
総合評価
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powered by ブクログ夏休みに読みたい一冊。 閉鎖的な拝島で、祭りの日に起こる不思議な出来事の物語。 島の閉塞感が嫌で出て行きたいという主人公の気持ちは、昔の自分にも重なって共感。 ゆっくり流れる島の雰囲気の描写が素敵。 現実なのかそれとも「不思議」なのか。 真夏の白昼夢のようでいて、 まったりした雰囲気で読んでいると、 なんだかすごい展開になっていたりと、、 自分の中での登場人物のキャラ付けが追いつかず、 狭い島の話だけど登場人物も多いので、若干混乱。。 図書館で借りたのですが、もう少し早く出会いたかったなあと思いました。
4投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログ好きな世界観だった。 入りは土地の説明がわかりにくかったり(地図があって助かった)、「あれ」の存在が不穏だったりしたけれど、話が進むにつれてみんなに見えていない存在や持念兄弟の繋がり、荒太と犬丸の存在に引き込まれていった。 キャラクターの中では力を持つ安心感として荒太が好きだった。あと見守りながらも昔の話をちゃんとしてくれる茂太も良かった。 冒頭から故郷である拝島に戻りたくないと考える主人公だったので、このファンタジーは続かないのかなぁと思う寂しさが最後まで続いた。 読後に幸せな気持ちが残っていたら星5だった。
1投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ2025(R7)2.11~5/7 三か月かかって読了。 小さな島に住む若者たちとその島に伝わる不思議な因習とが絡んだ物語…なんていう要約しかできない程度の浅い読みでした。 その程度の解釈しかできませんでしたが、この話は『精霊の守り人』の世界に近いのかな、と思いました。
10投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ物語の舞台は 古い因習が残る拝島 十三年に一度の大祭の夏 島外の高校に進学した悟史は、 祭りの為島に帰る この少年がこの世のものでないものが見えてしまうので、因習と共に島に現れるモノを見てしまうのが辛くて、島に帰るのが憂鬱 今年は巳年、暦では2月3日から干支も変わる 久しぶりの三浦しをんさんを “白いへび”で 私の田舎の神社も白蛇伝説があり 大祭は三年に一度 決まった干支の年に開催される 昔は四年に一度と言っていたのだけど わかりやすいように変えたようですね 以前は 開催した年を含めて4年と数えたと思う だからこの13年に一度も十二支一回りかなと思ったり 三浦さん2001年「白蛇島」改題で2005年 ほぼ初期の作品 現実的な嫌がらせと並行して神宿る島らしい 不可思議な現象が起きる ファンタジー感が強めで、それを納得すれば 伝承文学と三浦さんがいつも上手いBL未満の少年達の繋がりを楽しめます
86投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ土着の信仰が根付いた島に戻ってきた少年は、「あれ」と呼ばれる怪異に脅かされるうちに神の領域に至る。 面白くないこともないが、BLすぎる。地念兄弟の設定からしてBLで、荒太と犬丸はエピローグの短編で異種族BLカップルとして完成されてしまった。 そういうのは別に求めていない……。
0投稿日: 2025.01.11
powered by ブクログすごく好きな物語だった。 夏休みの雰囲気や、幼馴染との絆、思い出。 最初は登場人物や集落の設定が覚えられず、なかなか物語に入り込めないこともあったけど、後半どんどん引き込まれて、ページをめくる手が止まらなかった。 この物語では、血の繋がりよりもよっぽど強い絆を結んだ人たちが登場するけど、きっとその絆は、死んでもなお切れることはないのだろう。「持念兄弟」の絆、ロマンがあって良い。 何とも繋がらず、何にも縛られないことが自由ではない。帰る場所があり、そこで自分を待っていてくれる人がいるからこそ、自由に歩いて行ける。
1投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログ"世界は理由の定かでない決まりごとで成り立っている" 田舎、島ならではの古めかしい習慣に疑問を持ちつつも、疑問を持つことすらままならない環境。 オカルトかと思いきや、現代の問題を伝える部分もあったり。 長男が偉いのか、男性が偉いのか。
0投稿日: 2024.10.21
powered by ブクログ閉鎖的な島の因習や、島の人々との関係性に息苦しさを感じる事は若い頃によく感じ、その悩み、故郷への単純に割り切れない感情を、ファンタジー色の中にうまく入れ込んでいる。
0投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いや~、「ページをめくる手がとまらない」という意味では、これまた面白かったです。 閉鎖的で、なんだか伝統や土着の風習や信仰に囚われたままの島、「あれ」がでたという噂、「持念兄弟」って何よ、悟史が見てしまう「不思議」とは、いや、わりと早い段階で「あれ」が姿現したな、と思ったら、悪戯か?!、荒太と犬丸は限りなく怪しいやろ、と、どんどんどんどん疑問が湧いてくるので読む手が止まりませんでした。ホラーのような、ミステリーのような、ひと夏の冒険という感じのような・・・この小説を一言で表すのは難しいです。 三浦しをんさんって、読む本読む本で全く違う顔を見せてくれる作家さんだと思いました。共感してくださる人はいるかしら。 人智を超えた何かや神域という点では、神去村を思い出しましたが、本書の作者名を隠されて読んだとしたら「三浦しをんさん!」と当てることはできなかったと確信しています。 この拝島に関するあれこれはどこか実在の島がモデルになっているのでしょうか。このような島独特の信仰や風習がまだまだ残っているところもきっとあるのでしょうね。 先が気になって気になってどんどん読み進め、ついに大祭の日がやってきました。ここから先は、神域での冒険といった感じになってきました。 荒太は「カミサマなんていない」と言いましたが、信仰の根源となるところに注連縄をつけた後のことを知る限り、たとえ「カミサマ」はいなくても、神の力はあるんだと思いました。だって、あの洞窟には「あれ」や海に漂う黒い頭は入って来れないし・・・ それまでの色々にだいぶ心躍らされていたので、最後はわりとあっさりだったな、と思いました。それに、考えれば考えるほど、分からなくなることもありました。 伝説の白い蛇とシゲ地の荒神(?)、二つの力がこの拝島の「奥」の均衡を保っているのか・・・どうもこの二つがごちゃごちゃになってしまうし、力の違いなどがわからない。そして、このシゲ地に祀られている(?)ものは、「鱗付き」がずっと相手をしないといけないのか・・・ 荒太がシゲ地の荒神を島の外へ連れて行ったことで、「長男だけが島に残る」といったような古い風習は少しずつ変わっていくのでしょうか。悟史も決心がついたようだし。私の理解が正しかったら、拝島の「奥」の未来に希望がある終わり方だったと思います。 最後の「文庫書き下ろし」でかなり理解が深まる気がするので、これがない単行本を読んでいたら、理解力のない私は首を捻っていたかもしれません。情けない・・・。 私の理解力の問題で、なんとなく腑に落ちない点もあるし、途中の盛り上がりとラストのあっさりにギャップがあった気がするけれど、神の力が及んでいるものなんだ、すっきり理解できなくていいんだ、と思うと単純に「面白かった!」とお勧めできます。
44投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログ拝島のしきたりや大祭の状況を理解するのは難しかった。 “自由”と“逃げる”の違いが深く、一見逃げたように思われてしまうけれど、自分を支えてくれる人たちがいるから羽ばたける、それが自由。その存在がたった1人でもいてくれればいいのだと感じた。 最初は、主人公が思い悩んで詰まっているような重さがあったが、最後の船に乗る場面はびっくりするほど、清々しい情景でありそれを文章で感じさせるところがすごいと思った。
