
総合評価
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powered by ブクログこれはいかんですなぁ。内容に手応えを感じないし、「あはは」はじめとした言葉遣いにも耐えられなかった。 どうもこの作者を含む80年代半ば位から(のイメージ)世に蠢く文化人的立ち位置の人々、当方と兎に角合わない、、、何が面白いのか、全く理解不能、、、 ということで何時にも増して個人的感想に終始してしまったので無視していただけますと是幸い。
0投稿日: 2016.10.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
男性作者の筆であることが原因か、「かわいい」を気にかける若者女性リスナーの文章など、ところどころにひっかかりのある箇所が見受けられる。終盤のDJとリスナーの掛け合いはニコニコ生放送を思い浮かべる部分。 死者や残された人々の悲しみを理解することは出来ない、けれども想像をやめてしまったら、僕らの中身は空っぽになってしまうのではないか、とした文意は伝わってくるものの、前者の立場への言及が薄い(あるいはそうした意見があることは知っている、と言い訳程度に触れているだけのようにも感じる……)おかげで煮えきらない印象を受けてしまう。鎮魂とはなんだろう。誰のためのものだろう、と考えさせられる。 小説家とラジオDJを作品の中に出すことにメタ的な視点を盛り込んでいるように感じられるため、その点に着目して再読したい。 ……と偉そうな口をきいたものの、語り口が軽妙であるため読みやすい作品です。エンターテインメントとして読むぶんにはおもしろく拝読しました。
0投稿日: 2016.08.07
powered by ブクログ想像の中だけで聞こえるラジオ番組のDJが、ラジオ番組の進行という形式で話を進めていく。 途中で現実世界の話も挟むが、何の前情報なしに読み進めていくと、突然この話の主題に気づく。 それはやり切れない気持ちでどうしようもないが、それを敢えて肯定的に前向きにとらえることを許してもらえるような、そんな気持ちになる。
0投稿日: 2016.07.28
powered by ブクログ震災を題材に、こういった切り口はアリだと思う。ただ、いかんせん物語りそのものが自分には響いてこず、惰性で読みきった感じでした。所詮はベタな心の琴線しか持ち合わせていないんで、感動できる範囲が少ないんですね、わたし。開き直っている訳ではなく、それがちょっと寂しいってことなんですけどね。
0投稿日: 2016.07.15
powered by ブクログ東日本大震災や原発に関する小説を読んでこなかった。 というのも、サンイチイチやKIZUNAやガンバロウといった言葉に空疎を感じていたから。 またいとうせいこうも「ノーライフキング」で首を捻ったため、敬遠していた。 しかし南米文学への親和、さらにパニック障害と聴いて俄かに興味を持ち読んだ。 うちのめされた。 ペーソスを含んだユーモア。互いに抱き合う語りの構造。ぞっとするような悲劇。 また「当事者でないことの罪悪感」や「当事者でないものが何を語れるか」まで真摯に向き合っている。 というよりも、これを書かざるを得なかった小説家の姿が、本当に勇気づけてくれた。
2投稿日: 2016.07.15
powered by ブクログ良い話なのだけれど、話の設定を想像するとかなり怖いです。 木の上の放置された死者が放送するラジオ。。 人それぞれの死や死者との付き合い方があると思います。 心の準備が全くできず、暴力的に大事な人と引き離される天災。本当に怖いです。 きっとそれぞれの頭の中にそれぞれの死者がいると思います。 そう考えると世の中には死者が溢れているなぁ。。
0投稿日: 2016.07.06
powered by ブクログ芥川賞候補になったり、本屋大賞にノミネートされたり、なにかと話題になった本。 植物男子ベランダーも視てますよ。いとうせいこうの文体嫌いじゃないよ。見仏記、大好きな本の一つだよ。しかし、なんだこの小説は!ちょっと期待大だっただけに、裏切られた感が強かった。 簡単に内容に触れると、津波にさらわれ高い木の上で命果てた中年男が、自分の人生や家族のことなど思い残したことをラジオの電波に乗せて多くのリスナーに届けるという話(そんなこと実際にはあり得ない。だから想像ラジオ)リスナーも津波の被害にあい亡くなった人たち。突然、命を絶たれたわけだから、いろんな思いを残しているし、いろんな思いを家族に伝えたいわけで、ラジオを通して共感の輪が幾重にも・・・ 泣けるポイントがあるのかもしれない。 でも、つまらん! この内容で泣けるという感覚がわからない。大震災関連の内容だと泣かないといけないのか。泣けない自分が非情みたいで、なんかイラッときた。 別離ってつらいことだとはおもうけど、人生の辛苦ってそれだけじゃないじゃん。それでも生きていくわけじゃん。そこに感動があるわけじゃん?主人公死んじゃってるから、生きていこうという力強い意志があるわけじゃないし。これ読んで、どう前へ進めっていうんだ? やめとけ、やめとけ、いとうせいこう。お前は口寄せ巫女じゃないだろう。この手の話は重松清に任しておけ。迷わずベランダーの道へ戻るのだ!
0投稿日: 2016.06.29
powered by ブクログうーーーーーん……… なんというべきか、 とても想像力を使う小説。 生と死って対立しているように 思っていたけど本当は両立しているもので 死があるから生があって 生があるから死があるんだなぁ。 と、なんとも哲学的な感想を持ちました。 私が想像力をすごく使ったのは、 まだどちらかといえば死から遠い環境で、 これから先身近になったときに 死者が発信する「想像ラジオ」を思い出せたら 少しだけ勇気をもらえる気がします。
3投稿日: 2016.06.24
powered by ブクログ想像ラジオ。聴こうとする人に聴こえる。そーゆう物語だと単純に思って読んでいた。背景にはそーゆう意味があったのねと読み進める途中で気づく。作者の表現はすごい好きだなー。自分だとモヤモヤしていた部分をきっちりと彼の言葉で表現している。ただただ尊敬。でもちょっと終わり方がイマイチだなー。DJアークとそのファミリーの会話を聞いてみたかった。
0投稿日: 2016.05.30
powered by ブクログ正直理解が追い付かなかった。いろんな人がいろんな経験した震災をまた違う形で書いたのだろうけど、難しかった
0投稿日: 2016.05.21
powered by ブクログ帯で買った。 う~ん、店頭の紹介の印象が強すぎて、作家の顔がちらちらしながら読むのはあまりよくないなぁ。 もう少ししてから、再読できるかな。
0投稿日: 2016.04.04
powered by ブクログ大昔に読んだノーライフキングもそうだったけど、突き抜けた新しい世界を作り上げるところがさすが。 ポップないい曲が入った聴きやすいアルバムではなく、斬新で考えこむような曲が入ったアルバム、慣れたら好きになるかもなー、そしてある意味音楽観が変わるかもなー、と思わせるアーティストって感じ。
0投稿日: 2016.03.25
