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なれのはて
なれのはて
加藤シゲアキ/講談社
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総合評価

388件)
4.2
150
150
58
9
2
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    アイドルタレントが書いた小説だから…と敬遠していた自分を恥じるほど素晴らしい小説だった。 一枚の絵だけの展覧会を開く為に、その絵の様々を調べる過程は綿密であり、時代を横断しながら調べられた事実に驚愕する。 それぞれの時代の様を描くことで、この絵の持つ深い意味が、最後に溢れる感動につながっていく。 「しかし今は何もかもを暴き、公表することが正しいとは思えない」という守谷の新たな信念が、彼の成長と未来への希望となり読者を勇気づけている。 本当に読んで良かったと思える小説だった。

    1
    投稿日: 2024.12.08
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    加藤先生が、加藤大先生になった気がする作品です。 ミステリーではないけれど、そうだったのか、そうだったのかと、少しずつ謎が解けてくストーリー。 これを執筆するにあたり、石油や秋田に関すること等を学んだかと思うと、アイドルの方の加藤さんはよく存じ上げておりませんが、尊敬しかありません。

    1
    投稿日: 2024.11.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『死んだら、なにかの熱になれる。 すべての生き物のなれのはてだ』 加藤シゲアキさん「オルタネーター」に続く2冊目 天は二物を与えるんだな〜✨✨ 1枚の絵画から始まる読み応えある 超大作ミステリー 凄いとは思うけど、好きかと問われると、、、 星3.5と言った感じかな 最後道生が姿見せるのだろうなぁ〜と思ってたけど、、、 終わりは良かった

    1
    投稿日: 2024.11.30
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    無名の画家が描いた一枚の絵をきっかけに、ある一族の秘密を追っていく長編ミステリー。 前半はちょっと読みにくいなーと思ったけど物語が進むにつれてぐんぐん引き込まれて一気読み。ラストは余韻を残す形でいい終わり方だった。 道生目線の物語も読んでみたいなー。

    1
    投稿日: 2024.11.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長い。いい内容だけど全体的に面白くない。傑の輝に対する部分とか勇の自殺とか八重が兼通殺す動機とかなんか全体的にふわっとしてて?となる。

    1
    投稿日: 2024.11.14
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    2024.11.4 たった1枚の絵からこんなにも物語が広がるなんて。 読み応えたっぷりで面白かった。 その絵は秋田のある一族の過去に繋がっていて、石油、戦争、親子の確執などの問題が複雑に絡んでいく。 読み進めていくうちに段々と明瞭になってきて、最後はすっきり。 加藤シゲアキさんすごい!と思ってオルタネートも読んでみることにした。

    2
    投稿日: 2024.11.13
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    ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員・守谷京斗は、異動先で出会った吾妻李久美から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。 元はアイドルの作家さんでしょ⁉とナメてました。これけっこうなページ数でしたが、あっという間に読了。面白かった!直木賞候補も納得でした。

    4
    投稿日: 2024.11.09
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    加藤シゲアキさんの作品は5冊ほど読んだが、 アイドルと二足のわらじをはいて作家としてもすごいなぁと感心するばかりだったが、本作は心の底から震えがくるような、深い感銘を受けた。 直木賞の候補作になったのも納得。1枚の絵からこんなにも壮大なストーリーが展開され、登場人物ひとりひとりの物語が丁寧に描かれているのもよかった。コロナ渦の厳しい時代背景もなんだか懐かしく思い出されるくらいに時間がたったんだなぁとしみじみ。 「なれのはて」という表題もとっても意味があったんだと、納得。

    15
    投稿日: 2024.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    話題沸騰。期待最高潮。満を持して読みました。読み終わりました。結果…良すぎた!!! ページ数的にも内容的にも、かなりボリュームのある話だったけど、珍しくのめり込んで読めました。 家族、戦争、障害、報道…今までの作品とは一味違った作品かなと。 何より作者の膨大な知識量に脱帽です。それだけ取材、勉強したんだろうなと、勝手に尊敬します。 細かい伏線回収が気持ちいい上に、最後は全ての伏線を回収して隠すことなく全部を開示してくれたので良かったです。 登場人物が複雑すぎて相関図を書きながら読みました。(褒めてる。趣深くて良き。) 時代や語り手が代わりながら進むので、相関図けっこう役に立ちました。 年表も書きたくなったけど流石にそこは断念。 読み進めると、なれのはてというタイトルの意味と、装丁デザインに意味を見出せるかと思います。 石油の上に純粋な白の絵の具。(真意は不明ですが、私はそう捉えました。) そして最後の最後、えっ…と思うのも束の間、心が震えた〜良かったあぁあ ちなみに、2回読みました。2回目、冒頭からぐっと来るものがあって。誰の語りか、どういう思いかが通じてくるので、深く読めます。 映像化しても楽しそうじゃないですか?? あらゆる登場人物に思いを馳せて、考えを巡らせ、心が動く。 ひとことでは言い表せない作品です。

    6
    投稿日: 2024.11.04
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    不本意にも、テレビ局の報道からイベント事業部へ異動になった守谷。 異動早々に同僚の吾妻から、ある企画のサポートを頼み込まれる。 無名の画家が描いた1枚の絵画が彼を雪深い秋田へといざなう。 その絵は途方もなく壮大なストーリーを背負っていた。 芸術と報道、そして複雑な人間関係を扱った大変読み応えある作品。 後半は時間を忘れて引き込まれてしまう。 秋田の歴史も興味深かったし、戦時中からコロナ禍までしっかりと緻密に構成されたストーリーは素晴らしく、さらには人の心の機微の描写も理知的で美しい。 読んで良かった。

    35
    投稿日: 2024.11.04
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    初の加藤シゲアキ作品。イサム・イノマタと印された一枚の絵画から始まるミステリアスな愛憎劇。現代編と回想編との構成バランスが良く、唯々ページを繰る手が止まらなかった。余白を残したラストシーンも非常に印象的。そしてネタバレをしたくなる珍しいタイプの文藝書。他の著書も読みたくなってきました。

    3
    投稿日: 2024.11.04
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    素直に面白かった。 でも人物関係が複雑で、そこらへんがわかりやすかったらなおよかったかな。いや、複雑なのがミソなのかもしれないけど。 報道からイベントの部署に移動させられた守谷。そこにもひと事件あり。 一枚の絵から展覧会をやろうとしたらそこから大事件を掘り下げることになり。 いろんな過去が繋がってかなりの読み応えがありました

    3
    投稿日: 2024.10.31
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    テレビ局の報道局でのトラブルでイベント事業部に異動させられた守谷は、同僚の吾妻から祖母の遺品の一枚の絵の展覧会をやりたいと相談される。絵を描いた無名の画家のことを調べる内に、秋田の石油会社で財を成したある一族の闇を暴くことになる。人の胸を打つ一枚の絵の裏に隠された重く苦しい出来事に戦かざるを得ない。ラストのその先が安らかでありますようにと願わずにはいられない。

    2
    投稿日: 2024.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今今、読み終わり、率直な感想は 「身震いをした結末だった」です。 一枚の絵から、いろいろな人物の人生をたどり明解した1冊のこの小説。 めくる手が止まらないほどに夢中になりました。 「なれのはて」の意味そのもので、人物の最終的に行き着く物語だった。

    2
    投稿日: 2024.10.24
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    色々と盛り込み過ぎているような気もするけど、よく言えば丁寧に描かれているとも言えるのかな。 猪俣家三代とそれに関わる人間模様や戦争で人生が捩れてしまった悲壮感はすごく重厚感があり引き込まれました。 加藤さんの作品はピンクとグレー、オルタネートと3作目ですが、1番良かったし印象深い作品でした。なんかもう本当に作家さんなんだなあ。 人によって評価が分かれやすいと思うけど、私的には読んで良かったと思う一冊でした。

    36
    投稿日: 2024.10.19
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    思った以上にページ数が多くて最後まで読めるか心配でしたが、読み始めると吸い込まれていくように読み進めることが出来ました! 作者が現役アイドルということもあり、どうかな?と不安もありましたが、勝手な先入観を猛反省しました.... 過去と現在の話が行ったり来たりだけどごちゃごちゃになることなく読みやすかったし、次の展開が気になってとっても面白かったです!!

