり多いので、途中で人物相関図などがあったらより分かりやすかった。 とても面白かった。
1投稿日: 2021.11.28
powered by ブクログ超久しぶりに、もの凄い時間をかけて読んだ本。本当に本を読む時間がなくなったが、しかしやはり本はいい。少しミステリー仕立てな謎解きもありつつ、武士の矜持を描いた名作的な感じでラストのかましてやった感+理不尽感はなかなか良かった。直木賞受賞作だそうな、なるほど。
0投稿日: 2021.11.17
powered by ブクログ人間関係や役職関係、相続関係がわからなくなってしまって、途中見返せる家系図が欲しかった。 時代劇小説のあるあるだけど役職が変わったり嫁いだり、出家したりで名前が変わっていたみたい。 人格者には周りに人が集まるし、人の生き方にまで影響を与えることができる。嘘をついたり、私利私欲を肥えさせようとする考えだとダメだなという教訓の本。 秋谷は侍の美学を突き通したのかもしれないけど、お寺の坊さんが言ったように事情を訴えるなど運命に抗ったり、残していく妻子に心残りを伝えたりしても良かったのではないかと思った。心が強すぎてかっこいいけど周囲は寂しい。
3投稿日: 2021.10.18
powered by ブクログ不合理な理由で、10年後の切腹を命ぜられながら、自分の与えられた役目にひたむきに向き合う秋谷の生き方。自らの死に意味を持たせて、彼を死に追い込む家老中根兵右衛門を圧倒する。蜩のように静かに、己の信念を貫く姿が、美しい自然の景色と彼を取り巻く人々の温かさを背景にして輝いていた。
2投稿日: 2021.07.28
powered by ブクログ時代物ということで、途中誰が誰だかわからなくなって戻りつつ読んだけど、後半に向けて盛り上がっていき面白かった。 場面が動いていても常に登場人物それぞれの切なさのようなものを感じさせ続け、話のテーマや重点がブレずに一貫しているところがすごいと思った。
3投稿日: 2021.06.22
powered by ブクログやや複雑な話であったが面白かった。 最後松谷が切腹を逃れられれば、良かったが残念だった。誰が主役なのか良く分からなかった。
1投稿日: 2021.06.20
powered by ブクログ「蛍草」と違って、こちらは本格派の時代小説といった印象です 難しい用語や表現もあって、最初はつっかえつっかえでした 読み進めていくにつれ、結末が気になり徐々に引き込まれます スカッととする結末ではありませんが、侍の生き様を感じられる作品でした
7投稿日: 2021.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
難しい!!なんとなく雰囲気で読んだ感じ。 ちゃんと歴史とか詳しかったら読み進めていって面白いんやろうけど、こうだったのか!!って確信に迫るところも置いてきぼりくらった笑 武士の心意気のようなまっすぐなところとかも、すごくかっよかったけど、いまいちささらなかった。
0投稿日: 2021.05.21
powered by ブクログ真っ直ぐで潔い、まさに武士道といった心を持った一人の男の話。 冤罪なのに弁明せず、切腹が決まってから十年もの間きっちり最後まで家譜作成の役目を果たし、途中何度も訪れる卑怯な取引にも屈せず、周囲の人に対して常に正しいと信じる行いを続け、そして潔く最期を迎えるとは、本当にどこまでも真っ直ぐで強い人でした。 こういった地方都市の名も無き小藩を舞台にした時代もので、かつ単独作品というのは非常に珍しい気がしますが、それを名作に仕上げるところが葉室氏の魅力だと思います。
1投稿日: 2021.05.14
powered by ブクログ戦国武将以外の時代小説を初めて読んだ今作。 直木賞受賞作で泣けると触れ込みがあり、小説で泣ける?それは経験した事がないので読んで見る事に。 序盤から静かな雰囲気の中で進み、それぞれの生き様や考え方に色々と考えさせられる。 登場人物達の心情も細やかに書かれていて感情移入しやすく、残念ながら泣けはしなかったが直木賞受賞作とはこの様な作品なのかと知る事ができた。 個人的にはラストも素敵で後味が良く、ここで泣けといった感じもない葉室麟さんの作品に感銘を受けました。
