
総合評価
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powered by ブクログ目の前にありありと情景が浮かぶ描写はさすが有名古典。ラストはちょっとビックリしたね。ええ〜、、、?という感じで。映像を楽しむ映画みたいな感じで名文を楽しみました。
0投稿日: 2022.01.09
powered by ブクログハンスの不幸は周囲の人たちが彼を理解していなかったということ以上に、彼自身が自分のやりたいことやりたくないことを理解できていなかったことなんじゃないかと思った
1投稿日: 2021.12.08
powered by ブクログ自然の描写が多いです。主人公にとって重要な要素なのだと思います。 読み終わって一番感じたのは、主人公が可哀想だということでした。
0投稿日: 2021.12.02
powered by ブクログシュヴァルツヴァルトののどかな風景も、神学校のほの暗さがただよう喧騒も、エンマとの甘酸っぱいやりとりも、どの場面も表情豊かでゆっくりと一文一文を噛み締めたくなった。 授業で丁寧に読み込んだら面白そう。「少年の日の思い出」が教科書に収録されているのも納得。
0投稿日: 2021.12.01
powered by ブクログ詰め込み教育はよくないねって話。 緑豊かで冴え冴えとした自然描写。 淡い恋。 中学の頃に読んでたらもっと評価高かったと思う。 子供の頃、一度でも自分を賢いと思った人間は読むべき。 終わり方はあっけなくてちょっとびっくりする。 最後の何もわかってない父親の様子が刺さる。
0投稿日: 2021.11.12
powered by ブクログ中学生くらいの少年の成長過程を描いた作品だけど、すべての傷つきやすい人にとって、共感できる話だと思う。繊細で感じやすい少年の心理描写が秀逸で、さすが名著だと思った。急な結末には驚いたけど、必然的にも思え、他の作品にはないところだと思う。
1投稿日: 2021.11.01
powered by ブクログ子育ての難しさを痛感させられるお話でした。 わからずやな大人が子供を縛りすぎたのか、わがままな子供が我慢弱かったのか。 大人は良かれと思って子供に指南しているかもしれないが、子供にとっては苦痛なこともある。じゃあ子供の意見を単純に尊重して、苦痛のない人生を歩ませてあげれば良いというわけでもない。難しい、、 この作品が伝えたいのは、子供を縛り付け苦しめる大人がいるということ。子供に勝手な期待を寄せ、思うように成長させようとする大人、彼らが作り出す環境下における子供側の感情変化を読み取ることができる素晴らしい作品だと思います。
1投稿日: 2021.09.13
powered by ブクログ前半、ハンスの神童ぶりに驚く。こんな神童に感情移入する少年時代を送っていた人は読者の何%なのだろうか。少年ハンスに尊敬の念を抱く。自然の中で遊ぶことも少なくなり勉強に没頭する。 中盤は学校生活。愉快な仲間とともに過ごすが、反抗的な友人の影響や、勉強に疲れ果てていたことが重なって心身の疲労から田舎に帰ってしまう。この場面は学校生活の嫌な部分もたくさんあるが、仲間の面白さに笑ってしまう部分もある。 後半はハンス少年の心の回復・恋・はじめての仕事。大人の入り口だ。休日、仲間に誘われてたらふく食べて飲んで遊んだ帰り道、誘われるように川に落ちて死んでしまった。 作者の自伝的な作品。作者が過去を精算するために書いたのだろう。ヨーロッパの田舎・学校の仲間・勉強…そんな少年の頃の思い出がつまった本。
1投稿日: 2021.08.16
powered by ブクログ教育界に携わっている人に強く勧めたい一冊。 主人公のハンスが当時の神学校の教育方針により人生を狂わされる作品。自分の子ども、生徒との関わりを改めて考えさせられる。
0投稿日: 2021.06.29
powered by ブクログ初めてのヘルマンヘッセ。1905年M38発表。 ドイツ南部小さな村で神童と呼ばれ期待を一身に背負い 内面は弱いながら村人を上から目線で高倍率の寄宿神学校に進学する主人公。寄宿舎で詩人になりたい型破りの友と出会い価値観を疑い周囲の軋轢により精神崩壊してゆくほぼヘッセの自伝本。少女マンガに大きな影響を与えギムナジウム物へ萩尾望都さん「トーマの心臓」 「ポーの一族小鳥の巣」と竹宮惠子さん「風と木の詩」はその類似性を巡りついに大泉サロンは崩壊してゆく。
4投稿日: 2021.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんかやるせな〜い感じ ハイルナーが今後の人生の中で時折ハンスのことを思い出して、彼が今頃どうしているかなんて考えたりするかもしれないと思うとたまらない。やめてくれ〜 ハイルナーは潰れなかった天才だよなあ。ハンスは、天才には変わりないけどどちらかといえば秀才っぽいなーという印象を受けた ハンスの人生に何が残ったんだろう ハイルナーとの友情?周りに引き裂かれてしまった 全体を通して風景がとても綺麗に書かれていたから、余計に人の俗心が際立ってた気もする ハンスを応援する目線だと周りの大人嫌だな〜と思ったけど、人間そんなもんだよな〜みたいなとこもある 良くも悪くも人間なので 静かな夜にひっそり明かりをつけて読むと、なんとなくハンスに近づけたような気がする。気がするだけだけど
1投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ようやく読み終わった。四月の読書量三冊ってマジか、新しい生活が始まったからとはいえ、少し寂しいものがある。頑張れ五月。 集中が続かない。最後の方は何となくで読み進めてしまった。良くないことだけれども、取り敢えず、今は良い。 ハンスとエンマの描写堪らないです。 エーミールが出てきて調べてみたら「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな」はヘッセの作品だという事を知った。そうだったのか。無知でした。
0投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ少年は周りからの期待を背負い、一心に勉強する。 そして悩み、振り回され、自分を見失い、理想の社会から弾き出される…。 悲しく、儚く、美しく、虚しい、一人の少年が精一杯生きた物語。 映像学科1年
0投稿日: 2021.02.02
powered by ブクログ1/5~1/11 16冊目 友人の勧めで購入。海外の作品を翻訳した本を読むのはこれが初めて。 自然豊かな場所で育った主人公ハンスが神学校に入学し、様々な経験と挫折をしていく物語。 故郷では天才ともてはやされたが、精神的に成長する時期に教育のみを詰め込まれ、そのまま神学校に入学してしまったことで悲惨な人生を歩んでしまいました。 なにをするにしても大成しないという、悲しい展開が続き物語が終わってしまい、読み終わった後は何とも言えない感情が残りました。 この作品のさらにすごいところが、作者であるヘッセの自伝でもある点。 これは巻末の解説を読んで初めて知りました。 ヘッセ自身も神学校のなかでハンスと同じような経験と挫折をし、「車輪」のような社会に嫌気がさしたことだと思います。 この本の中でその時代の教育を批判している部分がありますが、これは現代教育においてもいえる部分があり、将来子供を育てる立場になった際にまた読もうと思いました。
0投稿日: 2021.01.11
powered by ブクログ自分を押し殺してきたことによる歪みが、感情や情景描写の豊かさ、美しさの中でより一層痛々しくひしひしと伝わる。生きているうちに救われて欲しかった。
0投稿日: 2020.08.31
powered by ブクログ周りの大人たちによって形成された万能感と傲りと虚無感がどんどんとバランスを崩していく様が見ていて苦しかった。結末にどうしようもない安堵感を覚えてしまった。 巻末の解説も含めてとても好きな本。ヘッセの他の本も読みたい。
0投稿日: 2020.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ある少年を主人公に、詰込み勉強の末に勝ち得る新学校への入学、入学準備期間のさらなる勉強、入学後の勉強、、、 100年以上も前に書かれた本だけれど、なにか登場人物が共感できる部分が多かったし、全く違う文化圏での人生を物語っているけれど、なにか身近に感じられる苦しみとか生きづらさみたいなのが描かれているように思った。 今のほうが断然、社会は自由になったのかな、と思う。 でもよく考えると、自分が学校に通っていたころの年齢なんて、学校の先生が正しくて、社会について疑問を持ち得るような思考力なんてなかった。多くの子どもたちも今、同じように、社会が自分を下敷きにするようなことなんて想定していないはずだし。 最近、いろいろな大人の過ちや災害って、子どもに対してすごく不条理に影響を及ぼすなーと改めて感じている。 コロナの影響で急に学校が亡くなった子どもたち、これまで必死に練習してきた部活動もなくなり、そこで勝つために苦しみも乗り越えてきたほどの大会もすべて中止になり、、、 これは、小説の中の社会の教育の在り方とか、子どものしつけ方とか、大人が形作っている社会規範から生まれる社会の在り方とかが、直に子どもに被害を及ぼしている、同じ構図のように思った。 そして急にそのやり方は間違っていたんだ、とか、今日から変更だ、なんて言われても取り戻せない時間と経験、現に刻まれた精神的な記憶が一人一人の人間の中にあることを考えると、子どもに対する社会の責任、大人の責任って、とても重いことを常に心に留めておかなければいけないと思った。 美しい自然も、そんな少年の心と記憶を癒せないぐらいひどく傷つけることは絶対避けたいなー。 私なんかが言えることではないけれども、本書の出版から100年たった今の日本、まだまだ多くのすべきことが残されていると感じた。