    3
    投稿日: 2024.10.19
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    初めての加藤シゲアキさん。 面白いとのレビューが多かったと、画家が絡む物語ということで、興味が湧き手に取りました。 読み始めると、面白そうだけどなんか読みにくい!進まない…。443ページこれが続くのか〜と何度も残り枚数を確認。 何が問題なんだろう?と考えるもはっきりとはわからず。 名前がわかりづらいから、人物関係を余計に把握しづらくしている。 場面が変わる前に入る、「良い表現だろう、上手いこと書いただろう」という感じの雰囲気強めだけど特に残らないまとめいらない。 和ませようとしているのかもしれないけれど、時々入る、サーっと引いてしまう軽い文章いらない。 とか、読みながら頭でぶつぶつ考えつつ… でも、面白かった!! 最後の方はもう一気読みだった。 “みちお“の存在が物語を面白く、味わい深いものにしていた。“みちお”のキャラクターが違っていたら、この話は輝いていなかったかもしれない。 ただ、大変なことに、最初に“みちお“の名前が出てきた時、不意にお笑いタレントのトムブラウンのみちおさんが頭に浮かんでしまい、読み終わった後の余韻も全て、トムブラウンのみちおさんの顔で満たされていた。 最初から最後まで、登場人物の名前に悩まされ続けた一冊だった。

    38
    投稿日: 2024.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    絵にまつわる話なので原田マハの書くような話になるのかと期待したが、秋田油田で成功したなり金一家のドロドロした話であまり気持ちのいい話でなく納得のいかないところも多々あった、それに文章が下手だった読むのにイライラした、以前読んだこの作者の作品でも同じ様に感じた。それとジャーナリズムを異常に持ち上げているが今頃マスゴミを信じている国民はいないよ。

    2
    投稿日: 2024.10.15
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    序盤から、文章うまっとびっくりしながら休憩のたびに何度も、加藤シゲアキってこんなにすごいのと驚いて読み進めた。芸能人が書いた文章は良くも悪くもその人らしさがどこか感じられるものになるけど、エゴはまったくみえず、技術で読ませる小説家として今日本で第一線にいると思う。パブドメ、戦争、石油産業、障がい等調べ物の多い箇所も丁寧に取り上げて、誠実さを感じる文章だった。登場人物の多さと出自の複雑さに戸惑いながら、きちんと最終章に繋がっていったのは読んでいるこちらも気持ちよかった。

    1
    投稿日: 2024.10.14
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    読み始めてから、しばらくはよかったが、最終的には、う〜んという感じで終わってしまった 期待が、大きかった分、残念でした 全体的に題材も、面白くてよかったと思います、登場人物達も魅力的では、あったと思うんですが、う〜ん、なんやろ、なんか、物足りなかったかも

    1
    投稿日: 2024.10.13
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    今まではNEWSのシゲのイメージが強かったですが、この作品を呼んで改めて作家加藤シゲアキのファンになりました。とても重厚なミステリーであり、複雑な人間模様も描かれていて飽きることなく一気に読めました。沢山いる登場人物に一人一人焦点を当てて掘り下げていくのですが、その話がどれも面白い(辛い話もありますが)。石油の話や土崎空襲の話など勉強にもなりました。

    15
    投稿日: 2024.09.23
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    複雑な人間関係、繊細な心情描写、グイグイと引き込まれました。 純粋な人間愛にも感動。 最後、2人が再会できて本当によかったです。

    6
    投稿日: 2024.09.23
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    一枚の絵から始まるミステリー。 大正、戦争、そして現代。 壮大なスケールで描かれる画家の正体とは。 まず衝撃だったのは、秋田の土崎空襲のこと。 知らなかった。 1945年8月14日夜間から翌日の8月15日にかけて。 秋田の油田地域を標的とした大規模空襲があったなんて。 終戦間際の最後の空襲だったとか。 画家を追う二人のテレビ職員。 調査を進めていくと、ある事実が明らかになる。 空襲が秋田の人々の人生をすっかり変えてしまったこと。 終戦があと一日早ければ、起こらなかった悲劇の数々。 細かい事象の描き方が緻密で丁寧。 どれだけの資料を集めたのだろうと感慨深い。 加藤シゲアキさんは広島出身。 秋田に縁があるかどうかわからないけど、大変な作業だったと思う。 こんなことを思うのも、アイドルとしての顔がチラチラするから。 作家、加藤氏には失礼かもです。 物語は現代と過去を行き来するけれど、読みやすい。 それは、現代で謎を提示、過去で解説しているため。 面白い構成だなと思う。 途中、辛い描写が続いて心が痛む。 ただ、根底には他者への深い愛情が流れている。 テレビ職員二人の執念の調査。 それが絵の謎をひも解き、画家と画家を守った人物に光を当てる。 読後感はとても良かった。 ところで、「なれのはて」とは原油のことなのだとか。 原油は、太古からのプランクトンや生物が海底や固定に堆積し、長い年月を経てできたもの。 つまり生き物の「なれのはて」。 「死んだら石油になれる、何かの熱になれる」と本文にある。 素晴らしい作品です。 ただ、どうなんだろう? 少し注文を付けるとしたら…。 人間関係、掘削、戦争、震災などの事象が詰まり過ぎ? そういう意味では解りにくい面もあったかな。 ところで、加藤シゲアキさん。 素晴らしい活動をしてらっしゃいます。 2024年1月の直木賞落選の夜のこと。 他の作家さんと能登半島支援企画を発起。 「小説現代」web版に小説家が小説を寄稿して連載。 本として刊行の時は、作家の印税と出版社の利益の部分を全額寄付。 最大の狙いは「本」という残り続ける形を通しての長期的支援。 一過性を克服し、後世に記録や記憶を残すことなのだそう。 「何かの熱になれる」という想いが伝わってきます。

    49
    投稿日: 2024.09.22
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    素晴らしい作品でした!! 読むほどに作品の魅力に引き込まれました。 続きが気になって夜更かしして読み進めました。 加藤シゲアキさんの作品は初めて読みましたが、これほどまでにストーリーや人物が味わい深く、言葉の表現も多彩なのかと、驚きました。 ブクログなどで話題作として取り上げられていたことと、「なれのはて」というタイトルに興味を持ち、図書館で見つけた時に借りてみようと思いました。 正直、小説家ではなく、ジャニーズのアイドルが書いた小説ということで、それほど期待はしていませんでした。 偏見ですみません…。 しかし、読み終わって、加藤シゲアキさんに対する見方が変わりました! これからも加藤シゲアキさんを応援したいし、加藤シゲアキさんの他の作品にも触れてみたいと思いました。 いつも、大勢の登場人物が現れる作品だと、頭が混乱して、ストーリーがよく分からなくなるのですが、この本は混乱することなく読めました。 久しぶりに長編小説を読み終わったという、満足感もありました。 家族関係に関する本であるし、仕事との向き合い方に関する本でもある。さらには戦争前後の人々の動乱を描いた物語でもある。様々な要素が盛り込まれており、非常に面白かったです。 素晴らしい1冊との出会いに今日も感謝致します。 ありがとうございます。

    9
    投稿日: 2024.09.21
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    面白かった。予想していたより良く描けているなぁと思った。 「一枚の絵で個展を開きたい」から始まった、壮大な歴史を遡る物語。色々な人に聴いて、石油会社や猪俣家の歴史を遡って調べて行く過程がとても興味深い。 そして、現在進行形の主人公の境遇だったり、周りを取り巻く人達の心情なども織り交ぜ、とても上手くまとまってるなぁと感心した。 一気読みが出来なかったので、登場人物の名前と関係性が、今一忘れがちで、深く入り込めなかったのが自分としては申し訳ない感じ。でも続きが気になるから、ま、いいか(笑 初加藤シゲアキ。 作家の言いたい事、伝えたい事やその人の思考は、物語を読んでいると大体解ってくる。そして、大抵の作家は捻くれ者である。 加藤さんは良い意味で作家らしくない思考を持った作家なのだと思った。 バランス感覚に優れ、社会で生活をしていくという現実をわかってるなぁと。 思っていても言わない、一旦飲み込んで発言する事の大切さと主張する時にはちゃんとする!みたいなバランスの良さが、なんかいい人に見えてくる、守谷さん。 報道のあり方にも、報道される側からきちんと描ける。 語らなくていい真実も沢山あるんだということ。 面白い作品をありがとうございました!

