
総合評価
(214件)| 80 | ||
| 60 | ||
| 27 | ||
| 3 | ||
| 0 |
powered by ブクログ自分の不勉強さを思い知らされる。我々は誰しも同じ土壌に立っていおり、知ろうとすることで誰でも専門家として、議論をすることができる意識がやはり必要だと感じた。文科省の給食検査に対する回答が笑える。甲状腺癌は発見されないメリットがある。
0投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログ情報があふれる現代社会の中で、何を信じて、何を選びとればいいのかとても難しい。糸井さんの言葉で、なによりも、なにをするにも起点になるのが「事実」というのが、とても印象深い。 事実を知る、知ろうとすることが、いかに冷静で正しい判断ができるかの鍵となる。 水素原子が138億年前にできたこと。 私たちの体を構成している個数の多いのは、水素原子であること。 138億年前の水素原子が私達の体をめぐりにめぐって今も存在していること。 すごいことなんだな、 と遙か昔の地球誕生を思って胸が熱くなってしまった。 良本でした。
9投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
月まで3キロの参考文献に出ていた本 全く知らずに借りていた 2016年の文庫オリジナル 1952年生まれの早野は肺がん手術(旧式CT)で210ミリシーベルトの放射線を浴びている 人の目安は年間1ミリシーベルト(大雑把に5万ベクレル) 1973年、東京都心で大規模フォールアウト(放射性降下物)、中国の水爆実験より福島は軽微 データがあるとすぐグラフにしたがる習性 東大工学部、4月開校を1ヶ月おくらせたワケ 内部被曝の給食調査、最初は早野のポケットマネー 裏山のキノコや熊肉を食べている人はセシウム増加、やめてもらうと下がる 1時間ごとの放射線記録計、これも最初はポケットマネー。読み出すソフトも作ってもらう 二階で寝ていて屋根の除染が不十分だと数値が上がる インドのケララやイランのラムサールは自然放射線量が高い ヨウ素は半減期8日、直後に計らないとでない セシウム134は半減期2年、137は30年 甲状腺がんは放置してもまず問題ない。見つかると生命保険加入などでややこしい事になる 他地域で子供の全数調査は難しい ベビースキャンのデザイン工夫、母親とのコミュニケーションツールに
0投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログ原発の後の話。 対談で、原発の後について、何を発信して 何を信じたのか。 あんな事あった、こんなニュースあった、と 当時を振り返れます。 原発の数字はどこまで信じられたのか どうなっていたのか。 いつか、これが資料として使われないのを 祈るばかりです。
0投稿日: 2023.10.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
震災当時、小学生だったので原子力発電所が大変なことになっているということくらいしか知らないまま大人になってしまいましたが、今になってでもどういう研究が行われていたのか知ることができて良かったです。 放射線の実験をする研究室で、高い反応が出たから機械に異常がないか探したら外から放射線が持ち込まれていたという話、興味深かったです。 目に見えないので、あっても気づかないし、無くてもあるのではないかと不安になることがある。 そういう伝えづらいものに対して、しっかり検査してデータとして真実を伝えてくれた人がいたということの有り難さをとても感じました。 声を大きく上げる人は信用できないという話もたしかにと思いました。慌ててしまう時にこそ冷静に判断していきたい。
0投稿日: 2022.01.27
powered by ブクログ【感想】 ――科学と社会の間には絶対的な断絶がある。「混乱した状態から、より真実に近い状態と思える方に向かって、手続きを踏んでいく」というサイエンスとしての考え方を、一般の人たちに理解してもらうのは、とても難しいと知ったのです。 ――これからの科学者は、正しいデータだけでなく、態度や表現によって、人々に「伝える」ための行動を取っていくしかない。また、それを言っている発言主体が、みんなから信用されるというような生き方をしないといけない。 本書のキモはこの部分に凝縮されている。 未知の現象に対して、科学は想像以上に答えを出せない。いくら実験とデータを積み重ねても、科学のもとで「100%絶対」はありえず、確実なことは決して言えない。 しかし、「はっきりとは断定できません」という言葉では、一般の人々は納得してくれない。 では、そのとき科学者が取るべき行動はなにか?それはデータを提示することよりも、「何としても伝えたい」という態度を見せることだ、と早野氏は述べる。 震災から10年、世界はコロナウイルスという新たな危機に直面した。そして震災のときと同じように、大量のデマが人々の不安をかきたてている。 早野氏の警句は今でこそ生きる。正しい情報を発信し混乱を鎮める方法について、科学がなすべき役割を10年前から論じていた。そのエッセンスは決して古くなく、コロナ禍の今だからこそ輝くものがあるだろう。 ────────────────────────────────── 【メモ】 早野氏は3.11後、事故に関するデータをグラフにまとめ始めた。 医療被爆と中国の核実験に伴う個人的な体験から、「事故による東京での被ばくに、大きな健康被害は出ない」とツイート。 そこから各原子炉の状況を、公開情報をもとに何ヶ月にもわたって集計し始める。そしてTwitterで事故に関する情報発信を積極的に行うようになったのだ。 早野氏は給食まるごとセシウム検査、ホールボディカウンター検査など、放射能測定に関するさまざまなプロジェクトの立役者になる。福島の内部被曝の現状についてまとめ、調査論文を書くまでにいたった。 調査から分かったのは、福島の食べ物は放射線濃度が相当低く、内部被ばくの危険性は低いということであった。 内部被ばくを論じる上で目を向けるべきは「被ばく量」である。福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被ばくや外部被ばくの量は――チェルノブイリや1960年代の核実験と比較しても――きわめて低かった。また、イラクやコロラドなど、自然状態でも放射性濃度が高い国と比べても極めて低かった。 しかし、それが伝わっていない。未だに「次世代への健康被害」が起こるのではないか、と考えている人々もたくさんいる。 これからの科学者は、正しいデータだけでなく、態度や表現によって、人々に「伝える」ための行動を取っていくしかない。また、それを言っている発言主体が、みんなから信用されるというような生き方をしないといけない。 早野氏はベビースキャンという4歳以下の子供の放射線量を測る巨大な装置を作ったが、本人は「科学的には必要ない」と言っている。大人の方がセシウムの代謝が遅く身体に残りやすいため、一緒に暮らしている親から検出されなければ子どもからも検出されないからだ。 しかし、「どうしてもうちの子を測ってください」という親が現れたため、製作した。今ではむしろ、子どもを連れてきた親が何に困っているかを話すためのコミュニケーションツールになっている。 今回の事故で「社会に巣立っていく人たちにとって科学的なリテラシーがいかに必要であるか」ということが、よくわかった。科学的なリテラシーというのは、教わって得られるものではなく、自分で鍛えて身につけていくものだと思っている。 科学と社会の間には絶対的な断絶がある。「混乱した状態から、より真実に近い状態と思える方に向かって、手続きを踏んでいく」というサイエンスとしての考え方を、一般の人たちに理解してもらうのは、とても難しいと知ったのです。 科学というものは、間違えるものなのです。だから科学者は「こういう前提において、この範囲では正しい」というふうに説明しようとする。でも、これは一般の人にはわかってもらえない。 人は大きな物音や騒ぎに目や耳を向け、簡単に興奮し、恐れたり脅かしあったりしやすい生き物です。しかし、本当に大変な事態になったときには、事実をもとにして冷静に判断をしなければなりません。そういうことに当たるときの姿勢というのは、もともと身についていないものですから、あらためて習う必要があります。
10投稿日: 2021.05.06
powered by ブクログどなたかのエッセイか何かに出てきてメモしていたもの。タイトルだけでは何かわからないけど、福島の原発事故にかかわる科学的視点からの事実認識の話。 糸井重里さんと物理学者の早野龍五さんによる対談形式で読みやすい。 一般人の感覚からすると、普通に生きていても自然から被曝していることは意識の外に行ってしまう。さらに、人体の中にもカリウム40という放射線を放出するものが存在していて、人間は必ず内部被曝しているということは知らなかった。 また、人間を構成する一番多い原子である水素は、138億年前に宇宙誕生と同時にできた水素原子がリサイクルされたものだということもとても驚いた。もう自分の思考の範疇を超えた話だけど、なんかすごくロマンがあるし、物理という学問も壮大で面白いと思った。 コロナ禍でも通用することだけど、データなど科学的根拠に基づき「正しく恐れる」ということに尽きるなー。
10投稿日: 2021.03.08
