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殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
清水潔/新潮社
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総合評価

425件)
4.5
236
123
42
3
0
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    犯罪ノンフィクション、ほぼ初めて読みました。読ませる文章です。小説を読む人はすぐ読めます。序盤はノンフィクションにしては芝居がかったように感じましたが、これとにかく読ませるための著者の工夫でしょうか。 義憤というと違うかもしれませんが、全編を通して真っ当な怒りが伝わってきます。これが自分のいる場所と地続きのところで起こった、起こっていることだと思うと寒気を覚えます。 鵜呑みにしていいのか、感じるこれは義憤か、読み終えて考える事は尽きません。 「スポットライトー世紀のスクープー」を見た時の感覚に近いです。 ノンフィクションとフィクションを並べて語るのはずれているかもしれませんが、隠蔽された犯罪の報道という点が共通しているので。

    2
    投稿日: 2016.11.29
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    桶川ストーカー殺人事件をひとりで取材し、警察の怠慢と犯人を暴いたジャーナリスト清水潔さんの本。 今回も執念の取材をされている。 群馬県と栃木県の県境で5人の少女が行方不明になり4人の少女の死体が発見された。 この事件で解決されたのは「足利事件」だけ。 何故警察はこれらの事件を連続事件と捉えず「足利事件」だけを単独事件として扱ったのか。 「足利事件」の犯人とされた人物は本当に犯人だろうか。 清水さんは事件とその捜査、犯人それ自体にも疑問を持つ。 取材を重ね「足利事件」の犯人は、犯人となり得ないことを知る。 清水さんによって冤罪が明らかになる。 冤罪は、あってはならない。 何人も犯していない罪で裁かれたり刑に服したりすることはあってはならない。 今回の清水さんのようなジャーナリストによって、ひとりの冤罪事件は一応解決された。 このことだけでも賞賛に値すると思う。今までならそこで終わってしまう。 犯人とされた人物が犯人でないのなら、何故被害者たちは死ななければならなかったのか。 真犯人は野放しでいいのか。 逃げ得を許していいのか。 いつも冤罪事件の報道を目にする度に納得のいかない思いが残った。 清水さんが素晴らしいのは、犯人を許さないと真犯人を捜し出してしまうことだ。 警察や検察がきちんと捜査しなかったことを、一ジャーナリストがやってしまう。 これは小説ではなく事実なのだ。 青木理さんの「絞首刑」を読んだときにも思ったが、冤罪の恐ろしさは判決が死刑であったとき、執行後に間違いでした、ごめんなさいでは取り返しがつかないところにある。 冤罪によって処刑されるということは、無実のひとが国家によって殺されるということ。 わたしは死刑制度に反対ではない。しかし、もし今、日本で正しい捜査と裁判が行われていないとするなら、死刑制度に疑問を持たざるを得ない。 こういう権力者が隠しておきたいことを伝え、弱者の小さな声を掬い上げることにこそ報道の意味はあるのではないだろうか。 最近の、どうでもいいようなことを集団で責めたり、明かされたことを大騒ぎしたりせず、本当の報道をして欲しい。 それと共に、わたしたち一般人も垂れ流されたものに何の疑問もなく受け止めるのではなく、もっと情報を吟味する力を持ち、無辜の生命が奪われた事件には怒り、権力者の怠慢は許さないと声をあげていく必要があると感じた。 わたしたちひとりひとりの声は小さくて届かないけれど、ひとりひとりが声をあげれば何かが変わると信じて。

    1
    投稿日: 2016.11.28
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    全ての事件がこのようなことはないと思うけど、 悲しいことに警察も人間で自分の名誉や地位を優先して、本質を見失っている場合もあるのだろう。

    1
    投稿日: 2016.11.27
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    2016.11.26 文庫Xとして購入 足利事件 北関東連続幼女誘拐殺人事件 冤罪 DNA鑑定 自白 報道 ぼけっと報道を鵜呑みにする怖さ。反省。

    0
    投稿日: 2016.11.26
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    冤罪となった足利事件を中心にした栃木・群馬の幼児誘拐殺人事件を追ったノンフィクション。 再審から無罪判決を勝ち取るだけでなく、事件の真犯人にも迫る。冤罪報道に興味がない、ただ真犯人がのうのうと生きていることに怒りを感じるから取材するんだという言葉が、著者のスタンスを表現していて印象に残る。 若干情緒的すぎる文章だなと思いながら読み始めたが、そこに書かれた事実にただただ引き込まれた。犯罪への怒りと被害者へのやさしさが満ち満ちた文章だ。最初から最後までとにかく圧倒された。

    1
    投稿日: 2016.11.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文庫X(エックス)として、表紙、タイトルを隠して販売されていて気になり、買ってみました!なるほどね、こういう本ですか。普段なら手にしない本です。でも、読んで良かったと思います。

