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イノセント・デイズ(新潮文庫)
イノセント・デイズ(新潮文庫)
早見和真/新潮社
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総合評価

844件)
4.0
238
356
171
22
6
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    このレビューはネタバレを含みます。

    元恋人の家を放火して家族3人を殺したとされ、死刑の判決を受けた田中幸乃の物語。 彼女の過去に関わりをもつ者の中で、「そんな子じゃなかった」と田中幸乃の無罪を信じる者もいるが、みんな彼女への後ろめたさをもっているから、踏み込めないし踏み込まない。その距離感がなんとも切ないし、だからこそ彼女は孤独だったのだと思った。 正直読み終わった後は心が重くなったけれど、絶望に包まれて読まなきゃよかったと思うことは一切なかった。また、辻村深月さんの解説が秀逸で、なんとも言えない感情を言葉で表してくれて感動した。辻村さんの言うように、この作品には「暗い」だけじゃない「何か」があったとように思う。

    4
    投稿日: 2017.06.13
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    帯の宣伝文句が気になり、読了。 大変読みやすく、気分が悪くなるような出来事があったものの、読み進めることができた。 この本を読んで感じたことを、解説の辻村さんが見事に書いてくれている。 この本を思い出すときは、解説を読もう。 最後の方では「間に合え、間に合え・・・!」と思っていたけれど、辻村さんの「救いがないとは思わない」との言葉に、本当にそうだな、と胸が苦しくなった。 死ぬために生きた。あの一行が書かれた場面は、本当に忘れられそうにない。

    5
    投稿日: 2017.06.12
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    やや前向きで結末に至るけど、真実が判明した後を考えると全員が暗い今後を過ごすことしか想像できない。 他人の人生が幸福か不幸かなんて一片を切り取って見るしかない以上分かるはずが無いんだなと分かる。

    8
    投稿日: 2017.06.11
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    『読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました…』という帯に惹かれ、ジャケ買い。 初めて読んだ「早見和真」さんの本。 冒頭で裁判官の判決が下され、後からその判決文に沿って過去を振り返っていくという展開が新鮮で、とても面白かった。 すぐに物語に引き込まれ、最後まで飽きずに一気読み。 1つ1つのボタンの掛け違いで主人公が窮地に追い込まれていく様子、読みながら胸が痛くなった。 『自分の意思を持って流されずに生きる大切さ』が、この小説で言うところの主題なのだろうか。 でも、仮に自分が同じ立場に立った場合、やはり主人公と同じように流されてしまうかなぁ…とも思った。 ストーリーとしては面白い作品だったが、いかんせん読後感が悪いのは否めなかった。 「バットエンドの方が物語に深みが出る」という意見もあるとは思うのだが…個人的には幸乃が救われて欲しかったなぁと思う。 <印象に残った言葉> ・ 覚悟のない十七歳の母のもとー。養父からの厳しい暴力にさらされてー。中学時代には強盗致傷事件をー。たとえ被告人に有利な情状に鑑みたとしても。罪なき過去の交際相手をー。その計画性と深い殺意を考えればー。反省の様子はほとんどみられずー。証拠の信頼性は極めて高くー。主文、被告人をー死刑に処する!(P33・裁判官) ・その〝イノセント〟 には、〝無実の〟っていう意味もあるんだって。不思議だよね。どうして〝純粋〟と〝無実〟が同じ単語で表されるんだろうね(P391・八田) ・もう恐いんですよ。佐渡山さん。もし本当に私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが恐いんです。(P445・田中幸乃) ・不倫なんかじゃないかもしれないのにね。夫婦かもしれないし、恋人かもしれない。親子かもしれないし、兄妹かもしれない。そんなこと私にはわからない。わからないくせに決めつけた。全然ダメだ。全然成長してないよ。(P456・佐渡山)

    22
    投稿日: 2017.06.11
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    帯や書店のPOPを見てかなり期待値MAXで読み始めたらうーん… 思ってたのとは違った。 死刑囚の過去を振り返るというコンセプト自体は◎