powered by ブクログ表紙の写真から、高校生を交えての対話かと期待したが、著者二人だけの対話だった。風評被害は間違った事実認識から、避けられた被害を導く。福岡原発事故直後もしかり。特に災害時には事実を正しくつかむ冷静さをもとう、という趣旨。マスコミはニュース性のある事柄を取り上げる傾向にあるので踊らされることなく、冷静に事実認識に判断、告知できる機関が必要である。2920.11.5
0投稿日: 2020.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
事実の積み重ねと組み合わせによって、今なにをすべきかがわかるようになってくる。 あとがきから 事実はひとつしかありません。事実はひとつしかないけれど、その事実をどう見るのか、どう読むのかについては幾通りもの視点があります。 よくわからないけれど、大変なことが起こった。そんなときに、「野次馬」が暴れまくると「事実」がどこにあるのかわからなくなってしまうのです。大変なことが起こったら、それが、どういうことなのかという事実をたしかめて、それに対して時には慎重に時には大胆に対処せねばならないわけです。
0投稿日: 2020.03.29正しい知識とデータが必要
東大物理の早野先生と、コピーライターの糸井重里さんの対談集。福島第一原子力発電所の事故を機に、twitterに情報を投稿する早野先生。福島の事故は、放射能汚染などの恐怖で様々な憶測が飛び交ったが、その中で冷静さを失わない情報を投稿し続けた早野先生に信頼を寄せた糸井さんとの対話で、お二人が言っておきたかったことをまとめたものである。 4年前に読んだものだが、先日職場の方が福島第一原発に出張されたのを機に再読してみた。本書の内容は事故から8年たった今でも、非常に考えさせられる内容を含んでいる。いまだに福島の風評被害の話なども出てくることがあり、改めて冷静に正しく物事を見る目を養わなければならないと感じた。
0投稿日: 2019.11.23
powered by ブクログ”序章のまえに書かれた言葉。 「2011年の東日本大震災のあと、 コピーライターの糸井重里は 物理学者の早野龍五とツイッターを通じて知り合った。 福島第一原子力発電所の事故から3年を経て、 あらためて現状を語り合う」 <きっかけ>”
0投稿日: 2019.08.15
powered by ブクログ原発事故後の放射線の影響について、糸井重里さんと東京大学大学院理学系研究科教授の早野龍五さんの対談。 福島原発の事故について知りたいと思った素人に、取っ掛かり易く二人で説明してくれている。 三回読んだけど理解したかどうか怪しい。
0投稿日: 2019.08.04
powered by ブクログ東日本大震災の直後の早野氏の冷静なツイッターを元にした内容。推測や感想ではなく、事実を淡々と伝えることの大切さと、多くの推測に惑わされないことが重要という話。
0投稿日: 2019.06.27
powered by ブクログ対談。 原発のことなどが、分かりやすく語られている。 字が細かくぎっしり…ということもないので、「知りたいけど、難しすぎる本は敬遠する」人にはおすすめ。 納得できたし面白かった。
0投稿日: 2019.05.07
powered by ブクログこの本の大事なところは、科学的にデータを追って正しいと言えることだけを正確に伝える大切さもそうだけれど、そうして出した結果にさえ検証を忘れないで居続けることを忘れないように、ってことだと個人的には思います。
0投稿日: 2019.03.29
powered by ブクログ知ろうとしないと、見えないし聞こえない。 流れるニュースで「なんとなく」うろ覚えて、更新されない「なんとなく」が汚泥のように積み重なると、事実をねじ曲げてどこかで誰かが傷つく。 きちんと、知る。 自分のことと、認識する。 そこからだ。
0投稿日: 2019.02.16
powered by ブクログあちこちで書評を見かけて読みたいと思っているのだが。http://mkbamboo.net/2015/02/14/2097 これは、たけの書見台。
0投稿日: 2018.11.23
powered by ブクログ3.11後の福島県において内部被曝の状況などを調査、分析して発表してきた早野氏と糸井氏の対談。事象に対するこころの対峙の仕方に科学的アプローチを取り入れる事の意味を分かりやすく伝える。気を付けるべきは事実ベースだからいつも正解なわけではなく論点の整理と合わせた事実ベースのモノの見方を意識すればメディアが煽る情報に距離を置ける、ということ。
0投稿日: 2018.10.09
powered by ブクログこの本は一般向けに書かれているけど、科学者向けの科学コミュニケーションの参考書として読んでもらう方がいいかもしれない。
0投稿日: 2018.05.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
東日本大震災が起きた日、自分は愛犬の待つ家に早く帰りたくて 職場から歩いて帰りました。 携帯のバッテリー消耗が不安でセーブしつつ使って、帰宅してからはテレビをつけっぱなしでずっとTwitterを見ていました。 だから、糸井さんが「ぼくはテレビをつけっぱなしにして、ツイッターに一日中張り付いてました。」というのにはとても共感しました。 なにが本当なのか、自分には知識がなさすぎてわからない。 いろんな人がいろんな立場からいろんなことを言っている中で、 冷静に事実だけをツイートしているというのは心強く感じます。 「安心して」というのではなく事実をひたすらツイートするというところが信頼されたのでしょう。 震災後から、原発についての話も政治と近いタブーさや派閥の様相を呈してきました。 早野さんが勉強会で話すときにも、「原発に反対なのか、賛成なのか。まずそれを明らかにしてくれないと話は聞けない」という方がいるそうで なんだか複雑な気持ちになります。 早野さんがご自身のご病気や実験の経験から被ばくのリスクについて真剣に考えたことがあったというエピソードに 説得力がありました。 核分裂で降ってくるフォールアウト(放射性降下物)は、広く薄く散らばるのではなくごろごろと地上に粒で残る、しかし洗い流せば落ちるというのは知りませんでした。 医療被ばくと事故による被ばくは同列には扱えないけれど、体にとってはどちらも同じ被ばく。 確かに全くそのとおりです。 だからこそ被ばくのリスクを個人の事情に合わせて考えることが重要、というバランス感覚が素晴らしいと思います。 当時、大学の物理学科の学科長をされていて、授業をどうするかというときに 校舎が壊れて授業ができないという東北大生を 東京近辺の人は4月は東大の授業を受けられるように手配するというのも先生の人柄や感覚を表わしているのだろうなと思いました。 東大の工学部が4月は授業をしない、理由ははっきり言わないけれど、原発でさらによくないことが起こった場合に、首都圏が混乱に陥る可能性がゼロではないという認識を持っていたから、というのはぞっとする話です。 当時東大の工学部がそういう認識を持つような状況だった。自分はただ不安に思いながらも日常を送っていたときでした。 ショッピングセンターで内部被曝を計測してその結果を記者会見しようとしていたとき、 その結果の数値がおかしいと気がついて止めたというのが本当にすごいです。 止められて待ってくれたというのもすごいです。 もし誤った数値のまま被爆してるとして発表されていたら、福島への風評被害ももっと恐ろしいものになっていたことでしょう。 早野さんが文科省に「給食まるごとセシウム検査」を提案したとき、文科省が「測ってみて、もしも給食からセシウムが出たらどうするんだ」と拒否したというのも とても怖い話です。 それで諦めずインターネット上でアンケートをとって保護者の大多数が検査に賛成だということを証明して、 まずは自腹で始めたというのも早野さんのすごいところ。 5万円の財布のたとえは目からウロコでした。 6000円使って残り4万4千円。 使いたければ使ってもいい。 一年5万ベクレルは被爆しても良いという考え方。 確かにこれは全員に「5万ベクレルまでは食べて安全」と伝えるものではなくて アルコールを控えろと医者に言われた患者が 「晩酌のビールをコップに1杯だけなら?」 と訊いてきて、医者が 「薦めないけどまぁそれくらいならしょうがないね」 というような、医者と個人の間の話というたとえに とても納得しました。 その人が親しんできた食文化を否定するほどの量じゃない、という考え方が 本当にそこで生活している人のことを考えています。 山菜や野生の猪を食べるなというのではなく 「ここまでなら食べていい」というやり方。 とてもそこで暮らす人たちに寄り添っています。 いままままでの生活を続けたいという欲求と、今事故が起きてしまってそこに危険物があるということとの間でどうやって折り合いをつけるか。 「マーケットバスケット」というやり方で食料を検査していて数値がかなり低かった。 だから政府の委員会で、「別に500ベクレルのままでもいいんじゃないか。規制値を100ベクレルにしなくても、いま流通している食べ物は十分安全」と発言した方が叩かれた、というエピソードも、複雑な気持ちになるものです。 1キログラムあたり100ベクレルというのは、世界的に見てもとても低い規制値です。 でも、国が不正をしようとしているかのように叩かれていました。 実際規定が厳しくなったときに、日本人はそれを真面目に守るというのが、日本人らしく感じます。 