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ドーン
ドーン
平野啓一郎/講談社
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総合評価

86件)
3.8
15
39
15
5
2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ディヴィジュアル」「分人」の単語が要所でかなり出てくるのは、平野啓一郎みがある アストーときょうこの心情描写、不安や焦燥感はかなり緻密に描かれてて迫ってくるものがあった やっぱり宇宙船のような密閉空間で過ごす中で、分人は増えたりしないのか 登場人物がやや多めで、正直よく分からず読み進めてた部分もあった 分人はoperationalではなく、cooperativeに育まれるんだ、みたいな台詞が気に入っている

    0
    投稿日: 2025.09.15
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    (まとまりのないメモです) 読み終える前に「分人という考え方が強調されてうざい」というような他の人の感想を読んでしまったためちょっとピュアな感想を持ちづらいけど… というか分人という考え方を定着させるための作品か?とでもいうような内容ではあったが、自分の腑に落ちるような作品だった 大きなテーマの前に、本来の「インディビジュアル」な卑近な問題が絡まって、その中で再構築されたすごく普通で美しい愛みたいなやつを見た 不倫みたいな事件が大局で効いてくるみたいなあたりがちょっと陳腐でヤだなーとも思ったが…

    1
    投稿日: 2025.08.12
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    1章ごとにスマホにメモしながら読んでみた。 なかなか登場人物がつかみきれない。名前の一覧があればいいのに、と思って表紙をめくると、切り取った帯が貼り付けてあり、そこに主要登場人物の名前があがっていた(図書館の本なので)。これで少し安心して読み進められる。いろいろな今はまだない新しい技術やシステムについて、普通にあるものとして語られている。すっと読み飛ばしそうになる。戦争のこと、大統領のことなどなど、今の状況を知っていたかのような書き方である。さて、明日人が犯したミスとは一体何なのか、ここからおもしろくなる。(1章) 分人主義の詳しい説明がある。そして、いかにもありそうにディヴということばを軽々と使っている。そういう時代が近い将来やって来るようだ。ここに、今日子からの大切な問いかけがある。夫妻であったり、恋人同士であったり、パートナーとの間では、すべてのディヴについて教え合う必要があるのか。きっとそんな必要はないし、知りたくない部分だってきっとあるし、知らないほうが幸せということもあると、僕は思う。それにしても狭い宇宙船の中で、6人ほどの少人数の中で、数年を過ごすというのは、どういうものだろうか。決して逃げ出すこともできない。特に閉所恐怖症ということではないけれど、考えただけでイーとなる。(2章) 宇宙船の中で妊娠!?まあ、あり得る話か。しかし、この無重力の密室の中で、水も食料も限られた中で、病人と妊婦を抱えて、1人の医師がどう対処していくのか。そして、船長メアリーの冷静さはどこまで持ちこたえるのか。最後の明日人の「ありがとう」はどういう意味か。そういう意味か?(3章) すべてを話した方が、すべてを聞いた方が幸せになれるとは限らない。しかし、真実を隠したまま生きていくことの辛さもよく分かる。いや、ここでの真実はいったい何なのか。まだ何も分かっていない。太陽のARに対する明日人と今日子の言い分、どちらの気持ちも分かる気がする。だから難しい。マイクル・クライトンを読んでいる錯覚に陥る。人が死なない点だけ違っている。(4章) 全貌が次第に見えてきた。これからあと、どう出るのか。早く先が知りたい。悪と恥、どちらを隠したいか?悪いことだが他人に知られてもさほど恥ずかしくないこともあるか。恥ずかしいことではあるが、悪いことではない、そういうことはいくらでもある。宇宙船にコンドーム、まあ確かに必要なんだろうなあ。(5章) うん?リリアンはインタビューで妊娠についての話をしなかった?最後の1章に期待しよう。しかし、大統領候補の話で、危うく声の大きい方を信頼しそうになった。まくし立てられて抑えつけられてはいけない。ウィキノベルは本当にあるのか?とってもありそうな気がするが。どんどん書き換えられるのか。それともパラレルに複数のストーリーが展開していくのか。いずれにしてもおもしろそうではある。ただ他人の人生を憶測でとやかく言うのはいただけない。(6章) 「結ばれた関係よりも、結ばれてもおかしくなかったのに、結ばれなかった関係の方が、より強く記憶には痕を残す」あまりにも印象深くて今朝見た夢の中に出てきた。さて、民主党が勝ったのだよな。小惑星からの資源採取に積極的なのは共和党ではなかったのか。ちょっと混乱してしまう。リリアンは妊娠の話も相手が誰だったのかという話もしたということでいいのだよな。明日人自身も会見をしたのか。うーん、読み逃しが多々ありそうな感じだ。日本に帰って、これからの二人の人生がどうなっていくかは分からないけれど、とりあえずはハッピーエンドとしていいのだろうな。(7章) 分人についてずいぶんと考えている。妻にも話してみるが、あまり興味がないようだ。妻にはさほど分人がいない。僕には結構な数の分人がいる。これはそれぞれのパーソナリティの違いによるものなのだろうなあ。現在の分人と過去の分人とあわせて何人くらいになるのだろうか。いつか全員のことを書き出してみたい。

    1
    投稿日: 2025.06.02
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    分人思想についての本を読み、こちらを読んだ。 「結局、なんの話だったんだろう」というのが正直なところ大雑把な感想。 だけど、宇宙船内の様子などまんまコロナ禍の時に起こった事だ。 密室に同じ人間が長時間いると軋轢が生まれるその様は、コロナ禍を体験した身からするととてつもないリアリティがあった。 分人思想についても物語を通して理解が深まった。

    4
    投稿日: 2025.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    パリ五輪中、読書ペースがガクッと落ちていたが、漸く平野啓一郎の長編(640頁)を読み終えた。 2036年のアメリカ大統領選挙と有人火星探査におけるスキャンダルがもつれ合う。 米大統領選挙では「中絶の是非」がよく争点となるが、国家プロジェクトである火星探査の最中に本当に女性宇宙飛行士に対して中絶手術が行われたのか、父親は誰か(女性本人が言う通りノノなのか佐野明日人なのか)、女性宇宙飛行士の父親である共和党副大統領候補は、公人としての立場(中絶反対)と父親としての立場のどちらを優先するのか、と、人それぞれの立場に応じて悩みは尽きず、組織の中で生き抜くうえで、また選挙で勝つために、(加えて自分を納得させるために)対外的にどう語るか・説明するか、と言う点で、非常に高度なスピーチが多用されていて、面白かった。本当に選挙参謀が本作の製作陣に入っているのではないか、と思う位だった。 2009年の作品なのに震災の記述があったり、米国民主党大統領の広島慰霊訪問の記述があったり、予言的だ。 Individual(個人)の語頭の否定語inを取ったdividual (分人)という概念は、平野さんの独創だと思うが、確立した学術用語に思えてしまうくらいにしっくり来た。 2024年の米大統領選挙の直前に本作を読めて良かった。両党の主義主張の主な違いを(対象は未来の課題ではあるが現在の課題と酷似)両大統領候補の演説から生々しく感じることが出来た。 P597 (イアン・ハリスの台詞) 宇宙空間で、バクテリア一匹見つけただけで大騒ぎする我々が、人間というこの複雑にして精妙な生き物が、ただ生きているという事実を、なぜもっと尊べない?

    21
    投稿日: 2024.08.14
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    平野啓一郎さん近未来ワールド。2012年によくここまで将来の話を書かれたなあと感心です。しっかりと、虜にさせる内容です。

    0
    投稿日: 2024.08.12
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    英語の翻訳文のような表現の仕方を読みづらいと感じてしまうのでなかなか文章が頭に入ってこず 残念ながら断念しました ある男は面白く読み、マチネの終わりにも少々テンポが掴みにくかったもののの読めたのですが、私には少し内容が濃すぎたのかも また時間のある時に挑戦してみたい

    3
    投稿日: 2024.05.03
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    有人火星探査成功の裏でおきる『愚行』。片道8ヶ月、ミッション含めて3年もの長く、常に生命の危機に晒されている過酷な環境で起こり得る人間の性。帰還後に多くの人間に多様な苦難がまちうける。未来も現在も人間の本性と苦悩は変わらないようです。

    7
    投稿日: 2024.02.17
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    中盤まではなかなか読み進めるのがヘビーなのだが、登場人物たちが苦悩を自分自身の「分人」と結びつけて乗り越えようとしていく過程が読み応えがあり、特に主人公の明日人のそれの危うさを孕みつつ一種の誠実さと真摯さを手放さない感じが良かった。

    2
    投稿日: 2024.02.11
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    Twitterで見かけたこの部分が気になった。 読んでみたい。 「船体に亀裂が走った時に、そこを叩いて壊そうとする馬鹿はいない。しかし、人間関係の場合、必ずしもそうした抑制が利くわけではない。分かっていて、亀裂を更に広げようとするかのような言動をつい取ってしまうのが人間だ」

    1
    投稿日: 2023.08.03
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    これが「分人」の概念が登場した初めての小説らしい。2033年の火星探査とアメリカ大統領選という壮大な舞台とは対照的に、その時代でも尚続く人間の業の深さ、対人関係から生じる内面的葛藤が生生しく描かれている。 この小説の世界では「分人主義」が概念として一般化しているが、読み始めはその明示的な設定に違和感を感じた。ただ、主人公をはじめ様々な登場人物たちは、それぞれある分人には葛藤・苦悩を抱えながらも別の分人には未来への足場をつくりながら生きていく希望の輪郭が次第にくっきりと見えてきた。 後半、「恥」と「悪」に関する会話シーンがあるが、これが分人の考え方と相まって印象深かった。"恥" は社会的に自分がどう思われるかを意識する際の対人感情、"悪" は道徳的・倫理的な評価基準だとすれば、そのいずれもが自分の分人に大きな影響を及ぼしている。一方で、そうした大きなものの影響は様々な分人の集合体である個人全体と決して不可分なのではなく、自分にとって大切な分人、そして、その分人が生まれるきっかけとなった他者との関係性もまた個人全体に影響を与える。しかし、これを突き詰めて考えていくと、個人と不可分とされる「意志」と「責任」がつきまとう。分人の意志、分人の責任をもっと考えてみたい。

