
総合評価
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powered by ブクログ水戸光圀の幼少期から最期までを、丹念に描いた作品。 儒学における「義」とは何か について、光圀を通して問いかけ続けられる。 幼少期からの屈折した思い。そして、学問、詩歌に秀でた光圀公の姿に引き込まれ一気に読ませていただきました。 大河ドラマでみてみたい。
2投稿日: 2014.01.14
powered by ブクログ最初は何の話を読んでいるのか分からなくなった。 光圀伝だとは分かっていたけど。 泰姫が転換点か?その魅力的な存在がこの作品も変えた気がする。 左近も素敵すぎる。自分なら恋心を秘め続けることは出来なかっただろうな。 久々に読み切ること自体に達成感を感じてしまう、なが〜い作品だった。
0投稿日: 2014.01.11
powered by ブクログ750頁を越える大作でしたが、とても面白い本でした。 アノ 水戸黄門こと徳川光圀の若い頃は かなりやんちゃだったようですが、正に 本の表紙にあるような 虎のごとき人物だったのでしょう。
0投稿日: 2014.01.10
powered by ブクログ長かった。2014年、最初の読書一冊である。面白かった。 水戸黄門さまの一代記。カッコいい生きざまを描きます。人の成長していく様。目的に向かって進んでいく様。民を第一に考える様。カッコいいです。 人が見え、自分が見え、世の中が見えているから人に慕われ人を動かし世の中を納めて行きます。こうスケールの大きい人に近づきたいものです。 江戸時代初期に税公平化、政教分離、大学、海外貿易をめざすも完遂できたわけではない。その志を持ち、向かっていったことに打たれます。 人に出会い、育ち、別れ、出会い、育て、別れる、その繰り返しが人の人生であり、その積み重ねが歴史となっているんです。
1投稿日: 2014.01.08
powered by ブクログ水戸黄門でしか知らなかった、徳川光圀の伝記的小説。 書くのは天地明察で一気に読者層を広げた冲方さん。 と言う訳で、他の評価とか見なくても、期待度MAXの作品です。 読み終わってみて、期待度が高かった分、期待を裏切らないとまではいきませんでしたが、十分面白い作品でした。 しかしながら、自分にとっては正直重厚で長すぎる作品でした。
0投稿日: 2014.01.05
powered by ブクログ面白い!素晴らしい!ひたすら義に忠実で、己を律し研鑽を積む。水戸光圀、なんて男らしくてかっこいい人なんだろう。なんて生き生きと描いてくれているんだろう。
0投稿日: 2014.01.05
powered by ブクログドラマの「水戸黄門」と『大日本史』を編纂した水戸徳川家の当主、それだけの知識しかなくて読んだので、徳川御三家と将軍家の関係とか、儒学のこととか、ほっほ~なるほどなるほどと面白かった。 歴史小説の体を借りて、組織を育てる、人を育てる、人の上に立つ人の指南書にもなっていて会社経営してる年配男性読者には受けそう。儒学とか好きだよね。 個人的には、光國が若い世代の活躍を見て、自分も混ざりたい気持ちがありつつも、もうそっち側の人間じゃないんだなぁ、自分の父もそんな風に若い頃の自分を見ていたんだろうなぁと何度も思うところに共感。 ま、自分もそういう年齢だってことで^^; それから・・・ 映画にもなった同じ作家の『天地明察』のスピンオフ作品だね、というレビューをamazonで見かけたけど、たしかに「安井算哲」という人物の話が唐突にポンと入ってくるので違和感があり、う~んこのヒトの話はこれだけ?もっと書き込んでほしいのだけど・・・と思いました。光圀関連の人だけどなくてもよかったかなぁ。
0投稿日: 2013.12.20
powered by ブクログ買うか迷い、結局図書館の長い予約の列に並んで待ってた「光國伝」まさしく『伝記』です。 私の世代では、時代劇での水戸黄門が鮮明に蘇りますが、実は実は・・・ ・徳川家康の孫にあたります。 ・10代の若き頃は、カブキ者であり、宮本武蔵や沢庵和尚にも会っています。 ・文武に長け、徳川御三家の中でも特に秀でています。 ・水戸徳川家の二代目藩主です。 ・徳川五代目将軍、綱吉の時代に水戸藩のある男に「大政奉還」の考えがあった。 ・しっかりと(天地明察の)安井算鉄も登場します。 こうも待たされると、期待が大きくなりすぎて、読んでみると「それほどでも・・・」と言うことがありますが、光圀伝に関しては期待以上でした。 冲方さんの時代小説3作目「はなとゆめ」も楽しみですね!!
2投稿日: 2013.12.18
powered by ブクログとても読み応えのある1冊。描かれている人物も骨太だし、物語の進みも重厚で、時の流れがしっかりと感じ取れる作品だった。 ところどころで出てくるなじみある人物が魅力的で、特に前作の主人公が出てくるのがおもしろかった。人と人とが絡み合い影響を与え合いながら、大きなものを作り上げている感じがよい。人間一人一人は歴史の中では小さな存在だけど、でもその一人一人が歴史を作り上げていく。まさに、主人公の偉業が物語るとおりのものである。力がある。 作者の筆付きも、題材にふさわしく重厚で心地よかった。ただ、油断して読んでいるとびっくりするようなことが時々起きる。若き光圀が「うざい」とつぶやくあたりは、一瞬ボッとしてしまった。すごい。 ただ、ラストの締めがもうひとつ完成してないというか、もっと盛り上がっていいんじゃないかって印象が少しだけあった。いい小説なんだけど、何か物足りない。色合いが、最初から最後まで同じように感じるからかもしれない。
0投稿日: 2013.12.15
powered by ブクログ読み応え十分!!序盤、老体の光圀が人を殺す場面、幼い光圀が生首を引きずり帰る場面、ギョッとしたけれど、光圀の人となりが、すんなり腑に落ちて良かったー!感情移入し過ぎて、大切な人が亡くなる度に、ウルウルしてしまった。
0投稿日: 2013.12.12
powered by ブクログこの本だけで水戸光圀について全て知ったと思うのは違うと思うのだけど、それでもこの本で読んで思うのは、誰にとっても凄い素晴らしい人であるということ。 政治的にも正しいし、後世に何らかの記録を残したいという気持ちも正しいし、自分が継いだものを兄の子に渡すという義の人である。 なおかつ、元からそのような聖人君子のような穏やかな人だったというわけでもなく、兄に敵愾心を抱いたり、庶民に混ざって遊んだり、感情の起伏の激しい人物としても書かれている。 ということなら、勿論面白くない話なわけがない! 本当に面白かった!! ‥それでも人が死んでしまう度に泣いてしまった。 私はまだ近しい身内や友達を亡くしたことがないのだけど、死者を見送り続ける運命というのは非常に苦しいと思う。 そんなものは乗り越えたくもないし、それを乗り越えて強いなんて言われたくもない。 だからこそ、伴侶や友が亡くなった時に自分がどうするのかが重要なのだと思う。
1投稿日: 2013.12.11
powered by ブクログずっと読みたかった光圀伝。ご存じ水戸黄門のお話し。 届いたときに本の厚さに圧倒されましたが、ようやく読み終えた。「あなたの知らなかった黄門様がある…」みたいな本屋のPOPどおり、真面目に水戸光圀の歴史が綴られている。 人心たるものとはなにか、義や得、仁とはなにかを考えさせられる。光圀の成長と他人に活かされる自身。それは競争であったり誇りであったり良き理解者であったり…それこそ義であったり。 水戸藩の体質そのものの礎を感じさせられた。 伝記でなく物語という事から最初の投げかけと最期の結びが若干違和感を感じながら読み終えたが、全体的に面白く読めた。
0投稿日: 2013.12.09
powered by ブクログ751頁、その最後のページを閉じたとき、心の中で「新しい時代小説の誕生か」とひとりごちた。読んでいて、号泣させるわけではなく、爽快な、痛快な気分にさせるでもなく、登場人物たちのカリスマに心躍らされるわけでも特にない。光圀の虎を思わせずにはいられない荒々しい気性や父頼房との壮絶な関係、個性的な人物たちとの丁々発止のやりとりなどとは裏腹に、冲方の筆致は思いのほか抑制され静謐さに貫かれている。作者にとって2作目の時代小説とのことだが、その筆力は1作目の「天地明察」を上回るものと感じた。3作目はえ?清少納言?