基準が決まったなら厳密に守って、そのためにみんなが努力した。 これは本当に、確かにすごいことです。 ガラスバッジの話も詳しく知らなかったので興味深かった箇所でした。 実際にそこで生活している人に1時間ごとの線量がわかるD-シャトルをつけてもらうというのは 大変良い案だと思うのに、線量を空間や地面で測って国が管理するのではなく、個人で管理させるのは 国の手抜きだと当時は叩かれた。 でも、空間線量だけでは原因をつきとめることは難しいでしょう。 例えとして、自分の子どもにつけたガラスバッジの線量が高いと、両親は外が危険だと思い 通学路の線量が高いのではと車で送迎し、外出しないようにと子どもに言う。 しかしD-シャトルで測ってみると、実は家にいるときの方が線量が高いことがわかり 屋根の除染が不十分だったことがわかるという話がありました。 二週間の1時間ごとのデータを見て、数値が高いけれどこのときはどこで何をしていたか、 低いときはどこにいたかをチェックしていくことで 原因を見極めることができます。 このD-シャトルも、開発メーカーに掛け合い、開発されていなかったデータ読み出しソフトを作ってもらい 自腹で50個購入してスタートさせたというのですから 驚きです。 一年間記録できるガラスバッジの代用品として使っている人に、1時間ごとのデータを読み取れるソフトをメーカーの人が渡したけれど誰も使わなかったという話も 怖いなと感じます。結構人間はそんなところがあるものでしょう。 使う人の意識次第なのです。 それと近いもので、 きちんと測定してデータが十分にあるからこそ安全だと断言できる状態と早野さんたちが確信していても データが嘘だと言う人もいます。 耳を塞いでいて聞こうとしない。そんな人たちにはいくら良かれと思って話しても伝わらないどころか 騙そうとしているとすら思われてしまいそうです。 ベビースキャン稼働時の記者会見で早野さんが「これは科学的には必要のない機械です」と言ったのが 糸井さんの印象に残っているそうですが、確かにそのとおりです。 科学的には子どもは安全なのですから。 ホールボディカウンターって4トンもある鉄の箱で、 その中に赤ちゃんを寝かせて測ると不吉な感じになる。 測るだけならイメージはどうでもいいし、 もっと言えばハリボテでも構わないくらいなのに この機械が何のために必要なのかをきちんとわかっていた早野さんは 測って、お母さんたちの抱えた心配を取り除くのが理由だから っていうことが重要。だからデザイナーが必須だと思い 優秀な工業デザイナーを口説いてくる。 行動力と判断力が素晴らしいです。 高校生をジュネーブへ連れて行ったという話も同様です。 外国の人にとっては、「生きている人間が福島から来た」というインパクトがあった点、 そう思われていたことの複雑さと、高校生たちが参加した意義を感じます。 このときの発表を広げていって、「高校生線量計プロジェクト」に発展させるというのも素晴らしいです。 「世界の他の地域と比べて、福島はこんなに放射線量が低いから安心」という結果を導くためのものではなく 同じ装置で同じ測り方で世界中の高校生を測ってみて、そのデータを高校生がどう分析してどう結論づけるか という未来に向けてプラスになる研究としてのプロジェクトであるところが重要です。 歴史を振り返っても、なにか酷いことがある度に思うことは 人の愚かさと人の素晴らしさです。 とんでもないことをする人もいれば、酷い状況の中でも地に足をつけている人もいる。 早野さんのような人たちがいるからこそ、そこで立ち止まらず人の世界は続いていくのだと思います。 なにかあったとき、自分の専門分野を生かして冷静に動けるような人間で 自分もありたいと感じました。
0投稿日: 2018.05.13
powered by ブクログ震災後から2014年くらいまでの早野さんの活動と結果がよくまとまっています 「マイナスをゼロに、そして未来に」つなげていく仕事を着実に積み重ねていく早野さんの姿勢に心を打たれますし、これを「尊い行い」と言うのだな…と感じました。当時の混乱した状況のなか、早野さんは地道に着実にデータを集め、根拠をもって安全だと言えるようにしただけでなく、住民たちの心に寄り添い「安心」をも確保していきました。データを提供するところまでは科学者の責務と言えると思いますが、人々の安心というものはもっと先にあるものです。科学だけで解決できない問題に、科学者としてどう関わっていくべきかについて非常に多くのヒントをもらいました。 福島の現状についてあまり知ろうとせずに生きてきましたが、データの蓄積の結果いまわかっていることをまとめて知る機会になったのもよかったです。住民の内部被曝も外部被曝も、流通している食べ物の線量も全国の他の地域と比べて全然問題ないと言える根拠がすでにあって、査読論文も出ています。 差別や風評被害をゆるく生きながらえさせてしまうのは、少し離れたところにいて、知識が震災直後の煽り記事の印象のまま止まっている人たちなのではないかと考えました。無意識のうちに差別に加担したくないのなら、知ろうとしなければならない。これは他のあらゆる差別、偏見にも当てはまるように思います。 本書には、あるものごとについて詳しい人とそうでない人が建設的に歩み寄るにはどうしたらいいか、についてのヒントがちりばめられています。科学技術と社会のさかいめで何が問題となるかとかにもちゃんと触れられています。科学コミュニケーションに興味がある人にもおすすめ。対談形式でさくっと読めるし430円+税だし全人類におすすめです。
0投稿日: 2017.12.02
powered by ブクログ対談をまとめた感じの作品のためか、 最初は福島の原発の話をしているのですが、 後半は早野さんの研究の話や化学の話になっていました。 最初の方の話がシリアスなテーマなだけに 「何を知ろうとすること」がこの本の主題なのか と思いましたが、結果的には、気になることは 「掘り下げて知ろう」という話だったのかなと思いました。
0投稿日: 2017.11.28
powered by ブクログ福島の人たちの被ばく量が十分に低いと確信できた。それは逆に言うと、被ばく量が高い可能性はかなり高かったということで。 その数値的な危機感は、当時のメディアの馬鹿騒ぎみたいなものからは全く伝わってこなくて。 この本を読んで改めて、福島の人たちが無事で本当によかった、と思う。
1投稿日: 2017.11.19
powered by ブクログ来月福島に行くので、その準備の一環として読んだ。事実との向き合い方を教えてくれる。 新幹線の中かどこかで、もう一回読む。
0投稿日: 2017.11.13
powered by ブクログ津波は人ごとではないと思った。海辺に住む人間だから。けれど放射能のことは、身近に感じていなかった。 3.11 あの津波を忘れてはいないけれども、原発のことは考えてもわからないから、考えるのをやめていた。 あれから6年。もう一度確認してみたいと思った。読んで良かった。
0投稿日: 2017.09.16
powered by ブクログ理学部の早野先生が震災直後からどう行動したか、糸井さんとの対談形式でまとめられた本。風評が流布され社会が混乱するなかでも、エビデンスを求め科学的判断をすることの重要性を感じた。「御用学者」という圧力に屈することなく、確認した事実を発表し続けることには、研究者としての責任感があらわれているのだと思った。 冷戦期の大気核実験時代から環境中の放射線量を調べている早野先生の言葉には頼もしさがある。
0投稿日: 2017.08.26
powered by ブクログ科学的な見地に基づいて、原発から飛散した放射能はやみくもに怖がらなくていいということがようやく理解が出来た。
0投稿日: 2017.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
子どもの体内被曝を図る「ホールボディカウンター」。 いかつい機械だったので、デザイナーにデザインを依頼。 「これは科学的には必要のない機械」だけど、安心感やコミュニケーションのためのツールとして活用。
0投稿日: 2017.06.16
powered by ブクログ福島の事故が起きたとき、メルトダウンをいち早く、冷静に予測したのがまさかの2chの専門家板だったことを覚えている。 なぜなら、そこには東電の情報や色んな情報がきちんと共有されていたから。中には、この世の終わりと騒ぎ立てる輩もいたけれど、専門家板の人たちは、煽るようなことはなく、そのうち、情報まとめサイトが立ち上がり、それを毎日みては、もう水は大丈夫だな、などと判断していたのを思い出した。 ツイッターでも同じことが起きていたのだな、と思った。当時、名前を出してる専門家の言うことは異なり過ぎていて、誰を選んでいいか分からない中で、糸井重里さんの選んだ人はマトモだったということだと思う。 よりスキャンダラスでないほう、脅かしていないほう、失礼じゃないほう、に加えてユーモアがあるほうを選ぶ。メディアリテラシーの基本として自分にも加えたいと思った。
0投稿日: 2017.06.15
powered by ブクログ自己啓発系の書籍かと思ったら、全く別の内容でした。 ただ、普段手に取らないタイプの書籍だったので、書いてある事全てが新鮮で、とても楽しい読書体験でした。 福島の原発事故についてのお話でした。
0投稿日: 2017.05.11