powered by ブクログ未来に伝えたい物語がある― 誰かに伝えたいことがあるなら。どんな小さな声も余さず、あなたの心に直接お届けする素敵なラジオ。あの日、『三月の水』に飲み込まれた幾重もの思いと、それに耳を傾ける生き続けなければならない人々の姿。 「少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に」 悲しみに捕らわれて前に進めない人がいたとして、その人は”弱い人”なのかどうか。だとしたら無理に”強い人”になる必要はないのかもしれません。 「俺らは生きている人のことを第一に考えなくちゃいけないと思うんです」 生きている限り、亡くなってしまった人たちの想いを理解できることは無い。分かるなどと考える事自体がおこがましい。本当にそうなら、理解しようと努めることすらも不要な感情なのでしょうか。心と現実の問題は必ずしも相反するものではないということ。 「あなたの想像力が電波であり、つまり僕の声そのものなんです」 無数の声があるからこそ一言では言い表せない『今だからすべきこと』。非常に難しいテーマであるがゆえに賛否両論あることと思います。それでもなお、作家としてのいとうせいこう氏が捧げたかった、震災後の全ての人々のありかた。多くの方に届くことを願ってます。 そんなお話。
3投稿日: 2016.02.17
powered by ブクログ正直、感傷的な気分になるのを期待してた。涙活的な。でも、頭をブン殴られた。「亡くなるまでのその声を考えるのと、亡くなったあとを想像するのにそれほど差があんのか」永遠に聞こえない他者の言葉に耳を傾け続けること。想像すること。それは確かに感傷的なものなんかじゃないんだ。 …なんか違うな。聞こえないから確かめようがないし、声をかけることも出来ない断絶があるんだ。想像することは甘いことじゃないって絶望があるから、その姿に共感できる。
0投稿日: 2016.02.02
powered by ブクログこの本を読んで、「死」についていろいろ考えてしまった。 何年か前、長男に「死んだらどうなるの?」と聞かれたダンナさんが「死ぬのは寝るのと同じだよ。ただし、夢は見ないし、目覚めることもないけどね」と答えていたのを思い出した。 「永眠」という言葉があるように、死んだら無になるだけなのかなと思う。 その一方で、東日本大震災で亡くなった人や、登校中に車に突っ込まれて亡くなった子供や、先日の軽井沢町でのバス事故で亡くなった大学生のことを思うと、無念だっただろうなあと想像をめぐらせ、痛ましい気持ちになる。 死んで無になったら、無念さなんて感じないかもしれないのに。 死んだら無になるだけなんだろうなあと思いつつ、魂の世界みたいなものがあればいいのにと思っている自分もいる。 『ママのおなかをえらんできたよ。』という本には、「ママのおなかに入る前の記憶」について語っている子供たちのことが書かれていて、さらに一番最後には、「一面お花畑のような場所から、トンネルを通って人間界に修行にきた」みたいなことを言っている大人のことが書かれていて、ますます、魂の世界を信じてみたくなる。 死んだら無になるのか、魂になるのか、死んでみないとわからないんだろうなあ。
0投稿日: 2016.01.23
powered by ブクログ亡くなった人の気持ちを全て想像して理解しようとするのは不可能なことでも、その人達の言葉に耳を傾けようとし、共に生きていこうとするその姿勢が大切なのだと気付かされました。
0投稿日: 2016.01.11
powered by ブクログ初せいこう。死者と生者が『想像ラジオ』と云うラジオ番組を通して繋がるお話。再読毎にまた違う印象が得られそうな作品でした^^
0投稿日: 2016.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
想像していた以上にショッキングな小説でした。 人は生まれ、そして死ぬ。その死は、どのタイミングで来るのかは、神のみぞ知ること。病気で、年老いて、気持ちの整理がついている人は、それはそうと受け止めることもできるでしょう。でも、不本意な事故や現象の場合、どれだけ受け止められるのかな。 受け止めるためには、時間が必要なのでしょう。 これは東日本の震災で亡くなった方、大切な人を亡くした方へのレクイエムなんでしょうね。
0投稿日: 2015.12.28
powered by ブクログ死という別れには、2つのパターンがある。ひとつはその訪れを予感し不可避ながら迎えるパターン、もうひとつさ電源スイッチのように呆気なくぶちぎられるパターン。 前者は老衰や病死で、後者は事故や天災といったところだろう。 東日本大震災は僕らが、強く後者を感じた出来事だった。昨日までそこにあった生が、蝋燭を吹き消すかのように消えていくその出来事を目の当たりにしている瞬間。併せて自分の無力さを痛切に感じた時間でもあった。 昨日まで確実に存在していた人が、ある時を境に不意にいなくなること。戦争や天災はそんな神隠しをふいにやってのける。そんな呆気のない幕切れに僕らはどうやって立ち向かうのか。 この小説に描かれた想像力の飛躍は、そんなわかれに到底なれていない僕らのひとつの糧なのだ。
0投稿日: 2015.12.18
powered by ブクログタイトルに魅かれて読んでみた。 ん~なんだろう。 手放しで、良いね!って感じでなないんだよな。 もちろん、つまらないとかってことでもないんだけど。 もやもやする。 伝えたいことはわかる。 こういう考え方もあるよっていう、ひとつの提案として読むのもいいのかも。 この本を読んで気持ちが楽になったり、癒されたり救われたりする人が沢山いるなら、いいなって思う。 読む人によって、感想も色々変わるんだろうな。 私は、もやもやした(笑)
0投稿日: 2015.11.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「だけどだよ、心の奥でならどうか。てか、行動と同時にひそかに心の底の方で、亡くなった人の悔しさや恐ろしさや心残りやらに耳を傾けようとしないならば、ウチらの行動はうすっぺらいもんになってしまうんじゃないか。」(p.76) 「そうそう、ふたつでひとつ。だから生きている僕は亡くなった君のことをしじゅう思いながら人生を送っていくし、亡くなっている君は生きている僕からの呼びかけをもとに存在して、僕を通して考える。そして一緒に未来を作る。死者を抱きしめるどころか、死者と生者が抱きしめあっていくんだ。さて、僕は狂っているのかな?泣き疲れて絶望して、こんな結論にたどりついて」(p.147)
0投稿日: 2015.11.07
powered by ブクログこっそり言いますがあまりのめり込めませんでした。東日本大震災という題材的に突っ込みにくい部分があります。想像ラジオという革新的な創造に志しの高さは感じるのですが。
2投稿日: 2015.11.07
powered by ブクログ2011年3月の東日本大震災では沢山の悲しみが生み出されてしまいました。 それを受け、いとうせいこうさんが書いた小説です。 感想をどう伝えればいいのか分からないというのが正直なところです。 とある林の中にそびえ立つ杉の木の上から流れてくる想像ラジオ。 DJアークが送るその不思議なラジオを通して、リスナーやDJアークは、 今自分が置かれている状況を受け入れていきます。 小説の中に“死者と生者は抱きしめあっていきていくんだ”という言葉が書かれていて、 そういう考え方をしたことがなかったので、驚きました。 命を失った人たちの心残り、大切な人を亡くしても生き続けていく人たち、 それを支えるボランティアの人たちの想い。 正しいのか間違っているのかは分かりませんが、それらを想像する機会を与えてくれました。 また「芸能人の書いた小説か…大丈夫かな」という偏見も失礼ながらあったのですが、 そんなものは全く関係ありませんでした。 ▼想像ラジオで流れていた曲。あとで聴いてみよう。 ザ・モンキーズ「デイドリーム・ビリーバー」 アントニオ・カルロス・ジョビン「三月の水」 マイケル・フランクス「アバンダンド・ガーデン」 ボブ・マーリー「リデンプション・ソング」
