
総合評価
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powered by ブクログ『中年にこそブッ刺さる「ほっこり」恋愛小説』 「蛇にピアス」の金原ひとみさん、ずっと気にはなってたんだけど、ついに本作で初読み。 主人公&まさかさん&平木さん達が醸し出す「ほっこり感」が本作の魅力ですねー( ̄∇ ̄)笑 個人的には「人生はいかに楽しく暇をつぶすか」だと思っているので、こんな風にずっとふざけ合える関係ってすごく理想的だなと思いました(´∀`) あと、考察も鋭くて「デフォルトマンとして弱者の気持ちを鑑みる必要に駆られたことのない人ほど、おじさん化しやすい」あたりは、薄らと感じてたことをめっちゃ上手く言語化してもらえたなと(笑) ちなみに、何となく綿谷りささんっぽい作品なんだろうと思ってた(同時期の芥川賞受賞だったので勝手に笑)んですが、そんなことは無かったです(笑) 作品としてはけっこう読みやすい方かなと。 <印象に残った言葉> ・浜野さんと出会った日から一睡もしてません(P123、まさか) ・デフォルトマンとして弱者の気持ちを鑑みる必要に駆られたことのない人ほど、おじさん化しやすいんだと思います(P129) ・個人的に欲しいものなんて人にはないのかもしれない。その時々に置かれている環境、自分の立場、ホルモンなども含めた体のバランス、そういったものが合わさった結果として「恋人が欲しい」「子供が欲しい」「権力が欲しい」となるのであって、結局のところ、許せないものはあったとしても、手に入れなければならないものなど、人間にはないのかもしれない。(P176) ・あの五つの卵子を破棄してくださいと依頼して、無気力に陥ってから十年以上経った今、初めて報われた気がした。(P180) <内容(「BOOK」データベースより)> 新しい世界を見せてくれーー。ルーティンを愛する45歳事務職×ホスクラ通いの20代パリピ編集者。同じ職場の真逆のタイプの女から導かれて出会ったのは、忘れかけていた本当の私。 「この物語は、中年版『君たちはどう生きるか』です。」ーー金原ひとみ 仕事と動画とご飯というルーティン。 それが私で、私の生活だ。自分には何もない。(本文より) 毎日同じ時間に出勤退勤し、同じようなご飯とサブスク動画を詰め込む「ルーティン人生」を送る、45歳一人暮らしの「兼松書房」労務課勤務・浜野文乃(はまのあやの)。ある日、上司の指示で、「捻挫で三週間の在宅勤務」を続ける編集者・平木直理(ひらきなおり)の自宅へ行くと、そこにはホストクラブの高額レシートの束や、シャンパングラスと生ハム、そして仕事用のiPadが転がっていてーー。 Amazonオーディブルで大反響! 「登場人物全員が愛おしい」「今の自分に必要な作品」「最後は感涙」…etc. 慣れきった日常に光を与える、爽快ミラクル・ストーリー!
31投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
地味でひっそりと惰性のように生きる主人公に親近感を抱きつつ、でもキャラの割に饒舌すぎないかと違和感もありつつ、そんなウマい話があるかなーと疑問を持ちつつ、でも読み終わった時はハッピーな気持ちになった。 ナチュラルボーンチキンにも矜持はあり、地味で真面目な人も追い詰められれば大失敗があり、いわゆる通常ルートから外れた人生にも美味しいご飯や昼飲みの権利はある、と思うとワクワクします。
3投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログ45歳の主人公の人生のお話。年齢が近いこともあって親近感はわいた。話もまぁまぁ面白かった、けどもう一捻り、もう一歩深さが欲しかった。特に終盤にかけての過去の回想の当たり。女性には響くのかもしれない。
2投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ読んでて、主人公の脳内や会話が多くて、話す勢いに圧倒された。ずっと話す話す。笑 この作家さんは癖強だ〜と思った。笑 平木直里(ひらきなおり)、かさましまさか、名前も癖強くて笑ってしまった 凝り固まった頭とか、昭和的な考えとか、ぶっ壊してくれるような文章が爽快だった。 ぶっ壊して、今のままでいいんだって包み込んでくれるような優しさもあった。 中年になってまた呼んだら感じ方が違うのかもしれない。 まさかさんと出会って、朗らかに軽くなったような文乃の変化がよかった。 不妊治療のリアルも少し語られていて、苦しくなった。
4投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
"この物語は中年版「君たちはどう生きるか」です" 正体不明のモヤモヤに苛まれていた週末、派手な装丁とこの一文が目に留まり縋るように手に取った本。最高。モヤモヤをぶん殴って踏み付けてくれた気分だ! ルーティンを愛する45歳事務員の日々を突然ぶち壊すホスクラ通いのパリピな後輩。 2人の掛け合いがとても面白い。ドドドと畳み掛けてくるような文章が心地良くなってくる。私はルーティンに縛られている側の人間で、その状況に安心感を覚えつつこれでいいのか…と日々悶々と生きているタイプなので、油断すると投げ付けられた文章に時々グサふ リとやられたのだけど。 なんというか、いつか死ぬだけやん、私は私で開き直って行こうぜ、みたいな爽快な気分にさせてくれる物語だった。締め括りもとても良かったなぁ。まさかさんが不思議素敵男子でとても好きだったのだけど、本名が不意打ち過ぎて声出して笑ってしまったことをメモしておく。うああ、面白かった! 〇「この歳の僕らにできることはあんまり多くはないかもしれませんけど、死ぬまでまだ、結構時間はあるはずです。美味しいものを食べたり、お酒を飲んだり、深夜目が覚めちゃった時に電話することも、僕らにはまだまだできます。そのうち脂っこいものとか、辛いものはめっきりだめになっちゃったり、お酒はお茶とか、白湯とかになっちゃうかもしれないし、毎日四時とかに目が覚めるようになるかもしれないけど、今は今できることを、していきましよう」
3投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ2004年20歳で、『蛇とピアス』でデビューした、金原ひとみ。衝撃的な本だった、というかちょっと気色悪かった。それから、20年余すぎて、40歳代になった著者の本を読んでみた。 『ナチュラルボーンチキン』という題名。日本語に訳すと「生まれつき臆病な人」とでも訳すのかな。 主人公は、大手出版会社の兼松書房の労務課で働く、浜野文乃で、45歳。とにかく、この浜野が語り続けていく。45歳の独白という語り口で、構成される。とにかく、文字でページが埋まっている。心の中の声も含めて、話し続ける。45歳の女の人の話も悪くないと思いながら、読み続ける。そして、主人公は何に悩んでいるかが明らかになっていく。 野菜と豚肉を焼肉のたれで炒めたものと、パックご飯を食べながら、スマホを見ているという平凡な日常が語られる。趣味もなければ、特技もない。一人きりでご飯も仕事も過不足なく、波風のたたない生活を10年近く続けているのだ。何もない生活に慣れてしまっている。生きることの意味を見出せない時代の中で、45歳の浜野は、淡々と仕事と生活しながら、受け入れている。生きている意味さえも問いかけることはしない。仕事も生活もルーティンでこなしていく。 浜野は「私は過剰が苦手だ。慎ましく謙虚で、目立たない人生を求めているし、驕り高ぶった人や慢心している人、高慢だったり尊大だったりする人を見るとザワザワする。まさにこういう人間こそが苦手」という。 スケボーで転んで、怪我して在宅勤務をしている編集部の入社5年目の平木直理(ひらきなおり)の家をたずねることで物語は展開していく。編集部は自由に時間を使うし、その中でも平木は目立つ存在だった。彼女の部屋に入ったら、ホストクラブの20万円近くの領収書があって、キャッツという男に入れ上げているのだ。「会社に行くより、ホストクラブに行くのが楽しい」と平気でいう。そして7階の部屋は普通だが、バルコニーは大きく、夜景が見える。そこで、平木は全裸で過ごしているようだ。そういう20歳代の平木を眩しく見る。そして、時折平木とランチに行くようになる。平木は、3000円の中華食べ放題に浜野を連れて行ったりする。美味しそうだ。 平木は、とにかく浜野を連れていきたいところがあると言って、強引にパンク音楽コンサートに連れていくのだ。