
総合評価
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powered by ブクログ感染症という人間にとって不可抗力な現象を通して、人間の日常がどのように反応しうるのかを文学的表現で記録したような作品。これを通じて人間らしさや宗教と人間の立ち位置を描写したかったのかなと思った一方で、なにかまったく別の解釈もできるのかもしれないとも思った。 淡々とした記録(フィクション)を緻密な表現で描写しているので、前半が単調で読むのを何度も挫折。ようやく読了したが、この作品を通じてなにを描写したかったのか、全体構成がわかったところでまた再読して整理したい。
0投稿日: 2025.11.16
powered by ブクログ高校生の時、異邦人を読んだのにサッパリ分からなかったのが、45年たってこのペストを読んでみたらよく分かった。やっぱり読解力が着いて来たんだろう。
1投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログ言葉にできない感情を表現するのが上手すぎる。それ故に印象的で心に残る言葉がたくさん出て、ずっと感情を揺さぶられている感じがする。 ひたすらに先の見えない暗い話で、絶望に絶望を重ねる話なわだけど、絶望の中ですがるように、もしくは不意に見えた友情だったり愛情だったりがことさら輝いて見えるのが良い。 それすらも不条理に飲まれてしまうんだけど、その虚しさが味わい深い。
3投稿日: 2025.10.14
powered by ブクログ昔の海外文学によくあるが、訳が読みづらくなかなか頭に入ってこなくて途中で断念してしまった。文体が気にならない人には、記録風に書かれている不条理な状況の中の人物描写ももっと楽しめるのではと思いました。
2投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログコロナの時に読んで戦慄した覚えがある ここに書いてあるふうに世の中がなるのかなあこんな昔に書かれたのに今と一緒やんって思った覚えがある
6投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログペスト発生で混乱の中にあっても、それぞれが自分の心を裏切らないように生きているところが何よりよかった。 個人の力ではどうにもならないことがある世の中だけど、自分の中にある道徳みたいなものに従って生きるのが、後悔しない生き方なんだろうと思った。
1投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログデフォーのペストの後に拝読。 デフォーのそれがドキュメンタリー的に語られるのに対し、カミュのそれは観念的で、なかなか入り込みにくい感じがした。 カミュのペストが出たのは1947年。第二次世界大戦後の荒廃からどう生きるか模索されていた時期であり、そういう社会情勢を鑑みれば、観念的であるのは当然と言えるだろう。 カミュといえばキリスト教ともコミュニズムからも距離をとった異邦人的な「第三の立場」を思い浮かべるが、その思想がいかんなく表現されている。 現代の私たちはコロナ禍でもネットがあり、コミュニケーションは取れるし、いくらでもエンターテイメントがあったので、多少息苦しさは紛れたが、100年前はもっと陰鬱だったのだろうと思いを馳せた。 再読の価値あり。
0投稿日: 2025.08.18
powered by ブクログ2025年8月読了。 フランスの文豪カミュの代表作。ペストが蔓延する街の様子が記録の形で綴られる。鼠の大量死から始まり、パンデミックによる街の封鎖、そして収束に至るプロセスをたどりながら、人々の不安にもがく様子が語られる。コロナ禍の暮らしを思い出させるようで、今に通じるものが感じられた。日常を奪われた人々の意気消沈ぶりが物悲しい。
0投稿日: 2025.08.07
powered by ブクログコロナ禍の前に読みました。カミュ、フランス文学って食わず嫌いでした。名作古典ておじさんになってから紐解いた方がいいみたい。読み終わるまで体力を使います。若い時に読んだ方がいいみたいです。
1投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログコロナ禍のときに読んだ。 文が読みづらく頭に入らない。それでも、ペストが流行した街での絶望感やどんどん病気が侵食していく恐ろしい雰囲気は伝わってきた。3分の2ぐらいのページ数で断念。新訳で挑戦してみたいと思う。
1投稿日: 2025.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
難しかったからちゃんと読み込めてない。 リウーはあんなに患者のために頑張ったのに、終盤で大事な人二人も亡くして報われないなというのが読み終えた時点の感想。 解説を見るあたり、ペストによって変わった人と変わらなかった人というところに注目して読んだほうが良さそうだった。そうするとこのリウーの結末への感じ方も変わるのかもしれない。いつかまた再読。
0投稿日: 2025.05.29
powered by ブクログメモ リウー医師「誠実」の人。タルー「共感」の人。パヌルー神父「信仰」の人。ランベール記者「幸福」の人。コタール「利益」の人。グラン「忠実」の人。オトン判事「規律」の人。 ペストあるいは世界は「不条理」で、人間の問いに答えることはない。人間の命の価値と使い道は、人間にしか意味を持たない。 主要登場人物が男性ばかり。それなら、守られるべき側であろう女性と子どもについてどう考えていたのか、カミュの考えが気になる。 「世界に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来する。善き意志も、それが分別あ るものでなければ悪意と同じくらい多くの害を引き起こしうる」
1投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ不条理に苛まれる人々や死んでいく人が事細かに描写されるので、こちらまで憂鬱な気分になってしまうが、後半では妙な爽快感と喪失感が生まれた気がする。
2投稿日: 2025.04.08
powered by ブクログだから何?翻訳物の読書方法、誰か教えて下さい。新型コロナを経験した事で、多少身につまされる所は有りますが、疫病はこの地球上から消えることは無いと言うことでしょうか?完全無欠の幸福は存在せんと言うことでしょうか?死は皆に平等に在ると言うのに!
3投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ過去のペストの大流行を描いたカミュの一作。コロナ禍を海外で過ごしたからこそ心に響くものがあるなと感じた。ネズミの大量死に端を発して、ペストの流行による大量死、流行が終わろうとしている時に起こる悲劇や、ロックダウンされた都市の中での鬱屈した生活など覚えのあることばかりだった。
5投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログとても読みにくいが、とても面白かった。難解な文章でも読み進めさせるストーリーのリアルさに惹かれた。ロックダウンされた街で、住民たちが恐怖と疑心暗鬼でさらに事態を悪化させる、という展開を勝手に思い描いていたのに、フィクションというより人間観察記録と感じた。 昨年5月頃の緊急事態宣言中に、異様な雰囲気を肌で感じながら読みたかったな。
2投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
訳のせいか元の文章のせいなのか判断できないけど、だいぶ読みづらく感じる部分もあったし、中だるみに感じてしまう部分もあって途中気分がのらなかったりもしたけど、終盤は泣ける場面もあり爽やかながらも不穏さの残るラストまで一気読みだった。よかった。 私はドストエフスキーが好きで特にイワンやキリーロフが好きなのだけど、どうもリウーはイワン、タルーはキリーロフ、パヌルーはアリョーシャの影がみえてその部分でもとても楽しめた。 リウーの「子どもたちが責めさいなまれるように作られた世界を愛することはできない」というのはイワンの思想と同じだし、リウーとパヌルー神父の問答はカラマーゾフの兄弟の大審問官に近いものを感じた。 タルーはキリーロフとはそこまで似てると思って読み進めていたわけではないけど、「今こそすべてはよいのだ」と言ったあたりであぁキリーロフの影響を受けてるなと思った。解説にもそのように書いてあったし。 カミュはこの作品を反キリスト教的な作品と言ってたらしいけど、「神の存在いかんに関わらず信仰心のあるパヌルー神父と信仰心のないリウーの行動が結果一致するところが神の存在の無用さを示しているから」というようなことが解説に書かれていて納得した。 タルーとリウーが話す場面や海で泳ぐ場面は、辛くて不条理なことばかり起きるこの小説の中でとても輝いてみえた。 ふたりがペストが落ち着いた世界で普通に友人同士として笑いあえたら良かったのにと思うと切なかった。 ラストはやっと希望がみえるかと思いきや、ふとしたことでまた同じ地獄に叩き込まれるという不穏さがあって、私は好きだった。
1投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログ翻訳物が苦手ということもあるんだけど、話があっちこっちに行くので今何の話をしてるんだっけ?となり、いまいち入り込めなかった。コロナ禍を経験してたのでなんとか最後まで読めました。
