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車輪の下(新潮文庫)
車輪の下(新潮文庫)
ヘルマン・ヘッセ、高橋健二/新潮社
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総合評価

472件)
3.8
110
153
134
16
3
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    「読書は役にたたなかった。」 かつて偏差値70を超えてた私、 本作の主人公と自分を勝手に重ね合わせるという愚行に走った末、見事に撃沈、感傷の海の藻屑と化す(…) 太宰の「大人とは、裏切られた青年の姿である」という格言が思い起こされる 殺傷能力が高すぎる傑作

    0
    投稿日: 2025.11.07
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    内容自体は重たい。成功した著者の自叙伝らしいから、色んな深い意味がある。自分自身を全く性格の違う2人に分けていたり、人生こうなっていたかも、という思いもあったのだろう。悩む気持ち、解放された安心、改めての絶望感、少年から青年になるころの危うい心の動き、立ちはだかる世間、期待、許せないプライド、周りへに嫉妬、大人になってからでも思い出させられた。文章がうまい。古い訳だろうけど、分かるわーとなっている。もう読まないかもしれないけど。人間の性格、本性を描ききったと思う。少年の心は危ういね。

    1
    投稿日: 2025.10.23
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    少年ハンスは村一番の秀才で、周囲の大人たちの過度な期待のもと、猛勉強のすえに神学校に入学します。ところが彼は、学校の規則づくめの環境に精神を病んでしまい、とうとう村に戻ってきます。久しいあいだ彼はラテン語や歴史やギリシャ語や試験や神学校や頭痛のことしか知りませんでした。かつてはずっと美しく、ずっと愉快で、ずっと生き生きとしたものたち ー刈り草ほし、魚釣り、ホップ取り入れ、日曜や祝日、さまざまの人間や動物たちー 1年じゅう毎月なにかしら楽しみがあったことに、そこで初めて気づくのです。しかしそういういろいろなものがいつのまにか影をひそめて、おしまいになってしまったのです。彼は見習い工として再出発しようとしますが…… 第5章のハンスの諦念的な経過と、かつて手に入れることができた珠玉の思い出とが重なった悲哀の表現は素晴らしいです。 ぼくはハンスほど期待されたり、猛勉強したりしたことはなかったけれども、かなり近しい経験をしてきました。家族や学校、社会の“善意”によって少年時代の心を奪われ、無意識に“良い子”になろうとしていたのでしょう。今更ながら、かつて味わえずにいた享楽を必死に取り返そうとしている自分を、ふと感じるのです。偏差値を10下げた格好をして、友人たちと酒を飲みながら、心の故郷で朝まで語り合うのも、そんなことの埋め合わせかもしれません笑 「1本の木は頭を摘まれると、根の近くに好んで新しい芽を出すものである。それと同様に、青春のころに病みそこなわれた魂は、その当初と夢多い幼い日の春らしい時代に帰ることがよくある。そこに新しい希望を発見し、断ち切られた生命の糸を新たにつなぐことができるかのように。根元にはえた芽は水分豊かに急速に成長はするけれど、それは外見にすぎず、それがふたたび木になることはない。」 cf.藤子・F・不二雄『時間ドロボウ』

    1
    投稿日: 2025.10.10
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    季節の移り変わりがりんごの状態でわかるのが可愛い。あの子と出会ったのは収穫の時期、ほろ苦く思い出すのはりんご酒ができたばかりの時期。 登場人物の名前すぐ忘れちゃうけど、キャラクターの色がうまいこと書き分けられていて名前わからない状態でも誰が誰かなんとなくわかって感動した。

    0
    投稿日: 2025.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ## ひとことまとめ 模範少年ハンスの苦しみと、美しい自然 ## 感想 周りの大人の期待に翻弄されて、頑張りすぎて壊れてしまうハンス。 大人もハンスも含めて、こういう人は今も、むしろ今の方が増えているかもな、と思う。 競争はますます激しくなり、人は疲弊し、しかし世の中では争いは絶えない。 誰かに勝つこと、しかもそれが自分でなく自分の子どもを勝たせて悦に入ることが、どれだけの人を幸せにするのか。 少なからず、自分の子は幸せではないのではないか。 人には、その時々にしかできないことがある。 それをしっかり楽しみ味わうことを怠ると、後からは取り返せないことが多い。 自分の子どもには過度な期待を背負わせずに、のびのびと、自分の頭で考え、体で経験し、生きていってほしいと思う。 ## 引用と感想 ### プライドを守りたいこども > ハンスが先生たちの誇りとなり、自分でもいくらか思い上がってきてから、フライク親方は彼をしばしばおかしそうにながめ、へこましてやろうと努めた。しかし、そのため少年の心は、せっかく好意をもって導いてやろうとする人から遠のいてしまった。それはハンスが少年らしいいじっぱりの盛んな年ごろで、自信を傷つけられることに対して敏感だったからである。いまも彼はおじさんの話を聞きながら歩いていたが、このおとなが自分をどんな心づかいと親切心とをもって見おろしていてくれるかを知らずにいた。(p14) 感想 多感な時期は、大人から正論を言われたりしても反発してしまうもの。 私自身、今思えば恥ずかしいくらい大人を恨んで憎んでいた。 大人になったいま、そんな風にして子どもに対して親切心のつもりで接することがあるが、受け取る子どもの側の気持ちを考えなければいけない。 ### 額の小さなしわ > あおざめた少年の顔はやせた肩の上に倒れ、細い両腕はぐったりとのばされた。彼は着物を着たまま寝入ってしまった。母親のようにやさしいまどろみの手が、たかぶった少年の心臓の微しい鼓動を静め、美しい額の小さいしわを消した。(p19) 感想 試験前の重圧からか、遊ぶ時間を削って勉学に明け暮れたこども時代を思い出したり、昔飼っていたウサギの小屋を壊したり、父に対してそっけない態度を取るハンス。 ハンスのように厳しい受験競争で戦うこどもたちは今もたくさんいるのだろう。 本当なら楽しく友だちと遊んでいたはずの時間を一人部屋で勉強に費やし、それでも望む結果が出るとは限らない。 受験前夜、そんなハンスが眠るときの「美しい小さな額のしわを消した」という、厳しい重圧からの苦しみを表すしわが消えることで眠りの世界に落ちていく描写が美しい。 ### 失った美しい時を二倍にして取り戻す > どんなに長いあいだこうしたいろいろのものを、彼は見ずにすごしたことだろう。彼はおおきく呼吸をした。失った美しい時をいま、二倍にして取り返し、なんの屈託も不安もなく、もう一度小さい少年に返ろうとするかのように。(p41) 感想 試験に受かり、束の間の休暇を楽しむハンス。 情景描写が素晴らしくて目に浮かぶ。 どれだけ試験勉強が辛かったのかと想像する。 ### 教育について > 自然に造られたままの人間は、計ることのできない、見通しのきかない、不穏なあるものである。それは、未知の山から流れ落ちて来る流であり、道も秩序もない原始林である。原始林が切り透かされ、整理され、力でもって制御されねばならないように、学校も生れたままの人間を打ち砕き打ち負かし、力でもって制御しなければならない。学校の使命は、お上によって是とされた原則に従って、自然のままの人間を、社会の有用な一員とし、やがて兵営の周到な訓練によってりっぱに最後の仕上げをされるはずのいろいろな性質を呼びさますことである。(p59) 感想 教育について熱く語られる。 「自然のままの人間を、社会の有用な一員とする」 今は多様性や個性を重んじると主張する学校が多いが、そうは言っても画一的な授業がいまだに行われているし、試験によって点数をつけて差を明確にしている。 結局は、社会に役立つ人間を育てることを是とする教育だ。 ### 精神的な制服 > 人間というものはなんとまちまちなものであろう。また人間のおいたった環境や境遇もどんなにまちまちなことであろう。それを政府は生徒たちについて、一種の精神的な制服、あるいははっぴによって合法的に根本的に等しくしてしまう。(p70) 感想 人間はそれぞれ違うのに、教育などの仕組みによって画一的にされてしまうことを「精神的な制服」と言っている。 怖いけど、言い回しが面白い。 ### 天才は浮いてしまう > しかもいつもながら、ほかならぬ学校の先生に憎まれたもの、たびたび罰せられたもの、脱走したもの、追い出されたものが、のちにわれわれの国民の宝を富ますものとなるのである。しかし、内心の反抗のうちにみずからをすりへらして、破滅するものも少なくないーその数がどのくらいあるか、だれが知ろう?(p119) 感想 教育は生徒に対して画一的に知識を詰め込むやり方が多いが、一握りの天才は、そんな環境の中で浮いてしまう。 しかし、そんな世間から浮いてしまう天才が、世間を変えるような発明をするのもまた事実。 天才たちを殺さないように守ることは難しい。 ### 友だちだから > 「だって彼はぼくの友だちなんですから。簡単に見捨てることはできません」(p123) 感想 校長から「ハイルナーは天才だが悪影響を及ぼすから付き合うな」と言われたハンスの返しの言葉。 一度失った友人関係だからこそ、決意を感じる。 こういうのって、今も昔もドラマや映画で見るよなあと思った。 大人から見れば不合理なことも、こどもの世界では必死で切実な現実だ。 ### 強いことを示したい > とどのつまり、どこに行くかは問題でなかった。少なくとも今夜は憎らしい修道院を飛び出し、自分の意志は命令や禁止より強いことを校長に示してやったのだ。(p140) 感想 規則に縛られないことを示すために修道院を飛び出して野宿するハイルナー。 似たようなことを学生時代の友人がやったことがあり、共感した。 ### もろい美しい少年の心を踏みにじる、大人の名誉心 > たぶん例の思いやりのある助教師を除いては、細い少年の顔に浮ぶとほうにくれた微笑の裏に、滅びゆく魂が悩みおぼれようとしておびえながら絶望的に周囲を見まわしているのを見る者はなかった。学校と父親や二、三の教師の残酷な名誉心とが、傷つきやすい子どものあどけなく彼らの前にひろげられた魂を、なんのいたわりもなく踏みにじることによって、このもろい美しい少年をここまで連れて来てしまったことを、だれも考えなかった。なぜ彼は最も感じやすい危険な少年時代に毎日夜中まで勉強しなければならなかったのか。なぜ彼から飼いウサギを取り上げてしまったのか。なぜラテン語学校で故意に彼を友だちから遠ざけてしまったのか。なぜ魚釣りをしたり、ぶらぶら遊んだりするのをとめたのか。なぜ心身をすりへらすようなくだらない名誉心の空虚な低級な理想をつぎこんだのか。なぜ試験のあとでさえも、当然休むべき休暇を彼に与えなかったのか。(p144) 感想 この本を通底する「教育」についての、何となく核となる部分と思える文章。 大人の名誉心を満たすために犠牲になる子どもがいる。 子どもには、そのときにしかできないことがある。 ### 死に場所を定めたら > いろいろな準備と大丈夫だという気持ちとは、彼の心によい影響を及ぼした。宿命の枝の下に腰をおろしていると、例の圧迫が去って、ほとんど喜ばしい快感に見舞われる時間をすごすことができた。父親も容態のよくなったのに気づいた。自分の最後がまもなく確実にやって来るということが原因になっている気分を、父親が喜んでいるのを、ハンスは皮肉な満足をもってながめた。(p152) 感想 森の中に死に場所を見つけるハンス。 するとハンスは「終わり」が決まったことで、少しずつ元気を取り戻していく。 人間が不安になるのは、「先行きの不透明さ」なのかもしれないなとここを読んで思う。 ### 一本の木 > 一本の木は頭を摘まれると、根の近くに好んで新しい芽を出すものである。それと同様に、青春のころに病みそこなわれた魂は、その当初と夢多い幼い日の春らしい時代に帰ることがよくある。そこに新しい希望を発見し、断ち切られた生命の糸を新たにつなぐことができるかのように。根元にはえた芽は水分豊かに急速に成長はするけれど、それは外見にすぎず、それがふたたび木になることはない。(p156) 感想 勉強や競争を強いられた幼年時代を取り戻すような行動を取るハンス。 大人が無理に子ども時代に抑圧を加えて何かを強いたとしても、いつか別の形でそのとき抑えられたものが芽を出すことがあるということをヘッセは言いたいのかと思う。 しかし「それは再び木になることはない」とも言う。 子ども時代にできることは、その時に楽しんでおかないといけない。 ### 世界の見え方が変わる > なにもかも不思議に変って美しく心をはずませるようになった。絞りかすで太ったスズメがそうぞうしく空をかすめて飛んだ。空がこんなに高く美しくほれぼれと青かったことはまだなかった。川と水面がこんなに青く青緑色でたのしそうにしていたことはなかった。せきがこんなにまぶしいほど白くあわだっていたことはなかった。なにもかもが、新しく描かれたきれいな絵が透きとおる新しいガラスのうしろに立っているように見えた。なにもかもが大きな祝祭の始まりを待っているように見えた。(p177) 感想 エンマという女性と接して恋をして、世界の見え方がガラッと変わるハンス。 少し前まで死を覚悟していたのに、少しのきっかけで世界の見え方が大きく変わる。 人が世界をどう捉えるかは考え方次第だと思う。

