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知ろうとすること。(新潮文庫)
知ろうとすること。(新潮文庫)
早野龍五、糸井重里/新潮社
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総合評価

214件)
4.3
80
60
27
3
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    文庫本で価格もリーズナブルだし、さらっと読めるのでおすすめの一冊。 物理学者の早野氏と糸井重里氏との対話を本にしたもの。 科学者として事実を的確に伝える事の大切さや、人が何を求めていてどのような対応が望まれるかをわかりやすく伝えている。 糸井氏は大衆よりの科学的な見識とは距離をおいて、イメージしやすいように解釈を添えていて、どんな人が読んでも分かりやすくなっていると思う。 ヒステリックになりそうなくらいの大災害による不安から、落ち着いて物事を冷静に見てみようとすることの大切さを与えてくれる。 そして、本文にもあったとり、当事者でない第三者からの沢山の「大丈夫だよ」という科学的に裏付けされた言葉が出てくる事が重要だという事に気付かされた。

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    投稿日: 2015.02.16
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    だんなさんに勧められて読みました。 原発事故については、一事が万事原発はアカン、福島は放射線で汚染されたからもうアカン、もうすべてダメとか、逆に電気いるんやからええやん原発とか両極端でヒステリックな論調が多い中、平熱で読みすすめられる本です。 この本で初めて知ったこと。それは甲状腺がんは進行が遅く命に別状がない場合もあるということ。何となく甲状腺がんってもっとめっちゃ怖いものかと思ってたけど後で調べたら比較的治療しやすいがんでもあるらしい。 何となくこうかな?と勝手にいろんなイメージで思ってることっていっぱいありそうやなと感じました。 それから最も印象的だったのは、福島の高校生がジュネーブで発表をしたこと。原発事故というマイナスの事件を通じて少しでもプラスの方向性が見えた、というのが良かったです。こういうのもっと国内でも活発に報道されたらなと思いました。

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    投稿日: 2015.02.15
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    ずっと気になってた本です。いやー久しぶりにいい本に出会った。 いろんな感想があるけど、久しぶりにいろんな人に薦めたいと思った。 まえがきの13ページだけでもいいので読んでほしい。 東大理学系研究科の物理学者早野さんと、日本一有名なコピーライター糸井さんの対談をまとめた本。 3.11以降、放射線に関する不安を煽られる昨今で、何が安全で何が不安なのか、つまり文章中でいうところの「正しく怖がる」ための方法が述べられている。 一見正反対に見える二人ですが、早野さん=科学的、糸井さん=情緒的という対立で話を進めるのではなく、お互いが科学的、情緒的な部分を認め合うっていうスタンスがとても良いと思った。 結果的に「安全だから大丈夫です」で終わってないところもよかった。甲状腺がんの話なんかはまだ結論が出ていないところで、慎重に結果を確認していく必要がある。 一方で安全とわかった部分をしっかり安全と認識し「正しく怖がる」ということが重要。 また、安全とわかっていても心情的に心配(刃物がついた振り子の話)という気持ちについても寄り添っていくことが大事。 以下キーフレーズ及び要約。 ・センセーショナルな言葉で注目させようとする言説には気をつける ・「ありませんでした」はニュースになりにくい。  →容疑者逮捕のニュースは流れても、容疑を免れて釈放されたことはニュースにならない ・科学的には必要ない機械の必要性(ベビースキャン) ・何かを判断しなくてはいけない立場になったときは、やはり科学的な見方をしたい(「怖い」でなんでも拒絶しない)

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    投稿日: 2015.02.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    震災後,糸井さんが苦手になっていたけれど, 早野さんの話に興味があり図書館から借りてみた。 原発事故の後は放射能被害についてたくさんの情報が あって,この本を読んでちゃんと知ろうとする姿勢が 大事だと思いました。

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    投稿日: 2015.02.11
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    http://media.lifenet-seimei.co.jp/2015/01/16/2063/

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    投稿日: 2015.02.10
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    「物理学者の早野氏と作家の糸井氏の対談。原発事故の後、放射能被害に関して様々な情報が飛び交い、「福島はこうだ」と、いつの間にか決めつけていましたが、この本を読み、ちゃんと知ろうとする姿勢が大事だと思いました。クリスチャンとして情報を取捨選択しなければいけない時、影響力の強い人からの情報や刺激の強い情報に安易に流されず、自分で知り、自分で考え、自分で神様の御心を探り求めていく必要があると思いました」N職員のオススメより

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    投稿日: 2015.02.06
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    話の本筋とはズレてしまうが、もっと科学をしっかり勉強しておくべきだったなあというのが正直な感想。糸井さんが常々発信する柔らかい物腰のツイートには好感が持てる。

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    投稿日: 2015.02.05
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     糸井重里という人はあまり好きではなかった好きではなかったが今このような時にごくあたりまえなことを当たり前に表明できる人だという意味で少し好感を持てるような気がするようになった。

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    投稿日: 2015.02.04
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    友人から借りた本。 震災や原発関連の知識を得られるかと期待していたところもあったのだけど、それについては少量にとどめ、むしろ問題が起こった時にとるべき姿勢についての対談。 お二人の人柄か、穏やかに淡々と進むリズムが心地よい。自分を声高に主張する人が多い中、ほっとさせられる一冊だった。

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    投稿日: 2015.01.31
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    さすが糸井さん。 難しい(難しそうに見える)ことを簡単な言葉でわかりやすく伝えることにおいて、右に出る人はいない。 そしてこの早野さんという人も、とてもそれがうまかった! 福島の放射線の影響の話から、果ては宇宙の誕生の話まで! なんだかわくわくする冒険物語を一冊読み切ったかのような読後感。 これは、広く読まれてほしい本。 みなさまぜひ。

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    投稿日: 2015.01.30
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    事実を静かに積み上げる大切さと、感情を理解し寄り添う思考と行動。 あと、情報発信者がどれくらい信用できるかどうかの判断基準も示唆に富む。 この先やら何やらを考えるにあたり読んでよかった。

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    投稿日: 2015.01.29
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    震災直後にネット上にデマが飛び交う中、正しいことを知りたくて、早野先生をフォローした。早野先生のツィートのおかげで、間違った道に進まないで済んだ。

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    投稿日: 2015.01.26
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    糸井さんのTwitterのステマに乗せられて買ってみた。 福島の人が故郷に住めなくなってる状況と、人間がコントロール可能な範疇を超えてるという理由から私は反原発派。かといって放射脳までいくと偏りすぎてて怖い。でも福島産の野菜や米は危ないんじゃないかと心のどこかで思ってる節があった。 やはり安心材料、人を説得するには数値、データだなと思った。 原発の話から逸れた宇宙が生まれたメカニズムと、原子レベルで路傍の石と人間は親戚なんじゃないかという話が面白かった。

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    投稿日: 2015.01.24
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    FUKUSIMAはまだ終わっていない。 頭に置きながらジックリ読みました。 不謹慎かもしれませんが少しホットした。 ぜひ、読んでもらいたい本ですね。

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    投稿日: 2015.01.24
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    震災後の福島のことを、きちんと話してくれた本。あまり知らなかったのは、怖さ故に自分から知ろうとしなかったんだと思う。科学的な数字を示されると、ほっとするというか、納得するというか。 冷静に語る早野さんと、素人にも分かりやすく導いてくれる糸井さんの対話が、読みやすい本にしてくれている。

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    投稿日: 2015.01.24
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    情報の受け手としてその取捨選択がどれほど難しいか、改めて考えた。 事実だけから真実を見出すことができるように、思考を鍛えたい。

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    投稿日: 2015.01.24
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    感情に訴える発信に、敏感に反応してしまう私だけど、もっと、知らなきゃいけない。 無知は本当に恥だ。 自分が選ぶ情報で、人を笑顔に出来ることもある。 みんなに読んでほしいな。

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    投稿日: 2015.01.20
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    いままで福島の農産物を買ってはいたけれど、心の隅のほうに「大丈夫!」と強く言えない所があった。この本で「ちゃんと大丈夫」自信を持てた。首都圏のニュースではいつのまにか空間線量を伝えなくなったけど、それはみんなが「もう大丈夫」と納得できたからではない気がする。この本はきちんと知ることがいかに大切なのか教えてくれた。それでも、顔見えない役所からの一方的な通知では信じられないし、信じることは顔の見える相手とのコミニュケーションがあってのことなんだと思う。立ち止まっていてはだめだと背中を押してもらえた。

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    投稿日: 2015.01.11
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    震災後、被災地について、もしくは福島について、 訳知り顔で特に福島の原発について書いてる・語ってる ものをたくさん見て、その大半に怒りを覚えていました。 どうにも余所者の好奇心に見えるものが多く、 他所の事だからそうやって偉そうに語れるのではないか。 本当に大変な方・それを知ってる方なら偉そうに のんきに語ってないのではないかと感じていたから。 正直報道の一部もそう見えていたので、 現場をよく知り携わった方の冷静な言葉は読んでみたいと思ってました。 実際、読んで思った通りだったことがありました。 海外のメディアに大きく誤解されていたということ。 そう見られても仕方がない映り方をしていたのではと 思うのですね。 この本がどうというより、 タイトル通り知ろうとすることが大切なんじゃないかと思いますね。 そのことを本自体も語ってくれてますし。 偏らないように色々なことを色々な側面から知って。 星1つマイナスは、アマゾンのレビューで唸りましたが、 自分も糸井氏の帯のコピーはちょっと、と思ったので。 アマゾンのレビューも一緒に読むのがおすすめかもです。