1投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログカミュ著・宮崎嶺雄訳『ペスト 64刷改版 (新潮文庫)』(新潮社) 1969.10発行 2004.1改版 2020.5.20読了 カミュの著作は「不条理」という概念によって特徴付けられている。カミュは1913年仏領アルジェリアに生まれ、第二次世界大戦の恐怖の中を生きた。彼はキリスト教や左翼革命思想のような一切のイデオロギーを拒否し、人間の地平にとどまって生の意味を探究しようとした。 『ペスト』は、そうした彼の姿勢を背景に、「死」という不条理に闘いを挑むドキュメンタリー風の小説である。この小説は、出来うる限り主観を排除して、人間の諸相を客観的に描き出そうとしている。およそ『ペスト』というタイトルに似つかわしくない、その淡々たる筆運びによって、物語は単調に進められていく。実際、「ペストというやつは、抽象と同様、単調であった」(p132)という文まで出てくる。「不条理」とは単調なもので、人間が油断したときに全てを奪いに来る。これがカミュの一つの考え方だろう。この小説には、様々なイデオロギー、宗教、愛、法律を背負った人物が登場するが、医師リウーは、ペストと戦う唯一の方法として「誠実さ」をあげている(p245)。それは、医師リウーの場合、自らの職務を全うすることであった。これは、逃げられない「不条理」に直面した時、人はどう対処すべきかという命題に対して、一つの回答を提示している。つまり、自分を裏切らないこと。「不条理」に屈服しないことである。しかし、実際にはそれは非常な困難を伴うものである。だから、愛のために「不条理」から逃げようとするランベールや、「不条理」を迎合したコタールでさえ、医師リウーは非難することができなかった。もとより人によって誠実さの中身は異なるであろう。戦争や疫病、災害、圧政などの脅威に対して、我々が誠実さという抽象をどう具体的に表現するのか、それをカミュは問いかけているのである。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007452477
0投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログペストが大流行して閉鎖された都市で、病気と闘う一人の医師とそれを支える仲間たちの物語。 コロナの流行時のアメリカの様子を彷彿とさせる感じと表現するとしっくりくる感じがします。 当時実際に医療に携わっていた人たちは想像を絶する辛さだったでしょう。 訳が分かりにくくて、読み進めるのに苦労したので、没入できませんでした。 いろいろ冗長すぎて、しんどかった…。
49投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ港町を突然襲い、人々の自由と安全を不条理に奪ったペスト。病魔だけでなく、全体主義の恐怖を暗喩しているというのが定説だが、COVIDの記憶が生々しい今読むとパンデミック時に実際経験したあれこれと怖いほど重なるエピソードの数々。
1投稿日: 2024.09.07
powered by ブクログ登場人物の名前がなんとなく似ているのと、訳が古めなのもあってか固い印象でなかなか読み進まなかった。 コロナを経験したので市民たちの心の動きはよく理解できた。幼児が苦しみながら死にゆくさまは読んでいて辛い。
2投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ペストという不条理に対して、医師、キリスト教者や新聞記者など、さまざまな立場に置かれた人々がそれぞれの善を求めて奮闘する様が描かれている。各人が不条理に立ち上がるその動機が、ただ人が死んでいくからというような簡単なものではなく、それぞれの信念を汲んだ納得のできるものであるところに、分断された社会に生きる我々が希望を感じ得る要素があるのだと思う。限りなく装飾のない現実を反映した文体が、それを可能にしている。 感情的な部分を削ぎ落とした文体で書かれたペストの記録であり、キリスト教者や不条理人などの身近でない考えを持った人がたくさん出てくるので、とっつきにくく感じた。しかしその装飾のない文体の中に、時折感情の発露のようなものが見られるところが、美しく感じた。 なんにせよ内容が難しく、解説まで読んでやっと納得できた。
0投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログ外国の本なので、理解しにくいところが多々あったが、思想の部分はコロナを経験しているだけによく沁みたと思う 子どもが死ぬシーンは正直耐え難かった
1投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ一年に亘り、アルジェリアのオラン市に吹き荒れたペストの猛威は、あたかも放物線を描くように、最大値を迎えたあとははっきりと衰微していった。そして市門はふたたび開かれ、ためらいがちな足取りであるにせよひとびとは出ていく。記録の終局にあたって筆者は、ペストは消滅したかに見えてまたよみがえるだろうことを示唆してから締め括った。多くを語られなかった、その果てしない繰り返しにこそ、これら病疫の無視してはならない破壊性があると私は考えているので、読後感はもどかしい。 けっきょく第何波まであったのか定かでないが、四年前に端を発するあの感染症はなんども繰り返し隆盛を誇った。猛威がいまいよいよ最大値を迎えたのだと身構え、ようやく乗り切った矢先にふたたび脅威が押し寄せた。しかも以前にもまして激甚であることも一度や二度ではなかったはずだ。過去に最大値だと考えたものはただ極大値のひとつにすぎなかったことを思い知った。他方で、病勢がいよいよ落ち着いたかに思われたとしても、あくまでただの極小値だと見做すことにも慣れた。私たちはいつもどこか怯え、用心している。「雨のあとは虹がかかる」という常套句が大した慰めにならないどころか苛立たしいのは、晴れ渡った空を喜色をうかべて見上げた顔にぽつり、ぽつりと雨滴が当たったことがあるからだ。カミュの作中世界では、ペスト再来の可能性を知り尽くし危惧しているのは医師だけで、市井のひとびとは市門の解放を喜び祝福に浮かれている。ある日付をもって勝利を宣言しえた彼らを私たちは複雑な心境で遠巻きに眺めざるを得ない。地震群発地域に住んでいる者が大地震に怯えることに慣れているのと同じように、病疫がまた襲いかかってくる摂理を理解し、次第に抵抗力を手放して、かつて大切にしていたはずの多くを諦めるのを苦にしなくなることにこそ、災厄の本質がある。問題は致死率の高さではないのだ。ときとして症状がないにも関わらず、あの感染症がしばしば恐慌を呼んだのは、病魔が個人に無力感と無常感を根深く植え付けたからなのではないか。
5投稿日: 2024.05.28
powered by ブクログペスト 著:カミュ 新潮文庫 か 2 3 ペストは、14世紀、東アジアで流行が始まり、中央アジアを経由してヨーロッパで猛威をふるった。 人類の歴史史上、14世紀は、唯一人口が減少した世紀であり、その原因はペストであった 現在もマダガスカルをはじめ、散発的にペストの流行が発生している 本書のように、ペストが突然、大都市を襲うというようなことはあながちあり得ない話ではない 一方、作者のカミュは、「シーシュポスの神話」、「異邦人」といった、不条理を扱う作家である ペストの初期から、都市がロックダウンしたあとの人々の生活と、その心理をリウーという医師の目で描いたのが本書である。ある意味で、「夜と霧」のように、逃げることも抗うこともできない状況で人々はどう考え、どう行動するのかという状況に近い ペストの流行が終焉に向かうにもかかわらず、人々の心は開放へとは向かうことはない リウー医師は、神はペストから人を救うことはできず、また、彼も神の存在を否定する、それでも、医師として疲労困憊の中、そして半ば病人を救うべく、立ち上がるのであった 気になったのは、次の言葉でした ・病人は家族から遠く離れて死に、通夜は禁止されていたので、結局、宵のうちに死んだ者はそのまま死体だけでその夜を過し、昼の間に死んだものは時を移さず埋葬された ・みずからペストの日々を生きた人々の思い出のなかでは、そのすさまじい日々は、炎炎と燃え盛る残忍な猛火のようなものとしてではなく、むしろ、その通り過ぎる道のすべてのものを踏みつぶしていく、果てしない足踏みのようなものとして描かれる ・これもいっておかねばならぬが、ペストはすべての者から、恋愛と、さらに友情の能力さえ奪ってしまった なぜなら、愛は幾らかの未来を要求するものであり、しかも、われわれにとってはもはや刻々の瞬間しか存在しなかったからである ・「ありがとう」と彼はいった。「しかし、修道士には友というものはありません。すべてを神にささげた身ですから」 ・ペストが市の門を閉鎖した瞬間から、彼らはもう別離のなかだけで生き、すべてを忘れさせてくれる人間的な温かみをもぎ取られてしまっていたのである 目次 1 2 3 4 5 ISBN:9784102114032 出版社:新潮社 判型:文庫 ページ数:480ページ 定価:850円(本体) 1969年10月30日発行 2004年01月20日64刷改版 2020年03月20日86刷
16投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ2024/03/18読了 #カミュ作品 アルジェリアを舞台に発生したペストの物語。 テーマだけに終始重い展開。 50年も前の作品だが、この度発生した新型コロナと 様相が非常にかぶるシーンが多くて驚いた。 感染症の状況も生々しいが、 それ以上にペスト環境下で非罹患者でさえも 希望を失う絶望的さまが痛々しく描かれる。
35投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログ人間ではどうしようもできない圧倒的恐怖、それでも闘おうとする人間特有の強さ、世の中の無常を思い知らされた。