0投稿日: 2013.12.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった!分厚さが苦にならない内容の濃さ。 それぞれの人物が浮き上がるような描写。 途中、天地明察の主人公が出てくるのも面白かった。 ドラマの水戸黄門は、黄門様がご隠居されて、水戸藩内を色々と歩かれた頃の話が、全国に行脚したというような設定に変わったのかな。 「義」に生きる。こんなに自分の信念を正しい方向で貫けるのは素晴らしい。 そして泰姫に憧れる。心の扉をいつも開き、大きな器を持ち、そして誰に対しても正直に生きる。 そして紋太夫の悲しさ。主人が思う方向に寄り添うのではなく、主人を慕うばかりに、こうなってほしいと思う方向に主人を向かわせようとしてしまう、それによって・・・慕う心の方向性が少しづつずれるだけで・・・どこに向かうのか、とても重要。
0投稿日: 2013.12.04
powered by ブクログ天地明察に近い話だが、主人公がエリートのせいか 感情移入しにくい それに冒頭の、殺しをもとに、なぜを語る形式だが、理屈はつながっているが、いまいち心に迫らない また、義にこだわるところは、そういうものだとしても 理解しにくい 単純には天地明察が面白かったので比較してしまうので いまいちに感じるだけかな
0投稿日: 2013.12.03
powered by ブクログいい! 水戸黄門さま かなり熱いものを感じ、心が燃える 徳川三家といったものが、尾張、紀伊、水戸ってあったんだぁ・・・ (知識) 義 かっこいいですわ! 徳川光圀・・・ 勝手な水戸黄門様のイメージと違い すこぶる人間的で あつく ぜひ!読むべき一冊ですね。 兄貴もかっこいいっすわ~
1投稿日: 2013.11.27
powered by ブクログ久しぶりにまとまった時間が取れたので、気になっていた分厚い1冊を。いろんな書評でも高評価だったので期待大でしたが、この厚みにちょっと腰が引けていました(^^; が、読み始めると止まらない!今まで漠然と抱いていた『黄門様』のイメージが一気に変わりました。 個性あふれる登場人物は、みんな魅力的。時には笑い、時には目頭が熱く。もちろん細かいやり取りはフィクションだとは思いますが、史実を土台として実在の人物に語らせることで「本当にこうだったのかもしれない」と思ってしまいます。 また『天地明察』の主人公である安井算哲の登場にも、ついニヤリと。同時期の史実を水戸光圀側から書いているので、当たり前と言えば当たり前なのですが(苦笑)。 充実感溢れる一冊でした。
1投稿日: 2013.11.26
powered by ブクログここ数年で一番面白かった。 私は、天地明察よりずっと何倍も夢中になった。 泣けて、鳥肌が立って。 10年くらい経ったらまた読み返そう。
1投稿日: 2013.11.26
powered by ブクログ天地明察もよかったけど、 こちらも途中途中で涙がこぼれました。 なんで、冲方さんの書く人たちはこんなに格好いいんでしょうか? 最初はじわじわ読んでたのに、最後はぐっと持っていかれて 長い話なのに一気読みしてしまいました。
0投稿日: 2013.11.26
powered by ブクログ水戸黄門の話。全国漫遊はしていなかったんですね。でも史書編纂のために各国に部下を送って、内情などを探っていたらしい。そういった所からあの時代劇が出来たのかもしれません。義を重んじる方で勉学や政治にも積極的だったようです。黄門様の生い立ちから死に至るまでの喜びや葛藤が描かれています。親心はいつの時代も変わらないと思ったり、自分がした決定に対する覚悟の仕方が違うなと思ったり、共感出来る部分やなるほどと思う部分が沢山ありました。天地明察の話も出てきました。
0投稿日: 2013.11.12
powered by ブクログ後半戦は、ちょっと「天地明察」を読んでたほうがいいよねと思われる展開もある。とにかく、読ませる力はすごいと思う。時代劇の味付けの黄門様をイメージして読むと面食らうかも。
0投稿日: 2013.11.12
powered by ブクログ今生の世を、未来に献ぐ 長い戦国の世の終わりに光圀が見出した光明とは。 「義」の追求 愛する者たちとの死別 「大日本史」編纂に至る道程が、息もつかせぬ展開で描かれる。 青年光圀と武蔵の衝撃的な出会いや、市中で論破合戦する場面は興奮必至! 手書きPOPより抜粋
0投稿日: 2013.11.07
powered by ブクログ水戸光圀=黄門様。 諸国漫遊していた好々爺かと思いきや、文武両道の義の人。 何百年もの時を超えて、今も市井の人々に愛されていることを光圀は天上でどう思っているだろうか。
0投稿日: 2013.11.06
powered by ブクログ時代小説はあまり得意でないのだが、「兄弟の絆」が作品の要素の一つに入っていたため、ハマった。本来ならば藩主の座は兄が継ぐはずであるのに、諸々の事情から弟の自分(光圀)が次代の藩主に据えられる。そのことを兄は恨むことなく、むしろこの上なき幸福かのように祝福するが、光圀は長いこと「自分でいいのか」という思いに囚われ続ける。その苦しい思いを読者である我々も共感することで、光圀というキャラクターに惹かれていく。 それ以外にも、私が抱いていた「水戸光圀」というイメージが本作で覆されたのもよかった。夕方頃にテレビの中に現れるおじいちゃん、そこからきっと優しくて、優等生タイプの少年時代を過ごしてきたんだろうなと勝手に思っていた。「破天荒」、「豪傑」、「爽快」――これらの言葉がふさわしい男が本作の中にはいた。私のように、水戸黄門のイメージしかない方は最初はきっと驚くだろう。しかし、やがてそのことにも慣れ、というか期待している自分がいると思う。苦手なジャンルではあったが、最後まで読み切れたのはインパクトの強い光圀のキャラのおかげであった。
1投稿日: 2013.10.27
powered by ブクログ分厚い本ながら、残頁がみるみる減っていく面白さだった。悩み苦しみながらも希望を追い求める人生っていいよね。今さらながらもっと勉強したくなった。もっと本読むぞ!