0投稿日: 2020.05.03
powered by ブクログ読んで楽しい!という本ではない。 辛い思いをしたことがあったら、それを少し思い出してしまうかも、そんな場面がある。 それまで悠々と過ごしていた主人公が、友人との友情がもう取り戻せないと気づいたときの描写が悲しい。 彼は、人の忘れることのできないらまたどんな後悔も償うことのできない罪や怠慢のあるということを悟った。
0投稿日: 2020.03.29
powered by ブクログ抑圧された純粋な魂、みたいな。 こういう文学系の作品は、読み進めている時は退屈だと感じるけれど、読み終わって思い返すと染み入る事が多い気がする。
0投稿日: 2020.03.11
powered by ブクログヘルマンヘッセの自伝的小説。神学校に進んだ彼は詩人になる事を夢見ていたが、神学校での詰め込み授業や寮生活の規則に反抗的となる。主人公ハンスと、さまざまな登場人物の思想を描く事により、彼の学生時代の気持ちを洗い出している様。文体は単純でありながらも自身の気持ちと社会からの期待の相違に苦悩していく様子がたっぷりと描かれている。エンマとの出会い後もすんなり行くラブストーリーではなく、恋に落ちている情景さえも押さえ込もうと逆説的に描かれている所が、感受性の強すぎるヘッセの人間性を描き出していると思う。
2投稿日: 2020.03.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
有名でタイトルだけは知っているが読んだことなかった本。 自分の軸を自分の中に育てる時間をを与えられず、自分に対する評価も判断も行動も気持ちも人生も、何もかもが他人に振り回されてしまったハンス。自分を抑えて人の期待に応えることばかり学んでしまったために、他人を思い通りに動かしたい人間の餌食になってしまった。そして心を病み、自らを見つける暇もなく、文字通り精も根も尽きてしまった。 ハンスの周りで本当に彼のことを考えてくれていた大人は、くつ屋のフライクおじさんだけだろう。他の大人たちも一応彼の将来を良いものにしてやろうと動いた。けれど、彼自身を置き去りにしたままだった。自分で何ひとつ選べない人生。 そんな風に読んだ。
0投稿日: 2019.12.30
powered by ブクログ2019.12.23 73 ようやく読み終わった。 風景や、子供の心情に、稲穂のような色の感想を持った。
0投稿日: 2019.12.23
powered by ブクログ勉強ももちろん大切だけど、人との関わりや遊びからも人は成長することができるのだと改めて感じた。神学校で挫折して、いよいよこれから生きる喜びを学んでいくのかな、というところだったのに。残念。まさに車輪の下敷きになってしまった。それでも最後の夜は彼にとって唯一の救いだったんじゃないかな。
5投稿日: 2019.11.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
姉に薦められ出会う。読了。 街一番の秀才として皆に誇られ厳しく育てられてきたハンスは、神学校(まるで今でいう進学校である)に入学し、全寮制のもとやはり厳格な教育を受ける。 気弱で素直で優秀だったハンスは、不真面目な文芸家ヘルマン・ハイルナーを唯一の親友と覚え、やがて凋落していく。 「疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね」(P144) 心配する先生たちを相手にしないハンスはやがて失望を買い、ますます堕ちてゆく。ハイルナーが放校に処せられ、いよいよ精神も身体も耐えきれなくなったハンスは、学校を去る。 『学校と父親や二、三の教師の残酷な名誉心とが、傷つきやすい子どものあどけなく彼らの前にひろげられた魂を、なんのいたわりもなく踏みにじることによって、このもろい美しい少年をここまで連れて来てしまったことを、誰も考えなかった。なぜ彼は最も感じやすい危険な少年時代に毎日夜中まで勉強しなければならなかったのか。なぜ彼から飼いウサギを取り上げてしまったのか。なぜラテン語学校で故意に彼を友だちから遠ざけてしまったのか。なぜ魚釣りをしたり、ぶらぶら遊んだりするのをとめたのか。なぜ心身をすりへらすようなくだらない名誉心の空虚な低級な理想をつぎこんだのか。なぜ試験のあとでさえも、当然休むべき休暇を彼に与えなかったのか。 今やくたくたにされた小馬は道端に倒れて、もうものの役にもたたなくなった。』(P171) 故郷に帰ったハンスは、死にたくも死ねず、恋も実らず、見習い工としての新たな生活も道半ばに、酔った帰りに川に落ちて生涯を終える。 なんとももの寂しいこの物語は、ヘッセ自身の実際の幼少期の経験を大いに元としていることが、巻末で解説されている。 彼は果たして何を学んだだろうか。周囲は果たして何を与えただろうか。優秀であり素直でありながら、自分という存在の何たるかに悩まされた孤独なハンスの苦悩を、詳しい情景描写によりありありと読者に想像させる、寂しくも印象深い物語であった。
2投稿日: 2019.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ヘッセの代表的自伝小説 ーー作中より 学校と父親や二、三の教師の残酷な名誉心とが、傷つきやすい子どものあどけなく彼らの前にひろげられた魂を、なんのいたわりもなく踏みにじることによって、このもろい美しい少年をここまで連れて来てしまったことを、だれも考えなかった。 疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね。 ーーー 全体的に暗い内容で、精神的にも現実世界においてもだんだん落ちていくハンスになんとも言えない気持ちになる。いくらでもやり直せるタイミングはあったように思ってしまうが、多感な年頃またその繊細さゆえに、自分の力では再び立ち上がることができなかったのかもしれない。周囲に救い上げる大人、神学校を辞めた後、優秀な模範生でなくなった後の彼自身を、その存在だけをそのまま認めてあげる人がいなかったことがとても悲しい。 神学校で出会う親友ハイルナーと主人公ハンスは対照的な人物に思えるが、どちらもヘッセの中の人格であるというあとがきが興味深かった。 ハンスの一面を持ちながらも、彼は85歳まで生き、ノーベル文学賞を受賞する文学者として知られている。 単純な感想として、受験勉強で苦しんでる学生とかは読まないほうがいい気がした。ちょっと病む。
2投稿日: 2019.10.28
powered by ブクログ最近で一番気に入った本。 もともとの文も綺麗だけど、翻訳の高橋さんの腕の良さが際立つ。本当に綺麗な世界観で、ヨーロッパ行きたくなる。 内容は、共感する人、しない人で大きく分かれるんじゃないかな。
1投稿日: 2019.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
学校や制度、または社会を「車輪」に見立てたヘッセの自伝小説 神学校受験前に水車を壊すシーンが、自然児である自分との決定的な決別の象徴であり、多感な少年にとって残酷な場面であると感じた。 ハンスは、無垢で感受に富む少年たちを均一化する教育(神学校や教師)や社会と自分らしく生きるために戦い、そこで疲弊し上手く立ち回れずに車輪の下敷きになってしまったのだろう。
2投稿日: 2019.07.19
powered by ブクログあぁハンス…。自分は何かも中途半端だったからあそこまでの虚無感は無かったけどあれは苦しかった。今でも母親にゴミ捨て場の人になりたくなければ勉強しなさいとどやされるがなんかもう何でもいい気がしてきた。
1投稿日: 2019.06.21
