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イノセント・デイズ(新潮文庫)
イノセント・デイズ(新潮文庫)
早見和真/新潮社
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総合評価

844件)
4.0
238
356
171
22
6
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    このレビューはネタバレを含みます。

    頑張る幸乃が見たかった。 確かに彼女は、その純粋さ故に幾度も人に裏切られ、傷つき続けた。 生きたくないと感じるには充分なほど不運な人生だったかもしれない。 だけど、幸乃を救おうと、そばに居たいと思ってくれていた人の存在を、忘れてほしくなかったな。 私が生きることで人に迷惑をかけたくないと幸乃は言ったけれど、本心はきっと逆だったはず。 誰かに必要とされたくて仕方がなかった。 だとしたらもう少しだけ、頑張って人とのつながりを作る幸乃が見たかったなと思います。

    8
    投稿日: 2018.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    辻村深月さんの解説とは違う印象を持った部分だけ書くことにする。 まるで現実に起きたことのようにリアルでありふれた事件の設定。しかし読んでるうちに引き込まれていくのは、その事件に関する登場人物達の生い立ちなどが詳しく描かれていくから。 事件の犯人とされた人物が実は無罪で、世間のイメージ(マスコミが報じる人物像)とはかけ離れていることが次第にわかっていく。報道や他人、噂など、外部からの情報を鵜呑みにすることが、実際とは全く違う印象を作り出してしまう、その怖さを実感した。 自分はこれが1番強烈な印象として残ったが、解説ではふれられてないのが少し不思議なかんじ。

    3
    投稿日: 2018.02.10
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    暗い、重い、辛い、切ない。 そんな作品だったが、ぐっと惹き付けられた。 まずは目次に惹き付けられる。 この目次で一体何が綴られるのか?という期待感。 それを裏切らないそれぞれの章。 自分ならこうなのに!!! と思わないわけではないが、私はこの物語が嫌いではない。 みなさんの感想とは異なるのかもしれないが、私はラスト、安堵した。 ハッピーエンドではないのかもしれないが、これでもう不幸にはならない。

    18
    投稿日: 2018.02.09
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    暗いー。重いー。 でも、最終幸乃さんは報われたのかもしれない。 人は一人で生きていくのは無理で、 やっぱり周りの方々あっての日々。 想いを伝えることからも逃げたらあかん。 無垢ですね。一気読み。

    6
    投稿日: 2018.01.27
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    誰かの選択がつむがれた上に今がある。その、誰かの選択にはそれぞれの思惑があって。死刑宣告された女を取り巻く人間模様に、時間を忘れて一気読み。 #イノセントデイズ #早見和真

    6
    投稿日: 2018.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    遠藤周作の『女の一生』を思い出した。最後までまっさらでキレイな幸乃。 関わる人の幸せを願って自分を犠牲にしてしまう、第三者から見るとどうか関わらないでくれ、と思うが、幸乃にとってはそれが自然だったのかな。 最後に自分の願いを持つことができて良かった。ただ個人的には佐々木慎一に助けてもらって、2人でやり直して欲しかった。 本当に必要としてくれる人がいるんだとしたらもうその人に見捨てられるのが怖い この一文で号泣。 その通りだね、幸乃。

    23
    投稿日: 2018.01.18
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    読み終わった後はやや悶々ととしてしまった。内容は面白くスイスイと読める。特にラストシーンはドキドキしながら読んでしまう程である。 多くの人が絡み合うので読者によって感ずるものが違うかもしれない。犯人探しというより、心のすれ違いを楽しむ物語と思った。

    6
    投稿日: 2018.01.17
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    落胆したけれど、めでたしめでたしなのかもしれない。ハッピーエンドではないけれど、バットエンドという訳でもないのかな。と 相手の気持ちを察すると、そういうことなのかも。

    2
    投稿日: 2018.01.11
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    映像化が公開される前に読めてよかった。ほんのすこしでも刑法にふれる機会のある仕事をしているのでしんどかった。そう思えるぐらい、この小説は心に来た。映像化はやめたほうがいい。どれだけ作り込んでも陳腐なものになりそうだ。 文章が頭に入って来る。情景が浮かぶ。主人公の彼女の容姿を想像する。周囲の人物の感情に寄り添って見られる。だけども彼女の心境の移り変わりなんか感じない。彼女は心境と表されるようなわかりやすいものを持つのをやめていそうだから。 これはあくまで個人的な意見だけど、なんとなーく筆者は暗い部分を実体験から切り取ったり誇張したりしながら書く人の部類だと思った。

    3
    投稿日: 2018.01.08
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    重い。。。 想い。 読み終わってそう感じた。 人の想いも想っている時に伝えないとなとも。 章ごとに視点が変わり進んで行き、 そこにたどり着くまで描かれる。 どうなるのか?と思いながら、 こうなったかと、ズッシリきてしまった。

    3
    投稿日: 2018.01.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやいやいや… よくできすぎだとは思う。 成長したあとの幸乃の望みだけが叶って、 慎一だけ残されてしまって、虚しいねという感じ。

    0
    投稿日: 2018.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すぐ読めた 読みやすい 最後は不幸なのか幸せなのか きっと敬介と一緒になれない人生は幸乃にとって不幸だったかもしれないから これでよかったのか…

    0
    投稿日: 2017.12.31
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    他の方も書いているように、私も読んでいて、暗い、重いという印象は払拭できなかった。 でも、ここに出てくる田中幸乃という1人の女性がどのような人生を辿ってきたのか、物語の結末がどうなるのかー。という気持ちがページを次へ次へと進ませた。 解説で辻村さんが書かれていた様に、私も幸乃という人間には純粋で無垢な印象を抱いた。そして、純粋すぎるが故に、彼女が出会う人が彼女の純粋さや優しさにつけ込む事も。。。 ラストは流石に、えっ!?そうだったのか!と思ったものの、彼女は少しだけ運命に逆らおうとして結局はその運命に沿ってしまった。そんな雪乃が私は不憫に思えて仕方なかった。 残された人間がこの先、どう生きるのかは書かれてはいないが、明るい未来が見えそうにない感じだけは読み取れた。

    26
    投稿日: 2017.12.23
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    久々にここまで引き込まれる小説に出会った。 田中幸乃に助かってほしいと思いつつも、やったのでは?という疑問も途中に沸いてきたりし、衝撃なラストに続いていく。 読み終わった後、すがすがしくは無いのだが、終わってしまったと寂しさを感じた。

    6
    投稿日: 2017.12.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み始めの印象がどんどん変わり、 読む手が止まらなかった。 幸乃の視点で語られる部分は少ないため、 本当の犯人に対してどう思っているのかや、 必要とされたいという気持ちは分かるも、なぜそこまで元恋人に執着したのかがわからないまま…。 でも実際の事件も、けっきょくは周りの声などから想像するだけで 容疑者(・被告・受刑者)の気持ちが分かるわけではないものね。 (今回は冤罪なわけですが)

    1
    投稿日: 2017.12.09
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    内容(「BOOK」データベースより) 田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。 幼いころから周囲に傷つけられてきた幸乃は、どの瞬間を切り取っても背中を丸めて小さくなって、誰かを傷つけることなくひっそりと生きていたのに、どんな経緯でストーカーになり、そして死刑囚になったのか。幼少のころから彼女に関わった人たちの追憶が重なって行って、少しずつ彼女の歩んできた茨の道が明かされてくるのでありました。 読めば読むほど悲しい気持ちになって来て、どうにか救われて欲しいという気持ちになるのですが、どうなったら彼女は救われるのか分からないまま胸に重い塊が蓄積していく本です。 読み進めていく毎に違和感が大きくなっていくあたり書き方が本当にうまいと思いました。物事を角度を変えて見ていくと、どこかに作られた縫い目のような違和感があるのは、メディアが作る印象操作そのもの。昨今の常軌を逸した報道合戦の倫理観の欠如に通じると所があります。翻って関わった人たちの印象を組み立てた幸乃像は、自分を無価値と決めつけそれでも人にやさしさを施す純粋な姿なのでした。この差異はどこから生じるのか。このずれこそがこの本の骨子でしょう。 良い本を読むと心が動いて古い汚れが落とされるような感覚になります。この本はそんな心の振動を促す本ですが、いわゆる感動本ではないのでずっしりと重いものが心に残ります。