5投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ日本経済新聞に本や音楽の名作選のような記事が掲載されるのですが、2021/4/18に本作品が取り上げられていました。時代小説を読まない身としては、葉室さんのことを存じ上げず、その才能を惜しまれつつ、66歳でお亡くなりになったとのことで、初めて作品を拝読しました。 10年後の切腹を命じられている武士と、その武士のところに見張りとして送られた若い侍を軸にした物語。事件の意味が一枚一枚めくられていき、その都度、そうだったのか、という驚きがあります。文壇にデビューされてたのが54歳と遅く、本作品は7年目のくらいのときのもの。構成に無理がなく手練れた感じを受けます。 藩と領民を考え、家族を大事にし、いわば自分をなくして考える武士の最期。全体を俯瞰する目をもち、あるべき姿を追求する彼は、ヒーローに違いありません。けれど、自分をなくしていく姿は、現代の40代(武士の年齢設定)に共感を呼ぶのか。米国や中国の人々の自己主張の強さを思い、彼らと対峙しながら生きる現代において、それは難しいような気もしました。 けれど、自己主張が強いことだけがよいわけでもありません。一方、本作品の武士も自分をなくしているだけではない。ここぞというときに、彼は果敢に動き、かつては同期であった権力者を殴る挙に出ます。そして、それは権力者の心をもとらえます。彼の命は終わってしまうけれど、次の世代へと彼の精神が受け継がれる。こういう強さをもってもよいのだ、と思わせてくれる作品です。
1投稿日: 2021.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家譜編纂後の切腹が決まっているなかでも揺るぎない信念を持って日々を過ごす戸田秋谷。その生き方に美を感じました。 秋谷の子、郁太郎の友人、源吉も子供ながらに人情深く、芯の通っている人物で非常に魅力的でした。
1投稿日: 2021.02.27
powered by ブクログ良い。 直木賞にふさわしい。面白い。 ドラマ、映画に合ってそう。 武芸、人格に優れた武士の鏡のような主人公二人。 複雑な藩の過去の陰を暴いて行く。
0投稿日: 2021.02.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
羽根藩での藩や家老の保身の為の陰謀を暴く戸田秋谷と壇野庄三郎の物語。 自分の命の期限を知りながら生き、これほど清廉に潔く生きることが出来ようか、深く美しい人生のお話。 「未練がないと申すは、この世に残る者の心を気遣ってはおらぬと言っているに等しい。この世をいとおしい、去りたくない、と思って逝かなければ、残されたものが生き暮れよう」 慶仙和尚の言葉。
1投稿日: 2020.11.04
powered by ブクログ時代物を読むたびに日々の生活や言動を恥ずかしく思ってしまう自分に気づく。 やはりこの時代にある心構えと言うか人としての値観が全く違う。 そこに強く惹かれてしまうのは自分自身が持ってない物だからなんだろうと思う。 父親として又一人の人間としてほんの少しでも今の自分を改めるとこが出来れば良いが(笑)。 敬愛する藤沢周平作品より良い意味で読み易く素直に感動できる万人に読んでほしい作品。
2投稿日: 2020.10.21
powered by ブクログまいったな、これは。山、川、里、城下。農民、町民、武士。様々な景色や人々の感情がラストに向かって迫り来る。圧巻。
1投稿日: 2020.10.21
powered by ブクログf分の1に揺らぐ木漏れ日を、降る蜩の声を撫でる柔らかな風に、立ち昇る土の匂い。 生活のコリを代謝して、仕事のウミを燃焼してくれる森林浴さながらのマイナスイオン発生装置。 これぞ読書の値打ち。