powered by ブクログかわいそうなハンス。さみしいハンス。誰にも慮られることなく冷たくなっていくハンス。ハンスがたどる運命の道はわたしがかつてたどりそうだった道だけに読んでいて同情してしまった。教育というものは大事だけれどそれよりも遊んでこの世の歓びを知ることはもっと大事だということをこの本は教えてくれる。少年期の心の浮き沈みを書いた本は多いけれど、これほど冷静に振り返っているものは初めて読んだ。 かなり昔の本だし、読むのに苦労するだろうなと思っていたけれど、文語体なのにテンポがいいのか読みやすくてあっさり読了。 (以下、好きなところ抜粋) 彼はきわめて利口であったから、精神的な所有というものはすべて相対的な価値しかないということを忘れなかった。/彼らの中にはには、平等の意識と同時に、独立を望む心が現れた。そこにはじめて、多くの少年の子供らしいまどろみの中から、個性形成の芽ばえが目ざめたのである。筆紙には書けないような愛着としっととのささやかな場面が演ぜられ、それが発展して友情の契りになったり、おおっぴらにいがみあう敵意になったりした。/これを見たおとなの人があったら、このささやかな情景と、はにかんだ友情の表示のぎこちない内気な愛情と、ふたりの少年のまじめな細い顔とに、おそらくひそかな喜びを感じただろう。/ふたりの早熟な少年は友情の中に、初恋の微妙な神秘の一端を、わくわくする恥じらいをもって無自覚ながら、すでに味わっていたのだった。そのうえ、ふたりの結合は成熟する男の苦味のある魅力を持っていた。また同様に苦味のある薬味として、仲間全体に反抗心を持っていた。みんなにとってはハイルナーは親しめない男で、ハンスは不可解な男だった。それに、みんなのあいだの多くの友情は、そのころまだすべての無邪気な少年の戯れにすぎなかった。/先生たちが最も恐れるのは、それでなくても青年の発酵の始まる危険な年齢のころに早熟な少年に現れる異常な現象である。
1投稿日: 2019.05.13
powered by ブクログ読了。ヘルマン・ヘッセの自伝的小説である。どんな外国語文学に共通して言えることと思うが、当時のドイツの情勢やヘッセについて知識があるかないかで小説の理解が異なると思う。小説を読む前に、解説から読むのも1つの方法と思う。 悩みながら成長する微妙な少年の心の弱さ、もろさ。それに対する大人達の態度が子供を押しつぶしてしまう。 ヘッセの言いたかったことは何だろうか? 読み終わっても何度も自分に問いかける。時を置いて再度読み返したい本。
2投稿日: 2019.01.19
powered by ブクログ親や教師の期待に応えようとする少年が、思わぬ方向にどんどんずれていく話で、個人的にはどこか共感できるところがありました。 暗いけど、深い話でした。 ドイツの美しい自然や街並みの描写が巧みで、そういったところにも味わい深さがあります。
1投稿日: 2018.12.02
powered by ブクログ夏の100冊シリーズの常連作品ですね。 私がこの作品に初めて出会ったのは、中学生の時、内容が難しくて敬遠したのを覚えています。 時がたって大学生になってすぐの頃、再び手に取る機会があり、読破しました。 ハンスは、父親をはじめとする周囲の大人たちの大きな期待を背負い、毎日ただひたすら勉強の日々を 送る。 勉強に集中するため趣味も友達との遊びも取り上げられ勉強の日々。 その会があり、ハンスは見事試験を突破し、神学校に入学する。 寄宿舎生活を始めるハンスだが、1人の人物と出会う。 ヘルマンは、自由奔放な性格、その影響を受け、ハンスの成績は下降していく・・・ 今までの自分の生き方に疑問を持ち始め、やがて神経が衰弱していく。。 人は生きるときに、その時々にしか経験できないことを経験する。 抑圧や、期待などから、それを封じられ、いざ遅れてそれが許される状況になって人はどうなっていくのか よい意味での緊張もやりがいも、ぷっつり切れたら。。。 挫折は人を成長させる。。
0投稿日: 2018.10.28
powered by ブクログタイトルはかなりなじみがあったけれども、ちゃんと読んだのは初めてだった。 海外の訳語小説は読みにくいという先入観から敬遠していたけれど、思ったより読みやすかった。 多感な時期に、周囲の期待を押し付けられ、自分本来の大切なものを損なわれたこどもがどうなっていくか、そのときに感じる感覚なども含めて、とても丁寧に描かれている。 もう中年期に差し掛かっている自分としては、あの頃の感じをすっかり忘れてしまった気がしていたけれど、読み進めるにつれ、そうだった、こんな感じだった、と思い出させてくれた。
4投稿日: 2018.09.24
powered by ブクログ社会に順応できない主人公の悲劇を描いた作品。 あるべき姿、であれないことの苦悩が長編として描かれている。社会が高度化し、緻密になって行くほど、このような人は増えて行くのかもしれない。 程度の差はあれ、誰もが主人公の心情の一部を理解できるのではないか、と感じる。
3投稿日: 2018.09.20
powered by ブクログ思春期の少年が成績に、恋に、自分の将来に悩んでいく姿を叙情的に描いている。心の葛藤が良くわかった。私たちも皆、この少年ハンスに同情するところが多くあると思う。時に心身のバランスを失い揺れ動くところもあるのは人間らしい。この本からハンスという少年は純情だなと感じた。
1投稿日: 2018.09.08
powered by ブクログ12〜13歳の多感で傷つきやすい時代に父親や神学校の先生たちから抑制され次第に内にこもるようになる主人公。自伝的小説と裏表紙に書かれていたので衝撃のラストに呆然としてしまった。どん底の状況からの復帰を願い、そうなるであろうと読み進めるうち、神学校から帰ってのうだうだした日々とか就職後の同僚との掛け合いとか退屈する展開で頁か消費されていくうちの顛末で微妙な読了感です。 ただ、自然の美しい描写は難解な言葉を選びつつも情緒がある。 子どもを育てるあらゆる立場の人が読んでためになると思われる。
1投稿日: 2018.08.05
powered by ブクログ文豪ヘルマンヘッセの代表作で、神学校に行った勉強に追われ友情とを選択しなければならないはざまで揺れる少年の気持ちを描いた大作。 まだ恋愛感情等を抱きえない少年の、周りの期待に応えなきゃという気持ちと、勉強でなくても個性を気に入ってくれる友人への気持ちというのは、現代に通じることは少なくても想像することが難しくないくらいには、わかりやすいテーマであると思います。それをうまく描き切ったという点で、ふつうの小説家ではできないものです。
2投稿日: 2018.07.22
powered by ブクログ中学生の時から半世紀を経ての再読。中学生の時にはハンスの心の動きを中心に読んだのではないかと思う。今はまわりの大人たちにも目が行った。ハンスのためか己のためか行動する大人。そしてハンスを取り巻く自然。表現豊かに描かれている自然が胸をうつ。詩人の目。
1投稿日: 2018.07.07
powered by ブクログ初めて読んだのは多分中学生の時分であります。その時の印象は、①主人公ハンスはいつも頭痛に悩まされてゐる。冴えない奴だ。②成績が落ちたのも、学校を辞めたのも、あんな最後になつたのも総て自己責任だぜ。周囲の大人の理解の無さに責任転嫁するんぢやないよ。 何しろ自分自身中学生だつたので、将来に対する展望が無限に広がつてゐる気がして、何の根拠もない自信に包まれてゐたのでせう。俺はあんな風にならないぜ、てな感じですかね。田山花袋『田舎教師』を読んだ時も似た読後感を持つたものです。 流石に今ではさう思ひません。自分が結局傑物でも何でも無いことが自他ともに曝け出された、といふ事もありますね。 周囲の期待を一身に背負つたハンス君にも相当な圧力がかかつた事でせう。父親もそれに輪をかけた期待ぶり。ハンス君は見事に応へ、神学校に2位の成績で入校します。内心、それならもつと頑張つて1位を取りたかつたと悔いるハンス。2位ぢや駄目なんですかbyレンホー。 しかし入学後、ハイルナーといふ詩人の卵と友人になつてから、彼に感化されて勉学に身が入らなくなります。ハイルナーはその行動が問題視され、不良生徒として放校扱ひになり、ハンスもノイローゼになつて学校を去ります。失意の中、父の元へ帰るハンス。 しばらくぶらぶらしてゐたハンスですが、父から書記か機械工にならないかと提案を受け、機械工を選択します。 当初は慣れぬ作業にヘロヘロになるハンス。しかし次第にさまになり、仲間とも打ち解けるやうになりました。 ある日、同僚で友人のアウグストに飲み会に誘はれます。父は許可するが、夕食までには帰宅するやうにと言ひつけるのでした。しかし、ハンスは夕食の時間になつても帰つて来なかつたのです...... 作者ヘッセ自身の体験が色濃く反映されてゐるだけに、ハンスの心の動きは苦しくなるほど読者に伝はるのであります。結局車輪の下で潰されてしまつたハンスでありますが、悲劇が起きるまで車輪の存在に気付かぬもの。大人は、子供のためと称しながら実は自分の利害を優先して指導・教育をする。それが子供たちを圧し潰す車輪であることを意識せずに。 でも、最近は打たれ弱い子供が多いよね......なんて事を言ふと尾木ママに怒られますかな。 いづれにせよ、わたくしの意見としては、青春時代よりも社会で揉まれた後に読んだ方が理解しやすい作品であると存じます。学生時代に読んだがピンと来なかつた人は、今一度読んでみてはいかがですかな。 デハデハ、今日の日はさやうなら。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-733.html