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    投稿日: 2015.01.09
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    原発の事故はショッキングに伝えられることが多いですが、実際にどれくらいの被害が出ているかはよくわかっていなかったです。 なるほど、と。 感情的にならず、科学的に解釈したいと頭では思っていましたが、その指針となる内容でした。

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    投稿日: 2015.01.09
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    @itoi_shigesato氏がしつこくツイートしているので、ここは読んでみようということで(笑 福島第一原発事故後の被曝状況について解りやすく解説されている。 こういうことを知りたかったのだ。 この本を書店で購入する時は「上から二冊目」ではなく、「一番上のもの」を購入下さい(読めば解ります)。

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    投稿日: 2015.01.07
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    【恐ること、怯えること、怖がることの前に、知ろうとすること】 まず、恐ろしく姿勢の正しい本だと思った。読者をきちんと意識したつくり(本書の早野氏のつくる姿勢を知ったら納得した)で、表紙のように、きちんと教台があって、黒板があって、机と椅子がある明るい教室のような本。決して道端でおばちゃんたちが噂話をするような雰囲気の本ではない。 本書は【福島は安全だよ、心配ないよ】という宣伝書ではなくて、文字通り【知ろうとすることへの姿勢】を提案する本だ。生き方の本。

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    投稿日: 2015.01.05
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    福島の現状についての対談。このタイミングでこそ言い切れる情報たくさん。勉強になりました。 また、この分量、この価格でまとめるセンスが素晴らしい。理系なら、データ満載で分厚い本にしちゃいそう。

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    投稿日: 2015.01.04
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    2014.12 よく調べもしないで、漠然とした情報だけで不安が膨らんでいた。自分で事実を掴みにいくこと、自分で信頼できる情報を見極めること、自分で納得すること、それが自分の生き方に繋がる。信頼できる内容だった。ひとりの日本人として、母親としてもっと何かできることがあるんじゃないかと。

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    投稿日: 2015.01.01
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    世の中は何が正しいのか、どの情報を信じたらいいのかわからないことがたくさんあります。確固たる「真実」が「正解!」のようにあればスッキリするのかもしれませんが、そう簡単にはいかないのがほとんどだとおもいます。 だれから見ての正解なのか、見る人、見る場所、見る時期それぞれに「正解のようなこと」があって、複雑な事柄ほど、そういうことが絡み合う。福島の原発のことなどはその極みのような気がします。 何が何だかわからないことこそ、簡単に結論付けてはいけないとおもいます。わからない状態が続くということは不安定でしんどい。だからと言って楽になるために結論を決めて安心しようとしてはダメなのだとおもいます。この本の題名のように「知ろうとすること」をあきらめてはいけないと。 だからこそ、この本から与えられる科学的な知識は、たいへん新鮮でした。このような考え方の指針となったり事柄を整理できるような情報は、世のニュースなどにはほとんどないから。このなかの138億年前の宇宙の話になった時には、視界が大きく広がった気がして、明るい気分になりました。ものを考える時には、時にものすごく広い見地で考えることも必要なのかもしれません。 そして、イトイさんが言う事実を選ぶ姿勢としての「よりスキャンダラスでないほう」「より脅かしてないほう」「より失礼でないほう」「よりユーモアのあるほう」4つのことを肝に命じたいと強くおもいます。

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    投稿日: 2015.01.01
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    震災後モヤモヤしていたことが、ひとつストンと納得できた。スキャンダラスに叫ぶのではなく、ちゃんと説明することが大切。きちんと理解して、流されないようにしたい。

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    投稿日: 2014.12.31
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    イトイさんの「もうひとつのあとがき」は手帳にでも貼っておいて、いろいろなことを判断するときに読み返したい。

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    投稿日: 2014.12.29
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    放射線の話も面白いのだけど、5章の科学の言葉と文学の言葉がどう関係しているかについての脱線がすごくいい。

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    投稿日: 2014.12.29
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    対談本は苦手ですが、まあまあ良かった。 スピークアウトすることって大切やけど、やっぱりそれもエビデンスをしっかり準備することが大切。よりセンセーショナルでなく、より正義を押し付けず、よりユーモラスで、そしてよりモデストな姿勢で。 何事も一歩引いて、少しずつ検証する時間と手間を惜しまない。

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    投稿日: 2014.12.26
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    震災から3年以上経った今、現在、自分たちが震災後どのような位置に来ているのか再確認できる本。 早野先生のあとがきに、「原発の事故は、起きてしまったことです。しかし、そこに生じた問題について科学的に考え、アプローチする態度が身についたら、将来大きな力になる。」と書いてあったことに、一筋の光を見たように思う。原発問題(事故を含めて)を今後どのように考えていくのか一度は手にして読んでみる本だと思った。