0投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ田舎の島に伝わる伝承や伝説を主題にした内容。 田舎だからこその景色や文化など様々な描写が美しく想像できる。 幼い頃からの親友との信頼と友愛を見ることで その温かさや寂しさを体感できて良い意味で苦しかった。 みなの未来がたのしみ。
0投稿日: 2023.12.20
powered by ブクログファンタジーな出来事が起こりながらも、集落の様子、そこで暮らす人々の様子を楽しむことができる作品でした。皆それぞれの場所で元気に暮らして欲しいですね。
0投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログ父の遺した本棚から。 古い因習が色濃く残る島で、不思議体験をする主人公。 現実には起こり得ないことだけど、この島ならあるかもなぁ...と思わせる。 なんだかハリーポッターを読んでいるような気分になった。
0投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ田舎の小さな島の夏を感じる一冊。 映画にしたらとてもきれいで不思議な映像になるんだろうな、と思いながら読んだ。 この作品に出てくる「女踊り」や「持念兄弟」は河口の稚児舞や寝屋子文化に近く、舞台は架空の島だけれど、日本のどこかにある田舎の島、と想像をかき立てられた。 古い因習が残るけれど、少しずつその伝統が薄れていきそうな予感のする土地で、そこに住む光市と、島から離れて生活している悟史。その妹の日和子と同級生・佐和子。神社の次男・荒太とその友人・犬丸。 対になる彼らが信頼し合って、血縁ではないのに血縁以上に繋がり合ってる感じが、しっとりと胸に残る。 白蛇や「あれ」がいったいなんなのかははっきりされず、賛否両論があるが、謎が謎のままなのが良かった。 そもそも昔話や伝承は口伝で話が変わっていたり、ちゃんと記録が残っていなくて、昨今の民俗小説のように理屈っぽくなく(それはそれで興味深くおもしろいが)、ファンタジーとしてとても楽しめた。
1投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログこの人の作品にしては、心に響くものが無かった。 古い因習に縛られた島。 長男が島に残って家督を継ぐが、ほかの子は島を出る。 祭りで帰省していた悟史が、幼馴染の光市と探ることになった島に出るものの正体は何か。
2投稿日: 2022.12.19
powered by ブクログちょっと疑問残るところ多かったけど、まあ愛嬌ね。 朝ドラの舞台みたいな、海、坂道、美味しい空気な島を想像して旅行行きたくなった
0投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログ原体験というのは、多くの場合幼少期を過ごした故郷にあって、何かしらの不思議な、少し怖い記憶が残ってたりしません? なんかあったような気はするんですが、それがどんなかは思い出せないんですが…今思えば不思議な…なんかあったような。 で、当然のように神社もあって、そのお祭りと縁日にお小遣い握りしめて一日心躍らせていたり。終わるのが悲しかったり。 生まれ育った場所って、良くも悪くもずっとどこかで繋がっている、というか気になる。同じ時間を過ごした近所の友達も。 「逃げ出したい場所があって、でもそこにはいつまでも待っててくれる人がいる。その二つの条件があって初めて、人はそこから逃れることに自由を感じられるんだ」 こういう自由の捉え方もあるんですね。 でなければ「ただ、孤独なだけだ」と。 そう頷けるなら、それは幸せなのかも。
3投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログ文に目が慣れるまで、つまらないと思っていたけど最後は一気にラストまで駆け抜けた。 不思議なお話だけど、どこか現実味もあってこんな世界があるのも悪くないなと思った。
1投稿日: 2022.01.26
powered by ブクログ三浦しをんさんのお仕事小説は好きなのですが、これ系はちょっと読むのに時間がかかりました。閉鎖された空間。自由とはなにか。神とはなにか。 男同士、女同士の友情はいいですね。荒太と犬丸の関係はなんだかいい感じです。
2投稿日: 2021.10.31
powered by ブクログうーん。 三浦しをんさん、好きな作家さんなんだけど自分には合わない感じの物語だったかなぁ。 登場人物の魅力も伝わりにくくてその世界観にも馴染めず物語の中に入り込むことが出来なかった。 全体の雰囲気も他の作品とはちょっと違ったような?
3投稿日: 2021.05.25
powered by ブクログ島の美しい風景が浮かぶ冒険譚。 悟史と光市、荒太と犬丸の絆や、 島のしきたり、人ならざるものの世界、 子どもと大人の境目の高校生が これからの自分の人生を考える話でもあり、 盛りだくさんで、個人的にはおもしろく読めた。 冒頭の「あれ」への不安感を煽る描写は じっとり、十分不気味で、 夜読んだこともあり、いい意味で結構こわかった。 三浦しをんさんの初期の作品ということで、 初期らしい稚拙さ?みたいな所を 評されることもあるみたいだけど、 たとえ表現が洗練されきってないとしても 書きたいもの、作りたいものが溢れているようで、 私は好き。 音楽とかもインディーズ好きなんですよね。 悟史と光市の関係性についても、すごくいい。 羨ましい。 一緒にいる時間の長さとか、 持念兄弟の契約とか、気が合うとか、 そういうんじゃなくて、それらだけでは不十分で、 誰かに言ったら笑われてしまうかもと 思うようなことも こいつにだけは話せるって所が 1番、いい関係性だな、と強く感じた。 船で島に作ってところだけかもだけど、 「ぼくのなつやすみ」を思い出した。 きれいな絵になりそうだし、 冒険要素もたっぷりだし、 登場人物も魅力的だし、 ゲームとかにしたらおもしろいんじゃないかな。
1投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログ『あれは海と山を行き来していると伝えられる化け物で、その名前を口にするのも忌まれてきた。悟史も「あれ」を正確になんというのか、知らなかった。なにしろ、口に出しても文字で書いても禍があると言われているのだ』 日本各地には今も親から子へと伝わる様々な妖怪、怪物、そして幽霊などの伝承があります。有名なものとしては”座敷童子”がそうでしょうか。”座敷童子”の場合は人に危害は加えないとされていますが、一方で、人間に取り憑いたり、人間を捕まえて食べたりと聞いただけで身の毛のよだつ恐ろしいものたちが闊歩するような話もたくさんあります。特に子どもの頃はそんなものたちの話を聞いて頭の中がそれらに囚われて夜のトイレに影響する…私もそんな思い出があります。そして、そういった話がエスカレートし出すと、そのものの名前を言うだけで呪われる、と名前を出すことさえ躊躇してしまう、そんな経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。人は目にするものすべてに名前があること、そしてその名前を知っていることで安心感を得る生き物です。であるなら、そのものの名前を口にしない、文字に書かないということは、そのものを存在として敢えて認識しないことで、そのものが実体化することを自然と避けようとする、そのような感情から来ているのかもしれません。 『船体に重くぶつかる波が、ゴオンゴオンと背中に振動を伝えてきた。陸が近い』と『人の出入りを喜ばない』拝島(おがみじま)を目指すのは主人公の前田悟史。『船が接岸する前から、悟史は幼なじみの姿を港に認めていた』という幼なじみの中川光市に接岸後再開する悟史。『免許、取ったんだ』と自慢する光市の『赤い錆の浮いた古い軽トラック』に乗り込みます。『じいさん元気か?』と聞く悟史に『もう、うるさいのなんの。今朝だって、起こされたの三時だぜ』と返す光市は『俺だって悟史が帰ってくるのは嬉しいけど、三時は早すぎるだろ』と続けます。『なんの衒いもなく、光市は「嬉しい」と言った』ことに安堵する悟史。