0投稿日: 2018.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あらすじにあった「期待に応えようとしてきたはずなのに、他人には理解してもらえそうにない理由で、志半ばで心が折れてしまった少年」にどうしても自分を重ねてしまって、なぞる必要性に駆られて。 読んでいて終始感じていたのは、子供はなんと多くの恐怖や恥に一人で耐えないといけないのか、と主人公ハンスを「かわいそうだ」と思う気持ちで、それは乱暴に表現するなら「お母さん目線」(お父さん目線でもさほど問題はないにせよ、自分が女であること、そして舞台事情、等々)なのかしら、と思うと共に、ハンスに与えられなかったのがまさに「母」であることが解説されていて改めて納得しました。ハンスはほぼヘッセ本人が投影されている人物であるものの、幸いヘッセには母親がいたことで少年時代のいわゆる「危機」から救われたのだとあります。言われてみると、私も母の存在に救われた部分は少なくありません。その点についてはそれこそ恥ずかしくて、とても多くは語れませんが。 そして「かわいそう」と強く思ってしまった理由がもう一つ。「危機」を自力で乗り越えられなかったハンスに対して彼のいた社会があまりに厳しかったということ。過去形にしたものの、今の世の中はますます彼のような存在に対して厳しいだろうと思ったこと。中途半端な無関心や注目、期待ばかりに晒されてきたハンスに真剣に寄り添おうとした者は誰もいなかったはずです。寄り添うとは、必ずしもあれこれ干渉するということではなく、彼が生き抜くための最後の助け綱となることです。SOSに気付くということです。そんな役割を誰も果たせないのなら、せめて社会は彼をもう少しばかり放っておけなかったのか、と。誰からの視線も気にしなくていい状態を長く続けることは出来ないかもしれないけれど、あまりに感覚が研ぎ澄まされてしまった人間にとって、一旦他者との積極的な関わりを遮断するのは、少なくともハンスがふるさとに戻った後の生活よりはまだマシだったのではないかと思わずにはいられません。たられば、の話しをしたいのではなく、つまるところ、物語の終わり方が悔しくて仕方なくて、それも彼の苦しみはきっと現代のどこか遠くないところで続いている、と思うと尚一層心が締め付けられてそう簡単には戻らないのです。 特に、中途半端な期待のもつ責任は重いはずなのに、期待する側は大体の場合において無責任です。なぜなら期待すること自体は恐らく悪ではなく、むしろ期待される側にとっても善いようにしか作用しないはずだからです。だけど宙に浮いた期待は知らず知らずのうちに両者も思わぬ働きを見せ、次第に期待される側を苦しめることがあるわけです。それゆえ、期待の意思を示した者はその後をきちんと見届けなければなりません。ときには期待の呪縛からきちんと解いてあげないといけません。呪縛を解けるのは、期待した者本人のみである場合が多いはずだから。だけどハンスのそれは多分最後まで解けていないし、彼の周りの人間は諦めてあげるということが出来ないままだったことが最後のいくつかの発言から汲み取れます。 後は、覚書程度に。ところどころ「恐るべき子供たち」と「人間失格」が過ぎったこと。でも、「人間失格」は苦虫を潰したような感じで読み終えたのに対して、この作品は、ヘッセにとって浄化のような意味があったのと同じように、私自身の昔のことも勝手に許していいような気持ちには少しだけなれたのが救いだったということ。 、、、年始最初に読む本としては、それなりに重かったかもしれないけれど、後悔なし。
1投稿日: 2018.01.17
powered by ブクログ母の存在とか、ちょっと違うところもあるが、ヘッセの自伝的小説。 彼は、詩人になるか、でなければ何にもなりたくない と神学校を15才で脱走(*´Д`*) 破天荒(^◇^) そこが天才なのかなぁ。 俗人のヨーゼフ・ギーベンラートの息子ハンス・ギーベンラートは間違いなく天分のある子供だと皆が期待した。 過去8.9百年の間、天才というものはいまだかつて産んだことのない古い小さな町に神秘の火花が落ちてきた、ということになった。 それで、金持ちでなかったから、ただ一つの狭い道があるきりだった。州の試験を受けて神学校に入り、次にチュービンゲン大学に進んで、それから牧師か教師。これがエリートの道。 めちゃくちゃに受験勉強し、好きな釣りやもろもろの楽しみは奪われた。 ハンスを心づかいと親切心をもってみてたのは、靴屋のフライク親方だけで他の人は、ハンスが子供だってことを忘れてると思った。 試験は受かったけど、子供らしい楽しみをせずに勉強ばかりしてて不幸だな。 試験に落ちたら一生平凡なみじめな人間のひとりで終わるだろう。ずば抜けた人間になるつもりだったのにって思ったのも不幸だな。 その時代が監獄としてハンスを閉じ込めて飲み込んでいったのかもしれないけど、これは昔の話でない。子供を持つ親や教師にうってつけの本かな。 あと、ハイルナーとの友情はハンスにとってどうだったんだろう。 あの結末には、驚いたし、小さいのにあの結末は悲しい。
1投稿日: 2018.01.11
powered by ブクログ文章がとても詩的でした。(詩人なので当たり前ですが)少年ハンスが抑圧に耐えかねた様子は、読んでいてあまり気持ちのいいものではなかったので、なにかしら救いのある物語を読みたくなる読了感を持ちました。
0投稿日: 2017.12.07
powered by ブクログ名作を大人になって読み直すシリーズ。 詩人ヘルマン・ヘッセの自叙伝的小説。繊細な秀才である主人公と、芸術家肌の親友に、自身が投影されているという。受験、集団生活での諍い、友情、失望、挫折、再生などなど、様々な要素が詩的な文章で語られる。 あらためて読むと、、、BL小説的な部分やDT小説的な部分があったのは驚いた。
0投稿日: 2017.11.30
powered by ブクログ文学、それも大学受験などで文学史で登場する作品というとなんだかとっつきにくいイメージがあるが、この作品はわりと近しい題材で読みやすいと思う。 まず、主人公ハンスを取り巻く街や自然の情景描写が美しく、丁寧に読んでいるとその風景が目に浮かぶ。ブリューゲルの風俗画が好きな人なんかはグッとくるのでは。 それに対するハンスの時に暗鬱な、時にこみあげるような感情はかなり重い。ハンスは他の少年よりも勉強はできるが狡猾でも偏屈でもない。寧ろ純粋である。純粋が故、周りの期待に応えようと頑張っているだけである。その周り(や、まわりまわって自分の立場)を気にする性格が物語終盤でわっと湧き出て、この結末を引き起こす原因ともなっている。 文中や解説にも勉強ばかりを子供に強いることに対する批判なんかもあるが、子供は従順なだけの馬鹿ではない。勉強をしていい結果を出せた時の達成感や優越感はあるものだし、やはり多かれ少なかれハンス自身、この道を選んでいる。確かに子供のうちに遊びつくせなかったことによる影響はこの物語の後半にも出ているし、勉強ばかりをする又はさせることに対する批判はこの話に止まらず今も昔もフィクションでもノンフィクションでも蔓延っているが、この手の批判をする権利があるのは、勉強しかしてこなかったために人生に躓いてしまい今現在みじめな生活をしている張本人だけだと私は感じる(もしかするとヘッセもそうだったのかもしれないが)。 格好の議論の材料も冒頭からすぐある本著作であるが、それよりも、ハンスが故郷へ帰ってきてもう今となってはあの頃と同じ子どもには戻れないことを悟った場面が一番苦しかった。多くの大人なら共感できるかもしれない。
0投稿日: 2017.09.24
powered by ブクログ太古から受け継がれている文学、というだけあり、爽快だとか幸福だとかは言い難い作品でしたが始終圧倒されました。 なにより高い文章力・・・自滅、という言葉がぴったりな主人公ですがどこか儚く、美しく、耽美でした。
0投稿日: 2017.09.14
powered by ブクログよく課題図書に上がっていたので読んだ。これは、「受験」があるから選ばれるのかな。 神学校の学友たちが個性豊かで面白い。 ハンスとハイルナーがヘッセを2人に分けた、という解説も良かった。 「愛は憎しみより美しく、理解は怒りより高く、平和は戦争より高貴だ」
0投稿日: 2017.09.12
powered by ブクログ勉強だけを手段にして育ってきた少年が道を踏み外すとどうなるのか、1人の人間の顛末見た。ヘルマン・ヘッセの文体の魅力は読者を知らない間に別の次元に連れていってくれるところにあると思う。例えばハンスを少年と言ったり彼といったりすることで三人称小説という枠組みをふんだんに活用しているように感じた。
0投稿日: 2017.09.11
powered by ブクログヘルマンヘッセの自伝とされる。シンクレールは友人やその母親との出会いを通じて自分という存在を捉えていく。
0投稿日: 2017.08.20
powered by ブクログ何の予備知識もなくヘッセの代表作を読んだ。 読後感は、哀しい。見習い工として「労働の賛歌を聞き、味わった」のも束の間、哀しい結末のハンス。気になっていた「車輪の下」というタイトルは、「疲れてしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね(p144-145)」の校長のセリフに比喩的に表れてる。 背景的にはドイツの徒弟制度と職業人教育、日本で制度化されたばかりの専門職大学について考えさせられた。