1投稿日: 2024.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アルジェリアのオランでペストが発生し町は封鎖される。その街の中の人々の生活や振る舞いが時系列に描かれている。コロナを経験した今、ドキュメンタリーのように読んだ。淡々と語り治療をする医師リウーは気力も体力もギリギリの状態で良く生き延びたと思う。感情が無くなる程過酷な状態の中で治療を続ける姿勢に胸を打たれた。待ち望んだペストの収束と門の解放。その喜びの中で戻ることの無い人を思うと悲しみを強く感じる。何も起きなかった頃のようには生きられないと認識できたことだけでも、読んだ甲斐があったな。
2投稿日: 2024.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とある港町に発生した疫病の進行と終息までを、実際に見届けてきた当事者が書き残すという体を取っている。 1匹の鼠の死骸から始まり、忽ちのうちに無味乾燥な町にペスト=死が蔓延していく様子、その中で人々がどのように生きようとしたかを努めて客観的に、注意深いまなざしで綴っていて、読み進める程に引き込まれていった。 少年の苦悶の死、夜のテラスでの会話、ショーウィンドウ前での老吏の涙、物語の最後の死者が見せた戦いなど、終盤胸がグッと詰まる場面が続いてたまらなかった。務めを果たさんと奮闘する人たちを美化せず描くところが良い
1投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログ医師リウーは、ある日鼠の死骸を発見する、その後、円済みは町から姿を消し、猫も同じ道筋を辿った。そのころから、人間には原因不明の熱病者が蔓延することになる。その正体はペストだった。見通しの立たない隔離生活と一方的な「不条理」を押してけられた人間達の行動と心情を描くフィクションである。 まず、驚いたのが新型コロナウイルスが流行したときの状況と似ている描写が多いことだ。あのとき、私はこれから社会の病気に対する意識や生活の変化にほんの少しだが、不安を覚えた。だが、その過程と結末は本書に書いてあったのだとすら思える。それくらい、似通っているエピソードを描いたカミュの洞察力と言語能力に感服する。 また、これらの能力を示す証拠として、オラン市や患者の状態が事細かに、あらゆる視点ら描写されていて、場面に対する解像度が高いと感じた。特に、会話をなくした状況説明はメリハリがあるため、理解しやすい。 また、リウーとその周辺では経過ごとの心情の移り変わりに人間の道徳心が表れている。個人的には、ランベールが幸福のために市外の妻の元に会いに行こうするが、リウーや町の姿を見て、自らもオランの人間であると考えを改めるところには少し感動した。幸福を選んでも後ろめたさから結局、完全な幸福にはなりきれないという考えからくるものだろう。リウーもランベールを止めようとせず、送りだそうとする心意気があって、自分の幸福を他人に預けようとする他人を思いやる気持ちがあった。不条理の中でも思いやりが生き残っているのは、打算がないように感じられる。 全体的な印象としては、正直読みにくい点が多い。段落や余白が少ないことと状況説明が淡々としているからだと思われる。しかし、本書のような状況は、コロナ以外にも今後起こるかもしれず、自分らしい行動とは何かを考えるきっかけにもなった。
0投稿日: 2023.12.29
powered by ブクログ物語は簡単に言うなら、『ペストが流行した町に閉じ込められた人々の奮闘記』 ただ、『奮闘』するのはペスト退治だけではなくて、町からの脱出や、町の外との連絡手段など……闘うものがそれぞれ違う。 名前が似てるので、誰が何でなんだって??と分からなくなるキャラクターも。 主人公は、医者のリウー……このキャラクターだけは、何とか追いかけたけど、他のキャラクターは誰が何で、どんな背景があったかを覚えてられない。 キャラは出てきては消えて、立ち替わり別のキャラが出てきて……時々、死んで……という感じだった。キャラクターごとの物語を覚えていられない。 ネコに唾を吐きかけたのは誰だっけ?名前は出て来てなかったっけ?とか、 自殺未遂したのは誰?罪を犯して、捕まる事に怯えてたのは誰? 市役所で働いてたのは??物語を書いていたのは? 記者だけは名前を覚えて、理解できた。 判事もいたような?門番は最初の方で消えていった? 神父は誰?演説後にどうなった? 何かが起こるケド、それが誰で、どんな背景なのかが追いかける事が出来ない。 出来事が起きて、何か難しい考えが綴られて……意味が理解できなくなった頃に、シーンが変わって、別のキャラクターが出てきて、また、何かが起きて……の繰り返し。 キャラクターの多さと、難しい考えの羅列が、『何の物語』なのかを忘れさせてくれる。 時々、思い出したように書かれている『ペストの町の様子』が『ペストの物語』だと教えてくれる。 看守も死刑囚と同じ扱いになった(感染リスクが高い)とか、すごく印象的だった。 ペストで人が死んでいくので、町を出ようとした人が撃ち殺されても問題にならないとか、食料が手に入りにくくなった。結局は裕福層の方がリスクが低い。etc. 今の状況と一致するのもあったりするのは、『今も昔も変わらない』なんだろうなぁと。とはいえ、ペストの話だけで物語が進むわけではない。 『その中で人が何を思ったか』が主軸で進む。そして、それが、意味不明の難しい言葉で綴られている。私には難しすぎて、何の物語だっけ??という混乱状態に陥る。 現代ならもっとわかりやすい訳が出てないかなーと思ったら、未だに昔の訳者の本しか出ていないらしく……。 新しい訳で出ていたら買ってみたい。というか、もっとわかりやすく訳して、なんなら言葉をむちゃくちゃ砕いてもいいし、子供向けでもいいから……と、思った。
0投稿日: 2023.12.14
powered by ブクログ名作と誉高い本作だけど、かなり難儀して読んだ。特に導入部が持って回った表現で辛かった。ドイツ占領下のパリの戦争体験から、という思い込みで読んでたけど、そこまで関連は感じず、アレアレっと思いながら読み終わってしまった。いつか再読しよう。
6投稿日: 2023.10.13
powered by ブクログ1940年代、アルジェリアの港湾都市・オランでペストが流行、死者が続出し、町が封鎖される中で、必死に戦う医師とその仲間たち、市民の姿を描いた作品。ドキュメンタリー風に描かれているが、フィクションであり、ペストを題材に「不条理」と直面する人間の様子を様々な角度から深く切り込んだ文学作品である。 ペスト蔓延によって人々が味わう「不条理」は、果敢に挑む医師・リウーによる記述の中に表されているが、タルーという人物が書く「手帳」の中にも表現されている。 タルーは、次席検事の父親が人に極刑を与える姿を見て「不条理」に目覚めていたが、それと人々を死に追いやるペストとをダブらせる。 リウーと親しくなる新聞記者ランベールは恋人と会うため出国だけを考えていたが、リウーの妻も遠く離れた療養所にいると知り「不条理」を飲み込む。 厳格な秩序の信奉者だったオトン判事が、愛児がペストで死に家族愛に目覚めるのも「不条理」への順応の表現だ。 ペストで市民が懊悩と混乱を呈する中、逮捕の恐怖で孤立していた犯罪者コタールが、皆、同じ境遇になったと満足し、ペストを是認する過程も奥の深い「不条理」表現だ。 極めて難解な本だったが、以上については、かろうじて理解できた気がする。
0投稿日: 2023.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
壮絶な物語だった。 タルーの手帳の内容が頻繁に出るからタルー自身が提供したのかと思っていたけど、そうか...やっぱり逃れられなかったのか。 オトン氏もそうだけど、終息間近に罹患して死亡するの悔しいよね..血清だってできたのに。 グランのように生還して欲しかった。 脱走することばかり考えていたランベールやペストに対して他人事のような振る舞いをしていたパヌルー神父の考えが大きく変わるのは心が揺さぶられますね。 リウーはこの地獄の日々を生き抜いたけど、タルーや最愛の妻を喪っていて、胸がギュッとしてしまう
1投稿日: 2023.05.09
powered by ブクログ某YouTuberがレビューをしていて気になって購入した一冊 何気ない日常に唐突にやってきて、あっという間に街中の全ての日常を変えていった"ペスト"という病気の中で、現状において①絶望するのか②歓喜するのか③理由付けするのか(陰謀論?)④自分ができることを少しずつでも行っていくのかという内容 今回"コロナ"という病気が世界的に流行った中においても、大きくこの4つに分かれたのではないかなと思う それ以外にも普段の生活においても、唐突に今まで送っていた環境がガラリと変わることはしょっちゅう起きうることなのだと、その時に自分は上の4つのどれに当てはまるのだろうと想像してみる
0投稿日: 2023.05.07