『本土の港湾都市、高垣の高校に入学してから三年』という悟史は『一晩船に揺られれば島には帰れるというのに、部活動を理由に、足は故郷から遠のきがち』で『盆暮れの数日しか拝島には戻らない』という高校生活を送ります。それは島の外の人たちも同じです。『海と山に恵まれ、本土の高垣からも船で一晩』にもかかわらず『拝島に静養や休暇を楽しみに訪れる人間はほとんどいなかった』というその島。『柔らかに澄んでいるように思われるこの島の空気の中に、冷たく固い粒の存在を感じる』という悟史は島への帰郷を喜ぶどころか『あと数日、この島で過ごさなければならない』と到着直後から感じています。そんな中、家へと向かう途上で『十三年ぶりの大祭だろ?のぼりの数が違う』と『光市の指すほうに視線を移す』と『道の右手、川の向こう岸の山々の稜線に沿って、赤いのぼりがはためいていた』という光景を目にする悟史。そこは『荒垣神社の神域の森』とされ『島の人々はそのご神体を、白蛇様と呼んだり荒神様と呼んだりして、丁重に祀ってい』ます。『前の大祭のとき、悟史も光市も五歳だった』にもかかわらず、『なにも思い出せなかった』という十三年前の記憶。そして、家に到着した早々、『挨拶まわり』に出ようとする悟史に『あんまり遅くなるんじゃないよ。ちゃっちゃと切りあげて早めに帰りなさい』という母。『普段は近所づきあいについてうるさいほどに説いてみせる母が、こんなことを言うのは初めて』という不思議。そんな母は『最近ちょっと物騒なのよ』と声を潜めて『…あれが出たの』と語ります。『あれはあれよ』と『ひそめたままの声音で早口に言』う母。『「そんな馬鹿な」と笑い飛ばそうとして、しかしそうはできずに背筋を這い上がる寒気を感じた』という悟史。そんな悟史が久しぶりの島で幼なじみの光市たちと過ごす中、まさかの『あれ』と遭遇する夏休みの数日間の物語が描かれていきます。 「白蛇島」という単行本を改題して「白いへび眠る島」としたこの作品。個人的に”へび”はこの世で一番嫌いな生き物なので、正直なところ口にするのも、文字で打ち込むのも避けたいというのが正直なところです。ということもあって、この作品は私の大好きな三浦しをんさんの作品と言っても、手にするのを長らく躊躇し続けてきた作品でもありました。一方で、”へび”と言っても”白いへび”はご神体として崇める神社も多数あることから単純に同列に考えるのは失礼にあたるともいえます。そんなこの作品の舞台は『拝島』という架空の島。『海と山に恵まれ、本土の高垣からも船で一晩』という島ですが、『拝島は人の出入りを喜ばない』という通り外部の人間を寄せ付けない孤高の島という設定がなされています。三浦さんが島の人々の暮らしを描いた作品というと「光」が有名ですが、同作品はこの作品から七年後に刊行されたもの。同じ島の描写でもこの作品の方がより素朴で外の世界から隔離された印象が強い書き方がされているのが特徴です。そんな島で生まれ、島で育ったものの高校入学を機に島を出た悟史。外の世界から見て余計に『島の暮らしは外とは違う』と感じている悟史は、拝島が『別のリズムに支配されている』と考えます。そんな島を三浦さんは『月』を用いてこんな風に表現します。『島は実は、外とはまったく別の、もう一つの「月」に支配されている』という感覚。『その「月」は、高垣などから見える月とは、大きさも周期も違うのだ…』というその感覚。『島には、「掟」とも言うべき独特の生活習慣が数多くある』と島に存在する数々の『掟』を挙げます。そして『たまに島に戻ってくると、忘れていたもう一つの「月」の引力にとらわれたかのように、めまいにも似た違和感を覚える』という悟史。それは『潮の満ち引きの秩序が乱れるような、体内時計が狂ったような、生物としての混乱だ』とまで言い切るその感覚。『生まれ育った場所』にもかかわらず『どうしても拝島の重力にはなじめな』い悟史。悟史を悩ませ続ける拝島に内在するそんな独特な閉塞感が結末への一つの大きな伏線となっていきます。 そして、この作品で外せないのはなんと言っても『あれ』という指示語で示され続ける謎の存在です。『悟史も「あれ」を正確にはなんというのか、知らなかった』というその存在。『「あれ」は海と山を行き来していると伝えられる化け物』という漠然とした説明が読者に恐怖心をまず植え付けます。そして、『月のない夜に海から上がってきたあれは、狙い定めた人間の目から体内に入る』とされ『あれは確実に内部から人を食う』、そして『あれは悠々と海へと去っていき、残されるのは餌食になった人が着ていた衣服のみだ』という身の毛のよだつような説明が淡々となされていきます。一方で『持念兄弟』という『「奥」集落の長男同士が結ぶ絆』で結ばれた幼なじみの悟史と光市。『島で助けあうための風習』というその世界観が『あれ』と絡み合って描かれていくこの作品では、後半になって、まさかのファンタジー世界が登場します。一種の冒険活劇ともいえるその世界が盛り上げていく作品の後半。そこで私が感じたのは、まさかの恩田陸ワールドでした。恩田さんのホラー、もしくはミステリーの世界に近い感覚。「失われた世界」あたりが近いかもしれませんが、そんな恩田ワールドに近い雰囲気をとても感じました。しかし、三浦さんのこの作品では恩田さんに比して不気味感が少し不足する印象を受けました。せっかく『あれ』とはなんなのか?とミステリーっぽい雰囲気が出ているので不気味感をもう少し畳み掛けて欲しかったという印象は残りました。それもあって冒険活劇っぽくなる後半のドタバタが少しあっけなく結末してしまう印象も受けました。ただ、三浦さんはとしては2001年という最初期の作品なのでこのあたりはやむを得ないのかなあと思う一方で、今の三浦さんなら同じ素材でももっと面白く調理してくれただろうな、そういう印象は残りました。 『馬鹿な、あれは伝説の中の化け物だ』という『あれ』と遭遇する物語。それは、閉鎖的な島の暮らしの中に根強く残る島の風習と切っても切れない島の伝承を伝える物語でした。そんな島から離れて暮らす悟史、そして島を愛し、島で生き続ける幼なじみの光市。二人のひと夏の再会は、離れていても確かに息づく友情の強さを確かめ合う機会でもありますが、このあたりに三浦さんならではのBLの世界を垣間見たような、そんな印象も受けました。そして最後に、“へび”が大嫌いな方も全く心配なく読めるという点はしっかり補足しておきたいと思います。ご安心ください(笑) ホラーやミステリーの雰囲気感の中に、ファンタジー要素や冒険活劇的な内容、そしてBLっぽい雰囲気まで織り込むなどとても盛り沢山なこの作品。最初期の三浦さんを知ることのできる、とても意欲的な作品でした。
72投稿日: 2021.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
佐和ちゃんとの三角関係?とか、犬丸は結局見える存在なのかとか、全てを語りきらないというかはっきりさせないところがやっぱり三浦しをんらしい。。。 続きが気になる絶妙ないいところで終わるのもらしいです。 神去とか拝島みたいな三浦さんの書く田舎の話好きだなあ…
1投稿日: 2020.12.07
powered by ブクログハードカバー版は2001年の出版。 それより前の時代感覚、昭和の終わり頃の感じ。 長男しか残れないというのは、貧しい戦前の農家な話。家を守れ、お前は長男だ、特別なんだ。 そんなわけはない。人生は平等なんだ。 どろっとした、しがらみみたいなもの、足枷みたいなものを表現したかったんだろうなと想像します。