    34
    投稿日: 2024.09.16
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    読みました。なんか、うまくまとめているとは思いましたが、ハテ、私は何のためにこの話を読んでいるのだろう?と、没頭できずに気になり始め、途中からもうダメでした。

    3
    投稿日: 2024.09.16
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    たった1枚の無名の画家の絵の裏に、想像をはるかに超えた、こんなにも壮大で深い物語があるなんて。 アイドル、加藤シゲアキは知っていたが、特にファンというわけではなく、今まで本を手にしたことはなかった。アイドルが書く小説って、いったいどんなものなのか? 輝が死ぬ前に、道生ともう一度会わせたい。そう願いながら、読み進める。 想像していたよりも、複雑かつ深い物語。 途中から、作者が現役アイドル、ということを忘れていた。 約束のアクリル絵の具を見つけたときの道生の驚きと喜びの混じった顔が想像できるようだった。エンディングの場面がとてもよかった。 現役アイドル、の謳い文句にまどわされ、敬遠しなくてよかった。みなさんも、ぜひ!

    9
    投稿日: 2024.09.16
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    秋田県が舞台で猪俣石油化学株式会社という日本最大の原油に関わった一族の話しになります。 はじめの家系図のイメージが入り乱れて大変でしたが、なんとか最後にきちんと整理できました。 はじめは怪奇的で意味不明なところが多かったので、犬神家の一族を思い出したりしました。 石油化学の会社だけあって、合成高分子化合物のプラスチックの発明、技術の進化、需要拡大のこと、それに日本画を描く絵具の顔料などマニアックなところが多かった。そして、この本の重要人物、勇の終戦直前の恋の話しは切なかったです。 途中、登場人物を一人一人のバックグラウンドで、消費者金融会社に勤めていたころの寅一郎の話しや、守谷と小笠原が当時報道にいたころ政治家と企業がズブズブだったネタなどを取り上げて、メインストーリーではないところもフィクションとは思えない面白さがあります。 自閉スペクトラムなどについても特性を知っておかないと描けない内容ですね。 守谷がたくさんヒントをくれたので、八重の懐胎はなんとなく予想できました。 まさか最後の1ページのシーンが来てくれないかも、と心配しながら読んでいましたが、ホッとして終わりました。 タレント業しながら時間のない中、加藤シゲアキさんはこの話しをいつイメージして文章を書いて編集しているのか気になります。 読者を飽きさせない場面もなかなか迫力があり楽しく読ませていただきました。 ホントに、汗まみれ、血まみれ、油まみれ。 そしてなれのはて。ですね。

    5
    投稿日: 2024.09.15
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    とても重厚で読み応えのある一冊だった。 タイトル「なれのはて」の意味、そして表紙の文字が虹色に浮き出ている意味が、すべての真実を知った読後にじんわりと沁みてくる。 「人間の欲」が至る所に散りばめられていて、それに翻弄される一族だったなと、猪俣家の歴史を見て感じた。 秋田の土崎空襲や、戦前戦後の石油業界の動向など、綿密な取材をされているなと、著者の熱量にも圧倒された。 壮大な何十年という月日の物語、行方不明の人を追う過程、画家の人生が関連することの3つの要素に、ふと『存在のすべてを』(塩田武士)を思い出した。 主人公たちの立場や目的、時代背景など、両作品で異なる部分も多いが、主人公たちの「真相を知りたい」という思いと、登場人物の絵に対する狂気的なほどの執着と愛は、共通するものがある。 そんなところにも、「人間の業」について考えさせられる。

    13
    投稿日: 2024.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    加藤シゲアキさん、どんなもんなんかな?と予約待ちせずに借りられるくらいに落ち着いたので初読み。 アイドルという仕事をしながらもよくここまでの物語を書き込めたなと純粋に感嘆する。 でもやっぱりどうしても「アイドルにもかかわらず」、というプラスなのかマイナスなのかわからない枕詞がついて回ってしまうのがかわいそう。 そうはいってももうかれこれ10年以上もこのスタイルで活動されているそうなので、そんなことを思うのは世事に通じていない自分くらいかもしれないが。 イサム・イノマタとサインの入った不思議な力ある絵の著作権は誰に帰属するのかを巡る物語。 辿る先は、秋田県土崎の地にて石油化学で財を成した猪俣一族。 報道部あり、イベント事業部ありの一大メディア企業に勤める守屋と吾妻がその来歴を追う現代パートと、合間に挟み込まれる戦前から現代に至るまでの猪俣一族界隈の過去のエピソード。 複雑な人物関係、現代と過去の絡まり具合が、次第に明らかになっていく事実と深まる謎の双極を生み、うまいなぁと思う。 ただ終盤若干絡まり過ぎ、ほどいた絵姿にもあまり収まりがよいと感じられず、サイドストーリー的なジャーナリズムの何たるやだったり、コロナ禍の描写だったり色んな要素盛り盛りでお腹いっぱい。 土崎空襲のこと、知らなかったのでその無念を知れたことが自分的一番印象深き点。

    61
    投稿日: 2024.09.07
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    凄いものを見せつけられた! 土崎空襲のことも、秋田の油田のことも、 大正から昭和にかけての日本のことも、 なーんも知らんかった。 加藤シゲアキくん、語彙力、 知識、表現力、プロット、人物描写、 伝えたい熱い想い、 全てが想像をはるかに越えて、 身震いするほど素晴らしい! 本の世界から 現実に戻るのに、 時間がかかる。 頭の中で、 傑が、勇が、道生が、 輝が、 まだ必死に生きている。 息遣いが聞こえるくらい、 生々しく。 そして、この生々しさに 愛弓や吾妻の存在が 爽やかな風を送り込んでくれる。 あー、 してやられたー! アイドルやってて、 いつ勉強して本読んで書いてるんだ? こんな重厚な本を。 まいった。 加藤シゲアキくん、 惚れました!

    9
    投稿日: 2024.09.06
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    多くの登場人物、時代、感情が入り混じっているが 全てが一枚の絵の真相につながっている。 さらにはその土地の特徴、時代背景などは現実に基づいており、とても詳しく描かれている。 戦争の話では、胸が張り裂ける思い。 この物語の作成にどれ程の時間をかけたのだろう、どれ程の勉強をされたのだろうと尊敬の気持ちを抱く。 このような世界に出会わせてもらえたことに感謝。

    17
    投稿日: 2024.09.05
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    謎の画家であるイサム・イノマタの一枚の絵をきっかけに、猪俣家に関連する事件が明らかになる。ジャンルとしてはミステリー。現代と過去をいったり来たりする構成は、読みにくくなる場合もあるのだが、本作品では現代パートが謎の提供で、過去パートは謎の解決に概ねなっていて、謎を解決しながら読み進められるので、一歩一歩冒険を楽しんでいるような体験ができる。人物相関図を書きながら読み進めると、なんとなく事件の真相が見えてくるのでおすすめです。最初から最後まで面白かった。直木賞を受賞してもよかったのではないかと思う。

    8
    投稿日: 2024.09.05
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    重厚なヒューマンストーリーかと思ってたらミステリー要素があってワクワクした。 只、登場人物が多く関係が複雑で把握出来なかった。