    1
    投稿日: 2023.07.16
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    「閉鎖的な対人関係によって分人が過度に抑制されると、過去や未来の妄想の分人が大量に溢れ出て、収集がつかなくなる」 この描写に自身の経験を重ね合わせ、離別による悲劇に見舞われた直後に誰にも会いたくなくなるのは、対象の分人を邪魔されずに大切にとっておきたいからなのだ、と合点がいった。

    0
    投稿日: 2023.07.12
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    分人主義の話。 最近読んだ転職自己啓発本で、株式会社自分という概念があったんだけど、それと似ている。株式会社自分の中には、家族事業部やお仕事事業部、音楽事業部などがある。一個の事業が上手くいかなくなっても大丈夫なように、いろいろな事業部を抱えている方がリスク分散になって安心だなと、この本を読んだ時に考えたことを思い出した。 分人も、色々なタイプがいていいんだと思えるし、むしろそれが健全な人生に繋がる。この哲学を身につけると本当の自分探しという不毛な命題から自由になれると思う。 一つの分人だけだとやっぱりそれは息苦しい。リリアンが、誠実で正直な分人としての自分を生きていくと決めたシーンは感動した。 私はどんな分人を育てていこうかな。 誰といる時の自分が好きかな。

    1
    投稿日: 2023.02.09
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    640ページ読み切った〜!人類初の火星探査の話にも関わらず、火星探査自体の話はなく、その過程で起こる深刻な人間模様。平野啓一郎さんが唱える分人論の予備知識がないと、少し分かりにくいところもあるかも。 けれど、氏の著作なら後味の悪い終わり方はしないだろう、という期待が裏切られる事はなかった…

    1
    投稿日: 2022.11.23
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    人類初の有人火星探査を成功させた主人公が隠す火星探査の2年で起こった出来事が徐々に解き明かされ、その出来事が近日行われるアメリカ大統領選に影響を与える、みたいな話。 僕らが暮らす現実世界で、接する人毎に対応の仕方を変えるように(一部の人は裏表無い人柄という評価のもと清廉潔白な顔をして自己をどこに対しても通す狂人がいるけれど)、この物語では自分の姿形や性格さえも手術によって自在に変化させることができるみたい。すごい。 SF小説でよく思うのは著者がイメージする近未来的な世界、特に今ない技術を読者が正しくイメージして物語を読むことができるかが重要だよなァ、っていうことで、これはものによって結構難儀である。加えて本作は登場人物が多く視点も時々で変わっていくため、栞を挟んで次に物語に戻る時に、立ち位置を確認する作業でかなり手こずってしまった。物語自体も少し冗長的な面も否めない。 しかし、そうしたネガティブな要素を含んでいながらも、人と人との交流を真摯に描いており描写は丁寧で楽しく読めた。 たぶん映画化されて視覚的に情報を補完できればもっと楽しめるのではないかと思う(読者としての読解力なぞは棚に上げる)

    0
    投稿日: 2022.09.14
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    分人主義という考え方を知って読もうと思いました。2030年代の近未来をディストピア的に描かれてますが、発行が2009年という事に驚きます。散影、ウィキノベル、AR、プラネットなど、2022年の今、すでにあり得そうな設定を実感しながら読み進められます。大きな震災、大統領選、大国の戦争への介入など、今の時勢にもはまり読み応えのある一冊でした。

    0
    投稿日: 2022.03.12
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    壮大な物語と緻密な心理描写。なにより、日本語の美しさを感じる。「ある男」で感じた言い得て妙というか、細かな機微を言葉にする力を、また違った形で感じられる。平野さんの丁寧な言葉たちが、ともするとどこまでもひろがっていってしまいそうなストーリーをきれいにひとまとまりにおさめている。 分人主義というものを理解するためには必読の一冊で、もとより社会のなかで、家族といるときや友達といるときや先生に対してなど、様々な顔をして生活している我々は、現代においてネット世界の深化によりさらにその顔を複雑に入り乱れて所有し、使い分けることとなった。それこそ家族で幸せそうにターキーを囲むときにも自分の子どもに自分の知らぬ分人が潜んでいるような状況だ。 物語の終盤にはそのたくさんの分人を内に所有することに対して、ひとりの人間という姿を取り上げられるが、間違いなくこれがこの物語の救いであり、そして壮大で不穏な様々な分人が入り乱れるこの物語のひとつのゴールなのだと思う。 平野さんは2作目だったが、幸せな読書体験だった。

    7
    投稿日: 2022.02.11
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    人類初の火星に降り立った日本人宇宙飛行士が主人公。長期にわたるミッション期間中にクルーの1人が精神を病んだり、女性クルーが妊娠したりなど様々な出来事が起こり、主人公自身もギリギリの状態で帰還した。その後、それらが公になり、大統領選挙にも影響を与える事態となる。 というのが粗筋ではあるが、話はもっと複雑。 ベースとして、人は相手によって人格を使い分けていて、そのそれぞれの人格を分人と呼ぶという概念がある。それが話を複雑にしているのだが、その概念が大事な要素なのかどうかがよくわからない。 雑に要約すると、人間の弱さと強さみたいなことなんだと思うが、とにかく読みづらかった。

    0
    投稿日: 2021.09.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    平野啓一郎くんの壮大な長編。 壮大すぎてレビューが長くなりそうだけど書いてみる。 舞台は21世紀半ばの近未来。 私たちは、いろいろなものが進化しすぎて複雑化し、世の中がこの先どこへ進んでいくか想像もつかないけど、小説の中ではやはりまだまだ世界は複雑に進化している。 整理すると… ○人類は火星に降り立つ ○アメリカはアフガン戦争に続き、「東アフリカ戦争」なるものに介入している ○東京大震災がおこり、甚大な被害が出た ○テレビ電話的なものが更に進化し、通話相手がホログラムで目の前に登場 ○車は「自動運転レーン」を走ったりする(しかしウィルスによって事故ることも) ○「無領土国家」なるものが登場し、人々はアメリカ国籍や日本国籍を持ちながらもその国家“プラネット”の国民にもなれる。国連にも認められている ○コンタクトやサングラスで映像が観られる ○「散影」と言って、街中の防犯カメラの映像を誰でも検索して、顔認識機能などを使って人の足取りを追うことができる ○「AR」と言って、死んだ子どもの遺伝子情報をプログラムし、まるで本当に生きているかのように成長させることができる。ただし光でできているので触れない などなど… もっと面白い設定があって全部書きたいけどやめとく。 まぁこのような世界で、医師だった主人公の明日人は、まず東京大震災で息子をなくし、その後心の傷をいやすため(?)宇宙飛行士を目指すことに没頭し、2年半かけて火星への往復を果たしたのだが、その過程で様々なトラブルに見舞われる。 読み終わってみればやはり、これは壮大なようでシンプルな明日人個人の物語なのだと思うが、同時にアメリカの大統領選挙の駆け引きと宇宙開発事業との関係、それに巻き込まれる宇宙飛行士たちがドラマティックに描かれているし、大統領選で共和党が勝つのか民主党が勝のかによってこれからの世界の在り方が大きく左右されるため、個人の物語でありながら世界がどこへ向かうのか、善悪とは何かという物語でもある。 私たちはいかにして、「正しいこと」を選びとれば良いのか。 世界ははたして、「正しいこと(もの)」と「凶悪なこと(もの)」にはっきりと分けられるものなのか。 アメリカ的民主主義は本当に善なるものなのか。 また、この物語の中でもっとも大きなテーマだと思ったのは、私たちは、個人「individual」の中にいくつもの分人「dividual」を持っている、とされていること。 現代を生きる我々も、個人の中に多面性があることは認めているが、近未来はもっとはっきりと、相手やシーンによって「分人」を使い分けている。 職場にいるときの自分と、家族と一緒にいるときの自分は全く別物である、という認識だ。それに合わせて、特殊な整形技術で顔を変える人さえいる。 これは一見、荒唐無稽な設定のような気もするが、現代の私たちは、ネット上では本当の自分とはまったく違うキャラを演じていたりするので、それがますます進んでいくとこういうことにもなり得るのかも…と思った。 とにかく色々な面で興味深い。 明日人の陥る状況がひど過ぎて、もしかして最後には以前読んだ「決壊」のような結末になるのか!?と不安になったけど…最後はシンプルだけれども納得の結末でした。 最終章のタイトルが「永い瞬きの終わりに」だったので、こんなにも壮大な物語でありながら、ここまでの章は「永い瞬き」か!?深い!と思った。 やっぱりレビューが長くなりすぎた。 ちゃんと読んで下さった方、ありがとう。

    4
    投稿日: 2021.07.31
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    これって、去年の大統領選挙よりずっと前に書かれた作品なんだよなあ、と思いながら読み終わって、2009年の作品、と知って衝撃を受けた。 去年のどころか、その前のトランプ旋風選挙も、東日本震災も、宇宙関連でいうと、はやぶさ(1号!)の帰還もまだはるか先の話の時代の作品。 この作者の、「今」考えていることを追いたいと思いました。

