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想像ラジオ
想像ラジオ
いとうせいこう/河出書房新社
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総合評価

204件)
3.5
34
66
55
21
10
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    他人の痛みや苦しみに触れるということ、そこに思いを馳せたり寄り添ったりすること、ってどこまで許されるんだろうというのがあって。 当事者じゃないと言われたらそれまでだし、他にもっと有意義なことがあると言われたらそれも尤もだし。 自他境界が曖昧になる怖さがあるのも確か。 ただ、自分なりに感じること、考えること、悩み続けること思い続けることがあってもいいし、そこに双方向性があると思えたら大きな救いだと思った。 まさに3.11のとき、心のやり場に苦しんだ記憶が鮮明にあるので。

    0
    投稿日: 2025.11.16
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    ある高校の夏休み課題図書に選ばれていたので、手に取りました。 ごめんなさい。 読解力がないのか想像力が足りないのか難しい文章でした。 震災を経験しているので、じんわりと切なさや温かさは感じました。再読して読み込みたいと思います。 死んでしまったらおしまい!生き仏が先!もいいけれど、心のどこかに亡くなったひとを置いておいて、ふとした時に会話をしながら過していったらもっと丁寧に生きられそう、そんなことを教えて貰ったかな。

    0
    投稿日: 2025.09.28
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    DJアークによる、想像力で放送されるラジオ 以下、公式のあらすじ --------------------- 深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。 --------------------- 津波により杉の木の上にひっかかってしまったDJアークは、「想像ラジオ」を放送する 想像ラジオは、リスナーの想像の中で流れるラジオ 語られる内容も、流れる曲もすべてリスナーの想像によって可変 寄せられるお便りやレポートなど、それらは渾然一体となってDJアークの想像ラジオとして放送される AMでもFMでもなく、イメジネーションを使ったIM ラジオが聞こえるのはチューニングが合った人だけ ラジオが聞こえる人と聞こえない人の違いは何か…… 死者の気持ちを代弁していると想像をするのは傲慢かどうか? 作中でも「死者の声が聞こえるなんて勝手に言うのは死者への冒涜だ」と言う登場人物がいる 「溺れて水に巻かれて胸をかきむしって海水を飲んで亡くなった人の苦しみは絶対に絶対に、生きている僕らには理解出来ない。聴こえるなんて考えるのはとんでもない思い上がり」 という意見には同意する 私達は亡くなった人の真意を知り得ない なので想像するしかないし、むしろ想像はできる 戦後生まれの人は、戦争の悲惨さ、特に原爆で亡くなった人達の心境を語る資格はないのか?という疑問 「東日本大震災を知らない世代が『私たちは経験していないから語る資格がない』と思うことがないように書いた」と解説に書かれてあった 経験していない事でも、想像することはできる その想像が事実とは異なるものでも、想像する行為は無意味ではない ただ、その想像は個人のものなので、他人に押し付けるものではないと思う 死者は生者の想い出だけに存在するものではなく お互いに補完しあった存在という考えは私の中にはないものだった 解説では「樹木が小説になった世界」という表現がされている 生きている組織だけの草花に対し、死んでいる組織と生きている組織が共存しているのが「樹木」 「生体と死体が切り分けられない形で、まさに一体となったのが木なのです」という説明で納得できる まぁ、細かいツッコミを入れるなら、動物でも爪とはある意味でか死んだ細胞だし、生きている体を構成する死んだ細胞は結構あるんだけどね まぁ、そんな重箱の隅をつつくような野暮と知りつつ この小説は鎮魂の物語なのだろうなと思った 震災に限らず、生者と死者に別れた人同士を慰める効用があるのではなかろうか

    1
    投稿日: 2025.08.08
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    誰かの記憶の中で答えて、語りかけ続けてる そうわかる本当にいい話でした。 改行が少ないため、読みにくさはあるかもです

    0
    投稿日: 2025.06.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東日本大震災を背景に「想像」という電波から流れるパーソナリティDJアークの言葉や想いを通して死者と生者の絆や関係性を描いた作品。前情報なしで読み始めて正直全く意味がわからなくてなんだコレと思いながら読み進め第一章の最後で「!!!」とぶん殴られたような衝撃と共に涙腺が崩壊。 毎日のように流れる震災や戦争や虐殺など失われた多くの命のニュースに心を痛めながらも時間と共に記憶は薄れてしまうけど亡くなった人のことを今を生きる人たちが想像しながら語り継ぐ事は魂の浄化に繋がるんだな。 直接的に関わることがなかったとしても「想像」という電波にのせて彼らのことを思い出し語りかけることできっとどこかに誰かに私の声が届いていてほしい。なんてな。

    0
    投稿日: 2025.01.25
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    頭の中での想像が全てで。 一つの本から、こんなにたくさんの想像があるのかと、本が与えてくれる世界の素晴らしさと共に、実際に起きた地震。 この地震がもたらした悲しみと衝撃と、そこから芽が出た光。 この光を紡いで、人の温かさやこの先の希望のある未来を伝えていきたい、繋がっていきたい。と思いました。

    0
    投稿日: 2025.01.25
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    死者と生者の願いを想像でつなぐ。独特な切り口と隙のない設定が見事でした。震災をバックグラウンドに描いているので、気を引き締めて読んだのですが、ユーモアありの文章であり、かつ押さえるところは押さえる。面白かったです。

    0
    投稿日: 2024.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アーク 芥川冬助。想像ラジオのDJ。たとえ上手のおしゃべり屋。三十八歳。海沿いの小さな町に生まれ育った。米屋の次男。中二からラジオにかじりつく。三流大学に入って東京に出る。エレキギターを買ってバンドに加入。メジャーデビュー出来ずに裏方として小さい音楽事務所に入る。十数年マネージメントをし、実家に帰る。

    0
    投稿日: 2024.11.18
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    死んだ主人公が想像ラジオという聞こえる人にしか聞こえないラジオをやる話。とにかく訳がわからなかった。

    0
    投稿日: 2024.10.27
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    私の想像力不足だと思いますが、よくわからない部分が多くて、またいつか読み直したい作品です。 身近な人が亡くなると、亡くなった人のことを思うのは、ありふれたことだと思いますが、逆に自分が死ん時、今も生きているあの人は今、どうしてるだろうか、と考えられる余裕のある死に方と生き方したいと思います。

    0
    投稿日: 2024.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    さらっとした文体で軽快に語られる、最初は全然状況が掴めない。なんなら章ごとにいきなり登場人物が変わる。その人たちが生きてるのか死んでるのか、はたまたどちらでもないのかも分からない。読むのにも想像力がいる作品。震災文学テーマのレポート書くために読んでみたけど、言語化するのが難しいな。沢山書けそうではあるけど。 あぁ、この人達死んでるんだって気付いてから彼らの「会いたい」って気持ち感じるととても苦しくなる。また会いたいね、いつ会えるかなって書いてた第4章は切なくて苦しくて、でもその会話はあったかくて綺麗だった。 現世とあの世の存在とは。被災者とボランティアの関係性。突如訪れた人生の終わり、やり切れない思いで留まる魂。もしかしたら本当にあったのかもしれない震災の話。いろんな切り口の死生観が感じれたのも良かった

    0
    投稿日: 2024.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    抽象的な表現が多かったので、全てを理解できなかったかもしれない。死者と生者の境目、お互いどう思ってるんだろうと考えさせられました。

    0
    投稿日: 2024.08.29
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    身近な人との別れの後、死後の世界は幸せなところだろうかとか、魂となって自分の周りにいるだろうか、などたくさん想像を巡らせていましたが、結局独りよがりのもんだな、とその度落胆していました。けど、この本の、生者が想うことが死者を残すという考えがストンと落ちてきました。この本に心を救われた人はきっと多いと思います。

    0
    投稿日: 2024.06.25
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    読む前は、ささくれ立っていた心が、どことなく落ち着いた。落ち着いたというか、整理整頓がなされて、次の目的地へ向かう準備ができた。

    4
    投稿日: 2024.03.17
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    文体が独特で、抽象的な設定にも正直かなり苦戦しました。センシティブなテーマなだけに、解釈も慎重になりますます時間がかかる。最後の解説まで読んでから振り返ってみたら、情緒的な深さはあったのかな…。純文っぽさがあるわけでもないし、どう読もうか定まらないまま進んでいってる感が強かったです。 星野さんの解説に助けてもらって、なんとか著者の伝えたかったことを理解しました。