「チキンシンク」というバンドの強烈さに、目を回すほど驚く浜野。そのコンサートが終わって、一緒に平木と飲んでいるところに、ロックバンドのメンバーがやってくるのだった。そして、浜野の隣に、ロックバンドのヴォーカリストが横に座って、あれこれと話しかけてくるのだ。そして、もろきゅうをぽりぽり食べるのだった。ヴォーカリストは「かさましまさか」であり、ファンからはまさかと呼ばれている。本名は、松阪牛雄だ。 浜野とまさかとの会話のテンポがいい。そして、次第に浜野は、心を開いていく。バツイチであること、なぜ結婚がうまくいかなかったのかなどを話す中で、浜野はじっと聞き、その受けごたえがいいのだ。「お付き合いしていませんという体のお付き合い」を始める。そして、まさかが、随分前に兼松書房でアルバイトで働いたことがあった。浜野は全く思い出せなかったが、物語の終わりに、フイと思い出すのだった。ふむ。話の組み立て方が上手いね。 浜野がなぜ編集者の夫と別れたのかが、リアルに描かれる。実際、金原ひとみの夫は編集者だった。そして離婚もしている。実体験がそこから浮かび上がるような現実がある。なんと言っても、まさかの素朴で素直で思いやりがあるのがいいなぁ。まさかにとって浜野は憧れのマドンナだった。
2投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログ最初は主人公の日々のルーティンで親近感湧いてわくわくした。途中で他人の家に躊躇無く入って行ってしまい、現実味が一気に無くなってしまった。主人公はそういった一面を持っているからその後の多くの出会いを引き寄せている。それが才能じゃん…平凡な人間じゃないよ…という感想。
1投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ読まず嫌いしていた金原ひとみさん。句読点少なく若者の話し言葉が続いていく感じなど、本来は苦手なはずなのだが、まったく嫌な気がしない。判で押したような生活を送る主人公に、激しい過去があったことに驚き、その過去の部分の目が覚めるような辛い表現に打ちのめされるのだが…そうでしたか!そうつながるんだ!終始、まさかさんの立ち居振る舞いの品の良さにも感銘。と同時に金原さん自身も、とても品のいい人なのではないかという気がしている。
1投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ大人の恋愛話。 飲みすぎで食べ過ぎ。 文字数、多い。 畳み掛けるような文体は面白くて好き。 登場人物2人の名前が面白い。 浜野は 最初の頃とは同じ人とは思えぬ重い過去がある。 面白い本でした。
1投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログオーディブルで聴いた。 疲れている時に聴いていて、癒された。 こういう小説が読みたかったのかもと思った。 まず、平木なおりというちょっとぶっ飛んだ友達が良いキャラすぎて、こういうキャラってつまらない毎日を送って疲れ切ってる主人公や読者の私にとって、ほんとに癒しで素敵と思える。 そして、とっても都合の良い彼氏ができるところは、あんまり現実味がないけれど、でも癒しな存在だなと思った。
14投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログやっぱり金原ひとみは面白い。心に波風を立てないためにルーティンを愛するのもわかるし、それをぶっ壊すのが平木直理みたいな子なのもわかる。そこからごろごろ転がって出会えたのがまさかさんなのも良い。
1投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ1フレーズが長いのに、読みやすい。 テーマとしては珍しくないのに、妙にスパイシー。重さと軽さのバランスが絶妙で爽やかな読後感でした。 主人公のぐるぐる回りながらあらぬ方へと行ってしまう思考も、共感したり、うふふと心をほぐされたりしました。 金原ひとみさんの文章が好きです。 育児に関するエッセイはいまだに忘れられないし、金原さんが書いた書評の本は、面白そうで買ってしまいます。
48投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
オーディブルのための書き下ろし っていうのがもう新しい! そうかイマドキは「聞く」のか と思って読み始め 文体のテンポ感に あらこちらもイマドキな感じ 平凡に日々ルーティンをこなすように生きる主人公と ぶっ飛んだ同僚(出社してこない) なんでこの二人が 仲良くなるのか 人生ってわからないもんだ などと思いつつ読み進めると これまたぶっ飛んだロックバンドのライブに連れて行かれ 不思議体験(ライブ)にくらくらしているうちに そのバンドの打ち上げに参加することになって (なんなんだ?この話?) そのうちへんてこりんなボーカルとも 心通わせいい雰囲気に … なんなんだこの話!! と面白くなりつつあるところへ 自分を殺すような生き方をしている主人公が なぜこうなったか が ガーンとやってくる こ これは 読ませるわ〜 しまいにゃ〜 脳内でローリー(すかんち) (そもそもこのへんが感覚古いのか…) に変換されていたバンドボーカルまでが イケメン(内面)に思えてくる 君と好きな人が百年続きますよに と 一青窈まで脳内登場 しかし 夜中に読むものではなかった いちいち食べるシーンがおいしそう
2投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公に感情移入しすぎるくらいだった。職場と家の往復で基本的にルーティン通りの1日を過ごしてることが多いし、新しいことをやろうとも思わない。 でもこの本を読んで、新しい出会いとか挑戦って何歳になってもしたほうがいいなって前向きな気持ちになれた。 出版社の労務担当として働く浜野は怪我で在宅勤務を続けている平木の家に様子を見にいくことになる。平木はとにかく破天荒で(主観)浜野とは正反対。でも毎日が楽しそう。そんな平木と知り合いになり、一緒にランチに行くようになり、平木とライブに行くことになる。とは言ってもライブと言ったら浜野は来ないから黙って連れてこられたのだけど。 そのライブ後に二人で飲んでいると、そこにやってきたのはさっきまでライブをやっていたメンバーたち。平木と知り合いだというメンバーたちと一緒に飲むことになった浜野。平木と知り合ってから、どんどんと浜野のルーティンが崩れていくが、同時に世界が広がっていく。 浜野が抱えている過去も含め、前向きに生きていくことに勇気をもらえるような作品だった。
7投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログ第一子の流産、夫が非協力的な状態での不妊治療を経て離婚した経験のある文乃が、離婚後に誰かと関わることを一切やめて、一人だけで同じルーティンを繰り返す日々を過ごすことになったのは、共感してしまう。 がんばって、がんばって、でもどうにもならなくて、心が折れた結果なんだと思う。 でも、当時のこの必死ながんばりと、叶えられなかった望みのことを、まさかさんが「でも、やり切ったじゃないですか。」と言ってくれたことが、とても救いに感じた。 まさかさんとの出会いは、ルーティンの道を外れたからこその産物で、その道を外れたのも文乃が意図しない事故的なものだったけれど、人生を諦めていた文乃がまさかさんと出会えて本当によかったと思った。
13投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログaudible80冊目。 おすすめに出てきていて何となく気にはなっていたもののスルーしていて、読みたい作品がひと段落した折りに、これまたぬるっと、何となく読み始めてみました。 それほど期待もしておらず、かつ、作品の前情報もなく、本当にぬるっと世界に飛び込んでいったのですが、ところがどうして、とても面白かったです。 主人公はじめ、登場人物たちが「いなさそうでよくいる」タイプばかりだと感じました。 ちょっとズレてるような感覚ややりとりが、実は現実世界でもよく見られる気がして、あまり抵抗なく作品に入り込めます。 30代後半くらいの世代に刺さりそうな内容です。 何となく生きづらさを感じながらも、ひっそりと、淡々と、日々を真面目に暮らす大人たちにおすすめ。