    1
    投稿日: 2021.07.04
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    場面において自然生成され 他者に観測されるのが「分人」である とはいうものの それに「主義」がくっついた時点で すでに個人の恣意的な運用が前提とされてしまっているのだった …しかしそれを踏まえても 分断された社会に生きるなら、往来に複数の顔を使い分ける必要があろう つまり分人主義とは 基本的に、社会の分断を前提にした思想である 実例としてはアメリカの「隠れトランプ」がそうだ しかしこの小説で 表立ってそれを支持するのは、共和党ではなく 民主党のほうである ナショナリストではなくグローバリストである それが何を目指すかといえば、「分断の隠蔽」であろう 彼らにとっては、より安価な宇宙労働者を得やすくするため そいつを是とする社会がここでは待望されている 僕はそう思った まあ結局は 主人公がタレントとして生きていくことを決意する話で そこだけに焦点を絞ればわからんこともないんだが いずれにせよ「主義」で一般化し 受け入れない者や ついていけない者を相対化するような書き方は ちょっとどうかと思った

    0
    投稿日: 2020.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

     えすえふ、のようでえすえふじゃないのかな、と思ったんだけど結局やっぱりSFなんだろうな…カテゴリは恋愛小説にしたけど←  SFとしてはリアル志向の拡張型。火星探査船、サイボーグ蚊(笑)、《散影/divisuals=相互監視装置》に《プラネット/plan-net=無領土国家》などなど設定も盛り沢山で、そのあたり挑戦的でいいなぁと思います。  相互監視、という表現をしたけど字面とは少し違って、万人がアクセス出来る監視カメラネットワーク、みたいなものなのだけれどこれは、こんなにすんなり受け入れられるものだろうか、という感じは少し。 一部の層にだけ閲覧が許可されているから反感が生まれる、という理論は確かに納得だけれど。それを扱える感覚がいまの延長にあるかなぁ。ぶつぶつ。  これ怖いわ、と思ったのはWikinovel。有り得すぎてぞっとする…いやむしろもうどこかにあるんじゃない? なろうサイトとか隅々まで見たらそういう集まりできてそう…  どうにも日本の小説っぽくない、というか。内容的にはもちろんなんだけれど、文体も含めてそれが少し気になってしまった。きっとそれは修辞の方法論の違いなのかなぁ? なんとなく日本語は縦に積み重ねる言語、英語は横に積み重ねる言語、みたいなイメージがあって、言葉の密度が増す前者と、言葉の表面積(? うーん思い付きなので巧い単語が出てこないな)が増す後者、というふうに位置付けると、自分の好みはもうそれは前者で。  そのぶん後者の文章で書かれたことの重みが、なんとなく入ってきづらくなっているのかもしれない。それはあんまりよくないなぁ。  この、密度と表面積、という対比はちょっと興味が湧いたので今後掘り下げるかもしれません。  なんというかね、変な感じ、翻訳もの読んでるような気分がしたのです。言葉選びとか繋げかたとか、キャラの造形とかも。それがオレには災いして、特にアストーと今日ちゃんの側にあんまり入り込めなかったというか。分人が未分化なのかな?←  SF的にガードナーの側はめっちゃ楽しんだけど。  個人的なハイライトはJ.J.マッコイのシーン。ところでこう、云いにくいことを云うキャラクタとしてゲイを配置するっていうのはゲイの側からしたらどういう気分なんだろう? こんなところでそんなセンシティブな話題に触れるなって?(笑  なんとなくこー、話をその方向に進めるために用意された人格、みたいなものに大きな抵抗があって。例えば乗り越える相手として露骨に設定されている旧態依然とした価値観の男性、みたいなのに、こんなステレオ今どきねぇよ、って一気に醒めたりしちゃうんだけど、もしかしたらそれと同じようなことが、露骨に越境するものとしてのLGBT、みたいに起こっていたとしたら、それを意識しないでこんなこと云いたくないなと思って。  随分話が逸れましたね。  にしても現実の大統領選のニュースを見ながら読むことになるとは。面白いものです。お勧めしてもらってから随分経ってしまいましたが…いや大統領選待ってたんですよ! うん! バランス見て☆3.4!

    0
    投稿日: 2020.11.05
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    『空白を満たしなさい』に続いて分人主義が通奏低音になっている作品で、監視カメラネットワークやAR(拡張ではなく添付)そして火星有人探査などの実現する近未来が舞台。ただそこで語られるテーマは紛争、移民、そして民主主義のあり方など「近い将来ありある」というよりすでに今現在の私たちの社会で起こっていることを考えさせるものです。今年はちょうど米大統領選の年ですし、日本でも首相交代が行われたタイミングでもあるのでこの本を読んで少しだけ考えてみても良いのでは。

    1
    投稿日: 2020.10.03
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    すごいよかった! いまは強固で社会の地盤となってるものごと、 みんなが持ってる価値観が 将来は跡形もなくなくなってるのかもしれない。 と同時に人間が未来も解決できない しょうもない問題もあるんだなぁ

    0
    投稿日: 2020.09.10
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    人に薦められて読んだ。 最初は分人主義やら「散影」やらいろいろ近未来要素がたくさん出てきてよくわからなかったり、登場人物の相関関係が把握できなかったりしたけれど、読んでよかった。最後まで読んで、もう一度、読み直すと、よりいろいろわかりながら読める気がする。 近未来のお話。火星に初めて降り立った宇宙飛行士の佐野明日人を中心に、火星でのミッションを「無事」終えて帰還してからの、それぞれの事情、環境に翻弄されながら、そして、いつしか大統領選に巻き込まれながら、それぞれが自分がどうしたいのかを悩んだり、立ち止まったり、時に暴走したりしながら、選び取っていく。 宇宙飛行士は誰でもなれるわけではないものではあるけれど、ひとりの人間。狭い空間に長時間居続けることは、いいことだけではないのだ。そんな当たり前のことを思う。ミッションを「成功」させたからと英雄視するのがあまりにも短絡的なのだ。日々には、さまざまなトラブルも目をそむけたくなることも大なり小なりある。何かをわかりやすい型にはめてしまうことの問題性は、この英雄に祭り上げることも、そして、東アフリカでの「悪」「テロ」との戦いにも通じるものがある。 大統領選終盤でのネイラーの語りが今の世界にも、とても響くところがあって、本当にその通りだと深く賛同してしまった。力では何も解決しない。複雑な現状を様々な視点で緻密に愚直にひも解いていこうとすることが本当に必要になってきているなぁと思う。耳障りのいい言葉、主張に惹かれるけれど、そこで一度、踏みとどまる胆力を備えたい。 そう、今日は、「戦後」75年を迎えた。

    5
    投稿日: 2020.08.15
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    読むのに時間がかかった。設定された近未来になんだか入り込めなかったのと、以前から提唱している分人(ディブ)という概念に食傷気味だった。色々あって宇宙でに行って、宇宙でも色々あって、人間関係や精神が不安定になって帰還したあとに、夫婦間もギクシャクし、それでも紆余曲折を経て分かり合えた。それはよかったけど、大統領選とかはストーリーに入れず白々しく読んでしまった感。

    0
    投稿日: 2020.06.25
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    初のSF小説。SF小説はフィクションでありながら、実社会の問題を定義していると思っているため、社会情勢、経済や政治の歴史であったり、社会が向かっている方向を知っていなければ理解できないジャンルであると思い敬遠していた。 本作は火星探査船「ドーン」で、人類初の有人火星探査から帰還した医師であり宇宙飛行士・佐野明日人。帰還後に火星で撮されたある映像により英雄から転落。 探索船「ドーン」をタイトルにしながらも、火星探査までの過程の小説ではなく、帰還後の社会について、大統領選挙、テロという社会問題をテーマに近未来を描写し、現実社会の課題を示唆している。 一方で、本作で提唱されている「分人」なる新しい概念も提唱されており、それを理解するにあたり難しさを感じた。読みかけては前に戻ってを繰り返していたため、意外と前半部分までは自分のペースで読み進めるのが、難しかった。 ただ、作者が提唱する「分人」の考え方の発想における概念をうっすらとであるがわかったような気になったとき、作者がindividualからdividualが生まれると説明した手法が今後もしかきたら社会に生まれてくるかもしれない言葉のような気がするして、作者の予見能力の凄さを感じた。と、同時にもう少し「分人」に関するものを読んでみたいと思う気持ちが生じてきた。 分人の主人公・明日人が、妻・今日子へ次のように説明している。「人間の体はひとつしかないし、それはわけようがないし、実際には、接する相手次第で、僕たちは色んな自分がいる。今日ちゃん(今日子)と向かい合っている時の僕、両親と向かい合っている時の僕、NASAでノノと向かい合っている時の僕、室長と向かい合っている時の僕、・・・・・相手とうまくやろうと思えば、どうしても変わってこざる得ない。その現象を、個人individualが、分人化dividualizeされるって言うんだ。で、そのそれぞれの僕が分人の集合体なんだよ。-そういう考え方を分人主義って呼んでいる。」   また、この作品で明日人は2歳の子・太陽を震災で失っており、その設定が東日本大震災の予兆のように思え怖くなった。 そして、単純にすごいなぁと感心したのは、平野ワードである。ウィキノベル(Wikipediaとnobelの造語)、添加現実(AR=Augmented Realityだか、ARをArtificial Realityかと思った)、可塑整形と、現代において実在し、将来に進化したものであろうと想像できる言葉を創り出していることだ。 大統領選挙さながらの演説も面白かったが、愛すべき政治家としてのこの説明がいい。「ネイラーは、尊敬される政治家でありながら、時折、思いがけない穴を見せた。・・・・確かにその穴は、失望させられるというよりも、むしろ周囲の者に、自分こそが、サポートしなければならないという積極的な支援の感情を抱かせるものだった。・・・・・立派であることは、最低限の条件だったが、その立派さも、国民のサポートがなければ危ういと感じさせる、どこか不完全な感じがなければ、政治的決定は、自分たちの血が通わない、冷たく、一方的な命令と受け止められてしまう。」 文章においては、私の問題点ではあるが、語彙、構成において解り辛らかったが、全体的には読後は、満足感が残った。