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    投稿日: 2014.12.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    糸井重里氏と物理学者の早野龍五東大教授による、放射能について の対談をまとめたものです。 早野教授は、福島第一原発の事故後、情報が乱れ飛ぶ中で、淡々と 事実を分析し、Twitterで発信し続けました。原子物理学者で原発に ついては素人でしたが、科学者として培ってきた科学的態度を崩さ ず、今、何がわかっていて、何がわかっていないのかを明確にしな がら、福島で起きていることを明らかにしようと努力を続けた方で す。その発信内容の質の高さと、淡々と伝える冷静な姿勢が信頼さ れ、多くのフォロワーを獲得。糸井氏もその一人でした。 早野教授が凄いのは、単に情報を整理・分析するだけでなく、子ど も達の被ばく状況を測定するため、学校給食の大々的な調査を行っ たり、幼児用の内部被ばく測定装置を開発したりしながら、事実を 明らかにしていったことです。しかも、行政に言っても埒があかな い時は、自らのポケットマネーでプロジェクト化したりしています。 本書では、糸井氏が、早野教授に聞く形で、震災からのことを振り 返りながら、これまでに見えてきたこと、福島の人々が未だ抱える 不安、コミュニケーションの難しさ、未来へのつなげ方、と言った テーマで対話が進んでいきます。 早野教授の話を聞いていると、福島の人々の被ばく状況が思ったほ どひどくはない、と言うことがわかります。しかし、その事実を伝 えていくことは簡単ではないのです。「大丈夫だよ」と言ってもな かなか信じてもらえないし、下手したら、原発推進派の回し者かと 思われてしまう。一方で、「大変な状況です」というと、情報はど んどん拡散される。それを糸井氏は、人という生きものの中に住ん でいる野次馬のせいだと説明するのですが、これは本当にそうだと 思います。 原発のこと、放射能のことについては、震災後、本当に色々なこと が言われてきました。正直、何を信じたらいいのか、わからなくな りますよね。でも、少なくとも、声高に叫ぶ人と、正論を吐く人の 言うことは、信じないようにしてきました。だから、本書のあとが きで、糸井氏が、人の意見を聞く時は、「よりスキャンダラスでな いほう」「より脅かしてないほう」「より正義を語らないほう」 「より失礼でないほう」「よりユーモアのあるほう」を参考にする と書いていたことについては、凄く共感しました。未知の事態に遭 遇し、何を信じたら良いかわからなくなったら、とりあえず、この 基準に従っていれば、間違いないのではないでしょうか。 糸井氏と早野教授の対話からは、自分が未知のこと、不可知のこと に向き合った時に、どういう姿勢で判断すれば良いのかを教えられ ます。同時に、伝える側の姿勢についても考えさせられます。読み やすい本ですが、内容は濃いので、是非、読んでみて下さい。 ===================================================== ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文) ===================================================== 本屋で週刊誌を買うときに、一番上にあるものじゃなくて、ついそ の下の2冊目を手に取っちゃうじゃないですか。(…) でも、もしかしたらその「2冊目の週刊誌を取る」というような行 動こそが、知らず知らずに風評被害みたいなことにつながっている のかもしれない。(…) そういう、風評被害とか、差別につながりそうなことを、自分もや らかしそうだという自覚をしっかり持ったうえで、できれば大切な 判断のときには「汚れてないなら一番上の本を買う」という行動を 取りたい、と思うわけです。(糸井) 「わからない」であきらめているような人って、知識がないわけじ ゃなくて、震災直後の混乱した中で発表された情報のままで知識が 固定されているんですよ。だから、知識がずっとリニューアルされ ていない。(早野) 放射線のことを闇雲に怖がっていても先に進めないんです。いま必 要なことは、事実を知って正しく怖がることなんだと思います。 (…)ちゃんと怖がるために、本当に危なかった、という話はちゃ んと踏まえた上で、「科学的に正しい事実を、人間が暮らすという 視点から見てみよう」ということが、必要だと思うんです。(糸井) 何か大きな問題が起こったときに、大きい声を出したり泣いたりし て伝える、っていう手法は、歴史的にずっとあったわけです。(…) でも、本当に問題を解決したいと思ったときには、やっぱりヒステ リックに騒いだらダメだとぼくは思うんです。「大変だぞ!」「死 んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて 説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、 とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやっているんじゃない かと思う。だから、どんなにいい人でも、叫びながら言ってること は注意深く聞かなくちゃいけない。「どんな非常事態であっても、 叫ばないでちゃんと説明してくれる人を見つけなきゃならない」と いうことを、ぼくは過去の経験の中で学んでいたんです。(糸井) 内部被ばく1ミリシーベルトっていうのは、セシウムの量として大 体1年間に5万ベクレル食べる、という値なんです。(…)1年間 に1ミリシーベルトを超えないというのは一つの大きな目標なんで すね。(…)言い換えると、1年間に5万ベクレルは使ってもいい、 と。(早野) 年間5万ベクレルまでというのは、ある意味、安全なレベルなんで すよ。(…)だから、そのときはむしろ積極的に「食べるな」じゃ なくて「ここまでなら食べていいよ」と言ってみるのはどうか、と。 (早野) 内部被ばくに関しては、危険なことはない、ということが納得でき る状況になりました。そこはもう、決着をつけることができたとぼ くは思っています。この事実を、どうやって人々の間に浸透させて いったらいいか、というのは、まだこれからなんですが。(早野) 福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被ばくや外部被 ばくの量は、幸いなことにかなり低い。(…)現在、福島の方々が 住んでいるところの線量はきわめて低い。 そういった結果を踏まえて、次世代、つまり生まれてくる子どもに 悪影響が及ぶなどということは絶対ない、と私は自信を持って判断 しています。それはみなさん、安心していいと思います。(早野) これからの段階としては、当事者じゃない立場の人たちが当たり前 に「大丈夫だ」と思えて、それを言う側に回る、というようなこと がすごく重要なんじゃないかな。専門家でも何でもない、第三者が 「大丈夫だよ」って言う。これをどういうふうに広めていくかとい うのが、すごく大事なことなんじゃないかと。(糸井) キャンペーンになってしまうと、押し付けがましくなって、かえっ て伝わらなくなってしまうところがあるから。(早野) 食品なんかの放射線量を考えるときに「1ベクレルでも危ない!」 というのは、ちょっとおかしな考え方なんです。我々は体内のカリ ウム40から、常に4000ベクレルずつ影響を受けていて、この数値 は、我々の努力で減らしたり増やしたりすることはできないんです。 (早野) 人というのは、おもしろい生きもので、野次馬というやつをこころ のなかに飼っています。 野次馬は、当たり前のことや、わかりやすいことを好みません。い ろんな視点が出てくることをよろこびます。(…)視点どうしが対 立して激しい応酬があったりしたら、格闘技をみるようにそのスリ ルをたのしんだりもします。そして、こころの奥にある「たのしん でいる」ということを隠したままで、無垢な善意の人として心配そ うに顔を曇らせたりもします。(…) よくわからないけれど、大変なことが起こった。そんなときに、 「野次馬」が暴れまくると「事実」がどこにあるのかわからなくな ってしまうのです。(糸井) ぼくは、自分が参考にする意見としては、「よりスキャンダラスで ないほう」を選びます。「より脅かしていないほう」を選びます。 「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」 を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。 (糸井) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●[2]編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年もいよいよ残りわずかですね。どんな一年でしたでしょうか。 個人的には、とても濃密な一年だったようにも思うし、逆に凄く希 薄な一年だったようにも思える、何とも評価の難しい年でした。と にかくうんざりすることが多くて参りましたが、自分と向き合うた めにも、必要な過程だったのだと今は思います。 素晴らしい出会いに恵まれた一方で、人の愚かさや幼さに直面せざ るを得ない場面もあり、ほんと、人は色々だなあと。陰陽というか、 プラスマイナスというか、全ては裏表で、完全に良いことも、完全 に悪いこともないので、要はバランスですよね。そのバランスのと り方に、人徳や人格というものが現れるのでしょう。まだまだ修行 が足りません。 もう若い頃みたいに、無茶がきかない歳なんだよなあということも 痛感させられました。体力気力はこれから確実に下り坂になるわけ ですから、心身のメンテナンスを怠らないようにしないといけない なと。来年、特にここらは意識していこうと思います。 悩み深い一年でしたが、お陰様で、色々とクリアーになったように 思います。ご迷惑おかけした方、迷惑かけてしまいましたが、有難 うございました。来年からは、もうブレることなく、自分の道を進 んでいけるのではないかと新鮮な気持ちで、新しい年を迎えられそ うです。 今年はこれが最後のお便りになります。 今年も一年間おつきあい頂き、誠にありがとうございました。今年 出会えた方、ご縁に感謝します。 来年が皆様にとって幸多き年でありますように。 良い年をお迎えください。

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    投稿日: 2014.12.22
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    手頃なサイズと価格で,対談形式で読みやすく,多くの人に薦められる本。科学的な考え方とは,信頼できる人を見つけるには,といった人生にとって大事なことが学べる。 311後の早野先生のツイートはほんとに有り難かった。人々の不安につけこむ根拠の乏しい声高な雑音にどう対処していくか。それはもう地道な事実の積み重ねと冷静な議論によるしかなくて,それを率先して(それも本業とは別の活動として)やってくれたのが早野先生だった。陰膳調査やWBCでの測定など,3年間の活動を振り返っている。 そして対談相手の糸井さん。科学に疎いとは言え,原発事故後の情報が錯綜する中で,誰が誠実で誰がそうでなかったか,どの意見に耳を傾けるべきかの見極めはちゃんとできていた。センセーショナリズムへの警戒感,正義を叫ぶ人への不信感,攻撃的態度や暴言への嫌悪感といった健全で常識的な感覚は,結局のところ自分や家族を守る武器になるんだと思う。

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    投稿日: 2014.12.16
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    「叫ぶ人は信用できない」という糸井さんの言葉。納得。緊迫した時こそ、ここぞという力を発揮しなくちゃいけない時こそ、落ち着いて周りの人と接し、行動できる人に、自分もなりたい。水素は138億年前から変わってない、という話、面白かった!科学は複雑に見えるけど、実はとってもシンプルなんだろう、という気がした。

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    投稿日: 2014.12.15
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    表紙の印象とは違う、対談的な。 でもまぁ、良かったかなぁ。 事故を受けて沖縄まで引っ越した人たちを思うと なんだかいろいろ感じるところがありました。

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    投稿日: 2014.12.15
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    正しく知るということ。 その難しさを改めて感じる。 人は、信じたいことを信じたいように理解する。 一度出来上がってしまった、固定感という壁をどうやって 切り崩していくのか? 著者らの苦労は、この本の中には述べられていないが、 大変さは感じる。 良書だと思う。

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    投稿日: 2014.12.14
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    読んで良かったと思える本だったし、他の人にも読んで欲しいと思える本だったので、周りの人にも勧めている。 福島の原発事故については色んな人が色んなことを言っているので、何を信じればいいのかわからない人が多いのではないかと思う。こうしている今現在も、某首相が言ったような、完全にコントロールできている状態にあるとはとても思えないし、東電や政府の発表を素直に受け入れることはとてもできない。そんななか、信頼できそうな人が、きちんとした根拠(データ)を持った上で、冷静に話をしてくれることは、大変な安心感を与えてくれる。 でも実は一番印象に残ったのは、138億年前のビックバンからずっと巡り巡ってここにあるという水素原子の話だった…

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    投稿日: 2014.12.13
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    極力客観的である姿勢、なにが真実なのかを見極めようとする姿勢が素晴らしいなと。それをどう実現していくか、そして具体的にどう物事を解決していくか、を学びました。客観的な数値を重視し、解決は地道に、という点が私の仕事(経営コンサル)と共通しているのが興味深いです。

    1
    投稿日: 2014.12.13
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    震災でもなんでも、やっぱり論理的な話を理解することが重要だということ。 でも、結局理解しているつもりでも信じるか信じないかという話であること。 でも、私は信じたい。 そして、震災の話はそうもう長く議論されないだろうということ。

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    投稿日: 2014.12.12
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    非常時にも落ち着いていること。事実を淡々と述べること。叫ぶ人は信用出来ない。よりスキャンダラスでないほう、より脅かしてないほう、より正義を語らないほう、より失礼でないほうを選択する、そして堅苦しいのは嫌だから、よりユーモアのあるほう、を。そういう糸井重里の視点。 僕も、きっとそうできるだろうな、と思う。 けれど、瞬間的に判断しなければいけない非常事態の場合に、正しい判断ができるだろうか。 実はつい先日、緊急時に誤った(かもしれない)判断をしてしまった。「知ろうとする」余地もない場合。そういうときには、平時の(知的、も含めた)訓練と心構えがものをいうのだろう。本書のテーマとは少しずれるかもしれないけれど、日頃心構えをしっかり持っておかなければ、緊急時に急にちゃんとできるわけもない。へこんだよ。 けれど、この本も含めて教訓にするしかない。 ただとにかく僕が気になるのは、前述のように、非常事態の質についてである。ものによっては叫ばなければならない場合もある。 ツイッターができるぐらいの非常事態であれば、叫ぶ奴はやっぱり信じないほうがいいよね。こころの野次馬をどう制御するか。誰の心にもいて、ときにはいいこともある野次馬をどうコントロールするか、というお手本。

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    投稿日: 2014.12.11
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    科学的なこと、あるいは一見科学的に見えることについて、その真偽を(ある程度)正しく判断するには、数学的素養が必要だなと思った。 しかしたぶん中学程度の証明問題について、「なぜそれで証明されたことになるのか」を、きちんと理解できる程度のことでいいのだと思う。