    1
    投稿日: 2017.06.11
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    少女はなぜ死刑囚になったのか?読後あまりの衝撃に3日ほど寝込みました…という本の帯に惹かれて購入。さすがに寝込みはしませんでしたが、読み終わった後のモヤモヤ感、最近流行りのイヤミス小説でした。構成は面白いし、主人公の周囲の人物が絡み合い、色々な伏線が結末へと向かっていく。作者の上手さを感じました。でも何故ここまで自分を不幸にする必要があるんだろう、人から必要とされないと自分で自分を追い込んでいくのでしょうか?人の心の闇は他人にはわからないということですね。

    5
    投稿日: 2017.06.07
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    女性の死刑執行日から話が始まり、時間は遡りどのようにして、この日を迎えることになったのかが綴られる。 やはり「弱さ」が悪いと思わなければ、居たたまれないくらい、やるせないイノセントな日々。子供の頃にちゃんと守ってくれる存在がいたら、違う人生があったろうにと思うと切なく、私は子供を大切にしようと思う。 後半では、手をさしのべてくれる人が現れるが、「信じた人に裏切られた絶望感」は死より重いものなのか?が語られる。 私も裁判傍聴したことがあり、またいきたいと思う。公判初日、結審の日、女性が良いとのこと。

    3
    投稿日: 2017.06.06
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    死刑判決がでた女性の生い立ちと女性と親しく関わった人たちの信じる女性の潔白な姿が事件の真相を解く鍵になる。しかし、人生に絶望している女性は頑なに刑の執行を望んでいる。女性のひたむきな姿勢に深く心を揺さぶられる。

    3
    投稿日: 2017.06.06
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    久しぶりに胸が締め付けられる感覚。 一人の女性死刑囚の、死刑を宣告されるまでの人生を、関係する人々が語っていく流れです。 帯には3日寝込むと書いてありましたが、 それは、この本を読んで、救いがないと感じたからなのかなぁ。 私は、主人公の幸乃が最終的に幸せをつかんだように感じて、少し嬉しかったです。 読み手によって感じ方がそれぞれわかれるのも、本のいいところですね。 必要とされたかった幸乃。 必要じゃないと捨てられることが怖かった幸乃。 そう思わせてしまった幸乃の周りの環境。 弱くて、強い幸乃。 しばらく幸乃が忘れられそうにありません。 とてもいい本が読めて、良かったです。 この人のほかの本も読んでみたいと思います。

    14
    投稿日: 2017.06.05
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    深い闇。これも手が止まらない名作だと思う。 あらすじ(背表紙より) 田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。

    5
    投稿日: 2017.06.04
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    帯の文句はオーバーだと思うけれど、集中して読めました。雪乃さんのもう誰かに裏切られたくないとか気持ちはわかりますが、急にストーカーめいた風になってしまってるというところがどうか(イメージが変わった感じ)。中村文則さんとかだと心情の変化とか詳しく書いてくれるんじゃないかなと。雪乃さんに別の救いがあってほしかったなあ。

    3
    投稿日: 2017.06.04
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    重い。そして暗い。 死ぬために生きているという、死刑判決を下された女性。 事件の背景に何があるのか、彼女はどんな人生を歩んできたのか、 子供時代から事件を起こしてしまうまでの間を回想していく。 事件そのものは、それだけを見ると物凄く酷いものなのだけれど、 背景を覗いてしまうと何ともやるせない気持ちになる。 今までに冤罪で死刑になってしまった人も居るのだろうな、と考えるとかなり絶望的な気持ちになる。

    1
    投稿日: 2017.05.25
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    重く、救いがない、と読んでしまいがちだけれど、辻村さんの解説を読み、あらためて主人公の心に思いをはせると、やりきれなくなる物語。

    1
    投稿日: 2017.05.24
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    ものすごい不愉快になる作品だった。読み物として悪いという意味では決してなく。 結末というよりは、出てくる一人一人の身勝手さと自己欺瞞ぶりに、苛立ち続けた。 主人公の幸乃を生贄のように不幸な境遇に落とし込んでいく展開はご都合主義的で安易に思えたけれど、それを上回る、人間の行動や思考の狡さのリアリティーある描写に心動かされる作品だった。