0投稿日: 2020.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者は三浦しをんなのに、何故か「もーのすごく恩田陸っぽい!」と思いながら読んでました。何故に、三浦しをんの作品なのに、抜群の恩田陸っぽさを、感じてしまったのか、、、不思議だ。お二人の作風、、、似てるのか?どうなのか? あんまり、今まで、お二人の作風、似てるぜ、ってなようには、感じなかったのですが、、、うーむ。謎。何しろ、とにかくもう、読んでる間、ほぼずーっと「うーむ。うーむ。うーむ。抜群に恩田陸っぽい、、、何故だろう?何故だろう、、、?うーむ」とか思いながら読んでました。なんか、すみません。「ネクロポリス」っぽいのかな?うーむ、、、謎だ。 あと、ああ、、、なんか、王道ファンタジー少年者だよなあ、、、ってこれまた思いながらもね、読んでたんですが、途中で、はたと気づきました。「あ!この感じ!宮崎アニメだ。『となりのトトロ』な感じだ!」って。あんな感じ。あんな感じ。だから、この「白いへび~」も、凄く丁寧にアニメ化、或いはアニメ映画化したら、なんか、そっち方面で稀代の名作になる気がします。ええ、凄くします。 三浦しをんさんには、ホンマに失礼なのですが、この小説版よりも、映像としてアニメ化したほうが、なんだかね、凄く、この作品の持つ良さを、伝えやすい気がする!とか勝手に思った。もちろん、その為には、愛を込めて、とても丁寧にアニメ化する必要が、あります。やっつけ仕事では、絶対アカン。この作品の世界観を、心底愛するかたがたが、愛情込めてアニメ化したら、マジで、途轍もないクオリティーの永遠の名作アニメになる。そんな普遍性を秘めている、気がするぞ!と。謎のプロデュース企画を妄想しました。 いやしかし、この作品、れっきとした小説として完成している作品なのに、「これ、アニメ化したほうが、ええんちゃう?」って言ってしまうのは、、、バリ失礼だよなあ、、、すみません。でもまじで、アニメ化したら、すげえ良いと、思うんです。思うんだから、しょうがない。 今まで読んだ三浦しをんさんの作品と比べると、この作品、そこまでハマりませんでした、個人的には。間違いなく安心してキッチリ読むことのできる、一定のレベルは間違いなく超えている作品、ってな認識ではあったのですが、なんだか、内容に、そこまでハマることができず、、、すみません。全然褒めてないですよねえ、すみません。いやでも、楽しめました、、、よ?うん。ある一定は、間違いなく。 悟志と光市の「持念兄弟」の関係性とか、荒太と犬丸の関係性とか、なんだか、そこはかとなく、ボーイズラブ的な雰囲気を、感じてしまった、、、のは、なんだか、そんな感じです。特に、荒太と犬丸の二人の感じは。うーん、、、ボーイズラブ。アレですね、三浦さんBLもの、好きなのではなかろうか?と想像する次第ですね。 アレだ、「君はポラリス」収録の短編集の中の「永遠に完成しない二通の手紙」の、岡田と寺島の関係性、みたいなね。 あとやっぱ、こういう、日本の国に属する、なんらかの土着性?っていうんですか?これぞ日本の田舎である。って雰囲気が、一発で理解できる感じ。祭りのあのざわめきと高揚を理解できる感じ。不思議。「その感じが理解できる。できてしまう」ってのは、一体なんなんだ?って思いますね。もう、DNAに刷り込まれている、としか、、、感じようがない、といいますか。 おそらく、日本人以外のかたが、この本を読んでも、「あの感じ」ってのは、どうしても、伝わらない、とね、勝手に、思ってしまうんですよ。その思い込みは、良くないのかもしれませんが。でも、おそらく自分が、外国作品を読んだとしても、絶対に一生理解できない「何らかの感じ、雰囲気」ってのは、絶対に、あるだろうし。言語の違い、で、それは生まれるものなのだろうかなあ、、、なんだろうなあ、、、固有の文化、って、一体なんなの?とか、壮大なことも考えてしまうよ、困っちゃうよ。
1投稿日: 2020.09.17
powered by ブクログ持念兄弟、長男のみ島に残ることができる、 今の日本では、想像し難いことだろうけど、 まだあるんだろうな、このようなところ。 持念兄弟の繋がりに、憧れはあるけど、しきたりや風習があるから、繋がりも深くなるんだろう。 自由とは、束縛されるものから出ていくこと、また戻ることができることなんだろう。
1投稿日: 2020.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ホラーかファンタジーかと思ったけど。 でも、現代社会で本能を忘れているから気が付けないだけで、実は異形のものは自然にはいるのかなあ・・・ なんて思えてしまう。 ついつい引き込まれて読んでしまった。 悟史と光市の関係もいいけど、荒太と犬丸はいいねえ。 特に文庫書下ろしの掌編。 ドキドキですな笑 いろいろ妄想してしまった笑 離島はいいな。この島はよそ者に冷たいから行きたくないけど。
1投稿日: 2019.10.13
powered by ブクログ残念。ちっともおもしろくなかった。 三浦しをんならなんでもいいってわけでもないんだなぁ。 ボーイズラブ的雰囲気の作品。 まぁ、それは知ってて読んだわけだから別にいいのだが。 何にしても、キャラがうすい。(そのわりにやたらと登場人物が多い) 神秘的・怪奇的な描写が弱い。(ぜんぜんこわくない) ストーリーが一本調子だ。(そしてオチが弱い) 漫画の原作にしたらちょうどいいだろうなーとは思う。絵で読ませてくれればなんとかなるとは思うんだ。
0投稿日: 2019.01.02
powered by ブクログ閉鎖的な島で、外へ出ていく悟史と島に留まる光市が体験する島での「不思議」な体験。ただの伝説なのか本当なのか、あれとは何なのか…はらはらしながら一気に読んでしまった。 悟史と光市みたいな友人関係、憧れます。二人は持念兄弟という特別な繋がりを持つ。けれど光市は「持念兄弟じゃなくても悟史と一番仲良くなった」と言う。 二人のように離れていてもお互いを信頼して、再会してすぐそれまでのように振る舞うのは難しい。実際は目に見える繋がりを求めてしまい、そうやってすれ違ってなかなかうまくいかない…。「契約のいらない友愛、自由な拘束」、理想です。 荒田と犬丸の関係も良い。
0投稿日: 2018.12.11
powered by ブクログ44:閉鎖的な島に伝わる伝説、強い絆で結ばれた持念兄弟、神社、島に封じられた「何か」。大好物の題材なのですけど、今ひとつ乗り切れなかったなぁ……。メリハリがないとかではないけど、主人公のもやもやした感じが何となく共感できなかったです。んー、たぶん面白いのだと思うけど。BLぽいから、かなあ。うーん。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ前に少し読んでそれきりになっていたが、今回また読んでみるとおもしろかった。 なんとなくせつない読了感。 荒太と犬丸がすき。
0投稿日: 2017.11.04
powered by ブクログ夏から読み始めたが、秋に読み終わった。読後感は爽やかだが、前半読み辛くて進めなかった。犬丸の飄々とした感じがいい。
0投稿日: 2017.09.27
powered by ブクログ昔からのしきたりを守る、閉鎖的な島。人と人のつながりは濃く、淀みすらそのうちに抱く。同じころに生まれた長男同士にはじねんきょうだい(漢字忘れた…)という関係を結ぶ。主人公は高圧的な父親と島の世界に息苦しさを覚え、高校を島外に進んだ少年。彼は一年に一度、お盆の時期に行われる村のお祭りのために帰省していた。船に弱く、島の中では“不思議”を見てしまう少年。親友でじねんきょうだいであるもう一人の少年にだけはその質を話していて、助けてくれるが、そのことにも彼は心の中で少しばかりの卑屈を育てていた。 長男だけが残ることを許された島。その中で確かに力を持つ神社の次男が居座っている。それがもたらす島の中の保守派と穏健派の亀裂。少年に降りかかる様々な不思議。白蛇をあがめ、そのための祭り。その中で動き出すものは…。 しをんさんの美しい文章を楽しめる、のはいいのだけれど、この手の話は少し密度不足な気がする。恩田さんのようなおどろおどろしい雰囲気には今一歩。それでも夏の夜のお供にはなかなか面白く読んだ。
2投稿日: 2017.09.02
powered by ブクログ壮大な状況説明の後に配置された、息もつかせぬ終盤の「あれ」との攻防。元題の『白蛇島』は横溝正史シリーズを彷彿とさせるが、文庫版に改題されたものも味わい深い。青春ファンタジーミステリーとも言える古代と現代が入り混じる不可思議な世界観は、父上の薫陶の賜物なんだろうな。
0投稿日: 2017.08.24
powered by ブクログ街から切り離された島での、ひと夏の冒険譚というかんじで楽しかった!島の人との距離や風習に馴染めない悟史の気持ちが書かれていて、等身大なかんじがしました。民俗学っぽいところもあっておもしろいお話でした。悟史と光市、荒太と犬丸の関係性も絶妙でよかったな〜すきだな〜
0投稿日: 2017.07.25