    0
    投稿日: 2024.02.15
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    いとうせいこうさんとタイトルからカブカルチャー的な不思議なラジオの話かと思いきや、ある意味不思議な話なんですが、根底にあるのは生と死、東日本大震災についてのヘビーなネタでした ストーリーも特にあるわけでもなく、よく分からない設定の仮想ラジオで死者が語り続けて、途中に震災ボランティアの話がこれまたよく分からない感じで差し込まれて語られるので、深く入り込む様な小説では無いと思います 特に感動も興奮も感じられず、もしかすると実は深い哲学的な話かもしれないのですが、理解はできませんでした おそらく芥川賞系なんでしょうね

    0
    投稿日: 2023.12.04
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    まるで本当にDJアークの語りが聞こえるかのように、作中の音楽を実際に流しながら、自由に読ませてもらいました。 想像することで死者との時間は流れる。 最後は湧き上がるような興奮と寂しさが感じられた。

    0
    投稿日: 2023.09.26
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    設定は素晴らしい。にも関わらず、没頭出来ないまま読み切った。文体を好まない?シチュエーションを理解し切れていない? 読み手の問題だが、はまらなかったとしか言えない。

    0
    投稿日: 2023.06.25
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    i started reading this without knowing what it’s about. realized half way through and i started crying the moment i found out because everything suddenly started to make sense. I’ll def read this again and again just to guess if each of the speaker in the book is dead or alive. great book to read in one or two days.

    0
    投稿日: 2023.04.23
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    ずっと前に表紙とタイトルに惹かれて買っておいてあった本 東日本大震災に関連して書かれた本とは知らなかったので、今日読めてよかった 生きてると死を厳格に考えすぎてしまうけど、亡くなった人はもしかしたらこの本みたいにみんなでラジオを聞いてるんじゃないかくらいの気持ちになれたらすこしホッとした 作中でも亡くなった人の苦しみは生きてる人には理解できないと言っていたけれど、自分自身子供の頃大火傷をした時、痛いとか苦しいとか思ったのは治りだした頃だったからそういう瞬間はびっくりしてるだけかもしれないなと思うので、亡くなった人が全員痛かっただろうとか想像して新しい痛みをわざわざ作らなくていいと思う

    0
    投稿日: 2023.03.11
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    誰にでもいつか大切な人との別れが来る。 そのときこの本と出会っているかいないかで 悲しみや死への向き合い方が変わるのではないかなと思いました。 生きている人がいるから死者がいて 死者がいるから生きている人がいる。 捉え方は人それぞれだけれど、自分なりの考え方で、その人のペースで折り合いをつけていけるといいなと思う。

    0
    投稿日: 2023.01.08
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    東日本大震災は小学生の頃の記憶の一つとして、はっきり残っており、ニュースの映像を直視できなかった。遠くの地で起きた、しかし、同じ日本である。死者との向き合い方を想像ラジオという形で示していた。当たり前を当たり前だと思わないよう、今一度引き締め直していきたい。

    0
    投稿日: 2022.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東日本大震災後の、生者と死者、もっといえば、その間にいる人たちのメッセージを想像という電波を使ったラジオ放送風に描いた物語。 場面の切り替わりが今一つわかりにくく、語り手がどういう立場なのかつかめず混乱した部分もあったが、 災害や事故で突如、命を奪われた人の心残りはいかほどのものかを思うと、こういう形ででも、亡くなった人の想いを受けとる術があると救われる人は多いような気がする。

    12
    投稿日: 2022.12.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東北のボランティアには数回行ったことがあります。あるとき、「ボランティアは偽善だ」という人に会いました。そこから、ボランティアに対してもやもやとした気持ちがありましたが、 「・・・ただ黙って今生きてる人の手伝いが出来ればいい・・・」その一説に心がすっきりしました。

    1
    投稿日: 2022.06.13
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    東日本大地震をテーマにした作品、独特な設定なのはとても良いが読んでいてわかりにくかった。もっと面白くできたのでは?と感じた。

    0
    投稿日: 2022.02.10
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    3.11の被災地を舞台とした、震災「その後」の物語。 その後の物語と言っても「残された人々」の物語ではなく、「残してしまった人々」の物語。 「残してしまった人々の物語」と言っても、過去形ではなく現在形の物語。 現代の我々の生活は、死者達がいなければ無かった。 我々は死者たちによって生かされている。 この手の言い方は数多ある。 しかし、「それと同時に、死者たちもまた我々によって死者たらしめられ、生かされている」という目線は新鮮だった。 そうか、だから僕らは歴史から目を背けてはダメだし、死者たちからのメッセージにアンテナを立ててなければならないんだなあ。 レヴィ・ストロースによれば、世界中で歴史上様々な部族、文化が発見されてきたが、死者を弔うことをしない部族や文化は存在しないのだそうだ。人間が猿から分岐した理由は、言語を操るからでも、道具を使うからでもなく、死者とさえコミュニケーションできる能力によってなのである。それが人間のアイデンティティなのである。 我々現代人は、人間であると言えるであろうか。 この国は、また世界は、人間であることをやめようとしてはいまいか。 死者たちからのメッセージに耳をふさいで、我々はどこへ向かうのか。 …みたいな、なんかそういうことを、小説という形でオブラートでくるんで問題提起しているふりをしながら、確信犯的に、もうバッチリ露出しちゃってる小説。 そのバランス感覚と言語感覚、そして使命感に脱帽。 YouTubeで東京ブロンクス聞こうっと。

    1
    投稿日: 2022.02.03
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    では、本当にここで音楽を。コリーヌベイリーレイで、「あの日の海」。想像してください。 むしろ僕は彼もまた、死者の声を聴こうとして、そのことばっかり考えているんじゃないかと思った。で、聴こえないでいる。実際に聴こえてくるのは陽気さを装った言葉ばっかりだよ。テレビからもラジオからも新聞からも、街の中からも。死者を弔って遠ざけてそれを猛スピードで忘れようとしているし、そのやり方が社会を前進させる唯一の道みたいになってる。 読むのにかなり時間かかったなー。でも、なんというか、よくわからんけど感じるところのある小説やった。読む人が読めば色々思うんやろうな。色々聞きたい曲が載ってた。ボブマーリーのリデンプションソングは聞いてみよ

    1
    投稿日: 2022.01.13
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    この小説はタイトル通り、普通のラジオ番組にまつわる話だったりやラジオ局で働く人のお仕事小説ではない。 ラジカセでチューナーを合わせる必要もなく、頭の中に直接DJの声やリクエスト曲が流れてくる「想像ラジオ」のお話なのだ。 冒頭から独特な雰囲気で始まる小説だが、読み進めているとDJやリスナーには共通点があることが分かる。 私自身ラジオが大好きだ。 進行役であるDJを主にしリスナー同士が繋がったり、誰かに言葉を届ける為に番組にメッセージを送ったり。 様々なメディアがあるなかで一番人と人同士の繋がりを感じられるからだ。 いつか私も小説のなかの主人公達みたいな場面に遭遇した時、頭の中にDJアークの言葉が聴こえてくるだろうか?

    0
    投稿日: 2022.01.05
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    東日本大震災で亡くなった人と生きて残された人をテーマにした一冊。 東日本大震災から今年で10年が経った。 自分自身、亡くなった人への想像力を働かせることができなっていると感じている。それを自分の近しい人で東日本大震災で被害を受けた人がいても、亡くなってしまった人はいないからかもしれないと思っていた。つまり、死者に近しい人しかその死を悼むことができないのではないかと。 しかし、この話を読んで、それは違うのではないかと感じだ。 この話のなかで、東京大空襲や広島・長崎の原爆投下による死者を悼む人が描かれているところがある。それらに直接的に関わっていたわけではない人が、年長者からの伝聞や感受性が豊かな人(この表現がよいか分からないが)による言葉を通じて、遠い過去の死にも思いを馳せていた。ならば、私自身が東日本大震災での被害者の方に気持ちを向けてもおかしなことではない。 想像力がなくなっているのは自分の立場によるものではなく、自分が怠惰なだけだったのである。 作者のいとうせいこうさんは、東日本大震災後に被災地の福島を訪れ、そこに住んでいる人の寄り合いに参加し、被災者の方々の話に耳を傾ける活動をしてきた。 そのような生の言葉を聞き続けたからこそ書き上げられた作品だと思う。 東日本大震災後を生きる人にとって大切な本になると思う。