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    投稿日: 2014.12.10
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    やさしい言葉で書かれているため、分かりやすく、勉強になった。信頼できるデータを基に話しているのが分かるため、読んでいて安心感があった。

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    投稿日: 2014.12.06
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    糸井さんと早野さん(物理学者)の対談形式で 福島第1原子力発電所の原発事故による放射能の現状を わかりやすく説明していて とても読みやすく また納得できる根拠が満載で たくさんの人に 読んでもらいたい1冊です。

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    投稿日: 2014.12.05
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    ずっと読みたかった本。 ようやく昨日手元に届いて読了。 会話を隣で聞いてるように非常に読み易かったので、サクッと2時間程度で読めた。 門外漢だからと言って無関心だったり、 拒否反応を起こすのは、単なる言い訳。 無知はある意味犯罪に近い。 (自身の反省も含めて強く言うけど) 知ろうとする姿勢、 まずはそれが大事。 水素の話、クスっと笑えたけど、 久しぶりに知的好奇心をそそらせる、 そしてワクワクして読めた一冊。

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    投稿日: 2014.12.05
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    自分で情報を手に入れようとすることなく、流れてくる情報を目にして怖がっていた。それが間違いとも知らずに。情けなく思った。そして、自分から情報を掴まないといけないと感じた。その姿勢だけで、大丈夫なんだと思う。

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    投稿日: 2014.12.04
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    知ろうとすること。 正しい知識を得ること、誤った情報に流されないこと。 未曾有の原発からの放射能被害を 冷静に分析し対処する姿勢に感服させられた。

    0
    投稿日: 2014.12.01
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    ネットが普及したせいか、旧型のマスコミの信頼度が下がった中、科学的な視点って、大切だと再認識。こんな時代だからこそ。それを思い出させてくれたし、糸井さんの科学に対するスタンスにも好感、一気に読めた。

    0
    投稿日: 2014.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    福島の放射能の現状を、対談形式でわかりやすく記された良本。今起きている差別とか、これから起こりうる差別の芽を地道に摘んでいく作業を実践している糸井さん、早野さんにとても共感。不安を煽る声のほうが、どうしても大きく聞こえるけれど、事実を誠実にそして理論的に発信することの大切さ。受け取る側もきちんと正しい目、耳を持たないとなぁ。そして何より発信する側の誠実さ。これは一朝一夕で築けるものではなく、きっと普段の行い等からも滲み出るもの。色々考えさせられる本でした。

    0
    投稿日: 2014.11.30
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    1冊目が綺麗でも下から2冊目を取ってしまうというたとえに納得。 でも内部被曝は問題ないという根拠が今ひとつだったのがちょっと気になります...

    1
    投稿日: 2014.11.30
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    ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。

    1
    投稿日: 2014.11.30
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    原発事故後に放射線に関する科学的・客観的ツイートを続けた早野さんと、それに魅せられた糸井さん。科学的思考と非科学的思考との間を論考する、二人の対談。 できるだけ科学的に正しい側に立ちたい、との思い。――一方で、「二冊目の週刊誌を手にとる」感覚も、理解できるとする。 それでも社会を科学側に近づけていくために、科学的に情報を冷静に、根拠を添えて出すこと。デマや杞憂に対しては、正しいことを、適切な「態度」で伝える。発信も、キャンペーン化してしまうとダメで、個人個人での(地道な)伝え方のほうが効果的。 やや本題からそれるが、原発そのものへの賛否というのはYes/Noで答えられるものではない、との言及は印象的(第1章)。もちろん、なくて済むなら、ないほうがよいに決まっている、とはしたうえで、しかし原発は非常にデリケートな問題を孕んでいて、そこに住むこと(住む人の人生)の諸課題に密接に結びついているのだと指摘。本当にその通りだと思った。原発だけでなく、「ダム」なんかも同様だろう。物事(判断)は抽象化できるものではなく、大いに各地域やそれぞれの人々に関係してくる問題だ、ということ。 さらに付け加えれば、福島高校の生徒を欧州でのWS(発表)に連れていった話もよかった。こうした論考や発信の機会を通じて、科学リテラシーは若者に浸透し、磨かれていくのだろう。

    0
    投稿日: 2014.11.30
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    一度は目を通して損はないと思う。 糸井さんと早野さん掛け合いがすごく分かりやすい。お互いの視点からの言葉。それがスーっと入ってくるし、考えるキッカケを与えてくれた。 138億年前の水素で自分はできてる話。 難しいなともっていた物理学ってそういう視点でみて、想像するとワクワクした。

    1
    投稿日: 2014.11.27
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    「でも、もしかしたらその「2冊目の週刊誌を取る」というような行動こそが、知らず知らずに風評被害みたいなことにつながってるのかもしれない。」 福島の原発事故について大学院の教授と糸井さんが対話している本。この本を読むまでは、まだ福島産の農作物に不安があり、できれば避けたいと考えていた。そう言った非科学的なイメージは無知ゆえに生じるものであるが、自分から率先して知ろうとしなければ誤解が解けない。 ただ、テレビのような受動的なものでは逆に語弊が生まれ、それで知ることに満足してしまう恐れがある。何かをしるためには、まずその対象を選ぶことから始まるので、大変疲れる。 この本は、専門的なことが分かりやすく書いてあり、また本の値段も手頃であり、オススメだ。

    0
    投稿日: 2014.11.25
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    早野さんも、糸井さんも、2011.3.11以降、割と早い時期からtwitterでフォローしてきた。 このお二人のいうとおりだと思う。 なかなか、説明しがたいことを、見事に表現している。 実は、僕にとって糸井さんは、なんだか怪しい売文家だったんだけれども、震災関連のツイートを見て、考えを改めた。 流石です。

    0
    投稿日: 2014.11.23
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    一度は読むことをお勧めしたい本。漠然とした不安をいつも抱えていたけれど、きちんと根拠を自分なりに探して・探して選び取って行こうと再度感じた。優しく・ときどきユーモアを感じられる文章に和んだ。

    0
    投稿日: 2014.11.23
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    知ろうとすること、ってゆう本でした。知らないままではいちゃだめだと思ってる自分と、知るなら正確な情報でなきゃ意味がないと思ってる自分とがいたんだけど、だからちょっとめんどうで、いまは余裕がないからなあってゆう言い訳めいた気持ちがあった。読んだことでようやく折り合いをつけられたかな。