0投稿日: 2015.10.13
powered by ブクログ最後のあとがきがよかった。 私にとってはこの物語を理解するにおいて、また、ここから先の自分の想像において、樹木の話はとても大事なキーワードになった。 昔、マンガで読んだ手から波動とか気が出るヤツ。集中して念じれば出来ると思ってやった人たくさん居ると思う。 この小説を読んでいると、だんだん自分と共鳴する何かを掴めばこの放送が聴こえる気がして、電車の中でチューニングを合わそうとしている自分がいた。 おいおい…と自分で突っ込こみたくなったけど、あぁ、こういうことなんだろうなって思って納得したというか。 かかとで回転する草助の行動にしても、昔からそういうものであるかのように思えてしまって、私が現実に取り残されているのか…とちょっと不安になったり。 (いしいしんじの「ぶらんこのり」で出てくる、象の ”ローリング” を思い出した) そういう、現実との境目が分からなくなるといったらいのかな。あとがきの言葉を借りると、まさにこの小説自体が「架空とも事実ともつかない」というか、作中の言葉を借りると「この世でもあの世でもない”中有”」であるというか、そういう感触。 もちろん、この背後には強烈な現実の出来事があってこそで、だからこそ、この「想像ラジオ」を強く意識できるようになるのだと思う。 あらためて、もう一度読みたい。 (すぐ読めちゃうしね)
0投稿日: 2015.10.12
powered by ブクログ私の身近に震災での犠牲者がいないからなのか、あるいは私の想像力が足りないのか、いまいち感情移入できなかった。普通ではない設定、つまりは死者の声がラジオになるという設定が、つかみきれなかった。死者の声というよりは生きている者の願望か?それこそ、生きている者の想像ということか?考えさせるテーマだけど、評価は星2つ。
0投稿日: 2015.10.12
powered by ブクログ入り込めなかった。 想像力がたりないのだね、私は。 尊い命への想い方って人それぞれなのだなぁと思った。 ただ、亡くなった方も、生きてる私たちも、 せめて「あの人」の声を聴きたいを思う人は いろんなところにたくさんいるだろうと思う。 それは間違いない。 日々、いろんなところで災害が起こる。 どうか、いとしい人の声が、 聞きたい人のもとに届きますように。
0投稿日: 2015.09.13
powered by ブクログ東日本大震災を舞台にした小説。 正直、話の根幹がよくわからず理解しにくかった。 一人一人のセリフが長くて読みにくく、入ってこなかった。 情景などが全然イメージできなかったので読むのがしんどかった。 多分、いい話。
0投稿日: 2015.09.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
発表時から話題になっていたので気にはなりつつも、手が出なかった。その後、いとうせいこうと髙橋源一郎の対談を読んで、ようやく読んでみる気になったという……。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44677 もっとシニカルかつ、コミカルに書いてあるのかなと思ったけど、ほぼ直球。このテーマに関して、やはり今は、こういう書き方しかできないんじゃないかと思う。 ラジオだから、曲紹介場面も何度かあるのだけれど、最後の場面でリクエストしてきたリスナーについて、いろいろ想像がふくらむ。
2投稿日: 2015.09.08
powered by ブクログ「これまで読んだことのない作家さんの作品を、選んでみよう」と、書店の文庫コーナーを巡りました。 すると、以前から題名が気になっていたこの小説が文庫化されていたので、読んでみることにしました。 物語はいきなり、ラジオ番組の話し言葉で始まります。 深夜2:46にスタートしたという、この番組。 「高い杉の木の上に、引っかかっている」と、自らの状況を話す、DJ。 どういうシチュエーションなのだろう?と戸惑いながら読み進めていくうちに、この小説の設定が、だんだんと、見えていくようになっています。 震災のボランテイア活動をするグループの話も間に差し込まれているので、いわゆるファンタジー小説ではないことに、さすがの自分も途中で気付きました。 多くが話し言葉で書かれていることもあって、著者の意図がどのようなところにあるのか、理解できない部分もありました。 しかし自分なりに、「亡くなってしまった人のことを考えるというのは、どういうことなのだろう」「身近な人が亡くなった人には、どう接したら良いのだろう」というようなことを、考えながら読み進めました。 東日本大震災後、「多くの人が一度に亡くなるということにどう向き合っていくべきなのか」について、言論の場で取り上げられていたという記憶があります。 著者の考えがこの小説の形でまとめられたのかなと、理解しました。 これからも特定の作家・テーマに偏ることなく、様々な作品を読んでみたいと思います。 .
0投稿日: 2015.09.07
powered by ブクログ3月11日 東北大震災ーー あの日から想像ラジオが流れる 死者は生き残った者に 生き残った者は死者に 伝えたいことがある 聞きたい声がある 死んだ人を忘れて前を向いて生きていかなければならない そんなことはないんだよ。 誰かの思いを想像する 自己満足でも悟ってるわけでもない 一人でも出来ること 唯一許された行為なんだ
0投稿日: 2015.09.02
powered by ブクログ絶妙な表現に絶妙な比喩、決してふざけてはいなく、かつ、絶妙な間のユーモアを交えつつ。 何故ラジオなのか、震災についていかに描くか、の葛藤も交えつつ。 草助の低い声が…という一節から急に時空を超えた感じになって、グッと情景が開かされつつ。 感傷的になりすぎずラストはアッサリと、ボブマーレイでしっとりと。 タイトで絶妙な文量、色々なものが詰まった良い小説です。
0投稿日: 2015.08.30
powered by ブクログ心の電波に乗って伝わるラジオ。 東日本大震災を題材にした、死者と生者を繋ぐ話。 DJアークさんの語り方についていけず、 短い本なのにどうしても読み切れなかった。 良い本と言われているけれど、 人によって好みは違うんだと再認識。
0投稿日: 2015.08.21
powered by ブクログ私の父もこんな風にDJやってたかもしれないな、って。そう想像したら、涙が溢れました。それってすごく、破天荒だけど繊細なところもあった父らしいなあって。 私や妹や母親の姿、見えたかなあ。 見てくれてたらいいな。
0投稿日: 2015.08.18
powered by ブクログ東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。野間文芸新人賞受賞。
0投稿日: 2015.08.09