    0
    投稿日: 2016.11.22
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    ルポライターの清水潔氏による、俗にいう足利事件を含む5件の幼女誘拐事件の冤罪と真犯人に迫った一冊。 警察の怠慢とそれによる冤罪を扱うために桶川ストーカー殺人事件や飯塚事件にも触れている。 彼の言説が全て正しいかは別としても、非常に精密な捜査をしており、少なくとも無視できない内容であることは確か。 それができない警察に対して不信感を覚えた。

    1
    投稿日: 2016.11.20
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    ノンフィクション。5人の少女が殺害、誘拐された北関東の事件についてのお話。冤罪だとか警察の捜査方法とか、司法制度とか、わかりやすい。わかりやすいだけに、とてもこわい。 筆者の推論が事実で真実なら、いまこの瞬間も殺人犯はそこにいる。

    1
    投稿日: 2016.11.17
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    足利事件、冤罪を解決に一役。 5件の殺人事件が同一犯と、 その犯人とも接触していると言う。 逮捕されるようとことん活動してほしいね。

    1
    投稿日: 2016.11.16
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    本書で取り上げている事件のことは、未解決事件の特番でよく見ていました。管家さんが釈放された時のことも、ニュースで報道していたのを覚えています。本当にやっていないのかな、とか、何でパチンコ店に子どもを連れて行ったのかな、とか……そんな風にしか思わなかった自分が叱られたような気がしました。この本は、同じ疑問や感想を持った人に是非読んで欲しいです。

    2
    投稿日: 2016.11.13
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    話題の「文庫X」紀伊國屋書店さいたま新都心店版、初めての清水潔。 冤罪事件として有名な「足利事件」と関連する北関東連続幼女誘拐殺人事件の調査報道の軌跡を非常に丁寧に描いています。こんな機会でもないと読まないであろうノンフィクション作品ですが、とにかく先が気になっての一気読み、あとがきと解説まで一気読みで(^_^;) とにかく良質のドキュメンタリーでエンタテイメントです。 一読の価値あり!!

    2
    投稿日: 2016.11.06
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    どうしても読んでほしいというガバーがかけられた状態でタイトルを隠して売られてました。最近流行ってるらしいけど全然そんなことは知らなくて、面白い試みだなぁと思って買ってみました。自分では手に取らない類の本でしたがとても考えさせられる内容でした。悔しかったり無念だったり何度も涙が出ました。正義の味方だと信じていたものが崩れていくような…警察官に助けてもらったこともあるのでこれは過去のことで今はこんな捜査はされていないと信じてます。ゆかりちゃんが見つかりますように。捜査が再開されますように。

    1
    投稿日: 2016.11.06
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    文庫Xとして気になって買いました。 警察、検察に対して 不信感を抱きました。 自分たちのミスを認められないのは 本当に子供みたいなこと。 そのことにより犯罪者が のこのこと生きている事が 本当に信じられません。 このまま時間が経ち そのまま闇に葬られてしまうと思うと 本当に憤りを感じます。

    1
    投稿日: 2016.11.06
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    こんなことがあっていいのか。 きっと読んだ人は皆そういう感想を持つと思う。国家権力が世間で思われているよりも如何にいい加減か、わかったようなつもりでいた。その認識が間違いだとこの本を読んで、現実を突きつけられて、思い知った。こんなことがあっていいわけがない。

    1
    投稿日: 2016.10.27
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    新聞、テレビ報道だけでは見えてこないことがたくさん書かれています。昨今の風潮でなんでもかんでも叩くのはどうかとも思っていますが、権力へのけん制は必要と思いました。もっと本質的には、組織内の個々人が組織の論理に流されず正しいと思えることをできるか、でしょうか。

    1
    投稿日: 2016.10.11
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    本屋さんの特殊な宣伝を見て購入。 あの宣伝の存在を知らなければ買わない本でした。 こんなことが現実にあるんだなぁと驚き、 この本の内容が如何にすごいか家族に話したけれど、 「はー、すごいねー」それ以上の興味も持たれず終わった。 私の説明の仕方も悪かったのだろうけど、なんともはがゆかった。 きっと、本屋さんもこの伝わらないもどかしさを感じて特殊な宣伝・POPを作ったのだろう。 そしてこのもどかしさは作者自身が何度も経験してきたのだろうなぁとも思った。色々感想を書きたくなる本。

    1
    投稿日: 2016.10.06
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    全国の冤罪事件に興味ない人に読んで欲しい。 むしろ関心あってもなくてもとりあえず全人類に読んで欲しい← それくらい心動かされるというか考えさせられる作品でした。 自分は物事の一面しか見てないんだなって思い知らされます。 こんな闇に葬られた事実があるだなんて一ミリも思ってませんでした。 これを読んだら自分の中の何かがきっと変わります。 熱い思いを持って私はこの作品を読んで欲しいとオススメします。 読んで各々が作者の意図を汲み取って欲しいです。