    1
    投稿日: 2014.11.22
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    (2014.11.16読了)(2014.11.14拝借) 【東日本大震災】 かみさんが読んで廻してよこした本です。 福島第一原発の事故後から原発事故後の放射能の影響を現実に添って調べ、発信し続けてきた早野龍五の活動を糸井さんが、聞いている対談本です。 このような活動をしている方がいることは知りませんでした。原子力発電の専門家ではなくても、原発事故で放出された放射能がどうなっているのかを調べる方法や測定の機器を探したり、開発してもらうことができるというのには、驚きました。 理屈では、測定する必要がないことでも、安心させるためには測定せざるを得ないこともあるとか。 「あとがき」にやって来たこととして以下のものが挙げられています。 ・ホールボディカウンターの不具合の調整 ・給食の影膳調査 ・ベビースキャンの開発 ・D-シャトルの配布 【目次】 序章 まず、言っておきたいこと。 1章 なぜ放射線に関するツイートを始めたのか 2章 糸井重里はなぜ早野龍五のツイートを信頼したのか 3章 福島での測定から見えてきたこと。 4章 まだある不安と、これから 5章 ベビースキャンと科学の話 6章 マイナスをゼロにする仕事から、未来につなげる仕事へ あとがき  早野龍五 もうひとつのあとがき  糸井重里 ●不安(16頁) 「わからないから怖い」って不安に思っている人ほど、新しい情報に対してオープンじゃなかったりしますよね。「触らぬ神に祟りなし」って感じで近寄らないようにしてたり、「何が何でも放射線はゼロにしてくれ」って、耳を塞いで言い張ってたり。地球のどこかにいる限り、放射線量はゼロにできないのに。 ●測定結果(20頁) さまざまな調査や測定の結果、起きてしまった事故の規模に対して、実際に人々がこうむった被曝量はとても低かった、ということです。とくに、内部被爆(主に食べ物や水によって、体内に放射線源を取り込んでしまったことによって起る被曝)に関しては、実際に測ってみたら当初想定したよりも、かなり軽いことがわかった。 ●問題解決(45頁) 本当に問題を解決したいと思ったときには、やっぱりヒステリックに騒いだらだめだと僕は思うんです。「大変だぞ!」「死んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやってるんじゃないかと思う。 「どんな非常事態であっても、叫ばないでちゃんと説明してくれる人を見つけなきゃならない」 ●水位計(51頁) 建屋の中に人が入れるようになって水位計を調べたら、実は水位計が壊れていて、水はなかったということも明らかになりました。 ●内部被ばく量(70頁) ある市民団体が、福島の駅前のショッピングセンターの中で、ベラルーシ製のホールボディカウンターで2000~3000人分の内部被ばく量を測っていたんです。その結果、ほぼ全員が内部被爆しているという、大変深刻な結果が出て、記者発表の用意をしていた。僕はその機種をそれまで見たことがなかったものですから、「ちょっと見せてください」と言って見に行ったんです。で、計測データを見たら、明らかに何かおかしい。それまでに持っていた僕の相場観から、明らかにかけ離れた数値だったんです。 発表を待ってもらって、解析してみたら、機械の調整不足だったんです。 ●セシウム(75頁) 身体に取り込まれたセシウムって、ちゃんと身体から排出されていくんです。 ●内部被爆の量が増えている人(76頁) (糸井)5000人に1人っていう確率で、ちょこっと放射線量の高いものを食べてる人がいる、ってことですね。 (早野)流通してない食べ物を食べ続けている人です。お年寄りに多いんですけど、裏山のキノコとか山菜、それから野生のイノシシ、そういうのを事故後も継続的に食べていた人でした。 ●放射性セシウムの規制値(83頁) 事故が起こった当初は、国が定めていた放射性セシウムの暫定規制値が1キログラムあたり500ベクレル以下だったんです。2012年4月から、規制値は100ベクレルに下げられたんです 1キログラムあたり100ベクレルというのは、世界的に見ても、とても低い規制値です。(85頁) ●D-シャトル(89頁) D-シャトル:新しく開発された個人積算線量計 1時間ごとに個人が受けた線量を記録してくれる高性能の積算線量計で、産業技術総合研究所と千代田テクノルが共同開発したもの これをコンピュータにつないで記録を読みだせば、何月何日の何時から何時の間に、これだけの線量を外部被ばくした、ということがわかる。 やりたいことを説明して、任意の1時間ごとに数値を読みだせるソフトを作ってもらいました。(90頁) ●福島の人の被ばく量(101頁) 福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被爆や外部被ばくの量は、幸いなことにかなり低い。 ●先天異常(102頁) ごく最近の調査で、事故後に福島県内で生まれた赤ちゃんの先天異常の発症率が、全国の赤ちゃんと比べてほぼ同じだったということを、厚生労働省が発表しました。 ●福島(162頁) 「福島の高校生です」って自己紹介すると、ヨーロッパの高校生や引率してきた先生が、「え? 福島って人が住んでるの?」って聞くんです。 ☆関連図書(既読) 「恐怖の2時間18分」柳田邦男著、文春文庫、1986.05.25 「食卓にあがった死の灰」高木仁三郎・渡辺美紀子著、講談社現代新書、1990.02.20 「チェルノブイリの少年たち」広瀬隆著、新潮文庫、1990.03.25 「チェルノブイリ報告」広河隆一著、岩波新書、1991.04.19 「原発事故を問う」七沢潔著、岩波新書、1996.04.22 「私のエネルギー論」池内了著、文春新書、2000.11.20 「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」菅谷昭著、ポプラ社、2001.05. 「いのちと放射能」柳澤桂子著、ちくま文庫、2007.09.10 「原発と日本の未来」吉岡斉著、岩波ブックレット、2011.02.08 「原発労働記」堀江邦夫著、講談社文庫、2011.05.13 「福島原発メルトダウン-FUKUSHIMA-」広瀬隆著、朝日新書、2011.05.30 「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」水野倫之・山崎淑行・藤原淳登著、NHK出版新書、2011.06.10 「津波と原発」佐野眞一著、講談社、2011.06.18 「原発社会からの離脱」宮台真司・飯田哲也著、講談社現代新書、2011.06.20 「原発の闇を暴く」広瀬隆・明石昇二郎著、集英社新書、2011.07.20 「福島 原発と人びと」広河隆一著、岩波新書、2011.08.19 「福島の原発事故をめぐって」山本義隆著、みすず書房、2011.08.25 「「想定外」の罠-大震災と原発」柳田邦男著、文藝春秋、2011.09.15 「福島第一原発潜入記」山岡俊介著、双葉社、2011.10.02 「日本人は原発とどうつきあうべきか」田原総一朗著、PHP研究所、2012.01.12 「官邸から見た原発事故の真実」田坂広志著、光文社新書、2012.01.20 「見捨てられた命を救え!」星広志著、社会批評社、2012.02.05 「ホットスポット」ETV特集取材班、講談社、2012.02.13 「飯舘村は負けない」千葉悦子・松野光伸著、岩波新書、2012.03.22 「これから100年放射能と付き合うために」菅谷昭著、亜紀書房、2012.03.30 「闘う市長」桜井勝延・開沼博著、徳間書店、2012.03.31 「おいで、一緒に行こう」森絵都著、文芸春秋、2012.04.20 「死の淵を見た男」門田隆将著、PHP研究所、2012.12.04 「できることをしよう。」糸井重里・ほぼ日刊イトイ新聞著、新潮社、2011.12.15 (2014年11月18日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 福島第一原発の事故後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五。以来、学校給食の陰膳調査や子どもたちの内部被ばく測定装置開発など、誠実な計測と分析を重ね、国内外に発表。その姿勢を尊敬し、自らの指針とした糸井重里が、放射線の影響や「科学的に考える力の大切さ」を早野と語る。未来に求められる「こころのありよう」とは。文庫オリジナル。

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    投稿日: 2014.11.18
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    この本に出会えてうれしい。 「科学的に大丈夫だからって、簡単には安心できないよ」っていう気持ちは確かにある。でも、そんなときも、心の片隅に「科学的に正しいことを選びたい」っていう意思があるだけで、大げさにいえば未来をちょっとだけ良い方向に進めることができるような気がするんです。(18頁) 内部被ばくはそれほどひどくなかった。とくに避難区域外にいる人たちにとっては、まったく問題ないといえる状況になった。けれども、だからといって、そのもともとの事故からすべてがOKになったわけでは決してない、ということは明言しておきたい。(21頁) 安全の話は、(その人が慣れ親しんできた今までの食文化を否定するほどの量じゃないともいえるので)「食べるな」じゃなくて「ここまでなら食べていいよ」と言ってみるという、個人対個人(主治医と個人の患者)の間だけで成り立つ説明の方法もある 自信を持って。躊躇しないで。間髪いれずに。 個人の弱い力がものすごく大事 誠実でゆるぎない態度で いくら実際に測定したデータを出しても「そのデータは嘘だ」と言う人に対しても、誠実に論証を挙げていく、ひとつのデータの信憑性というものに対して常に保険をかけていく 科学的には必要のない機械をコミュニケーションツールとして使う 大人を測定するホールボディカウンターよりも高性能な、デザイナーによりデザインされたものをつくる マイナスをゼロにする仕事から、未来につなげる仕事へ

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    投稿日: 2014.11.17
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    対談形式の本。早野さんの原発や福島に関する活動を軸に、「知ろうとすること」についてのあるべき姿勢を、柔らかく多面的に描いた本、といったところでしょうか。 それほど文字数は多くなかったですが読みごたえもあり、水素原子の年齢のくだりはビビッと痺れました。自分の心の中の野次馬、気を付けにゃならんですね。

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    投稿日: 2014.11.14
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    いいことも悪いことも事実を淡々と伝える・受け止める、そんなことがとても大切だと言うことに心が震えた。そう、たしかに『心のありかた』なのだ。

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    投稿日: 2014.11.12
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    東大の早野先生と糸井さんのと対談形式による、早野先生の福島原発事故後の取組を語っています。早野先生は、専門外ですが原発事故後に福島周辺で放射線による影響がどのようになっているかを調査されています。(詳細は紙面に譲りますが)その活動を通じて、一部を除いて被曝量は少ない、もしくはほとんど影響がないと科学的に推論されています。 題名の通り、科学的に『知ろうとすること』の大切さを感じました。

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    投稿日: 2014.11.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

     Twitterで流れてきて読もうと思った本です。200ページ弱の薄い本なのですぐに読めます。  東日本大震災直後にTwitter上を流れていた放射能についてのツイートについて語られます。 2011年3月14日にこのようなツイートがあったそうです。 「1973年に中国が大気圏核実験を行い、東京に雨とともに放射性物質が降った。学生だった私はガイガーカウンターで人々の頭髪や衣服などを測定。その数値は、福島の病院で被ばくされた方々と同程度以上、都民の多くが被ばくしたはずだが、それによる健康被害は現在にいたるまで報告されていない。」 3月14日と言えば、今日本が安全か、安全じゃないかと議論されていてどうなるかわからないこわい気持ちだけが先行していたと思います。でもこのツイートは事実を伝えていたと。 大きい問題でも小さい問題でも、まず事実だけを見つめることができるのかが大事だということです。  それ以降も福島で収穫される農産物がいかに基準値を満たしているか、などが紹介されています。  自分自身、スーパーに福島のものがあったら買うのですが、トマトをよくみかけますね。おいしいです。米は自分の田舎でとれるので必要ないので買わないですが。  こどもが甲状腺ガンになるかもしれないという心配についても語られます。甲状腺ガンはもともと厳密に検査していないものであって、いま、厳密に検査したことによって甲状腺ガンと診断されるこどもの率が増える可能性があります。世界で一番甲状腺ガンの検出率が高いのは韓国でそれは検査をしているから。  これらを事実じゃないという人もいるかもしれませんが、自分は自分が知らなかった事実だなと思いました。  それまでは、甲状腺ガンと診断されてしまった家族がかわいそうだという伝え方の報道ステーションの情報が自分の中の事実でした。

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    投稿日: 2014.11.11
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    自分ができていたこと,できなかったことを振り返る.そしてこれから進むべき方向を再確認. 早野先生はとてもクールでカッコいい.そして糸井さんがその憧れを言葉にしてくれた. この本で再認識した科学技術に携わる人間としての姿勢を忘れないようにしよう.