    5
    投稿日: 2021.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごい小説だった。 これを書ききった勇気。 東日本大震災というあまりに大きな出来事を、どのように受け止めるか。それをどう表現し、生きている人たちに伝えるか。小説の題材にしていいのか。葛藤と悲しみと無力感に苛まれながら書いたのだろうな、と想像する。 しかし作家であるならば、書かない選択肢は取れないのかもしれない。どれだけ書きたくなくても、それは自分がどう生きるかということと同じだから。 第二章で、震災のボランティアをしている男性たちの会話が展開される。彼らは、人を助けたいとか、助けたいと思うこと自体が不遜なのではとか、死者をどのように悼むべきかとか、関わりのない他者の死とその死者の思いを想像することの罪とか、そういうことを話す。この会話だけでも読む価値がある。彼らはそれぞれが自分なりの考えでボランティアをしているが、無念さとやましさがあり、整理しきれない思いが無数にある。 それでも、彼らは目の前の惨状に対してとにかく手を動かす。感謝されることもあるだろうけど、ボランティア自体になんらかの怒りを感じてしまう被災者もいるため逆に詰められることもある。だけど、とにかく整理されないままそれでも手を動かす。この現実の行動は、私は支持したい。そして当然、これを読んでいる私はなぜ被災地へ行かなかったのか、今からでも行かないのか、と考える。私はたぶん、めんどくさいとか怖いとか交通費がかかるとかそういう理由で行ってない。自分の矮小さ卑怯さが身につまされて嫌になるけど、でもこれからの私の行動は変えられるな、変えたいな、変えようと思った。しかしそうすると当然、じゃあ今から行く準備整えろよ、と自己言及に続く。逃げるようだがこれ以上はここに書くものではなく自分の生活で実践するべきなんだろう。 私自身は、人間には言葉にできないことが絶対にある、と考えるタイプだが、そう考えるとき、別に答えが出せなくてもいいのだ、といったところに落ち着いてしまいがちだ。それは、しんどいことから逃げているだけかもしれない。性急に安直に無理やり答えを出そうとし、さらにそれを言葉にするのは危険なんじゃないか、と身構えているのだが、その思考自体が、問題を遠ざける事態を生んでいるかもしれない、と思った。 答えを出そうとすることが憚られるときでも、言葉にしないといけないときはたぶんあるだろうし不完全で不適切でも言葉にしたり考えたりしないといけないこともあるんだろうな。たぶん。などと考えるのだが、しかしこれ、いま、答えが出せない。どちらに結論づけても誰かを傷つけてしまいそうだし、自分も傷つくかもしれないし、といった逃避のようなループのなか、答えを出すことの怖さに、やはりおれは逃げているのか。 著者は、葛藤しながらでも、表明した。それが冒頭に書いた勇気。 おれよ誠実であれ、と思う。そして言葉だけでなく行動せよ、と自己批判する。そして以下略。 この本が出たのは2013年で、時系列的にどちらが先か分からないが、著者は国境なき医師団とともに行動し、ルポやインタビューなどを出している。そこで語られた言葉が私の頭にずっと残っている。原文がどこにあったか忘れたので曖昧だが、以下のようなことを言っていた。 "なぜ国境なき医師団の人が偉ぶらないか。それは救えなかった人たちへの忸怩たる思いがあるからだ" 本書の第二章で議論をするボランティアスタッフたちも、根底は同じなんだと思う。 さらに本筋とズレてしまうが、日本の政治の世界において、この「忸怩たる思い」を感じている政治家はいるだろうか。ほとんどいないように見えてしまう。だから、どこぞの知事のように、「トリアージ」という重大でセンシティブな言葉を、コロナ禍において簡単に使ってしまうんじゃないか?…… 長々と書いたが本のレビューというより内省みたいになったので、ちょっと戻すと、ちゃんとおもしろい小説です。 でもやっぱり、単なる読み物として片付けられない現実の話です。

    4
    投稿日: 2021.11.11
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    ちょっと難しかったな〜 読みにくさを感じた。 視点が変わったり、結局なんなんだ?って思った。 読み取る力が足りないみたい。

    0
    投稿日: 2021.10.04
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    DJアークなのか、被災された方々なのか、ボランティアに参加した人達なのか、この物語が誰の想像なのかによって見え方が変わる不思議な作品

    0
    投稿日: 2021.09.04
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    始めはちょっと読みにくく感じて中々進まなかったけれども。死者と生者が抱きしめ合うって確かに。人は2度死ぬという言葉を思い出した。でも、想像すれば声は聞こえて2度めは死なないよね。

    1
    投稿日: 2021.08.02
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    第35回野間文芸新人賞受賞作,第11回2014年本屋大賞ノミネート。 いわゆる「震災文学」の一種であり,それにより評価は大抵参考にならないものとなっている。涙腺が破綻している読者があまりに多すぎる。 本作は芥川賞候補作でもあり,選評をいくつか引用する。私の感想としてはその折衷を採用したいところだ。 肯定意見:高樹のぶ子の選評「小説を書く目的として最も相応しくないのがヒューマニズムだということも、作者は知っている。この作品をヒューマニズムの枠組で読まれることなど望まず、作者としては樹上の死者のDJを愉しんで貰いたかったのではないか。」「小説に出来ることはその程度だ。その程度しか出来ないという哀しみから、書く蛮勇はうまれる。」 否定意見:村上龍の選評「『想像ラジオ』の著者は、安易なヒューマニズムに陥らないために、いろいろな意匠を凝らしたのだと思う。だが、既出の映像が膨大かつ強烈で、文学としてそれらに「立ち向かう」ことがあまりに困難だったために、結果的に、また極めて残念なことに、作品からはヒューマニズムだけが抽出されることになった。」 ラジオを文学に落とし込もうという意図については,一定の評価を下してもよいと思う。気持ちの悪くなる自分語りも,この文脈ならなんとなく許されるユーモアだ。 「杉の木に引っかかったまま」という像が中々におかしくて,本作の美点の中心だと捉えているのだが,「魂魄のこの世にとどまりて」と変にカッコつけるのが良くない。 「想像」せよというメッセージがあるらしい?のだが,それはトラウマを抉るかのような大きな負荷を読者に要求しており,作者の姿勢を疑いたくなるのだが,そもそも「想像」しなければ聴こえないのが「想像ラジオ」なのであり,一応の線引きは出来ていそうだ。 これだけ批判の覚悟が整っているのであれば,思い切って突っ走ってしまったようが良かったのではないか。

    0
    投稿日: 2021.07.29
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    読み始め、ん?ん?ん?となったが、主人公の軽快な語り口調の文体にあれよあれよと読み進めることができた。 想像力が必要な切ない話だった。 しかし、なぜか心に響かなかった。無力感に襲われて読了。

    0
    投稿日: 2021.05.03
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    人の頭の中にだけ存在する想像ラジオ。 そのパーソナリティであるDJ アークの軽快な喋りから始まる本書。 始めはDJ本人の生い立ちや昔の思い出だったが、そのうちにリスナーからもらうメールを通じて、何が起きているのか、想像ラジオとは何なのかわかってくる。 時は2011年3月11日 のお話。 人を亡くす。その重みをかみ締めるように読み進める本です。 個人的には21歳の港町で働く女性のエピソードが心に残りました。 人を悼むとき、自分が生きるが苦しいと感じた時に読み返したいと思いました。

    0
    投稿日: 2021.04.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    想像ラジオとは、生者が「悲しみ」を糧に死者を想像することで聞くことができる死者から生者へのラジオです。この想像ラジオのDJアークは、東日本大震災の津波により亡くなり、引っかかった高い杉の木の上から、妻と息子に向けてラジオを放送しています。多くの情報や多忙さから死者を忘れ前に進むことが良しとされるこの現代社会で、死者を思い出すことで生者と死者共に未来を作っていくという新たな考えを教えてくれる一冊です。 テレビの音量を、オンリョウが増えるからと消音で聞く人がいるという話がなぜかとても印象に残りました。テレビやYOUTUBEや雑音に溢れる今のこの世の中、私たちは死者の微かな声を聞くことができない、耳を傾けようとしていないと改めて思いました。私は岩手県の宮古市へ訪れた際、今生きている人のことしか頭になく、どうしたら宮古を元気付けられるか、これからの防災への取り組みについてなど、今、そして未来のことばかりを考えていました。しかし、少し立ち止まって死者の声に耳を澄ませて想像ラジオを聞くことが本当に前に進むためには必要だということに気づかされました。