    4
    投稿日: 2025.09.26
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    全七章に亘って、ハンス・ギーベンラートの柔く脆い青年期を綴る。 周囲より少し勉強ができてしまったために過度な期待を背負い、踏ん張りが利かなくなったったとき雪崩のようにすべてがうまくゆかなくなる。 冷たく静かに川を流れるハンス。 吐き気も恥も悩みも取り去られた、ハンス。

    6
    投稿日: 2025.09.18
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    確か私が学生(小学高学年か中学?)の課題図書だった記憶がある。私は一度も読むことなく、今更ながら初めて読んだ。これ、子供の課題図書??と驚いた。 割と詰め込み教育の時代に育ったけど、田舎育ちで小さい頃から野山を駆けて遊んで、それなりに子供らしい子供時代を過ごせたと思う。この、子供の時は子供らしいことを経験するってすごく意味のあることだと思う。今は常に将来のことを悩まないといけない時代。小学生から塾に通い、中学では高校のために勉強、高校に行ったら大学の…… その時その時の「らしく生きる」って、実は大変なのかも。 子供の頃に経験すべき、身につけるべき感性が大人になるために必要なものだとしたら。 ハンスが諦めた子供の頃の楽しみがそれだったに違いない。感性が未熟なまま勉学を詰め込まれてしまえば、それは心が耐えられないだろう。 ハンスを壊した周囲の大人たち。令和の今も変わらずいる。前に電車の中で見た、お受験前の未就学の子供に叱責する母親を思い出した。どうかあの子が無事に元気に幸せに育ちますように… そして、受験生でもある我が息子よ、ここまで勉強しないのは逆に勇気がありすぎるぞ。 ※図書館貸出

    0
    投稿日: 2025.09.14
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    『#車輪の下』 ほぼ日書評 Day925 評者が中学生のころは、夏休み読書感想文課題図書の筆頭だった。 推測するに、大半の者はまともに読了せぬまま「つまらなかった」と言い、残りの一部は読み込んだ上で「つまらない」と感想を述べる、ノーベル文学賞作家の "代表作"。 表紙は懐かしの薄水色(新潮文庫のヘッセはみなこの色だった)ではないし、フォントも今風のもの(高橋健ニ訳にはあまりに似つかわしくない)に変わっていたが、還暦を過ぎて読んでも、余りに救いのない結末に、むしろ怒りすら覚えた。 同じ作者であれば『デミアン』『荒野の狼』『ガラス玉演戯』など、(やや今風に言えばボーイズラブ要素が入るものの)一縷の希望を抱かせる作品も多いものを、なぜこれだったのか?…いまだに読書感想文の弊害を想起させるものだ。 https://amzn.to/3IbPAwn

    2
    投稿日: 2025.09.07
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    凡人でよかった 昔は村の代表や国をリードするものとしての期待が今よりももっと大きかったんじゃないかなと想像します。応えられてる時は嬉しいけど、違和感を感じ始めたらそこから歯車が狂う。狂った時に自己責任じゃなく、支える誰かが必要な気がします。国宝という小説の中に出てくる徳次のような存在。絶対的に信頼できる人がいるかどうかでその人が人生変わりそうです。人の人生を変えられるってすごいですね

    1
    投稿日: 2025.09.06
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    有名な小説で10代の頃からタイトルは知っていましたが、40代で初めて読んでみると予想外の内容にびっくりしました。子供から遊びやゆとりを強制的勉強により奪うことへの警鐘。時を経た現代においてもいまだ通じるものがあります。ドイツのシュバルツバルトに行ってみたい。

    7
    投稿日: 2025.08.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼い頃から親や周囲の期待に応えようと猛勉強するハンス。神学校に合格した後も同級生に負けじと勉強に明け暮れ疲弊していく。思春期になり周囲との人間関係に馴染めず自分の感情や意思との葛藤。挫折を味わい何度も命を絶とうとするが勇気が出ない。苦しいハンスの生き方を気の毒に思う。ハンスの精神が押し潰される程の重圧を作ったのは、親・地域(郷里の人々)・神学校(先生•同級生)…。重圧という車輪の下で、誰にも気がつかれず潰されてしまったハンス。個人的には、子どもに携わる専門職についているため教育に対する意識と責任を考えさせられた。

    2
    投稿日: 2025.08.11
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    神童の主人公が来る日も来る日も勉強を重ねて、合格した先にあるのもまた勉強を重ねる日々。自分がやりたいなと思ったことを心の中にしまい、やるべきことや求められていることに注力していく中で出会う、愛情や死の形、暴力や非行の形は彼の人生の中で「自分とはどのような存在であるのだろうか、何者であるのだろうか」という問い直しを与える。 最後の方に彼が語る神童であったのに気づけば周りから遅れていたというところはどのような形であれ、色々な読み手の人生の思い直しにも一石を捧げるものであると感じた。 働く喜び、人の役に立つ喜び、人を愛する喜び、最終に近づくほどに彼の中に少しずつ湧き立った感情は心の底から生まれた自分自身の本当の感情であるとするならば、我々も生きていく中でそのような「生きている、生きていく」という感情を心のどこかに大切にしておいた方が良いのだなと思った。 人に求められることが多い現代社会、自分らしさとはと問い直す現代社会。ただ自分らしさと自分勝手は違う。その社会、共同体の中で自分の喜びを表せるものやこと、人との出会いを大切にその中で自分なりの「生きている、生きていく」を自分の言葉で、自分の姿で、自分の行動で誇りを持って生きるための一歩を毎日踏み締めて生きたいと感じた。

    19
    投稿日: 2025.07.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終わったあとに、考えれば考えるほどじわじわと面白味が増す作品。教員は、優秀なものを生み出した「自分」に酔いしれるような生き物である、ぜひこの世にいる全教員の見解を聞いてみたい。 ハイルナー、教員の皮肉的存在な地位で、ずっと己を貫き通すような人間だったから、特に学校を出たあとも周囲の目なんてそこまで気にせず生きていったんだろうと思う。満足に好きなことを、詩を書いて。一方反対の地位にいるハンスは車輪の下で押し潰されるような違和感を抱えながらも従い続けて、競争に勝つために学習にばかり目を向けて、自分の好きな釣りや幼少期楽しかったこと、ふと思い出すももうほとんどそんなものは殺してし何が楽しくて何が目的で生きている、鬱状態?ハイルナーがそこにいてくれればハンスの最期は違ったんだろうなと思う。一緒にいてくれたら、一緒に車輪を押しのけて大きな声で叫び窮屈な地獄からは逃亡することができたんだろう。ハンスには必要だったハイルナーが、1人でできてしまったことなんだけども。誰か1人でも真の理解者に出会えていたらよかったな。真面目に頑張ったって何も報われないね。 あとはとにかく文章の美しさがそこらじゅうに散らばっていた。育った場所、見てきたものでこうも美しい言葉が紡げるのか。