powered by ブクログ島の言い伝えにまつわる不思議な経験を通して、少年たちが成長していく物語。ファンタジーながら、古くからの言い伝えとなると少しこわくなった場面もあった。
0投稿日: 2017.06.26
powered by ブクログ不思議なお話だった。 気になってスイスイは読めたけど、情景が妙にすんなり思い浮かばないというか、全編通してイメージしづらい本だった。景色の描写なんかはパッと出てくるのに、なんとなく何度も読まないと映像化できない文章というか。 まぁそのおかげであんまり怖い思いはしなかった。 あれ、がどうしても勝手にカオナシとシシガミ様のミックスみたいなので映像化されてしまう。
0投稿日: 2017.04.30
powered by ブクログ小さな島、独特の因習、十三年に一度の大祭。和風ファンタジー(ホラー?)の要素で物語が展開しながらも、描かれているのは主人公たちの若さ、ナイーブさ、エネルギーと友情。闇に飲み込まれそうなシーンでも、そういうもので終始キラキラしてた。
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログファンタジーという分類が当てはまるのか。 恩田陸っぽい匂いを感じつつも終わった時の消化感はこちらの方がしっくりくるかも。
0投稿日: 2017.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読してよかった。ただのフシギな話ではなく、少年が自由のかたちをつかむ話だった。フシギな話も面白かったんだけど、ラストと文庫書下ろしは涙した。今さらだけど、しをんさんって男性しか描かないのかっていうくらい男性だけで話が動いていく。魅力的な男性が多くて読んでて楽しいですけどね。
0投稿日: 2017.01.26
powered by ブクログ18歳、高校最後の夏休みに故郷へ帰省した悟史を待ち受ける不思議な出来事。因習が残る拝島の謎を探る彼は、本当の自由を手に入れることはできるのか。 三浦さんが、まだ自分の書きたいものを探っている頃の作品だと思われる。若さ故の勢いとか、年長者ならではの老獪さが欠けていて、人物像がしっくりこない。それでも今に繋がる雰囲気は感じられる。
0投稿日: 2017.01.15
powered by ブクログ田舎(+さらに離島)の暖かくも住み難そうな感じと迷信と本当の不思議に満ちた盆休みを体験させてもらった。 久しぶりにゆったり読めた非現実的なお話。 好きな文体、ベタな表現だが映像が浮かんでくる。 手元においてまた、夏にでも読み返してみたい。
0投稿日: 2017.01.07
powered by ブクログ高校生の夏休み,束の間の帰省中に起こる不思議なできごとの話。 描写はとても細かくて,スピード感をもって読みすすめられた。それに対して,ストーリーが減速してしまうというか,最初に感じたワクワク感が,後半になるほど感じられなくなっていった。島という濃厚なコミュニティやしきたり,じぶんの持つ特殊な力に対して葛藤する主人公は,前半のあちこちで布石を置くんだけど,結局それらのほとんどがそのままで物語が終わったような気がする。 「長編物語なのにスカッとしなかった」なんて思うじぶんを,つまらない大人になってしまったと,少し悲しい気持ちで反省しつつ。
0投稿日: 2016.11.16
powered by ブクログ前半の主人公が島に対してズレを感じている描写は良かったのですが、後半は冒険物語になっていて、中途半端になってしまっていると感じました。正直、対象年齢は低めです。また、登場人物が多い割に印象が薄く、物語の後半で「〜をしていたのは〜だったのだ!」と言われても、誰のことかピンとこないということも多かったです。
0投稿日: 2016.09.26
powered by ブクログちょうど夏に読むのにピッタリな本を探していたところ、この本を見つけました。 不思議な物語でしたね。 独特な文化が残っている島が、日本の各地にあると考えたらロマンを感じますね。
0投稿日: 2016.08.17
powered by ブクログザ・夏休み 今回の夏が人生最後の夏休みになりそうだから、こんな冒険とロマンと友情の夏休み体験をしたいな〜
0投稿日: 2016.08.06
powered by ブクログ因習の残る島、帰省してきた少年と島に暮らす幼馴染、13年に一度の大祭、ときたら事件が起こるしかないわけで(笑) ありがちな設定にも思えるけど、そこは三浦氏の丁寧な筆致でたいへん面白く読めました。持念兄弟という設定も面白いし、悟史と光市の関係も、荒太と犬丸の関係も、素直にいいなぁと思う。どちらも穏やかに時を重ねていけたらいいねぇ。ことに、荒太と犬丸については、彼らを主人公にしたお話も読んでみたいですよ^^
0投稿日: 2016.08.01
powered by ブクログしをんさんの作品だけで読み始めた。俺にも失った友達がいて今でも心の中にいることを確認できた。初夏に読む最高な一冊。
0投稿日: 2016.06.25
powered by ブクログ【不思議】 不気味で凄く入りづらい入口なのに奥は開けて明るい。 手放しに面白かったとは言いきれない。もちろん十二分に楽しんだけれど、余りにもよくある話だったからか。名前を挙げないがぱっと思いつくだけでも二作似たような話を読んだことがある。どちらも女性の作家だった。作風も似ている。どれが勝る、などと言うつもりはないが同じものを見ているようだった。
0投稿日: 2016.06.02
powered by ブクログあらすじ 不思議が“見える”悟史は13年ぶりの大祭りのため拝島に帰省すると、島民からおそれられている“あれ”が出たという噂を耳にする。持念兄弟と呼ばれる幼馴染みの光一たちと“あれ”から町を守るというストーリー。
0投稿日: 2016.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
閉鎖的な島。久々に帰ってきた主人公は、十三年ぶりの大祭を前に不穏な気配に気付く。 題材としてはよくある話(恐らくファンタジー)に見えるのだけれど、人物関係の設定や描き方が、流石三浦先生というべきか、すごくいい。 主役は悟史と光市なのだろうけれど、個人的には犬丸と荒太の関係が本当に好きで、十年近く前に一度読んだ時と同じ感情が、今回もやすやすと蘇った。 神様と人間の関係が、こうあってくれたらいい。
0投稿日: 2015.12.28
powered by ブクログ久々に電車を乗り過ごしそうになる本との出会い。 日本の地域に伝わる神話に関するお話で、同じような話で恩田さんのは何だっけ??と思い続けながら読んでしまったけども、三浦さんの方が最後まで安定。 恩田さんのはだんだん変になってしまったんだよね。 光市と悟史の「もう言葉にできることもなくなった」あとの無言の車内の様子が好き。 持念兄弟だろうとなかろうと、人とそういう関係を結べた人はとっても幸せ。
2投稿日: 2015.10.15
powered by ブクログ三浦しをんの裾野は広い。ファンタジーまで書くとは。元々はこちらがメインだったのかな? 島の出身ではないが、地元を出ている身としては、閉塞感がありつつも世界の狭さに安心できる故郷のよさや気詰まりさもわかる気がする。
0投稿日: 2015.10.13
powered by ブクログもっと一般小説を読まなければ、という一心からニアホモと名高い本書を手に取った。暗くファンタジーな感じはあるものの、古い因習にとらわれるほどおどろおどろしくはなく、夢中にはなれなかった。
0投稿日: 2015.07.10
powered by ブクログ三浦しをん、ってサスペンスもかけるんだなぁ、そういう感想。 閉鎖的な島というのは、日本のあちらこちらに現存すると思うのですが、「掟」というキーワードを置くことで、閉鎖性とその閉鎖性に息苦しさを感じる人々の葛藤、そしてその閉鎖性からくるいざこざを描く。 いざこざの正体が発覚した後も、さらに大きなクライマックスへ。 これも映画向きなんだろう、そう思う作品です。
0投稿日: 2015.06.04
powered by ブクログ期待以上におもしろかった。 島の空の青さや不穏な空気、異なる世界のものたちの絵が読んでいて浮かんできやすく、物語に入りやすい。
0投稿日: 2015.04.11すらすらいかない?