0投稿日: 2020.10.10
powered by ブクログ以前、映画で見た作品。 起伏が少なく淡々と物語は進むが 武士とは何たるか、をよく表した作品。 命を区切って生きることの大切さも教えられる。 冒頭と最後も上手くつながっており 悲しい最期なはずだが読後感はいい清々しさです。 映画で筋を知っていても本も楽しめる作品です。
3投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
堀北真希が岡田君と共演 武士の生き様を見せる話なのである 小説も読んだ でも、堀北真希は可愛いで終わってる アタクシの記憶力はスゲエ (´・ω・`) 葉室家は公家であるが、葉室鱗は小説家
0投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
切腹する日までの10年間、秋谷は正義を貫き通した。それ故に、その日、秋谷の死がもたらしたのは「彼への矜持」に他ならないのだろう。郡奉行を務めていた秋谷が40過ぎに家督争いに巻き込まれ、側室を救ったことで10年後の切腹を言い渡される。もう一人の側室の由緒の問題により切腹にまで話が拡大する。秋谷は10年間「家譜の編纂」を命じられ、その由緒を明らかにした。しかし、秋谷はそれを盾にして切腹を回避することはしない。秋谷の正義は憎しみの連鎖を断ち切ることにあったのだ。残された者が秋谷の生き様を証明するに違いない。
22投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログこちらも上町63のマスターにご紹介いただいた作家さんの作品です。 映画化 役所広司 岡田准一 めちゃめちゃ良かった 付箋 ・疑いは、疑う心があって生じるものだ。心を変えることができるのは、心をもってだけだ。 ・この世に生を享けるひとは数え切れぬほどおりますが、すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。縁で結ばれるとは、生きていくうえの支えになるということかと思います。あのように美しい景色を目にいたしますと、自らと縁のあるひともこの景色を眺めているのではないか、と思うだけで心がなごむものです。生きていく支えとはそのようなものだと思うております。 ・ひとは哀しいものです。たとえ想いが果たされずとも、生きてまいらねばなりませぬ。されど、自らの想いを偽ってはならぬと思うております。 ・友達のことは覚えとかんといけん。忘れないのが友達だ ・ひとは心の目指すところに向かって生きているのだ 心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。 ・未練がないと申すは、この世に残る者の心を気遣うてはおらぬと言っておるに等しい。この世をいとおしい、去りとうない、と思うて逝かねば、残された者が行き暮れよう ・若いころの思いを、ともに語れるひとがこの世にいてくださるだけでも嬉しゅうござる
2投稿日: 2020.09.19
powered by ブクログ人は誰でも限られた時間の中で生きている 終焉は明日かもしれないし10年後あるいは50年後かもしれない もし明日命果てようとも恥ずかしくなく志も優しさも偽りなくありたいと思った 丁寧にひたすら言葉をつなぐ葉室麟の世界は居心地が良かった
5投稿日: 2020.09.15
powered by ブクログ命を区切られた時に何を思い、いかに生きるのかという問いに、読み進めていく中で答えられる気がした。武士の覚悟を感じた、時代小説だった。
0投稿日: 2020.07.07