    3
    投稿日: 2024.09.03
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    加藤さんの筆力がどんどん上がっていく。 アイドルと俳優をやりながらのこの作品。 作家としての彼は本物です。 この作品で秋田に終戦の前日の8/14に空襲があったことを知りました。 あの戦争における空襲の描写、焼夷弾(目標物の着火目的)高爆発性爆弾(絨毯爆撃のような目標物の破壊そのものが目的)の違い、当時を生きた人たちの極限といえる中での繊細な感情、生まれた(家)というものが持つ大きな意味。 時代考証や著作権等、正確な準備も必要だったと思います。 画家を調査する現代の新聞社社員も、若い情熱と行き詰まった投げやり感が絶妙。 エンタメ的にも文学的にも、一捻りもふた捻りもある伏線、展開。 ずっしりと重く、晴れ晴れと軽やかな読後感が残りました。 直木賞候補になったのは事務所パワーでも活字離れに話題作りの提供でもなく、この話が読み応えのある面白い作品だから、でした。 偉大な先輩、SMAPをリスペクトしているとも取れるささやかな一文を発見した時は、彼らのファンの自分には嬉しかったです。

    10
    投稿日: 2024.09.01
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    ずっしりと内容の濃い一冊でした。 テレビ局で報道の仕事をしていた守谷。訳あって今はイベント事業部に所属している。 イベント事業部の同僚・吾妻の所有する一枚の絵画。 その絵画に魅入られた吾妻は個展を開きたいと企画するが、どこの誰とも分からない作者を守谷と共に探していくうちに、思いもよらないドラマに遭遇していくことになる、というお話。 たった一枚の絵にこれほど多くの人の悲しみや怒りが関わっているとは。それも関わっている人達にとっては決して公にはしたくない秘密。 それを暴くことは必要なのか‥‥報道の仕事をしていた守谷はどういう答えを出すのか。 読み応えたっぷりの一冊でした。  次から次へとキーパーソンが変わっていき、「え?まだ?もっと先があるの?」といった具合にどんどんどんどん話も読者も深みにはまっていく、といった感じ。 面白かったです。

    100
    投稿日: 2024.08.29
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    どういう感想が正しいのかわかりませんが、おみそれしました。というのが自分の気持ちに近い。読み始めは、またまたあ、とか思っていたのに凄まじい筆致。結末に至るまでの全てが秀逸でした。もはや文豪にすらなり得るのかもしれない。

    3
    投稿日: 2024.08.28
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    読み応えがある作品です。 正しさは振りかざすだけの矛ではない。 他者を守るための盾でもある。 小説の中にある一節。 忘れていたモノを思い出しました。

    1
    投稿日: 2024.08.27
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    骨太な読みごたえのある作品でした。 もう、芸能人という肩書きからの話題性など必要ない作家さんだと思いました。 取材や調査など多くの時間を費やして書かれた緻密さもありました。

    60
    投稿日: 2024.08.25
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    たった一枚の絵で展覧会をしよう、その絵の著作権は?作者は?画家の正体を探る旅が始まる。 探るうち画家の出自に秘められた過去、秘密、 戦争、謎は深まる。探る側の守谷にも仕事や自身の葛藤があり。 そして意外なかたちで絵の作者が明らかになってゆく、周囲の人々の固まった心も溶かしながら。 好物が詰まっていると言うかてんこ盛り 主人公はクリエイティブな職業 仕事上のいざこざがある 主軸となる謎の他に個々の抱える感情、葛藤 恋愛要素少なめ 謎には幼少期が絡む 幼馴染、親子、母娘 戦争、北国、風習、県警刑事etc、 こんなに好き要素が詰まっているのは 藤原伊織先生以来でしょうか 作風はもちろん違いますが、要素だけで 言ったら私は藤原作品を思い出しました 本作が本格ミステリー初?でしょうか。 戦争や障害にも触れて、勇気と言うか 取材や考証に自信を持って 世に出されているのだろうと感じました 装丁に一枚の絵を連想させるものがなく 挿絵もないですし、読者が想像できるのも 良かったです 販促PV?のようなものに少しだけ 少年が見えていましたけれど抽象的で それ自体が強いイメージになることはなかったです。ちなみにPVとても良いです 読後改めて見るとなお良いです 私の勝手な印象ですが、藤原伊織作品が 好きな方に読んでいただきたいので タグを付けさせていただきます #なれのはて #加藤シゲアキ #藤原伊織

    1
    投稿日: 2024.08.25
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    シゲオタ ってな事で、加藤シゲアキの『なれのはて』 いや~、シゲアキくん凄いね 滅茶苦茶良い こんな小説も書けるのかと鳥肌が立つような感覚じゃね。 色んな要素がごちゃ混ぜに成りながらも、『人』とは、と考えさせられる何かを感じながら読んだね。 守谷、吾妻。 輝、道生。 勇、傑。 その他の人達とのクロスラインと言うのか、人は人と関わって、喜び憎みあって生き死んでいく。 ラストも分かってるいるけどグッとくるね アートは人を魅了し続ける。 原田マハさん好きならこの本オススメです‼️ 2024年23冊目

    4
    投稿日: 2024.08.24
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    とあるイザコザで報道局からイベント事業部へ異動になった守谷京斗。そこで同僚となった吾妻李久美から祖母から相続した一枚の絵を見せられる。守谷もその絵が素晴らしいと吾妻に同意し、無名画家のその一枚でイベント事業部として展覧会を開こうと物語は動いて行く。 絵にまつわる著作権、作者、関係のある人物や企業、描かれた時期などなどを調べてゆくうちにイベント事業部よりも報道局としての意識が守谷を突き動かしてゆく。 いやーほんと面白かった。 謎がどんどん増えてゆくけど、少しずつ全容が見えてきそうな感じ、読者のほうがヒントが多くもらえるので楽しく読める。 得手不得手はあるかと思うが、現代と過去の交互進行、年号が出てくるので出来事の前後がちょっとややこしかったのは自分の読解力と記憶力のせいで少し読み返したりした部分も。 キーワードとして徴兵や戦争、石油関連があり、大正時代においての自閉症の辛さ、そして日本の動乱も描かれており中盤以降の話の重さで少しやられたけれど、後半は集められたピースがカチリカチリとはまってゆく気持ちよさに一気読みでした。 これをハッピーエンドと呼んでいいかはわかりませんが、読後感はよきでした。最後にふたりの再開があって満足でした。

    22
    投稿日: 2024.08.23
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    言葉選びがすごく好きだった。最後の怒涛の伏線回収が凄くて鳥肌がたった!あんまり読まないジャンルの本だから新鮮でした!

    2
    投稿日: 2024.08.22
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    上層部との軋轢でテレビ局の報道部からイベント部に異動になった主人公。そこでペアを組んだ女性とともに、著作者不明の一枚の絵画で展覧会を開っくことを目論み、二人は著作権について調べ始める。 二人がたどり着いたのは、秋田の石油事業で財を成した家族の秘密と、終戦前夜、日本最後の空襲となった土崎空襲での悲しい出来事だった。 直木賞候補と言われても驚かないほどの大作でした。 時代背景や登場人物など、風呂敷を広げてたたむ行為はこの物語の中ではかなり大変だったのではないでしょうか。 芸能活動を続けながらよくぞここまでと思えます。 「なれのはて」に込められた作者の思いも、なかなか重いです。

    19
    投稿日: 2024.08.21
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    最初は何て読みにくい本だろうと思った。しかし、読み進むにつれ、引きずり込まれるようにしてあっという間に読了。 一枚の絵から始まる謎。 戦争がたくさんの人の運命を変えてしまった。愛、憎悪、そして大切な人とのかけがえのない繋がり。 今、わたしが大切な人と共に幸せに過ごせている幸せに感謝したい。