    1
    投稿日: 2021.04.24
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    東日本大震災を少し違う角度から見た作品でした。 災害の犠牲になった方、助かった方、それぞれの描写からなった作品。心理描写が面白く引き込まれました。

    0
    投稿日: 2021.04.20
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    文体としては軽快で、読みやすいと思う。逆に文学作品等を数多く読みこなして来た人は馴染むまで少しかかるかもしれない。 多くの人が知っているかもしれないが、これは東日本大震災をめぐる物語である。そして生きる者と死んだ者を繋ぐ物語でもある。私自身は東北や関東から遠く離れた地域に暮らしていて、あのときのことは何か大変なことが起こっていると言う認識でしかなかった。自分ごとではないような心地だった。しかし、大人になり、今の仕事に就き、震災を知らない子供たちがこれから増えていくと言う現実に直面したり、地元が大きな災害にあい、自分自身は被災していないものの、故郷がめちゃくちゃになる胸の苦しみを体験したりするなかで、私にとっては今まさに東日本大震災に向き合う時ではないのかと感じ手に取った。(日常生活の様々な場面で東日本大震災を思い起こすことが多くなり、今だと思った。) これはたくさんの人に自分の心を考えさせる作品だと感じた。そして救いでもある。災害だけではなく、全ての死者を送ってきた生者は肯定される。自分は人の死に直面した時、忘れることが1番心の傷を癒すことだと知っている。ただ時にそれを悲しく思うし、忘れたくないとも思う。でもそう生者と死者は持ちつ持たれつ。 わたしはこの10年間想像ラジオに耳を傾けてこなかった。聞こえなかった。もっと言うなら聞きたくなかった。 でも10年経って今、わたしは初めてラジオのチューナーを合わせようとしている。 そしてこの本を読み始めてから、ふとしたタイミングで想ー像ーラジオーのジングルが聞こえてくるのだ。まだまだまだずーっと私たちのすぐそばでDJアークたちはわたしたちにラジオを届けようとしてくれている。 2021年4月

    1
    投稿日: 2021.04.18
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    津波の被災者である想像ラジオのDJアークと、被災地を訪れ死者の声を聞き取ろうとする作家S、二人の物語は平行なようでいて、メビウスの輪のように切れ目なく繋がっている。死者と生きている者の世界が、境目なく繋がっているように。 災害や差別などの生きる困難を他者が語るときに必ずぶち当たる「当事者性」(語る「資格」はあるのか)や、理解しやすい「物語」にまとめてしまうことの抵抗をはるか越えて、こういう「語り方」があるんだなと、死者が自分で語る「能」のような印象をもった。

    0
    投稿日: 2021.04.11
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    「人間は、“痛み”を薄め、忘れてゆくことで次にトライできる。ですが、“風化”だけはしてはいけない。」(Fukushima 50 佐藤浩市) 幸せに生きていきたい僕らは皮肉にも、深く傷つき、悲しみにくれる出来事から逃げることはできない。そんな出来事の代表例が震災だ。不条理に多くの人間の生が終わり、終わらなかった人間にも終わらない悲しみを突きつけ続けている東日本大震災から10年が経った。 あの頃小6だった僕は当時、あの出来事を直視する勇気も無ければ理解力も無かった。そして、そんな僕は震災にダイレクトに関わることは出来ないのだと思っていた。けれどこの本が、僕達も"想像力"を用いて震災に関わる権利があるし、同時に義務もあるということを教えてくれた。どこかで再読したい1冊。

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    投稿日: 2021.03.28
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    大震災をテーマにしているものの、単に泣かせる為の内容でないこと。 メッセージ性がないわけでは無いが、それぞれの解釈で、しかも受け取ろうと思わなければ受け取ることはできないこと。 まだ多くの人があの大震災の事を覚えているはずで、それぞれの思い出がある出来事なだけにかなりデリケートな内容ではあるけれど、それも考慮されていると感じる。 年に一度読み返して、感じ方の違いを楽しみたい本です。

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    投稿日: 2021.03.10
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    死者と生者の繋がり、死者同士の繋がりについてとても考えさせられました。 基本語り口調なので読みやすかったです◎

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    投稿日: 2021.03.02
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    繰り返し耳に届くラジオの響き… それは想像ラジオ。3.11を忘れない。 果てしないこの世界で、つながる音と意識。 どんでん返しの後半が不思議な感覚を研ぎ澄ませる。

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    投稿日: 2021.03.02
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    もうすぐ東日本大震災から10年。「まだ10年」なのか、それとも「もう10年」なのか、ハッキリしたことは言えないが、確かなのは、まだまだ復興が道半ばであるということ。われわれは被災地が完全に復興するまで――たとえ完全に復興が果たされたとしても――震災のことを記憶しなければならないと思う。そうは言っても、あまり肩肘を張ってばかりいては疲弊してしまうので、小説を読んで震災のことを想い出すというのは、有効な手段かもしれない。本作もまたそんな震災のことを描いた作品で、芥川賞候補になるなど、発表直後から高い評価を受けている。――なのだが、個人的には作品の世界にまったく馴染めないまま物語が終わってしまった。一部では「感動作」との触れ込みもあるので、最後まで読めばそういう感想になるのかと思ったが、結局ならなかった。「屍者との対話」だから、というわけではない。非現実的な設定の小説も山ほど読んできたが、そのなかには感動を誘うものも少なくなかった。ではいったいなぜかと言えば、東日本大震災という存在が、小説の材料としては重すぎるのだと思う。屍者に会話をさせてもラジオを放送させても、あの巨大な津波の前ではあまりに無力で、押し黙ったまま見つめているしかない。この作品は、あの津波を乗り越えることができていないと思った。

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    投稿日: 2021.02.21
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    「想ー像ーラジオー」 何も失ってない私たちが したり顔で被災者の事を語るのは間違ってる 分かるはずがない でもでもね 思いをやる 思いを飛ばす 思うことはできる 人間にだけできる 軽妙な語り口に 愛の深さがじわり

    1
    投稿日: 2021.02.11
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    高台の樹上から届けられる 一風変わった番組「想像ラジオ」。 決して軽いテーマではないけど、 リズミカルで、あっというまに読めました。 楽曲を聴くと、良さ倍増。 一曲目のマリンバの音色から The seaの美声まで、全曲が、ひびきまくる。 ジャンルはバラバラなのに、 本書を介すとアルバムのようになる。すごい。 松崎しげる、はじめてちゃんと聴いた。 なんていい曲なんだ。なめてたよ。 「死者と生者はもちつもたれつ」。 そんなこと、考えもしなかった。 苦しくて、怖くて、悲しい。 負のイメージしかなかった 自分の中の死へのイメージを、 すこしだけ、柔らかく、やさしいものに 変えてくれた気がする。 無口なおじいちゃんと、犬のハナと一緒に、 もう一度散歩をしよう。 どちらも死んでしまったけど、できるんだよね、 想像の力で。 ネトフリアマプラユーチューブ。 もっぱら動画三昧だったけど、 本はやっぱ、違うなー。 脳が、心地よい負荷を伴って動く感覚。 たまには読まないと!!

    0
    投稿日: 2021.02.11
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    東日本大震災から10年 悲しみが電波で 生きて悲しんでいる人にも届く想ー像ーラジオー かけがえのない平凡な一日が一瞬で無くなる 自分の大事な人が悲しんでないか…心残り…聴きたい声を聴く…想像せよ… 高い杉の上から見える海 小さな風…想像する事が出来る!