powered by ブクログ恥ずかしながら、初めて作者の本を読んだのだが、これが面白かった!日本文学、侮るべからず。 私の中では、時代物にまた新たな傑作が。 百田尚樹「影法師」、冲方丁「光圀伝」、藤沢周平「蝉しぐれ」等に連なる名作でした。 ってことで、作者のことを調べてみたら、本作品を書いた5年後の2017年に亡くなっていた・・ 葉室 麟(はむろ りん、1951年1月25日- 2017年12月23日)は、日本の小説家。福岡県北九州市小倉生まれ。本名・本畑雄士。 福岡県立明善高等学校卒業。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て、2005年に江戸時代元禄期の絵師尾形光琳と陶工尾形乾山の兄弟を描いた『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞。 50歳から創作活動に入り、4年後に文壇デビューを果たした。2007年、『銀漢の賦』で第14回松本清張賞を受賞する。2012年、『蜩ノ記』で第146回直木三十五賞を受賞する。久留米市を拠点に、敗者や弱者の視点を大切にした歴史時代小説を生み出した。 2017年12月23日午前2時、病気により福岡県福岡市の病院で死去。病名は明かされていない。66歳没。 2018年8月17日、都内でお別れの会が開かれ、小郡市の直木賞作家東山彰良は、「葉室さんは作品に自身の美学や哲学を込めていた。それはどんなにぶざまでも、どんなに理解されなくても、正しいことは美しいのだという美学。その美しさがきっと、誰かを救うという信念の下に小説を書いていた」と語り、八女市黒木町出身の直木賞作家安部龍太郎は、「優しく、思いやりが深い。自分よりも人のことを先に考える。人の痛みが分かる苦労人でもあった」と語り、故人を偲んだ。 文学賞受賞・候補歴: 2005年 - 『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞受賞。 2007年 - 『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞。 2009年 - 『いのちなりけり』で第140回直木賞候補。 2009年 - 『秋月記』で第22回山本周五郎賞候補、第141回直木賞候補。 2010年 - 『花や散るらん』で第142回直木賞候補。 2011年 - 『恋しぐれ』で第145回直木賞候補。 2012年 - 『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞。 2016年 - 『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。(Wikipedia) かなりデビューが遅い作家だったようですが、本作品は映画化されていたということで、もしやと思って確認したら、この映画、見てました。そして、私の評価は「時間があれば」。我がことながら、この評価の落差と記憶力の衰えに愕然とする。
6投稿日: 2020.07.02
powered by ブクログ再読。正しき事をしても、そのままそれが通ることない社会にて、凛として、真正面をむいて、生き抜く戸田秋谷の清廉なる姿。秋谷の姿勢が見届け人庄三郎の生き方をかえ、また息子郁太郎に引き継がれていく。 家老の中根兵右衛門も完全なる悪人というものでもない。 清らかな自然の中にいるような、鮮烈な小説が魅力的ですね。
0投稿日: 2020.05.14
powered by ブクログ星3.5というところ。 秋谷もその周りの人も、振舞いが小気味よい。 ただ、お美代の方様に関わる秘密とその影響をきちんと理解できなかったので、秋谷が切腹する必然性がよくわからなかった。
0投稿日: 2020.04.26
powered by ブクログ揺るがない清廉さと覚悟。 それを保ちながら静かに生きる。 それは気負いもなく自然で、まるで前々からそこにあったかのようである。 命の期限にも、浮かび上がってくる策略にも、そして自分に対してだけでなく、すべてのものにおいて。 何があるんだろうという推理小説のようなおもしろさと、読後の凛とした気持ちよさ。 この時代の人の名前や関係性を頭にいれるのが苦手で、やっぱりメモを取りながら読むこととなった。敬遠していたタイプの時代小説。なのにまた他のも読んで見ようかという気になっている。 葉室麟さん、チェック!
