
総合評価
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powered by ブクログびっくり。表紙が隠されて販売されていたらしく前から気になっていて、それも地元の知っている書店のおすすめということもあり二度びっくり。ノンフィクションで、調べてみると実は今もまだ犯人は捕まっていないみたい。これを読んだらなんで捕まんないんだろうと思うかもしれない。本当にもどかしくて、警察や検察、科警研、裁判所が絡んだことは詳しくはわからないけど、わからないから悔しい。読んでてもなぜ?なぜ?がいっぱい。同じくらいの子どもを持つ親として時々涙しながら清水さんや遺族の方と同じ気持ちで、ただただ犯人が逃げ得になるなんて許せないし適当な判定で犯人と決めつけることも許されることではない。 自分にとって馴染み深い地名が出てきて、他人事ではないと思ったし、何の罪のない子どもたちが巻き込まれてしまったことに悲しい気持ち。自分の子がと思ったら、、。 これを読んで心動かない人がいるのかな。なんとかしたい。そんな気持ち。
12投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログノンフィクション。 足利事件からの5件の幼女連続誘拐殺人事件をある記者が真相を暴いていく。 逮捕された菅家さん。 自白を強要され自供。 警察の闇を描いている。警察は菅家さんが無実の可能性もあるとわかっていながら、住民の不安を取り除くため、警察の威信を見せるため菅家さんを逮捕。 やばすぎる。 真犯人ルパンが気になってしょうがない。 近いうち逮捕されるのか? 飯塚事件 犯人は死刑執行されたが冤罪だったのではないか。 DNA鑑定の闇。 この記者の体力と突き止めようとする熱意に驚かされる。 この記者のことを調べていきたい。
0投稿日: 2025.11.12
powered by ブクログ内容は表紙のインパクトさを超えている それほど皆に見て欲しい見た方がいいと思った1冊 今の日本の警察、マスメディアの在り方に1人の記者が人生をかけて問いかけていたのがよく伝わった こんな人がまだ今の日本にいて良かった
1投稿日: 2025.10.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
評価を満点にするのは、犯人がつかまってからにしたい。杜撰な捜査、犯人に仕立て上げる。本当に嫌になった。後半はルパンのことに執着してしまったが、ここまで調べるか!と思った。
0投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログ縦社会に属しているからこそ自身の権威を守るために問題を隠蔽し、闇に葬ろうとする。 本来正義を貫かなければならない立場の杜撰な精神には心底呆れます。 正しい審判が下されますように。
0投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ胸の奥に重い余韻が残る。群馬・栃木の連続幼女誘拐殺人事件を追う中で浮かび上がるのは、DNA型鑑定の不確かさ、目撃証言の矛盾、そして司法の怠慢。足利事件を冤罪としながらも、その真犯人が未だ逃げ続ける現実が怖ろしく感じられた。被害者遺族の苦しみも、菅谷さんの取り戻せなかった年月も、何度も胸を締めつける。「正義はどこにあるのか」を問い続けさせる作品。
4投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ6.7時間で一気に読み終えてしまうほど、引き込まれる内容でした。ノンフィクションを読むのは初めてでしたが、ジャーナリスト視点で事件を追っていく臨場感が面白かったです。
1投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新刊のときに正体不明の手書き文字のカバーかかっててそれで覚えてた。なんかこのタイトル無駄にエキセントリックで良くないよな中身はすごく良いのに。文学賞授与してフィクションなんだよ的な印象づけするつもりだったのかなと思った。一応、大宅壮一ノンフィクション賞にもノミネートされたみたいだけど。 結局今年の夏も行方不明で捜索中のニュースが流れてて、なんていうかもう色んな要素が含まれてるので簡単にあーだこーだ言えない。
2投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログ足利事件を中心に連続幼女誘拐殺人事件としてのDNA型鑑定の矛盾や冤罪の証明を進めていったドキュメンタリー。まるで推理小説のようだが現実に起こったこと。 ちょうど先日もDNA鑑定のいいかげんさが報道されていたのでこういうことがまだまだあるんだろうなぁ。
8投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログノンフィクションと思えないほどの読みやすさ。内容が興味深いこともありますが、とにかく著者の文章力に脱帽でした。そして、とてつもない熱量と気持ちがこもった言葉の数々に圧倒されました。 これは読んでよかった。いや、もっと早く読んでおくべき作品でした。 文庫Xとして世に知られていなければ、手に取ることは絶対になかったと思います。さわや書店さんに感謝。 この本の内容が本当であれば、闇が深すぎるなと思いつつ、この本をまるっきり鵜呑みにすることもダメなんだろうなと考えながら最後は読んでいました。
13投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ最後の章の迫力が凄まじい。それまで愚直に真実を追い求める淡々としたジャーナリストの姿が、一人の人間として感情を溢れ出す様が心を揺さぶられる。
0投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ推し芸人さんがおすすめしていたため手に取った1冊。 何となく知っている事件のノンフィクション作品。冤罪事件といえば袴田事件があるが、日本は逮捕されたらほぼ有罪が決まっているようなもの。逮捕率が高いことは大変ありがたいことだが、自分がもし誤認逮捕された時に最後まで無実を訴え続けられるだろうか?誰かが最後まで私の無実を信じて、証明しようと奔走してくれるだろうか?そう思うとゾッとする。 人間は都合のいいものだけを見て、都合の悪いことはなきものにするのは常だが、警察にそれをやられては困る。そして、科学の力は絶対と思われがちだが、必ずしもそうではないとも思う。今のDNA鑑定ならかなりの精度なんだろうなとは思うが…。 客観性が必要な状況でも、公平公正に客観視するのはやはり難しいんだなー。
0投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
このブクログがあったお陰でこの本に出逢えました。 ここまで真に迫ったノンフィクションを読んだのは初めてで寒気を感じました。 何となくしか聞いた事がなかった事件ですが、深く知ると虚しく切なくやりきれない気持ちになってしまいました。そして、刑事の杜撰な仕事に驚きを隠せませんでした… 真犯人がすぐそこにいるのに現在も彷徨いてるのかと思うと胸糞悪いです
2投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログこの国の政治、司法やメディアに対する信頼はもうないが、著者のようなジャーナリストがいると知れたことが唯一の救い。 何度も現場に赴き、自分の耳で関係者の声を聴く。権力に屈しない、保身に走らないジャーナリストの在り方を教えられた。
0投稿日: 2025.08.29
powered by ブクログ一番小さい声を聞く 刺身やお肉を食べる時、私はその魚や動物たちを殺すという工程からあまりにも自然と目をそらしている 同時に、死刑という仕組みからも焦点をきちんと当てたことがなかったのだと気づいた きちんと考えること、考え続けること、正義を凝り固まらせないこと、自分を信じること 今の子供たちがカマボコが海を泳いでいると勘違いしていることを笑えないな
0投稿日: 2025.08.26
powered by ブクログ非常に緻密な取材、現場に足を運び続けることで、長い時間が経っていても改めて見えてくることがあるのだなということは実感される。 DNA鑑定によって犯人であるとされたが改めて鑑定し直すと誤りであった、ということがあるのはなかなかショッキング。 冤罪の可能性がありながら死刑執行された人もいたということだと思うので、個人的には死刑制度には反対だな、と思う。 死刑制度の問題点として冤罪の可能性がどうしてもあること、犯人自身の内に持つ病理みたいなものをちゃんと解明せず、社会にフィードバックができずに事件を終わらせてしまうこと、があるように思う。 影響力の大きな組織にくっつく「記者クラブ」が、その組織の「言い分」を報道する、と言うような構造の問題。「小さな声を聞け」というのはそこへのアンチテーゼ、というか本来の報道の基本なのだろう。
0投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログ犯人は、まだ捕まっていない…。 そういえばニュースにあった、というくらいの記憶。 無罪が確定した、というのは覚えていますが 一体何があったのか、は。 こういう事件だったのか、と思うと同時に 犯人捕まっていないのか、と。 確かに、もう証拠が古すぎて、というのはあるかと。 そして警察の言い分というかやり方が どうなのか、とも聞きたいものがあります。
0投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログ3.8 常日頃マスメディアにはあまりいい印象を持っていないけれど、ここまで正義感に溢れたジャーナリストがいることにびっくりした。 被害者遺族の「ごめんなさいが言えなくてどうするの」という言葉がグサグサ刺さる。 子どもでも分かるようなことが出来ない大人。警察と司法のクソさに怒りというより虚しさを覚えました。