powered by ブクログ最初、なんだこの調子に乗った感じはっ!と違和感を感じたんだけど、アッと言う間に引き込まれてしまった。 とにかく、読んでよかったと思える作品です。
0投稿日: 2015.07.29
powered by ブクログ生きているものは 死をどう受け止めるのか。 死したものは 生をどう感じるのか。 生死を超えて、 同つながり合うのか。
0投稿日: 2015.07.28
powered by ブクログ構造が面白いな。 いろんな風に読み取れるし ね。 * * * * * DJアークの軽い口調じゃなかったら この内容は受け留められなかったかも、な本。 特にボランティアの人たちの会話は 文章を読みながらも 頭の別の部分で『哀悼』と言うものについて 自分なりに考えてしまう。 声高に『復興』だけを語る政治とかのひとにも読んでほしいなぁ。 想像力をもって。 * * * * * そっか。 もしか私も、勇者のおかげで平穏無事に暮らせてんのかもな。 誰だかわかんないけどありがとう。
0投稿日: 2015.07.10
powered by ブクログ東日本大震災で失われた命たちが発する悲しみや想いを電波にした想像ラジオ。 死者たちが声を発していることになるんだけど、震災で亡くなった人たちの魂ってこんなにも穏やかなものなのかな? どんな状況で亡くなろうと、死ねば諦めがつく? 私はもっと苦しい声がたくさん聞こえてきそうな気がした。 本の中にも書いてあったけど、実際に死者の声を聞くことは出来ないけど、聞こうとして耳を傾ける時間は必要だと思う。 たとえそれが自己満足だとしても。
0投稿日: 2015.07.07
powered by ブクログいとうせいこうはノーライフキングで既にその感性に圧倒されているけど、想像ラジオは単行本を手に入れ読む前に無くし、文庫で再入手してようやく読めた。饒舌に静謐なこの短い書物は、悲しみも希望も、書かれなかった行間から、各々の想像の中で読む書物となっているようだ。
0投稿日: 2015.06.27
powered by ブクログ東日本大震災の後、被災した人たちの亡くなるまでのわずかな時間の想像のやりとり。 それで、生きることへの未練が少しでも減るといいなー。同じ境遇だから分かり合えることもあるのだろうか。
0投稿日: 2015.06.25
powered by ブクログ亡くなった人と話すことは不可能。けれど想像力を巡らせるとそれは可能になる。生きているからこそ、亡くなった人の想いに想像を巡らせ、生きている人は今の「生」に感謝しつつ、「1日1日を大切に生きて行こう」、そんな風に思わせてくれる小説でした。
0投稿日: 2015.06.18
powered by ブクログ3.11モチーフですかね。 とある男性が想像で発信してるラジオに纏わるエトセトラ。 いつの間にか、死への向き合い方について 考えさせられてしまって、読後ボーッとしてしまった。
0投稿日: 2015.06.17
powered by ブクログ先の震災後を舞台としているが、それに限らず「死」をどう捉えるか…を考える一冊。 万人が中二の頃に悩むような、そんな内容かもしれない。
0投稿日: 2015.06.17
powered by ブクログいとうさんの思いが詰まった作品。 偽善やひとりよがりと言われることも、あらゆる批判もすべて飲み込む覚悟で、ただ一心にこの物語を"彼ら"に捧げたいという祈りに似た強い思いを感じる。 胸が痛くなる。涙が出てくる。 すごい本だと思った。
0投稿日: 2015.06.16
powered by ブクログ東日本大震災から4年経ったその日に印刷されたこの本。 津波の被害にあったと思しきDJアークが送り続けるラジオ放送。死者と生者の間を繋いで迸る言葉。 死者と共にこの国を作り直して行くしかないのに、まるで何もなかったように事態にフタをしていく僕らはなんなんだ。 僕らは死者と手を携えて前に進んできたんじゃないだろうか? 亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。(P.141) 生きている僕は亡くなった君のことをしじゅう思いながら人生を送っていくし、亡くなっている君は生きている僕からの呼びかけをもとに存在して、僕を通して考える。そして一緒に未来を作る。(P.147) 亡くなったけれども悲しみを持つ余裕が今はないという人には僕の声は残念ながら届かないし、逆にひょっとしたら生きて悲しんでいる人にもこの番組は届く。(P.170) 言葉を失って茫然としている時間が、僕らにはどうしても必要だ。(P.173) 第2章が小難しくて、だけど第4章に繋がると、徐々に作者が言いたいことが分かってくる。 今の世の中に大事にしたい言葉の数々。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログつまらない。読むのがつらくなるほど下手な文章。DJや会話でつないでいくスタイルだが、登場人物を識別するために会話の中に『ゴホッ、ゴホッ』とか咳を多用するのは見苦しい。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログ深夜2時16分、海辺の小さな町の杉の木の上から、そのラジオは「想像」という名の電波に乗せて放送される。 軽快なお喋りで番組を進行するDJアークだったが、徐々にアークの置かれている状況や、ラジオを聴くことの出来る人間とそうでない人間との違いが明らかになっていき……。 2015年6月5日読了。 タイトルだけで購入し、あらすじも読まずに読み始めました。 途中で根底にあるのが東日本大震災だと気付き、いろいろと納得。 いとうせいこう氏の構成が巧みで、とても優しい物語に仕上がっています。
0投稿日: 2015.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あまり好きじゃなかった。 私に想像力が足りないから? --- 深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は--東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。
0投稿日: 2015.06.04
powered by ブクログ受信機も電源もいらない「想像」で受信するラジオ、パーソナリティDJアークは放送を続ける中で次第に自分やリスナーの置かれた状況を理解していく。電子書籍のサンプルがきっかけで読んだのだが、第二章からは驚きの展開だった。また、DJアーク達はラジオ受信できない人たちと違う形で同じステップを踏んでいるように思える、読者に逆さの視点からの立ち直りを促しているような。お話を読むというよりラジオの最終回を聞いた感覚で、表紙のようにやわらかな雰囲気の一冊。
0投稿日: 2015.06.03