0投稿日: 2013.10.20
powered by ブクログ読み始めたのは一年くらい前で 最後、5分の1くらい残して止まっていた。 が、今日読み始めて、そのまま一気に読み終えてしまった。 最も目をかけていた紋太夫をその手にかけるところから始まり、終わる。 自分を試し続ける父、差し置いて自分が世子となってしまった兄への思い。 友人や尊敬できる人物、ライバルとの出会い。 大切な人物を亡くし、新たな世代への想い。 引き継がれていくもの。 天地明察ともリンクしていた。 面白かったんだけど、読むのに労力がかかったなぁ。 軽く読める本ではなくて、世界に引きずりこまれる本。
1投稿日: 2013.10.16
powered by ブクログ面白かったけど、結構長かったw。 最初から引っ張り続ける謎も最後には解決して とても面白かったです。天地明察のエピソードもオーバーラップして 手が混んでるなーと思いました。
0投稿日: 2013.10.15
powered by ブクログ天地明察にちょっとだけ登場した光圀が、ドラマのご隠居さまのイメージとだいぶ違っていてすごく面白い人だなと思いました。そこで本書を手にしたのですが、読む前になんとなく思っていた「伝記」という堅しい感じではなくて本当に面白かったです。 分厚いので図書館の返却期間に間に合うかなと思ったけれど、開いてみればやはり冲方さんの文章は読みやすくて、たいへん充実した読書の時間でした。図書館に無事返却した後、購入。光圀の一生が描かれますが、ぱらっと本を開いてどの時期を読んでも光圀や彼の周囲の人たちは魅力的で、ついそこから読み出してしまいます。
0投稿日: 2013.10.10
powered by ブクログ≪内容覚書≫ 水戸黄門様の歴史小説。 ≪感想≫ 最初からギョッとした。 人が楽に死ねる殺し方…。鎖骨付近がゾワゾワした。 なるほど、一つ勉強になった。 そして、同時にそこから始まる謎。 誰だ、紋太夫?! 特に説明もなく、いきなり殺されてしまった家老。 徳川光圀の人生をたどりながら、 その正体と殺害に至る経緯を追う物語。 こういう立派な人達が、たくさん出てくる本を読むと、 己の矮小さっぷりに、もはや失笑するしかない。 まぁ、そこは、仕方がない。何も名君と比べる必要はない。 そんな人生は望んでいない。 ただ、女としては、泰姫のような、包容力に憧れは持つ。 そこは少し見習ってもよいのかもしれない。 「義」についても考えた。 確かに紋太夫の「義」も「義」だった。 だが、時代に合わなかった。 「義」は歴史の中にあるのではなく、 その時を生きる人が決めるべきもの、 なのかもしれない、なんてかっこよく考えてみた。 さて、となると、私の「義」はなんだろうか。 考えてみて、また、己の小ささに思い至る。 このままでもいいかな、と思っていたんだけれども、 もうちょっと高潔さを求めて生きてみようか。 そんなことを思わされた一冊。 それにしても、時代劇の水戸黄門様に、 イメージ映像がだいぶ影響されていたようで、 時々その雰囲気の違いに戸惑った。 表紙の絵のごとく虎のような徳川光圀。 湯呑みを思わず割るほどの膂力に溢れた徳川光圀。 …うん、どうしても、一瞬、あの好々爺が思い浮かんだ。 メディアの力を思い知った。
0投稿日: 2013.10.09
powered by ブクログ751ページもの大作ですが、それを感じさせないほど楽しく読めました。 最初のほうで部下を殺すシーンがあります。それがどうしてなのかというのを光圀の人生を通して解き明かしています。 水戸光圀とはこんな人だったのかと知らない一面も。 脇役がすごいです。こんな人ばかりだったら、日本は良くなるのにと思いました。 最後までなぞで読者の想像に任されていますが、左近は気になる存在です。
0投稿日: 2013.10.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
厚い…。 図書館への返却期限を考えると挫折しそうになりましたが、それは勿体ない根性を発揮し無事に読了しました(笑) とは言うものの、実際は面白くて先を急ぐようにページを捲ったので、あの修行のような読む苦しさがあった訳ではありません^^ 光圀公の人生を駆け足で見せてもらったような気持ちです。 何故自分が世子なのか、という疑問や葛藤に苦しんだ成人前。学問に没頭し、よき友、師を得た青年期。自分の“大義”を理解し、寄り添ってくれる良き伴侶に巡り会い、これから、という時に訪れるさまざまな別れ。 さらりとテンポよく書かれている割に、心に響くのは著者の筆力なのでしょうね。 『天地明察』の安井算哲がでてくるのも時代がリンクしているから当然といえば当然ですが、あの感動も思い起こされ、懐かしくも嬉しく感じてしまいました。 冒頭を読んだ時には、なんと激しく獰猛な人物だろうと思いましたが、腕白で破天荒なところもあるけれどお茶目な人だと読みながら、少し安心もしました^^ 最後に、目をかけ後事を託した紋太夫を己の手で殺さねばならなかったことに同情すると同時に、もし水戸に紋太夫を連れていったのなら彼の妄執も何とかなったのかなぁと、せんないことを考えてしまいました。 それにしてもまたもや壮大な物語を見せてくれた冲方さんに感謝です^^
0投稿日: 2013.09.29
powered by ブクログ水戸黄門、水戸光圀の話。 やんちゃしている光國の頃が一番楽しかったかな。 幼少期の生首持って舞ってるところもぞくぞくしましたけども、やっぱり読耕斎とやりあってる辺りが良かった。 才能にあふれてて順風満帆なイメージしかなかったけど、大義を果たして大義を殺したこの人の物語は、寂しくて切なくもあった。
1投稿日: 2013.09.25
powered by ブクログ水戸黄門こと、水戸光圀の生涯を綴った長編時代小説。 「虎が泣いていた」 光圀はある男を殺さざるを得なくなった。「貴様は・・・、わしの希望であった」 それほどに大事にしてきた者であったのに・・・。 本文は、幼少期から老年期までの生涯が描かれる。 幼少期、父から苛烈なる試練を与えられるも、必死に世子として父に認められようとする。 青年期、傾奇者として名を隠し市井で奔放に振る舞う日々。そして宮本武蔵・沢庵との出会い。その出会いは、光國を人として、男として大きく成長させる。この辺りは特に好きでした。 江戸時代。今ほど寿命は長くなく、幼き内・若い内に亡くなることもよくあった。本書では、光圀の妻や、親兄弟、友、家臣など、多くの死が描かれるが、やはり離別の時は辛いもので、思わず涙してしまいます。 最愛の妻を早くに亡くした後、妻の侍女であった左近との関係が何とも言えず好きです。光圀が忌憚なく言葉を交わせる相手(妻や友)を失ったあと、唯一、自分の弱さや辛さ、本音を吐露できる相手であり、「死ぬるなら、そなたの膝の上がよいな」という程、光圀にとって心の支えであった。にも拘らず、男女の関係にはなかったようだ。 そして、最期の時にはその念願通りとなっている。そんな風に寄り添える相手に出会いたいものだ。 また、一連の物語の中で、『天地明察』の主人公・安井算哲が登場する。本書では物語の一端であるので、さして詳しくは書かれないが、光圀の視点が描かれるのが面白かった。 水戸黄門として有名な人物であるものの、これまで正直全く興味は無かったが、非常に稀有な人物であることが分かった。 型破りのことを行ったりする一方、多くの人に慕われ、尊敬された人物でもあり、この当時のどの大名よりも、将軍よりも敬愛された人物であった。 だからこそ、今なお愛され続けている。