1投稿日: 2025.08.07
powered by ブクログ書店で表紙が目について買ってしまった。読んでしまった。読んで良かったのかは、わからない。私は、何か役にたつには無力すぎるし、知るだけで意味があると言うにはまだ青臭すぎる。組織は保身に傾倒していくものである。中には変革の意欲ある個人もいるだろうが、それすらも飲まれるほど保身の圧力が強いのだろう。「失敗を認められない」背景には、我々国民の「失敗を許さない姿勢」もあるのではないか。あらゆる大きな声に対し、失敗を認め根本的な課題解決を目指すことを私は個人として求め続けたい。
0投稿日: 2025.08.06
powered by ブクログ袴田事件を取り扱ったスタンダップ・コメディで話題になった芸人のお勧めする本と聞いて読んだ。 記者という存在に対しての見方が少し変わる。正直な話、記者とはwebに貼り付いては右から左に真偽のわからない情報を垂れ流す習性のある人々ばかりと思っていたのだが、情報を求めて足を使い、人に向き合い、公のために自分の得た情報を公開する。そこには正義と仕事に対する使命感がある。こんな方もいるのだなと思った。 手記と呼ぶには言葉の使い方が軽妙で面白く、最初から最後まで被害者の少女たちに寄り添う気持ちに溢れている。この方の努力が報われますようにと願わずにはいられない。
0投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログノンフィクションものなので内容についてのコメントは控えるが、構成と文章が上手く、引き込まれる本だった。
0投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログパンドラの箱を開けてしまった気分、読む前と後で価値観が変わるくらい衝撃を受けた。 人を裁く人に漏れなく読んで欲しいと思った。一冊にかけられた熱量が半端ではない。 真実かどうかの問題ではなく、ノンフィクションというジャンルにおいて間違いなく名作、語り継いで行かなければと使命感を感じた。
0投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ著者の脅威的な真実への執着によって事件の全容が明らかにされていく、まるでフィクションのようなノンフィクション。 パチンコ店で誘拐するっていう手口が悪質だなと…。”子どもをパチンコに連れて行った親も悪い”と、心の片隅に植え付けられるようで嫌な気分である。悪いのは誘拐犯なのに。 子どもを失った上に、そのような言葉で自分を責め、他人にも責められ続けた親の心情はいかばかりか。 最近は何か事件があると、SNSで被害者にも責任があると言い出す人がいるが、報道の情報しか知らない人がよく言えるよなと恐ろしくなる。
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ一時期(かなり前)文庫Xとして話題になっていた本。 こたけ正義感がおすすめしていたので手に取った。 現実の話なのかとゾッとする。 組織、国、規模が大きくなるにつれて、「正しい」犯人を見つけ出し罪を償わせる、ということがこんなにも難しくなるのはどうしようもないことなのか。 犯人(と著者は断定しているし警察もその人を認識している)なのに、捕まえられない。ということが本当に起こるのか。 などなど、、、、自分が突然まったく接点のない罪に問われたら、逃れられなかったらどうしよう、、、と取り留めもなく考えてしまった。
8投稿日: 2025.04.11
powered by ブクログノンフィクションとは信じ難い、ドラマのような話だった。取材をし続ける信念はもちろん、被害者遺族にも受け入れられるジャーナリストの人柄の良さが垣間見えた。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログ地道な調査で何年も前の事件の情報を集めていく筆者の執念が凄まじい。いまさら新情報なんて得られないんじゃないか、と思いきやそんなこともなく。むしろ警察や検察が当時発表した情報の信ぴょう性が次々と揺らいでいく。 真犯人への怒りはもちろんだが、自供を強要した当時の警察への怒りも同じくらい感じる。自分たちの筋書き通りの、ただ「犯人であってほしい」だけの人を有罪に追いやる強引さ。これも一つの執念に見えるが、根本には何があるのか。上司からのプレッシャー?こいつが犯人に違いないという思い込み?
1投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白いという言い方は、適切ではないかもしれないけど、とても引き込まれる内容でした。著者の清水潔氏の本である、桶川ストーカー事件の時もそうでしたが、ジャーナリストとして、しっかりと信念を持って行動しているのがわかる内容でした。とにかく、北関東連続幼女誘拐殺人事件の被害者女児たちが、報われるために真犯人を捕まえたい一心で行動を起こしている。そのためには、すでに犯人として捕まっていた、菅家さんの冤罪を晴らさなければ警察は再度捜査を再開しないため、これを当初の目標のように行動していく。誠実な対応で、知り合いなどを通じて、被害者遺族や目撃者に話を聞くことにも繋がっていく。被害者の小さな声を拾い、権力に立ち向かっていく様子はカッコいいです。 この本を読んでいると、それぞれに事情があるでしょうが、警察、科研、検察、裁判所、マスコミなどが本当に信用できなくなってきます。 遺伝子検査の杜撰さ、組織のプライド、捜査員の誠意のなさなど、これらが如実に捜査を妨害している。被害者の母親が捜査員にいっていた、間違えたなら、なぜごめんなさいといって調べなおしたりしないんですかという言葉が印象に残った。 残念だけど、冤罪はなくならないのではと思ってしまう。 いままで、知らなかった飯塚事件や、免田事件なども調べてみたくなりました。
11投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ衝撃的。 著者の情熱、緻密な調査が真実を明らかにしていく。 読んだあとも、様々な疑問が出てくるような本。
2投稿日: 2025.01.15
powered by ブクログ素晴らしい書籍。 小説フィクションには好き嫌いがあったり、面白いかどうかという部分でのコメントになりますが、 こちらに関してはとにかく 多くの人に読んでもらいたい知っていただきたい。 そんな本でした。
2投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログ文句なしに今年読んだ中で最も衝撃を受けた一冊。調査報道のバイブルと言われるだけのことはある。 真実を追い求め公権力とも戦いながらひたすら丁寧に取材を行い、遂には冤罪の立証まで辿り着く。貴社の鏡。その反対に、警察や検察が、自分たちの筋読みに沿った都合の良い証拠だけを集め、自分たちに都合の良いストーリーに仕立てていく姿、組織防衛のために真実を隠し闇から闇へと葬り去る姿に恐ろしさを感じる。 我々自身が、公権力やマスコミから流される情報を鵜呑みにせず、冷静な目で客観的に事実を捉える目が求められる。 報道を志す全ての記者やテレビマンが手本とすべき本。そして警察や検察、裁判所が反面教師として読むべき本。
3投稿日: 2024.11.09
powered by ブクログ報道の在り方について考えさせられた 毎朝のニュースもチラ程度、新聞なんて一面眺めて 春秋読んで終わり。 殺人犯事件が起きても東京では珍しいなという感覚だったけど、これからは変わりそう 捜査に絶対はない 信頼している捜査手法やDNA鑑定といった「科学的証拠」も、実際には初期の段階では完全ではなく誤りも生じうる。 DNA鑑定が万能だとされてきたが、初期の技術では誤った判断が生まれるリスクが存在し、時には無実の人が追い込まれてしまう可能性もあるという事実は、重く心に突き刺さる(現在はそうでないことを祈る) 特に自供についてはただ「犯人が認めたから」といって真実と決めつけるのは非常に危険であり、警察の出世や功績のために無理に自白を引き出そうとする姿勢、そしてそのための強圧的な取り調べや不当な扱いが横行する現実には、司法制度に対する憤りを隠せない ニュースや新聞、それが本当に真実を伝えているのか、あるいはどれほどのバイアスがかかっているのかを疑うことが必要であり、その背景には多くの人々の立場や思惑が絡み、私たちに伝わる情報が必ずしも正確とは限らない 『犯人はそこにいる』この本を読んだことで、私たちも情報を鵜呑みにせず、冷静に事実を見極める姿勢が必要だ
1投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログつい先日、袴田巌さんの再審無罪が確定したこともあり、本書を食い入るように読んだ。 公的権力による証拠の捏造。 DNA型鑑定も信じきっていたので、とても恐ろしかった。 疑われたらおしまいだと思った。 知らない誰かの言うことに同調して間違ったとしたら、はたして謝れるだろうか。 自分の意思で自分がよいと思うものを選びたい。そして間違ってしまったなら、きちんと「ごめんなさい」を言おう。