    0
    投稿日: 2025.07.19
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    著者、ヘルマン・ヘッセは、ウィキペディアによると、次のような方です。 ---引用開始 ヘルマン・カール・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)は、ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。 ---引用終了 で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。 ---引用開始 ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする…。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説である。 ---引用終了

    51
    投稿日: 2025.07.12
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    ヘルマン・ヘッセの自伝的小説。 少年ハンスは、神童として将来を期待され、それに応えようとひたすら勉強に励み続けた結果、心身ともに疲弊し精神を病んでしまう。 退学して故郷に戻り、周囲の理解が得られないなか、機械工として働き、ものつくりの楽しさを知るようになる。 そんなある日、仲間と酒を飲んだ帰りに…という話。 ハンスは頑張ったよ。本当によく頑張った。両親らの期待に応えるためだけに、これ以上ないくらい頑張った。 目標もなく努力を強いられるのはしんどいよね。だから、ハンスは心を削って頑張るしかなかったんだ。 社会や学校の車輪の下敷きにならない方法はなかったのかなと思わずにはいられなかった。 もっともっと自分のために生きてほしかったな。

    59
    投稿日: 2025.07.11
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    『車輪の下』。中学時代からずっと本棚に並んでいたのに手にとらなかったヘッセの小説。 私も、「受験戦争」という言葉や「偏差値」という言葉が世間を騒がせていた時代に青少年時代を過ごした。片田舎で育ち、中学、高校、大学受験を経験したからハンスの境遇には少し近い。都会への憧れはあったものの自然の中で育った環境や思い出を否定することはなかった。 主人公ハンスは、周囲の期待を一身に背負い、神学校というエリート養成機関で過酷な競争にさらされ、精神的に追い詰められていった。学校を追われた友の影響を受け、成績も心も落ちていった。 エリート意識の揺らぎが思春期の揺れと重なり、繊細なハンスはどんどん病んでいく。 社会の車輪の下に圧し潰されないで。そんな叫びは届かない。 子育てを終え、孫育てをしている今だからこそ読んでよかったかもしれない。大人がさまざまなものさしを与えることができたら、きっと子ども達は救われる。

    93
    投稿日: 2025.07.04
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    中学生のころに読んだはずであるが、いまいち内容を覚えておらずあらためて読むことにした。 著者のヘルマン・ヘッセは1946年のノーベル文学賞受賞者で、車輪の下は1905年の発表作品だ。 ヘッセの自伝的な作品とされるが、内容は結構ぐさりとくるものであった。 神学校入学からのその後の寮生活は暗澹たるシーンが続き、生々しい心理描写が綴られていいく。 自分は一気に読めず、数日に分けてこのあたりを読み進めた。 主人公の少年の置かれた環境は、逃げ場がなく、空気があるのに窒息してしまうようなものであったと思う。 そして、周囲の大人たちこそが、この作品のもう一つのキーになってくる。 架空の主人公なのに、とても憐みの感情を抱いてしまうのは、このあたりの演出がなされているからだろうか。 エンターテイメントではなく、一つのドキュメンタリーを観たような感覚を得た作品であった。 また読む機会があるかもしれない。 そんな「本棚の端の方にいて、背表紙はよく目に入るが、数年に一度手に取る本」的位置づけな作品である。

    2
    投稿日: 2025.05.24
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    ヘッセの若い頃の作品です。 実体験をもとに描かれているようですが、当時の時代の雰囲気を知ることができます。 子供の教育について、一石を投じた作品で、現代にも通ずるものがあります。

    1
    投稿日: 2025.05.24
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    薄いのに読み応えがあった 昔読んだ気がしたけど全然覚えてなかった なんというか、一章ずつ授業とかで読んで、みんなで話し合って噛み砕きたくなるような内容。 メインストーリーとサイドストーリーが絡み合いすぎて、なんなら、サイドストーリーをたくさん繋げた話のように感じる。主人公は1人なんだけどね。 賢い真面目な少年がこうなるなんて面白いよな。少年時代の詰め込み勉強や、学校のあり方の弊害だ。ハイルナーと話してみたかった。

    1
    投稿日: 2025.05.21
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     ヘッセの『車輪の下』が突きつける最大の問題は、教育制度が〈子ども〉を「人格ある一個人」として認めず、都合のよい記号へ還元してしまう点にある。多くの物語が〈従順な優等生〉か〈反抗児〉に子ども像を二分するなか、ヘッセはハンスを欲望と不安、優越感と傷つきやすさを併せ持つ等身大の存在として描いた。川辺で魚を眺める彼は順位や身分を忘れ、五感で世界を確かめるが、神学校合格直後にはまだ机に向かう同級生を見下し、成績表が貼り出されるたび密かに胸を張りながら怯える。この二面性こそ、人が成長過程で抱える本音と矛盾そのものだ。  その揺らぎを歪めたのが寄宿制神学校という装置である。生活の隅々まで統制された環境で、教師は成績を「神の恩寵」、落伍を「怠惰への罰」と説き、子どもに〈点取り競争=生きる価値〉を刷り込む。こうして自己肯定は序列依存となり、ハンスの優越感も傲慢というより制度が植えつけた防衛機制にすぎなくなる。  やがて選ばれたはずの彼は孤立と成績低下で「落伍者」へ転落し、親友ハイルナーの自由さが自分の抑圧を照射する鏡となる。帰郷しても故郷の川は色を失い、安息の場所が機能しなくなる。酒場での放逸や父との沈黙は、静かに積み上がった疲弊が臨界点を越えたサインだった。  最後にハンスは川へ沈む。意図的な自死でも足を滑らせた事故でも、彼を押し流したのは「一律の教育という大河」である。創造性と感受性を守る余地のない仕組みは、弱さを抱える個を受け止められない。ハンスの死は、彼自身の弱さではなく “弱さを許さない制度” の罪を告発する結末だ。父親や教師が「得意=やるべきこと」と混同し、子の価値観を想像できなかったことも悲劇を深めた。メンタルヘルスの治療が拠り所を奪った環境を変えなければ難しいのと同じく、制度が変わらねば第二第三のハンスは生まれ続ける。ヘッセはこの物語で、近代教育が強いる「個人犠牲」を鋭く暴き、私たちに〈その子を、その人を、枠ではなく顔を上げて見る〉ことの必要を突きつけている。

    5
    投稿日: 2025.04.24
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    純粋に読んで良かった思った。 というか自分が1番悩んで苦しい時に読みたかった。救いにはならなかっただろうけど、多分寄り添ってくれただろうから。 私も未だ車輪の下から抜け出せず溺れている。

    1
    投稿日: 2025.04.23
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    受験地獄の被害者として、共感を得る部分は多分にあった。車輪の下じきにならないようにハンスみたいな子を、ライ麦畑でつかまえたいとサリンジャーは言ってたんだと繋がった。でも、所詮なれて靴屋のおじさんなのかもしれない

    0
    投稿日: 2025.04.17
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    中盤までは優秀な人間が落ちぶれて行くまでの話かと思って読んでいたけど、これは少年の危うさ(特に知能が高くて繊細な)と大人の罪がテーマだったんだろうな。ラストはちょっと意表をつかれた。

    1
    投稿日: 2025.04.01
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    麒麟児が普遍的な思春期を際立たせて、その正確さから自身の思春期を掘り起こされた。物語の儚さも美しかった。

    0
    投稿日: 2025.03.26
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    ヘッセは自身の二面性を小説に投影して描いている。 『デミアン』ではエーミールは悩める少年として描かれ、自身の進むべき道を求めている。 一方でデミアンは少年というにはあまりに大人びており、禁欲的に生き、人生をどこか達観して見ている人物として描かれている。 ヘッセは奔走する自身の願望と親に隷従せねばならないという強迫観念に囚われるジレンマを経験した青年時代を過ごした。 この青年時代の経験が小説に投影されていると言えよう。 『車輪の下』も『デミアン』と同様の構成だ。 主人公のハンスと彼の理想像と言えるハイルナー。 『デミアン』の最後はエーミールがデミアンとの一体化を果たし、エーミールは迷いのある人生から解放された。 『車輪の下』では主人公のハンスは最終的に死んだ。 エーミールとデミアン。ハンスとハイルナー。 相反する性質を持つ彼らだが、実は一人の人物から生まれ出でた人格であると考えると物語の理解も容易い。 つまり、ヘッセは専ら隷従や抑圧されて生きることへの反抗心を作品中に示しているのだろう。

    1
    投稿日: 2024.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分の命を人質にすることで生きやすくなってしまったりとか、何となく見下していた肉体労働を楽しんでしまったりとか。自分の本当にしたいと思ってることや意思がどんどん周りの環境に負けていってしまう感じが、僕自身とダブりすぎてしんどくなる。 僕もこのまま車輪の下敷きかもな

    1
    投稿日: 2024.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    15歳の頃、学校の推薦図書のような雰囲気でやむを得ず読み、とにかくつまらない本だと思った。 「果たしてあの本はそこまでつまらなかったのか」と30歳の頃に思い、再び購入して読み直してみたが、やはりつまらなかった。 「あれから30年、今読んでもつまらないのか?」と思い3たび読んだ45歳。 とうとう興味を惹かれ面白いと思った。 それは、私が親になったから。 ハンスが自分の息子だと思ったら、実に切ない。 未来に満ち溢れた若者を、大人たちが寄ってたかってだめにする。 自分が若い頃は、この本の大人たちへの反感が強すぎて胸糞が悪く、つまらなく感じたのだと思う。また田舎の牧歌的な情景の描写が長すぎて退屈だったんだけど、これは強いられたハンスの生活と対比するための描写だったんだなと知る。 (自然の中で子どもが育ってゆく素晴らしさと必要性、今ならわかるけど、若い頃は自身が田舎育ちで田舎を嫌悪していたから分からなかった) 学校でのハイルナーとのくだりは脳内でBLに変換され大変ときめいた。