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    投稿日: 2014.11.11
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    2014/11/9読了。 間違いなく、今、日本人が読んでおくべき一冊。原発事故発生時の情報の錯綜、風評被害の振り返りと、今の福島の状況を理解することができる。マスメディアでは得ることが難しい情報が、信頼できる形で提供されている。

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    投稿日: 2014.11.09
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    糸井さんが強引なくらいにお勧めしていたので、購入して読んでみました。結果、読んで本当に良かったと思いました。 私自身、地震や原発事故の当事者でもなく、周囲に関係者もいないために、時間の経過と共に意識が薄れていたにも関わらず、事実かどうかも分からない報道や、恐らく誰かを責めるために誇張された情報、恐怖を煽る噂話ばかりが耳に入ってきていて、それを全て鵜呑みにはしないものの、どこかで安心しきれず、少なからずそれらの不確かな情報の影響は受けていたと気付きました。 この本を読んで、少なくとも現時点での事実はよく理解出来たし、糸井さんが弱い力の一つとしてこの本を強引なくらいお勧めしていた意味もよく分かりました。今の世の中、正しい事実を、正しく伝え広めることが、ある意味とても難しくなってるんですね。だからこそこの本では、そういう表現に走ってしまいがちな人の心理を理解した上で、誰かを責めたり批判したりすることなく、事実を正しく伝えることに徹して書かれています。 私も弱い力の一人として、読んでいない人には是非お勧めしたい一冊です。

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    投稿日: 2014.11.09
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    福島第一原発の事故から3年が経ち、世間の関心は当事者を除いては薄れ始めている。放射線の人体への影響をどの程度まで許容するのかという極めて難しい問題が、放置されたままになっているように思う。ある人は東京でさえもう人が住むべきではないと言い、ある人は福島県の農産物を食べて応援しようと言う。そのあまりに大きな隔たりに、考えることが億劫になってしまっている自分がいる。検証しようがないことを自分の責任で判断することはとても難しいと知った。 東京大学大学院理学研究科教授である筆者の早野龍五さんは、事故直後からTwitterを通じてできるだけ正確なデータを測定し、発表してきた。それを糸井重里さんが取り上げて今回の対談本となったわけだが、単純に原発の善悪の話ではなく、限られた情報の中からどうやって真実を「知ろうとする」べきなのか、を語っている。 早野氏の言が信用できそうなのは、彼が「分からない」ことを出発点として語っているからだろう。結論ありきではなく、放射線の被害があるのかないのか、あるのならどれくらいなのか、というニュートラルな立ち位置を取っている。これが大切なのだろう。「推進派」「反原発は」というレッテルが貼られた瞬間に、その人の語るデータは意味を失ってしまうから。 そうした「前提を置かない態度」こそ科学的な見方であろう。 ただし、糸井氏がTwitterで「福島の桃、ウマい!」と呟いているのを見て「ああ、糸井さんが食べているんだから大丈夫だ」と追従する人がいたとしたら、それは決して科学的な態度ではないだろう。

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    投稿日: 2014.11.09
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    正しく知ること、知ろうとすること。もちろんみんなが早野先生のような学者になれる訳ないけど、知ろうとすることの積み重ねが、何よりも大切な指針になっていくんだろうな。

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    投稿日: 2014.11.09
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    とても読みやすい本。 糸井さんと早野先生の対談形式で話し言葉で語られるから、とてもスーッと頭の中に入ってくる感じ。 興味深かったのは、福島第一原発の水位計の話とか、水素原子が138億年前にできたものがリサイクルされ続けているとか、福島の高校生がCERNのワークショップに参加したエピソードとか。 最後の高校生のCERN参加の話は感動もの。ウルウルきちゃった(^^;;

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    投稿日: 2014.11.08
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    事実を見つめ冷静に判断する姿勢の大切さを確認させくれる内容。 原発事故を正しく判断する視点の置き場所としてこの本素晴らしい。

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    投稿日: 2014.11.08
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    ほぼ日のサイトでみて、きちんと考えてみたいと思っていました。病院の待ち時間に読み終えました。科学者の責務というのが、幾層にもあって、早野さんは、それをしている。 冷静に事実をかたることから出発し、警鐘を静かにならすこと、そして、科学的な知見をインタープリテーション(翻訳)すること、解決のための具体策をくわだてること、公的な承認を得て多くの人に広めること、をおこなってきている。かっこいいなあ。

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    投稿日: 2014.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いまだに「福島産」というだけで拒絶する人がいる。福島に近いというだけでも拒絶反応を示す。スーパーで「茨木産」という表示が増えたのを見て「福島産を隠すための陰謀だ」という。国や電力会社の発表する数字は信用できないと自分たちで計測している人もいる。がれき処理の持ち込みに断固反対している人もいる。 そういう人たちを見て、私自身どう判断していいのかわからなかった。大雑把に「大丈夫だよ」と言ってしまうのも違う気がするが、だからといって、わけもわからず「なんとなく怖い」というだけで右往左往するのも嫌だ。 この本を読むと、「冷静に判断する」とはどういうことかがわかる。「冷静に怖がる」とはどういうことかということもわかる。 計測して出てくる数字はただの数字で、それをどう読むか、どう受け取るかで全然違ってくる。 危ないものをすべてゼロにせよ、という願望は、感情としては理解できなくもないが、やはり無茶な要望だと思う。そんなに危ないのが怖いなら生きるのをおやめなさいな、と言いたくなる。 さまざまなリスクとどう折り合いをつけていくか、どれを避けて、どれは受容するか。そういう判断を「科学的な態度」というんだろう。 この地球に生きている、というのがどういうことなのか、落ち着いてよく考えた方がいい。そのための方法や考え方を、この本は教えてくれる。

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    投稿日: 2014.11.04
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    放射線に関する「科学」の本と思って読み始めたが、「コミュニケーション」の大切さ、難しさだった。周りの人に勧めたくなる!

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    投稿日: 2014.11.03
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    ほぼ日やツイッターなど通してこういった人々の発信にはずいぶん助けられていたことを改めて思い出す。 あの事故以来いまだに福島県産の食べ物をどうしても敬遠してしまうという人も、福島県内でたくさんの不安を抱えて子育てをしているような人も、一読してみてほしい内容。きっと少しはほっとできると思う。 原発の事故そのものは取り返しがつかないことだけれど、この経験をきっかけとして科学的に考え、アプローチする態度が身につけられれば、という思いに共感。 その実践としておこなわれた、福島の高校生たちが身近な問題を自分で調べてまとめ、海外に自ら発信し交流をしたという報告が示唆的でよかった。

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    投稿日: 2014.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごく良い。おもしろかった。 私の心にいつもある言葉は、美輪明宏さんの「悩んで落ち込んだとき、必要なのは理性。 いらないのは感情」 というのなんだけど、震災の後、糸井さんが言った (あとがきにもある)「ぼくが、じぶんが参考にする意見としては」のツイートがすごく好きで、ほんとうにそうだなぁ、といまでもお気に入りしている。 そういう背景があったので、きっといまの私に要ることが書いてあるに違いないと思って読んだ。 良いとか悪いとか好きとか嫌いとかいろいろあると思うんだけど、そういうのはいったん横に置いておいて、考えたり、勉強したり、まさに「知ろうとする」ことはやっぱりすごく大事だし必要だと思う。「本を二冊目から取っちゃう」自分のためにも。

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    投稿日: 2014.11.02
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    早野龍五氏、糸井重里氏の対談で本文が綴られる、文庫オリジナルの書籍である。 東日本大震災直後から早野氏のTwitterを見てきた人間としては思い出もあるというか、毎日出てくるグラフが懐かしかったりもするというか、改めてデータの整理・見方・使い方を確認させられた日々を思い出した。 専門書ではないので、何が起きて、どのようなことが行われたのかを知る、そして、次(ないほうがよいが)にはどのように行動するか、という一冊。

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    投稿日: 2014.11.02
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    インターネットが普及して、情報が簡単に入手、発信できるようになったが、それに伴い、過度な誇張や嘘も多分に混じっている状況だ。 そんな中で事実をきっちり捕まえることが必要だと改めて感じた一冊。 糸井重里氏のあとがきに書かれた姿勢に共感した。 特に参考にする意見は よりスキャンダラスでないほう より脅かしてないほう より正義を語らないほう より失礼でないほう よりユーモアのあるほう

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    投稿日: 2014.10.31
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    福島の原発事故直後から放射線の影響について、継続的に客観的事実を発信し続けている物理学者の早野龍五氏と糸井重里氏の対談。 早野氏があとがきで述べているように、当時、科学の思考や言葉がいかに一般に伝わらないかということはイヤになるほど突きつけられた。例えば、「安心」と「安全」の差は今はほぼ通じるようになったが、当時は「こういう条件であればこう考える」ということがなかなか伝わらなかったように思う。そこは当事者との意識の差であったり、あとはやはり表現の問題だ。 早野氏がいかに事実を分析し発信し続けたかというのは、尊敬するとともに個人の力に頼ってしまっている部分に危うさを感じる。 知らなかったことがすんなり読めるのはさすが。糸井重里氏に対しては、正直、いつも若干批判的な目で見ているのだが、毎度のことながら読んでるうちに「やるなぁ」と思わせられてしまう笑