    6
    投稿日: 2017.11.30
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    「たった一人からでも大きな愛を受けていれば、子どもは道を踏み外さない」医師の言葉に母は、大きな覚悟をもって幸乃をうみ、大切に育てた。 なのに、なぜ彼女は死刑囚に、なぜ判決を受け入れるのか。 ラスト辛すぎる、吐きそうでした。

    3
    投稿日: 2017.11.28
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    一気に読みきった。なんかほんと後味が悪いというか、わかりやすい悪者が登場しないから、悲しくなります。

    2
    投稿日: 2017.11.23
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    早見和真さん、初読み。リーダビリティがすごい。 文庫は外出時に持ち歩いて読むようにしてるのに、読み始めたら続きが気になってしまい、積んでる単行本を尻目にほぼ一気読みw はっきり言って、きれい過ぎるし、こんな女性がいるわけがないとも思う。というか、いて欲しくないし、肯定もできないし、受け入れたくもない。 ・・・すごい婉曲な、死刑廃止論だったりして?w 死刑になりたくて人を殺したっていう人もいるわけで、そういう人には、延々と苦しみを与え続けて、生かし続けさせたいとも思うしー。 ま、いろいろ考えちゃうという意味では衝撃的でもあったかな。暗いとも、救いがないとも思わないし、田中幸乃にとっては救いだったわけで、それより「筆舌に尽くせぬ孤独」というほどのこともなかったようなー? いやいや、いいんです。一気読みできるような小説が好きなんですから、批判じゃないですよw こういう感じが好きな人には、おススメしちゃうと思うし、なかなかステキな読書時間でしたー♪

    10
    投稿日: 2017.11.19
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    死ぬために生きようとする彼女の最後の姿は、たしかに鬼気迫るものがあったが、それでも、どうか死刑執行に間に合ってと思わずにはいられなかったし、彼女にはどうしてという気持ちになってしまった。

    3
    投稿日: 2017.11.18
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    切ないお話ですね・・・誰か一人でも良いから心の支えになる人が居てくれれば・・・と思わざるを得ないお話でした。

    3
    投稿日: 2017.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これを「ミステリー」カテゴリに入れてよいのか迷う。 書き出しは田中幸乃という、放火により殺人を犯した確定死刑囚が、刑務官によびだされて独房を出、おそらくこれから死刑執行となるのであろう場面。これだけでもインパクトが十分だった。ただ、ストーリーの本質は、この女性がなぜ、死刑を宣告されるまでに至ったのか、ということ。 幼少期は、両親と姉と平和に暮らし、幼馴染とも仲良く、楽しい日々を過ごしていた彼女が、いったいナゼ?と謎は深まる一方。 どこにでもいる、普通の女性が凶悪犯に変貌した(ように見えたこと)には、鳥肌モノの「不の連鎖」があったのだ。 後半で、だんだんとその「連鎖」が明らかになり、「これは・・・もしや冤罪で、死刑が無効になるパターン?」なんて、軽く考えてしまったけど、全然予想していない展開となった。 追記 ザロイヤルファミリーを読み終えて、こちらを再読に至った。全く異なるジャンルだけど、単なる物語、にとどまらず、人物の背景に深く入り込んでいく感じは、作者独特の、2冊に共通のものを感じられた気がする。思えば、雪乃だったり、その周囲の人物と同年代にあるなあ。いろんな生き方が存在するなかで、死を待つというのは一体どのような心境なのだろう。今回は、佐渡山さんがもし自分だったら...と投影してみたりもした。何度も、いろんな読み方ができるのではないかと改めて感じた。

    1
    投稿日: 2017.11.10
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    「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」に惹かれて読みました。早見和真は初めて。 一気読みしたくなる進行。 緊迫感あるクライマックス。 面白かったです。 多少余韻は残ります。 なんの効果があったのか結局わからなかった設定はいくつかありました。

    1
    投稿日: 2017.11.08
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    久々に力作だなーと思う作品に出合った。 みな自分の正義を掲げて生きている限り、この世に争いはなくないね...

    1
    投稿日: 2017.11.06
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    放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命。確定死刑囚・田中幸乃の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが…。 「ヒャクハチ」などこれまでに読んだ早見和真の作品とは全く毛色の違うものだった。こちら側の勝手な期待を裏切る終盤の展開に驚く。傑作だとは思うけど、カタルシスを感じない作品だった。 (C)

    1
    投稿日: 2017.11.03
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    平成29年11月3日読了。 20年前のキムタク主演「眠れる森」とビョークの「ダンサーインザダーク」のハイブリッド的な内容。

    5
    投稿日: 2017.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2017/11/03 死刑と死にたいが合致してしまった話。 必要とされない事は何よりも残酷なんだなぁと。 もう少し早ければ、話が通じていれば……すれ違う悲しみ。 凄惨まである。 推理小説ではないとは思うけれど……。

    0
    投稿日: 2017.11.03
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    最後の事件の真相が明らかになる。 ミステリー仕立てにするのならばもっと伏線を張ってないと駄目だし、犯人の心理を中心に描くのならば、その最後はないだろうと思う。

    0
    投稿日: 2017.10.31
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    重い。とても重い。 小曽根理子の話のところでかなり苦しくなりました。 でもそんなもんじゃなかった。 幸乃の周りの人たちがそれぞれに思い、傷ついている。 どうしようもないやり場のない気分です。 改めて死刑という刑罰について考えさせられました。 ちょっと引きずりそうな感じです。

    4
    投稿日: 2017.10.31
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    なんとなく小説読みたいなと本屋に入ったところ、帯に『読後あまりの衝撃で3日ほど寝込みました』とあったので直感で購入。3日間の寝込みは盛りすぎ笑。ですが、一気読みは間違いありません。面白かった。 【ザッと内容】 死刑囚となった田中幸乃。報道では彼女の過去を養父から暴力があった、中学時代には強盗事件を起こしたなどと連日囃し立てるが、その実際を各年代の周囲の人の目線で描いていく話。なぜ彼女は死刑囚となったのか、事件の真相は何だったのか。。。。。。 【こんな人にオススメ】 ・一気読み好き ・暗い話好き 【感想】 読んでる間はとにかく展開が見えない。想像が出来ないから先が読みたくなる。各章でこれが繰り返された印象。又、後半になると少しずつ"嫌な予感"がしてくるのであるが、この予感の転がし方も非常にうまいと感じた。個人的には辻村深月のあとがきもオススメ。さすがに良い文章を書いていたし、このあとがきがよりこの小説に深みを持たせると感じた。 私個人としてはそんなに深い考えや問題提起みたいのは感じられず、ただただ「この先を知りたい」という一心で読み進めた一作。 【刺さった一言】 多くの人間が自分の仕事が世の何の役にたっているのかと悩みながら働いているんだぞ(中略)人間が人生を賭して挑める仕事なんてせいぜい1つか2つしかないんだ。

    3
    投稿日: 2017.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小説なんだから、こんな無垢な幸乃が罪を負うわけがないと思いつつも、残りのページ数がどんどんと減っていく、どうやって生き抜くのかと差し迫っていくラスト、なんとか生きて欲しいという思い、でも、死ぬために生き抜いた彼女において行かれてしまった。 生きて欲しいという気持ちを強く感じた作品。

    1
    投稿日: 2017.10.28
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    許されなくてもいいという気持ちより許されたいという気持ちの方が必要な時もあるのかもしれない。「相手が何を言いたいのか一生懸命に考える。」と諭された人が、1番にそれを守れないのは業なのか。