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    投稿日: 2021.02.06
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    あらすじを目にしないまま、初読。 早速1ページ目から冗談まじりの爽やかな ラジオが始まった!と思っていたら まさかの東日本大震災がテーマで驚いた。 作中のボランティアグループ内での言い争いも 両者どちらの意見にも頷いてしまったし ハッキリとした正解は無いな、と感じた。 そして、風化してはいけない事柄だと本当に思う。 こういう題材を選んでいる書籍に対しては どうしても穿った見方をしてしまうし 実際、想像通りの内容が多いのだけれど 「想像ラジオ」に対しては 何故か、不謹慎だとも偽善じみてるだとも 好感度狙いだとも、思わなかった。 ラジオ形式、会話形式の文章が 軽やかで読み易かったのもあってか 本当に楽しみながら、そして切なくもなりながら 考えさせながら読ませて貰えた。

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    投稿日: 2020.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日付は適当。 たぶんこれくらいだっただろう。 カテゴリの芸人は違う気もするが、まずは感想を。 何回か借りては読まずが続いた一冊。 大竹まことがゴールデンラジオで、震災の~くらいは話していたので、そういう話なのね。 とは思っていたが、三浦しをんの「光」より、胸をえぐっては来なかった。よかった。 生者と死者をつなぐ、杉の木の上から発信される想像ラジオ。 リスナーは様々な場所からそのラジオを聴くことができる。 海の底だったり、どこか遠くの場所だったり…。 東日本大震災の後に書かれた、この作品。 ありがたい事に私はあまり被害がなかったわけだけど、人によっては大きな被害があるわけで。 そんな中、家族を探すのにこの想像ラジオがあれば、救われた人はいたのではないか? 当然、たらればの話だから実際どうだかはわからない。 結構年月が経っているけど、まだ傷は癒えない事が多いわけで、できるなら前向きな心で読める人が増えるといいですな。

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    投稿日: 2020.09.28
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    東日本大震災で日常を突然奪われた人たちだけが聞ける想像ラジオ。ラジオのDJもその犠牲者である事が序盤で明かされる。明るい語りがしみじみとくる。 死者の無念、若しくは死んだことすら自覚がない人たちの想いを繊細に代弁する語り口が死を身近にさせ、身近な人を想わせる。日々漫然と過ごす日常の中、こんな思いを持つ機会を与えてくれる本書に感謝する。

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    投稿日: 2020.09.27
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    DJアークとリスナーとのやりとりが前向きで微笑ましくて心打たれた。 災害が起こるたび、当事者意識を持つことに対して矛盾した気持ちを持っていたが、悲しみや苦しさを想像して寄り添っていい。そう魂が言ってくれているようで安心した。ボランティア活動に参加しようと思う。

    0
    投稿日: 2020.09.23
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    ①この本を読んだ目的、ねらい ・ビジネス書以外に小説も読む。小説は自分とは違う人の人生や考え方を知ることで経験が豊かになり、人としての成長を加速させてくれる。 ・会社の先輩からタダでもらった本。 ②読んでよかったこと、感じたこと ・自分もそうだけど、両親・祖父母は明日亡くなってもおかしくない。伝え残したことはないか?もっと話したいことはないか?失ってから後悔しても遅い。次会うとき、メールするときに自分に問いかけよう。

    0
    投稿日: 2020.08.25
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    この題材はお恥ずかしながら苦手なのですが、このままじゃダメだと思い、高校時代手に取ってみました。 とりあえず言いたいのは、東日本大震災といったセンシティブなテーマに向き合いたいと思ったらまずはこの作品を読んでみるのもいいのではないでしょうか。

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    投稿日: 2020.08.06
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    東日本大震災という、大きな重く辛い出来事を題材にした小説なので、気になりつつ、なかなか手に取れなかった。今になって、だけど。とてもよかった。 死者の声に耳を澄ます。生きている者として、絶対にわかることはないけれど。その行為は弔いなのか、感傷なのか。深く重くなりがちなテーマだけど、ラジオDJの軽妙な語り口という設定で、読み続けることができた。透明な読後感。 震災から、そろそろ10年。忘れてはいけないね、忘れやすい生き物だからこそ。

    4
    投稿日: 2020.07.25
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    最初のうちは状況がよく飲み込めなかったが、読み進めていくうちにDJアークの置かれている状況が徐々に理解出来てくる。 想像ラジオとは何なのか? 本当に全てが想像の産物なのか? 生者と死者は二つで一つ。生者は死者のことを想い考える事で、死者は生者から想われる事でお互いにつながり続ける。その空間、時空が想像ラジオなのか。 生者は死者の事を徐々に忘れていかなければ前に進む事は出来ないかもしれない。しかし完全に忘れる事は出来ないし、また忘れる必要はないのだという事か。 余韻が残る作品。

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    投稿日: 2020.07.15
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    東日本大震災関連の作品。亡くなった方々にしか聞こえない亡くなった方が発信する想像ラジオ。死者は生者を想い、生者は死者を想う。ただそれだけで良いと思える。 時々思い出すだけでも良いのかもしれない。

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    投稿日: 2020.06.18
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    なかなか見たことがない設定だと思う。 場面がクルクル変わるので、今誰の話?と何回か読み戻ったりして。 東日本大震災のリアルで残酷な描写も助けて、DJアークの言っていることを聞くと、怖くなる。 死者が生きていたらというのを想像し、共存していくという発想は考えたことがなかった。 何度か読まないと深みが分からない小説だと思う。

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    投稿日: 2020.05.11
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    はじめは軽めのエッセイだと思って読みはじめたがぜんぜん違った。東日本大震災の時の話。死者がどんなことを考えていたのか、生きている人がいくら考えても本当のところは分からない。その深い悲しみを理解しようとすることは生きている人の自己満足なのか。分からないけれど、それを想像することが死者に寄り添うことになるのではないかと思う。折に触れて読み返したい本。

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    投稿日: 2020.05.10
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    「想ー像ーラジオ―」DJの語りとジングルは明るく、そして怪しい。読むほどに3・11の東北地方で津波被災者が主人公だと判ってくる。そして、電波ならぬ念波に乗せて妻と子の安否を知ろうとする。それは死者の世界の双方向通信で、生きとし生ける者へは届かない。しかし、最後にはDJの希望が叶うような結末に。始めから終わりまで明るい雰囲気で、涙することなく読了。

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    投稿日: 2020.03.17
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    2020.3.1 もう少しで丸9年の今に読んでしまった。 作者さんこの本を書くのにどれだけの悲しみと向き合った事だろう。 被災した方、その遺族の方が未だにどれだけ苦しんでいるだろう。 逃げずに想像しよう。

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    投稿日: 2020.03.01
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    東日本大震災を背景にした想像上のフィクションですが、現実的な部分もあり、グッと胸に刺さりました。 まさか、テレビに出ているあのいとうせいこうさんが、こういう作品を書くとは…ということで、結構前に読みましたが、今でも印象深い作品でした。 明るくふるまっていながらも、終始裏側では、哀愁が漂っている印象がありました。 「生と死」に対する想い、震災に対する向き合い方など言葉では言い表せない心の発言が多くありました。 文章にすると、ラジオで聞くような形式になっているのですが、その中では一見ホラーっぽい解釈なんだけれども、現実的であり、ホラーという恐怖さはありませんでした。 ラジオを聴いている方には、世界観が想像しやすいかと思うし、震災について深く考えさせられるので、一度読んでみてはいかがかと思います。 ラジオドラマ化されていて、西田敏行さんと小泉今日子さんが出演されていました。柔らかい声で演じていて、聴いた後の余韻がしばらく続いていたなということを憶えています。

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    投稿日: 2020.01.19
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    東日本大震災であまりにも暴力的に奪われた無数の命、そこにもしも声が与えられたなら…。冷徹な現実をファンタジーの様な語り口で温かく紡ぎ出した、いとうせいこうの「想う力」が素晴らしい。