20投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログジャーナリストとは本来こういう仕事ぶりなんだろう。 来る日も来る日も取材、裏取り、事実を客観的に検証する。 「上司がそう言ったからそうなんだろう。」 「みんながそう言っているからそうなんだよ。」 みんなが言っている、周りが言っている、テレビでやってた、新聞だか雑誌だかで読んだ…。 そして肝心な《真実》を,見えない力で報道できないようにされてしまう現実。 その中に一体どれほどの真実があるのか。 周りの意見だけで信用し、いつのまにかそれが自分の中の真実になる危うさ。 もはや《考える》ことを放棄したのかとさえ思われるような多くの県警の人間たち。 仲間意識からなのか隠蔽、自分たちの都合に合わせた解釈。 2024年の今ではあり得ないであろう、初期のDNA(型)鑑定。 何度でも同じ結果を出すことができることが《化学判定》。当たり前だが重くて深い。 ところで、足利事件等、冤罪逮捕の場合、(分かっているだろうに)真犯人逮捕に至らないケース。 これまで自分は真犯人は、大抵警察関係者か有力者(もしくはその親族)のケースだと思っていたが 実は組織内の欠陥、恥、ミスの隠蔽が多い(少なくとも本書で扱われたケースではそうだった)というのが闇深い。 お子さまたちのご冥福をお祈りするとともに、真犯人の逮捕で事件が解決されることを心より願ってやまない。
6投稿日: 2024.10.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分にはちょっと星をつけるのが難しい作品。ドキュメンタリーとしては秀逸な本なのだろうけど、普段読むミステリとは違い、この本の中で起きたことはすべて事実。命を落としたり行方不明になったりした子供たちやそのご家族は実在していて...。娯楽としては読めない本でした。帯にもあるように「真犯人はいまだ野放し」と思うと恐ろしいしやるせない。 本の中で免罪に遭った方についても述べられているのだけど、現実世界でもちょうど長きにわたり死刑囚とされていた方の裁判が終わったところで、警察庁の方のインタビューと作中の検察の対応とがなんだかダブってしまいました。その面子のために人生を狂わされた方がいることへの謝罪や反省の気持ちはないんだなぁと、これもまたやるせない気持ちになりました。
1投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログ公権力によって事実が「作られていく」のは非常に恐ろしい。それが間違っていたとしても、一度作られてしまうと、覆すのは本当に難しい。 しかし、報道は作られた事実を覆す力を持っている。あらゆる資料に当たり、どんな資料も鵜呑みにせず、一番小さな声を聴くことによって、それが可能になる。
5投稿日: 2024.10.14
powered by ブクログ文庫Xとして話題の頃に読み、衝撃を受けた本。それまで読んでいたミステリーのように、切れ者刑事が鮮やかに事件を解決するなんて所詮フィクションに過ぎなかったのかと愕然とした。保身のために捜査指示を出さない警察幹部はもちろん許せないが、先輩刑事や職場の雰囲気等から管家さんを真犯人と信じて疑わない末端の捜査員達にも恐ろしさを感じる。嘘を真実に作り替えるための作業に奔走する様は醜悪極まりない。間違いを認め素直に謝罪することは歳を重ねるほど難しくなっていくとしても、人として当たり前のことがきちんとできる大人でありたい。
2投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ文庫X(タイトルを隠して売られている文庫本)として手に取ったので中身を知らないまま読んだ。単純に面白かったと手放しで言えない。けれど一気に読み進めた。問題を投げ出さず事実をかき集め真実を世に表出させた著者の行動力がすごすぎる。著者のように真実を見極めて人を救う行動ができる人もいる。過ちを認められずに『ごめんなさい』ができない人もいる。他人の一生を変えてしまう人がいる。自分はもう関係ないと思う人がいる。私はせめて『ごめんなさい』が言える人でいたい。
0投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログおすすめノンフィクションという事で読んでみたけど、これは凄い。ネタを足で稼ぐジャーナリストの矜持を感じる。司法の闇が暴かれているかも。
0投稿日: 2024.07.29
powered by ブクログノンフィクションと知らず読破。 考えさせられる本で非常に良かった。 人間の危うさや傲慢さ色々なものが垣間見え社会勉強になった。
4投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログ連続幼女誘拐事件を追ったノンフィクション作品。 著者のジャーナリストとしての矜持と執念を感じさせる内容。 DNA鑑定の問題点、警察の闇、報道のあり方、冤罪、真犯人。色々と考えさせられた。
1投稿日: 2024.06.23
powered by ブクログ推理小説のような展開 でもノンフィクションなんですよね この手の番組を好む私は、当時何気なく観ていたと思います。 そして今、改めて本書を読んで、司法や警察への憤りを感じています 確かに真実はわからない…かもしれない。 己の体勢を保つため、野放しになっている真犯人がまだいるということ。 強いメッセージ性を感じ、読んで良かったと思える一冊でした
17投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログ何年か前にセンセーショナルな話題を呼びつい最近読んだ作品だがその内容は警察・司法を含む日本特有の組織体制のあり方を考えさせられる中身で後味も非常に悪いが、日本全国民が必読すべきと勧められる名書であった そういう硬派な社会派の内容からかかなり堅苦しい想像するかもしれないが、文章そのものは口語調が多くDNA型鑑定などの専門用語が出てくる文以外は非常に読みやすくエンターテイメントにも特化してると思われる 昨今の警察メディアの不正を暴く内容のメディアにも影響受けていると思われ(エルピスやアンチヒーローなど)、現在進行形でもその影響下の強さを窺い知れる作品でもある
0投稿日: 2024.06.07
powered by ブクログ5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?なぜ「足利事件」だけが“解決済み"なのか? 執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。 普通に怖すぎた。この国が、この国の司法が、これだけ記者が真相に近づいて、政府関係者が問いただしても、ダメなのだろうか。個人的な経験から、日本の司法システムは弱者を救えないと思っているから期待もさほどしていないけど、人の命を奪ったり懲役させておいて、過去の栄光にこだわることに意味はないだろう。早く方向転換しない限り、どんなに科学の力がのびたとしても、どこかで同じような事件を作ってしまうんじゃないだろうか。ましてや犯罪者がのうのうと生きていることは、ご家族の心中を察するに余りあります・・・早く逮捕してほしい。
2投稿日: 2024.05.14
powered by ブクログ調査報道の重要性、ジャーナリズムの在り方を知ることができる名著。 初版から10年、決して忘れてはならない。
0投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログ調査報道のバイブル、たしかに。 記者クラブ制度があると、たしかに当局からの発表で情報過多で溺れちゃうし、当局頼みの記事しか書けないことが多い。 そこでこそ、人に直接会って自分の足で稼いだ情報を字にする力が生きてくるし、必要になる。 ということをあらためて学んだ。 外に出て、人に話を聞かねばな。
0投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログ本著の冒頭にこう書かれています。「これは小説ではない。事実だ。」と。 北関東の限定されたエリアで発生した5件もの幼女連続誘拐殺人事件。容疑者が逮捕されたものの、冤罪であることがわかり無罪となり、真犯人もわかっているのに警察や検察のくだらないプライドのために今も尚、真犯人は放置されたまま。 こんなことがあっていいのか、この国の司法はまだこの程度のレベルだったのかと情けなくなりました。 国の治安を守るために必死に頑張っている警察官がいることは十分理解していますが、その一方で冤罪もなくならない。 冤罪はその人だけでなく、その人の家族や関係者の人生をも壊してしまうし、被害者や遺族の心を傷つけてしまう。 幼い女の子を殺された母親が、冤罪を認めて自宅を訪れた検察官に誤って逮捕して永年拘束して人生を奪ってしまった容疑者に「ごめんなさいが言えなくてどうするの」と叱責した一言が心に残ります。 もう警察は真犯人を捕まえることを放棄してしまったのか、その真犯人はどういう思いで日々を過ごしているのか、とても気になります。
6投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ警察の闇。マスコミの闇。社会の闇。日本に渦巻く闇が体験したことの無いほどの濃さで表れているからこそ恐ろしく、最後まで目が離せなかった。 著者の叫びも虚しくこの本の話題は去ってしまった。だからまた何度も同じことを繰り返し、被害者や遺族の苦しみを増産させ続けるのだろうと日本社会の在り方について考えさせられる本だった。
3投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ斬新なブックカバー販促につられて読んだ。 実際にあった幼女連続殺人の真実を追い求めるドキュメント。緻密な取材と正義感に溢れた相当な力作だった。これは批判できないし、する必要もない。僕自身は警察や国家権力や大組織という魔物をそもそも信用していないので、これを読んでもこういうこともあるだろう、くらいにしか受けとめられなかったという薄情な人間なのですが、真摯な内容はともかくとして1冊の著作としてな感想を述べさせてもらえば、あまりにもその感情描写がくどくどしいと感じてしまった。ドキュメントの著作として訴えるのであれば、もっと無感情に徹した方が良かったのではないか? あと、諸事情で書けなかったのかもしれないが、ルパンを真犯人と信じる根拠とその結論に至る過程が説得力に欠けているように思えてしまった。 もしかして奥田英朗の「リバー」はこの事件がベースになっているのかな?