0投稿日: 2017.08.15
powered by ブクログ名著に挑戦!という気持ちで読んだ。 なんだろう、 古典文学(と言っていいのかな?)を 読みなれていないせいか、 情景描写が長い割にストーリーの進みは遅いので 読みづらく感じた。 そこがいいのかもしれないけど。
1投稿日: 2017.08.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後に主人公が死んでしまって、何だかとても悲しかった…。 確かに後半、不穏な空気が流れているような気がしたんだが… 勉強の描写よりも、詩人の友人とつるんでいるときや、仕事をしているときの方が生き生きと周囲が描かれていたけれども、 何だか主人公のいきいきとした力は感じなかった。 つまらなかった、という訳ではない。
0投稿日: 2017.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
20年ほど前に買った本をやっと読んだ。 ヘッセは当時、何冊か読んだけれども 『車輪の下』は興味がわかず、数ページで投げ出してしまっていた。 今回読了できてよかった。 『車輪の下』は本文中では「車輪の下じきになる」という表現で出てくる。(しかも校長先生が言っている。) 「車輪」とは学校教育のことで、 「車輪の下」「車輪の下じきになる」は 学校教育についていけなくなって退学することを言っている。 あとは、平穏な人生のレールから外れて苦しむというイメージ。 それにしても、主人公ハンスが死んでしまうとは! えっ!そういうオチだったの!と絶句してしまった。 ヘッセの自伝小説と書いてあったので、 色々あってもなんとか生き延びていくものだと、てっきり思っていた。 訳者:髙橋健二さんの解説があって助かった。 解説がなかったら絶句したままで終わってしまうところだった。 あらすじ。 秀才として特別教育を受けて、試験に合格し、神学校に進んだあと、転落がはじまる。 寮が同室だった生徒が事故で亡くなったり、早熟な友人の影響を受けたりして勉強についていけなくなり、退学する。 退学後、精神的に不安定な状態なため、故郷で静養する。(後半、舞台はずっと故郷。) 恋をするが、遊び相手としか見てもらえず、失恋する。 機械工として働きはじめ、はじめての休みの日に職場仲間と飲みにでかける。 そこで急性アルコール中毒のような症状になり、川で溺死する。(自殺か事故かは不明。でも額や両手にすりむけた跡があるという記述から、事故の可能性が高いと思われる。) 私は13~15歳くらいの少年の話(もっと幼い頃の回想シーンもある)として読んだのだけれど、亡くなるとき何歳なのかがわからない。はじまりの方はとても幼く書かれていて、終わりの方は二十歳くらいの雰囲気になっている。(ラスト、フライク親方の口調が変わっているのは、年数がかなり経っているということを表現しているのだろうか?) わざと書かれていないのだけど、一緒に飲んでいた幼馴染のアウグストや職人たちはあまりにも無責任だと思ってしまう。葬儀に出席したかどうかも書かれていない。 強烈な個性を放っているのがヘルマン・ハイルナー。 ヘルマン・ハイルナーはのちに「しっかりしたりっぱな人間になった」と書かれているのが、すごく皮肉。どちらかというとハンスよりヘルマン・ハイルナーのほうがヘッセに近いのではないかと思って読んでいた。解説で二人ともヘッセの分身だという風に書かれていて面白かった。 日本でヘッセの作品中『車輪の下』が一番有名なのは、受験が厳しいからだろうと書かれていた。確かにそうかもしれない。あと、ハンスの、頭はいいのに、要領が悪くて不器用なところに共感してしまう人が多いのではないかと思う。ヘルマン・ハイルナーやエンマに翻弄されてしまうところなんて、すごく人間くさくて面白い。 なんというか……悪酔いしながらも帰宅して、お父さんにしこたま怒られて、「うわーん!」って思いながら翌日も必死に働くという、そんなハンスが見たかったです。(完全におばちゃん目線。)そして、たぶんヘッセ自身はそうだったのだろうと想像します。
0投稿日: 2017.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
10年以上かかって、「シッダールタ」「メルヒェン」「知と愛」「荒野のおおかみ」「デミアン」「ガラス玉演義」と読んでからこの「車輪の下」を読んだ。 自然を愛する少年の素朴で繊細な心が、大人たちの社会の機構の粗さによって実に無遠慮に、無惨に、傷つけられていく。舞台となるのは全て実際にヘッセが育った場所であり、主人公の辿る軌跡はヘッセ本人のそれと同じで、限りなく自伝に近い、真に迫ったところのある作品のようだ。 私自身はヘッセの作品を読み進めていく中で彼の特有の繊細さ、優しさを特徴と感じ、人として弱さを強さへと昇華させていく生き様に、自分の人生にも何かしらの励ましと、ヒントをもらってきたように思ってきた。 けれど、この作品を読んで一番強く心に残るのは、ヘッセ本人のとてつもない「強さ」であった。ここに描かれているのは、限りなく事実に近いながらも、ヘッセ自身は主人公と同じようにならなかった。むしろ、全てを克服し、青年となったヘッセの、少年ヘッセへの弔いのような性格をしているのではないかと思う。 多くの人はその鈍感さによってやり過ごしてしまう、この社会にありふれた厚顔さ、粗雑さによって傷つけられた繊細な少年は、その先で多くの人が太刀打ちしない政府や社会を敵に回してなお自らの平和主義を貫き、人生を全うしている。その強靭さの出発点がここに記されていると思った。
7投稿日: 2016.12.31
powered by ブクログヘッセの代表的自伝小説。 神学校に受かるまでは読み進めやすかった。 1906年(明治39年)に刊行されたもので、昭和26年に発行。文体が古いので、それも読み進めにくかった要因かも。。。
0投稿日: 2016.12.13
powered by ブクログシュヴァルツヴァルトの小さな町の秀才少年ハンスは,周囲の期待に答えて神学校に合格する。彼には将来を約束されたエリートとしての人生が待っているはずだった。多感な少年の心はそこで次第に変わっていく。高校2年の今頃,薄暗い北松本の駅のホームでこの書名の意味を知った。世界文学の手始めに本書を手にしてみては。 *推薦者(農教)M.A. *所蔵情報 http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN07912955?hit=1&caller=xc-search
0投稿日: 2016.11.30
powered by ブクログきっと何度か読んだことはあると思うけど、 「これはあかんやろ」というのが感想。 イヤ・イヤ・イヤ・・・ これは、あかんやろ・・・
0投稿日: 2016.11.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
神学校に進学した一人の少年の話。ストレスを抱えながら勉学に励み、寮生活を行っているが、ついに耐え切れなくなって飛び出してしまう。若い心と苦悩を描いた作品。
1投稿日: 2016.10.10
powered by ブクログ主人公が優等生から無気力への道を歩む過程は、鬱状態の描写そのもので非常にリアル。自分が特別な存在だと信じ、その幻想の中で優秀であろうと自己を律するメンタリティは、鬱へのパスポートとも言える。多くの人間が通る道だろう。 そういう葛藤の行き着く先は、幻想との心中を選ぶか、血を流しながら現実に立つかの二択。著者にはー悲劇的な幕の引き方ではなくーその幻想の後の救いを描いて欲しかった。
0投稿日: 2016.08.12
powered by ブクログ高校生以来かなぁ。読んだのは。 こどもの部屋に転がっていたので何気なく手にとって通勤時間に読破。 昔読んだときの印象より深く読めた気がする。 単に、イチ神童のたどる哀れな物語なのかと思っていましたが、作者の過ごした町の描写や、その少年時代を照らし合わせながら読めたような気がします。 もともと、最近知った、少年の日の思い出」( 原題:Jugendgedenken)を読んだことで読みたくなったのでした。
0投稿日: 2016.07.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
田舎町の川のせせらぎとか自然の豊かな描写とそれに心洗われるようなハンスが好きでした。悲しい物語だけど、同時に愛すべき物語でした。好き。 中盤の少年どうしのあやうい愛情関係の描写はドキッとしたけど、あれは愛情がいろんな形に分化するまえの感情なんだろうな。きっと彼らにとっては母親への愛も恋人への愛も友達への愛も、それほど違いはないのかもしれない。振る舞いに違いはあるにしても。
0投稿日: 2016.07.03