powered by ブクログアルジェリアのオランという町でペストが発生、その後町は閉鎖され、たまたまオランにいた別の町の人間は外に出られなくなり、反対にオランの住民でたまたま町外に出た人は、町に戻れなくなります。別離と死の恐怖のなか、人々はどうふるまうのかについての興味深い本でした。2020年7月時点で新型コロナウイルスの猛威は世界的に終わっていませんが、そのようななかで自分自身がどう変化したかを「ペスト」の登場人物に重ね合わせることができると思いました。 医師リウーは自分の責務を全うすることに全力を傾けます。そして死の恐怖など超越し、むしろ息子の過労が唯一の心配というリウーの母親。善良な小役人グラン、オランの外からやってきて、妻をパリに残したジャーナリストのランベール、同じく町外からやってきた謎の人物タルー、ペスト禍に神の御心を見つけようと苦心するパヌルー神父、そして町の中で「唯一」ペストの蔓延を何かしらの理由で喜んでいるコタールなどが主要人物になります。 印象に残った下りをいくつか書きます。 「人間中心主義者は天災というものを信じず・・・彼らは自らが自由であると信じているけれども、天災がある限り何人も自由ではありえない」 「毎日の仕事の中にこそ確実なものがある。肝要なことは自分の職務をよく果たすことだ」「ペストが市民にもたらした最初のものは追放の状態であった。まさにこの追放感こそ、われわれの心に常住宿されていたあの空虚である」 「ペストと戦う唯一の方法は誠実さということです。僕の場合には、つまり自分の職務を果たすことだと心得ています」 私は、本書に何度も登場する、ペストがもたらした「追放感」という言葉に特に考えさせられました。これは何も空間的な追放感だけではありません(ロックダウンされて外との交流ができなくなるという)。むしろ時間的な追放感を意味していて、現在の日常生活から追放され、未来の可能性からも追放され(生き延びれば別ですが)、また過去の思い出についても「あのときもっとこうしておけばよかった」という後悔の念から、その思い出との距離が遠くなっていく、という感覚です。その行き着く先が「空虚感」になるわけですが、本書の登場人物は、その空虚感をみな違うアプローチで埋めようとしている、と解釈しました。疫病や戦争、天災など不条理な事象が降りかかってきたときに、いかに人間は感じ、かつ対応しようとするのか、とても参考になります。
0投稿日: 2023.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
すごく読みにくかった。アルジェリアのオラン市でペストが発生し町が閉鎖されたことにより人々が苦しむ様子が描かれている。医師リウーが予審判事の息子が苦しむ様子に耐えれない描写が印象的。タルーの過去は不条理に目覚めたことを示してるらしい。新聞記者のランベールが最初は街から抜け出そうと奔走するが自分だけ幸福になるのは正義ではないという考えになり街に残る場面が印象的
2投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログ翻訳の品質が悪い。悪いワクチンを接種した患者に支離滅裂な話を聞かされているような、そんな感覚に陥りました。
1投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログ翻訳者の文章がここまで読みづらくてよいのだろうか。 訳者を替えて新版を出した方がよいのではないか。と思った一冊。一文2、3回は読み直さないと意味がわからない(それでもわからないものも多々あり)。一昔前の翻訳サイトのよう…。 というわけでリタイア。中身以前の問題で。 他の訳者さんで読んでみよう!と思えないほど疲れてしまった。 みなさんちゃんと読めていてすごいですね…
0投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際に起きた話かと思っていたが、そうではないらしい。事件の記録的なものでないのなら、これはペストという事態に対する人間の考察だろう。 極限的な状態に置かれた際に人間がいかに行動するか、いかに考えるか。主人公リウーは現状を受け入れる立場のようだ。その中で最善を尽くす。
0投稿日: 2022.12.17
powered by ブクログ凄く良かったー。 病毒とか犯罪とか戦争とか私達が苦しんでいる状態こそが自然で、膨大な努力と確固たる意思でもって平穏な生活を維持できている、というくだりに感動しました。
1投稿日: 2022.12.12
powered by ブクログ仕事のことが気になって、読み進んでいてもなかなか、自分の中に入ってこなかった。コロナが蔓延する中、パンデミックを描いた作品として再認識されたと思うが、作者の言いたいことはおそらく、パンデミックにおける人々の対応ではなくて、パンデミックという予期せずおこった天災の状況における、医師、エリア外から来た人、神父、政治家など、それぞれの立場での思想、哲学が描写されている。個人的には、一つのことは、ひとつではないと感じた。
0投稿日: 2022.12.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いや面白い。そして文章の素晴らしさ。街の描写は映画を見ているように想像できる。登場人物の心情が臨場感を持って読み手に伝わる。 「我々の心にはみなペストがいる。」 ペストという不条理とどう向き合うか。Withコロナの時代に考えさせられる一冊。
0投稿日: 2022.11.26
powered by ブクログアルジェリアにて発生したペスト。町は封鎖され、人々は隔離される。全くの孤立状態で違う町に住む人々に会えなくなる。そしてペストで死者は増えていく。そんな状況下の人間を描く物語。たぶん今だからこそ、より共感でき読解もしやすくなっている気がした。最後の終わり方もよかった。
0投稿日: 2022.10.17
powered by ブクログ遅ればせながら、読了。 各国の政治家達は、この本を手本にしたんじゃないか?と思わせるぐらい、今回のコロナと重なる部分が多い。 結局、どんなに文明が発達しても、新たなウイルスの前では人間は無力だなあ。
0投稿日: 2022.10.16
powered by ブクログコロナ禍のいま読むと、高校時代に読んだ時よりも現実感を持って読んだ。 ペストと判明せず「何かおかしい」と感じる主人公、徐々に実態がわかり対策がとられるものの混沌としていく社会的は、まさに我々もまったく同じ。 昔から繰り返されていることが、いま、起きているんだ、と実感させられる。
0投稿日: 2022.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語が進むにつれ、登場人物の内面が描かれていくのが興味深かった。封鎖された町で見つめるのは自分しかいないのだと思った。 いつも誠実であろうとし職務を全うするリウー、踏みとどまる者となることを説いたパヌルー神父、罪から逃れたいコタール、死刑に対し抵抗し続けたタルー、胸を張って生きる道を選んだランベール、出来ることをやり遂げるグラン。感染症の危機に晒されなければここまで関わり合うことの無かったであろう人々が、それぞれの問題を抱えながら影響し合っていた。これまでの生活をガラッと変えねばならないような状況下で、人間としてどう生きるか、どう死ぬか、と問いかけてくるような作品だった。 ペストに脅かされたこの数ヶ月間で決定的な変化が幾人かの中に起きたのは意外だった。ひとつの経験なのだから、元通りに戻るなんてことは最初から有り得なかったかもしれない。新型コロナもこれと同様、経験しなかった頃には戻れないはずだ。
0投稿日: 2022.08.17
powered by ブクログ「それに私には気持ちがいいんですからね、ペストのなかで暮らすのが」作中でのコタールの言葉から引用。 通常の社会では閉め出され、日陰者として生きているコタールが、ペストによって自由を手に入れているのが興味深く、協力要請も清々しい程きっぱりと断っているのが、もはや天晴な印象すら受けた。 かくいう私も、あまり意味のない対面の面会から解放されるという、コロナの恩恵に預かった。私の中にコタールはいるようだ。 じっとりとした陰鬱さ漂う一冊でした。
2投稿日: 2022.07.11
powered by ブクログ一つの街で起こった感染症によるパニックを淡々と記録するような文章。感染症がまん延したときの、楽観視、理不尽への怒り、厭世化する世論は今の世の中でも共通するところがある。
1投稿日: 2022.06.18
powered by ブクログ伝染病が蔓延した都市でどんな人が現れ、それぞれどんな気持ちになり、どんな行動を取るのか知ることができる作品だった。感想としては本を取った時の期待感に対して満足度が低かったため星3にしました。 読んだタイミングがよくなかったのかもしれないですが、もうコロナも慣れ過ぎてしまったので、「まぁそんな気持ちになったり行動するよね〜」って思うことが多かったです。また、ペストの時と比べて今は文明が進化しているので、対応も迅速だし社会も当時よりグローバルだからあまり得られるものもなかったかな、という印象。小説としては良くも悪くも普通に面白かったです。
0投稿日: 2022.06.05
powered by ブクログペストの感染拡大防止のために、市内の鉄道から道路まで、市外と繋がっているパイプラインは全て遮断する。外出制限が出ることで、市民は精神的な部分で多くの大変な思いをする。 まさに今の新型コロナウイルスと似ている部分が多いなと思った。 医師リウーの恐怖の感染症ペストと諦めずに立ち向かう姿に感動した。リウー以外の主人公も個性的で、時にはリウーの支えにもなり、いい関係だなと思った。 ランベールは市から脱出しようと試みるも、次第に考えが変わり、最終的にはリウーたちといることを決めた所が、個人的にはいい場面だと思う。
5投稿日: 2022.06.04
powered by ブクログペストの世界観と、コロナウィルスの世界観ご重なるのは、どんなに文明が進んでも、危機に瀕した時のひとの行動は大きく変わるものではないと言うことでしょうか。 アルジェリアの医師のリウーの元、ペストの発生から収束までを、新聞記者のランベールなど、関わったひとの行動や思考を通じて、ペストで閉鎖された世界を描く。 個人的には、ランベールの行動に肩入れしてしまう。最初は街からの脱出を試みるが、次第に街に残り、行く末を見る方向に動く。 今でこそ、科学的見地でコロナの様なウィルスを分析するが、当時は、宗教の様に、神に頼ることしかできなかった。今でも、あまりに無力な状態の時にはひとは祈ることしかできないと思えば、当然のことかもしれない。 経済的にペストで儲けるひともいた。これも、今回のコロナと被るところがあります。 歴史は繰り返すし、ひとの本質は何も変わらないということかもしれません。 カミュの様な文学の良さはまだまだ分かりませんが、たまには名作を読むのも良い時間に感じました。