    11
    投稿日: 2020.06.15
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    最愛の子を失った夫婦が、互いが知らなかった、それぞれの「分人」を認め、受け入れ、「個人」として新たな一歩を踏み出す物語。 「火星プロジェクト」「大統領選」「戦争」。ストーリーは壮大。一方で、物語の終末が「個人」の歩みに還るのは、それらの物語を紡ぐのが、あくまでも「個人」であり、人類は地球で「個」を認めた唯一の存在だからか。 役立つものが生きているのではなく、生きているものが役立とうとする。 分人 ディヴ 何種類の「自分」が発生しているか 死を乗り越える 認める 圧倒的に強いリーダー 寄り添う隙のあるリーダー 主語の大雑把さに注意 散影 国民として認められるということ

    0
    投稿日: 2020.04.24
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    長編だけど、読みやすい。 二つのストーリーが進んでいくので、あきが来ないし、シチュエーションを上手に利用していると思った。 何よりは、この本の面白さをTwitterで呟いたら、作者様からリツイートしてもらえたこと。

    1
    投稿日: 2019.12.11
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    10年も前に出版された本だということに驚いた。 ウィキノヴェルは史実を意図的に改変した本を揶揄してるんだと思ったし、 ハリスの言葉「人間は、社会に有益だから生きていて良いんじゃない」は、実際の事件への思いが込められていると感じた。 そして何より、オバマが大統領だった時代を振り返って、じゃなくて、それ以前に書かれていたこと。 唖然。 作中で描かれている希望に距離を感じるのは、それはそのままこの10年を表しているんだ。 「〇〇としての誇り」「××としての責任」って言い方には以前から違和感があって、それは誇りや責任を引き受けられない自分の未熟さかと思っていたけれど、 この小説を読んで、個人を覆うようにそれらを課すことの雑さに抵抗があったのだと気付けた。 分人主義、自分のディヴをデザインするって考え方、すごく面白い。 自分の生活においても、物語を楽しむ視点としても大事にしたい。

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    投稿日: 2019.09.15
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    分人やディヴ、それから次世代のテクノロジーに加えて火星探査など、なかなか想像の簡単でない近未来が描かれてました。偉業を成し遂げる人が登場して、大統領選挙に絡めた戦争や国家に対する思想が説明されているのに、みんな暗い一面を背負っていて、尊大な感じがないです。未来ってこんなに微妙なバランスの上に成り立っていくのかと、心配になります。

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    投稿日: 2019.09.04
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    人類初の火星の有人探査船ドーン。迫るアメリカ大統領選挙の行方と陰謀に巻き込まれていくクルーの運命は。火星探査は正直おまけであり、メインは大統領選挙。SF要素はほぼない。 話としては正直詰め込みすぎで、宇宙の話必要なかったのでは?という気もする。しかし、背表紙解説にも書かれているが、「分人(ディビジュアル)」という概念については、かなりふに落ちるものがあった。作られたキャラクターではないが、相手や環境によって変わる自分をそれぞれのディブとして捉える考え方は、自分を統合しなければならないという考え方から自由になれる素晴らしい捉え方だと思った。対人関係と一くくりに考えてきたが、誰との関係が問題であるのかという分析的思考を持つのに役立ちそう。

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    投稿日: 2019.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この「ドーン」という作品、結構な長編だし、場面の切り替わりに頭がついていけなくて最初は結構読み進めるのに苦労したのだけど、平野啓一郎さんが書く半分SF的な未来絵の結末がどうなるのかを知りたくて、少しずつ読み進めました。まず、面白いと思ったのは分人という考え方。本の中では、「日本語で〈分人〉って言ってるその dividual は、〈個人〉individualも、対人関係ごとに、あるいは、居場所ごとに、もっとこまかく『分けることができる』っていう発想なんだよ。(中略)相手とうまくやろうと思えば、どうしても変わってこざるを得ない。その現象を、個人 individual が、分人化 dividualize されるって言うんだ。で、そのそれぞれの僕が分人 dividual。個人は、だから、分人の集合なんだよ。──そういう考え方を分人主義 dividualism って呼んでる。」と説明されている。そして、「人間は、ディヴをそれなりにたくさん抱えて、色んな自分を生きることでバランスが取れてるんだと思う。その相手がいないと、行き場を失ったディヴは、過去の記憶や未来の想像の中にばかり溢れ返ってしまう。」さらに「誰も自分の中のすべてのディヴィジュアルに満足することなど出来ない。しかし、一つでも満更でもないディヴィジュアルがあれば、それを足場にして生きていくことが出来るはずだ。」という発言があるように、この作品全体はこの分人という考え方がとても大事なポジションを占めている。大切な人を失ってしまったディブは行き場を失ってしまうこと。全てがダメだと思った時も、満更でもない自分のディブがあれば、生きていくことができること。そして、「人間は、社会に有益だから生きていて良いんじゃない。生きているから、何か社会に有益なことをするんだ。」という言葉も心に響いた。大変不名誉なことがあって、絶望があって、でもまずは生きることが一番。そして生きている中で、満更でもないディブを見つけていければ、何か社会的に有益なことができるという風につながるのではないかなと思料する。 ドーンというのは2030年代に火星に有人宇宙船が火星探索に行くという話。日本人宇宙飛行士であり医師である明日人はこの計画に参加し、見事に帰還した英雄だけど、宇宙船の中で女性宇宙飛行士を妊娠させ、堕胎させるという事件の当事者になる。明日人が結婚していること、女性宇宙飛行士の父親は保守派の副大統領候補の政治家で堕胎には反対派。こうしたこともあって、宇宙船内の事故の発覚は英雄を一気にダーティーなイメージに貶めてしまう。そもそも明日人がなぜ宇宙飛行士になったのか。明日人には東京大地震で失った一人息子の太陽という子供がいた。太陽に向かっていたディブが行き場を失ったことが根底にあった訳だ。事件発覚後、ボロボロになった明日人は結局自分のディブを整理するきっかけをつかみ、最後は立ち直れたのかな・・・ディブを整理して妻今日子との関係を再構築できたところで物語は終わるという理解をした。

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    投稿日: 2018.12.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作者が提唱する「分人」の思想にあまりしっくり来なかったため、ストーリー自体は楽しく追えたけれどイマイチはまりきれなかった。「会社での私、恋人の前の私、家族の前の私はみんな違うけどどれも自分の人格だよね」っていう主張自体はごもっともなのだけど、それが作中で世界的に、ここまで一般的に普及するほどのものかという説得力が感じられなかった。 あとは普通に大気圏外まで出てきて浮気すんなよ、とどんな偉大っぽいことを言っていても下半身に逆らえない主人公がチンケに見えてしまって残念。

    0
    投稿日: 2018.12.13
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    読み終えるまでに6年半かかった 平野らしくない感じで読み進められなかった 分人主義、言いたいことはわかるが昔から言われてることだから今更感

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    投稿日: 2018.11.24
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    火星探査船「ドーン」に乗り込み、人類初の火星探査を果たして一躍英雄となった宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、闇に葬られたはずの火星でのある「出来事」が、アメリカ大統領選を揺るがすスキャンダルに。 近未来の宇宙飛行、ラブロマンス、大統領選をめぐる情報戦…輝かしい要素が満載にも関わらず、この小説が目指しているのはその方向ではないようでした。むしろ惨めで地味な現実が暗雲のように立ち込めています。精神に異常をきたしたクルーの世話に追われ、自らも薬に頼らざるを得ないほど追いつめられる明日人。帰還後は軍事企業のCEOに絡め取られそうになり、妻の今日子とは不和に。 しかし読み進めるうちに、気が滅入るどころか、のめり込む魅力がありました。本書の中で提唱されている分人主義。矛盾や葛藤は断ち切られるべきとされがちですが、それらを抱えたままでもいいじゃないか、と肯定されているようでした。

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    投稿日: 2018.10.22
  • メルクビーンプ星人の野望…。

    メルクビーンプ星人は地球侵略の手先として日本人火星探査ミッションの参加者明日人を選び、地球への侵略を開始し…。うわ、何を、す…。 …嘘です。 内容は近未来社会科学自然科学文学です。SFに分類できないわけではないのですが、恐らく文学と言った方が良いでしょう。特にアメリカ政治に重点が置かれており、そちら側に理解のある人しか読まないと思われます。 ニンジャや明日人の人物設定、リリアン・レインの構成など非常に上手いのですが、SFに定番の科学的新機軸がないし、本人が文学作家なのでやはり文学でしょう。エンターテイメントというには少し盛り上がりが弱いのも難点です。ただ、アメリカ政治を非常に上手く表現しており、その内容は芸術的域にあります。日本から見た”アメリカ”ですが…。メルクビーンプ星人が登場しないのは悲しい点ですが、出版年から見ると、一定の役割を果たした作品ではあるのではないかと感じます。 大江健三郎が引退同然にある今、次代を担う作家として平野氏のような若手には奮起して欲しいものです。 星5つ。

    0
    投稿日: 2018.09.01
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    分人主義の理解を深めようと読む。自分としては「空白を満たしなさい」の方が、よりポジティブな分人主義の理解に役立った。本作は、600ページを超える大作だが、全体を通して暗く陰鬱な気持ちから逃れられない。ただ、分人主義の考え方がなければ、未だに主人公の救いはないのかもしれない。

    1
    投稿日: 2018.01.14
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    表現も独特で、描写も精緻なれど、大事なことは語らないところが少し残念。あと、アメリカである必要性と近未来である必要性に疑問。かなりの長編なれど、ずっとそれを感じたまま。