powered by ブクログ文系の少年が青年になるまでの過程で享受するであろう痛みや苦悩や幸せを詰め込んだ、作者だけでなく読む人自身にも自叙伝と錯覚させる魅力を孕んだ作品だと思う。くどい言い回しや多量のページを要さずにそれを表現できるのは凄い。 The Smithsを聴きながら、いじけきって読んでほしい。 印象に残った部分は、主人公が魅せられた女性の元に向かう途中の「彼の空想はほのかな予感を持って、近づいている理解に向かって迫っていった。胸苦しく心の底まで揺すぶられ、彼は自分がある大きな秘密に近づいているのを感じた。その秘密が甘美なものであるか、恐ろしいものであるか、彼は知らなかったが、その両者の一端を震えながら予感した」の箇所。 自身の経験ではあるが、試験の合否だったり、自分の想っている相手と親しげにしている人物を考えた時に胸が鼓動し、二つの未来のうち悪い方に押しつぶされそうになる不安を、ここまで的確に表した文章を初めて見た。
0投稿日: 2016.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初ヘルマン・ヘッセ。以下引用 "なぜ彼は最も感じやすい危険な少年時代に毎日夜中まで勉強しなければならなかったのか。なぜ彼から飼いウサギを取り上げてしまったのか。なぜラテン語で故意に彼を友だちから遠ざけてしまったのか。なぜ魚釣りをしたり、ぶらぶら遊んだりするのをとめたのか。なぜ心身をすりへらすような下らない名誉心の空虚な低級な理想をつぎこんだのか。" 神から与えられた才は、彼を幸福にはしなかった。彼は賢く、社会の中で十分上の地位に達することができるほどの才を持っていた。それを生かさなければならないと周りの人間が効率を追い求め見かけ倒しの試練を与え続けた結果、彼は社会から転落した。確かにハンス自身、勉強をして知識を蓄え褒められることにかなりの優越感を感じ自発的にやっていたことは確かだけど、次第に勉強以外で他者からの承認を得られなくなり最後は勉強を強いられるようになっていった。そしてそれが失敗したとき、彼はアウトサイダーとして排除される。 ハイルナーという孤独を餌にして生きる詩人がずっと傍にいてくれれば二人で傷を埋めあうことができたのかもしれない。 詩人と勉強。努力の是非。アウトサイダーは俗っぽいことを批判して避けがちだけど最後に職人仕事の世界にちゃんと足を踏み入れたことは他と一線を画してると思った。自分はできないだろうから。
1投稿日: 2015.12.28
powered by ブクログ何か物語に転機が起きるはず・・・と思いつつ何も起きないまま最後までいってしまった。 詰め込み教育を皮肉りたかったのかもしれないが、あまりにも面白みがなさすぎた。 そして昔も今も、詰め込み教育については、あまり状況は変わっていないようだ。
0投稿日: 2015.12.19
powered by ブクログ美しいドイツの情景が伝わってきて、心地よく読了。ヘルマン•ヘッセの自伝的小説だと解説に書かれており、事実との差異もあるが、激動の人生が想像できた
0投稿日: 2015.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少年がカタパルトに乗せられて受験に勝つもモチベーションを失って不幸になる話。 途中で女の子にフラれるのは必要だったのだろうか。 特に死ぬ必然性を感じなかった。
0投稿日: 2015.11.10
powered by ブクログ毎晩寝る前に少しずつ、時間をかけて読んだ。 適当にページをめくってどの一文を読んでみても、美しい詩的表現が楽しめる。 ハンスは精神的に転落し、鬱状態の中で絶望や屈辱に苦しみながらも普段の生活のなかで自然の美しさを、恋の悩みや心苦しさを、労働の喜びや楽しみを見出していた。その点にむしろ救いを感じられて、ただの悲劇的な少年の悲しい物語に終わらない魅力があるのだと思う。
0投稿日: 2015.11.03
powered by ブクログ多感で不安定な少年期を美しい自然の描写が際立てる。ハンスと関わる人が皆去りハンスの寂しさたるや心が痛い。
0投稿日: 2015.10.17
powered by ブクログ作者の実体験を交えた自伝的な小説らしいが、 読んでて気持ちがよくない。 文章表現は気を使っていて 丁寧な感じがするが (時代や翻訳が間に入っているのもあるせいか) とにかくまどろっこしい。 所々開放的もしくは、わくわくするシーンがあるけど、 (近所の森に遊びに行く所とか 寮室の生徒の紹介シーンとか) 基本的には閉塞感を感じてしまう。 主人公の頭痛が移ってしまいそう(笑) たとえ共感ができるような心情だとしても それをあえて物語にして 他人に読ませる利点があるの? とか否定的に感じてしまっている時点で この本を読むタイミングを誤ったかもしれない。 今の自分と同じ年で作者は この作品を刊行したようだけど。
0投稿日: 2015.09.06
powered by ブクログハンスの一生…表面をなぞればとても悲劇的であっという間の時間に思えるんだけど、彼が感じたであろう一つ一つを丁寧に辿っていくと、とても濃密というか、老いて死ぬまでの長い人生の歩みのようなものが詰まっているな…と感じました。 ページ数も少ないのでさらっと読めてしまうんですが、読後感の重みがじわじわときます。
0投稿日: 2015.08.31
powered by ブクログなんという鬱展開。失われたこども時代を取り戻そうとしたけど取り戻せるはずもなく大人になって、挫折の先に手に入れかけた人並みの幸せに絶望したハンスが切なく悲しすぎる。 ハンスの故郷の自然の描写が美しいのだけど結末を読むとそれがまた悲しい。自然の中で生まれた人間は街に出て傷ついて苦さを知るけど大人になっていずれはそこに帰ってくるのかね。 ハンスの初恋の部分はなんだか「わかる!わかるよ!」となって我が身を省みて悶えた。あの世界が変わる感覚は人種・時代を越えて不変なのかね。 そして車輪の下ってのはそういうことだったのかとタイトルの意味を読み終えて納得。ハンスは車輪の下敷きになったこどもとして悲しい結末を辿ったのだ。
0投稿日: 2015.08.14
powered by ブクログ中学生の読書感想文のためにこの本を読んだ。当時最後の部分を自分の解釈が間違っているのではないかと何度も読み返し「どうして!」とショックを受けしばらく呆然としたのを覚えている。 今でもその気持ちが残ったまま、再読した。やはり、最後は同じ気持ちになる。 ヘッセの自伝的小説だけど、運命は別れる。あとがきにもあったが母親の存在は大きかったのか。 風景や懐古の描写が美しく眼前に自分も見ているかのようだ。 少年、青年から大人へ。繊細で感受性の高い少年には苦難が重なりすぎた。でも、それでも乗り越えるはず、なんとかなるはずという予感はあったのに。
0投稿日: 2015.06.21
powered by ブクログ本書は、よく「エリートからの挫折」とか「周りの期待に押しつぶされた」という表現がされているのを見かけます。 しかし、主人公本人は特にやりたいことがあったわけでもないし、「挫折」という表現はあくまで周りから見ての評価だと思います。 本人は、ある登場人物に影響を受け、自身の進路よりもそちらに興味が向いてきて、それに従っただけです。 自身の興味と立場(進路)が合わないことで苦しむ点については、「周りの期待に押しつぶされた」という表現は合うかもしれません。 ◆感想 「面白さ」はあまりありませんでした。 それでも記憶に残るというか、印象に残る作品のような気がします。 主人公よりも父親の方がかわいそうでした。 ◆文章について 良い点:非常にイメージの湧く表現をしている箇所があり、感心しました。 悪い点:文が長く、繋がりがわかりにくい箇所がいくらかありました。 そこはおそらく原文が長いんだと思いますが…。
0投稿日: 2015.06.06
powered by ブクログエリート少年の挫折、屈折した感情を見事に捉えていたと思う。あまり覚えてないのでもう一回読みたい気がする
0投稿日: 2015.05.24
powered by ブクログヘルマン・ヘッセの自伝的小説。29歳という若い頃に書かれた作品であり、作者自身をくるしめた神学校へのルサンチマンがすさまじい…そしてヘッセと違い周囲からの理解や庇護を受けられず、文学によりその内面を吐き出すこともできなかったハンスの最期がむなしい… 一方で、幼少期特有の価値観も含めた世界の捉え方、自然の美しさの描写、生きることのよろこびと苦しみの描写はこのころからとてもすばらしく、読んでいて情景がありありと浮かんできた(訳文だけど…)。また希望からの絶望、絶望からの希望といった切り替わりもはっとさせられる。特に最後は… このような幼少時代を送り、自らの内面とむきあいそれを育んだこの作者がのちに書いた他の作品についてもぜひそれを読んでみたいと感じた。 大人になってから読むと(よくもわるくも)批評的な見方を持って読んでしまう作品であるので、(中学〜)高校〜大学入りたてくらいの若い感性をもって一度読んでおくべき作品だと感じた。ただ若すぎると反骨精神たっぷりになってしまいそう…
0投稿日: 2015.05.06
powered by ブクログ感情描写が分かりやすく、物語に入り込みやすかったです。ハンスと共に喜び、ハンスと共に憂鬱な気分になりました。ハンスがエンマに一目惚れし、世界の見え方が一瞬で変わってしまったシーンが好きです。空がこんなに高く美しくほれぼれと青く、川と水面がこんなに青緑色で楽しそうにしていたことはなかった!素敵!