2投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ2022年4月18日読了。アルジェリアのオラン市で発生した不審な鼠たちの突然死、エスカレートしていくその事件はやがて「ペスト」と特定され…。コロナ禍の現代に再度話題となった、1946年刊行の当時のベストセラー作品。本当にあった事件をカミュが観察して書いたとしか思えない描写、特にペスト発生当初「それをペストと断定するのか・責任を誰が取るのか」という観点で議会が時間稼ぎを試みるあたり、まさに2020年の頃の混乱を思い出すリアリティで小説の力を感じる…。隔離された街に生まれる絶望やその中でもうまく闇で立ち回る人々、人々の窮状を見て支援に立ち上がる人々、ペスト禍の中で逆にいきいきしてくる人など、これほんとにフィクションで書いたの?実に面白く、読み終わった後も考えさせられるお話だった。
4投稿日: 2022.04.18
powered by ブクログ不条理に対する人間たちの、ある種本能的な、反抗の一部始終が記録されている。 ただ、為すべきことを為す。それが一番本人にとってもいいんだろうな。 邦訳がバグっていて、文体になれるまでは非常に読みにくい。英訳も微妙らしいので、いつか原文で読めるといいな。
0投稿日: 2022.03.27
powered by ブクログ何の変哲もない平穏な町アルジェリアの都市オランと様々な人々を突如襲うペストの不条理。対応の遅れ、都市から脱出しようとする者、デマの拡散、病床の不足、一匹の鼠の死体から始まる淡々とした物語はロックダウン下の都市をリアルに描写しています。
0投稿日: 2022.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3ヶ月くらいかけて読み終えた。文章の読む流れを掴むまでが難しかった〜 きっと昔の言葉使いなのと、原語じゃないからと、あと同じ人を指す言葉がいくつかあるのが難しく感じた理由 最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである。 ここがグサっときた。驕らず生きていきたいな〜
0投稿日: 2022.01.10
powered by ブクログフランス文学というかフランス語がもつ難解さのせいなのか、翻訳の分かりづらさなのか、それとも私との相性が良くない小説なのか、私の読解力のなさなのか、なかなか理解出来ずに読み終えてしまった。
7投稿日: 2022.01.03
powered by ブクログ神が見ているから、善きことを成せば良きことが返ってくるから善きことを成すのではなく、そこに動かなければいけないという直感があるから動いてしまう、そこに人間を人間たらしめるものがある。
1投稿日: 2021.12.26
powered by ブクログコロナ禍で、似たような状況下にあったペストの物語。人々の 病気に対する精神的反応が 今も昔もさほど変わらないことが判明。
2投稿日: 2021.12.17
powered by ブクログ不条理が人間にとって何を意味するのか。 世界の否定性。絶望に慣れることは絶望するよりも悪い。 人生に意味などないのか。生きる価値って?では死には価値あるの? そういう無意味さの肯定か。
14投稿日: 2021.12.05
powered by ブクログ『異邦人』で有名なカミュの作品。 描かれているのは、ナチとの戦いの寓話であるとか言われていますが、いまこの時を持ってみれば、コロナとの戦いの寓話と読むことができます。 いやぁ、コロナっぽいんですよねぇ。コロナでロックアウトされた街。それを描いているように思いながら読んでいました。 ただ、カミュのせいなのか、あるいは翻訳のせいなのか、文章がちょっと読みにくい・・・。スッと話に入る込めるところと、ややこしくて話に入り込めないところと、さまざまある不思議な作品でした。
0投稿日: 2021.12.03
powered by ブクログ父親の本棚から借りてきました。 有名な作品ですが内容は知らず、パニックモノかと思って読み始めたところ見事に裏切られました。 後で調べたところ不条理小説というジャンルらしいです。 人間がペストに象徴される不条理から逃れられないとき、その不条理と向き合う姿を描いたのが本書です。 私が印象に残ったシーンはふたつ。 ある日神父が、「ペストにかかった人間は神の報いである」と説くが、その後幼子が苦しみの末亡くなったのを看取った医師が、「子供に罪はないはずだ」と信仰では救われないと確信するシーン。ちなみにその後その神父は死にました。 もう一つは、新聞記者が仕事でこの街に訪れている間にペストが発生、都市封鎖によって恋人のもとに戻れなくなってしまいます。はじめは、どんな事柄であれ個人の幸福を犠牲にすることはあってはならないという信念のもと、街からの脱出工作を試みるが、最後は、もしここで脱出して恋人のもとに帰ったとしてもきっと恥ずかしい気がするだろう、そんな気持ちでいたら彼女を愛するのにも邪魔になるだろうと、脱出を断念する告白を医師にするシーンです。 人間は、神の存在を信じずとも誠実に人々と連帯しながら不条理にあがらうことによってそれを克服できることを示したこの小説は、キリスト教信者にとっては私以上に衝撃的な本だったのではないかと思います。 人の善意の偉大さに感動しました。
0投稿日: 2021.11.28
powered by ブクログペストによって、都市閉鎖された街の記録。 感染症によって街の人々がどのように追い込まれ、 どのように受け入れ生活していくのか。 現代のコロナと通じるものが多々あります。 ペストを傲慢な人間に対しての神からの罰だという宗教者がいても、幼い子供の死にそんな無責任なことは言えないでしょう。 ペストは拍子抜けするくらいにある時あっけなく終息してくのですが、 現代のコロナもそんな風にあっけなく収束して欲しいです。 古い作品なので、文体が自分にはちょっと読みずらかった。
0投稿日: 2021.11.21
powered by ブクログ読むのは比較的速い方なのに、この小説は時間がかかった。読みにくかった。心情や情景の描写が深くて、また何か暗示的なものがありそうな、要するにフラグ的な何かを見つけようとしてしまう自分もいて、飲み込むのに時間が必要な部分が多かった。 それに、読むのに時間がかかったせいか、名前と人物を一致させることに、いちいち労力を費やした。 コロナ禍の今だから、内容の捉え方が偏ったかもしれない。もし世の中がコロナ未経験の時に読んでいたら、また違う感想が出てきたかもしれない。 でも、読むことに意味はあった。
5投稿日: 2021.11.06
powered by ブクログコロナ禍の当初、書店の平積みで購入。積読はしないタイプなのだけどこれはなかなか読み進まず。数ページ読んでは本を閉じることが続いていた。 一文づつは明確、文脈が掴めない。気を抜くと主語を見失う。 解説に逃げてみても、それさえ難解。 遂に読了にたどり着く。レポートと小説、フィクションとノンフィクションの境目を描くこの小説の手法にハマってしまったのかも知れない。 ペストはペストであることとカミュの描く不条理の暗喩。いつの日か再読。
6投稿日: 2021.10.17
powered by ブクログ「コンミュニスムとキリスト教とのあいだに、より人間的な第三の道を求めようとしているカミュの立場を、これほど遺憾なく表現しえている作品はない」(訳者) ちょっと読みづらいですけど、実話と思うほどの心理描写、"人としての生き方"を考えさせるような場面、良かったです 他の作品も読んでみたいかも
7投稿日: 2021.10.11
powered by ブクログ1940年代、フランス統治下のアルジェリアの港町オランを舞台に、突然起こったペストの流行と封鎖された都市での人々の生活を描いた作品。コロナ禍のいま読むと、思ってもいなかった伝染病の到来に対する施政者の及び腰な態度であるとか、都市が封鎖され生活が制限され始める中での市民たちの反応であるとか、フィクションでありながら細かい部分の真に迫った描写に驚かされる。 しかし、カミュがこの作品で描こうとしたのは、ペストという具体的な伝染病との闘いそのものではあるまい。ここに描かれているのは、ペストのように人から人へ伝染していく、この世の不条理に対する肯定――人間らしい生活を脅かす不条理に加担することへの反発であり、知らぬ間に自分自身も侵されているそうした見えない伝染病との闘いである。アフガニスタン、香港、イスラエル、市民生活を脅かす「災難」はある日突然現れたようで、けれどその実そこに至るまでには長い潜伏期間と病魔を指し示す兆候が、必ずあったはず。言論の制限、行動の監視、醸成されてゆく「世論」、他人事あるいは対岸の火事と思っていたことが、気づけば身近な生活を締め付けるものとなってゆく。締め付ける側に与し病原菌を広めるか、いかに伝染病が猛威を振るおうとも諦めずに闘い続けるか。闘う、と口にするのはたやすく、実行することは難しい。 オランの医師リウーは、ペストの発生にいち早く気づき、常に最前線で病魔と闘い続ける。そこにあるのはヒロイズムではなく、「不条理に対し闘い続ける」という、淡々としつつも揺るがない、リウー自身の言葉を借りれば「誠実さ」である。 リウーは言う。 「この世の秩序が死の掟に支配されている以上は、おそらく神にとって、人々が自分を信じてくれないほうがいいかもしれないんです。そうしてあらんかぎりの力で死と戦ったほうがいいんです。