0投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログ水戸黄門の真実。人を愛し、学問を愛して『大日本史』編纂に生涯を捧げる。介さん、覚さんも登場しますが、全国行脚には出ません。紋太夫暗殺のくだりは、この時代に大政奉還を考える人物がいたとは驚きでした! まあ、読み応えのある大河ロマンでした。そうそう、『天地明察』の安井算哲も登場しますよ(*^_^*)
0投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログ水戸黄門でおなじみの光圀にまつわるエピソードをもとにした歴史小説。前半の光圀の成長していく幼少時代、悪友とつるんで街を闊歩して、生臭坊主を論破する青年時代は痛快でおもしろかった。途中で「天地明察」にでてきた算哲がでてきて楽しかった。世子問題で義を全うするところ、兄の温かさや泰姫のやさしさ、読耕斎との友情にとてもいい気分になれた。後半の詩歌で天下を取ること、大日本史編纂に関してはだらだらと長く、結果もすきっとしせず、「天地明察」ほどでもなかった。よくわからない部分も多かったのは自分が学がないせいか。。
0投稿日: 2013.09.19
powered by ブクログ先人たちに託され、また託していく歴史の積み重ねに想いを馳せずにはいられない一冊。 戦乱の世が終わり太平の世に移り変わっていく江戸初期、「義」を重んじ、詩を愛し、数々の文化事業を行った水戸光國の一代記。 「天地明察」の清々しさと比べると圧倒的に重い。雁字搦めの中で、理想と現実の狭間に揺れながら、自分の為すべきと信じたことを為していく男の物語です。 光國の「大義」すなわち正当性の抱える矛盾や、続く親しい人々との死別が、物語に常に暗い影を落とし続けており、これが読み進む上でいい意味での緊張感を与えてくれていました。 光國と、光國が出会う様々な人物たちの生き様に何度も目頭が熱くなりました。 人の営みが過去から現在に、未来につながっていることを強く強く感じさせる傑作。
1投稿日: 2013.09.17
powered by ブクログ面白かったけど、天地明察にはおよばなかった。光圀が、一生をかけて果たそうとした義が、あまり自分に響かないテーマだったからだろう。
0投稿日: 2013.09.14
powered by ブクログ重かった!物理的に。 すごいボリュームだったけど、全く飽きずに読めた。 天下の副将軍(そんな役職はないらしい)水戸光圀の一代記。 義を求め、不義と向かい合い、周りに感謝しながら成長し、世間に大きな影響を与え続けた光圀。 有名な人だけど、こんなにすごい人だったとは! 光圀の魅力を余すところなく描き切った作品。 天地明察と重なる部分もあり。 同じ時代の同じ出来事を違う登場人物を中心に語られる面白さ。 算哲が光圀に天球儀を献上するくだりを、光圀目線で読みたかったかな。
1投稿日: 2013.09.11
powered by ブクログ「大義なり、紋太夫」 この一点のために物語が進む。何が大義なのか。「これまでの忠勤、大義ぢゃ」なのか、紋太夫を殺めることなのか、あまりにも早すぎる幕府の大義を紋太夫が言ってのけたことなのか。三番目ならば、光圀が実践した武家の男子の大義よりもはるかに高いものであり、それを封じた光圀は自分への限界を感じていたのかもしれない。それが、百数十年間にわたって水戸藩に受け継がれ結果的に慶喜で成ったのは偶然だけではないような気がする。
0投稿日: 2013.09.10
powered by ブクログ読み始めれば面白いのだよ。 でも、いかんせん本が厚い。その厚さに手が中々出ない。 天地明察だって、面白かったし。 光國というと、あのドラマの黄門様の正義の見方のイメージだが、この本はそれをいい意味で裏切った感じ。
0投稿日: 2013.09.08
powered by ブクログ『天地明察』をこえました 何となく知ってる光圀さんの姿を、これだけ丁寧に書いたはる作品を初めて読みました お兄ちゃんが、これまた素敵なんです この考え方が成り立つのかと、ただただ驚くこともありました ここをベースに、幕末を読みとくのもまた楽しいです 一読の価値ありです
0投稿日: 2013.09.08
powered by ブクログ水戸光圀という人の生きざまを描いた大河小説。 重厚で読み応えがある。 光圀だけでなく兄、頼重や保科正之、佐々宗淳といった登場人物が魅力的。 ~頑張れ、子龍(松平頼重)~ ~本気でそれを行うのなら。おれは、お前に仕えたい(林読耕斎)~ ~わたくしが、お傍におります(泰姫)~ ~だから平気で、膝の上で泣くのですか(左近)~
1投稿日: 2013.09.06
powered by ブクログ冲方丁氏の小説を読むのは、ベストセラーになった「天地明察」に次いで2冊目です。 今回の主人公は「水戸光圀(黄門)」。水戸黄門といえば東野英治郎さんの姿をいの一番に思い浮かべてしまう世代ですが、当然、あの「諸国漫遊」の旅はでてきません。 小説なので詳しくは記しませんが。今回の作品には、「天地明察」で感じたような新鮮なインパクトはありませんでしたね。主人公の光國のプロットも平板、ストーリーも全体ボリュームの割には単調で、正直なところかなり残念に思いました。
0投稿日: 2013.09.05
powered by ブクログなぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか―。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す―。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝。天地明察も読みましたが、また違った趣の物語で面白く読みました。人の生死・生き様について考えさせられました。
0投稿日: 2013.09.04
powered by ブクログこれぞ男の生きざま!!悩みながらも義を貫く姿がカッコイイ(^^)d 今までドラマの御隠居のイメージしかなかったけれど、この作品は幼少の頃から死を迎えるまでの話だから光國自身が考え、動き回っている姿にワクワクした♪「天地明察」でお馴染みの算哲さんも後半チョコチョコ登場(^^)
0投稿日: 2013.09.03
powered by ブクログ水戸黄門で有名な光圀の一生。 あの老人の固定イメージしかなかったけど、己の運命を問い続けたひとだったのね。 周りの人を看取ってばかり。 兄への義を通した時、背筋が伸びる気がした。 もはやここで終わってもよかったんじゃないかとすら思った。 あの男、が誰かわかったときは切なかったな。
0投稿日: 2013.09.01
powered by ブクログ権力者の時代小説は大嫌いだ。まして、徳川なんて、と思ったが、安井算哲(渋川春海)を書いた冲方丁だ、と言い聞かせて読み始めた。 案の定、光圀の不良ぶりにはうんざりしたが、学問に目覚めてからは、日本史の編纂事業に打ち込むので、冲方丁は学究肌が気に入っているのかと思った。 妻として娶るが、若くして亡くなった泰姫に付き従う左近という女性が、創作として秀逸。姫亡き後、光圀は妻帯しておらず、左近とも男女の関係はなかった。(という設定)彼女の、ときに現実離れした言動に、自由のない時代の救いを見た思いがした。