2投稿日: 2020.02.17
powered by ブクログ秋谷の生き方は、最後に身を捨てて中根の言う通りになっていれば、切腹も逃れることもあるだろうが、そうすれば彼のこれ迄の生き方のプライドは崩れ落ちてしまう。読み終えて、爽やかな感情が感じられた。
0投稿日: 2020.01.02
powered by ブクログ昨日、映画「散り椿」を観て その余韻のまま 原作が手元になかったので 書棚にあったものを 改めて再読 葉室麟さんの描く こうあるべき「武士」像 いや 人間として こうあるべき 朴訥で 不器用だけれど、 清廉潔白 そして “凛"として 潔い 読んでいる途中 なんども 昨日観てきたばかりの 「武士像」を 勝手にかぶらせて 読み終えました
1投稿日: 2019.12.27
powered by ブクログ限りある生命を如何にして締めくくるか、死を迎えるまでの日々の生き方を問う慟哭の時代小説である。徳川の閉ざされた武家社会に蠢く人々の宿命的な生き様が、哀切の情念で切々と綴られていく。人の心の気高さに、万感の想いが募ってやまない。
7投稿日: 2019.09.18
powered by ブクログ限られた命とどう向き合い、いかに生きるか。 秋谷氏の生き様は淡々と、しかしその一本気は心に深く染み入る。 (秋谷氏の安定感に対し、庄三郎は一人前の武士として、少し頼りない印象もあったかな) この忙しない、物質的な現代社会を過ごす上で、そのような気概保ち続けることは難しいけれど、心の片隅に置き続けたい清廉さ。
4投稿日: 2019.09.08
powered by ブクログ時代小説はほとんど読んだことがなかったけれど、何となく惹かれて手に取る。手に取って正解。文章が美しく、読み応えあり。 登場人物が魅力的。秋谷の凛とした生き方、庄三郎や郁太郎の成長など… 裏事情が少しずつ明らかになっていくのは、推理物みたいに楽しめた。
4投稿日: 2019.07.28
powered by ブクログ7月-19。4.0点。 羽根藩シリーズ。直木賞。 藩主の側室と江戸で一夜を過ごした咎で、藩史編纂を命じられた主人公。3ねM後に切腹が決まっている。監視役に命じられたもうひとりの主人公。 再読。面白い。さすが直木賞。 領民を思い、家族に対しても清廉である姿勢。 ラストもグッときた。
3投稿日: 2019.07.27
powered by ブクログ10年後の切腹、それまでは家譜の編纂を命じられた藩士戸田秋谷。ある不祥事から彼を輔佐と監視することになった檀野庄三郎の視点で最後の3年が語られます。フィクションのはずなのに、実際にあった出来事のようにリアルに物語が流れ込んでくるのです。この時代、どれだけ人々が自分の命を賭していろいろなことに向き合って行ったのか自分の大切な人を守り、信義を貫くためにどれだけ考え強くあったのかが痛いほど伝わってきました。「蜩ノ記」の意味、最後の一行。他にもたくさんの心打たれる言葉の詰まった大変読み応えのある本でした。
0投稿日: 2019.06.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
歴史は鑑。よきことも悪しきことも記す。藩の歴史を記し、10年後に自害することになっている武士の一家と、監視役の男。ただ役割を果たしていく一家。
3投稿日: 2019.04.29
powered by ブクログ読んでいて、登場人物から「澄んだ湖」を連想します。汚れまくりの溜池みたいな私も少しは清々しく生きてみたい。
1投稿日: 2019.03.30
powered by ブクログ2019年3月12日読了。城内で不祥事を起こした庄三郎は、3年後に切腹を控えた武士・秋谷の監視を命じられ、その振る舞いに感化されていき…。第146回直木賞受賞作。理想化されたとも言える「武士とはどうあるべきか」「いかに生き、いかに死ぬか」みたいな話を清潔感を持って描く作品。うるっとくるシーンもあり読後感はいいし、終盤庄三郎と郁太郎がとった行動は「えー、そういくんか?」と意外性もあったが、定められた結末に向かっていく物語は自分にはもう一つ物足りなかった…。自分の基準で正しく生きることで、不遇な目にはあっても最後には皆に分かってもらえるし、周囲を動かすことができる、と現実は必ずしもそうではないが、そう信じ続けることが大事か。映画の主演は岡田君のようで、ちょっと観てみたい。