神が黙している天上の世界に眼を向けたりしないで」(p.188) そして、友タルーの「あなたの勝利は常に一時的なもの」という言葉に対し、「それだからって、戦いをやめる理由にはなりません」と答える。 いずれ死がすべてを奪い去る世界で、健康の回復という一時的な勝利のために力を尽くし続ける医師の行いを、無価値だと言う人はいない。それは命の尊さを知るものとして当然の行為である。であれば、同じ重みの命を持つ人間たちが日々暮らすこの世界で、人が人の命を奪う不条理さというものに対して闘い続けるということも、当然の行為であるはずだ。 リウーとは違う立場で、同じくペストと闘い続けるタルーは語る。 「僕は、自分が何千という人間の死に間接に同意していたということ、不可避的にそういう死を引き起すものであった行為や原理を善と認めることによって、その死を挑発さえもしていたということを知った」(p.373) 「そうして、そういう理由で、僕は、直接にしろ間接にしろ、いい理由からにしろ悪い理由からにしろ、人を死なせたり、死なせることを正当化したりする、いっさいのものを拒否しようと決心したのだ」(p.376) 「僕がいっているのは、この地上には天災と犠牲者というものがあるということだ。そうして、できうるかぎり天災に与することを拒否しなければならぬということだ」(p.377) 表裏一体をなすこれらリウーとタルーの言葉は、闘いを諦めたくなるほど多くの不条理があふれている現代において、痛みを伴うほどの鋭さでこちらの胸に迫ってくる。頻発する自然災害はもちろん、貧困、差別、政治によって救われるべき弱者に対する社会的放置など、不条理はあまりにも多く、それらを直視し一つ一つ闘っていくことは、物理的にも心情的にも無理としか思えない。それでも闘うことが人としての「誠実さ」であり、不条理を不条理と知りつつ闘わないことは「間接に同意」することと変わらない。それがカミュの思いであり、読者として自分の在り方について、行動を伴う生き方について再考し、決断する必要を感じずにはいられない。 カミュはこの作品を、自身の書いた最も反キリスト教的な作品と称していたそうだが、上記引用部分や神父パヌルーとのやり取りでのリウーの言葉(「子供たちが責めさいなまれるように作られたこんな世界を愛することなどは、死んでもできません」p.322)には確かに、不幸を罪の報いとする思想への強い反発が感じられる。しかしそれでもなお、イエス自身が大いなる不条理のもとで死んでいったことを思い、その不条理を背負いながら生きることを信仰と呼ぶとしたら、無神論者カミュの語る「天災に与することを拒否」する生き方は、宗教心と両立しうるのではないだろうか。むしろ、目に見える利益や自分が享受できる快楽を退けて不条理と闘うことを「誠実」とする思想、誰にも誰かの命を奪う権利などないのだという視点には、あるべき世界の美しさを信じること、その美しさに向けて生きるという意味で、宗教心や信仰と呼べるべきものが根底にあるようにも思えた。
0投稿日: 2021.09.28
powered by ブクログ家族が購入。 ペストの話というよりこう…人を死なせるものの話、社会とか…なんかそういう主題だったんだなと思いました。 オランが疫病に襲われた事実は無いようですが真に迫ったリアリティというか、近年ニュースでも見た話だなと思う場面が多かった。ペストに感染したと叫びながら女性に抱きついて逮捕されたやつが出てきたけど、名古屋で「俺はコロナだ」て叫んだおっさんいたの思い出した。
0投稿日: 2021.09.18
powered by ブクログコロナ禍で再燃したと聞いて買った本。たしかに伝染病の恐怖とか分断の悲しみとか驚くほど類似する。ただこの物語はそれ以上の、思想的哲学的観念的描写を含んでいて、なるほど世界中で読まれそうだと理解。モチロン僕にはその数パーセントも理解はできていないんだけど、伝染病=悪という立て付けで、それに対して人間がどう立ち向かうか、どう向き合うかいや向き合わないか、最終的にどう感じてどう生きていくのか、的なことが描かれてるんじゃなかろうかと。いや僕には数パーセントも理解はできていないんだけど。なんだか昔「金閣寺」を読んだ時のような不思議な読後感。あの時の感想を持ち出そう。 いつかこれを理解できる大人になりたい。
0投稿日: 2021.09.14
powered by ブクログコロナの状況と重なる部分が多分にあり、 愛するものとの別離、この禍いのなかで 鬱屈して行く街の人々以前の賑わいから 全てが隔離され時が止まってしまった感覚 コロナになってから確かに季節感が余り 感じられず、ペストを読んでいて同じ様な 現在の状況を改めて感じた。 所々難解な部分もあったが、この物語の医師リユー やその仲間達の真摯の姿勢はコロナで戦っている 現在の医療従事者への姿に重なる。
0投稿日: 2021.09.07
powered by ブクログ高校2年生の時以来の再読. コロナ禍の中で読んだせいか,大人になったせいなのか,こんなに臨場感ある作品だったっけ⁈と言うのが最初の印象. そして,after Coronaを迎えるときに,きっとやって来る“不条理”についても描写が及んでいる事におおお〜ってなった.
0投稿日: 2021.09.06
powered by ブクログ夏休み課題として読みました。 もう少し私が理解力があれば、登場人物それぞれの行動選択の理由や背景に共感出来たのですが、少し難しかったです。 「自分はコロナにかからないだろう」と思ってる方に特に読んで欲しいなと思いました。
2投稿日: 2021.09.03
powered by ブクログ3.0 難解な小説。訳のせいもあるかも。ついに読破。ペストには、誠実さでもってしか戦えない。今の状況と全く同じ。小説の結末と同じ状況になることを祈りつつ。
0投稿日: 2021.09.01
powered by ブクログ政府を批判したり、まさか自分はかからないだろうと考えたりする描写が印象的。1947年に発表された作品ですが、2021年のコロナ禍でも当てはまりますね。客観的な記録というスタイルもいい。ペストの恐ろしさを引き立てています。
0投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログ物語がとある人物の手記であることが明かされた時は驚いた。 異邦人でもそうだったけど、不条理は避けられないというのが通底するテーマなのかも。 古典の名作はバッドエンド多い気がする。
0投稿日: 2021.08.13
powered by ブクログコロナ禍の今、とても刺さる内容。 フィクションとは思えない緻密で難解なプロットですが、読み進めるうちにだんだんと理解が進み、最後にはまるでオラン市での災厄を実際に体験したように感じます。読み物としての難易度は高め。
0投稿日: 2021.08.09
powered by ブクログなぜか実家の本棚に入っていた本書。 学生の時に買ったのかなぁ?読んだ覚えがないので読んでみた。 今のコロナ禍を彷彿とさせる状況だが、そんな中でも生活を続けていく主人公たちの姿が淡々と描かれる。 興味深い。
16投稿日: 2021.08.05
powered by ブクログ献身と誠実。 途中で投げ出したくなる様な根気がいる本。 最後の「天災のさなかで教えられること、すなわち人間の中には軽蔑すべきものよりも賛美すべきもののほうが多くある」と言うくだりを読んで、やっとの読了感に浸る。
1投稿日: 2021.08.02
powered by ブクログある街を突然襲った伝染病ペスト。無慈悲に人命を奪いさるその疫病と戦った市民たちを描いた作品。市中で不条理な現実を見てきた者の手記をもとに読者へ紹介する形式。現在のコロナ禍におかれている者として、ペストによる不条理さは十分伝わってくる。しかし、できる限り客観的な描写に押さえている作風らしく、逆に私の中では、人間の無感動で無慈悲な部分が印象づけられた。そして淡々とした語り口で心動かされる場面が少ないため、500ページ弱のボリュームは少し冗長に感じた。
14投稿日: 2021.07.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まず訳が合わないなと率直に思った。あまりにも直訳的すぎやしないか?カミュの文体を忠実に再現しようという熱意は感じるけれど、私の読解力のなさと相まってなかなかページが進まないし、何度読んでも意味を掴みかねる箇所が散在した。時代のせいもあろうが、、、ただその中でも分かったこと、これはあまりにも大著だということ。一度読んだだけでは消化できない、どころか多分充分に味わうこともできない類の作品だということ。今後の人生において何度も再読すべき作品であるという印象のみが今回の初読において得たもので、あとは口に入れて舐め転がしてみたら苦かったなぁ、という感じだけ。 ペストという大きな不条理が戦争を暗示しているものだという解釈は、実際著者が戦時の体験を基にしていることからも外れたものではなかろうが、読者という受け手側からすると、この不条理はペストにも戦争にも、もちろん今現在この作品が注目される原因となった新型コロナやその他流行り病にも限定されない、人間が生きるうえであらゆる場面に立ち現れる理不尽に当てはまり、そしてそれこそが、国や世代を超え名著として広く読まれる所以だろうと思う。生きる限り降りかかる大小様々な不条理を前に人はどう立ち振る舞うのか、医師や神父、市庁の吏員、異国の新聞記者、はたまた犯罪者まで、様々な立場・視点・角度からその様相を緻密に描き出した、ある種思考実験的なものと捉えることもできるが、作品全体に通う血潮の生々しさ、その温度が、それだけではない何かを訴えるーーように思えるけどその先は考えるの疲れたのでやめた。まあ最初は謎の第三者視点であくまで客観的に進んでいた物語が、段々感情が透け出してリウーと同一化し始め、より「小説っぽく」なったのでそう感じるのだろうと思うけど、これも著者の手のひらの上なんだろうなあ。それぞれの登場人物が具体的にどういう役割でペスト=不条理に対峙したのか、その結果も合わせて言語化したかったけどこれも疲れたから再読時の課題にする。 明瞭なのは、あらゆる不条理も理不尽も、なかったことには決してできないということ。物語には具体的なペストの終焉が描かれているのにも関わらず「愛するその女に会いに飛んで行こうとしていたあの自分に、できればまた戻りたいと思った」ランベールのように、元の生活にそのまま立ち返る人はひとりもいない。歓喜の声に街が包まれ、祝賀の花火が上がる夜に、「黙して語らぬ人々の仲間にはいらぬために」物語を綴ろうと決心する人間が存在するのである。受け入れても、受け入れられなくても、起こった事実はなかったことにはできない。私たち自身にも重くのしかかる真理だろうと思う。 それにしても腺ペストが段々と肺ペストに置き換わっていく様子は変異株みたいで興味深かった。いや、変異株なんだろうけど、情勢と相まってリアルに感じられて、さすがだなと思った。いやこうはならんやろ、みたいな展開もちょいちょいあったけど、主題に関係ないし瑣末ごとなので割愛。とりあえず新訳が出てるみたいなので絶対にそれも読むという決心だけここに。