なんとなく読み始めがすらすらといかない。。。大好きなしをんさんの作品なんだけどって感じでした。 でも、数ページ過ぎるうちに、どんどん世界観に引き込まれていきました。 登場人物、それぞれがそれぞれに抱く島への思いが切なくて美しい。 最後に載っているごくごく短い短編が、とってもいい。
0投稿日: 2015.03.30
powered by ブクログ仏果を得ずに続いてもう一作三浦しをんさんの作品。 都会でしか生活したことないので、この話がどれくらいフィクションなのかはわかりませんが、こういう島だったり風習というのはありそうだな、と思いました。 そして何より島から出たい悟史と島に残りたい光市の二人の信頼とそれ故に相手との違いを悟ってしまう悲しさが胸に残ります。
0投稿日: 2015.03.11
powered by ブクログ好きな作家さんなので見つけたらとりあえず購入したって程度の動機。 三浦しをんさんはどんな話であれ読ませるのがうまいので読み始めたらあっという間。 読み終えての感想はムラ社会ってのをあまり知らない人間としてはそんな世界もあるんだな、って程度でしたが変わらないことに対して自分がどう向き合っていくべきなのかってのは考えさせられる小説だと思いました。 ちょっとファンタジー色強めなので個人的にはあんまり好みじゃなかったかな、ってかんじです。
0投稿日: 2015.03.08
powered by ブクログ三浦しをんの白いへび眠る島を読みました。 古い伝統の島拝島(おがみじま)出身の悟史は本土の高校で寮生活をおくっていますが、夏休みに島に帰ってきます。 島には持念兄弟というしきたりがあり、生まれたときに持念石を持たされて持念兄弟となった光市が港まで迎えに来ます。 今年は荒垣神社の大祭があるので、悟史の妹の日和子は近所の佐和子と奉納の踊りの練習をしています。 まつりの準備にわいている集落で不穏な出来事が発生します。 村のしきたりに対する悟史の揺れる気持ちが描かれています。 伝奇ものとしての味付けもあっておもしろく読みました。
0投稿日: 2015.03.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前半何が出てくるのか、妄想だけで緊張! 後半は落ち着いて読めた。 田舎って変なしきたりが残ってるんだよねぇ 本当に。。おっかねぇ〜
0投稿日: 2015.02.26
powered by ブクログ20150131読了 正直、ファンタジー系は苦手だけれど、持念兄弟という不思議な慣わしの兄弟愛を軸に読めたので、とても楽しめた。
0投稿日: 2015.01.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
島に帰省してきた主人公とその友人が、島で起こった霊的事件に巻き込まれる。その一連を描いた小説。 読みやすく、そのシーンを思い浮かべやすい文章。読み始めると読了は早い一冊です。 お話を通して、これといって何も解決していないのも特徴。ムラや世の中は変わらないんだから、変わるとしたら自分。そういう割り切りも感じる一冊でした。
0投稿日: 2014.12.30
powered by ブクログ白いへび眠る島を読んだ! 不思議な言い伝えのある島を舞台としたお話し。 なんとなく怖いんだけど、友情溢れたとてもいいお話でした! ちょっとしたファンタジー!
0投稿日: 2014.10.26和風ファンタジー
閉鎖的で古い因習の残る拝島。小さな島で、十三年ぶりの大祭が開かれる。だが、高揚する空気の中に混じる「あれ」の目撃情報と不穏な気配。島に馴染めない主人公・悟史に、持念兄弟である光市との絆。目に見える不思議、カミサマ。それとは別に、島に対する思いと葛藤。自由の意味。荒太と犬丸の関係も面白い。島を離れる時に悟史の口から出た「帰ってくるよ」は、光市にとって何より嬉しい一言だろう。
9投稿日: 2014.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
因習とか掟とか怪物とかそういう類が大好きだから面白く読んだ。読後感が爽やか。カバーのあらすじを読んだときはホラーかと思ってたけど、どちらかというとファンタジーという感じ。でもクライマックスのあたりはホラーっぽい。村人に恐れられている怪物は海難法師的なものを想像した。 三浦しをんさんの作品はこれが初めてなんだけど、噂に違わず男同士の関係性だとかが秀逸だなって思った。悟志と光市の「持念兄弟」という関係がすごくいい。二人の何気ない描写が妖しげというか耽美的で、誰も間に入れないようなそういう特別さが素晴らしかった。
1投稿日: 2014.09.06
powered by ブクログ2008/01/15 絆、の話だと思う。 恋愛って、運命とか、出会ってピンと来て燃え上がるとか、そういう熱みたいな感情の発露な気がするんだけど、いやその限りではないのかもしれないんだけど。 そういう気持ちよりも。 血のつながりって、唯一無二で、他人には感知し得ない濃いつながりなのかもしれないんだけど。 そういうつながり、よりも。 友情、が一番近い言葉かなぁ。そんな言葉でひとくくりにできるものでもないと思うんだけど。 先天的に与えられた血のつながりがなくたって、積み重ねてきた想いや時間や空間の中でだんだんお互いにしかわからない形で出来上がっていく絆。 そういうものにすごく惹かれるんよなぁ。 持念兄弟の絆。 荒太と犬丸の絆。 うん。三浦しをんの書くこういう関係性がすきなんだよなぁ。 話もあたし好みだった! ちいさな閉鎖的な集落、密なコミュニティ、そこに息づく土着の神様、『不思議』。 うーん、満足。
1投稿日: 2014.07.21
powered by ブクログいろいろ謎は多いんだけど、たぶん、大人への過渡期をテーマにしているんだろうなぁ イライラ、えもいわれぬ罪悪感、焦燥感 頑なで選択肢の多さを知らない 知っているのに、呪縛に絡めとられたように動けないもどかしさ なんかを、閉塞的な島の因習に絡めて書かれている
0投稿日: 2014.07.09
powered by ブクログ「白いへび眠る島」三浦しをん◆閉鎖的な拝島で13年ぶりに行われる大祭り。そこに流れ始める不穏な噂。黒く不気味な空気が島を覆うことを察知した悟史と幼馴染の光市は島の言い伝えに迫る。淡く発光するようなしをんさんの文章で不穏な蠢きを書かれると、怖いんだけど魅入られるような引力を感じる。 田舎が舞台なのは「神去」シリーズに似ているのですが、神去が「陽」なら白蛇は「陰」のイメージで、私はしをんさんの陰のある作品がとても好き。まほろ、月魚、ポラリス、天国旅行、とか。「光」は陰どころじゃなくて闇だけど。
0投稿日: 2014.07.05
powered by ブクログ島、神社、お祭り、排他的で独自の風習、、 わくわくする大好きな設定。 だからこそ、もっとおどろおどろしい、人間の恐ろしさを求めてた!もっとお祭りとか持念兄弟とか女踊りとかの起源を書いてほしかった! 自由と孤独ー。逃げだしたい場所と、そこでいつまでも待っててくれる人から逃れることで、はじめて自由を感じられるらしい。 わたしのいまの状況は、どちらなんだろう?