powered by ブクログ読み返すほどに「響く」音 震災を経て、たくさんの方々が大切な人を失っただろう。 私は、近しい人を失うことはなかった。 そんな自分が震災を思うとき、 どんな心持ちでいればいいのか。 4年以上たった今になっても、 正直わからない。 確かなことは忘れてはいけないってことで、 ただ、その方法もわからないままだ。 忘却という暴力と、 解説で星野さんはおっしゃっているが、 まさにその通りで、 否応なしに、記憶は薄れゆく。 最近、祖母を亡くした。 思っていたよりも 心に穴が開かなかった自分にびっくりした。 普段離れているせいもあって、 亡くなったという実感が薄いせいもあるのかもしれないが、 どこかで元気でやっているだろう、 というどこか楽観的な、 どこか牧歌的な想いが胸に広がっている。 葬儀は生きている人が納得して送り出すためにあると 坊さんはそのときしゃべっていたが、 どうしてもその言葉には納得できなくて、 どんな形であれ、 生きている人間が故人を想う気持ちがあれば どんな形式だって、 送られる側は許してくれるんじゃ亡いかなって思う。 もっとやりたいこともあったろうし、 世の中への恨み言もたくさんあるだろうけど、 そういうのをひっくるめて、 死ぬ瞬間は、生きてきてよかったって 思えるんじゃないかなって、 楽観的がすぎるけれど、 そんな風に思いました。 妙に心に響いたBGMとともに LAMP IN TERREN 「クライベイベ」
0投稿日: 2015.05.21
powered by ブクログ東日本大震災で亡くなった人の心や大切な人を亡くした人の心、それに寄り添う心。実際にはもっと生々しく厳しいものかもしれないが、スッと自分の中に入ってくる文章でした。もっと年数が経過して読み返してみたいと思いました。
0投稿日: 2015.05.16
powered by ブクログ予期せぬ死。遺された者はどうやって気持ちを整理するのだろう。死者の思いを想像することで救われることがある。一つの方法を教えてくれた作品。 死は、終わりと同時に遺された者にとっては始まり。遺された人たちが新しいスタートを切るまでの物語。
0投稿日: 2015.05.15
powered by ブクログ150514読了。冒頭、まさにラジオが始まるときに、学生の頃に勉強しながら聴いていたラジオ番組の、寄せたメールが読みあげられて胸が高鳴るあの思いををぶわっと肌に感じました。 ほどなくして、ぽつぽつと外灯が遠くに見えるようにリスナーが出現し、なんだかそれが私には希望に思えて、これから良いことがはじまるのだというわくわく感でさらさら読み進められました。 途中から、登場人物の違う話が現れます。 察するに、情景は東日本大震災なのだと、じわじわと気づかされていきます。 私の感じたわくわくは悲しみにとって変わりますが、最後はなんだか甘酸っぱい 、卒業式みたいな気分で旅立つ主人公を見送りました。 おなじみのジングルは 想ー像ーラジオー。 いとうせいこうさんの文を初めて読みましたが、絶妙でした。感動しました。
4投稿日: 2015.05.15
powered by ブクログまだ一回通読しただけですが、読んだ瞬間から3.11へ舞い戻り、こころが痛くなります。だんだんと主人公が置かれた立場を把握してしまうところは読んでいて辛かったかも。 これは震災を知らない子供達にも、中学生位になったら読ませるべきではないでしょうか。
0投稿日: 2015.05.09
powered by ブクログ頭の中で聴こえるラジオの話。 あれから4年が過ぎて 忘れてなくても思い出さなくなってしまう日々。 あの年にはこんな想いがあったのかなと 想像することだけでも意味があるのかな。
0投稿日: 2015.05.06
powered by ブクログ想ー像ーラジオー。 ジングルが耳に焼きつく。 樹の上のDJアークが聞こえる人にだけ語りかける不思議な放送。 彼の声が聴こえるのはどんな人なのか。そして彼は。 著者は計算づくで「こんな小説」が書きたいと思って書いたのかなぁ。それだったら凄いと思う。 どちらかと言うと「書かねばならぬ」といいう衝動で自動記述の如く一気に書き上げたんじゃないか(DJアークの語りを著者は文字に書き留めた)んじゃないかと思うほどに一途なものを感じた。
0投稿日: 2015.04.28
powered by ブクログ東日本大震災を背景として、生者と死者の関係性、実体験していない悲劇を人は語り得るのかなどの問題を扱った作品。 特に第2章では、その悲劇を実体験していない人間が悲劇を語ることの倫理的な問題が登場人物の対話を通じて炙り出される。あることを語る際に、確かに実体験をしているということは重要な要素であるのは間違いがない。一方で、その点だけを重視し、実体験していない人が「語り得ぬものについて沈黙しなければならない」のかと言えばそれもまた違うのだと思う。実体験した人の固有性を重視しつつも、実体験していない人も含めて語る自由を担保し、その関係性をうまく取り持つこと、そんな広範な問題を扱った作者の勇気に感嘆した。 物語としてもリーダビリティが高く優れた出来。
0投稿日: 2015.04.26
powered by ブクログ期待しすぎたせいか、読むのに苦労した。初めて読む作家さんなだけに残念。 「おもかげ復元師」の前に読んでたら、また違った感想だったのかもしれない。 H27.4.25~5.15読了。
0投稿日: 2015.04.25想い続けることが成す事は?
題名で軽いと思って読んだら、相当、真摯なテーマ。 東日本大震災をきっかけとした、死と生に真正面から向き合います。でも悲しみや苦しみを前面に出したり、生きている人が死んだ人を無理に振り切るのような内容ではありません。 「忘れないこと」・・・というか「想い続ける」こと(それが想像ラジオ)により、「人の思いがあふれる社会」ができるのではないかという、一つの側面を考えさせてくれます。もちろんアンチテーゼ的な意見も示されますので一方的な話ではありません。 しっかりと体勢を整えてから読むとよいと思います。
8投稿日: 2015.04.22
powered by ブクログいとうせいこうさんと、ラジオを取り入れている所に惹かれて購入。 東日本大震災を背景に、生者と死者の関係のあり方を書き記した書籍。私は当時、千葉県柏市におり、震度はあったが大きな被害を受ける事はなく、友人の母親の車に乗り、深夜友人宅に到着し、その夜は友人宅で震災の映像をずっとながめながら、一夜を過ごした事を覚えている。恥ずかしながら、自分事のように思う事ができていなかったと感じる。感受性が低かったと思う。被害を受けていない者が落ち込んでどうするのだ、と。しかし今となっては、何の考えもなしに前向きになるのは違うな、と思う。 「私は関係ない」「知らないから想うことも、語る資格もない」と思うことはない。被災者の事を想って、想像して、痛んで、記憶しても良い、忘れて前向きになることだけが、いい事ではないのだと、あとがきも含め、感じることが出来た。 楽観的で、単細胞な人間であるため、もっと感情豊かな人間になりたいとこの書籍を読んで感じた。
0投稿日: 2015.04.16
powered by ブクログこの本にはずっと存在していてほしい。 私の人生の中で今のところ、大切な人との別れというものがないけれど、考えただけでも辛くなるそれだけど、想像の力があれば、大切な人を心の中においたまま優しい気持ちで生きていくことができるのかもしれないなと思いました。 これも想像でしかないけれど。
0投稿日: 2015.04.15