0投稿日: 2013.08.29
powered by ブクログ面白かった。天地明察の算哲さんも出てきた。 三国志とか戦国時代ものとか何でもそうだけど、主役が若くて上り調子の破竹のストーリーは楽しいけど、後半の下り坂のストーリーはどうしてもあんまりおもしろくないよなあ・・これはどうしようもないことだと思うけど。
0投稿日: 2013.08.24
powered by ブクログ久しぶりに出会った大作。父の意図はなんだったのか、大義とは何か、今の時代からすれば理解しにくい価値観も、見事な光国の心理描写によって描かれている。もちろん歴史物の常で、読者はその結果を重々知っているのだけれども。途中から若手老中のエピソードが中心になっており、若干ストーリーがこじんまりした感は否めないが、それも徳川の世が太平になっていったことへのプロローグなのかもしれない。
0投稿日: 2013.08.22
powered by ブクログおもしろかった…! さすがに一気読みは出来なかったけど、しおりを挟むのが惜しいくらい読み続けたい!と心底思える本だ! 天地明察の時も思ったけど、人の一生を読んだという気分。 出会いがあって別れがあって、成長があって葛藤がある。 そして人は死に、産まれ、繋がっていく 当たり前のことなんだけど、やっぱりズシンと心に響く。
1投稿日: 2013.08.19
powered by ブクログ水戸光圀さんの伝記。 とにかくエネルギッシュな人だったんじゃのう。文系で良かった。というか、太平の世になってから出てきた人で良かったのう。過剰なほど真っ当で律儀な人だっただけに、戦国時代だったら大変な武将になってたかも。 どうして光圀さんが次男なのに跡取りだったかと、水戸家3代目は養子だったのかがよーくわかりました。 道中『天地明察』にちらっと絡んだりとか、冲方さんらしい青春! 感動! 悲哀!の場面も多々有り、大変面白かったです。 保科正之公はこの作品でも格好よかった。さては冲方さんもファンだねムフフ。 しかし長い。長ぇし持ち歩くにはあまりにも重いよ! どうして分冊にしなかった!w
0投稿日: 2013.08.18
powered by ブクログ老いた光圀が、老中を手討ちにした。長年、最も重用してきたはずの老中をなぜ自らの手で葬るに至ったのか。その理由は光圀幼少の頃から始まっていた。黄門様の一代記。 読み終えた直後の感想は「疲れた・・・」だった。 図書館で借りた2冊のうち1冊だったので、約750ページある分厚い本を夏休みを利用して1日100ページをノルマとして読んだ。しかし元々遅読な上に歴史に興味ゼロなので、前半の光圀が若い頃の暴れん坊ぶりは面白かったが、後半、幕府内での政治のゴタゴタが始まると次第に読むのがつらくなってきてしまい。 それでも豪放な賢人で貴賤の隔て無く尊敬と信頼を得る光圀がとても魅力的で、読み飽きるということはなかった。 大河ドラマを一週間でまとめて見たような濃い読後感が残った。
0投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログ冲方丁による、徳川光圀の生涯を描いた大河小説。「天地明察」に続いて2本目の時代小説です。 戦国の世が終わりをつげ、武断から文治へと時代が移る中、生来暴れん坊であった光圀も成長するにつれて詩歌と学問に情熱を向けるようになり、「詩で天下を取る」という大志を抱くようになります。加えてその学識を見込んだ伯父の義直から「大日本史の編纂」という一大事業を受け継ぎ、生涯に渡ってこの事業に取り組んでいくことになります。 自分は正統の世継ぎではないというコンプレックスを抱えた光圀のキャラクター描写が非常に特徴的です。「自己の存在意義」は冲方氏が頻繁に描くテーマでありますがこの光圀伝でも顕著にあらわれています。その鬱屈した心情を「膂力で書を征服する」と形容されるほどに学問にぶつける様は非常に迫力があり、圧巻。 また、当時としては非常な長寿を全うした光圀は、そのために多くのかけがえのない人を看取ることになります。時に無慈悲に訪れる今生の別れは、泰平の世とはいえ、現代よりも死が身近にあった江戸の世の死生観を伝えるようです。 何故、人は生きるのか、生きた証として何を遺すのか。かけがえのない人との幾多の死別を通じて、人から人へ受け継がれて行く歴史の重みをひしひしと感じ、深く感動しました。700ページを超える長編ですが、息をつかず一気に読み終えてしまいました。 もしこのレビューを読んで興味を持っていただいた方がいたら一つアドバイスを。史実に沿った出来事がこの物語の中でも重要な伏線になっているため、予備知識が無いほうが楽しめます。 間違っても読了前にウィキペディアを参照したりしてはいけません!
2投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログ分厚いので一見読む気が引けてしまうが、読み始めればページをめくる手が止まらない本。それに、読後感はたまらない。 個人的に好きなキャラはお兄さんと左近。またこの二人に限らず、光圀と人との交流は、刺激でも安息でもあるため、とても好ましく感じる。
1投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログ冲方丁さん「光圀伝」読了。水戸黄門で有名な光圀の一生を綴った伝記。隠居し自らの生涯を振り返る構成。水戸徳川家の三男として生まれた光圀の幼少期に受けた父頼房の「お試し」、世継ぎの苦悩、詩への情熱など、これまで抱いていた水戸黄門のイメージを覆す内容で興味深かった。たくさんの人との出会いと別れが描かれ、光圀の思考の変化、成長の過程も面白い。読みごたえはあるけど、面白く、ためになり、号泣する箇所もあります。文武の「文」を強烈に意識できる傑作でした。歴史小説が好き、興味がある方にオススメします。
0投稿日: 2013.08.13
powered by ブクログ読み応えあった〜! 途中、安井算哲が登場。こんな風にリンクするのね。また『天地明察』を再読したくなりました。
0投稿日: 2013.08.12
powered by ブクログ読み応えガッツリ。読了後は、ふぅ、とため息がでました。 光圀という人物の大きさもさることながら、個人的には光圀の兄・頼重の、優しくて、すべてを包みこんでくれるような人柄に惹かれました。(光圀が義の人なら、頼重は仁の人、という感じ) この兄弟関係も見所かと。 「天地明察」と時代的にリンクするところもあり、安井算哲がチョイ役で登場するのもニヤリとさせてくれます。
1投稿日: 2013.08.11
powered by ブクログ吐き気を催すような悪童が、読書・詩作・良き師達・良き友達・悩みにより素晴らしい人間に成長する様を一気に読んだ。星三つか四つか悩んだ。 この本を読んで学びはあるが行動には駆り立てられない。 素晴らしい文字で書かれた漫画みたいで楽しめた。
1投稿日: 2013.08.11
powered by ブクログ重厚なかつ、ページ数が多いが一気に読めた。水戸黄門のイメージをいい意味で覆し、生き方を考えさせられた。
0投稿日: 2013.08.10