powered by ブクログ東日本大震災に起因する福島原発の事故の影響についてはこれまでセンセーショナルに扱われてきた側面も強い。しかし、事実はどうなのか、ということについてこの本を読むと、「そうだったのか」と目を開かされる部分が多くあった。文中でも述べられているが、当事者の知識は前に進んでいるものの、離れた地域にいるわれわれは事故が起きた当時とそれほど事実認識が進んでいないというのが本当のところなのだろう。 とりわけ早野先生は、この問題に専門ではないにもかかわらず、当初から基本的な知見やデータ分析のツイッターによる拡散や、その後も福島の人々に対する内部被ばくの調査など深くかかわってきた人だが、研究者として事実を誤りなく伝えるということに力を注いできたことがよくわかる内容だった。
0投稿日: 2017.05.07
powered by ブクログ東日本大震災で起きた原発事故について、放射能について、分かりやすい言葉で、でも深く詳しく大切なことが述べられている。 根拠のない言動で誰かを傷つけることはあるけれど、なるべくそういうことを減らしていくために、「知ろうとすること」が大事なんだなぁと。そして、それを行動に移せる人間でいたいなぁと感じた。
0投稿日: 2017.03.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
我々の体には、138億年前の水素が入っている。それから地球誕生前にできたか理由も40も入っている ウランは半減期が44億6,800万年。つまり長い時間をかけて最終的には鉛になる 遠くにいて、ニュースだけでしていることと、実際の現場は全くかけ離れていることもある 人というのは、面白いもので、野次馬と言うやつを心の中に飼っています
0投稿日: 2017.02.15
powered by ブクログ言葉は平易だが、メッセージは重要だ。 糸井重里があとがきでまとめているが、混乱時こそ事実にもとづき冷静に判断し、行動しなければならない。 先般の原発事故に関連して人々が被曝した放射線量では健康に何ら影響をもたらさない。 福島県民は健康だし、福島県産の作物は安全だ。 某新聞のように事実に傾きを付けてデマゴークとなるのはたやすい。 子宮頸がんワクチン被害も同類だろう。
0投稿日: 2016.12.12
powered by ブクログ震災のあと、放射能に関する風評が多く出され、今でもそのことを原因としたいじめや、誤った甲状腺ガンの発生状況の報道がなされたりしている。 本書では、科学的なデータに基づく知識と評価がとても大事で、リスク0などを求めることのバカらしさを説く。 実際、放射能がどれだけ怖いか、あるいは怖くないかを身をもって実感している広島人としては、当時大騒ぎをすることにとても違和感を感じたものでした。 今がどうかは知りませんが、子供のころの広島では夏休みの宿題で原爆に伴う被害や影響を知る機会があり、冷静な判断を行うのにとても役立った。 文系理系問わず、事実を知るためのセオリーがわかりやすく解説してくれている良い本だと思いました
0投稿日: 2016.11.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
きちんと根拠を持って恐れなければならない。 知ろうとする努力を怠ってはいけない。 例えば、週刊誌を買う場合、一番上にあるものではなくて、ついその下の2冊目を手にしちゃうことがある。一番上の本が汚れていれば別だが、明らかにきれいな本があるときにも、2冊目をとってしまう。これは誰でも経験があることだと思う。また、絶対切れない振り子で、10m先までは届かないような振り子の先に包丁をつけて振り子を揺らし、その10m先にたつ。なんだか立ちたくないと感じる。地上に置いてある20cm幅の平均台はどうってことなく渡れるのに、地上100mのところに20cm幅の平均台をおかれると、やはり渡りたくない。 これら、非科学的なことは、我々の中に普通にあるし、それを否定できるものではない。 福島県産とそうではない野菜があったときに、科学的には福島産でも大丈夫なのに、まぁ違う方を買っておこう、と言う行動と良く似ている。だから、そういう風評被害とか、差別につながりそうなことを自分もやらかしそうだという自覚をしっかり持った上で、できれば大切な判断の時には、『汚れていないなら一番上の本を買う』と言う行動をとりたい。で、正しい方を選ぶっていうときに考え方の軸になるのは、やはり科学的な分析・知識だと思う。 科学的に大丈夫だからって安心できないっていう気持ちは必ずある。でも、そんな時でも科学的に正しいことを選びたい。
1投稿日: 2016.09.08
powered by ブクログきっかけは小さくても、自分を発信し続けることで想像もできない未来が広がることもあると、早野さんの話を読んで思う。そこには誠実さが一貫してあるからこそ、人が集まるのだろう。自分もそうありたい。
1投稿日: 2016.09.08
powered by ブクログ東日本大震災。とりわけ、原発による被害について、どこまでが本当の被害なのか。風評被害ではないのか、知ろうとする。テーマはシンプルかつ明確ながら、進行は曖昧。とにかく、原発が切り口なので、偏りを感じてしまう。糸井重里が自分を文系代表として規定したくない雰囲気を感じたが、科学者相手に中途半端なプライドを表明せず、ハッキリと立ち位置を決めるべきだったか。
0投稿日: 2016.08.14
powered by ブクログあの震災に対して、当時ネットの中にはたくさんの情報が常に流れていて、でもそれが正しいのかどうかは私には判断できなくて、正直真実を知るのは怖いとも思っていた。 もしとんでもない状況に日本がなっていたらどうしようという恐怖。 そうやって知ろうとしなかったから、手元にある分かりやすい意見、大声での警告を私からも発信するのが唯一自分に出来ることだと勘違いをしていた。 この本を読むまで、福島は危険で、もう人は住めない土地で、そこの食べ物ももちろん食べてはいけないのだと思っていた。 もう震災から5年が経っている。 自分の生まれた国で起きた事故について、知ろうとするにはあまりにも遅すぎたと思う。 同時に、あの頃どれだけの人が早野さんの存在に救われただろうと考えると、このように真実を伝えるということの価値を改めて実感させられる。 福島の安全性について声高々に主張する本じゃないです。 ただ大丈夫だよと言ってくれる暖かい本です。 たくさんの人が読んでくれたらいいなと思います。
1投稿日: 2016.06.27
powered by ブクログ買ったまましばらく読めていなかったのをやっと読んだ。 いや~これは読んでよかったです。早野先生のツイートは事故直後からだいたい読んでいたけれど、どんどん忘れてしまうので、大きな流れと肝になる重要な活動などを時系列でまとめて読めたのはよかった。 事実として確かめられたこと、確かめられないことを選別し、確かめる手段を考案し、ときには山のように書類を書いたり、こまめに福島に足を運んでいろいろな人と会って、必要とあらば説得もして。サイエンティストで行動者の早野氏には頭がさがるし、それを押しつけがましくなく、わかりやすく伝えようとする糸井氏は、ほんとうに自分の役割をよくわかっている人なんだと思う。
0投稿日: 2016.06.11
powered by ブクログ2016年6月3日読了。東日本大震災に際しデータ重視・科学的観点でのツイート・情報公開を心がけたという早野氏と糸井重里による書き下ろし対談集。事件が発生したとき「こんなに危険だ!」という情報に焦点を当てすぎ、「こりゃ危険だ、近づかないようにしよう!」と即座に思考停止するのではなく、「データはどうなっているのか」「十分なデータは集まっているか」「どのようにデータを取得するか」など科学的態度で事象を判断することが大事。また科学といっても数字を並べるだけでは人間は説得することはできず、「ベビースキャン」のような科学的には無意味と思えるデザインの機器が人に安心を与えることができる、など興味深いトピックも多かった。物事を論理だけか、感情だけで判断していないか?自分も自問自答していこう。
0投稿日: 2016.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
東大大学院教授、物理学者の早野龍五と糸井重里の福島原発とその後の放射線の影響に関する対談集。 2時間弱で簡単に読めるし、福島の高校生の前向きさ、情報を更新することの大切さとか、なるほどと思うことが多かった。根拠なき恐怖はいけないこと。でも、根拠なく恐怖を感じる人を否定することもできないなとも思った。
0投稿日: 2016.06.01
powered by ブクログ震災から5年経ち、何かの記事で進められていて読んだ。 東北の野菜は、避けていたが、この著者曰く内部被曝は想定した以上に少ない事実を知った。 未も風評被害はあるのだろうか。 事実を認識し納得して行動しなければと思う。
0投稿日: 2016.04.05
powered by ブクログコラム「叫ぶ人は信用できない」を読んで。 http://www.ki-dousen.net/docs/content/2996
0投稿日: 2016.03.25