    0
    投稿日: 2017.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マチネの終わりに、が面白かったのでもう一冊平野啓一郎を読んでみる。遠くない未来、起こり得そうなSF小説。宇宙飛行士を神格化せずに、飛行中に妊娠し、陰謀詭計渦巻く軍需産業、大統領選、テロリズムを同時平行に走らせ、そこに夫婦の問題、親子の問題、震災を絡ませるって、読んでて疲れるよ。でも、普通はとっ散らかって嫌になるところが、しっかりと読ませるところがこの作者の筆力。どこでも映像で監視される社会って、しかもそれがネットで検索できるとか、もうすでにおきかけている。分人主義について、インディヴィジュアルとディヴィジュアルの違いが最初よくわからず戸惑ったが、ここの理解がより深ければ最初から楽しいはず。確か新書で分人主義についての本を出していたはず。読んでみる。

    1
    投稿日: 2017.07.18
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    初平野啓一郎作品。SFだが非常に近い未来を想像させる設定が見事だった。火星という非現実的な環境と、大統領選というタイムリーな出来事、登場人物のリアルな心情部分のやり取りなど、構成要素が上手く絡み合い面白かった。

    0
    投稿日: 2017.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    難しかった。 最後の方はどんでん返しもなく、決まった結末に収束していった感じでいまいち? 若林が勧めてたのです読んでみた。 しかし、純文学って何なんだろう。 これ、純文学ですか?

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    投稿日: 2016.12.06
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    中盤まですごく面白くてぐいぐい引き込まれ、夢中で読みました。 途中から大統領選の描写がかなり細かく長くなり、政治観が色濃く出ていたので著者の価値観どうこうではなくお腹いっぱいになってしまい、失速。 そのままラストは個人的には物足りなく感じてしまった。 が、まるで映画を観ているかのような細かい情景描写が小気味良く、やはり読書体験としては面白かった。

    2
    投稿日: 2016.05.23
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    すごい。こういうのが読みたかった。 今の10代が30代、40代として活躍しているような近未来。 大震災後、有人火星探査、可塑整形、散影(divisual/監視カメラのオープンなネットワーク)、AR(死んだ人間のその後の人生をプログラムし、立体映像化する)、分人主義(dividualism)、生物兵器(蚊)、ウィキノベル(Wikinovel)。 これでもかというほどアイディアが詰め込まれている。 全般的に希望的な未来としては描かれていない。 書かれたのが2009年。東日本大震災以前というのがすごい。 そして、現実はこの小説が持つ雰囲気に近い状態で進んでいるように感じる。

    0
    投稿日: 2016.04.10
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    人間と社会への深い考察を行い、 それを小説の中にわかりやすい形で盛り込み、 読者に考えるきっかけと示唆を与える ということこそが小説家の仕事だと考えると 極めて誠実な仕事を継続的に行っている作家だと思う。 平野啓一郎という作家は。 いろんな概念や象徴、考えが詰め込みすぎなくらいに 盛り込まれているけど、アメリカ大統領選という 2つの対立する陣営の議論を通じて 2元的にわかりやすく構図を持たせているのは さすがだと思った。 キッチンズとネイラーの意見の相違によって 世界はどうあるべきか、正義とは何かという考えが わかりやすすぎるくらい2軸にまとまっていた。 正直、要素を詰め込みすぎた感はあるけれど 若き作家の野心的な意欲を前向きに評価したい。 細部で気になるところもあるけれど この大作をまとめあげた仕事ぶりに 敬意を表したいと思う。

    1
    投稿日: 2016.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    設定はSFなんやけど、近未来の社会情勢を緻密に描いとる。テクノロジーの発達でいろんな自分を使い分けることを身近に捉えるようになった社会から、分人っていう言葉が使われるようになる(対する人やシチュエーションによって自分自身が変わるってのは、古い時代からあることなんやけど)っていう世の中と、政治や経済に絡む宇宙飛行士、大統領選挙に絡む人たちの話。いやぁ、深くまで追求されとる感じでおもしろかった。

    1
    投稿日: 2015.08.29
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    いやー、濃い!「人類初の火星探査に成功し、一躍英雄となった宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、闇に葬られたはずの火星での“出来事”がアメリカ大統領選挙を揺るがすスキャンダルに。さまざまな矛盾をかかえて突き進む世界に「分人(デイヴイジユアル)」という概念を提唱し、人間の真の希望を問う感動長編。」←この内容紹介、ほんとよくまとまってる。偉い!あまりSFっぽくないのは、僕らのメンタルヘルスが物語を異常と感じない域に来ているからか。一般の人がフィクションを書き連ねていく「ウィキノベル」というのが出てくるんだけど、個人的にはそういうのあればいいのになあ、と思いました。

    1
    投稿日: 2015.06.27
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    「人間の体はひとつしかないし、それは分けようがないけど、実際には、接する相手次第で、僕たちには色んな自分がいる。今日ちゃんと向かい合ってる時の僕、両親と向かい合ってる時の僕、NASAでノノと向かい合ってる時の僕、室長と向かい合っている時の僕、…相手とうまくやろうと思えば、どうしても変わってこざるを得ない。その現象を、個人individualが、分人化dividualizeされるって言うんだ。で、そのそれぞれの僕が分人dividual。個人は、だから、分人の集合なんだよ。そういう考え方を分人主義dividualismって呼んでる。」 「似てるけど、キャラって言うと、どうしても表面的な感じがするでしょう? キャラを使い分ける、演じ分けるって言う時、じゃあ、使いこなしたり、演じ分けたりする主体は誰なの? 何なの? って話になる。〈本当の自分〉と〈その場限りの仮面〉っていうすごく古い二元論になっちゃう。 実感としても、僕は、今日ちゃんとしゃべってる自分を、別に無理して作ってるわけじゃない。自然とこうなってる。実家の母親としゃべってる時だって、キャラを作ってるわけじゃない。ディヴは、キャラみたいに操作的operationalじゃなくて、向かい合った相手との協同的cooperativeなものだって言われるんだよ。」 「あと、キャラと違うのは、人がいなくてもいいってこと。誰もいない海とか山とか、そういう外界からの影響で、別の場所にいるときとは違った自分がふと生まれてくる。それもディヴだって考えられてる。関わる人だとか、関わる物事だとかがあって、初めて分化する、自分の中のある一面で、そういう分人が、中心もなくネットワーク化されているのが個人だっていう考え方だよ。本当の自分なんてない代わりに、色んな自分をずっと駆け巡りながらものを考えてるっていう発想なんだ。」 「人を好きになるって、…その人のわたし向けのでディヴィジュアルを愛することなの? それを愛するわたし自身もその人向けのディヴ? 分人? インディヴィジュアル同士で愛しあうって、ひとりの人間の全体同士で愛しあうって、やっぱり無理なの? そこに拘るのって、…子供じみた、無意味なことなの?」 『夕刻の太陽は、半日をかけて東から西へとゆっくり黄道を辿るという、いつもながらの単調な仕事に疲れきっていて、口も利きたくないと言った気色だった。』 「とにかく、彼らを守るために全力を尽くしましょう。今は信じるしかありません。彼ら自身を。そして、ーーまァ、神を。」 「相手が君だということになれば、君の将来は大きな不利益を被ることになる。それを打算的だと言って考えない態度を、私は潔いとは言わない。ナイーヴな、ナルシスティックな馬鹿者だ。」 「わたしにまとわりついて、離れなくなってるたくさんの言葉も、窮屈すぎるし、重すぎるわ。身軽にならないと、このまま、どうかなってしまう。」 「自分が正しいと思うことを、その通りに実行するだけ。それが間違ってたなら、素直にそれを認めて、また新しく人生を生き直すしかない。そういうふうに生きたいの! そういう自分に誇りを持ちたいの! 結果から逆算して、何をすべきかを考えるのが、もうイヤなのよ。…うんざり。」 「あとから振り返れば!ーーそう、何とでも言えるのだ。私たちよりも賢いと思っている人間こそ、バカが戦争するとこうなるなどと、知ったような口を利く。だったらなぜ、彼らはその賢い頭で、あの時、あの状況に関わろうとしなかった? あの恐るべき人権蹂躙地帯で、一体、どれだけのレイプと殺人とが、日々繰り返されていたと思う? 何にもせずに、平和な世界で富を築き、良い家に住み、美味いものを食べ、ふしだらな恋愛を謳歌し、そうした享楽にもそろそろ飽きて、"世界平和"についてでも考えてみようかと思い立った頃に、ネットで調べて、あとから我々の必死の仕事を、ああだ、こうだと論評する!」 「誰も自分の中のすべてのディヴィジュアルに満足することなど出来ない。しかし、一つでも満更でもないディヴィジュアルがあれば、それを足場にして生きていくことが出来るはずだ。君がどうしても、自分の中にそれを見出せないというのであれば、私のところに来たまえ。こうして向かいあって話している君は、なかなか好漢だと思うがね。…」

    1
    投稿日: 2015.05.17
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    前半の3割くらいまで急展開。そっから後はずーっと同じことを執拗に描いてる。と思えた。 希望を持って読み始め、希望がじわじわと追いやられ、困難と絶望に囲まれていく様子がなんかリアル。 少し未来の話で、ぼくら30代がおじいちゃんおばあちゃんになってる頃の話。なのでほんのりSFチック。それがいいかんじ。