powered by ブクログ魅力的すぎる。 すっかり心奪われた。 しばらくこのまま続くのは間違いない。 一日に何度も光圀のことを考え、口にだし、 3日目ぐらいにはまわりに失笑されるようになり いまはもう諦観である。 (ある意味ありがたい) 泰姫のかわいらしさも魅力的だ。 たった17歳で、そんな言葉がでるものなのかと 天性の心の美しさをみた気がした。 末永く共に歩んでほしかったと悔しく哀しい。 兄の大きさがすばらしい。 「頑張れ、子龍」 「頑張ったな、子龍」 そのやさしい声音が届いたような気がした。 750ページもの厚さに怯み、 なかなか手にとれなかったけれど読んでよかった。 本当によかった。 350ページをすぎたあたりから 先へ先へという思いがどんどん強まった。 時代小説は読みなれていないので いつもより時間がかかった。 なので進み具合にもどかしくなりながら読み進めた。 余談だが、わたしがこの本を読むようにはみえなかったと言われた。 その人がどんな本を読むのかというイメージは たしかに勝手につく部分がある。 近かったらいまごろゆかりの地を巡っていただろう。 いま、こんな人に出会ったら確実に恋におちる。
13投稿日: 2013.08.04
powered by ブクログ天地明察を読んだときに「この人が書いた光圀の話があればいいのに・・・」と思っていました。 なので、読めてとても嬉しかったです。 安井算哲と会ったときの光圀の心情が書いてあり、その部分は天地明察と照らし合わせながら読みました。「こういう意図だったのかぁ~」と改めて納得です。 個人的に左近の局と本音を話すところが一番好きです。息をつく場面があまりないので、左近が出てくるとホッとします。光圀の気持ちが分かるかも・・・
0投稿日: 2013.08.01
powered by ブクログ読んでいて 気持の良い時代小説はある 超人的な剣の使い手一点ばりでもなく 人情裏長屋ものでもなく ひたすら江戸期の古地図を参照しながらでもなく その時代だからこそ描くことができた 人はなぜ生きるのか を きちんと考えさせてくれる そんな 気持のよい時代小説がある
0投稿日: 2013.07.31
powered by ブクログ相葉英雄の新刊求めて本屋を3件ハシゴしたが、見つからず、そのどの本屋にも並んでいた山田風太郎賞受賞作、とくればやはり気になる。まだ10ページほどしか読んでないが、ここまでは好印象。 7/28 500ページほど読んだところ。 これは多分、隆慶一郎の捨て童子徳川忠輝を書きたかったのではないかと思い至る。
0投稿日: 2013.07.25
powered by ブクログ本のタイトルさえ読めなかった私。 誰の話じゃ、と思ったら、あの水戸黄門様の話だったのね。 マイナスからのスタートでしたが、何とか完読。 勉強になりました。
0投稿日: 2013.07.22
powered by ブクログ素晴らしかった。 辞書のような重さ、厚さ、ページ数の超大作で、読み終わるのに二週間かかってしまったけど、読んでよかった。 テレビでお馴染みの水戸黄門の生涯を描いた作品だが、もちろんテレビのような印籠だして、ははぁってなるような話ではない。 光圀がなぜ、次男にもかかわらず跡継ぎになったのか、そして、跡継ぎになったあと、光圀は何が大義で、何をなそうとしていたのか。 物語はある男を殺すところから始まるが、誰を殺さなければならなかったのか、なぜ殺さなければならなかったのか。 歴史って面白いんだなぁと心から思った
0投稿日: 2013.07.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
お見事! ただ史実をまとめたような話とは違う 途中2回ほど涙 大義とは 史誌を編纂する意味とは 大義を果たすため、共に苦労を分かち合う人たちとの心の交流、 またその仲間を自分の手で打たなければならない苦しみ 『天地明察』の算哲も出てくるなど非常に面白かった
0投稿日: 2013.07.16
powered by ブクログ13.07.14 読破。 激情たる情熱を滾らせる光圀。 その情熱を1つの目標に向かわせようとする所が非常に心打たれた。 少しでも見習いたい。 まずは、仕事に自分の情熱をぶつけたい。 悶々としているくらいなら、行動にうつすべきだ!
0投稿日: 2013.07.14
powered by ブクログ★★★★☆ 徳川御三家の水戸光圀の一代記。ちょくちょく前作の天地明察の主人公とクロスオーバーするあたりグッときた。 こういうベタな小説好き! 歴史小説の冲方さんは、非常に読みやすい。 --------------------------------------------------------------------------------------- なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか―。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す―。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。
0投稿日: 2013.07.10
powered by ブクログ久々の冲方作品。 感動!あまりにも素晴らしき一冊。先の楽園のカンヴァスと共に、鮮やかに記憶に残る物語。 冲方作品の魅力はその人物たち。吉川作品を彷彿とさせる剣豪と和尚、若き光圀とのやりとりは、まさに過去のあの二人を彷彿とさせる。「冲方、実にあざとし」。そして、あまりにも魅力的な読耕斎と泰姫。才能に溢れ、情熱と意志を持ち、天の時を得て光圀の元に現れる二人。その一挙手一投足は実に痛快。 長編ではあるが、次々に躍り出る英傑達。迷う時、その生き様は必ずや喝を入れてくれるだろう。 「頑張れ、世子どの」
0投稿日: 2013.07.10
powered by ブクログ真っ向勝負の歴史小説で気持ち良く読めました。前半生部分は、自由闊達なストーリー展開と人物造形が楽しめました。後半生部分は、歴史上の事実や事跡を丹念に追いかけながら示される作者の歴史解釈が楽しめました。戦国時代も遠くなり徳川幕府が施策を文治主義に転換していく過程で、儒教思想(堅苦しくて好きではありませんが…)の影響と光圀と周囲の人たちの果たした役割が上手に語られています。光圀の蒔いた種が勤皇思想を育て、後々の幕府終焉の発端に至るという経緯に、歴史の皮肉をあらためて感じさせられました。
0投稿日: 2013.07.08
powered by ブクログ誰もが知っている徳川光圀=水戸黄門の、本当の人となりとはどんなものだったのか?冒頭からしてドラマで見かける好々爺のイメージは木っ端微塵にされ、そして圧倒されるがままに光圀の半生の奔流に飲み込まれていく。 親や兄への思慕と不信を持ちながら、自信の志のままに自分勝手にけれど自分にどこまでも素直に光圀は生きる。やがて持ちえた「大義」をまっとうせんとする彼のもとには、彼にほれ込んだ者達が集まってくる。あるいは光圀が引き込んでくる。そうしていつしか彼は彼の引け目をクリアしていき、さらなる大目標へも突き進んでいく。けれそのためには、あまりに人の生は短い。度重なる別れがそのことを突きつける、彼の心を突き刺してくる。けれども、光圀は幾度と立ち上がり、亡者の想いをも背に乗せて、あくまで歩みを止めない。人の世は短くはかない、だからそれゆえにその人の思いを次につなげることの大事さを知りゆき、さらに「史書」のために尽力をつづける。 その、実直な生き様が、力強い筆運びによって、ときに痛快にときに哀切に迫ってくる。話のボリュームをこれでおさめるために、もっと盛り込もうと思えば盛り込めただろうと思われる合間合間の描かれなかった挿話も知りたいと思えるほどに、魅力ある人物伝だった。 もちろんすべて真実だとは思わない。けれども、そんなのは問題ではなくて、ただただ、描かれている光圀がとても、とても素敵だったということだけが重要で、つまりが、すごく面白かったのです、ということだけを、力強く言いきりたい。 人一人は本当に小さい存在だ。けれども、人がつなげていくこの世界は、こんなにも大きくなっているのだ、と、改めて思わされた。