    1
    投稿日: 2017.10.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    展開が気になって、あっという間に読んでしまいました。 色々な解釈があると思うけど、あとがきを読んで違和感を持ってしまった。私は幸乃が選んだ、選ばざるを得なかった「死ぬために生きる」という事を、美化したくないと思った。それは、意思じゃなくて、選ばざるを得なかったのだと思う。彼女の生きてきた環境、周りの人たち、善意、悪意、強さ、弱さ、全てがそうさせたのだ。そうせざるを得なかった人たちに対して、意思という言葉は何て重たい十字架なんだろう。確かに、もう一方の側面ではそれが真実で、それが彼女の最後の生き様だったのだろうけれど。 「っぽい」で決めつける事の恐ろしさ。それがたくさんのものを見えにくくしてしまっている。その見えない悪意は私の中にも確実に存在している。 彼女に、真正面から向き合って、ぶつかり合えて、ギュッと抱きしめてくれる人が居れば。慎ちゃんともっと早くに出会えていれば。そう思わずにはいられなかった作品でした。

    1
    投稿日: 2017.10.23
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    なんだろう・・・話の内容、結末が重くて悲しすぎて言葉が出ない。 付き合っていた恋人に別れを告げられその後元恋人は結婚し子供が生まれた。 その元恋人の家に火を放ち妻と娘2人の3人を殺害し裁判で死刑判決を下された「田中幸乃」の子供の頃からの30歳までの話 読み手側からするとなんてバカでお人好しで不幸な人生しか歩んでこれない人なんだろうと思うが「田中幸乃」本人からしたらこれが自分の幸せなんだろうと思わされた。 面白くて一気読みでした(読んだ後はドッと疲れましたが) 早見さんの本はこれが初めてだったので以前の雰囲気はわかりませんがかなりお薦めの本です。 これは映像化したらかなり面白い作品だと思います。

    6
    投稿日: 2017.10.22
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    田中幸乃の恐怖暗黒時代(宝町の生活)を数行で素通しているので、悲惨さがあまり伝わらない。ここをきちっと書ききることが出来たら、第二の真梨幸子になれたのに、残念である。 登場人物の人間描写が、全体的にうすっぺらい感じがする。もっと、さまざまな感情の流れを表現できたら、この作品は重厚さをましたはずだ。

    1
    投稿日: 2017.10.21
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    どう言い表していいのか分からんほど複雑な気持ちの読了後。 幸乃さんは幸せやったと思います。 個人的には事件後の敬介についても触れてほしかった。

    1
    投稿日: 2017.10.17
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    帯の「3日寝込んだ」にある程度覚悟して読みましたが、疑問はいろいろとあったものの(警察の捜査が杜撰すぎないか?とか)後味は悪くなかったです。「死ぬために生きる」幸乃の姿をまざまざと見せつける1冊でした。幸乃に関わった人たちの回想でほぼ占められているので、幸乃があれほど敬介に固執したり(必要とされたいという気持ちは分かります)「生まれてきてすみません」と言うまでに至った心情が分かりにくかったです。父親に「要らない」と言われたとき、祖母に必要だと言われたとき、敬介がこじ開けてくれたとき、どうだったかそこを知りたかった。それにしても幸乃は救われたかもしれないけど、慎一とあのおばあさんは消えない傷を負ってしまいましたね。

    1
    投稿日: 2017.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不幸すぎて読んでて辛かった…でも読まずにいられないので、とにかく最後に期待して一気読み!しかし、最後のあれは救われたと言うのだろうか…。慎ちゃんには幸せになってもらいたい。最初から最後まで、重たくて辛い話だった。でも、面白かった!あと、文庫版の解説が辻村深月なのもいい。必読解説。

    0
    投稿日: 2017.10.04
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    自分を必要としてくれるものならなんでも受け入れる。それがたとえ悪意や犯罪であったとしても・・・。 人に必要とされたかった幸乃。 女性死刑囚、田中幸乃の生い立ちから人柄が幸乃をよく知る人物たちから語れています。 あの人からの手紙が早く届いていたとしても、幸乃の選択は揺るがなかったんじゃないかな。 そして救われたとしても、幸乃はまた同じことを繰り返し(異常な執着とか)、幸乃と関わる人もまた、幸乃を何らかの形で傷つけてしまったり裏切ったりしてしまう気がします。そういう星の元に生まれてきてしまった人みたいな。 たとえ生きながらえることになったとして、あの手紙の人のその後のプレッシャーたるや・・・(汗) 幸乃という人物がどういう人なのかが気になってぐいぐい読み進められました。 読んでる最中も、読み終えたあとも、少し悶々としてしまうお話でした。 でも考えさせられるお話は好きなので読みごたえがありました。

    8
    投稿日: 2017.10.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あおりに惹かれて購入。 結果は惨敗… ヒューマンストーリーとしては面白いけど、ミステリの驚きや何故を求めると物足りない。 全体的にどこが山場なのか分からない。 前半は微妙に人物がリンクして、期待感が高まっただけに、最終的に落ちるものがなかったので、落差がひどい。 古本屋の事件から、飛んで井上との話になるのも違和感。彼女が冒頭のようになるとしたら、古本屋より後のストーリーの方に重きがあるような気がするのに、そこがすっぽり抜けてるような…。実際、理子のことは恨んでなんていなくて、むしろ感謝しているくらいのようだし。それなのに彼女がここまで厭世的になる、なにか、があったんじゃないか、と。 もしその間になにもないんだとしたら、彼女の今は何から構成されたの?井上? 誕生日も結局なんだったのか、、彼女の最後の幸せ、が誕生日に纏わるものだったから…?じゃあなんで、その誕生日はしんちゃんでも彼女でもなく、丹下なの。丹下があんなに色々、昔話を食い違わされるのは、ミスリードのため? 彼女が別人で、とかいう衝撃を期待したけど全く、、ただただ丹下が意識高い系(特に小説で、嫌われるタイプとして描かれる方の)っていうのをアピールしたかっただけなのか… しんちゃんが変わるきっかけとしてだけの要素なら、誕生日まで引っ張る必要あるのかな、、 今流行りのイヤミスともまた違って、ひたすら拍子抜け… もし老婆のことが、あおり文の「衝撃指数極大値」なのだとしたら、期待はずれ甚だしい… だって犯人なのは、大家と合わせてでてきたところで、誰だって大体想像がつくし… と書いたところで、あまりに納得いかないことが多すぎて、それなのに推協賞受賞作ってことは、わたしの読み込み不足で、実はもっと違うストーリーだったりするのか?!という気になるので、星を一応ひとつはつけました。

    2
    投稿日: 2017.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この作家さんは初読みだけど、とても好きな作家の辻村深月さんが帯書いてて目に留まった本。死刑宣告された若干24歳の田中幸乃の生い立ちや死刑になるまでを彼女と関わった人たちの目線で書かれている。それぞれの章の題名も裁判のセリフになっていて、それに関しての真実がわかるようになっていて、本当によく出来ているなぁと感心した。 “死ぬために生きている”幸乃がかわいそうでかわいそうで、本当はすごくいい子、すごく純粋で優しい子なのに出会う人によってここまで人生が変わってしまうなんて、、、実の母親ヒカリが亡くなるまでは幸乃は持病を持ってたといえ間違いなく幸せだったはずなのに。 なんとも辛くて切ないお話だけど、救いがないとはまた違うんだよなぁ。でも、悲しいことは間違いない。

    0
    投稿日: 2017.09.30
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    衝撃で3日ほど寝込む ということはないけど、時間さえあれば一気に読んでしまえるおもしろさ。 この作者の他の作品も読んでみたい。

    2
    投稿日: 2017.09.24
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    帯に惹かれたのと、解説が辻村深月さんだったため、購入。 1人の死刑囚の周りの人々の視点から、進んでいく物語。ラストは、悲しかったが、幸乃にとってはよかったと思えるラストだった。彼女を救おうと尽力してきた登場人物たちにとっては絶望的なラストだと思う。