0投稿日: 2014.05.31
powered by ブクログ友達におすすめだよって借りた本。大好きな本らしくすごく期待したせいかまさかこんなファンタジーだとは思わなくてびっくりした。 ある島国のお話で閉鎖的な島ならこういう昔から伝わる伝説や掟があるんだろうなと。 持念石で繋がる持念兄弟の光市と悟史の友情は本当に羨ましくほのぼのする。光市のために島からでなくてもいいのになーとも思うけど、自由のためだし離れてもきっと二人は繋がってるんだもんね。 とにかく不思議な感覚で読了。これといって盛り上がったりはせず!
0投稿日: 2014.04.05
powered by ブクログなめらかではない展開ではあるけれど、一気に読んでしまいたくなる話だと思います。これがこなれたのが「神去~」なのかも。
0投稿日: 2014.03.03
powered by ブクログミステリアスな話だけど、スピード感はあまりなく、サクサクと読み進めれない。 時間のあるときにコーヒーを飲みながらのんびり読みたい本。
0投稿日: 2014.01.12
powered by ブクログちょっと、ミステリアスな、私好みの話でした。 それにしても、拝島は、どこにあるのかなぁ。どうやら、雪の降らないところらしいが。 この後、登場人物たちが、どうなったのか、気になった。そのぐらいの後引きで、ちょうど良いのかもしれない。いろいろ想像の余地があるのだから。
0投稿日: 2013.12.29
powered by ブクログ前半のテンポが遅すぎて退屈でした。同じような描写をしつこく繰り返し説明しすぎかな。挫折しかけました。 文章は綺麗なんだけど、読む楽しさに繋がらないというか。 前半散々煽っておいてホラー的な展開かと思いきやそうでもないし…中途半端な印象を受けます。 過去に読んだ三浦さんの作品はどれも読み進めやすかったので意外でした。 それとこの作品は腐女子をターゲットにしているのでしょうか…?なんとなく読んでいてモヤモヤしました。
0投稿日: 2013.11.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
故郷の拝み島に戻った悟史 大祭に向けて、島がソワソワし始める。 時念兄弟 神宮家の謎 ・・・・
0投稿日: 2013.10.24
powered by ブクログ「島」と「因習」という魅力的な組み合わせに加えて、『あれ』と呼ばれる怪物の存在。面白く読めました。閉鎖的で逃げ場のない追い詰められる恐怖を期待してたので少し肩透かしを食らった。和製でファンタジーな『トムソーヤの冒険』って感じでしょうかねぇ?違うか(笑) 書き下ろしの犬丸が良かった。
0投稿日: 2013.10.15最後はスッキリ晴れます。
読み手だけが知り得るファンタジー。登場人物たちは現実なのです。なので、とても不可思議な事が起こるのですが、それを宇宙から観ている私はこの世のものではない存在を知ることになるのです。「最後にそうだったのか」って。
8投稿日: 2013.10.14
powered by ブクログ自分は何者なのか。ここは自分の居場所なのか。 「あれ」とか、神様とか、色々と幻想的な不思議が出てくるけど、日本の小さな島なら、そんな因習も残っているかな、と思う。きっと昔は意味があって、大切なことだったけど、今は形しか残っていない。それを、しっかりとした姿で描いた、神様の存在まで。ファンタジックな解決にしているけど、伝統とそれに弾かれた存在の確執ってどこにでもあるんだろうな。 そんなときに、光市のようなおおらかな存在がいることがどれだけ幸せか。帰りを待っている人というのは、家族もそうだけど、持念兄弟でなくても一番の仲良しだと言ってくれるような友人もそう。悟史が屈折していそうで、それでものびやかな印象なのは、それもあるかな。
0投稿日: 2013.09.16
powered by ブクログ結局のところ自由と言うものは、誰かのおかげ(犠牲)で成り立っているものなのだなと。終盤の展開にはドキドキさせられたけれど、序盤は島の説明等の文章が多くなかなか話が展開しないことに焦らされた気持ちになりました。あれが怖い。
0投稿日: 2013.08.19
powered by ブクログしをんさんのファンタジー初めて読んだ。 排他的な田舎という大嫌いな設定。面白かった。 途中からぐいぐい面白くなった。 持念兄弟といい犬丸と荒太の関係性といいこう、胸がうずうずさせられる。
0投稿日: 2013.08.10
powered by ブクログ拝島という離島である13年ぶりの大祭を前に帰省した主人公・悟史。舟が苦手・島も居心地が悪く、高校進学を理由に島を離れた悟史、だが、持念兄弟と呼ばれる幼馴染・光市とは離れがたい絆を感じている。 大祭を前に『不思議』なものを感じる悟史。長男だけが島に残ることを許されるという昔ながらの風習など、閉ざされた島で起こる不思議を固い絆で結びついた二人が、神社の次男・荒太とその友人・犬丸に協力し、島を魔物から守る。
0投稿日: 2013.08.09
powered by ブクログ夏休みにオススメの一冊!こうゆう民俗学的な話も好きだなぁ(^^)♪とりあえず今回の大祭は乗り切ったけれど、13年後はどうなっているかがとても気になる(゜〜゜;)
0投稿日: 2013.07.23
powered by ブクログファンタジーっていうのでもないけどちょっと不思議な話し。三浦しをんもこんな話しを書いていたのですね。ちょっと異作。 長男だけが住み着ける因習が残る孤島の拝島。13年ぶりの大祭に戻ってきた悟史。大祭の日、住民に憚れる怪物「あれ」の出現に幼なじみの光市とともに正体をさぐる。その正体は島の因習に疑問を投げ掛ける少年だった。拝島に長男として産まれると自由がない。自由とは「逃げ出したい場所があって、いつでも待っていてくれる人がいること」この言葉2度出てきたけど究極的にはこの小説の投げ掛けるところでしょう。
0投稿日: 2013.07.02
powered by ブクログ今私の中で島ブームなので、ずっと前に買ってた本だったけど、今読んだことにすごく意味があるような気がする。 島って独特の文化や因習やお祭りが残ってるから面白いなと思う。 そして人間関係が密接すぎる。 最近も三重県の答志島という島で今でも残ってる寝屋子制度というのに衝撃を受けた。 だからこのお話の中の「持念兄弟」もリアルに感じる。 このお話はファンタジックだけど、小さい島だったら起こっても不思議じゃない気がする。
4投稿日: 2013.06.18
powered by ブクログ田舎の澱んだ空気感がとてもよかった。 どっかで、自分たちも卑下してる町を それでも愛してしまっているところから抜け出せないで大人になっていく感じって、 田舎を知らなきゃほんとに痛く思えないんじゃないかなぁ。
0投稿日: 2013.03.22
powered by ブクログ始め、章題のところにキーワードが書いてあって村上春樹のハードボイルド・ワンダーランドみたいだと思って、前半は梨木香歩の沼地のある森をぬけてに雰囲気がとても似ているなと思った。 けど、後半から荒太と犬丸とあれの正体の核心に近づくに連れて、ぐんぐん引き込まれて一気読み。フィクションなのに本当にありそうな気がしてきちゃった。カミサマってやっぱり「いる」と思う。 最後の書き下ろしの犬丸が結構好き。 三浦しをんさんの本は言葉と描写が丁寧で美しくて好き。
0投稿日: 2013.03.16
powered by ブクログ三浦しをんさんがこんな話を書いてたなんて知らなかったなぁと思い、手にした1冊。 こういう全部がすっきり説明されるのではなく、雰囲気として感じるファンタジーは嫌いじゃない。 夜に読んでいると、ちょっと不気味でより一層怖くなる。
1投稿日: 2013.02.02