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    投稿日: 2019.12.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (個人的な震災時の体験と思ったことを読書メモとして残します。ご了承ください) あの日のことを思い出す。 あの日は金曜日だった。 都心は電車が止まり、帰ろうにも帰れない。じゃあちょっと飲んで帰ろうか。そんな人も多かったと思う。 まだiPhone3GSと4の時代だった。 たった7年、8年前だったけど、情報が伝わるのは今と比べると信じられないほど遅かった。 東京では非日常の金曜日を楽しんでいた。 しかし、だんだんと津波の被害が伝わってきた。 iPhoneを持っていた人、PCのブラウザからニュースを見た人、充電を気にしながらワンセグを見た人。 そういう人たちからとんでもない事が起きているようだと伝えられた。 「電車のこと?」「ちがうよ、宮城県だって」「なにが?」「地震」「え、東京じゃないんだ」「宮城は津波がひどいって」「津波?30センチでも危ないらしいよね。」まだ覚えている。こんな会話がなされていたことを。 その後は生きた心地がしなかった。 海岸に信じられない数の遺体が打ち上げられている。第一原発は全ての電源を喪失した、水素爆発した、避難所で物資が足りない、燃料は流されてきた車からとるしかない、都心もガソリンがない、水は汚染されたんじゃないか水を買い占めよう、もう東日本に人は住めないかもしれない、各国大使館員の退避と自国民退避命令、輪番停電、間引き運転、鳴り止まない緊急地震速報。 あの時以降、日常は損なわれた。 あの日をどう伝えるか。何をどう伝えると、後にどう伝わるのか。 東京大空襲、原爆投下、敗戦と同様に。 『相手の気持ちを理解しきれないと思う罪の意識があるからこそ、その言葉に耳をふさいでしまう』(p.126) 自分でなくてよかったという安堵と生き残った罪悪感。 我々はこの思いをどう伝えるか。 『無言で敬う』(p.130)事ができればいいだろう。しかし、それほど現代の我々は気丈でいられるだろうか。忘却こそ罪であるのに。 そこで、想像ラジオが聴こえる人と聴こえない人の章が活きてくる。 はじめは聴こえる人の特殊性が強調される。 そんなことありえないだろう。軽々しいシャーマニズムは冒涜でしかない。それもその通りだと思う。 どうしても思い出す。 流される直前までマイクに向かって避難を呼びかけ命を落とした人、屋根から手を差し伸べた人、階段の真ん中だけは空けて黙って座った人、停電に耐えた市井の人たち。そして絶望的な中で生存者を探し、遺体を探し、アルバムやランドセルを生まれたての赤ちゃんを扱うように丁寧に保存し、同時に原発を鎮めようと決戦に挑んだ自衛隊員、消防士、警察官と作業員、ボランティアたち。 こうした日本人の高貴さを。 想定外という言葉で罪を免れようとする者、他県ナンバーの車で乗り付けて被災住宅を窃盗する者、被災ゴミの受け入れを拒絶する者、震災にまつわる詐欺をはたらく者、疎開してきた子供たちを教師さえも一緒になってセシウムさんとあだ名していじめ抜いていく者たち。 こうした日本人の野蛮さを。 高貴さと野蛮さ。 どちらも等しく日本人の姿だった。 このことを忘れない。 こんなことを思い出しながら読み進めると、想像ラジオは普遍的な人間らしさを刺激してくる。 『え、これ、誰かのエピソードじゃないよね?はっきり僕の思い出だって感じてしゃべってたんだけど。』p.186 ここに至って、日常を失った人たちを思う。突然、予兆なく、完璧に日常を喪ったあまりにも多くの人たち。 いや、あの日以来、我々からは等しく「日常」なるものは永遠に損なわれたんじゃないか。 今でもあれ以前の日常は損なわれたまま、戻ってくることはない。 おそらく、これがこの物語で体験する生と死の狭間なのだろう。

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    投稿日: 2019.10.03
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    僕たちは何のために読むのか? こんなに読んで、一体どうするのか? それは想像力を枯渇させないため。 無から想像力は生まれない。しかし、想像力は1を10に、100、1000、1万、1億にする。そのための1を投入するのが読書だろう。 経験した辛さや、悲しさを、乗り越えて生きる力=想像力を供給し続けるため。 想像力は死んだ人を生き返らせ、また繰り返し思い出すことで、悲しい別れに耐える力をくれる。 「想像らじお」は「ピギースニードを救う話」と通じるものがある。物語という想像が現実の世界のすれ違いを修復する、折り合いをつけるのだ。 「想像らじお」は天災で亡くなった人と、残された人、又は傍観者(被災地にはいなかった人)それぞれが抱く罪悪感を癒すための物語。 (ピギースニードを救う話」は火事で死んでしまった哀しいピギースニードをいかに生かそうかという話。 DJアーク のアークとは「小舟」「方舟」の意味。彼の魂は津波にさらわれ、高い木の上に座礁してしまったのか。 銀座のソニービルの壁に書かれた、あの津波の高さを表す線。 圧倒されて、もう見ただけで、こちらに大きな波か覆いかぶさってくるような気がして、怖くてしかたなかった。

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    投稿日: 2019.10.03
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    第149回 芥川賞候補作にもなった、いとうせいこうの代表作。 東日本大震災を背景に、生と死の間をさまよう魂がDJアークとなり、 それぞれの事情を抱えたリスナー達の頭の中に直接番組を届けはじめます。 口語による雑談っぽい内容が多く、なかなか読む人を選ぶ作品かもしれません。 DJアークの明るい語りと相反する形で物語を通じて流れる震災の悲哀が、この作品の独特な空気感に繋がっています。とても不思議な作品。

    0
    投稿日: 2019.09.06
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    災害、事故、戦争。 それらによる死者と生き続ける人との、「想像」を通した関わり方と、「関わらなさ」について。

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    投稿日: 2019.08.31
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    感想がかけない小説は初めてかもしれない。でも頑張って書くと、死者と生者の関わりについて考えさせられる。「千の風」ではないが、死者はどこか遠くにいるのではなく、実は身近にいるのでは。直接会話はできないし、一緒に飲んだりできないけれど、〇〇だったらどう考えるのかなとか、きっと喜ぶだろうなとか。こういう思考をしている時点である意味一緒にいるのだと思うが、なんともうまく表現できない。

    2
    投稿日: 2019.08.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分は東日本大震災からずっと心に引っかかりを持って毎日生きてきた。 福島県の海からすぐの実家はたまたま半壊に留まり、たまたま身近に不幸はなかったけれど、それでも自分含め家族には傷痕が今も残っている。 震災当時からの3年間は石巻に行ったり、福島の子供たちの長期休暇の受け入れをしたりしました。 決して忘れられないこと、忘れてはいけないことだと思う自分の気持ちとは裏腹に暴力的に忘却が進む。 東日本大震災に纏わるあれこれに未だにどう向き合ったらいいのか分からないままで、忘れちゃいけないと感じつつも忘却が進む自分に苛立ちを覚えて、地元には身近な誰かを失った人もいる中で自分が何に心が引っかかりを感じているのか分からないままで 。 自分の向き合い方が合ってるのか間違ってるのか、そもそも最適解があるのか、震災の前後に亡くなった祖父母を思って実家の仏壇の前にいるとよく考え込んでしまう。 災害に遭った人と逢わなかった人に差を見出す必要ってないのかな。 死者と生者の関係ってそういうことなのかな。 自分はこのままでいいのかな、と少しだけ許せるような一冊でした。 --- 日本語ラップの元祖であるせいこうさんの歴史を味わうこともできました。以下は、せいこうさんへの愛に偏った感想です。 文章の特徴として、読み進める中で脳の片隅へ片隅へと格納されていく数ページ前に置かれた何気ない一小節が、ページを捲るにつれリフレインされて新たに意味を持って、物語に厚みが増されていく。 これは、日本語ラップの元祖である、せいこうさんならではの表現技法だと思いました。 それは、HIP HOPを覚えたてのラッパーにありがちな安いライミングのようなものでは決してなくて、話の筋の通った物語性のある表現方法です。 まさに、「気づかせるんじゃなく、自ら気づく」「後で気がつく、そしてにやつく」表現方法だなと。 また、本書の節目節目ではDJが現実のラジオさながらに楽曲を紹介していくのですが、どの選曲も物語の情景により厚みを持たせる楽曲ばかりで、Apple Musicで楽曲を聴きながら物語を読み進めていきました。 読書という活字からの想像行為に音楽によって拡張性を持たせてしまうなんて、読書がより楽しいじゃないかとワクワクしました。 また、各楽曲には特有の歴史や背景があって、各楽曲の歴史を紐解いてから読み直すことで、物語への理解がさらに深まるような気がしました。 HIP HOP文化にとってクラシック楽曲の探究は切り離せない行為ですが、今もクラシック探究をし続けているせいこうさんだからこその選曲ばかり。 クラブDJ上がりの自分としては、せいこうさんオリジナルの選曲付きで、せいこうさんオリジナルの本書を読めることは、人生の贅沢そのものでした。 以上

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    投稿日: 2019.08.05
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    3/11震災から8年。 今日は祈りと希望をこめて、いとうせいこうさんの『想像ラジオ』を。 心穏やかな一日となりますように。