    3
    投稿日: 2017.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この本を手に取ったのは、帯に「日本推理作家協会賞受賞」と「辻村深月」がコメントを載せていたからだ。 この物語は田中幸乃という女性の死刑執行日から始まる。 彼女は元恋人の家に放火して、その妻と一歳となる双子を殺した。その凶悪な背景に一体何があったのか?! 物語は幸乃の過去や、友人や刑務官、など様々な人物の視点や時系で進められる。 その過程で幸乃がどのような人生を歩んできたのか、どういった人物だったのかが次第に見えてくる。 その幸乃という人物が見えてくる度に、何故、こんな子が殺人なんて犯したんだ?という疑問がどんどん膨れ上がっていく。 その膨れ上がりが頂点に達した物語の最後にすべての真実が解き明かされる。 読み終えたとき、哀しいとか、切ない、とかどのような感情と例えれば良いのかわからない心境になった。何かやるせない感じもする。 本中に「火を放った瞬間の彼女はたしかにモンターだったかもしれないけど、生まれながらにしてそうだったわけではないことを僕は間近で見て知っている。じゃあモンスターにしたのは誰だったのかって、検証してみる必要があったんだ」と一文がある。 これは現代のマスメディアから発信された情報を受けている読者すべてに向けられているのかもしれない。 モンスターにしたのは誰だったのか、何だったのか、悪友だったのか、親だったのか、それとも社会だったのか。 人が生きやすくするためにつくった社会だが、その社会が逆に不自由に感じられる場面もある。 人間が社会をつくり、自然が人間をつくったのならば、モンスターにしたのもまた自然なのかもしれない。

    1
    投稿日: 2017.09.19
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    オビの3日間寝込みました。につられて購入。天窓から見える星など、引き込まれてしまう文章に、あっという間だった。どうして、なぜという気持ちと、良かったという気持ちが複雑

    1
    投稿日: 2017.09.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こんなに切ない死刑があるのか。 優しすぎてしまう主人公を、 居場所を求める主人公を、 何も悪くない主人公を、 誰か救って欲しかった 彼女の気持ちを、 彼女の本心を、 そして彼女の人柄を、 誰か気づいてあげて欲しかった 最後まで誰も悪者にしない彼女の最期は呆気なく、気づいてあげられなかった全ての人の、誰かの人生に重くのしかかることで生き続けて欲しいと願うばかりです。

    1
    投稿日: 2017.09.17
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    面白くて一気に読破。しかし、女子中学生の友人関係、恋人のDV、色々な描写がリアルで、登場人物に感情移入してしまい、読後は、すっきりしない、悲しい気持ちになった。

    1
    投稿日: 2017.09.16
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    読み終わって、事件の真相がわかった時の登場人物たちが感じたであろう絶望感。そして読者である自分を含めた先入観で生きている人々の存在の意味。人生の間で何度か訪れたであろう転機での選択が違っていたら...と思わずにはいられませんでした。凶悪犯罪が起こるたび、犯人の生育歴が語られたりしていて、それに対して比較的否定的に見ていたわたしはガツンとやられた感じでした。他人の人生は他人では計り知れないものかもしれないと...

    8
    投稿日: 2017.09.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    361 帯見て購入。 個人的には、うーん…でした。 幸乃の心理として、最後そうなる事を望むのはわからなくはない。が、それによって逃げ徳だった少年グループ、それを隠した老婆。そんな事が許されるのか。その点の違和感しか感じず。そもそも、幸乃が死刑判決を受けるような状況になってしまうきっかけともなる、警察の捜査はそこまで杜撰ではないと思う。 マスコミが取り上げて扇情的に報道するというのもわかるが、結局、幸乃が救われなかった(死ぬ)という結末になるこのストーリーに共感できる部分は少なかった。

    0
    投稿日: 2017.09.12
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    不幸の作り話!!でも、ありがちな「敬介だけが自分を必要としてくれた」という幸乃が、優しそうな目でアホな敬介を見てたというくだり、もしかして自分も!?と思ってしまった。

    0
    投稿日: 2017.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    帯に「読後、あまりの衝撃で…」とあったのですが、私にはその衝撃はあまり感じませんでした。 衝撃というより、どこかやりきれない感を少し感じつつも、こうなるであろうと思いました。 最後に出てきた刑務官の話が何よりグサッと来ました。 そう、勝手になんでも決めつけてはいけない…。 最後まで読んでから、前の話の部分を思うと、私は田中幸乃という人物には会ってはいないけど、この文章だけで、恐らくこんな人だろうと想像して、その先を予想して行く…。何とも怖いことだなって…。 やりきれない気持ちは、きっと慎ちゃんや刑務官に思いを重ね、死が悲しいことだと思ったからで、幸乃を思えばきっとコレが最良な最期だったのではないかと思いました。 幸乃の「私を必要としてくれる人がいて、もうその人から裏切られることが恐い」というような言葉に泣きました。 慎ちゃんのように信じてくれ、心が通じていると思えているその時に死ねたのが、幸せだったのではないかと。 そして、「死ぬために生きようとする」と言う言葉は、何よりインパクトがありました。 とても不思議な言葉でした。 幸乃にしては生きる理由であったのでしょうか…。 ただ、やっぱり…どこか救われない思いと、9月15日の執行の日に運命は感じないと最初にあったけど、最後ではその日のことを刑務官に聞いてるあたり、本当に運命は感じていない?と思ってみたり…。 あと、やはりあれだけ動いていた慎ちゃんのその後が少しでも書いてあれば救われたのだろうか…なんて思ったりしました。

    3
    投稿日: 2017.09.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    真犯人が別にいたことよりも、幸乃が死刑となっても、それを受け入れる理由を読み解くのが面白かった。 関わった人物が幸乃に与えたこと。 それが死というかたちに終わるのは悲しかったけど、読後は考えさせられた。 真犯人が解明されて、お!助かるのか!?と思ってはらはらして読んだが、死刑執行されたときは、まあそうだろうなと納得できた。 個人的な感想だけど、幸乃に関わった人たちみんなが残念なイメージ。

    0
    投稿日: 2017.09.01
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    田中幸乃、30歳。 元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、 彼女は死刑を宣告された。 凶行の背景に何があったのか。 産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。 幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、 彼女は・・・ 筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長編ミステリー。 ************************************** 読んでて全く理解できひんかった。 内容うんぬんではなく、主人公である田中幸乃の人生が。 死ぬために生きる。 言葉だけでは、どういう意味って感じやけど、最後に、こういう事やってんやって理解できた。 ただ、それが正解とは思わへんし、田中幸乃の人生が、哀しいとも思わへん。 幼少期はもちろん壮絶な人生やったと思うけど、最後には、素晴らしい仲間が現れ田中幸乃を助けようとしている。 ここまでしてくれる仲間がいる事自体、幸せなのではないか。 死んだら終わりやけど、生きてたら素晴らしい事もあるやん、って思ってしまった。 ただ、前にはもう進めへん気持ち、 田中幸乃の心の弱さ?強さ?が恐ろしく悲しかった。

    5
    投稿日: 2017.08.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    死刑囚を通して描かれる、人の美しみ・哀しみ・ひたむきみ。 田中幸乃が放火殺人の罪で死刑宣告されるが、実は冤罪で近所の不良が犯人。祖母が自首を許さずにいたが、本人は良心の呵責からバイク事故で他界。と言った真相に辿り着いた慎一が、タッチの差で間に合わず死刑執行され本懐を遂げた幸乃。色々考えさせられる話だった。 「死ぬ為に必死に生きようとする」部分にものすごく美しさを感じた。

    4
    投稿日: 2017.08.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    嫌ミスとかノワールなどと見聞きしたが、 ヒューマンドラマとも言えるような気がした。 誰かの一側面から、その人の100%を過去から含めて総括したい人が多いが、そんなことはさらさら不可能だ。 カテゴライズしたり、敢えて命名しなければ、得体が知れなず無意識に不安を覚えるために、そういった枠に納められない人や物事を排斥する傾向の、顕著な部分にも触れているように思った。 個人的には、被害者の旦那は明らかに最低なんだが、翔へも嫌悪がある。ああいう「高潔な正義風な行い」って、そもそも良いことをしていると疑っていないため、自浄しなくて怖い。 あと、辻村さんの評文がいい。 こういう咀嚼で気づくこともある。