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    投稿日: 2014.10.30
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    あの頃わたしが心の拠り所にしていたふたりの本。この人たちがいてくれて本当によかった、と思っていたあの春のことを思い出した。

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    投稿日: 2014.10.27
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    最後の糸井さんのあとがきが印象的でした。 人に宿る”野次馬”的な部分。 事実と視点が異なるという点。 事実が基点になりそこにいくつもの視点がある。 良し悪しの話を抜き視点を持てたということは消せない。 混乱や気持ちがぶっれぶれになる時って事実から離れて、最後の糸井さんが話している、よりおびやかせたり、スキャンダラスだったり、正義的なことに傾いてしまっているからなんじゃないかなって思う。 そういう視点を持てることは事実だけど、ことの事実はひとつとしてある。 その事実をうまく捉えて見つめてあげることって、この本では福島ことを題材に書かれているけど、生活の中でいくらでも求められていることなんじゃないかなぁと思いました。

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    投稿日: 2014.10.26
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    とても大切なことを伝えている良書だと思います。 放射線に関わる一技術者として、科学的な見地としては正しいと感じました。 でも、本書ではあまり触れられない、確率論としてリスクがゼロではないことから、自分は、それでも、という思いが原発に対してはあります。

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    投稿日: 2014.10.25
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    3.11の大震災から3年経った今、知らなきゃいけないことや考えなきゃいけないことを、糸井重里氏と早野龍五氏が淡々と語りあっている一冊 根拠のない風評被害が発生しないためにも事実を事実として伝える、受け止めることの大事さを考えさせられました

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    投稿日: 2014.10.24
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    淡々と対談が書かれた本ですが、早野先生と高校生の取り組みが書かれた最後の章で、涙が出てしまいました。 大人は、未来を生きていく子ども達に「可哀想」といった呪いの言葉ではなく、先生がされたように正しく知って乗り越えていく力を伝えて行かなければならないと思いました。 大変困難な道を諦めずに切り拓いてくださった著者のお二人を心から尊敬します。

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    投稿日: 2014.10.23
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    東日本大震災が起こった直後、福島第一原発に関わることをTwitterで発信し続けた早野教授と、その早野教授のツイートを支持した糸井さんの対談の本。 薄いし、対談だから専門的知識に偏ることもなく、いい意味で敷居が高くない本です。なので自分でも読めました。(かと言って専門的なことが書いてないわけじゃないです) 最初に糸井さんが述べているスタンスは、「自分の判断は普段科学的ではない部分が結構ある。だが、何か起こったら、科学を拠り所にする」というもの。これは自分もそうありたい。 東日本大震災は、原発に対するスタンスを明らかにする人が結構いた。そのような人たちは実際になんらかの行動をした。 そうでない人達にとっても(自分も含めて)、震災は今後生きて行くのにはどのようなスタンスがいいのか考える契機になったのだ、と改めて思いました。 実例として、震災を機に福島の優秀な高校生の渡航が実現したのだし、早野教授によって子どもの放射線測定、内部被曝に関するノウハウが確立されたのだし。 3年半が経とうとしている今、震災を改めて考えるのにとてもいい本だと思います。 さらに今後、世界がより緻密な数式で表され、科学の力で災害の被害が食い止められるようになることを祈ります(第5章参照)。 自分にできることは、一市民として少しでもいろんな本を読んで、センセーショナルな情報に動かされずに冷静に判断できる知識を身につけることなのかなと思いました。

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    投稿日: 2014.10.22
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    この本を読んで、震災から3年半が経った今でも、自分は放射能の実態について理解していなかったんだなと思った。 もう、何が本当かわからないから、もしかして、ものすごい深刻なレベルで福島近辺の住人は内部被ばくを受けてしまっているんじゃないかという疑念があったのだけれど、この本は、事実とデータに基づいた観点から、内部被ばくは完全に安心をしていいレベル、と言い切っていて、そのことにとても安心した。 いまだに、放射能についてはいろいろな意見があるけれども、この本を読んで、早野さんの意見を信用しようという気になった。これを読んでから、「美味しんぼ」の鼻血の描写などを思い返すと、たしかにもう一度風評被害を蒸し返す、酷い話しだったんだというふうに思えてしまう。 自分も、スーパーで野菜を買うときにはどうしても福島産のものは敬遠をしてしまうけれども、そのことをさして、糸井重里が、「なんとなく本屋の雑誌で上から2冊めを取ってしまうようなもの」と言ったのは、とても的確なたとえだと思った。たしかに、自分は、特に深い意味はないけれども上から2冊目を取ってしまう人間だ。 いまの時点で明らかなのは、さまざまな調査や測定の結果、起きてしまった事故の規模にたいして、実際に人々がこうむった被ばく量はとても低かった、ということです。とくに、内部被ばく(おもに食べ物や水によって、体内に放射線源を取り込んでしまったことによって起こる被ばく)に関しては、実際に測ってみたら、当初想定したよりも、かなり軽いことがわかった。「もう、食べ物については心配しなくていいよ」と言えるレベルです。(p.20) 何か大きな問題が起こったときに、大きい声を出したり泣いたりして伝える、っていう手法は、歴史的にずっとあったわけです。戦争中もあったし、学園紛争の中でもあった。でも、本当に問題を解決したいと思ったときには、やっぱりヒステリックに騒いだらダメだとぼくは思うんです。「大変だぞ!」「死んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやっているんじゃないかと思う。だから、どんなにいい人でも、叫びながら言ってることは注意深く聞かなくちゃいけない。(p.46) 福島原発の事故の規模に対して、福島の人々の内部被ばくや外部被ばくの量は、幸いなことにかなり低い。原爆、チェルノブイリの事故、それから1960年代の核実験による放射性降下物からの汚染、さらに自然被ばく量が多い地域の放射線量など、さまざまなデータと比較しても、これは明らかです。現在、福島の方々が住んでいるところの線量はきわめて低い。(p.101)

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    投稿日: 2014.10.22
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    映画を観もしないで書くのは大変失礼だと思うのですが、、 福島についてのドキュメンタリーがあるようですが、そちらを見て不安になったら先入観を捨て、一度この本を読んで落ち着いてほしいと思います。(追記)   確認のつもりで読みました。 知らないと心配になるから知ればいい。 不安なら安心できる方法を探せばいい。 きちんと知ってから発信なりRTなりすればいい。 大事なことが書いてある本だった。 火山の噴火もそうだけど、落ち着いてもう少し知るべき事があるのではないか。少なくとも他人の伝聞だけでなく元資料や元発言に当たり、判らなければ信頼できる人を探そう。そう思いました。(追記)

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    投稿日: 2014.10.19
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    福島の原発事故と放射線について、 事故から3年半がった今だからこそ語れること。 ツイッターで事故後早くからデータを収集しツイートしていた早野先生と、 事実を科学的に見たいと思って彼をフォローし見守り、 その後、いろいろな行動を起こした糸井重里さんの対談本です。 つい一昨日、この本を読むにあたって合わせて読んだ方がなおいい、と いうようなツイートを確か糸井さん本人がされていたのを目にしていたので、 『いちから知りたい放射線のほんとう』を読みました。 そこで、相当に、今ではこれだけはっきり分かっているという 放射線の知識を得ることができましたし、それまで読んでいた本の内容も 頭の中で整理されたかのようで、クリアになった気分すらしました。 そして、満を持して、この対談集を手に取った。 そこで見えてくるのは、糸井さんがあとがきで書かれていることにも繋がるのですが、 事故などの危機に対する「姿勢」なんですよね。 「姿勢」であり、どこを向いているかという「視線の向き」でもある。 そういうのが学べると思いますよ。 いわば、北極星を教えてもらうような本とも言えますね。 近代になって科学が発達するまで、航海してるときに目印にしたのは北極星です。 「北極星を見る」というのは、イコールこのような災害の場合での 「姿勢」を知ることであり、「視線の向き」を知ることでもある。 他の星を目標にしてさまよってしまうがごとく、 科学的事実に拠ろうとすることをしなければ、きっと、この災害の本当のことは いつまでたってもわからずに、さまよい続けてしまうことになるでしょう。 さらにいえば、自分だけさまようのではなく、 さまよいながら人を傷つけたり迷わせたりもしてしまう。 そうはならないように、最小限どこを向いたらいいよ、と促すような本だと思います。 糸井さんと早野先生のツイートのやりとりで知りましたが、 この本のタイトルの『知ろうとすること。』には、 「素人がすること」というような意味も込められているようです。 素人がすることは、知ろうとすることで、それは「姿勢」を手にすることなのだと 僕はそうとらえました。 事故からの取り組みとその経過が比較的詳しくわかりますし、 わかることで、安心を得られたりもします。 単行本で出てもいいような本なのに、最初から文庫本で発行されて、 ワンコイン500円で買えてしまいます。 知ろうとする、その気持ちが少しでもある人は、ぜひに。

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    投稿日: 2014.10.18
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    お子さんのいる方達にぜひ読んでいただきたいし、 放射線のことだけではなく、あらゆることに関しても 同じことが言えると思う。 冷静に、科学的に、事実を把握すること。 扇動的な声に惑わされないこと。 なかなか難しいんだけどね・・・。