1投稿日: 2013.07.06
powered by ブクログあまりの厚さに躊躇したけれども この作家の語り口は好きなので 読み始めたら引き込まれた まったく知らない一面で 優れた人は苦悩の深さも人一倍なのだなと感じた
1投稿日: 2013.07.06
powered by ブクログ大奥の水戸嫌いという言葉は知っていたが、江戸の初期からもうそんな状態だったのがうかがえて、なるほどと思った。 父の頼房や正之にも興味が出てきた。
0投稿日: 2013.07.03
powered by ブクログ長子ではないにもかかわらず、徳川御三家の水戸家の世子となって しまったが故に「なぜ自分なのか」と葛藤に悩む若き日の光國。 ”傾奇者”として荒れた青年時代を過ごすが、詩歌や歴史書などを通じて 己の”義”を貫き通す人生を歩み始める。 しかし"義"を通す為には様々な苦難が立ちはだかっていた・・・。
0投稿日: 2013.07.03
powered by ブクログとても面白かったです。長編であり、内容もかなり難しいですが。天地明察より重く、そこがまた面白いですね。
0投稿日: 2013.07.02
powered by ブクログ御三家の一角でありながら、何故、幕末の水戸藩が尊皇攘夷であったのか、将軍継承争いで一橋派が慶喜を押し、後に将軍となった慶喜が大政奉還に至った背景の一端が、まさにここから、光圀の大日本史編纂開始、人材育成から始まっていたのだと、驚き、そして楽しみながら読んだ。『天地明察』では、保科正之から幕末会津までの系譜を思い同じように感慨深いものを感じましたが、歴史ってやはり興味深いし、面白いなって、とても嬉しくなれる小説だと思う。
0投稿日: 2013.06.24
powered by ブクログ面白い!水戸黄門じいさんのイメージで読みだすと全然違う激しい光國。全然でもないか?しかしこの人の頭の良さといい品格といい、現代にいても素敵すぎて誰でも惚れ惚れしてしまうだろう。それゆえのこの小説の軸となる話の結末でもあるのだろうが・・・
0投稿日: 2013.06.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直751ページに及ぶ大作を前に、少なからず躊躇したが、読みたいという欲求が勝り挑んだ。子龍と呼ばれた幼少期、光國と呼ばれた青年期、泰姫との結婚、光圀と名を改めて大義成就へ向かう道のり、家老藤井紋太夫徳昭との主従関係、そして「大日本史」編纂への歩みと続く展開に正直に驚いた。 冒頭、家老藤井紋太夫徳昭を殺害するシーンが語られ、その理由が明らかになるのはラスト。すべてを読み終えると、殺害の理由に納得する。また、頼重と光國との兄弟関係は非常に興味深く、テレビ水戸黄門で御馴染みの安積覚兵衛(あさかかくべえ)、佐々介三郎(さっさすけさぶろう)の二人の登場や人物像は新鮮であった。
1投稿日: 2013.06.22
powered by ブクログ重い…腕が痛くなりました…これが700ページの力か… でも、長さを全く感じず、一気に読んでしまいました。 光圀がかっこよすぎる! 多くを学び、誠実に生きる熱い人だったんだね… 泰姫と読耕斎に囲まれた時間の光圀はとても幸せそうで、私もほんわりしながら読みました。 だからこそ、泰姫の最後は辛かった… 最近、珍しく大河ドラマを観ている自分ですが、幕府のはじまりを背景にしているこの本と、幕府の終わりの大河ドラマで、大きな歴史の流れを感じながら読みました。 保科正之の幕府に使えた姿など、感慨深いものがあります…そんな彼の抱いていた想いが、会津を縛ったのですね。 紋太夫の大政奉還の構想は、彼が何歩も先をみている証拠で、「頭が良すぎて怖くなる」という言葉がじんわりときました。
1投稿日: 2013.06.20
powered by ブクログ時代物に疎くても背景が分かり易かった。幼少から没前に至るまで悩み、向上し、人間を育て、支えられる光圀という人の歴史がわかった。 周りで親しい人が先に死んでいくのは辛かっただろうな。義のため愛する人を切るのは辛かっただろうな。やりたい事がまだ沢山あるのに時間が残っていないことを悟るのは辛かっただろうな。 天地明察も大好きなので、安井算哲がちゃんと出てきてくれたのが嬉しかった。算哲の周りも光圀の周りも志で人が繋がっていた。 冲方さんが光圀を書きたいと言っていて、こんな素敵な物語を書いてくれた事になんだか感謝してしまった。 13'6.10
2投稿日: 2013.06.18
powered by ブクログ光圀の熱気に引き込まれ、あんなに分厚いと思ったのに終わりまであっという間だった。エネルギッシュでひたむきな生き様に惚れ惚れした。
0投稿日: 2013.06.16
powered by ブクログ構成が巧みであっという間に物語の世界に惹き込まれた。 冒頭で一つの大きな謎を投げかけたまま幼少期まで遡り、光圀の生涯ー夢や情熱、数々の大切な人との出会いと別れ(これが切ないっ)を軽快且つ丁寧なタッチで描いていく。謎が解けた瞬間のなんともいえない哀しさ。そしてラストに少しだけ触れられる歴史の必然(もちろん真実ではないかもしれないけれど)に心震えた。今大河ドラマにはまってることもあって、その感慨はひとしお。。。そうでした、慶喜は水戸の血筋だった。。。
0投稿日: 2013.06.16
powered by ブクログとにかく面白い!。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、、を爆発させながら治道を目指し、大義を成し、史書を残した光國の生きざま!!…読んでいる此方が血気に満ちたり、時折目頭を熱くさせながら元気にさせてもらいました。「天地~」の後だったのも余計に正解だったかナ♪
0投稿日: 2013.06.15
powered by ブクログ人の一生がこれでもかっ!と書き込まれてる濃さがよかった。 あのご隠居さんとは思えない荒々しさも面白い。
1投稿日: 2013.06.15
powered by ブクログ胸震えるという事もないのに、気づくと涙が溢れていた。あれ?あれれれ?というかんじ。儚さを感じます。いやー、私も歳とったわ。
0投稿日: 2013.06.14
powered by ブクログ今までの水戸の黄門様のイメージが一変しました。 好々爺のイメージでしたが、そのようなことはまったくない。 文武両道で荒々しささえありながら、義を重んじる。 光圀が時の将軍になっていれば、民のことを考え、日本の将来に眼を向け、江戸幕府、その後の日本も大きく変化していたのかもしれません。 光圀にとって、心を許した者、信頼した者が、若くして亡くなるという運命には非常に寂しさ、悲しさを覚えました。 しかし、頼りになる兄が長命であったことが唯一の救いかもしれません。
0投稿日: 2013.06.08