    0
    投稿日: 2024.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今でこそ一般化している「教育虐待」だけど、この時代に過剰教育の悲惨さをかけたのはすごいと思う。 親友と主人公、天才と秀才の対比が悲しかったな。 それでいて情景の表現がきれいで面白かった。特に神学校に受かったあとのつかの間の休息、釣り、川、優越感、イキイキと輝いて見えた。最後はその川で死ぬっていう対比…… つい最近まで受験生だったので特別に響いた

    1
    投稿日: 2024.11.27
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    まだ10代だったハンスがどんどん落ちていく様子を見ていくのは、涙が出なくとも心を締め付けられて辛かった。 しかし繊細な心情描写や情景描写にかなり読み応えがあり、とても楽しませてもらった。 個人的に大人になったら読み返したい本TOP5に入るぐらい痺れた一冊だと思う。

    0
    投稿日: 2024.11.13
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    146P 初版発行: 1906年 ヘルマン・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日) ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、ヘッセは風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。 車輪の下 by ヘルマン・ヘッセ、岩淵達治 だいたい、ほんとの貧乏人というものは、計画をたてたり、貯蓄したりすることはめったに心得ていないもので、いつもあるったけそっくりを使いこんでしまって、貯めておくなどということは考えもしないものなのだ。  エーミール・ルチウスは、彼の計画をただ物質的な所有物と獲得しうる財貨について 遂行 していたばかりでなく、精神の領域においても、できるかぎり利益を得ようと努力していたのである。その場合にも彼は賢明で、精神的な所有というものはすべて相対的な価値しかないということを決して忘れはしなかった。だから彼は、今のうちから勤勉にやっておけばのちのちの試験にも大いに成果をあげられる課目にしかほんとうの力を注がず、残りの課目は、控えめに、まあまあ平均程度の成績で満足しているのだった。彼は自分の勉強と成績をいつも同級生の成績との比較で考え、二倍の知識を持っていながら二番でいるよりも、半分の知識で一番になるほうがいいと思っていた。だから夜、他の仲間たちがいろんな時間つぶしをし、遊んだり、読書をしたりしているときでも、彼だけは静かに勉強の机に向かっていた。他の連中の騒ぎにもぜんぜん邪魔されず、それどころか、時にはそっちのほうを、なんの 羨みもない満足しきった目つきで見ることさえあった。なぜなら、もし他の連中もみんな勉強していたら、自分の努力もむだになってしまうからである。 一九四六年には彼の「大胆に深い発展を遂げながら、古典的ヒューマニズムと高度な様式をふたつながらにあらわしている精神的文学的な創造に対して」ノーべル文学賞が与えられたのであった。  ヘルマン・ヘッセは、一八七七年七月二日、南ドイツ、シュワーベン地方(ヴュルテンベルク州)の田舎町カルフで生まれた。 ヘッセの父ヨハンネス・ヘッセはバルト地方のロシア系ドイツ人であり、やはり青年時代にインド布教に従事したことがあるが、健康を害して帰国し、伝道団の指示でグンデルトの助手になり、そこで未亡人だった娘のマリーと結婚したのである。  幼少のころからヘッセは空想力にあふれた利発な子であったが、 我儘 で両親の手を焼かせるようたところもあった。彼が四歳のころの母の日記には次のように記されている。 「……この子には巨人のような強さと強引な意志と、四歳にしてはおどろくほどの理解力がある。どういうことになるだろうか? 暴君のようなこの子の気まぐれと戦っていくのは、ほんとに精神的に疲れることだ……」 彼は自然を愛し、動物や植物を友とし、またゆたかな空想力によって幻想の世界を追い求め、音楽的、詩的、絵画的な才能をさえ予測させた。 当時の教育制度の欠陥もあろうが、学校教育が自己に及ぼす束縛への強い反抗心はのちのちまで彼のなかにあらわれてくる。  神学校の雰囲気や生活は『車輪の下』によく描き出されている。 熱心に読書にふけり、詩作を始めたのもこの時代のことである。  十八歳になったヘッセは、工場をやめた。大学の町チュービンゲンに、大学生としてではなくヘッケンバウアー書店の見習いとしてふたたび出版業務の実際を学ぶためであった。ここで彼は三年の徒弟期間を努めあげたのだから、とにかく彼にも適した活動の場が見つかったと言えるだろう。読書と創作に余暇を捧げたこの時期の孤独な生活で、ヘッセは厳しく自らを律し、自己の教化と独自の精神的な世界をつくりあげることに全力を傾けたのであった。独学といってもいい彼の読書の中心はゲーテであったが、しだいにローマン派の作家たちとも親しむようになり、とくにノヴァーリスに心を惹かれた。 同じ年に試みたイタリア旅行は、古い芸術や文化にふれ、彼自身がこれまでつねにアウト・サイダーであった今日の社会に批判的な態度を示している。『ボッカチオ』の伝記や、「人間のなかの神の愛の申し子」である『アッシジの聖フランシスコ』伝は、旅行後の収穫である。 ヘッセは前年イタリア旅行で知りあったバーゼルの数学者の娘でピアニストのマリーア・ベルヌイと結婚した。 ヘッセがインドに 赴いたのは、ヨーロッパの文化からの逃走だとも言われるが、彼自身の言葉を借りれば「距離をとって全体を概観する」ための試みでもあった。この旅行では目的地のインドには足をふみ入れず、マレー、スマトラ、セイロンの紀行が主となった。彼の求めていた精神的な救済や、ヨーロッパからの 解脱 は得られなかった。しかしヨーロッパでもアジアでも文明によってこわされぬ超時代的な精神の世界が存在することを知り、そういう領域を自己のうちに造りあげることを望むようになったのは大きな収穫であろう。 一九一四年一一月、彼は「新チューリッヒ新聞」に、「おお友よ、そんな調子はよそう!」という有名な文章を掲載して、戦争に 迎合 的な文化人たちの反省を求めた。しかし人間性を訴えるこの声は、たちまちにして多数のドイツ愛国主義者たちの総攻撃をうけ、ヘッセは「裏切り者」「変節漢」といったような 悪罵 を浴びたのである。 妻は精神病の療養所にはいったままであり、共同生活はもはや不可能であった。子供たちを知人や寄宿にあずけて彼は単身南スイス、テッシン州のルガーノヘゆき、それからさらに山地の葡萄山と栗の森にかこまれたモンタニョーラ村の山荘カサ・カムッツイにひきこもったのは一九年五月のことであった。  二三年、彼がスイス国籍をとった年に、ヘッセは妻マリーアと正式に離婚し、スイスの女流作家の娘ルート・ヴェンガーと結婚したが、この結婚も三年後には終わりを告げている。このころから坐骨神経痛に悩まされた彼はしばしばバーデン鉱泉に通うようになったが、『湯治客』はその副産物である。  三三年にドイツではヒトラーが政権を樹立した。この第三帝国の暗黒の時代にヘッセはモンタニョーラに引きこもって完成に一〇余年を費した大作『ガラス玉演戯』の完成に全力を注ぐのである。  ナチスが文化に対して侵しているさまざまな破壊行為、真実の 蹂躙 や言葉の 冒涜 などのしらせは、テッシンのヘッセの山荘にも伝えられてきた。  一九四五年に平和が訪れた。それ以後ヘッセは詩や随筆、生涯の仕事のまとめや回想などの仕事を主とし、大作を制作してはいないが、これは彼が眼病に侵され、目をいたわらなければならなかったという事情も加わったせいだと思われる。 ドイツの女子学生が「私は、はじめてあなたの本のひとつを読んだとき、わたし自身が多かれ少なかれ無意識に感じたことのある多くのことを発見しました」と書き、日本の高校生が「……あなたの作品を読んでいけばいくほど、わたくしはそのなかに自分自身を感じました。いまわたしは、自分を最もよく理解してくれる人がスイスに生きており、わたしをいつも見つめてくれるのだと信じています……」と綴った手紙をよせたのもこのころであった。 本来ならば、社会環境に対する攻撃が主なのではなく、自分の個性を完全に生きようとする意志が問題となるべきなのであり、その努力が周囲からは頑固、わがまま、反抗的ともとられるところにはじめてヘッセ流の抗議が生まれるはずなのである。人間を 鋳型 にはめこんでしまうような枠というものが個性を 害 ない、精神をもたぬ人間をつくりあげてゆく過程は、ここではとくに古い型の教育に対して向けられているようにみえるが、見落としてはならないのは、牧歌的な田舎町にかえって強くあらわれてくる偏狭な市民性という枠である。  ドイツ文学の作家のなかでヘッセと世代的に近いのは彼より二歳年長のマンとリルケである。 ヘッセが、ゲーテやドイツロマン主義の伝統を守り、またヨーロッパを逃れて東洋の英知に救いを見いだそうとしたのは、こうした皮相な技術化近代化、雑文による文化の時代に、失われかけようとする人間性を守ろうとしたからなのであった。

    0
    投稿日: 2024.11.05
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    現代の話と言ってもいいほどの本だと思った。 教育の問題、教育現場での問題は、変わらないんだと感じた。 教育に限らず、少年から青年への移行期に自分が考えていたことがそのまま書かれていたりして、普遍的な問題なんだなと再評価できたりした。 自分が高校生の頃読んだことがあるけど、まったく覚えてなかった。子供を踏み躙る側の大人になった後の方が受け取るものが多いのだろうか。 悲しいかな、教育者の側の考えもすごくよく分かると思ってしまう。自分が少年から青年への移行期から遠く離れてしまったからだろう。成長期の人間を信じてあげることができないんだろうな、と自分自身を振り返った。 教える側である教師たちの欺瞞がはっきりと描かれているが、こういうのって子供たちに見透かされてるのかもな、と感じる。子供を一人の人間として見てるか、ということを突きつけられた感じがした(反省しました)。 ハンスは、大人の期待に応えなきゃと思ってただけで、優越感はあっただろうけど、周囲を故意に見下したりはしてなかったと思う。見下してたら、意地でも機械工にはならなかっただろう。 また、単に、詰め込み勉強がいけなくて、子供には人との触れ合いが大切、ということを書いてるわけでもない。子供を一人前の人間として扱わず、大人の身勝手な考えだけで子供を追い詰めて行くことが間違いだということが言いたいんだろう。大人の身勝手な期待、考えに押しつぶされてしまった、車輪の下になってしまった子供がハンスなんだろうと考えた。