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    投稿日: 2014.10.17
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    「知らない」と「知っている」この雲泥の差。 そして、知っていてもなんとなくできないことがある。 本屋さんで積んである雑誌の2冊目を取ってしまうこと。 でも、知っていれば、そのうち2回に一回は一番上の雑誌を手にするかも・・・。これが雲泥の差なんだと優しく丁寧に伝わってきました。 伝えるのに「言葉」は本当に必要ですが、それに人の納得が加わるには事実という要件も必要なのですね。 いろいろわかると共に、わからないことも一つ。 データでいろいろ危ない物質の量が少ないのはわかったのですが、大きな事故がありながら、どうして少なくてすんだのかはわからなかった。理由もわかるといいのにな。 そして、物理学者という人のアタマの構造はもっとわかりませんでした。紙には書けないけど数式として答えが出る・・・????うーん、違う人種ですね。 でも、とっても興味ですし、面白いとは思いましたが。

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    投稿日: 2014.10.17
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    東日本大震災、福島第一原発事故の後、福島の被ばくについて誠実に調査を重ね、福島の人々に寄り添ってきた東大の早野龍五さん(専門は違うのに今ではすっかり第一人者!)とHP、ツイッター上で被災地をずっと気にかけてきた糸井重里さんの対談。福島の現状、これからのことが非常にわかりやすくまとめてあると思います。福島の高校生がヨーロッパに行って発表したという話にはかなり勇気づけられました。漠然とした不安や忌避感とか、もしくは正義の押しつけが蔓延している中で自分は科学的に誠実なものに向き合っていけるようになりたい、と思います。

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    投稿日: 2014.10.15
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    無意識のうちに塞き止めていた福島に関する情報を、3年と半年を経てやっと更新できた。それもまた、すごく確実に。しばらくは本棚に戻さず、持ち運んでいたいなぁ。 (文中の言葉の交差ひとつにしても、早野さんの説く科学的な確信でグッと安心、もうひとつ糸井さんのすごく人間的なユーモラスでホッと安心だったり。個人的にはそういったとこも魅力的だったな。)

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    投稿日: 2014.10.14
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    知ろうとすること。 東大教授早野龍五と糸井重里の対談集。 福島原発事故に関する正しい事実の伝え方に関する話。 当時の福島がどういう状態で、今の福島がどういう状態か、ショッキングでも非科学にも伝えず、科学的な事実を伝え続けた早野教授。 科学的に正しいデータでも、不安を感じる人には伝わらない。 [データそのものだけでなく、「表現の仕方」ということが重要になってくる気がします。たとえばこれからの段階としては、当事者じゃない立場の人たちが当たり前に「大丈夫だ」と思えて、それを言う側に回る、というようなことがすごく重要なんじゃないかな。] 伝える人がどう伝えるか、そして今ある事実を受け手がどう正しく知ろうとするか、それによって正しい事実が伝わっていく。 伝わらないことをあきらめずにどうしたら伝わるかを考え行動すること、分業・専門化が進む現在、科学者に限らずいろいろな専門分野に関わる人間が考えるべきポイントだと思う。

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    投稿日: 2014.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東日本大震災のあったあの日から、努めて冷静に、いたずらに危機感を煽ることなく情報を発信し続けてきた一人の物理学者とコピーライター糸井重里の対談形式で綴る福島のたどってきた道のりとこれからの未来。 恥ずかしながら、早野龍五という物理学者の存在も、東日本大震災発生後からのその発言内容も全く存じ上げませんでしたが、このように冷静な判断ができる学者が存在したということが、日本にとってとても幸運なことだったのではないかと思えます。 それにしても私自身知らないことが多すぎます。そして、誤ってインプットされた知識も多すぎます。 たとえば、甲状腺ガンに関して言えば、今回の被ばく事故によってその発生件数が飛躍的に増えるものと勝手に思い込んでいましたが、どうやらそうではない様子。そして、そもそも、甲状腺ガンは非常に進行の遅いガンで、ほぼ命に別状がないという話には驚きました。したがって、短絡的に全員に検査を受けさせて、その発症の有無をつまびらかにすることは、診断された人の心理的な負担にもなるので慎重にならざるを得ないという主張にはハッとさせられました。 でも、何よりも、福島の方々の内部被ばくに関しては大丈夫だったという話には安堵の気持ちでいっぱいになりましたが、それだけに、放射能被ばくに関して、キャンペーンとして広めるのではなく、当事者じゃない第三者が、当たり前に「大丈夫だ」と思えて、「大丈夫だよ」って言ってあげる。そういう「個人の弱い力がものすごく大事だ」という糸井氏の言葉が胸に染み入りました。

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    投稿日: 2014.10.13
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    近い将来の地元Uターンに向けて、 地元福島のことをあらためて考えたいと思い、 購入。 ほぼ日刊イトイ新聞主宰、糸井重里さんと、 物理学者、早野龍五さんの対談をまとめている。 3.11の直後、僕は溢れる情報に混乱する中で、 思考停止に陥っていた。 そんな中、 確度の高い情報と、身軽なフットワークによって多くの人を巻き込み、いち早く現地とのコミュニケーションを作り出したこの2人の動きから学ぶべきものは多い。 放射線や原発の問題を抱えた地元と、 これからどう対峙していったらよいか、 いまだにきちんと腹落ちしていない気がする。 本書を読んで、 まずはきちんとした人は誰なのか? 科学的な根拠を元にした意見は何と言っているか? まずはそこから。 これからも、 有事に声高に叫ぶ人を、僕は信用しない。 以下、印象に残った点を引用。 ・放射線のことを闇雲に怖がっていても先に進めないんです。いま必要なことは、事実を知って正しく怖がること。 ・「福島の高校生です」って自己紹介すると、ヨーロッパの高校生や引率してきた先生が、「え?福島って人が住んでるの?」って聞くんです。 ・今の高校生たちが将来に対してどこに希望を持って生きるか、というのはなかなか難しい問題だと思うんです。 ・どちらかというと閉塞的な日本の社会で育ってきた若者にたちにとって、同世代の若者たちがどういうつもりで生きているのか、というリアルな姿に触れることは、ものすごく刺激になる。ぼくが「教えてあげる」というのではなく、そういう環境を提供していけたら、と思っているんです。

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    投稿日: 2014.10.13
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    事実を知るためにはとにかく冷静でいなくてはならない。けれど、その事実を人々に伝えるためには、事実だけでなくそこに物語が必要なのかなと思いました。

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    投稿日: 2014.10.12
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    多くの人に読んでもらえたらいいな。 自分の考え方も見直さなきゃ。 今までの考え方や捉え方は肯定しながら。

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    投稿日: 2014.10.12
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    福島の事故について忘れぬ事、考え続ける事、これからの原発について考える事などどれをとっても重要。 そしてそれらの根拠となる事が正しい事であるという事はもっと重要。 雑誌を買う時に一番上のではなく2冊目以降の物を手にしてしまう事と風評被害を比べた糸井氏はさすがだと思った。 本書の中で糸井氏が言っているように「叫ぶ人は信用できない」という言葉は単純ではあるけれどそうかもしれないと思う所が大きい。 本書で糸井氏との対談相手である早野龍五さんはかなり冷静にデータを読み解いて福島の人々に対しての行動を起こしている。叫んではいないのだ。 早野さんのツイッターをフォローするというのは今後の問題を考える上でかなりヒントになるのではないだろうか。

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    投稿日: 2014.10.12
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    × senahate 原発の事故後、冷静に原子力発電所から出る放射線について、データを調べツイートする科学者がいたのだ。その人は、本書の著者の一人である物理化学者の早野 龍五さん。その後、早野さんは福島で内部被曝を調べる為に給食内の放射線の数値を調べたり、赤ん坊の内部被爆を調べる為にベビースキャンという機械まで作ってしまう。対談相手の糸井さんの存在がありがたい。本書は、あまり科学が得意じゃない人が読んでも理解できる本だと思う。たくさんの人に読んで欲しい。

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    投稿日: 2014.10.10
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    とてもとても良かった。何よりも知りたかったことを、丁寧にわかりやすく説明してもらった気分。高校生のとき、こんなふうに物理を勉強できていたらなぁと、夢見てしまった。

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    投稿日: 2014.10.10
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    マンガ化して絵の描写でイメージを沸かせながら読んでみたい。ドキュメントではなく、時系列の対談形式で、福島第一原発事故という事実に向き合う人の姿勢について言及。対談なので、頭に入ってきやすく浮かぶ疑問を聞き手の糸井重里さんが、例えや感嘆を交えて、うまく引き出してくれている。 まえがきとあとがきを先に読むと、どういうスタンスで、事実と向きあっているのが分かるので、いいかもしれない。

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    投稿日: 2014.10.07
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    3年前に東京を離れるきっかけになった、灰色の目に見えないおばけのような、重苦しい存在。その後ずっと避けてきたけど、読んでみた。正しい理解をアップデートして、発すること。状況はずっとよくなってる。自分も前に進まなければ。

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    投稿日: 2014.10.07
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    わかりやすく面白かった。 福島県の状況がよくわかったし放射性物質についても理解が深まった。 冷静に科学データを読むことはやっぱり大切だな。 でも、それでも素人には疑問がいくつかあるのだが。

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    投稿日: 2014.10.07