2投稿日: 2019.03.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
重かった。 秋谷のような清廉の人は切腹で中根のような小物ばかりが人の上に立つ。秋谷を信じられなかった前藩主も人間の器が小さい。 人の上に立つ者が人としての器が小さいというのは罪だな、と思わされる。 秋谷の生き方は自分にもそう生きられるのかと問われているような気がする。
3投稿日: 2019.01.30
powered by ブクログ日本史に詳しくなく、名前が長い人たちがたくさん出てきて、誰が誰なのか、どうなってそうなったのか…等が分かりづらく、物語の半分過ぎまで斜め読みでした。これはおそらく私の理解力のなさでしかないと思います。。 なので、謎が明らかになっていく様などは、フワッとしか分かっていませんが、それでも、最後の方は涙無くしては読めませんでした。 武士の生き方、というか、人の生き方が描かれていました。死ぬことを美徳とするのは、あまり好きではないですが、そうではなくて、どう生きるかという作品でした。 理不尽な事が多く、真っ直ぐなんて正直生きていられないのは、今よりもこの時代の方が圧倒的に多かっただろうと思われます。その中で、中心をずらさず、武士の道、人の道を生きようとした人たち。我が強いのとは正反対だけど、信念は揺るぎなく強い。なりたいと思ってなれるものではないけど、やはりこの様な生き方が美徳とされるのは腑に落ちる気がします。
4投稿日: 2019.01.03
powered by ブクログ山本周五郎の「樅の木はのこった」に続いて読んでみたら、同じ匂いの小説だった。しかし個人的に好みなのは「蜩の記」に軍配があがる。 郡吉の今ある境遇での清々しさに感涙した。 とても素晴らしい小説でした。
14投稿日: 2018.11.20
powered by ブクログ徳のある正々堂々とした生き方が近道。 時代物としては久し振りに感銘を受けた。 何より、この文章の美しさにまいった。
6投稿日: 2018.11.17
powered by ブクログ昔の時代ならではの言葉の使い方には冷静さと情熱のような相反するものが同時に表現できる特性があったかのように思う
2投稿日: 2018.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初葉室。直木賞受賞作。藤沢周平著『闇の歯車』にて、時代小説の面白さに気付き、本書で二作目。この作品を読み始めたのが私の仕事での失敗により、近いうちにおそらく“解雇”になるであろうタイミングと云うのは、何か運命を感じた。切腹と解雇。秋谷が庄三郎と郁太郎を助けに行くところは思わず涙が流れた——。読む前は逆だと思っていたが、人生とは終わる日がきっちり判っていた方が有意義かも知れない…。秋谷の人間性、凛とした真っ直ぐな生き様。秋谷の家族への想い。その逆もまた然り。庄三郎が秋谷を慕っていく過程。等々…読み処が本当に多い。大変良い作品に出会えた。続編であろう『草笛物語』は是非とも読みたい^^
4投稿日: 2018.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
国語の先生におすすめされて読みました。 時代小説はあまり読んでいなかったから、途中リタイアになるかなーと思っていたけど面白かった! まっすぐに生きる秋谷さんももちろん魅力的だけど、源吉の最期が悲しすぎて……。お春のために笑顔を作った彼にも感服。そして万治、もう少し頑張ってほしかった。 源吉のことでさらに武士と百姓との溝は深まってしまったのだろうけど、庄三郎と郁太郎が秋谷さんのように向き合ってよい方向へ進むと信じたい。
4投稿日: 2018.03.17