powered by ブクログ私の身近な人がいつか亡くなって、悲しみに暮れて立ち直れないような時に、もう一度読み返したくなる本でした。 いつまでも死者を思っていてもいいんだ、一刻も早く忘れて立ち直らなくちゃ、なんてことはないんだよ、と背中に手をあててもらったような感じ。 何ヶ所か、何度も読みたい文章があって、ページの端を折りました。 私は二度流産しており、その子たちは旦那の実家が持っているお墓に眠っています。 最初の子を納骨した時、そこのお坊さんが私に「早く忘れてしまいなさい」的なことを言いました。 その時の私の心情は、「なに言ってんだこのクソ坊主」でした。 忘れろったってそうそう簡単に忘れられるもんじゃない、坊主のくせにそんなこともわからないのか、と。 まあ、励ましてくれていたのだと、今では思いますが。 第三章の、DJアークが神様の仕業だとしても、俺は神様をこうしてやる、という長い文章。 やり切れなさがいっぱい詰まっていて、胸が苦しくなりました。
0投稿日: 2015.04.13
powered by ブクログ第四章は人がたくさんいるところで読んでいた。だけど涙を堪えきれなくなって思わず店を出た。車の中で一人で涙を拭いながら読んだ。 昨年の秋に、東北にボランティアとして行った経験がなければ、これほど「想像」できなかったと思う。直接被災していない人間が何かを語るということに賛否両論ある。でも、直接被害を受けていない人間が、被害を受けた人達の状況や気持ちを想像することは悪いことではないとこの本は伝えてくれている。 「僕の言っている死者の世界は逆だ。そこは生者がいなければ成立しない。」 「生き残った人の思い出もまた、死者がいなければ成立しない。だって誰も亡くなっていなければ、あの人が今生きていればなあなんて思わないわけで。つまり生者と死者は持ちつ持たれつなんだよ。決して一方的な関係じゃない。どちらかだけがあるんじゃなくて、ふたつでひとつなんだ」
0投稿日: 2015.04.11
powered by ブクログ芥川賞の候補作になったり、おそらくそれ以前から話題だった小説。 何が題材なのか知っていただけに読むことに少しためらいはあったけれど、紀伊國屋で超プッシュしてたからつられて買ってしまった。 「深夜2時46分、そのラジオは聴こえてくる」 この物語は“杉の木”というのがひとつのキーワードなのだけど、巻末の解説によると、樹木というのは死んでいる組織と生きている組織があって、生体と死体が切り分けられない形でひとつの個体が成り立っている、とのこと。 それはこの世界も同じで、生きている人間は死んだ人への思いを完全に断ち切ることはできないし、死んだ人間もまた、生きている人の記憶によって成り立っている。生と死が渾然一体となってこの世界はできている。 死んだ人の声が聴こえる、という人も世の中にはいる。 私は聴こえないからそれが嘘なのか本当なのかはわからないけれど、死んでしまった誰かがもしかしたらこんなことを思っていたのではないか、と想像することはある。 それは実際のことではなくただの想像に過ぎないけれど、それを思うことで気持ちに整理がついたり、前に進む力になったりする。 一歩間違うと悲しみの中にうずくまる原因にもなりかねないけれど、そういうことも含めて、その人ために必要なことなのだと思う。 物語の中でも賛否両論だから、きっと実際の世界でも賛否両論だと思う。 私自身は、好きか嫌いかで判断することを少しためらう小説だった。 もう少し時間を置いて再び読んでみたときに答えが出るのかもしれない。 でもこの題材に正面きってぶつかるってすごいことだと思う。批判があることも最初から予想できたはずだから。 予想できただけに雰囲気がライトになってしまった部分もあるのかもしれない、と想像した。 いちばん答えを知ってるのは、あの“2時46分”を絶対に忘れられない人たちなのかもしれない。
6投稿日: 2015.04.10
powered by ブクログダリの絵のようなシュールレアリズムに満ちた、でも確かな震災のレクイエム。ラジオから流れてくるバックグラウンドミュージックは東京スカパラオーケストラの楽しく騒々しい音楽が想起される。中有(あの世とこの世の中間)に留まる魂のこの世への未練が「から元気」の中、哀しく描かれる。
0投稿日: 2015.04.10
powered by ブクログ思い。 想い。 つながっていく、どこまでも。 目の前からあなたがいなくなっても。 いつまでも、ずっとどこかで、誰かが。 自分もそうでありたい。
0投稿日: 2015.04.06
powered by ブクログ死とか生とか、それだけが問題なんじゃなくて 想像して形にして想像して掬い上げられて そうやって世界がリンクしていくんだなって。 でもやっぱりそれがまず生きてることなんだなって思った。 死者も想像する、てのは生きてる側の思い込みかもしれないけど でも生者にとっても多分死者にとっても想像することって救いでもあるんだろうなー。
0投稿日: 2015.04.02
powered by ブクログ深夜の2時46分に想像の中にだけ届くラジオ。 DJのアークとリスナーの不思議な関係。 東日本大震災の様に震災や事故はいきなりやって来る。いつもの日常が非日常に変わる。亡くなったひとと生き残ったひとを分けるものは何か。亡くなったひとにも言い分も、不満もあったと思う。 切ない話だけど、通読後、彼らも大切なひとのことを考えているのではと思えることで、どこか救われたい自分もいる。 「生者と死者は持ちつ持たれつなんだよ。ふたつでひとつなんだ」ひとは、点として存在するのでなく直線として存在すると思わずにはいられない言葉。
0投稿日: 2015.03.28
powered by ブクログ2050323 東日本大震災をテーマにした話題作だったので、単行本の時から気になっていた。 文庫本化されたので読んでみたが、最初から??の連続で、登場人物や情景などの設定か理解できない。 それでも全く感情移入できないまま1章を読んでみたが、やはり理解出来ず。 評価の高い作品なので自分の読解力や想像力が乏しいのかと、なんだか辛くなってきたのでこれ以上読み進めるのは無理と思い読了とする。 高評価のレビューは皆さんの本心なのだろうかと疑心暗鬼にさえなってしまった。残念。
0投稿日: 2015.03.25
powered by ブクログ東日本大震災で亡くなった方が、大切な人を探す気持ちがもとで始まるラジオ番組の話。 未曽有の事態で突然亡くなり、亡くなったことをうっすら理解しながら、自分と家族、当時一緒にいた誰かの安否を気遣う様子が、柔らかく描かれている。肉体的な苦しさもあるけれどい今までの何でもない日常や大切な誰か、そしてその誰かとの思い出や生活が亡くなっていく無念さを受け入れなければならないのが、切ない。それでもDJが妻と子と話ができてよかったと心底ほっとした。 こうして生きていた人々の息吹をなくしてしまった震災を風化させてはならないと改めて思った。
0投稿日: 2015.03.23
powered by ブクログあの震災と真っ向から向き合い、これを書いたということは 単純にすごいな、と思った。 小説としては、私にはあまり合わなかった。 いとうせいこうのもの、他にも読んでみようと思った。
0投稿日: 2015.03.21