2投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログ他人と関わるからこそこんな目に遭うのだ、という前の夫との結婚生活と、平木さんやまさかさんと関わるようになったから開けた眩しくてがちゃがちゃしてでもぽかぽか温かい世界と、ギャップがすごくてジェットコースターに乗ってるかのように感情が揺さぶられた、、、 40代男女の恋愛小説だと思わなかったし、40代男女の恋愛小説でこんなにキュンとするなんて思わなかったーーーー!!!! まさかさんの会話の感じが好きすぎる…同期にいて欲しい… ルーティンを築き上げひとりきりで無味無臭な感情が波立たない日々を送っている主人公が、実は結婚したこともあって不妊治療にも取り組んだことがあって、不妊治療に非協力的で不妊治療によって女性が被る負担にも無頓着な夫によってぼろぼろに傷ついて離婚したことがあり、無味無臭とは真逆の日々を過ごしていたことがわかって…薄っぺらだけど、その人の現在の姿からは見えない過去ってあるよなと思った。 いろんな小説で不妊治療の過酷さが描かれるけど、結局女性にばかりものすごい負担がかかることが何より厳しい。そこに無理解な配偶者が併さると筆舌に尽くしがたい憎しみが生まれると思う。 子どもが欲しいけどなかなかできないときのあの閉塞感ってなんなのだろう。誰の子どもも見たくなかった。友だちに子どもの写真を見せられてもうまく反応できなかった。 読んでいて当時の気持ちを思い出して、息がうまくできなかった。
1投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
俺はナチュラルボーンオリジナリィ?とでもいうのか。フツーの極みみたいな境遇で、性格で、人生だわ。浜野さんは妊娠願望が叶わず、その挫折からルーティーンライフに専心するんだけど、俺は天然にその気持ちわかる。仕事を割り当てられれば創意工夫を織り交ぜる方だけど、それはバイタリティってのとは違うな。人付き合いも表面上は人並みにこなすけど、決して人好きではなくて、たいがいのやつ等とは心の底でめんどいなと思って交わってる。だから日々ジムでのトレーニングと読書が続くのか。浜野さん、まさかくんのほかあまり輪を広げないでね。
2投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログシンプルにめちゃくちゃ面白かった。 言葉のセンス・鋭さがこんなにもある作家だなんて、正直知らないで読んでしまったので、独特だけどぶっ飛び過ぎない共感性を残した言葉の数々にすぐに飲み込まれてしまった。 歳を重ねた「恋愛」ではない別次元の出会いや付き合い方に妙に憧れを感じてしまった、こんな風に出会う相手と向き合って歳を積み重ねていけるんだとしたら、人生100年時代も悪くないかなと、歳をとることの中に少し希望を見出せた不思議な小説だった。
1投稿日: 2025.04.17
powered by ブクログ初の金原ひとみさん本。 久しぶりに面白くて共感出来る日常で非日常な本を読んだな〜という感想。 確かに中年版「君はどう生きるか」かもしれない。 必死に生きる事や楽しむ事に疲れ諦めた主人公が、ひょんな事からそれまでの日常を破壊され、新しい世界に引きずり込まれる。 過去の辛い記憶を乗り越えて新しい価値観、人間関係を築き生きていく。 新たな世界は緩く大きく幸せな世界だった。
1投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログなんと金原さん初読。エキセントリックでかけ離れた感じ、と思ってましたが、これは共感できるところ多々。情報量多くていまの小説だなあ、と思いましたが、浜野さんの感覚には頷ける部分がありました。平木さんが素敵。こういう人と付き合ってみたい。そして、新しいことの訪れを避けたくないな、としみじみ思いました。いつでも扉を開いていたい。平木さんと出会ってからの浜野さんの生き生きさといったら。勤務時間中にお酒飲むのはいかがなものかと思いますが、彼女の生命力とバイタリティ、素晴らしいです。そして、まさかさんとの出会いも。こういう会話がしたいなあ。
0投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ代わり映えのない日々を送る40代の浜野文乃が物語の主人公。 彼女の人生が、自由奔放な20代の平木直理との出会いをきっかけに大きく動き出していく、という話。 「年齢とか、人にどう見えるとか気にして小さいところに収まる感じは祖父母世代とかで終わったのかと思った。」 という若者である平木さんの事、最初の方はちょっと苦手かも…と思ったが、話が進むにつれ彼女の魅力が存分に伝わってくる。 平木さんを通じて出会うバンドマンの男性、かさましまさかも非常に魅力的な人物。 浜野さんとかさましさんのやり取りは軽妙かつ心が温かくなる。「今この世界には、僕ら二人と、夜遊び好きな外国人観光客たちしかいません」には思わず笑ってしまった。 (ここはかさましさんの優しさが伝わるとても素敵な場面) なぜ浜野さんはルーチンの生活を送っているのか、浜野さんとかさましさんの繋がり、が明らかになっていく物語の展開力も素晴らしくて、最後まで引き込まれた。 それこそ「ナチュラルボーンチキン」な私も、なにか新しい一歩を踏み出そうと思った。
0投稿日: 2025.04.14
powered by ブクログ同世代として頷くところしかなくて、面白かった! ゾンビのような生活もある意味憧れるところはある 心を乱されず行きていくのは楽だけど、自分もAIと変わらないというところは考えさせられる 40代女性として共感の一冊
1投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ25/04/12読了 ゆるやかに始まって疾走して柔らかく終わった。話の組み立てが巧みで、終盤の種明かしのような過去の記憶の紐解きがよかった。 デフォルトマンという言葉を知らなかった自分にちょっとショック。
1投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ最近の明るい感じの金原ひとみの作品が好きだ。 キャラがとても良く、平木さん、まさかさんなど、どちらかと言うと主人公の浜野さんとは合わなそうだが、これが友達となり恋人となり、浜野さんの愛するルーティンを壊して行く。その過程がいい! 「私は唯一無二の平木直理だし、それはもう誰よりも素敵なんですけど」と言い切る平木さんがとてもかっこいい。 浜野さんの妊活のシーンは読んでいて辛かったけど、彼女なりの幸せが見つかって良かった。
3投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まさかさんが、主人公のどういう所が好きになったかをもっと詳しく書いて欲しかった。なんとなく雰囲気で好きになった感覚なのだろうか。 二人みたいに一緒にいる空気感が落ち着く関係が一番良いのかも。辛い過去があるから他人を思いやったり心の防御を作ったりできる。これからのタイミングでうまくいく年齢ってあるのかも知れない。
9投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ私ももう若くないなぁと自覚してきた今日この頃。中年版の「君たちはどう生きるか」と聞いて、読んでみたくなった。楽しいものが霜降り牛のように重く感じられ、自分を守るために思考を停止させ、簡潔に生きる主人公。背景には苦しい過去。私は歳をとっても思考をアップデートさせて楽しく生きていきたいと思った。そのためにも良き出会いがあるといいな!
11投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中年版 君たちはどう生きるか まさにその通りの本でした。 手元に置いてまた読み返したくなる本。 最初はちょっと読みにくい文章と思ったけど、浜野さんの心情がよく分かる。 浜野さんのような辛い経験は無いけど、40代女性の情緒不安定さ、頷けるところがたくさんありました。
2投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログ印象に残ったまさかさんのセリフ 「渡り鳥が渡り鳥に出会って、ちょっと疲れたから死ぬまで一緒に飛ばない?ってナンパしたみたいなもんです。」 中年くらいならこんな距離感もいいかもね!