powered by ブクログ3.11の後、いち早く事実分析をし、Twitterで科学的真実を発信し続けた人、物理学者 早野さんと、糸井重里さんのインタビュー本。 早野さんは、学校給食の陰膳調査や、被曝量の定期的調査、子供達の内部被曝測定装置開発などを自分で始めた方。 怖い、不安、怒り。それらの感情は、多くの場合、自分で捉えた「事実と思われるもの」によって、引き起こされる。 闇雲に恐れるよりも、有利になろうが、不利になろうが、「事実」を知ってから考えることが大事。 また、その「事実」は、科学的に出されたものが重要であること。 福島での活動にも興味が注がれたが、「おお!」と思ったのは、人間が宇宙の一部だと言われた話。 宇宙の歴史(ビックバン)の中で、お星様のかけらが地球に受け継がれ、人間にも受け継がれていること。 大きくいったら、道端に咲いている花とも、転がっている石とも親戚同士(笑) なんか、すげー!って感動しました(笑)
0投稿日: 2016.03.18
powered by ブクログ物理学者の早野龍吾さんとコピーライターの糸井重里さんが、東日本大震災から3年が過ぎた2014年、原発事故は結局どういう影響をもたらしたのか、また、情報を受け取るときの態度などについて対談している様子をまとめた本。 本書の中で、糸井さんが非常時に、専門知識が無い中で、どういう人の言葉を信用すべきかを、どう判断していたかが紹介されていた。 スキャンダラスでなく、脅かす態度がなく、正義をふりかざしていなく、それでいてユーモアがある。 本書はまさにそんな本だった。 難しい言葉も全然ないし、押し付けがましい態度もない。 それでいて、そうだったのか、とうなずける話ばかり。 実際に早野さんが行った調査や、データの整理といった、単純に事実に基づいた話だからだろう。 これは、とりあえず日本人は一読しておいた方が良い本ではないか? 早野さんは、物理学者ではあるが、原発については全く専門外であったという事実に驚かされる。 震災が起きた日から、原発について勉強を始め、理解を深め、種々のフィールドワークや、赤ちゃん向けのホールボディカウンターの開発など、重要な貢献をするに至ったという。 中でも、線量を測る機器で、すでに開発されていたがあまり普及していなかった製品(D-シャトル)を、早野さんが「再発掘」したくだりに感服した。 これまでは、ガラスバッジという、1年間にどれだけ線量が上がったかしか分からない、非常にざっくりとしたものしかなかったという。 しかし、早野さんは、線量と生活習慣・・・何時にどこで何時間過ごしたのか、が重要であるという当たり前の事実に注目する。 そして、1時間毎の線量を記録できるD-シャトルに注目した。 単純に外出していなければ線量が低いといった事実だけなく、同じ家に居るときでも、除染がされていない屋根に近い2階の線量が高い、等、目からウロコの事実ではないか。 その製品は、内部的には1時間毎のデータを蓄えているが、需要がなかったため、それを取り出すソフトが無い状況だったという。 確かに、非常時でなければ、1年間の線量が把握できていれば、いいのかもしれない。 しかし、こういった事故が起こってしまえば、そうではない。 そうした場合、どういう情報が日々必要なのかという、頭の切り替えが必要だ。 今回の事故のような状況において、ざっくりとした事実しか分からなければ、また何か情報が隠されているのではないかといった、様々な疑心暗鬼に陥ってしまう。 自分の行動と線量が結びつけば、どんな場所が危ないのか、逆に危ないと思っていた場所も実は大丈夫など、リアルに把握できるこで、より具体的な対策や安心につながる。 そういう、状況に即した冷静な対応、発想ができる早野さんは、本当にすごい。 しかし、玉石混交の情報の中で、早野さんのような人をどう見つけ出すべきか。 事実、震災当時、早野さんを知ってもいたが、私は、信じるに足る人物だと当時判断することはできなかった。 思考を放棄しないという一点につきるのだろうが、当時を思い出すと、科学的な素養が乏しい私には、やはり限界があった。 糸井さんの人を信じる基準は、一つ参考にしたい。 また、自分で本を読んだりしないと、こうした事実を知ることもできない現代の報道のあり方は、本当に嘆かわしいと思った。
1投稿日: 2016.03.13
powered by ブクログ糸井さんと物理学者である早野龍五さんとの福島第一原発事故後の放射線に関する対談。 放射線に対する数値やデータで表される"まったく問題ない"という科学的な事実と「そうは言っても」という非科学的な身体的反応。どっちも自分の中にある。どっちもわかる。 "だから、そういう、風評被害とか、差別につながりそうなことを、自分もやらかしそうだという自覚をしっかり持ったうえで、できれば大切な判断のときには「汚れてないなら一番上の本を買う」という行動を取りたい" そのためには「知るということ。」が大事。
0投稿日: 2016.03.08
powered by ブクログある物事に対する判断をする前にその物事を知ることが大切。これは当たり前の話だが、知らず知らずのうちに大きな声に流されて、それが大衆の総意みたいになる傾向を感じる。 福島の問題については、このことが如実に示されてしまった。大切な判断は常に事実に対して行うべきもので、それを知ることが大前提。 真摯に事実を発信する早野氏。その事実に向き合う糸井氏。科学と大衆の関係があるべき姿として示されていると感じた。科学リテラシー以前の問題として、持つべきスタンスを学べた。
1投稿日: 2016.02.06
powered by ブクログ知ろうとすることが大切。知識がないと考えることもできない。福島原発の事故後、ひたすら事実を分析し発信し続けた物理学者・早野龍五さんと、糸井さんの対談。人間の体を構成している水素は、宇宙が始まった時にできた水素、という話が好き。お星様のかけら。
0投稿日: 2016.01.22
powered by ブクログ早野氏の誠実なツイッターから端を発した糸井氏との対談.福島の原発事故の被曝の実態がよく分かる.さらに科学とはというところまで話は膨らんで,青少年たちの学びということなどにも触れていて,興味深かった.
0投稿日: 2016.01.10
powered by ブクログ早野さんがされていたことで、Twitterで読み流していたことの全体像が見えた。 糸井さんの表現力って今さらだけどやはりすごいなと思った。
0投稿日: 2015.12.04
powered by ブクログ福島第一原発事故後からさまざまなデータを冷静にツイッターで発信したり、内部被曝の調査を自ら行ったりした早野龍五氏と、糸井重里氏がさまざまな情報が錯綜する中で科学的に正しい情報をいかにして見つけるかを対談形式で語る。 科学的に正しい情報を伝える重要性と共に、怖がっている人を安心させる重要性にも触れているところが、大切だと思う。
0投稿日: 2015.11.30
powered by ブクログ科学というのは信用ならんと僕は常に思っていた。 なぜなら定説がくつがえるということが過去に何度もあったから。福島の放射能汚染も専門家がいくら大丈夫だと言ってもやっぱり大丈夫ではなかったですということは全然ある話だろう。 とは言え、その大丈夫である根拠を知ろうとすることは必要かもしれない。その根拠を知った上で判断をすべきだろう。と思わされる一冊。
0投稿日: 2015.11.26
powered by ブクログ気になっていた、福島のこと。放射線のこと。 やっと、読めました。 事実をもとに、専門的な知識と、専門家としての姿勢をもって、冷静に分析し、伝えてくれる人の存在は大きいな、と思いました。 そして、伝え方、そこにいる人の気持ちを大切にした伝え方のできる人は素敵だなと思いました。 138億年の水素のお話と、 高校生による研究と発表のお話が印象に残りました。 遠い過去から、近い未来へのつながりが見えてくる本でした。
0投稿日: 2015.11.20
powered by ブクログ読めば読む程、早野さんの人柄や行動力に感服。 科学者の態度の件り、 端的に言えば、自分が研究したり、発言したりする分野において、過去に何が起きて、いまどこまでがわかっていて、どこからがわかっていないかというようなことは、勉強しなくちゃいけない、それは必須です。 この責任を全うする努力が出来ての、この人間力なんだろうな、と。まだまだ頑張らなくちゃ!と思うのでした。 そして、138億年のドラマも良かった。 あんな風に科学を語れる人、もう拍手。だから、震災後に、不安な人も耳を傾けたんだろうなあ。
1投稿日: 2015.10.31
powered by ブクログ友人のお薦めの本、読んでみました。この本を読んで衝撃的だったのが、東京でも中国の核実験による放射汚染があったというくだり。理論を語る科学者から実体験による裏付けを話されると説得力がある。詳しく調べることにより見えていなかったものまで見えてしまい、余計な心配を与えてしまう事実もなかなか悩ましい(知らなければ幸せだったという)。最後の糸井重里のあとがきは耳が痛い、人が野次馬的見方を好むということ。だからこそ、自分の中での事実をどう判断して、冷静に行動できるかがとても重要だと思う。
0投稿日: 2015.10.12
powered by ブクログとても読みやすい本だと思います。 この本は、放射線のことだけではなく、これから生きていく上で色んな出来事があった時の心得・考え方としても勉強になる本だと感じます。 たくさんの人に読んでほしいです。
0投稿日: 2015.09.25