    0
    投稿日: 2017.08.30
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    元恋人の家に放火して、その妻と1歳の双子を殺めた罪で死刑宣告された田中幸乃。彼女の人生に関わった人々の追想から浮かんでくる彼女の虚像と真実。衝撃のラストに心が震える日本推理協会賞受賞作。 文中に出てくる「なんか、いかにもだよね」という心ない言葉。マスコミの垂れ流しの情報やコメンテーターのありきたりの発言に乗っかって、表面面だけで交わす会話の一言である。当然、私自身にも覚えがある。この作品を読んだら、二度と軽々しい発言はできない。幸乃の自らの人生を犠牲にして得たものとは一体何だったのか。しばらくは心に引っかかりを残す重い作品である。

    3
    投稿日: 2017.08.29
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    フィクションだけど、ノンフィクションに近いという評価があったので気になって読んでみた本。参考文献がかなりたくさんあって、勉強したんだなぁというのが伝わってきた。 嫌われ松子、横道世之助系ですね。 目の前の人間ですら何を考えているのか、言っているのかなんて本当のところはわからないのに、固定観念や先入観が邪魔をするうえ、本当か嘘かわからない情報がたくさん入ってくる。 それがこんな風に絡まるとこんなことになっちゃうのかー、と、恐怖を感じた。 覚悟のない17歳の母のもとに生まれ、養父からの激しい暴力にさらされて、中学時代には強盗致傷事件を起こし、罪なき過去の交際相手の妻とこどもを殺めた人。反省の様子はほとんど見られず、証拠の信頼性及び、計画性と深い殺意を考えれば、死刑となるのが妥当。 話については色々と違和感もある(その未来を選んだのは彼女だけど、過去の人たちがみんな都合よすぎ。こんなもんなんかね)けど、ラストは半泣き。良かったねというきもちと、悔しい気持ちと。イヤミスなのは間違いない。 彼女が、伝えたいことを伝えたい人にきちんと話してくれたらハッピーエンドになると思う。 無理だと思うけど、これは実写で見てみたい。無理だと思うけど。

    6
    投稿日: 2017.08.29
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    はっきり言って物語の構成が余り良くなかった。 最初の方は話しに引き込まれたが、主人公が 余りにも人物としての実態が感じられず 周りの人間を特に男達を振り回してるように 感じる。 そこまで純粋で聖人の様な女性にも思えない。 ただ死にたがっているだけの人間にしか感じない。 この物語は冤罪や死刑反対を美しく書いて いるだけの様な物語。

    0
    投稿日: 2017.08.24
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    名門高校野球部の補欠部員を主人公にした映画『ひゃくはち』(2008)が大好きでした。その原作者・早見和真と壮絶な本作のイメージがどうしても結びつきません。こんなミステリーも書けるなんて、凄い作家です。 自分を振った元彼につきまとい、ついには元彼の妻子が在宅中だった家に放火して殺してしまった女性・幸乃。死刑囚となった彼女が処刑される日の朝の描写から本作は始まります。 大学在学中から裁判の傍聴が趣味で、法廷で幸乃を見た後に刑務官となった女性、幼い幸乃と共に過ごした思い出を持つ異母姉、中学生のときの幸乃の親友、幸乃の元彼の親友、幸乃と異母姉が仲良く暮らしていたころ近所に住んでいた男子たち。そんな人たちが振り返る日々。 冒頭が処刑の日の朝だから、これがくつがえるとは思えず、途中何がどう展開しようが幸乃は命を絶たれてしまうのだと覚悟して読まねばなりません。 そう、「覚悟」。自信ではなくて覚悟。幸乃以外は覚悟を決められなかったのかもしれません。絶望的だけれど、果たして彼女に生きたいと思わせることが救いになったのかどうか。それも思い上がりなのかも。 自分にとっては大切な、忘れられない思い出も、居合わせた人の頭の中には何も残っていなかったり、ちがうように覚えていたり。同じ思い出を同じように共有できる相手がいたならば。 「生まれてきてごめんなさい」なんて思わせちゃいけない。彼女に「ありがとう」と言葉をかけたい。 映画『ひゃくはち』の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/e4dafdfd2fa506b191a2730b40aecdb6

    5
    投稿日: 2017.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    帯に期待して購入したものの、展開が読めてしまって十分に入り込めず。主人公があたかも聖人かのような所にも違和感。

    0
    投稿日: 2017.08.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    複数の関わった人たちの視点で進む構成は面白かった。 けど友人の罪を被ったり男に依存したり勝手に卑屈になって自ら不幸に突っ込んでる辺りちょっとイライラした。 登場人物が胸糞悪い連中ばかりのような印象を受けるけどよくよく考えてみればある意味リアルというか、案外どこにでもいる普通の人ばかり。 みんながみんな寄ってたかっていじめ倒してたわけでもなければ気にかけてくれる人だっていたのに、幼少期に幸せな家庭を経験してしまってるせいなのか幸乃もちょっと人に対して期待しすぎな気もする。 もっと頭が良ければ全く違う人生にできたんじゃないかと思う。 幸乃にとっては念願叶ってハッピーエンドなのかもしれないけど殺された3人からしてみれば自分らの死を利用して自殺されて恨みを晴らしたい真犯人は野放し、たまったもんじゃないでしょう。 読み手に寄っても誰視点で見るかに寄っても感想が全く変わってくる話。

    0
    投稿日: 2017.08.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    語り手が、何人も変わって面白かった。 幸乃が綺麗に消えすぎて、感情がわからない (想像する楽しみがある) みんなどこか卑怯、そこが人間っぽい。幸乃、相手が少し最低な事わかってて落ちていった気もする。身代わりになりたかったし、死にたかったのかな。 本気で、幸乃を助けようとする人いない気がする。小さい頃の愼ちゃん、絶対ヒカルさんの悪口、お母さんに漏らしたりしてそう。男達、ノスタルジーがすぎる。女達は反省はすれども自分の生活しすぎ。 一番優しいの佐渡山さんじゃね?(^◇^;) 人を信じないのが、私を裏切り続けた世界への最後の抵抗って感じがする。 私は無様でも生きようとする人が好きなので、幸乃切なすぎるって思うけど。 自分が幸乃ならこの結末を望みそうな気がする。もうどうしようもないからみたいな。 幸乃、佐渡山の対比というか、不器用な幸乃と賢く生きていく佐渡山の対比も良かった。

    1
    投稿日: 2017.08.18
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    非常に面白かったです。ちょっとだけ未消化感は 少しだけ残る気がしますが。 久しぶりに、読むのがつかれる小説でした。 わかりにくいわけではなく、少しでも読み飛ばしてしまう ことがないようにとよんでしまうような内容です。 最後の数ページは、ページをめくる前に深呼吸したく なるような感じがします。 もう少し、ハッピーエンドの要素を入れてもいいのに とおもってしまうほどの内容です。 簡単にそうだったのかと納得がいくような内容ではなく 読み終わった後、叩きのめされるという感覚を覚えました。

    3
    投稿日: 2017.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これをミステリー小説と売り出すのが不可解。本題は死刑への問題提起かな? しかし田中幸乃がイノセント? とんでもない。彼女は自己犠牲を打算的に使っているし、死刑を自殺の道具にする。彼女が誰かをかばうことで、結果的に強盗犯や宗教団体を野放しにしている。「誰かに必要とされたい」というエゴのもとに動く人間であり、別に聖人でもなんでもない。 ある意味ではそういった自身の原罪を理解できないという意味で「無垢」かもしれない。 死刑囚へ積極的に関わろうとする人々の意識が面白かった。田中の死刑に自分の罪を重ねあわせて動いてる感じ。慎一は幸乃を救うことで贖罪をしようとするけど、翔や八田は逆に彼女の死刑執行で自分の罪も精算してほしいみたいな印象。この作者は男性の描写が上手で、特に丹下翔の無神経具合に上手くイライラさせられた。 「ミスティック・リバー」って鬱映画があるけどそれに似てる。大衆から個人へのリンチに対する不快感とか。最も共通するのは、冤罪に無抵抗な主人公への嫌悪感。(もっとも、田中幸乃は積極的な自殺)。 文章が無骨で硬い。中盤から筆が乗ったのか読みやすくなる。長い割にいまいち内容が薄くて微妙だった。