1投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
浮き沈みを避けて心の平穏を求める主人公が、相反する生き方の女性との出会いを通じて、自己の価値観を見直していく物語。 浜野が自分とは異なる生き方を認め、受け入れることで、自分の生き方も認めて肯定するというラストが良かった。自分を曲げず他者も否定しない。劇的な変化は無くても、浜野の世界が開けた所で終わるのが、優しくてちょうどいい着地点だと思う。 ストーリーで気になったのは、まさかがちょっと聖人すぎな所と、先天的に臆病な人の話のつもりで読んでいたので、妊活が原因だったなら、中盤には明かしてほしかったかな。
1投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログAudibleで視聴済だけれどあらためて読んでみた。 リズムが良い文章だなと思っていたけれど読んでも同じ感想を持った。 それはともかく堅物な主人公が対極な人間と出会って芯は変わらないけれど価値観を更新していく姿がとても心地良い。 こんな風にお互いの価値観を認め合いながら過ごせる相手がいる人生は素敵だなと心底思う。
5投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ著者の2024 年秋の作品であり早めに読める機会があり良かった。独特のテンポで前半は淡々と進むが、脈絡がないと思えた展開が進行と共に意味を持ってくる伏線の張り方は上手さを感じる。新しい事実が少しずつ明らかになる展開も読者を飽きさせない。物語の終盤に無理筋な顛末を持ってくることもなく、自然体で終えるのも読後感を高めた。
2投稿日: 2025.03.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
出版社の労務課で働く45歳の浜野文乃は、厳格なルーティンに従い一人で生きてきた。そんな彼女が、ホストクラブ通いをする20代編集者・平木直理と出会い、次第に心を開いていく。 さらに、平木の知り合いの奇抜なバンド「チキンシンク」のボーカル・かさましまさかとの出会いが、浜野の世界を大きく変える。 まさかは派手な見た目とは裏腹に思慮深く、浜野の過去を知りながらも静かに寄り添ってくれる存在だった。彼の「ナチュラルボーンチキン(生まれながらに臆病者)」な繊細さは、他人の痛みに敏感であるがゆえの優しさでもあり、その姿に心が温まった。 物語の後半では、浜野のルーティンへの執着の理由が明かされる。そこには、思い出すのも苦しい過去と、元夫の許しがたい言動があった。 私自身も離婚や不妊治療の経験があり、浜野の苦しみに共感する部分が多かった。ルーティンにすがるほどの過去の痛み、それを乗り越えた先の希望——まさかとともに歩む未来には、爽やかな温もりが満ちていた。
19投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログAudibleにて耳読。約4半世紀ぶりに金原ひとみさんの小説を読んだ。「蛇にピアス」以来かな? 初めは覇気のない主人公と今どきの若者(平木直理)にイライラさせられちゃうかなと思ったけれども、関わり方がすごくよかった。文乃とマサカさんとの相手を尊重した付き合いも心に沁みた。特に後半、文乃がなぜ覇気のないルーティンを繰り返すようになったかが紐解かれ、過去から解放されていく様子が丹念に描かれていた。中年版「君たちはどう生きるか」との触れ込みだが、人との関わりの中で、自分の人生が豊かになっていくってことかなと思った。
13投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても小気味のいい文章で楽しく読めた 平木さんの「もう、なんか自分のことは1つの世界って感じで捉えようと思って」というのはいい考えだ 自分にとってもそうだし、他人も1つの世界なんだと認識すると、なんだか少しは生きやすくなりそう 主人公(浜野さん)のことを彼氏(かさましさん)が前から知っていて、実は因縁もあった これはBLドラマで見たことのある展開だ!と気付いたらとたんにキュンキュンしてきて、応援したくなる恋物語になったのだった
2投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログAudibleで。 読了後、金原さんが大人版「君たちはどう生きるか」っていうことで書いたって知った。意味深かったんだあと思いつつ内容は確かに濃かった 淡々と生活を送る家族に難があり、おもりのような過去がある主人公に破天荒な後輩と、その友人?マサカが現れたことにより、主人公の何かが変わってゆく。マサカが主人公の重い過去を知っていてその時から気になっていたことは途中、あー物語たなあと思ったがこれは最後の最後に意味のあること?だった。 付き合ってないけど、連絡をとり共有する2人の関係は別れるがなくていいよねって、そんな簡単かと突っ込みをいれた(笑)でも、いい(笑) と、労務管理、妊活。これらの描き方がえぐくて衝撃だった。 淡々と流れる毎日。 物語でない私の生活はそんな日々だ。 破天荒な後輩なんか登場しないからこれから先も慎ましく流れるだろうと、読了した
32投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログ最初は少し読みづらさがあったが、共感する部分も多くて段々と気にならなくなる。平木さんと出会ってから、浜野さんの生活がどんどん変化していく様や、まさかさんとの会話が心地よく、こんな感じで進んでいくのかと思いきや、浜野さんの過去が少しずつ分かってくるとまた切ない。初めての作家さんだったけど他の作品も読みたくなった。
38投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ出版社の労務課で勤務する浜野文乃(45)は、出退勤に夕食メニューや動画鑑賞など、決まった時間に決まったことをこなすルーティーン生活を送る毎日。慎ましく謙虚で、目立たない人生を求めていた。ある日、上司の指示で編集部の平木直理の様子を見にいくことになった浜野。20代の平木はホスクラ通いのパリピで浜野とは正反対のキャラクターだったが、それをキッカケに親交を深め… 初読みの作家•金原ひとみさん。若干二十歳でデビューして芥川賞獲って、その後も数々の文学賞を受賞されてるだけあって、言葉選びにセンスを感じる。“ひらきなおり”に“かさましまさか”、登場人物のネーミングセンスもしかり。地の文もセリフも一つ一つのセンテンスが比較的長いのも特徴。ハマるかハマらないか好き嫌いがわかれる文体かもしれない。私は紙の本で読んだが、Audibleが好評のようだ。“蜂蜜漬けナッツ載せハーゲンダッツ”が無性に食べたい。 年齢も性格もかけ離れた浜野と平木がなぜか仲良くなって、ルーティーン生活が色を帯びていくストーリー。さらにバツイチ子無し40代半ば女性がパンクロックのバンドマンと惹かれあっていく、という現実的にはありえへん展開だが、この二人のやりとりがクスリと笑わせる感じで面白い。特に、気になる相手へのLINEメッセージの文章(言葉使い)にあれやこれやと悩む主人公にほっこりした。 ナチュラルボーンチキンとは、自分でなんだかんだと理由をつけて挑戦とか新しい一歩とかを踏み出さない保守的なタイプのこと。私もどちらかというとナチュラルボーンチキンで、恋愛にせよ仕事にせよ一歩踏み出す勇気が乏しくて成果を逃すことが多々あったので、共感するところもあった。 キノベス! 28位
43投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
比喩の表現が豊かで、すっと入ってくる読書体験が楽しかった。まさかさんが浜野さんに語る言葉の数々を書き留めてしまった。普段着の言葉なのに、なんて心に響くんだろうという会話が印象深い。
2投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ今まであんまり読んだことないタイプの本だった。なんか、今のまま生きていいのか?と不安になり、かといって馴れた生活に変化を加える気力と勇気もない。
1投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ルーティンを愛する40代女性が主人公ということで 前半は共感することも多かった。 年齢とともに、だんだん楽しいことが重くなることとか、 ラインのメッセージ送るのにこれじゃ変?とかあれこれ考えすぎちゃうところとか。 でもデフォルトマンとか名誉男性とか 自分にはあまり馴染みのない言葉が出てきて(あとで調べた) そういう文脈が出てくる割には、(女性にとって都合の良い)男性が 主人公を見初めて助けてくれるってことなのか…って思ったら、あまり自分の好みではないなぁと。 平木さんとの会話劇とか、一緒に食べるものとかの描写はとても良かった。
1投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログおじさんについてや結婚観について、「あーわかる」「わたしもそうなりそう、、」と共感できることがいくつかあった。
1投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ少し私にはしっくりこなかった。なんでなのかはいまいち言語化できないのが悔しいが、ルーティン系の自分と破天荒な自分どっちも内に秘めているからなのかなとも思う。 後半は非常に繊細で重いテーマでもあり、まだ今の自分にはピンと来ないのもあるのかも。結婚して子供のことを考え始めた時にもう一度読んでみたい。