    1
    投稿日: 2017.05.22
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    凄い小説だったー!自分の語彙力、表現力で伝えられる気がしないので、深く納得した解説の一文を引用。「"感動"や"失望"、"明るい"や"暗い"、"幸せ"や"不幸"といった言葉だけでは片付けられない、名付けられない感情や事柄を時に描くのが小説であり、物語であるとするなら、早見さんが描こうとしたものはおそらく、それらを超越した"何か"が起こる瞬間そのものなのだ。」

    1
    投稿日: 2017.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いじめや裏切りや冤罪etc、あらゆる不運というものを考えさせられた1冊。 結局「自殺」をして、何が救いなのだろうか。 そんな事を思うことも、傲慢なのか。。 んー、難しい。

    5
    投稿日: 2017.05.21
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    日本推理作家協会賞受賞作品。あまり感動しなかった。 放火事件のところなんか偶然すぎる感が強くて、入り込めなかった。

    0
    投稿日: 2017.05.20
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    これは衝撃。あまりにも衝撃。冷静に考えればありきたりな設定なのかもしれないけど、描写がて繊細で丁寧で、引き込まれた。深い。

    3
    投稿日: 2017.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一人の人間は見る人の角度によってこうも違って見えるのかというのが読後最初に感じたこと。 残念なのは『生まれてきてごめんなさい』『誰かに必要とされず裏切られるくらいなら死んだ方が楽。』ここに至るまでの雪乃の心理描写が足りない。 いかに暗転しようとも幸せな家族の記憶は彼女に何一つもたらさなかったのか? 母とは良い思い出しかないのに『母に目が似ているから』と整形する心理もよくわからない。 既に心を病んでしまった彼女に至るまでの幼少期、思春期の出来事を雪乃側の心理からも描いて欲しかった。 誰かに罪を被せたり、真実を口にしなかったり良心が希薄な登場人物が多すぎる。普通は良心の呵責に耐えられずもっと早くに事実が明るみに出そうなのに。

    5
    投稿日: 2017.05.19
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    元恋人の住むアパートに放火し、奥さんと双子の子供を殺してしまった罪により、死刑を告げられる田中幸乃。 幸乃をよく知る人たちによりその話は語り継がれていく。 誰もが幸乃は無実だと信じて。 人は生まれや才能でなく環境で育っていくことがよく感じられました。

    3
    投稿日: 2017.05.12
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    元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、田中幸乃は死刑を宣告されるところから物語は始まる。 彼女は、本当に犯人なのか?を紐解くミステリー。 死刑を宣告される背景につながる、田中幸乃の過去と、彼女に関わった人々の回想が主なストーリー。 世論とは異なる真実、色んなボタンの掛け違いで起こる悲劇。 読んでいて悲しくなったけど、何より、田中幸乃自身が唯一譲らずらなかったのが“死ぬために生きようとする”ことが切なかった。 日本推理作家協会賞受賞。

    3
    投稿日: 2017.05.12
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    とても面白く、文章も読みやすいのでイライラする事なく読み終えた。 陽子がなぜもっとつながりを持とうとしないのか、そこが不明。あとはラストも含めてとても良かった。

    3
    投稿日: 2017.05.12
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    読み終えた時のモヤモヤ感。心にあるのは怒りだと気がつくのにしばらく時間がかかるほど、呆然とした。 裁判の結審のシーンから始まるこの物語は場面をどんどん変えながら進んでいき、その展開は見事に読者を引き込んでいく。いや、目が離せないといった方が正しいだろう。 登場人物は誰1人として幸福感ゼロ。 こんなやついるか?と思いながらも、非常にリアルだとも思える。 リアルに感じるからこそ、登場人物ひとりひとりに腹を立てながら読んでいたのかもしれない。 逃げ道のない正論を突きつけられているような、同時に、自分の無力さを感じさせられるような、そんな感覚。 途中からは中断できず、一気に読み上げた。 不遇な、という一言では言い表すことができない死刑囚となった女性の人生は、本人の口からではなく周りの人間たちによって、彼女の姿と成りが形作られていく。 頭の中にイメージが作りやすく、だからこそ余計に最後に脳裏に焼き付いた彼女はなかなか消えなかった。 良いか悪いかは判断できないが、とにかくインパクトが強い話だった。