7投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログこれがノンフィクションなのかというのが感想。 自分が産まれる前の事件なのでパチンコ店に子供を連れて行けたことなど驚いた。 しかし裏を返せば子供がいても危なくなかった場所だったんだと思う。 冤罪なんて犯罪なんて自分には関係ない話に思えるけど全てノンフィクションだと思うと恐ろしくなった。
0投稿日: 2024.03.14
powered by ブクログノンフィクションでも読みやすく構成されている。なんとなくテレビで知っている程度だったので、こんなにも色んな事象が絡んでいるとは知らなかった。 1日でも早く正しい事が詳らかになりますように。
0投稿日: 2024.03.05
powered by ブクログ著者の仕事に対する熱量、姿勢に強く心を動かされた。本物のジャーナリズムとは、これほどの行動力を持って成されるのだと深く感動した。
0投稿日: 2024.02.28
powered by ブクログ1979年から起こった5人の少女が誘拐され、殺害された事件(5人目の少女だけ未だに行方不明)のルポルタージュ。 当時、DNA型鑑定により逮捕され犯人とされた男性は冤罪だった。 警察の捜査や科警研の鑑定結果にはいくつもの不審点があり、著者の清水さんはその真相に奔走する。 それにしても、警察や科警研、検察に至るまで、その杜撰さというか、あまりにもひどい内容には愕然とする。 証言者の証言まで違うものに変えてしまえるものなのか… 警察の捜査とは一体何のために行われているのか、怒りさえ覚える。 そして、メディアに対しても。 もっと真実を報道して欲しい。 ただ単に聞いたことを流せばいいということはないのでは? 本当に何を信じていいのかわからなくなる。 衝撃ばかりの連続だった。 2024.2.25
14投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
筆者自身の取材に基づく重厚な作品。後半はDNA型の話が多くなり、ややストーリー展開が停滞するが、それもまたこの一連の事件の重要な一面。 解決して欲しいと切に願う。
0投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログ連続幼女誘拐殺人、冤罪、死刑、真犯人は未逮捕等強烈なキーワードが並ぶノンフィクション作品。 日本の司法、警察組織の闇を見た。どこまで著者の主張が正しいのかはわからないが、保身に走って己を正当化、というのはあり得る気がする。
0投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログ一番小さな声を聞け。 いいか、逃げ切れると思うなよ。 日本の内部が腐ってるかを判別する本。もちろんこの一冊だけを盲信することもできないけれど、こういった考えで、こういったことをしている人たちのことにも目を向けなければならない。 情報化社会の中、果たして公職が正しいのか? それは今でも分からない。
1投稿日: 2024.01.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み始めたら止まらなかった。ゴクゴク読んだ。そして、お恥ずかしながら、この本の存在を最近知りました。未だ、交番に行けば貼ってある「横山ゆかりちゃん誘拐事件」のポスター。懸賞金もかかり、何年も探されているあの事件の裏に、こんなことが隠れていたなんて、と衝撃を受けました。ちなみに、発行されたのが平成28年で、本が発行されてから7年も経っているのに、まだ真犯人は捕まっていない。事件について検索してみても、この本と大差ない情報しか出てこない。どこの誰だか分かっているのに!一部の人の名誉とか立場を守るために、幼い子の被害が消される…理不尽だと思いました。
1投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログこれが、ノンフィクションなのよ。 こんなにいろんなことが隠蔽されていて、いまも殺人犯は捕まっていない。 どうか、5人の女の子たちの無念が晴らされますように。 真実は作られる。ひとは、信じたいものを信じる。
1投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 清水潔 ∞----------------------∞ 警察って何やってるんだろうか?って気はする。 私は死刑反対派なんだけど、足利事件や免田事件を考えると冤罪というのは確かにあって、こういうことがあるから余計にそういう気持ちになる。やっぱり人に人を殺す権利は無いわけで、それが法の元であろうとも、やってはいけないことだと思う。 そして、何度も殺人を犯したかもしれない人でも、時効がきたら逃れられたっていう時代があったんだよね。 警察も去ることながら、科警研と検察も危うかったら何を信じれば良いか分からない。 2023/10/29 読了
2投稿日: 2023.10.29
powered by ブクログこれは本当に起こってること?と何度も疑いたくなった。 真実を究明し続ける人の苦労。 そしてなくしていかなければいけない冤罪。 冤罪がなくならない限り、死刑は正しいのかと 少し考えてしまった。
1投稿日: 2023.10.26
powered by ブクログ物凄いエネルギーをかけて調べ抜いて、ついに真犯人と思しき人物にたどり着いた、前作の桶川事件同様衝撃的な内容だった。 警察は犯人を捕まえるのが仕事ではなく、都合よく作り上げた。作った犯人を罪に問うことに有利な証拠ばかりを採用し、司法も判断を誤って、無罪の市民を17年間も留置所に閉じ込める、これって監禁罪にならないのかな? こんな酷い話があるのかと、驚くばかり。逆に冤罪を作り上げた関係者は処分を受けるべきではないのか。 ただし、だから警察はと、うがった目で公的機関を見るような事はないようにしたい。
0投稿日: 2023.10.14
powered by ブクログ【申し訳ありません。僕はこの本をどう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら「面白い」「魅力的だ」と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました。この本を読んで心が動かされない人はいない、と固く信じています】 2016年に盛岡の街の本屋さんで始まり話題になった文庫本Xを覚えているだろうか。 近年ではドラマの参考文献として登場するこの本。もし、まだ読んだことのない方は是非手に取って欲しい。 こんな事が本当にあったのかと驚くことだろう。 こんな事がまかり通るのかと。 この北関東連続幼女誘拐殺人事件のルポルタージュは本当に起きた事件だけに読み心地は重い。 重いが、文体は読みやすく読む手が止まらなかった。 著者の情熱と、綿密な調査力が素晴らしい。 ”権力が報じられたくないことを報じるのがジャーナリズム。それ以外はすべて広報” 読了後、毎日のように目にするニュースが変わって見えてしまうかもしれない。 しかし、私たちはこの事を知らなければいけないと強く感じた一冊だった。 こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ ・ミステリーが好きな人 ・サスペンスが好きな人 ・とくに子供を持つ親 ・社会派が好きな人 ・すべての人
5投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読みものとしては読みやすく、続きが気になってあっという間に読み進めてしまった。 ごく普通の人が、突然に危険人物と決めつけられ報道され、犯人にでっちあげられ、犯していない罪を償うために刑務所に入る。 しかも精度が低めのMCT118法を証拠に逮捕された人の中には、無実を訴えていたにも関わらず、死刑が執行された人もいる。 被害者家族は、捕まった犯人はやっぱり違いましたとの報告を受け、宝物である我が子を失った悲しみだけでも辛過ぎるのに、今も犯人は何もなかったように過ごしていること、改めて捜査をしてもらえないことにも心を乱されなければならない。 清水さんは犯人の目星もつけて警察にも伝えているのに。 間違っていたのなら、間違いを繰り返さないためにも、正しい捜査をすればよいのに。 読んでいてやるせない気持ちになった。 これがノンフィクションであることがショックだった。
1投稿日: 2023.09.10
powered by ブクログ冤罪事件を追ううちに警察・検察といった国家権力の欺瞞にぶち当たる。正義より体面を選んだ組織との闘いの話。 著者は桶川ストーカー事件でも本を書いているらしい。国家権力と正面から戦うライターは尊敬してしまう。よくここまで調べたな、というのが率直な感想だし、よくこんな杜撰な調書で死刑判決まで持っていけたな、というか、こんなことが通るのか、という憤りも感じる。 事件が暗い分、著者の文体の明るさに救われる。警察は一般市民を守ってくれると思っている人は読んだほうが良い。