1投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
爽快なテンポ感の文章にハマって読み進めていたら、まさかの激重展開だった。 始めの方は主人公に共感できると思っていた部分が多かったけど、後半は結構嫌いになってしまっていた。 帯に書いてあったような幸せな感想は出てこなかった。 まさかさんとのお付き合いは幸せそうだし、ハッピーエンドだし、主人公もこれから幸せになっていくんだろうと思うんだけど、 それ以上に辛かった時の描写がインパクト大き過ぎて、悲しい…辛い…という感想。。。
1投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ行動する前にぐるぐる思考してしまって、行動出来なくなる人にオススメです。 そんな人々の価値観と生きる姿勢に触れられる作品です。
3投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログはじめは読みづらく感じたが、金原ひとみさんぽい作品で結婚や出産についても新しい感覚で描かれていて、とてもよかった。
5投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ『蛇にピアス』は読んで、こういうコいるよね、と冷めた覚えがある。 それ以来の金原ひとみさん。 中年を題材にした、というような書評を読んで、読んでみたくなった。 初っ端から読みやすくて面白くて、同年代の書くものは理解しやすいと思ってるのだけど、最初はこれもそうだなと思った。 が、最終的には理解ある(=都合の良い)男性が知らない魅力的な世界に引っ張り出してくれるって単にシンデレラかいなと思ってしまった。あるいは少女マンガ。CMでよくやってる溺愛されてどうこう的な笑 いやだからこそ面白くはあったんだけど、40である必要はないなと。(と言って20代だったらベタすぎるんだけど) それに我々世代は世の中シンデレラとは違う、王子様は来ないと気付いてきた40年だったじゃないか!という気持ちもある。 話は変わるが、有名ナチュラル系物書きの方のブログを愛読していて、その方は既婚だけど子どもはなし。 驚くのが、60歳でも感覚は30歳ぐらいと変わらないこと。若い頃と同じような生活が続くとこうなるのかといつも思う。 読んでそれを思い出した。 ーーー (追記) これ、中年版『君たちはどう生きるか』なのか。 縮こまってないで、あたらしい世界、楽しいことに手を伸ばせということなのか。降ってわいた男性でなくていいとは思うが、それなら共感できる。
11投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログお気に入りの本になりました! それぞれのキャラクターが素敵で頭に自然にイメージが浮かんできます。多分ニヤニヤしながら読んでました。 わたしも主人公と同年代ですが、このお話に出会えてよかったなーと心から思いました。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログ面白かった。 ルーティンをこよなく愛し、平穏かつ平和な毎日を繰り返す『私』、45歳事務職が、全く違うタイプの年下の同僚と親しくなり、人間関係も生活も様変わりして動き出す。 『私』は、なんか途中からしっかり自己主張もしていて、生まれつきの臆病者なんて誰のことって感じになる。 読んで良かったと思える素敵な作品でした。
29投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。 さすが金原ひとみ。 やっといい人生、巡ってきたね。 どこの辺で、見惚れていたのが分かりにくかったけど、初恋を実らせるみたいな話。 まさかさんの目がハートで微笑ましかった。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログとても好きな作品 まさかさんとは似ているところがあって惹かれあって違うところに救われていくんだろうな。
2投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
コンロに入って丸焦げになった魚のようにボロボロで、自分を維持するため生きるために 平凡な消極的な選択とルーティンを繰り返す主人公。ある日、手榴弾のような爆発的な破壊力がある編集者の同僚が現れる。 彼女によって、そもそも何が楽しく、満ち足りて、生きている感覚があるのか考えさせられる。 自分が思っているほど、周りは気にしていないかもしれない、困らないかもしれない。 しかし、暴力的に相手を引き込むのではなく、理解するのでもなく、ちゃんと聞くやりとりのリズムがとても居心地が良かった。 メンヘラのように喋る主人公をちゃんと丸っと抱擁するバンドマンがとても愛おしいくなってくる。 突き詰めて、突き詰めて力尽きた先にも、何か希望があるのかもしれないと、緩やかに立ち上がっていく感覚を味わえる一冊。 そして、おじさん化、家父長的な人がどうも苦手なのをとても咀嚼して書いてあってスッと自分の中でも落とし込まれた。
1投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログすごいものを読んだ。すごい本だった… 毎日同じ時間に出社退勤し、毎日同じような献立を食べ、趣味はサブスク動画だけという、超ルーティン生活を送る45歳の独身女性の日常が、ある出会いをきっかけに崩れ始めて…というあらすじだけ聞くと、ここ数年で増えた推し活小説かな?という風に思っていたのだが、全然違った。 というか、序盤の1/3くらいまでは推し活小説のテイをしているのだが、中盤から一気に様相が変わって、本当のテーマが明らかになる。主人公が抱えている "問題" が、自分の抱えているそれとかなりリンクしていて、ぶっ刺さってしまった…。芥川賞作家が書く、純文学ではないけど純文学っぽいセリフの数々、心理描写の数々が、本当にすごい。これは、30代、40代あたりの女性にはかなり刺さるんではないだろうか…。男性が読むとどう感じるのかは、興味が湧く。ちょっとレビューを色々見てみよう。
5投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ「蛇にピアス」以来の金原さん。毎日のルーティンをこなして暮らしている浜野さんに共感。でも、やっぱり色々やった方が楽しいよなぁ。読後、中年が前向きになれる本です
3投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ職場で自分とはタイプの違う友人ができて微笑ましいと思っていたら、彼氏もどきのような人までできた。込み入った過去があったから、他人との距離をとっていたのか。まぁ、傷つきたくはないもんなぁ。
1投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ途中まではめっちゃおもしろかった。 2人が付き合いはじめてからは、ちょっと話が重くなって、平木さんがあまりでてこなくなってワクワク感がなくなった。浜野さん、元夫のことクソみそに言うてるけど、自分もたいがいやで、と。まさかさんも今はいいけど、メンヘラ感あるなぁ。でもそこも含めてお似合いなんかな。 平木さんとキャッツの話がもっと聞きたかったー! 鬼ヶ島鬼ッ奴の花魁姿見てみたい!笑
2投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログ---------------------------------- ルーティンを愛する 45歳事務職 × ホスクラ通いの 20代パリピ編集者 同じ職場の女から 導かれて出会ったのは 忘れかけていた本当の私ーー 新しい世界を 見せてくれ ---------------------------------- YouTube「ほんタメ」で、 あかりんが紹介していた一冊です。 (確か焼き鳥屋の回) 気になっていたんですが、 金原さんのイメージが「蛇にピアス」で、 当時は同年代で、どんな作品なんだろと読んで、 全く理解できず終わりました。苦笑 そこから歳月が経ち、満を辞して!! (最近こーゆー久しぶりな感じ多いです苦笑) 結果、めっちゃ良かったです!! 40歳に差し掛かり、 若くもなく会社でも世代的に真ん中から上になり、 だけど心は成長してない気がするし、 でも体力気力は落ちてきてるし。苦笑 そんな体も心も柔軟性を失ってきてた私にとって、 とても良い読書時間でした。 ルーティン女の浜野が、 全くタイプの違う平木と出会って、 最初は相手のペースに巻き込まれていたけど、 途中から自分を内省して、 その過程を言葉にしていく姿に、 読んでいて私自身も癒される読書でした。 途中からは面白くて、 終盤に向かって終わっていく寂しさと、 浜野の言葉がぽつぽつと私の胸に響いて、 不覚にもうるうるきました。苦笑 良い週末の読書でした。
14投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログ初めて読む金原ひとみ。著名な文学賞を軒並み受賞していて、いつかは読んでみたいと思っていたが、ようやく手に取った次第。 いつも読んでいるエンタメ系と違い、やはり純文学系なので、文章の密度が濃い。上手い文章を書く人だなあと思った。句読点がなかったり、知らない単語がちょくちょく出てきて、少し驚いたが、案外読みやすい。 主人公の45歳の浜野文乃(あやの)は仕事のほかは、毎日野菜炒めとパックごはんの夕食と動画の視聴というルーティンをこなすことで、心の平穏を保っている。そこへ現れたのが、おなじ会社に勤める20代の問題児、平木直理(ひらきなおり)。彼女との出会いが、文乃に新しい世界をもたらすのだった。 平木を通して知り合った、ミュージシャンのまさかと文乃の会話が楽しい。まさかってほんとうにいい人だなあ。