    1
    投稿日: 2017.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    9月の晴れた日、死刑囚田中幸乃の死刑執行が執り行われようとしている。 「主文、被告人をーー」と告げる結審のシーン。 裁判官の口から語られた判決理由、その一行一行を章のタイトルにした見事な構成に引き込まれる。 判決理由は果たして、彼女のありのままの姿を語っていたのか。 ニュースやワイドショーで語られる、いかにもな犯罪者としての幸乃は果たして本当の彼女なのか。 産婦人科医、義理の姉、中学時代の親友、元恋人の友人らの証言から、幸乃の人となりが明らかになっていくにつれ、いつの間にか彼女に味方し、見守り、助けたくなってくる。 彼女の壮絶な人生、哀しみ、孤独、絶望を思うと胸が苦詰まる。 拘置所面会室のアクリル板の向こうとこちらとを隔てるものは何なのか。我々が犯罪者を「自分とは違う生き物」と断じられるのはどうしてか。たまたま、運よく、こちら側にいられるだけかもしれないのに・・・ 人を犯罪へと堕ちていくきっかけ、冤罪のおそれ、世論の虚妄。。いろいろな問題をはらんだ作品であるけれど、読後は心に温かい何かが広がる。 それは、彼女の哀しい人生にたった一人でも寄り添う人がいたことに対する安心からだろうか。 幸乃と慎一が満開の桜の下でほほ笑む姿が浮かぶ。

    1
    投稿日: 2017.05.07
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    幸乃さんが見つめていたもの、目をそらさずに見つめ続けていたものって何だったのだろう。周りがどう関わってきてもどんな事を語りかけても方向を変えることが無かった彼女の生き方。その道以外に辿れる道が無かったのか見えていなかったのか。 幸乃さんが想いを遂げたことが哀しかった。読み返して、関わった人たちの、特に江藤さんと慎ちゃんのこれからを思うと胸が塞ぐ。

    6
    投稿日: 2017.05.07
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    死刑囚の周りにいる人々が彼女を思い出す。 重すぎ。 泣きそうになるから外で読むのはオススメしません。

    1
    投稿日: 2017.05.07
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    一気に読了。 後から色々考えさせられる。 皆、何か生きにくい事情を抱えて他者を傷つける。弱肉強食の負の感情。 その最期を幸乃が受けてたのかな。 それを他者に流さず自分で受け止めることが「必要とされる」こと? 事件としての結末は途中だったので慎一と老婆がその後どういう結果になったのかなど、やはり考えてしまう。 結果、みんな幸乃の事を考えてしまうという事はよく出来た話しなんだと思う。 この話の中で違和感を出してたが一番普通なのは翔くんだと思う。 そして多数の人はテレビを見てたカップルと同じ感覚で自分とは無関係の事件を見る。 考えさせられる、そして明るい気持ちにはなれない。

    3
    投稿日: 2017.05.03
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    20170501/「死ぬために生きる」という思いとは。白夜行と八日目の蝉の嫌なところが合わさったよう。じめじめしていて救いがなくて、でも主人公はきっとさいご、救われてるという、奇妙な爽快感。

    3
    投稿日: 2017.05.01
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    必要とされたい。 その気持ちが満たされるためなら何でもする。 友人の身代わりに罪を認めたり、利己的な理由で自分を引き取った祖母に尽くしたり。 我儘で浮気性で金に汚い男であっても甘えてくれることに自分の価値を見出し、別れを選ぶことはなかった。 それでも彼が他の女性と子を作り自分から離れていった時には、もはや自分は誰からも必要とされない存在だと悲観し、自ら死を選ぼうとする。 でも死に切れず、ヒトの手で死にたい、と、 死刑求刑されるような罪を、身代わりに背負ってしまったのだ。 ようやく、この、誰からも必要とされない存在を世の中から消すことができる。 死ぬために、生きてきたのだ。

    1
    投稿日: 2017.05.01
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    幸乃に対して、本当に多くのことを想う。 その透明感に心を打たれる反面、 もどかしさも、苛立ちも感じる。 誰をも傷つけずに生きることなんて、できないのに。 何をしても、人は、自分で傷ついていくものなのに。 まるで、キリストみたい。 そんな風に思った。