powered by ブクログ読みはじめて、なかなか話の全体像が見えてこなかった。ほとんど文章が会話で書かれていたからだ。どいやら東日本大震災でなくなっていく主人公が同じく立場の人たちとのテレパシー的な会話だった。家族を思いやる気持ちと現世から巣立つ心苦しさに心打たれた。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログ独創的である.伝えたいことも届くが,なぜか響かない.私が薄情な人間だからかな. 以下あらすじ(巻末より) 深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログ3.11。 私は千葉の海浜幕張にいた。 幕張テクノガーデンは高層ビルがいくつか連なっているビル。 頑丈そうで、何かが起こるとは想像もできない場所だった。 でもあの日は揺れた。 避難して外に出て、さらにその揺れを現実として見た。ビルが、ビル同士がぶつかるんじゃないかというくらい揺れていた。 揺れが落ち着いて、自宅に帰れる人は帰ろうってことになったけど、電車バスはすべてストップして、完全の陸の孤島。 地面は、埋め立てのせいか液状化と歪みでひどいことになっていた。 どうすることもできなくて、オフィスに戻り、インターネットでテレビを見た。 映し出されるのは宮城岩手福島の状況ばかり。おもちゃのように家が流され、感情がおかしくなり笑い出しそうになった、必死に感情を制御しなければと苦しんだ記憶が昨日のように蘇る。 そんな、私にとってはテレビの中の世界。 それも現実に起こったこと。 津波に奪われた命は2万を超えるという。 その苦しみは、体験した人や家族しか分からない。 悼み、苦しみ、嘆くとも、 体験した人や家族と私はちがう。 石巻で働くことになってもこの感情とはうまく付き合えなくて、苦しくて、たまらなかった。 弱かった。 今なら分かる。 死を悼むことは大切。 でもその家族が嫌という程魂を鎮めるために祈っていて、私は部外者であるということ。 今なら分かる。 自分にやるべきことは、生き残った人たちの支援だということ。 生き残った人にはこれから先の人生がある。 死にそうなくらい辛くても、生かされた命。 その命とどう向き合って、どんな人生を作っていくか。 その助けになることなら、きっとできることはあると思う。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログ本当に偶然で、これを読み始めたのが震災から4年経った3/11だった。 正直、わたしの想像力の不足のせいか、本文を読み進めるうちには章毎にDJアークだったり、作家Sだったり、5人のボランティアだったり、恋人同士だったり主体が変化することについていけなかった。 解説を読んで、あーあの混沌こそが生と死が一体化した時空なのか、と調子よく思ってみたり。 でも、実際には生と死の実感がわたしにはまだない。大切な人を失ったこともないし、臨死体験もないし、4年前の震災の揺れは同じ国内でもわたしのいるところには1ミリも届かなかった。テレビで見た映像は凄惨すぎて実感をうまず、遠い国のことみたいだった。でも、個人の離別のエピソードをドキュメンタリータッチで描かれるとしみじみと涙がでる。身勝手ながら。でも、悲しみをちゃんと受け止めるにはただの衝撃だけでなく、物語が必要なのかもしれないと思う。かなり勝手な話だけど。当事者だって、ストーリーとして自分に起きた出来事をたどるようになって悲しみに向き合い、受容の準備が整うのかもしれない。経験のない私には想像しかできないけど、そうした想像でも無意味じゃないし、罪悪感を感じるものでないと思わせてくれるのがこの小説じゃないかと思った。話についていけなかった私がいうのもなんだけど。 もう何度か読み返してみようと思う。理解を深めるというより、より想像力をたかめるために。
0投稿日: 2015.03.14
powered by ブクログうーん?と思って読み始めたものの最後まで、うーん?のままだった。 今まで読んだことのないような本だったけど、全然はいってこなかったなー。自分は3.11、直接的な当事者じゃないけど、そういう人が読んだらまた違った感想になるのかな。
0投稿日: 2015.03.12
powered by ブクログ東日本大震災で命を落としたDJアーク。同じくさまよっている人たち(?)に向けてのラジオ。こっち側の話があってもいいんだなぁって思う。 DJアークの語り口調がとても読みやすかった。
0投稿日: 2015.03.09
powered by ブクログ亡くなった人のことを思って悲しみ続けることは決して悪いことではない。悼み続けることを肯定してくれる感じ、涙が止まらん。
0投稿日: 2015.03.08
powered by ブクログ【3.11の追悼に読むとよい一冊】 いとうせいこうさんが書き下ろした東日本大震災を題材にした一冊。 生き残った者とこの世から去った者、両者があってこそ今ある世界が成り立っているのだと感じさせてくれる。 星野智幸さんの解説がとてもわかりやすく書かれているため、こちらから先に読んでもいいかも。 文学の力うんぬんの難しいことは僕には分からないけど、読んだ後に不思議と前向きになれる気がする。
0投稿日: 2015.03.08
powered by ブクログ「文藝」掲載時に「これはいい」と聞いてたんだけど何となく読みそびれて。いや、これいいわ。設定はかなり難しいというかパッと見とっつきにくいんだけど、読んでたらハマってきた。主人公の年齢とか子どもへの感情とかオイラ個人に引き寄せてしか読めないってのもあるけど、何だか泣ける、上手く説明できない、自分の中でも整理できない、むしろ整理したり説明したりせずにこのまま抱えておきたい何か。 で、中身と関係ないことやけど、これ、紙ぶ厚くない?いや、この本だけ分厚いわけないんで、河出文庫がぶ厚い?最近の河出文庫って他読んでないからわかんないし、よその文庫と比べたわけでもないんやけれども、何となくそんな気がした。
0投稿日: 2015.03.07
powered by ブクログ最初、構成や物語の状況がつかめなかったが、徐々にその世界に取り込まれる。何とも感想しにくい本。DJのコメントが所々しみる。リスナーの一言にぐさりとくる。 震災時、完全に外野にいた自分からみて、内野にいた人々の事をどう思うかは、自由である。ここで思考は止まっていたが、読後、思考を巡らすようになった。2話での各登場人物の語りは、中々に厳しいものだった。 来週で丸4年がたつ。衝撃的な画はやきついたままで、猛烈な勢いで忘却している。当事者意識を持つことのいかに難しいことか。
0投稿日: 2015.03.07
powered by ブクログ哀しみに満ちているのに、優しいお話。 あの日あの夜、多くの人の哀しみが空を覆いつくした。灯りの消えた凍える闇の中で、生と死が混沌としていた。 私は関東にいたから、本当の闇はわからない。本当の哀しみや苦しみもわからない。 でも、耳をすます事はできる。 もうすぐ4年目のあの日がやってくる。黙祷しながら耳をすませてみよう。
2投稿日: 2015.03.05
powered by ブクログ想像ネーム・タラモサラダさんの 日常を書いたお便りが泣けた。 立ち直る って、忘れる ことじゃ ないんだね。
0投稿日: 2015.03.04
powered by ブクログ3.11のこととは直接的な表現は避けているのですが、色々考えさせられました。ボランティアの意義とかの章は特に。DJアークの語りも平凡なのに面白くて読み進んじゃう。いとうせいこうさんの本は初めてでしたが良かったです。
0投稿日: 2015.03.03
powered by ブクログこの物語を書いたのが、作中の残された人(奥さん)、という設定なのかなって思いながら読んだけどどうなのでしょう? そこからお互いが気持ちを慮るということを伝えたいのかな?と… 視点が章ごとに変わるので感情移入がしづらいです。死について考えさせるためのトリックなのかな? うーん!難しかったです!