    0
    投稿日: 2017.08.17
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    どんな書店でも、 POPつきで平積みされていた、 「日本推理作家協会賞」受賞の長編ミステリー。 終始暗くて、とにかく切なくて、つらい…。 でもおもしろかった! 小説や長編が苦手な人でもさらっと読めてしまいそうな本。 私は、環境のせいにするのが嫌いで、 「環境含めて全部自分のせい!」って思うけど、 主人公・幸乃の生い立ちを見ると、そうは言えなくなる…。 つらすぎ…かかえすぎ…あきらめすぎ… でもやっぱりあきらめちゃだめー! 自ら死を選ぶってのは一番だめー! できが悪くても、自殺しない子どもを育てたいな、と思う。

    3
    投稿日: 2017.08.14
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    ブクログの評価と、この作品を読んだら、3日は寝込むと言う触れ込みに触発され、読んでみた。 結果、絶賛するほどの内容でもなく… 付き合っていた恋人に捨てられ、ストーカーから、放火して、元恋人の妻と幼い子供2人を殺害してしまい、死刑判決を受ける田中幸乃。 彼女は控訴する訳ではなく、ひたすら死刑判決を待つが、彼女の幼少時代の友人たちが、彼女の背景にあるものを追いかける。 最終的に幸乃の望みは何だったのだろうか? 幸乃の感情が全く描かれないので、すごく理解に苦しむ。周囲の熱量もほとんど彼女に届くことがなく、作者はこの作品で、何を伝えたかったんだろうか?

    6
    投稿日: 2017.08.13
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    モヤモヤが半端ない…と、 言っていた方がいましまが。 確かにモヤモヤ。 私には、わからない。 そんな生き方があるのだわね。 小さい時の友達との丘の探検隊。 幼なじみ。 今さら感があり、同調できませんでした。

    0
    投稿日: 2017.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私は死刑制度反対者でも無いし、実際に起こった事件の加害者の恵まれなかった過去を掘り出して犯行の言い訳に使うようなことは個人的に好きじゃない。でも、この小説には考えさせられた。人を信じては見捨てられ続けた少女の人生が悲しい。復讐を思いとどまった彼女が何故死刑囚となったのか。 最後まで彼女を想う人もいたというのに、その人にチャンスを与えるよりも、もう苦しまなくなる道を自ら選んだ、その人生の選択に胸が痛くなる。

    3
    投稿日: 2017.08.10
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    皆の不幸を受け入れ続けた結果の死刑。でもその死刑こそが自殺できない幸乃の求めた結果。 たなぼた死刑、確かに考え出すと寝込みます。

    1
    投稿日: 2017.08.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3日は寝込まない(わたしの性格では) けど、衝撃なのはたしか…, 少女(雪乃)は死刑を望んでいたが(死にたいから!?)同情はしないけど、 身勝手な人が多い。でもこれが現実にも存在して冤罪なのに死刑、もしくは何十年の懲役も実在するわけで… 各自の身勝手で真実が消された。 それによって、永遠の苦しみを背負う人もいる。 一番の被害者は亡くなった母娘であるのは間違いない。 考えさせられる小説でした。

    1
    投稿日: 2017.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とても好きです!この小説。 ・・と言ったらびっくりされるかもしれません。 私はこういう系統の結末はとても好きですね。かえってリアルだと思うし、なんとなくオワリがスッキリとか、なんとなくいいお話、というよりも絶対にこのもやもや感が、、、とてもいいのです! 他の作品も読んでみようと思います!

    1
    投稿日: 2017.08.06
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    まもなく死刑執行を迎えようとする死刑囚の姿から始まる物語は、その日を迎えるまでの彼女の半生が描かれています。 およそ幸せとはいいがたい彼女の人生には理不尽や不愉快なことも多く、それらに対して無防備にも見える彼女のスタンスそのものにもつらさ、しんどさを覚えます。その行き着く果てが死刑台なのですから、およそ救いのない物語、と正直なところ感じます。 それでも、彼女自身はその救いのない結末こそを最後の救いだと感じていた、それだけは確かなことではあったので、終わり方はとても静かな、波風ひとつ立たない湖面のような厳かささえ感じるものでした。 その罪が、たたきつけられた誹謗中傷が、…であったとしても、なお。彼女の人生の分岐の行き着く一番穏やかなところはそこにしかなかったのでしょう。 手紙に封じられた桜の花びらのようなはかな差であったとしても、それが彼女というひとの人生だった。そう納得させられる説得力が、丁寧に描かれたこのお話から感じることはできました。

    3
    投稿日: 2017.08.05
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    「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました。」の帯に触発され購入。 結果的には何も衝撃はなく、どちらかと言うと虚無感が残った。

    0
    投稿日: 2017.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    続きが気になって、眠気を堪えて読んだ。 判決理由に沿って進んでいく作りが面白い。それだけに事実を知って、人を先入観を持って見てしまうことがどんなに恐ろしいか思い知らされる。 何とも切ない…何故こんなことに…という想い。 全体的に、主人公の幸乃の描きかたが、いまひとつボヤけているような気がする。幼少期、中学生、大人と空いていて、そのどの時代も辛い体験があるのだが、暗いのか明るいのか(必ずしもどちらかではないけど)つかみどころがないというか。半透明な印象の女性だ。 幸せになって欲しかった、いや幸せな時もあったのか。 必要とされてる人に捨てられるのはもう嫌、そしてこんなに死を願ってしまうのか。 最後は慎ちゃんお願い、早く!と祈らずにいられないのだが、最後の最後には、やっと楽になれたのね、と考えてしまった。

    3
    投稿日: 2017.08.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一人の確定死刑囚の生い立ちを追った物語。 圧倒的な孤独と戦い、生と死に向き合ってきた少女が 犯罪に手を染めることになったのは何故か。 読んでいて呼吸が苦しくなるほどの切迫感と生の強い想いや感情。これほどまでに心が締め付けられた作品はないかもしれない。 事実をみる人間になるか、真実をみれる人間になるか。 少なくとも大切な人には、未来永劫、味方でいたいと思いました。 推理作家協会賞受賞の力作です!

    1
    投稿日: 2017.08.01
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    続きが気になってしまい一気に読み終えた本。他人を簡単にラベリングすることの 愚かさ を感じました。人の本質を計り知ることは難しいですね。

    5
    投稿日: 2017.07.30
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    あまりにも悲惨でかわいそうなストーリーで最後まで涙が止まりませんでした。周囲から必要とされずに人生に絶望していく主人公、人生や社会のあり方について考えされる作品でした。

    3
    投稿日: 2017.07.30
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    この物語には、さまざまな人の、さまざま覚悟が描写されている。どれも人間が持ち合わせている利己や利他といった人に対する友情や愛情における覚悟である。その環境下において変わるもの、変わざるものが存在し、絡み合い、ひとつの物語をつくりあげている。まさに、イノセントデイズだ。

    1
    投稿日: 2017.07.29
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    元彼の家に放火して 妻と子供2人を殺し 死刑判決を受けた女性 田中幸乃 の話 圧倒的エンターテインメントではなかった 人生に絶望して こんな形で死んで行く人達は結構いるんだろうな

    8
    投稿日: 2017.07.26
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    結末は賛否両論。辻村さんの解説で、まさに「救いがない」と感じてしまった自分。改めて考えさせられました。簡単な言葉じゃ片づられない「何か」が、、、。