powered by ブクログ何も言わず、自分の死を目の前に見ながらやるべきことだけを果たそうとする。清廉潔白で厳格。これこそが本当の武士なのだろう。 戸田秋谷の生き方、それを監視する檀野庄三郎。 自然描写が美しく効果的でした。
5投稿日: 2018.03.04
powered by ブクログ「――ひとはどうしようもないことで罪に問われることがあるのだ」 豊後羽根藩にて奥祐筆を務めていたものの、些細なことから城内で刃傷騒ぎを起こした檀野庄三郎。彼は家老の温情で切腹を免れるが、ある密命を帯びて城下を放逐される。 密命とは、7年前、藩主の側室との不義密通の罪を犯したとして、10年後の切腹と藩主・三浦家の家譜の編纂を命じられ、現在は家老の所領である向山村に幽閉されている戸田秋谷を監視することだった。 秋谷の切腹までの期日は3年。庄三郎は自分の命が助かるのと引き換えに、戸田秋谷が死ぬのを見届けよ、という過酷な使命を課せられたのだ。 向山村で秋谷やその家族と寝食を共にし、家譜の編纂を手伝い、秋谷自身の剛直な背を見るうちに、庄三郎は次第に彼の無実を確信するようになる。 やがて庄三郎は、秋谷が切腹を命じられる原因となった側室襲撃事件の裏に隠された、宇羽根藩家中に渦巻く重大な陰謀に辿り着くが――。 多くを語らない秋谷の背中は、身分を超えて多くの人々の心を揺さぶるというのに、本人である彼自身は、決して命の期限を動かそうとしない。 夫として父として家族を、武士として人として、主家や村人たちを守りぬく。限られた命の残りの日々を、疑うことなく誠意を尽くし、逃げることなく生きる姿は晩夏を鳴きつくす蜩の聲にも似て。 庄三郎が秋谷の元を訪れてからの3年間を、彼の目を通して描かれるが、この物語にはもう一つの視点がある。秋谷の長男・郁太郎である。 郁太郎には身分を超えた友人がいる。村の子供・源吉だ。この子がおどろくほど人間が出来ている。 大人たちは重い年貢の取り立てや農作物の不作に不満を漏らすが、源吉は不満を言っている暇などない、と屈託なく笑う。呑んだくれて役に立たない父親を責めもせず、母を助け、妹を可愛がる。武士が威張り散らすのを目の当たりにしても、この世のことはみんなお天道様が決めなさる。と達観している。 源吉の聡明さは郁太郎を何度も助け、その精神を成長させるが、彼には突然の理不尽な死が待っている。この源吉の非業の死が、物語の終わりに秋谷の避けられない死の意味を違うものに昇華させる。秋谷は無実の罪を負って死ぬのでなはなく、藩と領民のために死ぬのだ。 忠義と覚悟。生きることの意味と死ぬことの意義を、凄烈に問う歴史小説である。
2投稿日: 2018.02.02
powered by ブクログ葉室麟の時代小説で第146回直木賞受賞作。 直木賞受賞にふさわしい優れた小説という印象を持った。 良く練られたストーリー、読者の興味を掻き立てるシチュエーション、魅力的な登場人物、そしておそらく葉室さんの得意とする読者の心に染入る様な美しい風景描写。 物語の初めから終わりまで、本当に良く作り上げられていて、ある種の芸術品の様な美しい作品だと感じた。 職場で友人との喧嘩から刃傷沙汰を起こしてしまった檀野庄三郎は、切腹を赦免される代わりに向山村に幽閉され家譜編纂を命じられている戸田秋谷の監視を命じられる。 戸田秋谷は七年前に前藩主の側室との密通の容疑がかけられており、10年後の切腹が命ぜられていた。 庄三郎は、戸田家の人々と一緒に過ごすことで秋谷の人柄を知り、彼の罪に疑問を持ちはじめ真相を調査する。 「蜩ノ記」とは秋谷が日々の出来事を記録している日記の事である。 この作品は、心に残る台詞が多い。 庄三郎が真相を調査する過程で人の心の闇に嫌気がさし、遠くの田畑を眺めながら 「ひとは、稲のようにまともには生きられぬものなのでしょうか」 と相手に問いかけるシーンは、非常に印象深かった。 戸田秋谷の犯した罪の真相がこの作品のキーポイントであり、その謎に迫ることは危険を伴う為、緊迫したシーンが続きスリリングな楽しさがある。 また、庄三郎が戸田家の人々と交流する事で、人を愛おしむ心が彼の心に生じてくる様の描写も美しい。 それと庄三郎の秋谷の娘 薫に対する恋愛の様子がいかにも不器用で微笑ましかった。 物語のクライマックスからエンディングも感動的で、この美しい物語にふさわしい。 ここでは、庄三郎の人間としての成長が如実に出ていて本当に素晴らしいシーンであった。 非常に完成度の高い良い小説だと思う。 ただ物語が美しければ美しいほどいかにも作り話という感じがしてしまうので、その部分のバランスさえ良ければ満点だ