    2
    投稿日: 2024.08.21
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    テレビ局員である守谷は報道局からイベント部へ異動、そこで出会った女性職員・吾妻から祖母の遺品である一枚の絵を使った展覧会の企画を持ちかけられる。絵の裏に「ISAMU INOMATA」の表記があったことから、彼らは著作権を巡り、絵の作者の正体を調べる。その過程で、秋田の石油産業でのしあがった猪俣傑が焼死した事件を知る。弟の勇は行方不明となり、疑惑の事件だった。 そして、ここから猪俣一族の深く暗い過去の秘密が暴かれていく。 私は、小説特にミステリー作品を選ぶ際、①歴史的背景や社会的論点が組み込まれているか②深みのある人間関係や心理が描かれているか③ストーリーがよく練られているかに着目する。 本作は、それらを全て満たした上で、勉強になったり、感動も得られ、それでいて、怒涛の展開も楽しめるエンターテイメント作品だったと感じた。 まず、背景にある1945年8月14~15日にかけ最後の空襲となった秋田の土崎空襲が勉強になった。秋田は八橋油田をはじめ多くの油田があり、米軍は日本石油の製油所破壊を目的に大規模な空襲を行い、250人以上の死者が出たそうだ。 この空襲が猪俣傑と勇の兄弟としての絆に亀裂を生じさせる。商才があり、石油で巨額の富を得た傑に対し、従軍中、恋仲だった看護婦の命を奪った空襲の原因となった石油を心底憎む勇は隠遁者のような生活を送る。 二人の父親である兼通の欲望、猪俣家の女中であった八重との関係、八重の子で猪俣の会社を継ぐ輝が勇の下で暮らす知的障害者・道生に示す理解・・・入り組んだ人間関係の果てに終盤に展開される阿鼻叫喚の場面は凄まじいとしか言いようがない。 しかし、この本には他にもいろいろな要素が内包されている。著作権の保護期間、守谷や吾妻も含めての様々な家族愛や家族の形、報道と政治、民衆に対する報道のあり方、発達障害者の特徴、障害者と芸術の相関、石油由来のアクリル絵の具と日本古来の岩絵の具との対比など。 複雑な人間関係が延々と続いていく長い小説だが、決してダラダラとした印象はなく、最後はただただ、すごい小説を読み通せた満足感が残った。

    4
    投稿日: 2024.08.21
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    この小説は登場人物の人生の中にたくさんのモチーフが散りばめられていて一気に読めて余韻が長く続いた。生、死、愛、憎悪、出自、繁栄、没落、知的財産、なれのはて…

    1
    投稿日: 2024.08.20
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    訳あって報道部からイベント事業部に異動してきた守谷。指導役として手を挙げた吾妻がこの部で叶えたい企画、それは亡き祖母が残したという絵画を使用した無名の画家の展覧会だった。 たった一枚きり、それも著作権が曖昧な絵。この絵から徐々に紐解かれる数々の真相と時代の移り変わり、関わる人々の細かな心情。驚くほど壮大で、繊細な物語でした。 特に印象的だったのは、終戦の前日、日本最後の空襲の話。勇の話はまるで映像を観ているかのように鮮明に描かれていて、涙が抑えられませんでした。 B29の空音や炎で照らされる町の明るさ、煙る視界や匂い、足を引き摺りながら走る彼の息遣いまで感じられるようで…『あと1日降伏が早ければ』という行き場の無い悔しさとやるせなさが、いつの間にか読んでいるはずの自分の感情になっていました。 最愛の妻亡き後、原油を掘り出す事に一心を注いだ兼道。石油に富を見出す傑と、養子として引き取られた女中の息子、輝。石油を嫌悪する勇と、彼に引き取られた障害を抱える戦争孤児の道男。石油に翻弄された猪俣家とそれを支えた人達のストーリー。映画化してほしいなと思った作品は久しぶり。筆者のイメージが良い意味で覆された大作でした。

    1
    投稿日: 2024.08.20
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    読み始めに全く想定していなかった、壮大な話だった。時をまたいで起こる、連続した出来事。話が凝っていて、展開が読めず、ほんとに最後までに全部解明されるのか?と、残りの数ページを気にしながら読んだ。

    1
    投稿日: 2024.08.18
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    登場人物それぞれの「想い」がよく描かれていた。 時代背景との絡みも興味深いストーリーだった。 ラストがハッピーエンド(?)なんだが、ちょっと取って付けた感はあったかな。 映画になれば面白いかもしれない。

    3
    投稿日: 2024.08.12
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    大正時代から令和のコロナの世の中まで1枚の絵から探りあてた人間関係が壮絶でした。 ラストの2人の再会良かったです。

    3
    投稿日: 2024.08.09
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    アイドル作家みたいな肩書きがかえって邪魔になるんじゃないかってぐらいの筆力。描写のリアリティがすごい。 ただ、登場人物や回想インサートが複雑でちょっと混乱。

    2
    投稿日: 2024.08.06
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    もうこれはアイドルの書く小説の範疇ではないな、と読み進めるごとに感じた。 これまでの著書の作品はどちらかと言えば実体験ベースの物語多かったように思うが、物語の緻密な組立、登場人物の設定、そして時代背景とのリンク、どれを取っても見事だった。 この作品を作り上げるのにどれ程の取材をし、文献を読み漁ったのか。 地道な作家活動で力をつけたのだな、と。 誰もが生きていく上で多少は時代に翻弄はされるのだろうが、戦争という避けられない呑み込まれていくような時代に生きた人々の苦労はいかほどか。 それぞれの感情や生き方が絡み合う中、時代を行き来し糸が解けていく構成も中盤から引き込まれていった。 強いて言えば、登場人物が多く序盤はややわかりづらい面もあったが。 ラストシーンの映画のような終わり方も、ありありと情景が浮かび、一枚の絵に秘めた物語を見事に完結させていた。 最後まで読ませてくれる作品だった。

    2
    投稿日: 2024.08.06
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    加藤シゲアキさん、こんな文章を書くんだ。著者の顔が遠くに霞むくらい、イメージとかけ離れているな。秋田、石油で財を成した猪俣家は、まさに油のように、掘り起こされて炎をあげるようなドロドロの家族関係にあった。一枚の絵を展覧したい、そんなシンプルな思いから壮大な展開が。読ませる。

    10
    投稿日: 2024.08.06
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    たった1枚だが、観る人の心を打つ絵画。この無名の画家を調べ始めるが、ある殺人事件が浮上し… 登場人物の掘り下げが巧みで、構成のバランスも良く、いろんな人物に感情移入してしまった。 秋田の空襲の事、初めて知りました。

    1
    投稿日: 2024.08.04
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    無名の画家ISAMU INOMATAが残した不思議な絵__画家の正体を探るとある一族の悲劇が隠されていた。謎に迫るたび話が広く深くなっていく...途中からミステリーを読んでいるというよりも、壮大な人間ドラマを堪能した感覚になりました!濃厚!

    10
    投稿日: 2024.08.02
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    はぁーーすごかった。すごすぎる。と息をついてしまうほどの作品でした。一枚の絵とある家族の謎を追いかけるなかで、明らかになっていく、一人ひとりの人生が凄まじく濃かった。輝の人生の最後に救いがあったことに、私が救われた。―人生を変えるほどの何かに出会えることは幸せ。

    1
    投稿日: 2024.08.01
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    話が壮大だったからか、読み終わった時の達成感がすごくてスッキリした。 登場人物多いし時代の転換も多いけれど、どんな情景だったのかとかどんな気持ちだったんだろうって考えながらそれを頭の中で映像にして再生するのが面白い物語だった。

    1
    投稿日: 2024.07.31
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     まず、ソポクレス『オイディプス王』からの引用文と、それに続く章でこの物語の悲しみを暗示させることで、一気にひきこまれた。  自分のルーツを辿り、それに直面した時にどのように人は振る舞うのかが描かれていて、宿命のようなものを感じさせる話であった。  ″なれのはて″となり、何かの熱となるのが幸せなのだと言う人がいる。  しかし、優しく柔らかな″水芭蕉″のように、その宿命を包む盾となり、静かな時間の流れを待つことを、人生とする人がいると改めて知る。