    5
    投稿日: 2017.07.23
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    面白い。切ない。考えさせられる。 裁判での死刑判決理由に沿った章構成で、真実が少しづつ明らかになる展開に一気に読ませられる。 元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で死刑判決を受ける幸乃。 実際は真犯人は他におり、冤罪であるが、彼女は死刑により死ねることを選び嘘の自供をしていた。 彼女が死を求めたのはなぜか。 17歳のシングルマザーの元に生まれ、その後再婚相手の連れ子と4人家族の生活を小学生まで送る。母親からは愛を注がれ、義父とも姉とも仲良く暮すが、母が後妻であること血縁のない姉妹である噂が広まり、母が不慮の事故で死亡家族はバラバラになる。父はある晩酒に酔い、「お前が必要だったわけじゃない」という言葉をぶつけ幸乃に手を挙げる。 その後、幸乃は祖父母に引き取られる。 この時に事の形を祖父母に漏らしていたのは慎一であった。 中学では親友の小曽根理子に裏切られる。 理子はイケてる友人に気に入られたいためにお金やらを上納、幸乃が好きであったがおおぴっらには付き合わず、自分の都合の良いように付き合う。 結構最低な人だ。 最終的には、本屋のレジから金を盗もうとした際に店主のおばあさんを突き飛ばす窃盗致傷事件を幸乃に押し付け逃げる。 幸乃はこれにより少年院に入る。 翔はどんどんずれていく。 ありがち。問題には積極的に取り組んでいて 無罪を弁護士にくいつけなかった慎一は、慎一。 メディアで報じられる嘘。情報の信憑性の低さ。 みんな勝手に決めつけている。勝手なイメージが社会認識としての真実になりうる。(真実は面に出ない) なぜ慎一以外は幸乃を信じないのか、助けないのか。 姉の陽子、祖父母、翔。自分の知人が殺人をしたとことを受け入れられるものなのか。面倒なことには関わりたくない、関わる余裕もないということはわかる。 肉親以外に本当に守ってくれる人はいないのが普通か。 幸乃はどうして整形するまで自分の容姿が嫌いだったのか。 なぜ幸乃は法廷で慎一がすぐわかったのか。

    5
    投稿日: 2017.07.22
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    死刑囚、田中幸乃の物語。 読み進めていけばいくほど膨らむ疑問。なぜ彼女はここまでの孤独を抱えなければならなかったのか。その答えが早く知りたくてあっという間に読めたけれど、謎は明かされぬまま物語は幕を閉じてしまった。 私には届きそうにない深い闇の存在を知っただけ。 初めの方で、丹下という産婦人科医が幸乃の姓名判断をするくだりがある。その結果を先に読まされたばかりに、後々語られる陰惨なエピソード。その諸悪の根源が全て名前に宿っている気がしてしまった。 翔と慎一の人間性や成長の対比も面白かった。

    1
    投稿日: 2017.07.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    救われない、という感想を持つ人も少なくないようだけど……。必要とされなくなることを何よりも恐れていた幸乃にとって、シンちゃんに必要とされたまま死んでいくことは、寧ろ幸乃は救われたんじゃないかと思う。出てくる人物が尽く傲慢だったけど、終わりは決して悪くなかったんじゃないかと思う。あくまで幸乃にとって。それにしても、正義は多数あっても真実は一つ、というが、一般大衆の正義の偏り方が恐かった。

    1
    投稿日: 2017.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2017.7.17 普段生活に追われて小説から遠ざかっていた。研修のため泊りがけで出かけて夜を持て余し、どちらかというと重い内容がふと読みたくなって、しばらく本屋さんで悩み購入。 脳は疲れていて早く眠りたかったはずなのに、どんどん読み進めてしまった。 元恋人の妻、双子の娘、お腹の子の命を放火で奪い、死刑宣告を受ける幸乃。 愛や人の繋がりを求め、繰り返し裏切られ、死を望む彼女が選ぶのは、やってもいない罪で裁かれること。そして、自分以外の手で、自分を屠ること。 最初は、報道と現実の乖離、それがわかられぬ苦しさ、非道な現実という感じの物語なのかと予想した。 そうではないことはすぐにわかった。 幸乃は、ある意味純粋すぎる。 それは、良くも悪くも。 誰かの言葉に縛られすぎる。 自分の気持ちを慮ることができない。 自分で死ぬなと言われたから自殺はできない。 誰かにいらないと言われたから自分を愛せない。 結局、自分のこと自分で決められないから、彼氏がつきあって「くれて」いると捉え、様々に虐げられることから逃げようという意志を持てず、自分の命のことすら決められずに、自殺できないからと転がり込んできた死刑判決に流される。 そしてその執行でようやく、自分の希望に向き合うなんて。 死ぬために、持病に抗うなんて。 それは子供の頃の母の死かもしれないし、性的虐待とか、いろいろな要素が絡んでいたのかもしれない。 でも、本当は、幸乃は愛されていたはずだ。 姉の陽子が嫉妬し、事件を調べる彼らをとらえてはなさず、人生を狂わせるほどの後悔を抱えて悶えるひとが、何人もいる。 望むかたちではなかったかもしれないが、無意識に渇望していたものは、ちゃんと手の中にあったはずなのに。 実は、読む前のイメージを、もっと悪いところで設定してしまっていた。姉からも義父からも友人からも、もっと虐げられるのを想像した。 救われない、と評されるこの内容より救われない展開を想像しながら読んでしまった私にとって、みんなの葛藤や幸乃の意志、諦め、希望は、いっそシンプルで美しいのかもしれない。 とりあえず、いちど休もうと思う。 この物語を、このように受け止める自分に休息を。

    3
    投稿日: 2017.07.17
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    帯の評価の高さに惹かれて読んでみたのだが、それほどの感銘は覚えなかった。読み方がいけないのかもしれないけれど、自分かミステリーとして読んで失敗したように思う。

    0
    投稿日: 2017.07.17
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    死を選ぶ権利はあるのか。 海外ドラマの「シカゴ・メッド」のある回で、蘇生をしないで欲しいと願う末期ガン患者に対し、医師はそれを無視して蘇生したエピソードが描かれた。 それは本当に相手を尊重しているのか、自分の正義を押し付けているだけではないか、そのことを考えさせる回だった。 しかしそれはあくまで病院内での話。 刑務所での話だったら? 死刑判決が下されたなら? やっていない罪に対し責任を負うのだとしたら? その死刑囚は名を田中幸乃と言う。 放火殺人によって死刑が確定した女性だ。 一部では整形シンデレラなどと呼ばれ、薄幸そうな見た目、生い立ちなどから人々は面白おかしく騒ぎ立て、散々消費した挙句忘れていく。 人は他人の表層しか見ない。 被害者はいつだってかわいそうな人。 加害者はどこかおかしい人で自分たちとは違う人。 整形は悪いことで、若い母親はバカでダメな親で......。 なんという単純化! なんという偏見! そうやって自分たちの「普通」を絶対的なものだと信じ込まなければ、簡単に「普通じゃない」方へ行ってしまう。 人は弱さや恐ろしさを誰かを攻撃することで必死に隠し自分を守ろうとする。 それが他人を貶めることになったとしても、今日、自分が無事ならそれでいいのだ。 なんと愚かな。 それでもそんな弱さを強さに変えられる人は必ずいる。 何もそれは特別な力をもった勇者ではない。 必要なことはたった一つ。 相手と向き合うこと。 膨大な情報、計り知れないほどの偏見に流されることなく、流すことなく、一つ一つ目の前のことに向き合う人。 その人たちが持つ力を人はこう呼ぶ。 純粋、と。

    1
    投稿日: 2017.07.17
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    本屋のPOPは信用しすぎるな、と自戒する僕でも、年に数冊はジャケ&POP買いをしてしまうのが渋谷の啓文堂書店。これもその一つ。今回はアタリで、あっという間に読み切った。   日本推理作家協会賞受賞作、だからこそ、なのか本格過ぎず、社会派過ぎず、キャラの魅力で最後まで押し通す。ラストシーンへ向かう最後の50ページはもう早く読みたくて読みたくて。 田中幸乃がなぜ井上敬介にあれほどのめり込んだのか、出会いを含めてもう少し書き込んでくれていれば、そしてとても鮮やかなサブキャラ(翻訳好きの理子や、いかにものスクールカースト上位・山本皐月)くらい、男性重要人物(翔、聡、慎一)の造形が豊かであれば、歴史に残る作品になったかも。いい作家さんです。