3投稿日: 2018.01.28
powered by ブクログ2014.3/29 罪人として死への期日が定まっているなか、抗弁することなく、武士として、人として、信ずる仕事に粛々と向かう戸田秋谷…彼に関わる者は、心がけ良き者はより良き道へ、悪しき者はより悪しき道へと生き方を変えていく…とのたまう悪しき側の家老・中根兵右衛門と、良き者の檀野庄三郎が対照的。推理小説、時代小説と括ってしまえない内容の濃い物語。ロバート・キャンベルの解説も良かった。続きが楽しみ。
1投稿日: 2018.01.08
powered by ブクログお家騒動のゴタゴタを背景に 武士の道(?)人の道を貫く登場人物を描く小説....。 そんなかんじかな。 ありがちゃ失礼かもしれないが 時代劇小説読むと、よくある感じの話で 特に盛り上がるところもなく、淡々としすぎていて 見どころが感じられなかった。
1投稿日: 2017.12.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2017.12.18 読了 お家騒動の暗部を知りながら、無実の罪と理不尽さを甘んじて受け入れる・・・潔さすぎる。しかし結果として嫡男の郁太郎に旧禄が復され娘婿の庄三郎に新知が与えられたことでお家継続が第一の武家としては本望かも知れぬが。
0投稿日: 2017.12.09
powered by ブクログ知人に勧められ読んでみましたが、文章も物語の構成も稚拙で 大絶賛されるほどの作品には思えず、感動もありませんでした。 登場人物もなんのために出てきたのかわからない者がちらほらおり、 秋谷と源吉以外はみな薄っぺらく感じました。 これの前に読んだ冲方丁の『光圀伝』が根幹のしっかりした作品だったため、 余計に本作の粗さが気になったのかもしれません。
1投稿日: 2017.12.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
切腹が決まっている男と、そこに監視の任で使わされた男の生き方の話。 命よりも優先するものがあるという生き方、自分が受け入れられるかはさておき、この登場人物であればそうするのかな、むしろそうしてほしいと思ってしまうのは作者の上手さなのでしょう。 決して痛快な終わり方ではないですが、これでよかったと感じる。 歴史ものは普段読まないが楽しめた。
1投稿日: 2017.09.05
powered by ブクログずっと読みたい本で文庫化を待望していた。切腹を覚悟した男の「その日」までの生き様がどのような物語になるのかを期待してのことだ。しかし、自分の思い描いていた内容ではなかった。面白くなかった訳ではない。秋谷を監視する目的で遣わされた庄三郎の目線から見る向山村での出来事は、郡方役人や郁太郎の友・源吉の死というサスペンスと、秋谷が謀略・冤罪の果てに切腹を申し渡されたことに対する謎解きの要素が強い印象を受けた。
1投稿日: 2017.08.31
powered by ブクログ命をかけた真摯さは人の心を大きく動かし、その生き様のバトンはしっかりと繋がっていく。死を前にしても生ききる秋谷や源吉の姿勢が心に残った。
1投稿日: 2017.08.15
powered by ブクログ会社の社長にすすめられた作品。秋谷のように命のリミットが分かっているからこそより今自分が成すべきことが明確にみえていて日々を大切に出来るのかもしれないけど、普通はそうじゃないからこそ最期に後悔がない生き方をしたいと思った。命と人との繋がりの大切さを考えさせられた作品でした。
1投稿日: 2017.07.01