    3
    投稿日: 2024.07.30
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    いや…なんかすごい…壮大な物語読んだ… ストーリーとしては、問題を起こして報道局を追い出され、イベント事業部へと飛ばされた守谷。 そのイベント事業部で若干浮いた存在の吾妻。 吾妻亡くなった祖母が所有していた無名画家『イノマタイサム』が書いた少年の絵。 1枚の絵で展覧会を開きたい。そのためには著作権の問題が(よくわからんかったけど…) 展覧会のために1枚の絵の過去を探っていく…という、割りとシンプルな設定なんだけど… まず登場人物が多い。そして人間関係が複雑。でも一人一人丁寧に描かれているから想像がしやすいから読むのが苦じゃない。 ピンクとグレーを読んだときも思ったんだけど、心情を書くのがうますぎる。 そして過去に遡り戦時中の話しにもなるんだけど、時代風景もうますぎる…相当調べあげたんだろうな…タイムスリップしたみたい。 1つ1つ丁寧に逃さないように織り込んで書いてくれてるから、先の展開がわかっちゃうくらい(でもイヤじゃない。むしろ誉めてる) 少しずつ絵の謎、真実へと近づいているソワソワ感。 最後まで読み終わったあとに、最初の『零』を読むと、深いため息がでる………(5回くらい読み返した) もっと語彙力があれば、魅力を伝えられるのにー˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚

    13
    投稿日: 2024.07.26
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    久しぶりに本を読み終えて涙が流れた。 本当に本当にいい話でした。 この本が話題になり私と出逢えたことに感謝します。

    3
    投稿日: 2024.07.25
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    加藤さんの作品を読むのは「オルタネート」以来、2作目。 ついついアイドルという色メガネで見てしまいがちだけど、もうほんとこれね〜、なめたらあかん!って感じ。 「オルタネート」は爽やかな青春物だったけど、今作はガラッと変わって重厚な社会派ミステリー! 引き出しの多い作家さんだ〜\♡︎/ ⁡ ⁡ 1枚の絵から始まるミステリー。 祖母の遺品である1枚の絵に魅了された、とある会社のイベント事業部の担当者2人が、「たった一枚の展覧会」を企画すべく動き出す。 ⁡ 著作権について調べるうちに見えてくる作者の謎や、時代背景と一族の悲しい過去。 そこには石油発掘に沸く地方の歴史や戦争の事など、私の知らない過去も含まれてた。 重みのある作品だったので、読むのに時間はかかってしまったけど、読み応えあって面白かった〜! ⁡ こんな骨太な作品を芸能活動しながらどう時間を作って書かれてるんだろう。。 すばらしき二刀流!!←自分の読書メモ見直したらオルタネートの時も書いてた〜笑 ⁡ ⁡ ✎︎____________ 表紙の黒いの髪の毛かと思ってた。 ちょっと怖い。。

    82
    投稿日: 2024.07.24
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    シンプルによくできている。これだけの事実関係、登場人物、歴史的背景をわかりやすく描写しており引き込まれる。現在と過去を行き来するような文章構成も飽きさせない。

    10
    投稿日: 2024.07.23
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    純粋に面白かった。 いつのまにかこんな重圧な作品を書ける作家さんになったんだな、と。どの立場で言ってんだか笑 秋田で原油が取れること、日本石油が利権に関わっていたこと、色々知れたことがまず良かった。 そして一枚の絵を元に展覧会をしたい、著作権は?から紐解いていく知られざる作者の人生がまた引き込まれた。 終戦間際の秋田への空襲、そこから生まれた話もありそうで、フィクションとしてとても興味深い。 タイトル、なれのはて、原油からと、驚いた 原油は、太古のプランクトンや生物が海底や湖底に堆積し長い年月を経てできたものと考えられる、つまり、生き物のなれのはてだと。 発達して障害者の特徴であるオウム返しは、エコラリアと呼ばれ、です、ます調になるのは、当事者へ道生は片付けをします、働きかけの方が命令口調より有効な場合が多いため、本人もそうしたフレーズを反復してしまうらしい p.231 ジンはアルコール濃度の高いスピリッツにボタニカルと呼ばれるハーブやスパイスを漬け込み、再蒸留して作られる。ボタニカルに必須なものが、セイヨウネズの樹から採れるジュニパーベリーだ。p.303

    3
    投稿日: 2024.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    相関図がほしい。 作り込みすぎちゃってなんか あんまり… だった。 勇ではなくて道生が書いた絵だった。 傑を殺したのは道生

    0
    投稿日: 2024.07.20
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    途中で挫折、、、。 分厚いな、とは思ってましたが、登場人物がどんどん出てきて、頭が??? 戦後の話がメインなのもあり、史実に基づいて書かれているのだろうけど、その説明書きがつまらなかった。 もっと、若さ、加藤シゲアキらしさ、を期待していたのだが、、、

    3
    投稿日: 2024.07.20
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    今年の19冊目。めちゃくちゃ良かった。加藤さんの作品はいくつか読んでいて、オルタネートとかも大好きなのだけど、もはや文筆業を本業とした方が良いのでは?と思うレベルにクオリティが高い。タレント業の傍で、みたいな域は完全に超えてる。作家さんとして推していきたいと思える良作を生んでらっしゃるし、今回のはその極みって感じだった。直木賞ノミネートもうなづけるというか、むしろこれ受賞には至らなかったのか…と残念なくらい。 テレビ局の報道部から事業部に左遷された1人のディレクターが主人公。彼がある1枚の絵画と出会い、その画家の足跡を追うためにリサーチを重ねていく中で、色々な気づきを得たり、人と出会ったり…というストーリーなのだけど。 物語の主な背景は、戦前・戦中・戦後の秋田での石油業にまつわる事になっていて、このあたりの下調べや物語造形の奥深さがすごい。秋田の石油産業なんて、目を向けてみたこともなかった。絵画リサーチを通じて知っていく事実と、主人公であるディレクター本人のここまでの足跡とをストーリーに上手く折り曲げながら構成されていて、かなり重層的な感じ。 あと、この作家さんは本当に言葉をよく知ってるな…とびっくりした。めちゃくちゃ教養あるんや…とかなり度肝抜か(失礼)。いやー、本当にこれは素晴らしい秀作。これからも加藤さんの作品には注目していきたいなあと思いました。

    7
    投稿日: 2024.07.20
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    まずは、これほどまでに質の高い作品を執筆できることに純粋に驚いた。 1枚の絵の謎を追うことで、どんどん引き込まれていく。リアリティのある戦時下当時の生々しい状況は、時間をかけての調査の賜物ではないかと思う。(さぞ、忙しいだろうに、どうやって作品づくりの時間を捻出できたのか・・) 一方で、絵を追う二人のモチベーションにもう少し強い何かがあってほしかったということと、後半が当時の回想でまとめられてしまったこと、人で話が動かされていた感が強い(結果、登場人物が多すぎる)あたりは気になったところ。 作品の完成度はそれなりに高いものの、現役の小説家さんの作品と並べて考えたときに、飛び抜けているかと言われると、正直悩ましく、本棚に登録した★3と4の作品らと相対比較して、この評価とした。 ★3.7

    171
    投稿日: 2024.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作者不詳の1点の絵をめぐるサスペンス(でも絵画サスペンスってより猪俣家サスペンス)。 ・良かった点 なかなか本題に辿り着かないようで、一歩ずつ過去が肉薄されていく歩みが読み応えあった。ストレートに猪俣家の中からだけ語るより、時間も人間関係も遠い他人が首を突っ込む形の方が共感できるし一緒に頭捻る感じが面白いよね!と思う。結果的に探偵役の守谷の周りもいい人多くて、前向きに幕を閉じたのもよかったし。 ・よくなかった点 こんがらがった歴史を詳らかにするために必要な人物配置なんだってのは分かるんだけど、結構人がいっぱい出てきてややこしい。あと時系列と視点で子供が大人になり老人になったりするのでこの子は確かここのコイツだったよね??と立ち止まらないと役割と人間関係が混同する。名前はそれぞれ似せてないんだけどね。