1投稿日: 2023.09.01
powered by ブクログこの本はノンフィクションであり、 小説ではない。ボリュームも多い。 それでも一気に読めてしまう著者の 熱量に圧倒されます。 新聞やテレビなどマスコミは凋落した と言われていますが、著者のような 信念と行動力を持つジャーナリストが 存在することに心を打たれました。
1投稿日: 2023.08.30
powered by ブクログ印象的なカバーやタイトルからずっと読みたいと思っていた。読んでよかったし、知れてよかった。骨太のジャーナリズム、面白い。
1投稿日: 2023.08.25
powered by ブクログ私が小さい頃に地元で起きた連続誘拐事件。当時はもちろんわからなかったけどこんなことがあったとは。追いかけ続けるジャーナリストさんすごいな。真相を知りたい。
1投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ[読了] ジャーナリスト魂にただただ感服する。読物としても最高に面白い。 小説ではなくノンフィクションということに驚かざるをえないが、時々ニュースで流れてくる冤罪のニュースを考えれば、けっして運悪く起きた事でもないように思う。 運命の袋小路に迷い込んだとき人間の不運を考えると気持ちも暗くなるが、一方で筆者のような存在を知ると人生もまだまだ捨てたものではないと感じる。 ドラマ「エルピス」の参考となった事件という事で、再度ドラマも観てみようと思う。
6投稿日: 2023.08.01
powered by ブクログ正義面している警察を見ると、嫌悪感が湧き上がるようになってきたのはいつからだったか。福岡の飲酒運転事故が全国的に話題となり、法も厳罰化されたころからか。「事故を利用して、権力拡大を図ったな」と思ったものだ。だって同乗者や酒を提供した飲食店まで刑罰を与えるというのだから。 そして極めつけは毎年行われる「事故現場での」飲酒運転検問。なぜ事故現場でなのか。一年で最も飲酒運転の車が通らない橋で検問って。何かの冗談ですか? 何? 「飲酒運転事故を減らすため」ですか。そうですか。最近は減ったが、福岡では警察官の飲酒運転が毎年毎年後を絶たなかったそうな。 立派な広報活動ですね。 そんな身内の飲酒運転さえ無くせない警察がやらなければならないのはこっちじゃなかろうか。本書で取り上げられた「足利事件」、「免田事件」の“公権力の横暴による冤罪”について、警察庁幹部は毎年両名の元を訪れ謝罪する。全国の警察官、検察官に「冤罪」を減らしてもらうために。「飲酒運転」と「冤罪」とどっちか大事か。本書に出てくる「H警部」などは、脅迫罪、暴行罪、監禁罪で逮捕してもいいくらいの事をしている。菅家さんを17年半も刑務所に入れたのだから。これではヤクザ、暴力団員と何も変わらない。著者の取材に「もう退職したんだから」と迷惑そうに追い払った場面を読むと「仕事」でしたんだからもう関係ないよ、と思っているようだ。何のお咎めもなかったのだろう。反吐がでる。 止まらないな。けどもう少しだけ。 「なぜパチンコ店なんかに連れてきたんだ」と被害者家族に警察が言った場面。パチンコ店は危険な場所という認識があるようだが、何故危険な場所の営業許可を「警察」が出しているのだろう。 そもそもパチンコ店がなければ、これほど連続で女児が攫われることもなかったのではないか。誰も注意してないもんね。親でさえ。攫いやすい環境だったのだろう。 以前、パチンコ店に勤めていた人から聞いたのだが、ちょくちょく警察官が金をせびりに来るそうな。ふらっときて、店の中を見廻る、店側はイチャモン付けられると面倒なので金を握らせて帰っていただく。しかも一人ではなく複数人いたとのこと。 ね。警察ってこんなもんですよ。ヤクザと変わらない。正義の味方なんぞ烏滸がましい。 本の感想ではないな。傑作ノンフィクションです。是非どうぞ。
4投稿日: 2023.07.15
powered by ブクログ本書の筆者が書いた、「桶川ストーカー殺人事件-遺言-」を衝撃を持って読んだが、それに続く本書にも、大きな衝撃を受けた。「桶川」と同じく、傑作ノンフィクション。 本書にも、ブグログ上に多くの感想が寄せられており、私自身の感想も、それらとほとんど同じだ。簡単に箇条書きにしておきたい。 ■素晴らしい取材力。取材の「質」も勿論高いが、取材「量」がすさまじい。 ■殺された、あるいは、今も行方不明の少女たちのためにアクションを起こし続けた、とご本人は書かれている。少女たちのために、検察・警察に真犯人探しの捜査を開始してもらいたくて、テレビ番組を作成し、雑誌に寄稿し、検察幹部に会い、国会議員にも働きかける、等、思いつくことは全てやられている。すさまじい活動量。執念の仕事人だ。 ■しかし、それでも、今でも真犯人は逮捕されていない。捜査自体が行われていないのであろう、今後、真犯人が捕まることがなさそうなことに、憤りと失望を感じざるを得ない。 ■筆者の必死の行動をきっかけに、冤罪で懲役刑となっていた菅家さんが無罪となったことは嬉しいことであるが、しかし、そもそも、このような出鱈目な冤罪が起こること自体に、構造的な問題があるはず。また、菅家さんへの償いはどうなっているのだろうか。
13投稿日: 2023.06.07
powered by ブクログノンフィクション、五人の少女が行方不明や殺された件で、冤罪で捕まったり犯人を新しく探す内容 読んでいて、怒りや悲しい気持ちになり、とても良い本なんだけど、2回目は読まないかな 早く犯人が捕まって欲しい
2投稿日: 2023.05.18
powered by ブクログAudibleにて。 ここまでわかっていても真犯人が逮捕されないとなると、ため息しか出ない。 これが現実かぁ。
11投稿日: 2023.05.13
powered by ブクログドラマのエルピスの参考文献の一つだったので試しに、と思い読んだ。 一人のジャーナリストが事件の本質に迫っていく本で、非常に読み応えがあり、読んで良かったと思った。私はジャーナリストではまったくないが、仕事をする大人として作者を尊敬してしまう。
4投稿日: 2023.05.07
powered by ブクログエルピスの元ネタということで。 事実は小説より奇なり。司法を信用できなくなったら何を信じればよいのか。 救いがあるだけよかったけど、こういったケースは他にもあるのかと思うと胸が痛い。
4投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログ綿密な調査というよりは、著者の屈強な精神、被害者家族へのインタビューや裁判官、検察などへのききとり、どれをとっても相手から嫌がられ、怒鳴られるものであるのに、ただ、真実をもとめて、また、亡くなった被害者の無念の想いにたいして、取材を続ける精神力に脱帽する。 報道されることが全て正しいことではなく、また、裁判所での判定が全て正しいのではないことを心に留めながら、今後のメディアの内容を考えたい。
4投稿日: 2023.04.14
powered by ブクログ細い糸を手繰るように調べられ、矛盾点を明らかにして検証された本。 ただ一つ言える事は、冤罪で死刑になった人は帰らない。亡くなった子どもも生き返らない。残された家族の苦しみは終わらない。
2投稿日: 2023.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小説だと思って読んでいたらまさかの実話。 報道目線から描いている為内容も詳細になり読みやすくはない。 しかしこんなことが事実あったのかと信じられない。 割と最近なのもびっくり。 警察の無茶な筋読みから自供させ、当時信じられていたDNA型鑑定。 その報道の仕方。 全てが強引だがなにかもたれあっている様で。責任のなすりつけあいみたいな。 そこに疑問を抱き徹底的な調査、取材により冤罪を晴らす筆者の狂気じみた信念。 大人であればこの出来事を知る為必読だと思います。 最後まで被害者の無念を晴らす事=真犯人の逮捕がブレず 事故で娘を失ったとの話が出て何かしっくりきました。 しかし真犯人は野放しである事実。 殺人犯はそこにいる こわい
4投稿日: 2023.03.22
powered by ブクログこの一年読んだ中で一番強烈な本。マスコミ、警察、検察関係だけでなく私の友人の皆様におかれましては課題図書として読んでいただきたいノンフィクション。 『殺人犯はそこにいる』では手に取る人が限られてしまうということである書店員のアイデアで『文庫X』としてタイトルを隠して販売しベストセラーとなった。世にこの本を広めるべきという書店員としての使命感からこういった売り方をしたのは本当に正しい。自分の出来ることとしては1500人のFacebook上の友人にこうやってアピールすることだ。今日は雨、ツタヤでもアマゾンでもどこでも売っているので是非。作者の清水氏、本当にグレートです。