    7
    投稿日: 2024.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初から最後まで悲しすぎるというか、切ないお話だった。 表現がとても豊かで詩的。それが心の繊細な部分を正確に表現していて、自分たちも似た経験を一度はしたなぁと共感しながら読むことができる。また、この歳の子供の心理描写や精神面、天才児ならではの苦悩などもリアルで面白い。この気持ちをこのような言葉で表現するんだと感心する場面も多く、語彙力を上げるのにもとてもいい。 ただ、話に救いの場面が少ないところがちょっと辛かった。自分の意志を出す事ができず常に弄ばれる世間知らずの子供。その子供が社会の波に揉まれて成長するお話といえばわかりやすいか。綺麗な表現なだけに、結末は現実的に残酷なところがちょっと皮肉にも感じる。 人におすすめはできます。文章の綺麗さや子どもならではの心理描写を楽しめる良い作品だと思います。

    0
    投稿日: 2024.10.02
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    あとがきの″主人公が、決して非凡な英雄ではなく、単にやや秀才肌の、かよわい少年″と言い切る文句がさらに悲壮感を際立たせてくれた 何をするにしてもやはりガッツは必要…

    1
    投稿日: 2024.10.02
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    心がぐにゃあって、なんか重くて、真っ暗い何かに包み込まれてるような気がして、暗くて深いどこかに滑落してるような気がして、

    0
    投稿日: 2024.09.30
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    平凡な家に生まれた秀才のハンス。学ぶことが好きであったハンスは、周囲の期待を受け、言われるがままに神学校への進学に挑戦する。以降、自然の中で魚釣りをすることが好きな少年は勉強中心の生活に。その後、苦労の甲斐あり神学校に入学するも、閉鎖された環境のなかハンスは更に不安定になっていく。 勉強のプレッシャーを描いた作品として有名。読んでみて、学校時代やそれ以降の生活のほうがメインであったことを知った。挫折を味わった若者の苦悩が丁寧に描かれている。

    0
    投稿日: 2024.08.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世間からの期待、要請に応え続けること。 幼年期に年相応の娯楽から隔絶され、抑圧される。 さらにがんじがらめの規則に溢れた学校での生活に馴染めなくなる。 結果が出ているうちは良かった。 結果を出し続ける以外の生き方をしている人が突然現れると、その人が魅力的に見えるよな。 今まで人に役に立つものを作ることがなかった→それが自分の手の中で出来上がっていく感覚はこれまでにない感情を思わせた。 こんな感情を抱くことができたのに… 飲み過ぎで鬱状態になってしまう。 死因は明言されていない。 これで良いんじゃないかな。 大学時代に挫折した一冊でしたが、今読むことができて良かった。

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    この作品はとても好きで、手元に置いています。 大学生の時に読んだ際には、生き苦しさに共感する気持ちがかなり大きかったですが、歳を重ねるとまた違った捉え方になるかな?と思います。

    0
    投稿日: 2024.07.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長年、積読だったヘルマン・ヘッセの「車輪の下」。新潮文庫の100冊に入っていたので、この機会に読んでみる事にした。 結果、打ちのめされ、一生心に残る作品となった。 田舎町に住む少年ハンスは非常に優秀で周りから期待される。難しい試験を合格し入った寄宿学校だったが、その厳しい規則と集団生活の中で彼は次第に変わっていく。 ハンスが追い詰められていく様子が伝わってくる。読んでいて苦しく、胸が痛んだ。 幼少期から周りの期待を一心に受け、勉強をし成績をあげる事が良しとされて育ったハンス。寄宿学校で友人に影響され、成長し、傷つき、病んでいく。故郷に帰り、職につき希望が微かに見えたのだが… 彼を助けて欲しかった。誰か彼を理解して欲しかった。大好きな自然の中で自由に過ごさせてあげたかった。 ラストは何が起きたかわからず、読後はしばらく放心状態となってしまった。今後、私自身が若い世代の方達に向き合う時の戒めとなりそうだ。 ヘッセの自叙伝的小説との事で、ヘッセも精神的な病を抱えていた事を初めて知った。繊細な神経を持っているからこそ、心の機微を表現でき、これほどまでに人々の心を打つ物語が描けるのだろう。自然を描く美しい文章の中にハンスの心の状況が投影される。ヘッセの凄みを体感できた読書となった。

    22
    投稿日: 2024.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんで題名が「車輪の下」なのかが分からないまま読み進め、すると何度か車輪(の下)という言葉が出てくる。ハンス少年が心が折れそうな時やしんどい時の表現なのかな、家族や学校、周りの人や自分自身に押しつぶされるって事なんかなぁと。 最後は悲しいほどあっけなく、、、歯車はくるい出すとどんどん勝手に進んでしまうというこわさが、誰のそばにもあるのだろうなと、少し気持ちがザワザワした。

    8
    投稿日: 2024.07.13
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    これを読んだら、自分のアイデンティティが徐々に育まれる少年時代に、子供をひたすら机に向かわせて勉強させるというのは子供にとって良くないと思ってしまうなぁ、、、

    1
    投稿日: 2024.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んだのは高校生の時ですが、かなり衝撃を受けました。こんなに読み返した本は初めてでした。 描写の美しさと少年が向かう運命の物悲しさ、どちらも心を掴まれて、ほんとうに美しく思いました。 悲しいお話、現代にも通じるところはみなさんおっしゃる通りあるなと感じましたが、この小説にかなり救われました

    1
    投稿日: 2024.05.23
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    読んで良かったと思う 社会に搾取されてないか、自分の人生を客観的に見つめ直せる 仕事で疲れた時にふと思い出す言葉として刻みたい

    0
    投稿日: 2024.05.22
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    ヘッセ作品ではこれが1番お気に入り。 優等生だった主人公がどんどん落ちぶれて最後には…というストーリー。 他の作品に比べて説明が丁寧という印象を受けた。描写に対してこれは~の暗示でといった解説が入るので読みやすかった。 主人公が優等生だけど単なる優等生というかイイ子ではないのが良い。ヘッセ作品の優等生は皆こんな感じだけどこういうエネルギーを持つって大事だよな…。 こういう性格は自分にはまだ掴みにくいのでまた読みたい。最後にはボロボロになって死ぬ結末だけどそこまでの心理の動きを次はもっとしっかり捉えたい。

    1
    投稿日: 2024.05.08
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    人生って残酷だね。 どれだけ賢くてもいつ何が起こるかは分からない。 毎日だらけていたって幸せな人生を送る人だっているのに報われないな。 かなり古い作品なだけあって読んでて多少の抵抗はあったということで、評価は3にしておこう。

    1
    投稿日: 2024.04.18
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    悲しく苦しい少年の心理描写が繊細に緻密に書かれていて、心が痛みました。 愛溢れる子ども時代を送ることの大切さを実感しました。

    13
    投稿日: 2024.04.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分も大学受験で思い詰めてハンスと同じような心情になり、神学校をやめさせられた後に希死念慮を抱く様子には過去の失敗した自分を重ねました あまりにも描写が以前の自分の状況に酷似していて読んでいてこの部分は辛かったです ですがかえって今も生きている私について考えさせられました 毎日の幸せを噛み締めて生きようと思います 星4つにしたのは先述した部分が理解できる人にはしんどすぎるからです

    3
    投稿日: 2024.03.25
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    「車輪」は何か? 受験教育の重積、子供を子供として抑圧する偏見。 怪物に似たもの。 優秀な学徒でもあり、神秘に憧れる詩人でもあったヘッセの二面性。 子ども心の繊細さ。 大人にはわからない、恐るべき子どもたち。 詩であり絵画。

    0
    投稿日: 2024.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ハンスの透き通ったうつくしさがこころに残る。入学試験では二番で入れるほど余裕があるのにすごく緊張しているところが自分と重なりすぎて胸がぎゅっとなった。神学校での学問、文化や芸術なども初めて知る部分が多くとても楽しかった。ハイルナーとの鮮やかな友情にときめきました。

    1
    投稿日: 2024.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【概要書き殴り】 聡明で幼気な少年を、豊かな自然の生活から引き離し、功名心に駆り立てることで神学校に送り込んだ大人達。規則まみれで高慢な神学校の教師達。 道半ばで心を病み郷里に帰った少年と親しく交渉する者もない。 年上の娘の気まぐれに恋心を翻弄され、御し難い青年への過渡期に苦しむ。 誰よりも優秀だった少年は、結局は同級生達の誰よりも遅く見習い工になった。 務め人の快い苦労と仲間との交流、酒やタバコの大人の街遊びにも参加した挙句、酔いだけが原因か、川に流され物言わぬ体に成り果てる。 【感想書き殴り】 ヘッセの自伝的小説であり、周囲の大人達へのルサンチマンや少年の傷つきやすい心の機微を描き出した物語は、あえてこの本を大人になって読むような若者である自分には共感を与えた。 いっそのこと自分も川に落ちたい気持ちすら湧く。 しかしヘッセは物語の主人公とは違い、自らに使うピストルを2度も買うような危機まで経験するも、持ち直して大人になっていく。(訳者解説より) ヘッセにとっての詩作、小説書きのように、自分にとっての人生の取り組みは何であろうか。日々をブルシットな仕事に費やし、酒とタバコに気を紛らわせる人生だが、気が向いた時に本を読み自分と向き合う作業はせめて続けていきたい。 教育の車輪に強く轢かれはしたが、通り過ぎた車は振り返ることはない。傷と知識とを残された自分は足で進むしかない。