0投稿日: 2015.03.08
powered by ブクログ文学に教訓や意味合い、メッセージ性を求めて良いのか知らないが 「一歩間違えば、自分はこうなっていただろう」と、作者は言いたかったのかなと漠然と思った。 序盤は非常に面白く読み進められたが、終盤の救いようのない憂鬱とした展開にはため息が出た。 人間に魂があったとしても、肉体は物理法則に支配された世界に存在しているのだし 時としては、逃れようのない不幸な運命に翻弄される事も、避けられないのかなと感じた。 その上で、作者の人生との対比から、彼にもっと情熱があれば、成功できていただろうとの気持ちにもなった。 ハッピーエンドではないかも知れないが、世の中に対する悲観的なメッセージが込められているようには感じない。 主人公の犠牲の元に、後に続く人間が彼のような不幸の道を歩まなくても良くなったとの捉え方が出来るような気がする。
0投稿日: 2015.02.15
powered by ブクログひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説。 ハンスの生きた方は可哀想だなぁ。周りの期待に答えようと勉強ばっかりしてて、神学校に入って、友情を知って、勉強ばっかりするのはアホらしいと気付いて...。 学校をやめて、恋をして、でもそれも実らなくて...。 結局、見習い工になったけど、立ち直れず。 才能があったがゆえに、周りに潰されちゃったハンス。やっぱり自分の道は自分で決めるべきだなぁ。周りが道を決めるんじゃなくて、やりたいことをしないと。 報われない様が本当に可哀想。
0投稿日: 2014.12.02
powered by ブクログ悲しい話だ。優れた才能に恵まれたがために、周囲から大きな期待をかけられ、つぶされてしまった少年ハンス。彼に子供らしい子供時代を送らせてあげたかったと心から思う。
0投稿日: 2014.11.23
powered by ブクログ【本の内容】 ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。 だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。 少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする…。 子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説である。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
0投稿日: 2014.10.04
powered by ブクログ高一の夏に読んで読書感想文を書いた思い出の作品。風景の描写が素晴らしい。意味なくラテン語とか憧れた。
0投稿日: 2014.09.25
powered by ブクログ大人になって読み直すと、豊かな自然の描写に心癒される。物語を通じて、通奏低音として、また、少年の体や心の一部として自然が描かれているのが印象的でした。
0投稿日: 2014.09.18
powered by ブクログ誰もがその将来を期待した天才少年ハンス・ギーベンラートがいかにして人生の坂道を転げ落ちていったか。 思春期独特の、他者に対する謎の優越感とか、自分より優れた者に対する醜悪なルサンチマンとか、虚栄心とか、挫折とか、自尊心の喪失とかの描写がリアルで、痛々しくも瑞々しい。 巻末の「解説」で紹介されている作者ヘッセの半生が物語の主人公そのまんまで笑える。ヘッセほどの文豪も少年時代ははぐれ者のダメ人間だったのだ。 主人公ハンスは救われないけど、作者ヘッセは最終的に「詩人になる」という夢をかなえている。何がその違いをもたらしたか。そこに世のすべてのアウトサイダーにとっての救いの道があるように思える。 尾崎豊とか映画「小さな恋のメロディー」に共感とかノスタルジーを覚える人たちにとっては何かしら心に響くものがあるはず。
0投稿日: 2014.08.19
powered by ブクログ無邪気な喜びと、純粋な好奇心で世界を眺め、あらゆるものが光の中で輝く姿に夢中になるべき時にそれが目の前で取り上げられたら人はこのような末路を辿るのだ、と強烈な結末を突きつけられた。 田舎町にたまたま生まれおちた賢い子どもの小さな肩に重圧をかけ少しずつ潰し壊してゆく大人。教育者。この構図は主人公・ハンスだけに当てはまるものではないだろう。と、小学校や中学校の教室をふと頭の中に描き、その空間の和を乱す者に与えられる運命のむごい痛みを思い出しながら読んだ。
0投稿日: 2014.08.17
powered by ブクログ子供の頃から優秀だったハンスは、自然を愛していたものの、周りの期待に応えるため、ひたすら勉強に打ち込む。 そして神学校への入学を果たすものの、そこでは規則ずくめであった… 人間関係や人にどう思われるかを気にしながら生活するが、友人ハイルナーの影響もあり、ハンスは神学校に反抗し、トップの生徒だったにも関わらず、学校を辞めてしまう。 学校を辞めたあと、ハンスは恋が実らないことの甘酸っぱい思いを味わったり、しながら、見習い工として出直そうとする。 しかし、働いて最初の日曜に、親友であり、見習い工であるアウグストとその仲間と共に酒を飲みに行くが、見栄をはって飲み過ぎ、仲間の制止を聞かずに、1人で帰ってしまう。 そして、そのまま川に落ち、死んでしまう… 親の期待、周りの期待に過剰に応えようとする所や、学歴ばかり重んじて、心の豊かさを失うところなど、現代の日本社会の縮図のように感じた。 また、周りの期待に沿うために自分の意志を殺して自分に向かない道を選び、そこにいられなくなってしまう部分など、日本における就活にも似ていると感じた。 結果、ハンスは自ら身を滅ぼしてしまうが、不慮の事故とはいえ、『喜ばしい行路から引き放たれたような観』がある。 最後に、大人たちが自分達の過ち(恐らく、自分達の期待を押し付け、ハンスの心の健康にまで気を配れなかったこと)に気づくのも、とても皮肉である。 現代を予見しているかのような小説だった。
0投稿日: 2014.08.10
powered by ブクログ主人公の生き方に同情してしまった。 勉強、友人、恋、どれも大切。 何が大切なのか考えさせられるお話。
0投稿日: 2014.08.07
powered by ブクログ学生時代の親友とのやり取りがBLの元祖ではないかとおもっている これに影響を受けた少女漫画家は多いのではないか
0投稿日: 2014.06.17
powered by ブクログ世界的に有名なこの本を、読んだ事がなかった。また、著者のヘルマン・ヘッセがノーベル文学賞を受賞していたことも、知らなかった。人は興味を持ち、その世界に触れるまで、暗闇にいるのだ。そして、興味を持ち、その世界に触れることで、明かりが灯る。少なくとも新たなその世界を想起し、活用する事ができるようになる。 車輪の下が、このような背景、中身とは読むまで知らなかった。優秀な神学生が、友情に芽生え、恋愛に気付き、労働者との付き合いの中で、不慮の事故に遭う。語り下せば単調な、現代のギミックに富んだ小説とは異なる、自叙伝である。
0投稿日: 2014.06.14
powered by ブクログ言わずと知れたヘッセの代表作。 なんとなく学校で配られた新潮夏の百冊的なので買ったため、忘れるくらい昔に読んだので。 ヘッセがまるでありえたかもしれないもう一人の自分を描いているよう。誰かのためではなく、どこまでも自分のために、深く深く、ハンスに寄り添っているように感じられた。 この物語には明るい未来や希望はない。あるのは過去への悔恨と憧れだけ。思春期なのだから、ただの思い出なのだからと言ってしまえばそれだけのこと。読んでいると割り切れてしまう自分がいた。 しかし、時代も国も違うというのに、かつての自分がその中にいるようで、ハンスの存在がとてもリアルに自分のそばに感じられた。なんだか彼のつくった歴史の中に自分を覗き見た気がした。