    2
    投稿日: 2017.07.09
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    田中幸乃は、死を願っていた。 生まれてきてしまってすみません。 そう言った彼女の言葉に嘘はなかったのだろう。 何度も裏切られ死を願い続けてきた幸乃は、慎ちゃんがいてくれたからこそ、ほんの少しの生への葛藤が生まれ、それでも願いを叶える為に、必死に気を失うことを堪えて、そして生き抜いた。 死ぬ為に生きる。 そんな生き方はしたことないな。 おめでとうって言えるわけない。 でも、幸乃にとっては幸せなことだったのかも知れない。 慎ちゃんは、この後どうやって生きていくんだろう。それを考えると胸が苦しくなる。

    1
    投稿日: 2017.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こんな理由で前歴ありにされちゃうのもこんな理由で母子3人が焼死しちゃうのも,実際にあるだろうなぁと思うし,死刑が執行されちゃうのも含めて現実味のある話だと思う。構成も面白いしグイグイ読まされるけど,最後どうしても主人公に共感できないからか,読後感を表現するのが難しい。 「あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」というオビは違うのでは,すっかり忘却する私たちの残忍さをえぐり出すという朝日の書評に共感する。

    0
    投稿日: 2017.07.06
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    ボタンをかけ違ってなければ。道を誤ってなければ。 自分がそうでなくても、他人の小さなそれによって、直接的に関係しなくてもまわりまわって誰かが不幸になってしまうことがある。 これまで読んだどの本より、なんだか心がざわついた。

    2
    投稿日: 2017.07.02
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    読むのが止められないほど夢中になって読んだ・・ けど重すぎた。 読後感悪い・・ 孤独・・考えさせられる作品。

    3
    投稿日: 2017.06.29
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    作品自体もさることながら、文庫版の辻村深月による解説を読むことに意味があった作品。 作品自体は確かによくできた作品で、後味も含め傑作なのは間違いない。ただ、"よくできた”作品すぎてリアリティーを感じられずにいた。 あらゆる面で辻褄が合いすぎていて、文章がうまいこともあり、サラサラと読めてしまう。 ラストシーンを見ても、"救いがない"という世界を描きたかったにしてはあまりにきれいにまとまりすぎて引っかかりがないというか。 「最期、あの瞬間に彼が間に合えば救われたのに…」とは思えないのがモヤモヤしていた。仮に間に合っていれば救われたかといえば、決してそうじゃないからだ。 そんなモヤモヤとした気持ちにまさに雷を落としたのが辻村深月の解説。 そうか、これは”救いのない物語"ではなく、間違いなく"救いの物語"だったのだ。 「死ぬために生きようとする姿」。 "救いのない人生"の中で、懸命に生き、そして救いを得ることに"間に合った"人生。 「もっとこうすれば…」そういうポイントはいくつもあったんだろうけど、最期に彼女が選択した生き方は純粋で崇高で、美しいなと思った。

    8
    投稿日: 2017.06.26
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    重い。 ずっとつらいので気分が落ちる。幼少期の幸せが切ない。 ここまで追い込まなくても、と思ってしまう。 他人に生きてほしいと思うの事も傲慢だ、っていうのはショッキングだけどそうだなと思った。辻村さんの解説で、さらに心に残る小説になった。 でもラスト、それでいいのかよ、と思ってしまうし、いい気分にはならないのは確か。

    3
    投稿日: 2017.06.26
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    彼女は何故、死刑囚となったのか。 女性死刑囚に関わった人々から浮かび上がる彼女の人生、彼女の人となりを描いたフィクション。 熱のある一冊となりました。 松本清張の「砂の器」を読んだとき、まだ、携帯もFAXもない時代に信念をもって事件の真相を暴こうとする刑事が日本中を駆け回る姿に感じたような、登場人物たちの田中雪乃死刑囚に対する「熱」がおみごと。 元恋人の家族を放火という残忍な手段で死に至らしめたことで死刑囚となった田中雪乃。 読み進めるうちに、判決理由と相対しない彼女の人生に違和感を覚える。 まさに〝イノセント・デイズ〟としか言いようがない。 先へ先へ…読み出したら止まらない。 人は人によって1人の人となる。

    10
    投稿日: 2017.06.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マスコミや世論によって、ステレオタイプな凶悪犯としてのイメージが形成された死刑囚の若い女。 その過去を紐解いていくことによって、虚像と実像のギャップを埋めていく作品…、というのが極めて表層的な捉え方であり、抜群のリーダビリティを備えているのでズイズイと一気に読み進められる。 その構成に衒奇的なところはほとんどなく、小説を読み慣れていればあるいは第五章あたりで、締めに至る大まかな流れは予見可能でもあろう。 ある意味で主人公以外の登場人物や読者にとって悲劇的とも言える結末を含め、「ああ、読み易くて普通に面白い小説だったなあ」というのが読了後の私の感想で、つまり特に個性的で傑出した感銘を残す作品と感じたわけではなかったのだが、辻村深月氏の文庫版解説を読んで、ガーンと目を覚まされた思い。 まさしくその通りだ。 「死ぬために生きようとする姿」という表現の本当の意味を慮ることなく、スッと看過してしまった自らの読み手としての甚だしい落ち度に気付く。 そのことに思い至った前と後で、この作品の存在の重さはガラリと変わった。

    5
    投稿日: 2017.06.24
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    2017.06.24 読了 読了後すぐに思ったことは、もう本当に誰も報われない。 間違いや真相に気がついた時にはもう全てが遅く、取り返しがつかない。 ある女性の人生の振り返りを軸に話が進んでいくストーリーの展開の仕方はおもしろかったです☺︎☺︎ でもとにかく最初から最後まで終始つらい。

    3
    投稿日: 2017.06.24
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    一人の少女の悲しい過去を回想しながら、そこに関わった人たちの心情を読み解いていく。何故、彼女は死刑になったのか。そこには、知られざる真実があった。

    1
    投稿日: 2017.06.23
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    ストーリー展開が面白かった。 途中、主人公があまりにも卑屈な感じにちょっと疑問とイライラがあったが、まぁそこはそうなるしかなかったのかな~と脳内補完。 ラストはあれでよかったと思う。 安易なハッピーエンドより清々しい。

    3
    投稿日: 2017.06.21
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    凶悪犯罪が発生し、マスコミが騒ぎ、容疑者が捕まり、容疑者の過去が断片的に報道され、それをもとに容疑者を知らない人間達がワイドショーで容疑者を犯人に仕立てあげ、ようやく裁判が進んでいき、判決が下される。 この本は死刑判決が下された、まさにそこからスタートし、裁判官が判決理由に述べた被告人の過去について関わったそれぞれの人々との本当の姿が順番に描かれていきます。 事件が起き、被害者、関係者、友人、警察、弁護人、裁判官、様々な人々が関わり、それぞれが関わってきた期間で見てきた人間像があるのは仕方がない。しかし、犯人に仕立て上げられた人間の本当の人生を知るのは本人のみであろう。 この小説は単純に死刑制度を非難したり、冤罪について訴えるものではないと思うが、いつになっても変わらないマスコミ報道のあり方とか、そいう情報で簡単に偏見を持ってしまう自分自身の戒めとしたい。

    3
    投稿日: 2017.06.19
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    辛い。読中も読後も辛すぎた。主人公は間違いなく本人が望んでいた通り幸せになったはずなのに、その幸せが自分の中の『幸せ』と定義と正反対で、イライラするほどもどかしい。それでも最後の最後に何とかなるんじゃないかと焦る勢いで読み進めたけど、結局何ともならなかった。どう思えばいいのか分からない、ただただ辛い本でした。つまり、すごく面白い作品です。

    5
    投稿日: 2017.06.16