    1
    投稿日: 2024.02.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ノルウェイの森」の作中、ワタナベくんがミドリの家で読んでいた印象。 中1の教科書にとりあげられているらしいと知って、読もう読もうと思っていたいわずと知れた作品。 前半は自然豊かな描写が綺麗だけど、なかなか読み進まず、(産後で読解力も産み落としたんかってくらい文字に目が滑る…)、後半にいくにつれてぐんぐん惹き込まれるのと同時にどんどん切ない気持ちに。 「車輪」のワードに辿り着いた時には、 そういうテーマなのか じゃあ下ってことはこの先は…と 胸が詰まるような感覚で読了。 調べてみたら、 ドイツで落ちこぼれになることの例えとして「車輪の下敷きになる」と言われることがあるそう。 『こういうふうに陽気な日曜日を持ち、当然その資格のある人間のように、人生を心得、愉快にやることを心得ている人たちと一緒に、料理店のテーブルに向かって腰掛けるのは、すてきだった。 ...力をこめてテーブルをとんとんたたき、屈 託なく「ねえさんもう一杯」と叫ぶのは、すてきで男らしかった。』 社会に圧迫された環境に翻弄されながらも、 序盤と中盤、終盤で主人公ハンスから見る世界が変わっていく描写が勇気づけられ、 その分、主人公の結末と周りの悪意のない、自分が与えた主人公への圧力に気付かずにただただ可哀想にと嘆く姿に、うわわわとなった。(語彙力…。笑) ほぼ作者ヘッセの自叙伝だというこの話。 解説まで読んで、この作品がさらに胸に落ちた。 教育者として、親として、 忘れたくないなあ、と思う感覚でした。

    1
    投稿日: 2024.01.30
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    多感で傷つきやすい少年、ハンスの短い青春。 ヘッセの自伝的小説らしいが、小説としてより自然の描写にそのすごさを感じた。これは川端康成の雪国にも感じたことで、現代人には内容はピンと来ない部分が多いが、逆に今はない自然豊かな空気により癒しを感じるのかもしれない。

    59
    投稿日: 2024.01.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一文一文に詩的な表現が含まれるので理解と想像をフル活用させて読むと非常に疲れるが、その分少年を取り巻く環境を感覚的に読み取れる。 最後、こうした形でこの世を去るハンスを救われたと思ってしまうことに何とも言えない虚しさを感じた。

    0
    投稿日: 2024.01.17
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    少年時代特有の非常に敏感な感性と、その繊細さゆえに感じ取ることができる特別な美しさや、時には残酷さ。 そういったものがふんだんに描かれていて、読みながら不思議と懐かしさのような感情を想起させられた。 がらんとした秋の静かな昼下がりのような、少しの哀愁と心地の良い気持ちをもらたしてくれる素敵な作品でした。

    0
    投稿日: 2024.01.15
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    解説によると、ドイツでは8位だが日本では1番読まれているヘッセ作品らしい。親の「手ぬかり」が招く惨事、教育システムを車輪に見立てたヘッセの警句。衝撃のラスト。

    0
    投稿日: 2024.01.03
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    親や周囲の期待の重圧があるとは言え、ハンスが甘ったれに思えてしかたない。病んでしまったことは哀れとは思うし同情はするけど、何で人気があるのか理解できない。それに子どもには読ませたくないな。

    0
    投稿日: 2023.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半はハンスが神学校に入学するまでの過程や入ってからの先生や仲間たちの交流や勉強が中心で 少し重苦しく気晴れしない内容に感じた。 エンマとの出会いから物語が人間味が出てき出してそこからの機械工見習いや職人との交流が面白かったがクライマックスが予想外で悲しく思ったがハンスにとってはどうだったんだろうという 疑問が残りました。 人間、学問も大事だと思うが、子供の頃などの感性が敏感な時期は特に色んな形で自然に触れたり 友情や恋愛を経験するのが大切なんだと感じました。

    4
    投稿日: 2023.12.06
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    あまりにも学校生活ががんじがらめで窮屈そうな息子を見ていて、少しでも彼を理解したいと思い、読んでみました。 率直に言うと、すんなり読める本ではなかったです。 感情を読み解くだけで理解できるものではなかった。 読んでる途中も、読み終わった後も、「うーーむ。これはどうやって読んでいけばいいのかわからない」というのが感想でした。(途中で挫折しそうになった) しかし、巻末の解説を読み、一晩考えたら理解できました。 読む順番として正しいのかわからないけど、「解説→車輪の下」の順に読むと背景描写が理解できて、この小説の面白さがわかると思います。(ヘッセの人生をある程度理解している人はいきなり作品を読んでもいいと思う) 車輪の下はヘッセの幼少期を自伝的な小説に仕立て上げたという事で、ヘッセの幼少期を知っているか、が肝になります。 作中にはハンス(主人公)とハイルナー(神学校で出会う友達)が登場するのですが、この二人を合わせたものが幼少期のヘッセとなります。 (これが分からないと、本当につまらない小説なのです) ハンスは勉学に励む人格、ハイルナーは詩をこよなく愛する人格であると。 これを解説で知って、実はこの小説はすごいのでは?と思いなおしました。(名作というだけある) 分身を別の人間で表現するってすごくないですか? ハンスとハイルナーは別々の道を歩んでいきますが、それぞれの人生はヘッセの人生でもあるのです。 これ、表現の発明だと思うのですが、私だけでしょうか?? 個人的には「車輪の下」よりもヘッセ自身の人生の方がぶっ飛んでて面白いと思いました。現実は小説より奇なり、とはこういうことを言うのでしょう。 ヘッセの他の作品も読んでみたくなりました。

    13
    投稿日: 2023.11.25
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     ノーベル文学賞受賞作家ヘルマン・ヘッセの代表作。日本では一番読まれている印象だが、解説に拠ると本国独逸ではヘッセ作品の中では第八位らしい。  神童ハンス・ギーベンラートが幼少期のスパルタ的教育を経て晴れて入学した神学校での生活とそこでの挫折及びその後。  ハンスが神学校に入学するまでは何て退屈な小説だろうと思った。叢で飛蝗を捕まえて釣りに興じるシーンなど、何の必要があるのかと首を傾げたものだが、読み進めるにつれて作中で殆ど唯一ハンス少年が心から主体的な生を楽しんでいる場面だったと解る。  確かにハンスには天稟があった。然しそれゆえに施された教育の数々は必ずしもハンスの望んだものでは無かった。彼は常に頭痛に悩まされながら血の滲むような努力をしていた。それは彼にとって苦役以外の何物でも無かっただろう。  子供の才能を伸ばすのは、大人たちにとって喜ばしいことかも知れない。だがそれは本来自由である筈の子供を抑圧することに他ならない。『荘子』にある断鶴続鳧とは正にこのことを謂うのであろう。  ヘッセ自身も同じような少年時代を経験したことから、本作は作者の自伝的小説とも言われる。先の『荘子』ではないが、後に仏教に出会い東洋思想に傾倒したのも頷ける。

    1
    投稿日: 2023.11.23
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    純粋無垢だった少年が大人からの抑圧により精神が不安定になり、崩壊していく物語。始まりは、神学校に入る為の受験勉強。父親、教師、その他大人の重すぎる期待に応え、神学校に入学するも少年の心は報われることなく孤独に苛まれていく。いっときの淡い恋や、幼少期の楽しかった記憶、親しき友人などの力でなんとか精神を維持し日常を送っていたが、そんな不安定な生活は長くは続かなかった。最終的に少年ハンスは意図せず亡くなってしまうが、この物語では死が少年にとっての一番の救済であるような気がして切ない。

    0
    投稿日: 2023.11.17
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    10年前くらいに買って、当時は最後まで読めず。年をとったら読むとすらすら読めました。 あらすじとしては将来有望な若者がまわりの環境に流されてどんどん堕落してしまうお話。 これってよくある話だと思うんです。小さい頃は夢も希望もあって、将来も嘱望されていたけど、気づいたら凡庸な人生で終わってしまう、何者にもなれなかった的な。どちらかというと何かつぶされるよりも、上には上がいる現実を知ってつぶされるパターンのほうが多いですが。 ハンス(主人公)の場合、彼のつぶしたのは家庭と学校(先生)になります。(実は友人のハイルナーかもしれないけど、それはおいといて)なのでメッセージとしては、家庭と学校は本質的にに大事なものかは何かをもうちょっと考えて教育せいってことになるのかなと思いました。 将来を見据えた勉強よりも、なくしちゃいけない大事なことはたくさんあるはずです。 個人的に好きなシーンは学校をやめたハンスが昔好きだことをやったりするけど、昔のように楽しさを感じなくなっているシーンです。自分もこれ、なくなったら本当に終わりかなと思ってます。実際ハンスのような過激な経験をしなくてもわりと起こりうる現象なんですよね。例えば昔好きだった音楽やゲームって昔ほど熱中したり感動しなくなったりしますよね。これって結構危険なことなんだと思いました。いかにして自分としての余白を持って、そこを疑いの余地のないもので埋められるというのは精神活動の上で非常に大切なことなのかなと思いました。 最後はバッドエンドですが、ハッピーエンドよりも共感できるのでとてもいいですね。問いや考えることもより多くなります。 あとは風景描写はもちろん、物語の間にある解説/語り的なところは考察がすごく深くて圧倒的でした。そういう意味でも素晴らしい小説です。

    0
    投稿日: 2023.10.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    20世紀初頭に書かれた筆者の自伝的作品。神童と呼ばれ、進められるがままに勉学に明け暮れたハンス少年、その後の神学校での出会いと別れ、地元に戻ってからの性の目覚めと労働の喜び。自らの人格形成を客観的に見つめ物語に昇華させる才能に畏怖の念すら覚える凄まじい作品だった。第二章、ハンスが釣りに行くシーンの描写がとてもいい。川の水の音や、光の音、魚の引きを感じられるようだった。ここまで詳細に釣りを描くなんて、ヘッセの他にはヘミングウェイしか知らない。その後神学校に入り詩人オットー・ハルトナーと出会う。彼の存在は大きい。才能があり枠にはまらない彼との友情と別れが自分を見つめ直すきっかけになるが、その結果半ば廃人のようになり退学を余儀なくされる。地元に帰り機械工に就職したハンスは労働により人間性を取り戻す。最後は切ないが、作者とハンスの決別という印象を受けた。