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    投稿日: 2019.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どんな本だか全く予備知識なく、ただ発売当初に話題になっていたし、やたら評判良かったので読んでみたかった作品でした。まぁ題名が「想像ラジオ」なので空想のラジオ番組が舞台何だろうし、「いとうせいこう」氏のこれまでの活動内容を鑑みたり、それに著作は有名な「ノーライフキング」は読んでみたい一冊だったから凄く面白い物語なのかって思ってたけど、結構重い内容で驚いた。 人は、突如、事故や事件などで自分自身が死んでしまった場合、どうやって「自分自身の死」と折り合いをつけるのだろうか… 肉体的な死を迎えても魂とか心みたいな、あるんだろうけど形も場所も存在もあやふやな「自己」みたいなモノが納得できるような解を得ることが出来るのか…生物学的には恐らく、というか絶対的に無理な話だと思う。だって肉体は死んでしまっているんだから、もう痛みも意識も何も感じないはずだもの… それでも魂とか心とか意識とかって「自分が死んだ」ってことを理解するとか、得心を得たとか、了解したとかそんな「もう納得した」みたいなモンがないと成仏出来ないような気がする。 自分の死を受け入れられないから幽霊とか地縛霊とか怨霊とかになっちゃうんだよねー 本書は、東北の大震災で津波に飲み込まれてしまって、自分が死んでしまったことをまだ上手く認識できないで、まだ現世と幽世のはざまを漂っている魂たちの無念さや諦念、残してきた家族への思いなど、彼らの声を聴き、彼らを悼むために双方向通信のラジオ番組という形で表現している。筆者のその着想には脱帽だ。 それと合間に挟まる形で災害ボランティアたちと被災者の間に横たわる軋轢というか境界線…なんだか踏み入ってもいい場所とそうではない場所があるんだって、暗い暗い深淵を覗き込んだような部分は、本書の主題部分よりもはるかに強烈なインパクトがありました。 帯に「読めば涙が止まらない」とか書いてあるけど、全く涙なんて出てこないし、感動もない。何か超絶リアルを叩きつけられたような…そんな一冊でした。 重いのほかヘビーな作品でした。あんまり好きになれない…

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    投稿日: 2019.06.07
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    2019.4月。 たくさんの声が渦巻いてる。あの日から。地上にも空の上にもその間にも。たぶん、ずっと。考える。けど、答えは出ない。

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    投稿日: 2019.04.18
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    毎年3月になると読み返します。 読み返す度に自分も、あの時失ったものと向き合わされ自然と涙がでてきます。 想像ラジオをDJアークを通して、自己の震災との向き合い方を問われている気がします。

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    投稿日: 2019.03.31
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    ありがたいことに、この歳になるまで身近な人間を亡くしたことはほとんどありません。災害や戦争で亡くしたことは全くない。思い出話はあるし懐かしいけれど、受け止め方に悩むような死に直面したことがありません。 そんな自分が災禍で命を落とした方々、身近な人を亡くした方々の気持ちを想像で埋めることは失礼だと思っていたし、正直想像してしまったら抱えきれなくなりそうで怖い。映像を見て体験を聞いて、胸が押しつぶされそうになったり歯を食いしばったりするのも許せず、目を見開いてこぼれる前に涙を乾かす。悲しむ資格なんかないのにと罪悪感を持つこと自体に罪悪感を持つ。この作品を読んだからといって、すぐにそういう思考に走るのを止められるわけではありません。また大きな災害があって思い悩むときも、そしていつかきっと私にも死者に囚われるときも来る。そんな時もう一度読み返したくなるのだと思います。

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    投稿日: 2019.03.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初は小説ではないのかというくらい軽妙で読みやすく流れるような文体で、今まで読んだどの小説とも違い驚いたが、読み終わると今まで読んだどの小説よりも小説らしい作品だった。ラジオのトークにうかうかと乗せられていると、たまに落とし穴のような冷たい瞬間が出てきて、無防備な状態で気づけばまったく今までとちがうものと向き合っている。いい意味でだまされる。だけど、震災ってそういうことなのかもしれない。今まで当たり前だと思っていた日常から何の前触れもなく急にあらわれた地面の穴に落ちてしまうような。今読んでもいいけれど、10年20年後の何もしらない若者がふと手に取って、何も知らないまま読んで、まんまとその穴にはまってほしい、そんな作品。

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    投稿日: 2019.03.02
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    謎のDJが木の上から皆のあたまの中に直接語り掛けるという想像ラジオ。はじめはエッセイテイストの話かと思いきや、よもや3.11のテーマだったとは。 すごくセンシティヴな話だから、書く苦労は尋常ではなかったろう。「多方面に配慮する」と言うが、「多方面」が「被害者すべて」である時、なおかつそれが「加害者持たぬ被害者」である時、それはもはや「全方位」を意味する。 「全方位に配慮する」時、私たちは黙るほかない。「そんなの無理だからいいや」となってしまえば今度は放言になる。そんな中物語を紡ぐことは細い綱の上を慎重に進むような、いわば「ギリギリの配慮」が要求される……と思う。 そんな議論を踏まえた上で、ただの小説好きの戯言だけれども、この小説は「同時代的」という意味で唯一無二のものになっていると思う。 小説はなにものにも束縛されず自由であるべきだと思うが、束縛されざるを得ない状況でなおも自由を目指しあがくのもまた小説だ。 「宗教」「神」を持たない私たち日本人は、統一された死者への関わり方を今や持たない。 それは生き残った他者に対しての関わり方を持たないのと同義だ。「正解がない」。 だから「黙る」「忘れる」……でもほんとうにそれでいいんだろうか? 僕は小説のこの声にはっとさせられた。

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    投稿日: 2018.12.23
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    読みたい読みたいと思っていてずっと積ん読になっていてやっと読めた。やっと、と思ったけど、3.11からある程度時間が経ったからこそ落ち着いて読めたかもしれない。 難しいな。適当なことは言えない。出来事が大きすぎる。これを書けるこのひとは本当にすごいんだなあ。柔らかすぎず、固すぎず。手紙でなく電話でなくラジオという媒体の選び方がものすごい。 好きな人が亡くなったら、自分宛のメッセージなんて、聞きたいけど聞いたら本当に立ち直りたくなんかなくなってしまうけど、それでも聞きたくないなんて言えない。絶対に言えない。 身近な人を亡くした経験がまだない。あったらもうすこし違うだろうか。生と死って繋がっているんだってことを、わたしはまだ実感できないけど、すこしだけ考えられる本でした。

    1
    投稿日: 2018.12.01
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    聞こえる人には聞こえる「想像ラジオ」。パーソナリティのDJアークとリスナーとのやり取りから見えてくる真相とは。 真相自体はそれほど意外なものではなく、誰もが想像できる範囲のこと。でも、第4章のやりとりがとても感動深かった。それ以外はまぁそんな感じですよねって程度の内容。大きな感動に包まれたという前評判に期待しすぎたのかもしれない。

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    投稿日: 2018.10.26
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    刺さった。心に嫌というほど刺さった。 東日本大震災の時、自分が感じた思い、不安、恐怖が、この小説で、理解できた。 生者と死者のつなぎ目がない、いわゆる霊界において、お互いの思いがシンクロした時、想像ラジオは聴こえてくる。

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    投稿日: 2018.09.17
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    『国境なき医師団を見に行く』のなかにちらっと出てきて興味を持ち、図書室で借りてきました。現実にはもうそこに存在しない人や物事を想って悲しむこと、悼むこと、そういう心の動きを広い意味で「想像」と呼び、人々の悲しみや想いを媒介のようにして機能する想像ラジオ。悲しい話ながらジングルがあったり音楽がかけられたりリスナーからメールが届いたりというラジオであることのお約束が出てきて、少しカジュアルな雰囲気をかもしだしています。最後の方でリスナーが口々に言いたいことを言う辺りはやや読みづらかったですが、とてもいい本でした。身近な人を亡くしたことのある人、そういう人の側にいる人にはスッと入る小説だと思います。

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    投稿日: 2018.06.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いとうさんの著作を読んでみたくて読んだ本。「すずらん本屋堂」で紹介されていて面白そうだと思ったので読んだ本。いとうさんの著作の中で初めて読んだ本。タイトル通り想像力が必要な小説だと思った。被災して大切な人を亡くした人にしかわからないところがあった。

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    投稿日: 2018.04.24
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    想像力の中でだけオンエアされる番組、DJが語る自分の家族、子どものころ、リスナーからの手紙。つなみで亡くなった死者たちの声が生者たちの想像力の中に届く。ふたつでひとつ。 DJトークは自分語り、話すほどに想い出が広がっていく。一人の世界がこれだけ広ければ、失われた皆の世界はどれほど巨大だったのかと。

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    投稿日: 2018.04.09
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    まじめないとうせいこうの、軽妙な語り口でじっくり読ませる素敵な小説。時間をおいて再読したいと思っています。(2015年8月29日読了)

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    投稿日: 2018.04.01
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    死者の言葉を想像してみようという趣旨の本だった。 この本には、ラジオパーソナリティーの著者と架空のリスナーの対話する場面が多々ある。対話の中で、死者の声を聴けるのか?というテーマがあったのだが、現実の著者が書き起こしているその場面の中でさえ、リスナー達はっきり聴こえる人やちょっと聴こえる人、全然聴こえない人など様々に分かれていた。本当にぐちゃぐちゃに考えが分裂していることが分かった。