powered by ブクログママ友と話していて、今でも「福島産は危険、茨城もやめた方がいい」という意見が出る。 理由を聞くと「だって、友達のママがお医者さんに言われたから」だったりする。 自分が言われたんじゃないんだよね、この本を読んでみてと話したけど、読んでくれる人が何人いるかはわからない。 うちの父は、福島の出身だ。 「うちにはもう子供もいないし、あえて福島産を選んで食べるよ」と両親は言った。 「私はちゃんと子供が産めるんですか」という福島の女の子に、早野先生は”自信を持って「はい。ちゃんと産めます」と答えます”(P99)と。 もう、震災から4年が経っている。 わからないから、避ける。怖いから、逃げる。その気持ちはわからないでもない。 闇雲に怖がらず、ちゃんと「知ろうとすること」が大事なんだと思う。 怖いままでいたくなから、私は自分で調べるし、考えるし、その姿勢を子供に見せていこうと思う。
0投稿日: 2015.09.15
powered by ブクログまず事実を知ること、そして選択する。 当時の状況はネットが使えなかったのでわからないけど大変だったんだなーと別の意味で実感。
0投稿日: 2015.09.07
powered by ブクログ150825読了。先日Twitterで見かけたフクイチ沖爆釣レポートを受けて、ずっと放射能についての知識があやふやなままだったこともあり、「知識のアップデート」をしようと購入。 ネットで浮き足立ったまま拾っては捨てていた当時の情報は知識として身に付かず、渦中で得た強い印象だけが残っていたこと。 これがこの本の主旨につながる私なりの失敗経験だ。 自分が安心するためのカンタンな知識とはちがって、 他人に安心させてあげられるために必要な知識には、基礎が無いとダメだなと実感した。
0投稿日: 2015.08.25
powered by ブクログなんだか、後半涙が止まらなかった。こういう人になりたい。早野さんや糸井さんのような、事実をきちんと把握して、冷静に余裕をもって判断できる人をめざそう。とても素敵な本でした。
0投稿日: 2015.08.11
powered by ブクログ「悪いことはニュースにるけど、そうじゃないことはニュースにならない」 そのため、福島のネガティヴなイメージが常に植え付けられたまま。でも、実状は違ったりもする。 そこを「知ろうとすること」が大事なんだと思う。 そして、「個の弱い力」が大切であり、個人的が身近にいる間違った知識を持っている人に「実は違うんだよ」とちゃんとした根拠をもって教えてあげることが必要なんだと思う。
0投稿日: 2015.08.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2015/08/07:読了。 図書館で借りた本。 あまりに素晴らしい本だったので、文庫本を買った。 何かに迷ったとき、判断がブレ始めているときに、心の有り様を確認するのに、物差しになる本多と思う。
0投稿日: 2015.08.08
powered by ブクログ有事の際の素人の心得は信頼できる専門家、メディアを見つけることだろう。そして信頼性の判断軸の一つが「ヒステリックに騒いでいない」こと。逆に一番信用できないのが「大騒ぎする素人の方々」。そういう方々は、自我までゆらいでいるように見える。
2投稿日: 2015.08.05
powered by ブクログ福島での原発事故のあと、ツイッターで科学的な情報発信をし続けた科学者の早野さんと、糸井重里さんの対談。 早野さんは、自分の専門とはすこしちがったのに、時には自腹をきってまで事実を証明しようとし、最終的には論文まで書き、また高校生をCERNにつれていってプレゼンの機会をもうけるなど、社会のための科学ということを実践されている方だなあと、感動しました。
0投稿日: 2015.08.01
powered by ブクログ福島の原発事故を分かりやすく伝えようとしている本。未曾有の事故で先が見えない状況ではあるが、内部被曝がかなり抑えられている、全量検査等の結果からも土壌汚染はほとんどなく、かなり安全性が確認出来ている事を、読者に伝わりやすく伝えてくれるので、もっと読んでくれる人が増えるといいな。
0投稿日: 2015.07.28
powered by ブクログ早野先生の献身とバランス感覚。糸井氏の嗅覚と言語化能力。文理融合という狭い概念でもない、持てる者がそれぞれの能力を発揮する、ものごとがうまく動く理想的なケースの一つと言える。 より「スキャンダラスでない」「脅かしてない」「正義を語らない」「失礼でない」「ユーモアのある」方を参考にする。非常にキャッチーで腑に落ちる表現だが、その人の判断基準が偏っていたら自分に都合よく解釈するだけとも思える。嗅覚で時代を渡ってきただけに、科学的教養の無さからどこかでコロッとトンデモに引っかかる危うさも感じる。
0投稿日: 2015.07.28
powered by ブクログ20150726 福島での内部被曝と外部被爆の調査が勉強になった。物事を考える上でその事柄の背景や反対意見も汲み取り、自分なりの指針を考える。
0投稿日: 2015.07.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
福島第一原発の事故後、Twitterで冷静に事実を分析し発信し続けた物理学社の早野龍五教授。糸井重里さんは、震災直後の情報が錯綜する中、早野さんのツイートを読み、信頼できる人だと思いフォローを始めた。 そんな二人の対談。早野さんが専門外の放射線に関するツイートを始めた経緯から、3年の取り組みでわかってきた福島の現状、そして少しずつプラスへ、未来へ向かう話へ…。 あぁ、こういう人が今同じ時代に居てくれてよかった。と思いながら、私も糸井さんと早野さんを信頼して読んだ。 はじめに、科学で証明されても、人間の心理でブレーキがかかることについて触れていて、何だかホッ。正しい事だけでは人間は動けないと認めながら考えていく姿勢は大事だなぁと思った。 放射線の値や事実については知らないことばかりで、私は知ろうとせず怖がっていたんだ、と再認識。知っていれば自分で選択できる。大事なのは能動的に知ろうとすること。 早野さんは本当に淡々ととお話する印象だけれど、していることは(私から見ると)すごく情熱やエネルギーのいることで、行動力や判断力を見習いたいと思った。早野さんが取り組んだおかげで素晴らしい結果をもたらした取り組みも、ただ淡々と語る。本心で必要だと感じ、より良くなるようにだけ考えて行動している姿勢に信頼を増す。 「正しいデータだけでなく、態度や表現。ひとつひとつ必要なんだと信じてやるしかない。あとは、それを言ってる発言主体が、みんなから信用されるというような生き方をしていくしかないかな。」に共感。だからこの本もスーッと入ってくるのかな。 138億年前の水素がリサイクルされ私たちの体に入っている。この話にじーん。お星さまのかけらが私にも。私も石もみんな兄弟。 高校生をCERNに連れて行ったり、高校生線量計プロジェクトを立ち上げたり、早野さんは本当の意味で人を救う行いをしていると感じ感動した。「ぼくが「教えてあげる」というのではなく、そういう環境を提供していけたら」大切な姿勢だと思った。 私も科学的なリテラシーを鍛えて身につけていきたい。 最後の糸井さんの話。よりスキャンダラスでない方、より脅かしてない方、より正義を語らない方、より失礼でない方、よりユーモアのある方を選ぶ。この姿勢、心にとめたい。 データや事実がたくさん紹介されているが、私はお二人の態度や姿勢に刺激を受けた一冊だった。
0投稿日: 2015.07.22
powered by ブクログ物理科学者の早野龍五さんとほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里さんの対談。 東日本大震災の放射能について、科学でどこまで言えるのか、それを根拠に、放射能による福島産の食べ物への影響がないことが明らかにされている。 科学について詳しくない糸井さんが早野さんと話すことで、読者が理解しやすい内容になっている。 福島産の風評被害という場合、どこまでが事実で、自分は何を基準に判断したら...と思っていた。 この本を読んで、「放射能の食品測定を通じて、爆発した原子力発電所を起源とする放射能は、現在は認められない」ことが分かった。 人に何かを知ってもらいたいときに、言葉をどのように発するのか。 そのことが大事であることを考えさせられた本。
0投稿日: 2015.07.08
powered by ブクログ2015/7/2読了。福島第一のことを理解する助けになればと思い購入。 放射能汚染に対しては見て見ぬ振りというか、気になるけど臭いものに蓋みたいな心持ちでいた。 他にも感情的に危険性を叫んでいる人もいるし、楽観的に考えている人もいると思うが今後も問題は継続していき、その人達も自分の主張を貫いたり時には主張を変えたりしていくのだろう。 しかし、この著者のように自分でやったことは事実として外部に発表していくことは小さなことかもしれないが必要な事だと思う。
0投稿日: 2015.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
糸井重里と福島原発事故に際してTwitterを通じて情報分析・発信を行った早野教授との対談。事故後の継続調査で、放射線被ばくの影響が、当初予想されたよりも極めて低い結果が出ているのは本当によかった。今後は、当事者でない第三者が当たり前に「大丈夫」と言えることが大事であり、そういう個人の弱い力が社会を動かしていくという考えに賛成。 さて、「わからない」であきらめて古い知識で止まっててて決めつけている事は他に何があるだろう?