powered by ブクログ良く知ってるようで実は知らない水戸黄門の生き様が「美事」「大義」というキーワードで表現されている一代記。 実際には毀誉褒貶のある人物とは思いますが、天地明察同様、人物に対するリスペクトが感じられるので読後感も良いですね。 700ページを超える大作ですが、ぐいぐい引き込まれました。
0投稿日: 2013.06.04
powered by ブクログ大義 不義なる者が大義を為さんとする いくつかの場面で自然と涙が出てきた でも何より大義への道が開ける、自分の見出だした大義が成った場面 読みながら号泣
0投稿日: 2013.06.03
powered by ブクログ水戸光圀ってこういう人だったんだ!真摯に義に生き、謙虚に学び、自分の道を貫き通す。ものすごい人だったんだと驚きました。 天地明察の算哲についても触れるところもあり、光圀側から見た算哲が面白かったです。 光圀自身のモノローグが織り込まれていて、全体にピリっとした緊迫感を与えています。 天地明察とはまた違う新しいスタイルの素晴らしい時代小説です。
0投稿日: 2013.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひさしぶりの電話帳本でしたが、あっという間に引き込まれ完読。考え惑い尽くす光圀が好きだ。 未来を生きるように・・・いまを生きるんだ。 仁というのは、二人の人間が互いに果たすべき礼節。 信は約定を意味する。・・・とか・・・たまに文章が目に留まった。
0投稿日: 2013.05.30
powered by ブクログ地元の西山荘、瑞龍山という言葉が出てきて、親近感を覚えた。テンポ良く進んで行く物語に惹かれ、長さを感じさせない。
1投稿日: 2013.05.26
powered by ブクログ忠臣蔵を読んだ後なので、綱吉が哀れになった。 前半はとにかく光國の男っぷりに惚れる。 後半は、介さん覚さんは本当に居たんだな、と思ったのと、人々の光圀に寄せる期待のようなものが微かに分かった気がする。
0投稿日: 2013.05.22
powered by ブクログ骨太。 最初、ぶ厚さに圧倒され、 幼少期にちょっとうまく入りこめず、 きついかなーと思っていましたが、 途中からぐいぐいいきました。 素晴らしい友と伴侶を得た時の安らぎ。 それを失った後の埋めきれない空虚。 しかし、それでも人は生きて繋がっていく。 まさに史書を編んだ偉人の生き方でした。 ラスト。 本当に素敵な終わり方です。 ここまで読んできたことを微塵も後悔させません。 ありがとうございました。
1投稿日: 2013.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初、冲方 丁。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す…。家康の孫・光圀として史実を『光圀伝 』に求め期待して借りてきました。冒頭の凄まじい家老殺害シーン・父の命令で七つの光圀が生首を引きずり、煮沸…父と髑髏杯…。『義』の光圀。黄門様のイメージとかけ離れ読むのに時間がかかった。読みきった充実感はあるが長すぎるよ。
0投稿日: 2013.05.21
powered by ブクログ「天地明察」のスピンオフ作品といったところか。「天地明察」よりも分厚いけど。 てゆうか、完全に「一夢庵風流記」(花の慶次原作)だわね。男どもの友情・情熱(一部女がらみ)が重きを締めているのは慶次も天地明察も同じ。 文章も読みやすいしおもしろかったけど、冲方丁である必要があるのかな~と思った。
0投稿日: 2013.05.18
powered by ブクログ今年4月の本屋大賞では10位でしたが、壮大かつ重厚な作品だと思います。脚色はあるにしろ、エネルギッシュな光圀の生き方に、読んでいるこっちまで魅了されてしまう、そんな作品だとおもいます。
0投稿日: 2013.05.17
powered by ブクログ若い世代に読んで欲しい本だと感じました。主人公の抱えていた世子問題、困難を乗り越えて行く様は参考になると思う。 単行本で750ページもあるのは若者からは避けられてしまうのではないか?願わくば高校生以上の男子に読んでもらいたいです。
0投稿日: 2013.05.16
powered by ブクログ冲方丁さんの作品。 光圀というと黄門様しか思い出さないけど、義に生きる 骨太な黄門様で漢でした。
0投稿日: 2013.05.14
powered by ブクログ忙しい日々には読み進まず、休日に一気に読破。久しぶりに本の中に入り込み、知らずに涙を流し 心地よい読後感と満足感と 力を入れて読んでたのか身体が痛くて疲れました^ - ^ おもしろかった。 テレビの水戸黄門のイメージとは全然違うエネルギーの塊のような光圀 癖のある人物がたくさん登場しますが、 若くして亡くなる妻の泰姫の存在が 光圀だけでなく、本の重苦しさも救っていて じっくりと向きあってよかった一冊です。
0投稿日: 2013.05.13
powered by ブクログ水戸光圀をきちんと描いた作品に触れたのは初めてで、ドラマ時代劇の“黄門様”のモデルになった人、くらいの乏しい知識しかなかった。 作中でも“虎”と比喩されるくらい猛々しい人だったと知って驚いた。 前作の『天地明察』は一生をかけて暦を作り上げた人の話だったけど、今作は、一生をかけて歴史書を作ろうとした人の物語。 作品の冒頭部分で光圀が殺したのは誰だったのか、というミステリー要素をスパイスのように効かせながら、水戸光圀の幼少から死ぬまでを描いた、大河ドラマのような一冊。 徳川御三家のひとつに生まれた光圀は、戦国から泰平の世へ移り変わった直後の時代の中で、客観的に俯瞰で書かれた歴史書の必要性を感じ始める。 これまでは、為政者が作った為政者に都合のよい歴史書しかなかった。 それでは、数多の先人の考えや行いが“無”になってしまう。 「人の世は常に繋がっており、先人の成したことが地続きとなって今の世があり、この時代もまた、脈々と後世へと繋がっていく」 光圀が人の生き死にに直面するたびにその思いは強くなっていく。 こうして彼が着手した歴史書の編纂は、彼の意思を受け継ぐ者に引き継がれ、明治時代に完成する。 まさに彼が感じたとおり、思いは脈々と後世へと繋がっていったのだ。 『天地明察』でこの著者のファンになったので読んでみたわけだけど、大正解だった。 かなりの厚みがある本だし、冒頭がいきなり古語だったから「難解か…?」と思ったけど、そんなこと全然なくてグイグイ引き込まれた。 途中で出てくる論語だとか漢文だとかもちょっと苦手だったけど、それを凌駕する面白さだった。 子供の光圀が、父親や周りの大人たちに訓練され、また、一流の人物との出会いや貴重な体験を通して成長する少年期・青年期はの勢いが気持ちいい。 歴史上の人物って、空想の人物みたいにリアリティーがない存在じゃない? 本の中、テレビの中の人であって、私という現実社会で生きている人間とは無関係な存在のように感じてしまう。 だけど、この作品を読み進めるうちに、「ああ、こうやって泣いたり笑ったりしながら、私と同じ時間軸の線の上で生きていた人なんだなぁ」って、光圀という人をリアルに感じた。 この人の人生も、私の認知してない部分で私の生活と繋がっているんだろうなって。 そして、光圀にとっての未来を、私たちは過去の歴史として知っているというのが、当たり前なんだけど、なんか不思議な、妙な感覚に囚われた。
1投稿日: 2013.05.09