2投稿日: 2021.07.13
powered by ブクログ新型コロナ禍、立ち寄った書店の店頭近くに平積みされていた文庫。 第二次世界大戦における不条理な死をペストによる非日常的な死へと象徴的に置き換え、ナチスに侵略されたフランスに生きる著者の心情、思索を哲学したような小説である。 ペストのパンデミックをストーリーの中心に据えたサスペンススリラーなどではない。 カミュであるからにして、そのようなもののはずはないのである。 読み応えは充分。但し翻訳は・・
0投稿日: 2021.06.20
powered by ブクログ今この時代に読むべきかと思い。 (でなければ洋書名作への苦手意識できっと読もうと思わなかった) 結果読んでよかったです。 思ったより読みやすく、そして、今更この時代だからこその共感というか理解ができる部分があった気がする。 一人称視点の記録の体で、こうすべきだとか何が悪だとかの啓蒙ではない、ペストに襲われる街で何が起こり、書き手を取り巻く人々は何を思いどう行動したかをひたすら描いていく。 どうしたって今の状況と重ねて考えさせられる。 基本淡々と進むものの、所々の登場人物たちの関係や熱い思いもまた小説として見所でした。
0投稿日: 2021.06.18
powered by ブクログもう世間が一通り読んだこの時期に、ようやく着手 どうも「異邦人」の良さが理解できず、躊躇していたのだ とは言うものの、カミュの文章は意外と読みやすい上、情景描写が鋭く体感的に伝わるので、読む事自体には苦痛はない フランスの植民地である北アフリカアルジェリア、オラン市が舞台 平凡でありきたりの毎日のふとした不穏な変化(鼠の大量死から始まる)が起こる ジリジリと迫る得体のしれないなにかに、少しずつ世間が蝕まれていく ペストと認定すべきかを検討する医師や自治体(もちろん対応が遅い)… そして、一気に都市封鎖へ 突如の別離、手紙・電話の不通… 追放の空虚に苛まれる もう想像力でしか、時間を埋めることができない囚われの身となった彼らの心の痛みがヒシヒシと伝わる カミュの表現力は素晴らしい それでもまだ彼らはペストを心底から理解しておらず、どこかで一時的なものという印象を持ち続ける 次第に食糧補給やガソリン、電力の割当など規制がかかり出す 現代のコロナ禍と同様、貧困問題が表出する一方、高騰するものもあり、格差社会が生まれ出す …とこのように、徐々にペストという暗雲が立ち込める様子が淡々とリアルに描かれる (ペストで人が死んでいく様子は断末魔の想像を掻き立てられすぎて、苦しくてこちらが死にそうであった) この「ペスト」の良さ(?)は登場人物のそれぞれの考え、心境、行動だと思われる ■リウー 医者 誠実そのものの善い人だ ペストを「限りなく続く敗北」としつつ、運命を受け入れ毎日多くの患者を救うべく翻弄する ペストと戦う唯一の方法は「誠実さ」とし、自分の職務を果たすことが自分にとっての誠実と考える 医者なので毎日患者に接し、疲労しまくっているのに、多くの人と接し、人に対しても自分に対しても誠実で、とにかくすごい人である ■タルー 得体のしれないよそ者 当初はつかみどころのない人物だったが… リウーに友情を感じ、自分がどういう人間かを赤裸々に告白する 心の中の平和を見出すため、すべての人々を理解しようとし、謙虚な姿勢で生きようともがいている タルーの考えは… 誰もが心の中にペストを持っている それは逃れられないし、強い意志と緊張をもって警戒し続けなければ… と立派な志を持っている その訳は過去にあるのだが… リウーとタルー(しかし漫才コンビみたいなネーミングだなぁ…)の友情に誰しもジーンとくるだろう ふたりで海で泳ぐシーンは印象に残る感動的なシーンであり、唯一の救いのあるシーンだ ■ランベール パリに恋人を残して隔離された新聞記者 もちろん自分は何にも関係ないのだ! と脱出を試みる しかしリウーやタルーたちの活動や考えに接するうち、変化が 自分一人が幸福になるということは恥ずべきことかも…と疑念をもつようになり、リウーたちの保険隊(行政の仕事がトロいのでタルーが結成)の仕事を手伝うように ■グラン なんかねぇ この人いいのです! この人が良いというかこの人を登場させるカミュがいいんだなぁ… 普段は市庁で働くしがない下級役人 目立たない地味な存在 ひそかに執筆活動をしている リウーたちとの保険隊で彼らしい地味ながら緻密な仕事を黙々とこなし、なかなかの活躍ぶりを発揮 そんな彼にも大切な人物がいる そうそう執筆中の作品の書き出しを悩みながらリウーとタルーに語る… そして二人が意見する…(形容詞こっちのが良くない?みたいな割としょうもないことを…ね) この3人の構図も心温まる好きなシーンだ ■コタール 自殺未遂を起こす(たぶん)犯罪者 唯一ペストが終わってほしくないと思っている 彼はペストによって自分と同じ不幸レベルに、ほかの人たち堕ちてきたことで喜んでいるように思える ペスト終焉が近づくと、人々と反対の感情が生まれ、気がおかしくなっていく… 好ましくない人物なんだが、彼の心境はとても理解できてしまう そんな自分が嫌だと思いつつ、人にはこういう醜い避けられない感情ってあるよなぁと実感 他にも興味深い人たちがたくさん登場し、彼らの行動ひとつひとつに思うところがたくさん出てくる その彼らの行動や心境を自分の心を通して向き合うことで、読み手が今まできれいに隠してした何かを浮かび上がらせることができる気がする… そしてその部分に共感したり、意見を持ったり… この辺りがこの書が読み継がれる所以ではないだろうか… またウィルス、疫病という観点以外のすべての「悪」を考えることができるようだ 「ペスト」はナチスドイツ占領下のヨーロッパで実際に起こった出来事の隠喩だといわれている 当然現代のコロナも然りだが、それ以外にも何度も我々の人生を襲ういくつもの出来事も同じではなかろうか ペストは終わらない、繰り返される… と本書にあったがまさにそういうことではないだろうか 救いのないいわゆる不条理小説ながら、リウーを囲む友情は心温まる 本書に結論なんかない 人生を身ぐるみはがされた時、それぞれどう受け入れるか、どう立ち向かうか、どう戦うか 個人個人が考えることだと実感 あと… 人は思い出があれば心の支えになる! 稚拙な言い方ではあるが、思い出の大切さもヒシヒシ感じた なかなか心に響いた しばらく多くのことを考えることになりそうだ
39投稿日: 2021.06.11
powered by ブクログ幸せな日々は突然奪われる。 新型コロナウイルスが世界の話題の中心になり1年半近くが経とうとしている。それまでの当たり前の生活ができなくなり、いつ感染するか分からない恐怖に包まれている。どこかそんな現代に通じる話であるのがこの作品である。 作中では突然の都市封鎖により、強制的に愛するものとの交流が絶たれる。現代みたいにスマホがあるわけではなく、やりとりは電報での数文字でのやりとり。ただでさえ、ペストとともに監禁状態にされているのにこの仕打ちは想像を絶するものであろう。 徐々にまずい状況に陥っていることを悟った街が活気を失っていき、もはや何に望みを託せば良いのか分からなくなる。それは未来?それとも神?きっとこの二つ以外にも各々が何かに望みを託していたであろう。それを失った時、ペストが隙を見て体に忍びこむ。そんなことはないのだが、ペストが一つの意思を持って絶望した人間から命を奪っているのでは、、と少し思ってしまう。 未曾有の感染症は多くの犠牲者を出すと同時に生存者も生み出す。残された人に残るものは何だろうか。記憶、困窮、愛するものを失った事実などたくさんあるだろう。生き残った人々の義務とはなにか。新型コロナウイルスの渦中にある今だからこそ考えていくべきことなのかもしれない。
0投稿日: 2021.06.10
powered by ブクログ戦争という不条理なものを疫病に見立てて書いたというけれど、そういうバックボーンを抜きにして疫病に侵食される社会を描いた小説としても、なるほど、と思わされることが多く、とても面白かった。 オルテガの大衆の反逆でも書かれているところだけど、無知であることが最も救いのない悪徳である、というのがものすごく突き刺さった。