20投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ無味無臭に生きたいのは副次的なもので、根底は傷つきたくない浜野さん。アラサーも過ぎると肉体だけでなく心も傷が治りにくい。
1投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログおじさんとおばさんの恋愛小説がこうもポップでエモーショナルなんて!判で押したような毎日を送る浜野、45歳。マイナーバンドのボーカル、まさか、41歳。なんの共通点もなさそうな二人だが、妙に馬が合うのか急速に親しくなっていく。しかし浜野は変化を何よりも嫌い、頑なな心の持ち主なので交際には慎重だ。しかしまさかの心は太平洋よりも広い。葛藤しながらも浜野はまさかに惹かれていく。浜野は拗らせすぎで好感度低いが、まさかは愛情深く、全肯定姿勢には天晴れだ。怒涛の会話文の応酬を楽しむ1冊。そして無性に551が食べたくなる。
8投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログ作者とは年齢も近く、同年代が一番その時に気になっているであろう事象がテーマになっているので常に共感の嵐。 今回も人生一山越えて、さて、改めて自分の人生をどう生きるかと。 ストーリーの力はもちろん、登場人物も魅力的であっという間に読み終えました。 ラストも刹那的、衝動的な気持ちが集まって一瞬見えるものもまた真実なんだろうなと思わせられました。
2投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログすごいなぁ。 浜野さんという女性の45年間の人生。 始めは、浜野さんがいかに“何もない”毎日を過ごしているかが綴られています。毎日同じメニューの食事をして、色違いの服を着回し、スマホで動画を見続ける。これで満足なのだけれど時々将来のことを思うと発作的に不安になる。 でも、20代の破天荒な平木さんと知り合ってから浜野さんの毎日が変わる。平木さんに振り回されて戸惑いつつも楽しんでいる浜野さん‥‥ というお話かと思って読んでいたら、後半では浜野さんのこれまでの人生が語られていて、読んでいてとても辛くなった女性はいるのではないかな? きっと男性にしか分からない辛さはあるのでしょう。でも、絶対に女性にしか分かり得ない辛さがある。その辛さが押し寄せるように語られていて、そうか、浜野さん辛かったね、と声をかけてあげたくなる。 けれど、そんな浜野さんをずっと見守っていてくれた人がいたこと、そんな一人が存在していたこと、良かったね、浜野さん。 正直、どんな風に締めくくられるのか不安しかなかったのですが、良かったね、浜野さん。
114投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログルーティンワークにとじこもった45歳の出版社労務女性。人生をあきらめて外との交渉に「臆病になっている弱虫」。若い同僚平木直理の誘いからそれまで知らなかった世界に目覚め、一歩を踏み出す。中年版の「君たちはどう生きるか」は買いかぶりとしても、「惰性」からの脱出に気づいた主人公の一歩。家族などのしがらみのなくなった二人、ルーティンに従ってきた浜野文乃とルーティンのないバンドボーカルの「かさましまさか」生き方の正反対な二人が補い合う中年としての生き方の形。周りの人達も型破りだが「生」をひたむきに生きている。
2投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログこの作品の主人公である浜野さんは出版社の労務課で働く45才の女性。仕事と食事と動画を見るのが彼女のルーティンであるが、編集部の平木さんと関わったことでそれまでの無風な生活が徐々に変わっていく。 平木さんに連れて行かれたライブでチキンシンクというバンドに出会い、ボーカルのかさましまさかとの繋がりが出来る。 いわゆる感動作ではないが、最初から最後までワクワクしながら読めた。
11投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ帯にあった「中年版 君たちはどう生きるか」という言葉。読んでいる間はまるっきりそのことを忘れていた。なんとなくそれは違う気が… 後半、まさかが登場してからは面白くなってきたけど、前半は物語がどう展開するのかよくわからず、ちょっと退屈だった。そこで諦めずに読み切って、結果よかったけど。 まさかみたいに、ありのままを受け入れてくれる人がいたら、年齢は関係なく誰でも新しい自分になれそうな気がする。でも、なんとなく他力本願な感じがして、個人的には好みではなかったかな。
48投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ文章のリズムがすごく好き。歳の差を超えた友情、2人とも共感できる部分はあまりないけど私は好きです。人生って捨てたもんじゃないね。って感じました。
9投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ浜野さんの頭の中で広がるあれやこれやの思考が読んでいて楽しい。とにかく浜野はんや平木さんのキャラクターが最高に良い。 金原さんの小説を読むと、面白いのだけど、それ以上に上手いなぁと感心してしまう。本当に、才能溢れる作家さんだなと。 今後の作品も楽しみです。
3投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ初読みの金原さん。四十五歳、同じルーティンで生活している平凡な毎日が二十代の子と友達になり、さらに新たな世界を見せてくれた人と出会い、人生が変わっていく。まさかさんすごく個性強いけど芯はめちゃくちゃいい人。
1投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ正月の帰省中に読む本を探していた時に出会った本である。 結論、新年一発目に読むにはもってこいの本であった。 文章がすんなり入ってきてとても読みやすい作品だった。 人生、何かを成し遂げなくたって良い。ただ、老いて朽ち果てていくのだ。著者の言葉を借りると、その道すがら、渡り鳥が渡り鳥に出会って一緒に飛ぶひと時のように、誰かと生きてゆけたらそれだけで十分幸せではないかと思った。
2投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新聞の書評で40代女性と20代女性の友情を描くみたいな紹介で、ミドルエイジの人間関係(特に女性同士)を読んでみたいと思ったけど、全然違った。 前半は傷つくのを恐れて刺激を恐れてルーティンを繰り返す主人公の描写。あえて?句読点とかがなくてかなり読みづらく、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」に言わせれば雑音、ノイズのような主人公のいろんな考えが描写されている。 後半はまさかさんとの恋愛?模様。時々、主人公が40代と思えないピュアな描写がある。ここは恋愛小説のような。例えば 孤独死するよりはまさかさんに殺された方が後悔がない、とか この世界はあなたがいる世界とあなたがいない世界とに大別できる、とか 結婚、普通はしないけど、あなたとなら結婚してもいい、とか 宇多田ヒカルの歌詞にもある With you, these streets are heaven, now home feels so foreign 無理はしない主義でも君とならしてみてもいいよ なぜ子供を欲しいと思うのか?こんなにいろんな制約があってお金もかかるのに、というくだりは確かに、と思ってしまった。みんな思っているだろう。1000万もらっても子ども作らない人もそれなりにいるだろう。 不妊治療にとらわれる描写がリアル。自身の流産の体験もふまえてかいているそう。不妊治療って妊娠以上に色んな制約があり、自分のプライドも傷つけられる。結果が突きつけられる。嫌いな作家の死を振り回されたくないもの、と感じるのもすごくリアル。 渡り鳥が渡り鳥に会って、ちょっと疲れたから死ぬまで一緒に飛ばない?とナンパした。 一緒にいて何か生み出すのではなく、一緒に朽ちていくなら安心です。 これ、新しい愛の形だなぁ。
7投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ日々のルーティンと安寧を守り、変化を恐れる40代女性が主人公のお話。そんな主人公がある人と出会うことで人生そのものが変えられていく。 金原さんの作品あるあるなのかな、息継ぎなしのマシンガントークというか、とにかくスピード感のある感じ。だけど語彙力が豊かなので会話に重みがあり読んでいて飽きないです。
20投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ仕事と動画とご飯というルーティンの日々を送る主人公、45歳一人暮らしの「兼松書房」労務課勤務・浜野文乃。ルーティンの日常が変化していく姿、周りの人たちも面白く、話もスピード感がありました。
1投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