0投稿日: 2014.04.06
powered by ブクログいつ、誰が買ってきたのか、恐らく家の誰も読まないまま本棚の陰に長年埋もれていたこの本を見つけたので引っ張り出して読んでみました。多分、子供の頃の私に読ませようとして両親のどちらかが某古本屋で買ってきたんじゃないだろうかと思う。 前に読んだケストナーの『飛ぶ教室』を思い出した(そういえば同じドイツの話か)けど、好みなのはヘッセの『車輪の下』かな。 思春期の少年主人公の成長の物語で、ほろ苦く暗い話でした。少年ハンスは希代の優等生で将来有望で、いわゆる出世街道を走っているような子供だったが、子供の持つ純粋な心を周囲の大人によってねじ曲げられてしまう。 子供は純粋であり何色にも簡単に染まること、全ての大人は教育者であって子供たちに与える影響は大きいことを忘れてはいけないということを思い出させられました。 「道を踏み外した少年」に見える子供もそれは踏み外しているわけではなくて成長の一過程であり、応じた適切な手立てで子供と接する必要があるなぁと思った。行動の裏にある、一人一人の背景を良く知るようにしなければならないと。 ハンスに対してすごく共感できる部分も少しあって、「自分も子供だった時代がある」ということを忘れないことって大事だと思った。
1投稿日: 2014.03.10
powered by ブクログ文章は翻訳が少しぎこちなくしているものの、豊かで誠実。初恋と同時の性の目覚めの場面の描写は特に綺麗。好きな人を思い浮かべても、顔だけ浮かんでこないというのもリアル。時代に少し距離はあるが、子供の可能性を決めつけて崩壊させてしまう過程は今でもより強く起こりうる。生の豊かさとは何か。
0投稿日: 2014.02.04
powered by ブクログ主人公がとてつもなく純粋で、大人に翻弄されてしまって、まさか結末がそうなるとは思っていなかった。 でも、今考えるとあの結末はなるべくしてなったのか。 風景の描写などがくどくて後半はとばして読んでしまったが、海外文学ってこういうもんなのだろうか。 子どもって本当にまわりに影響されやすいんだなっと再認識。 慎重に慎重にまわりの大人が見守ってあげるべき存在なんだなっと思った。
0投稿日: 2014.01.20
powered by ブクログ教育とか抑圧とか、100年前からそんなに変わってないんだよなと思う。子を持つ身としてはいろいろ考えさせられる本。でもなんつーか、親である以上、存在が抑圧でもあるわけで、逃げ回るわけにもいかんだろ、とかね。あ、それはギーベンラート君とは関係ないか。 筋としては暗い話なんだけど不思議と清涼感があるのは、自然や人々の暮らしの精緻な描写のなせる業なのかな。りんご絞りとか、情景が立ち上がって甘酸っぱい匂いすらしてきそうだもの。 あと、書き出しの父親ヨーゼフについての形容も秀逸。凡庸な父親を見事に写生しながら、背景やこの話の持つ雰囲気までをも召還するような。 名作ってのはやっぱすごいね、と再認識。
4投稿日: 2014.01.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本の教育熱心な大人たちがこれを読んだらどう思うだろう? と感じました。 周囲から期待され、エリート街道を歩もうとするも挫折し 悲劇的な人生の末路を辿ってしまう、あまりにも哀れな主人公。 100年以上も前に書かれた本作は、現代の世界にもあり得る 「周囲の期待」と「大人の視線」に押しつぶされる若者を 複雑な心境と、美しい自然の描写の中に描き出しています。
0投稿日: 2014.01.05
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『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ 訳 高橋健二 「少年が神学校へ行く」とは小説の一つの題材となっている。いや19世紀では頭のいい貧しい少年はその道しかなかったのだろう。 『赤と黒』は1839年に、『車輪の下』は1905年に刊行されている。 心から思いやりのこもった願いと深い同上は大きい距離をたやすく超えて遠くまで達するものであるから、ハンスにも、故郷でみんなが自分のことを考えているということが感じられた。(p24) ★面白い表現。ハンスが感じているというのも気になる。 いまやくたくたにされた子馬は道ばたに倒れて、もう物の役にもたたなくなった。(p145) ★明確にハンスがダメになってしまったことが書かれている。 小さい町の上には、のどかに青い空が広がっていた。谷には川がきらきら光っていた。モミの山は柔らかくなつかしげに遠いかなたまで青い色を呈した。(p220) ★ハンスが苦しみから解放され、読者もハンスの内から外へ目を向ける。寂しさものこる。
0投稿日: 2013.12.26
powered by ブクログ猛勉強して、神学校に入って、牧師になって安定した生活を送る。 それがハンスの夢のはずだった。 どこかでその夢に不調和を感じながらも、父親や校長の期待に抗う術を持たないハンスは、それこそが自分の夢なんだと猛進する。 しかし、やはりそれは壊れてしまう。 周囲が考える幸せが常に正しいとは限らない。 ハンスがハイルナーくらいの無鉄砲さがあれば、別の生き方もあったのかもしれない。
0投稿日: 2013.11.13
powered by ブクログ教育について考えさせられる本。 学業や人間関係、自然とのふれあい、全てのバランスが大切だと感じました。 私は教育関係に関わる仕事に就きたい人や、教育に興味がある人はもちろん、保護者など、色んな人に読んで欲しいです。
1投稿日: 2013.10.25
powered by ブクログこの夏の山行のお供に、ひたすらザックに入れていた。 こいつを読むのは何年ぶりだろうか? と思って刷年を見ると、平成3年。中学生ぶりぐらいで読んだわけだ。。。 ハンス氏と違って、自分は。。。 それはさておき、読み進むうちにハラッと落ちてきたチラシ。 新潮文庫の夏の百冊のチラシ。 朝顔と百頁。 蝉と五十頁。 蛙の声で百頁。 そしてうら若き宮沢りえ。 この小説の通り、すべての時間はすごい速度で過ぎ去っていく。
0投稿日: 2013.10.20
powered by ブクログ中学の時に読破。ドイツのどっか片田舎の学生寮で、一人の学生が落ちていく話だったような。 大人になった今また読みたい。
0投稿日: 2013.10.14
powered by ブクログ主人公のハンスが、次第に環境や周りの人々に追い詰められて、どんどん気力を失っていくのがとてもリアルで、読んでいて辛かったです。 多感な少年時代をこんなふうに圧迫されて過ごしたら、心に足りないもの・欠けたものが精神を蝕んでいくんだなと…。 神学校受験の辺りは自分の予備校時代を思い出したりしてしまいました。 それだけに、療養のために戻る、田舎の緑溢れる風景描写をとても美しく感じました。 学生時代に読んでいたら、もっと共感できたかな。
0投稿日: 2013.10.11
powered by ブクログヘルマン・ヘッセの代表作。 周囲から大きな期待を受けた少年が潰れていく物語。 この小説は破滅的なストーリーだが、読了感はそれほど悪くない。最後の最後に言いたいことを言ってくれるからだ。 ハンス・ギーベンラートに自分を重ねられる人にとってはバイブルとなりうる。 人間の、少年達の繊細な心情を見事に表現した傑作である。 そして、なんといっても風景描写が素晴らしい。 夏の空の描写一つをとっても、どれだけ考えればこれほど美しい文章ができるのだろうと思うほど、少年の視点から見える世界は輝いている。 期待して読んでも裏切られることはないだろう。
0投稿日: 2013.09.18