    1
    投稿日: 2015.04.15
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    初、平野啓一郎作品。 決してサクサク読めるものではない。 かといって、無駄に難解なわけでもない。 良い意味で「我慢」が必要な作品とでもいうところでしょうか。 有人火星探査機「ドーン」によるSF小説かとおもえば、これはアイテムのひとつでしかない。 この作品で最も重要なのは「デビジュアル(分人主義)」という概念。 「individual(個人)」と「dividual(分人)」 それ以上分割不能な「individual」は、分割された「dividual」の集合体であると。 つまり、一個のアイデンティティのみで生きるのではなく、家族や職場、友達それぞれとの社会、人間関係で、異なった人格を使い分ける、というような考え方。 「人は様々な顔をもっている」、まさにそれを概念化したもの。非常に説得力がある。 この作品には非常に先端的な設定がでてくる。 顔を自在に変える「可塑整形」 領土を持たない国家「プラネット」 防犯カメラのネットワーク化「散影 dibiuals」 ウィキペディアのように、多くの人が自由に書き足せるインターネット上の小説 「ウィキノベル」 ARによる複製人間。アフリカ戦争で使われる生物兵器。 どれもが、近い将来現実となりそうでドキッとさせられる。 主人公は「東京大震災」で子どもを失い大きな心の傷を負うのだが、 この作品が書かれたのが2009年。東日本大震災より前だというのには驚かされた。 色々な意味で新しいタイプの作家だと思います。 ポスト村上春樹? いや、春樹的メタファーはないですけどw

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    投稿日: 2015.03.03
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    とにかく難しかった!読み終えるのにかなり時間がかかってしまいました。 近未来の設定で人類初の火星探索とアメリカ大統領選挙戦、それぞれが別々のストーリとして進み、いったいこの物語はどこに向かうのか全く予想できず、複雑で多い登場人物、そして英語を交えた語彙に混乱気味でした。 特に平野さんがこだわっている「分人」と言う設定。以前トーク番組で語っているのを見たので何となく理解出来たけれど、知らなかったらもっと混乱していたと思う。 ただ、この小説が書かれたのは2009年と言うのに驚かされました。東日本大震災や今のイスラム国、去年大騒ぎになったデング熱騒動など、今の時代を予言していたかのような設定に本当に驚きました。小説としては難しかったけれど、今の世の中に対して平野さんが訴えたいことがちりばめられているような、そんな小説でした。

    1
    投稿日: 2015.02.19
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    相対する人によって対応や態度が変わるのは言われるまでもなく当たり前だと思っていたけど、この「分人」の視点を一つもつと色々考えがまとまりやすくてスッキリする。人を好きになるのは、そも相手だけでなく、その人と作り上げた自分自身の分人をも好きになり、心地いいから。子どもを何人でも愛せるのもそうか。

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    投稿日: 2014.11.13
  • 生きているから、何か社会的に有益なことをするんだ。

    「人間は、社会的に有益だから生きていて良いんじゃない。生きているから、何か社会的に有益なことをするんだ。」 近未来の社会的SF。 有人火星探査の英雄の明日人。だが、その探査中の出来事から心身に不調をきたす。また、大統領選挙にも巻き込まれることになっていく。 かなりの大作で、途中登場人物の関係がゴチャゴチャになるかもしれませんが、おすすめ。

    0
    投稿日: 2014.11.09
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    極めて構造的.緻密な構成と練り上げられた人物達,そして個々人の分人.縦方向も横方向も綺麗な層になっているため,物語としても読めるがそれ以上に分人という思想の一般性を,まるで帰納法的に示しているような印象を受ける.将来再読したときの印象はどう変わるだろうか.

    3
    投稿日: 2014.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間として社会の中で生きるとはどういうことか。 社会の中の個人とは何か。 この世界の中では1人の自分なんてちっぽけな有象無象のひとつだけれど、そこには確かに意思があり、心があり、人生がある。 SFなのだけど、そんなことを考えさせられる人間臭いドラマが描かれてた。 接する相手の数だけ無尽蔵に増えていくdividual に日々、辟易とする。個の喪失。 何処かでは受け容れて欲しいと願ってしまう心情って、きっと誰でも持ってるんだろうな。 無意識のうちに整合性をとりながら人と接してる。 そして今日子さんの心情にだよねー、な感じだった。 もろもろ含めて、希望あるラストだったから、読み終わってほっとした。 わからない所はもう一度読んで振り返りたい。

    1
    投稿日: 2014.07.02
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    決壊を読んでから、平野さんの本を本屋に行く度に探していたのですが、なかなか見つからず、先日見つけて内容もあらすじも確認せずに購入した一冊。 作者買いしました。 平野さんならではの表現が満載で、とにかく文章を楽しめる作品。 この表現が素敵だと思う箇所が何か所もあり、人間の繊細な感情が巧みに描かれていると思う。 またこの作者の本が並んでいたら、作者買いしてしまうだろうなぁと思います。

    10
    投稿日: 2014.04.20
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    作者の提唱する造語「分人主義」がすでに認知された概念として展開してゆく近未来の話。 人類初の有人探査船ドーンで繰り広げられた事件や葛藤、アメリカ大統領選 、軍事介入、生物兵器テロ…など多くの話が折り重なりひとつの方向へ向かってゆく。 時系列も様々なので、前半は特に難解で、時間をかけてゆっくり読み進めたが、中盤から話が繋がり出すと一気に読破。 SFのようなイメージで読み始めたのだけど、むしろ「生き方」の話。整形により様々な顔を使い分け、しかしそれさえも見抜く監視システム「散影」に囲まれくらす、近未来。私たちはどのような顔で、どのような分人たちと過ごしてゆくのか? 深く余韻の残るストーリーでした。

    1
    投稿日: 2014.03.28
  • ドーン 平野啓一郎著

    SFであることを感じさせない人物描写と心理描写。 にもかかわらず、宇宙での生活、NASAの組織、人間関係等を綿密に調査しリアルに表現していると思う。 しかし、「可塑整形」は少々無理矢理なところがある。著者の「分人」という考え方を具体的に表現するために導入されたものと思うが、そもそも「分人」という考え方自体、私には特に目新しい感じがしないので、そこまでして表現すべきものなのか、と思う。 それとも意図的に「分人」の概念を大きく拡張し「可塑整形により他人になりすます事ができる」という前提を作ることにより、ストーリーを面白くしたのか。確かに「可塑整形」は小説にしっかり組み込まれ、小説の重要な要素となっている。 難癖をつけるような事を書いたが、よく練られた、とても良い小説である。 ストーリー展開も良く、楽しく読むことができた。

    0
    投稿日: 2014.01.25
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    圧倒的想像力。これが震災前に書かれていることに驚きを隠せない。そして分人主義という理論。2013日本ベスト。

    1
    投稿日: 2013.12.31
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    この本の前に、『空白を満たしなさい』を読みました。 『空白を満たしなさい』が、平野哲一郎さんが提唱する(?)分人の基本的概念を伝える本であるとすれば、こっちは分人の具体例を伝える本のようです。 自分の生活に引き寄せて、分人について考えられます。 この本でも、平野さんは小説の形を借りて、今回もたくさんのことを語りかけてきます。 分人をメインに扱った本はおそらく3冊あるはずですが、これを最後に読んだのは正解でした。 逆に、これを最初に読むのは大変かも...。 分人の概念もさることながら、政治の話も私にとっては難しかったので。 分人の話が目立つ作品ですが、物語は物語としてもちろん面白かったです。 結構な厚さの本ですが、飽きずに読み進められます。 宇宙飛行士の夫への奥さんの葛藤も好きです。

    1
    投稿日: 2013.10.27
  • 自分ってどんな人間だっけ?

    新書の『私とは何か 「個人」から「分人」へ』のメインテーマを物語の中で理解できる一冊。 人は多かれ少なかれ、他人に相対する時は建前と本音というだけの意味合いではなく、相手との関わり方にふさわしい自分を演出するもの。 しかし、長期間の宇宙飛行から帰還し、英雄として祭り上げられた主人公が「自分とはどういう人間なのか?」が次第に判らなくなっていく過程は、コミュニケーションがいかに大事で、かつ難しいかを 考えさせられる。3,11を経験した今読むと結構意味深です。 しかし、ストーリー展開は早いのでわりとサクサク読めます。

    2
    投稿日: 2013.09.25
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    2009年の第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品。 SFなんだよね? 微妙に難解。 時系列が一定ではないことと、その時系列の不安定さに加え、 分人主義(dividualism)が、更に難解さを増している。 《散影》って、Googleに代表される検索社会の風刺でしょうか。 この点については、まか、そういう事もあるかと。 もう少し分かりやすく書かれていれば、もっと良いと思うんですが・・・。

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    投稿日: 2013.09.07
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    火星探索、SF、とそれにからむ謎、大統領選挙などなど、話がぐいぐい進んでいくので、一気に読んでしまった。文章もすごく読みやすくて、気持ちよかった。特に比喩が秀逸。テーマも面白くて、これは何度も読むと思う。

    0
    投稿日: 2013.07.28
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    初めての平野啓一郎。 籠原スナヲさんがblogで批評を書いてたのを見て、当初何を言ってるのか判らなかったので理解するために読んだのだが、すっかり引き込まれてしまった。うまいなこの人。と思ったら、芥川賞作家だった。失礼しました。 一応設定は未来だけれど、彼女の言うとおり、これは我々(ネットの端々でそれぞれ別なペルソナを生きている我々)にとって、今、将に生じてきている現象ですね。ボクなんかは、ある意味、リアルライフにそういう概念が浸食してくるのがイヤであるがゆえに手を出せないネットワーク上のサービスがいくつかあるんですが。え?どのサービスかって?それをおおっぴらにするのは今ここにいるdivがやることじゃないよ。 いろいろ面白かったけれど、リリアンのことを評して「過剰な」と表現した時の言ってやった感が一番光ってたかな。彼女は、かなり作品世界の犠牲になってる(いろいろ作者の都合で設定されまくっちゃってる)キャラではあるけれど、その中でも、この「過剰」であることが、今日子の明日人への思いや、共和党・民主党陣営のそれぞれの思惑に影響を与えていること、それは、ひょっとしたらある種の人達にとって不快なことかも知れないなと思った。この発言もかなりヤバイですがね。