蛇にピアスとか映画化されたものもあるのに読んだことがなくて、ずっと読んでみたいなーと思っていた作者さん。 離婚後、何の刺激もないように日々のルーティンを粛々とこなしながら過ごしていた40代の女性が、新たな友達や出会いを通して、そのルーティンが崩されていくのだけれど、少しずつそれを受け入れていくことの幸せを感じる。 距離を縮めていく2人の感性がちょっと変わっていて穏やかで、それを読んでいるのが面白かった。
14投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この小説、すんごい大好きだ!!!!! キスやハグは出てこないけど、 甘酸っぱくて、どきどきして、泣けて、ほっこりする、 それでいて不妊とか、離婚とか、老後とか、 我々大人が悩み不安に思うキーワードが散りばめられた、まさに大人の恋愛小説…!!! 私はすっかりまさかさんに心を持っていかれたし、 浜野さんを心熱く応援してしまったよ… 浜野さん、波風立たない人生を歩んできたのかなと思いきや、不妊に悩み、クソ旦那との関係性に悩み、荒波に揉まれきった人だったんだなぁ。 恋愛関係でもない職場の人から急に精子を求められるという、トンデモな要望をされても応じようとするまさかさんの懐の広さ、まさか過ぎる。 2人がずっと心穏やかに過ごしていけたらいいなぁと願わずにはいられない、深くてほっこりした、ステキな小説でした。
4投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ蛇にピアスでデビューした時から面白そうな作家だと思っていたけれど、(綿矢りさも好き)これはお勧め。 オトナのぶっ飛んだ恋愛小説。
1投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログおもしろかった。 感情が波立たないような毎日を送る浜野が、同じ会社の変人、平木に出会って、日常が大きく変化し少しずつ心境に変化が訪れていく。 なんというか世界観が濃い。 登場人物それぞれの存在も、思考も、言動も尖っていて、なんか惹き込まれる。 浜野は、過去の痛みから生き方を固定してどうにかこうにか生きていたけれど、そこにいきなり現れた平木やまさかという起爆剤でほんの少しずついつもとは違う一歩を踏み出していく。 それでも浜野は浜野で、平木は平木で、まさかはまさかで、変化って今までの自分から脱皮したいみたいなモチベーションが多いけれど、本作は自分のどうしようもなさを諦めて受け入れて、背伸びしないまま歪めないまま誰かと歩くことを選ぶみたいな感じで素敵だった。 物語の世界観と登場人物たちの生き方や思考、言葉が胸に届いた。 ☆4.0
2投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログしんどいとすら思えなくなっても生きていかなきゃならない日々。それでもいつか変わることがあるかもしれないし変われてよかった。中年はしんどいけれどだからこそ楽しむしかない。諦めと開き直りと希望で。
1投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ省エネで生きる浜野さんとその真逆の生き方をする平木さん。 平木さんと出会ったことで浜野さんの生き方が徐々に変わっていく。 平木さんの人生をめいっぱい自分の好きなように楽しく生きる姿はすごいなーと思う。 バルコニーにちょっとお邪魔してみたい(笑) 浜野さんとまさかさんの関係性もとても良かった。 まさかさん良い人すぎる。出会ってくれてありがとう!と心から思う。 女性に特に読んでほしい作品だなと思った。
13投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ人生が一度止まらせた40代女性の再始動していく物語。登場人物全員が愛らしい!共感する部分多く、すごく力をもらったしいい物語だった。
1投稿日: 2025.01.20
powered by ブクログ中年版『君たちはどう生きるか』、つまり疲れた中年の世界を再構築すべく書かれたファンタジー。こんな都合の良い人現れるわけない、とかはどうでもいい。今よりもっと窮屈で、武器となる言葉も教えも少ない時代を生きた女性たちのための讃歌だと思った。あと「食べる」ことを意識的に書いてる。食べるとは生きることで、それが美味しいと人は幸せだもんね。
1投稿日: 2025.01.17
powered by ブクログ久しぶりにページを捲る手が止まらず、2日で読み終わってしまった。なんと言っても機関銃のようなリズム。ヒップホップでラップだ。しかも割と早い、ファストラップだ。クリーピーナッツが一番例としてわかりやすいかもしれない。 そしてありふれた表現になってしまうが、心の機微a.k.a 心の傷をこれでもかと抉って描く。そしてそれをいい意味で軽く受け流したり、あくまでポジティブな面を捉えてくれるキャラクターに救われる。そう、私は登場人物のある一言に救われた気持ちになった。その一言に出会えただけで読む価値があった。 主人公と年齢が近く、経験してきたことも重なり、感情移入バリバリで読んだのでもうとにかく氷河期世代は共感がすごいかもしれない
20投稿日: 2025.01.11
powered by ブクログ人生から全ての起伏を削除し、メンタルのダメージを回避して生活全てをルーチンに落とし込んでいる浜野さんが 色彩のある人生を取り戻していく話。 寡黙にみえて饒舌な(彼女の例え話がぶっ飛んでいるようでいて的を得ていて、とても好き)浜野さんが 少々規格外の若い同僚平木さんと知り合ったことで、少しずつ変化していく過程が 読んでいて嬉しくなる。 平木さんを拒否せず、自分が許容できる逸脱を少しずつ許し、一緒に「美味しい食事」をすることでルーチンを崩していくのも、生命力が復活してくる様で読んでいて嬉しくなってくるのだと思う。 浜野さんが言語化する、人の属性や自分の精神性、他者の印象もとても緻密かつ腑に落ちる表現で、そんな所も読後の満足感に繋がっているように思う。 浜野さんが地味な暮らしをみずからに課している理由、彼女の辛すぎる過去が唐突に現れてくるのもインパクト大で それ故、彼女の得た安寧、これからの幸福な人生を心底応援したくなること必至!。
6投稿日: 2025.01.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これまで金原ひとみが描いてきたような主人公像と異なる気質の女性の長編小説。何かのインタビューで、同じものを食べ続けるなど生活をルーティン化されている編集者に衝撃を受けたと話していたが(作者自身は常に一定であることに堪えられないとも語っていた)、その編集者がモデルでありながらも、社会や家庭、男女間におけるパワーバランスや固定概念、レッテル、制度に対する考えがこれまでよりも明確になっていて、とても力強かった。 あと何だかネーミングセンスが町田康みたいだったり、くすっと笑えてしまうコミカルさも散りばめられていて「重たい話を重たくしない天才」的な感じだった。 それでいながら、かしましまさかさんの関係や会話は、なんだかほっこり。欠けたものが満たされていく感覚、お互いめっちゃ好きじゃん、LINEそわそわするよね……と可愛らしくて、恋愛自体が話の筋ではないものの、金原ひとみの描く恋愛に久々に触れられて嬉しかった。
5投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログレビューを読んでたら「中年版『君たちはどう生きるか』」ってことらしくて、なんとなく分かるようなそうでもないような…そこまで深読みできなかったけど、純粋に、これは著者の意図には沿わないかもしれないけれど、良い(これは僕の好きなという意)小説だった。 ルーティンから外れることを極度に除外した生活を送る主人公の中年女性と、同僚の破天荒な若者女子とのひょんな付き合いから出会った色んな意味で対照的すぎる男性との間で発展していくストーリー。ただしその間には、悲しい過去や、ルーティンをこよなく愛する(≒逸脱できない)ようになった経緯があるんだけど、そこが徐々に紐解かれていくと、胸も苦しく、「ナチュラルボーンチキン」の意味も見えてくるような気もするし読んでて悲しいところもあるんだけど、でもずっと終始根底には、「きっとまさかさんは大丈夫だ」と安心感が流れていて、それが僕を不安にさせない要因だったと思う。 浜野さんやまさかさんが抱えているような葛藤は僕ら中年は何度も経験してきていて、人間はどこかで諦めて対応していくのだろうけれども、その都度考えぶつかりながら、それでも前を向いて、まあ無理して向かずとも生きて行こうと思える本でした。 まさかさん、素敵だ。
2投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ読み終わってハッピーエンドで良かったと思った。 これがハッピーエンドと思える自分はまだ周りに期待することを諦めてないのかなと感じた。
3投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログむかーし読んだ蛇にピアスからかなりの時間が経ち、著者も自分も年齢を重ねたのだなあとしみじみ。 昨今やっとこさ、男女不平等の中身に照明が当てられて、実態に名前が付されることが増えてきたが、未だ名称未設定であった時代における、仕事も家庭も人生も全て抱えてこそ自立した女という空気の重力はどれだけ重かっただろうか。平木さんのように「それって祖父母の時代で終わってたと思ってました」と雑にばっさばっさとぶった斬るくらいの身軽さを備えていないと、現代でもこの空気を押し付けてくる人はいくらでもいるから用心しないといけない。かと言って常に警戒するのも疲れる。そんな生きづらい社会の中で呼吸を楽にするためにはどうすればいいか。その方法の1つに、新しい世界を知ることがあるのだと思う。