    2
    投稿日: 2024.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長くて読み応えあったーー!!! 初めて読む作家さんの本。 1枚の絵を巡り第二次世界大戦頃が現代までの時間軸で殺人事件もあり、ちょっと刑事物風でもあり。 勇と君依の夜の逢瀬がロマンティックでよかったし、輝と道生の関係がすごーーーく良かった。

    4
    投稿日: 2024.07.15
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    一枚の絵からだんだんと明らかになっていく、とある一族とそれにかかわる人々の謎 描かれる人間ドラマはどれも悲劇的で、読んでいて胸に迫るものがあった

    2
    投稿日: 2024.07.14
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    2024年直木賞候補作品 一枚の絵の作者を追ううちに ある一族の壮絶な人間ドラマが明らかになる。 秋田に油田があり それを狙って終戦の1日前に 米軍の大空襲があったことを この作品で初めて知りました。 とにかく登場人物が多く ひとりとひとりの背景なども 細かく描写されていて濃厚です。 しかし先に進みたくて ちょっと読み流したりしてしまった部分もあり 途中挫折しかけましたが 最後まで読んでほんと良かったです。 ラストシーンが特に秀逸でした。 ドロドロした出来事が多い中 こんなにも爽やかな読後感で終えられるとは 予想もつかなかったです。

    13
    投稿日: 2024.07.14
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    ある一族に関する長編小説。登場人物それぞれが、育った環境や出会った人達に対して様々な深く複雑な感情を生み出し、その感情と現実の間に葛藤しながら生き抜いていく。ストレートにそして物凄い力で感情が表現されているストーリー。読み応えがあって最後まで楽しむことが出来た。

    41
    投稿日: 2024.07.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    放送局の報道部からイベント事業部に異動させられた主人公・京斗と移動先の後輩・吾妻の作者不明の絵を巡ったお話。1960年の年末の死亡事件に関わって失踪した作者。失踪したのが年末か年明けかで著作権保護法の適用日が変わるため、真相を突き止めようとする二人。しかし、新たな事実が判明して… 表紙や中表紙が黒や茶色なのは何か意味があるのだろうか、どうして題名が『なれのはて』なんだろうか、と、内容を全然知らずに図書館で借りました。443ページと少し厚めですが、暗すぎず、リズムよく読めました。ミステリ要素もあります。加藤シゲアキさんの作品はこれを含めて4冊読んだうち、この本が一番好きでした。 『なれのはて』のおかげで潤うこともあるが命も正気も奪う。そして繋がります。 ちょっとクサいなぁ、と思いつつも最後2章で泣きそうに。そして、ラストではあ゛――――っみちおぉぉぉぉっ、となりました。純愛あり、親子愛あり、友情あり、てんこ盛りで感動したまま読了です。

    40
    投稿日: 2024.07.08
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    濃密な物語でした。それぞれ信念があってそれが故に対立していました。 矛や正義は使い所という言葉が印象的でした。

    2
    投稿日: 2024.07.07
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    ある一族の年代記を追う形で、戦争、芸術、労働、愛といったテーマを一つの大鍋の中で時間をかけてじっくりと煮詰めたような濃厚な物語だった。 登場人物それぞれが自分なりの信念を持って生きていることがわかる。 愛する人との別れのシーンに胸が熱くなった。

    2
    投稿日: 2024.07.06
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    著者さんの作品は初めて読みましたが、しっかり知識のある構成された内容で驚きました。人物が多くて分かりにくかったですが、著者さんがこの本で伝えたかったことが伝わるお話で、良かったと思います。

    6
    投稿日: 2024.07.04
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    猪俣一族の歴史に釘付けになる作品でした。 その歴史が知りたくて仕方がなくて、また知ったその歴史が壮絶で、凄く面白くて読書が楽しかったです(物語は壮絶な一族の過去で、やるせなく、深く、胸に来るものがありました)!

    7
    投稿日: 2024.07.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。初めて読んだ時は、著者自身の状況と重なる部分があったりしてしんどい面もあった。 今までの作品の中でも、トップレベルに本人らしい作品だと感じた。優しい人なんですねとこれを読んで決めつけられるのは嫌だと本人は言っていたが、そう思わざるを得ないほどやさしい物語だと思う。 正義や幸福、罪についていろいろと考えさせられた。 P.438 もし道生のしたことが犯罪と認められても、これらの絵に罪はないのではないか。罪人のもたらすもの全てが許されないのだとしたら、その方が歪んでいるのではないのだろうか。

    3
    投稿日: 2024.06.30
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    図書館論を予約していてようやく順番が回ってきて、読めた〜!!!! なんで今まで'加藤シゲアキ'さんのかく本を手に取らなかったんだろうってくらい文才に溢れる方でした)^o^( 登場人物が多い!!!! あまり時間を取ることが出来ず、ちょこちょこ読んでいたので尚更整理しきれていなかったのですが、第一章からどう話が繋がっていくのか気になりすぎていました… 真実を何もかも暴くことが正しいわけじゃない。ラストのこの言葉とても印象に残りました(^^) 『この本自分の本棚に欲しい!!!』と思えるそんな物語でした。

    4
    投稿日: 2024.06.29
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    あまり事前に情報を入れず、ただ著者名と直木賞候補作、ということだけで読んでみたら、あまりにも深く壮大なドラマで感動した。「なれのはて」というワードがふと作中に出てくるのも良い。加藤シゲアキさんの前作も読みたくなった。

    4
    投稿日: 2024.06.22
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    とても深い話で感動しました。一枚の絵を巡り話が進んでいき、、現在と過去の話を混ぜ合わせながらで情景がよく浮かんできました。最後も思ったような出会いがあり、良い終わりでした。加藤シゲアキさんの作品は初めて読みましたが、すごい作者さんだと感じました。

    4
    投稿日: 2024.06.17
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    とても良い意味で、重くずっしりとした作品だなぁと。読みごたえスゴイ。 歴史的背景が絡み登場人物も多くて複雑だが、知識のない者でも惹き込まれるよく練られたストーリー。なにより心に迫る文章表現に圧倒され…作家・加藤シゲアキ推しとなりました。

    2
    投稿日: 2024.06.17
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    生まれてきた時代や場所に争うことはできない。財をなし富を得て豊かに暮らすことが必ずしも幸せではない。戦争によって幸せな未来を奪われることを運命だと、仕方がないことだとは思うことができない。不器用にしか生きられなけれど、そこに人間味のようなものを感じた。1枚の絵画から時間を超えて巡り合うことができたラストに温かい気持ちになれた。

    3
    投稿日: 2024.06.16
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    賞をとられたアイドルの本の内容はどんな? と気になって読みはじめた加藤さんの本ですが、今までとはスケールが違いました。 作家さんだなぁと改めて思い、また次の本も読みたいと思いました。 読み進めるうちに点と点が繋がり温かくなれました。

    3
    投稿日: 2024.06.16
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    ひとつの絵画から始まる黒くねっとりした因縁の物語は、真実が明らかになるにつれ心に迫るものがありました。従軍下の過酷な日々や秋田空襲の様子は息を飲むほど生々しく、「なれのはて」という作品名の持つ意味の深さや重さもなるほどよく考えられているなぁと。 定評ある加藤シゲアキさんの本。前から読んでみたくて今回初めて読みましたが、今年読んだ中でも特に心を打たれた素晴らしい作品でした。言葉選びが自分好みで、重たいテーマだったけどとてもよかった。

    3
    投稿日: 2024.06.14
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    報道局からイベント事業部に左遷された守谷が出会った一枚の絵とその作品を描いた謎の画家イサム・イノマタ。物語が進むにつれその背景にあった人間関係や失踪、殺人事件が明らかになる。ミステリーとしてかなり質が高い。

    2
    投稿日: 2024.06.13
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    まず加藤シゲアキさんごめんなさい! 二足の草鞋だとか容姿がいいから(嫉妬)だとか理由をつけて読んでませんでした。 一枚の絵の作者の謎に迫っていくミステリですが、凄く奥が深くてとてもアイドルが書いたとは思えませんでした。 おそらく普通の作家さんより評価を得る事は難しいだろうし批判を浴びる事も多いのではと思いますが、今後が楽しみな作家が増えました。

    31
    投稿日: 2024.06.12
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    何冊か加藤シゲアキさんの作品は読んでいるが、今回の作品はどの作品よりも壮大なスケールだった。 そして、この作品を書くために、すごく沢山のことを勉強したということが伝わった。 昭和〜令和まで移り変わる時代の中で生きる人々の生活が、描かれており、誰しもなにかを抱えて生きているんだよなぁ、と、改めて思い知ったというか。。。 悲しくも最後は温かくなるようなそんな作品でした!