    3
    投稿日: 2017.05.01
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    早見和真『イノセント・デイズ』新潮文庫。 読み終えて、どっと疲れた。非常に重く、辛い、嫌な後味だけがずっと残るミステリーだった。確かに衝撃的ではあるのだが。 元恋人の家に放火し、その妻と1歳の双子を殺めた罪で死刑宣告を受けた田中幸乃。彼女が凶行を行うまでの人生を彼女に関わった人びとの視点から浮かび上がらせる。その先に待ち受けるのは… 本作を読み始め、山田宗樹の『嫌われ松子の一生』や真梨幸子の一連のイヤミスを思い出したが、それらの作品と一線を画したのは余りにも酷い田中幸乃の不運だろう。自らの不運を運命として受け入れ、全てを諦める田中幸乃の一生には全く同意出来ない。

    33
    投稿日: 2017.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    201703/ここに至るまで幸乃の心境に共感や理解ができないので、救いがないと思ってしまうけど、でもこれで幸乃は救われたのだと思うと…でも…。

    0
    投稿日: 2017.04.29
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    何だか、壮絶な物語だった。 必要とされながら、死に向かいたい、という切ないまでの承認欲求が、こんな形の物語になるとは。衝撃です。

    1
    投稿日: 2017.04.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全然スッキリとはしないが、1人の女性の生き様を描き切った作品として重みとインパクトのある作品だった。 境遇や環境により、如何にして彼女という人間が形成されていったのかを彼女と関わりのあった人たちの視点から追いかけられていく。良かれと思ったことが裏目に出たり、結果として裏切られたりしていくうちにどんどんと追い込まれていく様によって田中雪乃という人物像は明確な形となり、彼女の選ぶ結末に共感はできずとも理解はできた。。 ただ、たまたま本作の直前にも冤罪を扱った作品を読んでたこともあって雪乃が放火事件そのものに対してどう考えていたのかは気になった。 あくまで自分の死に対してだけに執着していたのか、真犯人(その内の1人は死んでいるものの、残りは…)たちを社会に残したコトに対する罪も抱えていたのか。。 …ここは読者に委ねられた部分なのかもしれないが個人的には前者のような気がして、彼女の生い立ちからの考え方等には理解できたものの、残された人や社会に対する責を無視した一方的な自己中心的考えだっんじゃないかと。。 また、メディアによる犯人像と本人とのギャップと言う点にも考えさせられた。 エピローグにある「何も知らないくせに。自分勝手に決めつけて」。 正に本作にあるような犯人像だった場合、メディアを通じて知る凶悪犯としての田中雪乃を疑うコトはないだろう。これは報道側に期待するしかないが、起きた事実だけの先入観に囚われず、その背景なども公平な立場で伝えてほしいものだ。。 それらを含めて読了後に色々な見方、考えをさせられる機会と余韻を残す良作でした!!

    0
    投稿日: 2017.04.24
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    思ってたよりもスムーズに読めた。   多視点形式なのも良い点。    なんというか私の語彙力で言い表し難いけれども、面白かった。    面白いんだよ。とにかく。他人から見た他人の人生なんて。    人の一生なんて。こんなもん。    いいように生きれなかったなら、いいように死にたいもんだね。

    1
    投稿日: 2017.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『無実の罪で死刑執行されるよりも人に見捨てられる方が怖い』 慎ちゃんが信じてくれていても、慎ちゃんに必要とされていても幸乃は死にたかった?どうしても死にたかった? 最後に桜の花びらと一緒に死刑執行されたってことは幸乃も少しは慎ちゃんを信じていたんだよね?無実の罪を証明しようとしてくれて嬉しかったんだよね? こんな辛すぎる終わりってない・・・悲しすぎる・・・

    1
    投稿日: 2017.04.21
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    幸乃の最後の言葉、最後の行動がつらくって思わず泣いてしまった。 皮肉にも名前に ”幸” を含んでいながらこのような結末になるしかなかったのか 人が望む幸せの形を決めつけてはいけないけれど、イノセントな人が他人の食い物にされているように見えてしまう。 ただ、それさえも、イノセントじゃない人から見るとそう見えてしまうだけなのかもしれない。

    1
    投稿日: 2017.04.16
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    田中幸乃の人生における登場人物たちとただの通行人の話。 明るくて、屈託のない女の子。 どこでボタンを掛け違えたのか。 ラストで明らかになるあまりにも哀しい真実。 死ぬことを強く望んでいた女のもとに、そのチャンスが舞い降りてくる。 彼女が生まれて初めて、自分の意思で生きようとしたのは、死ぬためだった。