0投稿日: 2021.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アルジェリアの街をペストが襲う、という設定だけを聞くと、エンタメっぽい小説を連想させますが、純文学っぽい内容です。 フィクションの物語ですが、ドキュメンタリータッチで描かれているので、リアリティーを感じさせます。 登場人物が多く、視点も目まぐるしく変わるので、内容を理解するのが難しかったです。 昨年、感染症の拡大にともなって、本作が売れたと聞いていましたが、どれだけの人が内容を理解したできたのでしょうか・・・。 ラストにペストの猛威が治まる描写は、現在の我々も望むところではあります。しかし、この物語のラストでも描かれている密かなる不穏は、永遠になくなるものではありません。 自然界に生きている限り、共生していかなくてはいけないのです。
1投稿日: 2021.06.06
powered by ブクログ読んでいる最中に岩波から新訳も出たがそのまま読了した。 一部内容が難解な部分があったが、概ね楽しめた。 コロナの時代が故に現在の状況と重ね合わせて読んでしまい、コロナ禍でない時に読むのとでは異なる読み方になってしまっているが、これは致し方ないか。 心に残る場面も多い。特に状況や音、景色といったことを表現するその細やかな筆致は流石と感じ入ってしまった。 岩波の新訳も是非読んでみたいと思う。
0投稿日: 2021.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
令和2年3月の送別会で田仲先生がペストを読んだ話をなさっていたので購入した。自分には少し難しく、登場人物の名前をメモしたり、別の本に浮気したり、話の筋が混乱して最初から読み直したりしたため、読み終わるのに1年2ヶ月を要してしまった。 新潮文庫版は、昭和44年初版なので50年以上前のカミュの代表作だがコロナで再度注目されたようだ。 1940年代、ペストで隔離されたアルジェリア、オラン市を舞台とする群像劇。主人公であり著者(記録者)であるリウー、次席検事の息子で死刑執行を目撃し死刑廃止論者となったタルー、恋人に会うためオラン市からの脱出を試みる新聞記者ランベール、ペストを神の懲罰と看做し人々に懺悔を説く司祭パヌルー、一人息子をペストで亡くす予審判事オトン、別れた妻を思い夜な夜な小説の執筆に勤しむ老官吏グラン、物語の最初に自殺未遂を図り最後には民衆に発砲し逮捕されるコタール、血清をつくった老医師カステルなど様々な立場の人々がペストの影響を受ける。 巻末の宮崎嶺雄氏の解説では、神の正義として司祭パヌルーを、社会の正義として予審判事オトンを、人間の正義として新聞記者ランベールを登場させることで、正義の問題がいかに深く人生への理解、愛につながっているかを示しているとのこと。 また、リウーとタルーは表裏一体の関係にあり、リウーの記述とタルーの手帳を物語の主流として位置づけるとともに、老官吏グランは妻の家出により、タルーは死刑執行を目撃したことにより、喘息持ちの老人は老年に達したことにより不条理に目覚めた不条理人の3つの小島(サイドストーリー?)と位置づけている。 その上で、ペストを「人生の根本的な不条理に基部を浸し、頭部を歴史の雲の中に突っ込みながら、なかんずく現在の幸福に生きようとする一都市の住民の闘いの記録」とまとめている。 その他にも、ペストの影響を受けて考え方や行動を変容させた人物と変わらなかった人物の比較など宮崎氏の鋭い視点と深い洞察に感銘した。 そもそも、どうしてカミュは、ペストを書いたのだろうか?伝えたいことがあれば、実用書やビジネス書、啓発書のように箇条書きにすればよいのに、そうはしないで複雑な450頁余りの長編小説という形式を選んだのか。書きたいテーマが複雑で深い内容だからか?それとも物語を創作することに意義を感じたからか?ふと、そんなことを思ってしまった。 いずれにせよ消化不良な部分が多く、時間を置いてまた読み直したい作品である。
1投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ自分にはやや読みづらかった。現代語訳でもう少し平易な表現だととっつきやすい気がする。 コロナの今だからこそ響く内容であり、病という不条理に翻弄されあらゆる別離に苦しむ人類の姿は現実とリンクしている。 この不条理の中での闘う姿、動機、心情の移り変わりは各登場人物によって様々であるが、個人的にはランベールに対して最も人間らしさを感じた。 「際限ない敗北」にならないよう、どう生きるか。
2投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっと、読み終わりました。コロナが始まったから購入したのに、一年以上もかかってしまいました。 後の解説を読むとその文体の美しさが高評価だったとのことですが、まあ、言い回しの複雑なこと。なかなか一文を理解するのに時間がかかってしまいました。 フランス領のナイジェリアの一都市を舞台にして、医師の目から見た人々の行いを丁寧に描いています。キリスト教への懐疑的な叙述もたくさんあり、そのあたりが今一つ入ってこなかったのですが、とにかく読了した、万歳です。
1投稿日: 2021.04.30
powered by ブクログこのコロナ禍で改めて話題となった不朽の名作。 ペストの蔓延を軸に、悪と不条理と向き合い戦う人々を淡々と描いている。 最後に書かれてる事は、今まさに人類が突きつけられている現実だ。
0投稿日: 2021.04.30
powered by ブクログ歴史は繰り返されるんだなぁ、と読み終わって実感。 コロナが終息したら色んなところにも行きたいし元の生活に戻りたい、とは思うけど 亡くなった人の遺族はそう簡単に元の生活に戻るというわけにはいかなくて。 どうするのが正解なのかなぁ〜と 考えさせられました。
0投稿日: 2021.04.19
powered by ブクログやっと読了。後半は勢い付けて読めたが、中間は厳しかった。初めて読む日本語もあって、訳が今風ならもっと良かったのにと残念に思った。
0投稿日: 2021.04.16
powered by ブクログ今だから読みたい本、と本屋さんで平積みされていたので手に取ってみた。 ペストが猛威をふるい、ロックダウンされた街を描いた作品です。まぁ~翻訳の読みにくいこと!!途中で投げ出しそうになりましたが、何とか読了。 病床の不足や、経済の衰退、デマからの買占めなどなど…現代がまるで作品をなぞっているかのようで、恐ろしかった。 気まぐれのようにやってきて猛威をふるい、ロックダウンされた街の中で翻弄される人間たちの命を奪い、また気まぐれのように収束していったペスト…原因も理由も謎なところが、本当に怖い。コロナはペストと違って、現時点では致死率がそんなに高くないことがまだ救いだろうか。 人類は災害や疫病に対してとても無力だけど、医師リウーのように、日夜戦っている人がいるということを心に留めておきたい。 そして一時も早く、平穏な日々が戻ってくることを願います。
5投稿日: 2021.04.15
powered by ブクログやっとこさ読み終えました。 自分に読解力が足りないのか、兎に角読みにくかった。 けれども現在のこのコロナ禍と似ている状況に何か惹かれるものがあって 最後まで読むことができた。 今じゃないと最後まで読めなかったかもしれない。
1投稿日: 2021.03.27
powered by ブクログ人間の不条理に抗う者と正義の中で生きるものをペストの中で一つのまとまりにしそれに戦っていく人間のありありとした本質に近いものを書いており共感できる点が多数あり自分の理性に刺激を与えてくれる作品だったと思う。またカミュの文体が読み易く簡潔に記してありリアリティのある作品になったと思う。
1投稿日: 2021.03.22
powered by ブクログまさにコロナ禍と同じ状況。 出かけたまま街が急に閉鎖されたらーー家族を案じて戻るだろうか、戻れるが再び出ることはできない。家族は戻ってきてほしいだろうか。 この「追放」がいつまで続くか、わからない中で、自分で期限を決めて期待するのもそうならなかった場合も悲しみも多い。そのため、人々は何も考えなくなる。 予告して閉鎖したら不平不満もでなかったと思うが、一時を争っていた。 隔離生活の中、次に再会できるのほ全快もしくは死亡したとき。 ペストが収まったときに、大切な人はそばにいるだろうか。元の生活に戻れるだろうか。 自分の力ではどうすることもできない「不条理」を描く。
2投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ昔の作品だが今のコロナの状況とシンクロしているのですんなり理解できた。物語の人々の行動もおもしろいくらい今のニュースと似ていて、人間の本質はいつの時代も変わらないんだと思った。 登場人物がそれぞれに個性と役割があってとても魅力的。文章は読みにくいが読むべき作品だ。
2投稿日: 2021.03.10
powered by ブクログこの本ほど、2020年〜2021年の現在と、小説の舞台の内容が比較されるものはないではないだろうか。 ペストと新型コロナ。 病原体の違いはあっても、現在私たちが置かれている状況と余りに酷似した物語は、この2つを横に並べて間違い探しを試みるのも一興というほどだ。 伝染病への対策が後手後手に回り、現実を直視できず決断の鈍い政府。長引く自粛期間(物語では外出禁止令に近いか)における人々の心情。死者は家族に顔を見せることもできず埋葬されていく。 ペストの場合、新型コロナとは違い高い致死率と罹患した際の苦痛があるため、私達の現状と比較すると何とまあ我々は気が抜けているのだろうと思い知らされる。 それが新型コロナの最も恐ろしい点であるのだろうけども。 今この小説を読むとどうしても我々の現状との比較という観点で読んでしまうが、新型コロナ以前ではロックダウンされ、死の恐怖がすぐそばにありながら人間の心理はどのように動くのかということが主題だっただろう。 新型コロナ以前に読んでおきたかった、と強く思う。 なぜなら描かれた人間の心理についても、今の我々のものとの比較として読んでしまうから。
1投稿日: 2021.03.10