6投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログ小説のようなノンフィクション。 著書の視点、書き方、話の出し方のせいかもしれないけど、まるで半沢直樹のような、「え?こんな黒い世界ある??」という感じで。ひたすら大きな権力に向かって戦い続けている。 同じ親としても、本当に許されない事件というのはもちろんのこと、報道とは?ジャーナリズムとは?というのを考えさせられる本だった。 車内で子どもが熱中症になって亡くなる事件があった際、何を伝えるか。 確かに今の報道の仕方だと、「自分はこんなことしない」とどの親も思ってしまうのではないか。 著書の言う通り、どうしてそうなってしまったのか、その背景や細かい心情、そういった小さな声を伝えることで、受け手側は「あ、私もこういうことあるかもしれない、、(実際に同じ立場だったら同じように考えてしまうかもと思った)」と感じて、再発防止に繋がるのではないか。 ただ「子どもが車内に放置され熱中症で亡くなり、親が逮捕された」と伝えるのではなく、なぜそうなってしまったのか、その時の親や子の心情や行動をぜひ伝えてほしい。きっと共感したり自分の行動を振り返ろうとする親が増えるはず。 「再発防止」 これは報道において、本当に大事な視点だと思った。
7投稿日: 2023.03.10
powered by ブクログ冤罪そして司法の穴について触れた記者ならではの実体験・実話が面白かった。 人間は権力を自らの力だと勘違いしてしまうものだと改めて考えさせられた。
3投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログ【感想】 本書は、1990年に足利市内で発生した、4歳の幼女が誘拐・殺害された「足利事件」を追ったノンフィクションである。捜査線上に上がったのは、幼稚園バスの運転手を勤めていた菅家利和さん。菅家さんのDNA型が幼女の服に付着していたDNA型と一致したため、警察は彼を犯人と断定。菅家さん自身が取り調べで自白したこともあり、裁判所は菅家さんに無期懲役の判決を下した。以来17年間刑務所で服役してきたのだが、筆者の取材がきっかけで再捜査が行われ、判決が覆り完全無罪となった。 何故冤罪事件が起こったのか。理由は2つある。 1つ目は、警察が解決を急ぐあまり、菅家さんに自白を強要し、かつ実態と合わない証拠を握りつぶしていたからだ。 菅谷さんは、H警部とY警部に取り調べを受けていたが、その過酷さに耐えきれず嘘の自供をしてしまった。「自白」というお墨付きを得た警察は、近隣住民の目撃情報の中で、菅家さんと合わない部分(犯人とおぼしき人物の背丈、犯行時に通ったルート等)をもみ消し、証拠として採用しなかった。それだけでなく、現場に残っていた靴型に合うような絵を菅家さんに描かせて自白調書に加えるなど、犯行を補強するための「偽造」を堂々と行っていたという。 捜査側は、自分が狙った事件の物語、すなわち「筋読み」を否定する証拠を「消極証拠」とすら呼ぶ。否定する証拠が存在するのだから、「筋読み」そのものが間違いだった、とは考えないらしい。もし反する証拠が出てきたとしても、「そんなことはいくらでもある」「意味がない」などとして片付けてしまう。結論ありきの犯人探しが最初から行われていたのだ。 2つ目は、そうした自白を補強するための物的証拠――「DNA型鑑定」が間違っていたからだ。 足利事件発生当時は、DNA型鑑定が犯罪捜査に導入されたばかりの時期であった。その当時は「同じ型の人は1000人に1.2人」と言われていた。科学捜査に使うには精度が低すぎないか、と思うかもしれないが、当時の指紋鑑定も同じぐらいの精度であったし、状況証拠と合わせれば十分な特定材料となる。 しかしその後、DNA型鑑定の結果を判別する「ものさし」に不備があったことが発覚する。再度菅家氏の髪の毛を使って同じ鑑定を行ったところ、犯人とは別のDNA型が出た。しかし、「鑑定は信頼できる」として、最高裁は上告を棄却してしまった。 これら「自白の強要と状況証拠のねつ造」「状況証拠と合わせて効果を発揮するDNA型鑑定の誤り」が、菅家さんを有罪に導いたのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 私は、この本を読む中で一人の人物に感動を覚えてしまった。 遺族の松田さんだ。 遺族にとってみれば、冤罪疑惑を晴らすための取材なんて一つのメリットもない。実際に菅家さんが無罪になっても、真犯人は別にいる。「犯人が捕まった」と信じて平穏に暮らしていたのに、突如ふりだしに戻され、今までの長い年月が無駄だったと知るだけだ。菅家さんが逆転無罪で「救われた人」だとすれば、松田さんは「地獄に再び突き落とされた人」である。 にもかかわらず、松田さんは真実を知ろうとしたのだ。 本書では、不正捜査の疑惑がある警察に対して、松田さんが次のように追及している。 ――「菅家さん。あえて『さん』をつけさせて頂きますが、菅家さんが無罪なら、早く軌道修正をして欲しい。捜査が間違っていたんであれば、ちゃんと謝るべきです。誰が考えたっておかしいでしょう」「ごめんなさいが言えなくてどうするの」 これが、被害者遺族の言える言葉だろうか?事件によって娘を亡くした人間が、17年間犯人であった人物を思いやる。その強さに思わず胸を打たれてしまった。 この取材に携わったのが、筆者のような強い使命を持つ人物で、本当によかったと思う。目撃者や被害者遺族は普通、17年も前の事件に今さら協力しようと思わない。無駄な痛みを抱えるだけだ。しかし、筆者の使命に心を動かされ、一人またひとりと捜査の輪に加わっていく。その思いはやがてマスコミや議員を動かし、世間を変えていく。 事件をただ報道するルポルタージュとは一味違う、警察・検察との「闘い」を克明に描いたノンフィクション。是非おすすめの一冊だ。 ――謎を追う。事実を求める。現場に通う人がいる。懸命に話を聞く。被害者の場合もあるだろう。遺族の場合もある。そんな人達の魂は傷ついている。その感覚は鋭敏だ。報道被害を受けた人ならなおさらだ。行うべきことは、なんとかその魂に寄り添って、小さな声を聞き、伝えることなのではないか。 ――私は思う。事件、事故報道の存在意義など一つしかない。被害者を実名で取り上げ、遺族の悲しみを招いてまで報道を行う意義は、これぐらいしかないのではないか。 再発防止だ。 少女たちが消えるようなことが二度とあってはならない。だからこそ真相を究明する必要があるのではないか。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 1 北関東連続幼女誘拐殺人事件 17年間に、5件の幼女誘拐・殺人事件が、大田市・足利市を中心とした半径10キロ圏内で起きている。うち3件の誘拐現場はパチンコ店であり、3件の遺体発見現場は河川敷だった。どう考えても同一人物の犯行だ。しかし、事件のうちの1件――「足利事件」は、既に犯人を逮捕済みである。 「足利事件」について、警察は菅家利和さんという男性を「誘拐殺人犯」として逮捕した。検察は起訴し、最高裁は無期懲役の判決を下した。マスコミも事件の経過を大きく報じた。凶悪事件に怯えていた市民は胸を撫で下ろし、それぞれの日常生活へと戻っていった。 だが実際には、菅家さんは冤罪だった。不当な捜査と杜撰な証拠、虚偽の自白を根拠として、菅家さんは17年半もの間、刑務所に閉じ込められたのだ。 2 DNA「型」鑑定の曖昧さ 当時の捜査幹部はこう語る。 「何がなんでも逮捕しろ、上は簡単に言うさ、こっちだって真剣にやったけどさ。市内に住む、B型で、ロリコンの疑いがある男。過去の犯歴からの調べ、そりゃあ、ありとあらゆることを、やった。全部やり尽くした。容疑者は何人も浮かんでは消えた。B型なんてなんぼでもいるわけだ。細かく捜査するしかないわけ。でも、みんなアリバイがあったりして、怪しいのはどんどん消えて......あの男しか残らなかった、もう最後の一人だったんだ」 菅谷さんは逮捕後、「真実ちゃん事件」を自分の犯行だと自白した。「万弥ちゃん事件」と「有美ちゃん事件」も自供したものの、この2つの事件は証拠不十分で不起訴となっている。 物的証拠として、菅家さんの家には大量のアダルトビデオがあった。ただしロリ物は一本もなかった。また、菅谷さんの家庭ゴミから出たDNA型が、現場に残されていた犯人のものと思われるDNA型と一致している。 注意すべきなのは、証拠となった鑑定がDNA「型」鑑定であったことだ。 当時の鑑定は血液型と同じで「型」分類であった。個人個人のDNAをグループに分けて識別し、その「型」が犯人のものと同じならば、犯人の「可能性がある」ということだ。だが、同型の別人もいるため、「イコール犯人」とは言えない。DNA型鑑定は捜査の決め手のように思いがちだが、実は違う。確かに血液型とは異なりDNA型は遥かに「型」の種類は多い。だが鑑定が指し示すのはあくまで「型」である。逆に「型」がほんの僅かでも違った場合は、同一グループにさえ属していない別人とみなされ、「無実の決め手」となる。 そうした余地が残る鑑定方法を、裁判所は、「科学的原理が理論的正確性を有し、具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われた」として証拠に認め、無期懲役の判決を下した。 