0投稿日: 2015.06.25
powered by ブクログ原発って、正直よくわからない。でも、最低限知っておくべきことは知っておきたい。 そんな糸井さんが、原発情報発信の最先端の早野先生と対談します。 語り口がわかりやすいです。中高生でも分かる原発本。
0投稿日: 2015.06.16
powered by ブクログ東日本大震災発生直後から、物理学者として、自身の被爆経験も活かし、ツイッターによる“冷静な”情報発信を行うとともに、その後も継続的に福島に住む人々の生活に密着し、放射線量測定に携わってきた早川氏と、「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰の糸井氏との対談本。 原発問題につきまとう「イデオロギー論争」からは距離を置き、科学的根拠に乏しい過激な物言いも、過度に経済重視に偏る下心もなく、今わかっていることと、まだわかっていないことを分かりやすく整理し提示する。また、科学的に正しいことが必ず理解を得られるとは限らないという教訓から、科学的には実は必要性がない乳幼児用の放射線量測定スキャンを開発するくだりは、人間への共感を基盤に問題解決や商品開発を行う「デザイン思考」の実例としても興味深い。 本書の「福島の人々の内部被ばく・外部被ばくの数値は低い」という結論に対しても、疑問を呈したくなる向きはあるのかもしれない。しかし、利害関係のない科学者という立場で、しかも純粋に個人の思いから生活者に寄り添い、「どうすれば正しい数値が得られるか」を追求し続けた早川氏の取組みを知れば、少なくとも「根拠のない不安」に翻弄される必要はないのだと確信できる。「科学とは何か」という深淵なテーマも含め、手軽に読める分量ながら多様な要素が詰まった良書。
0投稿日: 2015.06.08
powered by ブクログ『知ろうとすること。』を続けることが大事。 僕たちの体にある水素原子も、道端の花にある水素原子も、宇宙のどこかにある水素原子もみんな138億歳。あるいみつながっているんだな。 (書いた下書きが全部消えてだだ凹みしてる…)
0投稿日: 2015.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この本おもしろかった!! 「自然界には普通に放射性物質も存在していて、内部被ばくするっていう前提で人体も他の生き物もできている」って下りを読んだとき、動的平衡だ!って。そうだよね、福岡伸一先生も、細胞には常にある一定数バグが起きていて、それを修正しながら動的平衡を保ってるっておっしゃってたもんね。原発事故による被ばくはそれほど心配しなくていいという意味が、やっとストンと腑に落ちた。 あと「ぼくらにはお星様のかけらの子孫が詰まってる」っていう話も面白かった。水素元素は、宇宙ができた138億年前にできたものがそのまま受け継がれていまもリサイクルされながら使われいるそうですよ。水素元素の年齢は138億歳。うわ~なんか面白い!
0投稿日: 2015.05.24
powered by ブクログ2011年に起こった東日本大震災から4年が過ぎたが、福島原子力発電所に残された被害の修復には、まだ多くの時間を必要とする。 一方で、つい先日も日本製食品輸入に関する新たな検査表示規制を要求するなど、科学的根拠のない風評被害が続いている。 著者である物理学者の早野氏は、震災直後からツイッターを立上げ、福島原発での被害状況や影響度を、客観的な事実の蓄積で外部に発信し続けてきた。早くから早野氏の活動をフォローしてきた糸井氏との対談。 客観的事実も人による感情、非論理的行動で歪められてしまう。理屈は分かっていても行動は・・・という事だろうか。それ故、科学者は信頼できる客観的事実を公表し続けなければならない。 科学的判断も限界があり、限られた制約条件の中での真実であることを理解しなければならない。早野氏も多くの場面で迷いがあった。しかし地道な事実の蓄積と検証を止めることはなかった。 多くの情報が瞬時に手に入る中で、ニュースソースも多様である。時にセンセーショナルで興味を引く題材のみ取り上げられたり、エキセントリックな表現が人目を引いたりはするが、そんなときでも真実を「知ろうとすること」を基本スタンスとして忘れないでおこう。
10投稿日: 2015.05.20
powered by ブクログ3.11による福島原発の事故以来、放射能の影響を調べ続けている早野龍五教授と糸井重里氏の対談。 安心と安全との違いは、科学リテラシーだけで解決できるものではないと感じた。
0投稿日: 2015.05.15
powered by ブクログ気になってたこの本。本当に読んで良かった。 もう10年以上前だけど『海馬 脳は疲れない』を読んだ時も同じような興奮と感動があったなぁ。と思い出した。
3投稿日: 2015.05.11
powered by ブクログ東日本大震災による放射線の影響を、科学的に見続けてきた早野 龍五と、「ほぼ日」の糸井重里が対談した作品。 何だか分からないものを、科学的に分析することで、 「正しく怖れる」ことの大切さがよく分かった。 メディアの報道では悪いことばかりが取り上げられがちだ。 震災発生当時で情報行進がストップし「何となく怖い」状態の人も多いかと思われるが、 悪いことが良くなっていく過程にも目を向けなければならないということが本書では語られている。
0投稿日: 2015.05.01
powered by ブクログ何が正しいのかわからないときに、是非を論じない事実にあたること。事実の捉え方によって判断は変わる。自分の意思決定に責任を持つために必要なこと。仕事も同じ。
0投稿日: 2015.05.01
powered by ブクログ東大の物理学者であり、東日本大震災以降、科学者としての目線から福島の放射線の問題を定量的データに基づき冷静に分析し続けた早野龍五氏と、早野氏がTwitterで発信する情報をチェックし続けていた糸井重里氏の両名による対談集。 早野氏の存在は不勉強ながら初めて知ったが、声高に印象を叫び合う市井やマスコミとは距離を置き、ひたすら科学者としての目線から事実を追いかけ、福島の放射線の問題は身体への物理的影響という点では心配するようなものではないということを明らかにしており、非常に感銘を受けた。 特に心を打たれたのは、科学的には必要がない幼児の放射線測定を行うために、自作の測定機器を作り、母親とのコミュニケーションツールとしての測定機器の意味合いを語る場面であった。科学的に問題がないはずでも、実際に目で確かめるまでは安心できないという母親に対して、自作の測定機器で測定した我が子の放射線量を説明することで、正しい放射線に対する知識を母親も得ることができる。科学者として、正しい事実を追求するのみならず、それを人々とのコミュニケーションを通じて正しく伝えていく氏の姿は、科学的に物事を考えることの重要性を教えてくれる。 平易な言葉で語られる科学的な考え方とは何かということを教えてくれる本書は、様々な人にお勧めしたい。
0投稿日: 2015.04.29
powered by ブクログ未曾有の大災害に直面したとき、私たちは一体何を信じ、何に向かって歩んでいけばいいのだろうか。そんな疑問と不安にヒントを与えてくれるのがこの本でした。 早野先生の試み。唯一絶対信じられるものである「事実」を発信してくださっていたということ。見渡せば事実の脇に発信者の感想が(頼んでもないのに)くっ付いてるような情報が氾濫する中、余計なバイアスのない「事実」を分かりやすく与えてくれることが、何を信じたらいいのかも分からなくなるような瞬間には何よりも心強いのかもしれません。 糸井さんの思考。「よりセンセーショナルでない方を」という考え方こそ、今一度その価値を考えることが必要なのかもしれません。テレビにネットに新聞に、どこもかしこも刺激的なフレーズで一人でも多くの人を捉え引き込もうと躍起になっているご時世、大衆の流れに盲目的に流されてしまわないためには、「この情報は一体何を訴えてるんだ?」と、一旦立ち止まって考えることが大切なのかもしれないと感じました。 私たちにできることは、実はとてもたくさんあって、でもその前に一つだけ、まず始めるべきなのは「知ろうとすること」なのかもしれません。
0投稿日: 2015.04.20
powered by ブクログ福島の原発事故のことで知っている事と知らない事。事実と事実でない事。分かっている事とまだ分かっていない事。これらがごちゃまぜにされた時、福島に対する誤解や偏見を産み出すのだと痛感。中国での核実験が行われた際に日本に放射性の雨が降っていたこと等、初めて知ることも多く、薄い本ながら内容が厚い本。この本を読んだ人は、何かしら気づくことが多いと思う。
0投稿日: 2015.04.19
powered by ブクログ東日本大震災の直後、ツィッター上で呟かれるセンセーショナルなツィートばかりの中、唯一事実だけを淡々とツィートしていた物理学者である早野龍五氏と、糸井重里氏との対談集。 確かに、あの当時、情報が錯綜し、ツィッター上でもどれを信じていいものやら、私もよくわからなかった記憶がある。 その中で、糸井氏は、ある基準を設け、その基準上に合ったツィートのみを受け入れる事にしたという。 それは、『事実のみを受け入れる』という事。あそこは危ない、この食材は危ない、という流言飛語には飛びつかない、ってこと。きちんとしたデータに基づいた『正しく怖がる事』が大事。 私もその考えに賛成。