powered by ブクログ生まれ育った海の中の孤島に戻り、島の命運をかけて化け物を鎮めるための裏の祭りに巻き込まれる高校生達の夏を描いた物語。闇の中にいる気味悪いもの、日常と非日常が入り交じる気味悪い空気が読み取れる夏らしく、少しだけ背筋が寒くなる話。 生まれ育った島から出て行きたい、と願い父親とぶつかる主人公が言われる言葉、自由とは何かに対しての答え、「逃げ出したい場所があって、いつでも待っていてくれる人がいること」が胸にしみる。
0投稿日: 2013.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。ちょっと(結構)民俗学っぽいモチーフが使われていた。他の短編でもそのようなことがあったから、著者は多少?興味があるんだろうな。梓弓とか。はいはいはい、とか思った。 あと、BLじゃないけど、ちょっとそんなような、感じが見受けられるけど、BLじゃないな、みたいなのが、なんかいいところだな。読み終わった時もああ、読んでよかったな、とは思ったし。ただ、犬丸のことがよくわからなかった。 引用について なんだか、こういう風に思える感性ってすごいと思った。なんだか、嬉しい時、どこかさびしいような気がするって、わかるような、わからないような・・・。 引用続き 「俺は(犬丸)洞窟の中には入れないんだ」 「なんで。閉所恐怖症?」 弱味を見つけた、とばかりに、光市は嬉しそうな顔をした。悟史は、本当に光市とは持念兄弟なんだなあ、と顔が赤らむ思いがした。(P318) なんだかかわいい。三浦しをんっぽい。 「荒太さんたちも、今夜の便で島を出るって」 「そっか」 光市は言葉少なに答えた。「悟史も夜の便にすればいいのに」 「明日の朝、寮の掃除当番なんだよ」 悟史もなんとなく無口になって、それきりしばらく沈黙が流れた。光市が煙草に火を点けた。開いた窓から、白い煙がたなびいていく。 なんだか、寂しい。悟史の返す言葉も、普通過ぎて、それがまた、寂しさをさそう。ちょっと、うるうるきた。
0投稿日: 2013.01.22
powered by ブクログ夏という季節が伸びやかに息づいている物語。 会えば時間も距離も溶けだしてしまう悟史と光市の絆、限られた時間を共に生きる荒太と犬丸の絆、結んだ絆を胸にそれぞれ歩み出すラストがいい。 二つに分かれた持念石は互いに引かれ合い、遠く離れた持ち主を会わせるのかな。茂太じいさんの持念兄弟の話にそんなことを思う。 自分をまるごと委ねられる存在は宝物。
0投稿日: 2013.01.14
powered by ブクログ初めて読んだ三浦作品がこちら。もう7年も前のことなので(レビュー現在2013年1月)記憶もおぼろげですが、離島で2人の少年が人ならぬ存在相手に奮闘していたという部分は覚えています。 当時、友人が何冊か三浦さんの本を読んでいたので手を出してみましたが、うーん、全体を通して「面白い!」と思えるような所がなく……。何だか全てにおいて物足りない印象でした。(と、読んだ時のメモに書いてありました。☆2つなのも読んだ当時の評価です) ただ、今改めて読んでみると、違った見方もできるんじゃないかなとも思います。確かまだ押し入れにあるはずなので、そのうち再読したいです。 若者達が頑張る爽やかなテイストは、この頃から三浦さんの持ち味だったんだなと感心しました。
0投稿日: 2013.01.10
powered by ブクログ三浦しをんの初期の作品だとか。荒太が魅力的で主人公がかすむ。神様って、やっぱりいるんだよな。どこかには…。深層心理の中に…。
0投稿日: 2013.01.05
powered by ブクログ精神の古層にある神話。想像力を掻き立てられた。民俗学への関心が三浦しをん作品にはあるが、ここまで描くとは、凄すぎる。後半はグイグイ引き込まれた。物語る力がある。
0投稿日: 2012.12.24
powered by ブクログ三浦しをん2冊目。 新しいジャンルに挑戦してるのが分かる。 巧みなロジックで物語を構成していくのが読んでて心地いい。 社会から隔離されたような島が故郷の主人公は、祭りのために帰郷する。「持念兄弟」という兄弟よりも強い絆を持たせるという慣習がある文化で、怪物が現れたという噂が流れる過疎化の村を持念兄弟と奔走する。 日本の昔ながらの神社。崇め奉る人々。噂が大好きな村人。神社が支配する村。神秘的な古来からの空間。 全く読んだことのない世界がここにあった。 この村に対する愛のそれぞれの価値感。 1度村をでた主人公はどのような結論をだすのか。 兄弟や、持念兄弟、神社、宗教、空間、家族 それぞれがそれぞれを縛り合う世界で、主人公の葛藤に感情移入していく。 脇を固めるサブキャラクターの質の高さが秀逸。
0投稿日: 2012.10.23
powered by ブクログ拝島で13年に一度の大祭が行われる 祭りに合わせて本土から帰省した悟史は、持念兄弟(義兄弟のようなもの)の光市と村を廻る 13年前の祭りのときに、二人は不思議な体験をしていたのだが、それは”あれ”と呼ばれる島の神様との邂逅だった 神主の二男の荒太とその知り合いの郷土研究者は、実は”鱗付き”と”あれ”の関係で、荒太は島の化身である”あれ”の守役。 祭りの賑いのなか、踊りなどの神事が行われていく。 慣習を崩そうと祭りを妨害する人間のせいで、村は魔に覆われてしまうが、悟史、光市の活躍でもとに戻すことができた
0投稿日: 2012.10.13
powered by ブクログしをんさんの話の中には必ず魅力的なキャラクターが登場する。荒太、犬丸がたまらなくいい。描写がいい。 島のしきたり、呪縛、後継ぎ、進学、祭り、儀式。拝島を通してわたしは故郷に帰ると感じる感覚がなんとなくわかったような気がしました。
1投稿日: 2012.08.25
powered by ブクログ高校最後の夏、悟史が久しぶりに帰省したのは、今も因習が残る拝島だった。十三年ぶりの大祭をひかえ高揚する空気の中、悟史は大人たちの噂を耳にする。言うのもはばかられる怪物『あれ』が出た、と。不思議な胸のざわめきを覚えながら、悟史は「持念兄弟」とよばれる幼なじみの光市とともに『あれ』の正体を探り始めるが――。十八の夏休み、少年が知るのは本当の自由の意味か――。文庫用書き下ろし掌篇、掲載。
0投稿日: 2012.07.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ホモ臭い(感想) いや、主人公のところはまだ友情といえなくもない、……のか? 設定自体は悪く無いんですけど(島とか好きですし)どうも怪しい雰囲気が漂っているというか、うーん…。 ちょっとホラーも入って居るような気がしましたね。 怖くて船乗れなくなりそう。
0投稿日: 2012.07.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
わたしのなかでジャンルとして間違いなくミステリーではなかった。 雰囲気でてるけれど まだ、あたしには分からない感覚のような懐かしい感覚のようなー...。 自由ってなんだろうって 閉鎖空間で生まれる不思議な感覚だとか、 隔離されたところで生まれるルールだとか、 わかんないなー ただ、昔むかし、『あれ』はたしかにいたんだろうなって。人々の心の中になにかしらのかたちで。いまは、わからなくなってしまっているけれど。 小さいときには確かに自分のなかにあたしも『あれ』がいた気がする。 電灯がまったくない、山に囲まれた、水墨画のような世界の中に夜 いくと、ふと、山間から、川の流れる音から、どこかに何かがいるような気がして、耳鳴りがする。 あの感覚を思い出した。 林間学校の夜の、タブーとかね! だれもが、幼少に感じたことのある不思議を思い出せる気がする。 感情といきおいが前にでてて、私はすごくすき。 三浦しをんずっとすきで、いまさら読んだけど。 あらけずりなかんじがまたいい。 あと3回くらい読み直せばなにかわかるかなー。 持念兄弟っていいね。
0投稿日: 2012.05.23