    0
    投稿日: 2013.07.24
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    作家・平野啓一郎氏が近未来の宇宙とアメリカの次期大統領候補選を舞台に描く『分人主義四部作』です。壮大なテーマの裏で描かれるあまりにも人間的、かつ普遍な問題をこれだけの力技でまとめる技量がすごいです。 芥川賞作家・平野啓一郎氏が近未来を舞台に『分人』という新しい概念を提唱し、ひととひととの「つながり」と希望の在りようを問う長編小説です。平野氏の作品をいつも読むたびに思うのですが、構成力・文章力・語彙力の高さに驚かされます。 物語は医師でもあり宇宙飛行士の佐野明日人が人類初の火星探査に成功し、一躍英雄となったところから始まります。しかしその『成功』の裏であるスキャンダル。同じクルーであったリリアン・レインと関係を持ち、妊娠させ、火星で堕胎手術を行い、彼女の命を危機にさらしたという『悪と恥』を持つがゆえ、その父である大統領候補であるアーサー・レインの深刻なスキャンダルに発展していく、というのが大まかなところです。 宇宙での出来事や、地球に帰ってきてからの明日人の妻である今日子との会話や、対立候補であるローレン・キッチンズとの間で繰り広げられる熾烈なまでの大統領選が、綿密な構成と、膨大な情報量で構成されているので、読むのにはものすごく骨が折れますが、一度『ゾーン』に入っていくと引き込まれるものがあるのです。その中でもダークヒーローである軍需産業会社デヴォン社の社長であるカーボン・タールという名前からして真っ黒な登場人物が帰国後に薬物中毒になりながら、悩み続ける彼にまさに『悪魔のささやき』といいたくなるほどに憎らしい言葉をかけているところは印象に残っていて、彼にも『正義』や『愛国心』があってのことだということが物語後半部の東アフリカ(おそらくソマリアかと思われる)への介入に「ニンジャ」という生物兵器を使ったことの正当性を論じる部分に、感じ入ってしまいました。だからこそ、彼を完全に憎むことはできないのです。 しかし、物語に大きな転換をもたらすのはリリアン・レインで、彼女がその兵器を開発することに携わっていたことや、明日人の「関係」をインタビューに応じるという形で赤裸々なまでに告白する場面には、本当にアメリカという国の持つさまざまな部分や、『中絶』という問題が『信仰を試される』ほどに微妙極まりない問題ということはかつて観たモーガン・スパーロック監督の『30デイズ』で知っていたつもりでしたが、それを改めて確認したような気がいたしました。 ラストは明日人と妻の今日子の夫婦としての『その後』が必ずしも順風満帆な船出ではないということを予感させるものですが、今日子の言うところの 『ひとりの人間の全体同士で愛し合うって、やっぱり無理なの?』 という問いに平野氏いわく『保守的なところに落ち着いた』とのことですが、あぁ、なるほどなぁと思わせるような結末で、その意味については我々が個人で出すものなんだと思いつつ、最後のページを閉じました。 平野氏の作品の中では『比較的』文体の面ではやさしくなっておりますが、内容とテーマはすごく難解で、正直、読む人を『選ぶ』かとは思いますが、人との『関係』について思うところがある方は、手にとっていただけるとありがたいです。

    7
    投稿日: 2013.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読む前に、心構えが必要。 SF小説?って読んでしまうと見誤る。 分人三部作、ってだけで読むと、近未来という背景の設定が煩わしい。 未来社会における自己の在り方、人との関わり方を問う作品であるとともに、未来におけるテロ、戦争の意味、政治などテーマは壮大である。読み手としては、まずここを自覚的に捉えないといけない。  その上で読み進めていくと、この小説は、結局のところ、1対1のディヴィデュアルの在り方を問う小説に帰結すると思う。政治も結局は1対1のディブなのだ。複雑な人間の関係性を親子、夫婦、兄弟、民族、支援者、いろいろな階層の関係性に落とし込んで考えることを要求している。未来を舞台にしているので、その関係性に「可塑整形=顔の規定しない人間」や、「散影=記録としての情報」や、「有人火星宇宙船内という著しく閉じた空間」などの要素が入り込み、重層的な構造を生み出している。それだけにこの小説は、前提として、その面倒くさい糸を解く作業を厭わない人にだけ開かれている。  この小説の複雑なテーマの一端は、「空白を満たしなさい」でさらにシンプルな形で呈示されるが、逆行性に空白〜からドーンへという順序で読んでみれば、これほど刺激的な読書体験はなかなか無いのではないか、と思う。  さらに言えば、「何度も読み返したい」と思う小説に出会うことはそう多くないが、読み終えてそう思わせてくれる小説であったことを付け加えたい。

    6
    投稿日: 2013.06.01
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    近未来のアメリカを舞台にしたSFサスペンス. 以下,感想. とにかく内容盛りだくさんの小説.「散影システム」,「可塑整形技術」,「AR」といった近い将来,現実化しそうなツールをちりばめて,現代社会が抱える問題を浮き彫りにしている. なかでも,もっとも重要な鍵となるのが文中で度々話題に上る「分人主義dividualism」という考え方.人間は関係性によっていくつもの「表情,性格,考え方」をもつ.これは意識的に演じ分けているわけでも,制御不可能に人格が分裂しているわけでもない. 自分という定まった人格が一個しかないというのはおそらく幻想で,自分はいくつもの分人を抱えた存在であると考えるほうがしっくりくる.分人同士が調和がとれているときには問題はないが,分人同士がせめぎあうときには葛藤が起こりストレスが溜まってしまう.もしかしたら,多くの人間が互いに複数の分人を抱える存在であるということを了承すれば,いくらかそのようなストレスは緩和されるかもしれないと思う.SNSやグローバル化で人間関係が肥大化した現代社会においては,このような問題が顕著になってくるかもしれない.

    0
    投稿日: 2013.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人類初の火星探査船「ドーン」のクルーとなり「英雄」となった日本人医師を主人公とし、その夫婦関係やアメリカ大統領選を中心に物語は進行する。さらに、米国覇権主義と軍事産業、第三国への軍事介入、生物兵器によるテロ、など多彩な主題を盛り込みつつ、主要人物の葛藤(モノローグ)を貫く視点として、分人主義(dividualism)が(2030年代にはすでに社会的に認知された概念として)提示されている。 「誰も自分の中のすべてのディビジュアルに満足することなど出来ない。しかし、一つでも満更でもないディビジュアルがあれば、それを足場にして生きていくことが出来るはずだ」 前作『決壊』の主人公たちは頼るべき足場=分人を見つけられずに絶望的な結末を迎えていったのだが、葛藤で窒息させられそうになった本作の主人公たちは、分人という視点から自己を見つめなおしていくことによって生きる道や希望を見いだしていくに至る。すでに社会に分人主義が浸透しているという未来を設定した意味がそこにあるのだろう。けっして明るくはないが、受動的ではない主体的な救いに終結していて、救われた。

    0
    投稿日: 2013.02.05
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    記録メディアの発達と共に顔の重要性が変化していくっていう話が面白い。 昔は顔なんて曖昧なものだったけど写真やビデオに取るようになって重要性が増して、整形も増えていった。 で、未来に防犯カメラを通した顔のネット検索が出来るようになると、今度は仕事や趣味などで別々の顔(性格)を持ってるのに、ネットで統合されたくないなってことになり、自由に形を変えられる可塑整形をする人が出てくる。 そんな近未来の話。 アフリカ戦争の話はどういうふうにテーマが絡んでるのかいまいちわからなかった。 面白かったけど結構読みきるのに時間がかかった。

    0
    投稿日: 2013.01.11
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    【内容】 2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは?愛はやり直せる。 【感想】 オードリーの若林が帯を書いている。 「2036年、人類は相も変わらず悩んでる。どんな顔で生きればいいのだ?」 これは的を得てる。この本で言いたかったのはそういうことかなと思った。 ポルノグラフィティのアポロの歌詞にある「僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったっていうのに、僕らはこの街がまだジャングルだった頃から変わらない愛の形を探してる」 うん、これがピッタリ。 火星に行くストーリー展開の必要性、分人理論、散影システム、大統領選、どれも必要だったのかな?って感じた。 話を複雑にして、肝心のテーマがとってつけたようになってしまっている。 かと言って冒険小説では決してないし、うーん、微妙。 でも、最後、なんだかんだあったけどハッピーエンドだったし良しとしよう。

    0
    投稿日: 2013.01.10
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    『空白を満たしなさい』を読むために前もって読んでみた初めての平野啓一郎作品。 この人の想像力は現在からきちんと未来に向いているのだなと思った。展開や問題定義、そして終焉に向かって。なんだかうまい、でもなんかうまくはぐらかされているような気もする。 ただ、この作品は読み応えがあって分人などの要素もうまく展開に使われていてさすがだなと思った。