    3
    投稿日: 2016.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正義感に溢れ職に就いた警察官や検察官が、なぜこういった事態を引き起こすに至るのか。「組織防衛」「腐敗」といった言葉だけでは説明できない。警察や検察がその権力を行使するには権威が必要であり、その権威を守るためには、冤罪、しかも既に死刑が執行され取り返しのつかない冤罪などあってはならないのだろう。権威を失えば、全国の警察官の職務の遂行に支障を来たし、犯罪抑止力も下がり、かえって国民全体の安全が脅かされる。それを避けるためには、少数の冤罪は止むを得ない。そんな論理だろうか。冤罪被害者は国民全体の安全保持のための生贄として必要なのか…。人間は良いことのために悪いことをする。その典型だと思った。

    2
    投稿日: 2016.09.16
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    ・佐野、藤岡あたりで、連続幼女誘拐殺人事件が起きていたなんて驚いた ・親としてはやるせない事件、どうにか解決してほしい ・警察が、自分たちのために真犯人を追うことを  本当に躊躇しているのか?  犯人をぜひ捕まえてほしい

    3
    投稿日: 2016.09.11
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    警察や検察が怖いなぁと思うのはその強大な権力をあるべき方向に使わない時です。尼崎事件や三鷹ストーカー事件などに接すると本当にそう思います。あんな組織が被害者の声に耳を貸さず、杜撰な捜査で犯人をでっち上げ、果ては不始末を隠蔽するからです。桶川ストーカー事件の真相を明らかにした筆者の第2弾。ただ、この事件は結局、警察が放置し、犯人は野放しです。

    2
    投稿日: 2016.08.02
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    足利事件や横山ゆかりちゃん事件は聞いたことがあるが、北関東連続幼女誘拐殺人事件、という名に聞き覚えはなく、北関東の知人数人にも聞いたが知らないという。 隠蔽された真実、司法の闇。 短いニュースの裏側にある、複雑な軌跡。 想像力が足りない人間にはなりたくない、と強く思う。

    1
    投稿日: 2016.07.11
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    ここまでわかっていてまだ逮捕されていない?なんて絶望的な話。 「ごめんなさいって言えなくてどうするの」。 護身のために子どもたちの死を踏みにじらないでくれ。保身のために殺人犯を野放しにするのはやめてくれ。

    2
    投稿日: 2016.06.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    北関東の2県をまたいで、数年おきに起きた少女殺害事件。記者である著者は、それが連続殺人事件であることに気づく。それを見えにくくしていたのは足利事件の菅家氏が逮捕されていること。そこから執念の取材で、おぞましい事実が明らかになっていく。警察の不当な取り調べ。そして、検察がひた隠しにしようとするDNA型鑑定の欠陥。再鑑定の結果は言う。菅家さんはどうしても犯人には「なれない」と。「いちばん小さな声を聞く」そんなポリシーを持った気概ある記者でありながら、文章力も素晴らしい。今も平然と日常を送る真犯人「ルパン」。彼に向けて投げかけたラストが胸を打つ。警察ひどい。検察ひどい。

    2
    投稿日: 2016.06.17
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    桶川~もすごかったけど、これまた衝撃の内容ですね。しかし、ここまできて尚、真犯人逮捕に至っていないってのもビックリ。自身に置き換えて考えると背筋が凍りそうな事実の連続で、やりきれなさいっぱいでした。「ぼくらの民主主義~」にも書かれていたけど、小さい声に耳を傾けることの重要性、ここでも痛感されました。大きな声は、意識してなくても聞こえてきますもんね。でも何となく過ごしているだけだと、大きい声しか耳に入らないんですよね。身につまされる思いもありました。上記作品同様、刺激的な読書体験でした。

    2
    投稿日: 2016.06.08
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    警察や検察のメンツは人の命よりも重いのか…警察と検察に対する不信感が募り、冤罪事件に対する恐怖を感じた衝撃的なノンフィクションだった。 本書は日本テレビが行った報道特番プロジェクト『ACTION 日本を動かすプロジェクト』の裏側を描いたノンフィクションである。テレビの放送も興味深く観たのだが、番組の裏には、これほどの綿密な取材調査とドラマがあったとは知らなかった。 群馬県と栃木県の県境で起きた5人の幼女誘拐殺人事件。その中の一つの事件である足利事件は警察に検察による怠慢と隠蔽工作により冤罪事件となる。この事件が足枷となり、5つの事件は長らく線で結ばれることはなかった。この5つの事件の関連性に着眼し、丹念な取材調査で同一犯人によるものという結論を導きだしたのは日本テレビ記者だった… そして、辿り着いた結末は…

    9
    投稿日: 2016.05.30