6投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログポップな装丁からは想像できないめちゃくちゃ穏やかな作品。 夏は暑い、冬は寒いみたいに自分の人生はこうとしかあり得なかったというセリフが印象に残った。 人生に対して何の評価もせず、ただただ今あるものをフラットに見つめる視点で私もあり続けたい。
4投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ始まりはふわふわと捉え所のない物語が、突然ヒリヒリした展開に。現実ではあり得ない話を、リアリティを持って読ませるのはさすが。
2投稿日: 2025.01.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは、ファンタジーですね。 ルーティン化された毎日を送る45歳女性事務職に、青髪の個性派20代美女とか、動画100万再生を誇るバンドのカリスマボーカルがグイグイ迫ってくるなんてあり得ない…!(と思いつつ面白く一気読み。)
5投稿日: 2025.01.01
powered by ブクログ金原ひとみの作品らしく、心理描写や人間関係の表現が非常にリアルで、心に刺さる部分が多いです。特に、感情や思考が混沌とする場面が鮮やかに描かれていて、まるで主人公の中に入り込んだかのような感覚になります。 物語を通して、SNSや他者との比較といった現代特有の孤独感や葛藤が浮き彫りになります。それが「チキン」であることとどう結びつくのかを考えさせられる点が、この作品の深みを増しています。 鋭い感性と、彼女の作品の中でも比較的「弱さ」を肯定する視点が温かみを感じさせる一冊だと思います。
4投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
好きだったーーー!ファンタジーみたいな恋愛ポジティブ展開になったらあんまり好きじゃないかもとか思ってた自分、、金原さんをもっと信頼しろ!ってなった。。話の展開も登場人物も優しすぎる。しかも優しくしようとしてるんじゃなくて、自分に素直でそれが優しさに繋がっている感じがした。いつから自分は人と関わることが面倒になってしまってたんだろうって思った。。色んな感情になることをなるべく避けて、無で過ごせるのが一番平和と思ってまさにルーティーンな生活してるけど、こんな風に誰かと過ごせたら最高じゃん〜と思って、読みながら幸せな気持ちになった。出会えて良かった。色んな人に読んでほしい。
11投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初・金原ひとみ。面白かったです。 「中年版『君たちはどう生きるか』」というキャッチフレーズが示す様にに、枠に閉じこもってきた中年女性が自由で明るい広い世界に飛び出していく話です。 壮絶な離婚体験を経て、自らの生活をひたすらルーチン化し、一切のイレギュラーを厭う女性・浜野文乃~45歳、一人暮らし、出版社の労務に勤務が主人公。彼女はひょんな事から奇抜メークの美人で有能だけれど奔放過ぎる編集者・平木直理(ひらきなおり)から友人扱いされるようになります。文乃は平木を介して売れないロックバンドのリーダーのカサマシマサカ、本名、松坂牛雄と知り合い、滅茶苦茶自由に生きる平木に引きずり回される一方で、実は至って常識人のマサカの穏やかさに触れ、マサカの希望で「お付き合いしていませんという体の、お付き合い」を始める。 自由奔放な平木に振り回されるガチガチルーチンの文乃の様子が面白いし、なにより登場人物たちの実際にはあり得ないグダグダの会話が妙におかしくてしばしば笑ってしまった。 妙に爽快な読後感です。たぶん、女性ならもっと感じるでしょうね。
6投稿日: 2024.12.26
powered by ブクログすごく良かった。 登場人物のキャラの濃さと愛おしさがハンパない。 浜野さんの面倒臭さと、まさかさんの真摯な受け答えが絶妙。たまらなかった。 軽妙なのに深いところもあって、共感する部分もたくさん。 まさかさん、本当にいい人だよね。最後ちょっと感動した〜。
4投稿日: 2024.12.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ブクログで教わった一冊。 普段読まない作家さんだったので、またひとつ広がった感じで、教えてもらってありがたいです。私の紹介した本も、すこーし、心が広くなるきっかけになればいいなと思います。 面白いなと思った会話 好きと執着の関係性について すごく共感できる価値観と、多分目の前でこの会話をされたら、その人から静かにフェイドアウトするだろうな、と思ってしまうくらい拒絶反応してしまう価値観とが交互に現れて、表紙のようにヴィヴィットな感覚の話でした。 印象に残った言葉 『渡り鳥が出会って、ちょっと疲れたから死ぬまで一緒に飛ばない?ってナンパしたみたいなもんです。』 中高年の恋についての表現の仕方がいいなぁと思いました。 まさかくん、チキンが渡り鳥になったね~
5投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった!!! ルーティンをこよなく愛するアラフォーとパリピ編集者とか正反対の二人が出てきたりすると、なんとなく、初めは仲良くなって、何かをきっかけに事件がおこったり亀裂が走ったりして、もがいたりぶつかったりしながらも、また歩み寄ってhappyend...的な流れが定番ぽいかと思う。 でもこの本では特に大事件も起こらず、あるといえば主人公の内省のみ(これが結構みどころなんだけど)。 自分とは全く違う考えであっても「面白がる」感じが余裕のある付き合い方で、まさかさんとの会話も終始ほっこり。 わたしが感動したのは、チキンシンクの初ライブ参戦の時の描写。スピード感と臨場感、高揚感がすごくて、異質で面白くて。目をまっぴらきながら、アハハ!と笑ってしまった。すごかった。 わたしのなかではここ最近よんだなかだ結構ツボにハマった本でした。面白かった。
11投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログルーティンを崩すことの怖さは非常に共感できましたし、その背景も上手に描かれていました。 一つ付け加えたいことがあるとしたら会話の描写になると「」がない部分があり、今は会話をしているのか心の声や行動について書かれているのかが分かりにくい部分があったためそこだけ気になりました。
1投稿日: 2024.12.18
powered by ブクログ圧倒的ハッピーになれました。幸せな読書経験でした。饒舌な語り口が楽しい。ネタバレのない帯の紹介文も嬉しい
6投稿日: 2024.12.16
powered by ブクログ登場人物が素敵すぎて、鳥肌がたちました。 ナチュラルボーンチキン、このタイトルも読んでいく中でどんどん好きになっていきました。
4投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログいやー最高でした。好き過ぎて2周しました。 主人公の浜野文乃が、同じ会社で働く平木直理と出会い、少しずつ生活に変化が訪れるという物語です。文乃はある出来事が原因で、ルーティン生活を送ることとなりますが、そこに風穴を開けていく平木さんの天真爛漫さが爽快でした。 文乃の『30代後半になってくると楽しいことがちょっと重たくなってくる』という思いや、漠然とした老後に対する不安は、文乃と同世代の私には共感することばかりでした。 40代まで生きていると、思い切りダメージを受ける出来事の一つや二つあり、自分自身を守るためにつまらない生活を選び取る気持ちもわかる。 平木さんとは世代間の違いは感じていても、「わけわかんない」で切り捨てることなく、こういう考え方もあるんだなー、ふ〜ん…。位にとらえる関係性なのが良かったです。 そして、売れないミュージシャンのまさかさんも文乃に杭を打った人物。重たい内容を重たく捉えないまさかさんの心の広さと温かさに癒されました。そう、この物語の登場人物は、みんな愛おしい。ラストに、文乃が本当に手にしたかったものに気付くシーンが最高です。 2024年ベスト本です。
36投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み始めたが最後読んでいない時に禁断症状が出てしまうほどハマってしまった。。。 友人に「君がこの本を読んだら苦しむと思って」と勧められて読んだが、このタイミングでこの本を読めたことは本当に運が良かった。文章のうち8割ぐらい蛍光ペンで線を引きたいくらい。 自分がうっすら感じてはいたけど言語化できていないことを美しい文章で言語化してくれており、新たな知見も得られたし自分が感じていたモヤモヤを感じている人が他にもいたという安心も感じた。 文章は堅っ苦しくもないし今風で砕けた表現も多く、クスッとしてしまう場面もありながら、主人公が抱える大きな闇を、登場人物が優しく包み込んでいく様子はとても良かった。 平木さんのマインドは絶対にこの世からなくしてはいけないものだし憧れる。浜野さんとまさかさんの愛はこの世で最も美しい純愛だとも思う。まさかさんの愛に関する考え方マジでファッキンいいな。というか登場人物全員いいな。嫌いな人1人もいないな。落花さんも少ない登場回数ながらガッツリ好きになったし。 おじさんにならないようにしよう。デフォルトマンにならないようにしよう。自分に無理のない範囲で楽しく生きよう。そう思いました。
10投稿日: 2024.12.10