    0
    投稿日: 2012.12.03
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     芥川賞作家がエンターテインメント小説を書くとこうなるのか、というような印象をうけた小説だった。  2030年頃のアメリカが舞台で、宇宙開発と大統領選挙、情報化社会、戦争などが複雑に絡み合った中で、人と人の繋がり合いを巡ってストーリーが展開していく。  著者が新書でも発表していた「分人」という考え方と、世界中の防犯カメラの映像を現在のGoogleのような会社がネットワーク化して誰でも検索できるようにした「散影」というシステムなどが物語を深く掘り下げていくファクターだとすれば、物語を前へ押し進める原動力となるのは、火星探査という二年半におよぶミッションから帰還した有人宇宙船《ドーン DAWN》内で起こった謎と、戦争を争点とした大統領選、およびそれに蛭のようにベットリとまとわりつく陰謀だろう。  それら「下へ掘り下げる力」と「前へ進もうとする力」のバランスは、とても難しいものだと思う。同じく芥川賞作家の花村萬月はエンターテインメント小説に必要なのは「無責任さ」とどこかで語っていたが、それはおそらく「前へ進もうとする力」であり、これは「下へ掘り下げる力」によって抑制される。  東野圭吾などのトップクラスのエンターテインメント小説の作家は、その「無責任さ」をうまく使いこなしているのだろう。謎を提示し、それを伏線とし物語を前へ進め、回収すること自体をまた伏線とする—。そういった技術はおそらく職人的であろうし、誰もができる芸当ではないだろう。  個人的には前へ進むだけの小説はどこかテレビ的で不健康な感じがして苦手なのだが、それがないといわゆる「文学的」な代物に仕上がってしまい、今の世の中、物好きな人間しか読まない「ありがたい」小説になってしまう。様々な暇つぶしが世の中に溢れている今の時代、どちらか一方だけでは「コンテンツとして」使い物にならない。  そういった意味では、この『ドーン』という小説はとても欲張りな小説だ。話の先がとても気になり、かつ、苦悶する登場人物や設定された社会の構造から重大な問題提起をされる。危うい白線の上をそのふたつが絶妙なバランスで進んでいき、気づいたらよく見たことのある場所へたどり着いていた。そういう爽快感を伴ったゴール設定は「流石」と思わず唸ってしまった。  村上龍の『半島を出よ』にも勝るとも劣らない、重厚で美しい作品だ。と同時に、こんな真似は到底できない、という妬心にもにた感覚を覚えるような作品だった。

    1
    投稿日: 2012.11.19
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    平野サン。今まで難しそうで手を出したことなかった 初めて読んでみたがやっぱり難解。 でも、おもしろい…というかやめられない止まらない。 宇宙系/政治/人間関係/ お腹いっぱいな感じだけど 読み終わるとちゃんと腹八分目。おみごと。

    0
    投稿日: 2012.11.10
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    平野啓一郎は気になりつつ、ちゃんと読んだのはこれが初めて。 「ディヴィジュアル」「散影」「プラネット」など、未来の社会制度の描き方が非常にリアルで、「あり得べき未来」という感じを受ける。筆力あるなー。 次は、『葬送』あたりを読んでみたい。

    0
    投稿日: 2012.11.05
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    平野さんはクラシカルなスタイルの人だと改めて思う。 これは近未来小説なのだけれど、ディヴィジュアル(分人)というタームを定義して、社会の読み解きを行う(とりわけネットがわれわれに与える影響とか)というやり方自体がとても古典的だと思う。古典的ということは、ある程度予想できる面白さが保証されている、ということでもあるけれど。 明日人(アストー)の心の崩れ方がもう一つ納得いったのかいかないのか自分の中で消化不良気味であった。宇宙船内では常識では考えられない心理状態に陥る、というのは何となくは想像はできるのだけれども。話の面白さをそいではいけないので、詳しくは本の中を。 「宇宙兄弟」に日々人(ヒビト)って出てくるけど、どっちかが意識しているのか? それとも偶然?

    0
    投稿日: 2012.10.27
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    普段あまりSFは読まないけど、面白かった。 宇宙での出来事よりも地球での出来事の方が圧倒的に詳しく書かれているし、書かれている宇宙での話は「火星への有人飛行に成功した」という事実から連想されるような華々しさからは程遠い。 政治や技術、社会と、話はどんどん広がっていくが、結局著者が描き出したかったのは、人と人のつながりだったのではないかと勝手に想像してみる。

    0
    投稿日: 2012.09.23
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    正直よくわからなかった。片道二年?かけて火星に行く話。政治とか思想がからまって複雑。でもビジュアルという思想は面白いと思った!

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    投稿日: 2012.09.15
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    2036年の物語。(25年したら再読しようか) 読んでいて、divisualという発想がなかなか面白かった。 また、最近ちょっと話題になっている監視カメラについて、「特定の者だけがその内容を見ることができる危険性」(例えば警察であるとか)についてのコンセプトもなかなか面白かった。 監視カメラの内容はすべてネットに公開してしまい、誰でも顔検索ができるようになっている社会の物語なのですが、25年後、いったいどうでしょうか??

    0
    投稿日: 2012.08.19
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    近未来SF作品だけど、ストーリーの中心は、人間が複数持っているディビジュアルという、いろいろな人に対しての違う顔に、アイデンティティがある話。中途半端なSFにストーリーで、全くついていけなかった。

    0
    投稿日: 2012.07.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    会話主体でストーリーが展開していく。時間が前後に行ったり来たりで分かりにくい。ジャンルは、SFなのか、ミステリーなのかわからないが、細部にこだわってるところは理解できるが、全体が掴みにくい。

    0
    投稿日: 2012.06.30
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    「真実」から疎外されることへの不安が高まる社会で、それでも可能なコミュニケーションのあり方とは何か。他者の部分〔=分人〕とコミュニケーションし続けること。そのとき「全体」〔=個人〕を措定する必要はない。「自分の知らない顔〔=真実〕」があると怯える者は「全体的コミュニケーションの不可能性という絶望」を感じる。だが、全体性への渇望に決別できる者には「部分的コミュニケーションの可能性という希望」が与えられる。それが分人主義 dividualism の真髄だろう。 分人 dividual 散影 divisual 無領土国家

    0
    投稿日: 2012.06.27
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    近未来SFという難しい舞台・道具と、もうすぐ露になる問題の予兆を丁寧に取り扱ったいい小説。 個人(in-dividual = 分けられない)と分人(状況に応じた人格の緩やかな統合)の考え方、リバタリアンとコミュニタリアンの軸足の違い、名誉と希望など、小説というフォーマットでこそ向かい合いたい問題だ(あえてテレビにするならNHKの特集か)。 近未来SFは、調べずに描くと絵空事になるし、調べて描くとリアリティは増すけど(娯楽としての)小説ではなく新書みたいになってしまうしバランスが難しいところ。火星有人飛行の実現性はともかく、監視カメラの検索エンジン・インターネット版や人格の分断使い分けは「ほぼ今日明日の問題」と思える。 ただし、欲張り過ぎ詰め込み過ぎで消化不良ぎみ(作品がand/or私が)。 AR(拡張現実)の認知面の話しとAI(人工知能)のまぜ具合とか、それだけでお茶碗三杯くらいおかわりできそうなトピックがぶちまけられている感じ。

    0
    投稿日: 2012.06.26
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    私には理解できない小説でした。正直。 「火星でいったい何が」の文句に騙されました。 ってか私の読解力の無さに尽きますが。 しかし、まぁ芥川賞作家さんは、やはりエンタメ路線には寄れないんですかね。なんか壁を感じるなぁ、この作家は。 「別に火星じゃなくともよかったんでないの?」

    0
    投稿日: 2012.06.16
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    日本人の宇宙飛行士、明日人を主人公に据えた冒険物語。 近未来の設定で、過去に東京大震災が起きたということになっている。NASAのチームとして火星探査に向かう日本人クルーである明日人含めた宇宙飛行士たち。一方、アメリカの次期大統領選の攻防、そして東アフリカでの戦争行為。3つの事象が絡まりあい、ひとつの形を作り出すストーリーは、かなりの大作感があると思った。政治的にも、心理的にも、お腹いっぱいになる物語です。

    0
    投稿日: 2012.06.15
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    人類初の火星探査に成功し、一躍英雄となった宇宙飛行士、佐野明日人。 しかし、闇に葬られたはずの火星での出来事がアメリカ大統領選挙を揺るがすスキャンダルに。 さまざまな矛盾をかかえて突き進む世界に「分人」という概念を提唱し、人間の真の希望を問う感動長編。 最高の純文学にして究極のエンターテインメント! 2033年、人類で初めて火星に降りたった宇宙飛行士・佐野明日人。 しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。 世界的英雄・明日人を巻き込む人類を揺るがす秘密とは? 火星有人探査などのSF小説かと思っていましたが、メインは「分人主義」 いわゆる、一人の個人(individual)は複数の分人(dividual)をもつ。 という発想が主題の作品。 人は一個のアイデンティティのみで生きるのではなく、家族や職場、友達それぞれとの社会/人間関係で、異なった人格を使い分ける、というような考え方が「分人主義」で、この考え方をある程度社会的に受け入れた未来のアメリカが舞台になっています。 近未来的でも有り、現実的な部分も垣間見る事ができた作品でした。 作品の中に出てくる『ディヴィジュアル』という考え方。 たしかに人間はそのようにTPOにあわせて変化する場合がある... 複雑な問題を扱っている小説の反面、凄く単純な人と人の繋がりの大切さ、そして今の時代にあっても変わらぬものを、この小説を通して強く感じることができました。 読んでいて映像化してもおかしくはない位頭の中で想像が膨らみました。 まだ読んでみえない方は是非読んでみて下さい。

    0
    投稿日: 2012.05.30
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    3.11の1年8ヶ月前に刊行された平野啓一郎の書き下ろし長編小説。 文庫になって初めて読んだら、これが傑作! 全ての素晴らしい小説がそうであるように、この作品もいろんな読み方が出来るでしょう。 例えば「Facebookの私って、ホントの自分と違う」なんて悩んだことが一度でもある人は…というのは、他でもない僕なんですけど、この小説で提示される「分人」(dividual)という概念に触れて、これでいいのだって納得しちゃうのです。

    0
    投稿日: 2012.05.21