0投稿日: 2015.03.01
powered by ブクログ正直これは評価が難しいなぁ。DJスタイルってのは斬新なんだけどそのせいで話し言葉すぎるし、結構話がどんどん発散していくので読書という感じはあまりしなかった。話し手とリスナーが想像で繋がるという発想も斬新過ぎて、そこらへん自分でうまく消化できてないのかとも思う。でも実際本を読んでDJを想像するので、この読書自体がすでに自動的に想像ラジオになるんだよな。このあたりの設定は絶妙だと思う。 他にもいいところがいろいろあって、例えばこのスタイルだからこそ被災者と向き合うというシリアスなテーマにも取っ付き易くする効果もある訳で。 本屋大賞ノミネート作品と言う事で読む前から期待値が高すぎたかもな…
0投稿日: 2015.02.28
powered by ブクログ先にレビューを見てしまっていたので、内容がある程度わかってしまっていたからなのか? 自分が直接に震災の被害を受けていないからなのか? あまり心には響きませんでした。DJアークが軽すぎて、震災で亡くなってもこの程度なの?と疑問を感じてしまいます。 読む人によって印象が異なる作品と思います。
0投稿日: 2015.02.25
powered by ブクログ河出文庫になったタイミングで読んだ。いとうせいこうの本を読むのは初めて。〝色物〟のような気がして勝手に食わず嫌いしていたけど、考えを改めた。他の作品も読んでみます。
0投稿日: 2015.02.24
powered by ブクログせいこうさんはNHKの「天才ビットくん」という番組で馴染みがあって実はそれ以外の作家としての彼は知らなかった。想像という行為はなんだか怖いものでもある。だけれどもそれだけ力もある。いつでも想う人や風景に出会えるし、お話ができる。一方でその怖さとは想像で補おうとしている贖罪みたいなもので、それは例えば暴力や災害のことに立ち現れる。このままいくとあと20年はあるだろうけど、直近は親の死であるとすると、やはり怖いのは想像に足る記憶や交流が実感として積み上げられているのだろうかということ。この辺りにすごく負い目を感じている。ルサンチマンとはまた違う、いや同じなのかもしれないけど、死や別れや痛みというものと抱きしめ合いながら生きていくことは、とても人間らしいことなのだろうか。想像の対話をやめてはいけない。やめない。
0投稿日: 2015.02.23
powered by ブクログ不思議な本だった。最初から意味がよくわらず追々明らかになっていく『想像ラジオ』。あの日の映像が浮かび上がり、杉の木上にさかさまに引かかっているDJアークが頭の中で真っ暗な闇の中で浮かび上がる。 ポロポロと読みながら涙ができるわけではなかった。だけどじんわりと心に沁みこむ不思議な感覚。読みながら自分がどう感じて良いのかが掴めず、ただただフワフワと読んでいた。
0投稿日: 2015.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
記憶として生々しく、公然と語るにはまだ熱を持ちすぎているあの出来事を題材にした作品。 杉の木の上に引っかかってしまった男がDJを務めるラジオがかかり、物語は始まる。 始めは何もわからない。 男はなぜ木の上にいるのか。 想像ラジオとは何なのか。 なぜラジオが聞こえる人間と聞こえない人間がいるのか。 それらの謎が段々と明らかになっていく。 ラジオの語り口で話が進み、普通のラジオのようにBGMが流れたりする。 このBGMのチョイスがまたよい。 耳をすませば、本当に杉の木の上から電波が届くのではないかーーー 思わずそんな気持ちになる作品でした。
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ不思議な小説だ。 最初は何だか分からない内容だったが、段々と話しの内容や背景が分かってくると不思議な感覚になる。 死んだ後の自分がどうであるものなのか、どのように思い感じるものなのかそれこそ想像してしまう。 第二章と四章の差し込みも印象的だ。 不思議な魅力のある小説だ。 作者が発表後、どの様にこの小説が受け入れられるかというコメントがあったのを思い出した。 確かにそれぞれの立場や考えによって捉え方は違ってくると思う。
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ2014年本屋大賞8位 東日本大震災で亡くなった一人の男が、想像の中だけで聞こえるラジオのパーソナリティとして、死者と生者に向けて自分史をオンエアする話。 第1章~3章まではどのように読んでよいものかわからなかった。被災地の人間でない自分が読んでもわからないのだろうか?と。 第4章になって、非被災地に居ながら震災の生々しい映像を見てPTSDとは言わないまでも少なからずショックを受けた三者三様の戸惑いに対する人それぞれの受け止め方について「想像してごらんなさい」という意味と「想像しかできないんだよ」という2つの意味が掛け合わさっているんじゃないかなぁ、と感じた。 暫くしてから再読してみようと思う。
0投稿日: 2015.02.14
powered by ブクログ想像で伝えるラジオ、あるいはこの小説そのもの。喪失を満たすのだ。想像してください。 「きれいごと」感は否めないけど、それでも理想を抱かなきゃ人は生きていけないし、これでいい気もする。良かったです。
0投稿日: 2015.02.13
powered by ブクログもう一度読み直してから、再度感想をいいたいのだけど、いま思ったこと。 とても涙もろい私が泣くことがなかったのは、 淡々とした物語の流れだったからかもしれないし、 あの日のことをTVでしかみていなかったからもしれない。 時間は流れて、いつのまにか、あの日おこったこと、 夜も眠れなかった事、不安で不安でしかなかったこと、 ぜんぶがとおくなっていくのがとても怖くなった。 それと同時に時間が流れている事にとても安心した。 あの日いのちがきえてしまった人々のさいごに ほんのすこしでもあたたかな一瞬が訪れてくれていたらいい そんなことも生きている私には思う資格なんてないけれど 救うのも、救われるのも、すべては想像なんだなって すとんと身体の奥におちていったお話でした。
0投稿日: 2015.02.12
powered by ブクログずっと読みたかった作品。賛否両論いろんな意見あるでしょうが…とにかく、作者は書きたかったんだよ。あの3.11以降、書かずにはいられなかったんだ。その想いは受け止めたい。
2投稿日: 2015.02.09
powered by ブクログ東日本大震災を背景に描かれた実験的な小説。深夜2時46分にDJアークによりオンエアされるラジオ番組『想像ラジオ』…生と死の混沌とした中で、DJアークの語りを中心にストーリーは展開する。 話題になった作品という事もあり、文庫化して、すぐに読んでみたが、期待外れだった。 これまで、かなりの数の東日本大震災に真っ向から向き合ったルポルタージュや小説を読んで来たが、この作品は明らかに卑怯な作品である。東日本大震災をテーマにしているのだが、まるで襖の陰から盗み見してるかのような印象を受けた。さらに強い事を言えば、東日本大震災という悲劇を弄んでいるかのような作品だった。 絶賛される理由が解らない。
0投稿日: 2015.02.07
powered by ブクログ深夜2時46分、「想像」という電波を使ってラジオのOAを始めたDJアーク。その理由は…。東日本大震災を背景に生者と死者の新たな関係を描きベストセラーとなった著者代表作。野間文芸新人賞受賞。
0投稿日: 2015.02.06想像することは、人にやさしくなること
「ストーリー311」でも引用した、北野武の“この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考える”のではなく、“「1人が死んだ事件が2万件あった」ってこと”ということばは、この本にも当てはまる。 いとう自身が南三陸町を訪れ、聞いた「杉の木に引っかかって亡くなった人がいた」という話し。どうしようもなく頭に残ったそのイメージは、本書の主人公、海沿いの高い杉の木に引っかかったDJアークとして登場している。 アークは、亡くなった人々の声を憑代のように伝えていく。ただ自分だけが感じた紛れも無い事実、現実しか書いてはいけない、なんてことはないのだ。事実しか書けなければ、誰にも悼まれることなく忘れさられてしまう人も、こともある。 小説家というより、亡くなった人たちの声を集め、まとめた編集者のような気持ちでいるといとうは語ってもいる。先に引用した北野武も、大切なのは“想像力”だと言った。想像しなければ、誰かの悲しみも、喜びもわからない。想像力はやさしさでもあるのだ。
0投稿日: 2014.03.12彼岸とのコミュニケーション
電波じゃなく想像力で搬送されるラジオDJが、東日本大震災を体験した人々の声を伝える、という物語。 生者と死者のコミュニケーションという、ちょっとおおげさに言えば平安時代以来の日本文学の最重要テーマを、軽妙にかつ実感を込めて語る。佳作である。
0投稿日: 2014.03.03