3 怪しい証拠 そのほか、菅谷さんが犯人であることに疑義の残る証拠がいくつか出ている。 ・真実ちゃんと出会ってから死体を遺棄するまで、30分程度しか時間がない。 ・犯行現場の足跡が菅谷さんの靴と合わない。 ・犯行現場の近くにいた目撃者2人の証言が消されている。 ・DNA鑑定導入初期であったため、鑑定のためのものさしに欠陥が見られる。 ・真実ちゃんは自転車に乗せられて誘拐されたと結論付けられたが、4歳当時、カゴがついていない自転車の荷台には乗れない。真実ちゃんのお母さんも疑問視していた。 ・目撃者の一人である松本さんは、「真実ちゃんと犯人は徒歩で移動していた」と証言している。 4 手のひら返し 日本テレビで、足利事件の再審の訴えと連続誘拐事件の報道をし始めてから9ヶ月経ったときだった。検察が突如DNA再鑑定を許可したのだ。 再鑑定の結果は「不一致」。止まっていた時が動き出した瞬間だった。 不一致を受けて、警察は関係者への鑑定を今さらながら開始する。 菅家さんの刑の執行停止を求めていた弁護団は記者会見を開き、「遺族ですらここまで『検察への怒り』を口にしているのに、なぜ菅家さんを釈放しないのか」と検察を非難した。すでに各メディアには大量の「冤罪」「鑑定不一致」の文字が躍っていた。 被害者鑑定報道から4日後の6月4日、検察は突然菅家さんの釈放を決定する。東京高裁は、菅家さんを犯人と認めるには合理的な疑いがあるとして、再審開始を決定した。 5 無罪決定 実は、筆者は過去のファイルから、真犯人の「ルパン」に目星をつけ、菅家さんの冤罪取材と並行して追跡を続けていた。「ルパン」と思われる人物に接触し取材も行っており、その情報を警察に提供している。ルパンが出したごみからDNA型鑑定を2つの機関に依頼し、一方は不一致、一方は完全一致という結果を得ている。 にもかかわらず、警察は重い腰を上げようとしなかった。05年5月で時効が完成しているからだ。 しかし、おかしくはないだろうか?「公訴時効」とやらを完成させたのは、他でもない、司法機関なのだ。捜査ミスを犯した警察、誤って起訴した検察、そして9年間誤判を重ねた裁判所。あげくは5年以上も再審請求を放置し、その間に「いつの間にやら事件は時効になりました」はないだろう。「冤罪」なのだ。捜査をやり直すべきだろう、というのが普通の市民感覚ではないか。マスコミはそこを報じない。 検察は、MCT118法で得られた真犯人の型――「18-24」型を排除しようとしている。「当時の鑑定方法そのものに欠陥があったのではないか」という疑問には踏み込まず、菅家さんは無罪。ルパン候補のDNA鑑定の2つは一致しなかったため、証拠不十分で無罪。それで連続殺人事件全てを終わらせるつもりだ。 なぜ誤りを認められないのか。ひとつには、これまで幾多の難事件を科学的に解明してきた科警研の信用が失墜するということがあるだろう。科警研は各都道府県警の科捜研に対しても指導育成に当たっている。いわば科学捜査の総本山であり、その証拠能力が疑われるというのはゆゆしきことである。もし鑑定の誤りが証明されれば、同じ方法で行われ下された他の裁判の結果も、すべてやり直す必要が出てくる。 もうひとつは、福岡県で起きた「飯塚事件」の影響である。飯塚事件も足利事件と同様に、証拠採用されたMCT118法が決め手となって死刑判決が下った。しかし、足利事件と違って、こちらは死刑がすでに執行されているのだ。 3月26日、法廷に裁判官の声が響いた。主文はもちろん無罪。静かにその理由が言い渡されていく。 「本件DNA型鑑定が、前記最高裁判所決定にいう『具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われた』と認めるにはなお疑いが残るといわざるを得ない。したがって、本件DNA型鑑定の結果を記載した鑑定書は、現段階においては証拠能力を認めることができないから、これを証拠から排除する」 ついに、絶対と言われたDNA型鑑定を証拠から取り除いたのだ。 6 殺人犯はまだ、そこにいる 筆者が真犯人の情報を提供したにも関わらず、検察は北関東連続幼女誘拐事件の再捜査に及び腰だった。 松田ひとみさん「検察は、シャツを返さない。ならばきちんと再々鑑定をして捜査に使って欲しいと言っても、それもしてくれない。どこで、どうやってこの事件を終わりにすればいいのか。こういった私達の気持ちをいくら言っても、検察は取り合わない。そこに過ちを認めたくない、面倒なことに関わりたくないという、検察の保身を感じるんです」 筆者は真犯人の正体に迫る報道番組を制作し、疑惑の追及を行っていく。報道を見た参議院議員が国会で質疑を行った結果、当局は5件の事件がいずれも同一犯の犯行の可能性が高いことを認めたが、やはり「時効」を理由に動かないままである。(5件中、横山ゆかりちゃん事件以外は時効を迎えている) 今思えば、この事件が葬られる当然の理由があったのだ。「ルパン」を逮捕してしまえば、科警研の誤鑑定が確定する。それは、死刑が執行された「飯塚事件」にも重大な影響を与えることになるだろう。そんな「爆弾」を抱えこんでまで「ルパン」を逮捕しようと決断する人間が、霞が関にいなかったのだ。 かくして、「北関東連続幼女誘拐殺人事件」は「爆弾」と共に葬られようとしている。 私は問いたい。 殺人犯がそこにいる。罪を問われず、贖うこともなく、平然と。 司法機関は、それを放置するのか? 法治国家にとって、これ以上の問いは存在するのか、と。
38投稿日: 2023.02.20
powered by ブクログ事実と検証が淡々と綴られていく。 著者の執念は凄まじいものがある。原動力はどこからやってくるのだろうか。正義のためなのか、記者としてのプライドなのか。憎しみなのか。被害者のためなのか。 読んでいた私には理解し難いものがあった。 警察組織には本当に辟易する。 人が繰り返すことによって慣れてしまうように、日々事件を扱う組織は事件そのものに慣れ、麻痺し内部から腐敗していくのだろう。 中には正義の人もいるのだろうが、集まれば頭のない怪物である。チャップリンが言ってた。
0投稿日: 2023.02.18
powered by ブクログドラマ「エルピス」キッカケで著者の「騙されてたまるか 調査報道の裏側」を購入し、読後にこちらの著書も読みました。 著者の取材能力・熱意は、報道記者のお手本になるもので感服します。
3投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログこんな事件があったなんて、全然知りませんでした。 今もどこかで野放しになってるのかと思うと、怖い。そしてミスの隠蔽を重ねに重ねた、警察や行政の行動は許せない。 筆者の言うとおり、殺人に時効制度は本当にあり得ないと思います。 一刻も早く、被害者の方々が納得する方法で事件を終わらせて欲しいと強く願います。
2投稿日: 2023.02.11
powered by ブクログドラマの「エルピス」きっかけで購入しました。 そもそも、足利事件のことは全然知らなかったですし、 「冤罪なんて本当にあるの?無いでしょ?」って思ってました。 でも、いざ表紙を開くと、ページを捲る手が止まらず、一気に読み終わってしまいました。 著者の熱量がページの隅々から伝わってくるようでした。 客観的で冷静でありながらも、豊かな表現力で綴られる文章に心を打たれます。 これは私の人生の中で、間違いなく記憶にのこり続ける作品です。 4名の女の子のご冥福をお祈りするとともに、一日も早く真相が明かになることを願います。
1投稿日: 2023.01.31
powered by ブクログ組織にいると、徐々に考え方が一方に流されていくのだろうか。 外部から見れば明らかに偏っていても、その組織の空気を読んでいる人たちはわからない。 わからないのか、目を耳を塞いでしまって、そして塞いだ状況が案外心地よいからこのまま行ってしまおうとなるのか。 塞がなかった人がいても、多数派に負けて、声があげられなかったり、潰されたりしているのだろうか。 きっとそんな人たちもいるし、一生懸命なにが真実かを追っている人たちもいる。 でもか細い。現実ってそうなんだ。
0投稿日: 2023.01.30
powered by ブクログ栃木・群馬で起こった連続幼女殺人事件を日テレ記者が追ったノンフィクション。冤罪(ポイントはDNA型判定)だけでなく真犯人を追うところまでを描く。しかし警察、検事側の理不尽さに最後まで苛つく。冤罪が決まって裁判所(最高裁の判決を覆しての)は謝罪するのに、警察(科警研含む)と最高検は冤罪の過ちを認めない、しかも真犯人を追わない姿勢。本当に「正義」とは何なのか!
0投稿日: 2023.01.27
powered by ブクログご多聞に漏れず入口は「エルピス」から。圧倒的な筆力に一気に引き込まれてしまった。 ひとは間違える、間違えたら詫びる。そのシンプルなことが出来なかったばかりに、こんなにも恐ろしいことが起きてしまうとは。真実は見えていれど届かないもどかしさ。大人の事情?勘弁願いたいよ、ンもう!保身行動怖ーい!