    17
    投稿日: 2024.06.11
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    著者のアイドルとしての芸能活動についてはまったく接したことがなくて、ただ最近、NHKのEテレの番組でMCやっているのには遭遇し始めています。彼が作家であるジャニーズとして若者(?)代表の文化系の顔って役割を担わされているのかな?と思っていました。(カッコいい又吉?)そつのない司会ぶりで、突出することなく番組の地に溶け込んでいるのを見ていたので、今回の作品はこちらがかってに抱くイメージを越えていました。彼の作品は若者の心象を題材にした風俗小説と思い込んでいましたが、なんか骨太で過剰な大きい物語でした。とにかく「石油」というテーマに着目しているのが新鮮でした。「石油」という題材を軸にしたことによって初めから「なれのはて」という題名は決めていたのかもしれません。とにかくジェームズ・ディーンの映画「ジャイアンツ」みたいなことを日本に持ち込み松本清張と横溝正史と原田マハとか色んな世界で仕上げられていると思いました。登場人物も多く、伏線も入り巡らされ、次から次にいろんなことが起こるので、ノンストップ読書になりますが、いろんなことがなんか放置されたままラストを迎える気もします。大団円はシンプルで感動的なのですが、なんか都合のいい話にも思えてしまいました。作者はこの作品で二回目の直木賞候補になっていますが、この作品を経てきっともっとうまい書き手になっていくように思います。

    11
    投稿日: 2024.06.10
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    決して悪くない。歴史も含めて、素晴らしい作品だと思う。読んでおくと良い一作だと思う。最後1.5割の余韻はすごい。ただ、高評価とこれまでの加藤シゲアキ作品から期待していたものとは違った。期待値と好み、そことの溝を埋めにくるまで時間がかかった作品だった。

    2
    投稿日: 2024.06.09
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    たった一枚の絵から始まる、壮大な人間ドラマでした。昭和初期の戦前〜コロナ禍までを絵描き切るとは、恐れ入りました。大作ですね。 冒頭から、謎や伏線が散りばめられて、どっぷり読書沼に入り込めました。 タイトルの「なれのはて」という言葉が、文中で出てきた場面では、思わずゾワッとしてしました。 日本でも石油が採れるんですね。知りませんでした。。勉強になりました!

    70
    投稿日: 2024.06.08
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    アイドルとしての作者を知らないので、先入観は一切なしで読めました。作者をアイドルとして知ってる友人たちは読めないなーとボヤいていました。 感想としては本当にすごい作家さん、作品だな、と。 もちろん下調べも入念にされた上でしょうが、ある一族とその会社についてや、田舎ならではの世界観、戦争がもたらしたこと、本当に壮大でした。 一枚の絵からこんなにも深く掘り下げ拡がるなんて。 読み応えが5くらいかなと思っていたら100でした、というくらい様々な展開に息を飲むことも多々ありました。 そして余韻が素晴らしい。 最後は都合良い感じと駆け足感は否めませんが、それでもスッと心に収まり何かがズンと重く優しく残りました。

    3
    投稿日: 2024.06.07
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    大手テレビ局に勤める守谷は、ある不正疑惑の追及が原因で報道局からイベント事業部へ異動となる。後日守谷は、事業部の後輩吾妻からある1枚の絵で展覧会をしたいと相談され、協力することに。だがその絵には、秋田の名家一族が過去に葬り去った、禁断の真実が隠されていた… 【感想】文面から伝わる“人間の熱”に言葉を失う。 現代と過去を行き来しながら真実が明らかになる度、言葉にならない思いが胸に溢れます。 読了後、登場人物たちが背負ってきた想いの深さ、広さに言葉が見つからず放心状態でした。 構成の巧みさ、描写の臨場感は圧巻の一言。

    1
    投稿日: 2024.06.07
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    壮大な歴史物語すぎて余韻がすごくて放心状態。 家族愛も兄弟愛も友情も恋愛も、全部の愛が苦しいほど感じられた。

    2
    投稿日: 2024.06.07
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    イサム・イノマタの個展を開くー。 ある一枚の絵画。そこには、羽を持った繊細そうな少年が描かれていた。 その肖像画に魅了された守谷と吾妻は、猪俣勇という画家の生い立ちを調べるために秋田県へ向かいます。 勇は、1960年頃、火事で兄が死亡した時期に失踪したとされており、勇の作品の著作権がどうなるのかを探っていたところ、勇の甥・輝と出会います。 猪俣家、そして猪俣石油化学株式会社の歴史を戦時中まで遡り、一人の画家の生涯が徐々に明らかになっていくー。 "彼"は何を思い、何を伝えたくて絵を描き続けたのか。 加藤シゲアキさんの著書に関しては、『オルタネート』を以前読んだことがあります。 そちらは学生が主役で比較的ポップな内容でしたが、本作は全く毛色が異なります。 一族の繁栄と衰退、そしてタイトルの『なれのはて』の不気味さ…。 しかし、真相に辿り着いたとき、この長く苦しい物語を読んできて良かった…!という感情になるはずです。 人と人の出会いは、まさに奇跡で溢れていますね。私も良い本に出会えて良かった。

    27
    投稿日: 2024.06.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1枚の絵から展開される物語。 調べるうちにある一族の秘密が… スケールの大きな話で登場人物が多く読み返しつつ読み進める感じ。 登場人物の説明ページが欲しかった。中盤までは頭が追いついていかなかったのだが、途中からペースアップ! 絵、空襲、石油産業、血縁、地縁、報道とは… 重いテーマだったけれど興味深く読まされた。方言が印象的。 読み終わった後フーッと息をついてしまった。 日本最後の空襲、土崎空襲。 まだまだ知らないことがたくさんある。

    1
    投稿日: 2024.06.04
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    アイドル歌手NEWSのメンバーとして活躍しながら、作家としての活動もされているということで、とても気になり手に取りました。 猪俣家の人間関係は途中頭がこんがりましたが...何とか読み進めるうちにまとまって来て、物語にも没入することができるようになりました。 最後まで読んで、やっと素敵な作品と思えました。 最後のシーンにはうるっときました。そこまでに辿り着くのが長かったかな...

    44
    投稿日: 2024.06.02
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    直木賞候補おめでとうございます。 すごい鳥肌。心が動いた。 記者会見を見ているとき制作に3年かかったと聞いて、「そんなに」と思ったが、読み終わった後には、「よくこれが3年で...」と思った。 『オルタネート』の感想にヤング向けというものが多かったが、その反動なのか、この本はとても大人向け、大人でも難しく、重く、そして深いストーリーだと思う。 加藤先生の作品はほとんど読んでいるが、この本は圧倒的にファンを置いて突き進んだ、そして高いところへ連れてきてくれた感覚。 「たった一日。それだけでどれほどの人が救えたか。国を恨むにはあまりにも理由がありすぎる。そして石油だ。当時、製油所は内地にいくつもあったが、秋田市周辺の原油産出量は日本本土最大だった。ゆえに重要な攻撃地として選ばれた可能性が高い。ここから石油が出なければ、終戦前夜は蒸し暑いだけの日常として過ぎていっただろう。」

    20
    投稿日: 2024.06.02
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    1枚の絵からここまで壮大な物語を書けるのが凄い。家族、仕事、戦争… 他の作品も読んだことはあってあまり得意な方ではなかったが、これは1番楽しく読めた。

    6
    投稿日: 2024.06.02