    1
    投稿日: 2023.09.30
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    この本は学生の頃に一旦手に取ったものの挫折した本です。  読んで名作だなぁと感じました。 一人の青年が優秀で難関の神学校にも合格し将来有望だったのが、あるきっかけで崩れてしまった。 多感な青年期がうまく描かれている。ハンス青年に共感できる面も多々ありました。青年が自然を愛し、博愛主義の優しい心の持ち主であるので最後が悲しく感じる。こうゆう結末にならないと周りは反省しないのかも。

    2
    投稿日: 2023.09.26
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    大好きな本の一つ まず風景描写がとても良い 主人公ハンスの苦しんでいる姿が昔の自分を見ているような気持ちになる 学生時代に読んだ時と、受験を終えてから読むのはかなり感じ方が違うなあと思った 上手く言語化できないけど、懐かしい気持ちになる本

    0
    投稿日: 2023.09.24
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    繊細で切ない小説だった。 場面、心理描写が美しく物語の世界に引き込まれた。 自分が正しいと信じ追い求めていたモノが実はそこまで大切なものではなく全てが虚偽だったのではないかとこれまでのことを疑うハンスに胸が痛んだ。

    0
    投稿日: 2023.07.22
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    ハンスの儚い人生が悲しく美しい。 学業で自信や優越感をもちそれを武器に生きていくのかと思いきや、人間らしい感情によって居場所を失い、友人もいなくなり、誰にも理解されず苦しむ。もうがんばらなくていいけど、故郷で生きるためには再びがんばらなければならない。 2年間の遅れがありながらも機械工の見習いとなり、頑張るが緊張の糸が解かれたのか、願っていた死へと向かう。あの湖で死んだ同級生もこのような感情だったのだろうか。 恋、友情、若さゆえの苦しさを思い出す。

    0
    投稿日: 2023.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とある青年(優秀)が自滅していくお話。 解説を読んで知ったが、自叙伝に近いものとのこと。 こういう自滅的な小説を書く作家って、自らの人生も波瀾万丈な気がする。だからこそ後世に残る作品が書けるのかな。。凡人には無理ということか。。

    0
    投稿日: 2023.06.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初めて女の人に触れて、おとなになりたくないって泣いてるのがキュンとした 社会に殺されちゃった男の子 描写は瑞々しいけどストーリーは平坦といえば平坦 詩人気質なんやねえ

    0
    投稿日: 2023.06.18
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    成績(数字)や周囲の期待にとらわれて、自分を見失うところはわかる 何が幸せなのだろうか。。 風景描写が素敵

    0
    投稿日: 2023.05.14
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    人生は「こんなはずじゃなかった」の繰り返しであり、読者は読者なりの「こんなはずじゃなかった」を生きている中でこの小説に巡り会って、ヘルマン・ヘッセの「こんなはずじゃなかった」に共感したり、落ち込んだり、打ちのめされたりするのだろう。 しかし、ヘッセは惨めでボロボロでヨロヨロで辛くて辛くて堪らない経験をしても、それでも生きていたからこの小説を書き上げることができたのだ。それこそ最も重要なことなのではないか。

    0
    投稿日: 2023.05.05
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    理想と現実のギャップですな 自分の理想を叶えるために日々を邁進していたのに、皮肉にもその理想は自分が求めていたことと違ったというわけだね そんなギャップに戸惑い、人に支えられながらやってきたけど、その人もいなくなって、女や遊びを覚え、自分が最終的に何を目指していたかわからなくなってしまう これは対岸の火事ではない 我々にも往々にして起こりうることだ ハンスはどうすれば悲劇を回避できたのだろうか 理想を諦めればよかったのだろうか それがバンズを救うとするならば、諦める、ということの概念を問う物語でもあると感じた

    0
    投稿日: 2023.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ハンスのような勤勉な努力家がアカデミックになろうとするとハイルナーのような天才との差に落胆してしまうことはあるだろう。一見ハンスの方が社会で上手くやっていけそうに思えるが実際ハイルナーが成功する。かといってアカデミーの世界から離れるのは困難で、結局、元からアカデミーとは無縁の人々と同じように生きていくことも難しい(できるのかもしれないが)。ハンスにとって死は救いであるように感じた。

    0
    投稿日: 2023.04.09
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    神学校生活において、ある生徒が亡くなった際に、教師というのはなぜ生前は生徒を罵り、無下に扱うのに、亡くなると尊いもののように扱うのかというような事が書いてあり、深く共感した。

    0
    投稿日: 2023.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    辛かった。主人公のハンスが最後死んでしまうような話だったとは。特に最後ハンスの死に顔が「ほとんど朗らかにさえ見えた」p259 とあってより悲しくなった。 ヘッセのほぼ自伝小説ということだが、小説と現実の大きな違いは母親の存在の有無ということにひかれた。ハンスは心の救いがなかったために自滅という最期をとげるがヘッセは母親のおかげで立ち直れた。 受験後に読んだから受験勉強の辛さはよくわかったが、ハンスは私よりもっと勉強して常に頭痛がするようになり、休暇期間も勉強し続けていたため、その苦しさは計り知れなかっただろうと思った。規則ばかりで芸術や自由を無視する風潮は良くないのだろう

    1
    投稿日: 2023.03.23
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    まずまずの読み応えだった。ヘッセはもともと詩人気質らしいが、それが顕著に出ている。文章が詩的で難読な箇所もあるが、ストーリー自体は純文学と同じような感じがして味わい深かった。また読みたい作品。

    0
    投稿日: 2023.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    予備知識なく読み始めたので、ハッピーエンドで終わる話なのか、そうでないのか、ハラハラしながら読んだ。 結果的に、周囲の期待に押しつぶされてしまうハンスであるが、自分はそれを救えただろうか?と自問するも、その自信はない。 きっと自分を正当化して、神学校の校長のように振る舞うのではないだろうか。父親もハンスを救えず、実際にヘッセを救ったのが母親だったというのはなんとなく理解できる気がした。

    0
    投稿日: 2023.02.26
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    つらかった 子どもを追い詰めたくないな とにかく生きていてくれればいい 楽しいことが多ければより良い

    2
    投稿日: 2023.02.22
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    「車輪の下」がこんなに胸の苦しくなる話だとは知らなかった…ヘルマンヘッセが描く未熟な青年像って天才的に的確で、地の文も意外と生々しいけどどこかナレーターの眼差しがあたたかい気がして大好き。その分心に戒めみたいな傷ができた気がする…

    0
    投稿日: 2023.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学の時の教授が挙げていたので読んでみたいなぁと思っていた本。やっと読み終わった。 文体としては少し読みにくいけど、内容は職業柄、とても考えさせられる。教授が挙げた理由がわかった気がする。あとハンスのような人(自然を必要とするという意味で)が数人思い浮かんで親近感が湧いた。 全体的を通して好奇心という言葉がポイントだなと思った小説。好奇心・向上心は輝かしい一方、脆い。 内容として勉強、あるいは学校は一般的に神聖化されてて、雁字搦めで、対照に恋愛とかは俗物的なものと見られるのはわかるけど、なんとも言えないモヤモヤ感が残った。人にとって、何が良いんだろう? 穢されるといった表現が度々あったけど、どうしてこう思ってしまうのだろうな。ただ、ハンスのように周りを蔑んでしまう気持ちもわかる。 ハンスのいわゆる転落人生の最後、あるあるやけど急に第三者の神視点から外れるところがハンスが神に見放されたように感じてつらい… でも読めてよかったし勉強になった。

    0
    投稿日: 2023.02.12
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    なかなかの悲劇的な物語に感じた。子供の幸せや、教育とは、期待の功罪、自分の意思の様に思えて実は思わされている(誘導されている)現実、色々なことを考えながら読みました。

    0
    投稿日: 2023.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    勉強しすぎは死ぬ! 正確に言えば、労働の喜びや初恋の甘酸っぱい気持ちを覚えてこれからリア充デビューだ〜!ってところでお酒の失敗で川で溺れて死ぬ。やっぱり人間逞しく生き抜くには、素質に加えメンタルの大事さを感じました。

    0
    投稿日: 2023.01.22
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    いやぁ、面白いの一言。現代社会に通じる身の回りに迫る理不尽さを思わずにはいられない。自然描写や、釣り、気分の移り変わりなどは、思わず目を離せないほど、作品内に没入した。 主人公の末路は、何とも言えないやりきれなさとともに、運命を感じずにはいられない。個人的には、ある意味すっきりする終わり方ではあった。 また読んで、感想を書き直しに来ます。

    0
    投稿日: 2022.12.31
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    幼いことから体調不良になるまで勉強させられ、それ以外を許されなかったのが辛いと思う。 受験戦争が激しい日本でも多くの子どもがハンスのように小さい頃から勉強を強いられているであろうと考えされられた。

    0
    投稿日: 2022.12.30
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    読んでてめっちゃつら...になってしまった 自伝小説だから尚つらい ハンスが誰からも尊重されていない まじで子どもは大人の道具じゃないんだがって本気で嫌になった 本当にボロボロでつらい 友情も恋愛も縋れるものがなくてこれは人間不信になるし鬱にもなる 森見登美彦氏の「詩人か、高等遊民か、でなければ何にもなりたくない」はヘッセから来てるのか

    4
    投稿日: 2022.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヘッセ「デミアン」に続いて2冊目。 読みやすく、ハンスの気持ちも分かるところがあり後半は読んでいてすこし辛かったです。 特に学校を辞めて家に帰るところ。 また、ラスト知らなかったのですが悲しかったです。 ヘッセの繊細さ、優しさ、自然の情景の描写の美しさを楽しめました。