0投稿日: 2023.01.25
powered by ブクログ久しぶりに面白かったテレビドラマ「エルピス」を観たあとに読むことにした一冊 読むのが速いほうのわたしもつらすぎて遅々としてすすまなかったノンフィクション あり得ないことを権力は易々とする ごくふつうの国民に わたしたちは小さな声しか持ってない 5人もの幼女が犠牲になってるのに、真犯人も解ってるのに国は権威を護るため自らの失敗を認めたくないために捜査すらしない 信じられない事実に絶望しそうだ 冤罪はいまも起きてるにちがいない 真犯人は逃げ特なのか?
2投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログフィクションの小説かと思ったら 次々と 新しい事実を知り 衝撃でした。 冤罪…しかも本当の犯人はまだ捕まっていないという事実。怖すぎる。 何がなんでも していない事をやったと言ったら絶対にいけない。 そして解決していない事件を風化させてはいけない。「小さい声を聞く」その声が届きますように。
1投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログ一人の記者が冤罪事件を解決に導くノンフィクションだが小説仕立てでとても面白く描かれ素晴らしい本。自分が教師なら教材に使いたい程の本だが司法警察への絶望感ももれなく付いてくる…
1投稿日: 2023.01.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2023/01/15予約 1 DNA型鑑定と、DNA鑑定は違う、それを知らなかった。 人間は間違えるものだし、科学技術は日々発達する。 その当たり前を、警察という私達が信頼する組織は受け入れることができないのだろうか。 アメリカびいきという訳では無いが、あちらで何度でもDNA鑑定をするのなら、日本でも可能なのではないだろうか。 遺族の方も、冤罪の家族の方も、今更、犯人が違っていました、と言われても、どうしたらいいかわからないだろう。 警察も全力で取り組んでいるのだと思っている。 ただ、県境の話は、納得。 身近な話で言えば、スピード違反は県をまたいで捕まえないから。簡単な話ではないのだろうが、もう少し臨機応変でもいいのでは。
0投稿日: 2023.01.15
powered by ブクログ話題になった何年か前に一度読み始めたけど、読みきれずに中断していた。 ドラマ「エルピス」をきっかけに再会/再開。 今度は、法的な流れや著者の気持ちも汲みながら読めるがして、すんなりすすんだ。....すんなり読めてしまったこそ、起こっていること、解決していないだろうと思われることがもどかしく、歯痒かった。 真犯人が野放しになっているのなら、どうか捕まって欲しい。 (2022.12.16読了)
0投稿日: 2023.01.07
powered by ブクログエルピスみて気になって読んだ。 フィクションだとしても、かなり怖い本。これがノンフィクションだとは…。 報道、警察、司法の発表だからといって、鵜呑みにしてはいけないな…。 日本で生きていく上で、知っておいた方が良いことが書かれた本だった。 読後はかなり落ち込んだけど、知らないことを知れた点では読んでよかったです。 冤罪で捕まって、真相が明かされないまま両親が亡くなってしまったの、辛すぎる…。
1投稿日: 2023.01.07
powered by ブクログ報道、記者への考え方が変わりました。 情報をたくさん入手しやすい時代だからこそ、今この本に出会えて良かったなと。 難しい話が多いですが、読んでいると登場人物の感情がとても伝わってきやすく、憤りや怒り、時々救われる様な想いをまるでその場にいるようにイメージできたので最後まで読むことが出来ました。 隠蔽とか、小さな会社等でも本当によくありますが、せめて警察や政府は正義の味方であってほしいです。
3投稿日: 2022.12.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
書店員がカバーを隠して売って「文庫X」と話題になった本。報道関係の記者をやっている清水さんが、実際の未解決事件について取材した結果を書いた本。中で警察や検察の杜撰な体制や保身に対する皮肉や警鐘が書かれている。北関東連続幼女誘拐殺人事件の冤罪解明や真犯人の追求まで行っている。
1投稿日: 2022.12.05
powered by ブクログ事件が起こる。 その内容を私たちに伝えてくれるのは、新聞やテレビのニュースだけではない。インターネットには掃いて捨てるほどのニュースサイトが有る。事件の名前で検索してみれば、PV数を競い合って、刺激の強い脂ぎったタイトルの記事がずらりと並ぶ。事件を間近で目撃した人、巻き込まれた人、被害者や容疑者の関係者に、興味本位の野次馬…いたって普通の人々がSNSで情報を発信している。 一つの事件に、当事者だけではない、無数の人間が群がっている。情報は切り取られ、歪められ、すり替えられ、大袈裟な脚色を加えられて、ぐるぐると人の間を巡り、世間に溢れ返っている。 現地へ行かなくたって、離れた場所に居たって、片手間で得られる情報はうんざりするほどある。 だから、私たちは一次情報を得ることを怠る。伝え聞いたことの継ぎ接ぎで、最もらしいシナリオを作って納得する。 その“いびつさ”を、この本は教えてくれていると思う。 最終章にある「警鐘」とは、決して事件の容疑者や警察、司法機関、報道機関のみに向けて鳴らされているものではないと思う。今日あらゆる情報を取り扱うことが当たり前になった、私たち一人一人に向けて鳴らされている。 自分の足で現地へ赴くこと。自分の目で見て、自分の耳で聞くこと。自分の心で感じて、自分の頭で考えること。 手軽に得られる情報が増えたからといって、そうやって着実に得た情報の価値や重みが、失われることにはならないのだ。 いつだって、自分自身が直接、事象に向き合って得た情報が最も信頼できること。それを忘れてはいけない、と思った。
0投稿日: 2022.11.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
引きあたりで怖い警察官たちに囲まれながら河川敷に連れられて、全く心当たりのない死体遺棄場所を指さしてる菅家さんの心中を想像して泣きそうになった。
1投稿日: 2022.11.27
powered by ブクログ推理小説と思って購入したらノンフィクションだった。 冤罪の話しは良く出てくるが、幾つかの事件をここまで独自に掘り下げて解決に結びつけた記者はいないのでは。マスゴミとまで言われる記者達とは一線を画している。解決までの警察や検察、同業とのやり取りや、被害者との関係など驚嘆する。ただ、自分の非を認めない公的機関については、そうなのだろうと言うしかない。自分達に都合の良い事だけで終えようとする態度により、真犯人の通報さえ拒否することに恐怖を覚える。警察の暴力的な態度にやってもいない犯罪を認めたら最後、と思ってしまった。
44投稿日: 2022.11.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館にて。 以前一度読んでいたが記録しておらず再読。 今回は文庫Xから行き着いた。 現在「エルピス」というこの冤罪事件をモチーフに作られたドラマが民放のゴールデンで放送されている。 この本が書かれてだいぶ経つけれど、このようなドラマが作られてもまだなお真犯人は捕まらない。 本当に腹立たしいし、こんな世界こんな国に生きているということが本当に恐ろしい。 情報集めにネットが主流になっている昨今だが、本という形に残る媒体で人々に広まって消えないことはとても大切なことだと思う。 あまりに怖い本で手元に置くことを躊躇していたけれど、これを機に購入しようと思う。 あと、この本をブクログに登録するのに題名で検索したのだが、同じ新潮社から全く同じ題名で本が出ている。装丁もそっくり。内容はノンフィクションの未解決事件を紹介するものらしい。 似た内容だとしたって同じ題名にすることはないと思う。なんなのだろう。ある種の圧力なのだろうか。とても気持ち悪いし、天下の新潮社が何をやってるんだという感じ。 ※2022/12/16 もう一度確認したら、そっくりな本の題名は「殺人者はそこにいる」でした。ちょっと違っていました。でもちょっとだ。気持ち悪さはやはり消えない。
1投稿日: 2022.11.25
powered by ブクログ今放送中の「エルピス」というドラマの参考文献になっていたこともあり読み始めたが、「本当にこんなことがあるのか」と信じられない気持ちになった。 誤認逮捕→冤罪→真犯人が野放し、という信じられない負のスパイラル、本末転倒。 筆者が語る報道の意義、思慮深く労粘り強い事件への様々なアプローチ、本当に頭が下がる思いだった。 表紙や書店員さんの熱いメッセージが入った全面帯のイメージが恐ろしげで…これまでなかなか手が伸びなかったが、本当に読めてよかったと思う本だった。改めて全面帯のメッセージを読み、深く共感できた。 「こんな人になりたい」、「こんな風にはなりたくない」という人が出てきます。若い方にも、ぜひ読んでいただきたい。
0投稿日: 2022.11.18