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    投稿日: 2018.03.22
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    読了。 深い意味はなく、3月11日になんとなく読み始めた。いわゆる震災をテーマにした本。正直、はじめは意味がわからなかった。樹の上のDJアーク?  読み進めるうちにアークの正体がぼんやりと理解できてくる。章が変わると、違う立場の人たちの会話になる。第3章あたりで、やっとこの物語の意味がわかったような気がした。 生きている人となくなった人の言葉が交差する。届いているのか、いないのか。思う心は同じ。生きている人は亡くなった人を思う。亡くなった人は生きている人を思う。囚われたままではいけないのではないかと悩む。当事者でないものは口にしてはいけないのではないかと悩む。 生と死が混在しているからこそ私たちは生きていけるのかもしれない。生きているとは、いつか死ぬこと。当事者でなくても口にしていいし、亡くなった人に囚われていてもいい。 最後の解説で、「木というものは死んでいる部分と生きている部分が一体化することで、この世に存在している」と書かれておりハッとさせられた。DJアークか木の上にいることの意味はそこにあるのかもしれない。 生きていることを深く考えさせられた本。

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    投稿日: 2018.03.19
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    東日本大震災を下敷きにした小説(しかも堅苦しい文学的じゃないもの)って意外と少ない気がします。かなりファンタジーな小説でしたが、この時代を生きている者として、読んで残しておきたい。 鳥の話や、おじいさんの話やら、それぞれの場面のつながりがいまいち掴みきれないまま読んでいたので、よく分からない部分もあったけれども、全体として死者と生者がかすかにつながっている、鎮魂の雰囲気は伝わってきました。 そして当時ニュースなどでやっていた、防災センターの放送のお姉さんの話、一本松の話、帰宅規制の話、ちょこちょこ記憶に残っている話が出てきていた。

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    投稿日: 2018.01.20
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    大きなできごとが起こった時に、当事者以外はどうすればいいのか。どう思い感じればいいのか。人々の声に耳を澄まし、そっと聞くのがいいのか。人々の声を聞くためのよすがとなるのが想像なのか。 東日本大震災に材をとった作品。これはあの震災をその枠外の人々がどう受け止めればいいのかの指針となるものかも知れません。DJアークは想像の力が電波となり声が届くと言います。その声が聞こえるのは当事者の耳。当事者たちは声が聞こえないもののことも想像する。しかしその声を記しているのは当事者以外のものであり、当事者の想いを想像する。あちらとこちらを繋げるものとして響かれる想像。 思いを寄せる、思いを馳せる、自己と他者を結び付けるのは思い、すなわち想像によるもの。思いを交差させる想像の力を感じ入りましょう。

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    投稿日: 2017.12.20
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    本屋大賞2014年8位。東日本大震災の死者を思う気持ちについて話。全然、意味分りませんでした。短い小説なんだけど面白くなくてすぐ寝落ちしてしまい全然進まずに困りました。最後は、強引に読み進めたものの何のこっちゃかさっぱりでした。

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    投稿日: 2017.07.12
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    鎮魂とかいった、そういうかなり大事なことが書いてある小説。DJアークのトークを流し読みしながら、友人や祖父のことを思い出したりした。 小説として面白かったかといえば、正直なところ、個人的にはそうでもなかった。でも、そんな事はどうでもいい。

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    投稿日: 2017.05.18
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    アークの生への執着、というか家族への想いが痛かった。何の前触れもなく命を奪われてしまったら悲しみよりも怒りのほうが先かもしれない。アークが相手が神様であっても「勝手なことやってんじゃねえ」と暴力を妄想するのは当たり前だ。美里と草助の声がただただ聞きたくてこの世にとどまるアーク、オイラがもし死んでもできるならそうすると思う。家族に嫌がられても、うろうろしちゃうんじゃないかな。いまもそうだけど。 Sさんが書くことで亡き恋人と対話している第4章もぐっとくるもんがある。声が聞きたい相手、触れたい相手がいるのなら大切にしないとなって思う。思うだけだからダメなんだけど、オイラは。

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    投稿日: 2017.03.28
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    題材のとらえ方、取り組み方、表現方法など一定の評価はしている。 期間を経て読み返すと評価が変わるかもしれない。

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    投稿日: 2017.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼少期に被災地に住んでいたことがあり、親戚が被災したり、知人が沢山亡くなったりして、東日本大震災のことは考えたくないし、人にも秘密にしてる。そんな風に目を背けている自分も嫌だ。この重いテーマを題材にどう書いたのか気になり、本を購入。 DJアークの語り口は軽快でスラスラ読めた。第二章の登場人物の震災に対する考え方は共感できたし、第五章の缶詰工場で働く女性の何でもない平凡な1日を繰り返し思い浮かべて昼夜過ごすという話に涙が出そうになった。 大切な人を亡くした人だけでなく、亡くなった方が読んでも、もちろん全く関係ないと思っている人が読んでも気分を害することのない内容だと思います。これ、非常に難しいことだと思いますし、いとうさんの才能が素晴らしいです。 ただ、私に洋楽の知識がなくて、せっかくの選曲された音楽が頭の中で流れなかったのが残念で、星4つにしました。もし映像化されたらストーリーと曲の融合を感じてみたいな。

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    投稿日: 2017.02.01
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    想像力が必要な本。私には響かなかった。被災者だったら響いたか、大事な人を亡くしたあとだったら響いたか、そんなことはない。兎にも角にもつまらない。

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    投稿日: 2017.01.13
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    想像したものが、ラジオとして流れている? と 予想を立てて読んでいました。 読んでいて文章が合わないのか、途中で どうしようもなく苦痛になってしまいました。 想ー像ーラジオー、と言われると、何故か脳内で 某青狸がポケットから道具を出す気がします…w

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    投稿日: 2017.01.03
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    東日本大震災の被害者(死者)がDJとしてラジオを放送する、という想像小説。 死者と生者は繋がっているという重いテーマを語るのに、意図的にこの軽い文体にしているんでしょうが、個人的にはあまり受け付けませんでした。

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    投稿日: 2016.12.31
  • 苦痛・・・合わない

    ともかく全く合わない。 苦痛で途中で断念しました。 100冊に1冊ぐらいの確率なんですけど。

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    投稿日: 2016.12.25
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    生きる者と死する者それぞれの思いが混在するスペースがあると言うのか、生きる者の思いが死する者の世界を創りだすと言うのか。 魂の混沌という感覚は受け取れる。 が、この小説がいわゆる震災文学であるという前提なしに読んだならばどれくらい理解しようとしただろう? 文庫のあとがきをジックリと読んでから本編を読むという手法が作品には合っているような気がした。

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    投稿日: 2016.12.15
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    う…ん。 メッセージは良いし、想像ラジオというアイデアも興味深いと思いました。でも、口調というか、会話のテンションが私には合わず、感情移入ができませんでした。

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    投稿日: 2016.10.11
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    これはいかんですなぁ。内容に手応えを感じないし、「あはは」はじめとした言葉遣いにも耐えられなかった。 どうもこの作者を含む80年代半ば位から(のイメージ)世に蠢く文化人的立ち位置の人々、当方と兎に角合わない、、、何が面白いのか、全く理解不能、、、 ということで何時にも増して個人的感想に終始してしまったので無視していただけますと是幸い。

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    投稿日: 2016.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    男性作者の筆であることが原因か、「かわいい」を気にかける若者女性リスナーの文章など、ところどころにひっかかりのある箇所が見受けられる。終盤のDJとリスナーの掛け合いはニコニコ生放送を思い浮かべる部分。 死者や残された人々の悲しみを理解することは出来ない、けれども想像をやめてしまったら、僕らの中身は空っぽになってしまうのではないか、とした文意は伝わってくるものの、前者の立場への言及が薄い(あるいはそうした意見があることは知っている、と言い訳程度に触れているだけのようにも感じる……)おかげで煮えきらない印象を受けてしまう。鎮魂とはなんだろう。誰のためのものだろう、と考えさせられる。 小説家とラジオDJを作品の中に出すことにメタ的な視点を盛り込んでいるように感じられるため、その点に着目して再読したい。 ……と偉そうな口をきいたものの、語り口が軽妙であるため読みやすい作品です。エンターテインメントとして読むぶんにはおもしろく拝読しました。

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    投稿日: 2016.08.07