    0
    投稿日: 2022.09.06
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    親や周りの期待に押しつぶされるいたいけな少年。 子供の頃読むのと、大人になって読むのでは、随分と印象が違った。 同世代の子供より優れているからこその周りの大人たちの期待。それは重圧でもあるけれど、同時に優越感も与えてくる。そこからどんどん沈んでいくハンスが、期待に押しつぶされる子供を本当によく描いていると感じた。親や先生に期待されて、頑張りすぎる子供が存在するのは、今も昔も変わらないようだ。 期待されることは100%いやというわけではないのだろうが、精神がすり減らないわけではない。自分の本当にやりたいこともできず、ただレールを歩む。そして神学校から堕ち、周りより半歩以上遅れて人生を再開する。栄光からの転落。その姿はまさに車輪の下だ。 最後の最後、ハンスが取った行動は、偶然なのか必然なのか、全読者の最大の謎であり、論点だろう。

    2
    投稿日: 2022.09.03
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    最後の終わり方が切ない。 失意から復活し、新たな人生をスタートさせたと思ったのだが、、 過度な期待、それに応えられる自分。 自分がしたいこととしなければならないこと。 ハンス少年は苦しかっただろうなぁ。

    11
    投稿日: 2022.07.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    有名そうだったので読んだ。 自伝的な小説だからか、共感のような、身近に感じる部分が多々あった。 状況は一致してないけど、周囲からの重圧だったり、靴屋のおじさんを鼻で笑ったり、ハイルナーに惹かれる気持ちとかとか。 ヘルマンが立ち直らなかった場合の事を小説として書いてみたのかなと思った。 ハイルナーとかエンマに惹かれたのち、隣を去られる時とか、機械工になって、少し喜びを感じる所とか、そういう一喜一憂が万人のそれで、面白かった〜ってよりはそっかぁって感じだった。

    1
    投稿日: 2022.06.30
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    「詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」と言ったヘルマン・ヘッセの、あまりにも有名な半自叙伝小説。詩的な情景描写がたくさんでてきた。 繊細で感受性豊かな少年・ハンスは、幼い頃から神童ともてはやされ、期待され、猛勉強の末にエリート神学校に合格するも、そこでの規則ずくめの寮生活にやがて心を病んでいく。 退学して落ちぶれていくさまに胸が痛んだ。こういう話だったなんて知らなかった。 ハイルナーとの危うさも感じられる友情や、年上のエンマへの恋心と性の芽生え。成長していくハンスにとって、自然豊かな地元にもどれたことはきっと良いことだったはずなのに。見習い工としてやり直そうと奮闘し、未来はきっとこれからまだまだ拓けていくはずだったのに。

    7
    投稿日: 2022.06.24
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    ずっと読もうとおもっていたのがやっと読めた。 周囲の期待や重圧にこたえようと努力し続けてきたこどもが挫折し、暗い方へと落ち込んでいく話。 タイトルの『車輪の下』とはこういうことかと読んでみて納得。 全体的にハンスの気持ちが途轍もなくリアルで迫ってくるものがあるなと思ったけど、自伝的要素が強いらしい。 途中、自殺しようとして首を吊るための木を探してそれでやっと少し気持ちが明るくなるところなんかはわかるなぁと思ったしすごくリアルだなと。 一度はそういうことを本気で考えたことがある人だからこそかける心情なんじゃないかなと思えた。

    4
    投稿日: 2022.06.12
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     たくさんの勉強に取り組むことで周囲の期待に応えようとする気持ちと本当に自分がしたいことを探す気持ちの葛藤に苛まれる秀才児ハンスの物語。  誰もが一度は経験する気持ちを表現しており、ハンスに共感する人も多いはず。勉強と友達のどちらを優先するか、自分が何をしたいのか、苦悩する学生に薦めたい。  ヘッセは、子供の親や教育者が子供をエリートのレールに乗せようとしたり、将来の選択肢を狭めたりすることに警鐘を鳴らしたかったのではないだろうか。  

    1
    投稿日: 2022.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    学びはいずれ、人生を豊かにするものだと思っていた。現在 学歴で自分の可能性を閉ざされてしまうことに悔しさを覚えて勉強中であるが、それは本当に幸せへと繋がっているのだろうかと疑問を感じてしまった。 自伝小説ということは、ここに記されているハンスの心情はヘッセが少年時代に秘めていた思いの欠片である。ヘッセにとって少年時代はかなり辛かったのではないだろうか。

    0
    投稿日: 2022.03.26
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    著者ヘッセの自伝的小説と言うが、偏った思考の狭い世界における教育、社会の『車輪の下』の下敷きとなってしまった少年の苦悩、転落する姿が悲しかった。 この主人公の少年をもっと理解しようとする大人がいてくれれば。。せめて母親がいれば。。などと終始思わずにはいられない。息子に愛情を持ちながら凡庸な父親の子供への接し方、考え方もももどかしいものがあった。 なおこちらの翻訳、私には少々読みづらかったかな。

    0
    投稿日: 2022.03.26
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    100年以上前に書かれたものなのに、ハンスの心情に深く共感した。 なぜ題名が「車輪の下」なのか最初はわからなかったけど、勉強に疲れ切ったハンスに対して、 『疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪のしたじきになるからね。』 と校長が言ったことで、なるほどとなった。 形骸的な教育や社会制度の歯車の下敷きにならないようにと言う先生や親の言うままに勉強に身を削り、街に溢れる職人を半ば軽蔑していたハンスが、最終的には試験で苦労して通った学校を自主退学し、歯車を磨く職人として働くようになる。 本来、自分や社会を豊かにさせるための勉強であるはずなのに、ハンスが勉強すればするほど精神的に死んでいってしまうのが悲しかった。

    7
    投稿日: 2022.03.12
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    自然豊かな片田舎の少年ハンス。その天賦の才と勤勉さをもって、周囲の期待を一身に背負い、神学校へ入学する。 神学校でのハンスは、規律・学問という教育社会の車輪の下で苦悶する。詩人を望むヘルマンとの耽美的友情。彼の退学による孤立。ハンスは、精神的に疲弊していく。 田舎に戻り、機械工を目指す。労働への挫折感。見下していた同級生との葛藤。その中でも、製造という営みに人間らしさを見出しつつあった。 ハンスは、友人達との酒宴の帰路、溺死する。 若い頃読んだ時、ハンスは自殺の印象だったが、死因については、ふれられない。事故かもしれない。 再読してその理由は不要なのかと思う。 自伝的小説とのことだが、ハンスとヘルマン二人が、ヘッセを表現しているかと。ヘッセ自身は、神学校を退学し、詩人への道を模索するが、神学校という車輪の下に残された意識の破壊の表現と思えた。 ラストの場面は、印象的で、初読の後内容は忘れても、ミレーの「オフィーリア」に脳内変換されていたのだが、もう少し普通の川。

    22
    投稿日: 2022.03.04
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    秀才のエリートであるハンスは、周囲の期待に応えようと必死に勉学に励み、次第に心を壊していく。作者の自伝的小説とされていますが、敷かれたレールの上で挫折し、車輪の下敷きになるかの如く周囲の期待に押し潰されてしまう様は、現代においても既視感があります。

    2
    投稿日: 2022.02.13
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    全体的に低いテンション感で物語が進んでいった。 特に終盤にかけて尻下がりになっていった印象。 あんま面白くなかったなぁ 年取ったら面白くなるのかな?

    0
    投稿日: 2022.01.24
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    純朴で勤勉な少年が周囲の大人に恵まれず運命の車輪の下敷きになってしまう悲劇。画一的、詰め込み型の教育に対するアンチテーゼ。真面目な若者が普遍的に陥ってしまう可能性を示唆する作品です。

    0
    投稿日: 2022.01.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    親や先生、周りの人々の期待によって敷かれたレールの上を走る車輪の下敷きになってしまう少年ハンス。詰め込み式の教育はやはりまずいということを感じた。心の優しい人ほど車輪の下に轢かれてしまいやすいのではないかな。周囲の期待に応えようと必死になって、気づいた時には自分を見失ってしまう。 神学校で天才肌のハイルナーに出会ったことによって、ハンスはようやく車輪の下から脱却するが、失ったものも大きい。かつては神童として扱われていた故郷に、何も成し遂げないまま帰ってきたハンスは苦しむ。自殺も考えるようになる。 その後機械工として働いていくことになる。そして、仕事に満足感も感じるようになり、仲間たちとも上手くやっていけそうな雰囲気になったときに酔っ払って死んでしまうという皮肉な結末。 この小説は「子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝的小説」だと裏表紙に紹介されていた。自伝的小説なのになぜ主人公が死ぬという展開にしたのだろうか。 最後にハンスが死んでしまうのは大人になったからなのかもしれない。ハンスが現実を見て、機械工として生きていくことになり、もう子どもには戻れない大人になった。死の直前にはお酒を大量に飲む描写があるが、これは大人になった象徴と考えられるのではないか。 想像でしかないが、これは筆者自身の戒めかもしれないと思った。自分がハンスのように、子どもの心と生活とを忘れて完全な大人になってしまった時、書き手としての自分も死ぬという戒め。ハイルナーは筆者にとっての理想的な生き方なのだと思う。 詩的で、流れるように美しい文章。それがかえって淡々と日常が過ぎていく残酷さに拍車をかけている。 

    0
    投稿日: 2022.01.15
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    思春期ならではの葛藤、悩み、勉強、友情、初恋など様々な要素が詰め込まれている。 重圧をかけ続けた周りの大人たちとハンスを理解できる大人の不存在がハンスの身と心を破壊していった。 詰め込み式教育の問題点と、子供が子供らしく過ごす権利を大人たちが一方的に奪っていくことに対し、作者からの問いかけのように思えた。 詰め込み教育を実際に受け、ハンスのような内気な秀才タイプであれば、この作品に共感できるのかもしれない。

    0
    投稿日: 2022.01.14
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    目の前にありありと情景が浮かぶ描写はさすが有名古典。ラストはちょっとビックリしたね。ええ〜、、、?という感じで。映像を楽しむ映画みたいな感じで名文を楽しみました。

    0
    投稿日: 2022.01.09