0投稿日: 2015.04.18
powered by ブクログ福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被曝や外部被曝の量は、幸いなことにかなり低い。原爆、チェルノブイリの事故、1,960年代の核実験による放射性降下物からの汚染、さらに自然被曝量が多い地域の放射線量など、様々なデータと比較しても明らかである。現在、福島の方々が住んでいる所の線量は極めて低い。 そういった結果を踏まえて、次世代、つまり生まれてくる子供に悪影響が及ぶなどという事は絶対ない、と私は自信を持って判断しています。 (早野) ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでない方ほう」「より脅かしてないほう」「より正義を語らないほう」「より失礼でないほう」「よりユーモアのあるほう」を選ぶ。 (糸井)
0投稿日: 2015.04.15
powered by ブクログ対談形式で書かれていてとても読みやすい一冊。 穏やかな言葉でとても大切な事が書かれていた。 回りの人にもたくさんオススメしました。
0投稿日: 2015.04.05
powered by ブクログ物理学者、早野龍五の震災後の取り組みについての糸井重里との対談。「放射能こわい」に対してデータを積み重ねて、定量的に説明するといった、科学者と一般人のコミュニケーションのあり方など。
0投稿日: 2015.04.04
powered by ブクログ福島に今も住んでいるものとして涙ながらに読んだ。そして改めて、東京電力と自民党は許せないと思った。原発の導入に関わった人は全員死罪に処すべき。まして、放射能で金儲けを企む電力会社や政治家、経済界の年寄りは、戦争犯罪人と同程度の罪の重さだと思う。原子力発電所は人間には制御出来ない悪魔の装置。そして、これだけ社会に悪を撒き散らした原発犯罪の当事者たちが、未だに誰一人として罪に問われていない日本という国は変な国である。いまこの国の中枢にいると思っている人たち全員がいなくなっても、この国は何も困らない。この国を支えているのは政治家や官僚や金の亡者の経済人たちではない。最後は少し元気が出た。
0投稿日: 2015.04.04
powered by ブクログ序章をパラパラ立ち読みして即購入。糸井氏は序章の「週刊誌の2冊目」の例えから絶妙。言葉を人に届けることで生きてきた人として専門的な話の媒介となっている。早野氏は論理的で説明上手な科学者。立ち位置がしっかりしていて安心できる。
0投稿日: 2015.04.02
powered by ブクログ福島で子育てしている。いまだに不安は消えないが、自分で溢れる情報をどう受け止めて、どう取り入れるか、この本を読んで自分をしっかり持とうと、勇気付けられた。色んな人に、最後の「もうひとつのあとがき」からでも読んでほしい。ただ、会えば不安ばかり口にする人に貸してあげたけど、こんなに分かりやすく読み易くても「でも、だって…」の人には分かってもらえなかったのも事実。
0投稿日: 2015.03.18
powered by ブクログ文章がわかりやすくて、身体にすっと入ってくる。福島で行なわれていたことを初めて知った。冷静に事実を知ろうとすること。心がけていけたらと思う。
0投稿日: 2015.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館の新着にあったので、ぱらぱと見て借りた。 感想は…、人は見えたいものが見えるし、見えたくないものは見えない、ということがよくわかる。どちらの意味にしても。 人間の、見える、聞こえる、匂う、は、1%も満たないことらしいので、感覚を頼りに進んでいいだなと思えるかもしれない。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログ糸井さんと早野さんの人柄がすごく伝わってくる。危機管理意識は大切だけれど、情報を最新の正確なものに更新していく気持ちは持たなければならない。わかっていても自分から積極的に調べていかなければ実現できないそれを、簡単に与えてくれる本。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログ人は野次馬を飼っている。心を自制して、「事実」はなにか?を冷静に認識しなければならない。会社の長、家族の長、メディアでの立場をよく理解してる糸井重里さん。すごい。また、早野さんの科学者として、きちんと分からない人達に伝えようと努力する姿勢もすごいなと思った。誠実だ。
0投稿日: 2015.03.08
powered by ブクログ物理学者の早野龍五さん×糸井重里さんの福島第一原発をテーマにした対談集。 一度持った疑いを晴らすのは本当に難しい。でもその疑いの種はどこから来たものか。その種は自分の考えを動かすほど信頼に値するものか。根拠のない声に踊らされないようにしなければと思う。 「大丈夫です」「安心です」その言葉も、いつか科学的に覆るかもしれない。お二人の会話でもっても明確な結論は出ないけれど、情報に常に更新していくことが大切だという。情報が溢れすぎて何が正しいのか分からずつい蓋をしてしまっていただけに、少し踏み込んで自分のなかの原発関連の情報を更新してみよう。 巻末の糸井重里さんの「もうひとつのあらすじ」は近年の情報化社会すべてにあてはまるように思う。 「人というのは、おもしろい生きもので、野次馬というやつをこころのなかに飼っています。」 十人十色様々な視点や考えがあることは良いこと。但し事実が曲げられたり膨らまされていないか見極め、時に柔軟に、時に良い意味で疑り深く情報と付き合っていこうと思った。
2投稿日: 2015.03.03
powered by ブクログ3.11がやって来る。生きている限り、この列島に人間が住んでいる限り、この日は必ずやって来る。これは、東京大学教授の早野氏とコピーライターである糸井氏との対談本であるが、3.11からそれに引き続いて起こった、福島第一原子力発電所のあの恐ろしい事故を、早野氏の科学者の目で追いかけた軌跡とその膨大なデータを、簡便にいえば、判りやすく、知ることが出来る。何がこれから必要なのか、それは、まさしく、「知ろうとすること。」その気持ちなのではないか。お手元において、皆さんに読んでいただきたい一冊。
0投稿日: 2015.02.28
powered by ブクログ「傍観者」だったことを思い知らせれてしまった。 私は、ただ知っているつもりだったのだと。 「知ろうとすること」は、たしかに大切な姿勢だと思う。それと同時に、どの情報を選ぶか、見極める目の大切さも痛感させられた。 これからの世界を生きていく上で、大切なことを学ばせてもらえた一冊です。
1投稿日: 2015.02.25
powered by ブクログ自分が知らないことは自分で勉強してわかるようになるのが一番いいのだろうがそれは時間がかかる。だから、誰か信じられる人についていく、というほうが手っ取り早い。東日本震災の福島の原発事故の際、糸井重里は自分が科学的な知識がないから、正しいことを知るために「この人は信用していいいな」という人をマスメディアやネットで探したという。発言力のある人がそういうことを、臆面なく素直に言ってしまえるところ。そういうところがやっぱりこの人のラジカルな凄さだと思う。そしてツイッターで見つけたのが核物理学者の早野龍五だ。言葉が「どう伝わっていくのか」のプロである糸井重里と、研究者でありそれまで一般の人とほとんど関わりのなかった早野龍五が、福島の被災者と向き合い科学がいかに「心」に対処するのかを論じ合った、短いながら内容のある対談集だ。
0投稿日: 2015.02.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【129冊目】福島の原発事故に関する物理学者とコピーライターの対談形式の本。帯の言葉「文化系とか理科系を超えて。原発事故後の放射線の影響について、いま、確かに語れること。そして、未来のための、こころのありよう。」という言葉がこの本をよく表していると思う。 東日本大震災後、特に原発については日本を大きく二分するほどの大きな議論になったけれども、原発否定派の声が大きすぎて、そしてその反作用として原発肯定派の主張がうさんくさく見えてきて、自分の意見を持つのがとても困難な状況にあった。だから、プロパガンダから自由な誰かに「確かに言えること」について平易な言葉で語って欲しいと長い間願っていたのだけれど、まさにそんな僕にぴったりな本だった。 福島に住む人達の内部被ばく量、陰膳調査、個人の日常生活における積算線量を計るD-シャトル、4歳未満向けのホールボディーカウンター、カリウム40の性質等、理科系の知見も大変勉強になったのだけれど、やっぱりこの本の真骨頂は筆者お二人の姿勢に尽きる。 「イスラム国」による日本人殺害事件の際の我が国の反応にも言えることだと思うのだけれど、"恐怖"を目の前にしたとき、取り乱さずに、冷静に、自分の頭で判断して、本当のことをすくい出して事態を打開しようとする心の持ちようが、ぼくの理想とするところだな。 なお、意外と感動したので、"HAPPY Fukushima ver."のリンクも貼っておきます。 https://www.youtube.com/watch?v=B-pk8z8rX2U
0投稿日: 2015.02.19