    0
    投稿日: 2017.04.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    死ぬために生きようとする いくらでも違う道があったのに、結局は望んだ通りになったのだから、それはそれでいいのだろう。無実を解き明かしていくことで、重さが増していきました。

    0
    投稿日: 2017.04.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もしかしたら無実では? という死刑囚の話、というとありきたりな感があるのですが、相当惹き込まれて読みました。 その理由は自分ではよくわかっていないのですが……多分「ギャップ」ですかね? 報道されている内容と、田中幸乃本人、あるいは周辺人物からの情報との違い。そして、幸乃本人のパーソナリティと殺人犯という相容れないイメージ。 そのギャップの理由が知りたくて、先のページをどんどんめくっていったのかな、と。 で、物議を醸している結末に関して……結局間に合わなかったことについては仕方ないと納得できるのですが、せめて幸乃が無罪だったことやどのような人物だったのかを、誤解している人全員に知ってもらいたかったです。 幸乃自身はそんなことを望んでいないでしょうけど、いち読者としてはそれくらいの救いが欲しかった、というのが正直な感想です。

    1
    投稿日: 2017.04.13
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    元交際相手とその妻子を殺害、放火したとして死刑判決の出た田中幸乃をめぐる物語。 周囲の人々が彼女について思い出す形で事件や人物像が明らかになっていく。その明らかにしていくやり方がうまいので、気になってページをめくってしまった。 最後についてはかなり衝撃を受けたが、それも仕方ない。本当に殺したのか否かがわかっただけで満足できたからか。 モヤモヤした気分が残るのは、彼女が心を病んでしまった状態を受け入れられなかったからかもしれない。ヤボなことと承知してても、何でそんな判断した!?という感想を持ってしまう。

    1
    投稿日: 2017.04.12
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    途中でやめられなくて、明日仕事だというのに3時過ぎまで読んでしまいました。 おもしろかったのだけど、なんと切ない話か。 幸乃に関わった人、みんなが「あの時こうしていれば、手を差し伸べていれば」と後悔してる感じ。 幸乃ちゃん、死にたいなんて思っちゃいけないよ……。散々辛い目にあっただろうけど、でもあなたには信じてくれる人がいるじゃない……と伝えてあげたかった。 そしてまた、この中ではずいぶんいじめが横行してるな! 読んでいてあまり気分のいいものではありませんでした。

    1
    投稿日: 2017.04.10
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    これもまた、何を読もうかとランキングを物色して買ったのだけど、読み始めたら、辛くて、重くて、読むのが結構キツかった。 プロローグの前に置かれた、田中雪乃という死刑囚が刑執行の日を迎える朝の場面から、ずっとヒリヒリした重苦しく緊迫した描写が続く。 振られた男に付き纏い、嫉妬心から放火して、男の家族の命を奪うという、鬼畜のような女が起こした事件が語られるプロローグ。 第一部「事件前夜」、プロローグでしっかり刷り込まれた雪乃の姿に対し、続く章でそれぞれ語られる彼女と彼女の家族に関わった人々の回想。 産婦人科医が語る出産時の母の姿、実の姉が回想する父の記憶、中学の同級生が思い起こす悪夢のような出来事、被害者の男の友人が見た男と雪乃の関係。 事件へ至る道程について全てが塗り変えられる様に物語は進む。 第二部「判決以後」の出来事についても、同じように語られる。 今は弁護士である小学校の同級生の奔走、同じく仲が良かった同級生の悔恨。 雪乃に対して同じような思いを持つように見えながら、全く違う立ち位置で事件に向き合う。 少しずつ事実が明らかにされる経過はなかなかスリリング。 しかしながら、あのように過去を生きてきたとして、何故に彼女がそのような生き方を選んだかは私には推し量れず、重たい読後感だけが残った感じ。

    2
    投稿日: 2017.04.08
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    最後まで展開が読めず、ドキドキしながら読んだ。 周りの登場人物はこの主人公を描くための、言葉通りの「脇役」だったんだなぁ、と言うのが読み終えての感想。

    3
    投稿日: 2017.03.26